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審決分類 |
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 G09G 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G09G |
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管理番号 | 1343732 |
審判番号 | 不服2018-375 |
総通号数 | 226 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2018-10-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2018-01-12 |
確定日 | 2018-09-25 |
事件の表示 | 特願2015-108135「LED表示システム」拒絶査定不服審判事件〔平成28年12月28日出願公開、特開2016-224140、請求項の数(7)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成27年5月28日の出願であって、平成29年3月13日付けで拒絶理由が通知され、平成29年5月11日付けで手続補正がなされたが、平成29年10月16日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という)がなされ(謄本送達日 平成29年10月24日)、これに対し、平成30年1月12日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に手続補正がなされたものである。 第2 原査定の概要 原査定の概要は次の通りである。 1.(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 ●理由1(特許法第29条第1項第3号)、理由2(特許法第29条第2項)について ・請求項 1 ・引用文献等 3 ●理由2(特許法第29条第2項)について ・請求項 2 ・引用文献等 1,3 ・請求項 3 ・引用文献 1-3 ・請求項 4 ・引用文献 1-4 ・請求項 5 ・引用文献 1-5 ・請求項 6-7 ・引用文献 1-4,6 <引用文献等一覧> 1.特開2007-171366号公報 2.特開2010-122542号公報 3.特開2006-58489号公報 4.特開2011-30019号公報 5.特開2004-280024号公報 6.特開2010-197631号公報 第3 本願発明 本願の請求項1-7に係る発明(以下、「本願発明1」-「本願発明7」という。)は、平成30年1月12日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-7に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりのものである。 「【請求項1】 LED表示機が複数個並べて配置され、 各前記LED表示機が、単数又は複数のLED表示パネルを含む表示パネル部と、前記表示パネル部による表示内容を制御する表示制御手段と、前記表示制御手段によって、前記表示パネル部による表示内容を、他のLED表示機の表示パネル部による表示内容に同期して表示させる同期制御手段とを備え、 前記各LED表示機の同期制御手段が有線又は無線にて電気的に連係され、前記各LED表示機の表示制御手段による表示制御が同期する構成とされるLED表示システムであって、 各前記LED表示機が、表示タイミングと共にJOB番号を含む同期信号を送信する機能を有し、 複数個の前記LED表示機のうち1つが親機、残りが子機とされ、 前記各子機の同期制御手段は、前記親機から送信され表示タイミングと共にJOB番号を含む同期信号を前記子機が受信すると、前記子機の表示内容が前記親機の表示内容に対し同期制御される構成としたことを特徴とするLED表示システム。」 本願発明2-7は、本願発明1を減縮した発明である。 第4 引用文献、引用発明等 1 引用文献3について 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献3(特開2006-58489号公報)には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与したものである。以下同様。)。 「【0002】 例えばビルの屋上に設けられた巨大なネオン看板などのネオン点灯システムは、多数のネオン灯を用いることで構成され、それらネオン灯が所定のパターンで点消灯を繰り返すことにより、全体として演出効果のある点灯態様を実現している。こうしたネオン点灯システムは、対応するネオン灯の点灯を制御する複数の点灯モジュールを備え、それら点灯モジュールが対応するネオン灯の点灯パターンを随時変化させることで前記演出効果を実現している。」 「【0013】 以下、本発明を具体化した一実施形態を図1及び図2に基づき詳細に説明する。 図1に示すように、点灯制御システム1は、更新制御手段としての更新制御ユニット2と、該更新制御ユニット2にバス3を介してネットワーク接続された複数の点灯モジュールとしてのネオンモジュール4とを備えている。このため、更新制御ユニット2と各ネオンモジュール4との間で通信可能となっている。なお、本実施形態では、更新制御ユニット2に10個のネオンモジュール4が接続されている場合を想定しており、同図においては第1?第4ネオンモジュール4a?4dのみを示すものとする。ちなみに、更新制御ユニット2に接続可能なネオンモジュール4の数は、更新制御ユニット2のドライバに依存しており、10個のネオンモジュール4に限らず、例えば100個のネオンモジュールを接続することも可能である。また、点灯制御システム1は、CAN(Controller Area Network )により、更新制御ユニット2と各ネオンモジュール4との間で通信が行われるようになっている。」 「【0016】 更新制御部12は、図示しないCPU、ROM、RAM等からなるCPUユニットであり、不揮発性のメモリ12aを備えている。このメモリ12aには、正の整数値に相当する複数の番号データが記録されている。そして、更新制御部12は、所定の周期(本実施形態では1/60秒間隔)で前記番号データを含む送信信号を通信インターフェイス11に出力する。詳しくは、更新制御部12は、最初に「1」に相当する番号データを出力し、その後「2」、「3」、「4」・・・というように、1ずつ加算した正の整数値に相当する番号データを出力する。また、更新制御部12は、前記所定の周期毎に1ずつ加算した番号データを必ずしも出力する訳ではなく、同じ番号データを何回か出力した後に1を加算した番号データを出力する(例えば「1」に相当する番号データを3回出力した後に「2」に相当する番号データを出力する)場合もある。 【0017】 さらに、更新制御部12にはディップスイッチ等からなる切換操作部13が接続され、該切換操作部13の操作に応じて通常モードまたはデータ書換モードに切り換わるようになっている。そして、更新制御部12は、通常モードにおいては前記番号データの出力を行い、データ書換モードにおいてはパーソナルコンピュータ6からそれぞれ入力されるパターンデータ及び各ネオンモジュール4を指定するためのアドレスデータを含む書換信号を通信インターフェイス11に出力するようになっている。なお、アドレスデータは、後記する各ネオンモジュール4のアドレス設定部24の設定状態と対応して設定されている。 【0018】 一方、各ネオンモジュール4は、それぞれ通信インターフェイス21、点灯制御部22、発光体としてのネオンユニット23及びアドレス設定部24を備えている。なお、図1においては第1ネオンモジュール4aの構成のみを詳細に示すが、第2?第4ネオンモジュール4b?4cについても第1ネオンモジュール4aと同等の構成をなしている。 【0019】 通信インターフェイス21は、更新制御部12から入力された各種信号を、バス3を介して受信して点灯制御部22に出力する。 ネオンユニット23は、複数のネオン管とそれらネオン管を発光させるためのネオントランスとを備えている(図示略)。なお、本実施形態においてネオンユニット23は、赤、青、緑の三色のネオン管を複数個備えている。こうしたネオンユニット23は、点灯制御部22から出力される制御信号に基づいて、対応するネオン管を発光させる。 【0020】 アドレス設定部24は、例えば8つのスイッチ部を有するディップスイッチ等の操作部によって構成されており、各ネオンモジュール4同士の設定状態が同一とならないように設定されている。そして、該アドレス設定部24の設定状態を示す設定信号が点灯制御部22に入力されるようになっている。 【0021】 点灯制御部22は、図示しないCPU、ROM、RAM等からなるCPUユニットであり、記録手段としての不揮発性のメモリ22aを備えている。このメモリ22aには、前記複数の番号データと、該番号データにそれぞれ対応付けして付与された複数種の点灯パターンを示すパターンデータとが記録されている。」 「【0027】 そして、点灯制御部22は、前記更新制御ユニット2から出力される番号データが入力されると、該番号データと対応するパターンデータをメモリ22aから読み出し、該パターンデータに基づく点灯パターンで各ネオンユニット23を点灯作動させる。すなわち、更新制御ユニット2から番号データ「1」が出力された場合、第1ネオンモジュール4aの点灯制御部22はパターンデータ「A-1」、第2ネオンモジュール4bの点灯制御部22はパターンデータ「B-1」に基づく点灯パターンでそれぞれネオンユニット23を点灯作動させる。 【0028】 よって、このように構成された点灯制御システム1では、更新制御ユニット2から1/60秒毎に出力される番号データを各ネオンモジュール4が受信することにより、同じタイミングで点灯パターンを更新することとなる。また、番号データは絶対値データであるため、たとえ各ネオンモジュール4のうちの一部が番号データを正常に受信できなかった場合においても、次回以降のデータ更新時に該ネオンモジュール4が番号データを正常に受信すれば、全てのネオンモジュール4が同じ番号データに基づいてパターンデータを更新することとなる。このため、番号データを正常に受信できたネオンモジュール4と正常に受信できなかったネオンモジュール4との間で、点灯パターンの更新タイミングにズレが生じてしまうことがない。」 「【0032】 (3)更新制御ユニット2の切換操作部13を操作することにより、更新制御部12を通常モードからデータ書換モードにすることができる。そして、このデータ書換モードにおいては、更新制御部12にパーソナルコンピュータ6を接続して該パーソナルコンピュータ6から新たなパターンデータを更新制御部12に入力することにより、各ネオンモジュール4のメモリ22aに、該新たなパターンデータを上書き更新することができる。このため、各ネオンモジュール4のパターンデータを、確実且つ容易に書き換えることができる。」 「【0034】 なお、本発明の実施形態は以下のように変更してもよい。 ・ 前記実施形態において更新制御手段は、各ネオンモジュール4とネットワーク接続され、各ネオンモジュール4とは別体で構成された更新制御ユニット2によって具体化されている。しかし、例えば図3に示すように、前記更新制御部12を第1ネオンモジュール4a内に設けるなどして、更新制御手段とネオンモジュール4とを一体に構成してもよい。詳しくは、同図に示すように、前記更新制御部12を、第1ネオンモジュール4aの通信インターフェイス21に接続する。このようにすれば、更新制御部12から出力される番号データは、通信インターフェイス21を介して第1ネオンモジュール4aの点灯制御部22に入力されるとともに、該通信インターフェイス21及びバス3を介して他のネオンモジュール4の点灯制御部22に入力されることとなる。よって、こうした変更態様によっても、前記実施形態の(1)及び(2)の効果を得ることができるとともに、更新制御ユニット2が不要となるため、点灯制御システム1の構成を簡略化することができる。」 図3 上記記載より、引用文献3には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている(括弧内は、認定に用いた引用文献3の記載箇所を示す。)。 「ネオン看板であって(【0002】)、 10個のネオンモジュール4が接続され(【0013】)、 各ネオンモジュール4は、通信インターフェイス21、点灯制御部22、ネオンユニット23を備えており(【0018】)、 更新制御部12を第1ネオンモジュール4a内に設け(【0034】)、 更新制御部12は、通常モードにおいては番号データの出力を行い、データ書換モードにおいてはパーソナルコンピュータ6からそれぞれ入力されるパターンデータ及び各ネオンモジュール4を指定するためのアドレスデータを含む書換信号を通信インターフェイス11に出力し(【0017】)、各ネオンモジュール4のメモリ22aに、新たなパターンデータを上書き更新することができ(【0032】)、 通常モードにおいて、 更新制御部12は、1/60秒間隔で番号データを含む送信信号を通信インターフェイス21に出力し(【0016】)、 更新制御部12から出力される番号データは、通信インターフェイス21を介して第1ネオンモジュール4aの点灯制御部22に入力されるとともに、該通信インターフェイス21及びバス3を介して他のネオンモジュール4の点灯制御部22に入力され(【0034】)、 ネオンユニット23は、赤、青、緑の三色のネオン管を複数個備え、点灯制御部22から出力される制御信号に基づいて、対応するネオン管を発光させ(【0019】)、 点灯制御部22は、複数の番号データと、該番号データにそれぞれ対応付けして付与された複数種の点灯パターンを示すパターンデータとが記録されている不揮発性のメモリ22aを備え(【0021】)、 点灯制御部22は、番号データが入力されると、該番号データと対応するパターンデータをメモリ22aから読み出し、該パターンデータに基づく点灯パターンで各ネオンユニット23を点灯作動させ(【0027】)、 1/60秒毎に出力される番号データを各ネオンモジュール4が受信することにより、同じタイミングで点灯パターンを更新する点灯制御システム1とした(【0028】) ネオン看板。」 2 引用文献4について 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献4(特開2011-30019号公報)には、図面とともに、次の事項が記載されている。 「【0025】 {表示システムの構成及び使用状態} 以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態に係る表示システム1の概略図である。表示システム1は、画像再生装置10a,10b,10c,10d,10eと、管理装置20と、通信ケーブル30とを備える。画像再生装置10a?10e及び管理装置20は、動画像データ50を再生する機能を有する。 【0026】 表示システム1は、電子POPシステムとして利用可能であり、画像再生装置10a?10e及び管理装置20を用いて一つの映像を表示させることができる。この場合、画像再生装置10a?10e及び管理装置20が保持する動画像データ50は、一つの動画像データ500(図4参照)が6つに分割されたデータとなる。管理装置20は、各装置が互いに同期した状態で動画像データ50を再生するために、画像再生装置10a?10eに同期情報252を定期的に送信する。」 「【0098】 本実施の形態では、管理装置20が同期情報252をブロードキャストする例について説明したが、これに限られない。管理装置20から同期情報252を受信できない状態が一定期間継続した場合に、画像再生装置10のいずれかが、管理装置20の代わりに同期情報252を送信してもよい。たとえば、画像再生装置10が、同期情報252をブロードキャストするか否かを自動で判断するようにしてもよい。あるいは、画像再生装置10に、同期情報252の送信機能のオンオフを指示するスイッチを設けてもよい。」 3 引用文献1について 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1(特開2007-171366号公報)には、図面とともに、次の事項が記載されている。 「【0005】 ところで、従来の装置では、発光ラインを構成する複数台の発光ユニットを発光点滅パターンに基づいて点滅制御する場合に次の様な方法で行っていた。まず第1の方法が、発光ラインを構成するそれぞれの発光ユニットごとに動きの異なる発光点滅パターンを記憶させておき、全ての発光ユニットで同時に点滅動作を開始することにより全体として見たときにひとつの発光点滅パターンを表現するものである。そして2つめの方法は、発光ラインを構成する複数の発光ユニットに記憶させる発光点滅パターンは全く同一内容としておきながら、複数台の発光ユニットのそれぞれに独立した個別の絶対アドレスを割り付けておき、各発光ユニットは自分に付されたアドレスに応じて発光点滅パターンの読み出し開始位置を変えることで全体としてひとつの発光点滅パターンを表現するものである。 【0006】 確かにこれら方法によれば、発光ラインを構成する複数の発光ユニット全体を一括して制御するコントローラを必要とせずに、発光ライン全体でひとつの発光点滅パターンを表現することが可能である。しかしながら、上記2つの方法にはそれぞれ次のような問題があった。第1の方法では、発光ユニットごとに発光点滅パターンを用意して記憶させる必要があり、発光ユニット1つ1つがそれぞれ異なる別物となってしまい、生産上も設置工事の際にも取扱い管理が困難である。また第2の方法では、各発光ユニットが記憶する発光点滅パターンは共通になるものの、各発光ユニットに個別の絶対アドレスを割り付ける必要があり、生産時にアドレス設定を行う場合にも設置工事の際に取付状態に応じてディップスイッチ等でアドレス設定を行う場合にもやはり取扱い管理が困難である。」 4 引用文献2について 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献2(特開2010-122542号公報)には、図面とともに、次の事項が記載されている。 「【0020】 太陽電池4は、太陽光を受けて生起させた電力を、本体制御手段22を介して本体ボックス部21に内装された蓄電池に蓄電している。また、蓄電池に蓄電された電力は、同様に本体制御手段22を介して表示板15のLED16に供給され、発光させている。 本体制御手段22には、太陽電池4から供給される電力の電圧と、蓄電池から供給される電力の電圧を測定する電圧計25が備えられている。この電圧計25は、本体装置1の状況を確認する確認手段26の一つとして機能し、本体制御手段22が前記の状況情報信号を出力するときに、この電圧計25で測定された電圧の値を状況情報信号として出力するように構成されている。 状況情報信号として出力された前記の電圧の値は、端末装置5の端末表示手段51に表示され確認できるので、太陽電池4や蓄電池の故障の確認や寿命による交換の検討を容易に行うことができる。 また、蓄電池を内装せずに商用電源を用いて本体装置1を稼働させる場合でも、商用電源から供給される電力の電圧を測定する電圧計を確認手段26として備えれば、電源に起因する問題を容易に確認して把握することができる。」 5 引用文献5について 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献5(特開2004-280024号公報)には、図面とともに、次の事項が記載されている。 「【0015】 本発明の大規模映像スペクタクル演出装置は、図1(A)に示すように、屋外で遠望できるように、多数林立する背の高い支柱1…により巨大パノラマスクリーンを形成して実施される。図1では建物の屋上を基礎盤2に代用して実施されているが、この限りではなく、地面上に直接基礎盤を構築して実施することもできる。」 6 引用文献6について 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献6(特開2010-197631号公報)には、図面とともに、次の事項が記載されている。 「【0035】 図4は、表示盤のユニット構成を示す図である。表示盤200は、画面がモジュール単位に区分されている。表示盤200は、モジュール210,210a,・・・,210eを有する。モジュール210,210a,・・・,210eは、縦横2×3に配列されている。 【0036】 モジュール210には、モジュールID“M-1”が定義されている。モジュール210aには、モジュールID“M-2”が定義されている。モジュール210bには、モジュールID“M-3”が定義されている。モジュール210cには、モジュールID“M-4”が定義されている。モジュール210dには、モジュールID“M-5”が定義されている。モジュール210eには、モジュールID“M-6”が定義されている。 【0037】 モジュール210,210a,・・・,210eは、板状に形成されており、その表面には複数のユニットが配置される。以下では、モジュール210のユニット構成について説明するが、モジュール210a,210b,・・・,210eに関しても同様である。 【0038】 モジュール210は、表示ユニット211,212,・・・,226を有する。 表示ユニット211,212,・・・,226は、モジュール210の表面に縦横4×4に配列されている。表示ユニット211,212,・・・,226は、それぞれ複数のLEDを配列したものである。」 第5 対比・判断 1 本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明を対比すると、次のことがいえる。 ア 引用発明は「ネオン看板」であるので、「10個のネオンモジュール4」は、並べて配置されていることは明らかであり、引用発明の「ネオンモジュール4」と、本願発明1の「LED表示機」とは、「表示機」である点で共通するので、引用発明の「10個のネオンモジュール4が接続され」ていることと、本願発明1の「LED表示機が複数個並べて配置され」ていることとは、「表示機が複数個並べて配置され」ている点で共通する。 イ 引用発明の「ネオン管」と、本願発明1の「LED表示パネル」とは、「表示装置」である点で共通するので、引用発明の「赤、青、緑の三色のネオン管を複数個備え」た「ネオンユニット23」と、本願発明1の「単数又は複数のLED表示パネルを含む表示パネル部」とは、「単数又は複数の表示装置を含む表示部」である点で共通する。 ウ 引用発明の「各ネオンユニット23」の「点灯パターン」と、本願発明1の「表示パネル部による表示内容」とは、「表示部による表示内容」である点で共通するので、引用発明の「点灯パターンで各ネオンユニット23を点灯作動させ」る「点灯制御部22」と、本願発明1の「前記表示パネル部による表示内容を制御する表示制御手段」とは、「前記表示部による表示内容を制御する表示制御手段」である点で共通する。 エ 引用発明は「1/60秒毎に出力される番号データを各ネオンモジュール4が受信することにより、同じタイミングで点灯パターンを更新」し「点灯パターンで各ネオンユニット23を点灯作動させ」るのであるから、「各ネオンモジュール4」は、同期して「点灯パターンを更新」し「各ネオンユニット23を点灯作動させ」ており、「各ネオンモジュール4」は、「各ネオンユニット23」の「点灯パターン」を同期して表示しているといえる。 また、上記ウに示したように、引用発明の「各ネオンユニット23」の「点灯パターン」と、本願発明1の「表示パネル部による表示内容」とは、「表示部による表示内容」である点で共通する。 したがって、引用発明の「更新制御部12は、1/60秒間隔で番号データを含む送信信号を通信インターフェイス21に出力し、更新制御部12から出力される番号データは、通信インターフェイス21を介して第1ネオンモジュール4aの点灯制御部22に入力されるとともに、該通信インターフェイス21及びバス3を介して他のネオンモジュール4の点灯制御部22に入力され、」「点灯制御部22は、番号データが入力されると、該番号データと対応する」「パターンデータに基づく点灯パターンで各ネオンユニット23を点灯作動させ、1/60秒毎に出力される番号データを各ネオンモジュール4が受信することにより、同じタイミングで点灯パターンを更新する」のであるから、引用発明の「通信インターフェイス21」と、本願発明1の「前記表示制御手段によって、前記表示パネル部による表示内容を、他のLED表示機の表示パネル部による表示内容に同期して表示させる同期制御手段」とは、「前記表示制御手段によって、前記表示部による表示内容を、他の表示機の表示部による表示内容に同期して表示させる同期制御手段」である点で共通する。 オ 引用発明の「各ネオンモジュール4」が、「ネオンユニット23」と、「点灯制御部22」と、「通信インターフェイス21」とを備えることと、本願発明1の「各前記LED表示機」が、「表示パネル部」と、「表示制御手段」と、「同期制御手段」とを備えることとは、「各前記表示機」が、「表示部」と、「表示制御手段」と、「同期制御手段」とを備える点で共通する。 カ 引用発明は「更新制御部12から出力される番号データは、通信インターフェイス21を介して第1ネオンモジュール4aの点灯制御部22に入力されるとともに、該通信インターフェイス21及びバス3を介して他のネオンモジュール4の点灯制御部22に入力され」るので、「各ネオンモジュール4」の「通信インターフェイス21」は、「バス3」で電気的に連係されている。 そして、上記エを踏まえると、引用発明は、「各ネオンモジュール4」の「点灯制御部22」による「点灯作動」が同期しており、引用発明の「ネオン看板」と、本願発明1の「前記各LED表示機の同期制御手段が有線又は無線にて電気的に連係され、前記各LED表示機の表示制御手段による表示制御が同期する構成とされるLED表示システム」とは、「前記各表示機の同期制御手段が有線又は無線にて電気的に連係され、前記各表示機の表示制御手段による表示制御が同期する構成とされる表示システム」である点で共通する。 キ 引用発明は、「1/60秒毎に出力される番号データを各ネオンモジュール4が受信することにより、同じタイミングで点灯パターンを更新」し「番号データと対応する」「パターンデータに基づく点灯パターンで各ネオンユニット23を点灯作動させ」るのであるから、引用発明の「1/60秒間隔で番号データを含む送信信号」は、本願発明1の「表示タイミングと共にJOB番号を含む同期信号」に相当する。 そうすると、引用発明の「1/60秒間隔で番号データを含む送信信号を通信インターフェイス21に出力」する「更新制御部12」を設けた「第1ネオンモジュール4a」と、本願発明1の「各前記LED表示機が、表示タイミングと共にJOB番号を含む同期信号を送信する機能を有し」とは、「少なくとも1つの前記表示機が、表示タイミングと共にJOB番号を含む同期信号を送信する機能を有」する点で共通する。 ク 引用発明は「更新制御部12を第1ネオンモジュール4a内に設け、」「更新制御部12は、1/60秒間隔で番号データを含む送信信号を通信インターフェイス21に出力し、」「番号データは、通信インターフェイス21を介して第1ネオンモジュール4aの点灯制御部22に入力されるとともに、該通信インターフェイス21及びバス3を介して他のネオンモジュール4の点灯制御部22に入力され」るので、「第1ネオンモジュール4a」が親機で、「他のネオンモジュール4」が子機である。 そうすると、引用発明の「第1ネオンモジュール4a」及び「他のネオンモジュール4」と、本願発明1の「複数個の前記LED表示機のうち1つが親機、残りが子機とされ」とは、「複数個の前記表示機のうち1つが親機、残りが子機とされ」る点で共通する。 ケ 引用発明の「更新制御部12を第1ネオンモジュール4a内に設け、」「更新制御部12は、1/60秒間隔で番号データを含む送信信号を通信インターフェイス21に出力し、更新制御部12から出力される番号データは、通信インターフェイス21を介して第1ネオンモジュール4aの点灯制御部22に入力されるとともに、該通信インターフェイス21及びバス3を介して他のネオンモジュール4の点灯制御部22に入力され」ることは、「他のネオンモジュール4」の「通信インターフェイス21」が、「更新制御部12」を設けた「第1ネオンモジュール4a」から送信された「1/60秒間隔で番号データを含む送信信号」を受信しているといえ、 引用発明の「点灯制御部22は、番号データが入力されると、該番号データと対応する」「パターンデータに基づく点灯パターンで各ネオンユニット23を点灯作動させ、1/60秒毎に出力される番号データを各ネオンモジュール4が受信することにより、同じタイミングで点灯パターンを更新する」ことは、「他のネオンモジュール4」の「点灯パターン」が「第1ネオンモジュール4a」の「点灯パターン」に同期しているといえる。 そうすると、上記エ、キ、クを踏まえると、引用発明の「更新制御部12を第1ネオンモジュール4a内に設け、」「更新制御部12は、1/60秒間隔で番号データを含む送信信号を通信インターフェイス21に出力し、更新制御部12から出力される番号データは、通信インターフェイス21を介して第1ネオンモジュール4aの点灯制御部22に入力されるとともに、該通信インターフェイス21及びバス3を介して他のネオンモジュール4の点灯制御部22に入力され、」「点灯制御部22は、番号データが入力されると、該番号データと対応する」「パターンデータに基づく点灯パターンで各ネオンユニット23を点灯作動させ、1/60秒毎に出力される番号データを各ネオンモジュール4が受信することにより、同じタイミングで点灯パターンを更新する点灯制御システム1」は、本願発明1の「前記各子機の同期制御手段は、前記親機から送信され表示タイミングと共にJOB番号を含む同期信号を前記子機が受信すると、前記子機の表示内容が前記親機の表示内容に対し同期制御される構成」に相当する。 コ 引用発明の「ネオン看板」と、本願発明1の「LED表示システム」とは、「表示システム」である点で共通する。 すると、本願発明1と引用発明とは、次の一致点及び相違点を有する。 (一致点) 「表示機が複数個並べて配置され、 各前記表示機が、単数又は複数の表示装置を含む表示部と、前記表示部による表示内容を制御する表示制御手段と、前記表示制御手段によって、前記表示部による表示内容を、他の表示機の表示部による表示内容に同期して表示させる同期制御手段とを備え、 前記各表示機の同期制御手段が有線又は無線にて電気的に連係され、前記各表示機の表示制御手段による表示制御が同期する構成とされる表示システムであって、 少なくとも1つの前記表示機が、表示タイミングと共にJOB番号を含む同期信号を送信する機能を有し、 複数個の前記表示機のうち1つが親機、残りが子機とされ、 前記各子機の同期制御手段は、前記親機から送信され表示タイミングと共にJOB番号を含む同期信号を前記子機が受信すると、前記子機の表示内容が前記親機の表示内容に対し同期制御される構成とした表示システム。」 (相違点1) 本願発明1は、「LED表示パネル」を含む「表示パネル部」を備える「LED表示機」が、複数個並べて配置される「LED表示システム」であるのに対して、引用発明は、「ネオン管」を含む「ネオンユニット23」を備える「ネオンモジュール4」が、複数個並べて配置される「ネオン看板」である点。 (相違点2) 本願発明1は、「各LED表示機」が、表示タイミングと共にJOB番号を含む同期信号を送信する機能を有するのに対して、引用発明は、「1/60秒間隔で番号データを含む送信信号」を送信する「更新制御部12を第1ネオンモジュール4a内に設け」ているが、「他のネオンモジュール4」には設けていない点。 (2)判断 事案に鑑み、先ず上記相違点2について検討する。 引用文献4には、画像再生装置10a?10e及び管理装置20を備える表示システム1であって、画像再生装置10a?10e及び管理装置20は動画像データ50を再生する機能を有し、管理装置20は各装置が互いに同期した状態で動画像データ50を再生するために、画像再生装置10a?10eに同期情報252を定期的に送信する表示システム1において、管理装置20から同期情報252を受信できない状態が一定期間継続した場合に、画像再生装置10のいずれかが管理装置20の代わりに同期情報252を送信するようにしてもよいことが記載されている(上記「第4 2」)。 引用発明と引用文献4に記載された表示システム1とは、親機(引用発明の「第1ネオンモジュール4a」、引用文献4の「管理装置20」)が子機(引用発明の「他のネオンモジュール4」、引用文献4の「画像再生装置10」)に同期信号を送信することで、子機の表示を親機の表示に同期させる表示システム(引用発明の「ネオン看板」、引用文献4の「表示システム1」)である点で共通するから、引用文献4の記載は、引用発明において、「第1ネオンモジュール4a」だけでなく、「他のネオンモジュール4」にも、同期信号を送信する機能を備えさせることを示唆するものと見ることもできる。 ここで、引用発明において同期信号を送信する機能を担っているのは、「第1ネオンモジュール4a内に設け」られた「更新制御部12」であるから、同機能を「他のネオンモジュール4」にも備えさせることは、「更新制御部12」を「他のネオンモジュール4」にも設けることを意味する。 しかし、引用発明の「更新制御部12」は、「データ書換モードにおいてはパーソナルコンピュータ6からそれぞれ入力されるパターンデータ及び各ネオンモジュール4を指定するためのアドレスデータを含む書換信号を通信インターフェイス11に出力し、各ネオンモジュール4のメモリ22aに、新たなパターンデータを上書き更新することができ」るものであるから、「各ネオンモジュール4」の「点灯制御部22」が備える「不揮発性のメモリ22a」に記録されている「パターンデータ」を各々書き替えるために設けられたものと認められる。そうすると、引用発明において、「更新制御部12」は一つだけ設けられていれば十分であり、これを二つ以上設けることは想定されていないというべきである。 したがって、引用発明において、「第1ネオンモジュール4a」だけでなく、「他のネオンモジュール4」にも「更新制御部12」を設けることには、動機付けがない。 よって、引用発明に、引用文献4に記載された技術を適用し、上記相違点2に係る本願発明1の構成を得ることは、当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 また、引用文献1、2、5、6には、各LED表示機が、表示タイミングと共にJOB番号を含む同期信号を送信する機能を有することは記載されていない。 したがって、引用発明、引用文献1、2、4-6に記載された技術に基づいて、上記相違点2に係る本願発明1の構成を得ることは、当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 よって、本願発明1は、上記相違点1について検討するまでもなく、引用発明、引用文献1、2、4-6に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 2 本願発明2-7について 本願発明2-7も、上記相違点2に係る本願発明1の「各前記LED表示機が、表示タイミングと共にJOB番号を含む同期信号を送信する機能を有し」と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、引用発明、引用文献1、2、4-6に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 第6 原査定について 本願発明1-7と引用発明(引用文献3に記載された発明)とは、上記相違点2に係る「各前記LED表示機が、表示タイミングと共にJOB番号を含む同期信号を送信する機能を有し」という構成を有する点で相違する。 そして、上記相違点2は実質的な相違点であるから、本願発明1-7は引用発明と同一ではない。 また、本願発明1-7が、引用発明、引用文献1、2、4-6に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえないことは、上記第5で述べたとおりである。 したがって、原査定の理由を維持することはできない。 第7 むすび 以上のとおり、原査定の拒絶の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2018-09-10 |
出願番号 | 特願2015-108135(P2015-108135) |
審決分類 |
P
1
8・
113-
WY
(G09G)
P 1 8・ 121- WY (G09G) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 斎藤 厚志 |
特許庁審判長 |
小林 紀史 |
特許庁審判官 |
中村 説志 須原 宏光 |
発明の名称 | LED表示システム |
代理人 | 鳥巣 慶太 |
代理人 | 中嶋 慎一 |
代理人 | 鳥巣 実 |