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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1342905
審判番号 不服2017-7499  
総通号数 225 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-05-24 
確定日 2018-08-08 
事件の表示 特願2014- 8834「著作権管理システムのためのユーザーセントリック方法およびアダプター」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 9月29日出願公開、特開2014-182791〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由
第1 手続の経緯

本件審判請求に係る出願(以下,「本願」という。)は,平成26年1月21日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2013年3月15日(以下,「優先日」という。),米国)の出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。

平成26年 2月19日 :翻訳文の提出
平成28年 5月23日付け :拒絶理由の通知
平成28年 8月23日 :意見書,手続補正書の提出
平成29年 1月18日付け :拒絶査定
平成29年 5月24日 :審判請求書,手続補正書の提出
平成29年 8月22日 :前置報告


第2 平成29年5月24日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]

平成29年5月24日付けの手続補正を却下する。

[理由]

1 補正の内容

平成29年5月24日付けの手続補正(以下,「本件補正」という。)の内容は,平成28年8月23日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1乃至14の記載(以下,この特許請求の範囲に記載された請求項を「補正前の請求項」という。)を,

「 【請求項1】
デジタル著作権管理(DRM)により保護されている文書に対するユーザーのデジタル著作権を管理する方法であって,
著作権管理システム(RMS)サーバーが,所定のユーザーから,所定の文書にアクセスするためのリクエストを受信するステップと,
RMSサーバーがユーザーセントリックアダプター(UCA)モジュールを実行して,デジタル著作権の複数の所定のポリシーのうちの一つが,前記所定のユーザーの身分証明書(ID)及び前記所定の文書に関して追加されているかどうかを前記所定のユーザーのIDのもとでUCAデータベースを検査するステップと,を有し,
前記UCAデータベースには,ユーザーのID,文書およびポリシーの情報を含む複数のエントリーが追加されており,前記複数のエントリーのそれぞれでは単一のユーザーに対して単一の文書およびポリシーが対応づけされ,
前記UCAデータベースにおいて,複数の所定のポリシーのいずれも前記所定のユーザーのID及び前記所定の文書に関して追加されていない場合は,UCAモジュールがユーザーのリクエストの許可を阻止し,
第1のユーザーに第1の文書に対する第1のアクセス権を新たに取得させる場合は,前記第1のユーザーに対して前記第1の文書と前記第1のアクセス権についてのポリシーとが対応づけされた新たなエントリーを前記UCAデータベースに追加し,
第2のユーザーによる第2の文書に対する第2のアクセス権を無効にする場合は,前記第2のユーザーに対して前記第2の文書と前記第2のアクセス権についてのポリシーとが対応づけされたエントリーを前記UCAデータベースから除去する方法。
【請求項2】
ユーザーが前記所定のポリシーに含まれるデジタル著作権を供与されている場合は,前記所定のポリシーが前記ユーザーのIDのもとで前記所定の文書に前記UCAデータベースにおいて追加される,請求項1に記載の方法。
【請求項3】
一つの所定の文書に対し複数の所定のポリシーが関連付けられる,請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記所定のポリシーの数は,異なるデジタル著作権のあらゆる可能な組合せの数に限定されている,請求項1?3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ユーザーの前記リクエストはUCAモジュールにより阻止される,請求項1?4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記UCAモジュールが,ユーザーの前記リクエストをRMSサーバーの著作権管理部に転送するステップをさらに有する,請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記著作権管理部は,ユーザーの前記リクエストに対し決定により適当な権利を供与する,請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記UCAモジュールが前記RMSサーバーの著作権管理部に登録されるステップをさらに有する,請求項1?7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ユーザーの前記リクエストに対し権利が供与されたかどうか,およびどのような権利が供与されたかの結果により,前記UCAモジュールが前記UCAデータベースをアップデートするステップをさらに有する請求項1?8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記UCAデータベースと,一つのデジタル著作権のポリシーとそれぞれ関連付けられた文書IDを含む別個のRMSデータベースと,を前記UCAモジュールが同期させるステップをさらに有する,請求項1?9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
請求項1?10のいずれか一項に記載の方法をデータ処理装置に実行させるプログラム。
【請求項12】
請求項11に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。」
(当審注:下線は,請求人が付与したものである。以下,この特許請求の範囲に記載された請求項を「補正後の請求項」という。)

に補正するものである。

そして,本件補正は,願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてなされており,特許法第17条の2第3項の規定に適合している。
また,本件補正は,特別な技術的特徴を変更(シフト補正)をしようとするものではなく,特許法第17条の2第4項の規定に適合している。


2 目的要件

本件補正は上記「1 補正の内容」のとおり,本件審判の請求と同時にする補正であり,特許請求の範囲について補正をしようとするものであるから,本件補正が,特許法第17条の2第5項の規定を満たすものであるか否か,すなわち,本件補正が,特許法第17条の2第5項に規定する請求項の削除,特許請求の範囲の減縮(特許法第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって,その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る),誤記の訂正,或いは,明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る)の何れかを目的としたものであるかについて,以下に検討する。

(1)補正前の請求項と補正後の請求項とを比較すると,補正後の請求項1は,補正前の請求項2を引用する請求項3に対応することは明らかである。
また,補正後の請求項2乃至12はそれぞれ,補正前の請求項4乃至14に対応することは明らかである。

(2)よって,本件補正は,下記の補正事項1乃至3よりなるものである。

<補正事項1>
補正前の請求項3が引用する請求項2の
「第1のユーザーに第1の文書に対する新たなアクセス権を取得させる場合は,前記第1のユーザー及び第1の文書に対応する新たなエントリーを前記UCAデータベースに追加する,」との記載を,
補正後の請求項1の
「第1のユーザーに第1の文書に対する第1のアクセス権を新たに取得させる場合は,前記第1のユーザーに対して前記第1の文書と前記第1のアクセス権についてのポリシーとが対応づけされた新たなエントリーを前記UCAデータベースに追加し,」との記載に変更する補正。

<補正事項2>
補正前の請求項3の
「第1のユーザーによる第1の文書に対するアクセス権を無効にする場合は,前記第1のユーザー及び第1の文書に対応するエントリーを前記UCAデータベースから除去する,」との記載を,
補正後の請求項1の
「第2のユーザーによる第2の文書に対する第2のアクセス権を無効にする場合は,前記第2のユーザーに対して前記第2の文書と前記第2のアクセス権についてのポリシーとが対応づけされたエントリーを前記UCAデータベースから除去する」との記載に変更する補正。

<補正事項3>
補正前の請求項1,2を削除する補正。

(3)補正事項1,2について

補正前の請求項2を引用する請求項3の発明特定事項である「新たなエントリーを前記UCAデータベースに追加」するステップ又は「エントリーを前記UCAデータベースから除去する」ステップを限定的に減縮することを目的とするものである。
また,本件補正によっても,補正前の請求項に記載された発明とその補正後の請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であることは明らかである。

(4)小括
したがって,上記補正事項1,2は限定的減縮を目的とするものであり,また,上記補正事項3は請求項の削除を目的とするものであるから,本件補正は,特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮,及び同条同項第1号に掲げる請求項の削除を目的とするものに該当するといえることから,特許法第17条の2第5項の規定に適合するものである。


3 独立特許要件

以上のように,本件補正は,特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮(限定的減縮)を目的とする上記補正事項1,2を含むものである。そこで,限定的減縮を目的として補正された補正後の請求項1に記載された発明(以下,「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)以下に検討する。

(1)本件補正発明

本件補正発明は,上記平成29年5月24日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲,明細書及び図面の記載からみて,その特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものと認める。

「 【請求項1】
デジタル著作権管理(DRM)により保護されている文書に対するユーザーのデジタル著作権を管理する方法であって,
著作権管理システム(RMS)サーバーが,所定のユーザーから,所定の文書にアクセスするためのリクエストを受信するステップと,
RMSサーバーがユーザーセントリックアダプター(UCA)モジュールを実行して,デジタル著作権の複数の所定のポリシーのうちの一つが,前記所定のユーザーの身分証明書(ID)及び前記所定の文書に関して追加されているかどうかを前記所定のユーザーのIDのもとでUCAデータベースを検査するステップと,を有し,
前記UCAデータベースには,ユーザーのID,文書およびポリシーの情報を含む複数のエントリーが追加されており,前記複数のエントリーのそれぞれでは単一のユーザーに対して単一の文書およびポリシーが対応づけされ,
前記UCAデータベースにおいて,複数の所定のポリシーのいずれも前記所定のユーザーのID及び前記所定の文書に関して追加されていない場合は,UCAモジュールがユーザーのリクエストの許可を阻止し,
第1のユーザーに第1の文書に対する第1のアクセス権を新たに取得させる場合は,前記第1のユーザーに対して前記第1の文書と前記第1のアクセス権についてのポリシーとが対応づけされた新たなエントリーを前記UCAデータベースに追加し,
第2のユーザーによる第2の文書に対する第2のアクセス権を無効にする場合は,前記第2のユーザーに対して前記第2の文書と前記第2のアクセス権についてのポリシーとが対応づけされたエントリーを前記UCAデータベースから除去する方法。」

(2)引用例

(2-1)引用例1に記載されている技術的事項および引用発明

ア 本願の優先日前に頒布又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となり,原審の拒絶査定の理由である平成28年5月23日付けの拒絶理由通知において引用された,特開2010-61300号公報(平成22年3月18日出願公開,以下,「引用例1」という。)には,以下の技術的事項が記載されている。
(当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。)

A 「【0021】
本発明の第1実施形態に係わる文書管理システム10は,図1に示すように,画像形成装置12,認証サーバ14,文書管理サーバ16,ポリシサーバ18,及びクライアントコンピュータ20がネットワーク24に接続されて構成されている。なお,ネットワーク24としては,各種ネットワークを適用することができる。
…(中略)…
【0024】
文書管理サーバ16は,画像形成装置12によって紙文書を読み取ることによって得られる文書データや,クライアントコンピュータ20で作成された文章データ等を格納する。文書データを格納する際には,文書を特定するための文書IDを付加して格納する。そして,文書管理サーバ16に格納された文書データへのアクセスは,認証サーバ14によって認証され,ポリシサーバ18によって認められた権限を有する場合に文書データへのアクセスが許可される。
【0025】
ポリシサーバ18は,文書データに付与され,文書データに対する処理を制御する文書制御情報(以下,ポリシ情報という。)の管理を行う。ポリシ情報としては,例えば,文書管理サーバ16に格納された文書データに対する属性表示権や,内容表示権,印刷権,ポリシ表示権,ポリシ複写権,及びポリシ変更権などがある。例えば,文書に対する所定の処理(内容表示,印刷,ポリシ表示,ポリシ複写,及びポリシ変更等)を実行する権限が定められたテーブル等を記憶しており,権限に応じて文書管理サーバ16に格納された文書に対する処理を制御する。
【0026】
クライアントコンピュータ20は,文書の作成や,ポリシサーバ18で管理されるポリシ情報に応じて,文書管理サーバ16に格納された文書の内容表示,印刷指示,ポリシ表示,ポリシ複写,及びポリシ変更等の所定の処理に対応する制御が行われる。クライアントコンピュータ20は,ICカードの情報や暗証番号の入力等を行うことによって認証サーバ14に対して認証を行い,ポリシサーバ18から使用者を特定するためのユーザIDや文書IDに対応するポリシ情報を取得することで,認証サーバ14の認証結果やポリシサーバ18から取得したポリシ情報に応じた文書管理サーバ16に格納された文書に対するアクセスが許可される。」

B 「【0029】
認証サーバ14のハードディスク44には,画像形成装置12を使用するための認証を行うための認証情報等が記憶されている。認証情報としては,例えば,図3(A)に示すように,ICカードや暗証番号に対応する画像形成装置12の使用者(ユーザID)が予め登録されており,画像形成装置12やクライアントコンピュータ20等で入力された暗証番号やICカードの情報と登録されたユーザIDとを照合することにより認証を行う。そして,認証サーバ14は,使用者が登録されている場合に,画像形成装置12やクライアントコンピュータ20等の使用を許可する。なお,使用者を特定するためのユーザIDの登録は,認証サーバ14で行うようにしてもよいし,所定の権限をICカードの情報や暗証番号等で認証して,クライアントコンピュータ20等から登録するようにしてもよい。
【0030】
また,文書管理サーバ16のハードディスク44には,文書ID,属性情報,及び文書内容を表す文書データ等を管理するための情報等が記憶されている。例えば,図3(B)に示すように,文書ID毎に属性情報及び文書データが予め登録されている。なお,文書データの登録は,画像形成装置12や画像読取装置22が接続されたクライアントコンピュータ20等から行うことが可能であり,文書データを登録する際の処理については後述する。
【0031】
さらに,ポリシサーバ18のハードディスク44には,文書管理サーバ16に登録された文書を特定するための文書ID毎にポリシ情報を管理するための情報が記憶されている。例えば,図3(C)に示すように,ポリシ情報の内容を特定するためのポリシIDに対応する操作内容を表すテンプレートが記憶されていると共に,図3(D)に示すように,文書ID毎に,ポリシID及びユーザIDが予め定められたテーブルが記憶されている。これによって,文書管理サーバ16に格納された各文書毎に対応するポリシIDが表すポリシ情報によって,属性表示,内容表示,印刷権,ポリシ複写,ポリシ表示,及びポリシ変更等の文書に対する所定の処理が制御される。また,ポリシサーバ18には,ユーザID毎のポリシIDも記憶するようにしてもよい。これによって,使用者毎に文書に対する所定の処理が制御される。
…(中略)…
【0034】
また,画像形成装置12や画像読取装置22が接続されたクライアントコンピュータ20から紙文書を電子化して文書管理サーバ16に登録することが可能である。この場合には,認証サーバ14による認証後に,画像形成装置12の画像読取部64やクライアントコンピュータ20に接続された画像読取装置22等によって読み取ることによって電子化された文書データを文書管理サーバ16に登録する。登録の際には,当該文書に対する処理を制御するポリシ情報を付与してポリシサーバ18に登録することで,ポリシサーバ18に登録されたポリシ情報に応じて,登録された文書の属性表示,内容表示,印刷,ポリシ表示,及びポリシ編集等の所定の処理の制御が可能となる。」

C 「【0043】
ステップ108では,全ての紙文書の読取りが終了したか否か判定され,該判定が否定された場合にはステップ106に戻って全ての紙文書の読取りが終了するまで上述の処理が繰り返されて,ステップ108の判定が肯定されたところでステップ110へ移行する。
…(中略)…
【0047】
ステップ118では,ポリシ情報を取得したか否か判定される。すなわち,ポリシサーバ18からコード情報に対応するポリシ情報(文書ID毎のポリシID及びユーザID)が読み出されて送信されてきたか否かが判定され,該判定が肯定された場合にはステップ120へ移行し,否定された場合にはそのまま当該処理を終了する。なお,処理を終了する場合には,対応するポリシ情報がない旨をディスプレイ38,58等に表示することによってユーザに報知して終了するようにしてもよい。
…(中略)…
【0049】
ステップ122では,ステップ118で取得したポリシ情報が,読み取って電子化された文書に付与されて文書管理サーバ16に登録される。詳細には,新たに読み取った文書に文書IDを作成して文書IDと共に属性情報や文書データが文書管理サーバ16に登録されると共に,新たに登録された文書IDに対応させてポリシ情報(紙文書から読み取ったコード情報が表すポリシ情報)がポリシサーバ18に登録される。
【0050】
すなわち,本実施形態では,図5に示すように,ポリシ情報を取得するためのコード情報が形成された登録済みの紙文書と新たに登録する紙文書とを画像形成装置12や画像読取装置22が接続されたクライアントコンピュータ20で読み取ることで,読み取ったコード情報から既に登録された紙文書のポリシ情報(ポリシID及びユーザID)を取得し,新たに読み込まれた文書のポリシ情報として複写して登録される。」

D 「【0076】
また,上記の各実施形態では,認証サーバ14,文書管理サーバ16,及びポリシサーバ18を備える構成としたが,これに限るものではなく,例えば,各サーバの機能を全て兼ね備えたサーバとしてもよいし,認証サーバ14及びポリシサーバ18の機能を備えたサーバと,文書管理サーバ16とを備えた構成としてもよいし,認証サーバ14及び文書管理サーバ16の機能を備えたサーバと,ポリシサーバ18とを備えた構成としてもよいし,文書管理サーバ16及びポリシサーバ18の機能を備えたサーバと,認証サーバ14とを備えた構成としてもよい。各サーバの機能を1つのサーバが兼ね備える場合には,例えば,図7に示すように,操作者,文書制御ID,文書ID,期限(文書IDに対するアクセス期限やアクセス回数など),操作内容等をテーブルとして予め記憶するようにしてもよい。すなわち,図3(A)?(D)に示す内容を集約したテーブルを記憶するようにしてもよい。」

E 「【図3】



F 「【図7】



イ ここで,引用例1に記載されている事項を検討する。

(ア)上記Aの段落【0021】の「本発明の第1実施形態に係わる文書管理システム10は,図1に示すように,画像形成装置12,認証サーバ14,文書管理サーバ16,ポリシサーバ18,及びクライアントコンピュータ20がネットワーク24に接続されて構成されている。」との記載,段落【0024】の「そして,文書管理サーバ16に格納された文書データへのアクセスは,認証サーバ14によって認証され,ポリシサーバ18によって認められた権限を有する場合に文書データへのアクセスが許可される。」との記載からすると,「文書管理システム」は,「画像形成装置」,「認証サーバ」,「文書管理サーバ」,「ポリシサーバ」,「クライアントコンピュータ」から構成され,「認証サーバ」は文書データへアクセスするユーザを認証し,「ポリシサーバ」は,文書データへのアクセスを管理することは明らかであり,「認証サーバ14によって認証され,ポリシサーバ18によって認められた権限」は,認証されたユーザによる文書データへのアクセスの権限であると認められるから,「画像形成装置」,「認証サーバ」,「文書管理サーバ」,「ポリシサーバ」,「クライアントコンピュータ」から構成される「文書管理システム」において,「ポリシサーバ」は,認証されたユーザによる文書データへのアクセスの権限を管理することが読み取れる。
また,上記Aの段落【0025】の「ポリシサーバ18は,文書データに付与され,文書データに対する処理を制御する文書制御情報(以下,ポリシ情報という。)の管理を行う。」との記載,段落【0026】の「クライアントコンピュータ20は,文書の作成や,ポリシサーバ18で管理されるポリシ情報に応じて,文書管理サーバ16に格納された文書の内容表示,印刷指示,ポリシ表示,ポリシ複写,及びポリシ変更等の所定の処理に対応する制御が行われる。」との記載からすると,「ポリシサーバ」は,文書データに付与され,文書データに対する処理を制御する「ポリシ情報」に応じて,内容表示,印刷指示などの文書データへのアクセスの権限を管理することが読み取れるから,引用例1には,
“画像形成装置,認証サーバ,文書管理サーバ,ポリシサーバ,クライアントコンピュータから構成される文書管理システムにおいて,文書データに付与され,文書データに対する処理を制御するポリシ情報に応じて,認証されたユーザによる文書データへのアクセスの権限を管理する方法”
が記載されていると解される。

(イ)上記(ア)での検討より,「ポリシサーバ」は,内容表示,印刷指示などの文書データへのアクセスの管理をすると認められ,また,上記Aの段落【0026】の「クライアントコンピュータ20は,ICカードの情報や暗証番号の入力等を行うことによって認証サーバ14に対して認証を行い,ポリシサーバ18から使用者を特定するためのユーザIDや文書IDに対応するポリシ情報を取得することで,認証サーバ14の認証結果やポリシサーバ18から取得したポリシ情報に応じた文書管理サーバ16に格納された文書に対するアクセスが許可される。」との記載からすると,ユーザは,「クライアントコンピュータ」から「認証サーバ」に対して,ICカードの情報や暗証番号の入力等を行うことによって認証を行うとともに,「ポリシサーバ」に対して,「ユーザID」や「文書ID」に基づいて,内容表示,印刷指示など,文書データへのアクセスを要求することが読み取れるから,引用例1には,
“認証サーバは,クライアントコンピュータから入力されるICカードの情報や暗証番号の入力等によって,ユーザの認証を行うこと,
ポリシサーバは,ユーザIDや文書IDに基づく,内容表示,印刷指示など,文書データに対するユーザからのアクセス要求を受け付けること”
が記載されていると解される。

(ウ)上記(イ)での検討より,内容表示,印刷指示など,文書データに対するユーザからのアクセス要求は,ユーザIDや文書IDに基づくと認められ,また,上記Aの段落【0026】の「クライアントコンピュータ20は,…(中略)…ポリシサーバ18から使用者を特定するためのユーザIDや文書IDに対応するポリシ情報を取得することで,認証サーバ14の認証結果やポリシサーバ18から取得したポリシ情報に応じた文書管理サーバ16に格納された文書に対するアクセスが許可される。」との記載,上記Bの段落【0031】の「さらに,ポリシサーバ18のハードディスク44には,文書管理サーバ16に登録された文書を特定するための文書ID毎にポリシ情報を管理するための情報が記憶されている。…(中略)… これによって,文書管理サーバ16に格納された各文書毎に対応するポリシIDが表すポリシ情報によって,属性表示,内容表示,印刷権,ポリシ複写,ポリシ表示,及びポリシ変更等の文書に対する所定の処理が制御される。」との記載からすると,「ポリシ情報」は「ポリシID」により表され,「ポリシサーバ」は,「文書ID毎にポリシ情報を管理するための情報」から,内容表示,印刷権等の文書データに対するアクセス要求に対応する「ポリシ情報」を取得することが読み取れるから,引用例1には,
“ポリシサーバは,文書ID毎にポリシIDが表すポリシ情報を管理するための情報から,ユーザからのユーザIDや文書IDに基づくアクセス要求に対応するポリシ情報を取得すること”
が記載されていると解される。

(エ)上記Bの段落【0031】の「さらに,ポリシサーバ18のハードディスク44には,文書管理サーバ16に登録された文書を特定するための文書ID毎にポリシ情報を管理するための情報が記憶されている。例えば,図3(C)に示すように,ポリシ情報の内容を特定するためのポリシIDに対応する操作内容を表すテンプレートが記憶されていると共に,図3(D)に示すように,文書ID毎に,ポリシID及びユーザIDが予め定められたテーブルが記憶されている。」との記載からすると,「ポリシサーバ」に記憶されている「文書ID毎にポリシ情報を管理するための情報」は,ポリシ情報の内容を特定するためのポリシIDに対応する操作内容を表すテンプレート,および,文書ID毎に,ポリシID及びユーザIDが予め定められたテーブルを含むことが読み取れ,また,上記Eの図3(D)より,「テーブル」は,文書ID毎に,ポリシID及びユーザIDが1つ対応するように予め定められていることが読み取れるから,引用例1には,
“文書ID毎にポリシIDが表すポリシ情報を管理するための情報は,ポリシ情報の内容を特定するためのポリシIDに対応する操作内容を表すテンプレート,および,文書ID毎に,ポリシID及びユーザIDが1つ対応するように予め定められたテーブルを含む”
が記載されていると解される。

(オ)上記(イ)での検討より,ユーザからの文書データへのアクセス要求は,ユーザIDや文書IDに基づく,内容表示,印刷指示などであり,加えて,上記Aの段落【0026】の「クライアントコンピュータ20は,…(中略)…ポリシサーバ18から使用者を特定するためのユーザIDや文書IDに対応するポリシ情報を取得することで,認証サーバ14の認証結果やポリシサーバ18から取得したポリシ情報に応じた文書管理サーバ16に格納された文書に対するアクセスが許可される。」との記載,上記Bの段落【0031】の「これによって,文書管理サーバ16に格納された各文書毎に対応するポリシIDが表すポリシ情報によって,属性表示,内容表示,印刷権,ポリシ複写,ポリシ表示,及びポリシ変更等の文書に対する所定の処理が制御される。」との記載からすると,文書データへのアクセス要求は,アクセス要求に対応する「ポリシ情報」に応じて,許可される等制御されることが読み取れるから,引用例1には,
“ユーザからの文書データの内容表示,印刷指示など,ユーザIDや文書IDに基づくアクセス要求に対応するポリシ情報に応じて,文書データへのアクセス要求が許可される等制御されること”
が記載されていると解される。

(カ)上記Bの段落【0034】の「また,画像形成装置12や画像読取装置22が接続されたクライアントコンピュータ20から紙文書を電子化して文書管理サーバ16に登録することが可能である。…(中略)… 登録の際には,当該文書に対する処理を制御するポリシ情報を付与してポリシサーバ18に登録することで,ポリシサーバ18に登録されたポリシ情報に応じて,登録された文書の属性表示,内容表示,印刷,ポリシ表示,及びポリシ編集等の所定の処理の制御が可能となる。」との記載からすると,文書データの登録の際には,文書データの内容表示,印刷等の制御を可能とする「ポリシ情報」を付与して「ポリシサーバ」に登録することが読み取れる。
また,上記Cの段落【0047】の「すなわち,ポリシサーバ18からコード情報に対応するポリシ情報(文書ID毎のポリシID及びユーザID)が読み出されて送信されてきたか否かが判定され,該判定が肯定された場合にはステップ120へ移行し,否定された場合にはそのまま当該処理を終了する。」との記載,段落【0049】の「詳細には,新たに読み取った文書に文書IDを作成して文書IDと共に属性情報や文書データが文書管理サーバ16に登録されると共に,新たに登録された文書IDに対応させてポリシ情報(紙文書から読み取ったコード情報が表すポリシ情報)がポリシサーバ18に登録される。」との記載からすると,文書データの登録の際に「ポリシサーバ」に登録される「ポリシ情報」は,文書IDに対応するポリシID及びユーザIDであることが読み取れるから,引用例1には,
“文書データの登録の際には,文書データに対する内容表示,印刷等の制御を可能とするポリシ情報(文書IDに対応するポリシID及びユーザID)を付与してポリシサーバに登録すること”
が記載されていると解される。

(キ)上記(イ)での検討より,「文書管理システム」は,「画像形成装置」,「認証サーバ」,「文書管理サーバ」,「ポリシサーバ」,「クライアントコンピュータ」から構成されることが読み取れるところ,上記Dの段落【0076】の「また,上記の各実施形態では,認証サーバ14,文書管理サーバ16,及びポリシサーバ18を備える構成としたが,これに限るものではなく,例えば,各サーバの機能を全て兼ね備えたサーバとしてもよいし,認証サーバ14及びポリシサーバ18の機能を備えたサーバと,文書管理サーバ16とを備えた構成としてもよいし,認証サーバ14及び文書管理サーバ16の機能を備えたサーバと,ポリシサーバ18とを備えた構成としてもよいし,文書管理サーバ16及びポリシサーバ18の機能を備えたサーバと,認証サーバ14とを備えた構成としてもよい。」との記載からすると,「文書管理システム」において,「認証サーバ」,「文書管理サーバ」,「ポリシサーバ」の機能を全て備える1つのサーバ(「統合サーバ」と呼ぶ。)として構成することが読み取れるから,引用例1には,
“認証サーバ,文書管理サーバ,ポリシサーバは,それらの機能を全て備える1つの統合サーバで構成する”
が記載されていると解される。

ウ 以上,(ア)乃至(キ)で示した事項から,引用例1には,次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されているものと認める。

「画像形成装置,認証サーバ,文書管理サーバ,ポリシサーバ,クライアントコンピュータから構成される文書管理システムにおいて,文書データに付与され,文書データに対する処理を制御するポリシ情報に応じて,認証されたユーザによる文書データへのアクセスの権限を管理する方法であって,
前記認証サーバは,前記クライアントコンピュータから入力されるICカードの情報や暗証番号の入力等によって,ユーザの認証を行うこと,
前記ポリシサーバは,ユーザIDや文書IDに基づく,内容表示,印刷指示など,文書データに対するユーザからのアクセス要求を受け付けること,
前記ポリシサーバは,文書ID毎にポリシIDが表すポリシ情報を管理するための情報から,ユーザからのユーザIDや文書IDに基づくアクセス要求に対応するポリシ情報を取得すること,
ユーザからの文書データの内容表示,印刷指示など,ユーザIDや文書IDに基づくアクセス要求に対応するポリシ情報に応じて,文書データへのアクセス要求が許可される等制御されること,
文書データの登録の際には,文書データに対する内容表示,印刷等の制御を可能とするポリシ情報(文書IDに対応するポリシID及びユーザID)を付与してポリシサーバに登録すること,を有し,
前記文書ID毎にポリシIDが表すポリシ情報を管理するための情報は,前記ポリシ情報の内容を特定するためのポリシIDに対応する操作内容を表すテンプレート,および,文書ID毎に,ポリシID及びユーザIDが1つ対応するように予め定められたテーブルを含むものであって,
前記認証サーバ,前記文書管理サーバ,前記ポリシサーバは,それらの機能を全て備える1つの統合サーバで構成するものである,方法。」

(2-2)参考文献2に記載されている技術的事項

本願の優先日前に頒布又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった,特開2012-43124号公報(平成24年3月1日出願公開,以下,「参考文献2」という。)には,以下の技術的事項が記載されている。
(当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。)

G 「【0027】
[ID管理DB2からレコードを削除した場合の棚卸し動作]
図6に示したように,ID登録更新者によりID管理DB2へ社員番号Xの退職情報が直接入力された場合,または人事情報DB1において社員番号Xの退職情報が入力され,その情報がID管理DB2に入力された場合(ステップS11,S12),ID管理DB2では,この社員番号Xと対応付けられているID(ユーザID)を検索する(ステップS13)。なお,図6の例では,社員番号Xに対応するユーザIDをIDnとしている。既に説明したように,1つの社員番号に対して複数のユーザIDが割り当てられている場合もあり得る。
…(中略)…
【0029】
ID情報DB31におけるレコード削除処理(上記ステップS16の処理)が終了したことを検出すると,次に,ID管理DB2は,ID情報管理装置4の棚卸処理部43に対して,上記ステップS14で削除したレコードに対応するユーザID(IDn)を通知し,この通知を受けた棚卸処理部43は,通知されたユーザID(IDn)をキーとしたID情報(ID情報制御DB41)の検索をID情報制御部42経由で実行し(図5参照),IDnに対応するアクセス権情報ACmを取得する(ステップS17,S18,S19)。そして,棚卸処理部43は,取得したACmが他のユーザIDに紐付けられているかどうかを確認し(ステップS20),紐付けられていれば(ステップS20:Yes),ID情報制御部42に対して,ID情報制御DB41からIDnのレコードを削除するように要求し,ID情報制御部42は,要求されたレコードを削除して棚卸し動作を終了する(ステップS23,S24)。なお,ステップS20において,棚卸処理部43は,アクセス権情報ACmをキーとしてID情報制御DB41を検索し,該当するレコードが複数存在していれば(IDnとは異なるユーザIDとACmが登録されたレコードが存在していれば),上記ACmが他のユーザIDに紐付けられていると判断する。
【0030】
一方,上記ACmが他のユーザIDに紐付けられていないと判断した場合(ステップS20:No),棚卸処理部43は,アクセス権情報制御部44に対して,アクセス権情報制御DB32からACmのレコードを削除するように要求し,アクセス権情報制御部44は,要求されたレコードを削除する(ステップS21,S22)。この場合においても,上記のステップS23,S24の動作を実行してID情報制御DB41からIDnのレコードを削除する。」

(3)対比

ア 本件補正発明と引用発明とを対比する。

(ア)引用発明では,「文書管理システム」において「ポリシ情報に応じて,認証されたユーザによる文書データへのアクセスの権限を管理する」ところ,「文書データへのアクセス」は,「内容表示,印刷指示など」を含むものであることから,引用発明の「ユーザによる文書データへのアクセスの権限」は本件補正発明の「デジタル著作権」に相当するといえる。
また,引用発明の「文書管理システム」は,「ユーザによる文書データへのアクセスの権限を管理する」ことで,「文書データ」を保護していることは明らかであるから,本件補正発明と“デジタル著作権管理(DRM)”を行っている点で一致するといえる。
そうすると,引用発明と本件補正発明とは,“デジタル著作権管理(DRM)により保護されている文書に対するユーザーのデジタル著作権を管理する方法”である点で一致するといえる。

(イ)引用発明では,「前記認証サーバは,前記クライアントコンピュータから入力されるICカードの情報や暗証番号の入力等によって,ユーザの認証を行」い,「前記ポリシサーバは,ユーザIDや文書IDに基づく,内容表示,印刷指示など,文書データに対するユーザからのアクセス要求を受け付ける」ところ,「ユーザIDや文書IDに基づく,内容表示,印刷指示など,文書データに対するユーザからのアクセス要求」は,“文書にアクセスするためのリクエスト”とみることができる。
一方,本件補正発明の「著作権管理システム(RMS)サーバー」は,「所定のユーザーから,所定の文書にアクセスするためのリクエストを受信する」ところ,引用発明では,「前記認証サーバ,前記文書管理サーバ,前記ポリシサーバは,それらの機能を全て備える1つの統合サーバで構成する」ことから,引用発明の「認証サーバ」,「文書管理サーバ」,「ポリシサーバ」を合わせた「統合サーバ」は,本件補正発明の「著作権管理システム(RMS)サーバー」に相当するといえる。
そうすると,引用発明の「前記認証サーバは,前記クライアントコンピュータから入力されるICカードの情報や暗証番号の入力等によって,ユーザの認証を行」い,「前記ポリシサーバは,ユーザIDや文書IDに基づく,内容表示,印刷指示など,文書データに対するユーザからのアクセス要求を受け付けること」と,本件補正発明の「著作権管理システム(RMS)サーバーが,所定のユーザーから,所定の文書にアクセスするためのリクエストを受信するステップ」とに実質的な差異はない。

(ウ)引用発明では,「前記ポリシサーバは,文書ID毎にポリシIDが表すポリシ情報を管理するための情報から,ユーザからのユーザIDや文書IDに基づくアクセス要求に対応するポリシ情報を取得する」ところ,「ポリシ情報」は,所定のユーザID及び所定の文書IDに関して追加されるといえるから,本件補正発明の「デジタル著作権」の「ポリシー」に相当するといえる。
また,引用発明の「文書ID毎にポリシIDが表すポリシ情報を管理するための情報」は,「文書ID」で検索可能な「ポリシ情報」からなる“データベース”とみることができるから,本件補正発明の「前記所定のユーザーのID」のもとで検査するための「UCAデータベース」と,“前記所定の文書のIDまたは前記所定のユーザーのIDで検索可能なデータベース”である点で共通するといえる。
そして,引用発明の「文書ID毎にポリシIDが表すポリシ情報」について,「ポリシ情報を取得する」ことは,「ポリシ情報」が追加されているかどうかを,文書IDで“データベース”を検査するとみることができるから,引用発明における,「文書ID毎にポリシIDが表すポリシ情報を管理するための情報」から「アクセス要求に対応するポリシ情報を取得する」ことは,“所定のポリシーのうちの一つが”,“追加されているかどうかを,前記所定の文書のID”“で検索可能なデータベースを検査する”ことと実質的な差異はないといえる。
そうすると,引用発明の「前記ポリシサーバは,文書ID毎にポリシIDが表すポリシ情報を管理するための情報から,ユーザからのユーザIDや文書IDに基づくアクセス要求に対応するポリシ情報を取得すること」と,
本件補正発明の「RMSサーバーがユーザーセントリックアダプター(UCA)モジュールを実行して,デジタル著作権の複数の所定のポリシーのうちの一つが,前記所定のユーザーの身分証明書(ID)及び前記所定の文書に関して追加されているかどうかを前記所定のユーザーのIDのもとでUCAデータベースを検査するステップ」とは,後記する点で相違するものの,
“RMSサーバーが,デジタル著作権の複数の所定のポリシーのうちの一つが,前記所定のユーザーのID及び前記所定の文書のIDに関して追加されているかどうかを,前記所定の文書のIDまたは前記所定のユーザーのIDで検索可能なデータベースを検査するステップ”である点で共通するといえる。

(エ)引用発明では,「前記文書ID毎にポリシIDが表すポリシ情報を管理するための情報は,前記ポリシ情報の内容を特定するためのポリシIDに対応する操作内容を表すテンプレート,および,文書ID毎に,ポリシID及びユーザIDが1つ対応するように予め定められたテーブルを含む」ところ,上記(ウ)での検討より,「前記文書ID毎にポリシIDが表すポリシ情報を管理するための情報」は,「文書ID」で検索可能な「ポリシ情報」からなる“データベース”とみることができる。
また,引用例1の上記Bの段落【0031】の「図3(D)に示すように,文書ID毎に,ポリシID及びユーザIDが予め定められたテーブルが記憶されている。これによって,文書管理サーバ16に格納された各文書毎に対応するポリシIDが表すポリシ情報によって,属性表示,内容表示,印刷権,ポリシ複写,ポリシ表示,及びポリシ変更等の文書に対する所定の処理が制御される。」との記載,上記Eの図3(D)の記載からすると,引用発明の「テーブル」は文書毎のエントリを文書の数だけ複数有していることは明らかであるから,引用発明の「文書ID毎に,ポリシID及びユーザIDが1つ対応するように予め定められたテーブル」と,本件補正発明の「UCAデータベース」とは,“ユーザーのID,文書のIDおよびポリシーの情報を含む複数のエントリーが追加されて”いる点で一致し,引用発明の「テーブル」は,“複数のエントリーのそれぞれでは単一のユーザー,単一の文書およびポリシーが対応づけされ”るといえる。
そうすると,引用発明の「前記文書ID毎にポリシIDが表すポリシ情報を管理するための情報は,前記ポリシ情報の内容を特定するためのポリシIDに対応する操作内容を表すテンプレート,および,文書ID毎に,ポリシID及びユーザIDが1つ対応するように予め定められたテーブルを含む」ことと,
本件補正発明の「前記UCAデータベースには,ユーザーのID,文書およびポリシーの情報を含む複数のエントリーが追加されており,前記複数のエントリーのそれぞれでは単一のユーザーに対して単一の文書およびポリシーが対応づけされ」ることとは,後記する点で相違するものの,
“前記データベースには,ユーザーのID,文書のIDおよびポリシーの情報を含む複数のエントリーが追加されており,前記複数のエントリーのそれぞれでは単一のユーザー,単一の文書およびポリシーが対応づけされ”る点で共通するといえる。

(オ)引用発明では,「ユーザからの文書データの内容表示,印刷指示など,ユーザIDや文書IDに基づくアクセス要求に対応するポリシ情報に応じて,文書データへのアクセス要求が許可される等制御される」ところ,上記(イ)での検討より,「文書データへのアクセス要求」とは,“文書にアクセスするためのリクエスト”とみることができ,また,上記(ウ)での検討より,引用発明では,「ユーザからのユーザIDや文書IDに基づくアクセス要求に対応するポリシ情報を取得する」こと,すなわち“複数の所定のポリシーのうちの一つが,前記所定のユーザーのID及び前記所定の文書のIDに関して追加されているかどうかを,前記所定の文書のIDまたは前記所定のユーザーのIDで検索可能なデータベースを検査する”ことから,引用発明において「ポリシ情報に応じて,文書データへのアクセス要求が許可される等制御される」とは,“データベース”の複数の所定の“ポリシー”のいずれか一つが所定のユーザーのID及び所定の文書のIDに関して追加されている場合は,ユーザーの“リクエスト”を許可するといえる。
そして,“データベース”の“ポリシー”において,ユーザーの“リクエスト”を許可する条件に一致するエントリーが追加されていない場合には,ユーザーの“リクエスト”の許可を阻止することは明らかであるから,引用発明において,“データベース”の複数の所定の“ポリシー”のいずれか一つが所定のユーザーのID及び所定の文書のIDに関して追加されている場合は,ユーザーの“リクエスト”を許可するとすれば,それは,“複数の所定のポリシーのいずれも前記所定のユーザーのID及び前記所定の文書のIDに関して追加されていない場合は,ユーザーのリクエストの許可を阻止”することに他ならない。
そうすると,引用発明の「ユーザからの文書データの内容表示,印刷指示など,ユーザIDや文書IDに基づくアクセス要求に対応するポリシ情報に応じて,文書データへのアクセス要求が許可される等制御されること」と,
本件補正発明の「前記UCAデータベースにおいて,複数の所定のポリシーのいずれも前記所定のユーザーのID及び前記所定の文書に関して追加されていない場合は,UCAモジュールがユーザーのリクエストの許可を阻止」することとは,後記する点で相違するものの,
“前記データベースにおいて,複数の所定のポリシーのいずれも前記所定のユーザーのID及び前記所定の文書のIDに関して追加されていない場合は,ユーザーのリクエストの許可を阻止”する点で共通するといえる。

(カ)引用発明では,「文書データの登録の際には,文書データに対する内容表示,印刷等の制御を可能とするポリシ情報(文書IDに対応するポリシID及びユーザID)を付与してポリシサーバに登録する」ところ,上記(ア)での検討より,文書データに付与され,文書データに対する処理を制御する「ポリシ情報」に応じて,内容表示,印刷指示などの「文書データへのアクセスの権限を管理する」ことが読み取れる。
また,上記(ウ),(エ)での検討より,引用発明において,文書データの登録の際に「ポリシ情報」を付加することは,“データベース”(文書ID毎にポリシIDが表すポリシ情報を管理するための情報)に新たなエントリを追加することであり,“データベース”には,“ユーザーのID,文書のIDおよびポリシーの情報を含む複数のエントリーが追加されており,前記複数のエントリーのそれぞれでは単一のユーザー,単一の文書およびポリシーが対応づけされ”ていることから,引用発明では,“第1のユーザーのIDに第1の文書のIDに対する第1のアクセス権を新たに取得させる場合は,前記第1のユーザーのIDに対して前記第1の文書のIDと前記第1のアクセス権についてのポリシーとが対応づけされた新たなエントリーを前記データベースに追加”するといえる。
そうすると,引用発明の「文書データの登録の際には,文書データに対する内容表示,印刷等の制御を可能とするポリシ情報(文書IDに対応するポリシID及びユーザID)を付与してポリシサーバに登録する」ことと,
本件補正発明の「第1のユーザーに第1の文書に対する第1のアクセス権を新たに取得させる場合は,前記第1のユーザーに対して前記第1の文書と前記第1のアクセス権についてのポリシーとが対応づけされた新たなエントリーを前記UCAデータベースに追加し,
第2のユーザーによる第2の文書に対する第2のアクセス権を無効にする場合は,前記第2のユーザーに対して前記第2の文書と前記第2のアクセス権についてのポリシーとが対応づけされたエントリーを前記UCAデータベースから除去する」こととは,後記する点で相違するものの,
“第1のユーザーのIDに第1の文書のIDに対する第1のアクセス権を新たに取得させる場合は,前記第1のユーザーのIDに対して前記第1の文書のIDと前記第1のアクセス権についてのポリシーとが対応づけされた新たなエントリーを前記データベースに追加”する点で共通するといえる。

イ 以上から,本件補正発明と引用発明とは,以下の点で一致し,また,以下の点で相違する。

<一致点>

「デジタル著作権管理(DRM)により保護されている文書に対するユーザーのデジタル著作権を管理する方法であって,
著作権管理システム(RMS)サーバーが,所定のユーザーから,所定の文書にアクセスするためのリクエストを受信するステップと,
RMSサーバーが,デジタル著作権の複数の所定のポリシーのうちの一つが,前記所定のユーザーのID及び前記所定の文書のIDに関して追加されているかどうかを,前記所定の文書のIDまたは前記所定のユーザーのIDで検索可能なデータベースを検査するステップと,を有し,
前記データベースには,ユーザーのID,文書のIDおよびポリシーの情報を含む複数のエントリーが追加されており,前記複数のエントリーのそれぞれでは単一のユーザー,単一の文書およびポリシーが対応づけされ,
前記データベースにおいて,複数の所定のポリシーのいずれも前記所定のユーザーのID及び前記所定の文書のIDに関して追加されていない場合は,ユーザーのリクエストの許可を阻止し,
第1のユーザーのIDに第1の文書のIDに対する第1のアクセス権を新たに取得させる場合は,前記第1のユーザーのIDに対して前記第1の文書のIDと前記第1のアクセス権についてのポリシーとが対応づけされた新たなエントリーを前記データベースに追加する方法。」

<相違点1>
複数の所定のポリシーのうちの一つが追加されているかどうかのデータベースの検査に関し,本件補正発明では,「ユーザーセントリックアダプター(UCA)モジュールを実行して,デジタル著作権の複数の所定のポリシーのうちの一つが,前記所定のユーザーの身分証明書(ID)及び前記所定の文書に関して追加されているかどうかを前記所定のユーザーのIDのもとでUCAデータベースを検査する」のに対して,
引用発明では,「文書ID毎にポリシIDが表すポリシ情報を管理するための情報から,ユーザからのユーザIDや文書IDに基づくアクセス要求に対応するポリシ情報を取得する」するものの,ユーザーセントリックアダプター(UCA)モジュールを実行して,所定のユーザーのIDのもとでUCAデータベースを検査することについて言及されていない点。

<相違点2>
データベースのエントリーのデータ構造に関し,本件補正発明では,「UCAデータベース」の「複数のエントリーのそれぞれでは単一のユーザーに対して単一の文書およびポリシーが対応づけされ」るのに対して,
引用発明では,データベース(文書ID毎にポリシIDが表すポリシ情報を管理するための情報)は,「文書ID毎に,ポリシID及びユーザIDが1つ対応するように予め定められたテーブルを含む」ものの,複数のエントリーのそれぞれで単一のユーザーに対して単一の文書およびポリシーが対応づけされるUCAデータベースで構成されるかどうか不明である点。

<相違点3>
ユーザーのリクエストの許可の阻止に関し,本件補正発明では,「UCAデータベースにおいて,複数の所定のポリシーのいずれも」「追加されていない場合は,UCAモジュールがユーザーのリクエストの許可を阻止」するのに対して,
引用発明では,「ユーザからの」「アクセス要求に対応するポリシ情報に応じて,文書データへのアクセス要求が許可される等制御される」ものの,UCAデータベースにおいて所定のポリシーが追加されているかに応じて,UCAモジュールがリクエストの許可を阻止することについて言及されていない点。

<相違点4>
アクセス権の変更処理に関し,本件補正発明では,「第1のユーザーに第1の文書に対する第1のアクセス権を新たに取得させる場合は,前記第1のユーザーに対して前記第1の文書と前記第1のアクセス権についてのポリシーとが対応づけされた新たなエントリーを前記UCAデータベースに追加し,
第2のユーザーによる第2の文書に対する第2のアクセス権を無効にする場合は,前記第2のユーザーに対して前記第2の文書と前記第2のアクセス権についてのポリシーとが対応づけされたエントリーを前記UCAデータベースから除去する」のに対して,
引用発明では,「文書データの登録の際には,文書データに対する内容表示,印刷等の制御を可能とするポリシ情報(文書IDに対応するポリシID及びユーザID)を付与してポリシサーバに登録する」ものの,第2のユーザーによる第2の文書に対する第2のアクセス権を無効にする場合に,第2のアクセス権に係るエントリーをUCAデータベースから除去することについて言及されていない点。

(4)当審の判断

上記相違点1乃至4について検討する。

ア 相違点1,2について

事案に鑑みて,相違点1と相違点2とを合わせて検討する。
引用発明では,文書データに対する処理を制御する「ポリシ情報」を取得するためのデータベース(文書ID毎にポリシIDが表すポリシ情報を管理するための情報)が,「文書ID毎に,ポリシID及びユーザIDが1つ対応するように予め定められたテーブルを含む」ところ,「テーブル」の他の態様について,引用例1の上記Bの段落【0031】には,「また,ポリシサーバ18には,ユーザID毎のポリシIDも記憶するようにしてもよい。これによって,使用者毎に文書に対する所定の処理が制御される。」と記載され,さらに,上記Dの段落【0076】,及び上記Fの図7には,「各サーバの機能を1つのサーバが兼ね備える場合には,例えば,図7に示すように,操作者,文書制御ID,文書ID,期限(文書IDに対するアクセス期限やアクセス回数など),操作内容等をテーブルとして予め記憶するようにしてもよい。すなわち,図3(A)?(D)に示す内容を集約したテーブルを記憶するようにしてもよい。」と記載されており,ここには,「テーブル」を,ユーザID毎に,文書に対するポリシIDが取得可能なユーザセントリックなデータベースとして構成するという技術思想についても示唆されていると認められる。
そして,引用発明のデータベースが含む「テーブル」は,「文書ID毎に,ポリシID及びユーザIDが1つ対応するように予め定められ」ており,ユーザID毎に,ポリシID及び文書IDが1つ対応するようにデータ構造の変換ができることは当業者にとっては自明の事項であるから,引用発明において,「文書ID毎に,ポリシID及びユーザIDが1つ対応するように予め定められた」データベースに代えて,所定のユーザーのIDのもとでポリシーを検査可能なユーザセントリックなUCAデータベースとすることは,適宜なし得たことである。
加えて,情報処理システムの技術分野において,所定の機能を1つのモジュールとして構成することも,必要に応じて普通になし得る設計的事項であるから,引用発明において,所定のユーザーのIDのもとでポリシーを取得するため,ユーザセントリックなUCAデータベースを検査する機能手段を,UCAモジュールとして構成することも,システム構築上の設計的事項である。
そうすると,引用発明において,複数のエントリーのそれぞれで単一のユーザーに対して単一の文書およびポリシーが対応づけされるユーザーセントリックなUCAデータベースを構成し,UCAモジュールを実行して,複数の所定のポリシーのうちの一つが,所定のユーザーの身分証明書(ID)及び所定の文書に関して追加されているかどうか,所定のユーザーのIDのもとでUCAデータベースを検査すること,すなわち,上記相違点1,2に係る構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。

イ 相違点3について

引用発明では,「ユーザからの文書データの内容表示,印刷指示など,ユーザIDや文書IDに基づくアクセス要求に対応するポリシ情報に応じて,文書データへのアクセス要求が許可される等制御される」ところ,上記アでの検討のとおり,所定のユーザーのIDのもとでポリシーを検査可能なユーザセントリックなUCAデータベースとすることは,適宜なし得たことであり,引用発明において,所定のユーザーのIDのもとでポリシーを取得するため,ユーザセントリックなUCAデータベースを検査する機能手段を,UCAモジュールとして構成することも,システム構築上の設計的事項である。
そうすると,引用発明において,複数のエントリーのそれぞれで単一のユーザーに対して単一の文書およびポリシーが対応づけされるユーザーセントリックなUCAデータベースを構成し,UCAデータベースにおいて所定のポリシーが追加されているかに応じて,UCAモジュールがユーザーのリクエストの許可を阻止すること,すなわち,上記相違点3に係る構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。

ウ 相違点4について

引用発明では,「文書データの登録の際には,文書データに対する内容表示,印刷等の制御を可能とするポリシ情報(文書IDに対応するポリシID及びユーザID)を付与してポリシサーバに登録する」ところ,上記「(3)対比」のア,(カ)での検討より,“第1のユーザーのIDに第1の文書のIDに対する第1のアクセス権を新たに取得させる場合は,前記第1のユーザーのIDに対して前記第1の文書のIDと前記第1のアクセス権についてのポリシーとが対応づけされた新たなエントリーを前記データベースに追加”するといえる。
また,情報へのアクセス権を管理するシステムにおいて,特定ユーザについての文書のアクセス権を無効とする時に,ユーザごと文書ごとのアクセス権が登録されたアクセス権情報データベースにおける対応するレコード,すなわちエントリを削除する旨の技術は,例えば,参考文献2に記載されるように,本願優先日前には当該技術分野における周知技術であり,ユーザの文書データに対するアクセス権を管理する点で引用発明と課題が共通する。
そして,アクセス権を新たに取得させる場合に,第1のユーザーに対して第1の文書と第1のアクセス権についてのポリシーとが対応づけされた新たなエントリーをデータベースに追加する引用発明において,上記周知技術の如く,アクセス権を無効にする場合に対応するエントリをデータベースから削除することは,明記はされていないものの,自明のデータベース利用手法である。
そうすると,引用発明に上記周知技術を適用し,適宜,ポリシ情報を登録するデータベースとしてUCAデータベースを構成し,第2のユーザーによる第2の文書に対する第2のアクセス権を無効にする場合に,第2のアクセス権に係るエントリーをUCAデータベースから除去すること,すなわち,上記相違点4に係る構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。

エ 小括

上記で検討したごとく,相違点1乃至4に係る構成は当業者が容易に想到し得たものであり,そして,これらの相違点を総合的に勘案しても,本件補正発明の奏する作用効果は,上記引用発明,及び参考文献2に記載の当該技術分野の周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず,格別顕著なものということはできない。
したがって,本件補正発明は,上記引用発明,及び参考文献2に記載の当該技術分野の周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法第29条第2項の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができない。


4 補正却下の決定のむすび

上記「3 独立特許要件」で指摘したとおり,補正後の請求項1に記載された発明は,特許出願の際独立して特許を受けることができるものではないから,本件補正は特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって,上記補正却下の決定の結論のとおり決定する。


第3 本願発明について

1 本願発明

平成29年5月24日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので,補正後の請求項1に対応する補正前の請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,平成28年8月23日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される,以下のとおりのものである。

「 【請求項1】
デジタル著作権管理(DRM)により保護されている文書に対するユーザーのデジタル著作権を管理する方法であって,
著作権管理システム(RMS)サーバーが,所定のユーザーから,所定の文書にアクセスするためのリクエストを受信するステップと,
RMSサーバーがユーザーセントリックアダプター(UCA)モジュールを実行して,デジタル著作権の複数の所定のポリシーのうちの一つが,前記所定のユーザーの身分証明書(ID)及び前記所定の文書に関して追加されているかどうかを前記所定のユーザーのIDのもとでUCAデータベースを検査するステップと,を有し,
前記UCAデータベースには,ユーザーのID,文書およびポリシーの情報を含む複数のエントリーが追加されており,前記複数のエントリーのそれぞれでは単一のユーザーに対して単一の文書およびポリシーが対応づけされ,
前記UCAデータベースにおいて,複数の所定のポリシーのいずれも前記所定のユーザーのID及び前記所定の文書に関して追加されていない場合は,UCAモジュールがユーザーのリクエストの許可を阻止する方法。」

2 引用例に記載されている技術的事項及び引用発明

原査定の拒絶の理由に引用された,引用発明は,前記「第2 平成29年5月24日付けの手続補正についての補正却下の決定」の「3 独立特許要件」の「(2)引用例」に記載したとおりである。

3 対比・判断

本願発明は,前記「第2 平成29年5月24日付けの手続補正についての補正却下の決定」の「3 独立特許要件」で検討した本件補正発明の発明特定事項から,
「第1のユーザーに第1の文書に対する第1のアクセス権を新たに取得させる場合は,前記第1のユーザーに対して前記第1の文書と前記第1のアクセス権についてのポリシーとが対応づけされた新たなエントリーを前記UCAデータベースに追加し,
第2のユーザーによる第2の文書に対する第2のアクセス権を無効にする場合は,前記第2のユーザーに対して前記第2の文書と前記第2のアクセス権についてのポリシーとが対応づけされたエントリーを前記UCAデータベースから除去する」
との限定事項を削除したものである。
そうすると,本願発明の発明特定事項を全て含む本件補正発明が,前記「第2 平成29年5月24日付けの手続補正についての補正却下の決定」の「3 独立特許要件」の「(2)引用例」乃至「(4)当審の判断」に記載したとおり,引用発明,及び参考文献2に記載の当該技術分野の周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,上記特定の限定を省いた本願発明も同様の理由により,引用発明,及び参考文献2に記載の当該技術分野の周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。


第4 むすび

以上のとおり,本願の請求項1に係る発明は,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから,その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶すべきものである。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-03-09 
結審通知日 2018-03-13 
審決日 2018-03-29 
出願番号 特願2014-8834(P2014-8834)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
P 1 8・ 575- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 金沢 史明  
特許庁審判長 仲間 晃
特許庁審判官 須田 勝巳
辻本 泰隆
発明の名称 著作権管理システムのためのユーザーセントリック方法およびアダプター  
代理人 八田国際特許業務法人  
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