• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部無効 1項1号公知  A63F
審判 全部無効 2項進歩性  A63F
審判 全部無効 1項2号公然実施  A63F
管理番号 1343274
審判番号 無効2016-800041  
総通号数 226 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-10-26 
種別 無効の審決 
審判請求日 2016-04-01 
確定日 2018-08-02 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第3295771号発明「遊戯装置、およびその制御方法」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第3295771号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、5〕、8について訂正することを認める。 特許第3295771号の請求項2乃至4,6,7,9乃至12に係る発明についての審判請求を却下する。 特許第3295771号の請求項1,5,8に係る発明についての審判請求は,成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
手続の経緯の概要は以下のとおりである。
平成 6年 5月31日 出願(特願平6-119347号)
平成14年 2月 5日 特許査定
平成14年 4月12日 設定登録(特許第3295771号)
平成27年 9月 9日 訂正審判の請求
平成27年12月 3日 審決(訂正を認める)
平成28年 4月 1日 本件無効審判の請求
証拠説明書(1)
平成28年 6月17日 答弁書(被請求人)
平成28年10月 3日 口頭審理陳述要領書(請求人)
証拠説明書(2)
平成28年10月 3日 口頭審理陳述要領書(被請求人)
平成28年10月17日 口頭審理
平成28年10月31日 上申書(請求人)
平成28年10月31日 上申書(被請求人)
平成29年 5月25日 訂正請求書
平成29年 5月25日 上申書(被請求人)
平成29年 7月 5日 弁駁書(請求人)

第2 訂正の可否に対する判断
1 請求の趣旨
平成29年5月25日に提出された訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は,本件特許第3295771号(以下「本件特許」という。)の願書に添付した明細書及び特許請求の範囲を,訂正請求書に添付した訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり,請求項1乃至7,請求項8乃至12のそれぞれ一群の請求項ごとに訂正することを求めるものである。
そして,その訂正内容は,以下のとおりである(下線は,当審で付した。以下も同じ。)。

2 訂正の内容
(1)請求項1乃至7からなる一群の請求項に係る訂正
訂正事項1
特許請求の範囲の請求項2乃至4,6,7を削除する。

訂正事項2
特許請求の範囲の請求項5の「上記請求項1ないし4のいずれかに記載の遊戯装置において,」とあるのを,「上記請求項1に記載の遊戯装置において,」に訂正する。

(2) 請求項8乃至12からなる一群の請求項に係る訂正
訂正事項3
特許請求の範囲の請求項9乃至12を削除する。

3 当審の判断
(1)請求項1乃至7からなる一群の請求項に係る訂正
ア 訂正事項1について
訂正事項1は請求項の削除であるため,特許請求の範囲の減縮に該当し,特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に掲げる事項を目的とするものである。
そして,当該訂正事項は特許明細書に記載された事項の範囲内のものであり,また,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではないから,特許法第134条の2第9項において準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

イ 訂正事項2について
訂正事項2は,本件特許請求の範囲を訂正事項1のとおりに訂正したことに伴い,訂正された特許請求の範囲の記載と整合性を取るために,請求項5が引用する請求項を削除されない請求項1のみとするものであって,明瞭でない記載の釈明に該当し,特許法第134条の2第1項ただし書き第3号に掲げる事項を目的とするものである。
そして,当該訂正事項は,引用する請求項を一部削除したものであるから,新規事項の追加に該当せず,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもないから,特許法第134条の2第9項において準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

ウ 一群の請求項について
特許請求の範囲の請求項1乃至7は,請求項1乃至3の記載を請求項4乃至7が直接又は間接的に引用するものであるから,一群の請求項である。
そして,本件の訂正請求は,請求項1乃至7からなる一群の請求項ごとに特許請求の範囲の訂正を請求するものであるから,特許法第134条の2第3項の規定に適合する。

エ 小括
したがって,請求項1乃至7からなる一群の請求項についての訂正は,特許法第134条の2ただし書き第1号又は3号に掲げる事項を目的とし,かつ,特許法第134条の2第9項において準用する特許法第126条5項及び第6項の規定に適合するので,当該訂正を認める。

(2) 請求項8乃至12からなる一群の請求項に係る訂正
ア 訂正事項3について
訂正事項3は請求項の削除であるため,特許請求の範囲の減縮に該当し,特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に掲げる事項を目的とするものである。
そして,当該訂正事項は特許明細書に記載された事項の範囲内のものであり,また,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではないから,特許法第134条の2第9項において準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

イ 一群の請求項について
特許請求の範囲の請求項8乃至12は,請求項8乃至10の記載を請求項11及び12が直接又は間接的に引用するものであるから,一群の請求項である。
そして,本件の訂正請求は,請求項8乃至12からなる一群の請求項ごとに特許請求の範囲の訂正を請求するものであるから,特許法第134条の2第3項の規定に適合する。

ウ 小括
したがって,請求項8乃至12からなる一群の請求項についての訂正は,特許法第134条の2ただし書き第1号に掲げる事項を目的とし,かつ,特許法第134条の2第9項において準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので,当該訂正を認める。

3 訂正請求についてのまとめ
以上のとおり,請求項1乃至7からなる一群の請求項に係る訂正及び請求項8乃至12からなる一群の請求項に係る訂正は,特許法第134条の2ただし書き第1号又は3号に掲げる事項を目的とし,また,特許法第134条の2第9項において準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので,当該訂正を認める。

第3 請求人の主張及び証拠方法
1 請求人の主張
請求人は,審判請求書において,「特許第3295771号の請求項1乃至12に係る特許(以下「特許第3295771号の請求項1乃至12に係る特許を,請求項の項番にしたがって「本件発明1」?「本件発明12」という。)を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め」(請求の趣旨),以下の理由により,本件発明1乃至12は特許を受けることができないものであるから,特許法第123条第1項第2号の規定により無効にされるべきである旨主張し,証拠方法として甲第1?21号証を提出した。

2 請求の理由の概要
(1)無効理由1-1
本件発明1及び8は,本件特許の出願前に日本国内において公然知られた発明又は公然実施された発明(以下,「公知発明」という。)であるから,特許法第29条第1項第1号又は同第2号により特許を受けることができないものであるから,特許法第123条第1項第2号に該当し無効とすべきである。
(2)無効理由1-2
本件発明1及び8は,公知発明及び周知技術Y1に基づいて,本件特許の出願前に,当業者が容易に発明できたものであり,特許法第29条第2項により特許を受けることができないものであるから,特許法第123条第1項第2号に該当し無効とすべきである。
(3)無効理由2-1
請求書による請求の根拠は,「本件発明2及び9は,公知発明であるから,特許法第29条第1項第1号又は同第2号により特許を受けることができないものであるから,特許法第123条第1項第2号に該当し無効とすべきである。」となっているが,訂正により請求項2及び9が削除されたから,当該請求項に係る審判請求を却下した。
(4)無効理由2-2
請求書による請求の根拠は,「本件発明2及び9は,公知発明及び甲第11号証に記載された発明(以下,「甲11発明」という。)に基づいて,本件特許の出願前に,当業者が容易に発明できたものであり,特許法第29条第2項により特許を受けることができないものであるから,特許法第123条第1項第2号に該当し無効とすべきである。」となっているが,訂正により請求項2及び9が削除されたから,当該請求項に係る審判請求を却下した。
(5)無効理由3-1
請求書による請求の根拠は,「本件発明3及び10は,公知発明であるから,特許法第29条第1項第1号又は同第2号により特許を受けることができないものであるから,特許法第123条第1項第2号に該当し無効とすべきである。」となっているが,訂正により請求項3及び10が削除されたから,当該請求項に係る審判請求を却下した。
(6)無効理由3-2
請求書による請求の根拠は,「本件発明3及び10は,公知発明及び甲第12号証に記載された発明(以下,「甲12発明」という。)に基づいて,本件特許の出願前に,当業者が容易に発明できたものであり,特許法第29条第2項により特許を受けることができないものであるから,特許法第123条第1項第2号に該当し無効とすべきである。」となっているが,訂正により請求項3及び10が削除されたから,当該請求項に係る審判請求を却下した。
(7)無効理由4
請求書による請求の根拠は,「本件発明4は,公知発明,甲11発明,甲12発明及び周知技術Y2に基づいて,もしくは,公知発明,甲11発明,甲12発明,甲第18号証に記載された発明(以下,「甲18発明」という。)及び甲第19号証に記載された発明(以下,「甲19発明」という。)に基づいて,本件特許の出願前に,当業者が容易に発明できたものであり,特許法第29条第2項により特許を受けることができないものであるから,特許法第123条第1項第2号に該当し無効とすべきである。」となっているが,訂正により請求項4が削除されたから,当該請求項に係る審判請求を却下した。
(8)無効理由5
本件発明5は,公知発明,周知技術Y1,甲11発明,甲12発明,周知技術Y2,甲第13の1号証及び甲第13の2に記載された発明(以下,「甲13発明」という。)並びに甲第14号証に記載された発明(以下,「甲14発明」という。)に基づいて,本件特許の出願前に,当業者が容易に発明できたものであり,特許法第29条第2項により特許を受けることができないものであるから,特許法第123条第1項第2号に該当し無効とすべきである。
(9)無効理由6
請求書による請求の根拠は,「本件発明6,7,11及び12は,公知発明,周知技術Y1,甲11発明,甲12発明,周知技術Y2,甲13発明,甲14発明並びに甲第15の1号証乃至甲第15の3に記載された発明(以下,「甲15発明」という。)に基づいて,本件特許の出願前に,当業者が容易に発明できたものであり,特許法第29条第2項により特許を受けることができないものであるから,特許法第123条第1項第2号に該当し無効とすべきである。」となっているが,訂正により請求項6,7,11及び12が削除されたから,当該請求項に係る審判請求を却下した。

甲第1号証?15号証の概要は以下のとおりである。
(ア) 甲第1号証:「ニンジャウォーリアーズゲーム装置の構成」について,請求人代理人が作成した文書(作成日:平成27年7月3日)
(イ) 甲第2号証:株式会社アミューズメント通信社,1988年3月1日発行「ゲームマシン第327号」
(ウ) 甲第3の1号証:「『ニンジャウォーリアーズ』証拠ビデオ撮影環境」について,請求人代理人が作成した文書(作成日:平成27年7月3日)
(エ) 甲第3の2号証:時計アプリケーションである「EMERALD TIME」のアイコン及び実行画面について,請求人代理人が作成した文書(作成日:平成27年7月3日)
(オ) 甲第3の3号証:時計アプリケーションである「EMERALD TIME」の仕様について,Emerald Sequoia LLC(印刷日:平成27年5月26日),http://emeraldsequoia.com/et/index.html
(カ) 甲第3の4号証:地震計アプリケーションである「iSeismometer」のアイコン,実行画面及び設定画面について,請求人代理人が作成した文書(作成日:平成27年7月3日)
(キ) 甲第4号証:ニンジャウォーリアーズのゲームの進行を撮影したCD-R,請求人代理人による作成(撮影日:平成27年3月15日,編集日:平成27年5月26日)
(ク) 甲第5号証:ニンジャウォーリアーズのゲームの進行を撮影したCD-R,請求人代理人による作成(撮影日:平成27年12月22日)
(ケ) 甲第6号証:地震計アプリケーションである「iSeismometer」の動作を撮影したDVD+R,請求人代理人による作成(編集日:平成27年5月26日)
(コ) 甲第7の1号証:「報告書」,請求人代理人が作成した文書(作成日:平成28年1月29日)
(サ) 甲第7の2号証:「ボディソニックによる効果音,ドキュメンタリー音などの臨場感再現効果」,体感音響研究所 小松明(文書中に1999年3月の表記あり),http://bodysonic.cc/technology/documentary.htm
(シ) 甲第8号証:実願平3-38665号(実開平6-34693号)のCD-ROM
(ス) 甲第9号証:実願平4-6906号(実開平5-58184号)のCD-ROM
(セ) 甲第10号証:特開平5-277258号公報
(ソ) 甲第11号証:特開平5-192449号公報
(タ) 甲第12号証:特開昭63-174681号公報
(チ) 甲第13号証:特開平5-84360号公報
(ツ) 甲第14号証:特開平6-39145号公報
(テ) 甲第15の1号証:特開平5-316582号公報
(ト) 甲第15の2号証:特開平5-176382号公報
(ナ) 甲第15の3号証:特開平5-292584号公報
(ニ) 甲第16の1号証:特許第3295771号公報(本件の特許公報)
(ヌ) 甲第16の2号証:本件の被請求人である株式会社カプコンによる特許第3295771号に係る訂正審判請求書(請求日:平成27年9月9日)
(ネ) 甲第16の3号証:特許第3295771号に係る訂正審判における審決(審決日:平成27年12月3日)
(ノ) 甲第17号証:平成26年(ワ)第6163号 特許権侵害行為差止請求事件(原告:株式会社カプコン,被告:株式会社コーエーテクモゲームス)の原告が提出した第8準備書面(平成27年9月18日)
(ハ) 甲第18の1号証:特開平4-8381号公報
(ヒ) 甲第18の2号証:特開平5-303324号公報
(フ) 甲第19号証:実願平4-25299号(実開平5-84385号)のCD-ROM
(へ) 甲第20の1号証:社団法人テレビジョン学会 テレビジョン学会誌 VOl.46,No.6(1992) pp.694?697 「3-3 コンピュータエンタテイメント」,株式会社セガ・エンタープライゼス 佐藤秀樹
(ホ) 甲第20の2号証:株式会社読売新聞社 1991年5月12日 東京朝刊 「[ん!?]“ゲームセンター”おしゃれに 女性,カップル御用達」,https://contents.nifty.com/member/service/g-way/mmdb/aps/RXCN/main.jsp?ssid=20160330170855648gsh-ap01
(以上,無効審判請求書に添付して提出された。)
(マ) 甲第21号証:ニンジャウォーリアーズのゲームの進行を撮影したDVD-R,請求人代理人による作成(撮影日:平成28年9月26日)
(以上,平成28年10月3日付け口頭審理陳述要領書に添付して提出された。)

被請求人は,甲第1ないし21号証の成立を認めている。

第4 被請求人の主張及び証拠方法
被請求人は,「本件審判請求は成り立たない,審判費用は請求人の負担とする」との審決を求め,請求人が主張する無効理由は,理由がない旨主張し,証拠方法として乙第1?5号証を提出した。
乙第1号証?5号証の概要は以下のとおりである。
(1) 乙第1号証の1:ニンジャウォーリアーズのゲームの進行を撮影したCD-R,被請求人代理人による作成(撮影日:平成27年11月2日,編集日平成27年11月12日)
(2) 乙第1号証の2:ニンジャウォーリアーズのゲームの進行を撮影したCD-R,被請求人代理人による作成(撮影日:平成27年11月2日,編集日平成27年11月12日)
(3) 乙第1号証の3:ニンジャウォーリアーズのゲームの進行を撮影したCD-R,被請求人代理人による作成(撮影日:平成27年11月2日,編集日平成27年11月12日)
(4) 乙第2号証:「証拠動画撮影環境等について」と題する,被請求人が作成した文書(作成日:平成27年11月13日)
(5) 乙第3号証:ニンジャウォーリアーズのゲームの動画を撮影したCD-R,被請求人代理人による作成(撮影日:平成28年2月19日)
(6) 乙第4号証:岩波書店 2008年1月11日 広辞苑 626頁 「かんけつ[間歇・間欠]」の項
(7) 乙第5号証:「車用語集ならGoo-net」において,インターネット検索を行った「キックバック(ステアリング)」の検索結果の表示画面, 検索日:平成28年3月15日),http://www.goo-net.com/knowledge/kickback(steering).dtml

請求人は,乙第1ないし5号証の成立を認めている。

第5 本件発明
本件特許の請求項1乃至12に係る発明は,平成27年9月9日に提出された訂正請求書による訂正が認められ,さらに,本件訂正による訂正が認められたため,上記訂正請求書に記載されたとおりの次のものと認める。(以下,それぞれを「本件発明1」,「本件発明5」,「本件発明8」といい,これらを総称して「本件発明」という。)
「【請求項1】 遊戯者が操作する入力手段と,この入力手段からの信号に基づいてゲームの進行状態を決定あるいは制御するゲーム進行制御手段と,このゲーム進行制御手段からの信号に基づいて少なくとも遊戯者が上記入力手段を操作することにより変動するキャラクタを含む画像情報を出力する出力手段とを有するゲーム機を備えた遊戯装置であって,
上記ゲーム進行制御手段からの信号に基づいて,ゲームの進行途中における遊戯者が操作している上記キャラクタの置かれている状況が特定の状況にあるか否かを判定する特定状況判定手段と,
上記特定状況判定手段が特定の状況にあることを判定した時に,上記画像情報からは認識できない情報を,上記キャラクタの置かれている状況に応じて間欠的に生じる振動の間欠周期を異ならせるための体感振動情報信号として送出する振動情報制御手段と,
上記振動情報制御手段からの体感振動情報信号に基づいて振動を生じさせる振動発生手段と,
を備えたことを特徴とする,遊戯装置。
【請求項2】 (削除)
【請求項3】 (削除)
【請求項4】 (削除)
【請求項5】 上記請求項1に記載の遊戯装置において,上記入力手段は,二人以上の遊戯者がそれぞれ独立して操作することが可能に構成されているとともに,上記特定状況判定手段は,ゲームの進行途中における上記二人以上の遊戯者がそれぞれ操作している二個以上のキャラクタの置かれている状況を別々に判定するように構成されており,かつ,この特定状況判定手段のそれぞれの判定結果に基づいて,上記振動情報制御手段から別々の体感振動情報信号が,二個以上の上記振動発生手段に送出されるように構成されている,遊戯装置。
【請求項6】 (削除)
【請求項7】 (削除)
【請求項8】 遊戯者が操作する入力手段と,この入力手段からの信号に基づいてゲームの進行状態を決定あるいは制御するゲーム進行制御手段と,このゲーム進行制御手段からの信号に基づいて少なくとも遊戯者が上記入力手段を操作することにより変動するキャラクタを含む画像情報を出力する出力手段とを有するゲーム機を備えた遊戯装置の制御方法であって,
上記ゲーム進行制御手段からの信号に基づいて,ゲームの進行途中における遊戯者が操作している上記キャラクタの置かれている状況が特定の状況にあることを判定した時に,上記画像情報からは認識できない情報を,上記キャラクタの置かれている状況に応じて間欠的に生じる振動の間欠周期を異ならせるための体感振動情報信号として振動発生手段に送出するようにしたことを特徴とする,遊戯装置の制御方法。
【請求項9】 (削除)
【請求項10】 (削除)
【請求項11】 (削除)
【請求項12】 (削除)」

第6 各甲号証に記載されている事項
各甲号証によれば,以下の事項が認められる。
(1)甲第1号証について
「ニンジャウォーリアーズゲーム装置の構成」について,以下の事項が図1?4から看て取れる。
・ゲーム装置1は,本体部100とベンチ200とから構成されていること。
・本体部100は,ベンチシートに着座してゲームを行うプレイヤーを基準として,正面奥側に表示部140を備え,正面手前側に操作部110,120及び130を有するものであること。
・ベンチ200は,ベンチシート210と背220とから構成されている。
・表示部140は,ゲーム画面142を有するものであること。
・操作部110はレバー111,ボタン112及び113を,操作部130はレバー131,ボタン132及び133を,操作部120はボタン121及び122を備え,操作部110と操作部120のボタン121と,操作部130と操作部120のボタン122とは,左右に略対称になるように分かれて配置されているものであること。
・ゲーム画面142の「THE NINJYAWARRIORS」,「TAITO CORPORATION」,「1987」という表示から,このゲーム装置において,遊戯可能な「ニンジャウォーリアーズ」なるゲームが,1987年に株式会社タイトーにより提供されたこと。

(2)甲第2号証について
1988年3月1日に発行された「ゲームマシン」なる業界紙であって,TVゲーム機「ニンジャウォーリアーズ」が,二月下旬に株式会社タイトーから発売されること,連続した横三画面による大スクリーン採用TVゲーム機であることが記載されている。
なお,業界紙や雑誌の発行日が,現実の頒布の日と異なること,及び現実の頒布の日の方が早いこと場合のあることは常識であるから,上記の摘記事項の「二月下旬」は,1988年2月下旬であることは自明である。

(3)甲第3の1号証について
「ニンジャウォーリアーズゲーム」証拠ビデオ撮影環境について,以下の事項が図5?6から看て取れる。
・ベンチ200の背220に,ゲーム画面142を撮影するためのカメラ1(ビデオ1撮影用)を載置すること。
・ベンチ200のベンチシート210に地震計300及び時計400を載置し,該地震計300及び時計400を撮影するためのカメラ2(ビデオ2撮影用)を,ベンチシート210にさらに載置すること。

(4)甲第3の2号証について
時計アプリケーションである「EMERALD TIME」の実行画面には,年月日,曜日,午前または午後,JST(日本標準時),秒単位での時刻の表示のほかに,「0.004」,「0.007」,「0.009」,「+0.004」の表示が認められる。

(5)甲第3の3号証について
「EMERALD TIME」は,インターネット上でNTP(Network Time Protocol)を使用し,インターネット上に複数のNTPサーバをアクセスして「iPhone/iPad」に内蔵されている時計よりも正確な時刻を表示するプログラムであることが記載されている。

(6)甲第3の4号証について
地震計アプリケーションである「iSeismometer」の実行画面には,X軸,Y軸,Z軸における振動波形が表示されること,
設定画面から,タイムラインの表示,リアルタイムアニメーションの表示,ハイパスフィルターの使用のオン/オフを切り替え可能であることが,看て取れる。

(7)甲第4号証について
請求人代理人が作成したCD-Rから,ニンジャウォーリアーズのゲームの進行について,以下の事項が看て取れる。
なお,以下の看取した事項の記載について,以下のとおり定義する。
また,この定義は,各甲号証,各乙号証及びこれ以降の審決において共通である。
・時刻の表示は,時計アプリケーションである「EMERALD TIME」を表示しているスマートフォンの表示であって,例えば「18:25:34」は,「18時25分34秒」を表している。但し,乙第3号証は,映像に時計アプリケーションである「EMERALD TIME」を表示しているスマートフォンが含まれていないため,場面毎の画像の再生時間を記した。
・ゲーム画面は3分割されており,それぞれ「左ゲーム画面」,「中ゲーム画面」,「右ゲーム画面」といい,全体を総称する場合は「ゲーム画面」という。
・「ニンジャ」とは,赤い装束の忍者のことをいい,この「ニンジャ」はゲームプレイヤのコントロールによって,ゲーム画面内の移動や敵への攻撃等を行う,キャラクタである。
「柱」とは,例えば甲第4号証の18:19:37に中ゲーム画面中央部を通過する(5つ並んだ緑色のコンテナの右側に隣接する)灰色の柱のことである。
18:25:34 左ゲーム画面においてゲーム開始
18:28:50 振動開始
18:28:52 振動停止とともに,ニンジャが消滅する。
18:28:59 中ゲーム画面にニンジャ出現
18:29:04 ニンジャが右ゲーム画面の右方へフレームアウト
18:29:12 ゲーム画面暗転
18:29:15 背景が異なる新しいゲーム画面
18:19:37 スクロールする背景の柱が中ゲーム画面中央部を通過して振動開始
18:29:48 戦車が右ゲーム画面右方よりフレームイン
18:30:35 戦車が左ゲーム画面左方へフレームアウトして,すぐにフレームインするが,振動は継続
18:30:52 戦車の搭乗員の落下のないまま,戦車が左ゲーム画面左方へフレームアウト
18:30:56 18:19:37から継続の振動が終了

なお,甲第4号証に記載された発明については,甲第4号証と同じ「ニンジャウォーリアーズのゲーム」の動画である甲第5,21号証,及び乙第1号証の1?3,乙第3号証の記載と総合して,後で認定するものとする。

(8)甲第5号証について
請求人代理人が作成したCD-Rから,ニンジャウォーリアーズのゲームの進行について,以下の事項が看て取れる。
11:42:43 右ゲーム画面のニンジャが移動開始
11:42:44 ニンジャが右ゲーム画面の右方へフレームアウト
11:42:52 ゲーム画面暗転
11:42:54 背景が異なる新しいゲーム画面出現
11:42:55 左ゲーム画面にニンジャ出現
11:43:12 スクロールする背景の柱が中ゲーム画面中央部を通過
11:43:13 振動開始
11:43:27 戦車が右ゲーム画面右方よりフレームイン
11:43:40 柱が左ゲーム画面左方へフレームアウト
11:44:12 戦車の搭乗員が戦車から落下
11:44:15 戦車が左ゲーム画面左方へフレームアウト
11:44:19 11:43:13から継続の振動が終了
11:44:22 振動開始
11:44:25 11:44:22からの振動が終了し,ニンジャが消滅する。

(9)甲第6号証について
請求人代理人が作成したDVD+Rから,地震計アプリケーションである「iSeismometer」について,以下の事項が看て取れる。
・地震計アプリケーションがインストールされたスマートフォンを手で持って揺動させると,つまり,地震計アプリケーションがインストールされたスマートフォンが振動すると,その振動が感知され,振動波形として表示する。
・スマートフォンのすぐ近くで両手を合わせて叩いても,振動は感知されない。
・この地震計アプリケーションは,手を叩くことによって空気中を伝わる振動の大きさとスマートフォンを直接揺さぶる振動の大きさの間に,振動を感知する閾値が存在すると認められる。

(10)甲第7の1号証について
地震計の振動波形であって,11時43分13秒に振動が開始され,その後11時43分16秒,19秒,22秒,25秒からそれぞれ,ごく短い時間(約0.3秒間程度),X軸,Y軸,Z軸において,振動が全くなくなるものではないものの,その前後に比べてきわめて振動が少ない状態が発生しており,振動開始後,約3秒間の振動,ごく短い時間の振動のきわめて少ない状態というパターンを4回繰り返した後に,戦車が出現することが読み取れる。

(11)甲第7の2号証について
「エンジン音や爆発音など,振動感や衝撃感を伴うドキュメンタリー音や効果音を,ボディソニックで再生すると迫真の臨場感を再現することができる。
映画などの映像メディアと組み合わせることにより,圧倒的な劇的効果を高めることが出来るが,映画用の信号処理技術を必要とする。
今後はDVD/ホームシアタへの応用が期待される。」(1/2頁,図面右横)

(12)甲第8号証について
ア「【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 遊戯者が乗る搭乗席が設けられた揺動部材と,同揺動部材を基台上方に中央1点で支持する支持部材と,前記揺動部材の前部左右2箇所にそれぞれ基台との間に介装されて該揺動部材を動かす2個の複動形シリンダと,同両シリンダに高圧と低圧の2種類の圧力を切換えて供給する圧力供給手段と,同圧力供給手段を制御する制御手段とを備えることを特徴とする揺動遊戯機。」
イ「【0003】
走行時に車体に加わる振動を再現したものに同じ出願人に係る実願平1-35510号(実開平2-126687号公報)の例がある。
同例は,操縦席が設けられた揺動部材を支持し,かつ揺動するシリンダを直列に2個設け一方を揺動用にし他方を振動専用に用いたものであった。
【0004】
【解決しようとする課題】
このようにシリンダを直列に2個つなげるため,シリンダの個数が多くなりコストが嵩む問題がある。
また同公報記載の遊戯機は揺動部材の前端を1点支持し,後端にシリンダを介装して支持する構成なので,シリンダへの負荷が大きく,常に負荷を負っていてシリンダの作動による揺動部材の動きは緩急があるにしても滑らかな動きおよび振動とならざるを得ない。
したがってレール走行車両が受けるレールの継目の瞬時的な振動や,方向転換時の急激な動きといったものを再現するのは困難である。
またモータ駆動による揺動方式では微振動やクイックレスポンスの表現ができなかった。
【0005】
本考案はかかる点に鑑みなされたもので,その目的とする処は,1つのシリンダで揺動と振動を起こすことが可能で,瞬時的な振動や動きを再現できる揺動遊戯機を供する点にある。」
ウ「【0011】
したがって2人の遊戯者が,シート3に並んで着座すると前方にモニターTV5が位置し,両者がスタートボタン9を押すと,ゲームがスタートし,モニターTV5には,図2および図3に示すようにトロッコに乗った人が進行方向を見たときのレール10や周囲の様子さらに前方をトロッコ11に乗って走っている敵12等が映し出される。」
エ「【0015】
次にシート3の揺動機構を図4および図5に基づき説明する。
図4は揺動遊戯機1の斜視図であり,シート3と一体の揺動部材20の揺動機構を示す。図5はその分解斜視図である。
【0016】
基台2は矩形をしており,その中央には,三角形状になす側板が左右に相対して立設された支持部材21が,補強材22に補強されて設けられている。
同支持部材21の左右側板の上端には同軸に円孔21aを有し,同円孔21aを貫通する支軸23が中央に球体23aを形成しており,前記揺動部材20の中央に上端を固着され下方へ延びてたロッド24のロッドエンド24aが前記球体23aを摺動自在に包んでいる。
すなわち揺動部材20は,中央をロッドエンド24aの一点で支持部材21に支持されており,全方位に亘って自由に揺動可能である。」
オ「【0021】
そして揺動部材20の枠体20aの前側左右隅と基台2との間に左右一対の複動形のエアシリンダ40,41が介装されている。
エアシリンダ40,41は,その下端部が一対の軸受40b,41bをなし同軸受40b,41bに支軸を介して球体を支持し,一方基台2から突設されたロッド42の上端のロッドエンド24aが前記球体を包むようにしてエアシリンダ40,41の下端を全方位に揺動自在に接合している。
【0022】
エアシリンダ40,41の上方に突出したシリンダロッド40a,41aの先端が,揺動部材20の枠体の前側左右隅の下面に垂設された軸受43にピン44を介して軸支されている。
左右のエアシリンダ40,41は,互いに独立して駆動可能であり,両シリンダロッド40a,41aを縮めた状態で揺動部材20の上に装着されるシート3は前傾状態にあり,両者を同時に伸長すれば後傾し,左側シリンダロッド41aのみを伸長すれば右傾し,右側のシリンダロッド40aのみを伸長すれば左傾する。
【0023】
以上のような構造の揺動遊戯機1におけるエアシリンダ40,41の駆動制御およびモニターTV5の画像制御等は,コンピュータによって行われ,そのメインボード50およびエアシリンダ40,41の駆動を制御する制御ボード51,画像処理回路52は,筐体4のモニターTV5の下方に内蔵されている。
【0024】
制御系のブロック図を図6に示す。
メインボード50は,シューティングスティック7,シューティングボタン8,スタートボタン9等からの情報を入力し,CPU53により判断された結果に基づき制御ボード51に動作指令信号を送信するとともに,画像処理回路52に画像指示信号を出力する。
【0025】
制御ボード51は,動作指令信号に基づきエアシリンダ40,41を動作させるための各種電磁弁等からなる空気圧回路54に所要の駆動信号を出力し弁の切換動作を行わせる。
なおシート3の姿勢は,各エアシリンダ40,41の動きを検知する位置検出センサ55,56により検出され,その検知信号は制御ボード51にフィードバックされて駆動制御に供される。」
カ「【0046】
次にシート3を振動させる制御によって図21ないし図28に基づき説明する。
エアシリンダ40,41は互いに独立して振動させることが可能であり,以下右側のエアシリンダ40について説明する。
【0047】
図21ないし図24はエアシリンダ40のシリンダロッド40aの下方位置における振動を起す過程を示している。
エアシリンダ40を下部位置で振動させるには,まず4ポート切換電磁弁74を切換えて3kgf/cm^(2)の空気圧をエアシリンダ40の後退側(ピストン上部)に加えておき(図21),次いで2ポート切換電磁弁79を作動してエアシリンダ40のピストン上部の空気の出入を遮断して圧力3kgf/cm^(2)の空気を封じ込め(図22),次に4ポート切換電磁弁74を作動して供給圧力を5kgf/cm^(2)としたのち(図23),4ポート切換電磁弁75を切換えると5kgf/cm^(2)の空気圧が2ポート切換電磁弁80を介してエアシリンダ40の前進側(ピストン下部)に加わり,ピストン上部に封じ込められた3kgf/cm^(2)に優ってピストン上部の空気が圧縮されて5kgf/cm^(2)になるまでシリンダロッド40aを前進させる(図24)。
すなわちシリンダロッド40aの上昇は途中で停止する。
【0048】
次に4ポート切換電磁弁75を切換えるとピストン下部の空気が2ポート切換電磁弁80,4ポート切換電磁弁75を介して消音器77に排出され,ピストン上部に封じ込められた空気の圧力により,シリンダロッド40aは速かに下降し,ピストン上部の空気圧を3kgf/cm^(2)に戻す。
再び4ポート切換電磁弁75を切換えると,ピストン下部に5kgf/cm^(2)の空気圧が加わるのでシリンダロッド40aを途中まで上昇する。
【0049】
以後,4ポート切換電磁弁75の弁切換えを交互に繰り返すことによりシリンダロッド40aは最低位置と途中の高さ位置との間を上下に往復し,振動をシリンダ下部で生じさせることができる。」
キ「【0056】
図2および図3に図示するようなモニターTV5の映像に同期してシート3が揺動および振動し,前記のように走行時の細かい振動が再現でき,上りや下りの加速や減速も振動の変化により表現可能で,例えば,加速時にはレール継ぎ目の振動の間隔を徐々に縮め,逆に減速時にはその間隔を長くすることにより遊戯者は映像および効果音との相乗効果で,あたかもスピードが変化したかの如くに感じることができる。」
ク「【0060】
【発明の効果】
本考案は,揺動部材を揺動させるシリンダが,同時に振動を生じさせるので,特別振動用のシリンダを必要とせずコストの低減を図ることができる。
中央で1点支持された揺動部材において低圧駆動状態のシリンダに反対方向へ高圧を加えたり抜いたりしてシリンダの上部または下部での振動を変わりなく再現することができるので,単純な動きで複数の動きすなわち微振動からローリング,ピッチング等の多種多様な振動を再現できるとともに特にレール走行車両の動きに近似し臨場感のあるゲームを楽しむことができる。」
上記記載を含む甲第8号証全体の記載からみて,甲第8号証には,以下の発明が開示されていると認められる。
「2人の遊戯者が,シート3に並んで着座すると前方にモニターTV5が位置し,両者がスタートボタン9を押すと,ゲームがスタートし,モニターTV5には,トロッコに乗った人が進行方向を見たときのレール10や周囲の様子さらに前方をトロッコ11に乗って走っている敵12等が映し出され,シート3と一体の揺動部材20の枠体20aの前側左右隅と基台2との間に左右一対の複動形のエアシリンダ40,41が介装され,該エアシリンダ40,41は,互いに独立して駆動可能であり,両シリンダロッド40a,41aを縮めた状態で揺動部材20の上に装着されるシート3は前傾状態にあり,両者を同時に伸長すれば後傾し,左側シリンダロッド41aのみを伸長すれば右傾し,右側のシリンダロッド40aのみを伸長すれば左傾するものであって,
前記エアシリンダ40,41の駆動制御およびモニターTV5の画像制御等は,コンピュータによって行われ,そのメインボード50およびエアシリンダ40,41の駆動を制御する制御ボード51,画像処理回路52は,筐体4のモニターTV5の下方に内蔵され,
メインボード50は,シューティングスティック7,シューティングボタン8,スタートボタン9等からの情報を入力し,CPU53により判断された結果に基づき制御ボード51に動作指令信号を送信するとともに,画像処理回路52に画像指示信号を出力し,
制御ボード51は,動作指令信号に基づきエアシリンダ40,41を動作させるための各種電磁弁等からなる空気圧回路54に所要の駆動信号を出力し弁の切換動作を行わせることで,モニターTV5の映像に同期してシート3が揺動および振動し,
上りや下りの加速や減速も振動の変化により表現可能で,例えば,加速時にはレール継ぎ目の振動の間隔を徐々に縮め,逆に減速時にはその間隔を長くすることにより遊戯者は映像および効果音との相乗効果で,あたかもスピードが変化したかの如くに感じることができるように走行時の細かい振動が再現できる揺動遊戯機1。」(以下,「甲8発明」という。)

(13)甲第9号証
ア「【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は,ドライブビデオゲーム機のステアリングホイール振動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ゲームセンターなどに設置されているドライブビデオゲーム装置は,プレーヤーがハンドル,アクセル,ブレーキ,クラッチ切換などを操作して,ビデオ表示面における自動車を走行させて運転技術を競うものである。」
イ「【0009】
また,モーター13の反復駆動によってステアリングホイール4に反復振動を与えているが,このようなモーター13の反復駆動では,高速な振動が与えられず,また実際の本物の自動車操作におけるステアリングホイールの振動感とは全く違った感じしか得られないという問題もあった。
【0010】
本考案はこのような問題点を解決したドライブビデオゲーム機のステアリングホイール振動装置を提供することを目的としている。」
ウ「【0013】
【実施例】
以下,図1?図7に示す本考案の実施例を説明する。
ドライブビデオゲーム機の本体20にフレーム21が固定され,このフレーム21にステアリングシャフト22が回動自在に取付けられている。ステアリングシャフト22の一端は,ドライブビデオゲーム機本体20の外方へ突出し,その先端にステアリングホイール23が固定されている。
【0014】
ステアリングシャフト22の他端には,ステアリングシャフト22の回転角を検出してビデオ表示器(図示せず)へ回転角を表す信号を出力する回転角検出装置24が一体的に回動するように固定されていて,この検出装置本体24aに対して回動自在に突出棒体25が取付けられている。そして,フレーム21に取付けられたストッパ26のスリット26a内に,この突出棒体25が挿入されている。このため,ステアリングシャフト22と一体的に検出装置本体24aが回動すると,スリット26aに規制されて突出棒体25は回動できないので,この突出棒体25と検出装置本体24aとの相対的角度変化で,ステアリングシャフト22の回動角が検出される。
【0015】
ステアリングシャフト22の中間部において,半径方向に突出した突出軸30が固定されている。この突出軸30に回動自在に回転ローラー31が取付けられている。」
エ「【0017】
ステアリングシャフト22には,中央に軸穴40aを有する円筒状のセンタリングカム40が,回動自在に且つ軸方向移動自在に該軸穴40aによって装着されている。このセンタリングカム40は円筒体であって,軸方向の接触端面40bの肉厚が軸穴40aの円周方向に沿って変化している。
【0018】
センタリングカム40の前記接触端面40bと反対面には,軸穴40aと一致する穴41aを有するアーム板41が固定されている。
【0019】
ステアリングシャフト22には,アーム板41とフレーム21との間においてワッシャ50,51及びスプリング52が装着され,このスプリング52でアーム板41及びセンタリングカム40をステアリングホイール23側へ強く押圧している。このため,センタリングカム40の接触端面40bに接触ローラー31が強く押圧されて,互いに接触している。このセンタリングカム40の接触端面40bの軸方向の肉厚は,基準センター位置a(図4,5,6参照)を中心にして円周方向の両方向に次第に大となっている。
【0020】
このため,ステアリングシャフト22が図4に示す基準センター位置aから反時計回り(又は時計回り)へ図5から図6のように回動して,その回動角度が大となるほど,ステアリングシャフト22の接触ローラー31とセンタリングカム40の接触端面40bとの接触によって,図5,6に示すようにセンタリングカム40が左方へ押し込まれてスプリング52が圧縮される。このため,回転ローラー31へセンタリングカム40を介して与えられるスプリング52の押圧力によって,ステアリングシャフト22は図4の基準センター位置方向へ回動するように付勢される。従って,プレーヤーが図4から図5,図6のように次第に回動させようとすると,ステアリングホイール23の手ごたえが大となると共に,ステアリングホイール23から手を離すと,ステアリングホイール23は基準センター位置へ戻る。」
オ「【0021】
フレーム21には,モーター取付金具(図示せず)を介してモーター60(図7参照)が固定されている。モーター60の駆動軸61には円板62が固定されている。この円板62の軸61から偏心した位置に偏心軸63が固定されている。
【0022】
一方,図3に示すようにアーム板41の先端にも軸42が固定されていて,この円板62の偏心軸63及びアーム板41の軸42にそれぞれジョイントバー70の両端のロッドエンド軸受71,72が任意方向回動自在に取付けられている。このため,モーター60が駆動されて円板62が回転すると,ジョイントバー70を介してアーム板41は図7に示すように所定角範囲の揺動運動をする。
【0023】
このようにアーム板41が揺動すると,一体的にセンタリングカム40も揺動する。このため,ステアリングシャフト22の回転ローラー31にスプリング52の押圧力が加わって,スプリングの強い付勢力によってステアリングシャフト22及びステアリングホイール23は回転方向の往復振動を生じる。」
カ「【0024】
従って,ビデオ表示面でプレーヤーの自動車が他の自動車,他の物体に衝突したり,悪路を走行したり,コーナーをするどく曲がったりするようなゲーム状況に応じて制御装置(図示せず)でモーター60の駆動の早さ,時間などを制御すれば,ステアリングホイール23に強弱,時間の長さを選んで回転方向の振動を与えることができる。
【0025】
【考案の効果】
本考案のドライブビデオゲーム機のステアリングホイール振動装置は,以上のようにステアリングホイール23のセンタリング機能を有するセンタリングカム40によって,ステアリングホイール23への振動機能をも果たすことができ,従来のように別個に設けていたものを兼用できるから装置全体を小型化,簡略化できる。
【0026】
また,スプリング52による軸方向への押圧力をセンタリングカム40を介して回転方向の揺動運動に変換しているので,実際の本物の自動車走行におけるような感じの高速な振動が得られ,また,図4?図6から明らかなように,図4でアーム板41が揺動した場合と,図5あるいは図6で揺動した場合とでは,スプリング52による押圧力が異なり,図6のようにステアリングホイール23を大きく回動するほど押圧力が大きいので,振動も強くなり,急カーブを曲がったり,急なハンドル操作をしたとき程強い振動が生じることになり,図8で示した従来のようにどの回動角でも同一の振動力が生じる場合より,はるかに実際のドライブのような臨場感をプレーヤーに与えることができる。」
上記記載を含む甲第9号証全体の記載からみて,甲第9号証には,以下の発明が開示されていると認められる。
「プレーヤーがハンドル,アクセル,ブレーキ,クラッチ切換などを操作して,ビデオ表示面における自動車を走行させるドライブビデオゲーム機であって,
ステアリングシャフト22の一端は,ドライブビデオゲーム機本体20の外方へ突出し,その先端にステアリングホイール23が固定され,ステアリングシャフト22の他端には,ステアリングシャフト22の回転角を検出してビデオ表示器へ回転角を表す信号を出力する回転角検出装置24が一体的に回動するように固定され,
前記ステアリングシャフト22の中間部において半径方向に突出して固定された突出軸30と,
前記突出軸30に回動自在に取付けられた回転ローラー31と,
中央に軸穴40aを有する円筒体であって,前記ステアリングシャフト22に回動自在に且つ軸方向移動自在に該軸穴40aによって装着され,軸方向の接触端面40bの肉厚が軸穴40aの円周方向に沿って変化するセンタリングカム40と,
ステアリングシャフト22には,アーム板41とフレーム21との間においてワッシャ50,51及びスプリング52が装着され,このスプリング52で,アーム板41及びセンタリングカム40をステアリングホイール23側へ強く押圧することで,センタリングカム40の接触端面40bに接触ローラー31が強く押圧され,
センタリングカム40の前記接触端面40bと反対面には,軸穴40aと一致する穴41aを有するアーム板41が固定され,該アーム板41がモーター60によって揺動すると,一体的にセンタリングカム40も揺動して,ステアリングシャフト22の回転ローラー31にスプリング52の押圧力が加わって,スプリング52の強い付勢力によってステアリングシャフト22及びステアリングホイール23は回転方向の往復振動を生じ,
ビデオ表示面でプレーヤーの自動車が他の自動車,他の物体に衝突したり,悪路を走行したり,コーナーをするどく曲がったりするようなゲーム状況に応じて制御装置でモーター60の駆動の早さ,時間などを制御すれば,ステアリングホイール23に強弱,時間の長さを選んで回転方向の振動を与えることができるドライブビデオゲーム機のステアリングホイール振動装置。」(以下,「甲9発明」という。)

(14)甲第10号証
ア「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,ステアリングホイールの回転操作によりビデオゲーム装置の表示画面上の車両映像が左右に操舵されまたは車両外映像が左右に変化するビデオゲーム装置において,前記ステアリングホイールの操舵反力や不整地走行のキックバックや走行中のステアリングホイールの振動を付与することができるビデオゲーム装置用ステアリング装置に関するものである。
【0002】
【従来技術】普通の自動車においては,不整地を走行する際に,タイヤへの衝撃がキックバックとしてハンドルに伝わり,また操舵角に対応して操舵反力が大きくなる。またパワーステアリング装置を備えた自動車では,操舵角の増加に対応して操舵反力を増大させ,しかも車速の増加に対応して操舵反力を増大させるようになっていた。
【0003】ステアリングホイールを備えた自動車を実際に運転しているような感覚を与えるビデオゲーム装置においても,前記したような操舵反力を与えるために,本出願人は,実願平1-6816号(実開平2-98989号)としてビデオゲーム装置用ステアリング装置を出願した。」
イ「【0004】
【解決しようとする課題】前記実開平2-98989号公報に記載されたものでは,1本のエアシリンダを利用し,該エアシリンダを,クランクを介し(同公報第3図に図示の実施例),あるいは菱形リンクを介して(同公報第4図に図示の実施例),ステアリングシャフトに連結し,または2本のエアシリンダを利用し,該2本のエアシリンダのピストン先端が相対する姿勢で一直線上に配置し,該両ピストン先端の間にステアリングシャフトと一体のクランク先端を配置したため,ステアリングハンドルが中立に近い状態では,比較的大きな操舵反力が得られ易いが,操舵角が大きくなると,エアシリンダ内の空気圧力を増大させても,操舵反力が大きくならない不都合があった。
【0005】また前記公報第1図ないし第2図に図示の実施例では,ステアリングシャフトと平行な軸を中心として揺動するアームの一端にエアシリンダの一端を枢着し,ステアリングシャフトにカムを一体に装着し,前記アームの先端のカムフォロワーを前記カムに係合しているため,ステアリングハンドルが中立に近い状態であるか否かを問わず,大きな操舵反力が得られなく,しかもキックバックも小さく,実際に自動車を操縦している場合と異なった操舵感覚をプレーヤに与えていた。」
ウ「【0011】また本発明においては,前記クランクアームの方向に対応して前記2本の往復動アクチエータの両ポートに圧力流体を選択的に供給するとともにこの供給状態を間欠的に切換えることにより,前記ステアリングホイールに振動状態またはキックバック状態を与えることができる。」
エ「【0014】
【実 施 例】図1ないし図11に図示された本発明の一実施例について説明する。ステアリングホイール1は,図示されないビデオゲーム装置の表示装置の前方に,該表示装置に相対して配置され,ステアリングホイール1と一体のステアリングシャフト2は,ベース3に前後1対のベアリング4を介して回転自在に枢支され,該ステアリングシャフト2に突片5が一体に嵌着され,ベース3には,突片5が回転通過しうる切欠6が設けられるとともにその下方にブラケット7を介して左右1対のストッパー8が配設されており,ステアリングホイール1は突片5が左右のストッパー8に当接する間の回転角270°の範囲で左右に回転操作されうるようになっている。
【0015】またステアリングシャフト2にはポテンシオメータ9が付設されており,ステアリングホイール1の操舵角が検出されて,図示されないビデオゲーム装置に送信され,該ステアリングホイール1の操舵角の大小に応じて該ビデオゲーム装置の表示画面上に表示された自動車映像の方向および左右位置または自動車外映像の変化の度合が制御されるようになっている。」
オ「【0016】さらにベース3の奥側に操舵反力付与ベース10が該ベース3に対し一体に取付けられ,前記ステアリングシャフト2は操舵反力付与ベース10の孔11を貫通し,該ステアリングシャフト2にクランクアーム12が一体に装着されている。
【0017】さらに操舵反力付与ベース10内にエアシリンダー枢支ブラケット13が一体に取付けられ,該エアシリンダー枢支ブラケット13に枢軸14を介して往復動アクチエータたる1対のセンタリングエアシリンダー15およびアクションエアシリンダー16の基端が枢着され,前記クランクアーム12にはステアリングシャフト2を基準として中心角が90°をなすように取付部分17,18が設けられ,前記1対のセンタリングエアシリンダー15およびアクションエアシリンダー16の各先端がクランクアーム12の取付部分17,18にそれぞれ枢着されており,たとえセンタリングエアシリンダー15およびアクションエアシリンダー16のいずれか一方のエアシリンダーの延長線がステアリングシャフト2に指向して,該エアシリンダーによりステアリングホイール1およびステアリングシャフト2に回転モーメントを与えることができなくても,他方のエアシリンダーによりステアリングホイール1およびステアリングシャフト2に回転モーメントを与えることができるようになっている。」
カ「【0024】さらに図示されないアクセルペダルの踏込みにより,ビデオゲーム装置の表示画面上の自動車映像または自動外映像で自動車の車速が或る限度を越えた場合,または映像上の路面が凸凹となった場合には,ステアリングホイール1を振動させる状態を発生させることもできる。」
キ「【0031】このように図1ないし図11に図示の実施例では,操舵角θがどのような範囲にあっても,2本のセンタリングエアシリンダー15およびアクションエアシリンダー16の協同動作により,操舵角θの絶対値の大きさに略比例した大きさの操作反力を発生させることができ,また振動や,キックバックも発生させることができるため,プレーヤは実際に自動車を運転したと同様な運転感覚を持つことができる。」
上記記載を含む甲第10号証全体の記載からみて,甲第10号証には,以下の発明が開示されていると認められる。
「プレーヤのアクセルペダルの踏込みにより,ビデオゲーム装置の表示画面上の自動車映像または自動車外映像で自動車の車速が或る限度を越えた場合,または映像上の路面が凸凹となった場合には,ステアリングホイール1を振動させる状態を発生させることもできるビデオゲーム装置であって,ステアリングホイール1と一体のステアリングシャフト2をベース3にベアリング4を介して回転自在に枢支し,ステアリングシャフト2にクランクアーム12を一体に装着し,操舵反力付与ベース10と一体のエアシリンダー枢支ブラケット13に枢軸14を介してセンタリングエアシリンダー15およびアクションエアシリンダー16の基端を枢支し,クランクアーム12の取付部分17,18にセンタリングエアシリンダー15およびアクションエアシリンダー16の先端を枢着し,ステアリングホイール1の操舵角θがどのような範囲にあっても,2本のセンタリングエアシリンダー15およびアクションエアシリンダー16の協同動作により,操舵角θの絶対値の大きさに略比例した大きさの操作反力を発生させることができ,また振動や,キックバックも発生させることができるビデオゲーム装置用ステアリング装置であって,
ステアリングシャフト2にはポテンシオメータ9が付設されており,ステアリングホイール1の操舵角が検出されて,ビデオゲーム装置に送信され,該ステアリングホイール1の操舵角の大小に応じて該ビデオゲーム装置の表示画面上に表示された自動車映像の方向および左右位置または自動車外映像の変化の度合が制御されるビデオゲーム装置用ステアリング装置。」(以下,「甲10発明」という。)

(15)甲第11号証
ア「【請求項3】
予め定められたゲームプログラムが搭載されたゲーム制御回路(3)と,
ゲーム制御回路(3)により制御されゲームの進展情況を表示するビデオディスプレイ装置(2)と,
ビデオディスプレイ装置(2)の画面に向けて,銃身(41)の方向を制御でき,引金(42)を引いたときの銃身の方向に対応する着弾位置信号を発信し得る装置を具備した模擬銃(4)とを具備し,
ビデオディスプレイ装置(2)の画面に現れる敵と模擬銃撃戦を行い,着弾位置信号発信装置の発生する信号に対応する画面上の着弾位置に敵が存在するときはゲーム制御回路(3)に命中信号を発生させ,又,敵が発射した弾丸がプレイヤに命中したとされるときは被弾信号を発生させ,これらの信号によりゲームの進行を切替えると共に,被弾による彼我の損害に応じて得点を争うビデオ式銃撃戦ゲーム装置に於いて,
模擬銃(4)又はその支持装置(6)に振動発生装置(7)を設けると共に,被弾信号が発生したときは一定時間その振動発生装置(7)を作動させる回路を設けたことを特徴とする上記のビデオ式銃撃戦ゲーム装置。」
イ「【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は,味方の被弾が直接体感できるビデオ式銃撃戦ゲーム装置を安価に提供すること,及び,そのゲーム装置を制御する新規な方法を提供することにある。」
ウ「【0009】図1に於いて,1はゲーム装置の本体部で,10はそのキャビネット,2はキャビネット10に取付けられるビデオビィスプレイ装置,3はキャビネット10に内蔵されるゲーム制御回路であり,4は模擬銃,5は図2に示す模擬銃4の支持装置装置6及び振動発生装置7を内蔵する射撃台,50はそのキャビネット,8は信号伝送ケーブルである。
【0010】ゲーム制御回路3には予めゲームの進行に必要なプログラムがロードされており,ビデオビィスプレイ装置2には銃撃戦のターゲットとなる敵の画像やその背景,障害物などを含むゲームの進行状況が表示される。プレイヤーは,射撃台5に設けられた模擬銃4を用いてビデオビィスプレイ装置に現れる敵と銃撃戦を展開する。」
エ「【0011】模擬銃支持装置6及び振動発生装置7の詳細は,図2に示されている。41は模擬銃4の銃身,42は引金,43は銃把である。又,銃身41の内部には,ソレノイド44,圧縮バネ45,重り付プランジャー46及びショック吸収用ラバー47から成る射撃音及び衝撃発生装置と,射撃信号発信器(図示せず)とが内蔵されている。
【0012】而して,引金42を引くと,一方ではソレノイド44にパルス電流が流され,他の一方では射撃信号発信器がパルス信号を発信する。ソレノイド44に電流が流れると,圧縮バネ45の弾性力に抗して重り付プランジャー46がソレノイド44内に引き込まれ,通電が終了すると,重り付プランジャー46が圧縮バネ45の弾性力により反撥され,ショック吸収用ラバー47に打ち当てられ,これにより射撃音と銃身の反動が発生する。プレイヤーが引金42を引き続けると,この射撃音と衝撃は連続して発生する。
【0013】而して,模擬銃支持装置6は,キャビネット50の底板に固定された固定支軸61,回転支軸62,上端が銃把43に連結されたフォーク63,回転支軸62とフォーク63とを屈曲自在に連結するピン64,回転支軸62に同軸に取付けられ回転支軸62と共に回転するセグメント65,セグメント65により制御されるポテンショメーター66,結合ピン64と同軸にフォーク63に取付けられフォーク63と共に回動するセグメント67,セグメント67により制御されるポテンショメーター68,回転支軸62に取り付けられるポテンショメーター支持用のブラケット69とから成る。」
オ「【0016】従って,模擬銃4は回転支軸62と連結ピン64の二軸により姿勢を制御されることとなるので,プレイヤーは銃把43を左右に回転させ,かつ,上下に傾けることにより,銃身41の方向を自由に制御して,ビデオビィスプレイ装置2のスクリーンに現れる敵の画像に向けて射撃を行うことができる。而して,この銃身41の方位角はポテンショメーター66により,又仰角はポテンショメーター68により,それぞれ電気信号に変換され,ゲーム制御回路3に伝送される。
【0017】前述の如く,プレイヤーが引金42を引くと,銃身41に内蔵されている発信器から射撃信号が発信され,その射撃信号もゲーム制御回路3に伝送される。而して,射撃信号が発信されたとき,銃身41の方位角及び仰角が,ビデオビィスプレイ装置2のスクリーン上の敵の画像に対応して予め定められた範囲内にあるときは,発射された弾丸が敵に命中したものと判定され,敵に与えたダメージに応じてプレイヤーに得点が与えられるが,プレイヤーが敵を倒す前に敵が正しくプレイヤーに向けて銃撃を行ったとされる場合には,プレイヤーの負と判定され,プレイヤーは味方のコマンドを一人失うこととなる。このゲームは,味方のコマンドが全滅するまでの間に得た得点を競うものである。」
カ「【0019】このゲームの構成は,図3のフローチャートに示されている。先ず,プレイヤーが所定のコイン等を投入し,ゲームがスタートすると,ビデオ画面に敵やゲームに必要な背景や障害物が表示され,敵は木や家などの障害物に隠れながら,プレイヤーを攻撃する。敵の弾丸が当たらないうちに,プレイヤーは逃げ隠れしている敵を模擬銃で攻撃する。模擬銃の銃弾が敵に当たると敵は倒れ,爆発して消滅し,プレイヤーに得点が与えられる。
【0020】一方, 敵が発射した弾丸がプレイヤーに命中すると,プレイヤーにダメージが与えられ,ライフのメモリが減少する。これと同時に画面上に爆発パターンが表示され,ライフメモリパネルがフラッシュする。ここまでのゲーム展開は公知のものと同断である。
【0021】而して,本発明に係るビデオ式銃撃戦ゲーム装置に於いては,上記のプロセスに次いで,振動発生装置7が起動され,プレイヤーの銃が左右に激しく振動するようになる。然るときは,プレイヤーはこの振動により照準合わせが困難となるため,銃把43を強く握り,全力を挙げて模擬銃4を押さえ込んで射撃を続けるため,恰も激しい白兵戦状態となる。而して,プレイヤーの被ったダメージに応じて予め定められた時間が経過すると,振動発生装置7がOFFとなり,模擬銃4の振動が停止する。
【0022】叙上の如く,又,図2に示す如く,本発明に係るビデオ式銃撃戦ゲーム装置に於いては,模擬銃支持装置6に振動発生装置7が設けられており,これによりプレイヤーが被弾したときには,模擬銃4に強い振動が与えられ,これがプレイヤーの身体に伝達されるので,強い臨場感が感受されると共に,この振動により射撃が妨害され,ゲームが不利となるので,プレイヤーは銃把を強く握り締め応戦を続けることとなる。このためプレイヤーの興奮が高められ,ゲームに対する興趣が持続するものである。」
上記記載を含む甲第11号証全体の記載からみて,甲第11号証には,以下の発明が開示されていると認められる。
「予めゲームの進行に必要なプログラムがロードされたゲーム制御回路3と,
銃撃戦のターゲットとなる敵の画像やその背景,障害物などを含むゲームの進行状況が表示されるビデオディスプレイ装置2と,
ビデオビィスプレイ装置2のスクリーンに現れる敵の画像に向けて射撃を行うことができ,銃身41の方位角はポテンショメーター66により,又仰角はポテンショメーター68により,それぞれ電気信号に変換され,ゲーム制御回路3に伝送される模擬銃4とを具備し,
該模擬銃4は,支持装置6及び振動発生装置7を内蔵する射撃台に設けられ,
プレイヤーが引金42を引くと,銃身41に内蔵されている発信器から射撃信号が発信されてゲーム制御回路3に伝送されるとともに,射撃音と銃身の反動が発生し,
射撃信号が発信されたとき,銃身41の方位角及び仰角が,ビデオビィスプレイ装置2のスクリーン上の敵の画像に対応して予め定められた範囲内にあるときは,発射された弾丸が敵に命中したものと判定され,プレイヤーが敵を倒す前に敵が正しくプレイヤーに向けて銃撃を行ったとされる場合には,プレイヤーの負と判定されて,プレイヤーは味方のコマンドを一人失うこととなり,味方のコマンドが全滅するまでの間に得た得点を競うものであって,
プレイヤーが被弾したときには,模擬銃4の支持装置6に設けられた振動発生装置7によって模擬銃4に強い振動が与えられ,プレイヤーの被ったダメージに応じて予め定められた時間が経過すると,振動発生装置7がOFFとなり,模擬銃4の振動が停止するビデオ式銃撃戦ゲーム装置。」(以下,「甲11発明」という。)

(16)甲第12号証
甲第12号証の原文において,部材番号「2」の部材に関して,「模倣竿」と「模擬竿」の記載が混在しているが,明細書及び図面から判断して,当審において「模擬竿」に統一した。
ア「本発明は,上述の問題点に鑑みてなされたものであって,遊戯者の操作に対して魚からの「当たり」や「引き」に相当する反応が遊戯者に体感されるようにして,実際の釣りの感覚を楽しむことができる再現性の高い釣り遊戯機を提供することを目的とする。」(明細書第2頁左上欄第7?12行)
イ「上記構成において,遊戯者は,表示器iの画面を見ながら,模擬竿bとリール回転ハンドルcとを操作する。模擬竿bの揺動角とリール回転ハンドルcの回転角とは,それぞれ揺動角検出手段dおよび回転角検出手段eで検出されて,各検出信号が制御部hに入力する。制御部hは,記憶手段jに記憶されている釣り条件と各検出信号とから,釣り上げ成功や釣り上げ途中等の釣り状況を判断し,その釣り状況に対応して揺動負荷手段fや回転負荷手段gを駆動する。これによって,遊戯者には,模擬竿bやリール回転ハンドルcを通じて釣り状況に応じた反応が伝わる。また,制御部hは,釣り状況に対応した画像信号を作成して表示器iに送出するから,遊戯者は表示器iの画面を通じて視覚的に釣り状況を把握することができる。」(明細書第2頁右上欄第16行?左下欄第10行)
ウ「第2図は本発明の一実施例に係る釣り遊戯機の全体の外観を示す斜視図である。この図に示すように,この実施例の遊戯機は,固定のベースlと,模擬竿2と,リール回転ハンドル3と,操作部4と,表示器としてのCRT5とを有する。
ベースlは上部が二又に分岐しており,その一方の分岐先端部1aに模擬竿2が上下揺動自在に枢着されている。リール回転ハンドル3は,模擬竿2の中途部に取り付けられている。CRT5は,ベース1の他方の分岐先端部1bに模擬竿2と対向する向きで設置されている。操作部4は,コイン投入口4aのほか,初期条件を設定するための設定ボタン4b,・・・を有する。
第3図(甲第12号証の原文においては「第2図」と記載されているが,当審で誤記と認めて,上記のとおり認定した。)は上記遊戯機の回路構成を示す構成図で,この図に示すように,遊戯機はまた,模擬竿2の揺動角度を検出する揺動角センサ6と,リール回転ハンドル3の回転角を検出する回転角センサ7と
,模擬竿2の揺動操作に対して負荷を与える揺動負荷手段としてのシリンダ体8と,リール回転ハンドル3に取り付けられた発電機9と,この発電機9に接続された消費電力が可変の負荷10と,制御部11と,スピーカ12とを有する。
揺動角センサ6は,ベース1と一体のホルダ1cに取り付けられ,模擬竿2に設けられた多孔板I3に対面している。回転角センサ7は,リールケース14に取り付けられ,リール回転ハンドル3と一体に回転する多孔板15に対面している。
シリンダ体8は,ベース1に枢着された本体16と,模擬竿2に枢着されたピストン17とを備え,下半部が,模擬竿2の引き起こし操作に対して抵抗を発生するエアシリンダ部8aとなり,上半部が,模擬竿2を急速に引き下げるソレノイド部8bとなっている。エアシリンダ部8aの空気流通口には,電磁バルブ18が設けられている。17aはエアシリンダ部内のクッションばねである。ソレノイド部8bは,ピストン17の中途部に固着した磁石19と,シリンダ本体16の外周に巻回したコイル20とで構成されている。コイル20には駆動回路20aが接続されている。
発電機9と可変負荷10とは,リール回転ハンドル3の回転操作に対して負荷を与えるもので,第1図に示した回転負荷手段gを構成している。」(明細書第2頁左下欄第14行?第3頁左上欄第15行)
エ「制御部11は,CPU21と,ROM22と,RAM23と,入力インターフェース24と,出力インターフェース25とを有する。CPU21は,後述するフローチャートに示すプログラムで動作することにより,第1図に示した判断手段kおよび出力手段mとして機能する。ROM22は,所定の釣り条件,この実施例では魚の水中での抵抗や魚の位置等を記憶するが,魚の水中抵抗等の釣り条件は適宜演算により決定しその都度RAM23に一時記憶させてもよい。要するに,ROM22もしくはRAM23の少なくとも一方が,釣り条件の記憶手段jとなる。
制御部11はまた,CPU21の指令に基づいてCRT5に表示すべき画像信号を作成するビデオディスプロセッサ(VDP)26と,同じくCPU21の指令に基づいて所要の音声信号を生成するザウンドジュネレータ(SG)27とを有する。そして,揺動角センサ6および回転角センサ7の各検出信号と,操作部4の操作信号とは人力インターフェース24に入力し,CPU21からの指令信号は,出力インターフェース25を通じて駆動回路20aと電磁バルブ18と可変負荷10とに送出されるようになっている。」(明細書第3頁左上欄第16行?第3頁右上欄第18行)
オ「ROM22は,所定の釣り条件,この実施例では魚の水中での抵抗や魚の位置等を記憶するが,魚の水中抵抗等の釣り条件は適宜演算により決定しその都度RAM23に一時記憶させてもよい。」(明細書第3頁右上欄第1?5行)
カ「まず,ゲームを始める場合,遊戯者は操作ボタン4aの操作によりオモリの種類や投げる距離等を設定する。ステップS1では,遊戯者による前記の設定条件を入力し,ステップS2で,それに対応した画像,すなわち水面上の所要位置にウキが浮いている画像を表示する。ステップS3では魚の位置を任意に設定し,ステップS4で,魚の位置と釣り糸の位置とが一致したか否か,すなわち魚の当たりが生じるか否かを判断する。」(明細書第3頁左下欄第3行?11行)
キ「ステップS5では,シリンダ体8のコイル20にパルス電流を流して,模擬竿2を瞬間的に引き下げる。この模擬竿2の動きが魚の当たりを表わす。続いて,ステップS6では,コイル20に連続して電流を流す。これによって,模擬竿2が下方に大きく揺動し,魚が確実に針に掛かったことが示される。」(明細書第3頁右下欄第1?7行)
ク「そして,ステップS8において,これらの状態を視覚的に表示すべく,CRT5画面上に,ウキが浮き沈みする画像やウキが沈み込む画像を表示する。」(明細書第3頁右下欄第14?16行)
ケ「以上のように,本発明によれば,釣り上げまでの状況が画面表示されるばかりでなく(甲第12号証の原文においては「ばかりでかく」と記載されているが,当審で誤記と認めて,上記のとおり認定した。),魚を釣り上げるまでの間,魚の手応えに相当する反応が模擬竿やリール回転ハンドルから遊戯者に伝わるから,遊戯者はあたかも実際の釣りをしているような感覚を楽しむことができる。」(明細書第4頁左下欄第12?17行)
上記記載を含む甲第12号証全体の記載からみて,甲第12号証には,以下の発明が開示されていると認められる。
「遊戯者は,CRT5の画面を見ながら,模擬竿2とリール回転ハンドル3とを操作し,該模擬竿2の揺動角とリール回転ハンドル3の回転角とは,それぞれ揺動角度を検出する揺動角センサ6および回転角を検出する回転角センサ7で検出されて,各検出信号が制御部11に入力され,制御部11は,ROM22もしくはRAM23に記憶されている釣り条件と各検出信号とから,釣り上げ成功や釣り上げ途中等の釣り状況を判断し,その釣り状況に対応して揺動負荷手段としてのシリンダ体8や回転負荷手段としての発電機9及び発電機9に接続された消費電力が可変の負荷10を駆動し,遊戯者には,模擬竿2やリール回転ハンドル3を通じて釣り状況に応じた反応が伝わるとともに,制御部11は,釣り状況に対応した画像信号を作成してCRT5に送出して,遊戯者はCRT5の画面を通じて視覚的に釣り状況を把握することができる釣り遊戯機。」(以下,「甲12発明」という。)

(17)甲第13号証
ア「【構成】テレビ画面10中の所定のゲーム領域12内にボール14,第1ラケット16及び第2ラケット18,集合ブロック20を写しだし,第1コントローラ26により第1ラケット16を左右方向に操作し,第2コントローラ18により第2ラケット18を左右方向に操作してボール14を打ち返し,ボール14を集合ブロック20に衝突させブロック20a?20dを消滅させる。消滅させたブロック20a?20dの種別に応じて,第1ラケット16及び第2ラケット18を上下移動させて集合ブロック20に近づけたり遠ざけたりする。」
イ「【0006】
【実施例】本発明の一実施例によるテレビゲーム装置を図1乃至図10を用いて説明する。本実施例のテレビゲーム装置のブロック図を図1に示す。テレビ画面10には,ゲーム領域12中に,任意の方向に移動可能なボール14と,ボール14を反発させる第1ラケット16及び第2ラケット18と,複数種類のブロック20a,20b,20c,20dが集合した集合ブロック20とが写しだされている。ゲーム領域12上部に集合ブロック20が写し出され,ゲーム領域12下部に第1ラケット16及び第2ラケット18が写し出されている。
【0007】ゲーム領域12内のボール14の移動制御は,ボール移動制御手段22により行われる。ボール14は,基本的に直進移動し,ゲーム領域12の左右及び上方の境界の壁,第1ラケット16,第2ラケット18,及び集合ブロック20に衝突すると反発するように移動制御される。ゲーム領域12内へのボール14の供給は,ボール供給ボタン24を押すことにより行われる。
【0008】第1ラケット16を左右に移動させてボール14を打つために,対戦する一方の第1プレイヤが第1コントローラ26を操作する。第2ラケット18を左右に移動させてボール14を打つために,対戦する他方の第2プレイヤが第2コントローラ28を操作する。第1ラケット左右移動手段30は第1コントローラ26の出力に応じて,第1ラケット16を集合ブロック20に対する距離が変化しない左右方向に移動させる。第2ラケット左右移動手段32は第2コントローラ28の出力に応じて,第2ラケット18を集合ブロック20に対する距離が変化しない左右方向に移動させる。」
上記記載を含む甲第13号証全体の記載からみて,甲第13号証には,以下の発明が開示されていると認められる。
「テレビ画面10中の所定のゲーム領域12内にボール14,第1ラケット16及び第2ラケット18,集合ブロック20を写しだし,対戦する一方の第1プレイヤが第1コントローラ26により第1ラケット16を左右方向に操作し,対戦する他方の第2プレイヤが第2コントローラ18により第2ラケット18を左右方向に操作してボール14を打ち返し,ボール14を集合ブロック20に衝突させブロック20a?20dを消滅させるテレビゲーム装置。」(以下,「甲13発明」という。)

(18)甲第14号証
ア「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,液晶画面,CRT,カラープラズマなどを有するゲーム機を椅子に座ったまま有効に操作しながら種々のゲームを楽しむことができる画像式ゲーム機の遊技装置に関する。」
イ「【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は,そのような不具合を解決し,液晶画面などを有するゲーム機を楽に有効に操作して種々のゲームを楽しむことができるよう工夫したものであり,そのため,液晶画面などを有するゲーム機にコード接続する椅子を各ゲーム機の前方にそれぞれ設備し,前記椅子の座体から背もたれ部にかけてはゲーム機の制御部,スピーカ,受信部などを装備するとともに,前記椅子の肘掛部には,ゲーム機を操作する操作レバーおよび操作スイッチなどの操作部と,ゲームを選択する選択スイッチ,音量調節器,カード読み取り部の全部もしくは一部を装備して構成したものであり,また,椅子にはゲーム内容を記憶する端末部を接続したり,ゲーム端末部は複数の椅子に接続したり,ゲーム端末部をコントローラ部に接続したり,ゲーム端末部とコントローラ部はそれぞれ単独でも制御可能にして構成したものである。」
ウ「【0006】
【実施例】図1は遊技場に設備した遊技装置のレイアウト図を示し,液晶画面またはCRT,カラープラズマなどを有する各ゲーム機Aを背中合せに2列にして設備するが,図2および図4の両実施例で示すように,各ゲーム機Aとその前方の椅子Bとを,コード1を内装して屈折するパイプ形フレーム14により連結し,図1に示すように,それぞれ制御部4を内装した2台または3台の各椅子Bにはゲーム内容を記憶するゲーム端末部12をそれぞれ接続するとともに,各端末部12は図2に示すように床15下に配備し,各端末部12は遊技場外に備えたコントローラ部13に接続し,各端末部12とコントローラ部13はそれぞれ単独でも制御できるようにして,コントローラ部13の異常や故障の発生時でも端末部12のみのローカル制御ができるようにして構成する。
【0007】各椅子Bは,座体2より上方に延出する背もたれ部3の上部両側には耳状の両出っ張り部3a,3aを形成するとともに右側には背もたれ部3より延出する肘掛部7を架設して構成するが,背もたれ部3にはゲームカートリッジ4aを有する制御部4や振動発生器16を内装し,両出っ張り部3a,3aには,送信器17より受信できる受信部6やスピーカ5をそれぞれ内装し,前記肘掛部7には,ゲーム機Aを操作する操作レバー8aおよび操作スイッチ8bの操作部8と,ゲームを選択する選択スイッチ9および音量調節器10と,カード11aを出し入れできるカード読み取り部11とを配備し,前記背もたれ部3の背面には表示部18を装備して,図7に示すように,ゲーム機Aと椅子Bとは,コード1の断線におけるメンテナンスが容易となるよう接続器19,19をそれぞれに介装して接続し構成する。
【0008】したがって,ゲーム機Aと椅子Bとをフレーム14により一体的にして遊技場に安定良く設備できることになり,椅子Bに安楽に座ることができる遊技者がカード11aを肘掛部7のカード読み取り部11に挿入すると,遊技者の登録内容の氏名や所持金などがゲーム機Aに表示されることになり,ゲーム選択スイッチ9を押して制御部4に収納されているゲームカートリッジ4aの中からゲームを選択すると,そのゲームがゲーム機Aに表示されることになり,そこで,操作レバー8aや操作スイッチ8bを操作してゲームを行なうことができることになり,そのゲーム中に,例えばスロットであれば絵柄が揃った時の効果音やメタルの払出しの効果音を耳元のスピーカ5,5より聴くことができることになり,その効果音の高低は音量調節器10により調節できることになり,そのゲーム中に遊技場で災害が発生したような場合には,外部の送信機17から受信部6に受信してスピーカ5,5よりその内容のアナウンスを聴くことができることになり,また,椅子Bに内装した振動発生器16により,音と振動による体感を遊技者に与えることができる。」
上記記載を含む甲第14号証全体の記載からみて,甲第14号証には,以下の発明が開示されていると認められる。
「液晶画面またはCRT,カラープラズマなどを有する各ゲーム機Aを背中合せに2列にして設備し,各ゲーム機Aとその前方の椅子Bとを,コード1を内装して屈折するパイプ形フレーム14により連結し,各椅子Bの背もたれ部3にはゲームカートリッジ4aを有する制御部4や振動発生器16を内装し,両出っ張り部3a,3aには,送信器17より受信できる受信部6やスピーカ5をそれぞれ内装し,肘掛部7には,ゲーム機Aを操作する操作レバー8aおよび操作スイッチ8bの操作部8と,ゲームを選択する選択スイッチ9および音量調節器10と,カード11aを出し入れできるカード読み取り部11とを配備し,前記背もたれ部3の背面には表示部18を装備して,遊技者は操作レバー8aや操作スイッチ8bを操作してゲームを行ない,そのゲーム中に,例えばスロットであれば絵柄が揃った時の効果音やメタルの払出しの効果音を耳元のスピーカ5,5より聴くことができ,椅子Bに内装した振動発生器16により,音と振動による体感を遊技者に与えることができる画像式ゲーム機の遊技装置。」(以下,「甲14発明」という。)

(19)甲第15の1号証
ア「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,各種音響機器や業務用ゲーム機,家庭用テレビゲーム機などから出力される電気的な音響信号を機械的な振動に変えて人の身体に伝える音響体感器に係り,特に,スピーカが放音する音響の音圧によって生ずる空気振動でスピーカを内蔵した密閉容器の外郭を振動させてその振動を身体に伝える形式の音響体感器に関する。」
イ「【0009】本例においては,ポリ容器などの材料となる半硬質のポリプロピレンによって有底円筒形に成形された二つの半割りケース2及び3を合体させて成る密閉容器1の内部が,円板ドーナツ状の隔壁4で二分するように仕切られて,二つの気密室5及び6が形成されている。隔壁4は,その中央に形成した開口部に取り付けられるスピーカ7のコーン紙8の振動を受けてそのコーン紙8と一体的に振動する振動板で成り,その振動板には,一方の気密室5に生じた空気振動を他方の気密室6に移行させる透孔9が穿設され,その透孔9によって二つの気密室5及び6が連通している。また,振動板を成す隔壁4の外縁部は,その振動を吸収する緩衝材10を介して密閉容器1内に固定されている。
【0010】なお,隔壁4は,密閉容器1と同じく強靭で且つ振動を生じやすい可撓性のある半硬質のポリプロピレンによって成形され,スピーカ7の荷重とその振動で生ずる衝撃とに耐えられる程度の最小限の厚さを有している。また,緩衝材10は,隔壁4の外縁部を嵌合保持する環状溝11を有し,それ全体が,気密性の高い発泡ポリウレタンやゴムなどによって成形されると共に,密閉容器1を成す二つの半割りケース2及び3を一体化するいんろう継手となる円筒体12の内面に対して接着剤などで固着されている。また,密閉容器1の気密室6内には,周波数半減回路を有したアンプ13と,電源コード等を接続するコネクタ14が収容配設されている。
【0011】しかして,スピーカ7のコーン紙8が振動して放音される音響の音圧によって密閉容器1の気密室5及び6内に生じた空気振動は,密閉容器1の外郭に伝わってその外郭を振動させるが,その際に,隔壁4に穿設された透孔9を通じて二つの気密室5及び6間を行き来するように密閉容器1内を駆け巡り,しかも,空気振動が透孔9を通過するときに生ずる音の絞り込み効果によって音響の音圧が高められるので,密閉容器1の外郭に生ずる振動が非常に大きくなると同時にその振動は密閉容器1の外郭を成す半割りケース2及び3の全体にわたって生ずる。また,このとき,隔壁4全体がスピーカ7のコーン紙8の振動を受けてそのコーン紙8と一体的に振動するので,密閉容器1内に生ずる空気振動が非常に大きくなって半割りケース2及び3の振動も著しく大きくなる。」
上記記載を含む甲第15の1号証全体の記載からみて,甲第15の1号証には,以下の発明が開示されていると認められる。
「密閉容器1の内部が,円板ドーナツ状の隔壁4で二分するように仕切られて,二つの気密室5及び6が形成され,隔壁4は,その中央に形成した開口部に取り付けられるスピーカ7のコーン紙8の振動を受けてそのコーン紙8と一体的に振動する振動板であって,振動板である隔壁4には,一方の気密室5に生じた空気振動を他方の気密室6に移行させる透孔9が穿設され,その透孔9によって二つの気密室5及び6が連通するとともに,その外縁部は,その振動を吸収する緩衝材10を介して密閉容器1内に固定される音響体感器であって,スピーカ7のコーン紙8が振動して放音される音響の音圧によって密閉容器1の気密室5及び6内に生じた空気振動は,密閉容器1の外郭に伝わってその外郭を振動させ,隔壁4に穿設された透孔9を通じて二つの気密室5及び6間を行き来するように密閉容器1内を駆け巡り,空気振動が透孔9を通過するときに生ずる音の絞り込み効果によって音響の音圧が高められる,各種音響機器や業務用ゲーム機,家庭用テレビゲーム機などから出力される電気的な音響信号を機械的な振動に変えて人の身体に伝える音響体感器。」(以下,「甲15の1発明」という。)

(20)甲第15の2号証
ア「【特許請求の範囲】
【請求項1】閉じられた音導状に成形されたエアーブラダー内に2個のスピーカユニットよりなる駆動部を配置し,周波数により位相の変化する増幅器と周波数により位相の変化しない増幅器でそれぞれの駆動部を駆動し発生する圧力波でエアーブラダーを振動させるように構成した振動体感装置。」
イ「【0010】ミキサー1により左右信号成分を合成しローパスフィルター2で低音減を抽出した信号を,ポリ塩化ビニルシートを音導状に成形しその音導中にコーン型ダイナミックスピーカを納めた駆動部を2つ有している振動子5の一方の駆動部7には,その信号のまま増幅器4bで増幅し駆動する。他方の駆動部6には周波数が高くなれば位相が遅れるように作動する位相器3を通過した信号を増幅器4aで増幅し駆動する。これにより,周波数により振動の弱い節が移動し音楽信号再生時には,体感上振動の不均一が緩和される。
【0011】
【発明の効果】このように構成される本発明の振動体感装置は,音楽信号再生時には,体感上振動子の振動の不均一が緩和され不快感のない振動を得ることができ,工業的価値の大なるものである。」
上記記載を含む甲第15の2号証全体の記載からみて,甲第15の2号証には,以下の発明が開示されていると認められる。
「閉じられた音導状に成形されたエアーブラダー内に2個のスピーカユニットよりなる駆動部を配置し,周波数により位相の変化する増幅器と周波数により位相の変化しない増幅器でそれぞれの駆動部を駆動し発生する圧力波でエアーブラダーを振動させるように構成し,ミキサーにより左右信号成分を合成しローパスフィルターで低音減を抽出した信号を,一方の駆動部7にはその信号のまま増幅器で増幅し,他方の駆動部には周波数が高くなれば位相が遅れるように作動する位相器を通過した信号を増幅器で増幅して駆動し,駆動駆動音楽信号再生時には,体感上振動子の振動の不均一が緩和され不快感のない振動を得ることができる振動体感装置」(以下,「甲15の2発明」という。)

(21)甲第15の3号証
ア「【請求項16】 請求項1?請求項7の何れかに記載の体感スピーカーをオーディオアンプに接続し,オーディオアンプからの信号に従って体感スピーカーが振動するようになったオーディオシステムにおいて,
体感スピーカーに送られる信号をローパスフィルタに通して中低音部の信号を分離した後,この中低音部の信号を増幅して体感スピーカーに送るようになっていることを特徴とするオーディオシステム。」
イ「【0004】
【課題を解決するための手段及び作用】このような目的を達成するために,本発明による体感スピーカーは,内部に収納空間を有するケーシングと,貫通状態で形成されたシリンダ孔を有し,通電によりこのシリンダ孔内に磁界を形成する電磁部材と,及び電磁部材への通電により振動するようにされた振動体とを備え,そして,この振動体は,開口を有する支持部材と,開口を有する振動板と,通孔を囲繞形成する永久磁石と,及び中央部にプランジャ柱が突設された平板状のアーマチュアとを含んでおり,振動板をその周囲でケーシングに固定・支持させる一方で,この振動板の一面に永久磁石の一面を当接させると共に振動板の他面に支持部材の一面を当接させ,さらに,プランジャ柱が永久磁石の通孔と支持部材及び振動板の開口とを貫通し且つプランジャ柱の先端部がケーシングの収納空間内に突出状態で臨まされた電磁部材のシリンダ孔に臨むようにして組み合わされてなっている。」
ウ「【0013】
【実施例】それでは,本発明の実施例を添付の図面を参照して詳細に説明する。図1に本発明による体感スピーカーの第1実施例の分解斜視図,図2にそれを組み立てた状態の断面図を示す。図示の第1実施例で,体感スピーカーは,中央部に開口10が設けられた第1蓋部材9,フレーム部材21,及び第2蓋部材5からなるケーシングと,開口10に挿入・固定される管状部材11と,管状部材11が挿入された開口10を塞ぐようになった栓部材14と,栓部材14に装着される補助永久磁石20と,第1,第2蓋部材9,5の内壁面に取り付けられる弾性体22,22′と,振動体とより構成されている。
【0014】この内の振動体は,管状部材11内部に挿入される円柱形のプランジャ柱18が中央部に設けられた円板形のアーマチュア17と,アーマチュア17と略同径で,管状部材11の挿入を受ける通孔を囲繞形成した環形の永久磁石19と,永久磁石19と略同形の支持部材16と,管状部材11の挿入を受ける開口7a及び多数の溝形孔7bが設けられ,アーマチュア17より径の大きい環形となった振動板7,7′とより構成され,図1に示すように,永久磁石19を挟むように振動板7,7′を配置し,さらにその両外側からアーマチュア17及び支持部材16により挟むようにして互いに組み付けられている。このとき,アーマチュア17のプランジャ柱18は振動板7,7′及び支持部材16の開口と,永久磁石19の通孔とに挿入されるが,プランジャ柱18の側面と各開口及び通孔の壁面との間の空間は,ソレノイドコイル12の巻かれた管状部材11が挿入されて往復運動できるだけの十分な間隔を有するようにされている。」
エ「【0030】このような体感スピーカーを用いたオーディオシステムの作用は以下のようになる。すなわち,オーディオアンプから出力される音響信号がソレノイドコイルに流れると,この信号の強弱によってソレノイドコイルの磁界の強さが変化する。すると,ソレノイドコイルの磁界と永久磁石による磁界の相互作用により振動体が振動する。その結果,振動体を包含したケーシング全体が音響信号に従って振動し,この振動が体感スピーカーを内装したシート等の使用者の身体に伝えられ,使用者はその音楽の拍子等を生々と体感することが出来るのである。尚,体感スピーカーをチョッキやベルトに内装する時は,体感スピーカーが着用者の背の方に配置されるようにするとより効果的である。
【0031】本発明による体感スピーカーは,特に中低音がはっきりと含まれる音楽を鑑賞する時もっとも効果的となる。これは,中低音の音響信号でもっとも大きく振動体が振動できるためである。したがって,ステレオサウンドシステムを通した音楽鑑賞時等において,体感スピーカーに中低音の音響信号だけを送るようにして体感スピーカーをより効果的に作用させることもできる。このためには,ステレオサウンドシステムの出力をローパスフィルタ(low pass filter)に通して,例えば,その出力の中で120Hz以下の信号だけが増幅されるようにして体感スピーカーに送られるようにするとよい。このような中低音信号だけを分離する方法は,公知のクロスオーバコントロール(crossover control)がある。」
上記記載を含む甲第15の3号証全体の記載からみて,甲第15の3号証には,以下の発明が開示されていると認められる。
「オーディオアンプから出力される音響信号がソレノイドコイルに流れると,この信号の強弱によってソレノイドコイルの磁界の強さが変化し,ソレノイドコイルの磁界と永久磁石による磁界の相互作用により振動体が振動して,振動体を包含したケーシング全体が音響信号に従って振動することで体感スピーカーを内装したシート等の使用者の身体に伝えられる体感スピーカであって,チョッキやベルトに内装した体感スピーカーに中低音の音響信号だけを送るようにして,使用者に対して,より効果的に作用する体感スピーカ。」(以下,「甲15の3発明」という。)

(22)甲第16の1号証
本件特許の特許公報である。(特許第3295771号)

(23)甲第16の2号証
本件特許に係る平成27年9月9日付け訂正審判の審判請求書全文である。(訂正2015-390098号)

(24)甲第16の3号証
本件特許に係る訂正審判の平成27年12月3日付け審決であって,訂正事項を全て認める旨の記載がある。

(25)甲第17号証
平成26年(ワ)第6163号 特許権侵害行為差止請求事件(原告:株式会社カプコン,被告:株式会社コーエーテクモゲームス)の原告が,平成27年9月18日に提出した第8準備書面であって,以下の主張が記載されている。
・(本件訂正発明の発明特定事項の)「特定の状況」そのものが「画像情報からは認識できない情報」であるとの被告の主張は,その前提からして失当である。
・本件発明の実施例の説明では,「特定の状況」そのものが,画像情報から認識できる情報である構成が示されている。
・特定の状況にあることを判定した際に,「画像情報から認識できる情報」を振動情報として「送出しない」ことが要件として特定されているわけではない。
・「特定の状況」そのものが「画像情報からは認識できない情報」である場合に限定されるとの被告の主張は失当である。

(26)甲第18の1号証
ア「〔実施例]
以下,この発明を添付図面に示す一実施例に基づいて説明する。
第1図は本願体感ゲーム機の全体斜視図,第2図は同じく一部切り欠き斜視図,第3図は基体と揺動機構の構成を示す斜視図,第4図は体感振動スイッチの押圧手段の構成を示す斜視図,第5図は基体と追尾体の関係を示す断面図,第6図は体感振動スイッチの押圧手段と基体の関係を示す断面図,第7図は振幅可変手段の構成を示す斜視図,第8図(a),(b)は同カムの振幅可変原理を示す説明図である。
図において,1は台座で,該台座1は電池収納室や発音回路など(図示せず)を内蔵してなり,両側に支柱1aを備えている。該台座1は,本願ゲーム機の本体100を机上にて安定支持するためのものである。
2は固定胴で,該固定胴2は,前部と後部に開口2a,2bを有する外側球面の殻体からなり,その両端が前記台座1の支柱1aに固設されている。
3は基体で,該基体3は前記固定胴2内に固設された「コ」字型枠体31を備え,該部材31の前端に目標映像面4,後端に命中スイッチ5が,それぞれ揺動機構6を介して設けられている。該目標映像面4は,透明プラスチック製の回転円板からなり,ゲーム内容に応じた映像,例えば,編隊飛行する戦闘機の機影などのターゲツト像M_(1)を印刷してある。該命中スイッチ5は,命中時の音と振動発生回路を作動させるためのものであるが,基体3に対して上下左右に揺動しているため,後述のトリガ部材9と同一直線状に一致した時だけ,オンするようになっている。」(明細書第2頁右上欄第11行?右下欄第3行)
イ「前記体感レバー10,10は,ミサイル発射時の音と振動,及び命中時の音と振動をゲーム機の使用者に伝えるため把持部材で,戦闘機の操樅レバーに擬して前記操縦体7の両サイドに設けられている。」(明細書第4頁左上欄第6行?10行)
ウ「前記命中スイッチ5は,命中時の音と振動を発生させるためのもので,前記第2揺動アーム63の後端にピンP_(1)と長穴N_(2)を介して設けられた板状部材51からなり,その後端に押圧部5a,前端に反射ミラー5bを備えている。該スイッチ5は,前述のように,第1揺動アーム61と第2揺動アーム63の合成揺動により,上下・左右に不規則揺動するため,後述の押圧部材9fが同一線上にセットできた時にのみ作動可能に構成されている。そして,被押圧時は,音と振動の発生回路(図示せず)を所定モードに接続するとともに,前記反射ミラー5bを発光ランプLに近接させ,目標映像面4の背光を急峻に明るくできるようになっている。Bは部材51を突出方向に付勢するバネである。
7は操縦体で,該操縦体7は,前記固定胴2の外側球面に沿うガイド部7aを備え,かつ固定胴2の外部を覆うことのできる殻体71からなり,該ガイド部7aを介して,固定胴2に対して任意の方向へ(極座標的に)揺動できるようになっている(第4,5,6図)。また,該操縦体7の殻体71は,前記目標映像面4に対応する追尾スコープ8と,前記スイッチ5に連動可能なトリガ部材9を有する体感レバー10,及び振動発生部11をそれぞれ備え,発射時と命中時で該体感レバー10の振動が変わるようになっている。」(明細書第3頁右上欄第14行?左下欄第19行)
エ「上記のようにこの発明は,外側球面の固定胴内に固設された基体の前面に目標映像面を,後面に命中時の振動を発生させる命中スイッチを,それぞれ上下左右に揺動可能に設け,かつ該固定胴の外側球面に沿って揺動可能な操縦体に,前記目標映像面に対応する追尾スコープと,前記スイッチに連動するトリガ部材を備えた体感レバーをそれぞれ設け,振幅可変手段により発射時と命中時で該体感レバーの振動振幅が変わるよう構成したことを特徴としているので,追跡時,射撃時,及び命中時の各モードで,体感振動を変更でき,ゲーム機としての興趣を増大することができる。しかも,振幅可変手段は偏心部材とカムからなる簡潔構成であるから,装置構成も簡潔となる。」(明細書第5頁右上欄第1行?14行)
上記記載を含む甲第18の1号証全体の記載からみて,甲第18の1号証には,以下の発明が開示されていると認められる。
「前部と後部に開口2a,2bを有する外側球面の殻体からなる固定胴2内に固設された「コ」字型枠体31を備え基体3であって,該枠体31の前端に目標映像面4を,後端に命中時の音と振動発生回路を作動させるための命中スイッチ5を,それぞれ揺動機構6を介して設けた体感ゲーム機であって,該スイッチ5は,第1揺動アーム61と第2揺動アーム63の合成揺動により,上下・左右に不規則揺動して,トリガ部材9と同一直線状に一致した時だけ,オンするように構成され,目標映像面4に対応する追尾スコープ8と,前記スイッチ5に連動可能なトリガ部材9を有する体感レバー10,及び振動発生部11をそれぞれ備え,該体感レバー10は,ミサイル発射時の音と振動,及び命中時の音と振動をゲーム機の使用者に伝えるための把持部材であって,発射時と命中時で体感レバー10の振動が変わるようになっている体感ゲーム機。」(以下,「甲18の1発明」という。)

(27)甲第18の2号証
ア「【0014】この運転玩具1の簡単な動作を説明すれば,この運転玩具1は,スイッチキー9をオンすると,運転玩具1が起動され,風景表示装置6に風景が静止した状態で映し出される。この状態からプレイヤーがアクセルペダル8を踏み込むと,前記風景が連続的に移り変わる。これによって,風景表示装置6に表示された風景内を走っているかのイメージがプレイヤーの頭の中に惹起される。
【0015】また,走行中,ハンドル5を左右に回転させると,ベース2に対して車体4がハンドル5の回転方向に旋回するとともに,風景表示装置6に表示された風景がハンドル5の回転方向とは反対に動く。これによって,風景表示装置6に表示された風景内を曲線走行しているかのイメージがプレイヤーの頭の中に惹起されることになる。
【0016】さらに,車体4前部のダッシュボード10に設けられたターボボタン11を押せば,ターボ音が発音されて風景の変化速度が増す。また,ハンドル5の中央に設けられたクラクションボタン12を押せば,クラクションが鳴る。なお,走行中,速度に応じて,車体4が振動する。」
イ「【0025】また,この実施例のゲーム装置1では,振動の大きさが,アクセルペダル8の踏込み量によって変えられるようになっている。」
ウ「【0028】そして,アクセルペダル8を踏み込まないうちは起きあがっていた(軸37から離れていた)重錘38が,アクセルペダル8を踏み込んだとき,倒れる(軸37の近傍にくる)ようになっている。その結果,偏心回転の大きさが変わり,振動の大きさが変わることになる。つまり,アイドリング状態のときは振動が大きく,アクセルペダル8を踏み込んで走行したときには振動が小さくなる。」
上記記載を含む甲第18の2号証全体の記載からみて,甲第18の2号証には,以下の発明が開示されていると認められる。
「スイッチキー9をオンすると,起動され,風景表示装置6に風景が静止した状態で映し出され,この状態からプレイヤーがアクセルペダル8を踏み込むと,風景が連続的に移り変わり,走行中,ハンドル5を左右に回転させると,ベース2に対して車体4がハンドル5の回転方向に旋回するとともに,風景表示装置6に表示された風景がハンドル5の回転方向とは反対に動く運転玩具1であって,
アクセルペダル8を踏み込まないうちは起きあがっていた重錘38が,アクセルペダル8を踏み込んだときに倒れることによって,偏心回転の大きさが変わり,プレイヤーのアクセルペダル8の踏込み量によって振動の大きさが変わる運転玩具。」(以下,「甲18の2発明」という。)

(27)甲第19号証
ア「【0010】
前記ゲーム機本体1の下方には,遊戯者の操作に従ってゲーム機本体1を動作させるための動作手段が配設されている。7はゲーム機本体1を前後左右及びその中間の8方向に平面移動させるためのX-Yテーブル機構を有する移動ユニットで,8はゲーム機本体1を旋回動作させるための旋回ユニットで,9はゲーム機本体1を昇降させるための複数のシリンダを有する昇降ユニットである。ゲーム機本体1の基台11の下部には,前記シート2を振動させるための,振動ユニット10が配設されている。」
イ「【0012】
12は,振動を発生させるためのモータで,前記シート2の下方であり,前記ゲーム機本体1の基台11の例えば下面に固設されている。このモータ12の駆動軸13には偏心軸15を有するカップリング14が挿着されている。偏心盤状に形成されたホルダー16のベアリング17には,前記偏心軸15が挿入され,逆側から固定板18を介してビス止めされることで,抜けることなく回転可能になっている。
【0013】
19は前記シート2の下部と直結した振動板で,基台11上に配設された転動可能な複数のベアリング23によって移動可能に支持されている。また,この振動板19の下面には,前記モータ12の駆動軸13の軸方向に一対の平行な側板21が形成されてなる支持板20が固設されている。前記支持板20は基台11の開口部22より下方に挿通されている。前記側板21間には,軸24が架設されている。25は,例えば棒状に形成され,一方端側には輪部26が形成され,他端側にはネジ部28が形成されている。そして,この輪部26が前記軸24に挿通されることで,連結部材25は前記モータ12の回転と同方向に回動可能になっている。また,前記軸24には,連結部材25のずれを防止するために,その両側に輪状のスペーサ27が挿着されている。一方,連結部材25の他方端側に形成されたネジ部28が前記ホルダー16の周面上で,ベアリング17の中心から最長寸法位置に螺合することで前記モータ12とシート2とが連結される。」
ウ「【0016】
振動ユニット10は,遊戯者の操作又は,ゲーム画面に従って不図示の制御装置からの制御信号により前記モータ12が駆動することにより作動する。モータ12の駆動軸13が図2において時計回りに回転(2点鎖線は基点を示す)を始めると,ホルダー16の回転の中心は偏心軸15によって,駆動軸13を中心とした円運動を行なう。この時,連結部材25は,その輪部26で回動可能なため,軸24に対して角度を有しながら支持板20を右方向に移動させる。さらに駆動軸15が回転すると,支持板20は連結部材25に引かれて左方向へ移動することになる。従って,前記モータを連続的に駆動させてやると支持板20は振動板19を介して前記シート2へ連結されているため,左右に往復直線移動されることで遊戯者に振動を与えることができる。この時,モータ12の回転速度を可変可能に制御すれば,種々の周期で振動を行なうことができ,また,カップリング14の偏心軸15の位置を変えることで振幅を変えることが可能である。」
上記記載を含む甲第19号証全体の記載からみて,甲第19号証には,以下の発明が開示されていると認められる。
「ゲーム機本体1の下方には,遊戯者の操作に従ってゲーム機本体1を動作させるための動作手段が配設され,移動ユニット7はゲーム機本体1を前後左右及びその中間の8方向に平面移動させるためのX-Yテーブル機構であって,旋回ユニット8はゲーム機本体1を旋回動作させ,昇降ユニット9はゲーム機本体1を昇降させるための複数のシリンダを有し,ゲーム機本体1の基台11の下部には,前記シート2を振動させるための,振動ユニット10が配設され,該振動ユニット10は,遊戯者の操作又は,ゲーム画面に従って作動するものであって,
ゲーム機本体1の基台11の下面に固設されているモータ12の駆動軸13には偏心軸15を有するカップリング14が挿着され,該偏心軸15は偏心盤状に形成されたホルダー16のベアリング17に挿入され
振動ユニット10は,遊戯者の操作又は,ゲーム画面に従って,制御装置からの制御信号によりモータ12が駆動することにより作動するものであって,モータ12の駆動軸13が回転を始めると,ホルダー16の回転の中心は偏心軸15によって,駆動軸13を中心とした円運動を行ない,モータ12の回転速度を可変可能に制御すれば,種々の周期で振動を行なうことができ,また,カップリング14の偏心軸15の位置を変えることで振幅を変えることが可能な遊戯者に振動を与えることができるゲーム機。」(以下,「甲19発明」という。)

(28)甲第20の1号証
1986年に発表された,体感シリーズ第4弾の「アウトラン(Out Run)」では,ステアリングの動き,加速中,ドリフト中,衝突時などの画面上の車の状態に併せて,キャビネットが電気モータによってムービング(揺動)することで,最高級スポーツカーの性能をシミュレートした体感ゲーム機が記載されている。

(29)甲第20の2号証
1985年に,セガが,振動や動きを体で感じることができるドライブゲームである「体感ゲーム」を発表したことが記載されている。

(30)甲第21号証
請求人代理人が作成したDVD-Rから,ニンジャウォーリアーズのゲームの進行について,以下の事項が看て取れる。
12:45:15 ゲーム画面開始
12:45:16 左ゲーム画面にニンジャ出現,右方へ移動
12:45:33 スクロールする背景の柱が中ゲーム画面中央部を通過
12:45:34 振動開始
12:45:39 柱が左ゲーム画面左方へフレームアウト
12:45:44 戦車が右ゲーム画面右方よりフレームイン
12:45:56 戦車の搭乗員が戦車から落下
12:46:00 戦車が左ゲーム画面左方へフレームアウト
12:46:04 12:45:34から継続の振動が終了
12:46:13 振動開始
12:46:15 12:46:13からの振動が終了し,ニンジャが消滅する。

4 各乙号証について
各乙号証によれば,以下の事項が認められる。
(1)乙第1号証の1
被請求人が作成したCD-Rから,ニンジャウォーリアーズのゲームの進行について,以下の事項が看て取れる。
11:18:15 左ゲーム画面のニンジャが右方向への移動を開始
11:18:21 ニンジャが右ゲーム画面の右方にフレームアウト
11:18:30 画面が暗転
11:18:32 新しいゲーム画面が出現
11:18:33 ニンジャが左ゲーム画面に出現
11:19:02 スクロールする背景の柱が中ゲーム画面中央部を通過して振動開始
11:19:16 戦車が右ゲーム画面右方よりフレームイン
11:19:30 柱が左ゲーム画面左方へフレームアウト
11:19:56 戦車が左ゲーム画面左方へフレームアウト
11:20:57 戦車が左ゲーム画面左方よりフレームイン
11:20:15 戦車が左ゲーム画面左方へフレームアウト
11:20:20 11:19:02から継続の振動が終了

(2)乙第1号証の2
被請求人が作成したCD-Rから,ニンジャウォーリアーズのゲームの進行について,以下の事項が看て取れる。
11:30:21 中ゲーム画面のニンジャが右方向への移動を開始
11:30:24 ニンジャが右ゲーム画面の右方にフレームアウト
11:30:27 画面が暗転
11:30:29 新しいゲーム画面が出現
11:30:30 ニンジャが左ゲーム画面に出現して右方向へ移動
11:30:54 スクロールする背景の柱が中ゲーム画面中央部を通過
11:30:55 振動開始
11:31:08 戦車が右ゲーム画面右方よりフレームイン
11:31:24 柱が左ゲーム画面左方へフレームアウト
11:32:11 戦車が左ゲーム画面左方へフレームアウト
11:32:15 11:30:55から継続の振動が終了

(3)乙第1号証の3
被請求人が作成したCD-Rから,ニンジャウォーリアーズのゲームの進行について,以下の事項が看て取れる。
16:14:28 中ゲーム画面のニンジャが右方向への移動を開始
16:14:32 ニンジャが右ゲーム画面の右方にフレームアウト
16:14:41 画面が暗転
16:14:44 新しいゲーム画面が出現して,ニンジャが出現
16:15:04 スクロールする背景の柱が中ゲーム画面中央部を通過して振動開始
16:15:18 戦車が右ゲーム画面右方よりフレームイン
16:15:55 柱が左ゲーム画面左方へフレームアウト
16:16:19 戦車が左ゲーム画面左方へフレームアウト
16:16:23 16:15:04から継続の振動が終了

(4)乙第2号証
「ニンジャウォーリアーズゲーム」証拠動画撮影環境について,以下の事項が図から看て取れる。
・時計1及び時計2をゲーム画面下部手前の(操作装置を備える)平坦部分に,ビデオ1計時用の時計1と,ビデオ2計時用の時計2を載置すること。
・ベンチシートに着座してゲームを行うプレイヤーを基準として,ベンチシート後方にビデオ1撮影用のカメラ1を,ベンチシート左方にビデオ2撮影用のカメラ2を載置すること。
・ベンチシートに地震計を載置すること。
・撮影開始後,ゲーム画面下部手前の(操作装置を備える)平坦部分に載置されていた時計2を,ベンチシートに載置された地震計の横に移動させること。

(5)乙第3号証
被請求人が作成したCD-Rから,ニンジャウォーリアーズのゲームの進行について,以下の事項が看て取れる。
なお,乙第3号証には,画面上に時計がないため,画像の再生時間を記した。
00:02 ニンジャが左ゲーム画面に出現
00:20 ニンジャが柱位置に来る
00:28 スクロールする背景の柱が中ゲーム画面中央部を通過
00:29 振動開始
00:39 戦車が右ゲーム画面右方よりフレームイン

(6)乙第4号証
「かん‐けつ【間歇・間欠】」の意味として,「一定の時間を隔てて起こること。止んで,また,起こること。」と記載されている。

(7)乙第5号証
「キックバック」の意味として,「路面不整によって生じるタイヤの衝撃が,ハンドルを急激に回転させる現象をいう。前後左右方向の路面衝撃は直接,キングピン軸まわりのモーメントとなり,上下方向の衝撃は,サスペンションを介してタイロッドを加振させ,キックバックの原因となる。」と記載されている。

第7 判断
1 当審の判断
(1)公知発明の認定
まず,請求人及び被請求人が提出した証拠(甲第4,5,21号証,乙第1の1?3号証,乙3号証)に共通するゲーム装置である「ニンジャウォーリアーズ」が,どのような発明(公知発明)であるのかを認定する。
甲第4,5,21号証,乙第1の1?3号証,乙3号証から,認定できる事項を以下に列挙する。
・ゲーム装置は,ゲーム画面と操作部を備えた本体部を有し,遊戯者が操作部を操作することによって,ニンジャの動き(左右方向の移動,敵への攻撃等)を制御していること。
・ゲーム装置は,遊戯者が座ることのできるベンチをさらに備えており,ベンチはゲームを実行中に振動することがあり,該振動をベンチに着座しているゲームプレイヤが感知できること。
・ゲーム装置は,左右一組の操作部を有し,ベンチは複数人(2人)が座ることができる横幅を有し,2人のゲームプレイヤでプレイすることができるゲーム装置であること。
・戦車は,振動が発生してから所定時間経過してゲーム画面に現れるが,振動が発生しないで戦車が登場した例,及び振動が発生したものの戦車が登場しなかった例はない。
・振動が発生してから戦車がゲーム画面に現れるまでの時間は,具体的には,11秒,14秒,10秒,14秒,13秒,14秒,10秒と,ゲームの進行具合によって一定ではなく,一定でない理由については不明である。
・ゲーム画面の背景のスクロールの方向は,右から左であって,逆方向はない。
・ゲーム画面の背景のスクロールと,ニンジャの動き,及びニンジャの画面上の位置の間には,何らかの関係があるように思われるが,絶対的な規則性があるとまではいえない。
・スクロールによって,柱がゲーム画面中央(中ゲーム画面の左右方向の中央部)に到達すると振動が生じるが,柱がゲーム画面中央に到達するまでに振動が生じた例はない。
・ニンジャが,柱の右方向に超えたり,画面中央を越えても,柱がゲーム画面中央に到達していなければ,振動は開始しない。
・ニンジャと戦車とは,戦う関係にある。
・戦車の動きが,何によるものかは不明であるが,おそらく遊戯者の操作部の操作によるものではない。
・戦車がゲーム画面からフレームアウトした後,所定時間経過して,振動が終了する。
・戦車がフレームアウトしてから,振動が終了するまでの時間は,具体的には,4秒,4秒,4秒,5秒,4秒,4秒,であり,ほぼ一定であるといえる。
・戦車は右画面の右方からフレームインし,左画面の左方へフレームアウトする。
以上のことから,公知発明は以下のとおりである。
「遊戯者が操作する操作部を左右に一組備え,この操作部の操作に基づいてニンジャの動きを制御し,遊戯者が操作することにより動作を行うニンジャ及びニンジャの動きによって背景画像をスクロールするゲーム画面を含む画像表示するゲーム画面と,複数の遊戯者が座ることのできるベンチとを有するゲーム装置であって,
右から左方向にスクロールする背景画像のうち柱が,ゲーム画面中央に到達すると,前記ベンチは振動を開始し,該振動開始後,所定時間経過すると,ゲーム画面右方から戦車がフレームインし,
ニンジャと戦車とは,戦闘を行い,
戦車が,ゲーム画面左方にフレームアウトして所定時間経過後に前記振動が終了するまでは,振動が継続しているゲーム装置。」

(2)無効理由1-1
本件発明1と公知発明とを対比する。
後者の「操作部」は,前者の「入力手段」に相当する。
後者の「ニンジャ」は,前者の「キャラクタ」に相当する。
後者の「操作部の操作」は「ニンジャの動きを制御」するゲーム装置であるから,後者のゲーム装置は,前者の「入力手段からの信号に基づいてゲームの進行状態を決定あるいは制御するゲーム進行制御手段」に相当する構成を有していることは自明である。
後者の「操作部の操作」はニンジャの動きを制御することで「ニンジャの動きによって背景画像をスクロールするゲーム画面」を有するゲーム装置であるから,後者のゲーム装置は,前者の「ゲーム進行制御手段からの信号に基づいて少なくとも遊戯者が上記入力手段を操作することにより変動するキャラクタを含む画像情報を出力する出力手段」に相当する構成を有していることは自明である。
後者のゲーム装置における「背景画像のうち柱がゲーム画面中央に到達」することは,「背景画像のうち柱がゲーム画面中央に到達」することで,ベンチの振動が開始され,ニンジャと戦闘を行う戦車が登場するのであるから,ニンジャにとっては,戦車の登場の予告,つまり,戦車との戦闘の予告ともいえ,前者の「キャラクタの置かれている状況」のうちの「特定の状況」に相当する。
また,「背景画像のうち柱がゲーム画面中央に到達」することを契機として,ベンチの振動が開始され,ニンジャと戦闘を行う戦車が登場するのであるから,後者は,前者の「キャラクタの置かれている状況が特定の状況にあるか否かを判定する特定状況判定手段」に相当する構成を有していることは自明である。
後者において「背景画像のうち柱がゲーム画面中央に到達」して,振動が開始した時点では,戦車はゲーム画面に表示されておらず,「振動開始後,所定時間経過すると,ゲーム画面右方から戦車がフレームイン」していることから,後者の「振動」は戦車の登場を予告していることになり,後者の「(振動による)戦車の登場を予告」は,前者の「画像情報からは認識できない情報」といえる。
したがって,後者において,前者の「特定の状況にあることを判定した時に,画像情報からは認識できない情報を,体感振動情報信号として送出する振動情報制御手段」に相当する制御手段を有していることは自明である。
後者のゲーム装置は,遊戯者が座るベンチが振動する以上,前者の「振動情報制御手段からの体感振動情報信号に基づいて振動を生じさせる振動発生手段」に相当する構成を有していることは自明である。
したがって,両者は,
「遊戯者が操作する入力手段と,
この入力手段からの信号に基づいてゲームの進行状態を決定あるいは制御するゲーム進行制御手段と,
このゲーム進行制御手段からの信号に基づいて少なくとも遊戯者が上記入力手段を操作することにより変動するキャラクタを含む画像情報を出力する出力手段とを有するゲーム機を備えた遊戯装置であって,
上記ゲーム進行制御手段からの信号に基づいて,ゲームの進行途中における遊戯者が操作している上記キャラクタの置かれている状況が特定の状況にあるか否かを判定する特定状況判定手段と,
上記特定状況判定手段が特定の状況にあることを判定した時に,上記画像情報からは認識できない情報を,体感振動情報信号として送出する振動情報制御手段と,
上記振動情報制御手段からの体感振動情報信号に基づいて振動を生じさせる振動発生手段と,を備えた遊戯装置。」
の点で一致し,以下の点で相違している。
[相違点1]
特定状況判定手段が特定の状況にあることを判定した時に送出される体感振動情報信号に関して,本願発明1は,「キャラクタの置かれている状況に応じて間欠的に生じる振動の間欠周期を異ならせ」ているものであるのに対し,公知発明は,その点については不明な点。

上記のとおり,本件発明1と公知発明と間には,上記相違点1が存在するから,本件発明1は,本件特許の出願前に日本国内において公然知られた発明又は公然実施された発明ではない。
また,本件発明8は,装置の発明である本件発明1を方法の発明にして,実質的に発明のカテゴリーを変更したものにすぎないから,上記相違点1と同様の相違点が,公知発明との間に存在することとなり,本件発明8は,本件特許の出願前に日本国内において公然知られた発明又は公然実施された発明ではない。
したがって,本件発明1及び8に係る特許は,特許法第29条第1項第1号又は同第2号の規定に違反してされたものでない。
よって,請求人が主張する無効理由1-1は認められない。

なお,請求人は,甲第5号証の振動を詳細に説明した甲第7の1号証,甲第7の1号証をさらに詳細に説明した平成28年10月3日付け口頭審理陳述要領書において,以下の主張を行っている。
「最初に振動が開始してから約2秒間は間欠周期を短くした振動が頻繁に発生しており,その後,戦車がニンジャキャラクタにより近づく状況下において,振動の振幅が小さくかつ長い間欠周期の振動が発生している。?波形の他の部分においても,同様に,振動の振幅が小さくかつ間欠周期の長い振動が約3秒毎に発生し,全体として4回発生している。以上の事実から,画像情報から認識できないニンジャキャラクタの近くに存在する戦車の存在を,ニンジャキャラクタと戦車との近接度合いという状況に応じて間欠的に生じる振動の間欠周期を異ならせていることは明らかである。」(第10頁第4?13行)
しかしながら,甲第7の1号証の別紙に記載された振動波形から,振動開始後,約3秒間の振動,ごく短い時間の振動のきわめて少ない状態というパターンを4回繰り返した後に,戦車が出現することは読み取れるものの,約3秒間の振動,ごく短い時間の振動のきわめて少ない状態というパターンを4回繰り返している間,振動の大きさや,単位時間当たりの振動数に規則的な変化があることを読み取ることはできず,上記のパターン以外の規則性を認めることはできない。
つまり,「ニンジャウォーリアーズ」のゲームにおける振動は,キャラクタの置かれている状況が特定の状況にあることを判定した時に「キャラクタの置かれている状況に応じて間欠的に生じる振動の間欠周期を異ならせ」たものではないし,振動の間欠周期が異なっているとも認められない。

(3)無効理由1-2
本件発明1と公知発明と間には,上記相違点1が存在することは,「(1)無効理由1-1」で述べたとおりである。
請求人は,請求書において,上記相違点1に関して「キャラクタの置かれている状況に応じて間欠的に生じる振動の間欠周期を異ならせること」は,甲8?11証に記載されているとおりの周知技術(以下,「周知技術Y1」という。)であると主張しているので,検討する。
甲8発明は,上記「第5 各甲号証に記載されている事項 (12)」のとおりであって,モニターTV上で遊戯者が乗っていることを表現していて,遊戯者と一体であることを意味する甲8発明の「トロッコ」もしくは「トロッコに乗っているキャラクタ」が,本件発明1の「キャラクタ」に相当し,甲8発明のレールの継ぎ目による振動は,トロッコの停止時には生じず,走行時に生じることから,甲8発明の「トロッコの走行」が本件発明1の「特定の状況」に相当することは明らかである。
また,甲8発明の「加速時にはレール継ぎ目の振動の間隔を徐々に縮め,逆に減速時にはその間隔を長くすること」のうち,「(トロッコの走行中の)加速時」及び「(トロッコの走行中の)減速時」が,本件発明1の「キャラクタの置かれている状況に応じ」ている場合の「キャラクタの置かれている状況」に相当する。
さらに,甲8発明の「加速時にはレール継ぎ目の振動の間隔を徐々に縮め,逆に減速時にはその間隔を長くすることにより遊戯者は?あたかもスピードが変化したかの如くに感じる」ことは,レールの継ぎ目が等間隔にあることを前提としており,また実際の鉄道の線路においてもレールの継ぎ目が等間隔にあることは普通のことであるから,レール継ぎ目の振動は,周期を有する間欠的に生じる振動といえる。
したがって,甲8発明には,相違点1に係る「キャラクタの置かれている状況に応じて間欠的に生じる振動の間欠周期を異ならせ」る点について記載されていることになる。

甲9発明は,上記「第5 各甲号証に記載されている事項 (13)」のとおりであって,ここで,ビデオ表示面上でプレーヤーが乗っていることを表現していて,プレーヤーと一体であることを意味する甲9発明の「プレーヤーの自動車」が,本件発明1の「キャラクタ」に相当し,甲9発明のステアリングホイールに与えられる振動は,自動車の停止時には生じず,走行時に生じることから甲9発明の「自動車の走行」が本件発明1の「特定の状況」に相当することは明らかである。
また,甲9発明の「プレーヤーの自動車が他の自動車,他の物体に衝突したり,悪路を走行したり,コーナーをするどく曲がったりするようなゲーム状況」は,本件発明1の「キャラクタの置かれている状況に応じ」ている場合の「キャラクタの置かれている状況」に相当する。
そして,甲9発明において「ゲーム状況」に応じて「ステアリングホイール23に強弱,時間の長さを選んで回転方向の振動」を与えていて,この振動が「間欠的に生じる」振動であったとしても,「間欠周期」を有するものではない。
したがって,甲9発明に「キャラクタの置かれている状況に応じて間欠的に生じる振動の間欠周期を異ならせるための体感振動情報信号」に相当する周知技術Y1が記載されているとはいえない。

甲10発明は,上記「第5 各甲号証に記載されている事項 (14)」のとおりであって,ここで,ビデオ表示面上で自動車にプレーヤーが乗っていることを表現していて,プレーヤーと一体であるといえる甲10発明の「自動車」が,本件発明1の「キャラクタ」に相当し,甲10発明のステアリング装置に与えられる振動やキックバックは,自動車の停止時には生じず,走行時に生じることから甲10発明の「(自動車の)走行」が本件発明1の「特定の状況」に相当することは明らかである。
また,甲10発明の「自動車の車速が或る限度を越えた場合,または映像上の路面が凸凹となった場合」は,本件発明1の「キャラクタの置かれている状況に応じ」ている場合の「キャラクタの置かれている状況」に相当する。
そして,甲10発明において「車速,または路面の凹凸」に応じて「ステアリングホイール1を振動させる」を与えているものの,どのような振動であるかについては何ら記載がなく,「間欠的に生じる」か,「間欠周期」を有するかについては不明である。
なお,甲10発明において「ステアリングホイールの操舵角θの絶対値の大きさに略比例した大きさの操作反力」という記載があるが,そもそも操作反力は振動ではないし,「間欠的に生じる」ものでも,「間欠周期」を有するものでもない。
したがって,甲10発明に「キャラクタの置かれている状況に応じて間欠的に生じる振動の間欠周期を異ならせるための体感振動情報信号」に相当する周知技術Y1が記載されているとはいえない。

甲11発明は,上記「第5 各甲号証に記載されている事項 (15)」のとおりであって,ここで,ビデオディスプレイ装置の画面に現れる敵と模擬銃撃戦を行う「プレイヤー」は,ゲームに参加する点でゲーム内のキャラクタと同じ働きをしているといえるから,本件発明1の「キャラクタ」に相当し,甲11発明の模擬銃に与えられる強い振動は,射撃の停止時には生じず,射撃中に生じることから甲11発明の「(模擬銃の)射撃」が本件発明1の「特定の状況」に相当することは明らかである。
また,甲11発明の「発射された弾丸が敵に命中すること,及び「敵が正しくプレイヤーに向けて銃撃を行ったとされる場合」は,本件発明1の「キャラクタの置かれている状況に応じ」ている場合の「キャラクタの置かれている状況」に相当する。
そして,甲11発明において「敵が正しくプレイヤーに向けて銃撃を行ったとされる場合」に応じて「模擬銃4に強い振動が与えられ」を与えているものの,どのような振動であるかについては何ら記載がなく,「間欠的に生じる」か,「間欠周期」を有するかについては不明である。
したがって,甲11発明に「キャラクタの置かれている状況に応じて間欠的に生じる振動の間欠周期を異ならせるための体感振動情報信号」に相当する周知技術Y1が記載されているとはいえない。
以上のことより,「キャラクタの置かれている状況に応じて間欠的に生じる振動の間欠周期を異ならせること」は,無効請求人の主張するように,甲8乃至11発明に記載された周知技術Y1とまではいえない。
よって,相違点1にかかる本件発明1の発明特定事項は,遊戯(ゲーム)装置の技術分野において周知技術とも認められず,他の甲号証において記載も示唆もない。
したがって,本件発明1は,公知発明,甲8乃至11発明から,当業者が容易に想到し得たものであるとはいえない。
また,本件発明8は,装置の発明である本件発明1を方法の発明にして,実質的に発明のカテゴリーを変更したものであるから,公知発明及び甲8乃至11発明においても実質的に遊戯装置の制御方法を具備しているとしても,本件発明1で検討したとおり,本件発明8も,公知発明,甲8乃至11発明から,当業者が容易に想到し得たものであるとはいえない。
したがって,本件発明1及び8に係る特許は,特許法第29条第2項の規定に違反してされたものでない。
よって,請求人が主張する無効理由1-2は認められない。

(4)無効理由5
本件発明5は,本件訂正により請求項1のみを引用するものとなった。
また,上述のとおり,本件発明1は,公知発明と同一ではなく,公知発明,甲8乃至11発明から,当業者が容易に想到し得たものでもない。
そして,本件発明5は,本件発明1に限定を付したものであるから,限定を付した事項を検討するまでもなく,当業者が容易に想到できたものとすることはできず,本件発明5に係る特許は,特許法第29条第2項の規定に違反してされたものでない。
したがって,請求人が主張する無効理由5は認められない。

第8 むすび
本件発明1及び8に係る特許,並びに本件発明5に係る特許は,請求人の主張する無効理由及び証拠によっては無効とすることはできないから,本件発明1及び8に係る特許,並びに本件発明5に係る特許についての審判の請求は,成り立たない。
また、本件発明2乃至4、6、7、9乃至12については、訂正により削除されたので、請求項乃至4、6、7、9乃至12についての本件審判請求を却下する。
審判費用については,特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により,請求人の負担とする。

よって,結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】遊戯者が操作する入力手段と、この入力手段からの信号に基づいてゲームの進行状態を決定あるいは制御するゲーム進行制御手段と、このゲーム進行制御手段からの信号に基づいて少なくとも遊戯者が上記入力手段を操作することにより変動するキャラクタを含む画像情報を出力する出力手段とを有するゲーム機を備えた遊戯装置であって、
上記ゲーム進行制御手段からの信号に基づいて、ゲームの進行途中における遊戯者が操作している上記キャラクタの置かれている状況が特定の状況にあるか否かを判定する特定状況判定手段と、
上記特定状況判定手段が特定の状況にあることを判定した時に、上記画像情報からは認識できない情報を、上記キャラクタの置かれている状況に応じて間欠的に生じる振動の間欠周期を異ならせるための体感振動情報信号として送出する振動情報制御手段と、上記振動情報制御手段からの体感振動情報信号に基づいて振動を生じさせる振動発生手段と、
を備えたことを特徴とする、遊戯装置。
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
(削除)
【請求項4】
(削除)
【請求項5】上記請求項1に記載の遊戯装置において、上記入力手段は、二人以上の遊戯者がそれぞれ独立して操作することが可能に構成されているとともに、上記特定状況判定手段は、ゲームの進行途中における上記二人以上の遊戯者がそれぞれ操作している二個以上のキャラクタの置かれている状況を別々に判定するように構成されており、かつ、この特定状況判定手段のそれぞれの判定結果に基づいて、上記振動情報制御手段から別々の体感振動情報信号が、二個以上の上記振動発生手段に送出されるように構成されている、遊戯装置。
【請求項6】
(削除)
【請求項7】
(削除)
【請求項8】遊戯者が操作する入力手段と、この入力手段からの信号に基づいてゲームの進行状態を決定あるいは制御するゲーム進行制御手段と、このゲーム進行制御手段からの信号に基づいて少なくとも遊戯者が上記入力手段を操作することにより変動するキャラクタを含む画像情報を出力する出力手段とを有するゲーム機を備えた遊戯装置の制御方法であって、
上記ゲーム進行制御手段からの信号に基づいて、ゲームの進行途中における遊戯者が操作している上記キャラクタの置かれている状況が特定の状況にあることを判定した時に、上記画像情報からは認識できない情報を、上記キャラクタの置かれている状況に応じて間欠的に生じる振動の間欠周期を異ならせるための体感振動情報信号として振動発生手段に送出するようにしたことを特徴とする、遊戯装置の制御方法。
【請求項9】
(削除)
【請求項10】
(削除)
【請求項11】
(削除)
【請求項12】
(削除)
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2017-08-01 
結審通知日 2017-08-03 
審決日 2017-08-17 
出願番号 特願平6-119347
審決分類 P 1 113・ 112- YAA (A63F)
P 1 113・ 111- YAA (A63F)
P 1 113・ 121- YAA (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 宮本 昭彦  
特許庁審判長 黒瀬 雅一
特許庁審判官 吉村 尚
森次 顕
登録日 2002-04-12 
登録番号 特許第3295771号(P3295771)
発明の名称 遊戯装置、およびその制御方法  
代理人 吉羽 真一郎  
代理人 長谷部 陽平  
代理人 古庄 俊哉  
代理人 ▼廣▲瀬 文雄  
代理人 金井 美智子  
代理人 小原 寿美子  
代理人 澤 祥雅  
代理人 伊東 忠重  
代理人 高橋 元弘  
代理人 大貫 進介  
代理人 鶴谷 裕二  
代理人 ▼廣▲瀬 文雄  
代理人 末吉 亙  
代理人 金井 美智子  
代理人 澤 祥雅  
代理人 長谷部 陽平  
代理人 古庄 俊哉  
代理人 重冨 貴光  
代理人 重冨 貴光  
代理人 佐藤 安紘  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ