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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1343389
審判番号 不服2017-14625  
総通号数 226 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-10-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-10-03 
確定日 2018-08-16 
事件の表示 特願2016-18355号「スロットマシン」拒絶査定不服審判事件〔平成28年5月19日出願公開、特開2016-83524号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯の概要
本願は、平成21年4月2日に出願した特願2009-90334号の一部を平成26年12月24日に新たな特許出願(特願2014-260980号)とし、さらにその一部を平成28年2月2日に新たな特許出願(特願2016-18355号)としたものであって、同年6月24日に手続補正書が提出され、同年9月29日付けで拒絶の理由が通知され、同年12月8日に意見書及び手続補正書が提出され、平成29年1月13日付けで最後の拒絶の理由が通知され、同年3月27日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年6月29日付け(発送日:同年7月11日)で、同年3月27日付け手続補正が却下されるとともに拒絶査定がなされ、それに対して、同年10月3日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。

第2 平成29年10月3日付けの手続補正についての補正却下の決定
平成29年10月3日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1?2を補正する内容を含むものであり、そのうちの請求項1について、平成28年12月8日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1における
「複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を複数備え、
遊技用価値が用いられて所定数の賭数を設定したときに可変表示部が変動表示可能となり、前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、複数の可変表示部の表示結果の組合せに応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
遊技用価値を用いて所定数の賭数が設定されたときに遊技を開始可能とする遊技開始手段と、
小役入賞が発生したときに遊技用価値を付与する遊技用価値付与手段と、
前記小役入賞が発生したときに効果音を出力する特定演出を実行可能な特定演出実行手段と、
を備え、
前記小役入賞は、前記所定数の賭数を設定するのに必要な遊技用価値未満の遊技用価値の付与を伴う特定小役入賞と、前記所定数の賭数を設定するのに必要な遊技用価値を超える遊技用価値の付与を伴う所定小役入賞と、を含み、
前記特定演出実行手段は、前記所定小役入賞が発生したときには前記特定演出を実行する一方で、前記特定小役入賞が発生したときには前記特定演出を実行せず、
前記所定小役入賞となる表示結果の組合せは、同様の識別情報が一直線上に並ぶ表示結果の組合せであり、前記特定小役入賞となる表示結果の組合せは、同様の識別情報が一直線上に並ぶ表示結果の組合せ以外の組合せである、スロットマシン。」は、審判請求時に提出された手続補正書(平成29年10月3日付け)における
「複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を複数備え、
遊技用価値が用いられて所定数の賭数を設定したときに可変表示部が変動表示可能となり、前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、複数の可変表示部の表示結果の組合せに応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
遊技用価値を用いて所定数の賭数が設定されたときにゲームを開始可能とするゲーム開始手段と、
小役入賞が発生したときに遊技用価値を付与する遊技用価値付与手段と、
前記小役入賞が発生したときに効果音を出力する特定演出を実行可能な特定演出実行手段と、
を備え、
前記小役入賞は、前記所定数の賭数を設定するのに必要な遊技用価値未満の遊技用価値の付与を伴う第1特定小役入賞と、前記所定数の賭数を設定するのに必要な遊技用価値未満の遊技用価値の付与を伴う第2特定小役入賞と、前記所定数の賭数を設定するのに必要な遊技用価値を超える遊技用価値の付与を伴う所定小役入賞と、を含み、
同一ゲームにおいて前記第1特定小役入賞の発生を許容する旨と前記第2特定小役入賞の発生を許容する旨の双方が決定されるとともに、
前記第1特定小役入賞の発生を許容する旨と前記第2特定小役入賞の発生を許容する旨の双方が決定されたゲームにおいて、
第1操作態様で操作されたときには、前記第1特定小役入賞を発生させる表示結果の組合せが導出され、前記第2特定小役入賞を発生させる表示結果の組合せが導出されることがなく、
第2操作態様で操作されたときには、前記第2特定小役入賞を発生させる表示結果の組合せが導出され、前記第1特定小役入賞を発生させる表示結果の組合せが導出されることがなく、
前記第1特定小役入賞を発生させる表示結果の組合せと前記第2特定小役入賞を発生させる表示結果の組合せは異なる表示結果の組合せであり、
前記特定演出実行手段は、前記所定小役入賞が発生したときには前記特定演出を実行する一方で、前記第1特定小役入賞が発生したときにも前記第2特定小役入賞が発生したときにも前記特定演出を実行せず、
前記所定小役入賞を発生させる表示結果の組合せは、同様の識別情報が一直線上に並ぶ表示結果の組合せであり、前記第1特定小役入賞を発生させる表示結果の組合せ及び前記第2特定小役入賞を発生させる表示結果の組合せは、同様の識別情報が一直線上に並ぶ表示結果の組合せ以外の表示結果の組合せである、スロットマシン。」に補正された(下線は、補正箇所を明示するために当審にて付した。)。

2 補正の適否
本件補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「小役入賞」について、「特定小役入賞」が含まれるとあったものを、「第1特定小役入賞」と、「前記所定数の賭数を設定するのに必要な遊技用価値未満の遊技用価値の付与を伴う第2特定小役入賞」とが含まれると限定し、これに伴い、
「同一ゲームにおいて前記第1特定小役入賞の発生を許容する旨と前記第2特定小役入賞の発生を許容する旨の双方が決定される」こと、及び、
「前記第1特定小役入賞の発生を許容する旨と前記第2特定小役入賞の発生を許容する旨の双方が決定されたゲームにおいて、第1操作態様で操作されたときには、前記第1特定小役入賞を発生させる表示結果の組合せが導出され、前記第2特定小役入賞を発生させる表示結果の組合せが導出されることがなく、第2操作態様で操作されたときには、前記第2特定小役入賞を発生させる表示結果の組合せが導出され、前記第1特定小役入賞を発生させる表示結果の組合せが導出されることがなく、前記第1特定小役入賞を発生させる表示結果の組合せと前記第2特定小役入賞を発生させる表示結果の組合せは異なる表示結果の組合せであ」ることを加え、
さらに、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「特定演出実行手段」について、「前記特定小役入賞が発生したときには前記特定演出を実行せず」とあったものを、「前記第1特定小役入賞が発生したときにも前記第2特定小役入賞が発生したときにも前記特定演出を実行せず」と限定し、
補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「表示結果の組合せ」について、「前記所定小役入賞となる表示結果の組合せは、同様の識別情報が一直線上に並ぶ表示結果の組合せであり、前記特定小役入賞となる表示結果の組合せは、同様の識別情報が一直線上に並ぶ表示結果の組合せ以外の組合せである」とあったものを「前記所定小役入賞を発生させる表示結果の組合せは、同様の識別情報が一直線上に並ぶ表示結果の組合せであり、前記第1特定小役入賞を発生させる表示結果の組合せ及び前記第2特定小役入賞を発生させる表示結果の組合せは、同様の識別情報が一直線上に並ぶ表示結果の組合せ以外の表示結果の組合せである」と限定することを含むものである。

そして、補正後の請求項1に係る発明は、補正前の請求項1に係る発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正のうち特許請求の範囲の請求項1についてする補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。
また、本件補正は、願書に最初に添付した明細書の【0081】、【0088】、【0104】、特許請求の範囲、又は、【図3】等の記載からみて、新規事項を追加するものではない。

3 独立特許要件
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか、すなわち、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するかについて、以下に検討する。

(1)本件補正発明
本件補正発明は、次のとおりのものであると認める(記号A?Mは、分説するため当審で付した。)。
「A 複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を複数備え、
B 遊技用価値が用いられて所定数の賭数を設定したときに可変表示部が変動表示可能となり、前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、複数の可変表示部の表示結果の組合せに応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
C 遊技用価値を用いて所定数の賭数が設定されたときにゲームを開始可能とするゲーム開始手段と、
D 小役入賞が発生したときに遊技用価値を付与する遊技用価値付与手段と、
E 前記小役入賞が発生したときに効果音を出力する特定演出を実行可能な特定演出実行手段と、
を備え、
F 前記小役入賞は、前記所定数の賭数を設定するのに必要な遊技用価値未満の遊技用価値の付与を伴う第1特定小役入賞と、前記所定数の賭数を設定するのに必要な遊技用価値未満の遊技用価値の付与を伴う第2特定小役入賞と、前記所定数の賭数を設定するのに必要な遊技用価値を超える遊技用価値の付与を伴う所定小役入賞と、を含み、
G 同一ゲームにおいて前記第1特定小役入賞の発生を許容する旨と前記第2特定小役入賞の発生を許容する旨の双方が決定されるとともに、
H 前記第1特定小役入賞の発生を許容する旨と前記第2特定小役入賞の発生を許容する旨の双方が決定されたゲームにおいて、
I 第1操作態様で操作されたときには、前記第1特定小役入賞を発生させる表示結果の組合せが導出され、前記第2特定小役入賞を発生させる表示結果の組合せが導出されることがなく、
J 第2操作態様で操作されたときには、前記第2特定小役入賞を発生させる表示結果の組合せが導出され、前記第1特定小役入賞を発生させる表示結果の組合せが導出されることがなく、
K 前記第1特定小役入賞を発生させる表示結果の組合せと前記第2特定小役入賞を発生させる表示結果の組合せは異なる表示結果の組合せであり、
L 前記特定演出実行手段は、前記所定小役入賞が発生したときには前記特定演出を実行する一方で、前記第1特定小役入賞が発生したときにも前記第2特定小役入賞が発生したときにも前記特定演出を実行せず、
M 前記所定小役入賞を発生させる表示結果の組合せは、同様の識別情報が一直線上に並ぶ表示結果の組合せであり、前記第1特定小役入賞を発生させる表示結果の組合せ及び前記第2特定小役入賞を発生させる表示結果の組合せは、同様の識別情報が一直線上に並ぶ表示結果の組合せ以外の表示結果の組合せである、スロットマシン。」

(2)刊行物1に記載された事項
原査定の拒絶理由において提示された、本願の出願前に頒布された刊行物である国際公開第2007/066647号(以下「刊行物1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線部は当審で付した。以下同様。)。

・記載事項
ア 「[0001]
本発明は、遊技時に乱数値を取得し、その乱数値に基づいて役の抽選が行われる回胴式遊技機に関するものである。」

イ 「発明が解決しようとする課題
[0005]
ところで、一般に、役抽選結果がはずれである場合に対する各回胴リールの停止データと役抽選結果が大役である場合に対する当該回胴リールの停止データとは異なっている。かかる停止データの相違により、遊技者は、三つの回胴リールのうち一つの回胴リールを停止させたときの図柄の停止表示を見ただけで、今回のゲームにおいて大役に当選したかどうかを知ることができることがある。このように、一つの回胴リールを停止させた時点で、役抽選の結果がはずれであることが遊技者に知られてしまうと、まだ停止していない他の回胴リールを停止させて所定の図柄の組合せを有効な入賞ライン上に揃えようという、遊技者のゲームに対する意欲が失われてしまうことになる。このため、役抽選の結果が大役の当選でない場合であっても大役に当選しているかのような状況を生み出して、遊技性の向上を図ることができる回胴式遊技機の実現が望まれている。
[0006]
本発明は上記事情に基づいてなされたものであり、役抽選処理の結果が大役の当選でない場合であっても大役に当選しているかのような状況を生み出して、遊技性の向上を図ることができる回胴式遊技機を提供することを目的とするものである。」

ウ 「[0027]
図1に示すように、回胴式遊技機の中央部のやや上側には、第一回胴リール11a、第二回胴リール11b、第三回胴リール11cが配設されている。各回胴リール11a,11b,11cは、複数の図柄を一列に配した図柄列を有しており、回転可能に構成されている。これらの回胴リール11a,11b,11cは、複数の図柄を変動させる変動表示及びその変動表示を停止させる停止表示が可能な図柄表示手段としての役割を果たすものである。第一回胴リール11aは第一回胴リール駆動手段66aにより駆動され、第二回胴リール11bは第二回胴リール駆動手段66bにより駆動され、そして、第三回胴リール11cは第三回胴リール駆動手段66cにより駆動される。ここで、各回胴リール駆動手段66a,66b,66cとしては、例えばステッピングモータが用いられる。これら回胴リール駆動手段66a,66b,66cの制御は、主制御基板70により行われる。」

エ 「[0033]
MAXベットボタン15及び一枚投入ボタン16は、メダルを賭けてゲーム(遊技)を行う旨を指示するための遊技指示手段であり、表示窓12の左下側に設けられている。MAXベットボタン15は、メダルを三枚賭けてゲームを行うことを選択するボタンであり、また、一枚投入ボタン16は、メダルを一枚、二枚又は三枚賭けてゲームを行うことを選択するボタンである。具体的には、一枚投入ボタン16を一回押すことにより、メダルを一枚賭けてゲームを行うことが選択され、一枚投入ボタン16を二回押すことにより、メダルを二枚賭けてゲームを行うことが選択され、そして、一枚投入ボタン16を三回押すことにより、メダルを三枚賭けてゲームを行うことが選択される。すなわち、一枚投入ボタン16を三回押すことは、MAXベットボタン15を一回押すことと同じである。MAXベットボタン操作検出センサ62はMAXベットボタン15が押されたことを検出するものであり、一枚投入ボタン操作検出センサ63は一枚投入ボタン16が押されたことを検出するものである。各センサ62,63からの検出信号は、主制御基板70に送られる。これにより、主制御基板70は、メダルを何枚賭けてゲームを行うのかを認識することができる。」

オ 「[0038]
本実施形態の回胴式遊技機では、役の種類として、大役と、スイカ小役と、ベル小役と、チェリー小役と、リプレイ役(再遊技役)と、特定役とがある。このうち、スイカ小役、ベル小役、チェリー小役は、小当りである小役と称されるものである。主制御基板70による役の抽選処理によりスイカ小役に当選したときには、遊技者は三つのスイカ図柄を有効な入賞ライン上に揃えることが可能になる。そして、三つのスイカ図柄が有効な入賞ライン上に揃うと、スイカ小役が成立する。また、主制御基板70による役の抽選処理によりベル小役に当選したときには、遊技者は三つのベル図柄を有効な入賞ライン上に揃えることが可能になる。そして、三つのベル図柄が有効な入賞ライン上に揃うと、ベル小役が成立する。更に、主制御基板70による役の抽選処理によりチェリー小役に当選したときには、遊技者は第一回胴リール11aに配されたチェリー図柄を有効な入賞ライン上に停止させることが可能となる。そして、第一回胴リール11aに配されたチェリー図柄が有効な入賞ライン上に停止すると、チェリー小役が成立する。かかる小役が成立したときには、それぞれの小役の種類に応じて所定枚数のメダルが払い出される。」

カ 「[0041]
本実施形態では、役として、大役、小役、リプレイ役の他に、特定役が定義されている。この特定役を成立させるための図柄の組合せは、大役、小役、リプレイ役のいずれかを成立させるための図柄を含んで構成される組合せであって、二種類又は三種類の図柄の組合せにより構成される。ここでは、「BAR図柄・青チェリー図柄・青チェリー図柄」という図柄の組合せを、特定役を成立させるための図柄の組合せとしている。主制御基板70による役の抽選処理により特定役に当選したときには、遊技者は、BAR図柄・青チェリー図柄・青チェリー図柄という図柄の組合せを有効な入賞ライン上に揃えることができるようになる。かかる図柄の組合せが有効な入賞ライン上に揃うと、特定役が成立する。かかる特定役が成立したときには、一枚(最小枚数)のメダルが払い出される。特定役以外の他の役を成立させるための図柄の組合せが一種類の図柄により構成されていることと比べて考えると、この特定役が成立しても、遊技者は、表示窓12を見ただけで特定役が成立したことを直ちに知ることは困難である。このように、特定役については、あえて、その成立図柄の組合せを遊技者が一目で分かりづらい構成にすると共にその成立時のメダルの払出枚数を最小枚数に設定している。実際、特定役は、その特定役の成立を積極的に狙わせてメダル獲得の機会を遊技者に与えるという目的で導入されたものではなく、遊技内容や演出内容に幅を持たせて、遊技性の向上を図るという目的で導入されたものである。この点については、後に詳述する。」

キ 「[0054]
次に、回胴リール11a,11b,11cの駆動・停止処理を説明する。CPU74は、遊技の制御の一つとして、回胴リール11a,11b,11cを駆動及び停止させるリール制御を行う。このCPU74のリール制御には、リールの駆動開始制御、リールの駆動停止制御がある。リールの駆動開始制御とは、所定枚数のメダルが投入されることを条件に、スタートレバー16が押されたときに、三つの回胴リール11a,11b,11cの駆動動作を開始するように制御することをいう。具体的に、CPU74は、投入メダル検出センサ61からメダルが投入された旨の信号が送られて、所定枚数のメダルが投入されたことを認識したこと、又は、MAXベットボタン操作検出センサ62若しくは一枚投入ボタン操作検出センサ63から信号が送られたことを条件として、その後、スタートレバー操作検出センサ64からの信号を受けたときに、三つの回胴リール11a,11b,11cの駆動を開始する。また、リールの駆動停止制御とは、回胴リールが駆動している場合、当該回胴リールに対する停止ボタンが押されたときに、当該回胴リールの駆動を停止するように制御することをいう。具体的に、CPU74は、回胴リールが駆動している場合、当該回胴リールに対する停止ボタンが押され、その停止ボタンに対する停止ボタン操作検出センサから当該停止ボタンが押された旨の信号を受けたときに、当該回胴リールの停止データに基づいて、当該回胴リールの駆動を停止する。」

ク 「[0088]
また、CPU83は、主制御基板70から送られた停止位置コマンドに基づいて、所定の図柄の組合せが有効な入賞ライン上で揃ったかどうかを判断する。CPU83は、所定の図柄の組合せが有効な入賞ライン上に揃って、大役、小役及びリプレイ役のうちいずれかの役が成立したと判断すると、当該役が成立したことを遊技者に報知する報知演出の制御を行う。この報知演出は、主として、電飾表示部40の左サイドLEDユニット42b及び右サイドLEDユニット43bと、スピーカ部50とによって行われる。例えば、ベル小役が成立すると、CPU83は、電飾表示部40を制御して、左サイドLEDユニット42b及び右サイドLEDユニット43bにベル図柄の色と同じ色の光(例えば黄色)を発光させる。一方、CPU83は、BAR図柄・青チェリー図柄・青チェリー図柄という図柄の組合せが有効な入賞ライン上に揃って、特定役が成立したと判断しても、かかる報知演出の制御を行わない。すなわち、CPU83は、特定役が成立したことを遊技者に対して積極的に報知するようなことをしない。これは、特定役が成立した場合に、特定役が成立したことを遊技者に悟られないようにして、特定役が、演出内容に関して大役に当選しているかのような状況を生み出すという役割を十分に果たすことができるようにするためである。」

ケ 「[0095]
こうして、三つの回胴リール11a,11b,11cが停止したときに、所定の図柄の組合せが有効な入賞ライン上に揃い、所定の役が成立すると、当該ゲームが入賞となり、CPU74は、所定数のメダルを払い出す(S9)。ここで、CPU74は、かかるメダルの払い出しを行う場合には、所定の図柄-役-払出テーブルを参照する。この図柄-役-払出テーブルの一例を図13に示す。以上で、図10に示す処理フローが終了するが、その後、CPU74は、再びステップS1から処理を開始する。」

・認定事項
コ [図13]には、「特定役」の払出枚数が「1」であり、「スイカ」の払出枚数が「7」であることが示されている。

上記ア?ケの記載事項、上記コの認定事項、及び、図面の図示内容を総合勘案すると、刊行物1には、次の発明(以下「刊行物発明」という。)が記載されていると認められる(a?mは、本件補正発明のA?Mに対応させて付与した。)。
「a 複数の図柄を一列に配した図柄列を有し、回転可能に構成されている回胴リール11a,11b,11cが配設され([0027])、
b、c CPU74は、リール制御により、所定枚数のメダルが投入されることを条件に、スタートレバー16が押されたときに、回胴リール11a,11b,11cの駆動動作を開始し、回胴リールが駆動している場合、当該回胴リールに対する停止ボタンが押されたときに、当該回胴リールの駆動を停止し([0054])、
回胴リール11a,11b,11cが停止したときに、所定の図柄の組合せが有効な入賞ライン上に揃い、所定の役が成立すると、当該ゲームが入賞となる([0095])
回胴式遊技機([0001])において、
d CPU74は、小役、又は、特定役が成立したときには、役の種類に応じて所定枚数のメダルを払い出し([0038]、[0095])、
e CPU83は、小役が成立したと判断すると、電飾表示部40とスピーカ部50とによって行われる報知演出の制御を行い、当該役が成立したことを遊技者に報知し([0088])、
f 選択により、メダルを一枚、二枚、若しくは、三枚賭けてゲームを行い([0033])、
CPU74は、特定役が成立すると、1枚のメダルを払い出し、スイカ小役が成立すると、7枚のメダルを払い出し([0095]、認定事項コ)、
l CPU83は、
三つのスイカ図柄が有効な入賞ライン上に揃って、スイカ小役が成立したと判断すると、当該役が成立したことを遊技者に報知する報知演出の制御を行うが([0038]、[0088])、
BAR図柄・青チェリー図柄・青チェリー図柄という図柄の組合せが有効な入賞ライン上に揃って、特定役が成立したと判断しても、報知演出の制御を行わず([0088])、
m 三つのスイカ図柄が有効な入賞ライン上に揃うと、スイカ小役が成立し([0038])、BAR図柄・青チェリー図柄・青チェリー図柄という図柄の組合せが有効な入賞ライン上に揃うと、特定役が成立する([0041])、
回胴式遊技機。」

(3)刊行物2に記載された事項
本願の出願前に頒布された刊行物である特開2007-267909号公報(以下「刊行物2」という。)には、図面と共に、第2実施形態を中心に次の事項が記載されている。

・記載事項
ア 「【0001】
本発明は、スロットマシン(パチスロ)に代表される遊技台に関する。」
・・・
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の遊技機は、BBゲーム中に内部当選したRBを、入賞するまで内部当選の状態を保持するといった技術により単調さを解消するように構成しているが、遊技者からは、更に別の観点により遊技が単調になることを解消でき、新規性の高い遊技性を備えた遊技機の開発が望まれていた。
【0007】
本発明は上記の事情を鑑みてなされたものであり、新規性の高い遊技性を備え、遊技者に期待感を持って遊技を進行させることができる遊技台を提供することを目的とする。」

イ 「【0019】
メダル投入ボタン130及び131は、スロットマシン100に電子的に貯留されているメダルを所定の枚数分投入するためのボタンである。本実施形態においては、メダル投入ボタン130(マックスベットボタンともいう)が押下されると3枚投入され、メダル投入ボタン131(ワンベットボタンともいう)が押下される毎に1枚ずつ最大3枚まで投入されるようになっている。メダル投入ブロック134は、遊技を開始するに当たって遊技者がメダルを投入するためのメダル投入口を形成するブロックである。すなわち、メダルの投入は、メダル投入ボタン130又は131により電子的に投入することもできるし、メダル投入ブロック134のメダル投入口から実際のメダルを投入することもできる。」

ウ 「【0040】
<入賞役>
図5は、第1実施形態の入賞に関する配当表を示している。同図に示すように、入賞役としては、RB、赤7の小役、赤チェリーの小役、青チェリーの小役、黒チェリーの小役、ベルの小役、スイカの小役、リプレイがある。ここで、レギュラーボーナス(RB)はボーナスゲームに移行する図柄として、また、リプレイは新たにメダルを投入することなく再遊技が可能となる図柄として、それぞれ入賞役とは区別され「作動役」と呼ばれる場合があるが、本実施形態における「入賞役」には、RB、再遊技が含まれ、本実施形態における「入賞」には、RB、再遊技ヘの入賞が含まれる。さらに赤7の小役、赤チェリーの小役、青チェリーの小役、および黒チェリーの小役が入賞役の場合には、それぞれRT1、RT2、RT3、およびRT4遊技状態が作動するように構成しているため、役および入賞役にRT1、RT2、RT3、およびRT4を含むものとする。また、本実施形態においては、後述するように、一般遊技状態、RB内部当選状態、RB遊技状態、RT1遊技状態、RT2遊技状態、RT3遊技状態、RT4遊技状態、RT5遊技状態の8つの遊技状態があり、各遊技状態において、上述した入賞役が備えられている(RBは、RB内部当選状態及びRB遊技状態には存在しない)
例えば、具体的には、一般遊技状態において、黒BAR-黒BAR-黒BARの図柄組合せが、入賞ライン114のいずれかに揃うと、RBに入賞し、次遊技からレギュラーボーナス(RB)ゲームが開始される。また、赤7-赤7-赤7の図柄組合せが、入賞ライン114のいずれかに揃うと、赤7の小役に入賞し、15枚のメダルが払い出される。また、赤チェリー-ANY-ANY、青チェリー-ANY-ANY、黒チェリー-ANY-ANYの図柄組合せが入賞ライン114のいずれかに揃うと、それぞれ、赤チェリーの小役、青チェリーの小役、黒チェリーの小役に入賞し、メダルが1枚払い出される。例えば、赤チェリー-ベル-スイカをいずれかの入賞ライン114に沿って停止表示した場合に、すなわち複数のリールのうち1つのリールが赤チェリーの小役に対応する図柄の組合せを構成する一図柄(ここでは赤チェリー)を入賞ライン114に沿って停止表示していることから赤チェリーの小役を入賞役として決定する。このように本実施形態のチェリーの小役は、3つの異なる図柄組合せを備えている。なお、ANYはどの図柄でもよいことを示している。例えば、メダルが3枚投入され、前述のとおり5本の入賞ライン114が有効となっている遊技で、赤チェリーが左リール110の上段に停止表示され、中リール111および右リール112に何らかの図柄が停止表示しているとすると、右下り入賞ライン114および上段水平入賞ライン114に沿った位置に赤チェリー-ANY-ANYの図柄の組合せを停止表示していることから2枚のメダルが払い出されることとなる。
【0041】
また、ベル-ベル-ベル、赤7-ベル-ベル、黒BAR-ベルーベル、又は青7-ベル-ベルの図柄組合せが入賞ライン114のいずれかに揃うと、ベルの小役に入賞し、15枚のメダルが払い出される。また、スイカ-スイカ-スイカの図柄組合せが入賞ライン114のいずれかに揃うと、スイカの小役に入賞し、10枚のメダルが払い出される。リプレイ-リプレイ-リプレイの図柄組合せが入賞ライン114のいずれかに揃うと、リプレイの入賞となり、次回の遊技がメダルの投入なしで行うことができる。」

エ 「【0091】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態では、チェリーの小役をグループ役として構成している点が第1実施形態と異なっている。グループ役とは、同時に複数の役に当選する役を意味し、本実施形態では、グループ役1を赤チェリーの小役と青チェリーの小役に当選する役、グループ役2を青チェリーの小役と黒チェリーの小役に当選する役、グループ役3を黒チェリーの小役と赤チェリーの小役に当選する役として定義する。以下においては、チェリーの小役をグループ役とする点に起因して、第1実施形態と異なる構成及び機能のみ説明し、その他の構成及び機能については、説明を省略する。
【0092】
図16は、本実施形態における当選役抽選テーブルTA10-2の一例を示す図である。なお、図16に示すテーブルは、図9に示すテーブルの形態と同一の構成による。本実施形態では、図16に示すように、グループ役1、グループ役2、グループ役3に割り当てられた乱数範囲は同一に設定されているため、それぞれのグループ役に当選する確率は同一となっている。例えば、一般遊技状態において取得した乱数が5000の場合、グループ役1が当選となる乱数値の範囲は2184以上5460以下であるのでグループ役1が当選となり、すなわち、当選役は赤チェリーと青チェリーとなる。この遊技において遊技者が左リール110の中段の水平入賞ライン114を図柄番号1?7のいずれかの図柄が通過しているタイミングで左ストップボタン137を操作すると、赤チェリーが左リール110の上段、中段、または下段のいずれかに停止し、左リール110の中段の水平入賞ライン114を図柄番号8?14のいずれかの図柄が通過しているタイミングで左ストップボタン137を操作すると、青チェリーが左リール110の上段、中段、または下段のいずれかに停止する。この場合は中ストップボタン138および右ストップボタン139をどのようなタイミングで操作しても赤チェリーまたは青チェリーが入賞役となる。しかし左リール110の中段の水平入賞ライン114を図柄番号15?21のいずれかの図柄が通過しているタイミングで左ストップボタン137を操作すると、赤チェリー、青チェリーおよび黒チェリーは停止せず、その後、中ストップボタン138および右ストップボタン139をどのようなタイミングで操作しても入賞役はハズレとなる。同様に、RB内部当選状態において取得した乱数が9000の場合、グループ役3が当選となる乱数値の範囲は8520以上11796以下であるのでグループ役3が当選となり、すなわち、当選役は黒チェリーと赤チェリーとなる。この遊技において遊技者が左リール110の中段の水平入賞ライン114を図柄番号1?7のいずれかの図柄が通過しているタイミングで左ストップボタン137を操作すると、赤チェリーが左リール110の上段、中段、または下段のいずれかに停止し、左リール110の中段の水平入賞ラインを図柄番号15?21のいずれかの図柄が通過しているタイミングで左ストップボタン137を操作すると、黒チェリーが左リール110の上段、中段、または下段のいずれかに停止する。この場合は中ストップボタン138および右ストップボタン139をどのようなタイミングで操作しても赤チェリーまたは黒チェリーが入賞役となる。しかし左リール110の中段の水平入賞ラインを図柄番号8?14のいずれかの図柄が通過しているタイミングで左ストップボタン137を操作すると、赤チェリー、青チェリーおよび黒チェリーは停止せず、その後中ストップボタン138および右ストップボタン139をどのようなタイミングで操作しても入賞役はハズレとなる。なお、本実施形態では、赤チェリーの小役、青チェリーの小役、黒チェリーの小役のすべてが、重複役(他の入賞役の乱数範囲が少なくとも一部重複する)となっているが、3つのチェリーの小役のうち、2つのチェリーの小役を重複役、残りの1つのチェリーの小役を単一役(他の入賞役の乱数範囲と重複しない)としてもよい。例えば、赤チェリーの小役と青チェリーの小役に当選するグループ役と、黒チェリーの小役という役構成としてもよい。」

・認定事項
オ 【図4】には、「中リール111」、「右リール112」の図柄配列に「赤チェリー」、「青チェリー」の図柄を含まないことが図示されている。

上記ア?エの記載事項、及び、上記オの認定事項を総合勘案すると、刊行物2には、次の発明(以下「刊行物2発明」という。)が記載されていると認められる(f?mは、本件補正発明のF?Mに対応させて付与した。)。
「f 遊技を開始するに当たって、メダルを1枚から3枚投入可能とし、
入賞役に、入賞により1枚のメダルが払い出される赤チェリーの小役、入賞により1枚のメダルが払い出される青チェリーの小役、入賞により10枚のメダルが払い出されるスイカの小役を含み(【0019】、【0040】)、
g 当選役に赤チェリーの小役と青チェリーの小役に同時に当選するグループ役1を設け(【0091】)、
h?j グループ役1が当選となる遊技において、遊技者が左リール110の中段の水平入賞ライン114を図柄番号1?7のいずれかの図柄が通過しているタイミングで左ストップボタン137を操作すると、赤チェリーが左リール110の上段、中段、または下段のいずれかに停止し、左リール110の中段の水平入賞ライン114を図柄番号8?14のいずれかの図柄が通過しているタイミングで左ストップボタン137を操作すると、青チェリーが左リール110の上段、中段、または下段のいずれかに停止し(【0092】)、
k 「中リール111」、「右リール112」の図柄配列に「赤チェリー」、「青チェリー」の図柄を含まず、赤チェリー-ANY-ANYの図柄組合せが入賞ライン114のいずれかに揃うと、赤チェリーの小役に入賞し、青チェリー-ANY-ANYの図柄組合せが入賞ライン114のいずれかに揃うと、青チェリーの小役に入賞し(【0040】、認定事項オ)、
m スイカ-スイカ-スイカの図柄組合せが入賞ライン114のいずれかに揃うと、スイカの小役に入賞する(【0041】)
スロットマシン(【0001】)。」

(4)対比
本件補正発明と刊行物発明とを対比する(対比にあたっては、本件補正発明の構成A?Mと刊行物発明の構成a?mについて、それぞれ(a)?(m)の見出しを付して行った。)。
(a)刊行物発明における「複数の図柄」、「回転可能」なこと、「回胴リール11a,11b,11c」は、それぞれ、本件補正発明における「複数種類の識別情報」、「変動表示可能」なこと、「複数」の「可変表示部」に相当する。
したがって、刊行物発明における構成aは、本件補正発明における構成Aに相当する。

(b)刊行物発明における「所定枚数のメダルが投入される」ときは、本件補正発明における「遊技用価値が用いられて所定数の賭数を設定したとき」に相当する。
そして、刊行物発明における「回胴リール11a,11b,11cの駆動動作を開始し、回胴リールが駆動」することは、本件補正発明における
「可変表示部が変動表示可能となり、可変表示部を変動表示」することに相当する。
また、刊行物発明における「当該回胴リールに対する停止ボタンが押されたときに、当該回胴リールの駆動を停止」すること、「回胴リール11a,11b,11cが停止したときに、所定の図柄の組合せが有効な入賞ライン上に揃い、所定の役が成立する」ことは、それぞれ、本件補正発明における「可変表示部の変動表示を停止する」こと、「表示結果を導出し、複数の可変表示部の表示結果の組合せに応じて入賞が発生」することに相当する。
したがって、刊行物発明における構成b、cの「CPU74は、リール制御により、所定枚数のメダルが投入されることを条件に、スタートレバー16が押されたときに、回胴リール11a,11b,11cの駆動動作を開始し、回胴リールが駆動している場合、当該回胴リールに対する停止ボタンが押されたときに、当該回胴リールの駆動を停止し、回胴リール11a,11b,11cが停止したときに、所定の図柄の組合せが有効な入賞ライン上に揃い、所定の役が成立すると、当該ゲームが入賞となる回胴式遊技機」は、本件補正発明における構成Bの「遊技用価値が用いられて所定数の賭数を設定したときに可変表示部が変動表示可能となり、可変表示部を変動表示した後、可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、複数の可変表示部の表示結果の組合せに応じて入賞が発生可能なスロットマシン」に相当する。

(c)刊行物発明における「スタートレバー16が押されたときに、回胴リール11a,11b,11cの駆動動作を開始」することは、本件補正発明における「ゲームを開始」することに相当する。
したがって、刊行物発明における構成b、cの「CPU74」は、本件補正発明における構成Cの「ゲーム開始手段」としての機能を有する。

(d)本件補正発明における「小役入賞」には、構成Fによると「特定小役入賞」が含まれるものである。
したがって、刊行物発明における「小役、又は、特定役が成立したとき」は、本件補正発明における「小役入賞が発生したとき」に相当する。
そして、刊行物発明における「役の種類に応じて所定枚数のメダルが払い出され」ることは、本件補正発明における「遊技用価値を付与する」ことに相当する。
よって、刊行物発明における構成dの「CPU74」は、本件補正発明における構成Dの「遊技用価値付与手段」としての機能を有する。

(e)上記(d)より、刊行物発明における「小役が成立したと判断する」ときは、本件補正発明における「小役入賞が発生したとき」に含まれるものである。
そして、刊行物発明における「電飾表示部40とスピーカ部50とによって行われる報知演出」は、本件補正発明における「効果音を出力する特定演出」に相当する。
したがって、刊行物発明における構成eの「CPU83」は、本件補正発明における構成Eの「特定演出実行手段」としての機能を有する。

(f)刊行物発明における「1枚のメダルを払い出」すことは、賭数を三枚とした場合、賭数未満のメダルを払い出すことであるから、本件補正発明における「所定数の賭数を設定するのに必要な遊技用価値未満の遊技用価値の付与を伴う」ことに相当する。
そして、刊行物発明における「特定役」と、本件補正発明における「第1特定小役入賞」、及び、「第2特定小役入賞」とは、「特定小役入賞」である点で共通する。
また、刊行物発明において、「7枚のメダルを払い出」すことは、賭数を三枚とした場合、賭数を超えるメダルを払い出すことであるから、本件補正発明における「所定数の賭数を設定するのに必要な遊技用価値を超える遊技用価値の付与を伴う」ことに相当する。
さらに、刊行物発明における「スイカ小役」は、本件補正発明における「所定小役入賞」に相当する。
したがって、刊行物発明における構成fの「選択により、メダルを一枚、二枚、若しくは、三枚賭けてゲームを行い、CPU74は、特定役が成立すると、1枚のメダルを払い出し、スイカ小役が成立すると、7枚のメダルを払い出」すことと、本件補正発明における「小役入賞は、所定数の賭数を設定するのに必要な遊技用価値未満の遊技用価値の付与を伴う第1特定小役入賞と、所定数の賭数を設定するのに必要な遊技用価値未満の遊技用価値の付与を伴う第2特定小役入賞と、所定数の賭数を設定するのに必要な遊技用価値を超える遊技用価値の付与を伴う所定小役入賞と、を含」むこととは、「小役入賞は、所定数の賭数を設定するのに必要な遊技用価値未満の遊技用価値の付与を伴う特定小役入賞と、所定数の賭数を設定するのに必要な遊技用価値を超える遊技用価値の付与を伴う所定小役入賞と、を含」むことで共通する。

(l)上記(f)より、刊行物発明における「スイカ小役」は、本件補正発明における「所定小役入賞」に相当する。
そうすると、上記(e)より、刊行物発明における構成lの「三つのスイカ図柄が有効な入賞ライン上に揃って、スイカ小役が成立したと判断すると、当該役が成立したことを遊技者に報知する報知演出の制御を行う」「CPU83」は、本件補正発明における「所定小役入賞が発生したときには特定演出を実行する」「特定演出実行手段」としての機能を有する。

また、上記(f)より、刊行物発明における「特定役」と、本件補正発明における「第1特定小役入賞」、及び、「第2特定小役入賞」とは、「特定小役入賞」である点で共通する。
そうすると、上記(e)より、刊行物発明における構成lの「BAR図柄・青チェリー図柄・青チェリー図柄という図柄の組合せが有効な入賞ライン上に揃って、特定役が成立したと判断しても、報知演出の制御を行わ」ない「CPU83」と、本件補正発明における「第1特定小役入賞が発生したときにも第2特定小役入賞が発生したときにも特定演出を実行」しない「特定演出実行手段」とは、「特定小役入賞が発生したときに特定演出を実行しない特定演出実行手段」である点で共通する。

したがって、刊行物発明における構成lと、本件補正発明における構成Lとは、「特定演出実行手段は、所定小役入賞が発生したときには特定演出を実行する一方で、特定小役入賞が発生したときには特定演出を実行」しない点で共通する。

(m)刊行物発明において、「スイカ小役」は、「三つのスイカ図柄が有効な入賞ライン上に揃う」と「成立」することから、「三つのスイカ図柄」は、本件補正発明における「所定小役入賞を発生させる表示結果の組合せ」、及び、「同様の識別情報が一直線上に並ぶ表示結果の組合せ」に相当する。
そして、刊行物発明における「BAR図柄・青チェリー図柄・青チェリー図柄という図柄の組合せが有効な入賞ライン上に揃うと、特定役が成立する」ことと、本件補正発明における「第1特定小役入賞を発生させる表示結果の組合せ及び第2特定小役入賞を発生させる表示結果の組合せは、同様の識別情報が一直線上に並ぶ表示結果の組合せ以外の表示結果の組合せである」こととは、「特定小役入賞を発生させる表示結果の組合せは、同様の識別情報が一直線上に並ぶ表示結果の組合せ以外の表示結果の組合せである」ことで共通する。
したがって、刊行物発明における構成mと、本件補正発明における構成Mとは、「所定小役入賞を発生させる表示結果の組合せは、同様の識別情報が一直線上に並ぶ表示結果の組合せであり、特定小役入賞を発生させる表示結果の組合せは、同様の識別情報が一直線上に並ぶ表示結果の組合せ以外の表示結果の組合せである」ことで共通する。

よって、両者の一致点および相違点は、次のとおりである。
[一致点]
「A 複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を複数備え、
B 遊技用価値が用いられて所定数の賭数を設定したときに可変表示部が変動表示可能となり、前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、複数の可変表示部の表示結果の組合せに応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
C 遊技用価値を用いて所定数の賭数が設定されたときにゲームを開始可能とするゲーム開始手段と、
D 小役入賞が発生したときに遊技用価値を付与する遊技用価値付与手段と、
E 前記小役入賞が発生したときに効果音を出力する特定演出を実行可能な特定演出実行手段と、
を備え、
F’前記小役入賞は、前記所定数の賭数を設定するのに必要な遊技用価値未満の遊技用価値の付与を伴う特定小役入賞と、前記所定数の賭数を設定するのに必要な遊技用価値を超える遊技用価値の付与を伴う所定小役入賞と、を含み、
L’前記特定演出実行手段は、前記所定小役入賞が発生したときには前記特定演出を実行する一方で、前記特定小役入賞が発生したときには前記特定演出を実行せず、
M’前記所定小役入賞を発生させる表示結果の組合せは、同様の識別情報が一直線上に並ぶ表示結果の組合せであり、前記特定小役入賞を発生させる表示結果の組合せは、同様の識別情報が一直線上に並ぶ表示結果の組合せ以外の表示結果の組合せである、スロットマシン。」

[相違点1](構成F?K)
所定数の賭数を設定するのに必要な遊技用価値未満の遊技用価値の付与を伴う特定小役入賞に関して、
本件補正発明は、第1特定小役入賞と、第2特定小役入賞とを含み(構成F)、同一ゲームにおいて前記第1特定小役入賞の発生を許容する旨と前記第2特定小役入賞の発生を許容する旨の双方が決定されるとともに(構成G)、前記第1特定小役入賞の発生を許容する旨と前記第2特定小役入賞の発生を許容する旨の双方が決定されたゲームにおいて(構成H)、第1操作態様で操作されたときには、前記第1特定小役入賞を発生させる表示結果の組合せが導出され、前記第2特定小役入賞を発生させる表示結果の組合せが導出されることがなく(構成I)、第2操作態様で操作されたときには、前記第2特定小役入賞を発生させる表示結果の組合せが導出され、前記第1特定小役入賞を発生させる表示結果の組合せが導出されることがなく(構成J)、前記第1特定小役入賞を発生させる表示結果の組合せと前記第2特定小役入賞を発生させる表示結果の組合せは異なる表示結果の組合せである(構成K)のに対して、
刊行物発明は、特定役(「特定小役」)が1つのみしか設定されていないため、本件補正発明の構成F?Kを備えない点。

[相違点2](構成L)
特定小役入賞が発生したときに特定演出を実行しない特定演出実行手段に関して、
本件補正発明は、第1特定小役入賞が発生したときにも第2特定小役入賞が発生したときにも特定演出を実行しない(構成L)のに対して、
刊行物発明は、特定役(「特定小役」)が1つのみしか設定されていないため、本件補正発明の構成Lを備えない点。

[相違点3](構成M)
本件補正発明は、第1特定小役入賞を発生させる表示結果の組合せ及び第2特定小役入賞を発生させる表示結果の組合せは、同様の識別情報が一直線上に並ぶ表示結果の組合せ以外の表示結果の組合せである(構成M)のに対して、
刊行物発明は、特定役(「特定小役」)が1つのみしか設定されていないため、本件補正発明の構成Mを備えない点。

(5)当審の判断
上記相違点1?3は、特定小役入賞に関連する事項であるので、まとめて検討する。

ア 本件補正発明と刊行物2発明との対比
まず、本件補正発明と刊行物2発明とを対比する。
刊行物2発明の構成fは、「遊技を開始するに当たって、メダルを1枚から3枚投入可能」であり、メダルを2枚、又は、3枚投入した場合には、刊行物2発明における構成fの「1枚のメダルが払い出される赤チェリーの小役」への「入賞」、「1枚のメダルが払い出される青チェリーの小役」への「入賞」、「10枚のメダルが払い出されるスイカの小役」への「入賞」は、それぞれ、本件補正発明における構成Fの「所定数の賭数を設定するのに必要な遊技用価値未満の遊技用価値の付与を伴う第1特定小役入賞」、「所定数の賭数を設定するのに必要な遊技用価値未満の遊技用価値の付与を伴う第2特定小役入賞」、「所定数の賭数を設定するのに必要な遊技用価値を超える遊技用価値の付与を伴う所定小役入賞」に相当する。
したがって、刊行物2発明における構成fは、本件補正発明における構成Fに相当する。

そして、刊行物2発明における構成gの「赤チェリーの小役と青チェリーの小役に同時に当選するグループ役1」に「当選」することは、本件補正発明における構成Gの「同一ゲームにおいて前記第1特定小役入賞の発生を許容する旨と前記第2特定小役入賞の発生を許容する旨の双方が決定される」ことに相当する。

また、刊行物2発明における構成h?jの
「グループ役1が当選となる遊技」、
「遊技者が左リール110の中段の水平入賞ライン114を図柄番号1?7のいずれかの図柄が通過しているタイミングで左ストップボタン137を操作する」とき、
「赤チェリーが左リール110の上段、中段、または下段のいずれかに停止」すること、
「左リール110の中段の水平入賞ライン114を図柄番号8?14のいずれかの図柄が通過しているタイミングで左ストップボタン137を操作する」とき、
「青チェリーが左リール110の上段、中段、または下段のいずれかに停止」することは、それぞれ、本件補正発明における構成H?Jの
「第1特定小役入賞の発生を許容する旨と前記第2特定小役入賞の発生を許容する旨の双方が決定されたゲーム」、
「第1操作態様で操作されたとき」、
「第1特定小役入賞を発生させる表示結果の組合せが導出され、第2特定小役入賞を発生させる表示結果の組合せが導出されることがな」いこと、
「第2操作態様で操作されたとき」、
「前記第2特定小役入賞を発生させる表示結果の組合せが導出され、前記第1特定小役入賞を発生させる表示結果の組合せが導出されることがな」いことに相当する。
したがって、刊行物2発明における構成h?jは、本件補正発明における構成H?Jに相当する。

また、刊行物2発明における構成kより、赤チェリーの小役に入賞する図柄組合せ「赤チェリー-ANY-ANY」と、青チェリーの小役に入賞する図柄組合せ「青チェリー-ANY-ANY」とは、異なる図柄の組合せである。
したがって、刊行物2発明は、本件補正発明における構成Kの「第1特定小役入賞を発生させる表示結果の組合せと第2特定小役入賞を発生させる表示結果の組合せは異なる表示結果の組合せであ」ることに相当する構成を備える。

また、刊行物2発明における構成mの「スイカの小役」は、「入賞ライン114のいずれかに揃う」と「入賞」することから、「スイカ-スイカ-スイカの図柄組合せ」は、本件補正発明における構成Mの「所定小役入賞を発生させる表示結果の組合せ」、及び、「同様の識別情報が一直線上に並ぶ表示結果の組合せ」に相当する。

さらに、刊行物2発明は、「中リール111」、「右リール112」の図柄配列に「赤チェリー」、「青チェリー」の図柄を含まないものであるから、刊行物2発明における構成kの「入賞ライン114のいずれかに揃うと、赤チェリーの小役に入賞」する「赤チェリー-ANY-ANYの図柄組合せ」、及び、「入賞ライン114のいずれかに揃うと、青チェリーの小役に入賞」する「青チェリー-ANY-ANYの図柄組合せ」は、本件補正発明における構成Mの「第1特定小役入賞を発生させる表示結果の組合せ」、及び、「第2特定小役入賞を発生させる」「同様の識別情報が一直線上に並ぶ表示結果の組合せ以外の表示結果の組合せ」に相当する。
したがって、刊行物2発明における構成k、mは、本件補正発明における構成Mに相当する。

よって、刊行物2発明は、本件補正発明における構成F?K、Mを備えるものである。

イ 刊行物2発明の刊行物発明への適用
刊行物発明と刊行物2発明とは、所定数の賭数を設定するのに必要な遊技用価値未満の遊技用価値の付与を伴う特定小役入賞と、所定数の賭数を設定するのに必要な遊技用価値を超える遊技用価値の付与を伴う所定小役入賞とを小役入賞として含む回胴式遊技機(スロットマシン)である点で共通する。
そして、刊行物発明も、刊行物2発明も共に、遊技者の興趣を向上させるという共通の課題を解決するものである。

したがって、刊行物発明における特定小役入賞に刊行物2発明を適用して、特定小役入賞に第1特定小役入賞と第2特定小役入賞とを設け、さらに、第1特定小役入賞と第2特定小役入賞とを備えることを前提とする本件補正発明の構成G、H?J、K、Mを備え、さらに、第1特定小役入賞が発生したときにも、第2特定小役入賞が発生したときにも、電飾表示部40とスピーカ部50とによって行われる報知演出の制御を行わないようにし(構成L)、上記相違点1?3に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。

ウ 請求人の主張について
請求人は、平成29年10月3日付け審判請求書の「(4)本願発明と引用発明の対比」において、刊行物発明が、本件補正により追加された構成F?K、Mを備えない旨、主張する。
しかしながら、本件補正発明に係る構成F?K、Mは、上記アにおいて検討したように、当審により今回新たに提示する刊行物2に記載された発明が備える構成である。
したがって、請求人の上記主張を採用することはできない。

エ 小括
本件補正発明により奏される効果は、刊行物発明、及び、刊行物2発明から当業者が予測できる効果の範囲内のものであり、格別なものではない。
そうすると、上記ア?ウにおいて検討したとおり、本件補正発明は、刊行物発明、及び、刊行物2発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものである。

(6)まとめ
上記(1)?(5)より、本件補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たさないものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されることとなったので、本願の請求項1に係る発明は、平成28年12月8日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載されたと発明(以下「本願発明」という。記号A?M’は、分説するため当審で付した。)は、次のとおりのものと認める。
「A 複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を複数備え、
B 遊技用価値が用いられて所定数の賭数を設定したときに可変表示部が変動表示可能となり、前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、複数の可変表示部の表示結果の組合せに応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
C 遊技用価値を用いて所定数の賭数が設定されたときに遊技を開始可能とする遊技開始手段と、
D 小役入賞が発生したときに遊技用価値を付与する遊技用価値付与手段と、
E 前記小役入賞が発生したときに効果音を出力する特定演出を実行可能な特定演出実行手段と、
を備え、
F’前記小役入賞は、前記所定数の賭数を設定するのに必要な遊技用価値未満の遊技用価値の付与を伴う特定小役入賞と、前記所定数の賭数を設定するのに必要な遊技用価値を超える遊技用価値の付与を伴う所定小役入賞と、を含み、
L’前記特定演出実行手段は、前記所定小役入賞が発生したときには前記特定演出を実行する一方で、前記特定小役入賞が発生したときには前記特定演出を実行せず、
M’前記所定小役入賞となる表示結果の組合せは、同様の識別情報が一直線上に並ぶ表示結果の組合せであり、前記特定小役入賞となる表示結果の組合せは、同様の識別情報が一直線上に並ぶ表示結果の組合せ以外の組合せである、スロットマシン。」

2 拒絶の理由(平成29年4月12日付け)
原査定の拒絶の理由は、
「1.(新規性)この出願の下記の請求項1?2に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

2.(進歩性)この出願の下記の請求項1?2に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

3.(同日出願)この出願の下記の請求項に係る発明は、同一出願人が同日出願した下記2の出願に係る発明と同一と認められるから、この通知書と同日に発送した特許庁長官名による指令書に記載した届出がないときは、特許法第39条第2項の規定により特許を受けることができない。」というものである。

<引用文献等一覧>
1.国際公開第2007/066647号(新たに引用された文献)
2.特願2016-073903号(特開2016-120347号)」

3 引用文献に記載された事項
原査定の拒絶の理由において、新規性について、引用された引用文献1(前記「第2 3(2)」における「刊行物1」に対応する。)の記載事項及び刊行物発明の認定については、前記「第2 3(2)刊行物1」に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、前記「第2 3(1)」で検討した本件補正発明の構成G?Kを削除することに加え、構成F、L、Mの限定を省き、構成F’、L’、M’とするものである。
そして、前記「第2 3(4)」で検討した内容からみて、刊行物発明における構成f、l?mは、本願発明の構成F’、L’、M’に相当する。
したがって、本願発明は、刊行物発明に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、本願発明は、特許を受けることができない。

5 むすび
上記1、3?4より、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものである。
したがって、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-06-12 
結審通知日 2018-06-19 
審決日 2018-07-02 
出願番号 特願2016-18355(P2016-18355)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岡崎 彦哉  
特許庁審判長 瀬津 太朗
特許庁審判官 倉持 俊輔
長崎 洋一
発明の名称 スロットマシン  
代理人 溝渕 良一  
代理人 大久保 岳彦  
代理人 重信 和男  
代理人 石川 好文  
代理人 林 修身  
代理人 堅田 多恵子  

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