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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 H01M
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01M
管理番号 1342432
審判番号 不服2017-16902  
総通号数 225 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-11-14 
確定日 2018-08-13 
事件の表示 特願2016-527954「リチウム電極及びそれを含むリチウム二次電池」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 3月19日国際公開、WO2015/037868、平成28年 9月 8日国内公表、特表2016-527680、請求項の数(9)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2014年(平成26年)9月3日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2013年9月11日 大韓民国(KR)、2014年9月1日 大韓民国(KR))を国際出願日とする出願であって、平成28年11月25日付けで拒絶理由通知がされ、平成29年2月1日付けで意見書及び手続補正書が提出され、同年7月7日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、同年11月14日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正書が提出され、同年11月29日に審判請求書を対象とする手続補正書が提出され、その後、平成30年2月6日と同年4月20日にそれぞれ上申書が提出されたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1?9に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」?「本願発明9」という。)は、平成29年11月14付け手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1?9に記載された事項により特定される以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
多孔性金属集電体と、
前記金属集電体に形成された気孔に挿入されたリチウム金属と、を含むリチウム二次電池用リチウム電極であって、
前記リチウム金属は、前記リチウム電極の全体重量を基準に、5?20重量%であり、
前記金属集電体は、銅、ニッケル、鉄、クロム、亜鉛及びステンレススチールからなる群より選択されるいずれか一種、またはこれらの二種以上の混合物で形成され、
前記金属集電体の気孔度は、50?99%であり、
前記気孔の大きさは、5?500μmであることを特徴とするリチウム二次電池用リチウム電極。
【請求項2】
前記金属集電体は、金属メッシュまたは金属フォームであることを特徴とする請求項1に記載のリチウム二次電池用リチウム電極。
【請求項3】
正極、負極及び前記正極と前記負極との間に介されたセパレーターを含む電極組立体と、
前記電極組立体を収容する電池ケースと、
前記電池ケースに内蔵され、前記電極組立体を含浸する非水電解液と、を含むリチウム二次電池であって、
前記負極は、請求項1または2に記載のリチウム二次電池用リチウム電極であるリチウム二次電池。
【請求項4】
前記正極は、LiCoO_(2)、LiNiO_(2)、LiMn_(2)O_(4)、LiCoPO_(4)、LiFePO_(4)、LiNiMnCoO_(2)及びLiNi_(1-x-y-z)Co_(x)M1_(y)M2_(z)O_(2)(M1及びM2は、相互独立的にAl、Ni、Co、Fe、Mn、V、Cr、Ti、W、Ta、Mg及びMoからなる群より選択されるいずれか一種であり、x、y及びzは、相互独立的に酸化物組成元素の原子分率であって、0≦x<0.5、0≦y<0.5、0≦z<0.5、x+y+z≦1である)からなる群より選択されるいずれか一種、またはこれらの二種以上の混合物である正極活物質を含むことを特徴とする請求項3に記載のリチウム二次電池。
【請求項5】
前記セパレーターは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリペンテン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンスルファイド、及びポリエチレンナフタレートからなる群より選択されるいずれか一種、またはこれらの二種以上の混合物からなる多孔性基材であることを特徴とする請求項3に記載のリチウム二次電池。
【請求項6】
前記非水電解液は、有機溶媒及び電解質塩を含むことを特徴とする請求項3に記載のリチウム二次電池。
【請求項7】
前記有機溶媒は、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、1,2-ブチレンカーボネート、2,3-ブチレンカーボネート、1,2-ペンチレンカーボネート、2,3-ペンチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート、エチルメチルカーボネート(EMC)、メチルプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、メチルエチルエーテル、メチルプロピルエーテル、エチルプロピルエーテル、メチルアセテート、エチルアセテート、プロピルアセテート、メチルプロピオネート、エチルプロピオネート、プロピルプロピオネート、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、γ-カプロラクトン、σ-バレロラクトン及びε-カプロラクトンからなる群より選択されるいずれか一種、またはこれらの二種以上の混合物であることを特徴とする請求項6に記載のリチウム二次電池。
【請求項8】
前記電解質塩は、陰イオンとして、F^(-)、Cl^(-)、Br^(-)、I^(-)、NO_(3)^(-)、N(CN)_(2)^(-)、BF_(4)^(-)、ClO_(4)^(-)、PF_(6)^(-)、(CF_(3))_(2)PF_(4)^(-)、(CF_(3))_(3)PF_(3)^(-)、(CF_(3))_(4)PF_(2)^(-)、(CF_(3))5PF^(-)、(CF_(3))_(6)P^(-)、CF_(3)SO_(3)^(-)、CF_(3)CF_(2)SO_(3)^(-)、(CF_(3)SO_(2))_(2)N^(-)、(FSO_(2))_(2)N^(-)、CF_(3)CF_(2)(CF_(3))_(2)CO^(-)、(CF_(3)SO_(2))_(2)CH^(-)、(SF_(5))_(3)C^(-)、(CF_(3)SO_(2))_(3)C^(-)、CF_(3)(CF_(2))_(7)SO_(3)^(-)、CF_(3)CO_(2)^(-)、CH_(3)CO_(2)^(-)、SCN^(-)及び(CF_(3)CF_(2)SO_(2))_(2)N^(-)からなる群より選択されるいずれか一種、またはこれらの二種以上を含むことを特徴とする請求項6に記載のリチウム二次電池。
【請求項9】
前記電池ケースは、円筒状、角形、パウチ型またはコイン型であることを特徴とする請求項3に記載のリチウム二次電池。」

第3 拒絶理由について
1.原査定の概要(特許法第29条第1項第3項、特許法第29条第2項)について
原査定は、請求項1?3、5、6、9?11に係る発明について、引用文献1に記載された発明と同一、もしくは、引用文献1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものであり、請求項4に係る発明について、引用文献1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものであり、請求項1、3?6、9?11に係る発明について、引用文献2に記載された発明と同一、もしくは、引用文献2に記載された発明に基づいて当業者が容易に想到したものであり、請求項7、8、12に係る発明について、引用文献1又は2に記載された発明と引用文献3と4に示される周知の技術事項とにより当業者が容易に発明できたものであるため、本願は、特許法第29条第1項第3号に該当するものであるか特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。

<引用文献>
引用文献1:特開平02-309558号公報
引用文献2:特開2011-249286号公報
引用文献3:国際公開第02/061863号
引用文献4:特開平7-29596号公報

2.引用文献の記載事項及び引用発明
(1)引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開平02-309558号公報)には、次の事項が記載されている(当審注:下線は、当審が付したもの。以下、同様)。

ア. 「(1)貫通孔を有する金属基材と、
前記貫通孔内部に充填された金属リチウムまたはリチウム合金と、
を備えたリチウム2次電池用負極。
(2)貫通孔を有する前記金属基材は、多孔質金属、金属メッシュ、エキスパンデッドメタルまたはパンチングメタルである、特許請求の範囲第1項記載のリチウム2次電池用負極。
(3)前記金属基材の材質は、ステンレススチール、チタン、チタンの合金、銅、銅の合金、白金、白金の合金、ニッケル、ニッケルの合金、金、金の合金、銀、銀の合金、アルミニウム、アルミニウムの合金、鉄、鉄の合金、クロム又はクロムの合金である、特許請求の範囲第2項記載のリチウム2次電池用負極。」(特許請求の範囲)

イ. 「[産業上の利用分野]
この発明は、リチウム2次電池用負極に関するものであり、特に、形状の安定性に対して改良されたリチウム2次電池用負極に関するものである。」(第1頁右下欄第5行?第8行)

ウ. 「[発明が解決しようとする課題]
しかしながら、これらの負極は保持体としてアルミニウム板を使用しているために、充放電サイクル数の増大に伴なって、アルミニウム板が微粉化し、負極の脱落を生じ、サイクル寿命の低下を招くという問題点があった。
それゆえに、この発明の目的は、形状の安定性において優れるリチウム2次電池用負極を提供することにある。
この発明の他の目的は、形状の安定性において優れるとともに、そのスケールを大きくすることのできるリチウム2次電池用負極を提供することにある。」(第2頁左上欄第7行?第19行)

エ. 「本発明で用い得る多孔質金属は、ニッケル、ニッケル-クロム、ニッケル-鉄-クロム、銅、アルミニウム等で形成されるのが好ましい。そして、その孔径は2.3mm以下であることが望ましい。なお、ここに規定する孔径とは、多孔質金属の或る断面の単位長あたりの孔数を顕微鏡等を用いて計測し、該単位長を孔数で割ったものと定義される。孔径が2.3mmより大きくなると、体積、重量共に増大するために、電池としてのエネルギ密度が低下し、好ましくない。」(第2頁右上欄第9行?第18行)

オ. 「[作用]
本発明にかかるリチウム2次電池用負極によれば、貫通孔を有する金属基材の内部に金属リチウムまたはリチウム合金を充填した構造であるので、金属基材の網目構造が補強の役割を果たし、負極の形状を安定に保つ。したがって、充放電サイクル数が増大しても、負極の形状は損われず、負極の長寿命化を図ることができる。」(第2頁右下欄第20行?第3頁左上欄第7行)

カ. 「[実施例]
以下、この発明の実施例を図について説明する。
実施例1
第1図は、Ni-Cr発泡金属(厚み3mm、孔径0.7?1.0mm、気孔率90%)の平面図である。第5A図?第5B図は、このNi-Cr発泡金属の内部にリチウム-アルミニウム合金を充填する工程を示したものである。第5A図(第1図におけるVA-VA線に沿う断面図)を参照して、Ni-Cr発泡金属1を準備する。Ni-Cr発泡金属1は、多数の貫通孔2を有している。
次に、第5B図を参照して、Ni-Cr発泡金属1の片側に、リチウム-アルミニウム合金箔(アルミニウム重量比15.4%、厚み0.6mm)3を保持させる。次に、プレスあるいはロールによって、リチウム合金箔3に圧力をかける。これによって、第5C図を参照して、リチウム合金3がNi-Cr発泡金属の貫通孔2の内部に圧入され、リチウム2次電池用負極4が得られる。このようにして作製されたリチウム2次電池用負極(スケール1.5cm×2.5cm)4を、正極6とともに、第6図に示すように、電解液(ホウフッ化リチウムをプロピレンカーボネートに溶解したもの)5中に浸漬し、2次電池を構成した。なお、正極6には、120メッシュステンレス(スケール1.5cm×2.5cm)上にポリアニリン膜7を電解重合により形成したものを用いた。サイクル特性を評価したところ、充放電電流密度1mA/cm2、充放電時間30分の条件で、756サイクルまで、エネルギ効率80%以上を維持することが認められた。」(第3頁左上欄第8行?右上欄第19行)

キ. 上記カの記載事項において、実施例1のリチウム2次電池用の負極に注目すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。

<引用発明1>
「Ni-Cr発泡金属(厚み3mm、孔径0.7?1.0mm、気孔率90%)の片側に、リチウム-アルミニウム合金箔(アルミニウム重量比15.4%、厚み0.6mm)を保持させ、プレスあるいはロールによって、リチウム合金箔に圧力をかけ、リチウム合金がNi-Cr発泡金属の貫通孔の内部に圧入されたリチウム2次電池用負極。」

(2)引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2(特開2011-249286号公報)には、次の事項が記載されている(当審注:「・・・」は、省略を表す。以下、同様)。

ア. 「【請求項1】
非水電解液を用いるリチウム電池用合金負極であって、
アルミニウム多孔体中にリチウム金属が充填されていることを特徴とするリチウム電池用合金負極。」(特許請求の範囲)

イ. 「【発明が解決しようとする課題】
これらの問題点に鑑み、工業的量産に好適であると共に、放電深度を上げて大きな数の充放電サイクルで充放電を行った場合でも、放電容量の劣化を招く恐れがないリチウム電池用合金負極の開発が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
上記の課題は、以下に示す各発明により解決することができる。
(1)本発明に係るリチウム電池用合金負極は、
非水電解液を用いるリチウム電池用合金負極であって、
アルミニウム多孔体中にリチウム金属が充填されていることを特徴とする。
本発明者は、上記の課題の解決につき、鋭意検討を行った。その結果、従来の板状体のLi-Al合金に替えて、アルミニウム多孔体中にリチウム金属を充填して作製したLi-Al合金を負極として用いることが有効であることを見出した。
即ち、アルミニウム多孔体中にリチウム金属が充填されたLi-Al合金負極は、芯となる骨格を有しているため、従来のLi-Al合金負極のような脆弱性がなく、工業的量産に好適である。
また、高い放電深度であっても充分なサイクル寿命を確保することができる。
即ち、本発明者が検討した結果、充放電サイクルに伴って、充電時はAlが膨張し、放電時はAlが収縮し、電極全体の膨張収縮が起こるため、電極界面に割れなどを生じ、微粉化を発生させ、活物質の脱離を招き、これが、放電深度を上げた場合の充放電サイクル特性に悪影響を与えていることが分かった。
これに対して、本発明に係るアルミニウム多孔体中にリチウム金属が充填されたLi-Al合金負極では、Al濃度が多孔体の骨格から離れるに従い、即ち、多孔体の骨格の中央部ほど薄くなるという濃度勾配が形成されているため、充放電サイクルに伴う膨張収縮の応力が分散して緩和される。この結果、放電深度を上げた場合であっても、電極の割れなどが抑制され、微粉化の発生が抑制され、充分な充放電サイクルを確保することができる。
また、充放電サイクル寿命の低下は、Li金属負極に係わるLiデンドライト成長により、長時間使用した場合に短絡が発生することにも原因があることが分かった。この点、本発明に係るアルミニウム多孔体中にリチウム金属が充填されたLi-Al合金負極では、このLiデンドライト成長が多孔内に留まるため、短絡によるサイクル寿命の低下が抑制される。
(2)また、前記のリチウム電池用合金負極は、
前記アルミニウム多孔体の骨格が、アルミニウムによって形成されていることを特徴とする。
アルミニウム多孔体の骨格自体がアルミニウムによって形成されているため、骨格のみでLi-Al合金を形成することができる。このため、気孔率が高く、より容量密度の大きなリチウム電池用合金負極を提供することができる。」(【0007】?【0017】)

ウ. 「(3)リチウム金属含入(充填)工程
次に、作製したアルミニウム多孔体に所定量のリチウム金属を含入し、リチウムとアルミニウムの合金(Li-Al合金)を生成させてリチウム電池用合金負極を作製する。具体的には、例えばアルミニウム多孔体と所定の厚さのリチウム箔を貼り合わせた後、180℃以上に加熱し、リチウム箔を溶融させてアルミニウム多孔体の空孔に浸透させる。また、180℃以上に加熱したリチウムの溶融浴にアルミニウム多孔体を浸漬させてもよい。なお、含入するリチウム量は、アルミニウム多孔体の空孔に占めるリチウム金属の体積の比率が50%以上100%未満となるように調整される。例えば気孔率が97%のアルミニウム多孔体と厚さがアルミニウム多孔体の1/2のリチウム箔を貼り合わせた場合、空孔に占めるリチウム金属の体積の比率は51.5%になる。」(【0060】)

エ. 「(実施例1、2)
実施例1は、骨格がアルミニウムにより形成されたアルミニウム多孔体に、リチウム金属を含入して形成される負極を有するリチウム二次電池である。
・・・

(1)アルミニウム多孔体の作製
実施例1では、気孔率97%、気孔径約300μmのポリウレタンフォームを準備した。このポリウレタンフォームの表面に真空蒸着法により、厚さ約50μmのアルミニウム層を形成した後、温度500℃のLiCl-KCl共晶溶融塩に浸漬し、アルミニウム層をアルミニウムの標準電極電位より卑な電位で30分間保持した。その後大気中で室温まで冷却し、水洗して溶融塩を除去してアルミニウム層を骨格とする厚さ0.5mm、気孔率97%のアルミニウム多孔体を作製した。」(【0068】?【0070】)

オ. 「(3)負極の作製
アルミニウム多孔体に、厚さ350μmのリチウム箔を貼り合わせた後、250℃に加熱してLiを溶融させ、Liを空孔に浸透させた。なお、空孔に占めるリチウム金属の体積の比率は75%である。
リチウム金属を空孔に浸透させたアルミニウム多孔体を直径15mmの円形に成形してリチウム電池用合金負極を作製した。
(4)リチウム電池用正極の作製
MnO_(2)(活物質)、アセチレンブラック(導電助剤)、PVDF(バインダー)を所定の比率で混合し、直径が15mm、容量密度が10mAh/cm^(2)のリチウム電池用正極を作製した。
(5)リチウム二次電池の作製
次に、負極および正極に用いてリチウム二次電池を作製した。図5は本実施例のリチウム電池の構成を説明するための図である。図5において11はリチウム二次電池、12はリチウム電池用正極、13はセパレーター、14はリチウム電池用合金負極である。
具体的には、正極12と負極14との間にポリプロピレン製のセパレーター13を挟んで積層し、LiClO_(4)を1モル%溶解させた(1M)プロピレンカーボネート/エチレンカーボネート/ジメトキシエタンの混合液からなる電解液を用いて組立てた。」(【0078】?【0082】)

カ. 「(実施例1、2および比較例のリチウム二次電池の特性評価)
(1)歩留り
実施例1、2の場合、電池の組立における歩留りが100%であるのに対して、比較例の歩留りは約50%と低かった。比較例の場合、このように歩留りが低いのはリチウム電池用合金負極が脆弱で、ハンドリング時に割れや欠けが生じるためである。
(2)充放電サイクル特性
イ.試験方法
カットオフ電圧を2.0-3.3Vとし、6mA/hと18mA/hの2種類の放電深度で充放電サイクル試験を行い、放電容量が初期の50%以下となるサイクル数を調べた。
ロ.試験結果
実施例1、2および比較例の試験結果を表1に示す。
【表1】

表1より実施例1、2はサイクル特性が優れていることが分かる。実施例のサイクル特性がこのように優れているのは、微粉化とデンドライトショートの抑制効果の高いリチウム電池用合金負極を用いているためである。」(【0085】?【0089】)

キ. 上記エ、オの記載事項において、実施例1のリチウム電池用合金負極に注目すると、引用文献2には、次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。

<引用発明2>
「アルミニウム層を骨格とする厚さ0.5mm、気孔率97%のアルミニウム多孔体に、厚さ350μmのリチウム箔を貼り合わせた後、250℃に加熱してLiを溶融させ、Liを空孔に浸透させ、空孔に占めるリチウム金属の体積の比率が75%であるリチウム電池用合金負極。」

(3)引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3(国際公開第02/061863号)には、次の事項が記載されている。

ア. 「Example 1
A lithium electrode was fabricated by coating lithium at a thickness of 20μm with an electroplating method into the pores of a porous copper current collector which was fabricated by an electroplating method. A cathode was obtained by adding 5.7g of LiCoO _(2) , 0.6g of acetylene black (AB) and 0.4g of PVdF to a mixture of NMP and acetone, casting the obtained mixture onto an aluminum thin plate when an appropriate viscosity was obtained, and then drying and rolling the obtained plate. The lithium electrode, a PP separator and the cathode were stacked sequentially, and then 1 M LiPF_(6) solution in PC/EMC was injected thereto, thereby to fabricate a lithium battery.」(第6頁第22行?第7頁第7行、
当審訳:実施例1
電気めっき法により作製した多孔質銅集電体の細孔に、電気めっき法によりリチウムを20μmの厚みで被覆してリチウム極を作製した。正極は、LiCoO_(2) 5.7g、アセチレンブラック0.6g、PVdF0.4gをNMPとアセトンの混合物に加え、適当な粘度となった際にアルミニウム薄板に流し込んだ後、乾燥し圧延して得た。リチウム極、PPセパレーター、正極を順次積層した後、PC/EMCの1MLiPF_(6)溶液を注入し、リチウム電池とした。)

(4)引用文献4について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4(特開平7-29596号公報)には、次の事項が記載されている。

ア. 「本発明のリチウム二次電池の正極としては、例えば、Li_(x)CoO_(2)(0≦x≦1)、Li_(x)NiO_(2)(0≦x≦1)、Li_(x)Mn_(2)O_(4)(0≦x≦1)、結晶あるいは非結晶のV_(2)O_(5)、Li_(x)V_(3)O_(8)(0<x≦1)、TiS_(2)、NbSe_(3)等を用いることができる。また、電解液に用いるリチウム塩としては、例えば、LiAsF_(6)、LiPF_(6)、LiSbF_(6)、LiCF_(3)SO_(3)、LiN(CF_(3)SO_(2))_(2)、LiC(CF_(3)SO_(2))_(3)、LiClO_(4)、LiBF_(4)、LiAlCl_(4)等を用いることができる。
電解液に用いる非水溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、γ-ブチルラクトン等の環状エステル、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の非環状エステル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、1,3-ジオキソラン、4-メチル-1,3-ジオキソラン等の環状エーテル、ジアルコキシエタン、グライム類等の非環状エーテル、スルホラン等の硫黄化合物等を単独もしくは2種類以上混合して用いることができる。
【比較例1】
コイン電池の構造を図1に示す。図中、1は負極ケース、2は負極、3は電解液、4はセパレータ、5は正極ケース、6は正極、7はガスケットである。
負極として、厚さ150μmのリチウム金属薄膜、電解液として1モル/lのLiAsF_(6)をエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートの混合溶媒(体積混合比、1:1)に溶解したものを用いて、コイン電池(直径23mm、厚さ2mm)を作製した。この電池を、0.4mA(0.176mA/cm^(2))の放電電流で18時間放電し、0.8mA(0.352mA/cm^(2))で9時間放電する操作を1サイクルとして、充放電のサイクルを10回繰り返したのちに、6mA(2.65mA/cm^(2))にて-2.0Vまで放電した。その際の充放電効率を表2に示す。
【実施例1】
負極として、リチウム金属中に表1、図2に示した銅製の金属網(No.1)を埋め込んだ厚さ150μmの箔を用いた以外は、比較例1と同様に、図1に構造を示す示す電池作製し、同じ方法で充放電効率を求めた。その際の充放電効率を表2に示す。比較例1に比べ、実施例1は、飛躍的に充放電効率が向上していることが明らかである。」(【0013】?【0017】)

第4 対比・判断
1.本願発明1について
(1)引用発明1を主引用発明とする場合について
ア.対比(一致点・相違点の認定)
(ア)本願発明1と引用発明1とを対比すると、引用発明1の「Ni-Cr発泡金属」は、上記第3の2.(1)摘記ア.及びオ.によると、引用文献1に記載の「リチウム2次電池用負極」を構成する「貫通孔を有する金属基材」の具体的態様であるといえる。そして、負極を構成する金属基材は、負極における集電体を表すことは自明のことであるので、引用発明1の「Ni-Cr発泡金属」は、本願発明1の「銅、ニッケル、鉄、クロム、亜鉛及びステンレススチールからなる群より選択されるいずれか一種、またはこれらの二種以上の混合物で形成され」た「多孔性金属集電体」と、「ニッケル、クロムの混合物で形成され」た「多孔性金属集電体」の部分で共通する。
(イ)引用発明1の「Ni-Cr発泡金属の貫通孔の内部に圧入された」「リチウム-アルミニウム合金」と本願発明1の「金属集電体に形成された気孔に挿入されたリチウム金属」とは、「金属集電体に形成された気孔に挿入された」「金属」の部分で共通する。
(ウ)また、引用発明1の「Ni-Cr発泡金属」が、「気孔率90%」であることと、本願発明1の「金属集電体の気孔度は、50?99%」であることは、気孔度が90%である点で一致する。
(エ)引用発明1の「リチウム2次電池用負極」は、本願発明1の「リチウム二次電池用リチウム電極。」に相当する。
(オ)上記(ア)?(エ)から、本願発明1と引用発明1とは、以下の点で一致または相違するものである。

(一致点)
「多孔性金属集電体と、
前記金属集電体に形成された気孔に挿入された金属と、を含むリチウム二次電池用リチウム電極であって、
前記金属集電体は、ニッケル、クロムの混合物で形成され、
前記金属集電体の気孔度は、90%であることを特徴とするリチウム二次電池用リチウム電極。」

(相違点1-1)
本願発明1は「金属集電体に形成された気孔に挿入」される金属が「リチウム金属」であり、「リチウム電極の全体重量を基準に、5?20重量%」とするのに対し、引用発明1は「金属集電体に形成された気孔に挿入」される金属が「リチウム-アルミニウム合金」である点。

(相違点1-2)
金属集電体の気孔の大きさについて、本願発明1は、「5?500μmである」のに対し、引用発明1は、「0.7?1.0mm」である点

イ.相違点についての判断
(ア)相違点1-1について
当該相違点は、金属集電体に形成された気孔に挿入される金属が、本願発明1では、リチウム金属単体であるのに対して、引用発明1では、リチウム・アルミニウム合金と明らかに異なっているものであるから、実質的な相違点である。一方で、引用文献1には、上記第3の2.(1)摘記ア.及びオ.のように、貫通孔を有する金属基材の貫通孔に充填する成分として「金属リチウムまたはリチウム合金」と、リチウム合金と同等に金属リチウムを用いることが記載されている。
してみると、引用発明1において、引用文献1にリチウム-アルミニウム合金をそれと同等に使用することができると記載されているリチウム金属とすることは、当業者が容易になし得る事項であり、阻害要因も見受けられない。
そして、引用発明1において、リチウム-アルミニウム合金の材料である「リチウム-アルミニウム合金箔(アルミニウム重量比15.4%、厚み0.6mm)」を同じ厚さのリチウム金属箔に置き換えた場合、Ni、Cr、Liの比重が、それぞれ、8.9、7.19、0.534(g/cm^(3))であることを考慮すると、Ni-Cr発泡金属(厚み3mm、気孔率90%)の単位面積(1cm^(2))当たりの重量は、(8.9?7.19)×(1×1×0.3)×(1-0.9)=0.267?0.2157(g)と計算でき、リチウム金属箔(厚み0.6mm)の単位面積(1cm^(2))当たりの重量は、0.534×(1×1×0.06)=0.032(g)と計算できるから、リチウム電極の全体重量を基準としたリチウム金属の重量(%)は、0.032/((0.267?0.2157)+0.032)×100=10.7?12.9となるので、上記相違点1-1における、リチウム金属のリチウム電極の全体重量を基準とした重量割合である5?20重量%を満足するものとなる。
よって、相違点1-1は実質的な相違点であるが、当業者であれば、引用発明1において、引用文献1の記載事項に基づいて、相違点1-1に係る本願発明1の特定事項とすることは、容易に想到し得る事項である。

(イ)相違点1-2について
当該相違点は、金属集電体の気孔の大きさが、本願発明1では、「5?500μm」であるのに対し、引用発明1は、「0.7?1.0mm」、すなわち、700?1000μmであると明らかに異なっているものであるから、実質的な相違点である。引用文献1には、上記第3の2.(1)摘記エ.のように「多孔質金属」「の孔径は2.3mm以下であることが望ましい。」と記載されており、引用発明1の「Ni-Cr発泡金属」の「孔径0.7?1.0mm」は、この記載と整合するものである。しかしながら、引用文献1には、「多孔質金属」「の孔径は2.3mm以下であることが望ましい。」とは記載されているものの、「多孔質金属」の「孔径」を「2.3mm以下」の範囲でどこまで小さくすべきであるか具体的には記載されておらず、より小さい孔径とすることによりどのような技術的意義を有するのかについては、出願時の技術常識を考慮しても理解できるものとはいえない。
ここで、引用文献2には、上記第3の2.(2)摘記エ.及びオ.によると、「気孔率97%、気孔径約300μmのポリウレタンフォーム」「の表面に真空蒸着法により、厚さ約50μmのアルミニウム層を形成した後、温度500℃のLiCl-KCl共晶溶融塩に浸漬し、」「水洗して溶融塩を除去してアルミニウム層を骨格とする厚さ0.5mm、気孔率97%のアルミニウム多孔体」を用い、これに、リチウム箔を溶融させ、Liを空孔に浸透させ、リチウム電池用合金負極を得ることが記載されているが、「気孔径約300μmのポリウレタンフォーム」を型として用い、その型が有する気孔「の表面に真空蒸着法により、」「アルミニウム層を形成し」、ポリウレタンフォームや溶融塩を除去した「アルミニウム多孔体」の気孔径については、引用文献2のアルミニウム多孔体の製造工程からみて、型として用いられるポリウレタンフォームの気孔径と同一または、何らかの相関性をもって導き出されるものとも認められず、明らかなものとはいえない。
してみると、引用文献1、2のいずれにおいても、多孔性金属集電体の気孔の大きさを、引用発明1の孔径である0.7?1.0mm(700?1000μm)よりも小さい5?500μmとすることについて、記載ないし示唆されていないので、引用発明1において相違点1-2に係る本願発明1の特定事項とすることは、当業者であっても、引用文献1または2の記載事項から、容易になし得るものではない。

(ウ) 本願発明1の効果について
上記(2)のとおり、相違点1-2に係る本願発明1の特定事項とすることは、当業者が容易になし得るものではないが、仮に、容易になし得るとして、本願発明1が奏する効果について検討する。
引用文献1は、上記第3の2.(1)摘記イ.、ウ.及びオ.によれば、「形状の安定性において優れるリチウム2次電池用負極」を提供することを、課題・目的としているものであり、当該「形状の安定性」との課題は、上記摘記オ.に、「貫通孔を有する金属基材の内部に金属リチウムまたはリチウム合金を充填した構造であるので、金属基材の網目構造が補強の役割を果た」すことにより解決されるものと記載されている。一方、本願発明の詳細な説明【0023】?【0024】の【発明の効果】に、「本発明の一実施例によれば、リチウム金属と集電体との接触表面積が向上することでリチウム二次電池の性能を向上させることができる。
また、リチウム電極内の電子分布の均一化を通じてリチウム二次電池の駆動時にリチウムデンドライトの成長を防止し、リチウム二次電池の安全性を向上させることができる。」と記載されているとおり、本願発明1が奏する効果は、「リチウム二次電池の性能を向上」すること、具体的には、「リチウム二次電池の駆動時にリチウムデンドライトの成長を防止」することによって、「リチウム二次電池の安全性を向上」することであるといえる。
してみると、本願発明1が奏する効果と引用文献1に記載されている引用発明1が奏する効果は、それぞれ、「リチウム二次電池の駆動時にリチウムデンドライトの成長を防止」することによる「リチウム二次電池の安全性を向上」することと、「形状の安定性において優れるリチウム2次電池用負極」の提供であり、両者は、異質なものであるといえるので、本願発明1が奏する効果は、引用文献1に記載された事項から予測できるものとは認められない。
さらに、引用文献2は、上記第3の2.(2)摘記イ.によれば、「Li金属負極に係わるLiデンドライト成長により、長時間使用した場合に短絡が発生する」ことを「抑制」できることは記載されているが、これは、引用文献2の負極では、「このLiデンドライト成長が多孔内に留まるため」とも記載されており、これと多孔性金属集電体の気孔の大きさを5?500μmとすることとの関連は明らかではないので、引用文献2の上記記載を参照しても、本願発明1の奏する効果が予測可能であるとはいえない。
したがって、本願発明が奏する効果は、引用文献1及び2に記載された事項から予測できるものではなので、この点からも本願発明1は、当業者であっても、引用発明1に基づいて、引用文献1又は2の記載事項から容易に想到できるものでない。

ウ.小活
以上イ.の(イ)、(ウ)から、本願発明1は、引用発明1に基づいて、当業者が容易に想到し得るものではなく、進歩性を有するものである。

(2)引用発明2を主引用発明とする場合について
ア.対比(一致点・相違点の認定)
(ア)本願発明1と引用発明2とを対比すると、引用発明2の「リチウム
金属」は、本願発明1の「リチウム金属」に相当するものである。
(イ)引用発明2の「アルミニウム多孔体」と本願発明1の「多孔性金属集電体」とは、金属の多孔体である点で共通し、「アルミニウム」は導電性を有するので、引用発明2の「アルミニウム多孔体」が集電体として機能することは自明のことである。さらに、上記第3の2.(2)の摘記イ.?エ.によれば、引用発明2では「アルミニウム多孔体」が形成する空孔に「リチウム金属」が充填することで負極を形成するものであり、本願発明1では「金属集電体に形成された気孔に」「リチウム金属」が「挿入」されて「リチウム電極」となるものであるため、引用発明2の負極における「リチウム金属」と「アルミニウム多孔体」との複合化された構造は、本願発明1の電極における「リチウム金属」と「多孔性金属集電体」との複合化された構造と同じといえるので、引用発明2の「アルミニウム多孔体」は、本願発明1の「多孔性金属集電体」に相当するものである。そして、引用発明2の「アルミニウム多孔体」は、「気孔率97%」であることと、本願発明1の「金属集電体の気孔度は、50?99%」であることは、気孔度が97%である点で一致する。
(ウ)また、引用発明2の「リチウム電池用合金負極」は、本願発明1の「リチウム二次電池用リチウム電極。」に相当する。
(エ)上記(ア)?(ウ)から、本願発明1と引用発明2とは、以下の点で一致または相違するものである。

(一致点)
「多孔性金属集電体と、
前記金属集電体に形成された気孔に挿入されたリチウム金属と、を含むリチウム二次電池用リチウム電極であって、
前記金属集電体の気孔度は、97%であることを特徴とするリチウム二次電池用リチウム電極。」

(相違点2-1)
「リチウム金属」の「リチウム電極の全体重量」に対する割合について、本願発明1は「5?20重量%である」のに対し、引用発明2は明らかでない点。

(相違点2-2)
金属集電体について、本願発明1は「銅、ニッケル、鉄、クロム、亜鉛及びステンレススチールからなる群より選択されるいずれか一種、またはこれらの二種以上の混合物で形成され」るものであるのに対し、引用発明1は「アルミニウム」である点。

(相違点2-3)
金属集電体の気孔の大きさについて、本願発明1は「5?500μmである」のに対し、引用発明2は明らかでない点。


イ.相違点についての判断
(ア)相違点2-2について
事案に鑑みて、相違点2-2について、まず検討すると、当該相違点は、金属集電体を構成する金属が、本願発明1においてアルミニウムであることはないから、明らかに異なっており、実質的な相違点である。そして、引用文献2には、上記第3の2.(2)摘記イ.のように、「本発明者は、上記の課題の解決につき、鋭意検討を行った。その結果、従来の板状体のLi-Al合金に替えて、アルミニウム多孔体中にリチウム金属を充填して作製したLi-Al合金を負極として用いることが有効であることを見出した。」と、記載されていることから、引用発明2は原子レベルで均一に混合した合金ではなく、アルミニウム多孔体中にリチウム金属を充填して作製した複合材をLi-Al合金と称して、これを負極として用いることを課題解決のための技術手段の中核をなす特徴的な部分とするものであり、その「アルミニウム多孔体」について「アルミニウム」から他の金属・合金とすることは、引用発明2の上記特徴的な部分を変更することになるので、引用発明2に基づいて、相違点2-2に係る本願発明1の特定事項とすることには、阻害要因があり、容易とはいえない。

ウ.小活
以上イ.の(ア)より、相違点2-2は、実質的な相違点であり、かつ、当業者であっても容易になし得るものではないので、相違点2-1、2-3について検討するまでもなく、本願発明1は、引用発明2に基づいて、当業者が容易に想到し得るものではなく、進歩性を有するものである。

2.本願発明2?9について
本願発明2?9も、本願発明1の構成を全て含むものであるから、本願発明1と同じ上記1.に示した理由により、引用発明1又は2と同一ではないし、また、当業者であっても、引用発明1又は2に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第5 むすび
以上のとおり、本願請求項1?9に係る発明は、引用文献1に記載された発明または引用文献2に記載された発明ではないし、当業者が引用文献1に記載された発明または引用文献2に記載された発明に基づいて、容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2018-07-27 
出願番号 特願2016-527954(P2016-527954)
審決分類 P 1 8・ 113- WY (H01M)
P 1 8・ 121- WY (H01M)
最終処分 成立  
前審関与審査官 瀧 恭子  
特許庁審判長 池渕 立
特許庁審判官 板谷 一弘
土屋 知久
発明の名称 リチウム電極及びそれを含むリチウム二次電池  
代理人 渡部 崇  
代理人 実広 信哉  
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