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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1342448
審判番号 不服2017-13137  
総通号数 225 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-09-05 
確定日 2018-07-19 
事件の表示 特願2015-79479号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成27年9月17日出願公開、特開2015-164533号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成26年3月31日(優先権主張 平成26年2月4日)に出願した特願2014-74855号の一部を平成27年4月8日に新たな特許出願としたものであって、平成28年2月26日付けの拒絶理由の通知に対し、同年5月2日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされ、同年10月11日付けの最後の拒絶理由の通知に対し、同年12月15日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが、平成29年5月29日付け(発送日:同年6月6日)で平成28年12月15日の手続補正が却下されるとともに拒絶査定がなされ、これに対して同年9月5日に審判の請求がなされると同時に手続補正(以下「本件補正」という。)がなされたものである。

第2 本件補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
本件補正は特許請求の範囲の請求項1の記載の補正を含むものであり、本件補正前の平成28年5月2日にされた手続補正の特許請求の範囲の請求項1の記載と本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は、それぞれ以下のとおりである(下線部は補正箇所を示す。また、A?Mについては発明を分説するため当審で付与した。)。

(本件補正前)
「【請求項1】
遊技球が流下可能な遊技領域と、
発射強度を可変可能であり、前記遊技領域へと遊技球を到達させることが可能な発射手段と、を有した遊技機において、
前記遊技領域は、少なくとも、前記発射手段により一の発射強度で発射された遊技球が流下可能な第1遊技領域と、前記一の発射強度とは異なる所定の発射強度で発射された遊技球が流下可能な前記第1遊技領域とは異なる第2遊技領域とを有し、
前記第1遊技領域に、遊技球が入球可能な第1入球手段を設け、
前記第2遊技領域に、遊技球が入球可能な前記第1入球手段とは異なる第2入球手段と、遊技球が入球可能な前記第1入球手段および前記第2入球手段とは異なる第3入球手段と、前記第2入球手段に遊技球が入球し易いように遊技球を誘導する第1状態と、その第1状態よりも前記第2入球手段に遊技球が入球し難い状態にする第2状態とに可変可能な可変手段と、を設け、
前記第2入球手段は、前記発射手段により前記一の発射強度で発射された遊技球が入球し得ない位置に設けられるものであり、
前記可変手段を前記第1状態と前記第2状態とに可変制御する可変制御手段と、
前記第1入球手段または前記第3入球手段に遊技球が入球したことに基づいて第1判定条件が成立した場合に、第1判定を実行する第1判定手段と、
前記第2入球手段に遊技球が入球したことに基づいて第2判定条件が成立した場合に、前記第1判定よりも遊技者に有利となる第2判定を実行する第2判定手段と、
前記第2遊技領域の特定領域を遊技球が通過したことに基づいて、前記可変手段を前記第1状態へと可変させるための第3判定を実行する第3判定手段と、
前記可変手段を前記第1状態へと可変させ易い第1遊技状態と、その第1遊技状態よりも前記可変手段を前記第1状態へと可変させ難い第2遊技状態とを設定可能な遊技状態設定手段と、を有し、
前記遊技状態設定手段は、前記第1判定が実行されることにより成立する第1条件が成立したことに基づいて前記第1遊技状態を設定し、前記第1判定が実行されることにより成立する第2条件が成立したことに基づいて前記第2遊技状態を設定するものであることを特徴とする遊技機。」

(本件補正後)
「【請求項1】
A 遊技球が流下可能な遊技領域と、
B 発射強度を可変可能であり、前記遊技領域へと遊技球を到達させることが可能な発射手段と、を有した遊技機において、
C 前記遊技領域は、少なくとも、前記発射手段により一の発射強度で発射された遊技球が流下可能な第1遊技領域と、前記一の発射強度とは異なる所定の発射強度で発射された遊技球が流下可能な前記第1遊技領域とは異なる第2遊技領域とを有し、
D 前記第1遊技領域に、遊技球が入球可能な第1入球手段を設け、
E 前記第2遊技領域に、遊技球が入球可能な前記第1入球手段とは異なる第2入球手段と、遊技球が入球可能な前記第1入球手段および前記第2入球手段とは異なる第3入球手段と、前記第2入球手段に遊技球が入球し易いように遊技球を誘導する第1状態と、その第1状態よりも前記第2入球手段に遊技球が入球し難い状態にする第2状態とに可変可能な可変手段と、を設け、
F 前記第2入球手段は、前記発射手段により前記一の発射強度で発射された遊技球が入球し得ない位置に設けられるものであり、
G 前記可変手段を前記第1状態と前記第2状態とに可変制御する可変制御手段と、
H 前記第1入球手段または前記第3入球手段に遊技球が入球したことに基づいて第1判定条件が成立した場合に、第1判定を実行する第1判定手段と、
I 前記第2入球手段に遊技球が入球したことに基づいて第2判定条件が成立した場合に、前記第1判定よりも遊技者に有利となる第2判定を実行する第2判定手段と、
J 前記第2遊技領域の特定領域を遊技球が通過したことに基づいて、前記可変手段を前記第1状態へと可変させるための第3判定を実行する第3判定手段と、
K 前記可変手段を前記第1状態へと可変させ易い第1遊技状態と、その第1遊技状態よりも前記可変手段を前記第1状態へと可変させ難い第2遊技状態とを設定可能な遊技状態設定手段と、を有し、
L 前記遊技状態設定手段は、前記第1判定が実行されることにより成立し得る第1条件が成立したことに基づいて前記第1遊技状態を設定し、前記第1判定が実行されることにより成立し得る第2条件が成立したことに基づいて前記第2遊技状態を設定するものであり、
M 前記第2遊技領域は、
少なくとも、前記第2入球手段または前記第3入球手段に遊技球が入球し得る第1流路と、前記特定領域に遊技球が通過し得る第2流路と、から形成され、
前記第1流路を流下する遊技球は前記特定領域を通過することが無く、前記第2流路を流下する遊技球は前記第2入球手段または前記第3入球手段に入球することが無いように構成され、
前記可変手段が前記第1状態である場合のほうが前記第2状態である場合よりも、前記第1流路を流下する遊技球が前記第3入球手段に入球し難くなるように構成されているものであることを特徴とする遊技機。」

2 補正の適否
本件補正は、補正前の請求項1に記載された発明特定事項である「第2入球手段」、「第3入球手段」及び「特定領域」が「設け」られる「第2遊技領域」について、Mの「少なくとも、前記第2入球手段または前記第3入球手段に遊技球が入球し得る第1流路と、前記特定領域に遊技球が通過し得る第2流路と、から形成され、前記第1流路を流下する遊技球は前記特定領域を通過することが無く、前記第2流路を流下する遊技球は前記第2入球手段または前記第3入球手段に入球することが無いように構成され、前記可変手段が前記第1状態である場合のほうが前記第2状態である場合よりも、前記第1流路を流下する遊技球が前記第3入球手段に入球し難くなるように構成されている」ことを追加して限定したものである。
また、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明とは、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
そうすると、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。
そして、本件補正は、明細書の段落【0084】、【0085】、【0089】及び図2の記載に基づいており、新規事項を追加するものではない。

なお、「第1条件」及び「第2条件」について、「第1判定が実行されることにより成立する」という記載を、「第1判定が実行されることにより成立し得る」という記載に変更する補正は、「第1判定が実行されることにより」必ず「第1条件」及び「第2条件」が「成立する」ものではないことは明らかであるから、実質的に技術的範囲を変更するものではない。

そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。

(1)本願補正発明
本願補正発明は、前記1(本件補正後)に記載したとおりのものである。

(2)引用文献に記載された事項
原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先日前に頒布された刊行物である特開2013-102869号公報(以下「引用文献」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。

「【0009】
図1,図2に示すように、本実施形態に係るパチンコ機1は、遊技場の島設備に設置される縦長方形状の機枠2と、この機枠2に開き戸状に開閉自在に取り付けられた本体枠3と、当該本体枠3の内側に装着された遊技盤30と、本体枠3の前面に開き戸状に開閉自在に取り付けられ、遊技盤30を視認させるよう中央に大きくガラス窓4aが設けられたガラス扉4と、本体枠3の下側に開閉自在に設けられ、遊技球を収容する受皿6を有する前面ボード5と、本体枠3の下部に配設された図外(本体枠3の内部)の発射装置と、前面ボード5に取り付けられたハンドル7と、ガラス扉4の左右の上部にそれぞれ設けられたスピーカ8とを備える。」

「【0011】
図2に示すように遊技盤30は、その盤面に遊技球が流下する遊技領域31を備える。遊技領域31は、ガラス窓4aから観察することができる。遊技領域31は、遊技球を滑走させるガイドレール32と遊技球規制レール33によって略円形状となるように区画形成されている。
【0012】
前面ボード5の受皿6に収容された遊技球は、図外の発射装置に1個ずつ供給されるようになっている。図4に示すように、払出制御装置300は、ハンドル7の回動操作量に対応して増減する発射ボリューム(可変抵抗器)7Aからの入力に基づいて所定の強度で遊技球が発射されるように発射モータ7Bを駆動制御するようになっている。発射装置により発射されて図2に示す矢印X方向に飛んで発射口34を通過し、遊技領域31の上部に到達した遊技球は、遊技領域31内を流下することになる。
また、払出制御装置300には、ハンドル7の円周上に設けられた発射停止スイッチ7Cやハンドル7に配設され、ハンドル7の回転操作が有効となる条件とするハンドル7の表面接触検出を行うためのタッチセンサ7Dが接続されている。
【0013】
遊技領域31内には、演出表示装置50と、ステージ51と、第1特別図柄表示装置40Aと、第2特別図柄表示装置40B、普通図柄表示装置41と、複数の第1始動入賞口(始動口)61A;61Bと、第2始動入賞口(始動口)62と、電動チューリップ63と、大入賞口64と、アタッカ装置65と、スルーチャッカ66と、複数の一般入賞口67と、アウト口68と、遊技領域31内の遊技球の流下方向に変化を与える(図2中では簡略化してある)図外の複数の遊技釘及び風車とが設けられている。
第1始動入賞口61Aは、遊技領域31の略中央部におけるステージ51の下方に位置する。第1始動入賞口61Bは、遊技領域31の右側部における第2始動入賞口62の下方に位置する。第1始動入賞口61Aと第1始動入賞口61Bとは、互いに抽選処理条件が同じとなって対となる入賞口であり、例えば遊技者の操作により遊技球が遊技領域31の左側部を流下する場合、第1始動入賞口61Aに入賞し易く、遊技領域31の右側部を流下する場合、第1始動入賞口61Bに入賞し易い盤面構成とされる。」

「【0017】
スルーチャッカ66は、遊技球が通過可能なゲート構造をなしたものであり、本実施形態においては、遊技盤30の右側部における第2始動入賞口62よりも上方に配置されている。」

「【0018】
電動チューリップ63は、第2始動入賞口62の入口に設けられ、遊技盤30の前面に直交する軸を中心に回動する1対の羽根部材と、これら1対の羽根部材を駆動する電動チューリップ駆動装置(ソレノイド)63Aとを備え、そのソレノイド63Aへの通電により1対の羽根部材が互いに離れる方向に回動し、第2始動入賞口62の入口を拡大するものである。電動チューリップ63は1対の羽根部材を閉じた状態において、第2始動入賞口62の上方に稙設された遊技釘との間隔が遊技球が通過不可能なものであるため、1対の羽根部材が閉じた状態では第2始動入賞口62への遊技球の入賞は不可能である。電動チューリップ63は、普通図柄に係る電子抽選の結果が普図当りとなった場合に、1対の羽根部材が開くよう主制御装置100により制御される。」

「【0024】
第1特別図柄用当否抽選手段110は、第1始動入賞口61A又は、第1始動入賞口61Bへの遊技球の入賞を契機に、特図当り(第1特図当り)又はハズレを電子抽選(第1特別図柄抽選)により決定するものである。」

「【0029】
図7(a)に示すように第1特図当り種類テーブル117Aは、第1特別図柄用当否抽選手段110にて特図当り(第1特図当り)となる場合、第1特図当り種類決定用乱数と特別図柄の種類との対応関係を規定するものである。本実施形態で用いられる特別図柄の種類は、2R特別図柄A、5R特別図柄A、5R特別図柄B、15R特別図柄Aの4種類であり、第1特図当り種類決定用乱数0?6に2R特別図柄Aが予め対応付けられていて、第1特図当り種類決定用乱数7?39に5R特別図柄Aが予め対応付けられていて、第1特図当り種類決定用乱数40?89に5R特別図柄Bが予め対応付けられていて、第1特図当り種類決定用乱数90?99に15R特別図柄Aが予め対応付けられている。
【0030】
この第1特図当り種類テーブル117Aが参照され、第1特別図柄の種類が2R特別図柄Aに決定された場合、第1特別図柄表示装置40A上において導出される第1特別図柄は、例えば「4」のゾロ目として表示される。第1特別図柄の種類が5R特別図柄Aに決定された場合、第1特別図柄表示装置40A上において導出される第1特別図柄は、例えば「2」のゾロ目として表示される。また、第1特別図柄の種類が5R特別図柄Bに決定された場合、第1特別図柄表示装置40A上において導出される第1特別図柄は、例えば「5」のゾロ目として表示される。また、第1特別図柄の種類が15R特別図柄Aに決定された場合、第1特別図柄表示装置40A上において導出される第1特別図柄は、例えば「7」のゾロ目として表示される。2R特別図柄A、5R特別図柄A、5R特別図柄B、15R特別図柄Aのそれぞれの選択確率は、7%、33%、50%、10%である。
なお、選択確率は参考のために記載したものであって、第1特図当り種類テーブル117Aには含まれない。
【0031】
以上のとおり、第1特別図柄用当否抽選手段110は、第1始動入賞口61A;61Bに遊技球が入賞したことを契機に当否に係る第1特別図柄抽選を行うとともに、複数種類の第1特別図柄の中から当否に係る特別図柄を決定する機能を備える。」

「【0032】
次に、前記第1特別図柄当否抽選手段110とは個別に設けられた第2特別図柄当否抽選手段120について説明する。
第2特別図柄用当否抽選手段120は、第2始動入賞口62への遊技球の入賞を契機に、特図当り(第2特図当り)又はハズレを電子抽選(第2特別図柄抽選)により決定するものである。」

「【0037】
図7(b)に示すように第2特図当り種類テーブル127Aは、第2特別図柄用当否抽選手段120にて特図当り(第2特図当り)となる場合、第2特図当り種類決定用乱数と特別図柄の種類との対応関係を規定するものである。本実施形態で用いられる特別図柄の種類は、5R特別図柄A、15R特別図柄Aの2種類であり、第2特図当り種類決定用乱数0?19に5R特別図柄Aが予め対応付けられていて、第2特図当り種類決定用乱数20?99に15R特別図柄Aが予め対応付けられている。5R特別図柄A、15R特別図柄Aのそれぞれの選択確率は、20%、80%である。この第2特図当り種類テーブル127Aが参照され、第2特別図柄の種類が5R特別図柄Aに決定された場合、第2特別図柄表示装置40B上において導出される第2特別図柄は、例えば「2」のゾロ目として表示される。また、第2特別図柄の種類が15R特別図柄Aに決定された場合、第2特別図柄表示装置40B上において導出される第2特別図柄は、例えば「7」のゾロ目として表示される。
また、第1特図当り種類テーブル117A及び第2特図当り種類テーブル127Aを比較した場合、第2特図当り種類テーブル127Aには、2R特別図柄A及び5R特別図柄Bが存在せず、さらに15R特別図柄Aが選択される割合が全体の80%となっているため、第1特別図柄抽選によって第1特別図柄の種類が15R特別図柄Aに決定される確率よりも第2特別図柄抽選によって第2特別図柄の種類が15R特別図柄Aに決定される確率の方が飛躍的に高く設定されている。
よって、遊技者から見れば第1特別図柄抽選手段110による第1特別図柄抽選よりも、第2特別図柄抽選手段120による第2特別図柄抽選をより多く享受した方が、特図当りである場合に特図当りの種類が15R特別図柄Aに決定される確率が高いため、より有利に遊技を進めることが可能となる。なお、遊技性の詳細については後に詳述する。」

「【0041】
図4に示す普通図柄用当否抽選手段150は、スルーチャッカ66を遊技球が通過したことを契機に、普図当り又はハズレを電子抽選(普図抽選)により決定するものである。」

「【0042】
普図低確時判定テーブル153A及び普図高確時判定テーブル153Bは、普図当否用乱数と普図当りおよびハズレとの対応関係を規定するものであり、具体的な内容の図示は省略するが、普図高確時判定テーブル153Bによる普図当りの当選確率は例えば1/1.1に設定されていて、普図低確時判定テーブル153Aによる普図当りの当選確率は1/120に設定されている。つまり、普図高確時判定テーブル153Bの方が、普図低確時判定テーブル153Aに比べて格段に普図当りに当選する確率が高くなるように設定されているとともに、殆どの場合に普図当りに当選するようになっている。」

「【0044】
図4に示す電動チューリップ制御手段170は、普通図柄用当否抽選手段150による電子抽選(普図抽選)で普図当りに当選した場合に、電動チューリップ63のソレノイド63Aへの通電を行い、電動チューリップ63の1対の羽根部材を開閉させるものである。この電動チューリップ制御手段170は、普図高確中において1回の普図当りに対し電動チューリップ63を例えば開放時間2.9秒で2回開放させ、普図低確中において1回の普図当りに対し電動チューリップ63を開放時間0.2秒で1回開放させるようになっている。普図高確中においては、前述のように、普通図柄用当否抽選手段150による電子抽選で殆ど普図当りに当選し、その当選に基づき電動チューリップ63が2.9秒2回開放されるため、遊技者が遊技盤30の右側部に遊技球を打ち出せば、第2始動入賞口62に遊技球を容易に入賞させることができ、この結果、普図高確中は、第2始動入賞口62の入賞に基づいて払い出される賞球によって、遊技球を遊技領域31に発射しても殆ど発射するための遊技球を減らすことなく遊技を行うことができる。つまり、普図高確は、スルーチャッカ66へ遊技球を通過させることができれば電動チューリップ63の開放が行われ易く、遊技者にとっては第2始動入賞口62への遊技球の入賞が容易化(サポート)される状態(所謂、電サポ状態)である。」

「【0045】
図4に示す遊技モード制御手段180は、複数存在する遊技モードを制御するものである。本実施形態において遊技モードの種類は、例えば通常モード、チャンスモード、大チャンスモード、特大チャンスモードの4種類のモードに区分される。
【0046】
通常モードは、遊技状態が特図低確と普図低確の組み合わせに設定される遊技モードである。
チャンスモードは、特図当りの種類が5R特別図柄Aである場合に移行するモードであって、特図低確と普図高確の組み合わせに設定されるモードである。また、本モードにおける普図高確に係る遊技回数の上限は、第1特別図柄抽選及び第2特別図柄抽選に係る遊技回数(連続的なハズレの抽選結果)の合算が30回に達するまでに設定される。
大チャンスモードは、特図当りの種類が5R特別図柄Bである場合に移行するモードであって、特図高確と普図高確の組み合わせに設定されるモードである。また、本モードにおける特図高確に係る遊技回数の上限は、第1特別図柄抽選及び第2特別図柄抽選に係る遊技回数(連続的なハズレの抽選結果)の合算が30回に達するまでに設定される。また、普図高確に係る遊技回数の上限についても同様に、第1特別図柄抽選及び第2特別図柄抽選に係る遊技回数(連続的なハズレの抽選結果)の合算が30回に達するまでに設定される。
即ち、特図高確における特図当りとなる確率は、約35分の1となるため、30回分の特図当否抽選を行えば、特図当りの発生となる可能性は高くなる。なお、5R特別図柄A及び5R特別図柄Bに基づく30回分の遊技上の演出状態を同一として、何れのチャンスモードかを遊技者に予測させるゲーム性を付与してもよい。
特大チャンスモードは、特図当りの種類が15R特別図柄Aである場合に移行するモードであって、特図高確と普図高確の組み合わせに設定されるモードである。また、本モードにおける特図高確に係る遊技回数の上限は、第1特別図柄抽選及び第2特別図柄抽選に係る遊技回数(連続的なハズレの抽選結果)の合算が99回に達するまでに設定される。また、普図高確に係る遊技回数の上限についても同様に、第1特別図柄抽選及び第2特別図柄抽選に係る遊技回数(連続的なハズレの抽選結果)の合算が99回に達するまでに設定される。」

上記記載事項を総合すれば、引用文献には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる(a?lについては本願補正発明のA?Lに対応させて付与した。)。

「a 遊技球が流下する遊技領域31と(【0011】)、
b ハンドル7の回動操作量に対応して増減する発射ボリューム7Aからの入力に基づいて所定の強度で遊技球が発射され、遊技領域31に遊技球を到達させる発射装置と、を有したパチンコ機1において(【0009】、【0012】)、
c 前記遊技領域31は、遊技者の操作により遊技球が流下する左側部と右側部とを有し(【0013】)、
d 遊技者の操作により遊技球が遊技領域31の左側部を流下する場合に入賞し易い第1始動入賞口61Aを設け(【0013】)、
e 遊技領域31の右側部に位置する第2始動入賞口62と、その下方に位置し遊技者の操作により遊技球が遊技領域31の右側部を流下する場合に入賞し易い第1始動入賞口61Bと(【0013】)、1対の羽根部材が互いに離れる方向に回動して第2始動入賞口62の入口を拡大する状態と、1対の羽根部材を閉じて第2始動入賞口62への遊技球の入賞が不可能な状態とに駆動される電動チューリップ63と(【0018】)、を設け、
g 電動チューリップ63の1対の羽根部材を開閉させる電動チューリップ制御手段170と(【0044】)、
h 前記第1始動入賞口61A又は、前記第1始動入賞口61Bへの遊技球の入賞を契機に、特図当り(第1特図当り)又はハズレを電子抽選(第1特別図柄抽選)により決定する第1特別図柄用当否抽選手段110と(【0024】)、
i 前記第2始動入賞口62への遊技球の入賞を契機に、第1特別図柄抽選の特図当りより有利であって、15R特別図柄Aに決定される確率が高い特図当り(第2特図当り)又はハズレを電子抽選(第2特別図柄抽選)により決定する第2特別図柄用当否抽選手段120と(【0032】、【0037】)、
j 前記遊技領域31の右側部における第2始動入賞口62よりも上方に配置されるスルーチャッカ66(【0013】、【0017】)を遊技球が通過したことを契機に、前記電動チューリップ63の1対の羽根部材が開く普図当り又はハズレを電子抽選(普図抽選)により決定する普通図柄用当否抽選手段150(【0018】、【0041】)と、
k 前記電動チューリップ63の1対の羽根部材が開く普図当りの当選確率が1/1.1の普図高確に設定されるチャンスモード、大チャンスモード及び特大チャンスモードと、前記電動チューリップ63の1対の羽根部材が開く普図当りの当選確率が1/120の普図低確に設定される通常モードの4種類のモードに区分される遊技モードを制御する遊技モード制御手段180と(【0018】、【0042】、【0045】、【0046】)、を有し、
l 前記遊技モード制御手段180は、第1特別図柄抽選の特図当りの種類が5R特別図柄Aである場合に移行するチャンスモード、5R特別図柄Bである場合に移行する大チャンスモードまたは15R特別図柄Aである場合に移行する特大チャンスモードのときに普図高確を設定し(【0029】?【0031】、【0045】、【0046】)、普図高確に係る遊技回数の上限は第1特別図柄抽選及び第2特別図柄抽選に係る遊技回数(連続的なハズレの抽選結果)の合算が99回に達するまでに設定する(【0046】)パチンコ機1。」

(3)対比・判断
本願補正発明と引用発明とを対比する。なお、見出し(a)?(m)は、本願補正発明のA?Mに対応させている。

(a)引用発明の「a 遊技球が流下する遊技領域31」は、本願補正発明の「A 遊技球が流下可能な遊技領域」に相当する。

(b)引用発明の「b ハンドル7の回動操作量に対応して増減する発射ボリューム7Aからの入力に基づいて所定の強度で遊技球が発射され、遊技領域31に遊技球を到達させる発射装置と、を有したパチンコ機1」は、本願補正発明の「B 発射強度を可変可能であり、前記遊技領域へと遊技球を到達させることが可能な発射手段と、を有した遊技機」に相当する。

(c)引用発明の「遊技領域31」の「左側部」及び「右側部」は、それぞれ、本願補正発明の「第1遊技領域」及び「第2遊技領域」に相当する。
そして、引用発明において、bの「ハンドル7の」異なる「回動操作量に対応して増減する発射ボリューム7Aからの入力に基づいて」、「発射装置」により異なる「所定の発射強度で発射され、遊技領域31に」「到達」した「遊技球」が、cの「遊技領域31」の「左側部と右側部と」に振り分けられることは明らかであるから、「遊技領域31」は、少なくとも、「発射装置」により一の発射強度で発射された遊技球が流下可能な「左側部」と、前記一の発射強度とは異なる所定の発射強度で発射された遊技球が流下可能な「左側部」とは異なる「右側部」とを有するといえる。
したがって、引用発明の「b ハンドル7の回動操作量に対応して増減する発射ボリューム7Aからの入力に基づいて所定の強度で遊技球が発射され、遊技領域31に遊技球を到達させる発射装置と、を有したパチンコ機1」が、「c 前記遊技領域31は、遊技者の操作により遊技球が流下する左側部と右側部とを有」することは、本願補正発明の「C 前記遊技領域は、少なくとも、前記発射手段により一の発射強度で発射された遊技球が流下可能な第1遊技領域と、前記一の発射強度とは異なる所定の発射強度で発射された遊技球が流下可能な前記第1遊技領域とは異なる第2遊技領域とを有」することに相当する。

(d)引用発明の「第1始動入賞口61A」は、本願補正発明の「第1入球手段」に相当する。
したがって、引用発明の「d 遊技者の操作により遊技球が遊技領域31の左側部を流下する場合に入賞し易い第1始動入賞口61Aを設け」ることは、本願補正発明の「D 前記第1遊技領域に、遊技球が入球可能な第1入球手段を設け」ることに相当する。

(e)引用発明の「第2始動入賞口62」及び「第1始動入賞口61B」は、それぞれ、本願補正発明の「第2入球手段」及び「第3入球手段」に相当する。
そして、引用発明において、dの「第1始動入賞口61A」、eの「第2始動入賞口62」及び「第1始動入賞口61B」は、それぞれ異なる入賞口であることは明らかであるから、引用発明の「e 遊技領域31の右側部に位置する第2始動入賞口62と、その下方に位置し遊技者の操作により遊技球が遊技領域31の右側部を流下する場合に入賞し易い第1始動入賞口61Bと」「を設け」ることは、本願補正発明の「E 前記第2遊技領域に、遊技球が入球可能な前記第1入球手段とは異なる第2入球手段と、遊技球が入球可能な前記第1入球手段および前記第2入球手段とは異なる第3入球手段と」「を設け」ることに相当する。
また、引用発明のeの「1対の羽根部材が互いに離れる方向に回動して」「遊技領域31の右側部に位置する」「第2始動入賞口62の入口を拡大する状態と、1対の羽根部材を閉じて」「遊技領域31の右側部に位置する」「第2始動入賞口62への遊技球の入賞が不可能な状態とに駆動される電動チューリップ63と、を設け」ることは、本願補正発明のEの「前記第2遊技領域に」「前記第2入球手段に遊技球が入球し易いように遊技球を誘導する第1状態と、その第1状態よりも前記第2入球手段に遊技球が入球し難い状態にする第2状態とに可変可能な可変手段と、を設け」ることに相当する。
したがって、上記を勘案すれば、引用発明のeの構成は、本願補正発明の「E 前記第2遊技領域に、遊技球が入球可能な前記第1入球手段とは異なる第2入球手段と、遊技球が入球可能な前記第1入球手段および前記第2入球手段とは異なる第3入球手段と、前記第2入球手段に遊技球が入球し易いように遊技球を誘導する第1状態と、その第1状態よりも前記第2入球手段に遊技球が入球し難い状態にする第2状態とに可変可能な可変手段と、を設け」る構成に相当する。

(f)引用発明において、eの「第2始動入賞口62」は「遊技領域31の右側部に位置する」のであるから、「b ハンドル7の回動操作量に対応して増減する発射ボリューム7Aからの入力に基づいて所定の強度で遊技球が発射され」る「発射装置」により、cの「遊技領域31」の「左側部」に振り分けられる一の発射強度で発射された遊技球が入球し得ない位置に設けられていることは明らかである。
したがって、引用発明は、本願補正発明の「F 前記第2入球手段は、前記発射手段により前記一の発射強度で発射された遊技球が入球し得ない位置に設けられる」構成に相当する特定事項を有するといえる。

(g)引用発明において、gの「1対の羽根部材」の「開」く状態と「閉」じる状態は、それぞれ、eの「1対の羽根部材が互いに離れる方向に回動して第2始動入賞口62の入口を拡大する状態」と「1対の羽根部材を閉じて第2始動入賞口62への遊技球の入賞が不可能な状態」に対応することは明らかである。
したがって、引用発明の「g 電動チューリップ63の1対の羽根部材を開閉させる電動チューリップ制御手段170」は、本願補正発明の「G 前記可変手段を前記第1状態と前記第2状態とに可変制御する可変制御手段」に相当する。

(h)引用発明のhの「第1特別図柄抽選」は、本願補正発明の「第1判定」に相当する。
したがって、引用発明の「h 前記第1始動入賞口61A又は、前記第1始動入賞口61Bへの遊技球の入賞を契機に、特図当り(第1特図当り)又はハズレを電子抽選(第1特別図柄抽選)により決定する第1特別図柄用当否抽選手段110」は、本願補正発明の「H 前記第1入球手段または前記第3入球手段に遊技球が入球したことに基づいて第1判定条件が成立した場合に、第1判定を実行する第1判定手段」に相当する。

(i)引用発明のiの「第2特別図柄抽選」は、本願補正発明の「第2判定」に相当する。
したがって、引用発明の「i 前記第2始動入賞口62への遊技球の入賞を契機に、第1特別図柄抽選の特図当りより有利であって、15R特別図柄Aに決定される確率が高い特図当り(第2特図当り)又はハズレを電子抽選(第2特別図柄抽選)により決定する第2特別図柄用当否抽選手段120」は、本願補正発明の「I 前記第2入球手段に遊技球が入球したことに基づいて第2判定条件が成立した場合に、前記第1判定よりも遊技者に有利となる第2判定を実行する第2判定手段」に相当する。

(j)引用発明において、jの「前記遊技領域31の右側部における第2始動入賞口62よりも上方に配置されるスルーチャッカ66」が、「前記遊技領域31」の「右側部」に「配置」されることは明らかである。
したがって、引用発明の「j 遊技領域31の右側部における第2始動入賞口62よりも上方に配置されるスルーチャッカ66を遊技球が通過したことを契機に、前記電動チューリップ63の1対の羽根部材が開く普図当り又はハズレを電子抽選(普図抽選)により決定する普通図柄用当否抽選手段150」は、本願補正発明の「J 前記第2遊技領域の特定領域を遊技球が通過したことに基づいて、前記可変手段を前記第1状態へと可変させるための第3判定を実行する第3判定手段」に相当する。

(k)引用発明のkの「前記電動チューリップ63の1対の羽根部材が開く普図当りの当選確率が1/1.1の普図高確に設定されるチャンスモード、大チャンスモード及び特大チャンスモード」及び「前記電動チューリップ63の1対の羽根部材が開く普図当りの当選確率が1/120の普図低確に設定される通常モード」は、それぞれ、本願補正発明のKの「前記可変手段を前記第1状態へと可変させ易い第1遊技状態」及び「その第1遊技状態よりも前記可変手段を前記第1状態へと可変させ難い第2遊技状態」に相当する。
したがって、引用発明の「k 前記電動チューリップ63の1対の羽根部材が開く普図当りの当選確率が1/1.1の普図高確に設定されるチャンスモード、大チャンスモード及び特大チャンスモードと、前記電動チューリップ63の1対の羽根部材が開く普図当りの当選確率が1/120の普図低確に設定される通常モードの4種類のモードに区分される遊技モードを制御する遊技モード制御手段180」は、本願補正発明の「K 前記可変手段を前記第1状態へと可変させ易い第1遊技状態と、その第1遊技状態よりも前記可変手段を前記第1状態へと可変させ難い第2遊技状態とを設定可能な遊技状態設定手段」に相当する。

(l)引用発明のlの「前記第1特別図柄抽選の特図当りの種類が5R特別図柄Aである場合に移行するチャンスモード、5R特別図柄Bである場合に移行する大チャンスモードまたは15R特別図柄Aである場合に移行する特大チャンスモードのときに普図高確を設定」することは、本願補正発明のLの「前記第1判定が実行されることにより成立し得る第1条件が成立したことに基づいて前記第1遊技状態を設定する」ことに相当する。
また、引用発明のlの「前記第1特別図柄抽選の特図当りの種類が5R特別図柄Aである場合に移行するチャンスモード、5R特別図柄Bである場合に移行する大チャンスモードまたは15R特別図柄Aである場合に移行する特大チャンスモードのときに」「設定」される「普図高確に係る遊技回数の上限は第1特別図柄抽選及び第2特別図柄抽選に係る遊技回数(連続的なハズレの抽選結果)の合算が99回に達するまでに設定する」ことは、第1特別図柄抽選及び第2特別図柄抽選に係る遊技回数(連続的なハズレの抽選結果)の合算が99回に達した後はkの「普図低確に設定される通常モード」に移行することは明らかであるから、本願補正発明のLの「前記第1判定が実行されることにより成立し得る第2条件が成立したことに基づいて前記第2遊技状態を設定する」ことに相当する。
したがって、引用発明の「l 前記遊技モード制御手段180は、前記第1特別図柄抽選の特図当りの種類が5R特別図柄Aである場合に移行するチャンスモード、5R特別図柄Bである場合に移行する大チャンスモードまたは15R特別図柄Aである場合に移行する特大チャンスモードのときに普図高確を設定し、普図高確に係る遊技回数の上限は第1特別図柄抽選及び第2特別図柄抽選に係る遊技回数(連続的なハズレの抽選結果)の合算が99回に達するまでに設定する」ことは、本願補正発明の「L 前記遊技状態設定手段は、前記第1判定が実行されることにより成立し得る第1条件が成立したことに基づいて前記第1遊技状態を設定し、前記第1判定が実行されることにより成立し得る第2条件が成立したことに基づいて前記第2遊技状態を設定する」ことに相当する。

(m)引用発明は、「e 遊技領域31の右側部に位置する第2始動入賞口62と、その下方に位置し遊技者の操作により遊技球が遊技領域31の右側部を流下する場合に入賞し易い第1始動入賞口61Bと、1対の羽根部材が互いに離れる方向に回動して第2始動入賞口62の入口を拡大する状態と、1対の羽根部材を閉じて第2始動入賞口62への遊技球の入賞が不可能な状態とに駆動される電動チューリップ63と、を設け」るものであるから、遊技領域31の右側部は、1対の羽根部材が互いに離れる方向に回動することにより入口が拡大されるときの第2始動入賞口62またはその下方に位置する第1始動入賞口61Bに入賞し得る第1流路が形成されているといえる。
また、上記(j)で検討したように、引用発明jの「前記遊技領域31の右側部における第2始動入賞口62よりも上方に配置されるスルーチャッカ66」が、「前記遊技領域31」の「右側部」に「配置」されるものであるから、遊技領域31の右側部は、スルーチャッカ66に遊技球が通過し得る第2流路が形成されているといえる。
したがって、引用発明は、本願補正発明の「M 前記第2遊技領域は、少なくとも、前記第2入球手段または前記第3入球手段に遊技球が入球し得る第1流路と、前記特定領域に遊技球が通過し得る第2流路と、から形成され」ている構成に相当する特定事項を有するといえる。

さらに、引用発明は、「e 遊技領域31の右側部に位置する第2始動入賞口62と、その下方に位置し遊技者の操作により遊技球が遊技領域31の右側部を流下する場合に入賞し易い第1始動入賞口61Bと、1対の羽根部材が互いに離れる方向に回動して第2始動入賞口62の入口を拡大する状態と、1対の羽根部材を閉じて第2始動入賞口62への遊技球の入賞が不可能な状態とに駆動される電動チューリップ63と、を設け」るものであって、電動チューリップ63が、1対の羽根部材が互いに離れる方向に回動して第2始動入賞口62の入口を拡大する状態である場合のほうが、1対の羽根部材を閉じて第2始動入賞口62への遊技球の入賞が不可能な状態である場合よりも、第1流路を流下する遊技球が第2始動入賞口62に入り遊技領域31の裏側に回収され易くなることで第1始動入賞口61Bに入球し難くなるのは明らかである。
したがって、引用発明は、本願補正発明のMの「前記可変手段が前記第1状態である場合のほうが前記第2状態である場合よりも、前記第1流路を流下する遊技球が前記第3入球手段に入球し難くなるように構成されている」構成に相当する特定事項を有するといえる。

ゆえに、「e 遊技領域31の右側部に位置する第2始動入賞口62と、その下方に位置し遊技者の操作により遊技球が遊技領域31の右側部を流下する場合に入賞し易い第1始動入賞口61Bと、1対の羽根部材が互いに離れる方向に回動して第2始動入賞口62の入口を拡大する状態と、1対の羽根部材を閉じて第2始動入賞口62への遊技球の入賞が不可能な状態とに駆動される電動チューリップ63と、を設け」、jの「前記遊技領域31の右側部における第2始動入賞口62よりも上方に配置されるスルーチャッカ66」を備える引用発明と、本願補正発明の「M 前記第2遊技領域は、少なくとも、前記第2入球手段または前記第3入球手段に遊技球が入球し得る第1流路と、前記特定領域に遊技球が通過し得る第2流路と、から形成され、前記第1流路を流下する遊技球は前記特定領域を通過することが無く、前記第2流路を流下する遊技球は前記第2入球手段または前記第3入球手段に入球することが無いように構成され、前記可変手段が前記第1状態である場合のほうが前記第2状態である場合よりも、前記第1流路を流下する遊技球が前記第3入球手段に入球し難くなるように構成されている」とは、「M’前記第2遊技領域は、少なくとも、前記第2入球手段または前記第3入球手段に遊技球が入球し得る第1流路と、前記特定領域に遊技球が通過し得る第2流路と、から形成され、、前記可変手段が前記第1状態である場合のほうが前記第2状態である場合よりも、前記第1流路を流下する遊技球が前記第3入球手段に入球し難くなるように構成されている」の点で共通する。

そうすると、両者は、
「A 遊技球が流下可能な遊技領域と、
B 発射強度を可変可能であり、前記遊技領域へと遊技球を到達させることが可能な発射手段と、を有した遊技機において、
C 前記遊技領域は、少なくとも、前記発射手段により一の発射強度で発射された遊技球が流下可能な第1遊技領域と、前記一の発射強度とは異なる所定の発射強度で発射された遊技球が流下可能な前記第1遊技領域とは異なる第2遊技領域とを有し、
D 前記第1遊技領域に、遊技球が入球可能な第1入球手段を設け、
E 前記第2遊技領域に、遊技球が入球可能な前記第1入球手段とは異なる第2入球手段と、遊技球が入球可能な前記第1入球手段および前記第2入球手段とは異なる第3入球手段と、前記第2入球手段に遊技球が入球し易いように遊技球を誘導する第1状態と、その第1状態よりも前記第2入球手段に遊技球が入球し難い状態にする第2状態とに可変可能な可変手段と、を設け、
F 前記第2入球手段は、前記発射手段により前記一の発射強度で発射された遊技球が入球し得ない位置に設けられるものであり、
G 前記可変手段を前記第1状態と前記第2状態とに可変制御する可変制御手段と、
H 前記第1入球手段または前記第3入球手段に遊技球が入球したことに基づいて第1判定条件が成立した場合に、第1判定を実行する第1判定手段と、
I 前記第2入球手段に遊技球が入球したことに基づいて第2判定条件が成立した場合に、前記第1判定よりも遊技者に有利となる第2判定を実行する第2判定手段と、
J 前記第2遊技領域の特定領域を遊技球が通過したことに基づいて、前記可変手段を前記第1状態へと可変させるための第3判定を実行する第3判定手段と、
K 前記可変手段を前記第1状態へと可変させ易い第1遊技状態と、その第1遊技状態よりも前記可変手段を前記第1状態へと可変させ難い第2遊技状態とを設定可能な遊技状態設定手段と、を有し、
L 前記遊技状態設定手段は、前記第1判定が実行されることにより成立し得る第1条件が成立したことに基づいて前記第1遊技状態を設定し、前記第1判定が実行されることにより成立し得る第2条件が成立したことに基づいて前記第2遊技状態を設定するものであり、
M’前記第2遊技領域は、少なくとも、前記第2入球手段または前記第3入球手段に遊技球が入球し得る第1流路と、前記特定領域に遊技球が通過し得る第2流路と、から形成され、、前記可変手段が前記第1状態である場合のほうが前記第2状態である場合よりも、前記第1流路を流下する遊技球が前記第3入球手段に入球し難くなるように構成されている遊技機。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点)
本願補正発明は「前記第1流路を流下する遊技球は前記特定領域を通過することが無く、前記第2流路を流下する遊技球は前記第2入球手段または前記第3入球手段に入球することが無いように構成されている」のに対し、引用発明はそのようなものではない点。

(相違点について)
特図始動入賞口の入口に備えた可変手段を開放するための当否抽選の契機となる普図始動入賞口を、通過した遊技球を再度遊技領域に流出させるスルーチャッカで構成するか、通過した遊技球を遊技領域外(裏側)に排出して再度遊技領域に流出させない収容口として構成するかは、例えば、特許第5376081号公報の段落【0135】に「入球した遊技球を再度遊技盤面に流出させる所謂ゲートタイプの入球口である普通図柄作動ゲート32を例示したが、これに限られず、入球した遊技球を再度遊技盤面に流出させない(遊技機外に排出する)タイプの入球口としてもよい。」と記載されているように、遊技の興趣や普図始動入賞口の下方の入賞手段の入賞率等を勘案しながら、当業者が適宜選択し得る設計的事項といえ、引用発明の普図抽選の契機となるスルーチャッカ66に代えて、通過した遊技球を遊技領域外(裏側)に排出して再度遊技領域に流出させない普図始動収容口とすることに格別の困難性はない。
そして、引用発明の普図抽選の契機となるスルーチャッカ66に代えて、通過した遊技球を遊技領域外(裏側)に排出して再度遊技領域に流出させない普図始動収容口に設計変更した場合に、1対の羽根部材が互いに離れる方向に回動することにより入口が拡大されるときの第2始動入賞口62またはその下方に位置する第1始動入賞口61Bに入賞し得る第1流路を遊技球が流下するためには、当該第1流路は第2始動入賞口62及び第1始動入賞口61Bの上方の普図始動収容口を通過することが無い第1流路でなければならないことは明らかであり、また、普図始動収容口を通過し得る第2流路を通過する遊技球はその下方に位置する第2始動入賞口62及び第1始動入賞口61Bに入球することが無いことも明らかであって、これらは、相違点に係る本願補正発明の構成に相当する。
したがって、本願補正発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(4)請求人の主張について
請求人は、審判請求書において、本願補正発明は、第2遊技領域に、第2入球手段または第3入球手段に遊技球が入球し得る第1流路と、特定領域に遊技球が通過し得る第2流路を形成し、第2流路を流下する遊技球が第2入球手段または第3入球手段に入球することが無いように構成し、そして、可変手段を第1状態(開放状態)へと可変させることで、第1流路を流下する遊技球が第3入球手段に入球し難くするように構成することで、第3入球手段への遊技球の入球を抑制しながら、第2入球手段に遊技球を入球させる遊技を実行することができ、遊技者に第1遊技状態中の遊技を好適に提供することができるという格別の効果を奏するものであるのに対して、引用文献1には、第2遊技領域を流下する遊技球が、第2入球手段または第3入球手段に入球し得る構成が記載されているが、本願補正発明の、第1流路と、第2流路との構成、及び、第2流路を流下する遊技球が第2入球手段または第3入球手段に入球することが無い構成が記載されておらず、第2遊技領域を流下する全ての遊技球が、第2入球手段(第2始動入賞口62)、第3入球手段(第1始動入賞口61B)の何れにも入球し得るように構成されており、従って、引用文献1では、第2入球手段に遊技球を入球させ易い第1遊技状態が設定されている場合であっても、第3入球手段へ遊技球が入球してしまうことを抑制することができず、第2入球手段への入球を契機に実行される第2判定よりも不利な第3入球手段への遊技球の入球に基づく第1判定が多く実行されてしまうという問題が生じてしまう虞があり、即ち、引用文献1では本願補正発明の構成を有していないため、第3入球手段への遊技球の入球を抑制しながら、第2入球手段に遊技球を入球させる遊技を実行することができ、遊技者に第1遊技状態中の遊技を好適に提供することができるという格別の効果を奏することができる旨主張する。
しかしながら、上記(3)の(m)で検討したように、引用発明の遊技領域31の右側部は、1対の羽根部材が互いに離れる方向に回動することにより入口が拡大されるときの第2始動入賞口62またはその下方に位置する第1始動入賞口61Bに入賞し得る第1流路と、スルーチャッカ66に遊技球が通過し得る第2流路とを備えている。
そして、上記(3)の(相違点について)で検討したように、引用発明の普図抽選の契機となるスルーチャッカ66に代えて、通過した遊技球を遊技領域外(裏側)に排出して再度遊技領域に流出させない普図始動収容口に設計変更した場合に、1対の羽根部材が互いに離れる方向に回動することにより入口が拡大されるときの第2始動入賞口62またはその下方に位置する第1始動入賞口61Bに入賞し得る第1流路を遊技球が流下するためには、第2始動入賞口62及び第1始動入賞口61Bの上方の普図始動収容口を通過することが無い第1流路でなければならないことは明らかであり、また、普図始動収容口を通過し得る第2流路を通過する遊技球はその下方に位置する第2始動入賞口62及び第1始動入賞口61Bに入球することが無いことも明らかである。
さらに、上記(3)の(m)で検討したように、電動チューリップ63が、1対の羽根部材が互いに離れる方向に回動して第2始動入賞口62の入口を拡大する状態である場合のほうが、1対の羽根部材を閉じて第2始動入賞口62への遊技球の入賞が不可能な状態である場合よりも、第1流路を流下する遊技球が第2始動入賞口62に入り遊技領域31の裏側に回収され易くなることで第1始動入賞口61Bに入球し難くなるのは明らかであり、従って、引用発明も、第2入球手段たる第2始動入賞口62に遊技球を入球させ易い第1遊技状態たる普図高確が設定されている場合に、第3入球手段たる第1始動入賞口61Bへ遊技球が入球してしまうことを抑制することができ、第2入球手段たる第2始動入賞口62への入球を契機に実行される第2判定たる第2特別図柄抽選よりも不利な第3入球手段たる第1始動入賞口61Bへの遊技球の入球に基づく第1判定たる第1特別図柄抽選が多く実行されてしまうという問題は生じず、即ち、引用発明でも、第3入球手段たる第1始動入賞口61Bへの遊技球の入球を抑制しながら、第2入球手段たる第2始動入賞口62に遊技球を入球させる遊技を実行することができ、遊技者に第1遊技状態中たる普図高確中の遊技を好適に提供することができるといえる。
よって、請求人の主張は採用できない。

(5)本件補正についてのむすび
以上より、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成28年5月2日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記第2[理由]1の(本件補正前)に記載のとおりのものである。

2 原査定の拒絶理由
原査定の拒絶の理由のうち、請求項1に係るものは、
(新規性)この出願の請求項1に係る発明は、その優先日前に頒布された以下の引用文献に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
(進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その優先日前に頒布された以下の引用文献に記載された発明に基づいて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
というものである。

引用文献:特開2013-102869号公報

3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献の記載事項は、前記第2[理由]2(2)に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本願補正発明の発明特定事項である「第2入球手段」、「第3入球手段」及び「特定領域」が「設け」られる「第2遊技領域」について、Mの「少なくとも、前記第2入球手段または前記第3入球手段に遊技球が入球し得る第1流路と、前記特定領域に遊技球が通過し得る第2流路と、から形成され、前記第1流路を流下する遊技球は前記特定領域を通過することが無く、前記第2流路を流下する遊技球は前記第2入球手段または前記第3入球手段に入球することが無いように構成され、前記可変手段が前記第1状態である場合のほうが前記第2状態である場合よりも、前記第1流路を流下する遊技球が前記第3入球手段に入球し難くなるように構成されている」という限定事項を省いたものである。
そうすると、本願発明と引用発明を対比すると、前記第2[理由]2(3)に記載した本願補正発明のMに係る相違点は生じず、本願発明と引用発明は一致し、本願発明は、引用文献に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができない。
また、仮に、本願発明と引用発明との間に相違点があったとしても、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができない、または、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-05-17 
結審通知日 2018-05-22 
審決日 2018-06-04 
出願番号 特願2015-79479(P2015-79479)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 113- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 眞壁 隆一  
特許庁審判長 森林 克郎
特許庁審判官 藤田 年彦
蔵野 いづみ
発明の名称 遊技機  
代理人 工藤 洋平  
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