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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  B65D
審判 全部申し立て 2項進歩性  B65D
管理番号 1343001
異議申立番号 異議2017-700044  
総通号数 225 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-09-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-01-19 
確定日 2018-07-05 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5962796号発明「積層剥離容器」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5962796号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-11〕について訂正することを認める。 特許第5962796号の請求項1?11に係る特許を維持する。  
理由 1.手続の経緯
特許第5962796号の請求項1?7に係る特許についての出願は、平成26年10月22日(優先権主張 平成25年11月27日 日本国)を出願日とする特願2014-215510号の一部を、平成27年2月19日に新たな特許出願としたものであって、平成28年7月8日にその特許権の設定登録がされた。
その後、平成29年1月19日に、請求項1?7に係る特許について、特許異議申立人小松一枝(以下、「申立人」という。)により、特許異議の申立てがされ、平成29年4月19日付けで取消理由が通知され、平成29年6月20日付けで意見書の提出及び訂正の請求(以下、「本件訂正請求」という。)がされ、平成29年8月9日付けで本件訂正請求に係る訂正請求書が補正され、平成29年8月22日付けで申立人に対し、本件訂正請求があった旨の通知がなされ、平成29年9月14日付けで申立人から意見書(以下、「申立人意見書」という。)が提出され、平成29年12月26日付けで取消理由(決定の予告)が通知され、平成30年1月15日付けで意見書が提出された。

2.本件訂正請求についての判断
(1)訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は以下のとおりである(訂正箇所を下線で示す。)。
ア.訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に、「前記EVOHは、エチレン含有量が32mol%以下であり、曲げ弾性率が2350MPa以下である、」とあるのを、
「前記EVOHは、エチレン含有量が32mol%以下であり、曲げ弾性率が2350MPa以下であり、
前記積層剥離容器は、ブロー成形体であり、
前記内袋は、前記積層剥離容器の底面に設けられたシール部において前記外殻に連結されており、
前記内袋は、前記内容物の減少に伴って、前記シール部において前記内袋が前記外殻に連結されたまま収縮する、」に訂正する。
イ.訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2の記載を他の請求項の記載を引用しないものとすると共に、この請求項に、「前記EVOHは、エチレン含有量が25mol%以上である、」とあるのを、
「前記EVOHは、エチレン含有量が25mol%以上であり、
前記内袋は、前記積層剥離容器の底面に設けられたシール部において前記外殻に連結されており、
前記シール部は、前記外殻と前記内袋の間において通気性を有さないように構成される、」に訂正する。
ウ.訂正事項3
特許請求の範囲の請求項1の記載を引用する請求項3の記載を他の請求項の記載を引用しないものとすると共に、この請求項に、「前記EVOHは、曲げ弾性率が1800MPa以上である、」とあるのを、
「前記EVOHは、曲げ弾性率が1800MPa以上であり、
前記積層剥離容器は、外気導入孔と弁を備え、
前記外気導入孔は、前記内袋と前記外殻の間の中間空間と、前記積層剥離容器の外部空間を連通し、
前記弁は、前記外殻の圧縮に伴って前記外気導入孔を閉塞させる、」に訂正する。
エ.訂正事項4
特許請求の範囲の請求項2の記載を引用する請求項3の記載を他の請求項の記載を引用しないものとすると共に、この請求項に、「前記EVOHは、曲げ弾性率が1800MPa以上である、」とあるのを、
「前記EVOHは、曲げ弾性率が1800MPa以上であり、
前記積層剥離容器は、前記積層剥離容器の底面から突出する底シール突出部を備え、
前記底シール突出部は、薄肉部と、前記薄肉部よりも肉厚が大きい厚肉部を備える、」にして、項番号を繰り下げ、新たに請求項4とする訂正を行う。オ.訂正事項5
特許請求の範囲の請求項4に、「請求項1?請求項3の何れか1つに」とあるのを、
「請求項1に」にして、項番号を繰り下げ、新たに請求項5とする訂正を行う。
カ.訂正事項6
特許請求の範囲の請求項4に、「前記外層は、前記積層剥離容器の成形時にでたバリをリサイクルして使用したリプロ層を備える、請求項1?請求項3の何れか1つに」とあるのを、
「前記外層は、前記積層剥離容器の成形時にでたバリをリサイクルして使用したリプロ層を備え、
前記積層剥離容器は、外気導入孔と弁を備え、
前記外気導入孔は、前記内袋と前記外殻の間の中間空間と、前記積層剥離容器の外部空間を連通し、
前記弁は、前記外殻の圧縮に伴って前記外気導入孔を閉塞させる、請求項2に」にして、項番号を繰り下げ、新たに請求項6とする訂正を行う。
キ.訂正事項7
特許請求の範囲の請求項4に、「前記外層は、前記積層剥離容器の成形時にでたバリをリサイクルして使用したリプロ層を備える、請求項1?請求項3の何れか1つに」とあるのを、
「前記外層は、前記積層剥離容器の成形時にでたバリをリサイクルして使用したリプロ層を備え、
前記積層剥離容器は、前記積層剥離容器の底面から突出する底シール突出部を備え、
前記底シール突出部は、薄肉部と、前記薄肉部よりも肉厚が大きい厚肉部を備える、請求項3に」にして、項番号を繰り下げ、新たに請求項7とする訂正を行う。
ク.訂正事項8
特許請求の範囲の請求項4に、「前記外層は、前記積層剥離容器の成形時にでたバリをリサイクルして使用したリプロ層を備える、請求項1?請求項3の何れか1つに」とあるのを、
「前記外層は、前記積層剥離容器の成形時にでたバリをリサイクルして使用したリプロ層を備え、
前記底シール突出部は、前記外殻と前記内袋の間において通気性を有さないように構成される、請求項4に」にして、項番号を繰り下げ、新たに請求項8とする訂正を行う。
ケ.訂正事項9
特許請求の範囲の請求項5に、「請求項1?請求項4の何れか1つに」とあるのを、
「請求項1?請求項8の何れか1つに」にして、項番号を繰り下げ、新たに請求項9とする訂正を行う。
コ.訂正事項10
特許請求の範囲の請求項6に、「前記内面層は、直鎖状低密度ポリエチレンからなる、請求項1?請求項5の何れか1つに」とあるのを、
「前記内面層は、直鎖状低密度ポリエチレンからなり、
前記接着層は、酸変性ポリエチレンを含む、請求項1?請求項9の何れか1つに」にして、項番号を繰り下げ、新たに請求項10とする訂正を行う。
サ.訂正事項11
特許請求の範囲の請求項7に、「請求項1?請求項6の何れか1つに」とあるのを、
「請求項1?請求項10の何れか1つに」にして、項番号を繰り下げ、新たに請求項11とする訂正を行う。

(2)訂正の適否
ア.一群の請求項
訂正前の請求項1及び請求項1を引用する請求項2?7は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項であり、本件訂正請求による訂正は当該一群の請求項1?7に対し請求されたものである。

イ.訂正事項1について
訂正事項1は、訂正前の請求項1の「積層剥離容器」及び「内袋」について、本件特許明細書の段落【0016】、【0023】、【0024】、【0037】、【0038】、【0044】?【0048】、【図3】?【図6】及び【図12】の記載に基いて、「積層剥離容器は、ブロー成形体」であること及び「内袋は、前記積層剥離容器の底面に設けられたシール部において前記外殻に連結されており」、「内袋は、前記内容物の減少に伴って、前記シール部において前記内袋が前記外殻に連結されたまま収縮する」ものであることを限定して特定するものである。
ゆえに、訂正事項1による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

ウ.訂正事項2について
訂正事項2は、訂正前の請求項2の記載を他の請求項の記載を引用しないものとすると共に、「内袋」について、「内袋は、前記積層剥離容器の底面に設けられたシール部において前記外殻に連結されており、前記シール部は、前記外殻と前記内袋の間において通気性を有さないように構成される」ものであることを限定して特定するものであるから、訂正事項2による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること及び同項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、本件特許明細書の「図3に示すように、 容器本体3は、収容部7及び口部9において、外層11と内層13を備えており、外層11によって外殻12が構成され、内層13によって内袋14が構成される。」(段落【0023】)及び「図6(a)?(b)に示すように、底シール突出部27は、外層11と内層13を備える円筒状の積層パリソンを用いたブロー成形における、積層パリソンのシール部である。」との記載からみて、訂正事項2に係る「内袋は、前記積層剥離容器の底面に設けられたシール部において前記外殻に連結されて」いることは、本件特許明細書に記載された事項である。
また、本件特許明細書の段落【0046】には「次に、図12(e)に示すように、再度、外殻12の側面を握って圧縮した場合、蓋部5cが外気導入孔15を閉塞することによって、中間空間21内の圧力が高まり、外殻12に加えた圧縮力は中間空間21を介して内袋14に伝達され、この力によって内袋14が圧縮されて内容物が吐出される。」と記載され、シール部が外殻と内袋の間において通気性を有してもよい旨は記載されていないことを踏まえると、本件特許明細書には、外殻に加えた圧縮力が中間空間を介して内袋に伝達され、この力によって内袋が圧縮されて内容物が吐出されるようにするために、訂正事項2に係る「前記シール部は、外殻と内袋の間において通気性を有さない」ことが実質的に記載されていたと解するのが自然である。
ゆえに、訂正事項2による訂正は、新規事項の追加に該当しない。
さらに、訂正事項2による訂正は、発明の産業上の利用分野やカテゴリーを変更するものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

なお、申立人は、申立人意見書で、「前記シール部は、前記外殻と前記内袋の間において通気性を有しないように構成されている」点は、本件特許明細書に記載されておらず、自明な事項でもないから、不適法な訂正である旨を主張している(同書4頁18行?5頁5行)が、この点は、上記したとおり、本件特許明細書に実質的に記載されていたと解するのが自然であるから、上記主張は採用できない。

エ.訂正事項3について
訂正事項3は、訂正前の請求項1の記載を引用する請求項3の記載を他の請求項の記載を引用しないものとすると共に、「積層剥離容器」について、本件特許明細書の段落【0018】?【0020】、【0044】?【0047】及び【図3】?【図5】の記載に基いて、「前記積層剥離容器は、外気導入孔と弁を備え、前記外気導入孔は、前記内袋と前記外殻の間の中間空間と、前記積層剥離容器の外部空間を連通し、前記弁は、前記外殻の圧縮に伴って前記外気導入孔を閉塞させる」ものであることを限定して特定するものである。
ゆえに、訂正事項3による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること及び同項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

オ.訂正事項4について
訂正事項4は、訂正前の請求項2の記載を引用する請求項3の記載を他の請求項の記載を引用しないものとすると共に、「積層剥離容器」について、本件特許明細書の段落【0026】及び【図6】の記載に基いて、「前記積層剥離容器は、前記積層剥離容器の底面から突出する底シール突出部を備え、前記底シール突出部は、薄肉部と、前記薄肉部よりも肉厚が大きい厚肉部を備える」ものであることを限定して特定し、新たに請求項4とするものである。
ゆえに、訂正事項4による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること及び同ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

カ.訂正事項5について
訂正事項5は、訂正前の請求項4が訂正前の請求項1?3を引用していたところ、訂正前の請求項1を引用していたものについて、上記訂正事項1による訂正後の請求項1のみを引用するように改めることで特許請求の範囲を減縮するものであって、さらに、このものを新たに請求項5とすることで特許請求の範囲の記載を明瞭にするものであるから、訂正事項5による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮及び同項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

キ.訂正事項6について
訂正事項6は、訂正前の請求項4が請求項1?3を引用していたところ、訂正前の請求項2を引用していたものについて、上記訂正事項2による訂正後の請求項2のみを引用するように改めると共に、「積層剥離容器」について、本件特許明細書の段落【0018】?【0020】、【0044】?【0047】及び【図3】?【図5】の記載に基いて、「前記積層剥離容器は、外気導入孔と弁を備え、前記外気導入孔は、前記内袋と前記外殻の間の中間空間と、前記積層剥離容器の外部空間を連通し、前記弁は、前記外殻の圧縮に伴って前記外気導入孔を閉塞させる」ものであることを限定して特定することで特許請求の範囲を減縮するものであって、さらに、このものを新たに請求項6とすることで特許請求の範囲の記載を明瞭にするものである。
ゆえに、訂正事項6による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮及び同項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

ク.訂正事項7について
訂正事項7は、訂正前の請求項4が請求項1?3を引用していたところ、訂正前の請求項3を引用していたものについて、上記訂正事項3による訂正後の請求項3のみを引用するように改めると共に、「積層剥離容器」について、本件特許明細書の段落【0026】及び【図6】の記載に基いて、「前記積層剥離容器は、前記積層剥離容器の底面から突出する底シール突出部を備え、前記底シール突出部は、薄肉部と、前記薄肉部よりも肉厚が大きい厚肉部を備える」ものであることを限定して特定することで特許請求の範囲を減縮するものであって、さらに、このものを新たに請求項7とすることで特許請求の範囲の記載を明瞭にするものである。
ゆえに、訂正事項7による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮及び同項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

ケ.訂正事項8について
訂正事項8は、訂正前の請求項4が請求項1?3を引用していたところ、訂正前の請求項3を引用していたものについて、上記訂正事項4による訂正後の請求項4のみを引用するように改めると共に、「積層剥離容器」について、本件特許明細書の段落【0023】、【0046】及び【図3】の記載に基いて、「前記底シール突出部は、前記外殻と前記内袋の間において通気性を有さないように構成される」ものであることを限定して特定することで特許請求の範囲を減縮するものであって、さらに、このものを新たに請求項8とすることで特許請求の範囲の記載を明瞭にするものである。
ゆえに、訂正事項8による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮及び同項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

コ.訂正事項9について
訂正事項9は、訂正前の請求項1?4が、上記訂正事項1?8により、新たに請求項1?8となったことに伴って、訂正前の請求項1?4を引用する訂正前の請求項5について、新たに、訂正後の請求項1?8を引用する請求項9とすることで、特許請求の範囲の記載を明瞭にするものであるから、訂正事項9による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
サ.訂正事項10について
訂正事項10は、訂正前の請求項1?4が、上記訂正事項1?8により、新たに請求項1?8となったことに伴って、訂正前の請求項1?5を引用する訂正前の請求項6について、新たに、訂正後の請求項1?9を引用する請求項10とすることで、特許請求の範囲の記載を明瞭にすると共に、「接着層」について、本件特許明細書の段落【0036】の記載に基いて、「前記接着層は、酸変性ポリエチレンを含む」ものであることを限定して特定するものである。
ゆえに、訂正事項10による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮及び同ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

シ.訂正事項11について
訂正事項11は、訂正前の請求項1?4が、上記訂正事項1?8により、新たに請求項1?8となったことに伴って、訂正前の請求項1?6を引用する訂正前の請求項7について、新たに、訂正後の請求項1?10を引用する請求項11とすることで、特許請求の範囲の記載を明瞭にするものであるから、訂正事項11による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(3)むすび
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1-11〕について訂正を認める。

3.特許異議の申立てについて
(1)本件特許発明
上記2.のとおり訂正が認められるから、本件特許の請求項1?11に係る発明(以下「本件発明1?本件発明11」という。)は、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲の請求項1?11に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
【請求項1】
外層と内層とを備え、内容物の減少に伴って前記内層によって構成される内袋が前記外層によって構成される外殻から剥離し収縮する積層剥離容器であって、
前記内層は、EVOHからなるEVOH層を最外層に備え、
前記EVOHは、エチレン含有量が32mol%以下であり、曲げ弾性率が2350MPa以下であり、
前記積層剥離容器は、ブロー成形体であり、
前記内袋は、前記積層剥離容器の底面に設けられたシール部において前記外殻に連結されており、
前記内袋は、前記内容物の減少に伴って、前記シール部において前記内袋が前記外殻に連結されたまま収縮する、
積層剥離容器。
【請求項2】
外層と内層とを備え、内容物の減少に伴って前記内層によって構成される内袋が前記外層によって構成される外殻から剥離し収縮する積層剥離容器であって、
前記内層は、EVOHからなるEVOH層を最外層に備え、
前記EVOHは、エチレン含有量が32mol%以下であり、曲げ弾性率が2350MPa以下であり、
前記EVOHは、エチレン含有量が25mol%以上であり、
前記内袋は、前記積層剥離容器の底面に設けられたシール部において前記外殻に連結されており、
前記シール部は、前記外殻と前記内袋の間において通気性を有さないように構成される、積層剥離容器。
【請求項3】
外層と内層とを備え、内容物の減少に伴って前記内層によって構成される内袋が前記外層によって構成される外殻から剥離し収縮する積層剥離容器であって、
前記内層は、EVOHからなるEVOH層を最外層に備え、
前記EVOHは、エチレン含有量が32mol%以下であり、曲げ弾性率が2350MPa以下であり、
前記EVOHは、曲げ弾性率が1800MPa以上であり、
前記積層剥離容器は、外気導入孔と弁を備え、
前記外気導入孔は、前記内袋と前記外殻の間の中間空間と、前記積層剥離容器の外部空間を連通し、
前記弁は、前記外殻の圧縮に伴って前記外気導入孔を閉塞させる、積層剥離容器。
【請求項4】
外層と内層とを備え、内容物の減少に伴って前記内層によって構成される内袋が前記外層によって構成される外殻から剥離し収縮する積層剥離容器であって、
前記内層は、EVOHからなるEVOH層を最外層に備え、
前記EVOHは、エチレン含有量が32mol%以下であり、曲げ弾性率が2350MPa以下であり、
前記EVOHは、エチレン含有量が25mol%以上であり、
前記EVOHは、曲げ弾性率が1800MPa以上であり、
前記積層剥離容器は、前記積層剥離容器の底面から突出する底シール突出部を備え、
前記底シール突出部は、薄肉部と、前記薄肉部よりも肉厚が大きい厚肉部を備える、積層剥離容器。
【請求項5】
前記外層は、前記積層剥離容器の成形時にでたバリをリサイクルして使用したリプロ層を備える、請求項1に記載の積層剥離容器。
【請求項6】
前記外層は、前記積層剥離容器の成形時にでたバリをリサイクルして使用したリプロ層を備え、
前記積層剥離容器は、外気導入孔と弁を備え、
前記外気導入孔は、前記内袋と前記外殻の間の中間空間と、前記積層剥離容器の外部空間を連通し、
前記弁は、前記外殻の圧縮に伴って前記外気導入孔を閉塞させる、請求項2に記載の積層剥離容器。
【請求項7】
前記外層は、前記積層剥離容器の成形時にでたバリをリサイクルして使用したリプロ層を備え、
前記積層剥離容器は、前記積層剥離容器の底面から突出する底シール突出部を備え、
前記底シール突出部は、薄肉部と、前記薄肉部よりも肉厚が大きい厚肉部を備える、請求項3に記載の積層剥離容器。
【請求項8】
前記外層は、前記積層剥離容器の成形時にでたバリをリサイクルして使用したリプロ層を備え、
前記底シール突出部は、前記外殻と前記内袋の間において通気性を有さないように構成される、請求項4に記載の積層剥離容器。
【請求項9】
前記内層は、前記EVOH層の容器内面側に設けられた内面層と、前記EVOH層と前記内面層の間に設けられた接着層を備え、
前記内面層を構成する樹脂の引張弾性率は、70?200MPaである、請求項1?請求項8の何れか1つに記載の積層剥離容器。
【請求項10】
前記内層は、前記EVOH層の容器内面側に設けられた内面層と、前記EVOH層と前記内面層の間に設けられた接着層を備え、
前記内面層は、直鎖状低密度ポリエチレンからなり、
前記接着層は、酸変性ポリエチレンを含む、請求項1?請求項9の何れか1つに記載の積層剥離容器。
【請求項11】
請求項1?請求項10の何れか1つに記載の積層剥離容器の前記内袋を前記外殻から予備剥離する工程と、
前記内袋内に内容物を充填する前に前記内袋を膨らませる工程と、
前記内袋を膨らませた後に前記内袋内に内容物を充填する工程を備える、内容物入り積層剥離容器の製造方法。

(2)取消理由について
(2-1)取消理由の概要
当審において通知した平成29年4月19日付け取消理由及び平成29年12月26日付け取消理由(決定の予告)の概要は、以下のとおりである。

本件発明1?11は、その出願(優先日)前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物、甲1?8に記載された発明に基いて、その出願(優先日)前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

《刊行物》
甲1.特開平10-211961号公報
甲2.特開2000-219792号公報
甲3.「SoarnoL(登録商標) SF7503B」のテクニカルデータシート、NIPPON GOHSEI、2013年3月8日改訂
甲4.国際公開第2010/137659号
甲5.特開2000-335635号公報
甲6.特開平7-62032号公報
甲7.特開平7-125738号公報
甲8.特開平9-2529号公報

甲1?8は、特許異議の申立ての甲第1号証?甲第8号証であり、甲1に記載された発明を、甲1発明といい、甲1?8に記載された事項を、各々、甲1記載事項?甲8記載事項という。

(2-2)判断
ア.本件発明1について
(ア)甲1記載事項及び甲1発明
甲1には、以下の甲1記載事項が記載されている。
a.「【請求項1】 フランジを有すると共に底部に通気孔を有する剛性の外容器の内部に、フランジを有する可撓性の内容器を剥離可能に密着挿入し、前記外容器及び前記内容器のフランジにて連結された2重容器からなり、前記2重容器の開口部を覆うように突き刺し密封性を有する蓋材が、少なくとも前記内容器のフランジに熱接着により取り付けられた構成からなることを特徴とする粘稠物包装容器。
・・・
【請求項8】 請求項1?7に記載の粘稠物包装容器の上部に、下方に向けて伸びる吸出筒を備えたポンプ体が中央部に取り付けられると共に周縁に係合部が形成された蓋体を、前記蓋体の係合部を前記外容器のフランジに係合されて取り付けると共に、前記吸出筒の先端を前記蓋材を貫通させて前記内容器内に挿入した構成からなることを特徴とする粘稠物分配装置。」
b.「【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、粘稠物包装容器及び粘稠物分配装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、粘稠物分配容器としては、チューブ状容器に内容物が収納し、チューブ状容器の側壁を押すことにより内容物を取り出すもの、ないしは剛性のあるプラスチックボトル等に注出用ポンプを取り付けた容器に内容物を収納し、注出用ポンプにより内容物を少量づつ取り出すもの等が知られているが、前者のものでは包装する容量を大きく出来ないと共に残さずに内容物を取り出すことが困難であるという欠点があり、後者のものにおいても内容物を最後まで残さず取り出すことができないという欠点があり、両者共に使い捨ての容器として使用されるものであった。また、特開平8-183561号に記載されているような、ブロー成形により合成樹脂製の外容器と外容器に剥離自在に積層された可撓性合成樹脂製の内容器とからなるボトル状の容器に注出用ポンプを取り付けた構成のものが知られている。この容器の場合、内容物収納部に外気を進入させることなく、また内容物を吸出して使い切ることのできる容器があるが、構造が複雑である上に使い捨て容器であり、詰め替え容器として使用できないという欠点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、粘稠な内容物を残さず取り出せると共に、詰め替え容器として使用できる粘稠物包装容器及び分配装置を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】フランジを有すると共に底部に通気孔を有する剛性の外容器の内部に、フランジを有する可撓性の内容器を剥離可能に密着挿入してフランジにて連結された2重容器からなり、前記2重容器の開口部を覆う蓋材が、少なくとも前記内容器のフランジに熱接着により取り付けられた構成の粘稠物包装容器であるので、この粘稠物包装容器の蓋材を貫通させて吸出筒を挿入し内容物を取り出すことにより内容物の容量が減少すると、内容器が密封されていると共に蓋材の吸出筒の差し込み部の気密性が保たれているために、内容器の内部に外気が進入することがなく内容器内が負圧となる。一方、外容器の底部には通気孔が設けられているので内容器の外部に外圧がかかり、内容器の内圧よりも外圧の方が強くなるために、その圧力差により内容器と外容器が分離して内容器の底部が上に押し上げられた状態となり内容器の容積が減少する。内容物を更に取り出してゆくにつれて、内容器と外容器の分離が進行し、内容器が圧縮されて吸出筒の周辺に密着する状態で内容物が最後まで取り出すことができるものである。上記のように、内容器の内部に外気が進入することがないので内容物が酸化等により劣化することがなく内容物の保護性が保持できる。
【0005】上記の粘稠物包装容器において、前記外容器のフランジの内周域に段部を設け、前記段部内に前記内容器のフランジを載置して、前記蓋材を前記内容器のフランジ及び前記外容器のフランジに熱接着して取り付けた構成とすることにより、外容器のフランジの上面と内容器のフランジの上面を面一にすることができるので、蓋材を外容器のフランジ及び内容器のフランジに容易に熱接着して密封することができると共に、外容器と内容器を一体化することが容易となる。
【0006】上記の粘稠物包装容器において、前記蓋材を未延伸ナイロン層と可撓性に優れたポリオレフィン樹脂層とからなる積層体にて構成することにより、ポンプ体の吸出筒を蓋材を貫通させて内容器内に差し込んだ場合においても、吸出筒と蓋材との密着性がよく気密性が保たれるので、差し込み部から内容器に外気が進入することがなく内容物を最後まで取り出すことができる。」
c.「【0013】ポンプ体8を作動させて内容物10を取り出してゆくと、内容物10の量が減るにつれて、内容器2の容量が減少して、外容器1の内面と内容器2の外面間で剥離して内容器2が分離すると同時に、内容器2の容量の減少した分だけ外容器1の底部に設けられた通気孔6を通して外気が流入してきて、外容器1の底部に空間11ができる。このように内容物10を取り出してゆくと、内容器2の容量が減少するにつれて、内容器2が押しつぶされて外容器1から分離してゆき、外容器1の底部に空間11ができ外気が流入してくる。内容物が全て吸い出されると内容器2が完全に押しつぶされて、蓋材3の下面及び吸出筒9の周囲に密着した状態となり、内容物を残らず最後まで吸い出して使用することができるものである。使用中には、内容器2内に外気が一切入ることがないので内容物が酸化等により変質することがなく品質が保持される。
【0014】上記のようにして、内容物10を取り出し終わると、外容器1のフランジ1aと蓋体の係合部7aとの係合を外し、粘稠物包装容器から蓋体7を取り外して、使用済みの粘稠物包装容器を廃棄し新しい粘稠物包装容器と取り替えることにより、ポンプ体8を備えた蓋体は再利用できるものであり、本発明の粘稠物分配装置は粘稠物包装容器を取り替えることにより、詰め替え容器として使用できる。」
d.「【0021】内容器2は、ポリオレフィン樹脂層とガスバリアー樹脂層とからなる積層体、ないしはポリオレフィン樹脂層とガスバリアー樹脂層と熱可塑性樹脂層とからなる積層体を使用して、ポリオレフィン樹脂層が内面となるように成形された可撓性の優れた容器である。ガスバリアー樹脂層としては、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)・・・等が使用できる。
【0022】ポリオレフィン樹脂層とガスバリアー樹脂層とからなる内容器の積層構成の具体例としては、・・・(内面)PE/EVOH、(内面)EP/EVOH、(内面)変成PP/EVOH等であり、ポリオレフィン樹脂層とガスバリアー樹脂層と熱可塑性樹脂層とからなる内容器の積層構成の具体例としては、(内面)PE/EVOH/NY(外面)、(内面)EP/EVOH/NY(外面)、(内面)PE/EVOH/PE(外面)、(内面)EP/EVOH/EP(外面)、(内面)変成PP/EVOH/変成PP(外面)、(内面)PE/EVOH/PET(外面)、(内面)EP/EVOH/PS(外面)等である。・・・内容器2を構成する積層体は、可撓性があり、耐ピンホール性に優れたものが好ましい。・・・」
e.「【0023】外容器1の内部に内容器2を剥離可能に装着する方法としては、外容器1と内容器2を別々に成形して作製して、外容器1内に内容器2を挿入する方法、予め作製した内容器2を、インジェクション成形金型に嵌め込んだ後に外容器1をインジェクション成形して容器を作製するいわゆるインサート成形方法、外容器1をインジェクション成形により予め作製しておき、外容器1を成形型として内容器を構成する積層フイルムを真空成形ないしは圧空成形して、外容器1の内面に密着して内容器2を形成する方法等により製造することができる。・・・」
f.「【0024】
【発明の効果】フランジを有すると共に底部に通気孔を有する剛性の外容器の内部に、フランジを有する可撓性の内容器を剥離可能に密着して挿入された2重容器からなり、2重容器の開口部を覆う蓋材が、内容器のフランジないしは内容器及び外容器のフランジに熱接着して取り付けられた構成の粘稠物包装容器であるので、この粘稠物包装容器の蓋材を貫通させて吸出筒を挿入し内容物を取り出すことにより内容物の容量が減少すると、内容器が密封されていると共に蓋材の吸出筒の差し込み部の気密性が保たれているために、内容器の内部に外気が進入することがなく内容器内が負圧となる。一方、外容器の底部には通気孔が設けられているので内容器の外部に外圧がかかり、内容器の内圧よりも外圧の方が強くなるために、その圧力差により内容器と外容器が分離して内容器の底部が上に押し上げられた状態となり内容器の容積が減少する。内容物を更に取り出してゆくにつれて、内容器と外容器の分離が進行し、内容器が圧縮されて吸出筒の周辺に密着する状態で内容物が最後まで取り出すことができるものである。上記のように、内容器の内部に外気が進入することがないので内容物が酸化等により劣化することがなく内容物の保護性が保持できる。上記の粘稠物包装容器において、外容器のフランジの内周域に段部を設け、段部内に内容器のフランジを載置して、蓋材を内容器のフランジ及び外容器のフランジに熱接着して取り付けた構成とすることにより、外容器のフランジの上面と内容器のフランジの上面を面一にすることができるので、蓋材を外容器のフランジ及び内容器のフランジに容易に熱接着して密封することができると共に、外容器と内容器を一体化することが容易となる。・・・上記の粘稠物包装容器において、内容器を、ポリオレフィン樹脂層とガスバリアー樹脂層との積層体、ないしはポリオレフィン樹脂層とガスバリアー樹脂層と熱可塑性樹脂層との積層体からなり、ポリオレフィン樹脂層が内面となるように成形された構成とすることにより、ガスバリアー性の優れた内容器とすることができるので内容物の保護性がきわめて良好となる。上記の粘稠物包装容器の上部に、下方に向けて延びる吸出筒を備えたポンプ体が中央部に取り付けられると共に周縁に係合部が形成された蓋体を、蓋体の係合部を外容器のフランジに係合固定して取り付けると共に、吸出筒の先端が蓋材を貫通して内容器内に挿入された構成の粘稠物分配装置とすることにより、内容物を最後まで使い切ることができると共に、内部に外気が入ることがないので内容物が酸化されるのを防止できるので、内容物の保護性の優れた分配装置とすることができる。」
g.上記3.(2-2)ア.(ア)b.、c,及びf.に摘記したように、甲1では、従来知られていた「ブロー成形により合成樹脂製の外容器と外容器に剥離自在に積層された可撓性合成樹脂製の内容器とからなるボトル状の容器に注出用ポンプを取り付けた構成のもの」が、「構造が複雑である上に使い捨て容器であり、詰め替え容器として使用できないという欠点がある」ことに鑑み、「粘稠な内容物を残さず取り出せると共に、詰め替え容器として使用できる粘稠物包装容器及び分配装置を提供すること」を解決すべき課題とし、「蓋材を外容器のフランジ及び内容器のフランジに容易に熱接着して密封することができると共に、外容器と内容器を一体化することが容易とな」り、「内容物10を取り出し終わると、外容器1のフランジ1aと蓋体の係合部7aとの係合を外し、粘稠物包装容器から蓋体7を取り外して、使用済みの粘稠物包装容器を廃棄し新しい粘稠物包装容器と取り替えることにより、ポンプ体8を備えた蓋体は再利用できる」という作用効果を奏することが期待された、「吸出筒」を備えた「ポンプ体」の使用を前提とした、「粘稠物包装容器」に係る発明について一貫して説明されているといえる。

以上を踏まえると、甲1には、以下の甲1発明が記載されている。
「フランジを有すると共に底部に通気孔を有する剛性の外容器の内部に、フランジを有する可撓性の内容器を剥離可能に密着挿入し、前記外容器及び前記内容器のフランジにて連結された2重容器からなり、
前記2重容器の開口部を覆うように突き刺し密封性を有する蓋材が、少なくとも前記内容器のフランジに熱接着により取り付けられた構成からなり、
前記蓋材を貫通させて、ポンプ体の吸出筒を挿入し内容物を取り出すことにより、内容物の量が減るにつれて、前記内容器の容量が減少して、前記外容器の内面と前記内容器の外面間で剥離して前記内容器が分離すると同時に、前記内容器の容量の減少した分だけ前記外容器の底部に設けられた通気孔を通して外気が流入してきて、前記外容器の底部に空間ができる粘稠物包装容器であって、
前記内容器は、ポリオレフィン樹脂層とEVOH層とからなる積層体を使用して、前記ポリオレフィン層が内面となるように成形された容器である、
粘稠物包装容器。」

(イ)本件発明1と甲1発明との対比
本件発明1と甲1発明を対比すると、甲1発明の「外容器」、「内容器」、「EVOH層」は、各々、本件発明1の「外層によって構成される外殻」、「内層によって構成される内袋」、「EVOH層」に相当するから、両者は少なくとも、以下の点で相違する。
《相違点1》
内袋と外殻に関し、本件発明1では、「内袋は、前記積層剥離容器の底面に設けられたシール部において前記外殻に連結されており、前記内袋は、前記内容物の減少に伴って、前記シール部において前記内袋が前記外殻に連結されたまま収縮する」のに対し、甲1発明では、「前記外容器及び前記内容器のフランジにて連結され」、「突き刺し密封性を有する」「蓋材を貫通させて、ポンプ体の吸出筒を挿入し内容物を取り出すことにより、内容物の量が減るにつれて、前記内容器の容量が減少して、前記外容器の内面と前記内容器の外面間で剥離して前記内容器が分離すると同時に、前記内容器の容量の減少した分だけ前記外容器の底部に設けられた通気孔を通して外気が流入してきて、前記外容器の底部に空間ができる」ものであって、前記外容器は、「剛性の外容器」である点。

(ウ)相違点1の検討
甲1発明は、上記3.(2-2)ア.(ア)g.で述べたとおり、「吸出筒」を備えた「ポンプ体」の使用を前提とした発明であって、「粘稠な内容物を残さず取り出せると共に、詰め替え容器として使用できる粘稠物包装容器及び分配装置を提供すること」を解決すべき課題とし、「蓋材を外容器のフランジ及び内容器のフランジに容易に熱接着して密封することができると共に、外容器と内容器を一体化することが容易とな」り、「内容物10を取り出し終わると、外容器1のフランジ1aと蓋体の係合部7aとの係合を外し、粘稠物包装容器から蓋体7を取り外して、使用済みの粘稠物包装容器を廃棄し新しい粘稠物包装容器と取り替えることにより、ポンプ体8を備えた蓋体は再利用できる」という作用効果を奏するというものであるから、甲1発明は、「剛性の外容器」であって、「外容器」及び「内容器」の双方が「フランジを有」し、「蓋材を貫通させて、ポンプ体の吸出筒を挿入し内容物を取り出す」べく、「蓋材」が「突き刺し密封性を有」することを、必須の構成とした発明であるといえる。
そして、甲1発明は、外容器が「剛性の外容器」であり、「突き刺し密封性を有する」「蓋材を貫通させて、ポンプ体の吸出筒を挿入し内容物を取り出すことにより、内容物の量が減るにつれて、前記内容器の容量が減少して、前記外容器の内面と前記内容器の外面間で剥離して前記内容器が分離すると同時に、前記内容器の容量の減少した分だけ前記外容器の底部に設けられた通気孔を通して外気が流入してきて、前記外容器の底部に空間ができる」ものであって、これにより、「内容器と外容器が分離して内容器の底部が上に押し上げられた状態となり内容器の容積が減少」し、「内容物を更に取り出してゆくにつれて、内容器と外容器の分離が進行し、内容器が圧縮されて吸出筒の周辺に密着する状態で内容物が最後まで取り出すことができる」というものである。
してみると、甲1発明において、粘稠物包装容器の底面にシール部を設け、このシール部において内容器と外容器とを連結し、内容物の容量の減少に伴って、前記シール部において、前記内容器が前記外容器に連結されたまま収縮するように、その構造を変更する、すなわち、本件発明1のように、内袋が、前記積層剥離容器の底面に設けられたシール部において前記外殻に連結される構造とすることが容易か否かの検討は、「蓋材を貫通させて、ポンプ体の吸出筒を挿入し内容物を取り出す」べく、「蓋材」が「突き刺し密封性を有」し、「外容器」が「剛性の外容器」であって、「外容器」及び「内容器」の双方が「フランジを有」する容器を前提として検討する必要があるところ、そうした容器において、容器の底面にシール部を設け、このシール部において内容器と外容器とを連結し、内容物の容量の減少に伴って、前記シール部において、前記内容器が前記外容器に連結されたまま収縮するようにすることは、甲2?甲8には記載されておらず、示唆もされていない。
ゆえに、甲1発明において、粘稠物包装容器の底面にシール部を設け、このシール部において内容器と外容器とを連結し、内容物の容量の減少に伴って、前記シール部において、前記内容器が前記外容器に連結されたまま収縮するように、その構造を変更することは、当業者が容易になし得たこととはいえない。

なお、申立人は、申立人意見書で、甲5には、内側プラスチックライナー(内袋)が、多層容器の底面に設けられたシール部において外側プラスチック本体(外殻)に連結されており、内側プラスチックライナーは、内容物の減少に伴って、シール部において内側プラスチックライナーが外側プラスチック本体に連結されたまま収縮する点が記載されている旨を主張している(同意見書3頁14?22行)。
しかし、甲5の段落【0007】の「製品が小出しされるにつれて、ライナー14内の負圧により、ライナー14を容器本体12から分離させる。大気中の空気が、そのような分離を許すべく孔20から入る。かくして、製品が小出しされるにつれて、ライナーはつぶれ、本体12は、その固有の剛性並びに本体の内面からのライナーの分離のため、元の形態を保つ。」と記載されていることを踏まえると、【図4】及び【図5】には、「14」(内側プラスチックライナー)と「12」(外側プラスチック本体)とが「10」(容器)の底面の「20」(孔)部分で連結されている様子が図示されているものの、この「20」は、「製品が小出しされるにつれて」、「14」と「12」との連結が解け分離することで、開口するものと解されるから、上記主張は採用できない。
また、申立人は、申立人意見書で、甲1発明は、内容物が取り出されたときに内容器の底が上に押し上げられない構成であっても、内容器が圧縮されて吸出筒の周辺に密着することで内容物を最後まで取り出すことができるから、内容物が取り出されたときに内容器の底が上に押し上げられる点は、必須の構成ではない旨も主張している(同意見書4頁5?13行)。
しかし、仮に、「内容物が取り出されたときに内容器の底が上に押し上げられる点は、必須の構成ではない」としても、上述したとおり、甲1発明において、容器の底面にシール部を設け、このシール部において内容器と外容器とを連結し、内容物の容量の減少に伴って、前記シール部において、前記内容器が前記外容器に連結されたまま収縮するようにすることが容易であったことを推認させる事項は、甲2?甲8には記載されておらず、示唆もされていないから、申立人の主張は採用できない。

(エ)まとめ
よって、本件発明1は、甲1発明及び甲1記載事項?甲8記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

イ.本件発明2について
(ア)甲1発明
甲1発明は、上記3.(2-2)ア.(ア)に示したとおりである。

(イ)本件発明2と甲1発明との対比
本件発明2と甲1発明を対比すると、甲1発明の「外容器」、「内容器」、「EVOH層」は、各々、本件発明2の「外層によって構成される外殻」、「内層によって構成される内袋」、「EVOH層」に相当するから、両者は少なくとも、以下の点で相違する。
《相違点2》
内袋と外殻に関し、本件発明2では、「内袋は、前記積層剥離容器の底面に設けられたシール部において前記外殻に連結されており、前記シール部は、前記外殻と前記内袋の間において通気性を有さないように構成される」のに対し、甲1発明では、「前記外容器及び前記内容器のフランジにて連結され」、「突き刺し密封性を有する」「蓋材を貫通させて、ポンプ体の吸出筒を挿入し内容物を取り出すことにより、内容物の量が減るにつれて、前記内容器の容量が減少して、前記外容器の内面と前記内容器の外面間で剥離して前記内容器が分離すると同時に、前記内容器の容量の減少した分だけ前記外容器の底部に設けられた通気孔を通して外気が流入してきて、前記外容器の底部に空間ができる」ものであって、前記外容器は、「剛性の外容器」である点。

(ウ)相違点2の検討
甲1発明は、上記3.(2-2)ア.(ウ)で示したように、「吸出筒」を備えた「ポンプ体」の使用を前提とし、容器が、「剛性の外容器」であって、「外容器」及び「内容器」の双方が「フランジを有」し、「蓋材を貫通させて、ポンプ体の吸出筒を挿入し内容物を取り出す」べく、「蓋材」が「突き刺し密封性を有」することを必須の構成としているところ、そうした容器において、容器の底面にシール部を設け、このシール部において内容器と外容器とを連結し、前記シール部は、前記外殻と前記内袋の間において通気性を有さないようにすることは、甲2?甲8には記載されておらず、示唆もされていない。
ゆえに、甲1発明において、粘稠物包装容器の底面にシール部を設け、このシール部において内容器と外容器とを連結し、前記シール部は、前記外殻と前記内袋の間において通気性を有さないように、その構造を変更することは、当業者が容易になし得たこととはいえない。

(エ)まとめ
よって、本件発明2は、甲1発明及び甲1記載事項?甲8記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

ウ.本件発明3について
(ア)甲1発明
甲1発明は、上記3.(2-2)ア.(ア)に示したとおりである。

(イ)本件発明3と甲1発明との対比
本件発明3と甲1発明を対比すると、甲1発明の「外容器」、「内容器」、「EVOH層」、「通気孔」は、各々、本件発明3の「外層によって構成される外殻」、「内層によって構成される内袋」、「EVOH層」、「外気導入孔」に相当するから、両者の一致点、相違点は、以下のとおりである。
《一致点》
外層と内層とを備え、内容物の減少に伴って前記内層によって構成される内袋が前記外層によって構成される外殻から剥離し収縮する積層剥離容器であって、
前記内層は、EVOHからなるEVOH層を最外層に備え、
前記積層剥離容器は、外気導入孔を備え、
前記外気導入孔は、前記内袋と前記外殻の間の中間空間と、前記積層剥離容器の外部空間を連通する、
積層剥離容器。
《相違点3-1》
EVOHに関し、本件発明3のEVOHは、「エチレン含有量が32mol%以下」であり、「曲げ弾性率が2350MPa以下であり、1800MPa以上であ」るのに対し、甲1発明のEVOHは、エチレン含有量及び曲げ弾性率が不明である点。
《相違点3-2》
本件発明3の積層剥離容器は、「弁を備え」、「前記弁は、前記外殻の圧縮に伴って前記外気導入孔を閉塞させる」のに対し、甲1発明の粘稠物包装容器は、弁を備えておらず、「前記外容器及び前記内容器のフランジにて連結され」、「突き刺し密封性を有する」「蓋材を貫通させて、ポンプ体の吸出筒を挿入し内容物を取り出すことにより、内容物の量が減るにつれて、前記内容器の容量が減少して、前記外容器の内面と前記内容器の外面間で剥離して前記内容器が分離すると同時に、前記内容器の容量の減少した分だけ前記外容器の底部に設けられた通気孔を通して外気が流入」するものであり、また、「外容器」が、「剛性」であるため、圧縮されるものとはいえない点。

(ウ)相違点の検討
a.相違点3-1
甲2には、甲2記載事項、すなわち、「フィルムまたはシートを製造する成形プロセスにおいて製品の厚さにばらつきが生じるため、製品の市場性が低下し、しかも、伸縮性および可撓性が不足しているため、深絞り中および延伸力を用いる他のプロセス中の絞りが不均一になったり、製品使用中にピンホールが生じるため包装用材料としての用途が大きく制限されて」(段落【0002】)いたEVOHについて、「エチレン含有率が20?60mol%、好ましくは25?55mol%で・・・ある。エチレン含有率が20mol%以下の場合は、高湿度状態での酸素非透過性が所望特性に達しない。一方、エチレン含有率が60mol%以上の場合は酸素非透過性、印刷適性および他の物理的特性が低下する。」こと(段落【0007】)及び「29mol%のエチレンを含むEVOH共重合体をベースとする本発明の組成物はフィルムの形で、38mol%のエチレンを含むEVOHで基本的に構成されるフィルムと同じバリヤー特性を有するが、極めて容易に成形可能であるということを見出した。・・・EVOH共重合体の曲げ弾性率は約2000MPaである。」こと(段落【0009】)が記載されている。
甲3には、本件発明1の実施例1及び2のEVOH層として採用されている「形式:ソアノールSF750B、日本合成化学社製、融点188℃、曲げ弾性率2190Mpa」(本件特許明細書の段落【0049】及び【0050】)について、甲3記載事項、すなわち、「SoarnoLTM SF7503B has an excellent flex crack resistance with high barrier to gases. It is appropriate for bag in boxes and barrier liner.(当審和訳:ソアノールSF750Bは、ガスに対する高いバリアー性とともに曲げクラックに対する優れた耐性を有し、バックインボックスやバリアライナーに用いられる)」ことが記載されていると共に、甲3のGeneral Propertiesの表からは、エチレン含有率が29mol%であることが把握され、Fig.1からは、屈曲を繰り返してもピンホールが発生しずらいものであることが把握される。
甲4には、甲4記載事項、すなわち、「[0013] 本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、長期間かけて繰り返し折れ曲がり、変形に曝されるような仕様に対しても、ピンホール等が生じないような柔軟性(以下、「耐屈曲性」と称することがある)を有し、且つEVOH樹脂が本来有するガスバリア性を損なうことなく、溶融成形性が良好であり、しかも透明性に優れたフィルムを得ることができる樹脂組成物を提供することにある。」こと及び「[0021] 本発明の樹脂組成物に用いられるEVOH樹脂は、ISO14663に基づいて測定したエチレン構造単位の含有量が通常20?60モル%であり、好ましくは25?50モル%、さらに好ましくは27?35モル%である。エチレン構造単位の含有率が少なすぎると、樹脂組成物の成形加工性や耐屈曲性が低下する傾向にある。一方、エチレン構造単位の含有率が高くなりすぎると、必然的にポリマー鎖中に含まれるOH基の割合が低下しすぎ、ガスバリア性が不足する傾向にある。特に、本発明の樹脂組成物では、EVOH樹脂に基づく高いガスバリア性を確保する必要性から、エチレン含有率を上記範囲に設定する必要がある。」ことが記載されている。
そして、甲1には、甲1発明の内容器について、「【0022】・・・内容器2を構成する積層体は、可撓性があり、耐ピンホール性に優れたものが好ましい。・・・」と記載されている。
してみると、これらの記載に接した当業者であれば、甲1発明の内容器のEVOH層に求められる「可撓性があり、耐ピンホール性に優れたもの」として、甲2記載事項、甲3記載事項及び甲4記載事項を踏まえ、エチレン含有量を32mol%以下、曲げ弾性率が2350MPa以下とし、1800MPa以上程度のものとすることは、容易になし得たことというべきである。

b.相違点3-2
申立人意見書に添付された甲12である特開平9-124051号公報には、「【0017】また、外層容器本体12の底部12Aには、図1ないし図3に示す如く、貫通孔12Cが形成されており、この貫通孔12Cに逆止弁11が挿入された状態で固着されている。この逆止弁11は、外層容器本体12内から外部へ空気が流出するのを阻止するようになっており、これにより、図2及び図3に示す如く、外層容器本体12と内層容器本体14との間のスペースが加圧室16として機能するようになっている。一方、逆止弁11は押圧状態にある外層容器本体12(図2参照)の押圧状態が解除されたときに、外部からの空気を外層容器本体12内へ流入可能とするようになっている。」こと(以下、甲12記載事項という。)が記載されている。
同じく、甲14である特開2000-198722号公報には、「【0031】実施例2 図3に示す二重チューブ容器は、内チューブ4と外チューブ5から成り、口頚部2″に第一逆止弁6、外チューブ5の適所に外部に連通する連通孔9、そして該連通孔9に前記外チューブ5内部から外部への空気の流入を阻止する第二逆止弁7を設け、構成されている。」、「【0032】上記二重チューブ容器は、外チューブ5を押圧すると第二逆止弁7が閉弁され、外チューブ5を絞る圧力が密閉空間8内の空気を媒体にして内チューブ4に作用し、内チューブ4が絞られて内容物が、第一逆止弁6を押し上げ、吐出口から絞り出される。」、「【0033】そして、内容物の絞り出しが終了し、外チューブ5に対する押圧が解除されると、内チューブ4内は負圧状態となり、第一逆止弁6は閉弁される。同時に密閉空間8内も負圧状態となり、第二逆止弁7が開弁され、外部から空気が流入し、外チューブ5は元の形に戻る。」、「【0034】このようにして、内容物の絞り出しは、復元して絞りやすくなった外チューブ5を絞ることにより内容物を完全に無くなるまで繰り返されるので、内容物を最後まで容易に絞り出すことができる。」及び「【0035】また実施例2のチューブ容器は、内チューブ4内に空気が流入することがなく、次に使用する際にすぐに内容物を絞り出すことができるので使用性に優れた容器である。」こと(以下、甲14記載事項という。)が記載されている。
よって、上記甲12記載事項及び甲14記載事項に例示されるように、内容器と外容器の間の空間と外部空間を連通する通気孔を備えた積層剥離容器において、外容器(外層容器本体12及び外チューブ5)の圧縮に伴って通気孔(貫通孔12C及び連通孔9)を閉塞させる弁(逆止弁11及び第二逆止弁7)を付加することは、従来周知の技術であるといえる。

一方、甲1発明は、上記3.(2-2)ア.(ウ)で述べたように、「吸出筒」を備えた「ポンプ体」の使用を前提とし、容器が、「剛性の外容器」であって、「外容器」及び「内容器」の双方が「フランジを有」し、「蓋材を貫通させて、ポンプ体の吸出筒を挿入し内容物を取り出す」べく、「蓋材」が「突き刺し密封性を有」することを必須の構成とした発明であるといえる。
そして、甲1発明は、「突き刺し密封性を有する」「蓋材を貫通させて、ポンプ体の吸出筒を挿入し内容物を取り出すことにより、内容物の量が減るにつれて、前記内容器の容量が減少して、前記外容器の内面と前記内容器の外面間で剥離して前記内容器が分離すると同時に、前記内容器の容量の減少した分だけ前記外容器の底部に設けられた通気孔を通して外気が流入」するものであって、「外容器」が「剛性」である。すなわち、甲1発明は、「剛性の外容器」が圧縮されることにより、「内容器」内の「内容物」が取り出されるものではなく、上記「突き刺し密封性を有する」「蓋材を貫通させて、ポンプ体の吸出筒を挿入し内容物を取り出す」ことにより、「剛性の外容器」を圧縮せずとも、「内容物」が取り出されるものである。
そうすると、甲1発明は、そもそも「吸出筒」を備えた「ポンプ体」の使用を前提とした発明であって、上記甲12記載事項及び甲14記載事項に例示される「外容器(外層容器本体12及び外チューブ5)の圧縮」によって「内容物」が取り出されるものとは、外容器が有すべき機能を異にするものであり、さらに、甲1発明における「通気孔」は、「外気」を「流入」させる機能を有すれば足り、その「流入」の方向を一方向に制限すべきことまでは要しないものである。
ゆえに、上記甲12記載事項及び甲14記載事項に例示される事項が従来周知であったとしても、「剛性の外容器」であって、「外容器」及び「内容器」の双方が「フランジを有」し、「蓋材」が「突き刺し密封性を有」することを、前提とした甲1発明に、前記従来周知の技術を付加することには、外容器や通気孔が有すべき機能を異にする点で阻害要因があり、その動機付けも生じないというべきである。
したがって、これらの甲1記載事項に接した当業者であれば、甲1発明において、内容物の取り出しにともない、外容器と内容器の間に外気を導入させるための通気孔について、上記従来周知の事項を付加することが、容易になし得たことであるとはいえない。

(エ)まとめ
よって、本件発明3は、甲1発明、甲1記載事項?甲4記載事項、並びに甲12記載事項及び甲14記載事項に例示される従来周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

エ.本件発明4について
(ア)甲1発明
甲1発明は、上記3.(2-2)ア.(ア)に示したとおりである。

(イ)本件発明4と甲1発明との対比
本件発明4と甲1発明を対比すると、甲1発明の「外容器」、「内容器」、「EVOH層」は、各々、本件発明4の「外層によって構成される外殻」、「内層によって構成される内袋」、「EVOH層」に相当するから、両者の一致点、相違点は、以下のとおりである。
《一致点》
外層と内層とを備え、内容物の減少に伴って前記内層によって構成される内袋が前記外層によって構成される外殻から剥離し収縮する積層剥離容器であって、
前記内層は、EVOHからなるEVOH層を最外層に備えた、
積層剥離容器。
《相違点4-1》
EVOHに関し、本件発明4のEVOHは、「エチレン含有量が32mol%以下、25mol%以上であり、曲げ弾性率が2350MPa以下、1800MPa以上である」のに対し、甲1発明のEVOHは、エチレン含有量及び曲げ弾性率が不明である点。
《相違点4-2》
底シール突出部に関し、本件発明4の積層剥離容器は、「前記積層剥離容器の底面から突出する底シール突出部を備え、前記底シール突出部は、薄肉部と、前記薄肉部よりも肉厚が大きい厚肉部を備える」のに対し、甲1発明の粘稠物包装容器は、容器の底面から突出する底シール突出部を備えていない点。

(ウ)相違点の検討
a.相違点4-1
甲2?甲4の各々には、上記3.(2-2)ウ.(ウ)a.に示した事項が記載されている。
そして、甲1には、甲1発明の内容器について、「【0022】・・・内容器2を構成する積層体は、可撓性があり、耐ピンホール性に優れたものが好ましい。・・・」と記載されている。
してみると、これらの甲1記載事項?甲4記載事項に接した当業者であれば、甲1発明の内容器のEVOH層に求められる「可撓性があり、耐ピンホール性に優れたもの」として、甲2記載事項、甲3記載事項及び甲4記載事項を踏まえ、エチレン含有量を32mol%以下、25mol%以上、曲げ弾性率が2350MPa以下であり、1800MPa以上程度のものとすることは、容易になし得たことというべきである。

b.相違点4-2
申立人意見書に添付された甲第13号証である特表2001-514133号公報には、「【請求項1】 実質的に剛性の外容器と変形の容易な中袋とからなり、外容器と中袋とを、互いに溶着することのない、種類の異なる耐熱性プラスチック材料からそれぞれ形成した容器であって、容器開口部と、外容器に形成された少なくとも1つの壁開口部とを有し、前記壁開口部を通じて中袋と外容器との間の領域における圧力補正を行なうようにした容器を製造する方法であって、 少なくとも2層のチューブを同時押出し成形してなるパリソンを、吹込成形金型の開いた両半体同士の間に配し、パリソンがこの容器を製造するのに必要な長さになった時に吹込成形金型を閉じて製造される容器の底部において材料過剰分を押出し、外容器の材料を溶着してなる外向突出ウエブを形成し、そのウエブにおいて中袋の溶着底継目を固締し、かつ軸方向に保持して、パリソンを圧力媒体によって膨張させて吹込成形金型の壁に接触させ、その吹込成形金型から取り出すことによって製造した容器・・・」及び「【0030】 図1は本発明の容器製造方法による実施例を概略示す図であって、容器1に圧力補正開口部を形成する方法を説明する。容器1は例えばポリプロピレン製の剛性外容器2と、例えばポリエチレン製の柔軟な中袋3から構成される。また容器1は、吹込成形金型において、外容器および中袋にそれぞれ対応する2つの層を同時押出しして形成した管状ブランクの底部が押出され、外向きに突出したウエブ4を形成する。このウエブ4はその横断面形状が略凧形であって、中袋3の溶着底継目がその中に固締されている。この操作の際に中袋の材料が図1の矢印Dの方向に分離点から若干引込められるので、外容器2の閉じた溶着部もウエブ4の下部に形成されていて、容器1の底部が密閉されている。」ことが記載されており、【図1】を併せ見ると、前記「横断面形状が略凧形」である「ウエブ4」は、薄肉部と、前記薄肉部よりも肉厚が大きい厚肉部を備えているといえる。
すなわち、甲第13号証には、「2層のチューブを同時押出し成形してなるパリソンを、吹込成形金型の開いた両半体同士の間に配し、パリソンがこの容器を製造するのに必要な長さになった時に吹込成形金型を閉じて製造される容器の底部において材料過剰分を押出し、外容器の材料を溶着してなる外向突出ウエブを形成することを前提とした容器が、底面から突出するウエブ4(底シール突出部に相当。)を備え、前記ウエブ4は、薄肉部と、前記薄肉部よりも肉厚が大きい厚肉部を備えること」(以下、甲13記載事項という。)が記載されているといえる。

一方、甲1発明は、上記3.(2-2)ア.(ウ)で述べたように、「吸出筒」を備えた「ポンプ体」の使用を前提とし、容器が、「剛性の外容器」であって、「外容器」及び「内容器」の双方が「フランジを有」し、「蓋材を貫通させて、ポンプ体の吸出筒を挿入し内容物を取り出す」べく、「蓋材」が「突き刺し密封性を有」することを必須の構成とした発明であるといえる。
してみると、甲1発明において、粘稠物包装容器の底面から突出する底シール突出部を備え、前記底シール突出部は、薄肉部と、前記薄肉部よりも肉厚が大きい厚肉部を備えるように、その構造を変更することが容易か否かの検討は、「蓋材を貫通させて、ポンプ体の吸出筒を挿入し内容物を取り出す」べく、「蓋材」が「突き刺し密封性を有」し、「外容器」が「剛性の外容器」であって、「外容器」及び「内容器」の双方が「フランジを有」する容器を前提として検討する必要があるところ、そうした容器において、容器の底面から突出する底シール突出部を備え、前記底シール突出部は、薄肉部と、前記薄肉部よりも肉厚が大きい厚肉部を備えることは、甲13には記載されておらず、示唆もされておらず、甲1?4やその余の各甲号証にも記載されておらず、示唆もされていない。
さらに、甲1には、上記3.(2-2)ア.(ア)e.で摘記したように、「【0023】外容器1の内部に内容器2を剥離可能に装着する方法としては、外容器1と内容器2を別々に成形して作製して、外容器1内に内容器2を挿入する方法、予め作製した内容器2を、インジェクション成形金型に嵌め込んだ後に外容器1をインジェクション成形して容器を作製するいわゆるインサート成形方法、外容器1をインジェクション成形により予め作製しておき、外容器1を成形型として内容器を構成する積層フイルムを真空成形ないしは圧空成形して、外容器1の内面に密着して内容器2を形成する方法等により製造することができる」ことが記載されているものの、甲13記載事項にある「2層のチューブを同時押出し成形してなるパリソンを、吹込成形金型の開いた両半体同士の間に配し、パリソンがこの容器を製造するのに必要な長さになった時に吹込成形金型を閉じて製造される容器の底部において材料過剰分を押出し、外容器の材料を溶着してなる外向突出ウエブを形成する」ことは記載されていない。
すなわち、甲1発明は、そもそも、甲13記載事項にみられるような「材料過剰分を押出し、外容器の材料を溶着してなる外向突出ウエブ」が設けられるようなものではなく、当然のことながら、甲1には、甲1発明の「2重容器」の底面から突出する部材を設けるべきことを示唆する記載もない。

したがって、甲13記載事項に接した当業者であれば、甲13記載事項と同様に外容器及び内袋(内容器)を備えた甲1発明において、甲第13記載事項を付加することが、適宜なし得た程度のこととはいえない。

(エ)まとめ
よって、本件発明4は、甲1発明、甲1記載事項?甲4記載事項及び甲13記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

オ.本件発明5及び6について
本件発明5は、本件発明1の発明特定事項の全てを含み、さらに、技術的な限定を加える事項を発明特定事項としており、本件発明6は、本件発明2発明特定事項の全てを含み、さらに、技術的な限定を加える事項を発明特定事項としている。
したがって、本件発明5は、上記3.(2-2)ア.で示した理由と同様の理由により、甲1発明及び甲1記載事項?甲8記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
また、本件発明6は、上記3.(2-2)イ.で示した理由と同様の理由により、甲1発明及び甲1記載事項?甲8記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

カ.本件発明7及び8について
本件発明7は、本件発明3の発明特定事項の全てを含み、さらに、技術的な限定を加える事項を発明特定事項としており、本件発明8は、本件発明4の発明特定事項の全てを含み、さらに、技術的な限定を加える事項を発明特定事項としている。
したがって、本件発明7は、上記3.(2-2)ウ.で示した理由を踏まえると、たとえ、技術的な限定を加える事項に関することが、甲5及び甲13に記載されていたとしても、甲1発明、甲1記載事項?甲8記載事項、甲12記載事項及び甲14記載事項に例示される従来周知の事項、並びに甲13記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
また、本件発明8は、上記3.(2-2)エ.で示した理由を踏まえると、たとえ、技術的な限定を加える事項に関することが、甲5及び甲13に記載されていたとしても、甲1発明、甲1記載事項?甲8記載事項及び甲13記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

キ.本件発明9?11について
本件発明9?11は、本件発明1?8のいずれかの発明特定事項の全てを含み、さらに、技術的な限定を加える事項を発明特定事項としている。
したがって、本件発明9?11は、上記3.(2-2)ア.?カ.で示した理由を踏まえると、たとえ、技術的な限定を加える事項に関することが、甲5、甲13及び甲15に記載されていたとしても、甲1発明、甲1記載事項?甲8記載事項、甲12記載事項及び甲14記載事項に例示される従来周知の事項、甲13記載事項、並びに甲15記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

ク.まとめ
以上のとおり、本件発明1?11は、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものではないから、その特許は、同法第113条第2号の規定に該当することを理由に取り消されるべきものとすることはできない。

(3)取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
ア.特許法第36条第6項第1号違反について
本件発明1?11における「EVOHからなるEVOH層」は、文言上、「EVOHのみで構成されるEVOH層」を意味するところ、本件特許明細書の発明の詳細な説明では、「EVOH」として、「SF7503B」、「A4412」、「D2908」を用いているが、これらがEVOHそれ自体なのか、あるいは、EVOHに他の樹脂や添加剤を配合した組成物であるのかが不明であるから、本件発明1?11は、発明の詳細な説明に記載したものとはいえないから、本件特許の特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1項の規定に適合していない(特許異議申立書28頁4?19行)。
イ.判断
上記「SF7503B」、「A4412」、「D2908」が、EVOHそれ自体なのか、あるいは、EVOHに他の樹脂や添加剤を配合した組成物であるのかについては、例えば、「SF7503B」について、申立人が自ら甲3としてそのデータシートを提示しているように、当業者であれば、これらについて公表されているデータシート等を参照することで直ちに知り得ることであり、前記「SF7503B」は、甲3のFig.1及びFig.2において、EVOH単体と解される32mol%EVOHとの対比されていることから、EVOHに他の樹脂や添加剤を配合した組成物であると認められる。
そして、本件発明1?11における「EVOHからなるEVOH層」が、「EVOHのみで構成されるEVOH層」を意味するか否かは、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載をも踏まえて解されるべきことである。
してみると、本件発明1?11における「EVOHからなるEVOH層」とは、「EVOHのみで構成されるEVOH層」のみならず「EVOHに他の樹脂や添加剤を配合した組成物で構成されるEVOH層」をも含み得るものと解するのが相当であり、本件発明1?11は、発明の詳細な説明に記載したものではないとはいえない。
したがって、本件特許の特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1項の要件を満たしていないとはいえない。

4.むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由によっては、本件発明1?11に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1?11に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
したがって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外層と内層とを備え、内容物の減少に伴って前記内層によって構成される内袋が前記外層によって構成される外殻から剥離し収縮する積層剥離容器であって、
前記内層は、EVOHからなるEVOH層を最外層に備え、
前記EVOHは、エチレン含有量が32mol%以下であり、曲げ弾性率が2350MPa以下であり、
前記積層剥離容器は、ブロー成形体であり、
前記内袋は、前記積層剥離容器の底面に設けられたシール部において前記外殻に連結されており、
前記内袋は、前記内容物の減少に伴って、前記シール部において前記内袋が前記外殻に連結されたまま収縮する、
積層剥離容器。
【請求項2】
外層と内層とを備え、内容物の減少に伴って前記内層によって構成される内袋が前記外層によって構成される外殻から剥離し収縮する積層剥離容器であって、
前記内層は、EVOHからなるEVOH層を最外層に備え、
前記EVOHは、エチレン含有量が32mol%以下であり、曲げ弾性率が2350MPa以下であり、
前記EVOHは、エチレン含有量が25mol%以上であり、
前記内袋は、前記積層剥離容器の底面に設けられたシール部において前記外殻に連結されており、
前記シール部は、前記外殻と前記内袋の間において通気性を有さないように構成される、積層剥離容器。
【請求項3】
外層と内層とを備え、内容物の減少に伴って前記内層によって構成される内袋が前記外層によって構成される外殻から剥離し収縮する積層剥離容器であって、
前記内層は、EVOHからなるEVOH層を最外層に備え、
前記EVOHは、エチレン含有量が32mol%以下であり、曲げ弾性率が2350MPa以下であり、
前記EVOHは、曲げ弾性率が1800MPa以上であり、
前記積層剥離容器は、外気導入孔と弁を備え、
前記外気導入孔は、前記内袋と前記外殻の間の中間空間と、前記積層剥離容器の外部空間を連通し、
前記弁は、前記外殻の圧縮に伴って前記外気導入孔を閉塞させる、積層剥離容器。
【請求項4】
外層と内層とを備え、内容物の減少に伴って前記内層によって構成される内袋が前記外層によって構成される外殻から剥離し収縮する積層剥離容器であって、
前記内層は、EVOHからなるEVOH層を最外層に備え、
前記EVOHは、エチレン含有量が32mol%以下であり、曲げ弾性率が2350MPa以下であり、
前記EVOHは、エチレン含有量が25mol%以上であり、
前記EVOHは、曲げ弾性率が1800MPa以上であり、
前記積層剥離容器は、前記積層剥離容器の底面から突出する底シール突出部を備え、
前記底シール突出部は、薄肉部と、前記薄肉部よりも肉厚が大きい厚肉部を備える、積層剥離容器。
【請求項5】
前記外層は、前記積層剥離容器の成形時にでたバリをリサイクルして使用したリプロ層を備える、請求項1に記載の積層剥離容器。
【請求項6】
前記外層は、前記積層剥離容器の成形時にでたバリをリサイクルして使用したリプロ層を備え、
前記積層剥離容器は、外気導入孔と弁を備え、
前記外気導入孔は、前記内袋と前記外殻の間の中間空間と、前記積層剥離容器の外部空間を連通し、
前記弁は、前記外殻の圧縮に伴って前記外気導入孔を閉塞させる、請求項2に記載の積層剥離容器。
【請求項7】
前記外層は、前記積層剥離容器の成形時にでたバリをリサイクルして使用したリプロ層を備え、
前記積層剥離容器は、前記積層剥離容器の底面から突出する底シール突出部を備え、
前記底シール突出部は、薄肉部と、前記薄肉部よりも肉厚が大きい厚肉部を備える、請求項3に記載の積層剥離容器。
【請求項8】
前記外層は、前記積層剥離容器の成形時にでたバリをリサイクルして使用したリプロ層を備え、
前記底シール突出部は、前記外殻と前記内袋の間において通気性を有さないように構成される、請求項4に記載の積層剥離容器。
【請求項9】
前記内層は、前記EVOH層の容器内面側に設けられた内面層と、前記EVOH層と前記内面層の間に設けられた接着層を備え、
前記内面層を構成する樹脂の引張弾性率は、70?200MPaである、請求項1?請求項8の何れか1つに記載の積層剥離容器。
【請求項10】
前記内層は、前記EVOH層の容器内面側に設けられた内面層と、前記EVOH層と前記内面層の間に設けられた接着層を備え、
前記内面層は、直鎖状低密度ポリエチレンからなり、
前記接着層は、酸変性ポリエチレンを含む、請求項1?請求項9の何れか1つに記載の積層剥離容器。
【請求項11】
請求項1?請求項10の何れか1つに記載の積層剥離容器の前記内袋を前記外殻から予備剥離する工程と、
前記内袋内に内容物を充填する前に前記内袋を膨らませる工程と、
前記内袋を膨らませた後に前記内袋内に内容物を充填する工程を備える、内容物入り積層剥離容器の製造方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2018-06-26 
出願番号 特願2015-30949(P2015-30949)
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (B65D)
P 1 651・ 537- YAA (B65D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 高橋 裕一  
特許庁審判長 久保 克彦
特許庁審判官 井上 茂夫
渡邊 豊英
登録日 2016-07-08 
登録番号 特許第5962796号(P5962796)
権利者 キョーラク株式会社
発明の名称 積層剥離容器  
代理人 SK特許業務法人  
代理人 奥野 彰彦  
代理人 伊藤 寛之  
代理人 SK特許業務法人  
代理人 奥野 彰彦  
代理人 伊藤 寛之  

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