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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  C07K
審判 全部無効 1項3号刊行物記載  C07K
審判 全部無効 特36条4項詳細な説明の記載不備  C07K
管理番号 1343256
審判番号 無効2015-800114  
総通号数 226 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-10-26 
種別 無効の審決 
審判請求日 2015-04-23 
確定日 2018-07-23 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第4874806号発明「液体因子VII組成物のウイルス濾過」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第4874806号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[1ないし17]について訂正することを認める。 特許第4874806号の請求項1ないし17に係る発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
本件特許第4874806号(以下、「本件特許」という)に係る出願は、平成16(2004)年12月1日(優先権主張 2003年12月1日、デンマーク)を国際出願日とする出願であって、本件特許の無効審判請求に係る主な手続の経緯は、以下のとおりである。

平成23年12月 2日 特許権の設定登録
平成27年 4月23日 審判請求書
平成27年 8月31日 審判事件答弁書、訂正請求書
平成27年 9月24日付け 手続補正指令書(方式)
平成27年10月28日 手続補正書(方式)(被請求人)
平成28年 1月14日 審判事件弁駁書
平成28年 1月22日 手続補正書(請求人)
平成28年 3月30日付け 審理事項通知書
平成28年 5月16日 口頭審理陳述要領書(請求人)
平成28年 5月16日 口頭審理陳述要領書(被請求人)
平成28年 5月30日 口頭審理
平成28年 6月13日 上申書(請求人)
平成28年 6月13日 上申書(被請求人)
平成28年 6月29日付け 審決の予告
平成28年10月 3日 意見書(被請求人)

第2 訂正請求について
1 訂正請求の趣旨及び訂正の内容
被請求人が平成27年8月31日付け訂正請求書(平成27年10月28日付け手続補正書(方式)により補正されている)により請求する訂正は、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり一群の請求項ごとに訂正することを求めるものである。
その請求の内容は、請求項1?17からなる一群の請求項に係る訂正であって、以下のとおりである(下線部分は訂正箇所)。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に係る記載
「【請求項1】 液体因子VII組成物からウイルスを除去するための方法であって、前記組成物が一以上の因子VIIポリペプチドを含み、前記一以上の因子VIIポリペプチドのうち少なくとも10%が活性化された形態であり、前記方法が、下記の工程(a)と工程(b)を任意の順序で含む方法。
(a)前記組成物と界面活性剤とを組み合わせる工程を含む方法によってウイルスを不活性化する工程;および
(b)最大80nmの細孔サイズを有するナノフィルターを使用するナノ濾過を前記液体因子VII組成物溶液に対して行うことを含む方法によって、ウイルスを除去する工程。」
を、
「【請求項1】 液体因子VII組成物からウイルスを除去するための方法であって、前記組成物が一以上の因子VIIポリペプチドを含み、前記一以上の因子VIIポリペプチドのうち少なくとも50%が活性化された形態であり、前記液体組成物中の因子VIIポリペプチドの濃度が、0.01?5mg/mLの範囲であり、前記方法が、下記の工程(a)と工程(b)を任意の順序で含む方法。
(a)前記組成物と界面活性剤とを組み合わせる工程を含む方法によってウイルスを不活性化する工程;および
(b)最大80 nmの細孔サイズを有するナノフィルターを使用するナノ濾過を前記液体因子VII組成物溶液に対して行うことを含む方法によって、ウイルスを除去する工程。」
と訂正する。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に係る記載
「【請求項2】 前記一以上の因子VIIポリペプチドのうち少なくとも10%が、活性化された形態である、請求項1に記載の方法。」
を、
「【請求項2】 前記一以上の因子VIIポリペプチドのうち少なくとも50%が、活性化された形態である、請求項1に記載の方法。」
と訂正する。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項9に係る記載
「【請求項9】 前記液体組成物中の因子VIIポリペプチドの濃度が、0.01?5 mg/mLの範囲、例えば0.05?2.0 mg/mLの範囲にある、請求項1?8のいずれか一項に記載の方法。」
を、
「【請求項9】 前記液体組成物中の因子VIIポリペプチドの濃度が、0.05?2.0 mg/mLの範囲にある、請求項1?8のいずれか一項に記載の方法。」
と訂正する。

2 訂正の適否
(1)訂正事項1
訂正事項1は、因子VIIポリペプチドの活性化された形態のパーセンテージの数値である「10%」を「50%」に限定し、更に液体組成物中の因子VIIポリペプチドの濃度を0.01?5mg/mLの範囲に限定したものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
また、因子VIIポリペプチドの活性化された形態の割合が「少なくとも50%」であるという事項は明細書の段落番号【0028】に「50?100%」と記載されている。更に液体組成物中の因子VIIポリペプチドの濃度範囲が「0.01?5mg/mL」であるという事項は明細書の段落番号【0049】に記載されている。したがって、この訂正は、願書に添付した明細書または図面に記載した事項の範囲内であり、また実質上特許請求の範囲を拡張しまたは変更するものではないので、特許法第134条の2第9項の規定によって準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(2)訂正事項2
訂正事項2は、上記訂正事項1に伴って請求項2の因子VIIポリペプチドの活性化された形態の割合を「50%」に限定したものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
そして、この訂正は、願書に添付した明細書または図面に記載した事項の範囲内であり、また実質上特許請求の範囲を拡張しまたは変更するものではないので、特許法第134条の2第9項の規定によって準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(3)訂正事項3
訂正事項3は、上記訂正事項1に伴って請求項9に記載されていた「0.01?5mg/mL」という液体組成物中の因子VIIポリペプチドの濃度範囲を削除して、「0.05?2.0mg/mL」に限定したものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
そして、この訂正は、願書に添付した明細書または図面に記載した事項の範囲内であり、また実質上特許請求の範囲を拡張しまたは変更するものではないので、特許法第134条の2第9項の規定によって準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

3 訂正請求に対する結論
以上のとおり、本件訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、同法同条第9項により準用する同法第126条第5項及び第6項の規定を満たすものであるので、一群の請求項ごとに本件訂正を認める。

第3 本件訂正発明
以上のとおりであるから、本件特許の請求項1?17に係る発明は、上記訂正された特許請求の範囲の請求項1?17に記載された事項により特定される、次のとおりのものである(以下、それぞれ「訂正発明1」?「訂正発明17」という)。

【請求項1】
液体因子VII組成物からウイルスを除去するための方法であって、前記組成物が一以上の因子VIIポリペプチドを含み、前記一以上の因子VIIポリペプチドのうち少なくとも50%が活性化された形態であり、前記液体組成物中の因子VIIポリペプチドの濃度が、0.01?5mg/mLの範囲であり、前記方法が、下記の工程(a)と工程(b)を任意の順序で含む方法。
(a)前記組成物と界面活性剤とを組み合わせる工程を含む方法によってウイルスを不活性化する工程;および
(b)最大80 nmの細孔サイズを有するナノフィルターを使用するナノ濾過を前記液体因子VII組成物溶液に対して行うことを含む方法によって、ウイルスを除去する工程。
【請求項2】
前記一以上の因子VIIポリペプチドのうち少なくとも50%が、活性化された形態である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(a)の界面活性剤が、式p-((CH_(3))_(3)CH_(2)C(CH_(2))_(2))-C_(6)H_(4)-O-(CH_(2)CH_(2)O)_(n)-H(式中、nは5?15の範囲内にある)のオクチルフェノキシポリエトキシエタノールであり、随意に、nが9?10のもの、例えばTriton X-100である請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
工程(a)の界面活性剤が、Tween(登録商標)、ポリソルベート20、ポリソルベート60、およびポリソルベート80からなる群から選択される、請求項1または2記載の方法。
【請求項5】
工程(a)の界面活性剤が、0.01?0.3重量%の範囲、例えば0.05?0.2重量%の範囲の組成物中の界面活性剤の濃度を与えるように、液体因子VII組成物と組み合わされる、請求項1?4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
工程(a)の界面活性剤が、2?12℃の範囲、例えば2?9℃の範囲の温度で前記組成物と組み合わされる、請求項1?5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記工程(a)の界面活性剤が、トリアルキルリン酸塩溶媒、例えばトリ(n-ブチル)リン酸塩を実質的に含まない、請求項1?6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記液体因子VII組成物が、7.0?9.5の範囲のpH、例えば7.6?9.4の範囲、7.7?9.3の範囲、8.0?9.0の範囲、または8.3?8.7の範囲のpHを有する、請求項1?5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記液体組成物中の因子VIIポリペプチドの濃度が、0.05?2.0 mg/mLの範囲にある、請求項1?8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記工程(b)のナノフィルターの細孔サイズが、最大で50 nm、例えば30 nm、または10?30 nmの範囲にある、請求項1?9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記液体因子VII組成物が、(i)ウシまたはウシ胎仔血清の存在中における細胞培養によって生成されるか、または、(ii)前記液体組成物が、実質的に血清を含まない、請求項1?10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記因子VIIポリペプチドが、CHO細胞、随意に、動物起源の全ての成分を含まない培地における、CHO細胞の細胞培養によって生成される、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記工程(b)のナノフィルターの膜が、銅アンモニア溶液で再生されたセルロース、親水性ポリビニリデンフッ化物(PVDF)、合成PVDF、表面修飾PVDF、およびポリエーテルスルホンから選択された一以上の材料から製造される、請求項1?12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記工程(b)のナノ濾過以前に行われる前濾過工程を含み、随意に、前濾過フィルターは0.05?0.5マイクロメートルの細孔サイズを有する、請求項1?13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記因子VIIポリペプチドが、ヒト因子VIIまたは因子VII変異体配列から成る群より選ばれる、請求項1?14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
ウイルスを不活性化させる工程(a)が、ウイルスを除去する工程(b)に先行する、請求項1記載の方法。
【請求項17】
ウイルスを除去する工程(b)が、ウイルスを不活性化させる工程(a)に先行する、請求項1記載の方法。

第4 請求人の主張及び証拠方法
1 請求人の主張
請求人は、「特許第4874806号の請求項1ないし17に係る発明についての特許は、これを無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、証拠方法として甲第1号証?甲第23号証の2を提出し、以下に示す無効理由1?4を主張している。

(1)無効理由1(訂正発明1及び2の新規性欠如)
訂正発明1及び2はそれぞれ、甲第1号証に記載された発明と同一又は実質的に同一であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。したがって、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。

(2)無効理由2(訂正発明1及び2の進歩性欠如)
(2-1)無効理由2-1
訂正発明1及び2はそれぞれ、甲第1号証に記載された発明及び甲第3号証の記載に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。したがって、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。

(2-2)無効理由2-2
訂正発明1及び2はそれぞれ、甲第2号証に記載された発明及び甲第3号証の記載に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。したがって、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。

(2-3)無効理由2-3
訂正発明1及び2はそれぞれ、甲第2号証に記載された発明及び甲第4号証の記載に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。したがって、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。

(2-4)無効理由2-4
訂正発明1及び2はそれぞれ、甲第2号証に記載された発明及び甲第1号証の記載に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。したがって、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。

(3)無効理由3(訂正発明1?17の実施可能要件違反)
訂正発明1?17について、本件明細書の発明の詳細な説明は、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものでないから、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしておらず、その特許は同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきである。

(4)無効理由4(訂正発明3?17の進歩性欠如)
訂正発明3?17は、
甲第1号証に記載された発明及び甲第3号証の記載、
甲第2号証に記載された発明及び甲第3号証の記載、
甲第2号証に記載された発明及び甲第4号証の記載、
甲第2号証に記載された発明及び甲第1号証の記載
のいずれかと、甲第1?5号証のいずれかの記載又は技術常識とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。したがって、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。

2 証拠方法
請求人が提出した証拠方法は、以下のとおりである。

甲第1号証:「Guidelines on the selection and use of therapeutic products to treat haemophilia and other hereditary bleeding disorders」, United Kingdom Haemophilia Centre Doctors’ Organisation (UKHCDO), Haemophilia, 2003, Vol.9, p.1-23及びその抄訳
甲第2号証:「Recombinant activated Factor VII Eptacog alpha (ACTIVATED): NOVOSEVEN R(注:○内にR)」, Chamouard et al., Lyon Pharmaceutique, 2000, Vol. 51, No.3, p.145-163及びその抄訳
(なお、甲第2号証については、平成27年10月28日付け手続補正書(方式)により、英語からフランス語(原文)に補正されている。)
甲第3号証:「Large-scale production and properties of human plasma-derived activated Factor VII concentrate」, Tomokiyo et al., Vox Sanguinis, 2003, Vol.84, p.54-64及びその抄訳
甲第4号証:「Nanofiltration of plasma-derived biopharmaceutical products」, Burnouf et al., Haemophilia (2003), Vol.9, p. 24-37及びその抄訳
甲第5号証:「The use of RP-HPLC for Measuring Activation and Cleavage of rFVIIa During Purification」, Mollerup et al., Biotechnology and Bioengineering, 1995, Vol.48, p.501-505及びその抄訳
甲第6号証:Magali Andre(マガリ・アンドレ)の宣言書及びその訳文
甲第7号証:Nicolas Bihoreau(ニコラス・ビオロ)の宣言書及びその訳文
甲第8号証:「Mass spectrometric characterization of N- and O-glycans of plasma-derived coagulation factor VII」, Fenaille et al., Glycoconj. J., 2008, Vol.25, p.827-842及びその抄訳
甲第9号証:「Staclot(登録商標)」キットのプロトコール及びその抄訳
甲第10号証:「Asserachrom(登録商標)」キットのプロトコール及びその抄訳
<以上、審判請求書に添付>

甲第11号証:2014年7月2日に被請求人が韓国において提出した主張書面及びその抄訳
甲第12号証:2013年12月18日に被請求人が韓国において提出した主張書面及びその抄訳
甲第13号証:「Autoactivation of Human Recombinant Coagulation Factor VII」, Pedersen et al., Biochemistry, 1989, Vol.28, p.9331-9336及びその抄訳
甲第14号証:旭化成メディカル株式会社 プラノバフィルターの説明文書
甲第15号証:メルクミリポアNFRナノフィルターの説明文書及びその抄訳
甲第16号証:ポールコーポレーション DV50ナノフィルターの説明文書及びその抄訳
甲第17号証:「Amino Acid Sequence and Posttranslational Modifications of Human Factor VIIa from Plasma and Transfected Baby Hamster Kidney Cells」, Thim et al., Biochemistry, 1988, Vol.27, p.7785-7793及びその抄訳
甲第18号証:「Filtration 15nm」, Mazurier, Sang Thrombose Vaisseaux 1998, Special Edition, p.35-40及びその抄訳
甲第19号証:Guillaume Chevreux(ギョーム・シュブレー)の宣言書及びその訳文
甲第5号証の抄訳(差し替え)
<以上、審判事件弁駁書に添付>

甲第20号証:「Concept technologique et mise en aeuvre de la nanofiltration Efficacite dans l'elimination des virus et des ATNC」, Chtourou, STV no. special, 2001, Vol.13, p.29-30及びその抄訳
甲第21号証:「Facteurs antihemophiliques: traitement substitutif de l'hemophilie A et B」, Dossier du CNHIM, 2003, XXIV.3-4及びその抄訳
甲第4,18号証の抄訳(差し替え)
<以上、口頭審理陳述要領書に添付>

甲第22号証:Michel Nogre(ミシェル・ノグレ)の宣言書及びその訳文
甲第23号証の1:ノボセブンの仕様書(2001年6月20日付DecisionのANNEX 1 SUMMARY OF PRODUCT CHARACTERISTICS)及びその抄訳
甲第23号証の2:欧州諸共同体公報(C209, vol.44, 2001年7月27日付)の表紙及び6?8頁及びその抄訳
甲第3,16号証の抄訳(差し替え)
<以上、上申書に添付>

第5 被請求人の主張及び証拠方法
1 被請求人の主張
被請求人は、「請求のとおり訂正を認める。本件無効審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求め、証拠方法として、乙第1?2号証及び乙第2号証の2?乙第6号証を提出し、請求人の主張する無効理由及び証拠によっては訂正発明1?17を無効とすることはできないと主張している。

2 証拠方法
被請求人の提出した証拠方法は以下のとおりである。

乙第1号証:Jurlander et al, Seminars in Thrombosis and Haemostatis, 2001, Vol.27, No.4, p.373-383及びその抄訳
乙第2号証:本件特許と対応する米国出願において米国審査官とのインタビューに使用したスライドのコピー及びその訳文
<以上、審判事件答弁書に添付>

乙第2号証の2:平成27年8月31日の答弁書において提出したスライド4とスライド5の訂正版
乙第3号証:欧州においてノボ ノルディスク社がナノ濾過工程(ウイルス除去)の両者を含んでいるノボセブンの製造につき認可を受けたことを示すレター
乙第4号証:M.Mulder, Basic Principle of Membrane Technology, 1996, p.416-464及びその抄訳
乙第5号証:ジョルゲンセン(Jorgensen)の宣誓書及びその抄訳
<以上、口頭審理陳述要領書に添付>

乙第6号証:クララップ(Krarup)の宣誓書及びその抄訳
<以上、意見書に添付>

第6 甲号証の記載事項
請求人が提出した甲第1?5,7,13,17号証には、以下の事項が記載されている。
なお、下線は強調のために付与したものであり、外国語の文献については、合議体が請求人による抄訳又は訳文を参考にして訳出した。以下、同様である。

1 甲第1号証
(甲1-a)「血友病及び他の遺伝性出血性疾患を処置するための治療用製品の選択及び用途に関するガイドライン」(タイトル)

(甲1-b)「表1 利用可能な組換え製品の要約

BHK:ベビーハムスター腎臓;CHO:チャイニーズハムスター卵巣。SD:溶剤界面活性剤;NF:ナノ濾過;mAbs:モノクローナル抗体。」(表1)

(甲1-c)「すべてのウイルス不活性化手順及び除去手順は、限界を有する。相補的な2種の異なる有効な工程を血漿製品製造プロセスに組み込むことが推奨される[14]。欧州ガイドラインは、少なくとも1つの有効な工程が非エンベロープ型ウイルスを不活性化又は除去することを推奨する。2001年の医薬品委員会(CPMP)推奨は、すべての血漿由来医薬品について、多様な物理化学的特徴を有する広い範囲のウイルスの不活性化・除去のための有効な工程を組み入れることが1つの目標であると述べている。これを達成するために、多くの場合において、第一の工程を生き延びたいかなるウイルスも第二の工程によって有効に不活性化・除去されるように、作用モードにおいて互いに補い合う2つの相違する有効な工程を組み入れることが望ましいであろう。」(6頁左欄19?36行目)

(甲1-d)「組換え因子VIIa(ノボセブン、ノボ ノルディスク)
この組換え製品は、コペンハーゲン近郊(デンマーク)の単一のプラントにおいて製造される。因子VIIは、遺伝的に形質転換されたBHK細胞株において単一鎖の糖タンパク質(406アミノ酸、50kDa)として生成される。精製は、イオン交換クロマトグラフィー及びマウスモノクローナル抗体を用いるイムノアフィニティークロマトグラフィーによる。精製中に、組換え因子VIIは二本鎖の活性化形態に変換される。製造工程はウイルス除去のためのナノ濾過工程を含む。組換え因子VIIaは、最終バイアル中で凍結乾燥調製物として製剤化され、アルブミンは添加されない。組換え因子VIIaは、製造プロセスの結果として、非凝集因子夾雑物を含む。これらは、発酵プロセスにおいて使用された細胞由来の痕跡量のハムスタータンパク質、発酵培地中のウシIgG及びウシ血清を含む。」(17頁右欄下から4行目?18頁左欄16行目)

(甲1-e)「因子VII-LFB(LFB)
フランスのドナー由来の血漿を用いてフランスで製造される。最初にDEAE吸着を用い、次にアニオン交換クロマトグラフィーを用いて調製される。この濃縮物は、溶剤/界面活性剤処理(TNBP及びポリソルベート80の組み合わせを用いる)に供される。最終生成物は、1?2単位/mgのタンパク質の比活性を有する。」(18頁右欄34?41行目)

2 甲第2号証
(甲2-a)「組換え活性化因子VIIエプタコグアルファ(活性化):ノボセブン(登録商標)」(タイトル)

(甲2-b)「製造プロセス
因子VII遺伝子を、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞株にトランスフェクションする。第1のアニオン交換クロマトグラフィーを行い、その後、Triton X-100での処理、マウス抗体(抗ヒト因子VII)存在下での免疫吸着を行い、最後に、2回のアニオン交換クロマトグラフィー工程を行うことにより、rFVIIaを精製し、安全にすることが可能になる。因子VIIの活性化は、第1のクロマトグラフィー中に始まり、最終工程中に完了する[7,35]。」(147頁下から6行目?最終行)

(甲2-c)「ウイルス不活性化
イオン交換クロマトグラフィー及び免疫吸着の工程は、タンパク質の精製と、可能性のある汚染(BHK細胞、ウシ血清及びモノクローナル抗体の生産に使用されるマウスタンパク質を含む細胞培養培地により表され得る)の除去とに貢献する。最適な微生物学的及びウイルス的安全性の獲得は、製造プロセスにおける特異的ウイルス不活性化工程を表す、有機溶媒、0.1%のTriton X100の存在下で30分間の化学処理に基づいている。さらに、0.65及び0.2μmでの2回の濾過工程、ならびに免疫吸着クロマトグラフィーも、潜在的な汚染病原体を減少させるのに貢献する[19]。ウイルス不活性化効率の検証は、5種のウイルスモデルを使用して試験されている(表I)。得られたウイルスの減少は、少なくとも9logに等しい。最終生成物は、そのガレヌス製剤中にヒトアルブミンを含まない。」(148頁1?10行目)

3 甲第3号証
(甲3-a)「ヒト血漿由来活性化因子VII濃縮物の大規模生産及び特徴」(タイトル)

(甲3-b)「因子VIIのナノ濾過
前記の溶出した因子VII画分を、BMM-15を使用して、ウイルス除去のためにナノ濾過した。」(57頁左欄5?7行目)

(甲3-c)「因子VIIから因子VIIaへの部分的な変換
22リットルのナノ濾過された因子VII画分((A280=0.280-0.290)、15,000Lの血漿からの因子VII重量、約4.5g)を、30mM NaClを含む50mMトリス-HCl、pH7.8で平衡化されたDEAE-FF(φ9cm×5cm)に、10℃でアプライした。同じ緩衝液で洗浄した後、部分的に活性化された因子VIIを、30mM NaCl及び1.75mM CaCl_(2)を含む50mMトリス-HCl、pH7.8で4.8cm/分の洗浄流速で溶出した。」(57頁左欄8?16行目)

(甲3-d)「次に、FVIIとFVIIaの混合物中に残存するFVIIの完全な活性化を最適化するために、混合物をアニオン交換体又は他の活性化剤なしで、CaCl_(2)の存在下で20時間、20℃でさらにインキュベートした。結果として、既にFVIIの25%が活性化された、部分的に活性化されたFVII溶液(FVIIa/FVII混合物の全タンパク質濃度、1.5mg/ml)が、インキュベーションによって時間依存的にFVIIaに変換され、20時間でさらなる分解産物なしに完全に活性化した(図3)。」(59頁左欄6?14行目)

(甲3-e)「

図3.FVII及び活性化されたFVII(FVIIa)の混合物中の残存する因子VII(FVII)の完全な活性化。FVIIとFVIIaの混合物中のFVIIの完全な活性化を最適化するために、FVIIa溶液を25%の割合でFVII溶液と混合し、全タンパク質濃度が1.5mg/mlのその混合物が、その後、10℃で20時間インキュベートされた。混合物中に残存するFVII含有量(FVIIとFVIIaの比率の%)は、図2の説明文にあるとおりの、インキュベーション時間における還元条件下のSDS-PAGE上の濃度測定によって決定された。」(図3)

(甲3-f)「

図4.大規模の活性化因子VII(因子VIIa)の調製。(a)因子VIIaのドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)分析。前記FVIIa溶液を、材料及び方法において記載したように、大規模調製した。前記カラムを緩衝液(30mM NaClを含む50mMトリス-HCl、pH7.8)で洗浄した後、タンパク質を1.75mM CaCl_(2)を含む同じ緩衝液で溶出した。前記溶出画分のタンパク質濃度を1.5mg/mLに調整し、前記タンパク質を、溶液中で18時間インキュベートした。完全な活性化後、因子VIIaを、充填緩衝液(13mMグリシン及び240mM NaClを含む20mMクエン酸塩、pH6.9)に対して透析した。このようにして得られた因子VIIaを、非還元条件下(レーン1?7)及び還元条件下(レーン8?14)で、SDS-PAGE(アクリルアミド濃度12.5%)に供した。レーン1及び8、ベンベルグ微細孔膜-15nm(BMM-15)を使用した濾過前;レーン2及び9、BMM-15を使用した濾過後;レーン3及び10、DEAE-セファロースファストフロー(DEAE-FF)カラムへのアプライ前;レーン4及び11、DEAE-FFカラムから溶出された画分;レーン5及び12、3時間のインキュベーション後;レーン6及び13、18時間のインキュベーション後;レーン7及び14、透析後;レーンM、分子量マーカー。18,000、17,000、16,000及び15,000の分子量を有する4本の薄いバンドがレーン13及び14で観察され、N末端配列分析により、これらのバンドは配列:I^(153)VGGK、G^(291)ATAL、K^(316)VGDS及びI^(153)VGGKを有することが示された。(b)インタクトな(無傷の)因子VIIa、因子VIIaβ及び因子VIIaγの模式図。」(図4)

4 甲第4号証
(甲4-a)「血漿由来生物医薬品のナノ濾過」(タイトル)

(甲4-b)「要約。本考察は、血漿由来の凝集因子濃縮物及びヒト血液由来の他の生物医薬品の製造における、ナノ濾過として知られるウイルス除去濾過システムの用途及び利点についての現状を説明する。
血漿生成物のナノ濾過は、ウイルス安全性の限界を改善するために、既にヒト免疫不全ウイルス、B型肝炎及びC型肝炎ウイルスの不活性化に適用されてきたウイルス減少処理(たとえば、溶媒-界面活性剤及び加熱処理)を補完するものとして、1990年代初頭には生産規模で行われていた。ナノ濾過を導入する主な理由は、非エンベロープウイルスに対する製品の安全性を改善し、ヒト血漿プールに潜在的に混入する新たな感染性因子に対する可能な予防手段を提供する必要性である。
ナノ濾過は、主としてサイズ排除に基づくメカニズムにより、ウイルスを保持する条件下で、非常に小さい細孔サイズ(典型的には15?40nm)の膜を通してタンパク質溶液を濾過することからなる、比較的簡便な製造工程であるため、迅速に受け入れられてきた。世界中での近年の大規模実験により、ナノ濾過は本質的にあらゆる血漿生成物に適用し得る、着実で信頼性の高いウイルス減少技術であることが、現在では確立されている。現在、認可されている血漿生成物の多くがナノ濾過されている。
この技術は、柔軟であること、そして、血漿タンパク質に対する変性作用の欠如と、広範囲のウイルスの、4?6logを超える効率的かつほぼ予測どおりの除去とを両立させ得ることにより、大きな利点を有する。他のウイルス減少手段と比較して、ナノ濾過は、90?95%のタンパク質活性が回収される条件下でのエンベロープウイルス及び非エンベロープウイルスの効率的な除去を可能にする、今日までの唯一の方法であり得る。新たなデータにより、ナノ濾過がプリオンも除去することが示されており、この技術の開発及び関心における新たな始点が開かれている。ナノ濾過は、生物医薬品製造において、ますます通常の工程になっている。」(要約)

(甲4-c)「Viresolve R(注:○内にR) ミリポアコーポレーション(米国)によって製造されたViresolve R(注:○内にR)膜は、フッ化ポリビニリデン(PVDF)で作られ、内蔵型で、薄く、一回きり使い捨てのモジュールとして、利用可能である。」(26頁左欄4?7行目)

(甲4-d)「Omega VR OMEGA VR^(TM)と称される、タンジェンシャルフロー濾過のポリエーテルスルホンのひだのあるいろいろな膜が、Pall Filtron (Northborough, MA, USA)から利用可能である。」(26頁左欄25?28行目)

(甲4-e)「Planova R(注:○内にR)フィルターは、ポリカーボネート本体に格納されている、天然の親水性の銅アンモニア再生セルロースで作られた中空糸の微多孔膜である[16,17]」(26頁右欄26?30行目)

5 甲第5号証
(甲5-a)「精製中の組換え因子VIIaの活性化及び切断を測定するためのRP-HPLCの使用」(タイトル)

(甲5-b)「材料と方法
組換えFVIIaは、以前に記載されたように調製された。^(9)単鎖rFVIIは、活性を有する二本鎖の形態への活性化が避けられるように、精製の間、すべての緩衝液にベンズアミジンを加えることによって、取得した。^(5)FVIIaは、以前に記載されたように、ヒト血漿から精製された。^(9)
RP-HPLCは、内部で作ったC_(4)-置換300-Aシリカ上で行われた。カラムの大きさは4×250mmであった。緩衝液Aは0.1%TFA水溶液からなり、緩衝液Bは0.09%TFAの80%アセトニトリル溶液でなるものであった。1mL/分の流速で線形勾配が実行された。温度は、30℃と80℃の間で変動した。個々のピークに対応するrFVIIaの異型がクロマトグラフィー事件から収集された。アセトニトリルを真空遠心により除去した後、還元条件下のSDS-PAGEによってさらに分析された。アミノ酸配列分析が、以前に記載されたように、実行された。^(8)
SDS-PAGEは、原則製造業者による説明に従い、ファルマシアファストシステム(ファストゲルグラジエント10-15)を用いて実行された。タンパク質は、クーマシーブリリアントブルーで染色された。」(501頁右欄4?25行目)

(甲5-c)「化学速度論
FVIIaの切断のための次の自己分解反応を仮定すると:
2 FVIIa → FVIIa + FVIIa_(cleaved)

次の速度式が導出され得る:
-d[FVIIa]/dt = k[FVIIa]^(2)
1/[FVIIa] = kt

このように、1/[FVIIa]は、時間に比例するべきである。このことは、異なる濃度の2つの異なるrFVIIa調製物のケースに示されており(図6)、自己分解の仮説を裏付けている。それゆえに、精製及び活性化の間に時間とrFVIIaの濃度を注意深く制御することは必須のことである。」(502頁右欄下から3行目?503頁左欄10行目)

(甲5-d)「

図6.組換え因子VIIaの切断。異なる濃度の2つの異なる組換え因子VIIa調製物を約1ヶ月10℃に保持した。示した間隔で、サンプルを70℃でRP-HPLCで分析し、切断されていない組換え因子VIIaの濃度を決定した。」(図6)

(甲5-e)「活性化とβ及びγ形態の形成との相関関係は、生成物が完全に(95%を超えて)活性化される場合には、ある量の切断が予測されなければならないことを示している。4回のクロマトグラフィー工程後の切断された組換え因子のVIIaの予測される量は、かくして約10%になる。」(504頁右欄7?11行目)

(甲5-f)「

図7.精製手順の4回のクロマトグラフィー工程中のβ及びγ形態の形成。各工程で、材料を70℃でRP-HPLCによって分析した。パイロットプラントから採取したもの及びフルスケール製造ラインから採取したものの2つの系列を分析した。」(図7)

(甲5-g)「

図8.精製手順の4回のクロマトグラフィー工程中のβ及びγ形態の形成。各工程で、材料を70℃でRP-HPLCによって分析した。プロセス最適化前のもの及びプロセス時間及びサンプル積載の制御をより厳密にすることによるプロセス最適化後のものの2つの系列を分析した。」(図8)

(甲5-h)「

図9.活性化及び切断。4回のクロマトグラフィーすべての工程から採取した多数のサンプルを70℃でRP-HPLCで分析し、β形態及びγ形態の含量を活性化組換え因子VIIaの含量に対してプロットした。活性化が完了に近くなると、切断のみが起こることができ、β形態及びγ形態の形成に大きな変動をもたらす。」(図9)

(甲5-i)「引用文献
・・・
9. Thim, L., Bjoern, S., Chriatensen, M., Nicolaisen, E. M., Lund-Hansen, T., Pedersen, A. H., Hedner, U. 1988. Amino acid sequence and posttranslational modifications of human factor VIIa from plasma and transfected baby hamster kidney cells. Biochemistry 27: 7785-7793.」(505頁右欄13?17行目)

6 甲第7号証
(甲7-a)「結果
結果は、サンプル中の因子VII抗原に対する活性化因子VIIのパーセンテージとして表されています。

私たちは、所定のサンプルについて、使用された定量技術に依存してパーセンテージが変動することを認めます。」(宣言書の8.)

7 甲第13号証
(甲13-a)「ヒト組換え凝固因子VIIの自己活性化」(タイトル)

(甲13-b)「要約: 形質転換したベビーハムスター腎臓細胞により産生された一本鎖ヒト組換え因子VIIポリペプチドを、ベンズアミジンの存在下で均一になるまで精製した。ペプチジルニトロアニリド基質、メトキシカルボニル-D-シクロヘキサニルグリシル-L-アルギニン-p-ニトロアニリドを用いる一本鎖組換え因子VIIのアミド分解活性は、因子VIIaを用いて得られるものの1%未満であった。精製された一本鎖組換え因子VIIは、阻害剤の不存在下で自発的に活性化した。活性化反応は、アニオン交換マトリックス又はポリ(D-リジン)のいずれかとして提供された、正に荷電した表面の存在下において、少なくとも2桁の大きさで増強された。因子VIIa生成についての進行曲線は、S字状であった。ベンズアミジンは、組換え因子VIIa活性及び因子VII活性化を同一の阻害定数(Ki)、11mMで阻害する。これに対し、ウシ因子Xa及びウシ因子IIaのベンズアミジン阻害は、それぞれ0.3及び0.5mMに等しいKi値で観察された。ウシ因子Xa及びIIaは、因子VIIの既知の活性化因子であり、我々の組換え因子VII調製物の夾雑物である可能性が高い。ウシ血清の不存在下で培養された細胞から精製された一本鎖組換え因子VIIは、ウシ血清の存在下で培養された細胞からの因子VIIと同じ割合で活性化した。これは、活性化反応が夾雑するウシのプロテアーゼによって引き起こされた可能性をも排除した。これらの観察に基づいて、我々は、因子VIIは正に荷電した表面の存在によりインビトロで自己活性化することを提案する。」(要約)

(甲13-c)「Q-FFの存在下でのrFVIIの変換。
rFVIIの二本鎖形態への自発的な変換は、Q-FFにより強力に増強された。このアニオン交換物質の5mg/mLサンプルの存在下での反応速度は、その不存在下よりも100倍近く速かった。当初の量の一本鎖因子VIIの50%が二本鎖因子VIIに変換されるまでの時間として定義される半減期、t_(1/2)は、添加されたQ-FFを用いると約43分であると決定された(図2)。無血清条件下で製造された細胞培養培地から精製された因子VIIは、血清含有培地で培養され精製された因子VIIと同じ速度で活性化された。
ポリ(D-リジン)の効果。
Q-FFの刺激効果をさらに特徴付けるために、エタノールアミンを用いてカップリングされたCNBr-セファロース4B及びセファロース4Bの存在下での変換もまた調べた。増強は観察されず、Q-FFマトリックスのポリカチオン性が刺激効果を得るために必要であることが示唆された(データは示さず)。この考えのサポートは、可溶性ポリカチオンのポリ(D-リジン)を用いた実験により得られた。rFVIIの自発的変換は、この試薬により強力に増強された。観察された自発的変換の増強は、生理学的pH(7.4)ではpH8.6で観察されたものと同じであったが、一方、0.5M 塩化ナトリウムのイオン強度で消失した(データは示さず)。rFVIIと結合することができる負に帯電したマトリックスの効果もまた調べた。S-セファロースファストフローをこれらの実験において用い、このマトリックスはpH7?8.6の間でrFVIIの活性化を刺激しなかった。S-セファロースへの結合は、pH7で見られたが、pH8.6では見られなかった。」(9333頁左欄下から14行目?右欄14行目)

(甲13-d)「

図2.因子VIIの因子VIIaへの変換。組換え因子VII(1mg/mL)を、緩衝液A中で5mg/mL(湿潤重量)のQ-セファロースファストフローと共にインキュベートした。示した間隔でサンプルを採取し、還元条件下でSDS-PAGEに供した。総ピーク面積の一本鎖含量(%)は、クマシーで染色したゲルのデンシトメーターによるスキャンから概算した。」(図2)

8 甲第17号証
(甲17-a)「血漿由来及び遺伝子導入されたベビーハムスター腎臓細胞由来のヒト因子VIIaのアミノ酸配列及び翻訳後修飾」(タイトル)

(甲17-b)「材料と方法
因子VII精製。プロトロンビン複合体の製造から生じる副画分(Heystekら、1973)は、デンマーク血清研究所(Danish Serum Institute)から入手し、血漿由来ヒト因子VIIaの精製のための出発物質として使用した。精製手順は、溶出液として塩化カルシウム含有緩衝液を用いるアニオン交換クロマトグラフィー(Braze Majerus、1981)と、それに続いての、ヒト因子VIIに対するモノクローナル抗体をカップリングさせたセファロース4Bカラム上での免疫吸着クロマトグラフィーを含む。このモノクローナル抗体は、デンマークのノボ バイオラボズ(Novo Biolabs、Dr.J.Selmer)から入手した。この抗体はCa^(2+)イオンの存在下でのみ因子VIIに結合する。そのことは、他のGla含有タンパクについても記載されているように、因子VIIをEDTA含有緩衝液によってカラムから溶出させることができることを意味する(Wakabayashiら、1986)。最終の精製は、2回のイオン交換クロマトグラフィー工程の使用によって実行され、ここで因子VIIaはそれぞれ塩化カルシウム及び塩化ナトリウムを含有する緩衝液で溶出された(Bjoern Thim、1986)。上記の手順を用いた場合、因子VIIは、精製中に因子VIIaに活性化される(Bjoern Thim、1986)。組換え因子VIIは、哺乳類発現系から得られた。BHK細胞の培養及びヒト因子VIIゲノム材料でのトランスフェクションは、他の文献に詳細に記載されている(Berknerら、1986)。粗細胞培養培地を、0.65μmフィルターを通して濾過した。この清澄な溶液を、導電率10mSに達するまで蒸留水で希釈した。溶液のpHを0.1N水酸化ナトリウムで8.6に調整した。この溶液をMono Qカラム(Pharmacia Fine Chemicals)にポンプで導入し、組換え因子VIIaを、塩化カルシウム含有トリス塩酸緩衝液で溶出させた(Bjoern Thim、1986)。免疫クロマトグラフィー工程及び精製手順の残りの部分は、血漿由来因子VIIaについて上に記載されたものと同じであった。組換え因子VIIの組換え因子VIIaへの活性化は、精製中に達成された(Bjoern Thim、1986)。」(7786頁左欄下から13行目?右欄23行目)

第7 乙号証の記載事項
被請求人が提出した乙第2号証の2及び第4,6号証には、以下の事項が記載されている。

1 乙第2号証の2
(乙2の2-a)「2つの濃度におけるFVIIの活性化および分解

2つの濃度におけるFVIIの活性化および分解



2 乙第4号証
(乙4-a)「

図VII-2 圧力駆動プロセスにおける膜を通る物質の輸送に関する種々のタイプの抵抗についての概説」(417頁、図VII-2)

3 乙第6号証
(乙6-a)「 12.このデータから2つの重要な結論が得られます。
1)全ての単一の点は完全に一致した線の下にあるので、系統的な差異があります。どこの品質管理(QC)研究室において普通に行われているように、2つの方法に対して相互に校正を行うことにより、それは除去されるかもしれません。
2)75%活性化点の付近に明らかとなるかなりの確率的誤差があり、ここでSDS-PAGEによる結果は5%ポイント変動しますが、RP-HPLCにより測定された活性化の程度の差異はたった2%です。これらの方法内の変動性(確率的誤差)は、方法の間の変動性よりも大きいことを、これは示しています。よってこれらの方法が異なった結果を与える、と結論付けることはできません。」(3頁6?17行目。なお、乙第6号証には頁番号が振られていないため、冒頭頁を1頁目として記載している。)

第8 当審の判断
当審は、請求人が主張する無効理由1については認容できないものの、請求人が主張する無効理由2?4について是認できるものであるから、訂正発明1?17についての特許はいずれも無効とすべきもの、と判断する。
以下、無効理由ごとに詳述する。

1 無効理由1(訂正発明1及び2の新規性欠如)について
無効理由1は、「訂正発明1及び2は、甲第1号証に記載された発明と同一又は実質的に同一であるから、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し、特許を受けることができない」との請求人の主張に基づくものである。

(1)甲第1号証に記載された発明
甲第1号証は、「血友病及び他の遺伝性出血性疾患を処置するための治療用製品の選択及び用途に関するガイドライン」(甲1-a)であり、(甲1-b)の表1には、組換え因子VIIa製品である「ノボセブン」が、溶剤/界面活性剤処理(SD)によるウイルス不活性化・除去工程を経たものであることが記載されている。さらに、ノボセブンについて、「製造工程はウイルス除去のためのナノ濾過工程を含む」(甲1-d)ことが記載されている。
してみると、甲第1号証には、次の発明(以下、「甲第1号証発明」という)が記載されているものと認められる。

「組換え因子VIIa製品の製造方法であって、溶剤/界面活性剤処理(SD)によるウイルス不活性化・除去工程を経たものであるか、ウイルス除去のためのナノ濾過工程を含む、方法。」

(2)訂正発明1について
ア 訂正発明1と甲第1号証発明の対比
訂正発明1と甲第1号証発明を対比すると、甲第1号証発明の「溶剤/界面活性剤処理(SD)によるウイルス不活性化・除去工程」は、訂正発明1の「前記組成物と界面活性剤とを組み合わせる工程を含む方法によってウイルスを不活性化する工程」に相当し、甲第1号証発明の「ウイルス除去のためのナノ濾過工程」は、訂正発明1の「ナノ濾過を因子VII組成物に対して行うことを含む方法によって、ウイルスを除去する工程」に相当する。

そして、甲第1号証発明における組換え因子VIIa製品が、一以上の因子VIIポリペプチドを含むこと、並びにウイルス不活性化工程及びナノ濾過の際に液体状態であることは自明であり、さらに甲第1号証発明の組換え因子VIIa製品の製造方法が、液体因子VII組成物からウイルスを除去するための方法であることも明らかである。

そうすると、訂正発明1と甲第1号証発明は、
「液体因子VII組成物からウイルスを除去するための方法であって、前記組成物が一以上の因子VIIポリペプチドを含み、前記方法が、下記の工程(a)又は工程(b)を含む方法。
(a)前記組成物と界面活性剤とを組み合わせる工程を含む方法によってウイルスを不活性化する工程;および
(b)ナノ濾過を前記液体因子VII組成物溶液に対して行うことを含む方法によって、ウイルスを除去する工程。」
である点で一致し、以下の4点で相違する。

相違点1:
訂正発明1が、工程(a)及び工程(b)の両者を任意の順序で含むのに対して、甲第1号証発明には両者を含むことが明示されていない点。

相違点2:
訂正発明1が、ウイルスを除去する「因子VIIポリペプチドのうち少なくとも50%が活性化された形態」であるのに対して、甲第1号証発明は、活性化に関する上記特定を有しない点。

相違点3:
訂正発明1が、ウイルスを除去する「因子VIIポリペプチドの濃度が、0.01?5mg/mLの範囲」であるのに対して、甲第1号証発明は、濃度に関する上記特定を有しない点。

相違点4:
訂正発明1が、「最大80 nmの細孔サイズを有するナノフィルターを使用するナノ濾過」を行うことを含む方法によって、ウイルスを除去するのに対して、甲第1号証発明は、ナノ濾過に用いるナノフィルターに関する上記特定を有しない点。

イ 相違点についての判断
(ア)相違点1について
ノボセブン(登録商標)について、(甲1-b)の表1には、ウイルス不活性化除去のために界面活性剤処理を用いることが記載されている一方、(甲1-d)には、ウイルス除去のためにナノ濾過を用いることが記載されているものの、甲第1号証には、液体因子VII組成物からウイルスを除去するための方法として、界面活性剤処理及びナノ濾過の両者を含むことが開示されているとまではいえない。
よって、上記相違点1は、実質的な相違点である。

この点について、請求人は、界面活性剤処理及びナノ濾過の両者は、いずれもノボセブンについての説明であること、互いに排他的ではなく、同じ製造プロセスにおいて併用できる工程であること、さらに「作用モードにおいて互いに補い合う2つの相違する有効な工程を組み入れることが望ましいであろう。」(甲1-c)という記載から両者を併用することは動機付けられること、を主張している(審判事件弁駁書5頁最終行?6頁3行目、口頭審理陳述要領書3頁14?15行目、上申書2頁下から12行目?3頁2行目)。
しかしながら、両者が同じノボセブンについての説明であり、併用できるものであり、そのことが動機付けられるものであったとしても、甲第1号証には、液体因子VII組成物からウイルスを除去するための方法として、両者を含むことが開示されているとまではいえない。

(イ)相違点2について
甲第1号証には、甲第1号証発明における因子VIIポリペプチドの活性化された形態の割合について明示する記載はない。
したがって、甲第1号証発明における因子VIIポリペプチドの活性化された形態の割合は特定できず、当該割合が「少なくとも50%」であるということはできない。
よって、相違点2は、実質的な相違点である。

この点について、請求人は、(甲1-d)の記載から、ナノ濾過工程は、因子VIIを否応なしに活性化するイオン交換クロマトグラフィーに供された組換え因子VII溶液に対して実行されることから、甲第1号証に記載された方法はナノ濾過前のポリペプチドの活性化を自ずと含むこと、そして(甲13-c)及び(甲13-d)の図2より、アニオン交換クロマトグラフィーが因子VII活性化反応を増強することは本件特許出願当時公知であったこと、また、甲第1号証は、部分的な活性化を示しているわけではないのであって、完全に活性化された形態を排斥しているわけではないことから、甲第1号証は、50%以上の活性化率の組換え因子VII溶液をナノ濾過することを実質的に開示するといえると主張している(審判事件弁駁書7頁5行目?8頁2行目、15頁3行目?16頁11行目)。
しかしながら、アニオン交換クロマトグラフィーが因子VII活性化反応を増強されていたとしても、少なくとも50%が活性化された形態となっているかは依然として不明であることから、上記主張は採用できない。

(ウ)相違点3について
甲第1号証には、甲第1号証発明における因子VIIポリペプチドの濃度について明示する記載はない。
したがって、甲第1号証発明における因子VIIポリペプチドの濃度は特定できず、当該割合が「0.01?5mg/mLの範囲」であるということはできない。
よって、相違点3は、実質的な相違点である。

この点について、請求人は、(甲3-c)の記載から、ナノ濾過後の因子VII画分22Lから、約4.5gの因子VIIが得られることが開示されているから、ナノ濾過後の因子VII濃度は、4.5g/22L≒0.2mg/mLと算出されること、ナノ濾過中に因子VII濃度が増大することはないため、ナノ濾過前の前記溶液中の前記因子VII濃度は、少なくとも約0.2mg/mLとなること、さらに、(甲5-d)の図6には、0.8mg/mL及び1.4mg/mLが開示されていることから、ごく一般的な濃度範囲であることを主張している(審判請求書25頁脚注1、審判事件弁駁書5頁11?17行目)。なお、審判事件弁駁書5頁17行目の「(図4)」が「(図6)」の明らかな誤記であることは、(甲5-d)の図6及び審判請求書の26頁の8?10行目の記載から明らかである。
しかしながら、因子VIIポリペプチドのごく一般的な濃度範囲であるとしても、甲第1号証発明における因子VIIポリペプチドの濃度を特定したことにはならず、甲第1号証発明における因子VIIポリペプチドの濃度が0.01?5mg/mLの範囲であることを開示しているとはいえない。

(エ)相違点4について
甲第1号証には、甲第1号証発明におけるナノ濾過に用いるナノフィルターについて明示する記載はない。
したがって、甲第1号証発明におけるナノ濾過に用いるナノフィルターは特定できず、最大80 nmの細孔サイズを有するナノフィルターであるということはできない。
よって、相違点4は、実質的な相違点である。

この点について、請求人は、(甲4-b)の記載から、ナノ濾過を80nm以下の孔サイズを有するフィルターを用いて行い得ることは技術常識であることを主張している(審判請求書21頁下から6行目?最終行)。
しかしながら、甲第1号証発明におけるナノ濾過に用いるナノフィルターの細孔サイズを特定したことにはならず、甲第1号証発明におけるナノ濾過に用いるナノフィルターの細孔サイズが最大80 nmであることを開示しているとはいえない。

ウ 訂正発明1の新規性についてのまとめ
以上のとおり、訂正発明1は、相違点1?4において甲第1号証発明と相違するから、訂正発明1が甲第1号証発明であるということはできない。

(3)訂正発明2について
訂正発明2は、訂正発明1を引用しているが、訂正発明1と同じで、活性化形態の割合が「少なくとも50%」である。
したがって、訂正発明2は、訂正発明1と同一であり、「第8 1(2)訂正発明1について」で述べたのと同様に、訂正発明2が甲第1号証発明であるということもできない。

(4)小括
以上のとおりであるから、訂正発明1?2に係る特許は、請求人が主張する無効理由1によって、無効とすることはできない。

2 無効理由2(訂正発明1及び2の進歩性欠如)
2-1 無効理由2-1
無効理由2-1は、「訂正発明1及び2は、甲第1号証に記載された発明及び甲第3号証の記載に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない」との請求人の主張に基づくものである。

(1)甲第1号証に記載された発明
「第8 1(1)甲第1号証に記載された発明」で述べたとおり、甲第1号証には、「組換え因子VIIa製品の製造方法であって、溶剤/界面活性剤処理(SD)によるウイルス不活性化・除去工程を経たものであるか、ウイルス除去のためのナノ濾過工程を含む、方法。」(甲第1号証発明)が記載されている。

(2)訂正発明1について
ア 訂正発明1と甲第1号証発明の対比
「第8 1(2)ア 訂正発明1と甲第1号証発明の対比」で述べたとおりの、相違点1?4を有する。

イ 相違点についての判断
(ア)相違点1について
ノボセブン(登録商標)について、(甲1-b)の表1には、ウイルス不活性化除去のために界面活性剤処理を用いることが記載されており、(甲1-d)には、ウイルス除去のためにナノ濾過を用いることが記載されている。
また、界面活性剤処理及びナノ濾過の両者は、いずれもノボセブンについての説明であること、同じ製造プロセスにおいて併用できる工程であること、さらに「作用モードにおいて互いに補い合う2つの相違する有効な工程を組み入れることが望ましいであろう。」(甲1-c)という記載からも、ウイルス不活性化除去のために界面活性剤処理に、ナノ濾過を組み合わせる動機付けはあるといえる。
さらに、(甲3-b)にも記載されているとおり、甲3号証にはウイルス除去のために因子VII画分を実際にナノ濾過したことが開示されているのであるから、甲第1号証発明及び甲第3号証の記載に基づいて、ウイルス不活性化除去のために、界面活性剤処理にナノ濾過を組み合わせることは、当業者であれば容易に想到し得るものである。

(イ)相違点2について
因子VIIが製品として提供される形態が活性化因子VII(VIIa)であるのは当業者の技術常識であって、製品の総量の中に可能な限り高い濃度で活性化因子VIIを含む組成物を提供することは、当業者に周知の技術的課題であったものと認められる。
さらに、(甲1-d)の記載から、ナノ濾過工程は、因子VIIを活性化するイオン交換クロマトグラフィーに供された組換え因子VII溶液に対して実行されることから、甲第1号証に記載された方法はナノ濾過前のポリペプチドの活性化を含むこと、また、(甲13-c)及び(甲13-d)の図2より、アニオン交換クロマトグラフィーが因子VII活性化反応を増強することで、活性化率が少なくとも50%以上(図2において単鎖FVIIの割合が50%未満)になる状態は、十分に起こり得る現象である。
以上を勘案すれば、甲第1号証発明及び甲第3号証の記載に基づいて、ウイルス不活性化除去のために、界面活性剤処理にナノ濾過を組み合わせる際に、さらに甲第13号証の知見に基づいて、因子VIIポリペプチドのうち少なくとも50%が活性化された形態とすることは、当業者であれば容易に想到し得るものである。

(ウ)相違点3について
(甲3-c)の記載から、ナノ濾過前の前記溶液中の前記因子VII濃度は、少なくとも(4.5g/22L≒)約0.2mg/mLと算出されることから、甲第1号証発明及び甲第3号証の記載に基づいて、ウイルス不活性化除去のために、界面活性剤処理にナノ濾過を組み合わせる際に、0.01?5mg/mLの濃度範囲に因子VIIポリペプチドの濃度を調整する程度のことは当業者であれば適宜なし得ることに過ぎない。

(エ)相違点4について
(甲3-b)には、BMM-15を使用してナノ濾過したことが記載されており、このBMM-15は、(甲3-f)に「ベンベルグ微細孔膜-15nm (BMM-15)」とあるとおり、細孔サイズが15nmのものであるから、甲第1号証発明及び甲第3号証の記載に基づいて、ウイルス不活性化除去のために、界面活性剤処理にナノ濾過を組み合わせる際に、ナノ濾過に用いるナノフィルターの細孔サイズを最大80 nmで調整する程度のことは当業者であれば適宜なし得ることに過ぎない。

ウ 訂正発明1の効果
訂正発明1の効果について、本願の発明の詳細な説明には
「【0132】
例5:FVIIバルク薬物質の濾過
濾過されるタンパク質溶液:以下の特徴を有する98mlのFVIIaバルク物質
FVII / FVIIaの濃度:1460 mg/L
FVIIの2.1%の酸化形態
活性化の程度(すなわち、FVIIaのパーセンテージ): >90%
分解: 11.9%
濾過は、図1を参照しながら本明細書に記載されたとおりに実質的に行われた。
【0133】
フィルター:Millipore NFP, 0,0017 m^(2)
圧力:2バール
濾過の特性:
FVII/FVIIaの濃度:1320 mg/L : FVIIの収量 : 90.4 %
FVIIの2.3%の酸化された形態
活性化の程度(すなわち、FVIIaのパーセンテージ): 濾過される溶液の活性化の程度が98%であるので分析せず
分解:12.3%」
と記載されており、ナノ濾過により、分解率は11.9%から12.3%に増加していることが分かる。
この点について、被請求人は、分解産物の増加率が0.4%のみであり、非常に少量であって、例5の実験結果は、濃縮した活性化FVIIのナノ濾過をおこなっても許容できない高い分解率の増加が起こらず、ナノ濾過中の分解率の増加が予想よりも低いことを立証していると解釈すべきである、と主張している(審判事件答弁書8頁最終行?9頁7行目、上申書3頁19?31行目。なお、審判事件答弁書及び上申書には、頁番号が振られていないため、冒頭頁を1頁目として記載している。以下、同様である)。
しかしながら、(甲3-f)の図4(a)の囲み部分に示されているように、ナノ濾過の前後(レーン8及びレーン9)で因子VIIの活性化は起こらないこと、さらに、活性化率が高い場合であっても、(甲5-e)及び(甲5-h)の図9に示されているように、生成物が完全に(95%)を超えて活性化される場合にある量の切断が予測されなければならないことを考慮すれば、少なくとも50%を超えて95%までの活性化率のFVII / FVIIaをナノ濾過しても、分解率がそれほど増加しないことは当業者であれば十分に予想されることである。
してみると、甲第1号証発明及び甲第3号証の記載に基づいて、ウイルス不活性化除去のために、界面活性剤処理にナノ濾過を組み合わせる際に、さらに甲第5号証の知見も考慮すれば、訂正発明1が、当業者の予想し得ない格別顕著な効果を奏するものとは認められない。

エ 被請求人の主張する阻害要因について
被請求人は、甲第1号証発明にナノ濾過を適用することの阻害要因に関して、主に以下の2点を主張している。

主張1(ナノ濾過の適用する動機付けの阻害):
(甲5-h)の図9では、すべての活性化度において、その上昇に伴って分解率が上昇していること、約50%の活性化を超えると分解のレベルが増加し始めること、さらに(甲5-c)の記載から、分解産物の形成率は二次動態式によって説明でき、活性化VII^(2)(即ち二乗)の濃度に比例することを根拠に、活性化因子VIIが10倍であれば分解速度は100倍になることが予想されるから、ナノ濾過によって顕著の増加した自己破壊を示すと考えられ、当業者はナノ濾過を適用しようと思わない(審判事件答弁書9頁11?12行目、10頁14?21行目)。

主張2(ナノ濾過による因子VIIの分解促進):
(甲5-f)の図7は、どのような精製工程においても分解産物の増加が認められることを示しており、(甲5-f)の図7及び(甲5-g)の図8は、付加的な処理工程が手順に追加されると、生産された製品における切断された組換え型FVIIaのパーセンテージが増加することを示している(審判事件答弁書9頁12?13行目、12頁3?4行目)。
また、(乙2の2-a)には、FVIIの低濃度と高濃度における活性化と分解が示されており、ナノ膜付近における活性化反応と分解反応のシミュレーションをすることができること、(乙4-a)に記載のとおり、ナノフィルターの膜上で濃度が増加することは当業者に良く知られていたことを考慮すれば、ナノ濾過により因子VIIの分解が促進されるという認識を当業者が有していたことは理解されるところである(口頭審理陳述要領書8頁13?23行目、10頁9?19行目)。

上記主張1,2について、以下に検討する。

(ア)主張1(ナノ濾過の適用する動機付けの阻害)について
(甲5-h)の図9では、分解率は上昇しているものの、活性化率が50%を超えても95%までの分解率のレベルは総じて10%以下でゆっくりとした上昇していることを示しており、95%以上活性化した段階で初めて分解が懸念事項となるものと認められる。
そして、分解産物の形成率が活性化VIIの濃度の二乗に比例する点についても、(甲5-c)及び(甲5-d)の図6には、1/[FVIIa]、すなわち活性化VIIの濃度の逆数が時間に比例していることが示されており、これらのデータを見る限り、縦軸に示す1/[FVIIa]の値が極端に上昇している(分解が進む)とは少なくとも認識できない。
被請求人は「分解産物の形成率が活性化VIIの濃度の二乗に比例する」ことに着目しているものの、そのことが「ナノ濾過によって顕著の増加した自己破壊を示す」という懸念に繋がる具体的な根拠、さらに当該懸念から「当業者はナノ濾過を適用しようと思わない」という阻害要因にまで繋がる具体的な根拠を何ら提供していないし、これらの懸念事項及び阻害要因が当業者にとって技術常識であったとも認められない。
よって、上記主張1は採用できない。

(イ)主張2(ナノ濾過による因子VIIの分解促進)について
(甲5-f)の図7及び(甲5-g)の図8のデータは、どのような精製工程においても分解産物の増加が認められることを示しているものではない。具体的には、(甲5-b)において、引用文献9(甲5-i)としてFVIIaの精製方法を引用している甲第17号証には、(甲17-b)として、アニオン交換クロマトグラフィー、免疫吸着クロマトグラフィー、続いて2回のアニオン交換クロマトグラフィーを用いて精製を行っていることが記載されており、用いている精製方法は、アニオン交換クロマトグラフィー及び免疫吸着クロマトグラフィーのみである。しかも、後者の免疫吸着クロマトグラフィーは、カルシウムイオンの存在下で実行されており、カルシウムイオンは「Ca^(2+)」と表現されるとおり正に荷電するものであって、(甲13-b)にもあるとおり活性化反応を増強し得るものである。
そうすると、(甲5-f)の図7及び(甲5-g)の図8で用いられている4回のクロマトグラフィー工程は、すべて正に荷電する環境を含んでいるのであって、「どのような精製工程においても」分解産物の増加が認められるとはいえず、いかなる付加的な処理工程が追加されても分解産物の増加が認められるともいえない。
また、被請求人が提出した(乙2の2-a)のデータは、そもそも先行技術文献ではなく、その内容は横軸を時間とする、FVIIの低濃度と高濃度における活性化と分解の程度を示した数学的なモデルに過ぎない。そして、実際にナノフィルターの膜上で行われたものでもないので、ナノ濾過とは実験的な関連性のないものと言わざるを得ない。さらに、被請求人は、ナノ濾過との実験的な関連を示す裏付けとなる証拠も何ら提供していない。
よって、上記主張2は採用できない。

なお、被請求人は、FVIIの自己活性化(自己触媒性活性化)は正に帯電した表面を必要とするという請求人の主張(審判事件弁駁書15頁3行目?16頁11行目)について、実際にこの主張は、FVIIaの完全な活性化(約25%?100%への活性化、(甲3-e)の図3)が正に帯電している表面を有していないタンクの中で行われており、この教示に反していることを主張している(上申書7頁1?6行目)ので念のため検討する。
(甲3-d)に記載されているとおり、FVII は、CaCl_(2)、すなわちカルシウムイオンの存在下でインキュベートされている。そして、先に述べたとおり、カルシウムイオンは正に荷電するものであって、(甲13-b)にもあるとおり活性化反応を増強し得るものであるから、被請求人の当該主張も採用できない。

(ウ)意見書による被請求人の見解について
被請求人は、審決の予告後に意見書を提出して、上記(ア)及び(イ)に対する見解を示しているが、いずれも上記主張1,2の繰り返しか、あるいは審判事件答弁書9頁19行目?10頁21行目、口頭審理陳述要領書3頁13行目?4頁18行目,7頁18?30行目,10頁7?19行目及び上申書3頁1行目?4頁5行目で述べていることと同様の見解であって、採用の限りではない。

オ 訂正発明1についてのまとめ
以上のとおり、訂正発明1は、甲第1号証に記載された発明、並びに甲第3号証の記載及び甲第5,13,17号証に記載された甲第1号証の記載事実を補強する発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)訂正発明2について
訂正発明2は、訂正発明1を引用しているが、訂正発明1と同じで、活性化形態の割合が「少なくとも50%」である。
したがって、訂正発明2は、訂正発明1と同一であり、「第8 2 2-1(2)訂正発明1について」で述べたのと同様に、甲第1号証に記載された発明、並びに甲第3号証の記載及び甲第5,13,17号証に記載された甲第1号証の記載事実を補強する発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)小括
以上のとおりであるから、訂正発明1?2に係る特許は、無効理由2-1によって、無効とすべきものである。

2-2 無効理由2-2
無効理由2-2は、「訂正発明1及び2は、甲第2号証に記載された発明及び甲第3号証の記載に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない」との請求人の主張に基づくものである。

(1)甲第2号証に記載された発明
甲第2号証は、「組換え活性化因子VIIエプタコグアルファ(活性化):ノボセブン(登録商標)」(甲2-a)であり、(甲2-b)及び(甲2-c)には、組換え活性化因子VII のTriton X-100での処理によるウイルス不活性化工程が記載されている。
そうすると、甲第2号証には、次の発明(以下、「甲第2号証発明」という)が記載されているものと認められる。

「組換え活性化因子VIIのTriton X-100での処理によるウイルス不活性化工程を含む、方法。」

(2)訂正発明1について
ア 訂正発明1と甲第2号証発明の対比
訂正発明1と甲第2号証発明を対比すると、「Triton X-100」が界面活性剤であることは当業者に周知であるから、甲第2号証発明の「Triton X-100での処理によるウイルス不活性化工程」は、訂正発明1の「前記組成物と界面活性剤とを組み合わせる工程を含む方法によってウイルスを不活性化する工程」に相当する。
そして、甲第2号証発明における組換え活性化因子VIIが、一以上の因子VIIポリペプチドを含むこと、並びにウイルス不活性化工程において界面活性剤を液体状態で使用することは自明であり、さらに甲第2号証発明の方法が、組換え活性化因子VIIからウイルスを減少させる方法であることも明らかである。

そうすると、訂正発明1と甲第2号証発明は、
「液体因子VII組成物からウイルスを除去するための方法であって、前記組成物が一以上の因子VIIポリペプチドを含み、前記方法が、下記の工程(a)を含む方法。
(a)前記組成物と界面活性剤とを組み合わせる工程を含む方法によってウイルスを不活性化する工程。」
である点で一致し、以下の相違点5?7を有する。

相違点5:
訂正発明1が、工程(a)及び工程「(b)最大80 nmの細孔サイズを有するナノフィルターを使用するナノ濾過を前記液体因子VII組成物溶液に対して行うことを含む方法によって、ウイルスを除去する工程」の両者を任意の順序で含むのに対して、甲第1号証発明には両者を含むことが明示されていない点。

相違点6:
訂正発明1が、ウイルスを除去する「因子VIIポリペプチドのうち少なくとも50%が活性化された形態」であるのに対して、甲第2号証発明は、活性化に関する上記特定を有しない点。

相違点7:
訂正発明1が、ウイルスを除去する「因子VIIポリペプチドの濃度が、0.01?5mg/mLの範囲」であるのに対して、甲第2号証発明は、濃度に関する上記特定を有しない点。

イ 相違点についての判断
(ア)相違点5について
(甲2-c)には、「さらに、0.65及び0.2μmでの2回の濾過工程、ならびに免疫吸着クロマトグラフィーも、潜在的な汚染病原体を減少させるのに貢献する」と記載されており、甲第2号証発明において、汚染病原体であるウイルスを除去するために濾過工程をさらに行う動機付けはあるといえる。
また、濾過工程としては、甲第3号証にはウイルス除去のために因子VII画分を実際にナノ濾過したこと(甲3-b)が記載されており、細孔サイズが15nmのBMM-15を使用してナノ濾過したこと(甲3-f)も記載されている。
そして、濾過工程により、細孔サイズよりも大きいサイズのウイルスが除去されること、細孔サイズを減少させることでウイルス安全性を高められることは技術常識である。
そうすると、甲第2号証発明において、濾過工程をさらに行う際に、甲第3号証のナノ濾過を組み合わせることは、当業者であれば容易に想到し得るものである。また、甲第3号証では細孔サイズが15nmのナノフィルターを用いていることから、ナノ濾過に用いるナノフィルターの細孔サイズを最大80 nmで調整する程度のことも当業者であれば適宜なし得ることに過ぎない。

(イ)相違点6について
因子VIIが製品として提供される形態が活性化因子VII(VIIa)であるのは当業者の技術常識であって、製品の総量の中に可能な限り高い濃度で活性化因子VIIを含む組成物を提供することは、当業者に周知の技術的課題であったものと認められる。
ここで、(甲2-c)の記載から、濾過工程はイオン交換クロマトグラフィーに供された組換え活性化因子VIIに対して実行されることから、甲第2号証に記載された方法はポリペプチドの活性化を自ずと含むこと、また、(甲13-c)及び(甲13-d)の図2より、アニオン交換クロマトグラフィーが因子VII活性化反応を増強することで、活性化率が少なくとも50%以上(図2において単鎖FVIIの割合が50%未満)になる状態は、十分に起こり得る現象である。
以上を勘案すれば、甲第2号証発明において、濾過工程として甲第3号証のナノ濾過を組み合わせる際に、さらに甲第13号証の知見に基づいて、因子VIIポリペプチドのうち少なくとも50%が活性化された形態とする程度のことは、当業者であれば適宜なし得ることに過ぎない。

(ウ)相違点7について
「第8 2 2-1(2)イ(ウ)相違点3について」と同様であり、甲第2号証発明において、濾過工程として甲第3号証のナノ濾過を組み合わせる際に、0.01?5mg/mLの濃度範囲に因子VIIポリペプチドの濃度を調整する程度のことは、当業者であれば適宜なし得ることに過ぎない。

ウ 訂正発明1の効果
「第8 2 2-1(2)ウ 訂正発明1の効果」と同様であり、甲第2号証発明において、濾過工程として甲第3号証のナノ濾過を組み合わせる際に、さらに甲第5号証の知見も考慮すれば、訂正発明1が、当業者の予想し得ない格別顕著な効果を奏するものとは認められない。

エ 被請求人の主張する阻害要因について
「第8 2 2-1(2)エ 被請求人の主張する阻害要因について」と同様であり、被請求人のいずれの主張も採用できない。

オ 訂正発明1についてのまとめ
以上のとおり、訂正発明1は、甲第2号証に記載された発明、並びに甲第3号証の記載及び甲第5,13,17号証に記載された甲第2号証の記載事実を補強する発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)訂正発明2について
訂正発明2は、訂正発明1を引用しているが、訂正発明1と同じで、活性化形態の割合が「少なくとも50%」である。
したがって、訂正発明2は、訂正発明1と同一であり、「第8 2 2-2(2)訂正発明1について」で述べたのと同様に、甲第2号証に記載された発明、並びに甲第3号証の記載及び甲第5,13,17号証に記載された甲第2号証の記載事実を補強する発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)小括
以上のとおりであるから、訂正発明1?2に係る特許は、無効理由2-2によって、無効とすべきものである。

2-3 無効理由2-3
無効理由2-3は、「訂正発明1及び2は、甲第2号証に記載された発明及び甲第4号証の記載に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない」との請求人の主張に基づくものである。

(1)甲第2号証に記載された発明
「第8 2 2-2(1)甲第2号証に記載された発明」で述べたとおり、甲第2号証には、「組換え活性化因子VIIのTriton X-100での処理によるウイルス不活性化工程を含む、方法。」(甲第2号証発明)が記載されている。

(2)訂正発明1について
ア 訂正発明1と甲第2号証発明の対比
「第8 2 2-2(2)ア 訂正発明1と甲第2号証発明の対比」で述べたとおりの、相違点5?7を有する。

イ 相違点についての判断
(ア)相違点5について
(甲2-c)には、「さらに、0.65及び0.2μmでの2回の濾過工程、ならびに免疫吸着クロマトグラフィーも、潜在的な汚染病原体を減少させるのに貢献する」と記載されており、甲第2号証発明において、汚染病原体であるウイルスを除去するために濾過工程をさらに行う動機付けはあるといえる。
また、濾過工程として、甲第4号証には、血漿由来の凝集因子濃縮物及びヒト血液由来の他の生物医薬品の製造において、ウイルス安全性の限界を改善するために、ナノ濾過として知られるウイルス除去濾過システムが用いられてきたこと、ナノ濾過は、主としてサイズ排除に基づくメカニズムにより、ウイルスを保持する条件下で、非常に小さい細孔サイズ(典型的には15?40nm)の膜を通してタンパク質溶液を濾過することからなる、比較的簡便な製造工程であるため、迅速に受け入れられてきたこと(甲4-b)が記載されている。
そして、濾過工程により、細孔サイズよりも大きいサイズのウイルスが除去されること、細孔サイズを減少させることでウイルス安全性を高められることは技術常識である。
そうすると、甲第2号証発明において、濾過工程をさらに行う際に、甲第4号証のナノ濾過を組み合わせることは、当業者であれば容易に想到し得るものである。また、(甲4-b)では細孔サイズが15?40nmのナノフィルターが典型的なものとして開示されていることから、さらに甲第4号証の知見に基づいて、ナノ濾過に用いるナノフィルターの細孔サイズを最大80 nmで調整する程度のことも当業者であれば適宜なし得ることに過ぎない。

(イ)相違点6について
「第8 2 2-2(2)イ(イ)相違点6について」と同様であり、甲第2号証発明において、濾過工程として甲第4号証のナノ濾過を組み合わせる際に、さらに甲第13号証の知見に基づいて、因子VIIポリペプチドのうち少なくとも50%が活性化された形態とする程度のことは、当業者であれば適宜なし得ることに過ぎない。

(ウ)相違点7について
(甲3-c)の記載から、ナノ濾過前の前記溶液中の前記因子VII濃度は、少なくとも(4.5g/22L≒)約0.2mg/mLと算出されること、さらに、(甲5-d)の図6には、0.8mg/mL及び1.4mg/mLが開示されていることから、これらはごく一般的な濃度範囲であると認められる。
そうすると、甲第2号証発明において、濾過工程として甲第4号証のナノ濾過を組み合わせる際に、さらに甲第3,5号証の知見に基づいて、0.01?5mg/mLの濃度範囲に因子VIIポリペプチドの濃度を調整する程度のことは、当業者であれば適宜なし得ることに過ぎない。

ウ 訂正発明1の効果
「第8 2 2-1(2)ウ 訂正発明1の効果」と同様であり、甲第2号証発明において、濾過工程として甲第4号証のナノ濾過を組み合わせる際に、さらに甲第3,5号証の知見も考慮すれば、訂正発明1が、当業者の予想し得ない格別顕著な効果を奏するものとは認められない。

エ 被請求人の主張する阻害要因について
「第8 2 2-1(2)エ 被請求人の主張する阻害要因について」と同様であり、被請求人のいずれの主張も採用できない。

オ 訂正発明1についてのまとめ
以上のとおり、訂正発明1は、甲第2号証に記載された発明、並びに甲第4号証の記載及び甲第3,5,13,17号証に記載された甲第2号証の記載事実を補強する発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)訂正発明2について
訂正発明2は、訂正発明1を引用しているが、訂正発明1と同じで、活性化形態の割合が「少なくとも50%」である。
したがって、訂正発明2は、訂正発明1と同一であり、「第8 2 2-3(2)訂正発明1について」で述べたのと同様に、甲第2号証に記載された発明、並びに甲第4号証の記載及び甲第3,5,13,17号証に記載された甲第2号証の記載事実を補強する発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)小括
以上のとおりであるから、訂正発明1?2に係る特許は、無効理由2-3によって、無効とすべきものである。

2-4 無効理由2-4
無効理由2-4は、「訂正発明1及び2は、甲第2号証に記載された発明及び甲第1号証の記載に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない」との請求人の主張に基づくものである。

(1)甲第2号証に記載された発明
「第8 2 2-2(1)甲第2号証に記載された発明」で述べたとおり、甲第2号証には、「組換え活性化因子VIIのTriton X-100での処理によるウイルス不活性化工程を含む、方法。」(甲第2号証発明)が記載されている。

(2)訂正発明1について
ア 訂正発明1と甲第2号証発明の対比
「第8 2 2-2(2)ア 訂正発明1と甲第2号証発明の対比」で述べたとおりの、相違点5?7を有する。

イ 相違点についての判断
(ア)相違点5について
(甲2-c)には、「さらに、0.65及び0.2μmでの2回の濾過工程、ならびに免疫吸着クロマトグラフィーも、潜在的な汚染病原体を減少させるのに貢献する」と記載されており、甲第2号証発明において、汚染病原体であるウイルスを除去するために濾過工程をさらに行う動機付けはあるといえる。
また、濾過工程について、(甲1-d)には、ウイルス除去のためにナノ濾過を用いることが記載されている。
そして、濾過工程により、細孔サイズよりも大きいサイズのウイルスが除去されること、細孔サイズを減少させることでウイルス安全性を高められることは技術常識である。
そうすると、甲第2号証発明において、濾過工程をさらに行う際に、甲第1号証のナノ濾過を組み合わせることは、当業者であれば容易に想到し得るものである。また、ナノ濾過に用いるナノフィルターの細孔サイズとしては15?40nmが典型的なものであること(甲4-b)を考慮しても、ナノ濾過に用いるナノフィルターの細孔サイズを最大80 nmで調整する程度のことも当業者であれば適宜なし得ることに過ぎない。

(イ)相違点6について
「第8 2 2-2(2)イ(イ)相違点6について」と同様であり、甲第2号証発明において、濾過工程として甲第1号証のナノ濾過を組み合わせる際に、さらに甲第13号証の知見に基づいて、因子VIIポリペプチドのうち少なくとも50%が活性化された形態とする程度のことは、当業者であれば適宜なし得ることに過ぎない。

(ウ)相違点7について
「第8 2 2-2(2)イ(ウ)相違点7について」と同様であり、甲第2号証発明において、濾過工程として甲第1号証のナノ濾過を組み合わせる際に、さらに甲第3,5号証の知見に基づいて、0.01?5mg/mLの濃度範囲に因子VIIポリペプチドの濃度を調整する程度のことは、当業者であれば適宜なし得ることに過ぎない。

ウ 訂正発明1の効果
「第8 2 2-1(2)ウ 訂正発明1の効果」と同様であり、甲第2号証発明において、濾過工程として甲第1号証のナノ濾過を組み合わせる際に、さらに甲第3,5号証の知見も考慮すれば、訂正発明1が、当業者の予想し得ない格別顕著な効果を奏するものとは認められない。

エ 被請求人の主張する阻害要因について
「第8 2 2-1(2)エ 被請求人の主張する阻害要因について」と同様であり、被請求人のいずれの主張も採用できない。

オ 訂正発明1についてのまとめ
以上のとおり、訂正発明1は、甲第2号証に記載された発明、並びに甲第1号証の記載及び甲第3?5,13,17号証に記載された甲第2号証の記載事実を補強する発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)訂正発明2について
訂正発明2は、訂正発明1を引用しているが、訂正発明1と同じで、活性化形態の割合が「少なくとも50%」である。
したがって、訂正発明2は、訂正発明1と同一であり、「第8 2 2-4(2)訂正発明1について」で述べたのと同様に、甲第2号証に記載された発明、並びに甲第1号証の記載及び甲第3?5,13,17号証に記載された甲第2号証の記載事実を補強する発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)小括
以上のとおりであるから、訂正発明1?2に係る特許は、無効理由2-4によって、無効とすべきものである。

2-5 無効理由2についての小括
以上のとおり、訂正発明1?2に係る特許は、無効理由2-1?無効理由2-4のいずれによっても、無効とすべきものである。

3 無効理由3(訂正発明1?17の実施可能要件違反)
無効理由3は、「訂正発明1?17について、その発明の詳細な説明が、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではないから、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない」との請求人の主張に基づくものである。

(1)特許法第36条第4項第1号について
特許法第36条第4項は、「前項第三号の発明の詳細な説明の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。」と規定し、その第1号で、「経済産業省令で定めるところにより、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであること。」と規定している。
特許法第36条第4項第1号は、明細書のいわゆる実施可能要件を規定したものであって、方法の発明では、その方法を実施する具体的な記載が発明の詳細な説明にあるか、そのような記載がない場合には、明細書及び図面の記載並びに出願時の技術常識に基づいてその方法を実施することができなければならないとされる。

(2)訂正発明1について
ア 請求人の主張
請求人の主張は、訂正発明1が因子VIIポリペプチドの活性化率(50%が活性化された形態であること)が要件の一つとなっているにも関わらず、本件明細書の発明の詳細な説明は、因子VIIの活性化率を正確に測定するために十分な情報を開示しておらず、当業者が容易に訂正発明1を実施できる程度に記載されていない、というものである。
具体的には、請求人は、活性化因子VIIを定量するために用いられる3種の異なる測定技術(SDS-PAGE、RP-HPLC及び機能試験)にしたがって、4つの組換え因子VIIサンプルを試験した結果を甲第7号証として提出し、(甲7-a)から、異なる定量技術にしたがった定量は活性化因子VIIポリペプチドの異なる活性化率をもたらし得ることを示した上で、本件明細書の実施例2?5に具体的な数値として開示されている濾過の前後の因子VII溶液の活性化の程度が、どのようにして活性化形態の比率を測定したのかについて何ら情報が提供されていない点を主張している(審判請求書35頁1行目?下から2行目、審判事件弁駁書29頁下から6行目?30頁6行目)。

イ 本件明細書の発明の詳細な説明の記載
本件明細書の発明の詳細な説明には、活性化因子VIIの定量について、以下の記載がある。
「【0034】
本発明の目的のために、因子VIIポリペプチドの生物学的活性(因子VII生物学的活性)は、例えば米国特許第5,997,864号またはWO 92/15686に記載されたように、因子VII欠損血漿およびトロンボプラスチンを使用して血液凝固を促進する製剤の能力を測定することによって定量化され得る。この試験において、生物学的活性は、対照サンプルと比較した凝血時間の短縮として表わされ、1単位/mL因子VII活性を含む貯蔵されたヒト血清標準体との比較によって「因子VII単位」に転換される。代わりに、因子VIIaの生物学的活性は、(i)脂質膜内に埋め込まれたTFと因子Xを含む系において活性化された因子X(因子Xa)を生成する、因子VIIa (または因子VIIポリペプチド)の能力を測定することによって(Persson et al., J. Biol. Chem. 272:19919-19924, 1997); (ii)水性系における因子Xの加水分解を測定することによって(以下の「インビトロタンパク質分解アッセイ」を参照); (iii)表面プラズモン共鳴に基づいた装置を使用して因子VIIa (または因子VIIポリペプチド)のTFへの物理的結合を測定することによって(Persson, FEBS Letts. 413:359-363, 1997); (iv) 因子VIIa(または因子VIIポリペプチド)による合成基質の加水分解を測定することによって(以下の「インビトロ加水分解アッセイ」を参照); または(v) TF非依存性インビトロ系におけるトロンビンの生成を測定することによって定量化され得る。」

ウ 当審の判断
当審は、請求人の主張のとおり、本件明細書の発明の詳細な説明は、因子VIIの活性化率を正確に測定するために十分な情報を開示していないと判断する。理由は以下のとおりである。

本件明細書の【0034】の「因子VII欠損血漿およびトロンボプラスチンを使用して血液凝固を促進する製剤の能力を測定することによって定量化され得る。」という記載と、本件明細書の【0002】にもあるとおり、活性化因子VIIが凝固反応に関する因子であることが技術常識であることを考慮すれば、本件明細書には、機能試験が因子VIIの活性化率を測定する技術として開示されているものと認められる。なお、機能試験以外の請求人が言及する測定技術については、本件明細書に何ら記載はない。
一方、本件明細書の実施例2?5に開示されている因子VII溶液の活性化の程度は、FVIIaのパーセンテージが数値として記載されているのみであって、どのような手法で測定したかについては何ら記載がなく、因子VIIの活性化率を測定する技術として本件明細書に唯一開示されている機能試験で測定しているか否かも不明である。
したがって、本件明細書の発明の詳細な説明は、因子VIIの活性化率を正確に測定するために十分な情報を開示していない。

エ 被請求人の主張
被請求人は、無効理由3に関して、主に以下の2点を主張している。

主張1(構造的アッセイの選択):
因子VIIポリペプチドの活性化率を測定する手段として、SDS-PAGE、RP-HPLC、機能的試験などを使用することができることは、本技術分野において周知の事項であり、本技術分野の当業者は、活性化FVIIの量を測定するのに利用できる技術を有していたこと、機能試験が適切な校正が行われない限り正確でないことは当業者に通常知られていることから、FVIIの活性化率を測定しようとする当業者であれば、機能試験よりも正確な構造的アッセイ(SDS-PAGE、RP-HPLC)がより適切であると当業者は理解していた(審判事件答弁書14頁下から9?7行目、15頁下から2行目?16頁1行目、口頭審理陳述要領書11頁下から3行目?12頁6行目、上申書8頁3?6行目)。

主張2(RP-HPLCの選択):
本願明細書の【0038】で参照されている文献(甲第5号証)のMaterial Methodsには、(甲5-b)として、RP-HPLCを使用して活性化と分解を測定する方法が記載されていること、甲第5号証は明細書に記載があり、本件特許の優先日に当業者が入手可能だったこと、甲第5号証の出版は出願日の8年前(1995年)であり、当業者が当該文献の内容を承知していたこと、甲第5号証の著者はノボ ノルディスクの研究者のチームであることを考慮すれば、RP-HPLCを使用することは当業者に自明の選択であり、当然に理解するものである。そして、本件特許明細書の実施例では、RP-HPLCを用いて活性化率の測定を行っている(審判事件答弁書14頁下から7?6行目、15頁3?8行目、口頭審理陳述要領書11頁3?27行目、上申書7頁26行目?8頁2行目、8頁8?10行目)。

上記主張1,2について、以下に検討する。

(ア)主張1(構造的アッセイの選択)について
SDS-PAGE、RP-HPLC、機能的試験が、因子VIIポリペプチドの活性化率を測定する手段として周知であったことは認めるが、機能試験が正確な試験ではないことが知られていたから、当業者はより正確な構造的アッセイを採用するという主張については、本件明細書に唯一開示されているのが機能試験であることからしても、何ら明細書に記載に基づいた主張ではなく、被請求人は何ら具体的な証拠を示してもいない。
よって、上記主張1は採用できない。

(イ)主張2(RP-HPLCの選択)について
本件明細書の【0038】は、因子VIIの変異体の説明であり、被請求人の主張する「RP-HPLCを使用して活性化と分解を測定する方法」は何ら参照されていない以上、当業者が、参照の目的が全く異なる文献(甲第5号証)に着目し、さらに本件明細書に何も示唆されていない(甲5-b)に記載の測定方法を選択することが、当業者に自明であったものとは到底認められない。
また、本件明細書にはRP-HPLCについて何も記載がない以上、本件明細書の実施例が、RP-HPLCを用いて活性化率の測定を行っていることを当業者が理解することができるものとも認められない。
よって、上記主張2は採用できない。

(ウ)意見書による被請求人の見解について
被請求人は、審決の予告後に意見書を提出して、上記(ア)及び(イ)に対する見解を示しているが、いずれも上記主張1,2の繰り返しか、あるいは上申書7頁26行目?8頁11行目で述べていることと同様の見解であって、採用の限りではない。
なお、被請求人は、意見書において、RP-HPLC法とSDS-PAGE法により測定された活性化率は良好な相関性のあることを示す乙第6号証を提出しているが、(乙6-a)に記載されているとおり、これは2つの方法の間に出る測定値の差異を校正することができることを示しているに過ぎない。そして、測定される活性化率についてRP-HPLC法とSDS-PAGE法の間に相関性があるとしても、そのことをもって、RP-HPLC法が最も優れた技術であると本件特許の優先日に当業者によって認識され、さらに、本件特許明細書の開示に接した当業者が、実施例に示された活性化率がRP-HPLC法で行われたと理解することができるとは到底認められない。

オ 訂正発明1についてのまとめ
以上のとおり、訂正発明1について、その発明の詳細な説明が、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではないから、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。

(3)訂正発明2?17について
訂正発明2?17は、訂正発明1に従属しており、「第8 3(2)訂正発明1について」で述べたのと同様に、訂正発明2?17についても、その発明の詳細な説明が、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではない。

(4)小括
以上のとおりであるから、訂正発明1?17に係る特許は、無効理由3によって、無効とすべきものである。

4 無効理由4(訂正発明3?17の進歩性欠如)
無効理由4は、「訂正発明3?17は、
甲第1号証に記載された発明及び甲第3号証の記載、
甲第2号証に記載された発明及び甲第3号証の記載、
甲第2号証に記載された発明及び甲第4号証の記載、
甲第2号証に記載された発明及び甲第1号証の記載
のいずれかと、甲第1?5号証のいずれかの記載又は技術常識とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない」との請求人の主張に基づくものである。

(1)訂正発明3について
訂正発明3は、訂正発明1の界面活性剤を「式p-((CH_(3))_(3)CH_(2)C(CH_(2))_(2))-C_(6)H_(4)-O-(CH_(2)CH_(2)O)_(n)-H(式中、nは5?15の範囲内にある)のオクチルフェノキシポリエトキシエタノールであり、随意に、nが9?10のもの、例えばTriton X-100」に限定するものであるが、(甲2-c)にはTriton X-100の使用が開示されており、Triton X-100は当該分野で一般的に使用される界面活性剤であるから、「第8 2 2-1 無効理由2-1」と同様に、訂正発明3は、甲第1号証に記載された発明、並びに甲第3号証の記載及び甲第2,5,13,17号証に記載された甲第1号証の記載事実を補強する発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
また、「第8 2 2-2 無効理由2-2」と同様に、訂正発明3は、甲第2号証に記載された発明、並びに甲第3号証の記載及び甲第5,13,17号証に記載された甲第2号証の記載事実を補強する発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、
「第8 2 2-3 無効理由2-3」と同様に、訂正発明3は、甲第2号証に記載された発明、並びに甲第4号証の記載及び甲第3,5,13,17号証に記載された甲第2号証の記載事実を補強する発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、
「第8 2 2-4 無効理由2-4」と同様に、訂正発明3は、甲第2号証に記載された発明、並びに甲第1号証の記載及び甲第3?5,13,17号証に記載された甲第2号証の記載事実を補強する発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(2)訂正発明4について
訂正発明4は、訂正発明1または2の界面活性剤を「Tween(登録商標)、ポリソルベート20、ポリソルベート60、およびポリソルベート80からなる群から選択される」ものに限定するものであるが、(甲1-e)にはポリソルベート80の使用が開示されており、ポリソルベート80は当該分野で一般的に使用される界面活性剤であるから、「第8 2 2-1 無効理由2-1」と同様に、訂正発明4は、甲第1号証に記載された発明、並びに甲第3号証の記載及び甲第5,13,17号証に記載された甲第1号証の記載事実を補強する発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
また、「第8 2 2-2 無効理由2-2」と同様に、訂正発明4は、甲第2号証に記載された発明、並びに甲第3号証の記載及び甲第1,5,13,17号証に記載された甲第2号証の記載事実を補強する発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、
「第8 2 2-3 無効理由2-3」と同様に、訂正発明4は、甲第2号証に記載された発明、並びに甲第4号証の記載及び甲第1,3,5,13,17号証に記載された甲第2号証の記載事実を補強する発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、
「第8 2 2-4 無効理由2-4」と同様に、訂正発明4は、甲第2号証に記載された発明、並びに甲第1号証の記載及び甲第3?5,13,17号証に記載された甲第2号証の記載事実を補強する発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)訂正発明5について
訂正発明5は、訂正発明1?4のいずれかの発明の界面活性剤を「0.01?0.3重量%の範囲、例えば0.05?0.2重量%の範囲の組成物中の界面活性剤の濃度を与えるように、液体因子VII組成物と組み合わされる」ものに限定するものであるが、(甲2-c)には0.1%の界面活性剤の使用が開示されているから、「第8 2 2-1 無効理由2-1」と同様に、訂正発明5は、甲第1号証に記載された発明、並びに甲第3号証の記載及び甲第2,5,13,17号証に記載された甲第1号証の記載事実を補強する発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
また、「第8 2 2-2 無効理由2-2」と同様に、訂正発明5は、甲第2号証に記載された発明、並びに甲第3号証の記載及び甲第5,13,17号証に記載された甲第2号証の記載事実を補強する発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、
「第8 2 2-3 無効理由2-3」と同様に、訂正発明5は、甲第2号証に記載された発明、並びに甲第4号証の記載及び甲第3,5,13,17号証に記載された甲第2号証の記載事実を補強する発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、
「第8 2 2-4 無効理由2-4」と同様に、訂正発明5は、甲第2号証に記載された発明、並びに甲第1号証の記載及び甲第3?5,13,17号証に記載された甲第2号証の記載事実を補強する発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)訂正発明6について
訂正発明6は、訂正発明1?5のいずれかの発明の界面活性剤を「2?12℃の範囲、例えば2?9℃の範囲の温度で前記組成物と組み合わされる」ものに限定するものであるが、2?12℃は血液凝固因子の調製プロセスにおいて通常設定される温度であるから、「第8 2 2-1 無効理由2-1」と同様に、訂正発明6は、甲第1号証に記載された発明、並びに甲第3号証の記載及び甲第5,13,17号証に記載された甲第1号証の記載事実を補強する発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
また、「第8 2 2-2 無効理由2-2」と同様に、訂正発明6は、甲第2号証に記載された発明、並びに甲第3号証の記載及び甲第5,13,17号証に記載された甲第2号証の記載事実を補強する発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、
「第8 2 2-3 無効理由2-3」と同様に、訂正発明6は、甲第2号証に記載された発明、並びに甲第4号証の記載及び甲第3,5,13,17号証に記載された甲第2号証の記載事実を補強する発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、
「第8 2 2-4 無効理由2-4」と同様に、訂正発明6は、甲第2号証に記載された発明、並びに甲第1号証の記載及び甲第3?5,13,17号証に記載された甲第2号証の記載事実を補強する発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(5)訂正発明7について
訂正発明7は、訂正発明1?6のいずれかの発明の界面活性剤を「トリアルキルリン酸塩溶媒、例えばトリ(n-ブチル)リン酸塩を実質的に含まない」ものに限定するものであるが、甲第2?4号証には、界面活性剤処理工程におけるトリアルキルリン酸塩触媒の使用の開示はないことから、「第8 2 2-1 無効理由2-1」と同様に、訂正発明7は、甲第1号証に記載された発明、並びに甲第3号証の記載及び甲第5,13,17号証に記載された甲第1号証の記載事実を補強する発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
また、「第8 2 2-2 無効理由2-2」と同様に、訂正発明7は、甲第2号証に記載された発明、並びに甲第3号証の記載及び甲第5,13,17号証に記載された甲第2号証の記載事実を補強する発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、
「第8 2 2-3 無効理由2-3」と同様に、訂正発明7は、甲第2号証に記載された発明、並びに甲第4号証の記載及び甲第3,5,13,17号証に記載された甲第2号証の記載事実を補強する発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、
「第8 2 2-4 無効理由2-4」と同様に、訂正発明7は、甲第2号証に記載された発明、並びに甲第1号証の記載及び甲第3?5,13,17号証に記載された甲第2号証の記載事実を補強する発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(6)訂正発明8について
訂正発明8は、訂正発明1?5のいずれかの発明の液体因子VII組成物を「7.0?9.5の範囲のpH、例えば7.6?9.4の範囲、7.7?9.3の範囲、8.0?9.0の範囲、または8.3?8.7の範囲のpHを有する」ものに限定するものであるが、(甲3-c)には、因子VII画分をpH7.8で取り扱っていることが開示されていることから、「第8 2 2-1 無効理由2-1」と同様に、訂正発明8は、甲第1号証に記載された発明、並びに甲第3号証の記載及び甲第5,13,17号証に記載された甲第1号証の記載事実を補強する発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
また、「第8 2 2-2 無効理由2-2」と同様に、訂正発明8は、甲第2号証に記載された発明、並びに甲第3号証の記載及び甲第5,13,17号証に記載された甲第2号証の記載事実を補強する発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、
「第8 2 2-3 無効理由2-3」と同様に、訂正発明8は、甲第2号証に記載された発明、並びに甲第4号証の記載及び甲第3,5,13,17号証に記載された甲第2号証の記載事実を補強する発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、
「第8 2 2-4 無効理由2-4」と同様に、訂正発明8は、甲第2号証に記載された発明、並びに甲第1号証の記載及び甲第3?5,13,17号証に記載された甲第2号証の記載事実を補強する発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(7)訂正発明9について
訂正発明9は、訂正発明1?8のいずれかの発明の液体組成物中の因子VIIポリペプチドの濃度を「0.05?2.0 mg/mLの範囲」に限定するものであるが、請求人の主張するとおり、(甲3-c)の記載から、ナノ濾過前の前記溶液中の前記因子VII濃度は、少なくとも(4.5g/22L≒)約0.2mg/mLと算出されることから、「第8 2 2-1 無効理由2-1」と同様に、訂正発明9は、甲第1号証に記載された発明、並びに甲第3号証の記載及び甲第5,13,17号証に記載された甲第1号証の記載事実を補強する発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
また、「第8 2 2-2 無効理由2-2」と同様に、訂正発明9は、甲第2号証に記載された発明、並びに甲第3号証の記載及び甲第5,13,17号証に記載された甲第2号証の記載事実を補強する発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、
「第8 2 2-3 無効理由2-3」と同様に、訂正発明9は、甲第2号証に記載された発明、並びに甲第4号証の記載及び甲第3,5,13,17号証に記載された甲第2号証の記載事実を補強する発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、
「第8 2 2-4 無効理由2-4」と同様に、訂正発明9は、甲第2号証に記載された発明、並びに甲第1号証の記載及び甲第3?5,13,17号証に記載された甲第2号証の記載事実を補強する発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(8)訂正発明10について
訂正発明10は、訂正発明1?9のいずれかの発明の液体組成物中の因子VIIポリペプチドの濃度を「ナノフィルターの細孔サイズが、最大で50 nm、例えば30 nm、または10?30 nmの範囲」に限定するものであるが、(甲3-f)には15nm、(甲4-b)には15?40nmの細孔サイズでナノ濾過を行うことが開示されていることから、「第8 2 2-1 無効理由2-1」と同様に、訂正発明10は、甲第1号証に記載された発明、並びに甲第3号証の記載及び甲第5,13,17号証に記載された甲第1号証の記載事実を補強する発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
また、「第8 2 2-2 無効理由2-2」と同様に、訂正発明10は、甲第2号証に記載された発明、並びに甲第3号証の記載及び甲第5,13,17号証に記載された甲第2号証の記載事実を補強する発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、
「第8 2 2-3 無効理由2-3」と同様に、訂正発明10は、甲第2号証に記載された発明、並びに甲第4号証の記載及び甲第3,5,13,17号証に記載された甲第2号証の記載事実を補強する発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、
「第8 2 2-4 無効理由2-4」と同様に、訂正発明10は、甲第2号証に記載された発明、並びに甲第1号証の記載及び甲第3?5,13,17号証に記載された甲第2号証の記載事実を補強する発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(9)訂正発明11について
訂正発明11は、訂正発明1?10のいずれかの発明の液体因子VII組成物が「(i)ウシまたはウシ胎仔血清の存在中における細胞培養によって生成されるか、または、(ii)前記液体組成物が、実質的に血清を含まない」ように限定するものであるが、(甲1-b)の表1には、ノボセブンがウシ血清を含む培地を用いるBHK細胞の培養により調製されたことが開示されていることから、「第8 2 2-1 無効理由2-1」と同様に、訂正発明11は、甲第1号証に記載された発明、並びに甲第3号証の記載及び甲第2,5,13,17号証に記載された甲第1号証の記載事実を補強する発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
また、「第8 2 2-2 無効理由2-2」と同様に、訂正発明11は、甲第2号証に記載された発明、並びに甲第3号証の記載及び甲第1,5,13,17号証に記載された甲第2号証の記載事実を補強する発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、
「第8 2 2-3 無効理由2-3」と同様に、訂正発明11は、甲第2号証に記載された発明、並びに甲第4号証の記載及び甲第1,3,5,13,17号証に記載された甲第2号証の記載事実を補強する発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、
「第8 2 2-4 無効理由2-4」と同様に、訂正発明11は、甲第2号証に記載された発明、並びに甲第1号証の記載及び甲第3?5,13,17号証に記載された甲第2号証の記載事実を補強する発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(10)訂正発明12について
訂正発明12は、訂正発明11の因子VIIポリペプチドが「CHO細胞、随意に、動物起源の全ての成分を含まない培地における、CHO細胞の細胞培養によって生成される」ように限定するものであるが、(甲1-b)の表1には、CHO細胞を用いて組換えVIII因子や組換えIX因子を製造していることが開示されており、CHO細胞は組換えに用いられる周知の動物細胞であることから、「第8 2 2-1 無効理由2-1」と同様に、訂正発明12は、甲第1号証に記載された発明、並びに甲第3号証の記載及び甲第5,13,17号証に記載された甲第1号証の記載事実を補強する発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
また、「第8 2 2-2 無効理由2-2」と同様に、訂正発明12は、甲第2号証に記載された発明、並びに甲第3号証の記載及び甲第1,5,13,17号証に記載された甲第2号証の記載事実を補強する発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、
「第8 2 2-3 無効理由2-3」と同様に、訂正発明12は、甲第2号証に記載された発明、並びに甲第4号証の記載及び甲第1,3,5,13,17号証に記載された甲第2号証の記載事実を補強する発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、
「第8 2 2-4 無効理由2-4」と同様に、訂正発明12は、甲第2号証に記載された発明、並びに甲第1号証の記載及び甲第3?5,13,17号証に記載された甲第2号証の記載事実を補強する発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(11)訂正発明13について
訂正発明13は、訂正発明1?12のいずれかの発明のナノフィルターの膜が「銅アンモニア溶液で再生されたセルロース、親水性ポリビニリデンフッ化物(PVDF)、合成PVDF、表面修飾PVDF、およびポリエーテルスルホンから選択された一以上の材料から製造される」ように限定するものであるが、(甲4-c)?(甲4-e)に記載されているとおり、上記材料で作られたナノフィルターの膜は既に知られていることから、「第8 2 2-1 無効理由2-1」と同様に、訂正発明13は、甲第1号証に記載された発明、並びに甲第3号証の記載及び甲第4,5,13,17号証に記載された甲第1号証の記載事実を補強する発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
また、「第8 2 2-2 無効理由2-2」と同様に、訂正発明13は、甲第2号証に記載された発明、並びに甲第3号証の記載及び甲第4,5,13,17号証に記載された甲第2号証の記載事実を補強する発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、
「第8 2 2-3 無効理由2-3」と同様に、訂正発明13は、甲第2号証に記載された発明、並びに甲第4号証の記載及び甲第3,5,13,17号証に記載された甲第2号証の記載事実を補強する発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、
「第8 2 2-4 無効理由2-4」と同様に、訂正発明13は、甲第2号証に記載された発明、並びに甲第1号証の記載及び甲第3?5,13,17号証に記載された甲第2号証の記載事実を補強する発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(12)訂正発明14について
訂正発明14は、訂正発明1?13のいずれかの発明について、「ナノ濾過以前に行われる前濾過工程を含み、随意に、前濾過フィルターは0.05?0.5マイクロメートルの細孔サイズを有する」ように限定するものであるが、濾過技術において、予め孔サイズの大きいフィルターにより前濾過を行ってから孔サイズの小さいフィルターにより濾過を行うことは技術常識であることから、「第8 2 2-1 無効理由2-1」と同様に、訂正発明14は、甲第1号証に記載された発明、並びに甲第3号証の記載及び甲第5,13,17号証に記載された甲第1号証の記載事実を補強する発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
また、「第8 2 2-2 無効理由2-2」と同様に、訂正発明14は、甲第2号証に記載された発明、並びに甲第3号証の記載及び甲第5,13,17号証に記載された甲第2号証の記載事実を補強する発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、
「第8 2 2-3 無効理由2-3」と同様に、訂正発明14は、甲第2号証に記載された発明、並びに甲第4号証の記載及び甲第3,5,13,17号証に記載された甲第2号証の記載事実を補強する発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、
「第8 2 2-4 無効理由2-4」と同様に、訂正発明14は、甲第2号証に記載された発明、並びに甲第1号証の記載及び甲第3?5,13,17号証に記載された甲第2号証の記載事実を補強する発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(13)訂正発明15について
訂正発明15は、訂正発明1?14のいずれかの発明の因子VIIポリペプチドが「ヒト因子VIIまたは因子VII変異体配列から成る群より選ばれる」ように限定するものであるが、(甲3-a)にはヒト血漿由来活性化因子VIIが開示されているから、「第8 2 2-1 無効理由2-1」と同様に、訂正発明15は、甲第1号証に記載された発明、並びに甲第3号証の記載及び甲第5,13,17号証に記載された甲第1号証の記載事実を補強する発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
また、「第8 2 2-2 無効理由2-2」と同様に、訂正発明15は、甲第2号証に記載された発明、並びに甲第3号証の記載及び甲第5,13,17号証に記載された甲第2号証の記載事実を補強する発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、
「第8 2 2-3 無効理由2-3」と同様に、訂正発明15は、甲第2号証に記載された発明、並びに甲第4号証の記載及び甲第3,5,13,17号証に記載された甲第2号証の記載事実を補強する発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、
「第8 2 2-4 無効理由2-4」と同様に、訂正発明15は、甲第2号証に記載された発明、並びに甲第1号証の記載及び甲第3?5,13,17号証に記載された甲第2号証の記載事実を補強する発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(14)訂正発明16について
訂正発明16は、訂正発明1のウイルスを不活性化させる工程(a)が「ウイルスを除去する工程(b)に先行する」ように限定するものであるが、(甲1-b)の表1及び(甲1-d)にそれぞれ界面活性剤によるウイルス不活性化・除去工程及びナノ濾過によるウイルス除去工程が記載されており、(甲1-c)において2以上の異なるウイルス不活性化又は除去工程を行うことが推奨されている。そして、両工程の順番が特定されているわけでもないことから、工程(a)→工程(b)の順で行うことに何ら困難性はない。よって、「第8 2 2-1 無効理由2-1」と同様に、訂正発明16は、甲第1号証に記載された発明、並びに甲第3号証の記載及び甲第5,13,17号証に記載された甲第1号証の記載事実を補強する発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
また、「第8 2 2-2 無効理由2-2」と同様に、訂正発明16は、甲第2号証に記載された発明、並びに甲第3号証の記載及び甲第1,5,13,17号証に記載された甲第2号証の記載事実を補強する発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、
「第8 2 2-3 無効理由2-3」と同様に、訂正発明16は、甲第2号証に記載された発明、並びに甲第4号証の記載及び甲第1,3,5,13,17号証に記載された甲第2号証の記載事実を補強する発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、
「第8 2 2-4 無効理由2-4」と同様に、訂正発明16は、甲第2号証に記載された発明、並びに甲第1号証の記載及び甲第3?5,13,17号証に記載された甲第2号証の記載事実を補強する発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(15)訂正発明17について
訂正発明17は、訂正発明1のウイルスを除去する工程(b)が「ウイルスを不活性化させる工程(a)に先行する」ように限定するものであるが、「4(14)訂正発明16について」と同様に、両工程の順番が特定されているわけでもないことから、工程(b)→工程(a)の順で行うことに何ら困難性はない。よって、「第8 2 2-1 無効理由2-1」と同様に、訂正発明17は、甲第1号証に記載された発明、並びに甲第3号証の記載及び甲第5,13,17号証に記載された甲第1号証の記載事実を補強する発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
また、「第8 2 2-2 無効理由2-2」と同様に、訂正発明17は、甲第2号証に記載された発明、並びに甲第3号証の記載及び甲第1,5,13,17号証に記載された甲第2号証の記載事実を補強する発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、
「第8 2 2-3 無効理由2-3」と同様に、訂正発明17は、甲第2号証に記載された発明、並びに甲第4号証の記載及び甲第1,3,5,13,17号証に記載された甲第2号証の記載事実を補強する発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、
「第8 2 2-4 無効理由2-4」と同様に、訂正発明17は、甲第2号証に記載された発明、並びに甲第1号証の記載及び甲第3?5,13,17号証に記載された甲第2号証の記載事実を補強する発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(16)小括
以上のとおりであるから、訂正発明3?17に係る特許は、無効理由4によって、無効とすべきものである。

第9 結び
以上のとおりであるから、訂正発明1?2は、
甲第1号証に記載された発明、並びに甲第3号証の記載及び甲第5,13,17号証に記載された甲第1号証の記載事実を補強する発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであり、
甲第2号証に記載された発明、並びに甲第3号証の記載及び甲第5,13,17号証に記載された甲第2号証の記載事実を補強する発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであり、
甲第2号証に記載された発明、並びに甲第4号証の記載及び甲第3,5,13,17号証に記載された甲第2号証の記載事実を補強する発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであり、
甲第2号証に記載された発明、並びに甲第1号証の記載及び甲第3?5,13,17号証に記載された甲第2号証の記載事実を補強する発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであり、
同法第123条第1項第2号に該当し無効とすべきものである。

また、訂正発明1?17について、その発明の詳細な説明が、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではないから、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしておらず、その特許は同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきものである。

さらに、訂正発明3?17は、
甲第1号証に記載された発明及び甲第3号証の記載、
甲第2号証に記載された発明及び甲第3号証の記載、
甲第2号証に記載された発明及び甲第4号証の記載、
甲第2号証に記載された発明及び甲第1号証の記載
のいずれかと、甲第1?5,13,17号証のいずれかの記載又は技術常識とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであり、同法第123条第1項第2号に該当し無効とすべきものである。

審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体因子VII組成物からウイルスを除去するための方法であって、前記組成物が一以上の因子VIIポリペプチドを含み、前記一以上の因子VIIポリペプチドのうち少なくとも50%が活性化された形態であり、前記液体組成物中の因子VIIポリペプチドの濃度が、0.01?5mg/mLの範囲であり、前記方法が、下記の工程(a)と工程(b)を任意の順序で含む方法。
(a)前記組成物と界面活性剤とを組み合わせる工程を含む方法によってウイルスを不活性化する工程;および
(b)最大80nmの細孔サイズを有するナノフィルターを使用するナノ濾過を前記液体因子VII組成物溶液に対して行うことを含む方法によって、ウイルスを除去する工程。
【請求項2】
前記一以上の因子VIIポリペプチドのうち少なくとも50%が活性化された形態である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(a)の界面活性剤が、式p-((CH_(3))_(3)CH_(2)C(CH_(2))_(2))-C_(6)H_(4)-O-(CH_(2)CH_(2)O)_(n)-H(式中、nは5?15の範囲内にある)のオクチルフェノキシポリエトキシエタノールであり、随意に、nが9?10のもの、例えばTriton X-100である請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
工程(a)の界面活性剤が、Tween(登録商標)、ポリソルベート20、ポリソルベート60、およびポリソルベート80からなる群から選択される、請求項1または2記載の方法。
【請求項5】
工程(a)の界面活性剤が、0.01?0.3重量%の範囲、例えば0.05?0.2重量%の範囲の組成物中の界面活性剤の濃度を与えるように、液体因子VII組成物と組み合わされる、請求項1?4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
工程(a)の界面活性剤が、2?12℃の範囲、例えば2?9℃の範囲の温度で前記組成物と組み合わされる、請求項1?5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記工程(a)の界面活性剤が、トリアルキルリン酸塩溶媒、例えばトリ(n-ブチル)リン酸塩を実質的に含まない、請求項1?6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記液体因子VII組成物が、7.0?9.5の範囲のpH、例えば7.6?9.4の範囲、7.7?9.3の範囲、8.0?9.0の範囲、または8.3?8.7の範囲のpHを有する、請求項1?5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記液体組成物中の因子VIIポリペプチドの濃度が、0.05?2.0mg/mLの範囲にある、請求項1?8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記工程(b)のナノフィルターの細孔サイズが、最大で50nm、例えば30nm、または10?30nmの範囲にある、請求項1?9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記液体因子VII組成物が、(i)ウシまたはウシ胎仔血清の存在中における細胞培養によって生成されるか、または、(ii)前記液体組成物が、実質的に血清を含まない、請求項1?10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記因子VIIポリペプチドが、CHO細胞、随意に、動物起源の全ての成分を含まない培地における、CHO細胞の細胞培養によって生成される、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記工程(b)のナノフィルターの膜が、銅アンモニア溶液で再生されたセルロース、親水性ポリビニリデンフッ化物(PVDF)、合成PVDF、表面修飾PVDF、およびポリエーテルスルホンから選択された一以上の材料から製造される、請求項1?12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記工程(b)のナノ濾過以前に行われる前濾過工程を含み、随意に、前濾過フィルターは0.05?0.5マイクロメートルの細孔サイズを有する、請求項1?13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記因子VIIポリペプチドが、ヒト因子VIIまたは因子VII変異体配列から成る群より選ばれる、請求項1?14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
ウイルスを不活性化させる工程(a)が、ウイルスを除去する工程(b)に先行する、請求項1記載の方法。
【請求項17】
ウイルスを除去する工程(b)が、ウイルスを不活性化させる工程(a)に先行する、請求項1記載の方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2016-10-12 
結審通知日 2016-10-17 
審決日 2016-10-28 
出願番号 特願2006-541943(P2006-541943)
審決分類 P 1 113・ 536- ZAA (C07K)
P 1 113・ 121- ZAA (C07K)
P 1 113・ 113- ZAA (C07K)
最終処分 成立  
特許庁審判長 田村 明照
特許庁審判官 三原 健治
高堀 栄二
登録日 2011-12-02 
登録番号 特許第4874806号(P4874806)
発明の名称 液体因子VII組成物のウイルス濾過  
復代理人 鵜飼 健  
復代理人 辻本 典子  
代理人 前 直美  
代理人 三好 豊  
代理人 河野 直樹  
復代理人 鵜飼 健  
代理人 河野 直樹  
代理人 蔵田 昌俊  
復代理人 辻本 典子  
代理人 田中 浩之  
代理人 蔵田 昌俊  
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