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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1343388
審判番号 不服2017-14614  
総通号数 226 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-10-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-10-03 
確定日 2018-08-16 
事件の表示 特願2013-218891号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成27年4月27日出願公開、特開2015-80532号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年10月22日の出願であって、平成28年4月21日付けで拒絶の理由が通知され、同年6月24日に意見書及び手続補正書が提出され、同年12月14日付けで最後の拒絶の理由が通知され、平成29年2月15日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年6月28日付け(発送日:同年7月4日)で、同年2月15日付け手続補正が却下されるとともに拒絶査定がなされ、それに対して、同年10月3日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正(以下「本件補正」という。)がなされたものである。

第2 本件補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
本件補正は特許請求の範囲の請求項1の記載の補正を含むものであり、本件補正前の平成28年6月24日にされた手続補正の特許請求の範囲の請求項1の記載と本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は、それぞれ以下のとおりである(下線部は補正箇所を示す。また、A?N4については発明を分説するため当審で付与した。)。

(本件補正前)
「【請求項1】
A 可変表示を行い、遊技者にとって有利な特定状態に制御可能な遊技機であって、
B 可変表示に関する情報を保留記憶として記憶可能な保留記憶手段と、
C 保留記憶に対応した保留表示を表示する保留表示手段と、
D 前記特定状態に制御するか否かを決定する決定手段と、
E 前記決定手段の決定結果にもとづいて、可変表示の表示結果を複数種類の表示結果のうちいずれの表示結果とするかを決定する表示結果決定手段と、
F 前記決定手段の決定結果にもとづいて、可変表示パターンを複数種類の可変表示パターンのうちいずれの可変表示パターンとするかを決定する可変表示パターン決定手段と、
G 前記表示結果決定手段で決定された可変表示の表示結果と前記可変表示パターン決定手段で決定された可変表示パターンにより、可変表示を開始してから表示結果を導出表示するまでの可変表示時間を特定する可変表示時間特定手段と、
H 前記決定手段の決定前に、前記特定状態に制御されるか否かを判定する判定手段とを備え、
I 保留表示の表示態様は、通常態様と、通常態様とは異なる態様である特殊態様と、通常態様および特殊態様とは異なる態様である特別態様とを含み、
J 前記判定手段の判定結果に応じて、判定対象となった保留記憶に対応した保留表示を特別態様で表示する保留予告演出を実行可能な演出実行手段をさらに備え、
K 前記演出実行手段は、
K1 複数のタイミングにおいて保留表示を特別態様に変化させて表示することが可能であり、
K2 保留表示が特殊態様で表示されたときは、該保留表示に対応した保留記憶にもとづく可変表示が開始されるまでに該保留表示を特殊態様から特別態様に変化させて表示することが可能であり、
L 前記可変表示時間特定手段は、前記可変表示パターン決定手段で決定された可変表示パターンが同一であっても、前記表示結果決定手段で決定された可変表示の表示結果により異なる可変表示時間を特定することが可能である
ことを特徴とする遊技機。」

(本件補正後)
「【請求項1】
A 可変表示を行い、遊技者にとって有利な特定状態に制御可能な遊技機であって、
B 可変表示に関する情報を保留記憶として記憶可能な保留記憶手段と、
C 保留記憶に対応した保留表示を表示する保留表示手段と、
D 前記特定状態に制御するか否かを決定する決定手段と、
E 前記決定手段の決定結果にもとづいて、可変表示の表示結果を複数種類の表示結果のうちいずれの表示結果とするかを決定する表示結果決定手段と、
F 前記決定手段の決定結果にもとづいて、可変表示パターンを複数種類の可変表示パターンのうちいずれの可変表示パターンとするかを決定する可変表示パターン決定手段と、
G 前記表示結果決定手段で決定された可変表示の表示結果と前記可変表示パターン決定手段で決定された可変表示パターンにより、可変表示を開始してから表示結果を導出表示するまでの可変表示時間を特定する可変表示時間特定手段と、
H 前記決定手段の決定前に、前記特定状態に制御されるか否かを判定する判定手段とを備え、
I 保留表示の表示態様は、通常態様と、通常態様とは異なる態様である特殊態様と、通常態様および特殊態様とは異なる態様である特別態様とを含み、
J 前記判定手段の判定結果に応じて、判定対象となった保留記憶に対応した保留表示を特別態様で表示する保留予告演出を実行可能な演出実行手段と、
K 保留表示の表示態様が変化することを示唆する示唆演出を実行可能な示唆演出実行手段とをさらに備え、
L 前記演出実行手段は、
L1 複数のタイミングにおいて保留表示を特別態様に変化させて表示することが可能であり、
L2 保留表示が特殊態様で表示されたときは、該保留表示に対応した保留記憶にもとづく可変表示が開始されるまでに該保留表示を特殊態様から特別態様に変化させて表示することが可能であり、
M 前記可変表示時間特定手段は、前記可変表示パターン決定手段で決定された可変表示パターンが同一であっても、前記表示結果決定手段で決定された可変表示の表示結果により異なる可変表示時間を特定することが可能であり、
N 前記示唆演出実行手段は、
N1 演出後に保留表示の表示態様が変化する第1示唆演出と、演出後に保留表示の表示態様が変化しない第2示唆演出とを少なくとも一部が共通する演出態様により実行可能であり、
N2 保留表示が特殊態様で表示されているときには、保留表示が特殊態様で表示されていないときに比べて高い頻度で第2示唆演出を実行可能であり、
N3 保留表示が通常態様で表示されているときにも、第2示唆演出を実行可能であり、
N4 前記示唆演出実行手段によって示唆演出が実行されることなく保留表示の表示態様が変化することがある
ことを特徴とする遊技機。」

2 補正の適否
本件補正は、補正前の請求項1に記載された発明特定事項である「遊技機」について、「保留表示の表示態様が変化することを示唆する示唆演出を実行可能な示唆演出実行手段」を備えることを追加して限定し、また、その追加して限定した「示唆演出実行手段」について、それが「演出後に保留表示の表示態様が変化する第1示唆演出と、演出後に保留表示の表示態様が変化しない第2示唆演出とを少なくとも一部が共通する演出態様により実行可能であり、保留表示が特殊態様で表示されているときには、保留表示が特殊態様で表示されていないときに比べて高い頻度で第2示唆演出を実行可能であり、保留表示が通常態様で表示されているときにも、第2示唆演出を実行可能であり、前記示唆演出実行手段によって示唆演出が実行されることなく保留表示の表示態様が変化することがある」ことを追加して限定するものである。

また、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明とは、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
そうすると、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。
そして、本件補正は、明細書の段落【0287】、【0291】、【0327】?【0329】、及び【0368】並びに図35及び図43等の記載に基づいており、新規事項を追加するものではない。

そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本願補正発明」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。

(1)本願補正発明
本願補正発明は、前記1(本件補正後)に記載したとおりのものである。

(2)引用文献に記載された事項
ア 本願の出願前に頒布された刊行物である特開2013-116314号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。

「【0081】
第一実施形態のパチンコ機50は、常時入賞が可能な第1始動口11と、上述した普通図柄抽選での当選により一定期間にわたり開放され、入賞が可能となる第2始動口12が設けられており、第1,第2始動口11,12への入賞に起因して抽出された乱数による大当り抽選が行われる。そして、大当り抽選の際には、特図表示装置9にて特別図柄の変動表示が行われると共に、これらを停止表示することで大当り抽選の結果が報知される。また、これと並行して、演出図柄表示装置6の画面上で、演出図柄の変動表示させた後にこれらを停止表示させ、大当り抽選の結果を報知する擬似演出が行われる。
【0082】
また、パチンコ機50では、第1,第2始動口11,12への入賞により抽出された乱数が、最大4個まで保留記憶として記憶され、特図保留数表示装置18にて保留記憶の数が表示されると共に、各保留記憶に対応する保留図柄が表示される。また、大当り抽選で当たると、所定ラウンド数の大当り遊技が行われる。」

「【0085】
さらに、変化演出が行われる際には、一時図柄の種類が変化することを示唆する段階演出が行われると共に、変化演出が行われないいずれかの保留図柄に対しても、擬似的な段階演出が行われる。この段階演出には複数の態様が設けられており、抽選により、段階演出が行われる保留図柄の種類や、該保留図柄に対応する保留記憶により大当りとなるか否か等に応じた確率でこの態様が選択される。よって、遊技者には、変化演出が行われるか、或いは、保留図柄に対応する保留記憶が消化される直前になるまで、表示されている保留記憶が一時図柄であるのか最終図柄であるのかわからない。」

「【0093】
そして、主制御装置80は、始動口等といった入賞口への遊技球の入賞を検出する入賞確認処理と(S50),始動口への入賞に起因して大当り抽選を行う当否判定処理と(S55)、大当り抽選で当った際に行われる大当り遊技を制御する大当り遊技処理と(S60)を行う。また、遊技者の不正行為を検出する不正監視処理と(S65)、ホールコンピュータ87等に各種情報を送信する各出力処理と(S70)を実行する。
【0094】
また、S75では、主制御装置80は、次のタイマ割込みが発生してメインルーチンが起動されるまで、初期値乱数の更新を繰り返し行う。
(2)始動入賞確認処理について
次に、第1,第2始動口11,12への入賞を検出し、該入賞に応じて保留記憶の生成等を行う始動入賞確認処理について、図6に記載のフローチャートを用いて説明する。なお、本処理は、メインルーチンから実行される入賞確認処理(S50)からコールされるサブルーチンとして構成されている。
【0095】
S100では、主制御装置80は、第1,第2始動口SW11a,12aの検出信号に基づき、第1,第2始動口11,12への遊技球の入賞が発生したかを判定する。そして、肯定判定の場合は(S100:Yes)、S105に処理を移行し、否定判定の場合は(S100:No)、本処理を終了する。
【0096】
S105では、主制御装置80は、保留記憶の数が上限値(一例として4)か否かを判定する。そして、否定判定の場合は(S105:No)、S110に処理を移行し、肯定判定の場合は(S105:Yes)、本処理を終了する。
【0097】
S110では、主制御装置80は、大当り抽選に用いられる大当り決定用乱数や、大当り抽選で当った際に停止表示される図柄(当り図柄)を決定するための大当り図柄決定用乱数や、擬似演出において、リーチ状態となった後に外れを示す演出図柄を停止表示させる演出(ノーマルリーチやスーパーリーチ)を行うか否かを決定するためのリーチ判定用乱数や、特別図柄の変動時間等を決定するための変動パターン決定用乱数等を抽出し、これらの乱数を保留記憶として記憶する。そして、消化されていない保留記憶の数を示す保留数コマンドを、サブ統合制御装置83に送信し、S115に処理を移行する。
【0098】
S115では、主制御装置80は、新たに発生した保留記憶に対応する大当り決定用乱数等の値について判定する先読み判定処理を実行し、本処理を終了する。
(3)先読み判定処理について
次に、新たに発生した保留記憶に対応する大当り決定用乱数等の値について判定する先読み判定処理について、図7に記載のフローチャートを用いて説明する。なお、本処理は、始動入賞確認処理からコールされる。
【0099】
S150では、主制御装置80は、新たに発生した保留記憶に係る大当り決定用乱数の値が特定値(大当り抽選で当りとなる値)か否かを判定し、肯定判定が得られた場合には(S150:Yes)、S155に処理を移行すると共に、否定判定が得られた場合には(S150:No)、S160に処理を移行する。
【0100】
S155では、主制御装置80は、新たに発生した保留記憶に係る大当り決定用乱数の値が上記特定値であることを示す先読みコマンド1を生成してサブ統合制御装置83に送信し、本処理を終了する。
【0101】
一方、S160では、主制御装置80は、新たに発生した保留記憶に係るリーチ判定用乱数と変動パターン決定用乱数1,2の値が特定値(擬似演出でスーパーリーチとなる値)か否かを判定し、肯定判定が得られた場合には(S160:Yes)、S165に処理を移行すると共に、否定判定が得られた場合には(S160:No)、S170に処理を移行する。
【0102】
S165では、主制御装置80は、新たに発生した保留記憶に係るリーチ判定用乱数と変動パターン決定用乱数1,2の値が上記特定値であることを示す先読みコマンド2を生成してサブ統合制御装置83に送信し、本処理を終了する。
【0103】
また、S170では、主制御装置80は、新たに発生した保留記憶に係るリーチ判定用乱数と変動パターン決定用乱数1,2の値が特定値(擬似演出でノーマルリーチとなる値)か否かを判定し、肯定判定が得られた場合には(S170:Yes)、S175に処理を移行すると共に、否定判定が得られた場合には(S170:No)、S180に処理を移行する。
【0104】
S175では、主制御装置80は、新たに発生した保留記憶に係るリーチ判定用乱数と変動パターン決定用乱数1,2の値が上記特定値であることを示す先読みコマンド3を生成してサブ統合制御装置83に送信し、本処理を終了する。
【0105】
一方、S180では、主制御装置80は、新たに発生した保留記憶に係る大当り決定用乱数やリーチ判定用乱数や変動パターン決定用乱数1,2が、上記特定値のうちのいずれでもないことを示す先読みコマンド4を生成してサブ統合制御装置83に送信し、本処理を終了する。
【0106】
(4)当否判定処理について
次に、保留記憶として記憶された大当り決定用乱数により大当り抽選を行う当否判定処理について、図8?11のフローチャートを用いて説明する。なお、本処理は、メインルーチンから実行される処理である。
【0107】
まず、図8に関して、S200では、主制御装置80は、特別電動役物の作動中、すなわち、大当り遊技の実行中であるか否かを判定する。そして、肯定判定の場合には(S200:Yes)、本処理を終了し、否定判定の場合には(S200:No)、S205に処理を移行する。
【0108】
S205では、主制御装置80は、特図の変動表示中か否かを判定する。そして、肯定判定の場合には(S205:Yes)、図10のS280に処理を移行し、否定判定の場合には(S205:No)、S210に処理を移行する。
【0109】
S210では、主制御装置80は、特図の確定表示中か否かを判定する。そして、肯定判定の場合には(S210:Yes)、図11のS290に処理を移行し、否定判定の場合には(S210:No)、図9のS215に処理を移行する。
【0110】
続いて図9に関して、S215では、主制御装置80は、保留記憶の有無について判定し、肯定判定の場合には(S215:Yes)、S220に処理を移行すると共に、否定判定の場合には(S215:No)、本処理を終了する。
【0111】
S220では、主制御装置80は、保留記憶の数をデクリメントすると共に、最も古い保留記憶を選択し、後述するS230、S235、S245、S250、S255、S260、及びS265等にて参照するために、該保留記憶に記憶された情報(乱数値等の数値データ)を大当り判定用の所定のバッファに移動処理して、S225に処理を移行する。
【0112】
S225では、主制御装置80は、確変モードであることを示す確変フラグが1か否かを判定し、肯定判定の場合には(S225:Yes)、S230に処理を移行すると共に、否定判定の場合には(S225:No)、S235に処理を移行する。
【0113】
S230では、主制御装置80は、選択された保留記憶に係る大当り判定用乱数と、確変モードに対応する当否判定用テーブル(確変テーブル)に基づき、大当り抽選を実行し、該抽選に当るか否かを判定し、該保留記憶を消化する。そして、S240に処理を移行する。
【0114】
一方、S235では、主制御装置80は、選択された保留記憶に係る大当り判定用乱数と、通常モードに対応する当否判定用テーブル(通常テーブル)に基づき、大当り抽選を実行し、該抽選に当るか否かを判定し、該保留記憶を消化する。そして、S240に処理を移行する。
【0115】
S240では、主制御装置80は、S230又はS235の判定結果を参照して、大当り抽選で当ったか否かを判定し、肯定判定の場合には(S240:Yes)、S245に処理を移行すると共に、否定判定の場合には(S240:No)、S260に処理を移行する。
【0116】
S245では、主制御装置80は、消化した保留記憶に係る大当り図柄決定用乱数に基づき大当り図柄を決定することで、当該大当り図柄に対応して予め定められた大当り遊技のラウンド数等を決定する。そして、S250に処理を移行する。
【0117】
S250では、主制御装置80は、消化した保留記憶に係る変動パターン決定用乱数等に基づき、特別図柄の変動時間等を決定し、S255に処理を移行する。
S255では、主制御装置80は、大当り遊技のラウンド数、大入賞口の開放パターン、大当り遊技に係る演出時間、インターバル時間、及び大当り遊技の演出態様等を設定し、S270に処理を移行する。」

「【0147】
(6)保留表示処理について
次に、保留記憶が生成された際に、該保留記憶に対応する保留図柄を演出図柄表示装置6に表示する保留表示処理について、図15に記載のフローチャートを用いて説明する。なお、本処理は、サブ統合制御装置83にて定期的(例えば、2ms周期のタイマ割り込み処理)に実行される処理である。」

「【0149】
S605では、サブ統合制御装置83は、受信した先読みコマンドにより先読み判定の結果が示される新たな保留記憶よりも先に生成された保留記憶(先行保留記憶)が存在しない場合には、抽選により、該先読みコマンドの種類に応じた確率で、後述する図17(b)に記載の保留図柄(通常保留図柄,特別保留図柄1?3)の中から新たな保留記憶に対応して表示する保留図柄の種類を選択する。また、先行保留記憶が存在する場合には、抽選により、該先読みコマンドの種類に応じた確率で、後述する図17(b)に記載の保留図柄(通常保留図柄,特別保留図柄1?3)の中から新たな保留記憶に対応して表示する保留図柄の種類を選択し(変化演出が行われる場合には該保留図柄が最終図柄となる)、S610に処理を移行する。」

「【0152】
S620では、サブ統合制御装置83は、新たな保留記憶に対応して演出図柄表示装置6に一時図柄を表示し、S625に処理を移行する。
S625では、サブ統合制御装置83は、抽選により、いずれかの先行保留記憶の消化時期を、一時図柄を最終図柄に変化させるタイミング(特許請求の範囲における変化演出タイミング,段階演出タイミングに相当)として選択し、本処理を終了する。」

「【0157】
(7)保留表示更新処理について
次に、保留記憶が消化された際に、演出図柄表示装置6に表示されている保留図柄の表示位置を更新すると共に、変化演出や段階演出を行う保留表示更新処理について、図16に記載のフローチャートを用いて説明する。なお、本処理は、サブ統合制御装置83にて定期的(例えば、2ms周期のタイマ割り込み処理)に実行される処理である。」

「【0168】
また、保留図柄の種類として、図17(b)の表に記載の通常保留図柄と、特別保留図柄1?3が設けられている。なお、特別保留図柄1?3は、炎を象った図柄となっているが、特別保留図柄1?3の炎の色は、それぞれ、黄色,赤色,青色となっている(図17(b)等では、色の違いを出すために、特別保留図柄の斜線の有無,方向を異ならせている)。」

「【0173】
(b)2個目以降の保留記憶が生じた場合について
次に、2個目以降の保留記憶が生じた場合について説明する。
図18には、2個目以降の保留記憶が生じた場合に、該保留記憶に対応して行われる変化演出や段階演出等のパターン(演出パターン)を示す表が記載されている。
【0174】
該表における「一時→最終」という項目は、該保留記憶に対応して行われる演出パターンを示している。具体的には、該項目に対応する欄のうち、異なる種類の保留図柄が二つ並んで記載されている欄は、変化演出が行われることを示しており、該欄の左側には一時図柄が、右側には最終図柄が記載されている。
【0175】
一方、同一種類の保留図柄が二つ並んで記載されている欄は、2個目以降の保留記憶に対応して該欄に記載された保留図柄が表示され、変化演出が行われることなく、該保留記憶が消化されるまで該保留図柄が表示されることを示している。よって、正確に言うならば、左側は一時図柄ではなく最終図柄である。
【0176】
また、該欄における二つの保留図柄の間に記載された二重線の矢印は、変化演出に伴う段階演出や、変化演出が行われない場合の擬似的な段階演出が行われることを示し、これらの保留図柄の間に記載された単一線の矢印は、段階演出が行われないことを示している。」

「【0193】
図20に記載の表は、段階演出A?Dの発生確率を示している。
該表における「段階演出」は、段階演出A?Dの態様を示す項目となっている。
また、該表における「出現率」における「維持」は、変化演出が行われない場合を意味する。また、「1段昇格」,「2段昇格」は、昇格となる変化演出において、保留図柄の信頼度の順位が、それぞれ、1段階或いは2段階上昇する変化パターンを示し、「1段降格」,「2段降格」は、降格となる変化演出において、保留図柄の信頼度の順位が、それぞれ、1段階或いは2段階低下する変化パターンを示している。
【0194】
そして、該表における「1段昇格」,「2段昇格」,「維持」,「1段降格」,「2段降格」に対応する欄は、対応する変化パターンが生じた場合や、変化演出が行われなかった場合に、各段階演出が行われる確率を示している。なお、「維持」の場合に行われる段階演出とは、上述した擬似的な段階演出であることを念のため付言しておく。
【0195】
なお、該表が示すように、段階演出Aでは雨降りを示す画像が表示されると共に、段階演出Bでは風が吹く様子を示す画像が表示される。また、段階演出Cでは消火器により消火される様子が表示されると共に、段階演出Dでは薪が表示される。いずれの段階演出における画像も、特別保留図柄1?3により表わされる炎を弱めることや、該炎の勢いを増加させることに関連するものとなっており、遊技者に対し、変化演出により特別保留図柄がどのように変化するかを直感的に連想させることができる。」

「【0229】
[他の実施形態]
(1)第一,第二実施形態では、昇格となる変化演出が行われる場合にも必ず段階演出が行われるが、段階演出を行うことなく昇格となる変化演出が行われるという演出パターンを設けても良い。このような演出パターンを設けた場合であっても、同様の効果を得ることができる。」



段落【0168】の記載、【図17(b)】、段落【0174】の記載を参照すれば、【図18】の項番11及び項番16には、一時図柄としての特別保留図柄1を、特別保留図柄2、3の最終図柄に変化可能であることが見て取れる。

段落【0176】の記載を参照すれば、【図18】において、一時図柄及び最終図柄が同じで段階演出有、すなわち、擬似的な段階演出を行う一時図柄は、項番7の特別保留図柄1と、項番13及び19の特別保留図柄2及び3であり、一時図柄が通常保留図柄の場合に擬似的な段階演出がないことが見て取れる。そして、これらの擬似的な段階演出の保留図柄毎の出現頻度を【図18】の項番1、6、7、12、13、18、19の出現率及び【図17(a)】の当否結果の出現率を用いれば、一時図柄が特別保留図柄1で表示されているときの擬似的な段階演出の出現頻度は(リーチの出現率×リーチ時の項番7の出現率+SPリーチの出現率×SPリーチ時の項番7の出現率+大当りの出現率×大当り時の項番7の出現率)/(リーチの出現率×リーチ時の項番6の出現率+SPリーチの出現率×SPリーチ時の項番6の出現率+大当りの出現率×大当り時の項番6の出現率+リーチの出現率×リーチ時の項番7の出現率+SPリーチの出現率×SPリーチ時の項番7の出現率+大当りの出現率×大当り時の項番7の出現率)=(15/300×8/200+5/300×4/200+1/300×4/200)/(15/300×12/200+5/300×8/200+1/300×4/200+15/300×8/200+5/300×4/200+1/300×4/200)≒0.39であり、一時図柄が特別保留図柄1で表示されていないとき、すなわち、通常保留図柄、特別保留図柄2、3で表示されているときの擬似的な段階演出の出現頻度は(SPリーチの出現率×SPリーチ時の項番13の出現率+大当りの出現率×大当り時の項番13の出現率+大当りの出現率×大当り時の項番19の出現率)/(ハズレの出現率×ハズレ時の項番1の出現率+リーチの出現率×リーチ時の項番1の出現率+SPリーチの出現率×SPリーチ時の項番1の出現率+大当りの出現率×大当り時の項番1の出現率+SPリーチの出現率×SPリーチ時の項番12の出現率+大当りの出現率×大当り時の項番12の出現率+SPリーチの出現率×SPリーチ時の項番13の出現率+大当りの出現率×大当り時の項番13の出現率+大当りの出現率×大当り時の項番18の出現率+大当りの出現率×大当り時の項番19の出現率)=(5/300×6/200+1/300×10/200+1/300×4/200)/(279/300×190/200+15/300×130/200+5/300×120/200+1/300×100/200+5/300×14/200+1/300×10/200+5/300×6/200+1/300×10/200+1/300×5/200+1/300×4/200)≒0.00079となることが計算できる。



【図20】には、段階演出A及びBが、「1段昇格」,「2段昇格」,「1段降格」,「2段降格」の場合と、「維持」の場合のいずれにも出現することが見て取れる。

上記記載事項を総合すれば、引用文献1には以下の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる(a?n4については本願補正発明のA?N4に対応させて付与した。)。

「a 特図表示装置9にて特別図柄の変動表示が行われると共に、これらを停止表示することで大当り抽選の結果が報知され、また、これと並行して、演出図柄表示装置6の画面上で、演出図柄の変動表示させた後にこれらを停止表示させ、大当り抽選の結果を報知する擬似演出が行われ、大当り抽選で当たると、所定ラウンド数の大当り遊技が行われるパチンコ機50であって(【0081】、【0082】)、
b 大当り抽選に用いられる大当り決定用乱数や、大当り抽選で当った際に停止表示される図柄(当り図柄)を決定するための大当り図柄決定用乱数や、擬似演出において、リーチ状態となった後に外れを示す演出図柄を停止表示させる演出(ノーマルリーチやスーパーリーチ)を行うか否かを決定するためのリーチ判定用乱数や、特別図柄の変動時間等を決定するための変動パターン決定用乱数等を保留記憶として記憶する保留記憶処理を行う主制御装置80と(【0097】)、
c 保留記憶に対応する保留図柄を表示する演出図柄表示装置6と(【0147】)、
d 大当り遊技の実行中でなく、特図の変動表示中でもなく、保留記憶がある場合に、最も古い保留記憶を選択し、選択された保留記憶に係る大当り判定用乱数と、確変モード又は通常モードに対応する当否判定用テーブルに基づき、大当り抽選を実行し、該抽選に当るか否かを判定し(【0107】、【0108】、【0110】、【0111】、【0113】、【0114】)、前記判定結果を参照して、大当り抽選が当った場合に、消化した保留記憶に係る大当り図柄決定用乱数に基づき大当り図柄を決定し(【0115】、【0116】)、前記決定の後、消化した保留記憶に係る変動パターン決定用乱数等に基づき、特別図柄の変動時間等を決定する主制御装置80と(【0117】)、
h 始動口11,12への遊技球の入賞が発生して保留記憶の数が上限値でないとき、前記保留記憶処理に続いて、新たに発生した保留記憶に係る大当り決定用乱数、リーチ判定用乱数及び変動パターン決定用乱数1、2の値がそれぞれ特定値か否かを判定し、その判定に応じた先読みコマンド1?4を生成してサブ統合制御装置83に送信する先読み判定処理を実行する主制御装置80と(【0095】?【0105】)、
i 保留図柄の種類として、通常保留図柄と、それぞれ、黄色,赤色,青色の炎を象った図柄となっている特別保留図柄1?3が設けられ(【0168】)、
j 抽選により、前記先読みコマンド1?4の種類に応じた確率で、保留図柄(通常保留図柄,特別保留図柄1?3)の中から新たな保留記憶に対応して表示する保留図柄の種類を選択して表示させるサブ統合制御装置83と(【0147】、【0149】)、
k 保留図柄である一時図柄の種類が変化することを示唆する段階演出を実行するサブ統合制御装置83と(【0085】、【0157】)、
l 前記サブ統合制御装置83は、
l1 抽選により、いずれかの先行保留記憶の消化時期を、一時図柄を最終図柄に変化させるタイミング(変化演出タイミング)として選択し(【0152】、)
l2 2個目以降の保留記憶が生じた場合に、一時図柄として特別保留図柄1が表示されたときは、該一時図柄を、特別保留図柄2、3の最終図柄に変化させて表示する変化演出が可能であり(【0157】、【0173】、【0174】、【図18】)、
n 前記サブ統合制御装置83は、
n1 一時図柄の種類が変化することを示唆する段階演出と、変化演出が行われないいずれかの保留図柄に対して行われる擬似的な段階演出とを、雨降りを示す画像が表示される段階演出A又は風が吹く様子を示す画像が表示される段階演出Bにより実行可能であり(【0085】、【0157】、【0193】?【0195】、【図20】)、
n2 一時図柄が特別保留図柄1?3で表示されているときには擬似的な段階演出を実行可能であり、一時図柄が通常保留図柄で表示されているときには擬似的な段階演出を実行不能であり、一時図柄が特別保留図柄1で表示されているときの擬似的な段階演出の出現頻度を約0.39とし、一時図柄が特別保留図柄1で表示されていないとき、すなわち、通常保留図柄、特別保留図柄2、3で表示されているときの擬似的な段階演出の出現頻度を約0.00079とし(【0157】、【0173】?【0176】、【図17(a)】、【図18】)、
n4 前記サブ統合制御装置83によって段階演出を行うことなく昇格となる変化演出が行われることがある(【0157】、【0229】)
パチンコ機50。」

イ また、原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願前に頒布された刊行物である特開2007-82839号公報(以下「引用文献2」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。

「【0023】
〔第1実施形態〕
まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機1を正面からみた正面図、図2は遊技盤の前面を示す正面図である。」

「【0088】
非確変図柄による大当りにする判定がされたときには、図9に示す非確変大当り時テーブルが参照される。非確変大当り時テーブルは、ランダムR6からの値が、「0?4」であるときに再抽選なしとする判定を行ない、「5?6」であるときに1次再抽選表示を実行する判定を行ない、「7?8」であるときに2次再抽選表示を実行する判定を行ない、「9」であるときに1次再抽選表示および2次再抽選表示を実行する判定を行なうように、振分が設定されている。」

「【0090】
確変図柄による大当りにする判定がされたときには、図10に示す確変大当り時テーブルが参照される。確変大当り時テーブルは、ランダムR6からの値が「0」であるときに再抽選なしとする判定を行ない、「1?3」であるときに1次再抽選表示を実行する判定を行ない、「4?6」であるときに2次再抽選表示を実行する判定を行ない、「7?9」であるときに1次再抽選表示および2次再抽選表示を実行する判定を行なうように、振分が設定されている。」

「【0100】
変動パターン決定用テーブルメモリ574は、CPU56が特別図柄表示器8および変動表示装置9における変動表示の基準変動時間を特定するための変動パターンを決定するために用いる変動パターン決定用テーブルを記憶する。基準変動時間とは、特別図柄表示器8および変動表示装置9において変動表示を行なう変動時間を算出するための基準となる時間である。たとえば、変動表示中に前述した1次再抽選表示が行なわれるとき、変動時間は、基準変動時間にαの値を加算して算出される。また、リーチはずれになるとき、変動時間は、基準変動時間にβの値を加算して算出される。」

「【0102】
大当りフラグがオン状態にセットされているときには、大当り時変動パターン決定用テーブルが参照される。大当り時変動パターン決定用テーブルは、ランダムR4の値が、「0?9」の範囲内のときに基準変動時間が「20秒」のノーマルリーチ当り1変動パターンが実行する変動パターンとして決定され、「10?19」の範囲内のときに基準変動時間が「25秒」のノーマルリーチ当り2変動パターンが実行する変動パターンとして決定され、「20?39」の範囲内のときに基準変動時間が「35秒」のスーパーリーチ当り1変動パターンが実行する変動パターンとして決定され、「40?99」の範囲内のときに基準変動時間が「45秒」のスーパーリーチ当り2変動パターンが実行する変動パターンとして決定されるように、振分が設定されている。このように大当り時変動パターン決定用テーブルは、ノーマルリーチ当り1変動パターンが決定される割合よりも、ノーマルリーチ当り2変動パターン,スーパーリーチ当り1変動パターン,スーパーリーチ当り2変動パターンの順で、実行される変動パターンとして決定される割合が高くなるように振分が設定されている。」

「【0107】
まず、図14(a)を参照して、1次再抽選表示が行なわれる場合の飾り図柄の変動表示の一例を示すタイミングチャートを説明する。変動開始時には、遊技制御用マイクロコンピュータ560から音・ランプ制御用マイクロコンピュータ700へ、図9?図11で説明した図柄コマンドのうちセットされた図柄コマンドと、図13で説明した変動パターンコマンドのうちセットされた変動パターンコマンドとが送信される。図14(a)では、1次再抽選表示が行なわれる場合であるため、たとえば、図柄コマンドとして1次再抽選表示が行なわれる確変大当りを示す「8105h」が、変動パターンコマンドとしてスーパーリーチ当り2変動パターンを示す「8013h」が遊技制御用マイクロコンピュータ560から音・ランプ制御用マイクロコンピュータ700へ送信されたものとする。
【0108】
音・ランプ制御用マイクロコンピュータ700は、変動パターンコマンドおよび図柄コマンドを受信すると、変動表示装置9において左,中,右図柄の変動表示を一斉に開始させる。そして、図柄が縦方向にスクロールするスクロール表示で左,中,右図柄が変動表示される。前述したように、0?5の飾り図柄は、表示される順番が予め定められており、表示順番にしたがって巡回する態様で表示されていくことにより、スクロール表示等の変動表示が行なわれる。
【0109】
変動表示の開始時から予め定められた左図柄停止時間が経過すると、左図柄が減速されて停止表示され、その後、変動表示の開始時から予め定められた右図柄停止時間が経過すると、右図柄が減速されて停止表示される。図14(a)では、変動パターンコマンドとしてスーパーリーチ当り2変動パターンを示す「8013h」を受信しているため、停止表示された左図柄と右図柄とが同一の図柄となりリーチが発生する。リーチが発生すると、変動表示中の中図柄が「図柄コマ送り」と呼ばれる変動態様で変動表示させられる。ここで、図柄コマ送りとは、表示する飾り図柄を1コマ(1図柄)単位で順次切替えていくことにより、図柄の表示順番にしたがってコマを順次送っていくことにより飾り図柄を変動表示させる変動態様をいう。
【0110】
図14(a)では、図柄コマンドとして1次再抽選表示が行なわれる確変大当りを示す「8105h」を受信しているため、-3コマずれの図柄から非確変大当り図柄の組合せとなる図柄まで図柄コマ送りの表示が行なわれ、非確変大当り図柄の組合せとなる図柄で仮停止し大当り発生が報知される。その後、1次再抽選表示が行なわれる。変動表示を停止させて変動表示結果を確定させる旨を特定する図柄確定コマンドを受信したときに、1次再抽選表示を終了させて確変大当り図柄の組合せで停止表示し、飾り図柄の変動表示を終了させる。なお、図13で前述した基準変動時間は、変動表示を開始してから、非確変大当り図柄の組合せとなる図柄が仮停止するまでに経過した時間をいう。変動時間は、変動表示を開始してから、確変大当り図柄の組合せとなる図柄が停止するまでに経過した時間、すなわち基準変動時間にαの値を加算した時間をいう。」

上記記載事項を総合すれば、引用文献2には以下の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。

「非確変図柄による大当りにする判定がされたときには、非確変大当り時テーブルが参照され、ランダムR6からの値が、「0?4」であるときに再抽選なしとする判定を行ない、「5?6」であるときに1次再抽選表示を実行する判定を行ない、「7?8」であるときに2次再抽選表示を実行する判定を行ない、「9」であるときに1次再抽選表示および2次再抽選表示を実行する判定を行なうように、振分が設定され(【0088】)、
確変図柄による大当りにする判定がされたときには、確変大当り時テーブルが参照され、ランダムR6からの値が「0」であるときに再抽選なしとする判定を行ない、「1?3」であるときに1次再抽選表示を実行する判定を行ない、「4?6」であるときに2次再抽選表示を実行する判定を行ない、「7?9」であるときに1次再抽選表示および2次再抽選表示を実行する判定を行なうように、振分が設定され(【0090】)、
基準変動時間とは、特別図柄表示器8および変動表示装置9において変動表示を行なう変動時間を算出するための基準となる時間であり、変動表示中に1次再抽選表示が行なわれるとき、変動時間は、基準変動時間にαの値を加算して算出され(【0100】)、
大当りフラグがオン状態にセットされているときには、大当り時変動パターン決定用テーブルが参照され、ランダムR4の値が、「0?9」の範囲内のときに基準変動時間が「20秒」のノーマルリーチ当り1変動パターンが実行する変動パターンとして決定され、「10?19」の範囲内のときに基準変動時間が「25秒」のノーマルリーチ当り2変動パターンが実行する変動パターンとして決定され、「20?39」の範囲内のときに基準変動時間が「35秒」のスーパーリーチ当り1変動パターンが実行する変動パターンとして決定され、「40?99」の範囲内のときに基準変動時間が「45秒」のスーパーリーチ当り2変動パターンが実行する変動パターンとして決定されるように、振分が設定される(【0102】)、
パチンコ遊技機(【0023】)。」

(3)対比・判断
本願補正発明と引用発明1とを対比する。なお、見出し(a)?(n4)は、本願補正発明のA?N4に対応させている。

(a)引用発明1の「a 特図表示装置9にて」の「特別図柄の変動表示」及び「演出図柄表示装置6の画面上で」の「演出図柄の変動表示」は、いずれも、本願補正発明の「可変表示」に相当する。
また、引用発明1の「所定ラウンド数の大当り遊技」及び「パチンコ機50」は、それぞれ、本願補正発明の「遊技者にとって有利な特定状態」及び「遊技機」に相当する。
したがって、引用発明1の「a 特図表示装置9にて特別図柄の変動表示が行われると共に、これらを停止表示することで大当り抽選の結果が報知され、また、これと並行して、演出図柄表示装置6の画面上で、演出図柄の変動表示させた後にこれらを停止表示させ、大当り抽選の結果を報知する擬似演出が行われ、大当り抽選で当たると、所定ラウンド数の大当り遊技が行われるパチンコ機50」は、本願補正発明の「A 可変表示を行い、遊技者にとって有利な特定状態に制御可能な遊技機」に相当する。

(b)引用発明1の「b 大当り抽選に用いられる大当り決定用乱数や、大当り抽選で当った際に停止表示される図柄(当り図柄)を決定するための大当り図柄決定用乱数や、擬似演出において、リーチ状態となった後に外れを示す演出図柄を停止表示させる演出(ノーマルリーチやスーパーリーチ)を行うか否かを決定するためのリーチ判定用乱数や、特別図柄の変動時間等を決定するための変動パターン決定用乱数等を保留記憶として記憶する保留記憶処理を行う主制御装置80」は、本願補正発明の「B 可変表示に関する情報を保留記憶として記憶可能な保留記憶手段」に相当する機能を有する。

(c)引用発明1の「c 保留記憶に対応する保留図柄を表示する演出図柄表示装置6」は、本願補正発明の「C 保留記憶に対応した保留表示を表示する保留表示手段」に相当する。

(d)引用発明1の「d 大当り遊技の実行中でなく、特図の変動表示中でもなく、保留記憶がある場合に、最も古い保留記憶を選択し、選択された保留記憶に係る大当り判定用乱数と、確変モード又は通常モードに対応する当否判定用テーブルに基づき、大当り抽選を実行し、該抽選に当るか否かを判定」する「主制御装置80」は、本願補正発明の「D 前記特定状態に制御するか否かを決定する決定手段」に相当する機能を有する。

(e)引用発明1のdの「前記判定結果を参照して、大当り抽選が当った場合に、消化した保留記憶に係る大当り図柄決定用乱数に基づき大当り図柄を決定」する「主制御装置80」は、本願補正発明の「E 前記決定手段の決定結果にもとづいて、可変表示の表示結果を複数種類の表示結果のうちいずれの表示結果とするかを決定する表示結果決定手段」に相当する機能を有する。

(f)引用発明1の「変動パターン」は、本願補正発明の「可変表示パターン」に相当する。
また、引用発明1のdの「消化した保留記憶に係る変動パターン決定用乱数等に基づき、特別図柄の変動時間等を決定する」際には、変動パターン決定用乱数に基づき変動パターンを複数種類の変動パターンのうちいずれの変動パターンとするかを決定していることは明らかである。
したがって、引用発明1のdの「消化した保留記憶に係る変動パターン決定用乱数等に基づき、特別図柄の変動時間等を決定する主制御装置80」と、本願補正発明の「F 前記決定手段の決定結果にもとづいて、可変表示パターンを複数種類の可変表示パターンのうちいずれの可変表示パターンとするかを決定する可変表示パターン決定手段」とは、「F’可変表示パターンを複数種類の可変表示パターンのうちいずれの可変表示パターンとするかを決定する可変表示パターン決定手段」の点で共通する。

(g)引用発明1のdの「消化した保留記憶に係る変動パターン決定用乱数等に基づき、特別図柄の変動時間等を決定する主制御装置80」と、本願補正発明の「G 前記表示結果決定手段で決定された可変表示の表示結果と前記可変表示パターン決定手段で決定された可変表示パターンにより、可変表示を開始してから表示結果を導出表示するまでの可変表示時間を特定する可変表示時間特定手段」とは、「G’前記可変表示パターン決定手段で決定された可変表示パターンにより、可変表示を開始してから表示結果を導出表示するまでの可変表示時間を特定する可変表示時間特定手段」に相当する機能を有する点で共通する。

(h)引用発明1において、「h 始動口11,12への遊技球の入賞が発生して保留記憶の数が上限値でないとき、前記保留記憶処理に続いて、新たに発生した保留記憶に係る大当り決定用乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数1、2の値がそれぞれ特定値か否かを判定」「する先読み判定処理」が、「d 大当り遊技の実行中でなく、特図の変動表示中でもなく、保留記憶がある場合に、最も古い保留記憶を選択し、選択された保留記憶に係る大当り判定用乱数と、確変モード又は通常モードに対応する当否判定用テーブルに基づき、大当り抽選を実行し、該抽選に当るか否かを判定」する前に行われることは明らかである。
したがって、引用発明1の「h 始動口11,12への遊技球の入賞が発生して保留記憶の数が上限値でないとき、前記保留記憶処理に続いて、新たに発生した保留記憶に係る大当り決定用乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数1、2の値がそれぞれ特定値か否かを判定」「する先読み判定処理を実行する主制御装置80」は、本願補正発明の「H 前記決定手段の決定前に、前記特定状態に制御されるか否かを判定する判定手段」に相当する機能を有するといえる。

(i)引用発明1のiの「通常保留図柄」、「特別保留図柄1」及び「特別保留図柄2、3」は、それぞれ、本願補正発明のIの「通常態様」、「通常態様とは異なる態様である特殊態様」及び「通常態様および特殊態様とは異なる態様である特別態様」に相当する。
したがって、引用発明1の「i 保留図柄の種類として、通常保留図柄と、それぞれ、黄色,赤色,青色の炎を象った図柄となっている特別保留図柄1?3が設けられ」ていることは、本願補正発明の「I 保留表示の表示態様は、通常態様と、通常態様とは異なる態様である特殊態様と、通常態様および特殊態様とは異なる態様である特別態様とを含」むことに相当する。

(j)引用発明1の「先読みコマンド1?4」は、「h 新たに発生した保留記憶に係る大当り決定用乱数、リーチ判定用乱数及び変動パターン決定用乱数1、2の値がそれぞれ特定値か否か」の「判定に応じ」たものである。
したがって、引用発明1の「j 抽選により、前記先読みコマンド1?4の種類に応じた確率で」「特別保留図柄2?3」「の中から新たな保留記憶に対応して表示する保留図柄の種類を選択して表示させるサブ統合制御装置83」は、本願補正発明の「J 前記判定手段の判定結果に応じて、判定対象となった保留記憶に対応した保留表示を特別態様で表示する保留予告演出を実行可能な演出実行手段」に相当する。

(k)引用発明1の「k 保留図柄である一時図柄の種類が変化することを示唆する段階演出」は、本願補正発明の「K 保留表示の表示態様が変化することを示唆する示唆演出」に相当する
したがって、引用発明1の「k 保留図柄である一時図柄の種類が変化することを示唆する段階演出を実行するサブ統合制御装置83」は、本願補正発明の「K 保留表示の表示態様が変化することを示唆する示唆演出を実行可能な示唆演出実行手段」に相当する機能を有する。

(l1)引用発明1の「l 前記サブ統合制御装置83は、l1 抽選により、いずれかの先行保留記憶の消化時期を、一時図柄を最終図柄に変化させるタイミング(変化演出タイミング)として選択」することは、複数のタイミングにおいて変化させるといえるから、本願補正発明の「L 前記演出実行手段は、L1 複数のタイミングにおいて保留表示を特別態様に変化させて表示することが可能であ」ることに相当する。

(l2)引用発明1の「l 前記サブ統合制御装置83は」、「l2 2個目以降の保留記憶が生じた場合に、一時図柄として特別保留図柄1が表示されたときは、該一時図柄を、特別保留図柄2、3の最終図柄に変化させて表示する変化演出が可能であ」ることは、本願補正発明の「L 前記演出実行手段は」、「L2 保留表示が特殊態様で表示されたときは、該保留表示に対応した保留記憶にもとづく可変表示が開始されるまでに該保留表示を特殊態様から特別態様に変化させて表示することが可能であ」ることに相当する。

(n1)引用発明1の「n 前記サブ統合制御装置83は、n1 一時図柄の種類が変化することを示唆する段階演出と、変化演出が行われないいずれかの保留図柄に対して行われる擬似的な段階演出とを、雨降りを示す画像が表示される段階演出A又は風が吹く様子を示す画像が表示される段階演出Bにより実行可能であ」ることは、段階演出と擬似的な段階演出とでいずれも雨降りを示す画像が表示される又は風が吹く様子を示す画像が表示されるのであって共通する演出態様といえるから、本願補正発明の「N 前記示唆演出実行手段は、N1 演出後に保留表示の表示態様が変化する第1示唆演出と、演出後に保留表示の表示態様が変化しない第2示唆演出とを少なくとも一部が共通する演出態様により実行可能であ」ることに相当する。

(n2)引用発明1の「n 前記サブ統合制御装置83は」、n2の「一時図柄が特別保留図柄1で表示されているときの擬似的な段階演出の出現頻度は約0.39とし、一時図柄が特別保留図柄1で表示されていないときの擬似的な段階演出の出現頻度は0.00079と」することは、本願補正発明の「N 前記示唆演出実行手段は」、「N2 保留表示が特殊態様で表示されているときには、保留表示が特殊態様で表示されていないときに比べて高い頻度で第2示唆演出を実行可能であ」ることに相当する。

(n4)引用発明1の「n 前記サブ統合制御装置83は」、「n4 前記サブ統合制御装置83によって段階演出を行うことなく昇格となる変化演出が行われることがある」ことは、本願補正発明の「N 前記示唆演出実行手段は」「N4 前記示唆演出実行手段によって示唆演出が実行されることなく保留表示の表示態様が変化することがある」ことに相当する。

そうすると、両者は、
「A 可変表示を行い、遊技者にとって有利な特定状態に制御可能な遊技機であって、
B 可変表示に関する情報を保留記憶として記憶可能な保留記憶手段と、
C 保留記憶に対応した保留表示を表示する保留表示手段と、
D 前記特定状態に制御するか否かを決定する決定手段と、
E 前記決定手段の決定結果にもとづいて、可変表示の表示結果を複数種類の表示結果のうちいずれの表示結果とするかを決定する表示結果決定手段と、
F’可変表示パターンを複数種類の可変表示パターンのうちいずれの可変表示パターンとするかを決定する可変表示パターン決定手段と、
G’前記可変表示パターン決定手段で決定された可変表示パターンにより、可変表示を開始してから表示結果を導出表示するまでの可変表示時間を特定する可変表示時間特定手段と、
H 前記決定手段の決定前に、前記特定状態に制御されるか否かを判定する判定手段とを備え、
I 保留表示の表示態様は、通常態様と、通常態様とは異なる態様である特殊態様と、通常態様および特殊態様とは異なる態様である特別態様とを含み、
J 前記判定手段の判定結果に応じて、判定対象となった保留記憶に対応した保留表示を特別態様で表示する保留予告演出を実行可能な演出実行手段と、
K 保留表示の表示態様が変化することを示唆する示唆演出を実行可能な示唆演出実行手段とをさらに備え、
L 前記演出実行手段は、
L1 複数のタイミングにおいて保留表示を特別態様に変化させて表示することが可能であり、
L2 保留表示が特殊態様で表示されたときは、該保留表示に対応した保留記憶にもとづく可変表示が開始されるまでに該保留表示を特殊態様から特別態様に変化させて表示することが可能であり、
N 前記示唆演出実行手段は、
N1 演出後に保留表示の表示態様が変化する第1示唆演出と、演出後に保留表示の表示態様が変化しない第2示唆演出とを少なくとも一部が共通する演出態様により実行可能であり、
N2 保留表示が特殊態様で表示されているときには、保留表示が特殊態様で表示されていないときに比べて高い頻度で第2示唆演出を実行可能であり、
N4 前記示唆演出実行手段によって示唆演出が実行されることなく保留表示の表示態様が変化することがある
遊技機。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点1)
本願補正発明は「M 前記可変表示時間特定手段は、前記可変表示パターン決定手段で決定された可変表示パターンが同一であっても、前記表示結果決定手段で決定された可変表示の表示結果により異なる可変表示時間を特定することが可能であ」るのに対し、引用発明1はそのようなものではない点。

(相違点2)
本願補正発明は「N 前記示唆演出実行手段は」、「N3 保留表示が通常態様で表示されているときにも、第2示唆演出を実行可能であ」るのに対し、引用発明1はそのようなものではない点。

(相違点3)
「F’可変表示パターンを複数種類の可変表示パターンのうちいずれの可変表示パターンとするかを決定する可変表示パターン決定手段」について、本願補正発明は「前記決定手段の決定結果にもとづいて」決定するのに対し、引用発明1はそのようなものか否か不明な点。

(相違点4)
G’の「可変表示時間特定手段」が「可変表示を開始してから表示結果を導出表示するまでの可変表示時間を特定する」のは、「前記可変表示パターン決定手段で決定された可変表示パターンによ」るだけでなく、本願補正発明は「前記表示結果決定手段で決定された可変表示の表示結果」にもよるものであるのに対し、引用発明1はそのようなものではない点。


(相違点1、4について)
上記(2)イに記載した引用発明2の「変動パターン」及び「変動時間」は、それぞれ、本願補正発明の「可変表示パターン」及び「可変表示時間」に相当する。
また、引用発明2の「非確変図柄」及び「確変図柄」は、本願補正発明の「可変表示の表示結果」に相当する。
そうすると、引用発明2は、大当り時変動パターン決定用テーブルが参照されて決定される変動パターンが同一であっても、大当りにする非確変図柄と確変図柄とにより、1次再抽選表示を実行する割合が異なるテーブルで判定されて、基準時間に1次再抽選表示を実行するときに加算するαの値を加算するか否かで異なる変動時間を特定することが可能であるから、相違点1に係る本願補正発明の構成を備えるといえる。
また、引用発明2は、大当り時変動パターン決定用テーブルが参照されて決定される変動パターンだけでなく、大当りにする非確変図柄と確変図柄とにより変動時間を特定されるのであるから、相違点4に係る本願補正発明の構成を備えるといえる。

そして、引用発明1のdの「主制御装置80」が「前記判定結果を参照して、大当り抽選が当った場合に、消化した保留記憶に係る大当り図柄決定用乱数に基づき大当り図柄を決定し、前記決定の後、消化した保留記憶に係る変動パターン決定用乱数等に基づき、特別図柄の変動時間等を決定する」際に、1次再抽選表示を可能にして遊技の興趣を向上するために引用発明2を適用して、大当りにする非確変図柄と確変図柄とにより、1次再抽選表示を実行する割合が異なるテーブルで判定されて、基準時間に1次再抽選表示を実行するときに加算するαの値を加算するか否かで異なる変動時間を特定することを可能として相違点1に係る本願補正発明の構成に想到することは当業者が容易になし得たものである。
また、そのようにすれば、大当り時変動パターン決定用テーブルが参照されて決定される変動パターンだけでなく、大当りにする非確変図柄と確変図柄とにより変動時間を特定されるものとなるから、相違点4に係る本願補正発明の構成に想到することは当業者が容易になし得たものである。

(相違点2について)
遊技機において、通常保留の表示態様が変化することを示唆する示唆演出を実行した後、前記表示態様が変化する場合と変化しない場合の両方を設けることは、例えば、

ア 本願の出願前に頒布された刊行物である特開2012-245158号公報

「【0423】
(保留球変化の先読み予告演出)
ここで本実施形態における「保留球変化」の先読み予告演出について、図59?図61を用いて説明する。本実施形態では、保留球変化の先読み予告演出について、予告の対象が異なる複数(2つ)の演出系統が存在する。1つは大当りの可能性(大当り期待度)を示唆する演出系統であり、もう1つはスーパーリーチの可能性(スーパーリーチ期待度)を示唆する演出系統である。図59(a)に示すように、大当り期待度は保留球の色によって異なる。大当り期待度が低ければ先読み予告演出によって保留球の色は変化せず(即ち第1保留記憶であれば白色、第2保留記憶であればグレーのまま)、大当り期待度が中程度であれば先読み予告演出によって保留球の色は青になり、大当り期待度が高ければ先読み予告演出によって保留球の色は赤になる。…
【0424】
本実施形態では、保留球の色…を変化させる際の演出として、所定のキャラ(小人又は巨人)が出現し、表示されている保留球に刷毛で色を塗る…演出を行うことによって、保留球の色…を変化させようとする。ここで、図59(c)に示すように、小人が出現した場合には、保留球の色…が変化し難く、巨人が出現した場合には、保留球の色…が変化し易いように演出の割り振りが行われている。また、小人が出現した場合には、保留球の色が変化し難く(即ち白若しくはグレーから青又は赤に変化し難く)…ように演出の割り振りが行われており、巨人が出現した場合には、保留球の色が変化し易く(即ち白若しくはグレーから青又は赤に変化し易く)、…ように演出の割り振りが行われている。
【0425】
本実施形態における第1保留演出(保留球色変化演出)は、保留球の表示態様(色)を第1表示態様(変化なし,青,赤)に変化させる割合が異なる複数種類の演出(刷毛を持った小人が出現する演出は色を変化させる割合が低く、刷毛を持った巨人が出現する演出は色を変化させる割合が高い)を有し…ている。
【0426】
図60に、本実施形態における保留球変化の予告演出の一例を示す。図60の例では、合算保留記憶表示部18cに保留球が3個表示されており、演出図柄が変動表示されている状態で、保留球変化の先読み予告演出が行われる。図60(1)に示すように、演出表示装置9に刷毛1110とペンキ入りのバケツ1120を持った小人のキャラ1100が表示され、このキャラ1100が左から3つめの保留球1000に近づく。次いで図60(2)に示すように、保留球1000に対して、小人が刷毛1110によってバケツ1120のペンキを使用して色を塗る動作を行う。本例では白の保留球1000が赤に塗り替えられたものとする。そして図60(3)に示すようにペンキを塗り終えた小人のキャラ1100は去り、演出表示装置9に表示されなくなる。この例では、白の保留球1000が赤に変化したため、遊技者は大当り期待度が高いことを認識し、大当りの期待感及び興味を持って遊技を行うことができる。」

上記記載において、「所定のキャラ(小人又は巨人)が出現し、表示されている保留球に刷毛で色を塗る演出を行うことによって、保留球の色…を変化させようとする」ことは、通常保留の表示態様が変化することを示唆する示唆演出に相当する。
また、上記記載において、「保留球の色が」「白若しくはグレーから青又は赤に変化」することは、通常保留の表示態様が変化する場合に相当し、「保留球の色が」「白若しくはグレーから青又は赤に変化し」ないことは、通常保留の表示態様が変化しない場合する。

イ 本願の出願前に頒布された刊行物である特開2006-15007号公報

「【0058】
一方、ゲーム表示部26では、図柄組み合わせゲームの開始に伴って各列の図柄の変動が開始される(図9(b))。そして、図柄組み合わせゲームの開始直後、可変表示器20には、前知演出が画像表示される。前知演出が開始されると、可変表示器20には、該可変表示器20の上方からパラシュートを背負った演出キャラクタYがゆっくりと降下してくる(図9(c))。演出キャラクタYは、表示態様が「特別表示態様」に変化する個数表示部を目掛けて降下してくる(図9(d))。この例では、表示態様を「特別表示態様」に変化させる個数表示部として個数表示部H3を設定していることから、演出キャラクタYは個数表示部H3を目掛けて降下してくる。表示態様が「特別表示態様」に変化する個数表示部を目掛けて演出キャラクタYを降下させることにより、何れの個数表示部の表示態様が「特別表示態様」に変化するのかを遊技者に知らせることが可能である。そして、降下してきた演出キャラクタYは、やがて個数表示部H3と重なる。その結果、個数表示部H3の表示態様は、「通常表示態様(「●(黒丸)」)」から「特別表示態様(「キャラクタの顔」)」に変化する(図10(a))。この表示態様の変化により、大当り予告が実行されたこととなる。図10(a)に示す状態において、遊技者は、「特別表示態様」となった個数表示部H3に対応する図柄組み合わせゲームが大当りとなるかもしれないという期待感を強く抱く。」

「【0062】
次に、図11に従って擬似演出が実行される態様を説明する。
擬似演出は、変動処理(図7)のステップS60,S68が肯定判定された場合に、実行される。そして、サブCPU29aが変動処理にて擬似演出の実行を設定した場合、可変表示器20には、図柄組み合わせゲームの開始直後に擬似演出が画像表示される。この擬似演出は、前知演出と同様に実行されるため、まず、パラシュートを背負った演出キャラクタYがゆっくりと降下してくる(図11(a))。しかし、擬似演出では、保留球数表示部27へ向かう途中で演出キャラクタの経路が可変表示器20の左方側に変更される(図11(b),(c))。そして、演出キャラクタYは、何れの個数表示部H1?H4とも重なることなく、可変表示器20から消える。」

上記記載において、「上方からパラシュートを背負った演出キャラクタYがゆっくりと降下してくる」ことは、通常保留の表示態様が変化することを示唆する示唆演出に相当する。
また、上記記載において、「降下してきた演出キャラクタY」が「個数表示部H3と重な」り「個数表示部H3の表示態様」が「「通常表示態様(「●(黒丸)」)」から「特別表示態様(「キャラクタの顔」)」に変化する」ことは、通常保留の表示態様が変化する場合に相当し、「保留球数表示部27へ向かう途中で演出キャラクタの経路が」「左方側に変更され」「演出キャラクタYは、何れの個数表示部H1?H4とも重なることなく」「消える」ことは、通常保留の表示態様が変化しない場合に相当する。

に記載されているように周知技術である。

そうすると、一時図柄が通常保留図柄で表示されているときにも擬似的な段階演出を実行可能にして興趣を向上させるために、引用発明1にこの周知技術を適用して、相違点2に係る本願補正発明の構成に想到することは当業者が容易になし得たものである。
ここで、引用発明1は、一時図柄が特別保留図柄1で表示されているときの擬似的な段階演出を行わないものであったから、上記周知技術に基づいて、一時図柄が特別保留図柄1で表示されているときの擬似的な段階演出を少しだけ行うようにして、上記N2の構成を維持することに格別の困難性はない。

(相違点3について)
遊技機において、大当り抽選の決定結果にもとづいて、変動パターンを複数種類の変動パターンのうちのいずれの変動パターンとするかを決定することは、例えば、引用文献2の図13(段落【0101】?【0103】参照。)に「大当り時変動パターン決定用テーブル」及び「はずれ時変動パターン決定用テーブル」、並びに、後記引用文献3の図205(段落【0322】?【0323】参照。)にS142の「当りの種類に応じた変動パターンテーブルを選択」、S144の「リーチ時の変動パターンテーブルを選択」及びS145の「はずれ時の変動パターンテーブル選択」と記載されているように技術常識であり、引用発明1のdの「主制御装置80」が「消化した保留記憶に係る変動パターン決定用乱数」を用いる際にもそのようにして相違点3に係る本願補正発明の構成に想到することに格別の困難性はない。

したがって、本願補正発明は、引用発明1、引用発明2及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

(4)請求人の主張について
請求人は、審判請求書において、本願補正発明は、保留表示が特殊態様で表示されているときには、保留表示が特殊態様で表示されていないときに比べて高い頻度で第2示唆演出を実行可能であるという(N2)の構成要素を備え、このような構成により、保留表示が特殊態様で表示されているときには、示唆演出(厳密には第2示唆演出)が実行される頻度が高くなるため、保留表示が特殊態様で表示されているときの期待感を高めることができるという効果を得ることができ、そして、本願補正発明は、上記の構成要素に加えて、保留表示が通常態様で表示されているときにも、第2示唆演出を実行可能であるという(N3)の構成要素と、示唆演出実行手段によって示唆演出が実行されることなく保留表示の表示態様が変化することがあるという(N4)の構成要素とを備え、このような構成により、保留表示が通常態様で表示されているときにも、第2示唆演出を実行可能であるため、示唆演出(厳密には第2示唆演出)が実行される頻度を増加させることができ、遊技者が保留表示の表示態様が変化することに期待を持つ機会を増加させることができるという効果を得ることができ、さらに、保留表示が通常態様で表示されているときには、特殊態様で表示されているときよりも示唆演出が実行される頻度は低いが、示唆演出が実行されることなく保留表示の表示態様が変化することがあるため、示唆演出が実行されない期間にも、保留表示の表示態様が変化することに期待を持たせることができるという効果を得ることができ、上記の(N2),(N3),(N4)の構成要素を備えていることにより、保留表示が特殊態様で表示されているときに限らず、通常態様で表示されているときにも、保留表示の表示態様が変化することに期待を持たせる(持つ機会を増加させる)ことができるという相乗的な効果を得ることができることが本願補正発明の大きな特徴である旨主張する。

しかしながら、上記(3)の(n2)及び(n4)で検討したように、引用発明1は本願補正発明のN2及びN4に相当する構成を有している。
また、上記(3)の(相違点2について)で検討したように、遊技機において、通常保留の表示態様が変化することを示唆する示唆演出を実行した後、前記表示態様が変化する場合と変化しない場合の両方を設けることは周知技術であり、一時図柄が通常保留図柄で表示されているときにも擬似的な段階演出を実行可能にして興趣を向上させるために、引用発明1にこの周知技術を適用して、本願補正発明のN3の構成に想到することは当業者が容易になし得たものである。
ここで、引用発明1は、一時図柄が特別保留図柄1で表示されているときの擬似的な段階演出を行わないものであったから、上記周知技術に基づいて、一時図柄が特別保留図柄1で表示されているときの擬似的な段階演出を少しだけ行うようにして、上記N2の構成を維持することに格別の困難性はない。
したがって、請求人の主張は採用できない。

(5)本件補正についてのむすび
以上より、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成28年6月24日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記第2[理由]1の(本件補正前)に記載のとおりのものである。

2 原査定の拒絶理由
原査定の拒絶の理由は、
(進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に頒布された以下の引用例に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、
というものである。

引用例1:特開2011-212303号公報
引用例2:特開2007-82839号公報


3 引用文献に記載された事項
ア 原査定の拒絶の理由で引用された刊行物である特開2007-82839号公報(引用文献2)の記載事項は、前記第2の[理由]2(2)イに記載したとおりである。

イ また、原査定の拒絶の理由で引用された刊行物である特開2011-212303号公報(以下「引用文献3」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。

「【0013】
図1乃至図7において、本実施形態に係るパチンコ機1は、遊技ホールの島(図示しない)に設置される外枠2と、外枠2に開閉自在に軸支され且つ遊技盤4を装着し得る本体枠3と、本体枠3に開閉自在に軸支され且つ遊技盤4に形成されて球が打ち込まれる遊技領域605を遊技者が視認し得る遊技窓101とその遊技窓101の下方に配置され且つ遊技の結果によって払出される球を貯留する貯留皿としての皿ユニット300とを備えた扉枠5と、を備えて構成されている。」

「【0236】
また、主制御基板4100では、これら第一始動口2101、第二始動口2102に遊技球が入賞して、第一始動口センサ3080、第二始動口センサ2127に検出されると、第一始動口2101では所定の第一特別乱数及び第一図柄乱数の発生・抽出が、第二始動口2102では所定の第二特別乱数及び第二図柄乱数の発生・抽出が夫々行われる。そして、抽出された特別乱数及び図柄乱数に基いて、機能表示ユニット1400の対応する第一特別図柄表示器641や第二特別図柄表示器642に表示された特別図柄の変動表示が開始された後に、抽出された特別乱数及び図柄乱数と対応する特別図柄が特別抽選結果として停止表示されるようになっている。これら第一特別図柄表示器641や第二特別図柄表示器642において、「大当り」を示唆する態様で特別図柄が停止表示されると、アタッカユニット2100の開閉部材2106が、所定のパターンで開閉動作する大当り遊技状態が発生し、その間に大入賞口2103へ遊技球を入賞させることで、より多くの遊技球を獲得できるようになっている。なお、一つの遊技球が大入賞口2103へ入賞すると、賞球ユニット800から所定数(例えば、13個)の遊技球が貯留皿311へ払い出されるようになっている。」

「【0274】
いま、各種の抽選処理に供される乱数が更新されたとすると(ステップS13)、同図195に示されるように、この主制御基板4100の主制御MPU4100aはまず、上記第一始動口センサ3080による検出信号がオン状態(第一始動口2101への入球あり)にあることを条件に(ステップS31)、第一特別図柄の第一特別乱数を上記乱数カウンタから取得してこれをRAMの第一特別図柄保留記憶領域に格納するなどの第一始動口通過処理を実行する(ステップS32)。また、上記第二始動口センサ2127による検出信号がオン状態(第二始動口2102への入球あり)にあることを条件に(ステップS33)、第二特別図柄の第二特別乱数を上記乱数カウンタから取得してこれをRAMの第二特別図柄保留記憶領域に格納するなどの第二始動口通過処理を実行する(ステップS34)。」

「【0281】
次いで、主制御MPU4100aは、上記時短制御を実行している旨を示す時短フラグがセットされていなければ(ステップS45)、ステップS43で取得した第一特別乱数に基づいて大当りとなるか否かを判定し、大当りとなる旨の判定がなされた場合には第一図柄乱数に基づいて大当りの種類を判定する一方、大当りとならない場合にはリーチ乱数に基づいてリーチするか否かを判定する演出事前判定処理を実行して(ステップS46)、処理を終了する。一方、時短フラグがセットされていれば、第一保留数(第一特別保留数カウンタの値)を示す第一保留数指定コマンドをセットして処理を終了する(ステップS47)。これにより、第一始動口2101へ遊技球が入賞することにより発生した始動入賞に基づく変動表示を開始する以前に大当りとなるか否か、大当りの種類、及びはずれとなる場合にリーチするか否かを判別可能になる。なお、本例では時短制御を実行していないことを条件に第一特別図柄に関する演出事前判定処理を実行する。」

「【0287】
図198は、上記演出事前判定処理(ステップS46、S56)についてその手順を示すフローチャートである。なお、第一始動口通過処理のステップS46で実行される演出事前判定処理と第二始動口通過処理のステップS56で実行する演出事前判定処理とは共通のプログラムモジュールであり、判定に用いる乱数が異なるだけであるため、ここでは第一始動口通過処理のステップS46で実行される第一特別図柄に関する演出事前判定処理についてのみ説明する。なお、第一特別乱数に基づいて大当りとするか否かの抽選確率と第二特別乱数に基づいて大当りとするか否かの抽選確率とを異ならせることにより、第一始動口通過処理のステップS46で実行される演出事前判定処理で参照するテーブルと第二始動口通過処理のステップS56で実行される演出事前判定処理で参照するテーブルとを異ならせるようにしてもよい。
【0288】
上記主制御基板4100の主制御MPU4100aは、演出事前判定処理を開始すると、図199に示す事前判定テーブルと取得した乱数、具体的には第一特別乱数、第一図柄乱数、及びリーチ乱数とを比較することにより大当りとなるか否か、大当りとなる場合には大当りの種類、大当りとならない場合には液晶表示装置1400で実行される遊技演出としてリーチ演出を実行するか、を特定する(ステップS61)。なお、図199の事前判定テーブルは各判定値の割合を示している。」

「【0294】
そして、事前判定テーブルと取得した乱数との比較の結果、特定した事前判定情報(大当りとなるか否か、大当りとなる場合には大当りの種類、大当りとならない場合には液晶表示装置1400で実行される遊技演出としてリーチ演出を実行するか、及び始動入賞に応じた特別図柄の保留数)及び特別図柄の種類を示す事前判定コマンド(第一特別図柄に応じた第一事前判定コマンド、第二特別図柄に応じた第二事前判定コマンド)をセットする(ステップS62)。これにより、始動入賞が発生した始動口(第一始動口2101と第二始動口2102とのいずれか)、該始動口に対応して記憶される保留数の数、発生した始動入賞に基づく第一特別図柄の変動表示の表示結果を大当りとするか否か、大当りとなる場合には大当りの種類、大当りとならない場合には液晶表示装置1400で実行される遊技演出としてリーチ演出を実行するかなどの事前判定情報を、当該始動入賞に応じた変動表示を開始する以前に周辺基板4010に搭載される周辺制御MPU4140aが把握できるようになる。」

「【0303】
図201は、上記第一特別図柄通常処理(ステップS80)についてその手順を示すフローチャートである。
【0304】
上記第一特別図柄プロセスフラグが当該第一特別図柄通常処理を行うべき旨を示しているときは、同図201に示されるように、上記主制御基板4100の主制御MPU4100aは、まず、ステップS101の処理として、上記第一特別保留数カウンタによるカウンタ値に基づいて保留の状態にある第一特別図柄の変動表示制御(第一特別図柄の保留変動表示制御)があるか否かの判断を行う。この結果、第一特別図柄の保留変動表示制御があると判断された場合には、次にステップS102の処理として、上記主制御MPU4100aのRAMの第一特別図柄保留記憶領域に格納されている第一特別図柄の表示態様に関わる乱数(例えば、第一特別乱数、リーチ乱数、及び第一図柄乱数、)のうちの最先の記憶領域に格納された乱数を同RAMから読み出す。そして次に、ステップS103及びS104の処理として、上記第一特別保留数カウンタをカウントダウンするとともに、上記主制御MPU4100aのRAMの第一特別図柄保留記憶領域の各記憶領域に格納されている上記第一特別図柄の変動表示停止時における表示態様に関わる乱数(第一特別乱数、リーチ乱数、及び第一図柄乱数)を先入れ先出し(First-In First-Out)の態様にてシフト操作する。
【0305】
具体的には、第一特別図柄保留記憶領域は1?4の4つの記憶領域を有し、始動入賞の発生に応じて抽出した乱数を1番目(最先)の領域から順に記憶する。そして、n番目(n=1?3)の記憶領域に乱数が記憶されている場合に始動入賞が発生するとn+1番目(n=1?3)の記憶領域に抽出した乱数を記憶し、1番目の記憶領域に格納された乱数に基づく変動表示の開始条件が成立すると1番目の記憶領域に記憶されている各種乱数を読み出すとともにN番目(N=2?4)の記憶領域に記憶されている各種乱数をN-1番目(N=2?4)番目の記憶領域に移動させる。これにより、上記第一特別図柄の保留変動表示制御が発生した順序(始動入賞の発生順序)を特定可能に記憶されるとともに最先の保留(最も先に発生した保留)から順に変動表示制御の保留が解除されるようになる。
【0306】
そしてその後、ステップS105の処理として、上記読み出された第一特別図柄の第一特別乱数に基づいて上記大当りの当落についての抽選処理である当り判定処理を行う。その後、上記第一特別図柄停止図柄設定処理(ステップS81)にプロセス移行されるよう上述の第一特別図柄プロセスフラグが更新された時点で(ステップS106)、この処理を終了する。」

「【0313】
上記第一特別図柄プロセスフラグが当該第一特別図柄停止図柄設定処理を行うべき旨を示しているときは、同図204に示されるように、上記主制御基板4100の主制御MPU4100aは、まず、第一特別図柄の変動表示停止時における表示態様の抽選処理の結果、すなわち上記当り判定処理(ステップS105)の結果を判別する。抽選処理結果の判別は、大当りフラグがセットされているか否か(ステップS121)を判別することにより行う。
【0314】
主制御MPU4100aは、大当りフラグがセットされていれば、第一特別図柄通常処理のステップS102で読み出した第一図柄乱数と図203(B)に示す図柄決定テーブルとを比較することにより(ステップS122)、大当りの種類を決定し、該決定した大当りの種類に対応する第一特別図柄の変動制御停止時の態様(第一特別図柄の停止図柄)を決定する(ステップS123)。」

「【0320】
また、主制御MPU4100aは、小当りフラグがセットされていれば(ステップS124)、第一特別図柄の変動停止時の態様として小当り図柄に決定する(ステップS125)。一方、ステップS121で大当りフラグがセットされていなければ、第一特別図柄の変動停止時の態様としてはずれ図柄に決定する(ステップS127)。」

「【0323】
上記第一特別図柄プロセスフラグが当該第一変動パターン設定処理を行うべき旨を示しているときは、同図205に示されるように、上記主制御基板4100の主制御MPU4100aは、大当りフラグ又は小当りフラグがセットされていれば(ステップS141)、複数種類の変動パターンテーブル(2R高確率時短当りの場合に選択されるテーブル、2R高確率非時短の場合に選択されるテーブル、15R高確率時短当りの場合に選択されるテーブル、15R低確率時短当りの場合に選択されるテーブル、小当りの場合に選択されるテーブル)のうち当りの種類(第一特別図柄停止図柄設定処理のステップS123で決定した大当りの種類、又は小当り)に応じたテーブルを選択し(ステップS142)、リーチフラグがセットされていれば(ステップS143)、リーチ時の変動パターンテーブルを選択するともに上記リーチフラグをリセットし(ステップS144)、大当りフラグとリーチフラグとのいずれもセットされていない場合、すなわち通常のはずれ(リーチ演出を実行しないはずれ)となる場合には、はずれ時の変動パターンテーブルを選択する(ステップS145)。
【0324】
そして、変動乱数を更新する乱数カウンタから変動乱数を取得して、該取得した変動乱数と選択した変動パターンテーブルとを比較することにより実行する変動パターンを決定する(ステップS146)。そして決定した変動パターンに応じた第一特別図柄の変動表示を開始することを周辺基板4010に通知する第一変動パターンコマンドをセットして第一特別図柄表示器641に表示される第一特別図柄の変動表示を開始する(ステップS147)。なお、ステップS147で第一変動パターンコマンドをセットするときには遊技状態(低確率非時短状態(通常状態)、低確率時短状態、高確率非時短状態、高確率時短状態)を通知する状態通知コマンドもセットされ、特別図柄の変動表示を開始する毎に周辺制御MPU4140aに遊技状態を通知している。周辺制御MPU4140aは受信した状態通知コマンドに応じて液晶表示装置1400に遊技状態に対応する背景表示を行う。また、主制御MPU4100aは、変動パターンを決定すると、この決定した変動パターンに対応して設定されている変動時間を変動タイマに設定する(ステップS148)。これにより、こうして決定された変動時間だけ第一特別図柄表示器641及び上記液晶表示装置1400にて演出制御が行われるようになる。
【0325】
なお、図示しないが変動パターンテーブルは、特別乱数(第一特別乱数、第二特別乱数)及び図柄乱数(第一図柄乱数、第二図柄乱数)に基づく判定結果に対応して複数種類設けられている。また、各変動パターンテーブルに設定される変動パターンには上記特別図柄(第一特別図柄、第二特別図柄)の変動表示制御に要する所定の時間(変動時間)を示す複数の変動時間情報が上記変動乱数にそれぞれ対応して関連付けされるかたちで記憶されている。しかして、主制御MPU4100aは、特別乱数及び図柄乱数に基づく判定結果に対応する変動パターンテーブルを選択した後、該選択したテーブルと取得した変動乱数とを比較し、該変動乱数に関連付けされている変動時間情報をこのテーブルから取得することで、上記特別図柄(第一特別図柄、第二特別図柄)の変動パターンを決定する。これにより、上記特別図柄(第一特別図柄、第二特別図柄)の変動パターンについての抽選処理が行われるようになる。なお、上記変動パターンテーブルは、上記主制御MPU4100aのROMに記憶されている。」

「【0348】
なお、周辺制御MPU4140aは上記事前判定コマンド(第一事前判定コマンド、第二事前判定コマンド)及び保留数指定コマンド(第一保留数指定コマンド、第二保留数指定コマンド)を受信したことに基づいて液晶表示装置1400において第一保留数を表示する領域としての第一保留表示領域1500a?1500d及び第二保留数を表示する領域としての第二保留表示領域1600a?1600dの各領域を、対応する保留変動表示制御がない状態を示す第一保留態様と、対応する保留変動表示制御がある状態を示す第二保留態様と、のいずれかに制御することにより第一特別図柄の保留数及び第二特別図柄の保留数を表示する。この第二保留態様は大当りとなる可能性の程度に応じた複数種類の態様を含み、周辺制御MPU4140aは、上記事前判定コマンドを受信したことに基づいて上記第一保留表示領域1500a?1500d及び第二保留表示領域1600a?1600dのうち対応する領域を上記第二保留態様に制御する場合に、保留予告判定処理(ステップS601f)を実行して事前判定コマンドによって指示された保留変動表示制御に対応する領域を大当りの可能性の程度に応じた態様で表示する保留予告するか否かを判定して、保留予告する旨の判定がなされた場合には対応する領域を第二保留態様のうち所定の予告態様で表示制御することにより、大当りとなる可能性の程度を事前に(当該保留変動表示制御の変動表示を実行する以前に)予告する。例えば、主制御MPU4100aから上記15R大当りとなることを示す事前判定コマンドを受信したことに基づいて対応する領域を第二保留態様のうち所定の予告態様で表示制御することにより大当りとなることを予告する。また、上記15R大当り以外となることを示す事前判定コマンドを受信した場合にも所定の割合で対応する領域を第二保留態様のうち所定の予告態様で表示制御することにより大当りとなることを疑似的に予告する(所謂ガセ)。」

「【0413】
周辺制御MPU4140aは、上記事前判定コマンドを受信すると上記第一保留表示領域1500a?1500d及び第二保留表示領域1600a?1600dのうち対応する領域を事前判定コマンドによって指示された保留変動表示制御に対応する領域を大当りの可能性の程度に応じた態様で表示する保留予告するか否かを判定する保留予告判定処理(ステップS601f)を実行して保留予告を実行する旨の判定がなされた場合には対応する領域を第二保留態様のうち所定の予告態様で表示制御することにより大当りとなる可能性が高いことを予告する。
【0414】
例えば、第一保留数が「1」の状態(第一保留表示領域1500aだけを第二保留態様で表示している状態)で第一始動口2101へ遊技球が始動入賞した場合に、該始動入賞に基づいて周辺制御MPU4140aが保留予告判定処理を実行して、保留予告しないと判定したときには該始動入賞に対応する第一保留表示領域1500bに大当りの可能性の程度を予告しない通常の第二保留態様として「黒丸」を表示し(図212(A))、第一保留数が「2」の状態(第一保留表示領域1500a、1500bを第二保留態様で表示している状態;図212(A))で第一始動口2101へ遊技球が始動入賞した場合に、該始動入賞に基づいて周辺制御MPU4140aが保留予告判定処理を実行して、保留予告すると判定したときには該始動入賞に対応する第一保留表示領域1500cに第二保留態様として複数種類の予告態様のうちいずれかの予告態様(通常の予告態様を表示してガセの保留予告を実行するようにしてもよい)を表示することを示す「?」が白抜きされた「黒丸」を表示する(図212(B))。
【0415】
そして、第一特別図柄の変動表示を開始することを指示する第一変動パターンコマンドを受信したことに基づいて装飾図柄1400a?1400cを変動表示するときに第一保留表示領域1500b,1500cの第二保留態様を第一保留表示領域1500a,1500bにそれぞれシフトするとともにキャラクタAを表出し(図212(C))、このキャラクタAによって保留予告の対象となる第一保留表示領域1500bの「?」が白抜きされた「黒丸」を蹴り飛ばす(図212(D))。その後、キャラクタAの表示を消失させるとともに保留予告判定処理(ステップS601f)で決定した予告態様(この例では「星」)を保留予告の対象となる第一保留表示領域1500bに表示する(図212(E))。」

「【0421】
また、上記した例では始動入賞時に「?」が白抜きされた「黒丸」を表示して保留予告の対象となっていることを通知するように構成したが、保留予告すると判定された場合であっても予告態様ではない通常の第二保留態様を表示して始動入賞時に保留予告の対象となっていることを通知せずに、始動入賞発生後の所定のタイミングでキャラクタAを表出して保留予告の対象となっている予告態様ではない通常の第二保留態様を予告態様に変化させるようにしてもよいし、始動入賞発生後の所定のタイミングで予告態様ではない通常の第二保留態様を「?」が白抜きされた「黒丸」に変化させて保留予告の対象となっていることを通知した後(保留予告の対象となっていることを通知した変動表示内であってもよいし、保留予告の対象となっていることを通知した変動表示以降の変動表示であってもよい)にキャラクタAを表出して「?」が白抜きされた「黒丸」を保留予告の態様に変化させるようにしてもよい。これにより、始動入賞発生時だけでなく、その後も保留予告されるか否かに注目させることができ、長期間に亘って興趣を維持させることができる。また、上記予告態様ではない通常の第二保留態様を予告態様に変化させるタイミングとして、新たな始動入賞の発生、変動表示の開始、所定時間の経過等の条件が成立したことを起因としてもよい。」

上記記載事項を総合すれば、引用文献3には以下の発明(以下、「引用発明3」という。)が記載されているものと認められる(a?k2については本願発明のA?K2に対応させて付与した。)。

「a 特別図柄表示器641,642に表示された特別図柄の変動表示が開始された後に、これら特別図柄表示器641,642において、「大当り」を示唆する態様で特別図柄が停止表示されると、アタッカユニット2100の開閉部材2106が、所定のパターンで開閉動作する大当り遊技状態が発生するパチンコ機1であって(【0013】、【0236】)、
b 特別図柄の特別乱数を格納するRAMの特別図柄保留記憶領域と(【0274】)、
c 大当りとなる可能性の程度に応じた複数種類の態様を含む特別図柄の保留数を表示する液晶表示装置1400の保留表示領域1500a?1500d,1600a?1600dと(【0348】)、
d 保留の状態にある特別図柄の変動表示制御がある場合、前記特別図柄保留記憶領域に格納されている特別乱数のうちの最先の記憶領域に格納された特別乱数を読み出し、読み出された特別図柄の特別乱数に基づいて前記大当りの当落についての抽選処理である当り判定処理を行う主制御基板4100の主制御MPU4100aと(【0304】、【0306】)、
e 前記当り判定処理の結果を判別して、大当りであれば図柄乱数と図柄決定テーブルとを比較することにより大当りの種類を決定し、該決定した大当りの種類に対応する特別図柄の変動制御停止時の態様として特別図柄の停止図柄を決定し、小当たりであれば特別図柄の変動制御停止時の態様として小当たり図柄に決定する特別図柄停止図柄設定処理を行う主制御基板4100の主制御MPU4100aと(【0313】、【0314】、【0320】)、
f 複数種類の変動パターンテーブルのうち、特別図柄停止図柄設定処理で決定した大当りの種類、又は小当りに応じたテーブル、リーチ時の変動パターンテーブル又ははずれ時の変動パターンテーブルを選択して、選択した変動パターンテーブルにより変動パターンを決定する変動パターン設定処理を行う主制御基板4100の主制御MPU4100aと(【0323】、【0324】)、
g 前記変動パターン設定処理で決定された変動パターンに対応して設定されている特別図柄の変動表示制御に要する所定の時間を示す変動時間を変動タイマに設定する主制御基板4100の主制御MPU4100aと(【0324】、【0325】)、
h 始動入賞に基づく変動表示を開始する以前に、大当りとなるか否か、大当りとなる場合には大当りの種類、大当りとならない場合には液晶表示装置1400で実行される遊技演出としてリーチ演出を実行するか、を特定し、特定した事前判定情報(大当りとなるか否か、大当りとなる場合には大当りの種類、大当りとならない場合には液晶表示装置1400で実行される遊技演出としてリーチ演出を実行するか、及び始動入賞に応じた特別図柄の保留数)及び特別図柄の種類を示す事前判定コマンドをセットする演出事前判定処理を行う主制御基板4100の主制御MPU4100aと(【0281】、【0288】、【0294】)、
i 前記保留表示領域1500a?1500d,1600a?1600dの表示態様は、大当りの可能性の程度を予告しない通常の保留態様としての「黒丸」と、複数種類の予告態様のうちいずれかの予告態様を表示することを示す「?」が白抜きされた「黒丸」と、予告態様(「星」)とを含み(【0413】、【0414】、【0415】)、
j 前記事前判定コマンドを受信したことに基づいて保留表示領域1500a?1500d、1600a?1600dのうち対応する領域を所定の予告態様で表示制御することにより、大当りとなる可能性の程度を事前に予告する保留予告を実行する周辺制御MPU4140aと(【0348】)、
k 前記周辺制御MPU4140aは(【0413】)、
k1 予告態様ではない通常の保留態様を予告態様に変化させるタイミングとして、新たな始動入賞の発生、変動表示の開始、所定時間の経過等の条件が成立したことを起因としてもよく(【0421】)、
k2 始動入賞に対応する保留表示領域1500cに保留態様として複数種類の予告態様のうちいずれかの予告態様を表示することを示す「?」が白抜きされた「黒丸」を表示し、特別図柄の変動表示を開始することを指示する変動パターンコマンドを受信したことに基づいて装飾図柄1400a?1400cを変動表示するときに保留表示領域1500b,1500cの保留態様を保留表示領域1500a,1500bにそれぞれシフトするとともにキャラクタAを表出し、このキャラクタAによって保留予告の対象となる保留表示領域1500bの「?」が白抜きされた「黒丸」を蹴り飛ばし、その後、キャラクタAの表示を消失させるとともに予告態様(「星」)を保留予告の対象となる保留表示領域1500bに表示する(【0414】、【0415】)
パチンコ機1。」

3 対比・判断
本願発明と引用発明3とを対比する。なお、見出し(a)?(k2)は、本願発明のA?K2に対応させている。

(a)引用発明3のaの「特別図柄表示器641,642に表示された特別図柄の変動表示」及び「パチンコ機1」は、それぞれ、本願発明のAの「可変表示」及び「遊技機」に相当する。
また、引用発明3のaの「アタッカユニット2100の開閉部材2106が、所定のパターンで開閉動作する大当り遊技状態」は、遊技者にとって有利なことは明らかであるから、本願発明のAの「遊技者にとって有利な特定状態」に相当する。
したがって、引用発明3の「a 特別図柄表示器641,642に表示された特別図柄の変動表示が開始された後に、これら特別図柄表示器641,642において、「大当り」を示唆する態様で特別図柄が停止表示されると、アタッカユニット2100の開閉部材2106が、所定のパターンで開閉動作する大当り遊技状態が発生するパチンコ機1」は、本願発明の「A 可変表示を行い、遊技者にとって有利な特定状態に制御可能な遊技機」に相当する。

(b)引用発明3の「b 特別図柄の特別乱数」は、本願発明の「B 可変表示に関する情報」に相当する。
したがって、引用発明3の「b 特別図柄の特別乱数を格納するRAMの特別図柄保留記憶領域」は、本願発明の「B 可変表示に関する情報を保留記憶として記憶可能な保留記憶手段」に相当する。

(c)引用発明3の「c 大当りとなる可能性の程度に応じた複数種類の態様を含む特別図柄の保留数を表示する液晶表示装置1400の保留表示領域1500a?1500d,1600a?1600d」は、本願発明の「C 保留記憶に対応した保留表示を表示する保留表示手段」に相当する。

(d)引用発明3のdの「前記大当りの当落についての抽選処理である当り判定処理を行う主制御基板4100の主制御MPU4100a」は、本願発明の「D 前記特定状態に制御するか否かを決定する決定手段」に相当する機能を有する。

(e)引用発明3の「e 前記当り判定処理の結果を判別して、大当りであれば図柄乱数と図柄決定テーブルとを比較することにより大当りの種類を決定し、該決定した大当りの種類に対応する特別図柄の変動制御停止時の態様として特別図柄の停止図柄を決定し、小当たりであれば特別図柄の変動制御停止時の態様として小当たり図柄に決定する特別図柄停止図柄設定処理を行う主制御基板4100の主制御MPU4100a」は、本願発明の「E 前記決定手段の決定結果にもとづいて、可変表示の表示結果を複数種類の表示結果のうちいずれの表示結果とするかを決定する表示結果決定手段」に相当する機能を有する。

(f)引用発明3において、「f 複数種類の変動パターンテーブルのうち前記特別図柄停止図柄設定処理で決定した大当りの種類、又は小当りに応じたテーブル」「を選択」することは、dの「前記大当りの当落についての抽選処理である当り判定処理」に基づくものといえる。
したがって、引用発明3の「f 複数種類の変動パターンテーブルのうち前記特別図柄停止図柄設定処理で決定した大当りの種類、又は小当りに応じたテーブル」「を選択して、選択した変動パターンテーブルにより変動パターンを決定する変動パターン設定処理を行う主制御基板4100の主制御MPU4100a」は、本願発明の「F 前記決定手段の決定結果にもとづいて、可変表示パターンを複数種類の可変表示パターンのうちいずれの可変表示パターンとするかを決定する可変表示パターン決定手段」に相当する機能を有する。

(g)引用発明3のgの「特別図柄の変動表示制御に要する所定の時間を示す変動時間」は、本願発明のGの「可変表示を開始してから表示結果を導出表示するまでの可変表示時間」に相当する。
また、引用発明3の「f 複数種類の変動パターンテーブルのうち特別図柄停止図柄設定処理で決定した大当りの種類、又は小当りに応じたテーブル」「により変動パターンを決定する変動パターン設定処理」は、eの「特別図柄停止図柄設定処理」で「決定」された「大当りの種類に対応する停止図柄、小当り図柄」により「決定」されるといえる。
したがって、引用発明3の「g 前記変動パターン設定処理で決定された変動パターンに対応して設定されている特別図柄の変動表示制御に要する所定の時間を示す変動時間を変動タイマに設定する主制御基板4100の主制御MPU4100a」は、本願発明の「G 前記表示結果決定手段で決定された可変表示の表示結果と前記可変表示パターン決定手段で決定された可変表示パターンにより、可変表示を開始してから表示結果を導出表示するまでの可変表示時間を特定する可変表示時間特定手段」に相当する機能を有する。

(h)引用発明3の「h 始動入賞に基づく変動表示を開始する以前に、大当りとなるか否か、大当りとなる場合には大当りの種類、大当りとならない場合には液晶表示装置1400で実行される遊技演出としてリーチ演出を実行するか、を特定」「する演出事前判定処理」は、「d 特別図柄変動処理を含む特別図柄プロセス処理において、前記大当りの当落についての抽選処理である当り判定処理を行う」よりも前に行われることは明らかであるから、本願発明の「H 前記決定手段の決定前に、前記特定状態に制御されるか否かを判定する判定手段」に相当する。

(i)引用発明3のiの「大当りの可能性の程度を予告しない通常の保留態様として「黒丸」」、「複数種類の予告態様のうちいずれかの予告態様を表示することを示す「?」が白抜きされた「黒丸」」及び「予告態様(「星」)」は、それぞれ、本願発明の「通常態様」、「特殊態様」及び「特別態様」に相当する。
したがって、引用発明3の「i 前記保留表示領域1500a?1500d,1600a?1600dの表示態様は、大当りの可能性の程度を予告しない通常の保留態様としての「黒丸」と、複数種類の予告態様のうちいずれかの予告態様を表示することを示す「?」が白抜きされた「黒丸」と、予告態様(「星」)とを含」むことは、本願発明の「I 保留表示の表示態様は、通常態様と、通常態様とは異なる態様である特殊態様と、通常態様および特殊態様とは異なる態様である特別態様とを含」むことに相当する。

(j)引用発明3のhの「特定した事前判定情報(大当りとなるか否か、大当りとなる場合には大当りの種類、大当りとならない場合には液晶表示装置1400で実行される遊技演出としてリーチ演出を実行するか、及び始動入賞に応じた特別図柄の保留数)及び特別図柄の種類を示す事前判定コマンド」は「h 始動入賞に基づく変動表示を開始する以前に、大当りとなるか否か、大当りとなる場合には大当りの種類、大当りとならない場合には液晶表示装置1400で実行される遊技演出としてリーチ演出を実行するか、を特定」「する演出事前判定処理」に応じたものといえる。
したがって、引用発明3の「j 前記事前判定コマンドを受信したことに基づいて保留表示領域1500a?1500d、1600a?1600dのうち対応する領域を所定の予告態様で表示制御することにより、大当りとなる可能性の程度を事前に予告する保留予告を実行する周辺制御MPU4140a」は、本願発明の「J 前記判定手段の判定結果に応じて、判定対象となった保留記憶に対応した保留表示を特別態様で表示する保留予告演出を実行可能な演出実行手段」に相当する。

(k1)引用発明3の「k 前記周辺制御MPU4140aは、k1 予告態様ではない通常の保留態様を予告態様に変化させるタイミングとして、新たな始動入賞の発生、変動表示の開始、所定時間の経過等の条件が成立したことを起因としてもよ」いことは、本願発明の「K 前記演出実行手段は、K1 複数のタイミングにおいて保留表示を特別態様に変化させて表示することが可能であ」ることに相当する。

(k2)引用発明3の「k 前記周辺制御MPU4140aは」、「k2 始動入賞に対応する保留表示領域1500cに保留態様として複数種類の予告態様のうちいずれかの予告態様を表示することを示す「?」が白抜きされた「黒丸」を表示し、特別図柄の変動表示を開始することを指示する変動パターンコマンドを受信したことに基づいて装飾図柄1400a?1400cを変動表示するときに保留表示領域1500b,1500cの保留態様を保留表示領域1500a,1500bにそれぞれシフト」し、「その後」、「予告態様(「星」)を保留予告の対象となる保留表示領域1500bに表示する」ことは、本願発明の「K 前記演出実行手段は」、「K2 保留表示が特殊態様で表示されたときは、該保留表示に対応した保留記憶にもとづく可変表示が開始されるまでに該保留表示を特殊態様から特別態様に変化させて表示することが可能であ」ることに相当する。

そうすると、両者は、
「A 可変表示を行い、遊技者にとって有利な特定状態に制御可能な遊技機であって、
B 可変表示に関する情報を保留記憶として記憶可能な保留記憶手段と、
C 保留記憶に対応した保留表示を表示する保留表示手段と、
D 前記特定状態に制御するか否かを決定する決定手段と、
E 前記決定手段の決定結果にもとづいて、可変表示の表示結果を複数種類の表示結果のうちいずれの表示結果とするかを決定する表示結果決定手段と、
F 前記決定手段の決定結果にもとづいて、可変表示パターンを複数種類の可変表示パターンのうちいずれの可変表示パターンとするかを決定する可変表示パターン決定手段と、
G 前記表示結果決定手段で決定された可変表示の表示結果と前記可変表示パターン決定手段で決定された可変表示パターンにより、可変表示を開始してから表示結果を導出表示するまでの可変表示時間を特定する可変表示時間特定手段と、
H 前記決定手段の決定前に、前記特定状態に制御されるか否かを判定する判定手段とを備え、
I 保留表示の表示態様は、通常態様と、通常態様とは異なる態様である特殊態様と、通常態様および特殊態様とは異なる態様である特別態様とを含み、
J 前記判定手段の判定結果に応じて、判定対象となった保留記憶に対応した保留表示を特別態様で表示する保留予告演出を実行可能な演出実行手段をさらに備え、
K 前記演出実行手段は、
K1 複数のタイミングにおいて保留表示を特別態様に変化させて表示することが可能であり、
K2 保留表示が特殊態様で表示されたときは、該保留表示に対応した保留記憶にもとづく可変表示が開始されるまでに該保留表示を特殊態様から特別態様に変化させて表示することが可能である、
遊技機。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点)
本願発明は「L 前記可変表示時間特定手段は、前記可変表示パターン決定手段で決定された可変表示パターンが同一であっても、前記表示結果決定手段で決定された可変表示の表示結果により異なる可変表示時間を特定することが可能である」のに対し、引用発明3はそのようなものではない点。

(相違点について)
上記第2の2(3)(相違点1について)において既に検討したように、上記第2の2(2)イに記載した引用発明2の「変動パターン」及び「変動時間」は、それぞれ、本願発明の「可変表示パターン」及び「可変表示時間」に相当する。
また、引用発明2の「非確変図柄」及び「確変図柄」は、本願発明の「可変表示の表示結果」に相当する。
そうすると、引用発明2は、大当り時変動パターン決定用テーブルが参照されて決定される変動パターンが同一であっても、大当りにする非確変図柄と確変図柄とにより、1次再抽選表示を実行する割合が異なるテーブルで判定されて、基準時間にαの値を加算するか否かで異なる変動時間を特定することが可能であるから、相違点に係る本願発明の構成を備えるといえる。

そして、引用発明3のgの「主制御基板4100の主制御MPU4100a」が「前記変動パターン設定処理で決定された変動パターンに対応して設定されている特別図柄の変動表示制御に要する所定の時間を示す変動時間を変動タイマに設定する」際に、1次再抽選表示を可能にして遊技の興趣を向上するために引用発明2を適用して、大当りにする非確変図柄と確変図柄とにより、1次再抽選表示を実行する割合が異なるテーブルで判定されて、基準時間に1次再抽選表示を実行するときに加算するαの値を加算するか否かで異なる変動時間を特定することを可能として、相違点に係る本願発明の構成に想到することは当業者が容易になし得たものである。

したがって、本願発明は、引用発明3及び引用発明2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-06-15 
結審通知日 2018-06-19 
審決日 2018-07-02 
出願番号 特願2013-218891(P2013-218891)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 藤澤 和浩最首 祐樹  
特許庁審判長 瀬津 太朗
特許庁審判官 藤田 年彦
▲高▼橋 祐介
発明の名称 遊技機  
代理人 塩川 誠人  
代理人 岩壁 冬樹  
代理人 井伊 正幸  
代理人 眞野 修二  

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