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審決分類 |
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 B65H 審判 全部申し立て 1項1号公知 B65H 審判 全部申し立て 2項進歩性 B65H |
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管理番号 | 1343876 |
異議申立番号 | 異議2016-700592 |
総通号数 | 226 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2018-10-26 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2016-07-05 |
確定日 | 2018-07-17 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第5839520号発明「ラベルプリンタ」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第5839520号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり,訂正後の請求項[1,3,4,5,6,7],[2,8,9,10]について訂正することを認める。 特許第5839520号の請求項2,8及び9に係る特許を取り消す。 特許第5839520号の請求項1,3乃至6,及び10に係る特許を維持する。 特許第5839520号の請求項7に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第5839520号の請求項1乃至7に係る特許についての出願は,平成26年6月25日を優先日として,同年11月28日に特願2014-241437号として出願されたものであって,平成27年11月20日付けでその特許権の設定登録がされ,その後,平成28年7月5日付けで特許異議申立人セイコーエプソン株式会社より請求項1乃至7に対して特許異議の申立てがされ,平成29年2月23日に検証が行われ,同年3月31日付けで取消理由が通知され,同年6月12日に意見書の提出及び訂正請求がされ,同年7月27日付けで特許異議申立人セイコーエプソン株式会社から意見書が提出され,同年8月31日付けで取消理由(決定の予告)が通知され,同年11月6日に意見書の提出及び訂正請求がされ,平成30年4月20日付けで特許異議申立人セイコーエプソン株式会社から意見書が提出されたものである。 第2 訂正の適否 1 訂正事項 (1)訂正事項1 請求項1の「前記ニップローラ軸に回動自在な状態で軸支されたニップローラと,を有する」を, 「前記ニップローラ軸に回動自在な状態で軸支されたニップローラと, を有し, 前記一対の支持部は,前記一対の支持部のうち前記ニップローラが設けられている側が,前記ローラ保持部によって覆われたニップローラ軸によってのみ連結されている」と,訂正する。 (2)訂正事項2 請求項2の「前記一対のローラ保持部は,前記ニップローラ軸の両端部を挿通させて,前記ニップローラ軸の両端部を覆うように支持することを特徴とする請求項1に記載のラベルプリンタ。」を, 「一面に開口部が形成された筐体と, 前記筐体に開閉可能な状態で取り付けられた開閉カバーと, 前記開閉カバーに回動可能な状態で軸支され,印字媒体を搬送する搬送ローラと, 前記開閉カバーに軸支され,前記搬送ローラの近傍に配置された剥離バーと, 前記筐体内に設けられ,前記開閉カバーの閉止時に前記搬送ローラに対向するように配置されて前記印字媒体に印字を施す印字ヘッドと, 前記印字媒体を印字する際に前記搬送ローラに近接配置される剥離機構部と, を備え, 前記剥離機構部は, 前記印字媒体の搬送方向と直交する方向において互いに対向するように設けられた一対の支持部と, 前記一対の支持部の対向する端面のみから,各支持部の端面と直交し,かつ互いに近接する方向のみに延びている一対のローラ保持部であって,それぞれ前記支持部と一体成形されている,前記一対のローラ保持部と, 両端部が前記一対のローラ保持部の各々に支持されたニップローラ軸と, 前記ニップローラ軸に回動自在な状態で軸支されたニップローラと, を有するラベルプリンタであって, 前記一対のローラ保持部は,前記ニップローラ軸の両端部を挿通させて,前記ニップローラ軸の両端部を覆うように支持することを特徴とするラベルプリンタ。」と,訂正する。 (3)訂正事項3 請求項4の「前記剥離機構部は,前記筐体内に設けられた」を, 「前記剥離機構部は,少なくとも,前記一対のローラ保持部,前記ニップローラ軸及び前記ニップローラが前記筐体内に設けられた」と,訂正する。 (4)訂正事項4 請求項4の「請求項1乃至3のいずれか一項」を, 「請求項1又は3のいずれか一項」と,訂正する。 (5)訂正事項5 請求項5の「請求項1乃至4のいずれか一項」を, 「請求項1,3及び4のいずれか一項」と,訂正する。 (6)訂正事項6 請求項6の「ニップローラ軸の延在方向に沿って設けられた肉厚部を有する」を, 「ニップローラ軸の延在方向に沿って設けられた肉厚部を有し, 前記肉厚部は,台紙に仮着された前記印字媒体を,前記剥離機構部を前記搬送ローラに近接配置することにより前記剥離バー及び前記ニップローラを使って前記台紙から剥がして発行する剥離発行モードで印字する際に,前記剥離バーが位置する方向と逆方向に突出する形状を有している」と,訂正する。 (7)訂正事項7 請求項6の「請求項1乃至5のいずれか一項」を, 「請求項1,3乃至5のいずれか一項」と,訂正する。 (8)訂正事項8 請求項7を削除する。 (9)訂正事項9 訂正前の請求項4に対応する請求項8について,訂正前の請求項4の「前記剥離機構部は,前記筐体内に設けられた」を, 「前記剥離機構部は,少なくとも,前記一対のローラ保持部,前記ニップローラ軸及び前記ニップローラが前記筐体内に設けられた」と,訂正する。 (10)訂正事項10 訂正前の請求項5に対応する請求項9について, 「前記支持部は,第一の樹脂からなり,前記ニップローラは,前記第一の樹脂とは異なる第二の樹脂からなることを特徴とする請求項2又は8に記載のラベルプリンタ。」と,訂正する。 (11)訂正事項11 訂正前の請求項6に対応する請求項10について,訂正前の請求項6の「ニップローラ軸の延在方向に沿って設けられた肉厚部を有する」を, 「ニップローラ軸の延在方向に沿って設けられた肉厚部を有し, 前記肉厚部は,台紙に仮着された前記印字媒体を,前記剥離機構部を前記搬送ローラに近接配置することにより前記剥離バー及び前記ニップローラを使って前記台紙から剥がして発行する剥離発行モードで印字する際に前記剥離バーが位置する方向と逆方向に突出する形状を有している」と,訂正する。 2 訂正の目的の適否,新規事項の有無,一群の請求項及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正事項1は,「一対の支持部は,前記一対の支持部のうち前記ニップローラが設けられている側が,前記ローラ保持部によって覆われたニップローラ軸によってのみ連結されている」と,一対の支持部のどの側が,何によって連結され,その連結する部材が何によって覆われているかを限定するものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして,願書に添付した明細書の段落【0039】に「剥離ユニット10は,金属製のニップローラ軸11と,ニップローラ軸11の中央部に配置され,ニップローラ軸11に対して回動可能な状態で軸支された樹脂製のニップローラ12と,ニップローラ軸11の両端部を支持する樹脂製の支持部13,13とを備えており」,同段落【0043】に「一対の支持部13,13のそれぞれにおいて,ニップローラ12側に突出した箇所は,ニップローラ軸11の端部が挿通されるローラ保持部13dとなっている。」と記載されている。 さらに,剥離ユニット10について,願書に添付した図面の【図7】乃至【図9】から,「ニップローラ軸がローラ保持部によって覆われていること」,「一対の支持部が,ニップローラが設けられている側において連結されていること」,「一対の支持部を連結する連結部材として,ニップローラー軸11以外に見当たらないこと」が看て取れる。 したがって,訂正事項1は,新規事項の追加に該当せず,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではない。 (2)訂正事項2は,請求項1を引用していた請求項2の引用関係を解消して独立請求項とした上で,「一対の支持部の対向する端面のみから,…互いに近接する方向のみに延びている一対のローラ保持部」と,一対のローラ保持部が,一対の支持部のどこから,どの方向に延びているのかを限定するものであるから,他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとし,特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 願書に添付した明細書の段落【0043】に「一対の支持部13,13のそれぞれにおいて,ニップローラ12側に突出した箇所は,ニップローラ軸11の端部が挿通されるローラ保持部13dとなっている。」と記載されている。 さらに,剥離ユニット10について,【図7】乃至【図9】から,「一対のローラ保持部が,支持部の対向する端面のみにそれぞれ設けられていること」,「一対のローラ保持部が,互いに近接する方向のみに延びていること」が看て取れる。 したがって,訂正事項2は,新規事項の追加に該当せず,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではない。 (3)訂正事項3は,「剥離機構部は,少なくとも,前記一対のローラ保持部,前記ニップローラ軸及び前記ニップローラが前記筐体内に設けられた」とすることで,剥離機構部の筐体内に設けられた部材の最低限の範囲を限定するものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして,剥離機構部のことである剥離ユニット10が筐体に設けられている状態について,願書に添付した図面の【図1】及び【図15】から,「(剥離ユニット10を構成する)一対のローラ保持部,ニップローラ軸及びニップローラが記筐体内に設けられ」ていることが看て取れる。 したがって,訂正事項3は,新規事項の追加に該当せず,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではない。 (4)訂正事項4は,請求項1のみを引用していた訂正前の請求項2が,訂正事項2により独立請求項となったことに対応させて,請求項2を引用していた請求項4が引用する請求項の関係を整理して,請求項2を引用しないものとしたものであるから,特許請求の範囲の減縮もしくは明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 そして,少なくとも引用する請求項の削除である以上,訂正事項4は,新規事項の追加に該当せず,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではない。 (5)訂正事項5は,請求項1のみを引用していた訂正前の請求項2が,訂正事項2により独立請求項となったことに対応させて,請求項2を引用していた請求項5が引用する請求項の関係を整理して,請求項2を引用しないものとしたものであるから,特許請求の範囲の減縮もしくは明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 そして,少なくとも引用する請求項の削除である以上,訂正事項5は,新規事項の追加に該当せず,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではない。 (6)訂正事項6は,肉厚部の形状及び膨出する方向を限定するものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして,肉厚部について願書に添付した図面の【図8】乃至【図10】の記載,剥離発行モードについて願書に添付した図面の【図16】及び【図17】の記載を踏まえると,肉厚部が「台紙に仮着された印字媒体を,剥離機構部を搬送ローラに近接配置することにより剥離バー及びニップローラを使って前記台紙から剥がして発行する剥離発行モードで印字する際に,前記剥離バーが位置する方向と逆方向に突出する形状を有していること」が看て取れる。 したがって,訂正事項6は,新規事項の追加に該当せず,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではない。 (7)訂正事項7は,請求項1のみを引用していた訂正前の請求項2が,訂正事項2により独立請求項となったことに対応させて,請求項2を引用していた請求項6が引用する請求項の関係を整理して,請求項2を引用しないものとしたものであるから,特許請求の範囲の減縮もしくは明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 そして,少なくとも引用する請求項の削除である以上,訂正事項7は,新規事項の追加に該当せず,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではない。 (8)訂正事項8は,請求項7を削除するものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして,請求項の削除であるから,訂正事項8は,新規事項の追加に該当せず,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではない。 (9)訂正事項9は,「剥離機構部は,少なくとも,前記一対のローラ保持部,前記ニップローラ軸及び前記ニップローラが前記筐体内に設けられた」とすることで,剥離機構部の筐体内に設けられた部材を限定するものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして,剥離機構部のことである剥離ユニット10が筐体に設けられている状態について願書に添付した図面の【図1】及び【図15】から,「(剥離ユニット10を構成する)一対のローラ保持部,ニップローラ軸及びニップローラが記筐体内に設けられ」ていることが看て取れる。 したがって,訂正事項9は,新規事項の追加に該当せず,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではない。 (10)訂正事項10は,請求項1のみを引用していた訂正前の請求項2が,訂正事項2により独立請求項となったことに対応させて,請求項2を引用していた請求項5を請求項9とし,該請求項9が引用する請求項の関係を整理して,請求項2又は8を引用するとしたものであるから,特許請求の範囲の減縮もしくは明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 そして,少なくとも引用する請求項の削除である以上,訂正事項10は,新規事項の追加に該当せず,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではない。 (11)訂正事項11は,肉厚部の形状及び膨出する方向を限定するものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして,肉厚部について願書に添付した図面の【図8】乃至【図10】の記載,剥離発行モードについて願書に添付した図面の【図16】及び【図17】の記載を踏まえると,肉厚部が「台紙に仮着された印字媒体を,剥離機構部を搬送ローラに近接配置することにより剥離バー及びニップローラを使って前記台紙から剥がして発行する剥離発行モードで印字する際に前記剥離バーが位置する方向と逆方向に突出する形状を有していること」が看て取れる。 したがって,訂正事項11は,新規事項の追加に該当せず,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではない。 (12)訂正前の請求項1乃至7について,請求項2乃至6は請求項1を引用し,請求項7は請求項6を引用することで請求項1を引用しているものであって,訂正前の請求項2乃至7は訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであるから,訂正前において一群の請求項に該当するものである。 したがって,訂正の請求は,一群の請求項ごとにされたものである。 そして,訂正前の請求項1,3乃至7は,当該訂正事項1を含む請求項1の記載を請求項3乃至7が引用するものであるから,訂正後の請求項1,3乃至7は一群の請求項である。 また,訂正前の請求項2,4乃至7は,当該訂正事項2を含む請求項2の記載を請求項8乃至10が引用するものであるから,訂正後の請求項2,8乃至10は一群の請求項である。 3 小括 したがって,上記訂正請求による訂正事項1乃至11は,特許法第120条の5第2項ただし書第1号,第3号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり,かつ,同条第9項で準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合するので,訂正後の請求項[1,3,4,5,6,7],[2,8,9,10]について訂正を認める。 第3 当審の判断 1 取消理由通知に記載した取消理由について (1) 訂正後の請求項に係る発明 上記訂正請求により訂正された訂正後の請求項1乃至10に係る発明(以下「本件特許発明1」乃至「本件特許発明10」という。)は,以下のとおりのものである。 「【請求項1】 一面に開口部が形成された筐体と, 前記筐体に開閉可能な状態で取り付けられた開閉カバーと, 前記開閉カバーに回動可能な状態で軸支され,印字媒体を搬送する搬送ローラと, 前記開閉カバーに軸支され,前記搬送ローラの近傍に配置された剥離バーと, 前記筐体内に設けられ,前記開閉カバーの閉止時に前記搬送ローラに対向するように配置されて前記印字媒体に印字を施す印字ヘッドと, 前記印字媒体を印字する際に前記搬送ローラに近接配置される剥離機構部と, を備え, 前記剥離機構部は, 前記印字媒体の搬送方向と直交する方向において互いに対向するように設けられた一対の支持部と, 前記一対の支持部から,各支持部と直交し,かつ互いに近接する方向に延びている一対のローラ保持部であって,それぞれ前記支持部と一体成形されている,前記一対のローラ保持部と, 両端部が前記一対のローラ保持部の各々に支持されたニップローラ軸と, 前記ニップローラ軸に回動自在な状態で軸支されたニップローラと, を有し, 前記一対の支持部は,前記一対の支持部のうち前記ニップローラが設けられている側が,前記ローラ保持部によって覆われたニップローラ軸によってのみ連結されていることを特徴とするラベルプリンタ。 【請求項2】 一面に開口部が形成された筐体と, 前記筐体に開閉可能な状態で取り付けられた開閉カバーと, 前記開閉カバーに回動可能な状態で軸支され,印字媒体を搬送する搬送ローラと, 前記開閉カバーに軸支され,前記搬送ローラの近傍に配置された剥離バーと, 前記筐体内に設けられ,前記開閉カバーの閉止時に前記搬送ローラに対向するように配置されて前記印字媒体に印字を施す印字ヘッドと, 前記印字媒体を印字する際に前記搬送ローラに近接配置される剥離機構部と, を備え, 前記剥離機構部は, 前記印字媒体の搬送方向と直交する方向において互いに対向するように設けられた一対の支持部と, 前記一対の支持部の対向する端面のみから,各支持部と前記端面と直交し,かつ互いに近接する方向のみに延びている一対のローラ保持部であって,それぞれ前記支持部と一体成形されている,前記一対のローラ保持部と, 両端部が前記一対のローラ保持部の各々に支持されたニップローラ軸と, 前記ニップローラ軸に回動自在な状態で軸支されたニップローラと, を有するラベルプリンタであって, 前記一対のローラ保持部は,前記ニップローラ軸の両端部を挿通させて,前記ニップローラ軸の両端部を覆うように支持することを特徴とするラベルプリンタ。 【請求項3】 前記一対のローラ保持部は,前記ニップローラ軸の両端部から前記ニップローラ軸の軸方向中央部に向かって,前記ニップローラ両端まで前記ニップローラ軸を覆うように支持することを特徴とする請求項1に記載のラベルプリンタ。 【請求項4】 前記剥離機構部は,少なくとも,前記一対のローラ保持部,前記ニップローラ軸及び前記ニップローラが前記筐体内に設けられたことを特徴とする請求項1又は3のいずれか一項に記載のラベルプリンタ。 【請求項5】 前記支持部は,第一の樹脂からなり,前記ニップローラは,前記第一の樹脂とは異なる第二の樹脂からなることを特徴とする請求項1,3及び4のいずれか一項に記載のラベルプリンタ。 【請求項6】 前記ローラ保持部は,前記ニップローラ軸の延在方向に沿って設けられた肉厚部を有し, 前記肉厚部は,台紙に仮着された前記印字媒体を,前記剥離機構部を前記搬送ローラに近接配置することにより前記剥離バー及び前記ニップローラを使って前記台紙から剥がして発行する剥離発行モードで印字する際に,前記剥離バーが位置する方向と逆方向に突出する形状を有していることを特徴とする請求項1,3乃至5のいずれか一項に記載のラベルプリンタ。 【請求項7】 削除 【請求項8】 前記剥離機構部は,少なくとも,前記一対のローラ保持部,前記ニップローラ軸及び前記ニップローラが前記筐体内に設けられたことを特徴とする請求項2に記載のラベルプリンタ。 【請求項9】 前記支持部は,第一の樹脂からなり,前記ニップローラは,前記第一の樹脂とは異なる第二の樹脂からなることを特徴とする請求項2及び8に記載のラベルプリンタ。 【請求項10】 前記ローラ保持部は,前記ニップローラ軸の延在方向に沿って設けられた肉厚部を有し, 前記肉厚部は,台紙に仮着された前記印字媒体を,前記剥離機構部を前記搬送ローラに近接配置することにより前記剥離バー及び前記ニップローラを使って前記台紙から剥がして発行する剥離発行モードで印字する際に前記剥離バーが位置する方向と逆方向に突出する形状を有していることを特徴とする請求項2,8乃至9のいずれか一項に記載のラベルプリンタ。」 2 検甲号証及び甲号証の記載 (1)検甲第1号証の発明 検甲第1号証(モービルプリンタプチラパンPT200e-W1(製造者 株式会社サトー))には以下の事項が示されている。 ア 検甲第1号証は,検証調書のとおり,筐体の背面に「MODEL:PT200e-W1」及び「製造者 株式会社サトー」と記載されており,これは甲第10号証の「プチラパンPT200e」(第1頁上段の機器の近傍),「2インチモービルプリンタ PT200e」(第2頁「さらに使いやすく小型・軽量・高性能」と記載された囲み記事内)「このカタログの記載内容は2005年1月現在のものです。」(4頁右下隅の区画)の記載からみて,検甲第1号証は甲第10号証に記載されている「2インチモービルプリンタ PT200e」であって,本件特許の優先日である平成26年6月25日より前に公然知られたものであることが認められる。 イ 平成29年2月23日に行った検証により確認された事項は以下のとおりである。 (ア)検甲第1号証の筐体の背面に,「MODEL:PT200e-W1」及び「製造者 株式会社サトー」と記載されていることを確認した。(写真1参照) (イ)検甲第1号証は,一面に開口部を備えた筐体を備えていることを確認した。(写真2参照) (ウ)検甲第1号証は,前記筐体に開閉可能な状態で取り付けられた開閉カバーを備えていることを確認した。(写真3,写真4参照) (エ)検甲第1号証は,開閉カバーに回動可能な状態で軸支され,印字媒体を搬送する搬送ローラを備えていることを確認した。(写真5,写真6参照) (オ)検甲第1号証は,開閉カバーに固定され,搬送ローラの近傍に配置された剥離バーを備えていることを確認した。(写真7,写真8参照) (カ)検甲第1号証は,前記筐体内に設けられ,開閉カバーの閉止時に搬送ローラに対向するように配置されている,黒と緑色のラインが延びている部材を備えていることを確認した。(写真9,写真10参照) (キ)検甲第1号証は,搬送ローラに近接配置される剥離機構部を備えていることを確認した。(写真11,写真12,写真13,写真14,写真15,写真16,写真17,写真18参照) (ク)検甲第1号証は,剥離機構部が,印字媒体の搬送方向と直交する方向において互いに対向するように設けられた一対の支持部を備えていることを確認した。(写真19,写真20参照) (ケ)検甲第1号証は,剥離機構部には一対の支持部から,搬送方向と直交する方向でかつ互いに近接している一対の部材が備えられており,一対の部材は,それぞれ一対の支持部に一体形成され,一対の部材は貫通孔を有し,該貫通孔にはローラ軸が保持されていることを確認した。(写真21,写真22参照) (コ)検甲第1号証は,剥離機構部は,両端部が一対の前記部材の各々に支持されたニップローラ軸を備えていることを確認した。(写真23参照) (サ)検甲第1号証は,剥離機構部は,ニップローラ軸に回動自在な状態で軸支されたニップローラを備えていることを確認した。 (シ)検甲第1号証は,一対の部材は,ニップローラ軸の両端部を挿通させて,ニップローラ軸の両端を覆うように支持していることを確認した。 (ス)検甲第1号証は,剥離機構部は,その一部が筐体内に設けられていることを確認した。。 (セ)検甲第1号証は,支持部は硬い樹脂からなり,ニップローラは支持部より軟らかい樹脂からなるものであることを確認した。 (ソ)検甲第1号証は,前記部材は,ニップローラ軸の延在方向に沿って,2.5?3mm程度の厚さを有するものであることを確認した。(写真24,写真25参照) ウ 検証調書の写真から看取できる事項は以下のとおりである。 (タ)検証調書の写真21,写真22,写真23から,一対の部材は,一対の支持部の対向する面のみに設けられており,一対の支持部の対向する面とは反対側の面にまで延在しているものではないことが看て取れる。 また,一対の支持部の対向する面は,支持部の端面になるから,一対の部材は一対の支持部の対向する端面のみから延びていることは自明である。 したがって, (チ)上記(ケ)で述べたとおり,一対の部材は,一対の支持部から,搬送方向と直交する方向でかつ互いに近接しており,また写真15,写真21,写真22,写真23から一対の支持部の端面は搬送方向と平行に延在していることが看て取れる。 したがって,一対の部材は,一対の支持部の端面と直交することとなる。 (ツ)検証調書の写真21,写真22,写真23から,本件特許発明2のローラ保持部に相当する一対の第2部材は,略円柱状の外形をなし,該円柱状の対向する(開放)端面が,互いに近接する方向に伸びており,その伸びる方向は,他の方向を持たない,つまり,直線状であって,互いに最短距離をとっていることが看て取れる。 したがって,一対の部材は,互いに近接する方向のみに延びているといえる。 (テ)検証調書の写真11,写真12,写真15,写真16,写真17,写真18,写真19,写真20,写真21,写真22,写真23から,「剥離機構部」の一部は,筐体内に設けられており,剥離機構部には「一対の部材」,「ニップローラ軸」及び「ニップローラ」が含まれ,少なくとも「一対の部材」,「ニップローラ軸」及び「ニップローラ」は,筐体内に設けられていることが看て取れる。 したがって,剥離機構部は,少なくとも,前記一対の部材,前記ニップローラ軸及び前記ニップローラが前記筐体内に設けられているといえる。 以上のことより,検甲第1号証のモービルプリンタにより,本件特許の優先日前に公然知られた発明は,以下のとおりのものと認められる。(以下,「検甲1発明」という。) 「一面に開口部を備えた筐体と, 前記筐体に,開閉可能な状態で取り付けられた開閉カバーと, 前記開閉カバーに,回動可能な状態で軸支され,印字媒体を搬送する搬送ローラと, 前記開閉カバーに固定され,搬送ローラの近傍に配置された剥離バーと, 前記筐体内に設けられ,開閉カバーの閉止時に搬送ローラに対向するように配置されている,黒と緑色のラインが延びている部材と, 前記搬送ローラに近接配置され,かつその一部が筐体内に設けられる剥離機構部とを備え, 前記剥離機構部は, 印字媒体の搬送方向と直交する方向において互いに対向するように設けられた一対の支持部と, 該一対の支持部の対向する端面のみから,各支持部の前記端面と直交し,かつ互いに近接しする方向のみに延びている一対の部材が備えられており, 前記一対の部材は,それぞれ一対の支持部に一体形成されるとともに貫通孔を有し,該貫通孔にはローラ軸が保持され, 前記剥離機構部は,両端部が前記一対の部材の各々に支持されたニップローラ軸と,該ニップローラ軸に回動自在な状態で軸支されたニップローラを備え, 前記一対の部材は,ニップローラ軸の両端部を挿通させて,ニップローラ軸の両端を覆うように支持し, 前記支持部は硬い樹脂からなり,前記ニップローラは支持部より軟らかい樹脂からなり, 前記一対の部材は,ニップローラ軸の延在方向に沿って,2.5?3mm程度の厚さを有し, 剥離機構部は,少なくとも,前記一対の部材,前記ニップローラ軸及び前記ニップローラが前記筐体内に設けられるモービルプリンタ。」 (2)甲第1号証に記載された発明 甲第1号証(特開2007-185774号公報)には以下の記載がある。 ア 「【0033】 図1に示すように,ピーラー付きプリンタ1は,全体として前後方向に長い扁平な直方体形状をしている。当該ピーラー付きプリンタ1のプリンタ外装ケース2の上面の後半部分には,開閉蓋4および開閉式のピーラーユニット10が配置されている。開閉蓋4とピーラーユニット10の間には,プリンタ幅方向に延びる台紙排出口11が形成されている。また,ピーラーユニット10にはプリンタ幅方向に延びるラベル排出口12が形成されている。」 イ 「【0037】 図3に二点鎖線で示すように,プリンタ内部には,ロール紙収納部15に装填されたロール紙14から繰り出される用紙14Aを,プリンタ上面中央部に形成されている台紙排出口11およびラベル排出口12に導く搬送経路18が形成されている。この搬送経路18の途中位置にはサーマルヘッド19が配置されている。サーマルヘッド19の印刷面19aと,開閉蓋4の側に搭載されているプラテンローラ20は,用紙14Aを挟み,サーマルヘッド19の後方側からの所定の力により,互いに押し付けられている。 【0038】 用紙14Aが,後述の図5(b),図6(c)および図8に示してあるように,長尺状の台紙14bと,この表面に一定間隔で貼り付けられている一定の長さおよび幅のラベル14cとを備えたものである場合には,用紙14Aはプラテンローラ20によって搬送されながら,そのラベル14cの表面にサーマルヘッド19によって印刷が施される。印刷後の用紙14Aは,ラベル排出口12に導かれるラベル排出経路18a,および台紙排出口11に導かれる台紙排出経路18bのいずれかに沿って搬送されて,排出される。」 ウ 「【0040】 ラベル排出経路18aと台紙排出経路18bの分岐点には,プリンタ幅方向に延びるピーラー軸23が配置されている。ピーラー軸23は,用紙14Aを直角以上に湾曲させてプリンタ後方に案内する小径の軸であり,開閉蓋4の側に搭載されている。ピーラー軸23の後方下側に位置するプラテンローラ20には,上側から,ピーラーユニット10の側に取り付けられている台紙押えローラ24が連れ回り可能な状態で押し付けられている。 【0041】 ピーラー軸23によって用紙14Aが湾曲することにより,台紙14bの表面に貼りついているラベル14cが,それ自身の腰の強さ(剛性)によって台紙14bから剥がれて分離する。分離後,剥離したラベル14cはラベル排出口12に導かれるラベル排出経路18aへ搬送される。一方,台紙14bはプラテンローラ20と台紙押えローラ24に挟持されながら,台紙排出口11に導かれる台紙排出経路18bへ搬送される。このように,本例では,プリンタ本体側に取り付けられているピーラーユニット10(台紙押えローラ24)と,開閉蓋4の側に取り付けられているピーラー軸23によって,ピーラー30が構成されている。」 エ 「【0044】 まず,プリンタ本体側に取り付けられているピーラーユニット10は,プリンタ本体側の支軸16を中心として上下に旋回可能なユニット枠31と,台紙押えローラ24を支持している台紙押えローラ支持枠35(旋回部材)とを備えており,台紙押えローラ支持枠35はユニット枠31によって上下に旋回可能な状態で支持されている。 【0045】 台紙押えローラ支持枠35を図5A,5Bに示す上側の第1旋回位置35Aにセットした状態でピーラーユニット10を閉じると,台紙押えローラ24は用紙14Aを挟み,プラテンローラ20の上側から押し付けられた台紙押え位置24Aにセットされる。この状態は,ピーラー軸23を介して台紙14aを台紙排出口11に向けて搬送可能な状態であり,ラベル剥離動作を行うことができるピーラーの動作可能な状態である。 【0046】 これに対して,台紙押えローラ支持枠35を図6(a)?図6(c)に示す下側の第2旋回位置35Bにセットした状態でピーラーユニット10を閉じると,台紙押えローラ24はプラテンローラ20には当たらずに,その前方側の位置に退避した退避位置24Bにセットされる。この状態は,ピーラー軸23を介して台紙14aを台紙排出口11に向けて排出できない状態であり,ラベル剥離動作が行われないピーラー30の退避状態である。 【0047】 従って,ピーラーユニット10を図2,4に示すように開けた状態において,その台紙押えローラ支持枠35を第1旋回位置35Aから第2旋回位置35Bに旋回した状態にセットし,この状態でピーラーユニット10を閉じると,ピーラー30を退避状態に切り替えることができる。」 オ 「【0048】 次に,各部の構造を詳細に説明する。上下に旋回可能なユニット枠31は,プリンタ幅方向に延びる連結部32と,この連結部32の両端部からプリンタ後方に直角に折れ曲がって延びている左右の腕部33,34とを備えている。腕部33,34の前端には軸穴33a,34aが形成されており,ここに回転自在の状態でプリンタ本体側の支軸16が差し通されており,当該支軸16を中心としてユニット枠31が上下に旋回可能である。ユニット枠31は支軸16に取り付けたねじりバネ(図示せず)によって,常に上方(開き方向)に付勢されている。 【0049】 ユニット枠31の左右の腕部33,34の間には,台紙押えローラ支持枠35が上下方向に旋回可能な状態で取り付けられている。台紙押えローラ支持枠35は,プリンタ幅方向に延びる連結部36と,この両端部からプリンタ前方に直角に折れ曲がって延びる左右の腕部37,38と備えている。連結部36の下側には台紙押えローラ24が回転自在の状態で取り付けられている。左右の腕部37,38のプリンタ前端部にはプリンタ幅方向の外側に円柱状の支軸39,40が突出しており,これらの支軸39,40は,ユニット枠31の左右の腕部33,34に回転可能な状態で取り付けられている。」 カ 上記ア及び【図1】乃至【図3】から,ピーラーユニット10は,プリンタ外装ケース2から一部が露出し,そのほぼすべてがプリンタ外装ケース2内に設けられていることが看て取れる。 キ 【図4】から,「ピーラー軸23」は,「プラテンローラ20」の近傍に配置される点が看て取れる。 ク 【図5】から,「台紙押えローラ24」は,連結部36の下側に設けられた凹部に,その軸が嵌合している点が看て取れる。 ケ 【図5】,【図6】から,「ピーラーユニット10」は,「プラテンローラ20」に近接配置される点が看て取れる。 コ 上記エ及び【図5】から,ピーラーユニット10のユニット枠31は,プリンタ幅方向に延びる連結部32と,この連結部32の両端部からプリンタ後方に直角に折れ曲がって延びている左右の腕部33,34とを備え,該腕部33,34の間には,台紙押えローラ支持枠35が上下方向に旋回可能な状態で取り付けられている点が看て取れる。 サ 上記エ及び【図1】,【図3】及び【図5】から、「ピーラーユニット10」の一部を構成している「台紙押えローラ支持枠35」,「台紙押えローラ24」,「台紙押えローラ24の軸」が,「プリンタ外装ケース2」内に設けられている点が看て取れる。 上記ア乃至コの記載を総合すると,甲第1号証には,次の発明が開示されていると認められる。(以下「甲1発明」という。) 「プリンタ外装ケース2の上面の後半部分には,開閉蓋4および開閉式のピーラーユニット10が設けられ,ピーラーユニット10を構成する、少なくとも台紙押えローラ支持枠35,台紙押えローラ24,台紙押えローラ24の軸が,プリンタ外装ケース2内に設けられ、 開閉蓋4の側に搭載されているプラテンローラ20は,長尺状の台紙14bと,この表面に一定間隔で貼り付けられている一定の長さおよび幅のラベル14cとを備えた用紙14Aを挟み,サーマルヘッド19の後方側からの所定の力により,互いに押し付けられており, 開閉蓋4の側に搭載されているピーラー軸23は,用紙14Aを直角以上に湾曲させてプリンタ後方に案内する小径の軸であって,プラテンローラ20の近傍に配置され, ピーラーユニット10は,プリンタ本体側の支軸16を中心として上下に旋回可能なユニット枠31と,台紙押えローラ支持枠35(旋回部材)とを備えて,プラテンローラ20に近接配置され, ユニット枠31は,プリンタ幅方向に延びる連結部32と,この連結部32の両端部からプリンタ後方に直角に折れ曲がって延びている左右の腕部33,34とを備え,該腕部33,34の間には,台紙押えローラ支持枠35が設けられ, 該支持枠35は,プリンタ幅方向に延びる連結部36と,この両端部からプリンタ前方に直角に折れ曲がって延びる左右の腕部37,38と備え,連結部36の下側に設けられた凹部に,台紙押えローラ24の軸が嵌合することで,台紙押えローラ24が回転自在の状態で取り付けられており, プラテンローラ20には,上側から,該台紙押えローラ24が,連れ回り可能な状態で,押し付けられているピーラー付きプリンタ。」 (3)甲第2号証に記載された発明 甲第2号証(特開平2-14173号公報)には以下の記載がある。 ア 「これと同時に開いた排紙側ピンチローラアーム(6)の他端(6C)により一端(12a)が押されて排紙従動ローラアーム(12)がフレーム軸(13)を支点としてバネ(17)に抗して回転し,排紙従動ローラ(11)が排紙主動ローラ(10)に押し付けられて用紙(4)を挟持し,排紙主動ローラ(10)の回転により用紙(4)を矢印の方向に排出する。」(第2頁右下欄第1?8行) イ 「図において,(24)は第1のアーム(24A)と第2のアーム(24B)とで構成される排紙従動ローラアームで,第1のアーム(24A)にはフレーム軸(13)への挿入用軸受部(24a)と他端の支持軸部(24b)とが合成樹脂により一体成形され,また第2のアーム(24B)には支持軸部(24b)への挿入用軸受部(24c)と排紙従動ローラ(11)の軸(11a)ヘの挿入用軸受部(24d)と先端が第1のアーム(24A)に係止して支持軸部支持軸部(24b)から外れるのを防止するL状ストッパ一部(24e)とが合成樹脂により一体成形されている。」(第2頁右上欄第19行?左下欄第10行) ウ 「また第2のアーム(24B)に支持軸部(24b)への挿入用軸受部(24c)と排紙従動ローラ(11)の軸(11a)への挿入用軸受部(24d)と先端が第1のアーム(24A)に係止するL状ストッパ一部(24e)とを合成樹脂により一体成形しておくと従来機構の2個の軸受および1個の止め輪が不要となるので,排紙従動ローラアーム(24)の部品点数が削減される。」(第2頁左下欄第14行?右下欄第2行) エ 第1図に記載されたこの発明の一実施例を示す主要部の斜視図は,用紙の搬送方向下流に向かって右側の部分であって,印字装置の常識を踏まえれば,この斜視図に描かれた構造と線対称に左側部分が存在することは自明であり,線対称であるから,第2のアーム(24B),挿入用軸受部(24c)及び挿入用軸受部(24d)は左右一対であることも自明である。 オ 左右一対に設けられた第2のアーム(24B)は,線対称であることを踏まえれば,印字媒体の搬送方向と直交する方向において互いに対向するように設けられていることは自明である。 カ 第2図から,排紙従動ローラ(11)の軸(11a)への挿入用軸受部(24d)は,第2のアーム(24B)と直交していることが看て取れ,該左右一対の挿入用軸受部(24d)は,線対称であることを踏まえれば,互いに近接する方向に延びていることは自明である。 キ 第2図から,挿入用軸受部(24d)は,筒状部分と該筒状部分の内部に同心状に設けられた孔から構成され,上記Dで述べたように左右一対,かつ対向するように設けられているから,挿入用軸受部(24d)の筒状部分の延びる方向は,内部に設けられた排紙従動ローラ(11)の軸(11a)の端部が挿通する孔の軸線方向に沿った方向に一致しているといえ,他の方向を持たない,つまり,挿入用軸受部(24d)の延びる方向は直線状であることが看て取れる。 ク 第2図から,挿入用軸受部(24d)の筒状部分は,排紙従動ローラ(11)の軸(11a)の両端部を挿通させて,前記軸(11a)の両端部を覆うように支持していることが看て取れる。 上記ア乃至クの記載を総合すると,甲第2号証には,次の発明が開示されていると認められる。(以下「甲2発明」という。) 「前記印字媒体の搬送方向と直交する方向において互いに対向するように設けられた一対の第2のアーム(24B)と, 前記一対の第2のアーム(24B)から,各第2のアーム(24B)と直交し,かつ互いに近接する方向に延びている一対の挿入用軸受部(24d)であって,それぞれ前記第2のアーム(24B)と一体成形されている,前記一対の挿入用軸受部(24d)と, 両端部が前記一対の挿入用軸受部(24d)の各々に支持された排紙従動ローラ(11)の軸(11a)と, 前記一対の挿入用軸受部(24d)は,前記排紙従動ローラ(11)の両端部の軸(11a)を挿通させて,前記排紙従動ローラ(11)の両端部の軸(11a)を覆うように支持する印字装置。」 3 当審の判断 (1)本件特許発明1について ア 特許法第29条第1項第1号について (ア)対比 本件特許発明1と,検甲1発明とを対比する。 後者の「一対の部材」は,前者の「ローラ保持部」に相当する。 後者の「黒と緑色のラインが延びている部材」は,技術常識からみて印字媒体に印字を施す部材であることは自明であるから,前者の「印字ヘッド」に相当する。 後者の「剥離機構部」は,搬送ローラに近接配置されており,該搬送ローラは印字する際に印字媒体を搬送するためのものであるから,後者は前者の「印字媒体を印字する際に前記搬送ローラに近接配置される剥離機構部」に相当する構成を備えているといえる。 後者において,剥離機構部及び剥離バーを有していることから,前者において使用される台紙(剥離紙)とラベルからなる印字媒体を使用することは自明である。 後者において「剥離バー」は,棒状体であって,その両端が開閉カバーが固定されており,印字媒体の剥離の際に台紙部を屈曲させる機能を有するものである。 そして,広辞苑の「その物の支えとなるような棒状の部分」という「軸」の意味を踏まえると,本件特許発明2の剥離バーの「軸支」とは,印字媒体の剥離の際に台紙部を屈曲させる機能を有する棒状体の両端が開閉カバーで支えられているという意味となり,検甲1発明の剥離バーも,その両端が開閉カバーが固定されて,開閉カバーで支えられていることは明らかであるから,後者の「剥離バー」は,前者の「開閉カバーに軸支」されるに相当する構成を備えているといえる。 以上のことより,両者は, 一致点 「一面に開口部が形成された筐体と, 前記筐体に開閉可能な状態で取り付けられた開閉カバーと, 前記開閉カバーに回動可能な状態で軸支され,印字媒体を搬送する搬送ローラと, 前記開閉カバーに軸支され,前記搬送ローラの近傍に配置された剥離バーと, 前記筐体内に設けられ,前記開閉カバーの閉止時に前記搬送ローラに対向するように配置されて前記印字媒体に印字を施す印字ヘッドと, 前記印字媒体を印字する際に前記搬送ローラに近接配置される剥離機構部と, を備え, 前記剥離機構部は, 前記印字媒体の搬送方向と直交する方向において互いに対向するように設けられた一対の支持部と, 前記一対の支持部から,各支持部と直交し,かつ互いに近接する方向に延びている一対のローラ保持部であって,それぞれ前記支持部と一体成形されている,前記一対のローラ保持部と, 両端部が前記一対のローラ保持部の各々に支持されたニップローラ軸と, 前記ニップローラ軸に回動自在な状態で軸支されたニップローラと, を有するラベルプリンタ。」である点で一致し,以下の点で相違している。 相違点1a 一対の支持部に関して,前者は「一対の支持部のうち前記ニップローラが設けられている側が,前記ローラ保持部によって覆われたニップローラ軸によってのみ連結」されている,つまりプリンタの幅方向における連結部材は「ニップローラ軸」のみであるのに対して,後者ではそうではない点。 (イ)判断 本件特許発明1と検甲1発明との間に相違点1aがある以上,本件特許発明1は検甲1発明ではない。 イ 特許法第29条第2項について (ア)対比 A 本件特許発明1と甲1発明とを対比する。 後者の「プリンタ外装ケース2」は,前者の「筐体」に相当する。 後者の「開閉蓋4」は,前者の「開閉カバー」に相当する。 後者の「プラテンローラ20」は,前者の「搬送ローラ」に相当する。 後者の「ピーラー軸23」は,前者の「剥離バー」に相当する。 後者の「用紙14A」は,前者の「印字媒体」に相当する。 後者の「サーマルヘッド19」は,前者の「印字ヘッド」に相当する。 後者の「ピーラーユニット10」は,前者の「剥離機構部」に相当する。 後者の「台紙押えローラ支持枠35」は,前者の「支持部」に相当する。 後者の「凹部」は,前者の「ローラ保持部」に相当する。 後者の「台紙押えローラ24」は,前者の「ニップローラ」に相当する。 後者の「台紙押えローラ24の軸」は,前者の「ニップローラ軸」に相当する。 後者のプリンタ外装ケース2の上面の後半部分には,開閉蓋4および開閉式のピーラーユニット10が設けられることから,プリンタ外装ケース2に開口部が形成されていることは自明である。 後者において「ピーラー軸23」は,棒状体であって,その両端が開閉蓋4に固定されており,印字媒体の剥離の際に台紙部を屈曲させる機能を有するものである。 そして,広辞苑の「その物の支えとなるような棒状の部分」という「軸」の意味を踏まえると,本件特許発明1の剥離バーの「軸支」とは,印字媒体の剥離の際に台紙部を屈曲させる機能を有する棒状体の両端が開閉カバーで支えられているという意味となり,甲1発明のピーラー軸23も,その両端が開閉蓋4に固定されて,開閉カバーで支えられていることは明らかであるから,後者の「ピーラー軸23」は,前者の「開閉カバーに軸支」されるに相当する構成を備えているといえる。 以上のことより,両者は, 一致点 「一面に開口部が形成された筐体と, 前記筐体に開閉可能な状態で取り付けられた開閉カバーと, 前記開閉カバーに回動可能な状態で軸支され,印字媒体を搬送する搬送ローラと, 前記開閉カバーに軸支され,前記搬送ローラの近傍に配置された剥離バーと, 前記筐体内に設けられ,前記開閉カバーの閉止時に前記搬送ローラに対向するように配置されて前記印字媒体に印字を施す印字ヘッドと, 前記印字媒体を印字する際に前記搬送ローラに近接配置される剥離機構部と, を備え, 前記剥離機構部は, 前記印字媒体の搬送方向と直交する方向において互いに対向するように設けられた一対の支持部と, 前記一対の支持部に設けられた一対のローラ保持部と, 両端部が前記一対のローラ保持部の各々に支持されたニップローラ軸と, ニップローラを有するラベルプリンタ。」である点で一致し,以下の点で相違している。 相違点1b 一対のローラ保持部に関して,前者は「一対の支持部から,各支持部と直交し,かつ互いに近接する方向に延びている一対のローラ保持部であって,それぞれ前記支持部と一体成形」されているのに対して,後者では,そうではない点。 相違点2b ニップローラ軸とニップローラの関係に関して,前者は「ニップローラ軸に回動自在な状態で軸支されたニップローラ」であるのに対して,後者ではどのような構造であるのか不明な点。 相違点3b 一対の支持部に関して,前者は「一対の支持部のうち前記ニップローラが設けられている側が,前記ローラ保持部によって覆われたニップローラ軸によってのみ連結」されている,つまりプリンタの幅方向における連結部材は「ニップローラ軸」のみであるのに対して,後者ではそうではない点。 (イ)判断 事案に鑑みて,相違点3bについて検討する。 本件特許発明1の剥離機構部に相当し,ユニット枠31と,台紙押えローラ支持枠35を備えてなる甲1発明のピーラーユニット10について検討する。 ユニット枠31は,プリンタ幅方向に延びる連結部32と,この連結部32の両端部からプリンタ後方に直角に折れ曲がって延びている左右の腕部33,34とを備えるものであって,該連結部32はプリンタ幅方向に延在するものである。 台紙押えローラ支持枠35は,プリンタ幅方向に延びる連結部36と,この両端部からプリンタ前方に直角に折れ曲がって延びる左右の腕部37,38と備えるものであって,該連結部36はプリンタ幅方向に延在するものであり,さらに,連結部36の下側には台紙押えローラ24が,同じくプリンタ幅方向に延在するように取り付けられている。 したがって,本件特許発明1の台紙押えローラ支持枠35又はピーラーユニット10は,ニップローラに相当する台紙押えローラ24の軸によってのみ連結されているものではない。 そして,相違点3bに係る本件特許発明1の発明特定事項に関して,検甲1号証や他の各甲号証には記載も示唆もされず,ラベルプリンタの技術分野において設計的事項とする根拠もない。 本件特許発明1は,願書に添付した明細書における段落【0006】の「ラベルプリンタにおいても,部品コスト低減の観点から,剥離機構部の部品の多くを合成樹脂の成形品で構成している。」,段落【0007】の「剥離機構部の部品の多くを合成樹脂の成形品で構成した場合には,合成樹脂部品の機械的強度の劣化を如何にして抑制するかが重要な課題となる」,段落【0008】の「剥離機構部の機械的強度を向上させることのできる技術を提供する」等の記載を踏まえると,上記の発明特定事項によって,本件特許発明1は,剥離機構部の部品コスト低減させつつ,機械的強度を向上させることができるという顕著な効果を奏するものである。 したがって,上記相違点1b及び相違点2bについて判断するまでもなく,本件特許発明1は,甲1発明から当業者が容易に発明し得たものではない。 (ア)対比 B 本件特許発明1と検甲1発明とを対比する。 「(1)本件特許発明1について」、「ア 特許法第29条第1項第1号について」で検討したとおり、本件特許発明1と,検甲1発明とは、以下の相違点1cでのみ相違し、その他の点で一致する。 相違点1c 一対の支持部に関して,前者は「一対の支持部のうち前記ニップローラが設けられている側が,前記ローラ保持部によって覆われたニップローラ軸によってのみ連結」されている,つまりプリンタの幅方向における連結部材は「ニップローラ軸」のみであるのに対して,後者ではそうではない点。 (イ)判断 相違点1cについて検討する。 相違点1cは,上記相違点3bと同じである。 そして,上記相違点3bにおいて検討したとおり,相違点1cに係る本件特許発明1の発明特定事項に関して,他の各甲号証には記載も示唆もされず,ラベルプリンタの技術分野において設計的事項とする根拠もなく,相違点1cに係る本件特許発明1の発明特定事項によって,本件特許発明1は顕著な効果を奏するものである。 したがって,本件特許発明1は,検甲1発明から当業者が容易に発明し得たものではない。 ウ 小括 したがって,本件特許発明1は検甲1発明ではない。 本件特許発明1は甲1発明から当業者が容易に発明し得たものではなく,特に,甲1発明と甲第3?7号証に記載される周知技術とから,また,甲1発明と甲第2号証記載事項とから当業者が容易に発明し得たものではない。 検甲1発明から当業者が容易に発明し得たものではなく,特に,検甲1発明と甲第3?7号証に記載される周知技術とから,また,検甲1発明と甲第2号証記載事項とから当業者が容易に発明し得たものではない。 (2)本件特許発明2について ア 特許法第29条第1項第1号について (ア)対比 本件特許発明2と,検甲1発明とを対比する。 後者の「一対の部材」は,前者の「ローラ保持部」に相当する。 後者の「黒と緑色のラインが延びている部材」は,技術常識からみて印字媒体に印字を施す部材であることは自明であるから,前者の「印字ヘッド」に相当する。 後者の「剥離機構部」は,搬送ローラに近接配置されており,該搬送ローラは印字する際に印字媒体を搬送するためのものであるから,後者は前者の「印字媒体を印字する際に前記搬送ローラに近接配置される剥離機構部」に相当する構成を備えているといえる。 後者において,剥離機構部及び剥離バーを有していることから,前者において使用される台紙(剥離紙)とラベルからなる印字媒体を使用することは自明である。 後者において「剥離バー」は,棒状体であって,その両端が開閉カバーが固定されており,印字媒体の剥離の際に台紙部を屈曲させる機能を有するものである。 そして,広辞苑の「その物の支えとなるような棒状の部分」という「軸」の意味を踏まえると,本件特許発明2の剥離バーの「軸支」とは,印字媒体の剥離の際に台紙部を屈曲させる機能を有する棒状体の両端が開閉カバーで支えられているという意味となり,検甲1発明の剥離バーも,その両端が開閉カバーが固定されて,開閉カバーで支えられていることは明らかであるから,後者の「剥離バー」は,前者の「開閉カバーに軸支」されるに相当する構成を備えているといえる。 以上のことより,両者は, 一致点 「一面に開口部が形成された筐体と, 前記筐体に開閉可能な状態で取り付けられた開閉カバーと, 前記開閉カバーに回動可能な状態で軸支され,印字媒体を搬送する搬送ローラと, 前記開閉カバーに軸支され,前記搬送ローラの近傍に配置された剥離バーと, 前記筐体内に設けられ,前記開閉カバーの閉止時に前記搬送ローラに対向するように配置されて前記印字媒体に印字を施す印字ヘッドと, 前記印字媒体を印字する際に前記搬送ローラに近接配置される剥離機構部と, を備え, 前記剥離機構部は, 前記印字媒体の搬送方向と直交する方向において互いに対向するように設けられた一対の支持部と, 前記一対の支持部の対向する端面のみから,各支持部の前記端面と直交し,かつ互いに近接する方向のみに延びている一対のローラ保持部であって,それぞれ前記支持部と一体成形されている,前記一対のローラ保持部と, 両端部が前記一対のローラ保持部の各々に支持されたニップローラ軸と, 前記ニップローラ軸に回動自在な状態で軸支されたニップローラと, を有するラベルプリンタであって, 前記一対のローラ保持部は,前記ニップローラ軸の両端部を挿通させて,前記ニップローラ軸の両端部を覆うように支持することを特徴とするラベルプリンタ。」である点で一致し,相違はない。 (イ)判断 本件特許発明2と検甲1発明に相違はなく,本件特許発明2は,検甲1発明である。 イ 特許法第29条第2項について (ア)対比 本件特許発明2と甲1発明とを対比する。 後者の「プリンタ外装ケース2」は,前者の「筐体」に相当する。 後者の「開閉蓋4」は,前者の「開閉カバー」に相当する。 後者の「プラテンローラ20」は,前者の「搬送ローラ」に相当する。 後者の「ピーラー軸23」は,前者の「剥離バー」に相当する。 後者の「用紙14A」は,前者の「印字媒体」に相当する。 後者の「ピーラーユニット10」は,前者の「剥離機構部」に相当する。 後者の「台紙押えローラ支持枠35」は,前者の「支持部」に相当する。 後者の「凹部」は,前者の「ローラ保持部」に相当する。 後者の「台紙押えローラ24」は,前者の「ニップローラ」に相当する。 後者の「台紙押えローラ24の軸」は,前者の「ニップローラ軸」に相当する。 後者のプリンタ外装ケース2の上面の後半部分には,開閉蓋4および開閉式のピーラーユニット10が設けられることから,プリンタ外装ケース2に開口部が形成されていることは自明である。 後者において「ピーラー軸23」は,棒状体であって,その両端が開閉蓋4に固定されており,印字媒体の剥離の際に台紙部を屈曲させる機能を有するものである。 そして,広辞苑の「その物の支えとなるような棒状の部分」という「軸」の意味を踏まえると,本件特許発明2の剥離バーの「軸支」とは,印字媒体の剥離の際に台紙部を屈曲させる機能を有する棒状体の両端が開閉カバーで支えられているという意味となり,甲1発明のピーラー軸23も,その両端が開閉蓋4に固定されて,開閉カバーで支えられていることは明らかであるから,後者の「ピーラー軸23」は,前者の「開閉カバーに軸支」されるに相当する構成を備えているといえる。 以上のことより,両者は, 一致点 「一面に開口部が形成された筐体と, 前記筐体に開閉可能な状態で取り付けられた開閉カバーと, 前記開閉カバーに回動可能な状態で軸支され,印字媒体を搬送する搬送ローラと, 前記開閉カバーに軸支され,前記搬送ローラの近傍に配置された剥離バーと, 前記筐体内に設けられ,前記開閉カバーの閉止時に前記搬送ローラに対向するように配置されて前記印字媒体に印字を施す印字ヘッドと, 前記印字媒体を印字する際に前記搬送ローラに近接配置される剥離機構部と, を備え, 前記剥離機構部は, 前記印字媒体の搬送方向と直交する方向において互いに対向するように設けられた一対の支持部と, 前記一対の支持部に設けられた一対のローラ保持部と, 両端部が前記一対のローラ保持部の各々に支持されたニップローラ軸と, ニップローラを有するラベルプリンタ。」である点で一致し,以下の点で相違している。 相違点1d 前者の一対のローラ保持部が「一対の支持部の対向する端面のみから,各支持部の前記端面と直交し,かつ互いに近接する方向のみに延びている」のに対して,後者ではそのような構成を有しているか不明な点。 相違点2d 前者の一対のローラ保持部が「支持部と一体成形」されているのに対して,後者ではそのような構成を有しているか不明な点。 相違点3d ニップローラ軸とニップローラの関係に関して,前者は「ニップローラ軸に回動自在な状態で軸支されたニップローラ」であるのに対して,後者ではどのような構造であるのか不明な点。 相違点4d 一対のローラ保持部に関して,前者は「ニップローラ軸の両端部を挿通させて,前記ニップローラ軸の両端部を覆うように支持」するのに対して,後者ではそのような構成を有しているか不明な点。 (イ)判断 相違点1d乃至4dについて 相違点1d乃至4dは,「2 検甲号証及び甲号証の記載」の「(1)検甲第1号証の発明」で検討したとおり,すべて検甲一発明が備えている構成である。 ここで,甲1発明も検甲1発明も,本件特許発明2と同じラベルプリンタの技術分野に属するものであって,甲1発明に,検甲1発明が備える相違点1d乃至4dに係る本件特許発明2の発明特定事項を適用することに格別の技術的困難性はなく,適用した結果,格別の作用効果が生じているものでもない。 したがって,相違点1d乃至4dに係る本件特許発明2の発明特定事項は,甲1発明と検甲1発明とから,当業者が容易に想到し得たものである。 また,本件特許発明2の発明特定事項全体によって奏される作用効果も,甲1発明と検甲1発明から,当業者が予測しうる程度のものである。 以上のことより,本件特許発明2は,甲1発明と検甲1発明から当業者が容易に発明し得たものである。 ウ 小括 したがって,本件特許発明2は検甲1発明である。 本件特許発明2は甲1発明と検甲1発明から当業者が容易に発明し得たものである。 (3)本件特許発明3について ア 特許法第29条第2項について 本件特許発明3は,本件特許発明1を直接引用するものである。 そして,本件特許発明1が,検甲1発明でなく,甲1発明または検甲1発明から当業者が容易に発明し得たものではない以上,本件特許発明1に新たな発明特定事項を付加して限定したものである本件特許発明3も,甲1発明または検甲1発明から当業者が容易に発明し得たものではない。 (4)本件特許発明4について ア 特許法第29条第1項第1号について 本件特許発明4は,平成29年11月6日付け訂正請求による訂正により,本件特許発明1を直接又は間接的に引用するが,本件特許発明2を引用しないものに訂正された。 「(1)本件特許発明1について」で検討したとおり,本件特許発明1が検甲1発明でないから,本件特許発明1の発明特定事項をすべて含む本件特許発明4も検甲1発明ではない。 イ 特許法第29条第2項について 本件特許発明4は,平成29年11月6日付け訂正請求による訂正により,本件特許発明1を直接又は間接的に引用するが,本件特許発明2を引用しないものに訂正された。 「(1)本件特許発明1について」で検討したとおり,本件特許発明1が,検甲1発明でなく,甲1発明または検甲1発明から当業者が容易に発明し得たものではない以上,本件特許発明1に新たな発明特定事項を付加して限定したものである本件特許発明4も,甲1発明または検甲1発明から当業者が容易に発明し得たものではない。 ウ 特許法第36条第6項第2号について 平成29年11月6日付け訂正請求により,「剥離機構部は,少なくとも,前記一対のローラ保持部,前記ニップローラ軸及び前記ニップローラが前記筐体内に設けられた」と,訂正された。 上記訂正によって,剥離機構部のうち剥離機構部を構成するどの部材が少なくとも筐体内に設けられているかが明らかになったため,取消理由は解消した。 エ 小括 したがって,本件特許発明4は検甲1発明ではない。 本件特許発明4は甲1発明から当業者が容易に発明し得たものではなく,特に,甲1発明と甲第2号証記載事項とから当業者が容易に発明し得たものではない。 本件特許発明4は検甲1発明から当業者が容易に発明し得たものではなく,特に,検甲1発明と甲第2号証記載事項とから当業者が容易に発明し得たものではない。 本件特許発明4には記載不備も存在しない。 (5)本件特許発明5について ア 特許法第29条第1項第1号について 本件特許発明5は,平成29年11月6日付け訂正請求による訂正により,本件特許発明1を直接又は間接的に引用するが,本件特許発明2を引用しないものに訂正された。 「(1)本件特許発明1について」で検討したとおり,本件特許発明1が検甲1発明でないから,本件特許発明1の発明特定事項をすべて含む本件特許発明5も検甲1発明ではない。 イ 特許法第29条第2項について 本件特許発明5は,平成29年11月6日付け訂正請求による訂正により,本件特許発明1を直接又は間接的に引用するが,本件特許発明2を引用しないものに訂正された。 「(1)本件特許発明1について」で検討したとおり,本件特許発明1が,検甲1発明でなく,甲1発明または検甲1発明から当業者が容易に発明し得たものではない以上,本件特許発明1に新たな発明特定事項を付加して限定したものである本件特許発明5も,甲1発明または検甲1発明から当業者が容易に発明し得たものではない。 ウ 小括 したがって,本件特許発明5は検甲1発明ではない。 本件特許発明5は甲1発明から当業者が容易に発明し得たものではなく,特に,甲1発明と甲第2号証記載事項とから当業者が容易に発明し得たものではない。 検甲1発明から当業者が容易に発明し得たものではなく,特に,検甲1発明と甲第2号証記載事項とから当業者が容易に発明し得たものではない。 (6)本件特許発明6について ア 特許法第29条第1項第1号について 本件特許発明6は,平成29年11月6日付け訂正請求による訂正により,本件特許発明1を直接又は間接的に引用するが,本件特許発明2を引用しないものに訂正された。 「(1)本件特許発明1について」で検討したとおり,本件特許発明1が検甲1発明でないから,本件特許発明1の発明特定事項をすべて含む本件特許発明6も検甲1発明ではない。 イ 特許法第29条第2項について 本件特許発明6は,平成29年11月6日付け訂正請求による訂正により,本件特許発明1を直接又は間接的に引用するが,本件特許発明2を引用しないものに訂正された。 「(1)本件特許発明1について」で検討したとおり,本件特許発明1が,検甲1発明でなく,甲1発明または検甲1発明から当業者が容易に発明し得たものではない以上,本件特許発明1に新たな発明特定事項を付加して限定したものである本件特許発明6も,甲1発明または検甲1発明から当業者が容易に発明し得たものではない。 ウ 特許法第36条第6項第2号について 平成29年11月6日付け訂正請求により,「ローラ保持部は,前記ニップローラ軸の延在方向に沿って設けられた肉厚部を有し,前記肉厚部は,台紙に仮着された前記印字媒体を,前記剥離機構部を前記搬送ローラに近接配置することにより前記剥離バー及び前記ニップローラを使って前記台紙から剥がして発行する剥離発行モードで印字する際に,前記剥離バーが位置する方向と逆方向に突出する形状を有している」と,訂正された。 上記訂正によって,剥離発行モードがどのようなモードであるかについて定義した上で,剥離発行モード時に搬送ローラ,剥離バー及びニップローラがどのような位置関係にあるかを特定し,さらに,ローラ保持部の肉厚部の突出方向が明らかになったため,取消理由は解消した。 エ 小括 したがって,本件特許発明6は検甲1発明ではない。 本件特許発明6は甲1発明から当業者が容易に発明し得たものではなく,特に,甲1発明と甲第2号証記載事項とから当業者が容易に発明し得たものではない。 本件特許発明6は検甲1発明から当業者が容易に発明し得たものではなく,特に,検甲1発明と甲第2号証記載事項とから当業者が容易に発明し得たものではない。 本件特許発明6には記載不備も存在しない。 (6)本件特許発明8について ア 特許法第29条第1項第1号について 本件特許発明8は,本件特許発明2に「剥離機構部は,少なくとも,前記一対のローラ保持部,前記ニップローラ軸及び前記ニップローラが前記筐体内に設けられたこと」という発明特定事項を,付加して限定したものであって,該付加された発明特定事項は検甲1発明に記載されている。 そして,「(2)本件特許発明2について」で検討したとおり,本件特許発明2は検甲1発明であって,相違しない。 したがって,本件特許発明8も,検甲1発明とは相違せず,本件特許発明8は検甲1発明である。 イ 特許法第29条第2項について 本件特許発明8は,本件特許発明2に「剥離機構部は,少なくとも,前記一対のローラ保持部,前記ニップローラ軸及び前記ニップローラが前記筐体内に設けられたこと」という発明特定事項を,付加して限定したものである。 該付加された発明特定事項について検討する。 検甲1発明に該付加された発明特定事項は記載されている。 甲1発明において、「台紙押えローラ支持枠35」,「台紙押えローラ24」,「台紙押えローラ24の軸」は「プリンタ外装ケース2」内に設けられており、このことは、本件特許発明8の「支持部」、「ニップローラ」、「ニップローラ軸」が「筐体」内に設けられたことに相当する。 よって、該付加された発明特定事項は、検甲1発明にも甲1発明にも記載されていることになる。 そして,「(2)本件特許発明2について」で検討したとおり,本件特許発明2は,甲1発明と検甲1発明から当業者が容易に発明し得たものである。 したがって,本件特許発明8も,甲1発明と検甲1発明から当業者が容易に発明し得たものである。 ウ 小括 したがって,本件特許発明8は検甲1発明であり,甲1発明と検甲1発明から当業者が容易に発明し得たものである。 (7)本件特許発明9について ア 特許法第29条第1項第1号について 本件特許発明9は,本件特許発明2に「支持部は,第一の樹脂からなり,前記ニップローラは,前記第一の樹脂とは異なる第二の樹脂からなること」という発明特定事項を,付加して限定したものであって,該付加された発明特定事項は検甲1発明に記載されている。 そして,「(2)本件特許発明2について」で検討したとおり,本件特許発明2は検甲1発明であって,相違しない。 したがって,本件特許発明9も検甲1発明とは相違せず,本件特許発明9は検甲1発明である。 (8)本件特許発明10について ア 特許法第36条第6項第2号について 平成29年11月6日付け訂正請求により,「ローラ保持部は,前記ニップローラ軸の延在方向に沿って設けられた肉厚部を有し,前記肉厚部は,台紙に仮着された前記印字媒体を,前記剥離機構部を前記搬送ローラに近接配置することにより前記剥離バー及び前記ニップローラを使って前記台紙から剥がして発行する剥離発行モードで印字する際に前記剥離バーが位置する方向と逆方向に突出する形状を有している」と,訂正された。 上記訂正によって,剥離発行モードがどのようなモードであるかについて定義した上で,剥離発行モード時に搬送ローラ,剥離バー及びニップローラがどのような位置関係にあるかを特定し,さらに,ローラ保持部の肉厚部の突出方向が明らかになったため,取消理由は解消した。 第4 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について (1)請求項1について 本件特許発明1である,請求項1の記載は,上記「第3 当審の判断」,「1 訂正後の請求項に係る発明」において示したとおりのものである。 そして,特許異議申立人は,請求項1の記載について,以下の点において特許法第36条第2項第1号又は第2号の規定に違反してされたものであるから特許を取り消すべきものである旨主張している。 ア 「搬送ローラの近傍に配置された剥離バー」における「近傍」が,どの程度近い範囲を表すのか不明確である。 イ 「筐体内に設けられ,前記開閉カバーの閉止時に前記搬送ローラに対向するように配置されて前記印字媒体に印字を施す印字ヘッド」において,筐体のどの範囲を示しているのか不明確である。 ウ 「搬送ローラに近接配置される剥離機構部」における「近接配置」が,どの程度近い範囲であるのか不明確である。 エ 「支持部」の定義が記載されないため,発明の詳細な説明に記載されたもの以外のものを含む虞がある。 オ 「ローラ保持部の各々に支持されたニップローラ軸」において「保持」と「支持」が不明確であるため当該記載が不明確である。また,このことによって「ローラ保持部のローラ」と「ニップローラ」が同一のものを表しているか不明である。 カ 「ニップローラ軸に回動自在な状態で軸支されたニップローラ」は不明である。また,「軸支され,印字媒体を搬送する搬送ローラ」も同様に不明である。 キ 「保持」,「支持」及び「軸支」の言葉の区別が不明である。 しかしながら, アについては,剥離バーが,その機能を果たすことができる程度という意味での近傍であることは,技術常識を踏まえれば明らかであるから,不明確とはいえない。 イについては,開閉カバーの閉止時に「搬送ローラ」と「印字媒体に印字を施す印字ヘッド」が対向するように配置されているという,「搬送ローラ」と「印字ヘッド」の位置関係を満たした上で,「印字ヘッド」が「筐体内」にあることを明確に特定しているから,,不明確とはいえない。 ウについては,「剥離機構部」が,その機能を果たすことができる程度という意味での搬送ローラに対する近接配置であることは,技術常識を踏まえれば明らかであるから,不明確とはいえない。 エについては,請求項1において「剥離機構部」は,「(一対の)支持部」,「(一対の)ローラ保持部」,「ニップローラ軸」及び「ニップローラ」を有することが定義されている。 そして,「(一対の)支持部」に関しては,「ローラ保持部と直交すること」,「ローラ保持部が一体成形されていること」,及び「一対の支持部のうちニップローラが設けられている側が,ローラ保持部によって覆われたニップローラ軸によってのみ連結されていること」が定義されているから,発明の詳細な説明に記載されたもの以外のものを不当に含むものでないことは明らかである。 オについては,請求項1において「ローラ保持部」という語句はあっても「保持」という語句は単独では記載されず,「ローラ保持部」なる名称の部材が「支持」することが不明確であるということはない。さらに,請求項1において,ローラ保持部はニップローラ軸を支持し,ニップローラはニップローラ軸に軸支されるのであるから,ローラ保持部が支持するローラはニップローラであることは自明である。 カについては,ニップローラも搬送ローラも回動することを目的として支持されており,これは「軸支」に他ならないから,不明とはいえない。 キについては,請求項1において,それぞれの用語は明確に使い分けられており,不明とはいえない。 したがって,特許異議申立人の主張は理由がない。 第5 むすび 以上のとおり,請求項2,8及び9に係る発明は,検甲1号証発明であるから,請求項2,8及び9に係る特許は特許法第29条第1項第1号の規定に違反してなされたものである。 請求項2,及び8に係る発明は,甲1発明と検甲1発明とから当業者が容易に発明し得たものであるから,請求項2,及び8に係る特許は,特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。 したがって,本件の請求項2,8及び9に係る特許は,特許法第113条第2又は4号に該当し,取り消されるべきものである。 また,本件の請求項1,3乃至6,及び10に係る特許については,特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては取り消すことはできない。さらに,他に本件の請求項1,3乃至6,及び10に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 請求項7に係る特許は,訂正により削除されたため,本件特許の請求項7に対して特許異議申立人がした特許異議の申立てについては,対象となる請求項が存在しない。 よって,結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 一面に開口部が形成された筐体と、 前記筐体に開閉可能な状態で取り付けられた開閉カバーと、 前記開閉カバーに回動可能な状態で軸支され、印字媒体を搬送する搬送ローラと、 前記開閉カバーに軸支され、前記搬送ローラの近傍に配置された剥離バーと、 前記筐体内に設けられ、前記開閉カバーの閉止時に前記搬送ローラに対向するように配置されて前記印字媒体に印字を施す印字ヘッドと、 前記印字媒体を印字する際に前記搬送ローラに近接配置される剥離機構部と、 を備え、 前記剥離機構部は、 前記印字媒体の搬送方向と直交する方向において互いに対向するように設けられた一対の支持部と、 前記一対の支持部から、各支持部と直交し、かつ互いに近接する方向に延びている一対のローラ保持部であって、それぞれ前記支持部と一体成形されている、前記一対のローラ保持部と、 両端部が前記一対のローラ保持部の各々に支持されたニップローラ軸と、 前記ニップローラ軸に回動自在な状態で軸支されたニップローラと、 を有し、 前記一対の支持部は、前記一対の支持部のうち前記ニップローラが設けられている側が、前記ローラ保持部によって覆われたニップローラ軸によってのみ連結されていることを特徴とするラベルプリンタ。 【請求項2】 一面に開口部が形成された筐体と、 前記筐体に開閉可能な状態で取り付けられた開閉カバーと、 前記開閉カバーに回動可能な状態で軸支され、印字媒体を搬送する搬送ローラと、 前記開閉カバーに軸支され、前記搬送ローラの近傍に配置された剥離バーと、 前記筐体内に設けられ、前記開閉カバーの閉止時に前記搬送ローラに対向するように配置されて前記印字媒体に印字を施す印字ヘッドと、 前記印字媒体を印字する際に前記搬送ローラに近接配置される剥離機構部と、 を備え、 前記剥離機構部は、 前記印字媒体の搬送方向と直交する方向において互いに対向するように設けられた一対の支持部と、 前記一対の支持部の対向する端面のみから、各支持部の前記端面と直交し、かつ互いに近接する方向のみに延びている一対のローラ保持部であって、それぞれ前記支持部と一体成形されている、前記一対のローラ保持部と、 両端部が前記一対のローラ保持部の各々に支持されたニップローラ軸と、 前記ニップローラ軸に回動自在な状態で軸支されたニップローラと、 を有するラベルプリンタであって、 前記一対のローラ保持部は、前記ニップローラ軸の両端部を挿通させて、前記ニップローラ軸の両端部を覆うように支持することを特徴とするラベルプリンタ。 【請求項3】 前記一対のローラ保持部は、前記ニップローラ軸の両端部から前記ニップローラ軸の軸方向中央部に向かって、前記ニップローラ両端まで前記ニップローラ軸を覆うように支持することを特徴とする請求項1に記載のラベルプリンタ。 【請求項4】 前記剥離機構部は、少なくとも、前記一対のローラ保持部、前記ニップローラ軸及び前記ニップローラが前記筐体内に設けられたことを特徴とする請求項1又は3のいずれか一項に記載のラベルプリンタ。 【請求項5】 前記支持部は、第一の樹脂からなり、前記ニップローラは、前記第一の樹脂とは異なる第二の樹脂からなることを特徴とする請求項1、3及び4のいずれか一項に記載のラベルプリンタ。 【請求項6】 前記ローラ保持部は、前記ニップローラ軸の延在方向に沿って設けられた肉厚部を有し、 前記肉厚部は、台紙に仮着された前記印字媒体を、前記剥離機構部を前記搬送ローラに近接配置することにより前記剥離バー及び前記ニップローラを使って前記台紙から剥がして発行する剥離発行モードで印字する際に、前記剥離バーが位置する方向と逆方向に突出する形状を有していることを特徴とする請求項1、3乃至5のいずれか一項に記載のラベルプリンタ。 【請求項7】(削除) 【請求項8】(追加) 前記剥離機構部は、少なくとも、前記一対のローラ保持部、前記ニップローラ軸及び前記ニップローラが前記筐体内に設けられたことを特徴とする請求項2に記載のラベルプリンタ。 【請求項9】(追加) 前記支持部は、第一の樹脂からなり、前記ニップローラは、前記第一の樹脂とは異なる第二の樹脂からなることを特徴とする請求項2又は8に記載のラベルプリンタ。 【請求項10】(追加) 前記ローラ保持部は、前記ニップローラ軸の延在方向に沿って設けられた肉厚部を有し、 前記肉厚部は、台紙に仮着された前記印字媒体を、前記剥離機構部を前記搬送ローラに近接配置することにより前記剥離バー及び前記ニップローラを使って前記台紙から剥がして発行する剥離発行モードで印字する際に前記剥離バーが位置する方向と逆方向に突出する形状を有していることを特徴とする請求項2、8及び9のいずれか一項に記載のラベルプリンタ。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2018-06-06 |
出願番号 | 特願2014-241437(P2014-241437) |
審決分類 |
P
1
651・
121-
ZDA
(B65H)
P 1 651・ 537- ZDA (B65H) P 1 651・ 111- ZDA (B65H) |
最終処分 | 一部取消 |
前審関与審査官 | 田中 尋、藤井 眞吾 |
特許庁審判長 |
黒瀬 雅一 |
特許庁審判官 |
森次 顕 吉村 尚 |
登録日 | 2015-11-20 |
登録番号 | 特許第5839520号(P5839520) |
権利者 | サトーホールディングス株式会社 |
発明の名称 | ラベルプリンタ |
代理人 | 小林 浩 |
代理人 | 土井 健二 |
代理人 | 小林 浩 |
代理人 | 林 恒徳 |
代理人 | 黒川 恵 |
代理人 | 平山 聡 |
代理人 | 黒川 恵 |