• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1342449
審判番号 不服2017-13615  
総通号数 225 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-09-13 
確定日 2018-07-19 
事件の表示 特願2015-165861号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成29年3月2日出願公開、特開2017-42294号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成27年8月25日の出願であって、平成28年4月22日付けで拒絶の理由が通知され、同年6月10日に意見書及び手続補正書が提出され、同年11月18日付けで最後の拒絶の理由が通知され、平成29年1月23日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年6月19日付け(発送日:同年6月23日)で、同年1月23日付け手続補正が却下されるとともに拒絶査定がなされ、それに対して、同年9月13日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正(以下「本件補正」という。)がなされたものである。

第2 本件補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
本件補正は特許請求の範囲の請求項1の記載の補正を含むものであり、本件補正前の平成28年6月10日にされた手続補正の特許請求の範囲の請求項1の記載と本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は、それぞれ以下のとおりである(下線部は補正箇所を示す。また、A?Gについては発明を分説するため当審で付与した。)。

(本件補正前)
「【請求項1】
A 始動条件の成立により遊技に関連する判定を行い、その判定結果に基づいて遊技を進行させる遊技機において、
B 遊技に係る制御を実行する制御手段と、
C 遊技者が操作可能に設けられた操作手段と、
D 前記操作手段の操作を検出可能な検出手段とを備え、
E 前記制御手段は、
F 前記検出手段から検出信号を受けて所定の制御を実行可能であるとともに、
G 前記操作手段の予め定められた操作を検知すると、前記操作を中止させる為の特定の報知を実行する
ことを特徴とする遊技機。」

(本件補正後)
「【請求項1】
A 始動条件の成立により遊技に関連する判定を行い、その判定結果に基づいて遊技を進行させる遊技機において、
B 遊技に係る制御を実行する制御手段と、
C 遊技者が第1位置から第2位置へ操作可能に設けられた操作手段と、
D 前記第2位置への前記操作手段の操作を検出可能な検出手段とを備え、
E 前記制御手段は、
F 前記検出手段から検出信号を受けて所定の演出を実行させる制御を実行可能であるとともに、
G 前記操作手段が継続して前記第1位置にない時間が所定時間を超えると、前記操作手段を前記第1位置へ復帰させる為の特定の報知を実行する
ことを特徴とする遊技機。」

2 補正の適否
本件補正は、補正前の請求項1に記載された発明特定事項である「遊技者が操作可能に設けられた操作手段」について、その操作範囲を「第1位置から第2位置へ」操作可能なものであることを追加して限定し、また、補正前の請求項1に記載された発明特定事項である「前記操作手段の操作を検出可能な検出手段」について、その検出対象を「前記第2位置への」前記操作手段の操作であることを追加して限定し、さらに、補正前の請求項1に記載された発明特定事項である「前記操作手段の予め定められた操作を検知すると」「特定の報知を実行する」ことについて、その特定の報知を実行する契機を「前記操作手段の予め定められた操作を検知する」ことから「前記操作手段が継続して前記第1位置にない時間が所定時間を超える」ことに下位概念化するものである。

なお、本件補正のうち、補正前の請求項1に記載された発明特定事項である「前記操作を中止させる為の特定の報知を実行する」ことについて、その特定の報知を実行する目的を「前記操作を中止させる為」から「前記操作手段を前記第1位置へ復帰させる為」とする補正については、操作手段が遊技者が第1位置から第2位置へ操作可能に設けられるのであれば、「前記操作を中止させる」ことは「前記操作手段を前記第1位置へ復帰させる」ことに他ならないことは明らかであるから、この補正は実質的に請求項1の技術的範囲を変更するものではない。

また、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明とは、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
そうすると、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。
そして、本件補正は、明細書の段落【0326】、【0329】、【0391】、【0410】、【0411】、【0425】、【0430】、【0431】、【0440】?【0441】及び図1、図30、図71、図72等の記載に基づいており、新規事項を追加するものではない。

そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。

(1)本願補正発明
本願補正発明は、前記1(本件補正後)に記載したとおりのものである。

(2)引用文献に記載された事項
本願の出願前に頒布された刊行物である特開2008-534号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。

「【0009】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態の遊技機1の構成を示す正面図である。」

「【0015】
メインLCD5aによって表示される表示画面には、メイン画面51のような表示画面(ウインドウ)が設けられており、メイン画面51において遊技者による遊技開始ボタン24の操作によって開始するメインゲームの演出が表示される。メインゲームは、後述するサブゲームの開始の契機を与えるゲームである。このメインゲームの単位時間当たりの実行回数を制限することによって、有価価値の消費量を制御可能である。」

「【0023】
遊技開始ボタン24は、遊技者が操作することによって遊技の開始を指示するためボタンである。遊技者による遊技開始ボタン24の操作を、操作検出手段である遊技開始スイッチ24Aが検出すると、検出信号(出力信号)が出力される。」

「【0028】
メイン遊技制御装置100は、遊技の統括的制御(遊技全体の進行の制御処理、メインゲームの進行の制御処理並びに他の制御装置及び各被制御装置の制御)を行う制御装置で、CPU111、ROM112、RAM113、通信ポート114及びI/Oポート110を備える。メイン遊技制御装置100は、遊技制御手段として機能する。」

「【0037】
サブ遊技制御装置200は、サブゲームを制御する制御装置であり、遊技用マイクロコンピュータ201、入力インターフェース202、出力インターフェース203及び外部通信用端子204を備える。サブ遊技制御装置200は、従遊技制御手段として機能する。」

「【0064】
メインLCD制御装置150は、メイン遊技制御装置100、サブ遊技制御装置200及びサブ表示制御装置250と共に表示制御装置として機能し、メインLCD5aと接続されている。このメインLCD制御装置150は、具体的にはメインゲームの表示画像の生成及びメインLCD5aの表示を制御する。」

「【0082】
そして、遊技者による遊技開始ボタン24の操作を遊技開始スイッチ24Aが検出すると、検出信号が出力される。CPU111は、I/Oポート110を介して遊技開始スイッチ24Aから出力される遊技開始ボタン24の操作を検出する検出信号を受信すると、RAM113に記憶されたクレジットを1ゲームに相当する数減算して、メインゲームを実行する。また、CPU111は、メインLCD5aに表示されているクレジット数の残高の表示の減算を指示する表示制御信号をメインLCD制御装置150に出力する。」

「【0102】
図3は、本発明の第1の実施の形態のメイン遊技制御処理のフローチャートである。このメイン遊技制御処理は、メイン遊技制御装置100が備えるCPU111によって実行される。」

「【0104】
次に、ステップS102では、CPU111は、遊技者による遊技開始ボタン24の遊技開始操作中であるか否かを判定する。遊技開始操作中でない場合には、CPU111は、ステップS102の処理を繰り返す。一方、遊技開始操作中である場合には、ステップS103に処理を進める。」

「【0106】
次に、ステップS103では、CPU111は、RAM113に記憶されているクレジット数が0より大きいか否かを判定する。クレジット数の残高が0以下である場合には、CPU111は、ステップS102に処理を戻す。一方、クレジット数の残高が0より大きい場合には、CPU111は、クレジット数の残高から1回の遊技を実行するために必要な所定単位を減算し(S104)、ステップS105に処理を進める。
【0107】
次に、CPU111は、メインゲーム乱数カウンタから乱数値を抽出する(S105)。メインゲーム始動記憶は、遊技者による遊技開始ボタン24の操作を遊技開始スイッチ24Aが検出することによって、遊技用乱数カウンタから乱数が抽出されて記憶される。詳しくは、図6の遊技用乱数カウンタ更新処理において後述する。
【0108】
そして、CPU111は、遊技用乱数の値(抽出されたメインゲーム乱数カウンタ値の乱数値)が、当選値であるかによって、メインゲームが成功か失敗かを決定する(S106)。メインゲーム乱数カウンタ値が当選値である場合には、CPU111は、RAM113にメインゲーム当選情報を記憶する。このメインゲーム当選情報に基づいて、後述するステップS109において、メイン遊技制御装置100からサブ遊技制御装置200に向けてスタート信号が出力される。」

「【0118】
ステップS112では、CPU111は、異常フラグがオンであるか否かを判定する。ここで、異常フラグはメイン遊技制御タイマ割込処理(図4参照)によってセットされるフラグであって、遊技開始操作がされているが、その操作が所定の条件を満たしていないことを示すフラグである。異常フラグがオンの場合は、遊技開始スイッチから出力された出力信号のレベルの変化がない状態が所定時間継続しており、遊技開始ボタン24が、例えば、灰皿やマッチ棒などで固定されている状態であると判定できるので(図4のステップS206?S209参照)、遊技停止異常報知(図10参照)を実行し(S113)、ステップS114に処理を進める。一方、異常フラグがオフの場合は、遊技開始スイッチから出力された出力信号のレベルの変化が所定時間内にあったことを検出して、遊技開始ボタン24が遊技者の手で正しく操作されている状態であるか、又は、遊技開始ボタン24が全く操作されていない状態であるので(ステップS114参照)、遊技停止異常報知(図10)を実行しないように、ステップS102に処理を戻す。」

「【0157】
入力判定処理においてスタート信号が検出された場合、サブゲーム始動記憶が最大数(例えば、4個)まで記憶されていないときには、遊技用マイクロコンピュータ201は、当該スタート信号に基づいて、ステップS505で生成されるサブゲーム乱数カウンタ値を参照して、当該サブゲーム乱数カウンタ値をサブゲーム始動記憶として新たに一つ追加して記憶し、現在のサブゲーム始動記憶数に1を加算する。」

「【0161】
ゲーム処理は、前述したようにメインゲームの実行結果がゲーム成功であった場合に、遊技用マイクロコンピュータ201は、メイン遊技制御装置100から送信されるスタート信号の検出に基づいて、サブゲーム始動記憶として記憶されたサブゲーム乱数カウンタ値(ステップS607で抽出し、記憶したサブゲームの結果に関する乱数)が当たりか否か判定し、サブLCD5bに表示される図柄の表示を変化させる処理を行う。
【0162】
サブゲーム始動記憶に記憶されたサブゲーム乱数カウンタ値が当選値であれば、サブゲームにおいて変化して表示(変動表示)されている図柄が当たり図柄で停止し、サブゲームに関する大当り状態となる。また、大当り状態になると特賞信号がメイン遊技制御装置100に送信され、遊技者に所定の景品が付与される。」

「【0191】
CPU111は、メイン遊技制御処理(図3)のステップS113において、メインLCD遊技制御装置150に、メインLCD5aに遊技停止異常報知メッセージ12(例えば、「注意! スタートスイッチを押したまま 固定しないでください。」の文字)を表示する主表示指令制御信号を出力する。
【0192】
これによって、遊技者による遊技開始操作に基づく遊技開始スイッチ24Aから出力される出力信号のレベルが一定時間変化していないこと及びこのため新たなメインゲームの実行が開始されないことが報知される。」

上記記載事項を総合すれば、引用文献1には以下の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる(a?gについては本願補正発明のA?Gに対応させて付与した。)。

「a 遊技者による遊技開始ボタン24の遊技開始操作中で(【0104】)クレジット数の残高が0より大きい場合に(【0106】)メインゲーム乱数カウンタから乱数値を抽出し(【0107】)、抽出されたメインゲーム乱数カウンタ値の乱数値が当選値であるかによってメインゲームが成功か失敗かを決定し、メインゲーム乱数カウンタ値が当選値で(【0108】)サブゲーム始動記憶が最大数(例えば、4個)まで記憶されていないときにサブゲーム乱数カウンタ値をサブゲーム始動記憶として新たに一つ追加して記憶し(【0157】)、サブゲーム始動記憶として記憶されたサブゲーム乱数カウンタ値が当たりか否か判定し、サブLCD5bに表示される図柄の表示を変化させる処理を行い(【0161】)、サブゲーム始動記憶に記憶されたサブゲーム乱数カウンタ値が当選値であれば、サブゲームにおいて変動表示されている図柄が当たり図柄で停止し、サブゲームに関する大当り状態となる(【0162】)遊技機1(【0009】)において、
b 遊技全体の進行の制御処理及びメインゲームの進行の制御処理を行うメイン制御装置100(【0028】)、サブゲームを制御するサブ遊技制御装置200(【0037】)、メインゲームの表示画像の生成及びメインLCD5aの表示を制御するメインLCD制御装置150(【0064】)と、
c 遊技者が操作可能な遊技開始ボタン24(【0023】)と、
d 遊技者による遊技開始ボタン24の操作を検出可能な遊技開始スイッチ24A(【0023】)と、
e、f 前記メイン遊技制御装置100が備えるCPU111及び前記メインLCD制御装置150は、遊技開始スイッチ24Aから出力される遊技開始ボタン24の操作を検出する検出信号を受信すると、メインLCD5aによって表示されるメイン画面51においてメインゲームの演出を実行可能である(【0015】、【0028】、【0064】、【0082】)とともに、
e、g 前記メイン遊技制御装置100が備えるCPU111及び前記メインLCD遊技制御装置150は、遊技開始スイッチ24Aから出力された出力信号のレベルの変化がない状態が所定時間継続すると、メインLCD5aに遊技停止異常報知メッセージ12(例えば、「注意! スタートスイッチを押したまま 固定しないでください。」の文字)を表示する遊技停止異常報知を実行する(【0102】、【0118】、【0191】)
遊技機1。」

(3)対比・判断
本願補正発明と引用発明1とを対比する。なお、見出し(a)?(g)は、本願補正発明のA?Gに対応させている。

(a)引用発明1のaの「遊技者による遊技開始ボタン24の遊技開始操作中でクレジット数の残高が0より大きい場合にメインゲーム乱数カウンタから乱数値を抽出し、抽出されたメインゲーム乱数カウンタ値の乱数値が当選値であるかによってメインゲームが成功か失敗かを決定」すること、または、「メインゲーム乱数カウンタ値が当選値でサブゲーム始動記憶が最大数(例えば、4個)まで記憶されていないときに、サブゲーム乱数カウンタ値をサブゲーム始動記憶として新たに一つ追加して記憶し、サブゲーム始動記憶として記憶されたサブゲーム乱数カウンタ値が当たりか否か判定」することは、本願補正発明のAの「始動条件の成立により遊技に関連する判定を行」うことに相当する。
また、引用発明1のaの「メインゲーム乱数カウンタ値が当選値でサブゲーム始動記憶が最大数(例えば、4個)まで記憶されていないときにサブゲーム乱数カウンタ値をサブゲーム始動記憶として新たに一つ追加して記憶し、サブゲーム始動記憶として記憶されたサブゲーム乱数カウンタ値が当たりか否か判定し、サブLCD5bに表示される図柄の表示を変化させる処理を行」うこと、または、「サブゲーム始動記憶に記憶されたサブゲーム乱数カウンタ値が当選値であれば、サブゲームにおいて変動表示されている図柄が当たり図柄で停止し、サブゲームに関する大当り状態となる」ことは、本願補正発明のAの「その判定結果に基づいて遊技を進行させる」ことに相当する。
したがって、引用発明1の「a 遊技者による遊技開始ボタン24の遊技開始操作中でクレジット数の残高が0より大きい場合にメインゲーム乱数カウンタから乱数値を抽出し、抽出されたメインゲーム乱数カウンタ値の乱数値が当選値であるかによってメインゲームが成功か失敗かを決定し、メインゲーム乱数カウンタ値が当選値でサブゲーム始動記憶が最大数(例えば、4個)まで記憶されていないときにサブゲーム乱数カウンタ値をサブゲーム始動記憶として新たに一つ追加して記憶し、サブゲーム始動記憶として記憶されたサブゲーム乱数カウンタ値が当たりか否か判定し、サブLCD5bに表示される図柄の表示を変化させる処理を行い、サブゲーム始動記憶に記憶されたサブゲーム乱数カウンタ値が当選値であれば、サブゲームにおいて変動表示されている図柄が当たり図柄で停止し、サブゲームに関する大当り状態となる遊技機1」は、本願補正発明の「A 始動条件の成立により遊技に関連する判定を行い、その判定結果に基づいて遊技を進行させる遊技機」に相当する。

(b)引用発明1の「b 遊技全体の進行の制御処理及びメインゲームの進行の制御処理を行うメイン制御装置100、サブゲームを制御するサブ遊技制御装置200、メインゲームの表示画像の生成及びメインLCD5aの表示を制御するメインLCD制御装置150」は、本願補正発明の「B 遊技に係る制御を実行する制御手段」に相当する。

(c)引用発明1の「c 遊技者が操作可能な遊技開始ボタン24」は、ボタンなのであるから、初期位置から押下位置へ操作可能なことは明らかであり、この初期位置及び押下位置は、本願補正発明の「第1位置」及び「第2位置」に相当するといえる。
したがって、引用発明1の「c 遊技者が操作可能な遊技開始ボタン24」は、本願補正発明の「C 遊技者が第1位置から第2位置へ操作可能に設けられた操作手段」に相当する。

(d)引用発明1の「c 遊技者が操作可能な遊技開始ボタン24」は、ボタンなのであるから、dの「遊技開始スイッチ24A」によって「検出可能な」「遊技者による遊技開始ボタン24の操作」が押下位置の第2位置への操作であることは明らかである。
したがって、引用発明1の「d 遊技者による遊技開始ボタン24の操作を検出可能な遊技開始スイッチ24A」は、本願補正発明の「D 前記第2位置への前記操作手段の操作を検出可能な検出手段」に相当する。

(e、f)引用発明1のe、fの「メインLCD5aによって表示されるメイン画面51において」「実行」される「メインゲームの演出」は、本願補正発明の「所定の演出」に相当する。
したがって、引用発明1の「e、f 前記メイン遊技制御装置100が備えるCPU111及び前記メインLCD制御装置150は、遊技開始スイッチ24Aから出力される遊技開始ボタン24の操作を検出する検出信号を受信すると、メインLCD5aによって表示されるメイン画面51においてメインゲームの演出を実行可能である」ことは、本願補正発明の「E 前記制御手段は」「F 前記検出手段から検出信号を受けて所定の演出を実行させる制御を実行可能である」ことに相当する。

(e、g)引用発明1のe、gの「遊技開始スイッチ24Aから出力された出力信号のレベルの変化がない状態が所定時間継続する」ことは、遊技開始ボタン24が初期位置の第1位置にない状態が所定時間継続することであることは明らかであるから、本願補正発明のGの「前記操作手段が継続して前記第1位置にない時間が所定時間を超える」ことに相当する。
また、引用発明1のe、gの「メインLCD5aに遊技停止異常報知メッセージ12(例えば、「注意! スタートスイッチを押したまま 固定しないでください。」の文字)を表示する遊技停止異常報知を実行する」ことは、遊技開始スイッチ24Aの押下位置の第2位置から初期位置の第1位置へ復帰させる為の報知といえるから、本願補正発明の「前記操作手段を前記第1位置へ復帰させる為の特定の報知を実行する」ことに相当する。
したがって、引用発明1の「e、g 前記メイン遊技制御装置100が備えるCPU111及び前記メインLCD遊技制御装置150は、遊技開始スイッチ24Aから出力された出力信号のレベルの変化がない状態が所定時間継続すると、メインLCD5aに遊技停止異常報知メッセージ12(例えば、「注意! スタートスイッチを押したまま 固定しないでください。」の文字)を表示する遊技停止異常報知を実行する」ことは、本願補正発明の「E 前記制御手段は」「G 前記操作手段が継続して前記第1位置にない時間が所定時間を超えると、前記操作手段を前記第1位置へ復帰させる為の特定の報知を実行する」ことに相当する。

そうすると、両者は、
「A 始動条件の成立により遊技に関連する判定を行い、その判定結果に基づいて遊技を進行させる遊技機において、
B 遊技に係る制御を実行する制御手段と、
C 遊技者が第1位置から第2位置へ操作可能に設けられた操作手段と、
D 前記第2位置への前記操作手段の操作を検出可能な検出手段とを備え、
E 前記制御手段は、
F 前記検出手段から検出信号を受けて所定の演出を実行させる制御を実行可能であるとともに、
G 前記操作手段が継続して前記第1位置にない時間が所定時間を超えると、前記操作手段を前記第1位置へ復帰させる為の特定の報知を実行する
遊技機。」
である点で一致し、相違点はない。

したがって、本願補正発明は、引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
また、仮に、本願補正発明と引用発明1との間に相違点があったとしても、本願補正発明は、引用発明1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

(4)請求人の主張について
請求人は、審判請求書において、本願補正発明の構成Gに相当するものが、原査定の拒絶の理由の引用文献には開示されていない旨主張する。
しかしながら、前記(2)、(3)に記載したように、引用文献1には、本願補正発明の構成Gが開示され、また本願補正発明のA?Fも記載されている。
よって、請求人の主張は採用できない。

(5)本件補正についてのむすび
以上より、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成28年6月10日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記第2[理由]1の(本件補正前)に記載のとおりのものである。

2 原査定の拒絶理由
原査定の拒絶の理由は、
(新規性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に頒布された以下の引用文献に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない、および、
(進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に頒布された以下の引用文献に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、
というものである。

引用文献:特開2013-202246号公報

3 引用文献に記載された事項
原査定の拒絶の理由で引用された刊行物である特開2013-202246号公報(以下「引用文献2」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。

「【0040】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、パチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」と略称する。)1の正面図である。」

「【0051】
受け皿ユニット6の右下部には、ハンドルユニット16が設置されている。遊技者はこのハンドルユニット16を操作することで発射制御基板セット174を作動させ、遊技領域8aに向けて遊技球を発射する(打ち込む)ことができる(球発射装置)。発射された遊技球は、遊技盤8の下縁部から左側縁部に沿って上昇し、図示しない外バンドに案内されて遊技領域8a内に放り込まれる。遊技領域8a内には多数の障害釘や風車(図中参照符号なし)等が配置されており、放り込まれた遊技球は障害釘や風車により誘導・案内されながら遊技領域8a内を流下する。なお、遊技領域8a内(盤面)の構成については、別の図面を参照しながらさらに後述する。」

「【0074】
〔制御上の構成〕
次に、パチンコ機1の制御に関する構成について説明する。図5は、パチンコ機1に装備された各種の電子機器類を示すブロック図である。パチンコ機1は、制御動作の中枢となる主制御装置70を備えており、この主制御装置70は主に、パチンコ機1における遊技の進行を制御する機能を有している。なお主制御装置70は、上記の主制御基板ユニット170に内蔵されている。
【0075】
また主制御装置70には、中央演算処理装置である主制御CPU72を実装した回路基板(主制御基板)が装備されており、主制御CPU72は、図示しないCPUコアやレジスタとともにROM74、RAM(RWM)76等の半導体メモリを集積したLSIとして構成されている。また主制御装置70には、乱数発生器75やサンプリング回路77が装備されている。このうち乱数発生器75は、特別図柄抽選の大当り判定用や普通図柄抽選の当り判定用にハードウェア乱数(例えば10進数表記で0?65535)を発生させるものであり、ここで発生された乱数は、サンプリング回路77を通じて主制御CPU72に入力される。その他にも主制御装置70には、入出力(I/O)ポート79や図示しないクロック発生回路、カウンタ/タイマ回路(CTC)等の周辺ICが装備されており、これらは主制御CPU72とともに回路基板上に実装されている。なお回路基板上(又は内層部分)には、信号伝送経路や電源供給経路、制御用バス等が配線パターンとして形成されている。」

「【0087】
一方、パチンコ機1の表側に位置する上記のハンドルユニット16には、発射レバーボリューム112、タッチセンサ114及び発射停止スイッチ116が設けられている。このうち発射レバーボリューム112は、遊技者による発射ハンドルの操作量(いわゆるストローク)に比例したアナログ信号を生成する。またタッチセンサ114は、静電容量の変化から遊技者の身体がハンドルユニット16(発射ハンドル)に触れていることを検出し、その検出信号を出力する。そして発射停止スイッチ116は、遊技者の操作に応じて発射停止信号(接点信号)を生成する。
【0088】
上記の受け皿ユニット6には発射中継端子板118が設置されており、発射レバーボリューム112やタッチセンサ114、発射停止スイッチ116からの各信号は、発射中継端子板118を経由して発射制御基板108に送信される。また、発射制御基板108からの駆動信号は、発射中継端子板118を経由して球送りソレノイド111に印加される。遊技者が発射ハンドルを操作すると、その操作量に応じて発射レバーボリューム112でアナログ信号(エンコードされたデジタル信号でもよい)が生成され、このときの信号に基づいて発射ソレノイド110が駆動される。これにより、遊技者の操作量に応じて遊技球を打ち出す強さが調整されるものとなっている。なお発射制御基板108の駆動回路は、タッチセンサ114からの検出信号がオフ(ローレベル)の場合か、もしくは発射停止スイッチ116から発射停止信号が入力された場合は発射ソレノイド110の駆動を停止する。この他に、発射中継端子板118には遊技球等貸出装置接続端子板120が接続されており、この遊技球等貸出装置接続端子板120に上記のCRユニットが接続されていない場合、同じく発射制御基板108の駆動回路は発射ソレノイド110の駆動を停止する。」

「【0090】
またパチンコ機1は制御上の構成として、演出制御装置124を備えている。この演出制御装置124は、パチンコ機1における遊技の進行に伴う演出の制御を行う。演出制御装置124にもまた、中央演算処理装置である演出制御CPU126を実装した回路基板(複合サブ制御基板)が装備されている。演出制御CPU126には、図示しないCPUコアとともにメインメモリとしてROM128やRAM130等の半導体メモリが内蔵されている。演出制御CPU126には、主制御CPU72よりも高速(高クロック周波数)で、データバス幅が広い(例えば64ビット)タイプのものを使用することができる。なお演出制御装置124は、パチンコ機1の裏側で上記の裏カバーユニット178に覆われる位置に設けられている。」

「【0312】
〔F7〕特別図柄変動
始動入賞口28aへの入賞の発生を契機として特別図柄(内部抽選)が行われる。これにより、特別図柄表示装置34において特別図柄の変動表示が行われる。また、変動時間が経過すると、内部抽選の結果に応じて特別図柄が停止表示される。」

「【0440】
〔右打ち検出コマンド受信時〕
〔F1〕通常遊技中に右始動ゲート21を遊技球が通過すると、上記のように主制御CPU72から右打ち検出コマンドが送信される。これを受けて演出制御装置124は、第1段階として以下の警告動作を開始する。
【0441】
〔警告動作〕
図39中(B):右始動ゲート21の通過を契機とした普通図柄の変動開始により、表示画面内では3つの演出図柄を用いた変動表示演出が行われる。また表示画面の右下隅位置では、作動記憶数マーカMが一瞬表示された後、消去される演出が行われる。また、第4図柄ランプ40zにより、2つのLEDを交互に点灯させる変動表示演出が行われている。このとき警告動作として、例えば表示画面の上部位置には、左向きの矢印記号とともに「左打ちして下さい。」の文字情報が帯状領域内に強調表示されている。これら矢印記号及び文字情報は、帯状領域内を左方向へ流れていくようにして表示される。また、表示画面の中央位置には、逆三角形状の標識画像とともに「警告」及び「!(感嘆符)」の文字情報が合わせて表示されている。合わせてスピーカ54,55,56からは、何らかの警告音(図中に「BEEP!」と表記)が出力されるとともに、「左打ちして下さい」といった警告が音声により出力される。」

上記記載事項を総合すれば、引用文献2には以下の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる(a?gについては本願発明のA?Gに対応させて付与した。)。

「a 始動入賞口28aへの入賞の発生を契機として内部抽選が行われ、内部抽選の結果に応じて特別図柄が停止表示される(【0312】)パチンコ遊技機1(【0040】)において、
b 制御動作の中枢となり遊技の進行を制御する主制御装置70(【0074】)、遊技の進行に伴う演出の制御を行う演出制御装置124(【0090】)及び発射ソレノイド110を駆動する発射制御基板108(【0088】)と、
c 遊技者が操作可能に設けられたハンドルユニット16(【0051】)と、
d 前記ハンドルユニット16の操作量に比例したアナログ信号を生成する発射レバーボリューム112(【0087】)と、
e、f 前記発射制御基板108は、発射レバーボリューム112で生成されるアナログ信号に基づいて発射ソレノイド110を駆動する(【0088】)とともに、
e、g 前記主制御装置70の主制御CPU72は、通常遊技中に右始動ゲート21を遊技球が通過すると右打ち検出コマンドを前記演出制御装置124に送信し、これを受けて前記演出制御装置124は(【0075】、【0440】)、表示画面の上部位置に、左向きの矢印記号ととともに「左打ちして下さい。」の文字情報が帯状領域内に強調表示され、これら矢印記号及び文字情報は、帯状領域内を左方向へ流れているようにして表示され、また、表示画面の中央位置には、逆三角形状の標識画像とともに「警告」及び「!(感嘆符)」の文字情報が合わせて表示され、合わせてスピーカ54,55,56からは、何らかの警告音が出力されるとともに、「左打ちして下さい」といった警告が音声により出力される(【0441】)
パチンコ遊技機1。」

3 対比・判断
本願発明と引用発明2とを対比する。なお、見出し(a)?(g)は、本願発明のA?Gに対応させている。

(a)引用発明2の「a 始動入賞口28aへの入賞の発生を契機として内部抽選が行われ、内部抽選の結果に応じて特別図柄が停止表示されるパチンコ遊技機1」は、本願発明の「A 始動条件の成立により遊技に関連する判定を行い、その判定結果に基づいて遊技を進行させる遊技機」に相当する。

(b)引用発明2の「b 制御動作の中枢となり遊技の進行を制御する主制御装置70」及び「遊技の進行に伴う演出の制御を行う演出制御装置124」は、本願発明の「B 遊技に係る制御を実行する制御手段」に相当する。

(c)引用発明2の「c 遊技者が操作可能に設けられたハンドルユニット16」は、本願発明の「C 遊技者が操作可能に設けられた操作手段」に相当する。

(d)引用発明2の「d 前記ハンドルユニット16の操作量に比例したアナログ信号を生成する発射レバーボリューム112」は、本願発明の「D 前記操作手段の操作を検出可能な検出手段」に相当する。

(e、f)引用発明2の「e、f 前記発射制御基板108は、発射レバーボリューム112のアナログ信号に基づいて発射ソレノイド110を駆動する」ことは、本願発明の「E 前記制御手段は」「F 前記検出手段から検出信号を受けて所定の制御を実行可能である」ことに相当する。

(e、g)引用発明2のe、gの「右始動ゲート21を遊技球が通過すると右打ち検出コマンドを演出制御装置124に送信」することは、前記ハンドルユニット16の右打ち操作を検知するものであることは明らかであるから、本願発明のGの「前記操作手段の予め定められた操作を検知する」ことに相当する。
また、引用発明2のe、gの「表示画面の上部位置に、左向きの矢印記号ととともに「左打ちして下さい。」の文字情報が帯状領域内に強調表示され、これら矢印記号及び文字情報は、帯状領域内を左方向へ流れているようにして表示され、また、表示画面の中央位置には、逆三角形状の標識画像とともに「警告」及び「!(感嘆符)」の文字情報が合わせて表示され、合わせてスピーカ54,55,56からは、何らかの警告音が出力されるとともに、「左打ちして下さい」といった警告が音声により出力される」ことは、前記ハンドルユニット16の右打ち操作を中止させる為の特定の報知を実行することといえるから、本願発明のGの「前記操作を中止させる為の特定の報知を実行する」ことに相当する。
したがって、引用発明2の「e、g 前記主制御装置70の主制御CPU72は、通常遊技中に右始動ゲート21を遊技球が通過すると右打ち検出コマンドを前記演出制御装置124に送信し、これを受けて前記演出制御装置124は、表示画面の上部位置に、左向きの矢印記号ととともに「左打ちして下さい。」の文字情報が帯状領域内に強調表示され、これら矢印記号及び文字情報は、帯状領域内を左方向へ流れているようにして表示され、また、表示画面の中央位置には、逆三角形状の標識画像とともに「警告」及び「!(感嘆符)」の文字情報が合わせて表示され、合わせてスピーカ54,55,56からは、何らかの警告音が出力されるとともに、「左打ちして下さい」といった警告が音声により出力される」ことは、本願発明の「E 前記制御手段は」「G 前記操作手段の予め定められた操作を検知すると、前記操作を中止させる為の特定の報知を実行する」ことに相当する。

そうすると、両者は、
「A 始動条件の成立により遊技に関連する判定を行い、その判定結果に基づいて遊技を進行させる遊技機において、
B 遊技に係る制御を実行する制御手段と、
C 遊技者が操作可能に設けられた操作手段と、
D 前記操作手段の操作を検出可能な検出手段とを備え、
E 前記制御手段は、
F 前記検出手段から検出信号を受けて所定の制御を実行可能であるとともに、
G 前記操作手段の予め定められた操作を検知すると、前記操作を中止させる為の特定の報知を実行する
遊技機。」
である点で一致し、相違点はない。

したがって、本願発明は、引用文献2に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができない。
また、仮に、本願発明と引用発明2との間に相違点があったとしても、本願発明は、引用発明2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができない、または、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-05-23 
結審通知日 2018-05-24 
審決日 2018-06-06 
出願番号 特願2015-165861(P2015-165861)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 113- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 井海田 隆  
特許庁審判長 石井 哲
特許庁審判官 藤田 年彦
倉持 俊輔
発明の名称 遊技機  
代理人 岡村 俊雄  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ