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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1342568
審判番号 不服2017-7511  
総通号数 225 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-05-25 
確定日 2018-07-18 
事件の表示 特願2014-535810「ネットワーク上で配信されるコンテンツへのアクセスを制御するためのシステムおよび方法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 4月18日国際公開、WO2013/055766、平成27年 1月22日国内公表、特表2015-502585〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本件審判請求に係る出願(以下,「本願」という。)は,平成24年10月10日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2011年10月11日(以下,「本願優先日」という。)米国,2012年1月27日 米国)を国際出願日とする出願であって,平成26年4月7日付けで特許法第184条の5第1項の規定による書面が提出され,同年5月23日付けで特許法第184条の4第1項の規定による明細書,請求の範囲,及び,図面(図面の中の説明に限る。)の日本語による翻訳文が提出され,平成27年10月5日付けで審査請求がなされ,平成28年9月28日付けで拒絶理由通知(同年10月4日発送)がなされ,平成29年1月17日付けで意見書が提出されたが,同年1月24日付けで拒絶査定(同年同月31日謄本送達)がなされた。
これに対して,「原査定を取り消す,本願は特許をすべきものであるとの審決を求める。」ことを請求の趣旨として,同年5月25日付けで審判請求がなされるとともに,同日付けで手続補正がなされたものである。
そして,同年7月13日付けで審査官により特許法第164条第3項に定める報告(前置報告)がなされ,同年9月27日付けで上申書の提出があったものである。


第2 平成29年5月25日付の手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]

平成29年5月25日付の手続補正を却下する。

[理由]

1.補正の内容

平成29年5月25日付の手続補正(以下,「本件補正」という。)により,特許請求の範囲は次のとおり補正された。

[補正前請求項]

本件補正前の平成26年5月23日付の翻訳文における特許請求の範囲の請求項を「補正前請求項」という。

「 【請求項1】
ユーザデバイス上のファイルの使用を制御するための,コンピュータ実装される方法であって,
前記ユーザデバイスにより,前記ユーザデバイスの識別子と前記ユーザデバイスに関連付けられたユーザの少なくとも一つの識別とを含む認証情報をシステムに伝送するステップと,
前記システムによる認証の成功の直後に,前記ユーザデバイスにより,前記システムから前記ファイルをダウンロードするステップと,
前記ユーザデバイスにより,前記ファイルのアクセスを前記ユーザデバイスのクライアントアプリケーションに制限するステップと,
前記ユーザデバイスにより,前記クライアントアプリケーション外での前記ファイルの変更,前記ファイルの印刷および前記ファイルのオープンを防止するステップと,
前記ユーザデバイスにより,前記ファイルに対応するノートをローカル記憶エリアに前記ファイルとは別に記憶するステップと,
前記ユーザデバイスにより,前記ノートの少なくとも一部分を前記システムに伝送するステップと,
前記ユーザデバイスにより,前記システムによる命令にしたがって前記ユーザデバイスから前記ファイルを除去するステップと
を含む,方法。
【請求項2】
前記ユーザデバイスが前記システムから切断されているときに,前記ユーザデバイスにより,前記ユーザの前記少なくとも一つの識別を認証するステップと,
前記ユーザデバイスによる認証の成功の直後に,前記ユーザが前記ファイルのローカルに記憶されたコピーにアクセスすることを前記ユーザデバイスにより許可するステップと
をさらに含む,請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記システムは,前記ファイルに関連付けられた期間の期限切れを検出した後に前記ファイルを除去するよう前記ユーザデバイスに命令する,請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記システムは,前記ファイルに関する前記ユーザのアクセス特権が前記システムの管理者により無効化されたときに前記ファイルを除去するよう前記ユーザデバイスに命令する,請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
前記システムがi)前記ファイルに関連付けられた期間の期限切れ,またはii)前記ファイルに関する前記ユーザのアクセス特権が無効化されたことを検出した後に,前記ノートの前記少なくとも一部が前記システムに伝送される,請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
前記ノートの前記少なくとも一部は,前記ユーザによる命令にしたがって前記システムに伝送される,請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
前記システムの管理者により前記ファイルが前記ユーザデバイスに割り当てられた場合には,前記ユーザデバイスにより前記ローカル記憶エリアの第一フォルダに前記ファイルを記憶するステップと,
前記ファイルが第二ユーザにより前記ユーザと共有された場合には,前記ユーザデバイスにより前記ローカル記憶エリアの第二フォルダに前記ファイルを記憶するステップであり,前記ユーザおよび前記第二ユーザが,前記システムにより定義されるグループ内にいる,ステップと
をさらに含む,請求項1から請求項6のいずれか1つに記載のコンピュータ実装される方法。
【請求項8】
前記ユーザが第二ユーザと共有するために前記ファイルを指定することを前記ユーザデバイスにより許可するステップであり,前記ユーザおよび前記第二ユーザが,前記システムにより定義されるグループ内におり,前記ファイルが前記第二ユーザに以前に割り当てられていない,ステップと,
前記システムが前記第二ユーザに前記ファイルを送ることが可能になるように,前記ユーザデバイスにより,前記第二ユーザの識別または定義済みのグループの識別の少なくとも1つを前記システムに伝送するステップと
をさらに含む,請求項1から請求項7のいずれか1つに記載のコンピュータ実装される方法。
【請求項9】
前記ユーザデバイスは,iPad(登録商標)である,請求項1から請求項8のいずれか1つに記載のコンピュータ実装される方法。
【請求項10】
前記ファイルは,ポータブルドキュメントフォーマット(PDF)である,請求項1から請求項9のいずれか1つに記載のコンピュータ実装される方法。
【請求項11】
ユーザデバイス上のファイルの使用を制御するためのシステムであって,
前記ユーザデバイスと通信するサービスモジュールであり,i)前記ユーザデバイスと前記ユーザデバイスに関連付けられたユーザの一つ以上のユーザクレデンシャルとを認証するステップと,ii)前記ユーザデバイスにファイルを送るステップと,iii)前記ファイルに対応するノートの少なくとも一部分を前記ユーザデバイスから受け取るステップと,iv)前記ファイルに関連付けられた期間の期限切れの直後または前記ファイルに関する前記ユーザのアクセス特権が管理者により無効化されたときに,前記ユーザデバイスから前記ファイルを除去するステップとを行うための,サービスモジュールと,
前記ファイルと前記ユーザのアカウントとを管理するためのアプリケーションモジュールと
を含む,システム。
【請求項12】
前記アプリケーションモジュールは,前記アカウントをアクティブにするステップ,前記アカウントの識別を設定するステップ,前記アカウントに関連付けられたウォーターマークを生成するステップ,前記アカウントをロックするステップ,または前記アカウントを非アクティブにするステップの少なくとも一つを行うことにより,前記ユーザの前記アカウントを管理する,請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記アプリケーションモジュールは,前記システムと通信するデータベースに前記ファイルをアップロードするステップ,前記ファイルを前記ユーザに割り当てるステップ,前記ファイルをユーザのグループに割り当てるステップ,前記ファイルに関する前記ユーザのアクセス特権を無効化するステップ,前記ファイルに関するユーザのグループのアクセス特権を無効化するステップ,または前記ファイルに関連付けられた前記期間を設定するステップの少なくとも一つを行うことにより,前記ファイルを管理する,請求項11または請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記アプリケーションモジュールは,さらに,複数のユーザから前記ファイルに対応するノートを集約し,前記集約されたノートを含む前記ファイルについてのレポートを生成し,前記レポートが,前記ファイルを変更せずに生成される,請求項11から請求項13のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項15】
前記アプリケーションモジュールは,さらに,グループを作成するステップ,前記ユーザを前記グループに割り当てるステップ,前記ユーザを前記グループから除去するステップ,または前記グループを削除するステップの少なくとも一つを行うことにより,前記ユーザのグループを管理する,請求項11から請求項14のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項16】
前記アプリケーションモジュールは,第二ユーザが前記ユーザと同じグループにいない場合または前記ファイルが前記第二ユーザに以前に割り当てられている場合には,前記ユーザが前記ファイルを前記第二ユーザと共有することを防止する,請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記アプリケーションモジュールは,一つ以上のユーザロールを作成するステップ,前記一つ以上のユーザロールを定義するステップ,前記一つ以上のユーザロールを少なくとも一人のユーザに割り当てるステップ,前記一つ以上のユーザロールを少なくとも一人のユーザから除去するステップ,または前記一つ以上のユーザロールを削除するステップの少なくとも一つを行うことにより,前記一つ以上のユーザロールを管理する,請求項11から請求項16のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項18】
前記アプリケーションモジュールは,前記ユーザが共有ロールを有しない場合には,前記ユーザが別のユーザとファイルを共有することを防止する,請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
ユーザデバイス上のファイルの使用を制御するためのプログラムであって,
前記ユーザデバイスの識別子と前記ユーザデバイスに関連付けられたユーザの少なくとも一つの識別とを含む認証情報をシステムに伝送するステップと,
前記システムによる認証の成功の直後に前記システムから前記ファイルをダウンロードするステップと,
前記ファイルのアクセスを前記ユーザデバイスのクライアントアプリケーションに制限するステップと,
前記クライアントアプリケーション外での前記ファイルの変更,前記ファイルの印刷および前記ファイルのオープンを防止するステップと,
前記ファイルに対応するノートをローカル記憶エリアに前記ファイルとは別に記憶するステップと
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項20】
ユーザデバイスであって,
前記ユーザデバイスは,前記ユーザデバイス上に配置されたファイルの使用を制御するためのユーザデバイスであり,クライアントアプリケーションを含み,
前記ユーザデバイスの識別子と前記ユーザデバイスに関連付けられたユーザの少なくとも一つの識別とを含む認証情報をシステムに伝送するための認証モジュールであって,前記システムによる認証の成功の直後に前記システムから前記ファイルをダウンロードする認証モジュールと,
前記ファイルのアクセスを前記クライアントアプリケーションに制限するためのリーダモジュールでであって,前記クライアントアプリケーション外での前記ファイルの変更,前記ファイルの印刷および前記ファイルのオープンを防止するリーダモジュールと,
前記ファイルに対応するノートをローカル記憶エリアに記憶するためのノートモジュールと,
前記ユーザが第二ユーザとの共有のために前記ファイルを指定することを許可するための共有モジュールであって,前記ユーザおよび前記第二ユーザは,前記システムにより定義されたグループ内におり,前記ファイルは前記第二ユーザに以前に割り当てられておらず,前記ユーザは共有ロールを有する,共有モジュールと
を含む,ユーザデバイス。」


[補正後請求項]

本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項を「補正後請求項」という。
下線は補正事項を示すものとして請求人が付与したものである。

「 【請求項1】
クライアントアプリケーションを有するユーザデバイス上のファイルの使用を制御するための,コンピュータ実装される方法であって,
前記ユーザデバイスにより,前記ユーザデバイスの識別子と前記ユーザデバイスに関連付けられたユーザの少なくとも一つの識別とを含む認証情報をシステムに伝送し,それにより前記システムが前記ユーザデバイスを認証することを可能にするステップと,
前記システムによる認証の成功の直後に,前記ユーザデバイスにより,前記システムから前記ファイルをダウンロードするステップであって,ダウンロードされる前記ファイルは,前記クライアントアプリケーションに安全に関連付けられている,ステップと,
前記ユーザデバイスが前記システムから切断されている間,前記ユーザデバイスに関連付けられた少なくとも一人の識別された前記ユーザが前記ファイルに安全にアクセスすることを前記クライアントアプリケーションを介して許可するステップであって,前記少なくとも一人の識別されたユーザは,オフラインユーザであり,前記安全にアクセスすることは,前記オフラインユーザが前記クライアントアプリケーションに認証されている場合に前記クライアントアプリケーションが前記ファイルにアクセスすることを許可することを含む,ステップと,
前記ユーザデバイスにより,前記クライアントアプリケーション外での前記ファイルの変更,前記ファイルの印刷および前記ファイルのオープンを防止するステップと,
前記ユーザデバイスにより,前記ファイルに対応するノートをローカル記憶エリアに前記ファイルとは別に記憶するステップと,
前記ユーザデバイスにより,前記ノートの少なくとも一部分を前記システムに伝送するステップと,
前記ユーザデバイスにより,前記システムによる命令にしたがって前記ユーザデバイスから前記ファイルを除去するステップと
を含む,方法。
【請求項2】
前記ユーザデバイスが前記システムから切断されているときに,前記ユーザデバイスにより,前記ユーザの前記少なくとも一つの識別を認証するステップと,
前記ユーザデバイスによる認証の成功の直後に,前記ユーザが前記ファイルのローカルに記憶されたコピーにアクセスすることを前記ユーザデバイスにより許可するステップと
をさらに含む,請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記システムは,前記ファイルに関連付けられた期間の期限切れを検出した後に前記ファイルを除去するよう前記ユーザデバイスに命令する,請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記システムは,前記ファイルに関する前記ユーザのアクセス特権が前記システムの管理者により無効化されたときに前記ファイルを除去するよう前記ユーザデバイスに命令する,請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
前記システムがi)前記ファイルに関連付けられた期間の期限切れ,またはii)前記ファイルに関する前記ユーザのアクセス特権が無効化されたことを検出した後に,前記ノートの前記少なくとも一部が前記システムに伝送される,請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
前記ノートの前記少なくとも一部は,前記ユーザによる命令にしたがって前記システムに伝送される,請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
前記システムの管理者により前記ファイルが前記ユーザデバイスに割り当てられた場合には,前記ユーザデバイスにより前記ローカル記憶エリアの第一フォルダに前記ファイルを記憶するステップと,
前記ファイルが第二ユーザにより前記ユーザと共有された場合には,前記ユーザデバイスにより前記ローカル記憶エリアの第二フォルダに前記ファイルを記憶するステップであり,前記ユーザおよび前記第二ユーザが,前記システムにより定義されるグループ内にいる,ステップと
をさらに含む,請求項1から請求項6のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
前記ユーザが第二ユーザと共有するために前記ファイルを指定することを前記ユーザデバイスにより許可するステップであり,前記ユーザおよび前記第二ユーザが,前記システムにより定義されるグループ内におり,前記ファイルが前記第二ユーザに以前に割り当てられていない,ステップと,
前記システムが前記第二ユーザに前記ファイルを送ることが可能になるように,前記ユーザデバイスにより,前記第二ユーザの識別または定義済みのグループの識別の少なくとも1つを前記システムに伝送するステップと
をさらに含む,請求項1から請求項7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
前記ユーザデバイスは,iPad(登録商標)である,請求項1から請求項8のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
前記ファイルは,ポータブルドキュメントフォーマット(PDF)である,請求項1から請求項9のいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
クライアントアプリケーションを有するユーザデバイス上のファイルの使用を制御するためのシステムであって,
前記ユーザデバイスと通信するサービスモジュールであり,i)前記ユーザデバイスと前記ユーザデバイスに関連付けられた少なくとも一人の識別されたユーザの一つ以上のユーザクレデンシャルとを認証し,ii)前記ユーザデバイスに前記ファイルを送り,それにより前記ファイルは,前記ユーザデバイスに格納され,前記クライアントアプリケーションに安全に関連付けられ,前記クライアントアプリケーションを介して前記少なくとも一人の識別されたユーザは,前記ユーザデバイスが前記システムから切断されている間,前記ファイルに安全にアクセスすることを可能にし,前記少なくとも一人の識別されたユーザはオフラインユーザであり,前記安全にアクセスすることは,前記オフラインユーザが前記クライアントアプリケーションにより認証されている場合,前記クライアントアプリケーションが前記ファイルにアクセスすることを許可すること,前記クライアントアプリケーション外での前記ファイルの変更,前記ファイルの印刷および前記ファイルのオープンを防止することを含み,iii)前記ファイルに対応するノートの少なくとも一部分を前記ユーザデバイスから,前記ユーザデバイスからの伝送で受け取り,iv)前記ファイルに関連付けられた期間の期限切れの直後または前記ファイルに関する前記少なくとも一人の識別されたユーザのアクセス特権が管理者により無効化されたときに,前記ユーザデバイスから前記ファイルを除去するステップとを行うための,サービスモジュールと,
前記ファイルと前記少なくとも一人の識別されたユーザのアカウントとを管理するためのアプリケーションモジュールと
を含む,システム。
【請求項12】
前記アプリケーションモジュールは,前記アカウントをアクティブにするステップ,前記アカウントの識別を設定するステップ,前記アカウントに関連付けられたウォーターマークを生成するステップ,前記アカウントをロックするステップ,または前記アカウントを非アクティブにするステップの少なくとも一つを行うことにより,前記少なくとも一人の識別されたユーザの前記アカウントを管理する,請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記アプリケーションモジュールは,前記システムと通信するデータベースに前記ファイルをアップロードするステップ,前記ファイルを前記少なくとも一人の識別されたユーザに割り当てるステップ,前記ファイルをユーザのグループに割り当てるステップ,前記ファイルに関する前記少なくとも一人の識別されたユーザのアクセス特権を無効化するステップ,前記ファイルに関するユーザのグループのアクセス特権を無効化するステップ,
または前記ファイルに関連付けられた前記期間を設定するステップの少なくとも一つを行うことにより,前記ファイルを管理する,請求項11または請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記アプリケーションモジュールは,さらに,複数のユーザから前記ファイルに対応するノートを集約し,前記集約されたノートを含む前記ファイルについてのレポートを生成し,前記レポートが,前記ファイルを変更せずに生成される,請求項11から請求項13のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項15】
前記アプリケーションモジュールは,さらに,グループを作成するステップ,前記少なくとも一人の識別されたユーザを前記グループに割り当てるステップ,前記少なくとも一人の識別されたユーザを前記グループから除去するステップ,または前記グループを削除するステップの少なくとも一つを行うことにより,前記ユーザのグループを管理する,請求項11から請求項14のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項16】
前記アプリケーションモジュールは,第二ユーザが前記少なくとも一人の識別されたユーザと同じグループにいない場合または前記ファイルが前記第二ユーザに以前に割り当てられている場合には,前記少なくとも一人の識別されたユーザが前記ファイルを前記第二ユーザと共有することを防止する,請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記アプリケーションモジュールは,一つ以上のユーザロールを作成するステップ,前記一つ以上のユーザロールを定義するステップ,前記一つ以上のユーザロールを前記少なくとも一人の識別されたユーザに割り当てるステップ,前記一つ以上のユーザロールを前記少なくとも一人の識別されたユーザから除去するステップ,または前記一つ以上のユーザロールを削除するステップの少なくとも一つを行うことにより,前記一つ以上のユーザロールを管理する,請求項11から請求項16のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項18】
前記アプリケーションモジュールは,前記少なくとも一人の識別されたユーザが共有ロールを有しない場合には,前記少なくとも一人の識別されたユーザが別のユーザとファイルを共有することを防止する,請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
クライアントアプリケーションを有するユーザデバイス上のファイルの使用を制御するためのプログラムであって,
前記ユーザデバイスの識別子と前記ユーザデバイスに関連付けられたユーザの少なくとも一つの識別とを含む認証情報をシステムに伝送し,それにより前記システムが前記ユーザデバイスを認証することを可能にするステップと,
前記システムによる認証の成功の直後に前記システムから前記ファイルをダウンロードするステップであって,ダウンロードされるファイルは,前記クライアントアプリケーションに安全に関連付けられる,ステップと,
前記ユーザデバイスが前記システムから切断されている間,前記ユーザデバイスに関連付けられた少なくとも一人の識別された前記ユーザが前記ファイルに安全にアクセスすることを前記ユーザデバイスの前記クライアントアプリケーションを介して許可するステップであって,前記少なくとも一人の識別されたユーザはオフラインユーザであり,前記安全にアクセスすることは,前記オフラインユーザが前記クライアントアプリケーションにより認証されている場合,前記クライアントアプリケーションが前記ファイルにアクセスすることを許可することを含む,ステップと,
前記クライアントアプリケーション外での前記ファイルの変更,前記ファイルの印刷および前記ファイルのオープンを防止するステップと,
前記ファイルに対応するノートをローカル記憶エリアに前記ファイルとは別に記憶するステップと,
前記システムに前記ノートの少なくとも一部分を送信するステップと,
前記システムにより命令にしたがって前記ユーザデバイスから前記ファイルを除去するステップと
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項20】
ユーザデバイスであって,
前記ユーザデバイスは,前記ユーザデバイス上に配置されたファイルの使用を制御するためのユーザデバイスであり,クライアントアプリケーションを含み,
前記ユーザデバイスの識別子と前記ユーザデバイスに関連付けられたユーザの少なくとも一つの識別とを含む認証情報をシステムに伝送するための認証モジュールであって,前記システムによる認証の成功の直後に前記システムから前記ファイルをダウンロードする認証モジュールと,
前記ファイルのアクセスを前記クライアントアプリケーションに制限するためのリーダモジュールでであって,前記クライアントアプリケーション外での前記ファイルの変更,前記ファイルの印刷および前記ファイルのオープンを防止するリーダモジュールと,
前記ファイルに対応するノートをローカル記憶エリアに記憶するためのノートモジュールと,
前記ユーザが第二ユーザとの共有のために前記ファイルを指定することを許可するための共有モジュールであって,前記ユーザおよび前記第二ユーザは,前記システムにより定義されたグループ内におり,前記ファイルは前記第二ユーザに以前に割り当てられておらず,前記ユーザは共有ロールを有する,共有モジュールと
を含む,ユーザデバイス。」

2.補正の適否

(1)本件補正は,願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてなされており,特許法第17条の2第3項の規定に適合しており,また,本件補正は,特別な技術的特徴の変更(シフト補正)をしようとするものではなく,特許法第17条の2第4項の規定に適合している。

(2)目的要件について
本件補正は上記「1.補正の内容」のとおり,本件審判の請求と同時にする補正であり,特許請求の範囲について補正をしようとするものであるから,本件補正が,特許法第17条の2第5項の規定を満たすものであること,すなわち,本件補正が,特許法第17条の2第5項に規定する請求項の削除,特許請求の範囲の減縮(特許法第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって,その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る),誤記の訂正,或いは,明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る)の何れかを目的としたものであることが求められる。
そこで,補正前請求項と補正後請求項とを比較すると,補正後請求項1乃至20はそれぞれ,補正前請求項1乃至20に対応することは明らかであるから,本件補正のうち,まず,請求項1についての補正事項について検討する。

本件補正のうち,請求項1についての補正事項(以下,「補正事項1」という。)は次のとおりのものである。

ア.補正前請求項1の「ユーザデバイス上のファイルの使用を制御するための,コンピュータ実装される方法」を「クライアントアプリケーションを有するユーザデバイス上のファイルの使用を制御するための,コンピュータ実装される方法」とし,

イ.補正前請求項1の「前記ユーザデバイスにより,前記ユーザデバイスの識別子と前記ユーザデバイスに関連付けられたユーザの少なくとも一つの識別とを含む認証情報をシステムに伝送するステップ」を「前記ユーザデバイスにより,前記ユーザデバイスの識別子と前記ユーザデバイスに関連付けられたユーザの少なくとも一つの識別とを含む認証情報をシステムに伝送し,それにより前記システムが前記ユーザデバイスを認証することを可能にするステップ」とし,

ウ.補正前請求項1の「前記システムによる認証の成功の直後に,前記ユーザデバイスにより,前記システムから前記ファイルをダウンロードするステップ」を「前記システムによる認証の成功の直後に,前記ユーザデバイスにより,前記システムから前記ファイルをダウンロードするステップであって,ダウンロードされる前記ファイルは,前記クライアントアプリケーションに安全に関連付けられている,ステップ」とし,

エ.補正前請求項1の「前記ユーザデバイスにより,前記ファイルのアクセスを前記ユーザデバイスのクライアントアプリケーションに制限するステップ」を「前記ユーザデバイスが前記システムから切断されている間,前記ユーザデバイスに関連付けられた少なくとも一人の識別された前記ユーザが前記ファイルに安全にアクセスすることを前記クライアントアプリケーションを介して許可するステップであって,前記少なくとも一人の識別されたユーザは,オフラインユーザであり,前記安全にアクセスすることは,前記オフラインユーザが前記クライアントアプリケーションに認証されている場合に前記クライアントアプリケーションが前記ファイルにアクセスすることを許可することを含む,ステップ」とする,
補正。

上記補正事項1の目的要件について,請求人は審判請求書において,特許法第17条の2第5項に規定する事項のいずれに該当するものであるかを述べておらず,また,請求項の削除,誤記の訂正,或いは,明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る)のいずれにも該当しないことは明らかであるが,上記補正事項1は,補正前請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である,「ユーザデバイス」(上記ア.),「伝送するステップ」(上記イ.),「ダウンロードするステップ」(上記ウ.),及び,「ユーザデバイスのクライアントアプリケーション」による「ファイルのアクセス」についての「ステップ」(上記エ.)について,上記のとおり実質的に限定を付加するものであって,補正前請求項1に記載された発明と補正後請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから,特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の限定的減縮を目的とするものであるといえる。

そして,上記補正事項1は,上述のとおり限定的減縮を目的としたものであるから,本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載されている事項により特定される発明が,特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなければならない。そこで,本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載されている事項により特定される発明である補正後請求項1に記載された発明が,特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か(特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)以下に検討する。

(3)独立特許要件について

(3-1)本件補正発明

補正後請求項1に記載された発明(以下「本件補正発明」という。)は,前記平成29年5月25日付の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次のものである。(再掲する。)

「クライアントアプリケーションを有するユーザデバイス上のファイルの使用を制御するための,コンピュータ実装される方法であって,
前記ユーザデバイスにより,前記ユーザデバイスの識別子と前記ユーザデバイスに関連付けられたユーザの少なくとも一つの識別とを含む認証情報をシステムに伝送し,それにより前記システムが前記ユーザデバイスを認証することを可能にするステップと,
前記システムによる認証の成功の直後に,前記ユーザデバイスにより,前記システムから前記ファイルをダウンロードするステップであって,ダウンロードされる前記ファイルは,前記クライアントアプリケーションに安全に関連付けられている,ステップと,
前記ユーザデバイスが前記システムから切断されている間,前記ユーザデバイスに関連付けられた少なくとも一人の識別された前記ユーザが前記ファイルに安全にアクセスすることを前記クライアントアプリケーションを介して許可するステップであって,前記少なくとも一人の識別されたユーザは,オフラインユーザであり,前記安全にアクセスすることは,前記オフラインユーザが前記クライアントアプリケーションに認証されている場合に前記クライアントアプリケーションが前記ファイルにアクセスすることを許可することを含む,ステップと,
前記ユーザデバイスにより,前記クライアントアプリケーション外での前記ファイルの変更,前記ファイルの印刷および前記ファイルのオープンを防止するステップと,
前記ユーザデバイスにより,前記ファイルに対応するノートをローカル記憶エリアに前記ファイルとは別に記憶するステップと,
前記ユーザデバイスにより,前記ノートの少なくとも一部分を前記システムに伝送するステップと,
前記ユーザデバイスにより,前記システムによる命令にしたがって前記ユーザデバイスから前記ファイルを除去するステップと
を含む,方法。」

(3-2)引用文献

(3-2-1)引用文献1

原査定で引用された,本願優先日前に頒布された刊行物である,特開2010-283477号公報(以下,「引用文献1」という。)には,図面とともに次の事項が記載されている。(下線は,当審が参考のために付加した。以下,同様。)

ア.「【0018】
(概要)
本発明の実施形態としてのシステムは,コンピュータにインストールして実行する動画管理再生アプリケーションを含む。この動画管理再生アプリケーションは,通信ネットワークとしてのインターネット上からダウンロードして利用されるタイプのアプリケーションであっても良いし,またDVDロムやUSBメモリなどの外部記憶媒体を介してコンピュータにインストールするタイプのアプリケーションでも良い。この動画管理再生アプリケーションをインストールされたコンピュータは動画管理再生装置として機能する。
【0019】
この動画管理再生アプリケーションは,インターネット上の複数の動画サイトから動画データをダウンロードし,まとめてコンテンツデータベースに登録する。動画管理再生アプリケーションは,コンテンツデータベースの動画データをリスト表示し,様々な情報を付加してユーザに提供する。ユーザは,インターネットに接続されていないオフライン状態において,リスト表示された動画データから動画データを選択し,視聴することができる。オフライン状態におけるユーザの視聴に関する情報(視聴回数など)は,ローカルの視聴履歴データベースに登録され,インターネットに接続された後に,視聴履歴管理サーバにアップロードされる。視聴履歴管理サーバでは,複数の動画管理再生アプリケーションのユーザから視聴履歴情報を受信し,集計し,統計データなどを作成して,動画配信サイトなどに提供する。このように,ユーザは,インターネットに接続しなくても,インターネットに接続している場合と同じ感覚で動画サイトの動画データを視聴することができる。特に,eラーニングなどの教育用の動画データの視聴を,インターネットを接続しなくとも行なうことができ,インターネットに接続した後にオフラインでの視聴履歴をアップロードできるので,ユーザにとって非常に便利である。」

イ.「【0020】
(システム構成)
図1は,本願発明に係る動画管理再生装置の実施形態としてのコンピュータ(ユーザPC)を含む学習システムの構成を示す図である。図1において,本システムは,ユーザPC101?103がインターネットに接続して,インターネット上の動画配信サイト201?203にアクセスし,動画データの提供を受けることができる構成となっている。
【0021】
ユーザPC101?103は,それぞれローカルプレーヤとしての動画管理再生アプリケーション101a?103aを備えており,ダウンロードした動画データをオフラインで,つまりインターネットに接続しなくても視聴できるようになっている。従って,例えば,ユーザPC101がノートパソコンやPDAである場合には,移動中などであってもダウンロードされた動画を視聴できる。動画管理再生アプリケーション101a?101cは,インターネット上の専用サイトにダウンロード可能に保存されており,インターネットを介して各ユーザPCにインストールできる構成となっている。動画管理再生アプリケーションを例えば,Adobe AIR(登録商標)で開発すれば,ユーザPCのOSの種類に拠らず,軽快に動作させることができる。
【0022】
ユーザPC101?103は,動画管理再生アプリケーション101a?103aに付随するデータベースとして,コンテンツDB101b?103b,コメントDB101c?103c,及び視聴履歴DB101d?103dを備えている。これらのDBは,動画管理再生アプリケーションのインストール時に生成される。
【0023】
ここでは説明の便宜上,ユーザPCを3つのみ図示しているが,もちろんこれに限定されるものではない。例えば,容量などの制約がない限り,如何なるPCに対しても動画管理再生アプリケーションをインストール可能であり,インターネットに接続可能であれば,この動画管理再生アプリケーションの機能を発揮できる。ユーザPCの基本的構成はどれも同じであると考えられるため,以下,代表としてユーザPC101について説明する。
【0024】
動画管理再生アプリケーション101aは,動画配信サイト201?203にアクセスして動画データをダウンロードし,コンテンツDB101bに保存する機能を備える。また,ダウンロードした動画データを,ダウンロード元情報などと共に管理し,選択可能にリスト表示する。更に,選択された動画データを再生する機能や,再生した動画データに対し,所望のタイミング及び位置にコメントを付加する機能を備える。付加されたコメントの内容を,その付加のタイミング情報及び位置情報と共にコメントDB101cに保存する。また,更に,ユーザがオフラインで動画データを視聴した時間や回数等の視聴履歴情報を,ユーザPC101a内の視聴履歴DB101dに保存する。視聴履歴DB101dでは,各視聴履歴情報が,視聴履歴DB201c?203c又は視聴履歴管理サーバ105に送信済か,或いは未送信なのか,区別して管理している。ユーザPC101a内の視聴履歴DB101dは,インターネット上の視聴履歴を,視聴履歴DB201c?203c又は視聴履歴管理サーバ105から受信して保存しても良い。その場合,ユーザは,その受信タイミングでの動画データの全視聴状況を,オフラインでも確認できるようになる。
【0025】
なお,視聴履歴情報としては,例えば,以下のものが含まれる。
(1)再生開始日時(年:日:時:分:秒)
(2)再生終了日時(年:日:時:分:秒)
(3)再生時間(時間:分:秒)((1)と(2)から取得)
(4)累積再生時間(時間:分:秒) #複数の動画でひとつの教材(コース)になっている場合
(5)一時停止回数(回)
(6)再生回数(回)
(7)累積再生回数(回) #複数の動画でひとつの教材(コース)になっている場合
(8)前回の再生終了日時(年:日:時:分)
【0026】
動画配信サイト201?203は,動画の配信に付随するデータベースとして,コンテンツDB201a?203a,コメント共有DB201b?203b,及び視聴履歴DB201c?203cを備えている。コンテンツDB201a?203aは公開する動画データを保存するデータベースであり,コメント共有DB201b?203bは,動画データに付加されたコメントを保存し複数のユーザで共有するためのデータベースである。視聴履歴DB201c?203cは,配信した動画データの視聴履歴情報を保存するデータベースである。ただし,コメント共有DBや,視聴履歴DBは動画配信サイトに必須の構成ではなく,これらのデータベースを持たない動画配信サイトに対しても,動画管理再生アプリケーション101a?103aはその機能を発揮できる。また,動画配信サイト201?203は,配信する動画データに対して,パスワードロックや視聴回数制限や視聴期間制限などの再生制限情報を付加,設定することができる。
【0027】
動画配信サイト201?203で設定された視聴有効期限については,ローカルプレーヤとしての動画管理再生アプリケーションでは変更不可能であり,その期限を過ぎた動画データは再生不能となる。そして,動画管理再生アプリケーションが,動画データを視聴有効期限内に視聴した旨を示す視聴履歴を,インターネット上の視聴履歴管理サーバ105などにアップロードしたことを条件として,動画データの視聴有効期限を変更し,ユーザに,その動画データの続きを提供する,或いは続きの部分の視聴を許可する。
【0028】
つまり,動画配信サイトは,配信する動画データに含まれる,複数の動画セクションのそれぞれに対して,異なる有効期限を設定することができ,動画管理再生アプリケーションでは,その設定に応じて再生を許可する。更に,動画配信サイトは,配信する動画データの,時系列で2番目以上のセクションについては,前のセクションの視聴履歴のアップロードを条件として再生を許可する設定を付加することもできる。同様に,動画配信サイトは,動画データの視聴履歴のアップロードを条件として他の動画データをダウンロード可能となるように配信設定することも可能である。例えば,動画配信サイトは,ログインしているユーザを特定し,そのログインユーザがどのような視聴履歴を,その動画配信サイトに対して過去にアップロードしているかを確認する。そして,そのアップロードされた視聴履歴に応じて,ダウンロードを許可する動画データを選択し,ユーザに提示する。このようにすることで,動画配信サイトは,配信側が希望する順序で動画をユーザに視聴させることが可能となる。これは,教育的な動画配信の場合,特に重要な特徴となる。動画配信サイトは,ユーザPCから動画配信サイトへ「第1の教育用動画データの視聴履歴情報」が送信されたことに応じて,第1の教育用動画データよりも後に見るべき第2の教育用動画データの,ユーザPCによる再生を許可する。すなわち,第2の教育用動画データのプロテクトを外すことにより再生を許可するか,或いは第2の教育用動画データのダウンロードを許可することで結果的に再生を許可する。ここで視聴履歴情報には,第1の教育用動画データの視聴時の一時停止回数やリピート回数が含まれる。動画配信サイトは,この一時停止回数やリピート回数が所定回数(例えば1回)以下という条件において,時系列に順序が付された複数の教育用動画データから,順序が後の(先に進んだ)教育用動画データを選択して,ユーザPCによる再生を許可する。動画配信サイトから配信された動画データにおいて,前のセクションを視聴した際の一時停止回数やリピート回数が少なければ,ユーザの理解が十分と判断して,次のセクションよりも順番が後のセクションの再生やダウンロードを許可する。或いは,次の教育用動画データの早送りを許可してもよい。ユーザがただ熱心に視聴せず,漫然と視聴していることで一時停止回数やリピート回数が少ないことも考えられるので,第1の教育用動画データの視聴後にユーザPCで自動的にテスト問題が起動されるように構成してもよい。そして,そのテストの結果が良いことを,順序が先の教育用動画データの再生やダウンロードを許可したり,早送りを許可したりするための条件に加えても良い。逆に,テスト結果が悪いと次の教育用動画データに進めない(再生できない,ダウンロードできない,再度の視聴履歴送信(リピート)を要求する)ように制御しても良い。また,視聴履歴情報には,第1の教育用動画データの視聴に要した視聴時間が含まれ,動画配信サイトは,視聴時間が基準範囲内であれば,時系列に順序が付された複数の教育用動画データから,順序が後の教育用動画データを選択して,ユーザPCによる再生を許可する。
【0029】
また,本実施形態に係る動画管理再生アプリケーションは,特有のフィルタを備えていてもよい。動画配信サイトが配信する動画データに,そのフィルタに対応するフィルタリングとは逆のフィルタリング処理を予め施しておけば,この動画管理再生アプリケーションでダウンロードして初めて動画の視聴ができる仕組みが実現できる。つまり,他の動画再生アプリケーションでは動画をまともに再生できないようにし,動画配信サイトとの一体性を強化することが可能である。
【0030】
例えば,ユーザがダウンロードする全ての動画管理再生アプリケーションには,それぞれ固有のフィルタを設ける。動画配信サイトは,動画データをダウンロードさせる際に,ユーザのログインIDから,そのユーザが利用している動画管理再生アプリケーションに固有のフィルタがどういったものなのかを判断する。そして,動画配信サイトは,その固有のフィルタに対応する逆フィルタを予め動画データに付加してダウンロードさせる。このようにすれば,ダウンロードした動画データを,そのユーザ固有の動画管理再生アプリケーションでしか視聴することができなくなるよう制限することができる。つまり,動画データを複製しても,他の動画管理再生アプリケーションでは視聴不可能となるため,著作権上の問題などをクリアすることができる。
【0031】
なお,ここでは説明の便宜上,動画配信サイトを3つのみ図示しているが,もちろんこれに限定されるものではなく,インターネット500上の全ての動画配信サイトが,本システムを構成しうる。つまり,動画管理再生アプリケーション101a?103aは,ユーザ登録などの制約をクリアする限り,如何なる動画配信サイトに対しても接続可能であり,そこからダウンロードできる動画データを管理し再生することができる。
【0032】
本システムでは,インターネット500において,視聴履歴管理サーバ105を設けている。視聴履歴管理サーバ105は,動画管理再生アプリケーション101a?103aに付随する視聴履歴DB101d?103dから,視聴履歴情報を受信し,視聴履歴の集計を行なう。例えば,動画データごとの総視聴回数を計算したり,視聴回数の多い動画データを抽出したりすることもできる。動画管理再生アプリケーション101a?103aから,ユーザの属性(年齢,性別,職業など)と共に視聴履歴情報を獲得することにより,それらの属性毎の視聴傾向などを統計データとして算出することも可能である。一方で,視聴履歴管理サーバ105にアップロードされる視聴履歴情報に,ユーザ個人を特定する情報を含まないようにすれば,ユーザは,個人情報の漏洩リスクを気にしなくてもサービスを受けることができる。もちろん,視聴履歴管理サーバ側も,情報の取り扱いが楽になる。」

ウ.「【0033】
(ユーザPCのハードウェア構成)
図2に,本発明に係る動画管理再生方法を実現するユーザPC101の内部構成の一般的な例を示す。上述したとおり,ユーザPC102,103も同様の構成であるため,ここでは,その説明を省略する。
【0034】
CPU1101は画像処理システム全体を制御する演算手段としての中央処理ユニットである。ROM1102は,CPU1101によってブートされる基本プログラムを格納したリードオンリーメモリである。RAM1103は,HD1104に格納されたプログラムやデータを展開し,CPU1101に実行させるための作業領域を有するランダムアクセスメモリである。HD1104は,記憶手段としてのハードディスクであり,OS(オペレーションシステム)1105や,各種データベース101b,101c,101dの他に,動画管理再生アプリケーション101aを備えている。I/O1108は,ディスプレイ1111に画像データを出力したり,マウスやキーボードなどの入力装置1112から情報を入力したりするための入出力部である。ユーザPC101は,さらに通信手段としての通信部1109を備え,それぞれインターネット500に対して接続可能に構成されている。
【0035】
動画管理再生アプリケーション101aは,動画データをダウンロードする動画データダウンロードモジュール1011と,動画データを再生する動画再生モジュール1012と,視聴履歴を蓄積し管理する視聴履歴管理モジュール1013と,視聴履歴情報を送信する履歴情報送信モジュール1014とを含む。動画データダウンロードモジュール1011は,ユーザによる設定に応じて,動画データと同時に,例えば,eラーニングに付随するスライドデータや文書データなどをダウンロードすることも可能である。また,動画再生モジュール1012は,動画データのどの部分を再生したかを記録し,視聴履歴として視聴履歴管理モジュール1013に渡すことができる。例えばeラーニングの場合には,始めから通して動画データを再生して初めて視聴が完了したことを視聴履歴管理モジュール1013に渡す設定としてもよい。また,ある動画データの視聴が終了した場合に,所定の質問をユーザに提示し,例えば所定回数以内にその質問に正しく答えなければ次の動画が開始されない設定としてもよい。また,動画データがミュートされていたり,最小化されていたり,他のウィンドウの背面に表示されていれば,その動画データの視聴が行なわれたと見なさない設定にすることもできる。これによれば,動画データの視聴履歴情報の信頼性をより高めることができる。特に,eラーニングの不正を防止し,その効果を十分に確かめることができる。更に動画再生モジュール1012は,視聴回数制限や視聴期間制限などの再生制限情報が動画データに付加されている場合に,それらの制限に応じて動画の再生の許可・不許可を制御する。
【0036】
図3は,ダウンロードした動画データにひも付けされるメタデータを示す図である。例えば,動画内容の説明,再生時間,ビデオ提供元の名前,ビデオ提供元アドレス,ビデオ提供元サイトログイン先アドレス,履歴アップロード先アドレス,コメントアップデート先アドレス,ビデオ保存先フォルダ名,ビデオファイルサイズ,ビデオファイル再生可能有効期限などが動画データに付加される。なお,ここに挙げられたメタデータは例に過ぎず,これらに限定されるものではない。
【0037】
上述のように,動画管理再生アプリケーション101aは,動画データを管理し再生する動画管理再生プログラムであって,演算手段としてのCPU1101,記憶手段としてのHD1104,及び通信手段としての通信部1109を含むコンピュータによって実行される。そして,動画データダウンロードモジュール1011は,通信部1109を用いて,インターネット上の動画配信サイトから動画データをダウンロードする機能と,ダウンロードした動画データを,ダウンロード元を特定する特定情報と関連づけてHD1104に保存する機能とをユーザPC101に実現させる。
【0038】
また,動画再生モジュール1012は,CPU1101を用いることにより,ダウンロードした動画データをインターネットに接続されていない状態で再生する機能を実現させる。また,視聴履歴管理モジュール1013は,CPU1101及びHD1104を用いることにより,インターネットに接続されていない状態での動画データの再生状況を,特定情報に関連づけた視聴履歴情報として蓄積し管理する機能を実現させる。更に,通信部1109を用いることにより,視聴履歴情報をインターネットを介して履歴集計装置としての視聴履歴管理サーバに送信する機能を実現させる。」

エ.「【0039】
(ユーザインターフェース)
CPU1101がOS1105及び本実施形態に係る動画管理再生アプリケーション101aを実行した場合に,ディスプレイ1111に表示されるユーザインタフェース群の一例を図4に示す。これらのユーザインタフェース群は単に一例であり,ユーザの希望に応じて様々な表示形態とすることが可能である。例えば複数の表示形態(所謂スキン)を予め用意しておき,ユーザが自由に設定できる構成でも良い。また,動画表示領域の大きさを様々に変更できる構成であることが望ましい。
【0040】
図4は,オープニング画面501を中心として,設定画面601,動画再生画面701,動画詳細情報表示画面801,及び動画サイト画面401への遷移が可能であることを示している。つまり,動画配信サイトへのアクセス,動画データのダウンロード,ダウンロードされた動画データの選択,再生,詳細情報表示,履歴収集を,完全に1つのアプリケーションで行なうことができる。このため,複数のアプリケーションを起動する必要はなく,セントラルコントロールにより,非常に効率的に動画収集,管理,閲覧作業を行なうことができる。また,複数の動画配信サイトから横断的にコンテンツを入手でき,統一的に管理できる。オープニング画面501と動画サイト画面401とは,動画配信サイトの指定を受け付ける機能と,インターネットに接続して,指定された動画配信サイトに用意された画面を表示する機能と,表示された動画配信サイトにおいてダウンロードすべき動画データの選択を受け付ける機能とをコンピュータに実行させる。表示された動画配信サイトにおいてダウンロードすべき動画データの選択を受け付ける場合には,動画データのインターネット上のアドレスを特定し,必要に応じて,ダウンロードした動画データを,本動画管理再生アプリケーションにて視聴できるデータ形式に変換する。
【0041】
オープニング画面501の拡大図を図5に示す。オープニング画面501は,各種設定メニュー502,配信サイトボタン503,コンテンツリスト504,動画再生エリア505の他,動画再生実行ボタン506,動画データ詳細表示ボタン507を備えている。これにより,この動画管理再生アプリケーション101aを起動することによって,一画面で,動画の管理及び再生をトータルコントロールすることができる。更にコンテンツ検索窓508を備え,コンテンツリストから所望のコンテンツ(動画データ)を検索することが可能となっている。例えば,動画タイトル,撮影者,出演者などで検索可能である。
【0042】
ユーザから図5の各種設定メニュー502の操作を受け付けると,例えば図6に示すような設定画面601を表示する。設定画面601においては,配信サイト設定ボタン602から,配信サイトの設定を行なうことができる。ここでは,オープニング画面501の配信サイトボタン503をクリックした場合にリスト表示される配信サイトのURLを設定することができる。ここでは,複数のサイトのURLを設定できる。また,例えば,所定期間ごとに所定の配信サイトを巡回し,登録された配信サイトに更新された動画データがあれば,自動的に動画データをダウンロードする設定を行なうことも可能である。また,所定のキーワードをタイトルに持つ動画データを定期的に検索して,見つかればダウンロードするという設定にすることも可能である。さらに,動画データをダウンロードする時間帯を設定することにより,動画配信サイトに対するアクセスの集中を避けることもできる。また,動画配信サイトごとのログイン用情報を設定しておくことができ,動画配信サイトに接続する度にユーザにログイン用情報の入力を求める必要を回避することもできる。
【0043】
一方,閲覧履歴送信設定ボタン603からは,動画データの閲覧履歴の送信に関する情報を設定できる。すなわち,閲覧履歴をどのようなタイミングでどのアドレスに送信するのかを設定できる。例えば,オンラインになったことを検知すれば自動的に履歴情報を履歴管理サーバに送信するのか,それとも,所定期間ごとに送信するのか等を設定できる。これらの設定は,閲覧履歴の対象となった動画データ毎に設定できることが望ましい。或いは,元々ダウンロードした動画データに,閲覧履歴送信のタイミングや送信期限が付加情報として設定されており,その設定通りに閲覧履歴送信を制御する構成でも良い。
【0044】
更に,ここでは,送信する閲覧履歴情報にどのような情報を含めるのかを選択することもできる。例えば,性別,年齢,職業,血液型,星座などの情報を閲覧履歴に付加して送信することが可能であり,それらを設定することができる。これらの情報は,動画データ毎,動画データの属性ごと(eラーニングか否かなど),動画データの配信元サイトごとに設定可能である。例えばeラーニングの場合には,動画データを閲覧した個人を特定する情報(例えばユーザID)を,eラーニング管理サーバに送信することが必須となる。また,図6のコンテンツ保存先ボタン604からは,コンテンツとしての動画データやスライドデータを保存する場所を設定することができる。
【0045】
図5のオープニング画面501のコンテンツリスト504から,視聴したいコンテンツを選択し,動画再生実行ボタン506が選択されると,図7に示すような動画再生画面701を表示する。動画再生画面701には,再生した動画を表示する動画再生領域702の他,一時停止,再生,停止(先頭へのスキップ)を行なう再生操作ボタン703と,再生箇所の選択を行なう再生箇所選択バー704とが設けられている。また,動画の表示形態を例えば全画面表示や,小画面表示など,様々に変更する表示形態変更ボタン705も設けられている。更に,連続したコンテンツがある場合に,次のコンテンツを選択したり,前のコンテンツに戻ったりするためのボタン706も用意されている。
【0046】
更に,動画再生画面701には,動画再生画面701の下に,コメント入力タブ707,コメント履歴タブ708,お気に入り/評価/関連タブ709が設けられている。これらのうち,コメント入力タブ707を選択した場合の図を,図7(b)に示す。このようにコメント入力欄は,タブを選択することによってせり上がる構成となっている。そのため,コメントを入力せずに動画を再生している間は,大きな画面で動画を視聴できる。コメントを動画配信サイトにアップロードする場合については,公開,非公開を選択することができる。公開とすれば,動画配信サイトに公開されている動画データにコメントが表示され,そのサイトのユーザ全てが閲覧可能となる。非公開とすれば,動画配信サイトの管理者又は動画作成者や動画出演者などにのみコメントが送付され,一般には公開されない設定となる。その他,コメントを送信したり公開したりせず,ローカルの動画データにのみ自分用のメモとして表示する手段としての付箋ボタン711も用意されている。
【0047】
その他,コメント履歴タブ708を選択すれば過去に送信した,或いは付箋として貼り付けたコメントの履歴を見ることができる。更に,インターネット上で付加され公開されたコメントを受信して表示しても良い。」

オ.「【0055】
(本実施形態の効果)
以上のように本実施形態に係る動画管理再生アプリケーションによれば,ローカルプレーヤとしてオフラインでも動画データを再生できるので,通信環境に因らず,快適に動画を視聴することが可能となる。また,オフライン時の動画再生に関しても視聴履歴情報を取得して管理し,オンラインに戻った時点で,オフラインでの視聴履歴をアップロードするので,動画配信サイトは,オフラインでの動画再生状況を把握してその後のユーザに対する配信動画を制御することができる。
【0056】
更に,ローカルプレーヤで入力したコメントをアップロードすることもできる。また,ユーザーフォルダ内のコンテンツを検索し,過去の視聴履歴を分析して,ユーザに対して視聴すべき動画を指摘するパーソナルレコメンド機能を発揮させることができる。
【0057】
また,保有コンテンツ間の関連づけを行なうことで,どの動画データがどの動画データと関連しているのか分かりやすく表示することもできる。インターフェースをユーザの好みなどに合わせて変更することもでき,ウェブブラウザ経由では難しかった閲覧方法が可能になる。更に,教育コースに利用すれば,ユーザの講義の受講が非常に容易になる。」

カ.上記ア.における「インターネット上の複数の動画サイトから動画データをダウンロードし,まとめてコンテンツデータベースに登録する。動画管理再生アプリケーションは,コンテンツデータベースの動画データをリスト表示し,様々な情報を付加してユーザに提供する。ユーザは,インターネットに接続されていないオフライン状態において,リスト表示された動画データから動画データを選択し,視聴することができる。オフライン状態におけるユーザの視聴に関する情報(視聴回数など)は,ローカルの視聴履歴データベースに登録され,インターネットに接続された後に,視聴履歴管理サーバにアップロードされる」との一連のフローは,「動画管理再生アプリケーション」が「動画データ」を処理する方法を示しているといえる。

キ.上記ア.?カ.によれば,上記引用文献1には,次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「コンピュータにインストールして実行する動画管理再生アプリケーションを含むシステムにおいて,
上記動画管理再生アプリケーションが,インターネット上の複数の動画サイトから動画データをダウンロードし,まとめてコンテンツデータベースに登録し,また,コンテンツデータベースの動画データをリスト表示し,様々な情報を付加してユーザに提供して,ユーザが,インターネットに接続されていないオフライン状態において,リスト表示された動画データから動画データを選択し,視聴することができるようにし,オフライン状態におけるユーザの視聴に関する情報(視聴回数など)を,ローカルの視聴履歴データベースに登録し,インターネットに接続された後に,視聴履歴管理サーバにアップロードする,方法であって,
上記システムは,上記コンピュータ(ユーザPC)がインターネットに接続して,インターネット上の上記動画配信サイトにアクセスし,動画データの提供を受けることができる構成であって,
上記ユーザPCは,ローカルプレーヤとしての上記動画管理再生アプリケーションを備え,当該動画管理再生アプリケーションに付随するデータベースとして,コンテンツDB,コメントDB,及び視聴履歴DBを備え,
上記動画管理再生アプリケーションは,上記動画配信サイトにアクセスして動画データをダウンロードし,上記コンテンツDBに保存する機能を備え,また,ダウンロードした動画データを,ダウンロード元情報などと共に管理し,選択可能にリスト表示し,更に,選択された動画データを再生する機能や,再生した動画データに対し,所望のタイミング及び位置にコメントを付加する機能を備え,付加されたコメントの内容を,その付加のタイミング情報及び位置情報と共に上記コメントDBに保存し,また,更に,ユーザがオフラインで動画データを視聴した時間や回数等の視聴履歴情報を,ユーザPC内の上記視聴履歴DBに保存するものであり,
上記動画配信サイトは,動画の配信に付随するデータベースとして,コンテンツDB,コメント共有DB,及び視聴履歴DBを備え,当該コンテンツDBは公開する動画データを保存するデータベースであり,上記コメント共有DBは,動画データに付加されたコメントを保存し複数のユーザで共有するためのデータベースであり,上記視聴履歴DBは,配信した動画データの視聴履歴情報を保存するデータベースであり,
また,上記動画配信サイトは,配信する動画データに対して,パスワードロックや視聴回数制限や視聴期間制限などの再生制限情報を付加,設定することができ,上記動画配信サイトで設定された視聴有効期限については,ローカルプレーヤとしての上記動画管理再生アプリケーションでは変更不可能であり,その期限を過ぎた動画データは再生不能となり,そして,上記動画管理再生アプリケーションが,動画データを視聴有効期限内に視聴した旨を示す視聴履歴を,インターネット上の視聴履歴管理サーバなどにアップロードしたことを条件として,動画データの視聴有効期限を変更し,ユーザに,その動画データの続きを提供する,或いは続きの部分の視聴を許可するものであり,同様に,動画データの視聴履歴のアップロードを条件として他の動画データをダウンロード可能となるように配信設定することも可能であり,例えば,ログインしているユーザを特定し,そのログインユーザがどのような視聴履歴を,その動画配信サイトに対して過去にアップロードしているかを確認し,そのアップロードされた視聴履歴に応じて,ダウンロードを許可する動画データを選択し,ユーザに提示するものであり,
ユーザがダウンロードする全ての動画管理再生アプリケーションには,それぞれ固有のフィルタを設け,上記動画配信サイトは,動画データをダウンロードさせる際に,ユーザのログインIDから,そのユーザが利用している上記動画管理再生アプリケーションに固有のフィルタがどういったものなのかを判断し,そして,上記動画配信サイトは,その固有のフィルタに対応する逆フィルタを予め動画データに付加してダウンロードさせて,ダウンロードした動画データを,そのユーザ固有の上記動画管理再生アプリケーションでしか視聴することができなくなるよう制限することができるものであり,
上記ユーザPCは,画像処理システム全体を制御する演算手段としての中央処理ユニットであるCPU,ROM,RAM,OS(オペレーションシステム)や各種データベースの他に上記動画管理再生アプリケーションを備える記憶手段としてのハードディスクであるHD,I/O,及び,通信手段として通信部を備えるものであり,上記動画管理再生アプリケーションは,動画データを管理し再生する動画管理再生プログラムであって,演算手段としての上記CPU,記憶手段としての上記HD,及び通信手段としての上記通信部を含むコンピュータによって実行されるものであり,
上記動画管理再生アプリケーションを実行した場合のディスプレイに表示されるユーザインタフェース群は,オープニング画面を中心として,設定画面,動画再生画面,動画詳細情報表示画面,及び動画サイト画面への遷移が可能であって,
上記設定画面においては,上記動画配信サイトごとのログイン用情報を設定しておくことができ,上記動画配信サイトに接続する度にユーザにログイン用情報の入力を求める必要を回避することもできるものであり,
上記動画再生画面には,動画再生画面の下に,コメント入力タブ,コメント履歴タブ,お気に入り/評価/関連タブが設けられ,コメントを上記動画配信サイトにアップロードする場合については,公開,非公開を選択することができるものである,
方法。」

(3-2-2)引用文献2

原査定で引用された,本願優先日前に頒布された刊行物である,特開2003-228520号公報(以下,「引用文献2」という。)には,図面とともに次の事項が記載されている。

ク.「【0011】本発明は,デジタル資産に対して常にパーベイシブ・セキュリティを与える方法,システム,アーキテクチャ及びソフトウェア製品に係わり,特に,企業環境に適している。一般的に,パーベイシブ・セキュリティとは,デジタル資産が常に保護され,適切なアクセス権限若しくは特権を付与された認証されたユーザだけによってアクセスされ得ることを意味する。ここで,デジタル資産の例として,多種多様な文書,マルチメディアファイル,データ,実行可能コード,画像及びテキストが含まれるが,これらの例に限定されるものではない。
【0012】本発明の一局面によれば,サーバ・コンピュータで実行可能なサーバ・モジュールは,アクセス制御マネージメントの下で保護された保護文書にアクセスする必要のあるユーザのグループ,ソフトウェアエージェント,若しくは,デバイスに対してアクセス制御(AC)マネージメントを行うように構成される。サーバ・モジュール内では,保護文書に対する各種のアクセス規則,及び/又は,ユーザ若しくはソフトウェアエージェントに対するアクセス特権が作成され,更新され,管理されるので,適当なアクセス特権をもつユーザ,ソフトウェアエージェント,若しくは,デバイスは,保護文書内の対応したアクセス規則によって許可されるならば,保護文書にアクセスすることができる。一実施例によれば,保護文書には,ヘッダ及び暗号化されたデータ部(暗号データ部)が含まれる。ヘッダは,暗号データ部へのアクセスを制御するための暗号化されたセキュリティ情報(暗号セキュリティ情報)を含む。暗号セキュリティ情報を復号するためには,認証されたユーザに関連したユーザ鍵を取得しなければならない。セキュリティ情報を利用できるようになると,アクセス規則がセキュリティ情報から取得され,保護文書にアクセスしているユーザのアクセス特権と比較される。この比較に合格すると,ファイル鍵がセキュリティ情報から取得され,暗号データ部を復号化するため使用され,続いて,ユーザは保護文書の保護されていないクリア文書を入手できるようになる。
(中略)
【0024】〔デジタル資産〕デジタル資産は,様々なタイプの文書,マルチメディアファイル,ストリーミングデータ,動的若しくは静的データ,実行可能コード,画像,並びに,テキストを含む電子データのタイプを定義するが,これらの例に限定されるものではない。」

ケ.「【0039】一実施例によれば,クライアント・コンピュータ100には,本発明の一実施例のリンク及びコンパイルされたバーション,又は,インタープリットされたバーションであるクライアント・モジュールがロードされ,クライアント・コンピュータ100は,データネットワーク(すなわち,インターネット若しくはローカル・エリア・ネットワーク)を解してサーバ104若しくは106と通信する機能を備えている。別の実施例によれば,クライアント・コンピュータ100は,私設リンクを経由してサーバ104に接続される。後述するように,オーサリングツールによって作成された文書は,詳述されるクライアント・モジュールによって保護処理される。クライアント・モジュールは,実行されると,保護文書が記憶装置(例えば,ハードディスク若しくはその他のデータリポジトリ(保管場所))で常に保護されることを保証するように構成される。本発明によれば,文書は,保護モードで保存され,適当なアクセス特権が与えられたユーザだけによってアクセスされる。一般的に,ユーザのアクセス特権には,閲覧許可,コピー許可,印刷許可,編集許可,転送許可,アップロード/ダウンロード許可,及び,ロケーション(場所)許可が含まれるが,これらの例に限定されるわけではない。」

コ.「【0126】図6Aは,中央サーバ500又はローカル・サーバ570に組み込まれるユーザ認証処理600のフローチャートである。上述のように,ネットワーク接続されたクライアント装置への初期ログインと,保護文書への最初のアクセスの少なくとも2通りの状況で処理600が要求される。いずれかの状況が出現したとき,クライアント装置内のクライアント・モジュールは,処理600をスタートさせるため,アクセス制御マネージメントを行うモジュールを動かすサーバに送られた要求を開始する。
【0127】ステップ602において,サーバは要求を待ち受ける。クライアント装置から要求を受信すると,サーバは,ステップ604へ進み,ユーザと,ユーザが保護文書にアクセスするため使用するクライアント装置とが,認証済みであるか銅か(当審注:「どうか」の誤記と認められる。)を判定する。両方が既に認証されている場合,ユーザ若しくはクライアント装置に対してこれ以上の認証処理がなされることはない。これに対して,ユーザとクライアント装置が未だ認証されていないとき,認証処理が続けられる。一実施例によれば,サーバは,サーバとクライアント装置の両方が公開ネットワークに接続されている場合には,クライアント装置との間で安全なリンクを確立する。このようなリンクは,HTTPSを利用するか,又は,VPNを通じてサポートされる。或いは,別の認証手段が利用されている場合には,クライアント装置とサーバの間に直接リンクが確立される。
【0128】ステップ606において,サーバは,認証応答と共に受信された要求に応答する。実施形態に応じて,このような応答は,クライアント装置のスクリーンに表示されるべきダイアログ・ボックス,コマンド,或いは,その他の要求である。何れのケースでも,この応答は,資格情報がユーザによって与えられることを要求する。上述の如く,資格情報は,ユーザ名とパスワードの組,又は,ユーザの生物測定情報などであり,認証処理が先へ進む前に,ステップ608でユーザから受け取る必要がある。
【0129】ステップ610において,資格情報を受信したとき,サーバは,ユーザがリポジトリ,ローカル記憶装置,サーバ自体,又は,ネットワーク経由でアクセス可能なその他の装置に保持された保護文書にアクセスすることを許可されたユーザであるかどうかを判定する必要がある。この判定には,受け取った資格と,サーバに予め記憶されているものとの照合が含まれる。尚,サーバは,中央サーバでもローカル・サーバでも構わない。当業者に明らかであるように,この解説は,どちらの状況でも同じように当てはまる。照合に失敗した場合,すなわち,ユーザが認証されていない場合,処理600は先頭へ戻り,要求の待ち受けを続ける。換言すると,保護文書へのアクセス,又は,システムへのログインのための現在の要求は放棄される。商号に成功した場合,ユーザは認証されたユーザであると認められる。
【0130】同時に,クライアント装置は,おそらく,そのIPアドレス,又は,ネットワーク・カード識別情報,又は,クライアント装置を個別に識別するその他の手段によって類似した認証を受ける。
【0131】ユーザとクライアント装置の両方が認証された場合,処理600はステップ612へ進み,ユーザのアクセス特権が取り出され,有効な状態にされる。実施形態に応じて,ユーザのアクセス特権を有効にすることは,アクセス特権を含むファイルをクライアント装置へダウンロードすること,アクセス特権を含むローカル・ファイルを復号化すること,又は,単にサーバのメモリ空間内でユーザを有効な状態にすることである。何れのケースでも,このポイントで,ユーザのアクセス特権は,容易にアクセス可能であり,ユーザは認証されたクライアント装置から保護文書にアクセスすることが許可される。
【0132】一実施例によれは,XML-RPCが,サーバ(例えば,ローカル・サーバ若しくは中央サーバ)とクライアント装置との間の通信を容易に実現するため使用される。XML-RPCは,HTTPを用いてリモート・プロシージャ・コールを行うための簡単且つポータブルな方法である。XML-RPCは,Perl,Jave,Python,C,C++,PHP,及び,その他のプログラミング言語と共に使用することが可能である。更に,XML-RPCは,異なるオペレーティングシステムで動くソフトウェア,異なる環境で動くソフトウェアに,データネットワークを介するプロシージャ・コールを行わせることが可能である。これは,トランスポートとしてHTTPを使用し,エンコーディングとしてXMLを使用するリモート・プロシージャ・コールである。XML-RPCは,できるだけ簡単になるように設計され,一方,複雑なデータ構造の伝送,処理及び返送を可能にする。」

(3-2-3)引用文献3

原査定で引用された,本願優先日前に頒布された刊行物である,特開2009-181461号公報(以下,「引用文献3」という。)には,図面とともに次の事項が記載されている。

サ.「【0001】
この発明は,情報管理システム,ユーザ端末,情報管理方法および情報管理装置に関し,特に,ユーザ端末に保存された情報に対して,アクセスできるアプリケーションとアクセス手段を限定することにより,情報の管理を行なう情報管理システム,ユーザ端末,情報管理方法および情報管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来,重要な情報を扱う手段として,大きく2つの手段が存在している。第一の手段としては,重要な情報をサーバ側で管理し,ユーザ端末をサーバに接続しないと使えないように構成し,ユーザ端末には情報を格納させない,シンクライアント型と呼ばれるシステムで運用する方法がある。
【0003】
また,第二の手段としては,ユーザ端末に情報を格納させて,ユーザ端末で情報の管理を行なうことを許すが,情報の格納されているハードディスクを丸ごと暗号化して保護する,または,重要な情報が格納されている一部の格納領域を暗号化することにより保護するといった手段(特許文献1参照),および,リムーバブルメディアへの書込みをユーザ端末が出来なくするといった手段がある(特許文献2参照)。
(中略)
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで,上記したユーザ端末に情報を格納させないシンクライアント型のシステムでは,ユーザ端末がネットワーク接続ができない環境にある場合には,サーバ側が管理している情報を利用することができないという問題がある。また,ネットワークの速度が遅い場合には,プレゼンに十分な性能を出せないなどの問題や,サーバ側が管理している情報をユーザ端末に持ち出す必要がある場合には,シンクライアント型を利用できないという問題がある。
【0006】
また,上記したハードディスクを丸ごと暗号化する,またはリムーバブルメディアへの書込みを禁止してユーザ端末で情報の管理を行う方法では,E-Mail等によるユーザの故意による情報漏洩の危険性があるので,安全に情報を管理することができないという問題がある。
【0007】
そこで,この発明は,上述した従来技術の課題を解決するためになされたものであり,ユーザ端末で情報の管理を行なえるようにしつつ,安全に情報を管理することを目的とする。」

シ.「【0029】
ここで,図5を用いて,サーバ接続時におけるダウンロード専用アプリケーション11aの具体的な処理を説明する。ダウンロード専用アプリケーション11aは,ダウンロード専用アプリでダウンロードファイルを指定し,ユーザ認証を行なうと,サーバからファイルがダウンロードできるようになる。この時に,サーバ20側では,ダウンロード専用アプリ11aによりダウンロードされた情報に対して,何時,誰が,どの端末に情報を格納したかを情報管理データベース21に格納し,さらに,その情報をいつまでユーザ端末10に保存して良いかを示す格納期限の情報を格納する(図3参照)。
【0030】
その後,サーバ20は,ダウンロード専用アプリ11aによりアクセスが行なわれた時に,ファイルのダウンロードと共に,格納期限を超過したファイルを削除ファイルとして指定する。そして,ダウンロード専用アプリ11aは,ダウンロードされた保護形式ファイルを格納するとともに,削除ファイル指定を受け取ると,専用領域に格納されている削除ファイル指定で指定されたファイルを削除し,サーバに削除をした旨を通知する。これにより,サーバの情報管理データベース21の削除日時を設定することにより,サーバ20側で情報が削除されたことを確認できるようになる。」

(3-3)対比

本件補正発明と引用発明とを対比する。

(3-3-1)引用発明の「ユーザPC」は,本件補正発明の「ユーザデバイス」に相当し,引用発明の「動画管理再生アプリケーション」は,上記「ユーザPC」である「コンピュータ」に「インストール」されているものであるから,本件補正発明の上記「ユーザデバイス」が有する「クライアントアプリケーション」に相当する。
また,引用発明の「動画データ」は,上記「動画管理再生アプリケーション」により,「インターネット上の複数の動画サイトから」「ダウンロード」され,上記「ユーザPC」に付随する「コンテンツデータベースに登録」され,「リスト表示」され,「様々な情報を付加してユーザに提供」されるものであり,そうすると,上記「動画データ」は,上記一連のフローからなる「方法」により,上記「動画管理再生アプリケーション」を「インストール」した上記「ユーザPC」上での使用を制御されているといえ,本件補正発明の「ファイル」に相当するといえる。

(3-3-2)そして,引用発明の上記「動画管理再生アプリケーション」は,「動画データを管理し再生する動画管理再生プログラムであって,演算手段としての上記CPU,記憶手段としての上記HD,及び通信手段としての上記通信部を含むコンピュータによって実行されるものであ」ることから,上記一連のフローからなる「方法」は,「コンピュータ」である上記「ユーザPC」による上記「動画管理再生アプリケーション」の実行によりなされるものであり,「コンピュータ実装」されたものであるといえる。
そうすると,引用発明である,「ユーザPC」による上記「動画管理再生アプリケーション」の実行によりなされる,上記「動画管理再生アプリケーション」を有する上記「ユーザPC」上での上記「動画データ」に対し,「インターネット上の複数の動画サイトから動画データをダウンロードし,まとめてコンテンツデータベースに登録し,また,コンテンツデータベースの動画データをリスト表示し,様々な情報を付加してユーザに提供して,ユーザが,インターネットに接続されていないオフライン状態において,リスト表示された動画データから動画データを選択し,視聴することができるようにし,オフライン状態におけるユーザの視聴に関する情報(視聴回数など)を,ローカルの視聴履歴データベースに登録し,インターネットに接続された後に,視聴履歴管理サーバにアップロードする,方法」は,本件補正発明である,「クライアントアプリケーションを有するユーザデバイス上のファイルの使用を制御するための,コンピュータ実装される方法」に相当するといえる。

(3-3-3)引用発明の上記「動画配信サイト」は,「上記コンピュータ(ユーザPC)がインターネットに接続して,インターネット上の上記動画配信サイトにアクセス」されるものであり,「ログインしているユーザを特定」するとともに,「動画データをダウンロードさせる際に,ユーザのログインIDから,そのユーザが利用している上記動画管理再生アプリケーションに固有のフィルタがどういったものなのかを判断」し,「その固有のフィルタに対応する逆フィルタを予め動画データに付加してダウンロードさせて,ダウンロードした動画データを,そのユーザ固有の上記動画管理再生アプリケーションでしか視聴することができなくなるよう制限す」るものであるから,上記「動画管理再生アプリケーション」を有する上記「ユーザPC」による「ユーザのログインID」でのログインを認証しているといえ,そのための「ユーザのログインID」を上記「動画管理再生アプリケーション」を有する上記「ユーザPC」から伝送されているのは明らかであり,また,上記認証が行われたことをもって「動画データをダウンロードさせる」構成を備えるから,本件補正発明の「システム」に相当する。
また,引用発明の上記「ユーザのログインID」は,上述のとおり,上記「ユーザPC」から伝送される認証情報であり,「ユーザを特定」させるものであるとともに,「そのユーザが利用している動画管理再生アプリケーションに固有のフィルタがどういったものなのか」の「判断」に用いられることから,本件補正発明の「ユーザデバイスに関連付けられたユーザの少なくとも一つの識別」に相当するといえ,また,引用発明の当該「ユーザのログインID」により,「動画配信サイト」が上記「ユーザPC」によるログインを認証することは,本件補正発明の「認証情報」により,「システムが前記ユーザデバイスを認証する」ことに相当するといえる。
また,引用発明の上記「動画管理再生アプリケーション」を有する上記「ユーザPC」からの「ユーザのログインID」の上記「動画配信サイト」への伝送は,上記「動画配信サイト」が上記「ユーザPC」によるログインを認証することを可能にしているといえ,そして,当該伝送及び認証に係る処理も,上記「動画管理再生アプリケーション」を有する上記「ユーザPC」上での上記「動画データ」の使用を制御するものであり,上記(3-3-2)で述べた,上記「ユーザPC」による上記「動画管理再生アプリケーション」の実行によりなされるものといえる。
そうすると,後記する点で相違するものの,本件補正発明の「前記ユーザデバイスにより,前記ユーザデバイスの識別子と前記ユーザデバイスに関連付けられたユーザの少なくとも一つの識別とを含む認証情報をシステムに伝送し,それにより前記システムが前記ユーザデバイスを認証することを可能にするステップ」と,引用発明において,「上記コンピュータ(ユーザPC)がインターネットに接続して,インターネット上の上記動画配信サイトにアクセス」し,「上記動画配信サイト」が,「ログインしているユーザを特定」し,「動画データをダウンロードさせる際に,ユーザのログインIDから,そのユーザが利用している上記動画管理再生アプリケーションに固有のフィルタがどういったものなのかを判断し,そして,上記動画配信サイトは,その固有のフィルタに対応する逆フィルタを予め動画データに付加してダウンロードさせて,ダウンロードした動画データを,そのユーザ固有の上記動画管理再生アプリケーションでしか視聴することができなくなるよう制限する」ことは,“前記ユーザデバイスにより,前記ユーザデバイスに関連付けられたユーザの少なくとも一つの識別を含む認証情報をシステムに伝送し,それにより前記システムが前記ユーザデバイスを認証することを可能にするステップ”である点で共通している。

(3-3-4)上記(3-3-3)のとおり,引用発明の上記「動画配信サイト」は,認証が行われたことをもって「動画データをダウンロードさせる」構成を備えており,「動画データ」の当該「ダウンロード」が,認証が正しく行われた後であることから,本件補正発明の「前記システムによる認証の成功の直後に,前記ユーザデバイスにより,前記システムから前記ファイルをダウンロードする」に相当する。そして,当該認証が正しく行われた後の,「動画管理再生アプリケーション」を有する上記「ユーザPC」による「動画データ」の「ダウンロード」は,上記(3-3-2)における「ダウンロード」であるから,上記「動画管理再生アプリケーション」を有する上記「ユーザPC」上での上記「動画データ」の使用を制御するものである。
そうすると,後記する点で相違するものの,本件補正発明の「前記システムによる認証の成功の直後に,前記ユーザデバイスにより,前記システムから前記ファイルをダウンロードするステップであって,ダウンロードされる前記ファイルは,前記クライアントアプリケーションに安全に関連付けられている,ステップ」と,引用発明において,上記「動画配信サイト」が,「ログインしているユーザを特定」し,「動画データをダウンロードさせる際に,ユーザのログインIDから,そのユーザが利用している上記動画管理再生アプリケーションに固有のフィルタがどういったものなのかを判断し,そして,上記動画配信サイトは,その固有のフィルタに対応する逆フィルタを予め動画データに付加してダウンロードさせ」ることは,“前記システムによる認証の成功の直後に,前記ユーザデバイスにより,前記システムから前記ファイルをダウンロードするステップ”である点で共通している。

(3-3-5)引用発明では,「動画管理再生アプリケーション」による,上記(3-3-1)における一連のフローにより,「ユーザは,インターネットに接続されていないオフライン状態において,リスト表示された動画データから動画データを選択し,視聴することができ」るものとなっていて,これは,「ユーザ」の「視聴」を許可することといえ,また,この場合の「ユーザ」は,「オフライン状態」で「動画データ」を視聴しようする「ユーザ」であるとともに,「動画データをダウンロードさせる際」に,上記(3-3-3)において,上記「動画配信サイト」が上記「ユーザPC」によるログインを認証する際に用いた「ユーザのログインID」により特定される「ユーザ」であるから,本件補正発明の「オフラインユーザ」であり,「ユーザデバイスに関連付けられた少なくとも一人の識別された前記ユーザ」に相当する。そして,当該視聴に係る処理も,上記「動画管理再生アプリケーション」を有する上記「ユーザPC」上での上記「動画データ」の使用を制御するものであり,上記(3-3-2)で述べた,上記「ユーザPC」による上記「動画管理再生アプリケーション」の実行によりなされるものといえる。
そうすると,後記する点で相違するものの,本件補正発明の「前記ユーザデバイスが前記システムから切断されている間,前記ユーザデバイスに関連付けられた少なくとも一人の識別された前記ユーザが前記ファイルに安全にアクセスすることを前記クライアントアプリケーションを介して許可するステップであって,前記少なくとも一人の識別されたユーザは,オフラインユーザであり,前記安全にアクセスすることは,前記オフラインユーザが前記クライアントアプリケーションに認証されている場合に前記クライアントアプリケーションが前記ファイルにアクセスすることを許可することを含む,ステップ」と,引用発明において,上記(3-3-1)における一連のフローにより,「ユーザは,インターネットに接続されていないオフライン状態において,リスト表示された動画データから動画データを選択し,視聴することができ」るようにすることは,“前記ユーザデバイスが前記システムから切断されている間,前記ユーザデバイスに関連付けられた少なくとも一人の識別された前記ユーザが前記ファイルにアクセスすることを前記クライアントアプリケーションを介して許可するステップであって,前記少なくとも一人の識別されたユーザは,オフラインユーザである,ステップ”である点で共通している。

(3-3-6)引用発明では,「動画管理再生アプリケーションは,上記動画配信サイトにアクセスして動画データをダウンロードし,上記コンテンツDBに保存する機能を備え,また,ダウンロードした動画データを,ダウンロード元情報などと共に管理し,選択可能にリスト表示し,更に,選択された動画データを再生する機能や,再生した動画データに対し,所望のタイミング及び位置にコメントを付加する機能を備え,付加されたコメントの内容を,その付加のタイミング情報及び位置情報と共に上記コメントDBに保存」するものであり,当該「動画データ」に対し「付加」する「コメント」,及び,当該「コメント」を保存する「コメントDB」が,本件補正発明の「ファイルに対応するノート」,及び,「ローカル記憶エリア」に相当し,引用発明の上記「コメントDB」は,「動画データ」を保存する「コンテンツDB」とは別の構成であるから,「動画データ」とは別に記憶しているといえる。そして,当該保存に係る処理も,上記「動画管理再生アプリケーション」を有する上記「ユーザPC」上での上記「動画データ」の使用を制御するものであり,上記(3-3-2)で述べた,上記「ユーザPC」による上記「動画管理再生アプリケーション」の実行によりなされるものといえる。
そうすると,引用発明において,上記「動画管理再生アプリケーションは,上記動画配信サイトにアクセスして動画データをダウンロードし,上記コンテンツDBに保存する機能を備え,また,ダウンロードした動画データを,ダウンロード元情報などと共に管理し,選択可能にリスト表示し,更に,選択された動画データを再生する機能や,再生した動画データに対し,所望のタイミング及び位置にコメントを付加する機能を備え,付加されたコメントの内容を,その付加のタイミング情報及び位置情報と共に上記コメントDBに保存」することは,本件補正発明の「前記ユーザデバイスにより,前記ファイルに対応するノートをローカル記憶エリアに前記ファイルとは別に記憶するステップ」に相当するといえる。

(3-3-7)上記(3-3-6)における,引用発明の「コメントDB」に保存した「コメント」について,引用発明では,「動画配信サイトは,動画の配信に付随するデータベースとして,コンテンツDB,コメント共有DB,及び視聴履歴DBを備え,上記コンテンツDBは公開する動画データを保存するデータベースであり,上記コメント共有DBは,動画データに付加されたコメントを保存し複数のユーザで共有するためのデータベースであ」るとともに,「動画管理再生アプリケーションを実行した場合のディスプレイに表示されるユーザインタフェース群」である「動画再生画面には,動画再生画面の下に,コメント入力タブ,コメント履歴タブ,お気に入り/評価/関連タブが設けられ,コメントを上記動画配信サイトにアップロードする場合については,公開,非公開を選択することができるものである」から,上記「動画管理再生アプリケーション」は,「コメント」を「動画配信サイト」の「コメント共有DB」に「アップロードする」ための機能,すなわち伝送する機能を有しており,そして,当該アップロードに係る処理も,上記「動画管理再生アプリケーション」を有する上記「ユーザPC」上での上記「動画データ」の使用を制御するものであり,上記(3-3-2)で述べた,上記「ユーザPC」による上記「動画管理再生アプリケーション」の実行によりなされるものといえる。
そうすると,引用発明において,上記「動画配信サイトは,動画の配信に付随するデータベースとして,コンテンツDB,コメント共有DB,及び視聴履歴DBを備え,上記コンテンツDBは公開する動画データを保存するデータベースであり,上記コメント共有DBは,動画データに付加されたコメントを保存し複数のユーザで共有するためのデータベースであ」るとともに,「動画管理再生アプリケーションを実行した場合のディスプレイに表示されるユーザインタフェース群」である「動画再生画面には,動画再生画面の下に,コメント入力タブ,コメント履歴タブ,お気に入り/評価/関連タブが設けられ,コメントを上記動画配信サイトにアップロードする場合については,公開,非公開を選択することができるものである」ことは,本件補正発明の「前記ユーザデバイスにより,前記ノートの少なくとも一部分を前記システムに伝送するステップ」に相当するといえる。

上記(3-3-1)?(3-3-7)の対比によれば,引用発明と本件補正発明とは次の点で一致し,そして相違する。

〈一致点〉
「クライアントアプリケーションを有するユーザデバイス上のファイルの使用を制御するための,コンピュータ実装される方法であって,
前記ユーザデバイスにより,前記ユーザデバイスに関連付けられたユーザの少なくとも一つの識別を含む認証情報をシステムに伝送し,それにより前記システムが前記ユーザデバイスを認証することを可能にするステップと,
前記システムによる認証の成功の直後に,前記ユーザデバイスにより,前記システムから前記ファイルをダウンロードするステップと,
前記ユーザデバイスが前記システムから切断されている間,前記ユーザデバイスに関連付けられた少なくとも一人の識別された前記ユーザが前記ファイルにアクセスすることを前記クライアントアプリケーションを介して許可するステップであって,前記少なくとも一人の識別されたユーザは,オフラインユーザである,ステップと,
前記ユーザデバイスにより,前記ファイルに対応するノートをローカル記憶エリアに前記ファイルとは別に記憶するステップと,
前記ユーザデバイスにより,前記ノートの少なくとも一部分を前記システムに伝送するステップと
を含む,方法。」

〈相違点1〉
前記ユーザデバイスにより,前記ユーザデバイスに関連付けられたユーザの少なくとも一つの識別を含む認証情報をシステムに伝送し,それにより前記システムが前記ユーザデバイスを認証することを可能にするステップに関し,
本件補正発明では,伝送する認証情報には,「ユーザデバイスの識別子」が含まれるのに対し,
引用発明では,認証情報には上記「ユーザデバイスの識別子」に相当する情報が含まれるとは特定されていない点。

〈相違点2〉
システムによる認証の成功の直後に,前記ユーザデバイスにより,前記システムから前記ファイルをダウンロードするステップに関し,
本件補正発明では,ダウンロードされる前記ファイルが,「前記クライアントアプリケーションに安全に関連付けられている」のに対し,
引用発明においてダウンロードされる動画データには,そのような特定がされていない点。

〈相違点3〉
ユーザデバイスがシステムから切断されている間,前記ユーザデバイスに関連付けられた少なくとも一人の識別された前記ユーザが前記ファイルにアクセスすることを前記クライアントアプリケーションを介して許可するステップに関し,
本件補正発明では,許可するのはユーザがファイルに「安全にアクセスすること」であり,「前記安全にアクセスすることは,前記オフラインユーザが前記クライアントアプリケーションに認証されている場合に前記クライアントアプリケーションが前記ファイルにアクセスすることを許可することを含む」のに対し,
引用発明では,動画管理再生アプリケーションがオフライン状態でユーザに動画データを視聴させる態様について,そのような特定がされていない点。

〈相違点4〉
本件補正発明は,「前記ユーザデバイスにより,前記クライアントアプリケーション外での前記ファイルの変更,前記ファイルの印刷および前記ファイルのオープンを防止するステップ」を有するのに対し,
引用発明では,そのようなステップは特定されていない点。

〈相違点5〉
本件補正発明は,「前記ユーザデバイスにより,前記システムによる命令にしたがって前記ユーザデバイスから前記ファイルを除去するステップ」を有するのに対し,
引用発明では,そのようなステップを有しない点。

(3-4)相違点についての当審判断

〈相違点1〉及び〈相違点3〉について

本件補正発明は,

ア.「システムから前記ファイルをダウンロードする」前には,「前記ユーザデバイスの識別子と前記ユーザデバイスに関連付けられたユーザの少なくとも一つの識別とを含む認証情報」により,「システム」が「ユーザデバイスを認証」するとともに,
イ.「ユーザデバイスが前記システムから切断されている間」には,「前記ユーザデバイスに関連付けられた少なくとも一人の識別された前記ユーザ」である「オフラインユーザ」が,「前記クライアントアプリケーションに認証されている場合に前記クライアントアプリケーションが前記ファイルにアクセスすることを許可する」ものであり,「クライアントアプリケーション」による「認証」がなされれば,上記「オフラインユーザ」は「ファイルに安全にアクセスすること」が「許可」されたことになる,

ものであるが,
〈相違点3〉に係る構成である,上記イ.の「システムから切断されている間」での「クライアントアプリケーション」により行われる「認証」とは,上記ア.の「システム」が行う「認証」とは異なり,上記「システム」から切断されている「ユーザデバイス」が有する「クライアントアプリケーション」が行うユーザ認証であるといえ,それにより「ユーザデバイス」に「ダウンロード」された「ファイル」への「アクセス」を「安全」なものとなるよう制限しているものと認められる。
それに対し,引用発明では,オフライン状態でユーザに動画データを視聴させる場合の「動画管理再生アプリケーション」の態様について,特定されていないものの,「動画配信サイトは,配信する動画データに対して,パスワードロック」等を「付加,設定」していることからして,オフライン状態で上記「動画管理再生アプリケーション」を介して動画データを視聴する際にも,動画データのロックを解除するため,ユーザからのパスワードを用いた認証を当然に要しているものと解され,また,引用発明では,「ユーザがダウンロードする全ての動画管理再生アプリケーションには,それぞれ固有のフィルタを設け,上記動画配信サイトは,動画データをダウンロードさせる際に,ユーザのログインIDから,そのユーザが利用している上記動画管理再生アプリケーションに固有のフィルタがどういったものなのかを判断し,そして,上記動画配信サイトは,その固有のフィルタに対応する逆フィルタを予め動画データに付加してダウンロードさせて,ダウンロードした動画データを,そのユーザ固有の上記動画管理再生アプリケーションでしか視聴することができなくなるよう制限」していることからみて,「動画配信サイト」から「ユーザのログインID」と対応付けるよう情報(逆フィルタ)を付加してダウンロードされてきた「動画データ」を,「そのユーザ固有の上記動画管理再生アプリケーションでしか視聴」できないようにするために,上記「そのユーザが利用している上記動画管理再生アプリケーション」は,オフライン状態においても「そのユーザが利用している」ことを当然に識別するよう構成されているものと解される。
そうすると,「動画管理再生アプリケーション」が,オフライン状態でユーザに動画データを視聴させる場合に,上記「動画管理再生アプリケーション」を「利用している」「ユーザ」を識別し,動画データのロックを解除するためのパスワード認証を要している引用発明において,オフライン状態における動画データの視聴をユーザ固有の動画データのみに制限し安全なアクセスを確保する上で,動画データに係るパスワード認証に代えて,利用ユーザの識別情報に基づいて行うユーザ認証を採用すること,すなわち相違点3に係る構成とすることは,当業者であれば容易になし得たことである。
さらに,引用発明における,「動画配信サイト」から「動画データをダウンロードさせる際」のオンライン時の認証についても,クライアント装置からのダウンロード要求をサーバにおいて認証する際に,クライアント装置から送信されるクライアント装置識別情報とユーザ識別情報とを用いて行うことは,例えば,引用文献2(特に,上記(3-2)(3-2-2)のコ.)に記載のように,周知の技術事項であり,引用発明における,「動画配信サイト」から「動画データをダウンロードさせる際」のオンライン時の認証について,同様の技術分野に属する上記周知の技術事項を適用することで,「前記ユーザデバイスの識別子と前記ユーザデバイスに関連付けられたユーザの少なくとも一つの識別とを含む認証情報」を用いるようにすること,すなわち相違点1に係る構成とすることは,当業者であれば容易に想到し得たことである。
以上から,引用発明に基づいて,上記周知の技術事項を適用することで,相違点1及び相違点3に係る構成とすることは,当業者であれば容易に想到し得たことであるといえる。

〈相違点2〉及び〈相違点4〉について

引用発明は,上記〈相違点1〉及び〈相違点3〉についての検討でも示したとおり,「ユーザがダウンロードする全ての動画管理再生アプリケーションには,それぞれ固有のフィルタを設け,上記動画配信サイトは,動画データをダウンロードさせる際に,ユーザのログインIDから,そのユーザが利用している上記動画管理再生アプリケーションに固有のフィルタがどういったものなのかを判断し,そして,上記動画配信サイトは,その固有のフィルタに対応する逆フィルタを予め動画データに付加してダウンロードさせて,ダウンロードした動画データを,そのユーザ固有の上記動画管理再生アプリケーションでしか視聴することができなくなるよう制限」していることから,「動画データをダウンロードさせる際に,ユーザのログインIDから,そのユーザが利用している」と判断された,「そのユーザ固有の上記動画管理再生アプリケーション」以外からは,上記「ダウンロード」した「動画データ」にアクセスできない以上,当然に,「動画データ」に対し「変更」,「印刷」,および,「オープン」は行えないことになる。
また,認証の結果データをダウンロードするアプリケーションに関し,不正なアプリケーションによるアクセスからデータを保護するようアクセス権を付与することで,データとそれにアクセスするアプリケーションとの関連を安全なものとすることは,周知の技術事項である。
(上記周知の技術事項については,例えば,引用文献2の段落【0039】(上記(3-2)(3-2-2)のケ.及びコ.)を参照。また,クライアント装置が保護する保存データへの制限するアクセス内容として,具体的に,変更(編集),印刷,オープン(閲覧)などがあることも,例えば,引用文献2の同段落【0039】にも示されているように,よく知られた事項である。)
そうすると,引用発明において,「動画データ」について視聴を制限するために,「そのユーザ固有の上記動画管理再生アプリケーション」以外からの「変更」,「印刷」,および,「オープン」を「防止」するよう構成するとともに,ダウンロードする当該「動画データ」を「コンテンツDB」に保存する「上記動画管理再生アプリケーション」に係る構成について,上記周知の技術事項を適用することで,ダウンロードする上記「動画データ」を,上記「コンテンツDB」を有する「動画管理再生アプリケーション」との関連を「安全」なものとすること,すなわち,相違点2及び相違点4に係る構成とすることは,当業者であれば容易に想到し得たことである。

〈相違点5〉について

クライアント装置からの要求によりサーバからダウロードしたファイルを無効化するために,サーバからの削除指示にしたがって,クライアント装置が削除することは,例えば,引用文献3(上記(3-2)(3-2-3)のサ.及びシ.)に記載のように周知の技術事項であり,一方,引用発明は,「動画配信サイトは,配信する動画データに対して,パスワードロックや視聴回数制限や視聴期間制限などの再生制限情報を付加,設定することができ,上記動画配信サイトで設定された視聴有効期限については,ローカルプレーヤとしての上記動画管理再生アプリケーションでは変更不可能であり,その期限を過ぎた動画データは再生不能とな」るものであり,「動画配信サイト」からの「視聴回数制限や視聴期間制限などの再生制限情報を付加,設定」することに基づいて,「動画管理再生アプリケーション」が「動画データ」を再生不能として無効化しているといえる。
そうすると,引用発明において,当該「動画配信サイト」からの指定に基づく「動画データ」の無効化として,上記周知の技術事項を適用することで,「動画データ」の除去に変更すること,すなわち,相違点5に係る構成とすることは,当業者であれば容易に想到し得たことである。

そして,本件補正発明の構成により奏する効果も引用発明,及び,周知の技術事項から当然予測される範囲内のもので格別顕著なものとは認められない。

よって,本件補正発明は引用発明及び周知の技術事項に基いて当業者が容易に発明することができたものである。

(3-5)小括

以上のとおり,本件補正発明は,本願優先日前に日本国内又は外国において,頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により,独立して特許を受けることができないものである。

3. むすび

したがって,上記補正事項1を含む本件補正は,特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって,上記補正却下の決定の結論のとおり決定する。


第3 本願発明について

1.本願発明

平成29年5月25日付けの手続補正は前記のとおり却下されたので,本願の請求項1に係る発明は,平成26年5月23日付の国際出願翻訳文提出書に添付された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。(再掲する。以下「本願発明」という。)

「ユーザデバイス上のファイルの使用を制御するための,コンピュータ実装される方法であって,
前記ユーザデバイスにより,前記ユーザデバイスの識別子と前記ユーザデバイスに関連付けられたユーザの少なくとも一つの識別とを含む認証情報をシステムに伝送するステップと,
前記システムによる認証の成功の直後に,前記ユーザデバイスにより,前記システムから前記ファイルをダウンロードするステップと,
前記ユーザデバイスにより,前記ファイルのアクセスを前記ユーザデバイスのクライアントアプリケーションに制限するステップと,
前記ユーザデバイスにより,前記クライアントアプリケーション外での前記ファイルの変更,前記ファイルの印刷および前記ファイルのオープンを防止するステップと,
前記ユーザデバイスにより,前記ファイルに対応するノートをローカル記憶エリアに前記ファイルとは別に記憶するステップと,
前記ユーザデバイスにより,前記ノートの少なくとも一部分を前記システムに伝送するステップと,
前記ユーザデバイスにより,前記システムによる命令にしたがって前記ユーザデバイスから前記ファイルを除去するステップと
を含む,方法。」

2.引用文献

原審の拒絶の理由に引用された,本願優先日前に頒布された刊行物である前記引用文献には,前記第2の2.(3)(3-2)の(3-2-1)?(3-2-3)で摘記した事項が記載されている。

3.対比

上記第2の2.(2)によれば,本願発明は,前記第2の2.(3)で検討した本件補正発明において,

ア.「クライアントアプリケーションを有するユーザデバイス上のファイルの使用を制御するための,コンピュータ実装される方法」を
「ユーザデバイス上のファイルの使用を制御するための,コンピュータ実装される方法」と変更し,

イ.「前記ユーザデバイスにより,前記ユーザデバイスの識別子と前記ユーザデバイスに関連付けられたユーザの少なくとも一つの識別とを含む認証情報をシステムに伝送し,それにより前記システムが前記ユーザデバイスを認証することを可能にするステップ」を
「前記ユーザデバイスにより,前記ユーザデバイスの識別子と前記ユーザデバイスに関連付けられたユーザの少なくとも一つの識別とを含む認証情報をシステムに伝送するステップ」と変更し,

ウ.「前記システムによる認証の成功の直後に,前記ユーザデバイスにより,前記システムから前記ファイルをダウンロードするステップであって,ダウンロードされる前記ファイルは,前記クライアントアプリケーションに安全に関連付けられている,ステップ」を
「前記システムによる認証の成功の直後に,前記ユーザデバイスにより,前記システムから前記ファイルをダウンロードするステップ」と変更し,

エ.「前記ユーザデバイスが前記システムから切断されている間,前記ユーザデバイスに関連付けられた少なくとも一人の識別された前記ユーザが前記ファイルに安全にアクセスすることを前記クライアントアプリケーションを介して許可するステップであって,前記少なくとも一人の識別されたユーザは,オフラインユーザであり,前記安全にアクセスすることは,前記オフラインユーザが前記クライアントアプリケーションに認証されている場合に前記クライアントアプリケーションが前記ファイルにアクセスすることを許可することを含む,ステップ」を
「前記ユーザデバイスにより,前記ファイルのアクセスを前記ユーザデバイスのクライアントアプリケーションに制限するステップ」と変更するものである。

このうち,上記エ.について,前記第2の2.(3)(3-2)の(3-3-5)を踏まえると,引用発明における,「その固有のフィルタに対応する逆フィルタを予め動画データに付加してダウンロードさせて,ダウンロードした動画データを,そのユーザ固有の上記動画管理再生アプリケーションでしか視聴することができなくなるよう制限す」ることは,「動画データ」へのアクセスを「そのユーザ固有の上記動画管理再生アプリケーション」に制限することであるから,本願発明の「前記ユーザデバイスにより,前記ファイルのアクセスを前記ユーザデバイスのクライアントアプリケーションに制限するステップ」に相当する。

そうすると,本願発明と,引用発明との,一致点,及び,相違点は,次のとおりである。

<一致点>

「ユーザデバイス上のファイルの使用を制御するための,コンピュータ実装される方法であって,
前記ユーザデバイスにより,前記ユーザデバイスに関連付けられたユーザの少なくとも一つの識別を含む認証情報をシステムに伝送するステップと,
前記システムによる認証の成功の直後に,前記ユーザデバイスにより,前記システムから前記ファイルをダウンロードするステップと,
前記ユーザデバイスにより,前記ファイルのアクセスを前記ユーザデバイスのクライアントアプリケーションに制限するステップと,
前記ユーザデバイスにより,前記ファイルに対応するノートをローカル記憶エリアに前記ファイルとは別に記憶するステップと,
前記ユーザデバイスにより,前記ノートの少なくとも一部分を前記システムに伝送するステップと
を含む,方法。」

<相違点a>
前記ユーザデバイスにより,前記ユーザデバイスに関連付けられたユーザの少なくとも一つの識別を含む認証情報をシステムに伝送するステップに関し,
本願発明では,伝送する認証情報には,「ユーザデバイスの識別子」が含まれるのに対し,
引用発明では,認証情報には上記「ユーザデバイスの識別子」に相当する情報が含まれるとは特定されていない点。

<相違点b>
本願発明は,「前記ユーザデバイスにより,前記クライアントアプリケーション外での前記ファイルの変更,前記ファイルの印刷および前記ファイルのオープンを防止するステップ」を有するのに対し,
引用発明では,そのようなステップは特定されていない点。

<相違点c>
本願発明は,「前記ユーザデバイスにより,前記システムによる命令にしたがって前記ユーザデバイスから前記ファイルを除去するステップ」を有するのに対し,
引用発明では,そのようなステップを有しない点。

4.当審の判断

本願発明と引用発明との間の<相違点a>,<相違点b>,<相違点c>は,本件補正発明と引用発明との間の<相違点1>,<相違点4>,<相違点5>と同等のものであるから,本願発明と引用発明との間の<相違点a>,<相違点b>,<相違点c>は,前記第2の2.(3)(3-4)において検討したとおり,格別のものではない。

そして,これらの相違点を総合的に勘案しても,本願発明の奏する作用効果は,上記引用発明及び周知の技術事項の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず,格別顕著なものということはできない。

したがって,本願発明は,上記引用発明,及び,周知の技術事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.むすび

以上のとおり,本願発明は,本願優先日前に日本国内又は外国において,頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから,他の請求項について判断するまでもなく,本願は,拒絶すべきものである。

よって,結論のとおり審決する。

<付記>

なお,請求人は,平成29年9月27日付け上申書において補正案を提示しているが,前記補正案には,その請求項1を参照すると,本件補正発明の「前記ユーザデバイスが前記システムから切断されている間,前記ユーザデバイスに関連付けられた少なくとも一人の識別された前記ユーザが前記ファイルに安全にアクセスすることを前記クライアントアプリケーションを介して許可するステップであって,前記少なくとも一人の識別されたユーザは,オフラインユーザであり,前記安全にアクセスすることは,前記オフラインユーザが前記クライアントアプリケーションに認証されている場合に前記クライアントアプリケーションが前記ファイルにアクセスすることを許可することを含む,ステップ」について,「オフラインユーザが前記クライアントアプリケーションに認証されている場合」を,「オフラインユーザが前記ユーザの前記少なくとも一つの識別を使用する前記クライアントアプリケーションに認証されている場合」に限定し,「前記安全にアクセスすること」について「前記ユーザの前記少なくとも一つの識別により定義される前記ファイルに対するアクセスモードを含み,前記アクセスモードは,リードオンリーモード及びノートモードのうちの一つである」との限定を加えるものであるが,いずれも,請求項1の他の記載においてすでに示されているか,または,「ファイル」に対する請求項1の他で記載されたアクセス形態を「モード」として付記したにとどまるものであるから,前記補正案によっても,依然として,当業者が容易になし得るものであるから,前記補正案を採用することの必要性を認めることはできない。
 
審理終結日 2018-02-16 
結審通知日 2018-02-20 
審決日 2018-03-06 
出願番号 特願2014-535810(P2014-535810)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
P 1 8・ 575- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 宮司 卓佳  
特許庁審判長 辻本 泰隆
特許庁審判官 仲間 晃
須田 勝巳
発明の名称 ネットワーク上で配信されるコンテンツへのアクセスを制御するためのシステムおよび方法  
代理人 龍華国際特許業務法人  
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