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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F |
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管理番号 | 1343431 |
審判番号 | 不服2017-16482 |
総通号数 | 226 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2018-10-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-11-06 |
確定日 | 2018-09-18 |
事件の表示 | 特願2016-559489「タッチ表示装置およびその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 7月 2日国際公開、WO2015/096764、平成29年 2月 9日国内公表、特表2017-504918、請求項の数(11)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成26年12月25日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2013年12月27日、中国)を国際出願日とする出願であって、平成29年3月9日付けで拒絶理由通知がされ、同年6月14日付けで手続補正がされ、同年6月29日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、同年11月6日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に、手続補正がされたものである。 第2 原査定の概要 原査定(平成29年6月29日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 ・請求項 1-11 ・引用文献等 1-3 <引用文献等一覧> 1.特開2012-208263号公報 2.特開2013-20530号公報 3.特開2013-15989号公報 第3 本願発明 本願請求項1-11に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明11」という。)は、平成29年11月6日付けの手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1-11に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。 「【請求項1】 基板と、前記基板上に順に積層して設けられた第1の電極、有機発光層および第2の電極を含む複数の有機発光ダイオードとを含み、第1の電極が基板に近接して設けられたタッチ表示装置であって、 前記有機発光ダイオード上に順に積層して設けられた第1のパッケージ層、タッチ層および第2のパッケージ層をさらに含み、 前記第1のパッケージ層と前記第2のパッケージ層のいずれも、交互に積層された有機薄膜と無機薄膜とからなる多層膜を含む膜層であり、 すべての前記有機発光ダイオードにおける前記第1の電極は互いに独立して設けられ、 各行の前記有機発光ダイオードにおける前記第2の電極は第1の方向に沿って同層で直列接続されて、複数の第1の導電部を形成し、 前記タッチ層は第2の方向に沿って平行に配列している複数の第2の導電部を含み、前記第1の導電部と前記第2の導電部が互いに絶縁した交差回路網を形成することを特徴とするタッチ表示装置。 【請求項2】 前記第1の導電部と前記第2の導電部はパターンが同じであることを特徴とする請求項1に記載のタッチ表示装置。 【請求項3】 前記タッチ層の厚さは5nm?200nmであることを特徴とする請求項1に記載のタッチ表示装置。 【請求項4】 前記第2の電極の厚さは1nm?500nmであることを特徴とする請求項1に記載のタッチ表示装置。 【請求項5】 前記第1の方向は前記第2の方向に垂直であることを特徴とする請求項1に記載のタッチ表示装置。 【請求項6】 前記第1の導電部と前記第2の導電部は、いずれも透明または半透明の導電層であることを特徴とする請求項1に記載のタッチ表示装置。 【請求項7】 前記第1のパッケージ層の厚さが50nm?5μmであり、前記第2のパッケージ層の厚さが50nm?5μmであることを特徴とする請求項1に記載のタッチ表示装置。 【請求項8】 前記基板とすべての前記有機発光ダイオードとの間に駆動回路層がさらに設けられ、前記駆動回路層における回路は、すべての前記有機発光ダイオードを駆動するためのものであることを特徴とする請求項1?7のいずれか1項に記載のタッチ表示装置。 【請求項9】 請求項1?8のいずれか1項に記載のタッチ装置の製造方法であって、 基板に独立して設けられる第1の電極を形成し、第1の電極に有機発光層を形成するステップS1と、 前記有機発光層に第2の電極を形成し、第2の電極を第1の方向に沿って同層で直列接続して、平行に配列している第1の導電部を形成するステップS2と、 基板にすべての第1の導電部を被覆する、交互に積層された有機薄膜と無機薄膜とからなる多層膜を含む膜層である第1のパッケージ層を形成するステップS3と、 第1のパッケージ層に導電層を形成し、パターン化して第2の方向に沿って平行に配列し第1の導電部とともに互いに絶縁した交差回路網を形成する複数の第2の導電部を形成するステップS4と、 基板にすべての第2の導電部を被覆する、交互に積層された有機薄膜と無機薄膜とからなる多層膜を含む膜層である第2のパッケージ層を形成するステップS5と、を含むことを特徴とするタッチ装置の製造方法。 【請求項10】 ステップS1の前に、基板に駆動回路層を形成するステップをさらに含むことを特徴とする請求項9に記載のタッチ装置の製造方法。 【請求項11】 ステップS4において、前記第2の導電部は、マスクプロセスまたは印刷プロセスにより直接形成することもできることを特徴とする請求項9に記載のタッチ装置の製造方法。」 第4 引用文献、引用発明等 1.引用文献1について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに以下の事項が記載されている。 a)「【0031】 次に、表示パネル10における画素回路12近傍の断面構成について説明する。図4は、表示パネル10における画素回路12近傍の断面構成の一例を表したものである。表示パネル10は、例えば、図4に示したように、表示部30と検出部40とを互いに重ね合わせた構成となっている。 【0032】 表示部30は、例えば、図4に示したように、画素回路12およびその近傍において、基板31上に、画素回路21、絶縁層32、絶縁層33および絶縁層34をこの順に積層した構成となっている。絶縁層33は開口33Aを有しており、開口33Aに有機EL素子11が設けられている。有機EL素子11は、例えば、図4に示したように、アノード電極35、有機層36およびカソード線CTLを開口33Aの底面側から順に積層して構成されている。 【0033】 アノード電極35は、絶縁層32の平坦面にならった平坦な膜となっている。アノード電極35は、金属材料によって構成されており、反射ミラーとして機能する。従って、表示パネル10は、トップエミッション構造となっている。有機層36は、例えば、アノード電極35側から順に、正孔注入効率を高める正孔注入層と、発光層への正孔輸送効率を高める正孔輸送層と、電子と正孔との再結合による発光を生じさせる発光層と、発光層への電子輸送効率を高める電子輸送層とを有している。カソード線CTLは、少なくとも有機層36の上面に接して形成されている。カソード線CTLは、行方向(ドレイン線DSLの延在方向)に延在しており、行方向に配列された複数の有機EL素子11で共有された帯状電極である。複数のカソード線CTLは、互いに並列に配置されている。カソード線CTLは、可視光に対して透明な導電性材料、例えばITO(Indium Tin Oxide;酸化インジウムスズ)からなる。 【0034】 検出部40は、例えば、図4に示したように、基板41上に、複数の検出電極DETと、接着層42とを積層したものであり、検出電極DETを表示部30側に向けて配置されている。基板41は、可視光に対して透明な基板、例えば、光透過性の樹脂フィルムやガラス基板からなる。基板41の裏面(検出電極DETとは反対側の面)が、表示パネル10の映像表示面Sとなっている。なお、基板41の裏面に何らかの光学機能層が配置されていてもよい。接着層42は、表示部30と検出部40とを互いに貼り合わせるためのものである。各検出電極DETは、図5に示したように、列方向(カソード線CTLと交差する方向)に延在する帯状電極である。複数の検出電極DETは、互いに並列に配置されている。複数の検出電極DETは、例えば、金属材料によって構成されており、有機EL素子11の直上を避けた位置に配置されている。 【0035】 ここで、例えば、絶縁層34および接着層42と、これらを介して互いに対向配置されたカソード線CTLおよび検出電極DETとにより容量素子が構成されている。従って、その容量素子が、表示パネル10において静電容量型のタッチセンサとして機能する。なお、表示パネル10において、カソード線CTL、絶縁層34、接着層42および検出電極DETの積層方向の並び順は、上記の並び順に限られるものではない。従って、上記の容量素子においてカソード線CTLおよび検出電極DETに挟まれる誘電体は、常に絶縁層34および接着層42であるとは限らない。」(下線は当審で付与。以下、同様。) 上記下線部及び関連箇所の記載によれば、引用文献1には、表示パネルとして、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「表示パネル10は、表示部30と検出部40とを互いに重ね合わせた構成となっており、 表示部30は、基板31上に、画素回路21、絶縁層32、絶縁層33および絶縁層34をこの順に積層した構成となっており、 絶縁層33は開口33Aを有しており、開口33Aに有機EL素子11が設けられ、 有機EL素子11は、アノード電極35、有機層36およびカソード線CTLを開口33Aの底面側から順に積層して構成され、 カソード線CTLは、行方向に延在しており、行方向に配列された複数の有機EL素子11で共有された帯状電極で、複数のカソード線CTLは、互いに並列に配置されており、 検出部40は、基板41上に、複数の検出電極DETと、接着層42とを積層したもので、検出電極DETを表示部30側に向けて配置されており、 基板41は、光透過性の樹脂フィルムやガラス基板からなり、基板41の裏面(検出電極DETとは反対側の面)が、表示パネル10の映像表示面Sとなっており、 接着層42は、表示部30と検出部40とを互いに貼り合わせるためのものであり、 各検出電極DETは、列方向(カソード線CTLと交差する方向)に延在する帯状電極で、複数の検出電極DETは、互いに並列に配置されており、 絶縁層34および接着層42と、これらを介して互いに対向配置されたカソード線CTLおよび検出電極DETとにより容量素子が構成され、その容量素子が、表示パネル10において静電容量型のタッチセンサとして機能する 表示パネル10。」 2.引用文献2について 原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2の段落【0024】及び図1の記載からみて、当該引用文献2には、第1の透明電極4及び第2の透明電極5は、タッチセンサパネル部材における透明電極を形成するための材料として一般的に知られる材料を選択して形成し、厚みはそれぞれ10nm?100nm程度とするという技術的事項が記載されていると認められる。 3.引用文献3について 原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献3の段落【0032】、【0039】及び図1の記載からみて、当該引用文献3には、静電容量型タッチパネルの電極パターン4,8の電極膜としては、膜厚は15?20nmが適当であり、約15nmのITO膜を使用するという技術的事項が記載されていると認められる。 また、上記引用文献3の段落【0032】、【0035】、【0043】-【0044】及び図1の記載からみて、当該引用文献3には、静電容量型タッチパネルは、電極パターン4上を被うように基板表面上には透明な誘電体膜6が形成され、誘電体膜6上には第1電極パターンの延びる方向とは直交する方向に延びる複数の透明導電膜パターンからなる第2電極パターン8が形成され、電極パターン8上を被うように、基板表面上には透明な絶縁膜からなる保護膜10が形成されており、誘電体膜6はSiO_(2)膜、保護膜10はSiO_(2)膜とするという技術的事項も記載されていると認められる。 4.その他の文献について 特開2003-341003号公報(以下、「引用文献4」という。)の段落【0005】、【0011】、【0048】-【0049の記載からみて、当該引用文献4には、電子デバイスの分野において、高分子基板が望まれるようになっているが、高分子材料は、ガラスなどの無機材料と比較した場合、ガスの透過性が著しく大きいという問題を有していることに鑑みて提供された、基材上に樹脂薄膜層を形成する工程を施した後、無機酸化物を真空成膜法により蒸着させる蒸着工程を行うものであっても、基板上に無機酸化物を真空成膜法により蒸着させる蒸着工程を行い、次いで樹脂薄膜層を形成する工程を施すものであってもよい、樹脂薄膜層表面に無機酸化物の蒸着膜を堆積させるものであるので、蒸着層中の欠陥の発生を少なくすることが可能となり、その結果ガスバリア性を向上させることができる、可撓性の高いガスバリア性フィルムが記載されていると認められる。 特開2004-268311号公報(以下、「引用文献5」という。)の段落【0001】、【0003】、【0010】の記載からみて、当該引用文献5には、タッチパネル等における表面の汚れ、擦過発生を防止するための汚れ付着防止高耐擦過性フィルムであり、汚れ防止や擦過発生防止が必要な対象物の表面に配置するものであり、汚れ付着防止高耐擦過性フィルムは、基材フィルムと無機薄膜層と撥水性樹脂層と、基材フィルムの他方の面に形成された透明導電膜とを備えるとともに、基材フィルムと透明導電膜の間に無機薄膜からなるガスバリア膜を備え、タッチパネルの上部透明電極シートとして使用することができる汚れ付着防止高耐擦過性フィルムが記載されていると認められる。 第5 対比・判断 1.本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比する。 ア.引用発明の「基板31」、「アノード電極35」、「有機層36」、「カソード線CTL」はそれぞれ、本願発明1の「基板」、「第1の電極」、「有機発光層」、「第2の電極」に相当し、引用発明が「表示部30は、基板31上に、」「絶縁層32、絶縁層33」「をこの順に積層した構成となっており、絶縁層33は開口33Aを有しており、開口33Aに有機EL素子11が設けられ、有機EL素子11は、アノード電極35、有機層36およびカソード線CTLを開口33Aの底面側から順に積層して構成」されることは、本願発明1の「基板と、前記基板上に順に積層して設けられた第1の電極、有機発光層および第2の電極を含む複数の有機発光ダイオードとを含む、第1の電極が基板に近接して設けられた」ことに相当する。 そして、引用発明の「表示パネル10は、表示部30と検出部40とを互いに重ね合わせた構成となって」おり「静電容量型のタッチセンサとして機能する」ものであるから、引用発明の「表示パネル10」は、本願発明1の「基板と、前記基板上に順に積層して設けられた第1の電極、有機発光層および第2の電極を含む複数の有機発光ダイオードとを含む、第1の電極が基板に近接して設けられたタッチ表示装置」に相当する。 イ.引用発明の「表示部30」は、「絶縁層33および絶縁層34をこの順に積層した構成となっており」、「検出部40は、基板41上に、複数の検出電極DETと、接着層42とを積層したもので、検出電極DETを表示部30側に向けて配置されており」、「接着層42は、表示部30と検出部40とを互いに貼り合わせる」構成を有するものであるから、引用発明の「絶縁層34」および「接着層42」は本願発明1の「第1のパッケージ層」に、引用発明の「検出電極DET」は本願発明1の「タッチ層」に、引用発明の「基板41」は本願発明1の「第2のパッケージ層」にそれぞれ相当し、引用発明の上記構成は、本願発明1の「前記有機発光ダイオード上に積層して設けられた第1のパッケージ層、タッチ層および第2のパッケージ層をさらに含」むことに相当する。 ウ.引用発明の「アノード電極35」は、「有機EL素子」を構成するものであるから、各素子毎に設けられていることは明らかであり、本願発明1の「すべての前記有機発光ダイオードにおける前記第1の電極は互いに独立して設けられ」ることに相当する。 エ.引用発明の「カソード線CTLは、行方向に延在しており、行方向に配列された複数の有機EL素子11で共有された帯状電極で、複数のカソード線CTLは、互いに並列に配置されて」おり、「カソード線CTLおよび検出電極DETとにより容量素子が構成され、その容量素子が、表示パネル10において静電容量型のタッチセンサとして機能する」ことは、本願発明1の「各行の前記有機発光ダイオードにおける前記第2の電極は第1の方向に沿って同層で直列接続されて、複数の第1の導電部を形成」することに相当する。 オ.引用発明の「各検出電極DETは、列方向(カソード線CTLと交差する方向)に延在する帯状電極で、複数の検出電極DETは、互いに並列に配置されて」いることは、本願発明1の「前記タッチ層は第2の方向に沿って平行に配列している複数の第2の導電部を含み、前記第1の導電部と前記第2の導電部が互いに絶縁した交差回路網を形成すること」に相当する。 したがって、両者は以下の一致点と相違点とを有する。 〈一致点〉 「基板と、前記基板上に順に積層して設けられた第1の電極、有機発光層および第2の電極を含む複数の有機発光ダイオードとを含み、第1の電極が基板に近接して設けられたタッチ表示装置であって、 前記有機発光ダイオード上に順に積層して設けられた第1のパッケージ層、タッチ層および第2のパッケージ層をさらに含み、 すべての前記有機発光ダイオードにおける前記第1の電極は互いに独立して設けられ、 各行の前記有機発光ダイオードにおける前記第2の電極は第1の方向に沿って同層で直列接続されて、複数の第1の導電部を形成し、 前記タッチ層は第2の方向に沿って平行に配列している複数の第2の導電部を含み、前記第1の導電部と前記第2の導電部が互いに絶縁した交差回路網を形成することを特徴とするタッチ表示装置。」 〈相違点〉 本願発明1は、「前記第1のパッケージ層と前記第2のパッケージ層のいずれも、交互に積層された有機薄膜と無機薄膜とからなる多層膜を含む膜層」であるのに対し、引用発明の「絶縁層34」および「接着層42」、「基板41」はいずれも、交互に積層された有機薄膜と無機薄膜とからなる多層膜ではない点。 (2)相違点についての判断 引用文献5には、タッチパネル等における表面の汚れ、擦過発生を防止するための汚れ付着防止高耐擦過性フィルムであり、汚れ防止や擦過発生防止が必要な対象物の表面に配置するものであり、汚れ付着防止高耐擦過性フィルムは、基材フィルムと無機薄膜層と撥水性樹脂層と、基材フィルムの他方の面に形成された透明導電膜とを備えるとともに、基材フィルムと透明導電膜の間に無機薄膜からなるガスバリア膜を備え、タッチパネルの上部透明電極シートとして使用することができる汚れ付着防止高耐擦過性フィルムが記載されているものの、引用文献5に記載された技術的事項は、「汚れ防止や擦過発生防止が必要な対象物の表面に配置するもの」であり、積層構成の内部に位置する層を「無機薄膜層と撥水性樹脂層」とを備える構成とするものではなく、また、積層構成の内部に位置する層を「無機薄膜層と撥水性樹脂層」とを備える構成とすることは、引用文献2-4にも記載されておらず、本願の優先日前において周知技術であるともいえない。 また、引用発明において、「絶縁層34」および「接着層42」を「交互に積層された有機薄膜と無機薄膜とからなる多層膜を含む膜層」とする動機もない。 したがって本願発明1は、当業者であっても引用発明、引用文献2-5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 2.請求項2-11について 本願発明2-11は、本願発明1を引用して限定するものであり、上記「1.請求項1について」にて述べたのと同様の理由により、引用発明及び引用文献2-5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 第6 原査定について 本願発明1-11は、「前記第1のパッケージ層と前記第2のパッケージ層のいずれも、交互に積層された有機薄膜と無機薄膜とからなる多層膜を含む膜層」ものであるという技術的事項を有し、当該技術的事項は、原査定における引用文献1-3には記載されておらず、本願の優先日前における周知技術でもないので、本願発明1-11は、当業者であっても、原査定における引用文献1-3に基づいて容易に発明できたものではない。 したがって、原査定を維持することはできない。 第7 むすび 以上のとおり、本願発明1-11は、当業者が引用発明及び引用文献2-5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明することができたものではない。 したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2018-09-03 |
出願番号 | 特願2016-559489(P2016-559489) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G06F)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 星野 裕、間野 裕一 |
特許庁審判長 |
千葉 輝久 |
特許庁審判官 |
松田 岳士 山田 正文 |
発明の名称 | タッチ表示装置およびその製造方法 |
代理人 | 特許業務法人磯野国際特許商標事務所 |
代理人 | 特許業務法人磯野国際特許商標事務所 |