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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1342603
審判番号 不服2017-13324  
総通号数 225 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-09-08 
確定日 2018-07-26 
事件の表示 特願2016-188357号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 4月 5日出願公開、特開2018- 50763号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続きの経緯
本願は、平成28年9月27日の出願であって、平成29年2月13日付けで拒絶の理由が通知され、それに対し、同年4月18日に意見書及び手続補正書が提出され、同年6月5日付けで拒絶査定(発送日:同年6月13日)がなされ、それに対し、同年9月8日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、その審判の請求と同時に手続補正書が提出されたものである。

第2 平成29年9月8日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成29年9月8日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲の補正を含んでおり、本件補正により、特許請求の範囲の請求項1について本件補正前に、
(平成29年4月18日付け手続補正)
「【請求項1】
表示装置に表示される経時的に変化していた映像が固まったかのようにみせるフリーズ演出を実行可能な遊技機であって、
前記フリーズ演出が発生したときの静止画の態様が、当該フリーズ演出の発生の度に異なるものとなる可能性があるように構成され、
前記フリーズ演出の後、事後演出が発生するように設定されており、
前記フリーズ演出を構成する静止画の態様に拘わらず、前記事後演出の態様は同じであることを特徴とする遊技機。」
とあったものを、
(本件補正である平成29年9月8日付け手続補正)
「【請求項1】
表示装置に表示される経時的に変化していた映像が固まったかのようにみせるフリーズ演出を実行可能な遊技機であって、
前記フリーズ演出が発生したときの静止画の態様が、当該フリーズ演出の発生の度に異なるものとなる可能性があるように構成され、
前記フリーズ演出の後、前記表示装置に所定の画像が表示される事後演出が発生するように設定されており、
前記フリーズ演出を構成する前記静止画の態様に拘わらず、前記事後演出の態様はその発生の度に変化せずに一定であることを特徴とする遊技機。」
と補正するものである(下線部は補正箇所を示す。)。

2 補正の適否
本件補正のうち特許請求の範囲の請求項1についてする補正は、補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「事後演出」に関して、「前記表示装置に所定の画像が表示される」ものであることを限定し、補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「事後演出の態様」に関して、「同じである」とあったものを「その発生の度に変化せずに一定である」と限定するものである。
そして、本件補正後の請求項1に係る発明は、本件補正前の請求項1に係る発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正のうち特許請求の範囲の請求項1についてする補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。

また、本件補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面等の記載からみて、新規事項を追加するものではない。

3 独立特許要件
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか、すなわち、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するかについて、以下に検討する。

(1)本願補正発明
本願補正発明は、次のとおりのものであると認める(記号A?Dは、分説するため当審で付した。)。
「A 表示装置に表示される経時的に変化していた映像が固まったかのようにみせるフリーズ演出を実行可能な遊技機であって、
B 前記フリーズ演出が発生したときの静止画の態様が、当該フリーズ演出の発生の度に異なるものとなる可能性があるように構成され、
C 前記フリーズ演出の後、前記表示装置に所定の画像が表示される事後演出が発生するように設定されており、
D 前記フリーズ演出を構成する前記静止画の態様に拘わらず、前記事後演出の態様はその発生の度に変化せずに一定であることを特徴とする遊技機。」

(2)引用文献に記載された事項
ア 原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2013-056122号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。

・記載事項

(ア) 「【0001】
本発明は、遊技盤面が透明板で覆われて該遊技盤面を該透明板の表面側から視認可能とし、前記遊技盤面に配置された入球口への遊技球の入球に伴って遊技を進行させるパチンコ機やアレンジボール機等の弾球式の遊技機に関する。」

(イ)「【0009】
こうした本発明の遊技機において、前記入球口への遊技球の入球を契機として演出図柄の変動表示を開始し、該変動表示した後に演出図柄を停止表示する演出図柄表示装置と、前記演出図柄が当り態様で停止表示されたとき、遊技者にとって有利な特別遊技を実行する特別遊技実行手段と、を備え、前記演出実行手段は、前記停滞演出として、前記演出図柄の変動表示を進行途中で一時的に停止する演出を行なう手段であるものとすることもできる。こうすれば、停滞演出を遊技球の発射停止と演出図柄の変動表示の一時的な停止との組み合わせとして実行することができるから、停滞演出をより効果的なものとして、遊技者の興味を強く引きつけることができる。この結果、興趣の向上を図ることができる。この態様の本発明の遊技機において、前記演出実行手段は、前記停止表示における停止態様とは異なる態様をもって前記演出図柄の変動表示を進行途中で一時的に停止する演出を行なう手段であるものとすることもできる。こうすれば、演出図柄の変動表示後の通常の停止表示と停滞演出に伴う演出図柄の変動表示の一時的な停止とが区別され、停滞演出が特別な演出であると遊技者に強く印象付けることができる。」

(ウ) 「【0026】
演出表示装置34は、液晶ディスプレイなどの表示装置として構成されている。演出表示装置34は、図8に例示する画面構成に示すように、横方向に並んで配置されキャラクタや数字により構成される左,中,右の3つの演出図柄(疑似特別図柄)34L,34M,34Rと、図示しない背景図柄とを有している。この演出表示装置34は、遊技球が始動口36に入賞するのを検知したときに、この3つの演出図柄34L,34M,34Rを変動表示させる。図9に、演出表示装置34の演出図柄の変動表示および停止表示の一例を示す。演出図柄34L,34M,34Rは、変動表示が開始されると、それぞれ上から下に向かって高速でスクロールするように変動表示され、変動表示の実行時間が経過すると、左の演出図柄34L,右の演出図柄34R,中の演出図柄34Mの順に停止表示される。このとき、左の演出図柄34Lと右の演出図柄34Rとが一致しなかったときにはリーチなしの単純な外れとなり(図9(a)参照)、左の演出図柄34Lと右の演出図柄34Rとが一致したときにはリーチとなる。そして、所定のリーチ演出を伴って中の演出図柄34Mが停止したときに、中の演出図柄34Mと左右の演出図柄34L,34Rとが一致しなかったときにはリーチありの外れとなり(図9(b)参照)、中の演出図柄34Mと左右の演出図柄34L,34Rとが一致したときに大当りとなる(図9(c)参照)。この演出表示装置34で表示される演出図柄の当否の結果は、基本的には、上述した特別図柄表示装置42により表示される特別図柄の当否の結果と一致する。なお、各演出図柄34L,34M,34Rは、変動表示中では半透明の状態でスクロール変動し、停止されたときに、透明でないハッキリと見える状態で表示される。」

(エ) 「【0046】
以下、サブ制御基板90による演出処理について説明する。図23は、サブ制御基板90のCPU90aにより実行される図柄変動演出処理の一例を示すフローチャートである。図23の図柄変動演出処理が実行されると、サブ制御基板90のCPU90aは、まず、上述した図柄変動開始時コマンドを受信したか否かを判定する(ステップS600)。図柄変動開始時コマンドを受信していないときには、次のステップS612の処理に進む。一方、図柄変動開始時コマンドを受信すると、受信した図柄変動開始時コマンドを解析し、大当りか否かを判定する(ステップS602)。大当りと判定されたときには演出表示装置34での演出パターンとして大当り演出パターンを選択してこれを設定し(ステップS604)、大当りでない即ち外れと判定されたときには演出パターンとして外れ演出パターンを選択してこれを設定する(ステップS606)。ここで、演出表示装置34での演出パターンは、特別図柄の変動パターン(および変動時間)に対応するものが選択されるようになっており、特別図柄の変動パターンがフリーズ演出に対応するもの(本実施例では、特別図柄の変動パターンが図18(a)に示すパターン3か図21(a)に示すパターン18)であれば演出図柄のフリーズ演出が組み込まれた演出パターンが選択される。ここで、演出図柄のフリーズ演出とは、演出図柄の変動表示を途中で(変動時間に達する前に)一時的に停止し、その後、変動表示を再開する演出であり、遊技の進行が途中で停止した印象を遊技者に与えるための演出である。」

(オ) 「【0049】
図24は、サブ制御基板90のCPU90aにより実行されるフリーズ演出処理の一例を示すフローチャートである。フリーズ演出処理では、サブ制御基板90のCPU90aは、まず、フリーズ演出開始タイミングであるか否かを判定する(ステップS700)。フリーズ演出開始タイミングは、図柄変動演出処理のステップS604,S606で選択した演出パターンから演出開始からの経過時間(フリーズ演出開始時間)として予め知ることができる。したがって、ステップS700の判定は、演出開始からの経過時間が選択している演出パターンに対応するフリーズ演出開始時間に達しているか否かを判定することにより行なうことができる。フリーズ演出開始タイミングであると判定されると、フリーズ演出を開始し(ステップS702)、電磁石52から磁気を発生させるためにコイルへの通電がオン(図10(b)参照)とされるよう電磁石駆動基板95に駆動信号を出力する(ステップS704)。ステップS702,S704の処理は、実行している演出パターンに組み込まれた演出図柄のフリーズ演出の開始(演出図柄の一時的な変動停止)タイミングに合わせて各種スピーカ28a,28bからの音声出力が停止されるようアンプ基板92に駆動信号を出力すると共に各種LEDランプ93aが消灯するよう装飾駆動基板93に駆動信号を出力し、磁気センサ50に電磁石52の磁気を意図的に検知させて発射ハンドル18の操作に拘わらず強制的に遊技球の発射を停止する処理である。このように、フリーズ演出は、演出図柄の一時的な変動停止と、各種スピーカ28a,28bや各種LEDランプ93aの停止と、強制的な遊技球の発射の停止とを略同時に実現させる演出とすることで、遊技者の興味を強く引きつけているのである。なお、ステップS700でフリーズ演出開始タイミングではないと判定されたときには、ステップS702,S704の処理をスキップする。」

(カ) 「【0051】
図25は、フリーズ演出を伴った演出図柄の変動表示の様子を示す。図示するように、演出図柄のフリーズ演出は、3つの図柄34L,34M,34Rが半透明の状態でスクロール変動している状態(図25(a)参照)から半透明の状態を維持しつつスクロール変動を停止させることにより行なわれる(図25(b)参照)。フリーズ演出が終了すると、3つの図柄34L,34M,34Rは半透明の状態のままスクロール変動を再開する(図25(c)参照)。そして、左の図柄34L,右の図柄34R,中の図柄34Mの順にスクロール変動を停止し、スクロール変動を停止した図柄は半透明でないハッキリと見える状態となる(図25(d)?図25(f)参照)。このように、フリーズ演出を伴って一時的に停止している演出図柄と変動表示時間が経過した後に停止している演出図柄は、前者が半透明の状態で後者が半透明でないハッキリと見える状態であるから、両者を明確に区別することができ、遊技者に対してフリーズ演出が特別な演出であると強く印象付けることができる。以上、サブ制御基板90による図柄変動演出処理およびフリーズ演出処理について説明した。」

・認定事項

(キ) 上記記載事項(ア)の【0001】の記載から、引用文献1には、パチンコ機に関する発明が記載されているといえる。
また、上記記載事項(ウ)の【0026】の記載から、引用文献1には、演出表示装置34に、演出図柄34L、34M、34Rが表示されることが記載されている。
そして、上記記載事項(エ)の【0046】の「演出図柄のフリーズ演出とは、演出図柄の変動表示を途中で(変動時間に達する前に)一時的に停止し、その後、変動表示を再開する演出であり、遊技の進行が途中で停止した印象を遊技者に与えるための演出である。」との記載、上記記載事項(カ)の【0051】の「図示するように、演出図柄のフリーズ演出は、3つの図柄34L,34M,34Rが半透明の状態でスクロール変動している状態(図25(a)参照)から半透明の状態を維持しつつスクロール変動を停止させることにより行なわれる(図25(b)参照)。」との記載から、引用文献1に記載の遊技機は、演出図柄34L、34M、34Rのスクロール変動を途中で一時的に停止する演出を実行可能なものであるといえる。
よって、引用文献1には、「演出表示装置34に表示される演出図柄34L、34M、34Rのスクロール変動を途中で一時的に停止するフリーズ演出を実行可能なパチンコ機」が記載されていると認められる。

(ク) 上記(ア)、(ウ)?(カ)の記載事項、及び、上記(キ)の認定事項を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる(記号a、bは、本願補正発明の記号A、Bに対応させて付した。)。

「a 演出表示装置34に表示される演出図柄34L、34M、34Rのスクロール変動を途中で一時的に停止するフリーズ演出を実行可能なパチンコ機であって、
b 前記フリーズ演出の開始タイミングは、演出パターンからフリーズ演出開始時間として予め知ることができるようにされたパチンコ機。」

イ 原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2015-155054号公報(以下「引用文献2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。

・記載事項

(ア)「【0006】
このように、特殊な図柄がフリーズすると、遊技者は大当たりの当選について大きな期待感を抱いたり、フリーズ演出と気付かずに、大当たりが確定したのではないかと勘違いしてしまったりする。このとき、大当たりの抽選結果が実際にはハズレであった場合には、大当たり図柄が所定時間に亘って表示された後に、ハズレ図柄が停止表示されることとなるため、遊技者の期待感を大きく損ねる結果となり、演出効果ならびに遊技の興趣が著しく低下してしまう。
【0007】
本発明は、フリーズ演出を採用して演出効果を向上することができる遊技機の提供を目的とする。」

(イ) 「【0239】
演出図柄40a、40b、40cのそれぞれは、1?8の数字が記された8種類の図柄から構成されている。そして、特別図柄の変動表示中には、演出図柄40a、40b、40cのそれぞれが、8種類の図柄を縦方向にスクロール表示(変動表示)する。なお、図36(b)における矢印は、演出図柄40a、40b、40cが変動表示中(縦方向のスクロール表示中)であることを示している。そして、特別図柄の変動表示が終了して、第1特別図柄表示器80または第2特別図柄表示器82に特別図柄が停止表示するのとほぼ同じタイミングで、演出表示部50aに、全ての演出図柄40a、40b、40cが停止表示される。」

(ウ) 「【0251】
図40は、「フリーズ演出」の一例を説明する図である。変動演出の開始時には、前回の変動演出において、最終的に停止表示された演出図柄40a、40b、40cを初期図柄として演出表示部50aに表示し、これらの初期図柄から変動表示(スクロール表示)を開始するように処理が行われる。」

(エ) 「【0253】
そして、主制御基板100において特別図柄の変動表示が開始されると、通常であれば演出図柄40a、40b、40cが変動表示を開始するところ、図40(c)に示すように、演出図柄40a、40b、40cは、前回の変動表示において停止表示された図柄組み合わせパターンのまま表示され続ける。このとき、演出表示部50aに表示される背景画像に亀裂が生じるとともに、図40(d)に示すように、演出図柄40a、40b、40cが表示されたままの状態で、徐々に亀裂が大きくなるように表示される。そして、変動演出が開始してから、所定時間(例えば15秒)に亘って演出図柄40a、40b、40cがフリーズした後に、図40(e)に示すように演出表示部50aが突然ブラックアウトし、その後、上記したリーチ演出と同様の演出が行われる(図40(f)、図40(g))。
【0254】
このように、「フリーズ演出」が実行されると、演出表示部50aに、1回前の変動演出において停止表示された演出図柄40a、40b、40cが所定時間に亘って表示されたままとなるので、演出に意外性がもたらされるとともに、その後、どのように演出が発展するのかについて期待感がもたらされることとなる。」

・認定事項

(オ) 上記記載事項(エ)の【0253】の記載及び図40から、引用文献2には、図40(c)に示されるように演出図柄を停止表示させた後、図40(d)に示されるように演出表示部50aの背景画像に大きな亀裂を表示し、その後、図40(e)に示されるように演出表示部50aをブラックアウトさせることが記載されているといえる。

(カ) 上記(イ)?(エ)の記載事項、及び、上記(オ)の認定事項を総合すると、引用文献2には、フリーズ演出に関し、演出表示部50aにおいてスクロール表示される演出図柄を停止表示させた後、前記演出表示部50aの背景画像に大きな亀裂を表示し、その後前記演出表示部50aをブラックアウトさせる技術事項(以下、「引用文献2記載の技術事項」という。)が記載されていると認められる。

(3)対比
本願補正発明と引用発明とを対比する(対比にあたっては、本願補正発明の構成A、Bと引用発明の構成a、bについて、それぞれ(a)、(b)の見出しを付して行った。)。

(a) 引用発明の「演出表示装置34」は、本願補正発明の「表示装置」 に相当する。
また、引用発明において、「演出図柄34L、34M、34R」は「途中で一時的に停止」する前に「スクロール変動」していたものであるから、本願補正発明の「経時的に変化していた画像」に相当する。
そして、「演出図柄34L、34M、34Rのスクロール変動を途中で一時的に停止」した場合には、「演出図柄34L、34M、34R」の表示が「固まったかのようにみ」えることが明らかである。
よって、引用発明の「演出表示装置34に表示される演出図柄34L、34M、34Rのスクロール変動を途中で一時的に停止する演出を実行可能なパチンコ機」は、本願補正発明の「表示装置に表示される経時的に変化していた映像が固まったかのようにみせるフリーズ演出を実行可能な遊技機」に相当する。

(b) 本願明細書の【0021】に「ここでいう「静止画」には、フリーズ演出が発生する直前の画と完全に同一である画像だけでなく、フリーズ演出に合わせた多少の改変が施された画像が含まれる。例えば、X秒に到達する直前の画に対し、ノイズのような画像が重ねられたものとしたり、若干揺れているかのように示す加工が施されたものとしたりしたもの(このように、厳密にいえば「動画」であるものの遊技者には静止画20にみえるようなもの)も含まれる。」と記載されていることを考慮すれば、引用発明の「スクロール変動を途中で一時的に停止」させられた「演出図柄34L、34M、34R」は、本願補正発明の「静止画」に含まれるといえる。
引用発明において、「フリーズ演出開始時間」は「演出パターンから」知ることができるものであるから、「演出パターン」の一部として予め決められている一定時間であると認められる。そして、前回の停止図柄からスクロール変動を開始し、一定時間(フリーズ演出開始時間)経過した時点では、スクロール変動開始時の停止図柄に対応する図柄となること、及び、前回の停止図柄は、抽選の結果を示すものであるため、停止の度に異なる図柄の組み合わせとなり得ることから、引用発明では、「スクロール変動を途中で一時的に停止」させられた「演出図柄34L、34M、34R」の態様は、「フリーズ演出の発生の度に異なるものとなる可能性があるように構成され」ているとものと認められる。
よって、引用発明において、「前記フリーズ演出の開始タイミングは、演出パターンからフリーズ演出開始時間として予め知ることができるようにされ」ていることは、本願補正発明の「前記フリーズ演出が発生したときの静止画の態様が、当該フリーズ演出の発生の度に異なるものとなる可能性があるように構成され」ていることに相当する。

上記(a)?(b)の検討により、本願補正発明と引用発明とは、

[一致点]
「A 表示装置に表示される経時的に変化していた映像が固まったかのようにみせるフリーズ演出を実行可能な遊技機であって、
B 前記フリーズ演出が発生したときの静止画の態様が、当該フリーズ演出の発生の度に異なるものとなる可能性があるように構成された、遊技機。」
である点で一致し、構成C、Dに関して次の点で相違する。

[相違点1](構成C、D)
本願補正発明は、「前記フリーズ演出の後、前記表示装置に所定の画像が表示される事後演出が発生するように設定されており、前記フリーズ演出を構成する前記静止画の態様に拘わらず、前記事後演出の態様はその発生の度に変化せずに一定である」との構成を備えるが、引用発明は、「フリーズ演出」の後すぐに変動表示を再開させており、そのような構成を備えていない点。

(4)当審における判断
ア 相違点1について
上記相違点1について検討する。
上記引用文献2記載の技術事項の「大きな亀裂」の入った「背景画像」や「ブラックアウト」した画像は、「表示装置に」「表示」された「所定の画像」であるといえるから、該技術事項において、「前記演出表示部50aの背景画像に大きな亀裂を表示し、その後前記演出表示部50aをブラックアウトさせる」ように設定することは、本願補正発明の構成Cの「前記表示装置に所定の画像が表示される事後演出が発生するように設定」することに相当する。また、上記引用文献2記載の技術事項において、「演出表示部50aの背景画像に大きな亀裂を表示し、その後前記演出表示部50aをブラックアウトさせる」際の演出態様は、演出表示部50aの背景画像に大きな亀裂を表示し、その後前記演出表示部50aを黒色としその右上に演出図柄40a?cを表示するという点で、演出図柄の停止表示の態様に拘わらず、その発生の度に変化せずに一定であると認められるから、該技術事項において、「前記演出表示部50aの背景画像に大きな亀裂を表示し、その後前記演出表示部50aをブラックアウトさせる」ことは、本願補正発明の構成Dの「前記フリーズ演出を構成する前記静止画の態様に拘わらず、前記事後演出の態様はその発生の度に変化せずに一定である」ことにも相当する。
そして、引用発明と引用文献2記載の技術事項とは、演出図柄のスクロールを停止させることでフリーズ演出を行うという点で共通する技術分野に属するものであり、また、引用文献1についての記載事項(イ)、引用文献2についての記載事項(ア)から理解されるように、遊技者の興趣の向上を図るという共通の課題を解決するものである。
これらのことからみて、引用発明に引用文献2記載の技術事項を適用し、フリーズ演出の後に、表示装置の表示部の背景画像に大きな亀裂を表示しその後前記表示部をブラックアウトさせるようにすることにより、上記相違点1に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

イ 請求人の主張について
(ア) 請求人は、平成29年9月8日付け審判請求書において、
「4-1)以下において説明するように、審査における引用文献2に記載の発明の認定(本願発明との対応関係の認定)には、齟齬が認められる。

4-2)平成29年2月13日拒絶理由通知書における「●理由2(進歩性)について/・請求項 1-4/・引用文献等 1-2/・備考」には、「・・・また、引用文献2(段落[0253]、[図40])には、・・・演出表示部50aに表示される背景画像に亀裂が生じるフリーズ演出について記載されており、・・・」とする指摘がなされている。
上記下線部の演出は、引用文献2の図40(d)に記載される演出であると認められる。つまり、上記拒絶理由通知書においては、当該図40(d)に記載される演出は「フリーズ演出」であるとする認定がなされている。

4-3)一方、平成29年6月5日付拒絶査定の「備考」では、「・・・引用文献2に記載された発明の背景画像に亀裂が生じる演出と画面がブラックアウトする演出とが、本願請求項1に係る発明の「事後演出」に相当するものである。・・・」とする指摘がなされている。
上記下線部の演出は、引用文献2の図40(d)に記載される演出であると認められる。つまり、引用文献2に記載の「背景画像に亀裂が生じる演出」は、拒絶理由通知時には「フリーズ演出」であると認定されていたにも拘わらず、拒絶査定時には「事後演出」に相当すると認定されており、拒絶理由通知時と拒絶査定時の引用発明の認定について齟齬が認められる。

4-4)本願出願人は、上記拒絶理由通知書においてなされた引用発明の認定を尊重した上で、平成29年2月13日付意見書にて意見を述べているのであるから、「出願人の上記主張は当を得たものではない」と判断されるのは極めて不当である。つまり、引用発明に関する認定を変更するのであれば、出願人に対し、改めて拒絶理由が通知されるべきである。
確かに、形式的には、拒絶理由通知時と拒絶査定時のいずれも、引用文献1および引用文献2によって本願発明(出願当初の請求項3に記載の発明特定事項を含む発明)の進歩性が否定されるという理由には変わりはないものの、引用発明をどのように認定するかにより、本願発明の進歩性が否定されるか否かの論理が全く異なるものとなるのは当然であるから、引用発明の認定が拒絶理由通知時と拒絶査定時において異なるものとなるのは許されないというべきである。
つまり、引用文献2に記載される発明の認定(本願発明との対応関係)が変わるのであれば、再度拒絶理由通知書にてその旨示されるべきであり(このような通知がなされなければ、実質的には、出願人に意見を述べる機会が与えられなかったということになる)、本願における審査はその点において手続違背(特許法50条)があるというべきである。」
と主張する。

そこで、上記主張について検討する。
平成29年2月13日拒絶理由通知書には、「●理由1(新規性)について/・請求項 1-2/・引用文献等 1/・備考」に「フリーズ演出は、3つの図柄34L,34M、34Rのスクロール変動を一時停止させることにより行われるパチンコ機10」と記載されているように、「スクロール変動」を「一時停止」することが「フリーズ演出」である点が記載されていること、「●理由2(進歩性)について/・請求項 1-4/・引用文献等 1-2/・備考」には、「前記引用文献1に記載のフリーズ演出として、前記引用文献2に記載のフリーズ演出を採用し、スクロール変動の一時停止後に、背景画像に亀裂を生じる構成を採用することは、当業者が容易に想到し得ることである。」と記載されていること(下線は当審で付した。)、さらに、上記理由2の拒絶の対象として、事後演出に関して記載のある平成29年4月18日付け手続補正書の請求項3が含まれていることを考慮すれば、審査官は、引用文献2に記載された発明の構成として上記理由2の備考欄に記載される「背景画像に亀裂を生じる構成」を「本願発明」の「事後演出」に相当するものと認定したことは明らかである。
したがって、平成29年2月13日拒絶理由通知時と、「・・・引用文献2に記載された発明の背景画像に亀裂が生じる演出と画面がブラックアウトする演出とが、本願請求項1に係る発明の「事後演出」に相当するものである。・・・」と指摘する拒絶査定時とで、少なくとも、引用文献2に記載された発明の上記「背景画像に亀裂が生じる演出」を「本願発明」の「事後演出」に対応させている点で共通した認定を行っていることからみて、引用発明の認定が変更されたとまではいえない。
また、引用文献2では、【0253】において図40(c)?図40(e)を含む図の説明を行った後、【0254】において「このように、「フリーズ演出」が実行されると」と記載しているように、「フリーズ演出」は、背景画像に亀裂を生じさせることを含む演出全体を意味する用語として用いているものであり、平成29年2月13日拒絶理由通知書の「・・・また、引用文献2(段落[0253]、[図40])には、・・・演出表示部50aに表示される背景画像に亀裂が生じるフリーズ演出について記載されており、・・・」との記載は、上記「フリーズ演出」という用語をそのまま用いて引用文献2を説明したものである。そして、当該拒絶理理由通知書において、引用文献2に記載される「フリーズ演出」が本願発明の「フリーズ演出」に相当するものであるとの認定はなされていない。
よって、請求人の主張は採用できない。

(イ) 請求人は、同審判請求書において、
「5-1)引用文献2に記載の「背景画像に亀裂が生じる演出」(図40(d)に記載の演出)について検討する。
引用文献2の段落0252には、「図40(a)に示すように、「フリーズ演出」が実行される1回前の変動演出において、演出図柄40a、40b、40cが変動表示されており、その後、図40(b)に示すように、演出図柄40a、40b、40cがハズレの図柄組み合わせパターンで停止表示したとする。」と記載されている。
また、段落0253には、「図40(c)に示すように、演出図柄40a、40b、40cは、前回の変動表示において停止表示された図柄組み合わせパターンのまま表示され続ける。このとき、演出表示部50aに表示される背景画像に亀裂が生じるとともに、図40(d)に示すように、演出図柄40a、40b、40cが表示されたままの状態で、徐々に亀裂が大きくなるように表示される。」と記載されている。
これらの記載を参酌すれば、引用文献2の図40(d)に示される画像、すなわち「背景画像に亀裂が生じる演出」時に表示される画像は、「ハズレの図柄組み合わせパターン」を含むものであると認められる。そして、一般的な遊技機の図柄による当否判定結果の報知態様を踏まえれば、当該「ハズレの図柄組み合わせパターン」は、その都度変化しうるものである(常に一定であるものではない)と捉えるのが通常である(図40(d)の演出図柄40a、40b、40cが「6」「8」「2」となっているのはあくまで一例に過ぎない)。事実、引用文献2を通じて、「ハズレの図柄組み合わせパターン」が常に一定であるようにすべきといった記載はない。
そうすると、図40(d)に示される画像、すなわち本願発明の事後演出に相当するとされた画像は、その態様が変化しうるものであるといえる。

5-2)本願発明は、事後演出について「前記フリーズ演出を構成する前記静止画の態様に拘わらず、前記事後演出の態様はその発生の度に変化せずに一定であること」を明確に特定する。
つまり、発生の度に態様が変化しうる引用文献2の「背景画像に亀裂が生じる演出」と、態様が変化せずに一定である本願発明の「事後演出」とは明らかに相違するものであるといえる。」
と述べ、引用文献2の図40(d)に示される画像では、「ハズレの図柄組み合わせパターン」が変化しうるものであるから、上記画像は態様が変化しうるものである点主張している。

しかしながら、平成29年9月8日付け手続補正書における特許請求の範囲の請求項1の記載は、「第2[理由1]3(1)本願補正発明」に記載したとおりのものであって、「その発生の度に変化せず一定である」「事後演出の態様」が具体的にどのようなものかについて限定する記載はなく、演出図柄(「ハズレの図柄」)等を除く、表示領域の一部で構成される画像からなる演出の態様がその発生の度に変化せず一定であるようなもの、つまり、引用文献2の図40(d)や(e)に示されるような演出を排除する記載とはなっていない。
よって、請求人の主張は本願の特許請求の範囲の記載に基づいたものではない。

ところで、本願出願前に、遊技機の技術分野において、ブラックアウト演出について、演出図柄を表示する領域を含めてブラックアウトし、演出図柄を表示しないようにする技術事項が周知である(例えば、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2014-217677号公報の図59の(F)や、同特開2016-159002号公報の図68の(H)参照。以下、「周知事項1」という。)。そして、引用文献2には、本願補正発明の「事後演出」として、図41(e)に示されるようにブラックアウトを行う演出も記載されているところ、当該ブラックアウトを行う演出を引用発明の「フリーズ演出」の後に追加することとし、上記周知事項1に基づき演出図柄を表示する領域を含めてブラックアウトし演出図柄を表示しないようにすることにより、上記相違点1に係る本願補正発明の構成とすることも、当業者が容易に想到し得たことである。
よって、請求人の主張を考慮したとしても、本願補正発明は、引用発明、引用文献2に記載の事項及び周知事項1に基づき、当業者が容易に想到し得たものである。

(5)小括
本願補正発明により奏される効果は、引用発明及び引用文献2記載の技術事項から当業者が予測できる範囲内のものであり、格別顕著なものとは言えない。
そうすると、上記(4)において検討したとおり、本願補正発明は、引用発明及び引用文献2記載の技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものである。

4 まとめ
上記1?3より、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たさないものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されることとなったので、本願の請求項1に係る発明は、平成29年4月18日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものと認める。

「【請求項1】
A 表示装置に表示される経時的に変化していた映像が固まったかのようにみせるフリーズ演出を実行可能な遊技機であって、
B 前記フリーズ演出が発生したときの静止画の態様が、当該フリーズ演出の発生の度に異なるものとなる可能性があるように構成され、
C’ 前記フリーズ演出の後、事後演出が発生するように設定されており、
D’ 前記フリーズ演出を構成する静止画の態様に拘わらず、前記事後演出の態様は同じであることを特徴とする遊技機。」

2 拒絶査定の理由
拒絶査定の理由の概要は、この出願の請求項1に係る発明は、本願の出願前に頒布された下記の引用文献1及び引用文献2に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献1:特開2013-56122号公報
引用文献2:特開2015-155054号公報

3 引用文献に記載された事項
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1及び引用文献2の記載事項、及び、引用発明の認定については、上記「第2[理由]3(2)引用文献に記載された事項」に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、上記「第2[理由]」で検討した本願補正発明から、構成Cの「事後演出」に関して、「前記表示装置に所定の画像が表示される」との限定を省くとともに、構成Dの「事後演出の態様」に関して、実質的に、「その発生の度に変化」しないものであるとの限定を省くものである。
そうすると、本願発明と引用発明とは、下記相違点2において相違し、その余の点において一致する。
[相違点2](構成C’、D’)
本願発明は、「前記フリーズ演出の後、事後演出が発生するように設定されており、前記フリーズ演出を構成する静止画の態様に拘わらず、前記事後演出の態様は同じである」との構成を備えるが、引用発明は、「フリーズ演出」の後すぐに変動表示を再開させており、そのような構成を備えていない点。
上記相違点2について検討するに、上記第2[理由]3の(4)「当審における判断」及び(5)「小括」と同様に、本願発明は、引用発明に引用文献2記載の技術事項を適用することにより当業者が容易に想到し得たものである。

5 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-05-15 
結審通知日 2018-05-22 
審決日 2018-06-08 
出願番号 特願2016-188357(P2016-188357)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 木村 隆一貝沼 憲司  
特許庁審判長 長崎 洋一
特許庁審判官 荒井 誠
川崎 優
発明の名称 遊技機  
代理人 特許業務法人上野特許事務所  
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