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審決分類 審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する H02B
審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する H02B
審判 訂正 3項(134条5項)特許請求の範囲の実質的拡張 訂正する H02B
審判 訂正 特許請求の範囲の実質的変更 訂正する H02B
管理番号 1343262
審判番号 訂正2018-390077  
総通号数 226 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-10-26 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2018-05-07 
確定日 2018-08-13 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6306701号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第6306701号の明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。 
理由 第1 手続の経緯
本件訂正審判の請求に係る特許第6306701号(以下、「本件特許」という。)についての出願は、2013年7月17日を国際出願日とする外国語特許出願(PCT/US2013/050797(以下、「国際出願」という。) 特願2016-527980号)であって、その請求項1ないし20に係る発明について、平成30年3月16日に特許権の設定登録がされたものである。
そして、平成30年5月7日に本件訂正審判の請求がなされ、同年6月1日付けで訂正拒絶理由が通知され、同年7月12日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 審判請求書及び訂正明細書の補正及びその適否
当審において平成30年6月1日付けの訂正拒絶理由で訂正事項1は特許法第126条第1項ただし書各号のいずれをも目的としたものではない旨を通知した。
特許権者は平成30年7月12日に審判請求書及び訂正明細書を補正する手続補正書を提出した。当該手続補正書による補正の内容は以下のとおりである。

訂正事項1の削除
審判請求書に添付された訂正明細書の段落0017に記載した「クラスタシールド308a-308cは」を、本件訂正審判の請求前の「クラスタシールド308は」に戻すとともに、審判請求書の「6.請求の理由」の欄の(2)ア 訂正事項1、及び(3)ア 訂正事項1を削除する。

上記訂正事項1の削除は審判請求書の要旨を変更するものではない。
したがって、特許法第131条の2第1項の規定に適合するから、上記補正を認める。
これにより、当審による訂正拒絶理由は解消した。

第3 請求の趣旨及び訂正の内容
本件訂正審判の請求の趣旨は、「特許第6306701号の明細書を本件審判請求書に添付した訂正明細書のとおり訂正することを認める、との審決を求める。」というものである。
請求人が求めている訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである。

1 訂正事項2
明細書の段落0017に記載した「アークチャネル120a-10c」を、「アークチャネル120a-120c」に訂正する。

2 訂正事項3
明細書の段落0018に記載した「アークが生じない場合には」を、「アークが生じる場合には」に訂正する。

3 訂正事項4
明細書の段落0019に記載した「アークチャネル120は」を、「アークチャネル120a-120cは」に訂正する。

4 訂正事項5
明細書の段落0031に記載した「ケーブル226を」を、「ケーブル229を」に訂正する。

第4 当審の判断
1 訂正事項2
(1)訂正の目的の適否について
明細書の段落0013、0015及び0016には「アークチャネル120a-120c」という記載があり、【図2】、【図3】及び【図4】には120a、120b及び120cという符号が隣接して記載されている。
よって、明細書の段落0017に記載された「アークチャネル120a-10c」は、「アークチャネル120a-120c」の誤記であることは明白であるから、訂正事項2に係る訂正は、明細書中の明白な誤記を本来の記載に正す訂正である。
したがって、訂正事項2に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号の「誤記又は誤訳の訂正」を目的としたものに該当する。

(2)新規事項の有無について
訂正事項2に係る訂正後の「アークチャネル120a-120c」との記載に関し、国際出願日における国際出願の明細書の段落[0025](明細書の段落0017に対応)には「the arc channels 120a-120c」という記載があるから、訂正事項2に係る訂正は、国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面(以下、「本件国際出願時明細書等」という。)に記載した事項の範囲内のものといえる。
したがって、訂正事項2に係る訂正は、特許法第184条の19の規定により読み替えて適用する同法第126条第5項の規定を満たすものである。

(3)特許請求の範囲の拡張又は変更の有無について
訂正事項2に係る訂正は、明細書中の明白な誤記を本来の記載に正す訂正であるから、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はなく、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。
したがって、訂正事項2に係る訂正は、特許法第126条第6項の規定を満たすものである。

(4)独立特許要件
訂正事項2に係る訂正は、明細書中の明白な誤記を本来の記載に正す訂正であり、訂正事項2による訂正後の特許請求の範囲の請求項1ないし20に係る発明は、拒絶すべき理由を有しないとして特許された訂正前の特許発明と同一であるから、特許出願の際独立して特許を受けることができない発明ではないことは明らかである。
したがって、訂正事項2に係る訂正は、特許法第126条第7項の規定を満たすものである。

2 訂正事項3
(1)訂正の目的の適否について
本件国際出願時明細書等の明細書の段落[0026](明細書の段落0018に対応)の冒頭には「If an arc does occur, the arc channels are designed to prevent the arc from being sustainable by drawing out the arc along a certain geometry including a cross sectional area and a sufficient length L from the energized contact to the exhaust channel. 」と記載されているが、明細書の段落0018の冒頭には「アークが生じない場合には、アークチャネルは、アークをその横断面積及び給電接点から排気チャネルまでの十分な距離Lを含む所定の幾何学寸法に沿って引き伸ばすことによってアークが維持できなくなるように設計される。」と記載されている。
ここで、英文明細書の「If an arc does occur,」の正しい翻訳は「アークが生じる場合には、」と認められるから、本件特許の明細書の段落0018の冒頭の「アークが生じない場合には、」との翻訳は、「アークが生じる場合には、」の誤訳であることは明白である。
そうすると、訂正事項3に係る訂正は、明細書中の明白な誤訳を本来の翻訳に正す訂正である。
したがって、訂正事項3に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号の「誤記又は誤訳の訂正」を目的としたものに該当する。

(2)新規事項の有無について
訂正事項3に係る訂正後の「アークが生じる場合には、」との記載に関し、上記(1)における検討より、訂正事項3に係る訂正は、本件国際出願時明細書等に記載した事項の範囲内のものといえる。
したがって、訂正事項3に係る訂正は、特許法第184条の19の規定により読み替えて適用する同法第126条第5項の規定を満たすものである。

(3)特許請求の範囲の拡張又は変更の有無について
訂正事項3に係る訂正は、明細書中の明白な誤訳を本来の翻訳に正す訂正であるから、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はなく、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。
したがって、訂正事項3に係る訂正は、特許法第126条第6項の規定を満たすものである。

(4)独立特許要件
訂正事項3に係る訂正は、明細書中の明白な誤訳を本来の翻訳に正す訂正であり、訂正事項3による訂正後の特許請求の範囲の請求項1ないし20に係る発明は、拒絶すべき理由を有しないとして特許された訂正前の特許発明と同一であるから、特許出願の際独立して特許を受けることができない発明ではないことは明らかである。
したがって、訂正事項3に係る訂正は、特許法第126条第7項の規定を満たすものである。

3 訂正事項4
(1)訂正の目的の適否について
明細書の段落0013、0015及び0016には「アークチャネル120a-120c」という記載があり、【図2】、【図3】及び【図4】には120a、120b及び120cという符号が記載されている。
よって、明細書の段落0019に記載された「アークチャネル120」は、「アークチャネル120a-120c」の誤記であることは明白であるから、訂正事項4に係る訂正は、明細書中の明白な誤記を本来の記載に正す訂正である。
したがって、訂正事項4に係る訂正は、特許法第126条ただし書第2項の「誤記又は誤訳の訂正」を目的としたものに該当する。

(2)新規事項の有無について
訂正事項4に係る訂正後の「アークチャネル120a-120c」との記載に関し、本件国際出願時明細書等の明細書の段落[0021]、[0023]、[0024]及び[0025](明細書の段落0013、0015、0016及び0017に対応)には「arc channels 120a-120c」という記載があるから、訂正事項4に係る訂正は、本件国際出願時明細書等に記載した事項の範囲内のものといえる。
したがって、訂正事項4に係る訂正は、特許法第184条の19の規定により読み替えて適用する同法第126条第5項の規定を満たすものである。

(3)特許請求の範囲の拡張又は変更の有無について
訂正事項4に係る訂正は 、明細書中の明白な誤記を本来の記載に正す訂正であるから、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はなく、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。
したがって、訂正事項4に係る訂正は、特許法第126条第6項の規定を満たすものである。

(4)独立特許要件
訂正事項4に係る訂正は、明細書中の明白な誤記を本来の記載に正す訂正であり、訂正事項4による訂正後の特許請求の範囲の請求項1ないし20に係る発明は、拒絶すべき理由を有しないとして特許された訂正前の特許発明と同一であるから、特許出願の際独立して特許を受けることができない発明ではないことは明らかである。
したがって、訂正事項4に係る訂正は、特許法第126条第7項の規定を満たすものである。

4 訂正事項5
(1)訂正の目的の適否について
明細書の段落0030には「ケーブル229」及び「上部導管226a-226c」という記載があり、【図7】には上方にある上部導管226b及び226cと、下方にある遮断機220の間を接続するように、ケーブル229が描かれている。
よって、明細書の段落0031に記載された「遮断機220とそれぞれの導管226b,226cとの間でケーブル226を経路指定する」の「ケーブル226」は「ケーブル229」の誤記であることは明白であるから、訂正事項5に係る訂正は、明細書中の明白な誤記を本来の記載に正す訂正である。
したがって、訂正事項5に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号の「誤記又は誤訳の訂正」を目的としたものに該当する。

(2)新規事項の有無について
訂正事項5に係る訂正後の「ケーブル229」との記載に関し、本件国際出願時明細書等の明細書の段落[0038](明細書の段落0030に対応)には「cables 229」という記載があるから、訂正事項5に係る訂正は、本件国際出願時明細書等に記載した事項の範囲内のものといえる。
したがって、訂正事項5に係る訂正は、特許法第184条の19の規定により読み替えて適用する同法第126条第5項の規定を満たすものである。

(3)特許請求の範囲の拡張又は変更の有無について
訂正事項5に係る訂正は、明細書中の明白な誤記を本来の記載に正す訂正であるから、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はなく、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。
したがって、訂正事項5に係る訂正は、特許法第126条第6項の規定を満たすものである。

(4)独立特許要件
訂正事項5に係る訂正は、明細書中の明白な誤記を本来の記載に正す訂正であり、訂正事項5による訂正後の特許請求の範囲の請求項1ないし20に係る発明は、拒絶すべき理由を有しないとして特許された訂正前の特許発明と同一であるから、特許出願の際独立して特許を受けることができない発明ではないことは明らかである。
したがって、訂正事項5に係る訂正は、特許法第126条第7項の規定を満たすものである。

第5 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正審判に係る訂正は、特許法第126条ただし書第2号に掲げる事項を目的とするものであり、同法第184条の19の規定により読み替えて適用する同法第126条第5項並びに同法第126条第6項及び第7項の規定を満たすものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
電気機器のための内部アーク管理及び換気
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、本明細書では一般にキャビネットと称される筐体(このような筐体は本発明の利益を得るためにドアを持つ必要はない)に含まれる配電装置と導体に関する。本発明は、特に電気キャビネット内の予期せぬアーク障害の影響を電気筐体用のトンネル換気及び消弧システムによって受動的に抑制及び制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電気キャビネット内の不測の及び/又は無制御のアーク放電事象の危険性(アーク障害とも称される)は周知であり、アークフラッシュ及びアークブラストにより生じる機器への潜在的な損害及び操作環境内の人員への傷害が含まれる。従来より受動的な制御方法と能動的な制御方法の両方が知られている。受動的な方法は、キャビネットからのアークブラストエネルギーとガスを定方向に排出する手段を含み得る。他の受動的な方法は、爆発に耐えるようにキャビネットの構造を強化する手段を含み得る。上記の受動的な方法のどちらも、障害期間を制限するものでなく、また既存のスイッチギヤキャビネットに容易にレトロフィットし得るものでもない。能動的な方法は、電流を制御するために、何らかの検出及びスイッチングメカニズムを含む。能動的な方法に対する懸念は、費用、ニューサンストリップ、スピード、検出されないシステム障害が含まれ得る。当然のことながら、アークが速く制御されるほど、アーク事象による傷害は少なくなると考えられる。
【発明の概要】
【0003】
電気キャビネット内部のアーク事象を制御し消弧する高速で経済的な受動的メカニズムが当該技術分野において望まれている。この目的のために、本発明は、様々な態様及び実施形態において、キャビネット内のアークを生じやすい場所(例えば導体と機器の間の電気的接続点又は近接点)を取り囲む、導体の誘電性包囲体(本明細書では一般的に「アークチャネル」と称する)を提供するアーク管理システムを教示し、提供する。アークチャネルはその後、チャンバとして機能しアークを消滅されるまで保持する幾何学構造を構成する排気チャネル、例えばプレナムに結合することができる。アークチャネル及び排気チャネルは初期アークを引き延ばし、好ましくはアークが消滅されるまで電流及び温度を減衰させる。
【0004】
いくつかの実施形態では、アークチャネル及び排気チャネルは、好ましくは対向配置し得る障壁を有するケース部材により形成されたトンネルであり、気密シールの個別の平行6面体又は他の多面体構造をなす。いくつかの実施形態では、アークチャネル及び排気チャネルは、好ましくは重複する障壁を有するケース部材により形成された箱であり、気密シールのない個別の平行6面体又は他の多面体構造をなす。アーク及び排気チャネル構造は基本的に管状であると考えられるため、説明をわかりやすくするために曲面について一般に使われる用語が本明細書においても使用されることがある。
【0005】
更に、排気チャネルを装置の換気システムに組み込むことができるため、筐体の働きを冷却器とすることができ、より良い性能をより少ない材料消費でもたらすことができる。アーク管理構造と換気構造を組み合わせることによって、両方の利点を電気筐体の典型的な限定空間内で組み合わせて利用することができる。従って、例えば落下した道具や害獣などの導体による不慮の短絡の発生に対する物理的な障壁によるアーク防止手段と、アークを引き伸ばし保持することによって電流と熱を減少させるようにサイズを設定され、位置づけられ、配置されたアークチャネルと排気チャネルによってアークを消滅又は減衰する手段と、を含むアーク管理システムによっていくつかの利点が提供され得る。
【0006】
様々な態様において、本発明は種々の取り付け構造及び筐体内の固定の遮断器又はドローアウト(引出し型)遮断器に容易に適応可能な受動アーク減衰手段を備えたアーク管理及び換気システムを提供することができる。当業者は、本発明によれば、「遮断器」によって安全スイッチ、モータ制御装置等の様々な部品や電気制御又は導体の近接点も安全に収容及び管理することができることを理解されよう。
【0007】
本発明の上述の及び追加の態様及び実施形態は、本明細書の様々な実施形態及び/又は態様の詳細な説明を考慮するとともに図面及びその簡単な説明を参照すれば当業者に明らかであろう。
【0008】
本発明は添付図面と関連する以下の説明を参照すると最もよく理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一つの適切な環境の模範的な実施形態による、回路遮断器セクション及びバスセクションを有するスイッチギヤキャビネットの斜視図である。
【図2】背面にて共通の煙突構造により連結されたドローアウト回路遮断器の正面斜視図である。
【図3】遮断器コンパートメントのバックモールドをその導体接続とともに示す概略正面図である。
【図4】図3のバックモールドで所定の位置に置かれた遮断器の概略底面図である。
【図5】チュービング吸気及び排気チャネルを備えたドローアウト回路遮断器のシャーシ及びバックモールドの背面斜視図である。
【図6】ドローアウト回路遮断器のシャーシ及びバックモールドの前面斜視図で、共通排気チャネルを備えた換気構造を示す。
【図7】カバーが除去された、固定の回路遮断器を含む矩形の電気筐体の斜視図である。
【図8A】固定の回路遮断器を含む漏斗形の電気筐体のベース部の斜視図である。
【図8B】図8Aの電気筐体のカバープレートの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1を参照すると、当該技術分野で一般に知られているスイッチギヤキャビネット100の形態の電気キャビネットが示され、該キャビネットは、回路遮断器又は他の電気機器を含む遮断器セクション101と、電力を種々の電気機器に分配するバスセクション102と、ライン電力を受け取り分配するケーブルセクション103とを有する。スイッチギヤキャビネット100又はその一セクションは、従来知られているように電気装置の種々の部分又は導体を外部環境から保護するキャビネットとして役立ち得る。本明細書で使用する「キャビネット」は場合によっては別のより大きなキャビネット内の保護筐体であってもよい。いくつかの遮断器コンパートメント105a-105dは遮断器セクション101内に垂直方向に積み重ねられ、各ドローアウト遮断器(図2)は他の2つのセクション102,103からの電力供給部と接触及び離接触するように遮断器を移動させるためのドローアウトシャーシを受け取る構造を有する。
【0011】
このタイプのキャビネット100の構成は空気流を減少させ、遮断器から遮断器へ垂直方向に熱を移動させる。例えば、冷たい空気流Aminがキャビネット100の底部吸気口107から入り、垂直方向に移動し、上部排気口109から出る間にAmaxに温まる。空気流がそれぞれの遮断器コンパートメント105a?105dのコンパートメント通気口111a-111dを通って移動するにつれて、空気流の温度は第1の遮断器コンパートメント105aにおけるA1から第2のコンパートメント105bにおけるA2に上昇し、以下同様に、空気流が上部通気口109を経て出ていくまで上昇する。
【0012】
また、このタイプのキャビネット100はより良いアーク管理を使用することができる。アークは縮小間隔の導体が障壁無しで給電されることにより起こりやすい。これまで、近接相の電気導体は一般に、アーク障害事象時にアークの減衰及び/又は遮断を助けることができる障壁が欠けていた。
【0013】
図2も参照すると、2012年4月20日に出願された本出願人シュナイダーエレクトリック社の米国特許出願第13/452,145号(代理人整理番号CRC-0266)では、キャビネット100内の空気流を増やし熱の蓄積を減少させるために、ドローアウト遮断器122a-122cの背後の背面内に3つの相の各々に対して共通の煙突通気口を有する個別のアークチャネル120a?120cが付加されている。ドローアウト遮断器122a-122cはキャビネット100のそれぞれの遮断器コンパートメント105a-105c内に挿入可能である。しかしながら、この構成配置では、依然として熱が垂直方向に蓄積され上部の遮断器が許容し得ないレベルになり得る。
【0014】
耐アーク性はアーク長に正比例し、アーク(チャネル)の断面積に逆比例することが確かめられている。従って、本発明においては、断面積の縮小よりもアークの引き延ばしを活用することによって、耐アーク性をアークが自己消弧する点まで増大させることを可能にする。本発明の排気プレナムは更にアーク生成物をキャビネットから出る前により低い温度まで冷やすことを可能にする。
【0015】
図3及び図4を参照すると、ドローアウト遮断器300のためのそれぞれの電気相A-Cに対応するそれぞれのアークチャネル120a-120cで実施される一つのドローアウト遮断器コンパートメント、例えば105a、の背面部又はバックモールド108の代表的な構成が示されている。アークチャネル120a-120cは吸気口チャネル130及び排気口チャネル132を含む換気チャネルと流体連通している。
【0016】
本例の吸気口チャネル130は吸気口107から逆流防止弁134を通して空気流Aminを受け取る。逆流防止弁134(及び/又は他の任意選択のフィルタ)はアーク生成物が吸気口107から出るのを防止する。吸気口チャネル130と同様に、本例の排気チャネル132はすべてのアークチャネル120a-120cからの空気流を受け取る排気共通プレナムである。この空気流は上部排気口109を経てキャビネット100の外部に連続し、Amax’として出て行く。排気チャネル132は回路遮断器(図3には示されてない)のためのライン側バス接続部142bの近くに位置し、アークチャネル120a-120cの排気端から受け取られるアークガスのための煙突として作用する。従って、排気チャネル132は一以上の相A-Cで生成されるアーク生成物を受け取ることができるガス混合プレナムとして作用する。
【0017】
図4は、本発明の一態様によるドローアウト遮断器300及びバックモールド108の概略図であり、遮断器300の背面にあるクラスタシールド308a-308cと関連するバックモールド108の固定の障壁140を示している。クラスタシールド(まとめて308で示す)は、3つの相A-Cの各々のドロ-アウト回路遮断器300のライン及び負荷コネクタ(クラスタとも称される)302a-302cを取り囲む平行6面体構造である。遮断器300が図4に示す「係合」位置にあるとき、電気コネクタ302a-302cは、バックモールド108の背面306に取り付けられた負荷及びライン接続のためのそれぞれのバスコネクタ142a及び142bとそれぞれ係合する。クラスタシールド308はバックモールド108の固定の障壁140内に密接に嵌合し、各相に対して得られる重複する障壁はアークチャネル120a-120cを形成し、これらのチャネルは各相A-Cに共通の上部チャネル、即ち排気チャネル132(図3)により排気される。
【0018】
アークが生じる場合には、アークチャネルは、アークをその横断面積及び給電接点から排気チャネルまでの十分な距離Lを含む所定の幾何学寸法に沿って引き伸ばすことによってアークが維持できなくなるように設計される。この幾何学寸法は、アーク事象時のアークチャネル及び排気チャネルを形成する材料の昇華の支援をうけて、アークを消弧し再点弧させない負のエネルギーバランスを形成する。所望の昇華のために必要に応じてある種の熱可塑性ポリエステル、熱可塑性プラスチック又はバルカナイズドファイバを使用することもできる。従って、アークチャネルを形成する適切な材料の固定の障壁140及びそれらに取り付けられた排気チャネル、例えば排気チャネル132のプレナムによって、本発明によれば、従来のように能動的なアーク消弧装置によってアークを消去する必要がなくなる。
【0019】
固定の障壁140は相A-Cの間、相A-Cのいずれかと接地との間、電力ラインと(回路遮断器、接点又はスイッチなどの装置のための)負荷端子との間、(バスバー等の装置のための)電力コネクタ、絶縁ケーブル、又はラグの間に設置することができる。固定の障壁140は、異なる電位の給電表面と接地表面との間の通気露出を除去もしくは低減することによって、相-接地間アーク又は相間アークが最初に発生する機会を低減するように設計される。固定の障壁140とクラスタシールド308とにより形成されるアークチャネル120a-120cは相A-Cの間に機械的且つ電気的分離を提供し、相A-C間の最短通路に沿うQ方向の持続性直接相間アークの発生を防止する(図3)。代わりに、アークガスはQ方向の最短通路に直角のR方向に流れ、自己消弧動作を促進するために長さLに亘って分離されたままにされる。ガスはアーク減衰距離Lの終点において共通プレナム及びアークプラズマ保持チャンバとして機能する排気チャネル132内で混合が許される。
【0020】
従って、遮断器コンパートメント内の各相はアークチャネルで必要な程度まで誘電的に互いに分離され、それらのアークチャネルは共通排気プレナムに結合され、熱レベルを上部のプレーカへ増加させない冷却チャネルをもたらす。各遮断器コンパートメントに自己の換気及びアーク遮断チャネルを設け、且つ各相を共通のプレナムにより吸気及び排気することによって、自己消弧動作を犠牲にすることなく、図2の煙突システムに優る冷却動作をキャビネット100に対して得ることができる。
【0021】
更に以下で述べるように、吸気口、プレナム及び排気口を用いるスルー換気の多くの変形例をドローアウト遮断器、固定遮断器又はプラグオン遮断器等の種々の回路遮断器において実施することができる。換気チャネルは遮断器の前部、背部、底部又は側部に又はから導入もしくは導出することができる。例えば、図5を参照すると、ドローアウト回路遮断器150は相A-Cの各々に対応する吸気口チャネル152a-152cを含んでいる。
【0022】
吸気口チャネル152a-152cは誘電性のポリビニルクロライド(PVC)管からなるものとすることができ、遮断器シャーシ150の特定の設計要件に従って微調整される。例えば、吸気口チャネル152a-152cは、垂直部分156a-156cに結合する肘結合部を有する水平部分154a-154cを含む。吸気口チャネル152a-152cの形状及び寸法は電気筐体の冷却部からの空気流を受け入れるのに有用である。従って、吸気口チャネル(形状及び寸法が特定の設計要件に従って設計されている)なければ、受け入れられた空気流は遮断器シャーシ150の近傍で比較的高温の空気流になり得る。PVCチュービングにより得られる他の利点は、吸気口チャネル152a-152cを電気機器及び/又は電気筐体に対する更なる変更を必要とすることなく既存の電気機器にレトロフィットすることができ、筐体内の各遮断器に個別のアーク減衰及び換気装置を設けることができる点にある。よって、垂直積み重ね遮断器用の相共通煙突とは異なり、各遮断器コンパートメントがアーク遮断機能を維持しながら個別に換気することができる。
【0023】
遮断器シャーシ150は更に、回路遮断器150から外部へ出る空気流を導く排気チャネル160a,160bを含む。第1の排気チャネル160bは遮断器シャーシ150の相A及び相Cの両方からの空気流を受け取る共通チャネルである。第2の排気チャネル160aは遮断器シャーシ150の対応する相Bのみからの空気流を受け取る専用のチャネルである。相A及びCからの空気流を結合するために、2つのPVC管部分162a、162cが遮断器シャーシ150と排気点166bとの間の共通部分164aに結合される。各管部分162a,162cは閉鎖されたバックモールド(図4)内の遮断器のそれぞれのアークチャネルに結合される。一方、第1の排気チャネル160bは相Bの排気アークチャネル120bに連続する連続PVC管部分162bを含む。第2の排気チャネル160aは自身の排気点166aで終端する。
【0024】
排気チャネル160a,160bは、熱傷の危険性を除去するのみならずその可能性を低減し且つ又アークを遮断するために遮断器排気を排出するのに有用である。排気チャネル160a、160bを経て排気されるプラズマ、ガス、爆発生成物などのアーク生成物は、排気チャネル160a,160bを経て所定の長さ移動した後に許容レベルまで冷えることが期待される。更に、本発明の排気チャネルは遮断器トリッピング排気を捕捉するように構成することができ、それによって全国防火協会(NFPA)標準又は電気電子技術者境界(IEEE)標準などの既存の工業標準でもカバーされていない保護を提供することができる。
【0025】
図6を参照すると、異なる構成の電気装置の排気チャネルを提供するPVCチュービングが実装されており、この電気装置は、3極遮断器を収容するための下部の3極3相シャーシ200と、6極3相遮断器を収容するための上部の6極3相シャーシ201を含む。3相シャーシ200は相A-C(相A及びBのみを示す)の各相を取り囲むアークチャネルに対応する3つの吸気口チャネル202a-202cを含む。これらのアークチャネルからの空気流は共通の垂直排気口チャネル206に結合された水平に位置する単一の排気チャネル204に導かれる。
【0026】
6極3相シャーシ201は、極A-F(極A-Eのみを示す)の各極を取り囲むアークチャネルにつながる6個の吸気口チャネル208a-208fを含む。吸気口チャネル208a-208fからの空気流は最終的には、共通の垂直排気口チャネル206に結合された水平に位置する単一の排気チャネル210に流入する。
【0027】
従って、電気的構成は任意の数の吸気及び排気チャネルを含むことができる。上記の例によれば、吸気及び排気チャネルの数を相の数より少なくすることができる。更に、電気的構成のチュービングは導管に昇華材料を使用することができるとともに、任意の断面形状、例えば円形又は矩形にすることもできる。
【0028】
正常動作中に、吸気口チャネル208a-208f及び排気チャネル210及び204は冷却空気流を閉鎖電気導体(例えば、回路遮断装置のライン側導体及び/又は負荷側導体)の周囲に供給する。アーク放電状態では、同じ吸気口チャネル202a-202c及び208a-208fと排気チャネル210及び204が受動的なアーク減衰及びアーク生成物の排気のために導体を取り囲むアークチャネルと結合される。
【0029】
図7を参照すると、固定回路遮断器のようなモールドケース遮断器用の電気筐体内に固定障壁を有するアークチャネルが実装されている。例えば、3相回路遮断器230が電気筐体222内に封入され、各相A-Cは個別のアークチャネル221a-221cを有する。アークチャネル221a-221cは、筐体側壁223a,223bと、アークを減衰及び/又は遮断するために相A-Cを分離する下部固定障壁224a、224bとによって部分的に画定される。相補的トップピース(図示せず)が筐体222を完成させ、固定障壁を気密に密封してアークチャネルを形成する。下部固定障壁224a,224bは遮断器220から共通排気チャネル231内まで距離Lに亘って延在し、各相に十分なアークチャネルを提供する。
【0030】
筐体222は3つの上部導管226a-226cと1つの底部導管228に取り付けられる。2つの直立上部導管226b,226cは、筐体222内に挿入され、各相A-Cのアークチャネルを経由して遮断器220に接続される電力ケーブル229を収容する。左側の上部導管226aは排気口チャネルとして機能し、底部導管228は結合目的の吸気口チャネルとして機能する。
【0031】
下部固定障壁224a,224bと上部固定障壁230a,230bはともに相補的トップピースの固定点を提供するとともに、遮断器220とそれぞれの導管226b,226cとの間でケーブル229を経路指定する物理的な通路を提供する。しかしながら、本例では、下部固定障壁224a,224bのみが(相補形の上蓋部分とともに)各相の周りにアークチャネルを形成する。下部固定障壁224a、224bと上部固定障壁230a,230bとの間の排気チャネル231内でガス混合が許される。
【0032】
図8A及び8Bを参照すると、非矩形、例えば漏斗形を有する電気筐体内に固定障壁を有するアークチャネルが実装されている。この実施形態によれば、電気筐体240(図8A)は、漏斗形である点を除いて、図7につき述べた筐体222に全体的に類似する。図8Bは相補形の上蓋部分又はカバープレートである。図7とは相違して、取り付けられたケーブル及び導管は示されていない。
【0033】
具体的には、筐体240は真直低端部の近くに固定回路遮断器242を収容し、1つの相につき1つのアークチャネル244a-244cを含む。アークチャネル244a-244cは、左側壁246a、左障壁246b、右障壁246c、及び右側壁246dにより画成される。障壁246b,246cの長さLは、遮断器242の動作時に導体ラグ248で発生する可能性のあるアークを適切に減衰及び/又は遮断するために、アークチャネル224a-244c間の分離を導体ラグ248から十分な長さに亘って維持するように決定される。
【0034】
筐体240は更に、排気チャネルのため並びに電力ケーブル(図示せず)の挿通及び収容のため及び筐体240内の加熱された空気の排出のために大きな内部空間を提供する、2つの外側に開いた側壁250a,250bを有する漏斗形上端部を含む。漏斗形端部はそれぞれの導管(図示せず)に結合するために3つの孔252a-252cを有する上壁251を有する。孔252a-252cの各々は結合された導管を通してそれぞれの電力ケーブルを受け入れることができる。また、孔252a-252cの少なくとも1つは加熱された空気を筐体240から排出するための専用の排気口として機能させることもできる。
【0035】
筐体240は、それを封鎖するよう作用し、アークチャネル244a-244cの幾何学形状を形成するカバープレート260(図8B)も含む。カバープレート260は、例えば側壁246a,246d,250a,250b及び/又は障壁246c、246dに取付けるための固定孔262を有する。カバープレート260は筐体240の内部へのアクセスを提供するために取り外し可能である。明瞭のために図示してないが、図7の筐体222にも類似のカバープレートが設けられる。
【0036】
概して、本発明の各実施形態は、回路遮断器や他の構成要素における電気導体結合部、即ち導体区分が互いに結合される結合部、を取り囲む管状の誘電体障壁であるアークチャネルを有する。図示の実施形態によれば、アークチャネルは、低温空気流Aminを受け入れる底部導体領域から高温空気流Amax’をプレナム又は排気口に排出する上部領域まで延在する壁セグメントとすることができる。プレナムは、導体領域からアークチャネルにより十分に離されている限り、複数の相に共通にすることができる。他の例では、アークチャネルは遮断器の導体結合部の近くにのみ位置させることができる(例えば、図7参照;それぞれのケーブル229を遮断器220に接続するラグ225a-225cの形態の導体結合部が示されている)。
【0037】
アークチャネル及び結合排気チャネルは一以上の導体結合部で起こり得るアークを受動的に減衰及び/又は遮断するのに有用である。例えば、本発明によるシステムはたぶん1電流サイクル(60ヘルツで16.66ミリ秒)以内にアークを受動的に遮断することができる。一般に500ミリ秒以上の全試験時間を要する工業試験に基づけば、その時間の短縮(約50分の一)は、発生されるプラズマの量、全体的な熱傷危険性及び電気機器への損傷量が減少するために重要である。
【0038】
本発明の特定の実施形態、態様及び応用例を開示し説明したが、本発明は開示された正確な構造及び構成に限定されず、以上の記載から、添付の請求項で特定される本発明の精神及び範囲から逸脱することなく様々な修正、変更及び変形が明らかであり得る。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2018-07-19 
結審通知日 2018-07-23 
審決日 2018-08-03 
出願番号 特願2016-527980(P2016-527980)
審決分類 P 1 41・ 855- Y (H02B)
P 1 41・ 854- Y (H02B)
P 1 41・ 852- Y (H02B)
P 1 41・ 856- Y (H02B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 関 信之  
特許庁審判長 大町 真義
特許庁審判官 尾崎 和寛
内田 博之
登録日 2018-03-16 
登録番号 特許第6306701号(P6306701)
発明の名称 電気機器のための内部アーク管理及び換気  
代理人 粟野 晴男  
代理人 粟野 晴夫  
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