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審決分類 |
審判 査定不服 4項3号特許請求の範囲における誤記の訂正 特許、登録しない。 B60K 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B60K |
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管理番号 | 1342714 |
審判番号 | 不服2017-9233 |
総通号数 | 225 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2018-09-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-06-23 |
確定日 | 2018-08-01 |
事件の表示 | 特願2015-178841「ハイブリッド電気自動車及び、ハイブリッド電気自動車の制御方法」拒絶査定不服審判事件〔平成27年12月17日出願公開、特開2015-227164〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、2012(平成24)年1月31日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2011年2月1日、(GB)英国)を国際出願日として出願した特願2013-552169号(以下、「原出願」という。)の一部を平成27年9月10日に新たな特許出願としたものであって、その後の手続の概要は、以下のとおりである。 平成27年 9月10日:手続補正書 平成27年 9月10日:上申書 平成28年 6月28日:拒絶理由通知 平成28年10月 4日:意見書 平成28年10月 4日:手続補正書 平成29年 2月22日:拒絶査定 平成29年 6月23日:手続補正書(以下、この手続補正書による手続補正を、「本件補正」という。) 平成29年 6月23日:審判請求 平成29年10月20日:上申書 第2 本件補正について 1 本件補正の内容 (1) 平成28年10月4日提出の手続補正書により補正された(以下、「本件補正前」という。)特許請求の範囲の請求項1ないし15は、以下のとおりである。 「【請求項1】 複数のパラメータに基づき、自動車の第一アクチュエータ及び、少なくとも第二アクチュエータにより、自動車のドライブラインに与えられる、ドライバーの要求トルクの値を決定するよう構成された、ハイブリッド電気自動車(HEV)のコントローラであって、 前記パラメータが、 (a)第一アクチュエータの速度、及び、 (b)ドライバー操作用のアクセル制御手段の位置 を含み、 第一アクチュエータがドライブラインに連結されていないときに、ドライバーの要求トルクの値を、第一アクチュエータの仮想速度及び、ドライバー操作用のアクセル制御手段の位置に基づいて決定するよう構成されており、ここで、第一アクチュエータの前記仮想速度は、第一アクチュエータがドライブラインに連結されているとした場合に第一アクチュエータが回転しているであろう速度であり、 第二アクチュエータの測定された速度及び、第二アクチュエータの算出された速度の中から選択される一つに基づいて、第一アクチュエータの前記仮想速度を決定するべく構成されており、ここで、前記算出された速度は、第二アクチュエータに現在求められる速度から算出される、コントローラ。 (中略) 【請求項15】 複数のパラメータに基づき、自動車の第一及び第二アクチュエータにより自動車のドライブラインに与えられる、ドライバーの要求トルクの値を決定するステップを含む、ハイブリッド電気自動車(HEV)の制御方法であって、 前記パラメータが、 (a)第一アクチュエータの速度、及び、 (b)ドライバー操作用の制御手段の位置 を含むものとし、 前記第一アクチュエータがドライブラインに連結されていないとき、当該方法が、第一アクチュエータの仮想速度及び、ドライバー操作用の制御手段の位置に基づき、ドライバーの要求トルクの値を決定することを含み、第一アクチュエータの前記仮想速度を、第一アクチュエータがドライブラインに連結されているとした場合に第一アクチュエータが回転している速度とし、 第二アクチュエータの測定された速度及び、第二アクチュエータの算出された速度の中から選択される一つに基づいて、第一アクチュエータの前記仮想速度を決定することを含み、ここで、前記算出された速度は、第二アクチュエータに現在求められる速度から算出される、ハイブリッド電気自動車(HEV)の制御方法。」 (2)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1(以下、「本願発明」という。)ないし15は、以下のとおりである。(下線は、補正箇所を示すために請求人が付したものである。) 「【請求項1】 複数のパラメータに基づき、自動車の第一アクチュエータ及び、少なくとも第二アクチュエータにより、自動車のドライブラインに与えられる、ドライバーの要求トルクの値を決定するよう構成された、ハイブリッド電気自動車(HEV)のコントローラであって、 前記パラメータが、 (a)第一アクチュエータの速度、及び、 (b)ドライバー操作用のアクセル制御手段の位置 を含み、 第一アクチュエータがドライブラインに連結されていないときに、ドライバーの要求トルクの値を、第一アクチュエータの仮想速度及び、ドライバー操作用のアクセル制御手段の位置に基づいて決定するよう構成されており、ここで、第一アクチュエータの前記仮想速度は、第一アクチュエータがドライブラインに連結されているとした場合に第一アクチュエータが回転しているであろう速度であり、 第二アクチュエータの測定された速度及び、第二アクチュエータの算出された速度の中から選択される一つに基づいて、第一アクチュエータの前記仮想速度を決定するべく構成されており、ここで、前記算出された速度は、第二アクチュエータに現在求められる速度から算出される、コントローラ。 (中略) 【請求項15】 複数のパラメータに基づき、自動車の第一及び第二アクチュエータにより自動車のドライブラインに与えられる、ドライバーの要求トルクの値を決定することを含む、ハイブリッド電気自動車(HEV)の制御方法であって、 前記パラメータが、 (a)第一アクチュエータの速度、及び、 (b)ドライバー操作用の制御手段の位置 を含むものとし、 前記第一アクチュエータがドライブラインに連結されていないとき、当該方法が、 第一アクチュエータの仮想速度及び、ドライバー操作用の制御手段の位置に基づき、ドライバーの要求トルクの値を決定することを含み、第一アクチュエータの前記仮想速度を、第一アクチュエータがドライブラインに連結されているとした場合に第一アクチュエータが回転している速度とし、 第二アクチュエータの測定された速度及び、第二アクチュエータの算出された速度の中から選択される一つに基づいて、第一アクチュエータの前記仮想速度を決定することを含み、ここで、前記算出された速度は、第二アクチュエータに現在求められる速度から算出される、ハイブリッド電気自動車(HEV)の制御方法。」 2 補正の適否について 本件補正は、本件補正前の特許請求の範囲について補正しようとするものであるところ、本件補正前の請求項15における「ドライバーの要求トルクの値を決定するステップを含む」という記載を、誤記の訂正を目的として、本件補正後に、「ドライバーの要求トルクの値を決定することを含む」という記載に補正するものであるから、本件補正は、特許法第17条の2第5項第3号に掲げる誤記の訂正を目的とするものに該当する。 したがって、本件補正は、適法になされたものである。 第3 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、本願の請求項1に係る発明は、本願の原出願の優先日(以下、「本願の優先日」という。)前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1及び2に記載された発明に基づいて、本願の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 引用文献1.特開2005-304201号公報 引用文献2.特開2006-10026号公報 第4 引用文献の記載及び引用発明 1 引用文献1 ア 引用文献1の記載 原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開2005-304201号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。(下線は理解の一助のために当審で付した。以下同様。) (ア)「【0001】 この発明は、ハイブリッド車両のモータトルク制御方法に関し、更に詳しくは、大幅に適合工数を削減することができるハイブリッド車両のモータトルク制御方法に関する。 【背景技術】 【0002】 従来、走行駆動源としてのエンジンと、有段変速機と、エンジン出力による発電またはバッテリ電力によるエンジン出力のアシストを行うモータジェネレータとを備え、エンジンのみを駆動源とするエンジン走行と、モータジェネレータのみを駆動源とするEV走行とのいずれか一方によっても走行可能に構成されたハイブリッド車両が知られている。 【0003】 このようなハイブリッド車両において、アクセル開度や車速の情報から定めた車両目標駆動トルクに応じてモータジェネレータのトルク(出力)を算出し、当該算出値に基づいてモータジェネレータを駆動制御する技術が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。 【0004】 なお、関連する従来技術として、エンジン停止後、燃料供給状態のエンジントルクを推定算出し、この算出された推定エンジントルクに基づいてモータジェネレータを駆動することで、モータジェネレータによる発進動作を従来のエンジンによる発進動作に似せた形で行わせる技術が提案されている(たとえば、特許文献2参照)。 【0005】 【特許文献1】特開2000-166022号公報 【特許文献2】特開2002-247707号公報」(段落【0001】ないし【0005】) (イ)「【0006】 しかしながら、上記従来のハイブリッド車両のモータトルク制御方法では、アクセルペダルの踏み込み度合いに応じてEV走行時における加速特性の適合を実施し、その結果をマップとして適合定数を持つ必要があった。 【0007】 また、種々の走行フィーリングへの要望に対応してエンジン走行へ滑らかに移行させるために、アクセル開度に対する出力特性にも適合した修正マップを作成する必要があった。 【0008】 このため、モータトルクの制御プログラムに多くの適合工数を必要とするという課題があった。特に、モータジェネレータとエンジンのパワートレイン系で2種類以上のマップを持つ場合には、上記適合工数の増加問題は更に顕著なものとなっていた。 【0009】 この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、大幅に適合工数を削減することができるハイブリッド車両のモータトルク制御方法を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0010】 上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明の請求項1に係るハイブリッド車両のモータトルク制御方法は、走行駆動源としてのエンジンと、有段変速機と、前記エンジン出力による発電またはバッテリ電力による前記エンジン出力のアシストを行うモータジェネレータとを備え、前記エンジンのみを駆動源とするエンジン走行と、前記モータジェネレータのみを駆動源とするEV走行とのいずれか一方によっても走行可能に構成されたハイブリッド車両のモータトルク制御方法において、前記EV走行時に、アクセル開度と、走行情報から推測されるエンジン回転数とに基づきガバナ特性を利用することにより燃料噴射量を算出し、更にこの燃料噴射量と推測された前記エンジン回転数とに基づいて算出されるエンジントルクを前記モータジェネレータに要求されるトルク指示値に換算し、このトルク指示値に基づいて前記モータジェネレータを駆動制御することを特徴とするものである。 【0011】 したがって、この発明によれば、ハイブリッド車両でない従来の車両、すなわち走行駆動源をエンジンのみとする従来の車両において使用されていたエンジン制御用のマップ(制御プログラム)を流用して、EV走行用のモータジェネレータのトルク(出力)を数値換算することで、モータジェネレータの駆動力を容易に算出することができる。 (中略) 【0014】 この発明に係るハイブリッド車両のモータトルク制御方法(請求項1)によれば、ハイブリッド車両であるからといって、ドライバビリティ適合用の専用マップを作成する必要がなく、ハイブリッド車両でない従来の車両で利用していたエンジン制御用マップにてエンジン出力を調整するとともに、EV走行中であれば当該エンジン制御用マップに応じてモータジェネレータの駆動力を制御することができるので、適合工数を大幅に削減することができる。」(段落【0006】ないし【0014】) (ウ)「【0018】 図2に示すように、ディーゼルハイブリッド車両(ハイブリッド車両)10には、走行駆動源としてのディーゼルエンジン(エンジン)11が設けられている。なお、図示を省略するが、このディーゼルエンジン11は、コモンレール方式の燃料噴射システム、排気ガス圧力を利用して吸気量を増大させるターボ過給機、バルブの開閉動作タイミングを可変制御する可変バルブタイミング機構等を備えている。 【0019】 また、図示を省略するが、ディーゼルエンジン11の排気通路には、排気ガス中の粒子状物質および窒素酸化物(NOx)を浄化するために、吸蔵還元型NOx触媒を担持したパティキュレートフィルタや、排気ガスの一部を吸気系に還流させる排気ガス再循環装置を備えている。 【0020】 ディーゼルエンジン11で発生する駆動力は、動力伝達の接離を行うクラッチ12a、自動変速可能な有段変速機(以下、MMT(マルチモードマニュアルトランスミッション)と記す)12、ドライブシャフト14およびディファレンシャルギヤ(図示せず)を介して駆動輪13に伝達されるようになっている。 【0021】 このMMT12は、走行状態に応じてギヤ段の変速操作をアクチュエータで電気的に自動制御するものである。また、クラッチ12aは、その接離操作を走行状態に応じてアクチュエータで電気的に自動制御されるようになっている。 【0022】 また、ディーゼルエンジン11は、上記MMT12から指令される要求エンジントルクを出力するために、その燃料噴射量や吸入空気量等を制御されるように構成されている。ディーゼルエンジン11の要求燃料噴射量は、たとえば、エンジンの回転数およびアクセル開度からマップ等に基づいて決定され、燃料噴射が実行されるようになっている。 【0023】 また、駆動系歯車装置(ギヤトレーン)を一体化したモータジェネレータ(MG)17は、インバータ19を介し、充放電可能な二次電池であるバッテリ20と接続されている。このモータジェネレータ17は、走行駆動源であるモータとして機能する力行運転モードと、発電機として機能する回生運転モードとの2つの運転状態をとり得るように構成されている。 【0024】 たとえば、モータジェネレータ17は、力行運転モードではバッテリ20からの電力供給を受けて、ドライブシャフト14を駆動するための動力を発生する。また、回生運転モードでは、モータジェネレータ17は、ディーゼルエンジン11あるいはドライブシャフト14から伝達される駆動力を電力に変換し、バッテリ20を充電する。 【0025】 モータジェネレータ17が力行運転モードあるいは回生運転モードのいずれかで運転されるかは、バッテリ20の充電量SOC(State of Charge)を勘案して決定される。 【0026】 以上のように構成されたディーゼルハイブリッド車両10は、図示しない電子制御ユニット(以下、ECUと称する)によって各種センサからの出力情報に基づいて以下のように基本制御され、種々の状態で走行することができる。 【0027】 すなわち、ディーゼルハイブリッド車両10が走行を始めた比較的低速な状態では、ディーゼルエンジン11を停止したまま、モータジェネレータ17を力行することにより走行(EV走行)する。 【0028】 そして、走行開始後にディーゼルハイブリッド車両10が所定の速度もしくは負荷に達すると、モータジェネレータ17を用いてディーゼルエンジン11をクランキングして始動し、当該ディーゼルエンジン11を用いた運転に移行する。」(段落【0018】ないし【0028】) (エ)「【0034】 つぎに、本発明の要部であるディーゼルハイブリッド車両10のモータトルク制御方法について図1に基づいて図2?図4を参照しつつ説明する。ここで、図1は、この発明の実施例に係るディーゼルハイブリッド車両のモータトルク制御方法を示すフローチャートである。 【0035】 また、図3は、アクセル開度とエンジン回転数に基づいて燃料噴射量を算出するためのガバナ特性を示すマップであり、上記ECUのメモリに記憶されている。また、図4は、燃料噴射量とエンジン回転数に基づいて算出されるエンジントルクを示すマップであり、上記ECUのメモリに記憶されている。なお、図1中では、モータジェネレータ17をMGと略記してある。以下の制御は、上記ECUによって実行される。 【0036】 図1に示すように、先ず、ディーゼルハイブリッド車両10がEV走行中であるか否かを判断する(ステップS10)。そして、EV走行中でないならば(ステップS10否定)、スタートに戻り、EV走行中であるならば(ステップS10肯定)、ステップS11に移行してモータジェネレータ17に要求されるトルクを算出する。 【0037】 すなわち、このステップS11では、車速、ディファレンシャル比、MMT12のギヤ比、シフト位置等の走行情報に基づいて、当該条件下でエンジン走行をしていたならば検出されるであろう仮想のエンジン回転数を算出する。この仮想エンジン回転数とアクセル開度に基づいて、図3に示すガバナ特性マップから燃料噴射量を算出する。 【0038】 このガバナ特性マップは、エンジンのみを走行駆動源とする通常車両用の既存エンジンマップを利用し、ガバナ特性(アクセル開度と燃料噴射量との関係)のみを調整することでハイブリッド車両用に流用したものである。 【0039】 そして、図4に示すマップを用い、この燃料噴射量と仮想エンジン回転数とからエンジントルクを算出する。つぎに、このエンジントルクと、ディーゼルエンジン11のクランク軸からモータジェネレータ17の回転軸までの減速比とを掛け合わせることにより、モータジェネレータ17に要求されるトルク(図1において、要求MGトルクと略称する)を算出する。 【0040】 つぎに、この算出された要求トルク(トルク指示値)が、所定のEV走行許可基準値未満であるか否かを判断する(ステップS12)。このEV走行許可基準値は、バッテリ充電量SOCに応じてEV走行が可能であるか否かを定めた閾値である。 【0041】 上記要求トルクがEV走行許可基準値未満であるならば(ステップS12肯定)、バッテリ充電量SOCに余裕があるので、当該要求トルクに基づいてモータジェネレータ17を駆動制御し、EV走行を継続実施する(ステップS13)。 【0042】 一方、上記要求トルクがEV走行許可基準値未満でないならば(ステップS12否定)、バッテリ充電量SOCに余裕がないので、当該バッテリ充電量SOCの急激な低下を抑制し、バッテリ20を劣化等から保護する必要があるため、ディーゼルエンジン11を起動し、エンジン走行に切り替える(ステップS14)。 【0043】 なお、エンジン走行時は、ディーゼルエンジン11に備えている回転数センサ(図示せず)からの信号に基づいてエンジン回転数を直接算出し、これに基づいて燃料噴射すればよい。また、MMT12の入力軸の回転数信号を検出できる場合には、その入力軸の回転数をエンジン回転数と同等であると仮定し、これに基づいて燃料噴射してもよい。 【0044】 以上のように、この実施例に係るハイブリッド車両のモータトルク制御方法によれば、ハイブリッド車両だからといってドライバビリティ適合用の専用マップを別途に作成する必要がなく、既存のエンジンマップを利用してエンジン出力を調整できるとともに、EV走行中においては、この流用したエンジンマップ(図3参照)に基づいてモータジェネレータ17の駆動力を調整することができ、大幅に適合工数を削減することができる。 【0045】 また、EV走行許可基準値に応じてEV走行とエンジン走行とを切り替え制御しているので、バッテリ充電量SOCに余裕がある場合にのみEV走行を実施することができ、バッテリ充電量SOCの急激な低下を抑制し、バッテリ20を劣化等から保護することができる。 【0046】 なお、上記実施例においては、ディーゼルエンジン11を走行駆動源とするハイブリッド車両について本発明を適用して説明したが、これに限定されず、ガソリンエンジンを走行駆動源とするハイブリッド車両に適用してもよい。 【0047】 また、MMT12を備えたハイブリッド車両について本発明を適用して説明したが、これに限定されず、自動変速機(AT)や手動変速機(MT)を備えたハイブリッド車両に適用してもよい。」(段落【0034】ないし【0047】) イ 引用文献1の記載から分かること 上記ア及び図面の記載から、以下のことが分かる。 (オ)上記ア(ア)ないし(エ)(特に(ウ))の記載から、引用文献1には、走行駆動源として、ディーゼルエンジン(エンジン)11、及び駆動系歯車装置(ギヤトレーン)を一体化したモータジェネレータ(MG)17を有し、動力伝達系として、クラッチ12a、自動変速可能な有段変速機(MMT)12、ドライブシャフト14及びディファレンシャルギヤを有するハイブリッド車両の制御装置が記載されていることが分かる。 なお、段落【0047】の記載から、MMT12に代えて自動変速機(AT)や手動変速機(MT)を備えたハイブリッド車両に適用してもよいことが分かる。 以下、「MMT12」と「自動変速機(AT)」と「手動変速機(MT)」をまとめて、「変速機12」という。 (カ)上記ア(ウ)及び(エ)(特に段落【0022】及び【0039】)の記載から、引用文献1に記載されたハイブリッド車両の制御装置において、エンジン11に要求される要求エンジントルク又はモータジェネレータ(MG)17に要求される要求MGトルクを算出することが分かる。 以下、「要求エンジントルク」と「要求MGトルク」をまとめて、「要求トルク」ということがある。 (キ)上記ア(ウ)(特に段落【0022】)の記載から、要求エンジントルクは、エンジンの回転数およびアクセル開度からマップ等に基づいて決定される要求燃料噴射量や吸入空気量等を制御することにより出力されることが分かる。 すなわち、複数のパラメータに基づき、要求エンジントルクの値が決定されることが分かる。 (ク)上記ア(エ)(特に段落【0036】ないし【0039】)の記載から、要求MGトルクについては、ステップS11において、車速、ディファレンシャル比、MMT12のギヤ比、シフト位置等の走行情報に基づいて、仮想エンジン回転数を算出し、この仮想エンジン回転数とアクセル開度に基づいて、燃料噴射量を算出し、該燃料噴射量と仮想エンジン回転数とからエンジントルクを算出し、該エンジントルクと減速比とから、要求MGトルクを算出することが分かる。 すなわち、複数のパラメータに基づき、要求MGトルクの値が決定されることが分かる。 ウ 引用発明 上記ア、イの記載及び図面の記載を総合すると、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認める。 <引用発明> 「複数のパラメータに基づき、自動車のエンジン11及び、少なくともモータジェネレータ17により、自動車の変速機12に与えられる、要求トルクの値を決定するよう構成された、ハイブリッド車両の制御装置であって、 前記パラメータが、 (a)エンジン11の回転数、及び、 (b)アクセル開度 を含み、 エンジン11が変速機12に連結されていないときに、要求トルクの値を、仮想エンジン回転数及び、アクセル開度に基づいて決定するよう構成されており、ここで、仮想エンジン回転数は、エンジン11が変速機12に連結されているとした場合にエンジン11が回転しているであろう速度であり、 車速、ディファレンシャル比、変速機12のギヤ比、シフト位置等の走行情報に基づいて、仮想エンジン回転数を決定するべく構成されている、ハイブリッド車両の制御装置。」 2 引用文献2 ア 引用文献2の記載 原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開2006-10026号公報(以下、「引用文献2」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。 (ア)「【0001】 この発明は、ハイブリッド車両のクラッチ滑り検出方法に関し、更に詳しくは、専用の回転数センサを追加設置する必要がなく、正確かつ安価にクラッチの滑りを検出することができるハイブリッド車両のクラッチ滑り検出方法に関する。 【0002】 従来より、走行駆動源としてのエンジンと、有段変速機と、前記エンジンと前記有段変速機間の動力伝達の接離を行うクラッチと、エンジン出力による発電またはバッテリ電力によるエンジン出力のアシストを行うモータジェネレータとを備え、前記エンジンのみを駆動源とするエンジン走行と、前記モータジェネレータのみを駆動源とするEV走行とのいずれか一方によっても走行可能に構成されたハイブリッド車両が知られている。 【0003】 ところで、クラッチ板の摩耗に伴う寿命を警告する方法として、たとえば特許文献1に係る技術が公知である。すなわち、この従来技術は、先ずクラッチ板がフライホイールに対し完接状態か否かを判断し、クラッチ板が完接状態であると判断した時にエンジン側の回転数およびクラッチ板側の回転数をそれぞれ検出するとともにそれらの回転数を演算し、更にその演算値を摩耗限度設定値と比較して警告の必要性を判断し、警告が必要であると判断した時に表示部によって警告するというものである。 【0004】 【特許文献1】特開昭63-65309号公報 【0005】 上記特許文献1に係る技術を上記のようなハイブリッド車両に対して適用する場合、変速機の入力軸に専用の回転数センサを設けて変速機入力回転数を検出し、これをエンジン回転数と比較してその回転数の差が所定値以上の場合にクラッチに許容できない滑りが生じていることを検出することが可能である。 【0006】 しかしながら、専用の回転数センサを追加設置しなければならず、コストアップとなってしまうという課題があった。 【0007】 この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、専用の回転数センサを追加設置する必要がなく、正確かつ安価にクラッチの滑りを検出することができるハイブリッド車両のクラッチ滑り検出方法を提供することを目的とする。」(段落【0001】ないし【0007】) (イ)「【0014】 図2に示すように、ディーゼルハイブリッド車両(ハイブリッド車両)10には、走行駆動源としてのディーゼルエンジン(以下、単にエンジンと記す)11が設けられている。このエンジン11は、その回転数を検出するための図示しないエンジン回転数センサ(エンジン回転数検出手段)を備えている。このエンジン回転数センサは、既設のものをそのまま利用している。 【0015】 また、図示を省略するが、このエンジン11は、燃料噴射量および燃料噴射時期を制御するコモンレール方式の燃料噴射システム、排気ガス圧力を利用して吸気量を増大させるターボ過給機、吸排気バルブの開閉動作タイミングを可変制御する可変バルブタイミング機構等を備えている。 (中略) 【0017】 また、エンジン11で発生する駆動力は、自動変速可能な有段変速機(以下、MMT(マルチモードマニュアルトランスミッション)と記す)12、ディファレンシャルギヤ15およびドライブシャフト14を介して駆動輪13に伝達されるようになっている。 【0018】 このMMT12は、走行状態に応じてギヤ段の変速操作をアクチュエータで電気的に自動制御するものである。なお、符号22はMMT12の入力軸を示し、符号23はMMT12の出力軸を示している。なお、MMT12のギヤ比およびシフト位置、上記ディファレンシャルギヤ15のディファレンシャル比(以下、デフ比という)のデータは、制御装置である図示しない電子制御ユニット(以下、ECUと称する)へ自動的に出力されている。 【0019】 エンジン11とMMT12間には、動力伝達の接離を行うクラッチ12aが備えられており、走行状態に応じて接離操作をアクチュエータで電気的に自動制御されるようになっている。 【0020】 このクラッチ12aは、入力側回転部材と出力側回転部材とを備え、当該両回転部材の係合(接続)によって駆動力を伝達する、いわゆる摩擦式のクラッチとして構成されている。したがって、クラッチ12aの完全係合時に当該回転部材の回転数に差が生じた時に、クラッチ12aに滑りが生じていると検出されることとなる。この滑りの具体的検出方法は後述する。 (中略) 【0022】 また、エンジン11は、上記MMT12から指令される要求エンジントルクを出力するために、その燃料噴射量や吸入空気量等が制御されるように構成されている。エンジン11の要求燃料噴射量は、たとえば、エンジンの回転数(回転速度)およびアクセル開度からマップ等に基づいて決定され、上記燃料噴射システムにより噴射されるようになっている。 【0023】 また、駆動系歯車装置(ギヤトレーン)を一体化したモータジェネレータ(電動モータ)17は、インバータ19を介し、充放電可能な二次電池であるバッテリ20と接続され、走行駆動源であるモータとして機能する力行運転モードと、発電機として機能する回生運転モードとの2つの運転状態をとり得るように構成されている。 【0024】 また、モータジェネレータ17は、その回転数を検出するための図示しないレゾルバ(モータ回転数検出手段)を備えている。このレゾルバは、既設のものをそのまま利用している。 【0025】 このモータジェネレータ17は、力行運転モードではバッテリ20からの電力供給を受けて、ドライブシャフト14を駆動するための動力を発生する。これにより、変速時には変速アシストを行うことができ、加速時には加速アシストを行うことができる。また、回生運転モードでは、モータジェネレータ17は、エンジン11あるいはドライブシャフト14から伝達される駆動力を電力に変換し、バッテリ20を充電する。 【0026】 モータジェネレータ17が力行運転モードあるいは回生運転モードのいずれかで運転されるかは、バッテリ20の充電量SOC(State of Charge)を勘案して決定される。このバッテリ充電量SOCは、所定のバッテリ状態モニタコンピュータで演算されるようになっている。 【0027】 以上のように構成されたディーゼルハイブリッド車両10は、ECUによって、図示しない車速センサやアクセル開度センサ等、各種センサからの出力情報に基づいて以下のように基本制御され、種々の状態で走行することができる。 【0028】 ディーゼルハイブリッド車両10が走行負荷の小さい低速定常走行の状態では、エンジン11を停止したまま、モータジェネレータ17を力行することにより走行(EV走行)する。そして、走行開始後にディーゼルハイブリッド車両10が所定の速度もしくは負荷に達すると、モータジェネレータ17を用いてエンジン11をクランキングして始動し、当該エンジン11を用いた運転に移行する。」(段落【0014】ないし【0028】) (ウ)「【0034】 クラッチ12aの滑りを検出するのは、ディーゼルハイブッド車両10がEV走行からエンジン走行に移行する時である。すなわち、クラッチ12aが切断されているEV走行中にエンジン11を始動し、クラッチ12aを係合させる時である。 【0035】 図1に示すように、先ず、現時点での車速、デフ比(ギヤ比)、MMT12のギヤ比およびシフト位置を読み込む(ステップS10)。車速は、上記レゾルバによって検出されるモータジェネレータ17の回転数と、上記デフ比、MMT12のギヤ比およびシフト位置とから精度良く算出された値を用いる。 【0036】 そして、読み込まれたこれらの車速、デフ比、MMT12のギヤ比およびシフト位置に基づいて、クラッチ12aを接続し当該条件下でエンジン走行をしていたならば検出されるであろう仮想のエンジン回転数、すなわち、MMT12の入力軸22の回転数Niを算出する(ステップS11)。したがって、モータジェネレータ17の回転数等に基づいて、MMT12の入力軸22の回転数Niを精度良く推定できるので、当該回転数Niを検出するための専用の回転数センサを追加設置する必要がない。 (中略) 【0046】 以上のように、この実施例に係るハイブリッド車両のクラッチ滑り検出方法によれば、モータジェネレータ17の回転数等に基づいて、MMT12の入力軸22の回転数Niを精度良く推定できるので、当該回転数Niを検出するための専用の回転数センサを追加設置する必要がなく、正確かつ安価にクラッチ12aの滑りを検出することができる。また、クラッチ12aの滑りを検出した場合、上記所定の警報を発信することにより、クラッチ12aの修理ないし交換を適切に促すことができる。」(段落【0034】ないし【0046】) (エ)「【0049】 また、上記実施例においては、ディーゼルエンジン11を走行駆動源とするハイブリッド車両10について本発明を適用して説明したが、これに限定されず、ガソリンエンジンを走行駆動源とするハイブリッド車両に適用してもよい。 【0050】 また、上記実施例においては、MMT12を備えたディーゼルハイブリッド車両10について本発明を適用して説明したが、これに限定されず、自動変速機(AT)や手動変速機(MT)を備えたハイブリッド車両に適用してもよい。」(段落【0049】及び【0050】) イ 引用文献2の記載から分かること 上記ア及び図面の記載から、以下のことが分かる。 (オ)上記ア(ア)ないし(エ)(特に(イ))及び図2の記載から、引用文献2には、走行駆動源として、ディーゼルエンジン(エンジン)11、及び駆動系歯車装置(ギヤトレーン)を一体化したモータジェネレータ(MG)17を有し、動力伝達系として、クラッチ12a、自動変速可能な有段変速機(MMT)12、ドライブシャフト14及びディファレンシャルギヤ15を有するハイブリッド車両の制御装置が記載されていることが分かる。 また、ア(エ)(特に段落【0050】)の記載から、引用文献2に記載されたハイブリッド車両において、変速機は、MMT12、自動変速機(AT)又は手動変速機(MT)のいずれでもよいことが分かる。以下、これらをまとめて、「変速機12」という。 (カ)上記ア(イ)(特に段落【0022】)の記載から、要求エンジントルクは、エンジンの回転数およびアクセル開度からマップ等に基づいて決定される要求燃料噴射量や吸入空気量等を制御することにより出力されることが分かる。 すなわち、複数のパラメータに基づき、要求エンジントルクの値が決定されることが分かる。 (キ)上記ア(ウ)(特に段落【0035】)及び図2の記載から、引用文献2に記載されたハイブリッド車両の制御装置において、車速は、レゾルバによって検出されるモータジェネレータ17の回転数と、デフ比、MMT12のギヤ比およびシフト位置とから精度良く算出された値を用いることが分かる。 (ク)上記ア(ウ)(特に段落【0036】)及び図2の記載から、引用文献2に記載されたハイブリッド車両の制御装置において、車速、デフ比、MMT12のギヤ比およびシフト位置に基づいて、クラッチ12aを接続し当該条件下でエンジン走行をしていたならば検出されるであろう仮想のエンジン回転数、すなわち、MMT12の入力軸22の回転数Niを算出する(ステップS11)ことが分かる。 (ケ)上記ア(ウ)(特に段落【0036】及び【0046】)及び図2の記載から、引用文献2に記載されたハイブリッド車両の制御装置において、モータジェネレータ17の回転数等に基づいて、MMT12の入力軸22の回転数Ni(すなわち仮想のエンジン回転数)を精度良く推定できることが分かる。 ウ 引用文献2記載の技術1及び2 上記ア、イの記載及び図面の記載を総合すると、引用文献2には以下の技術(以下、順に「引用文献2記載の技術1」及び「引用文献2記載の技術2」という。)が記載されているといえる。 <引用文献2記載の技術1> 「複数のパラメータに基づき、自動車のエンジン11及び、少なくともモータジェネレータ17により、自動車の変速機12に与えられる、要求トルクの値を決定するよう構成された、ハイブリッド車両の制御装置において、 レゾルバにより検出されたモータジェネレータ17の回転数と、デフ比、変速機12のギヤ比およびシフト位置とから、車速を算出し、 車速、デフ比、変速機12のギヤ比およびシフト位置に基づいて、仮想のエンジン回転数を算出する技術。」 <引用文献2記載の技術2> 「複数のパラメータに基づき、自動車のエンジン11及び、少なくともモータジェネレータ17により、自動車の変速機12に与えられる、要求トルクの値を決定するよう構成された、ハイブリッド車両の制御装置において、 レゾルバにより検出されたモータジェネレータ17の回転数等に基づいて、仮想のエンジン回転数を精度良く推定する技術。」 第5 対比 本願発明と引用発明とを対比すると、引用発明における「エンジン11」は、その構造、機能又は技術的意義からみて、本願発明における「第一アクチュエータ」に相当し、以下同様に、「モータジェネレータ17」は「第二アクチュエータ」に、「変速機12」は「ドライブライン」に、「要求トルク」は「ドライバーの要求トルク」に、「ハイブリッド車両」は「ハイブリッド電気自動車(HEV)」に、「制御装置」は「コントローラ」に、「エンジン11の回転数」は「第一アクチュエータの速度」に、「アクセル開度」は「ドライバー操作用のアクセル制御手段の位置」に、「仮想エンジン回転数」は「第一アクチュエータの仮想速度」に、それぞれ相当する。 そうすると、本願発明と引用発明とは、以下の構成において一致する。 <一致点> 「複数のパラメータに基づき、自動車の第一アクチュエータ及び、少なくとも第二アクチュエータにより、自動車のドライブラインに与えられる、ドライバーの要求トルクの値を決定するよう構成された、ハイブリッド電気自動車(HEV)のコントローラであって、 前記パラメータが、 (a)第一アクチュエータの速度、及び、 (b)ドライバー操作用のアクセル制御手段の位置 を含み、 第一アクチュエータがドライブラインに連結されていないときに、ドライバーの要求トルクの値を、第一アクチュエータの仮想速度及び、ドライバー操作用のアクセル制御手段の位置に基づいて決定するよう構成されており、ここで、第一アクチュエータの前記仮想速度は、第一アクチュエータがドライブラインに連結されているとした場合に第一アクチュエータが回転しているであろう速度である、 コントローラ。」 本願発明と引用発明は、以下の点で相違する。 <相違点> 第一アクチュエータの仮想速度を決定する構成に関して、 本願発明においては、「第二アクチュエータの測定された速度及び、第二アクチュエータの算出された速度の中から選択される一つに基づいて、第一アクチュエータの前記仮想速度を決定するべく構成されており、ここで、前記算出された速度は、第二アクチュエータに現在求められる速度から算出される」のに対し、 引用発明においては、「車速、ディファレンシャル比、変速機12のギヤ比、シフト位置等の走行情報に基づいて、仮想エンジン回転数を決定するべく構成されている」点(以下、「相違点」という。)。 第6 判断 上記相違点について検討する。 (検討1) 引用文献2には、上記のように、 「複数のパラメータに基づき、自動車のエンジン11及び、少なくともモータジェネレータ17により、自動車の変速機12に与えられる、要求トルクの値を決定するよう構成された、ハイブリッド車両の制御装置において、 レゾルバにより検出されたモータジェネレータ17の回転数等に基づいて、仮想のエンジン回転数を精度良く推定する技術。」(上記「引用文献2記載の技術2」) が記載されている。 そして、引用文献2記載の技術2は、ハイブリッド車両という技術分野において、EV走行時に仮想のエンジン回転数を算出する技術に関するものである。 してみれば、引用発明において、仮想エンジン回転数を決定するために、ハイブリッド車両という引用発明と共通の技術分野における上記引用文献2記載の技術2を適用することにより、上記相違点に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到できたことである。 (検討2) 引用文献2には、上記のように、 「複数のパラメータに基づき、自動車のエンジン11及び、少なくともモータジェネレータ17により、自動車の変速機12に与えられる、要求トルクの値を決定するよう構成された、ハイブリッド車両の制御装置において、 レゾルバにより検出されたモータジェネレータ17の回転数と、デフ比、変速機12のギヤ比およびシフト位置とから、車速を算出し、 車速、デフ比、変速機12のギヤ比およびシフト位置に基づいて、仮想のエンジン回転数を算出する技術。」(上記「引用文献2記載の技術1」) が記載されている。 また、引用文献2記載の技術1において、算出される車速は、仮想のエンジン回転数を算出するために用いられるものである。 そして、引用発明において、仮想のエンジン回転数を決定するための走行情報の一つである車速を算出するために、引用文献2記載の技術1における「レゾルバにより検出されたモータジェネレータ17の回転数と、デフ比、変速機12のギヤ比およびシフト位置とから、車速を算出し」という事項を適用すれば、結局、検出されたモータジェネレータ17の回転数(本願発明における「第二アクチュエータの速度」)に基づいて仮想のエンジン回転数(本願発明における「第一アクチュエータの仮想速度」)を決定することになる。 したがって、引用発明において、引用文献2記載の技術1を適用することにより、上記相違点に係る本願発明の発明特定事項を得ることは、当業者が容易に想到できたことである。 そして、本願発明は、全体としてみても、引用発明、引用文献2記載の技術1及び2から予測される以上の格別な効果を奏するものではない。 第7 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明、引用文献2記載の技術1及び2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2018-03-05 |
結審通知日 | 2018-03-06 |
審決日 | 2018-03-19 |
出願番号 | 特願2015-178841(P2015-178841) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(B60K)
P 1 8・ 573- Z (B60K) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 田中 将一 |
特許庁審判長 |
松下 聡 |
特許庁審判官 |
金澤 俊郎 西山 智宏 |
発明の名称 | ハイブリッド電気自動車及び、ハイブリッド電気自動車の制御方法 |
代理人 | アクシス国際特許業務法人 |