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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06Q
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G06Q
管理番号 1342873
審判番号 不服2017-10453  
総通号数 225 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-07-13 
確定日 2018-09-03 
事件の表示 特願2014-521539「取引関連サービス提供方法及びその装置」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 1月31日国際公開、WO2013/015501、平成26年 8月28日国内公表、特表2014-522028、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、国際出願日が2012年1月9日である国際出願(パリ条約に基づく優先権主張受理:2011年7月22日、韓国)によるものであって、平成27年11月18日付けで拒絶理由が通知され、平成28年2月24日付けで意見書の提出とともに手続補正がなされ、同年6月30日付けで最後の拒絶理由が通知され、同年10月4日付けで意見書の提出とともに手続補正がなされたものの、この手続補正は、平成29年3月7日付けで決定により却下され、同日付けで拒絶の査定(原査定)がなされた。
これに対し、同年7月13日に拒絶査定不服審判が請求され、これと同時に手続補正がされたものの、同年8月4日に前置報告がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定(平成29年3月7日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

1.請求項3ないし8に係る発明は、次の(1)(2)の点で不明確であり、本願は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
(1)請求項3ないし5は、「第1機器」から受信する情報が「第1支払い手段情報」であるのか「第2支払い手段情報」であるのかが整合していない。
(2)請求項3、6ないし8の「近接」とは「第2機器」と何が近接することを意味するのか不明である。

2.本願請求項1ないし8に係る発明は、以下の引用文献1-3に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2007-272728号公報
2.特開2007-172465号公報
3.特開2008-59356号公報

第3 審判請求時の補正について
審判請求時の補正は、特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとはいえない。
審判請求時の補正のうち、請求項4、5、8の削除とこれに伴う項番の変更は、請求項の削除を目的とするものである。
また、請求項1及び請求項1を引用する請求項2と(補正前の請求項6に対応する)請求項4における、「第1機器」が「サーバと異なる」旨及び「第1支払い方法」の「受信」が「ネットワークを介し」、「前記第2機器と前記ユーザ端末の間の認証後に」なされる旨は、当初明細書等の段落【0031】、図4C、【0022】、【0025】の記載に照らして、いずれも、当初明細書等に記載された事項の範囲内のものであり、また、これらを追加する補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、請求項3及び(補正前の請求項7に対応する)請求項5における、「第1機器」が「サーバと異なる」旨及び「第2支払い方法」の「受信」が「ネットワークを介し」、「前記第2機器と前記ユーザ端末の間の認証後に」なされる旨、「第2支払い手段」の「推薦」が「前記ネットワークとは異なる他のネットワークを介して、前記第1機器を介さずにユーザ端末に」なされる旨は、当初明細書等の段落【0039】、【0041】、図7A及び図7B、【0031】、図4Cの記載に照らして、いずれも、当初明細書等に記載された事項の範囲内のものであり、また、これらを追加する補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、さらに、その余の補正は、誤記の訂正又は明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
そして、「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、補正後の請求項1-5に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。

第4 本願発明
本願請求項1ないし5に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明5」という。)は、平成29年7月13日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-5に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
取引関連サービスを提供する方法において、
サーバとは異なる第1機器から、ネットワークを介してストアで適用可能な第1支払い手段情報を受信する段階と、
前記第1支払い手段情報と、ユーザが活用可能な第2支払い手段情報と、を比較する段階と、
前記比較の結果を基に、第2支払い手段を推薦する段階と、を含み、
前記第1機器から、当該ストアで適用可能な第1支払い手段情報を受信する段階は、前記第1機器と連結された第2機器にユーザ端末が近接した場合、前記第2機器と前記ユーザ端末の間の認証後に、前記第1機器から、前記第2機器を介さずに、当該ストアで適用可能な第1支払い手段情報を受信する段階を含み、
前記第2支払い手段情報は、前記第2支払い手段情報と係わる第3外部機器から受信する段階を含むことを特徴とする取引関連サービス提供方法。

【請求項2】
前記比較の結果を基に、第2支払い手段を推薦する段階は、前記比較の結果を基に、ユーザ購買パターンによって、第2支払い手段を推薦する段階を含むことを特徴とする請求項1に記載の取引関連サービス提供方法。

【請求項3】
取引関連サービスを提供する方法において、
サーバとは異なる第1機器から、ネットワークを介してユーザが活用可能な第2支払い手段情報を受信する段階と、
前記第2支払い手段情報と、ストアで適用可能な第1支払い手段情報と、を比較する段階と、
前記比較の結果を基に、第2支払い手段を、前記ネットワークとは異なる他のネットワークを介して、前記第1機器を介さずにユーザ端末に推薦する段階と、を含み、
前記第1機器から、ユーザが活用可能な第2支払い手段情報を受信する段階は、前記第1機器と連結された第2機器に前記ユーザ端末が近接した場合、前記第2機器と前記ユーザ端末の間の認証後に、前記第1機器から、前記第2機器を介さずに、前記第2支払い手段情報を受信する段階を含むことを特徴とする取引関連サービス提供方法。

【請求項4】
取引関連サービスを提供する装置において、
サーバとは異なる第1機器から、ネットワークを介してストアで適用可能な第1支払い手段情報を受信する通信部と、
ユーザが活用可能な第2支払い手段情報を保存する保存部と、
前記第1支払い手段情報と、前記第2支払い手段情報と、を比較し、前記比較の結果を基に、第2支払い手段を推薦する制御部と、を含み、
前記通信部は、前記第1機器と連結された第2機器に近接した場合、前記第2機器とユーザ端末の間の認証後に、前記第2機器を介さずに、前記第1機器から、当該ストアで適用可能な第1支払い手段情報を受信し、
前記第2支払い手段情報は、前記第2支払い手段情報と係わる第3外部機器から受信することを特徴とする取引関連サービス提供装置。

【請求項5】
取引関連サービスを提供する装置において、
サーバとは異なる第1機器から、ネットワークを介してユーザが活用可能な第2支払い手段情報を受信する通信部と、
ストアで適用可能な第1支払い手段情報を保存する保存部と、
前記第1支払い手段情報と、第2支払い手段情報と、を比較し、前記比較の結果を基に、第2支払い手段を、前記ネットワークとは異なる他のネットワークを介して、前記第1機器を介さずにユーザ端末に、推薦する制御部と、を含み、
前記通信部は、前記第1機器と連結された第2機器に前記ユーザ端末が近接した場合、前記第2機器と前記ユーザ端末の間の認証後に、前記第1機器から、前記第2機器を介さずに、ユーザが活用可能な第2支払い手段情報を受信することを特徴とする取引関連サービス提供装置。」

第5 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0018】以下、発明の実施形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0019】図1は、ICカードシステム100の利用環境の一例を示す。ICカードシステム100は、ICカード110、サービス提供サーバ120、アンテナ125、利用可能カード格納部130、利用可能カード格納部130、通信回線150、カード情報サーバ175、及びカード利用情報格納部180を備える。ICカードシステム100は、異なる複数のクレジットカードとして機能する、フレキシブルなICカード110を利用することができるシステムを提供する。サービス提供サーバ120、アンテナ125、利用可能カード格納部130、及び利用可能カード格納部130は、店舗160a?c(以下、店舗160と総称する)のそれぞれに設けられる。複数のカード情報サーバ175、カード利用情報格納部180は、例えば、クレジットカードの発行会社又はイシュア等のカード会社170a?c(以下、カード会社170と総称する)のそれぞれに設けられる。
【0020】ICカード110は、ユーザ190が契約している複数のクレジットカードを、クレジットカードを識別する情報に対応づけて記憶している。クレジットカードを識別する情報とは、例えば少なくともクレジットカードのブランドを示す情報を含み、カード会社170、カード番号、有効期限、契約者の名前等を含む。
【0021】サービス提供サーバ120は、店舗160におけるICカードシステム100を利用したサービスの提供を支援する。具体的には、サービス提供サーバ120は、ICカードシステム100が利用可能である旨を示す電波をアンテナ125から送信する。アンテナ125は、店舗160の店内の少なくとも一部からICカード110が受信可能な電波を送信する。また、利用可能カード格納部130は、サービス提供サーバ120に接続され、店舗160において利用可能なクレジットカードのブランドを格納している。そして、ユーザ190が店舗160aに入店して、ユーザ190が携帯するICカード110がアンテナ125からの電波を検知すると、ICカード110は、アンテナ125を介してサービス提供サーバ120と通信して、利用可能カード格納部130から利用可能なクレジットカードのブランドを取得する。
【0022】そしてICカード110は、取得したクレジットカードのブランドに対応づけて予め記憶しているクレジットカードを特定する。そして、ICカード110は、特定したクレジットカードのそれぞれの利用情報を、アンテナ125、サービス提供サーバ120、通信回線150、及びカード情報サーバ175を介して、カード利用情報格納部180から取得する。クレジットカードの利用情報とは、例えば利用可能残高、締め日、ポイント数、ポイント有効期限、キャンペーン情報等であってよい。そして、ICカード110は、取得したカード利用情報に基づいて、クレジットカードの利用を推奨する推奨度をクレジットカード毎に決定する。例えば、ICカード110は、既に取得しているポイント数がより多いクレジットカードの推奨度をより高く決定する。そして、ICカード110は、店舗160で利用可能であると特定したブランドのクレジットカードのカード情報を、推奨度に応じて表示デバイス112に表示する。例えば、ICカード110は、店舗160で利用可能な複数のクレジットカードのカード情報のそれぞれを表示デバイス112の異なる位置に表示する。そして、ICカード110は、推奨度のより高いクレジットカードのカード情報を、例えば表示デバイス112のより中央に、より大きく表示する。」

【0025】図2は、ICカード110のブロック構成を示す。ICカード110は、カード格納部200、利用可能カード取得部210、カード利用情報取得部220、利用可能カード特定部230、推奨度決定部240、カード提示部250、提示制御部260、利用カード選択部270、利用カード設定部280、通信制御部290、センサ部294、検知部292、充電部296、及び電源部298を備える。
【0026】カード格納部200は、複数のクレジットカードを識別するカード識別情報を格納する。利用可能カード取得部210は、サービスの提供を受けるために利用可能なクレジットカードを識別するカード識別情報を、当該サービスの提供者から取得する。具体的には、検知部292は、店舗160におけるICカード110の存在を検知する。例えば、検知部292は、アンテナ125からの無線信号によって、店舗160におけるICカード110の存在を検知する。そして、利用可能カード取得部210は、検知部292が店舗160におけるICカード110の存在を検知した場合に、サービスの提供を受けるために利用可能なクレジットカードを識別するカード識別情報を、利用可能カード格納部130から取得する。
【0027】そして、利用可能カード特定部230は、利用可能カード取得部210が取得したカード識別情報とカード格納部200が格納しているカード識別情報とを比較して、利用可能カード取得部210が取得したカード識別情報のうち、カード格納部200が格納しているカード識別情報を特定する。そして、カード利用情報取得部220は、利用可能カード特定部230が特定したカード識別情報によって識別されるクレジットカードに関するカード利用情報を、カード識別情報に対応づけて取得する。具体的には、カード利用情報取得部220は、アンテナ125、サービス提供サーバ120、通信回線150、及びカード情報サーバ175を介して、カード利用情報格納部180からカード利用情報を取得する。このとき、カード情報サーバ175とICカード110との間では、カード利用情報が暗号化されて通信される。
【0028】そして、推奨度決定部240は、カード利用情報取得部220が取得したカード利用情報の内容に基づいて、利用可能カード特定部230が特定したカード識別情報毎に、クレジットカードの利用を推奨する度合いを示す推奨度を決定する。
【0029】そして、カード提示部250は、利用可能カード特定部230が特定したカード識別情報のそれぞれが識別するクレジットカードのカード情報を、推奨度決定部240が決定したカード識別情報毎の推奨度に応じてユーザ190に提示する。具体的には、カード提示部250は、推奨度決定部240がより高い推奨度を決定したカード識別情報が識別するクレジットカードのカード情報をより強調してICカード110のユーザ190に提示する。このように、カード提示部250は、推奨度決定部240がより高い推奨度を決定したクレジットカードのカード情報をより強調して表示する。なお、カード情報とは、クレジットカードのロゴ画像等、カード格納部200が格納している複数のクレジットをユーザ190が識別することができる情報を示す。
【0030】そして、利用カード選択部270は、カード提示部250がユーザ190に提示したカード情報が示すクレジットカードのうちの1つをユーザ190に選択させる。利用カード設定部280は、利用カード選択部270によって選択されたクレジットカードとしてICカード110を利用可能に設定する。また、提示制御部260は、利用カード選択部270が選択したクレジットカードのカード情報を、カード提示部250の表示領域の全面に表示させる。
【0031】なお、カード利用情報取得部220は、クレジットカードを過去に利用したことによって得られた現ポイント数及びポイント数に応じた特典を受けることができる下限のポイント数である下限ポイント数を取得する。そして、推奨度決定部240は、カード利用情報取得部220が取得した現ポイント数がカード利用情報取得部220が取得した下限ポイント数より小さく、かつ、当該現ポイント数と当該下限ポイント数との差がより小さいクレジットカードの推奨度をより高く決定する。また、カード利用情報取得部220は、クレジットカードが利用された利用頻度をカード識別情報に対応づけて取得してよい。そして、推奨度決定部240は、カード利用情報取得部220が取得した利用頻度のより高いクレジットカードの推奨度をより高く決定してよい。」

「【0038】・・・検知部292は、定期的にICカード110の周囲の電波を検知しており、アンテナ125からの電波を検知したか否かを判断する。・・・
【0039】S302において、検知部292がアンテナ125からの電波を検知した場合、利用可能カード取得部210は、店舗160において利用可能なカードのブランドを、通信制御部290を介して利用可能カード格納部130から取得する。」

「【0062】・・・なお、以上の説明においては、一実施形態におけるICカード110を用いてこの発明を説明したが、他の実施形態では、ICカード110のようなICチップが搭載されたカード型の媒体に代えて、ICチップを搭載した携帯端末(例えば、携帯電話、携帯情報端末(PDA)等)を用いることができる。」

したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「ICチップを搭載した携帯端末に代替され得るICカード110、店舗160のそれぞれに設けられたサービス提供サーバ120、アンテナ125並びにサービス提供サーバ120に接続された利用可能カード格納部130、通信回線150、及び、カード会社170のそれぞれに設けられたカード情報サーバ175並びにカード利用情報格納部180を備えるICカードシステムにおいて、ICカード110にクレジットカードを識別する情報に対応づけて記憶されてカード格納部200に格納されたユーザ190が契約している複数のクレジットカードのうち、店舗160で利用可能であると特定されたブランドのクレジットカードのカード情報を、推奨度に応じてICカード110においてユーザに提示するための方法であって、
ICカード110は、検知部292がアンテナ125からの電波を検知した場合、利用可能カード格納部130からサービスの提供を受けるために利用可能なクレジットカードを識別するカード識別情報を取得し、取得したカード識別情報とカード格納部200が格納しているカード識別情報とを比較して取得したカード識別情報のうちカード格納部200が格納しているカード識別情報を特定し、特定されたカード識別情報を用いてカード情報サーバ175を介してカード利用情報格納部180から取得したカード利用情報(例えば、クレジットカードを過去に利用したことによって得られた現ポイント数やクレジットカードが利用された利用頻度等)に基づいてクレジットカードの利用を推奨する度合いを示す推奨度を決定し、決定された推奨度に応じてクレジットカードの情報をユーザに提示する、方法。」

2.引用文献2について
また、原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2の段落【0091】-段落【0118】、第16図の記載からみて、引用文献2には、クレジットカード特典情報提供システムの発明において、ユーザの利用可能なカードと店舗で利用可能なカードとを比較して決済を行うこと、店舗端末と携帯端末とが近距離無線通信を行った後に、携帯端末が無線回線網を経由してサーバに直接接続して利用可能なカードを選択することが記載されている。

3.引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献3の段落【0030】-【0035】の記載からみて、引用文献3には、携帯電話がサーバから決済に用いるカード情報を予め取得して格納する構成が記載されている。

第6 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

引用発明の「ユーザ190が契約している複数のクレジットカード」の情報(カード識別情報及びカード利用情報)は、本願発明1の「ユーザが活用可能な第2支払い手段情報」に相当する。
また、引用発明の「利用可能なクレジットカード」の情報は、店舗に設けられたサービス提供サーバ120に接続された利用可能カード格納部130に格納されたものであり、店舗において利用可能なクレジットカードの情報であるから、本願発明1の「ストアで適用可能な第1支払い手段情報」に相当する。

引用発明は、ICチップを搭載した携帯端末に代替され得るICカード110が、利用可能カード格納部130を接続した店舗に設けられたサービス提供サーバ120から「ストアで適用可能な第1支払い手段情報」を取得してこれを「ユーザが活用可能な第2支払い手段情報」であるカード識別情報と比較し、比較した結果を基に特定されたカード識別情報を用いてカード情報サーバ175を介してカード利用情報格納部180から取得したカード利用情報に基づいて推奨度を決定するものであるところ、引用発明における、利用可能カード格納部130を接続した店舗に設けられたサービス提供サーバ120は、「サーバとは異なるもの」とはいえないものの、ネットワークを介して受信される「ストアで適用可能な第1支払い手段情報」を送信する機器である点において、本願発明1の「第1機器」に対応する。
引用発明の「カード情報サーバ175」は、店舗ではなくユーザが契約しているカード会社のそれぞれに設けられたものであるから、「(ユーザが活用可能な)第2支払い手段情報と係わる第3外部機器」に相当する。

引用発明は、受信がICカード110の検知部292がアンテナ125からの電波を検知した場合になされるものであって、「前記第1機器と連結された第2機器にユーザ端末が近接した場合」の「前記第2機器と前記ユーザ端末の間の認証後」になされるものではないものの、「ストアで適用可能な第1支払い手段情報」を送信する機器が送信した情報をネットワークを介して受信し、受信した情報と「ユーザが活用可能な第2支払い手段情報」とを比較し、比較の結果を基に、第2支払い手段を推薦する処理を行う点では、本願発明1と共通する。
さらに、引用発明における、「ユーザが活用可能な第2支払い手段情報」に相当するカード利用情報を「情報サーバ175を介してカード利用情報格納部180から取得」することは、本願発明1における、「前記第2支払い手段情報は、前記第2支払い手段情報と係わる第3外部機器から受信する」点に相当する。

したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
取引関連サービスを提供する方法において、
ネットワークを介してストアで適用可能な第1支払い手段情報を受信する段階と、
前記第1支払い手段情報と、ユーザが活用可能な第2支払い手段情報と、を比較する段階と、
前記比較の結果を基に、第2支払い手段を推薦する段階と、を含み、
前記第2支払い手段情報は、前記第2支払い手段情報と係わる第3外部機器から受信する段階を含むことを特徴とする取引関連サービス提供方法。

(相違点)
(相違点1)ストアで適用可能な第1支払い手段情報を送信する機器について、本願発明1では、「サーバとは異なる第1機器」であるのに対し、引用発明では、「店舗160のそれぞれに設けられたサービス提供サーバ120」であって、サーバとは異なるものではない点。
(相違点2-1)ストアで適用可能な第1支払い手段情報を送信する機器からの当該ストアで適用可能な第1支払い手段情報の受信について、本願発明1では、受信が「第1機器と連結された第2機器にユーザ端末が近接した場合」に「前記第2機器と前記ユーザ端末の間の認証後に」なされるのに対し、引用発明では、受信が検知部292がアンテナ125からの電波を検知した場合になされ、「前記第1機器と連結された第2機器にユーザ端末が近接した場合」の「前記第2機器と前記ユーザ端末の間の認証後」になされるのではない点。
(相違点2-2)ストアで適用可能な第1支払い手段情報を送信する機器からの当該ストアで適用可能な第1支払い手段情報の受信について、本願発明1では、「前記第1機器から、前記第2機器を介さずに」受信するのに対し、引用発明では、そうではない点。

(2)相違点についての判断
事案に鑑み、相違点1の検討に先立ち、相違点2-1及び相違点2-2について、まとめて検討する。
まず、相違点2-1についてみると、本願発明1と引用発明とは、いずれも「ユーザ端末」(引用発明では「ICチップを搭載した携帯端末に代替され得るICカード110」)が所定の機器(本願発明では「第2機器」、引用発明では「アンテナ125」)に近接したことを契機として処理を行うものであるということができるものの、本願発明1の「第2機器」は、ユーザ端末との間での認証の主体であって、他からの信号の送受信のための媒体にすぎない引用発明のアンテナ125と異なる上、引用発明のアンテナ125をそのような認証の主体とするように変更する必要はなく、そのような変更を示唆する記載も見当たらない。
また、相違点2-2についてみると、本願発明1の「前記第1機器から、前記第2機器を介さずに」とは、ユーザ端末と近接することによって行われる認証の主体である「第2機器」が存在し、しかも、その「第2機器」を介さずにユーザ端末が第1機器と通信するための通信経路が存在することを前提としたものであるところ、前述したとおり、引用発明には、ユーザ端末と近接することによって行われる認証の主体である「第2機器」は存在しない。仮に、引用発明の「アンテナ125」を本願発明1の「第2機器」と対応する構成であると考えるにしても、引用発明では、「ICカード110がアンテナ125を介してサービス提供サーバ120と通信」(引用文献1【0025】)するのであって、引用発明において、アンテナ125を介さずにユーザ端末とサービス提供サーバとが通信を行うための通信経路を敢えて設ける必要はないし、そのことを示唆する記載も見当たらない。この点、査定の理由に示された上記引用文献2及び引用文献3も、「第2機器」を介さずにユーザ端末が第1機器と通信するための通信経路を示すものではなく、この文献の記載を考慮しても、引用発明において、アンテナ125を介さずにユーザ端末とサービス提供サーバとが通信を行うための通信経路を設けることが容易想到であることを論理づけることはできない。
いずれにしても、相違点2-1及び相違点2-2について、引用発明を起点として容易想到であることを論理づけることはできない。
したがって、上記相違点1について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明、引用文献2及び引用文献3に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2.本願発明2について
本願請求項2に係る本願発明2も、請求項2の被引用請求項である請求項1に係る本願発明1について、「1.」の(1)で述べた相違点に係る構成を備えるものであるから、「1.」(2)で述べたのと同じ理由により、当業者であっても引用発明、引用文献2及び引用文献3に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

3.本願発明3について
本願発明3と引用発明とを対比すると、両者は、少なくとも、次の点で相違する。

(相違点)
ユーザが活用可能な第2支払い手段情報を送信する機器からのユーザが活用可能な第2支払い手段情報の受信について、本願発明1では、「前記第1機器から、前記第2機器を介さずに」受信するのに対し、引用発明では、そうではない点。

そして、「1.」の(2)で本願発明1についての相違点2-2について上述したのと同様に、本願発明3の「前記第1機器から、前記第2機器を介さずに」も、ユーザ端末と近接することによって行われる認証の主体である「第2機器」が存在し、しかも、その「第2機器」を介さずにユーザ端末が第1機器と通信するための通信経路が存在することを前提としたものであり、これに対して、引用発明には、ユーザ端末と近接することによって行われる認証の主体である「第2機器」は存在しない。仮に、引用発明の「アンテナ125」を本願発明の「第2機器」と対応する構成であると考えるにしても、引用発明では、「ICカード110がアンテナ125を介してサービス提供サーバ120と通信」(引用文献1【0025】)するのであって、引用発明において、アンテナ125を介さずにユーザ端末とサービス提供サーバとが通信を行うための通信経路を敢えて設ける必要はないし、そのことを示唆する記載も見当たらない。引用文献2及び引用文献3の記載を考慮しても、引用発明において、アンテナ125を介さずにユーザ端末とサービス提供サーバとが通信を行うための通信経路を設けることが容易想到であることを論理づけることはできない。
したがって、その余の相違点について認定判断するまでもなく、本願発明3は、当業者であっても引用発明、引用文献2及び引用文献3に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

4.本願発明4、5について
本願発明4、5は、本願発明1、3に対応する装置の発明であるから、本願発明1、3と同様の理由により、当業者であっても引用発明、引用文献2及び引用文献3に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

第7 原査定について
1.理由1(特許法第36条第6項第2号)について
審判請求時の補正によって、「第1機器」から受信する情報が「第1支払い手段情報」であるのか「第2支払い手段情報」であるのかについての記載の不整合が解消し、「第2機器」と近接するのが「ユーザ端末」であることが明らかとされている。
よって、原査定の理由1は、審判請求時の補正によって解消しており、これを維持することはできない。

2.理由2(特許法第29条第2項)について
本願発明1ないし5は、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1ないし3に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。
原査定においては、引用発明の「アンテナ125」が本願発明の「第2機器」に相当するとしているところ、審判請求時の補正による補正後の請求項1ないし5においては、「第2機器」がユーザ端末と近接することによって行われる認証の主体であることが明示されており、第6で上述したとおり、引用発明の「アンテナ125」が本願発明の「第2機器」に相当するとはいえない。
したがって、原査定の理由2を維持することはできない。

第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2018-08-20 
出願番号 特願2014-521539(P2014-521539)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06Q)
P 1 8・ 537- WY (G06Q)
最終処分 成立  
前審関与審査官 田付 徳雄  
特許庁審判長 金子 幸一
特許庁審判官 石川 正二
相崎 裕恒
発明の名称 取引関連サービス提供方法及びその装置  
代理人 木内 敬二  
代理人 実広 信哉  
代理人 崔 允辰  
代理人 阿部 達彦  
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