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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  A61B
審判 全部申し立て 2項進歩性  A61B
管理番号 1343889
異議申立番号 異議2018-700050  
総通号数 226 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-10-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-01-19 
確定日 2018-08-06 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6165935号発明「光画像計測装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6165935号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正後の請求項〔1-12〕について訂正することを認める。 特許第6165935号の請求項1ないし8、11、12に係る特許を維持する。 特許第6165935号の請求項9及び10に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯

特許第6165935号(以下、「本件特許」という。)の請求項1ないし12に係る特許についての出願は、平成24年11月19日を出願日とする特願2012-253281号の一部を平成28年7月8日に新たな特許出願としたものであって、平成29年6月30日に設定登録がされ、その後、平成30年1月19日に、本件特許の請求項1ないし12に係る特許に対し、異議申立人向山正一(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがなされた。
その後、当審より同年3月13日付けで取消理由が通知したところ、その指定期間内である同年5月14日付けで特許権者から意見書の提出及び訂正請求がなされ、その訂正請求に対して申立人から同年6月27日付けで意見書が提出されたものである。

第2 訂正の適否についての判断

1 訂正の内容

平成30年5月14日付けの訂正請求書でした訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)による訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、同訂正請求書の記載によれば、以下のとおりである。

(1) 請求項1に係る訂正事項1

特許請求の範囲の請求項1に「前記合成断層像形成部は、前記2以上の断層像のそれぞれについて、対応する合焦位置に相当する画像領域を含む当該断層像の部分画像を特定する部分画像特定部を含み、特定された2以上の前記部分画像を合成することにより前記合成断層像を形成することを特徴とする光画像計測装置。」とあるのを、「前記合成断層像形成部は、前記2以上の断層像のそれぞれについて、対応する合焦位置に相当する画像領域を含む当該断層像の部分画像を特定する部分画像特定部を含み、特定された2以上の前記部分画像を合成することにより前記合成断層像を形成し、前記制御部は、反復的な信号光の照射において単位時間あたりの変更量が一定になるように前記合焦位置を連続的に変更させ、前記合成断層像形成部は、各断層像において、対応する合焦位置に相当する画像領域を含む平行四辺形状部分画像に基づいて、前記合成断層像を形成し、前記平行四辺形状部分画像は、前記信号光のスキャン動作期間中に変更された各合焦位置に対して深くなる方向及び浅くなる方向に等距離の幅を有することを特徴とする光画像計測装置。」に訂正する。

(2) 請求項1に係る訂正に伴う訂正事項

請求項1に係る上記の訂正に伴い、請求項1を直接又は間接的に引用する請求項2ないし8、11、12も訂正された。

(3) 請求項9に係る訂正事項2

特許請求の範囲の請求項9を削除する。

(4) 請求項10に係る訂正事項3

特許請求の範囲の請求項10を削除する。

(5) 請求項11に係る訂正事項4

特許請求の範囲の請求項11に「請求項1?請求項10のいずれか一項に記載」とあるのを「請求項1?請求項8のいずれか一項に記載」に訂正する。

(6) 請求項12に係る訂正事項5

特許請求の範囲の請求項12に「請求項1?請求項10のいずれか一項に記載」とあるのを「請求項1?請求項8のいずれか一項に記載」に訂正する。

(7) 明細書についての訂正事項6

願書に最初に添付した明細書の段落【0009】に「前記合成断層像形成部は、前記2以上の断層像のそれぞれについて、対応する合焦位置に相当する画像領域を含む当該断層像の部分画像を特定する部分画像特定部を含み、特定された2以上の前記部分画像を合成することにより前記合成断層像を形成することを特徴とする。」とあるのを、「前記合成断層像形成部は、前記2以上の断層像のそれぞれについて、対応する合焦位置に相当する画像領域を含む当該断層像の部分画像を特定する部分画像特定部を含み、特定された2以上の前記部分画像を合成することにより前記合成断層像を形成し、前記制御部は、反復的な信号光の照射において単位時間あたりの変更量が一定になるように前記合焦位置を連続的に変更させ、前記合成断層像形成部は、各断層像において、対応する合焦位置に相当する画像領域を含む平行四辺形状部分画像に基づいて、前記合成断層像を形成し、前記平行四辺形状部分画像は、前記信号光のスキャン動作期間中に変更された各合焦位置に対して深くなる方向及び浅くなる方向に等距離の幅を有することを特徴とする。」に訂正する。

2 新規事項の有無、訂正の目的の適否、及び、特許請求の範囲の拡張・変更の存否

(1) 請求項1に係る訂正事項1

ア 新規事項の有無について
本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「本件特許明細書等」という。)の段落【0052】には、「合焦駆動部31Aは、合焦レンズ31を光軸方向に移動させる。それにより、撮影光学系30の合焦位置が変更される。合焦駆動部43Aは、主制御部211の制御を受けて、合焦レンズ43を光軸に沿って移動する。それにより、OCT計測用の光学系の合焦位置が変更される。・・・」と記載され、段落【0142】には、「(変形例3) 上記実施形態では、反復的なスキャンにおいて合焦位置を段階的に変更しているが(図9参照)、合焦位置の変更態様はこれには限定されない。たとえば、反復的なスキャンにおいて合焦位置を連続的に変更することができる。・・・」と記載され、段落【0143】には、「合焦位置は、・・・直線状のグラフTF2に示すように連続的に変更される。・・・」と記載され、段落【0145】には、「・・・この変形例では、断層像内の平行四辺形状の部分領域を用いて合成断層像を形成する。・・・」と記載され、段落【0146】には、「・・・グラフTF2は単調な直線グラフ(つまり傾きが一定のグラフ)であるから、各部分画像PJiは平行四辺形状の画像領域となる。・・・」と記載され、段落【0147】には、「・・・合成断層像形成部234は、このような平行四辺形状部分画像PJ1?PJnを合成することで合成断層像を形成する。・・・」と記載されていることから、訂正事項1のうち、「前記制御部は、反復的な信号光の照射において単位時間あたりの変更量が一定になるように前記合焦位置を連続的に変更させ、前記合成断層像形成部は、各断層像において、対応する合焦位置に相当する画像領域を含む平行四辺形状部分画像に基づいて、前記合成断層像を形成」する点は、本件特許明細書等の記載の範囲内の事項である。
また、段落【0146】には、「・・・各部分画像PJinは、対応する斜線部分TSの期間における合焦位置のグラフ(に相当する画像領域)TF2に対して±z方向に等距離だけ幅を有する画像領域である。・・・」と記載されていることから、訂正事項1のうち、「前記平行四辺形状部分画像は、前記信号光のスキャン動作期間中に変更された各合焦位置に対して深くなる方向及び浅くなる方向に等距離の幅を有する」点は、本件特許明細書等の記載の範囲内の事項である。
よって、訂正事項1は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。

イ 訂正の目的の適否について
訂正事項1は、制御部の制御内容と合成断層像形成部の処理内容を特定することによって特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
よって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否

請求項1に係る訂正事項1の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。

エ 請求項1に係る訂正のまとめ

以上のことから、請求項1に係る訂正事項1の訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものであり、また、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、加えて、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。

(2) 請求項1に係る訂正に伴う訂正事項

請求項1に係る上記の訂正に伴い、請求項1を引用する請求項2ないし8、11、12も訂正された。
そして、請求項1に係る訂正事項1は、上記「(1) 請求項1に係る訂正事項」「エ 請求項1に係る訂正のまとめ」のとおりであり、また、訂正事項1による訂正によって、請求項2ないし8、11、12に係る発明が、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内ではないものになるものではなく、当該訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものといえる。
よって、請求項2ないし8、11、12に係る訂正事項1は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものであり、また、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものといえ、加えて、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。

(3) 請求項9に係る訂正事項2、及び、請求項10に係る訂正事項3

訂正事項2は、特許請求の範囲の請求項9を削除するものであり、訂正事項3は、特許請求の範囲の請求項10を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、当該訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであって、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項2及び3の訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものであり、加えて、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。

(4) 請求項11に係る訂正事項4、及び、請求項12に係る訂正事項5

請求項11に係る訂正事項5、及び、請求項12に係る訂正事項6の訂正は、訂正前の請求項9及び10が削除されたことに伴い、請求項の引用関係を訂正したものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、当該訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであって、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項5及び6の訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものであり、加えて、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。

(5) 明細書に係る訂正事項6

明細書に係る訂正事項6は、訂正事項1に伴う訂正後の特許請求の範囲と発明の詳細な説明の記載との整合を図ることを目的とした訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、訂正事項1と同様に本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。

3 一群の請求項について

訂正前の請求項の引用関係からみて、訂正事項1ないし5は、請求項1ないし12を一群の請求項として請求されたものであり、特許法第120条の5第4項の規定に適合するものである。
なお、特許権者は、訂正請求書の6(3)ウ「別の訂正単位とする求め」(第10頁第11行ないし第13行)において、「訂正後の請求項11、12については、当該請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することを求める。」と別の訂正単位とする求めを行っているが、訂正後の請求項11及び12は、「請求項1ないし請求項8のいずれか一項」の記載を引用した請求項であって、訂正請求書の第3頁第2行ないし第3行には、「請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2?8、11?12も同様に訂正する。」と記載されていることから、別の訂正単位とする求めを行う意義が不明である。特許権者に、この件に関して問い合わせたところ、上記「別の訂正単位とする求め」は、錯誤に基づくものである旨の回答があった。以上のことから、訂正請求書の6(3)ウの「別の訂正単位とする求め」は、なかったものとする。
また、訂正事項6に関して、本件訂正請求による訂正は、請求項1ないし12についての訂正であるから、明細書又は図面の訂正に係る請求項1ないし12を含む一群の請求項の全てについて行っており、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第4項に適合する。

4 むすび

以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮及び第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び、同条第9項において準用する同法第126条第4項ないし第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1-12〕について訂正を認める。

第3 本件特許発明について

本件訂正請求により訂正された請求項1ないし12に係る発明(以下、それぞれ「本件特許発明1」ないし「本件特許発明12」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1ないし12に記載された事項により特定された次のとおりのものである。

「【請求項1】
対象物に対する信号光の照射位置を変更する走査部と、信号光の合焦位置を変更する合焦位置変更部とを含み、各信号光の対象物からの戻り光と参照光との干渉光を検出する光学系と、
信号光の複数の照射位置に対応する複数の干渉光の検出結果に基づいて断層像を形成する画像形成部と、
前記光学系を制御することにより、前記合焦位置を変更させつつ前記複数の照射位置に対して信号光を反復的に照射させる制御部と、
反復的な信号光の照射の結果に基づき前記画像形成部により形成された2以上の断層像に基づいて、1の合成断層像を形成する合成断層像形成部と
を有し、
前記合成断層像形成部は、
前記2以上の断層像のそれぞれについて、対応する合焦位置に相当する画像領域を含む当該断層像の部分画像を特定する部分画像特定部を含み、
特定された2以上の前記部分画像を合成することにより前記合成断層像を形成し、
前記制御部は、反復的な信号光の照射において単位時間あたりの変更量が一定になるように前記合焦位置を連続的に変更させ、
前記合成断層像形成部は、各断層像において、対応する合焦位置に相当する画像領域を含む平行四辺形状部分画像に基づいて、前記合成断層像を形成し、
前記平行四辺形状部分画像は、前記信号光のスキャン動作期間中に変更された各合焦位置に対して深くなる方向及び浅くなる方向に等距離の幅を有する
ことを特徴とする光画像計測装置。
【請求項2】
前記合成断層像形成部は、
前記2以上の部分画像を解析することにより、前記2以上の部分画像の相対位置を調整する位置調整部を含み、
相対位置の調整がなされた前記2以上の部分画像を合成することにより前記合成断層像を形成する
ことを特徴とする請求項1に記載の光画像計測装置。
【請求項3】
前記位置調整部は、
前記2以上の部分画像のそれぞれを解析することにより、対象物の特徴部位に相当する特徴画像領域を特定する特徴画像領域特定部を含み、
特定された特徴画像領域に基づいて前記2以上の部分画像の相対位置を調整する
ことを特徴とする請求項2に記載の光画像計測装置。
【請求項4】
反復的な信号光の照射の間における前記光学系と対象物との変位を検出する変位検出部を有し、
前記制御部は、検出された変位に基づいて、反復的な信号光の照射を新たに実行させ、
前記合成断層像形成部は、新たに実行された反復的な信号光の照射の結果に基づき形成された2以上の新たな断層像に基づいて、前記合成断層像を形成する
ことを特徴とする請求項1?3のいずれか一項に記載の光画像計測装置。
【請求項5】
反復的な信号光の照射の間における前記光学系と対象物との変位を検出する変位検出部を有し、
前記制御部は、検出された変位に基づいて、報知部に報知情報を出力させる
ことを特徴とする請求項1?3のいずれか一項に記載の光画像計測装置。
【請求項6】
予め取得された対象物の所定層の厚さに基づいて、反復的な信号光の照射における反復回数を決定する反復回数決定部を有することを特徴とする請求項1?5のいずれか一項に記載の光画像計測装置。
【請求項7】
反復的な信号光の照射の前に取得された断層像を解析することにより、前記所定層の厚さを算出する層厚算出部を有することを特徴とする請求項6に記載の光画像計測装置。
【請求項8】
前記光学系は、開口数を変更する開口数変更部を含み、
焦点深度が前記所定層の厚さ未満となるように開口数の値を決定する開口数決定部を有し、
前記制御部は、前記開口数変更部を制御して、開口数を決定された値に設定する
ことを特徴とする請求項6または請求項7に記載の光画像計測装置。
【請求項9】 (削除)
【請求項10】 (削除)
【請求項11】
前記合成断層像形成部は、
前記2以上の断層像のそれぞれをトリミングして部分画像を形成する部分画像形成部と、
前記2以上の断層像から得られた2以上の部分画像をタイリングすることにより前記合成断層像の形成を行う合成処理部と
を含むことを特徴とする請求項1?請求項8のいずれか一項に記載の光画像計測装置。
【請求項12】
前記合成断層像形成部は、
前記2以上の断層像のそれぞれについて、当該断層像の画素に重み付けを行う重み付け部と、
画素に重み付けがなされた前記2以上の断層像を重ね合わせることにより前記合成断層像の形成を行う合成処理部と
を含むことを特徴とする請求項1?請求項8のいずれか一項に記載の光画像計測装置。」

そして、そのうち、本件特許発明1について、分説してA)ないしD-4)の符号を付与すると、以下のとおりである。

「【請求項1】
A) 対象物に対する信号光の照射位置を変更する走査部と、信号光の合焦位置を変更する合焦位置変更部とを含み、各信号光の対象物からの戻り光と参照光との干渉光を検出する光学系と、
B) 信号光の複数の照射位置に対応する複数の干渉光の検出結果に基づいて断層像を形成する画像形成部と、
C) 前記光学系を制御することにより、前記合焦位置を変更させつつ前記複数の照射位置に対して信号光を反復的に照射させる制御部と、
D) 反復的な信号光の照射の結果に基づき前記画像形成部により形成された2以上の断層像に基づいて、1の合成断層像を形成する合成断層像形成部と
を有し、
前記合成断層像形成部は、
D-1) 前記2以上の断層像のそれぞれについて、対応する合焦位置に相当する画像領域を含む当該断層像の部分画像を特定する部分画像特定部を含み、
D-2) 特定された2以上の前記部分画像を合成することにより前記合成断層像を形成し、
D-3) 前記制御部は、反復的な信号光の照射において単位時間あたりの変更量が一定になるように前記合焦位置を連続的に変更させ、
前記合成断層像形成部は、各断層像において、対応する合焦位置に相当する画像領域を含む平行四辺形状部分画像に基づいて、前記合成断層像を形成し、
D-4) 前記平行四辺形状部分画像は、前記信号光のスキャン動作期間中に変更された各合焦位置に対して深くなる方向及び浅くなる方向に等距離の幅を有する
ことを特徴とする光画像計測装置。」

第4 特許異議の申立てについて

1 申立理由について

申立人は、下記甲第1号証ないし甲第5号証を提出した。
なお、申立人から提出された各甲号証を、以下、甲1などと省略して表記する。

甲1:特開2011-62301号公報
甲2:特開2008-298767号公報
甲3:特開2011-104126号公報
甲4:特開2011-95005号公報
甲5:特開2010-249740号公報

そして、特許異議申立書(以下、「申立書」という。)の第6頁「3 申立ての理由」「(3) 申立ての根拠」の項、第65頁「(5) むすび」の項に記載された条文に鑑み、申立理由を整理すると、次の申立理由を申立人は主張している。

申立理由1
本件特許の請求項1、2、3、6、7、8、9、11、12に係る発明は、甲1、甲2又は甲3に記載された発明である。

申立理由2
本件特許の請求項1ないし12に係る発明は、甲1ないし甲5に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

2 取消理由の概要

平成30年3月13日付けで特許権者に通知した取消理由の概要は次の通りである。

(1) 刊行物等一覧
上記甲1ないし甲5

(2) 特許法第29条第1項第3号に関して
本件特許発明1ないし3、6ないし9、11、12は、本件特許の原出願前日本国内または外国において頒布された甲1又は甲2又は甲3に記載された発明であって、その発明に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものであるから、特許法第113条第2号の規定に該当し、取り消すべきものである。

(3) 特許法第29条第2項に関して
本件特許発明1ないし12に係る発明は、本件特許の原出願前日本国内または外国において頒布された甲1ないし甲5に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって、請求項1ないし12に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることが本来できないものであるから、その発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。

3 刊行物の記載事項

(1)甲1の記載事項及び甲1発明
取消理由で通知した甲1には、以下の事項が記載されている(下線は、当審により付加した。以下同様。)。

(甲1-ア)
「【0001】
本発明は光構造像観察装置、その構造情報処理方法及び光構造像観察装置を備えた内視鏡装置に係り、特に光構造情報の情報処理に特徴のある光構造像観察装置、その構造情報処理方法及び光構造像観察装置を備えた内視鏡装置に関する。」

(甲1-イ)
「【0038】
また、OCTプローブ600は、エイミング光Leと合波されプローブ側光ファイバFB1から出射された測定光L1を測定対象Sに2次元走査して照射する走査手段及び照射/集光手段としての測定光学系601と、測定光学系601において測定光L1を2次元走査するため、また測定光L1の焦点位置を可変させるための焦点駆動手段としての光学系駆動機構602を備えている。」

(甲1-ウ)
「【0040】
干渉光検出部20は、光ファイバFB6および光ファイバFB7と接続されており、光ファイバカプラ14で参照光L2と戻り光L3とを合波して生成された干渉光L4およびL5を干渉信号として検出する干渉手段を構成する。」

(甲1-エ)
「【0043】
処理部22は、複数の異なる焦点位置における干渉光検出部20で抽出した干渉信号から光構造情報を取得し、取得した光構造情報に基づいて光断層構造像及び光立体構造像を生成すると共に、この光立体構造像に対して各種処理を施した画像をモニタ装置500へ出力する。処理部22の詳細な構成は後述する。」

(甲1-オ)
「【0060】
焦点位置指定部230は、光構造情報検出部220に対して測定光L1の異なる複数の焦点位置を指定するものであって、焦点位置指定手段を構成する。
【0061】
光構造情報検出部220は、焦点位置指定部230から指定された焦点位置において、干渉光検出部20で検出した干渉信号から光構造情報を検出するものである。この光構造情報検出部220は、焦点位置指定部230から指定された焦点位置に基づいて、OCTプローブ600の光学系駆動機構602を制御する。
【0062】
断層構造情報生成部225は、光構造情報検出部220が検出した光構造情報に基づき、測定光L1の異なる複数の焦点位置毎の断層構造情報(断層画像データ)を生成するものであって断層構造情報生成手段を構成する。
【0063】
メモリ231は、断層構造情報生成部225が生成した断層構造情報(断層画像データ)を異なる複数の焦点位置毎に格納するものである。
【0064】
複数焦点画像合成部221は、メモリ231に格納された異なる複数の焦点位置毎の断層構造情報(断層画像データ)に基づいた合成断層画像を生成する断層画像生成手段であり、複数焦点画像合成部221が生成する合成断層画像については後述する。」

(甲1-カ)
「【0082】
このように本実施形態では、複数の異なる焦点位置を指定し、指定した異なる焦点位置毎の断層構造情報(断層画像データ)を取得し、これらの断層構造情報(断層画像データ)を合成することで、浅い位置から深い位置まで高いS/N比と適切な解像度を有する断層画像を生成することができる。」

以上のことから、甲1には、以下の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されている。

「a-1) プローブ側光ファイバFB1から出射された測定光L1を測定対象Sに2次元走査して照射する走査手段及び照射/集光手段としての測定光学系601と、測定光学系601において測定光L1を2次元走査するため、また測定光L1の焦点位置を可変させるための焦点駆動手段としての光学系駆動機構602を備えたOCTプローブ600と(【0038】)、
a-2) 参照光L2と戻り光L3とを合波して生成された干渉光L4およびL5を干渉信号として検出する干渉手段を構成する干渉光検出部20と(【0040】)、
b) 複数の異なる焦点位置における干渉光検出部20で抽出した干渉信号から光構造情報を取得し、取得した光構造情報に基づいて光断層構造像及び光立体構造像を生成する処理部22と(【0043】)、
c) 測定光L1の異なる複数の焦点位置を指定し、指定された焦点位置に基づいて、OCTプローブ600の光学系駆動機構602を制御し、指定された焦点位置において、干渉光検出部20で検出した干渉信号から光構造情報を検出する光構造情報検出部220と(【0060】、【0061】、【0062】)、
d) 異なる複数の焦点位置毎の断層構造情報(断層画像データ)に基づいた合成断層画像を生成する断層画像生成手段である複数焦点画像合成部221を備え(【0064】)、
複数の異なる焦点位置を指定し、指定した異なる焦点位置毎の断層構造情報(断層画像データ)を取得し、これらの断層構造情報(断層画像データ)を合成する(【0082】)、
光構造像観察装置。」

(2)甲2の記載事項及び甲2発明
取消理由で通知した甲2には、以下の事項が記載されている。

(甲2-ア)
「【0001】
本発明は、光干渉断層計を用いた画像形成方法及び光干渉断層装置に関する。」

(甲2-イ)
「【0021】
第1の本発明に係る光干渉断層法を用いた画像形成方法は、
被検査物に光を入射する方向である光軸方向に関して、第1の焦点の位置における該被検査物の第1の画像情報を取得する第1の画像情報取得工程と、
前記光軸方向に関して、前記第1の焦点の位置から該第1の焦点とは異なる第2の焦点の位置まで、ダイナミックフォーカシングにより焦点の位置を変える工程と、
前記第2の焦点の位置における前記被検査物の第2の画像情報を取得する第2の画像情報取得工程と、
前記被検査物の断層画像情報であって、且つ前記第1の焦点あるいは前記第2の焦点の少なくとも一方の焦点の位置における該被検査物の断層像を含む第3の画像情報をフーリエドメイン法により取得する工程とを含み、
前記第3の画像情報を用いて、前記第1の画像情報と前記第2の画像情報との前記光軸方向に関する位置関係を関連付けて、前記被検査物の断層像または三次元像を形成することを特徴とする。」

以上のことから、甲2には、以下の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されている。

「被検査物に光を入射する方向である光軸方向に関して、第1の焦点の位置における該被検査物の第1の画像情報を取得する手段と、
前記光軸方向に関して、前記第1の焦点の位置から該第1の焦点とは異なる第2の焦点の位置まで、ダイナミックフォーカシングにより焦点の位置を変える手段と、
前記第2の焦点の位置における前記被検査物の第2の画像情報を取得する手段と、
前記被検査物の断層画像情報であって、且つ前記第1の焦点あるいは前記第2の焦点の少なくとも一方の焦点の位置における該被検査物の断層像を含む第3の画像情報をフーリエドメイン法により取得する手段とを含み、
前記第3の画像情報を用いて、前記第1の画像情報と前記第2の画像情報との前記光軸方向に関する位置関係を関連付けて、前記被検査物の断層像または三次元像を形成する光干渉断層装置。」

(3)甲3の記載事項及び甲3発明
取消理由で通知した甲3には、以下の事項が記載されている。

(甲3-ア)
「【0001】
本発明は、補償光学系を備えた光画像撮像装置の制御方法、そのプログラム、記憶媒体および光画像撮像装置に関する。
特に、被検眼の収差を測定して補正する機能を有し、複数の分解能で撮像することが可能な眼底撮像装置の制御方法および光画像撮像装置に関する。」

(甲3-イ)
「【0026】
[実施例2]
実施例2として、図2を用いて本発明を適用した補償光学系を備えたOCTによる光画像撮像装置およびその制御方法について説明する。
図2において、101は光源であり、波長840nmのSLD光源を用いた。光源101は低干渉性のものであれば良く、波長幅30nm以上のSLDが好適に用いられる。
また、チタンサファイアレーザなどの超短パルスレーザなどを光源に用いることもできる。
光源101から照射された光は、単一モード光ファイバー102を通って、ファイバーカプラー120まで導光される。
ファイバーカプラー120によって、信号光経路121と参照光経路122に分岐される。ファイバーカプラーは10:90の分岐比のものを使用し、投入光量の10%が信号光経路121に行くように構成する。
信号光経路121を通った光は、コリメータ103により、平行光線として照射される。
コリメータ103以降の構成は実施例1と同様であり、補償光学系や走査光学系を通して眼111に照射し、眼111からの反射散乱光は再度同様の経路をたどって光ファイバー121に導光されてファイバーカプラー120に到達する。
【0027】
一方、参照光経路122を通った参照光はコリメータ123で出射され、光路長可変部124で反射して再度ファイバーカプラー120に戻る。
ファイバーカプラー120に到達した信号光と参照光は合波され、光ファイバー125を通して分光器142に導光される。
分光器142によって分光された干渉光情報をもとに、制御部118によって眼底の断層像が構成される。制御部118は光路長可変部124を制御し、所望の深さ位置の画像を取得できる。
実施例1と同様に波面センサー115で波面を測定し、その波面収差をキャンセルするように波面補正デバイス108を駆動する。
また、補正結果の報知、分解能の変更を実施例1と同様の処理によって行うことにより、被検眼の収差と装置の性能に応じた適切な分解能で撮像することが可能となる。
OCTでは、複数の断層画像(Bスキャン)や平面画像(Cスキャン)を連続撮像する場合や、3次元画像の取得を行う場合があるが、そのような場合には本実施例の処理を繰り返し行っても良い。
OCTでは断層画像が得られるが、入射光のNAを大きくして分解能を高めると被写界深度が浅くなり、一つの断層画像中に合焦している部分と合焦していない部分が出来てしまう。
そこで、深さ方向の撮像範囲を被写界深度程度の幅に分割して撮像した後に、個々の深さの画像を結合し、全範囲でフォーカスが合った断層画像を得るという方法を取ることも可能である。
この場合、図4のステップS114やS116で変更された分解能に応じて1回の撮像で取得する深さ方向の範囲を変更することにより、合焦範囲の広い画像を速く容易に撮像することが可能となる。」

以上のことから、甲3には、以下の発明(以下、「甲3発明」という。)が記載されている。

「 OCTによる光画像撮像装置であって、
光源101から照射された光は、単一モード光ファイバー102を通って、ファイバーカプラー120まで導光され、ファイバーカプラー120によって、信号光経路121と参照光経路122に分岐され、信号光経路121を通った光は、コリメータ103により、平行光線として照射され、補償光学系や走査光学系を通して眼111に照射し、眼111からの反射散乱光は再度同様の経路をたどって光ファイバー121に導光されてファイバーカプラー120に到達し、
一方、参照光経路122を通った参照光はコリメータ123で出射され、光路長可変部124で反射して再度ファイバーカプラー120に戻り、ファイバーカプラー120に到達した信号光と参照光は合波され、光ファイバー125を通して分光器142に導光され、
分光器142によって分光された干渉光情報をもとに、制御部118によって眼底の断層像が構成され、制御部118は光路長可変部124を制御し、所望の深さ位置の画像を取得するものであり、
深さ方向の撮像範囲を被写界深度程度の幅に分割して撮像した後に、個々の深さの画像を結合し、全範囲でフォーカスが合った断層画像を得る光画像撮像装置。」

(4)甲4の記載事項
取消理由で通知した甲4には、以下の事項が記載されている。

(甲4-ア)
「【0001】
この発明は、光コヒーレンストモグラフィ(Optical Coherence Tomography:OCT)を用いて被測定物体の画像を形成する光画像計測装置に関する。」

(甲4-イ)
「【0071】
更に、平均処理部231は、選択された断層像を位置合わせして画素値を平均化することにより一枚の断層像(平均化断層像)を形成する。断層像の位置合わせ処理は、たとえば、画像相関演算を行った際に実行された位置合わせ結果を適用できる。また、各断層像中の特徴部位(たとえば眼底表面、凹凸、血管など)を特定し、これらの位置が一致させるようにして行うこともできる。平均処理部231は、位置合わせがなされた断層像について、各画素位置における画素値を加算し、選択された断層像の個数で当該和の値を除算する。この商の値が当該画素位置における平均画素値となる。この処理を各画素位置において行い、平均画素値を有する画素を画素位置に応じて配列させることにより平均化断層像が得られる。」

以上のことから、甲4には、以下の事項が記載されている。

「OCTを用いて被測定物体の画像を形成する光画像計測装置において、選択された断層像を位置合わせして画素値を平均化することにより一枚の断層像(平均化断層像)を形成する点。」

(5)甲5の記載事項
取消理由で通知した甲5には、以下の事項が記載されている。

(甲5-ア)
「【0001】
この発明は、被測定物体を光ビームで走査し、その反射光の干渉を用いて被測定物体の画像を形成する光画像計測装置及びその制御方法に関する。」

(甲5-イ)
「【0025】
この発明によれば、干渉光の検出中に画像の異常の検出を行うことができる。これにより、被測定物体の走査と平行して異常画像の発生の検出が可能となる。したがって、異常画像の発生を迅速に把握することができ、3次元画像の形成処理の処理時間を短縮できることが可能となる。また、装置のリソースの有効活用が可能となる。
【0026】
また、この発明によれば、干渉光の検出と断層画像の形成とを並行して行うことができる。これにより、被検眼の全フレームの走査の完了を待たずに、断層画像の形成を行うことが可能となり、装置のリソースの有効活用及び3次元画像の形成処理に掛る時間の短縮が可能となる。したがって、被測定物体の検査の時間短縮に寄与することが可能となる。
【0027】
また、この発明によれば、干渉光の検出と断層画像の形成とを並行して行うとともに、断層画像の異常を検出した場合に、異常画像が発生した場所に戻って、その場所から再度被測定物体の走査を再開することができる。これにより、装置のリソースの有効活用及び3次元画像の形成処理に掛る時間の短縮が可能になる。」

(甲5-ウ)
「【0086】
(異常検出部)
異常検出部250は、画像形成部220により形成された断層画像の画像データに対してその断層画像に異常が発生しているか否かを検出する。本実施形態では、断層画像の異常とは、たとえば、検査対象である被検眼の動きにより、撮像したい部分(具体的には、眼底Ef)が断層画像の中央付近から動いてしまい断層画像に向かって断層画像の上端もしくは下端の方に撮像されてしまうことを指す。ここで、断層画像の上端とは深さ方向(z方向)に向かって浅い位置を指し、断層画像の下端とは深さ方向(z方向)に向かって深い位置を指す。断層画像の上端もしくは下端では解像度が低下するなどの理由から、撮像したい部分が端に位置してしまうと正確な診断を行うことができなくなるおそれがある。例えば、異常検出部250は、断層画像に含まれる各ピクセルの輝度値などを基に検査対象となっている画像の位置を把握し、画像の中央からのずれを求め、そのずれと予め決まっている閾値とを比較し、ずれが予め決まっている閾値より大きいと判断されたときに断層画像の異常を検出する。ただし、この画像の位置の求め方は特に制限はなく他の方法を用いてもよい。また、本実施形態では画像の位置で異常を検出したが、他の画像状態を基に異常を検出してもよく、例えばノイズによる画像の乱れを基に異常を検出してもよい。この異常検出部250が本発明における「異常検出手段」にあたる。」

以上のことから、甲5には、以下の事項が記載されている。

「被測定物体を光ビームで走査し、その反射光の干渉を用いて被測定物体の画像を形成する光画像計測装置において、干渉光の検出中に断層画像に異常が発生しているか否かを検出することを可能とする技術。」

4 当審の判断

(1) 甲1発明に基づく特許法第29条第1項第3号

本件特許発明1と、甲1発明とを対比すると、甲1発明は、少なくとも、本件特許発明1の、「D-3) 前記制御部は、反復的な信号光の照射において単位時間あたりの変更量が一定になるように前記合焦位置を連続的に変更させ、前記合成断層像形成部は、各断層像において、対応する合焦位置に相当する画像領域を含む平行四辺形状部分画像に基づいて、前記合成断層像を形成し、」に相当する構成を有していない。
そして、上記の構成が、本件特許の原出願前において周知であったとはいえず、単なる設計的事項であるともいえない。
したがって、本件特許発明1は、甲1発明ではない。

また、本件特許発明1を引用して特定され、上記構成を有する本件特許発明2、3、6ないし8、11、12も、同様に、甲1発明ではない。

(2) 甲2発明又は甲3発明に基づく特許法第29条第1項第3号

本件特許発明1と、甲2発明及び甲3発明とを対比すると、甲2発明及び甲3発明は、甲1発明と同様に、少なくとも、本件特許発明1の、「D-3) 前記制御部は、反復的な信号光の照射において単位時間あたりの変更量が一定になるように前記合焦位置を連続的に変更させ、前記合成断層像形成部は、各断層像において、対応する合焦位置に相当する画像領域を含む平行四辺形状部分画像に基づいて、前記合成断層像を形成し、」に相当する構成を有していない。
したがって、本件特許発明1は、甲2発明又は甲3発明ではない。

また、本件特許発明1を引用して特定され、上記構成を有する本件特許発明2、3、6ないし8、11、12も、同様に、甲2発明又は甲3発明ではない。

(3) 特許法第29条第2項

a 甲1発明を主引例とした場合について

本件特許発明1と、甲1発明とを対比すると、両者は、少なくとも、以下の相違点を有する。

<相違点>
合成断層像を形成するにあたって、本件特許発明1は、「D-3) 前記制御部は、反復的な信号光の照射において単位時間あたりの変更量が一定になるように前記合焦位置を連続的に変更させ、前記合成断層像形成部は、各断層像において、対応する合焦位置に相当する画像領域を含む平行四辺形状部分画像に基づいて、前記合成断層像を形成」するのに対して、甲1発明は、そのような構成とされていない点。

上記相違点について以下に検討する

上記相違点に係る構成は、申立人が示した甲2ないし5のいずれにも記載されておらず、また、その点が本件特許の原出願前において周知であったとはいえず、単なる設計的事項であるともいえない。
してみると、甲1ないし甲5に接した当業者といえども、上記相違点に係る本件特許発明1の発明特定事項を想起することはできない。
よって、本件特許発明1は、甲1発明、及び、甲2ないし5に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
また、本件特許発明2ないし8、11、12は、本件特許発明1を更に減縮したものであるから、上記本件特許発明1についての判断と同様の理由により、甲1発明、及び、甲2ないし5に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

b 甲2発明又は甲3発明を主引例とした場合について

本件特許発明1と甲2発明とを対比した場合、及び、本件特許発明1と、甲3発明とを対比した場合においても、両者は、少なくとも、上記相違点と同様の相違点を有する。
そして、上記相違点に係る構成は、申立人が示した甲1ないし5のいずれにも記載されておらず、また、その点が本件特許の原出願前において周知であったとはいえず、単なる設計的事項であるともいえない。
したがって、甲2発明又は甲3発明を主引例とした場合であっても、本件特許発明1は、甲1ないし甲5に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
また、本件特許発明2ないし8、11、12は、本件特許発明1を更に減縮したものであるから、上記本件特許発明1についての判断と同様の理由により、甲1ないし5に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

c 小括

以上のことから、本件特許発明1ないし8、11、12は、甲1ないし5に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

第5 申立人の意見について

申立人は、平成30年6月27日付けの意見書において、(1)進歩性違反について、(2)訂正要件違反についての2点について主張している。
以下、申立人の主張について検討する。

(1) 進歩性違反について

申立人は、本件特許発明1に関して、本件訂正の訂正部分を、
「(A)前記制御部は、反復的な信号光の照射において単位時間あたりの変更量が一定になるように前記合焦位置を連続的に変更させ、」
「(B)前記合成断層像形成部は、各断層像において、対応する合焦位置に相当する画像領域を含む平行四辺形状部分画像に基づいて、前記合成断層像を形成し、前記平行四辺形状部分画像は、前記信号光のスキャン動作期間中に変更された各合焦位置に対して深くなる方向及び浅くなる方向に等距離の幅を有する」
と区分し、上記の(A)部分と(B)部分について各甲号証の記載事項との対比を行っている。
しかしながら、上記訂正部分は、「合焦位置を連続的に変更させ」ることによって「平行四辺形状部分画像」が形成されるのであるから、「前記制御部は、反復的な信号光の照射において単位時間あたりの変更量が一定になるように前記合焦位置を連続的に変更させ、」との記載によって特定される構成と、「前記合成断層像形成部は、各断層像において、対応する合焦位置に相当する画像領域を含む平行四辺形状部分画像に基づいて、前記合成断層像を形成し、」との記載によって特定される構成とは相互に関連するものであって、一体として検討すべき事項であると認められ、申立人の上記の(A)部分と(B)部分に区分して行った各甲号証の記載事項との対比についての主張は採用できない。
なお、上記(B)部分に関して、申立人による、上記意見書の第7頁下4行?第8頁第4行に記載された「本件特許発明1の構成では部分画像が合焦位置から外れないにもかかわらず、甲第1号証ではなぜ部分画像から合焦位置が外れるのか、理解できない。甲第1号証においても、本件と同様に、合焦位置毎に部分画像を設定しており(例えば、「断層構造情報生成部225は、光構造情報検出部220が検出した光構造情報に基づき、測定光L1の異なる複数の焦点位置毎の断層構造情報(断層画像データ)を生成するものであって断層構造情報生成手段を構成する。」(段落0062)を参照)、部分画像から合焦位置が外れないことは、当業者には明らかである。」の主張は、部分画像が合焦位置を中心に形成されるという技術常識に鑑みれば理由があり、特許権者の主張に誤りがあると認められるが、そのことが本件特許の取消理由にはならず、結論に影響を与えるものではない。

(2) 訂正要件違反について

申立人は、上記意見書において、上記訂正部分に関して、「各合焦位置に対して深くなる方向と浅くなる方向に等距離の幅を有する」「平行四辺形状部分画像」を実現する具体的な構成及び手段について何ら開示がない旨を主張している。
しかしながら、本件特許発明1は、本件特許明細書等の段落【0013】に記載されているように、フーリエドメインタイプのOCTであることから、「各合焦位置に対して深くなる方向と浅くなる方向に等距離の幅を有する」「部分画像」をどのように実現するかは、当業者にとって技術常識である。
また、その幅をどの程度に設定するかは、当業者が適宜なし得る程度の事項にすぎない。
したがって、この点に関する申立人の主張は採用できない。

第6 むすび

以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、請求項1ないし8、11、12に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1ないし8、11、12に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
本件特許の請求項9及び10に対してなされた特許異議の申立てについては、請求項9及び10が訂正により削除され、申立ての対象となる請求項が存在しないものとなったから、却下する。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
光画像計測装置
【技術分野】
【0001】
この発明は、光コヒーレンストモグラフィ(Optical Coherence Tomography:OCT)を用いて対象物の画像を取得する光画像計測技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、レーザ光源等からの光ビームを用いて対象物の表面形態や内部形態を表す画像を形成するOCTが注目を集めている。OCTは、X線CTのような人体に対する侵襲性を持たないことから、特に医療分野や生物学分野における応用の展開が期待されている。たとえば眼科分野においては、眼底や角膜等の画像を形成する装置が実用化されている。
【0003】
特許文献1には、いわゆる「フーリエドメインOCT(Fourier Domain OCT)」の手法を用いた装置が開示されている。すなわち、この装置は、対象物に対して低コヒーレンス光のビームを照射し、その反射光と参照光とを重ね合わせて干渉光を生成し、この干渉光のスペクトル強度分布を取得してフーリエ変換を施すことにより対象物の深度方向(z方向)の形態を画像化するものである。更に、この装置は、光ビーム(信号光)をz方向に直交する1方向(x方向)に走査するガルバノミラーを備え、それにより対象物の所望の測定対象領域の画像を形成するようになっている。この装置により形成される画像は、光ビームの走査方向(x方向)に沿った深度方向(z方向)の2次元断層像となる。なお、この手法は、特にスペクトラルドメイン(Spectral Domain)とも呼ばれる。スペクトラルドメインタイプのOCT装置は特許文献2にも開示されている。
【0004】
特許文献3には、対象物に照射される光の波長を走査(波長掃引)し、各波長の光の反射光と参照光とを重ね合わせて得られる干渉光を検出してスペクトル強度分布を取得し、それに対してフーリエ変換を施すことにより対象物の形態を画像化するOCT装置が記載されている。このようなOCT装置は、スウェプトソース(Swept Source)タイプなどと呼ばれる。スウェプトソースタイプはフーリエドメインタイプの一種である。また、特許文献4には、OCTを眼科分野に適用した構成が開示されている。
【0005】
OCTを用いた装置は、高精細の画像を取得できる点、更には断層像や3次元画像を取得できる点などにおいて優位性を持つ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】 特開平11-325849号公報
【特許文献2】 特開2007-101250号公報
【特許文献3】 特開2007-24677号公報
【特許文献4】 特開2008-73099公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のOCT装置では、横分解能の向上を図るために、NA(Numerical Aperture、開口数)が大きい光学系を用いている。しかし、NAの値を大きくすると焦点深度が浅くなり、画像にボケが発生しやすくなってしまう。すなわち、横分解能と画像全体のシャープさはトレードオフの関係にあり、従来の技術ではこれらを両立させることは困難であった。
【0008】
この発明の目的は、横分解能が高く、かつ全体的にシャープな画像を取得することが可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、対象物に対する信号光の照射位置を変更する走査部と、信号光の合焦位置を変更する合焦位置変更部とを含み、各信号光の対象物からの戻り光と参照光との干渉光を検出する光学系と、信号光の複数の照射位置に対応する複数の干渉光の検出結果に基づいて断層像を形成する画像形成部と、前記光学系を制御することにより、前記合焦位置を変更させつつ前記複数の照射位置に対して信号光を反復的に照射させる制御部と、反復的な信号光の照射の結果に基づき前記画像形成部により形成された2以上の断層像に基づいて、1の合成断層像を形成する合成断層像形成部とを有する光画像計測装置であって、前記合成断層像形成部は、前記2以上の断層像のそれぞれについて、対応する合焦位置に相当する画像領域を含む当該断層像の部分画像を特定する部分画像特定部を含み、特定された2以上の前記部分画像を合成することにより前記合成断層像を形成し、前記制御部は、反復的な信号光の照射において単位時間あたりの変更量が一定になるように前記合焦位置を連続的に変更させ、前記合成断層像形成部は、各断層像において、対応する合焦位置に相当する画像領域を含む平行四辺形状部分画像に基づいて、前記合成断層像を形成し、前記平行四辺形状部分画像は、前記信号光のスキャン動作期間中に変更された各合焦位置に対して深くなる方向及び浅くなる方向に等距離の幅を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、横分解能が高く、かつ全体的にシャープな画像を取得することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施形態に係る光画像計測装置(眼底観察装置)の構成の一例を表す概略図である。
【図2】実施形態に係る光画像計測装置(眼底観察装置)の構成の一例を表す概略図である。
【図3】実施形態に係る光画像計測装置(眼底観察装置)の構成の一例を表す概略ブロック図である。
【図4】実施形態に係る光画像計測装置(眼底観察装置)の構成の一例を表す概略ブロック図である。
【図5】実施形態に係る光画像計測装置(眼底観察装置)の構成を説明するための概略図である。
【図6】実施形態に係る光画像計測装置(眼底観察装置)の構成を説明するための概略図である。
【図7A】実施形態に係る光画像計測装置(眼底観察装置)の構成を説明するための概略図である。
【図7B】実施形態に係る光画像計測装置(眼底観察装置)の構成を説明するための概略図である。
【図8】実施形態に係る光画像計測装置(眼底観察装置)の動作例を表すフローチャートである。
【図9】実施形態に係る光画像計測装置(眼底観察装置)の動作例を説明するためのタイミングチャートである。
【図10】変形例に係る光画像計測装置(眼底観察装置)の構成の一例を表す概略ブロック図である。
【図11】変形例に係る光画像計測装置(眼底観察装置)の動作例を説明するためのタイミングチャートである。
【図12A】変形例に係る光画像計測装置(眼底観察装置)の動作例を説明するための概略図である。
【図12B】変形例に係る光画像計測装置(眼底観察装置)の動作例を説明するための概略図である。
【図13】変形例に係る光画像計測装置(眼底観察装置)の動作例を説明するためのタイミングチャートである。
【図14】変形例に係る光画像計測装置(眼底観察装置)の構成の一例を表す概略ブロック図である。
【図15A】変形例に係る光画像計測装置(眼底観察装置)の動作例を説明するための概略図である。
【図15B】変形例に係る光画像計測装置(眼底観察装置)の動作例を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
この発明に係る光画像計測装置の実施形態の一例について、図面を参照しながら詳細に説明する。この発明に係る光画像計測装置は、OCTを用いて対象物の断層像や3次元画像を形成する。この明細書では、OCTによって取得される画像をOCT画像と総称することがある。また、OCT画像を形成するための計測動作をOCT計測と呼ぶことがある。なお、この明細書に記載された文献の記載内容を、以下の実施形態の内容として適宜援用することが可能である。また、以下の実施形態および変形例に記載された各種の構成を任意に組み合わせることが可能である。
【0013】
以下の実施形態では、対象物は被検眼(眼底)とし、フーリエドメインタイプのOCTを適用して眼底のOCT計測を行う眼底観察装置について説明する。特に、実施形態に係る眼底観察装置は、スペクトラルドメインOCTの手法を用いて眼底のOCT画像および眼底像の双方を取得可能である。なお、スペクトラルドメイン以外のタイプ、たとえばスウェプトソースOCTの手法を用いる光画像計測装置に対して、この発明に係る構成を適用することも可能である。また、この実施形態ではOCT装置と眼底カメラとを組み合わせた装置について説明するが、眼底カメラ以外の眼底撮影装置、たとえばSLO、スリットランプ、眼科手術用顕微鏡などに、この実施形態に係る構成を有するOCT装置を組み合わせることも可能である。また、この実施形態に係る構成を、単体のOCT装置に組み込むことも可能である。
【0014】
[構成]
図1および図2に示すように、眼底観察装置(光画像計測装置)1は、眼底カメラユニット2、OCTユニット100および演算制御ユニット200を含んで構成される。眼底カメラユニット2は、従来の眼底カメラとほぼ同様の光学系を有する。OCTユニット100には、眼底のOCT画像を取得するための光学系が設けられている。演算制御ユニット200は、各種の演算処理や制御処理等を実行するコンピュータを具備している。
【0015】
〔眼底カメラユニット〕
図1に示す眼底カメラユニット2には、被検眼Eの眼底Efの表面形態を表す2次元画像(眼底像)を取得するための光学系が設けられている。眼底像には、観察画像や撮影画像などが含まれる。観察画像は、たとえば、近赤外光を用いて所定のフレームレートで形成されるモノクロの動画像である。撮影画像は、たとえば、可視光をフラッシュ発光して得られるカラー画像、または近赤外光若しくは可視光を照明光として用いたモノクロの静止画像であってもよい。眼底カメラユニット2は、これら以外の画像、たとえばフルオレセイン蛍光画像やインドシアニングリーン蛍光画像や自発蛍光画像などを取得可能に構成されていてもよい。
【0016】
眼底カメラユニット2には、被検者の顔を支持するための顎受けや額当てが設けられている。更に、眼底カメラユニット2には、照明光学系10と撮影光学系30が設けられている。照明光学系10は眼底Efに照明光を照射する。撮影光学系30は、この照明光の眼底反射光を撮像装置(CCDイメージセンサ(単にCCDと呼ぶことがある)35、38。)に導く。
【0017】
照明光学系10の観察光源11は、たとえばハロゲンランプにより構成される。観察光源11から出力された光(観察照明光)は、曲面状の反射面を有する反射ミラー12により反射され、集光レンズ13を経由し、可視カットフィルタ14を透過して近赤外光となる。更に、観察照明光は、撮影光源15の近傍にて一旦集束し、ミラー16により反射され、リレーレンズ17、18、絞り19およびリレーレンズ20を経由する。そして、観察照明光は、孔開きミラー21の周辺部(孔部の周囲の領域)にて反射され、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により屈折されて眼底Efを照明する。なお、観察光源としてLED(Light Emitting Diode)を用いることも可能である。
【0018】
観察照明光の眼底反射光は、対物レンズ22により屈折され、ダイクロイックミラー46を透過し、孔開きミラー21の中心領域に形成された孔部を通過し、ダイクロイックミラー55を透過し、合焦レンズ31を経由し、ミラー32により反射される。更に、この眼底反射光は、ハーフミラー39Aを透過し、ダイクロイックミラー33により反射され、集光レンズ34によりCCDイメージセンサ35の受光面に結像される。CCDイメージセンサ35は、たとえば所定のフレームレートで眼底反射光を検出する。表示装置3には、CCDイメージセンサ35により検出された眼底反射光に基づく画像(観察画像)が表示される。なお、撮影光学系のフォーカス(ピント)が前眼部に合わせられている場合、被検眼Eの前眼部の観察画像が表示される。
【0019】
撮影光源15は、たとえばキセノンランプにより構成される。撮影光源15から出力された光(撮影照明光)は、観察照明光と同様の経路を通って眼底Efに照射される。撮影照明光の眼底反射光は、観察照明光のそれと同様の経路を通ってダイクロイックミラー33まで導かれ、ダイクロイックミラー33を透過し、ミラー36により反射され、集光レンズ37によりCCDイメージセンサ38の受光面に結像される。表示装置3には、CCDイメージセンサ38により検出された眼底反射光に基づく画像(撮影画像)が表示される。なお、観察画像を表示する表示装置3と撮影画像を表示する表示装置3は、同一のものであってもよいし、異なるものであってもよい。また、被検眼Eを赤外光で照明して同様の撮影を行う場合には、赤外の撮影画像が表示される。また、撮影光源としてLEDを用いることも可能である。
【0020】
LCD(Liquid Crystal Display)39は、固視標や視力測定用指標を表示する。固視標は被検眼Eを固視させるための指標であり、眼底撮影時やOCT計測時などに使用される。
【0021】
LCD39から出力された光は、その一部がハーフミラー39Aにて反射され、ミラー32に反射され、合焦レンズ31およびダイクロイックミラー55を経由し、孔開きミラー21の孔部を通過し、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により屈折されて眼底Efに投影される。
【0022】
LCD39の画面上における固視標の表示位置を変更することにより、被検眼Eの固視位置を変更できる。被検眼Eの固視位置としては、たとえば従来の眼底カメラと同様に、眼底Efの黄斑部を中心とする画像を取得するための位置や、視神経乳頭を中心とする画像を取得するための位置や、黄斑部と視神経乳頭との間の眼底中心を中心とする画像を取得するための位置などがある。また、固視標の表示位置を任意に変更することも可能である。
【0023】
更に、眼底カメラユニット2には、従来の眼底カメラと同様にアライメント光学系50とフォーカス光学系60が設けられている。アライメント光学系50は、被検眼Eに対する装置光学系の位置合わせ(アライメント)を行うための指標(アライメント指標)を生成する。フォーカス光学系60は、眼底Efに対してピントを合わせるための指標(スプリット指標)を生成する。
【0024】
アライメント光学系50のLED51から出力された光(アライメント光)は、絞り52、53およびリレーレンズ54を経由してダイクロイックミラー55により反射され、孔開きミラー21の孔部を通過し、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により被検眼Eの角膜に投影される。
【0025】
アライメント光の角膜反射光は、対物レンズ22、ダイクロイックミラー46および上記孔部を経由し、その一部がダイクロイックミラー55を透過し、合焦レンズ31を通過し、ミラー32により反射され、ハーフミラー39Aを透過し、ダイクロイックミラー33に反射され、集光レンズ34によりCCDイメージセンサ35の受光面に投影される。CCDイメージセンサ35による受光像(アライメント指標)は、観察画像とともに表示装置3に表示される。ユーザは、従来の眼底カメラと同様の操作を行ってアライメントを実施する。また、演算制御ユニット200がアライメント指標の位置を解析して光学系を移動させることによりアライメントを行ってもよい(オートアライメント機能)。
【0026】
フォーカス調整を行う際には、照明光学系10の光路上に反射棒67の反射面が斜設される。フォーカス光学系60のLED61から出力された光(フォーカス光)は、リレーレンズ62を通過し、スプリット指標板63により2つの光束に分離され、二孔絞り64を通過し、ミラー65に反射され、集光レンズ66により反射棒67の反射面に一旦結像されて反射される。更に、フォーカス光は、リレーレンズ20を経由し、孔開きミラー21に反射され、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により屈折されて眼底Efに投影される。
【0027】
フォーカス光の眼底反射光は、アライメント光の角膜反射光と同様の経路を通ってCCDイメージセンサ35により検出される。CCDイメージセンサ35による受光像(スプリット指標)は、観察画像とともに表示装置3に表示される。演算制御ユニット200は、従来と同様に、スプリット指標の位置を解析して合焦レンズ31およびフォーカス光学系60を移動させてピント合わせを行う(オートフォーカス機能)。また、スプリット指標を視認しつつ手動でピント合わせを行ってもよい。
【0028】
ダイクロイックミラー46は、眼底撮影用の光路とOCT計測用の光路とを合成している。ダイクロイックミラー46は、OCT計測に用いられる波長帯の光を反射し、眼底撮影用の光を透過させる。OCT計測用の光路には、OCTユニット100側から順に、コリメータレンズユニット40と、光路長変更部41と、ガルバノスキャナ42と、合焦レンズ43と、ミラー44と、リレーレンズ45とが設けられている。OCT計測用の光路に配置された部材と、OCTユニット100に含まれる部材は、「光学系」の一例である。
【0029】
コリメータレンズユニット40は、光ファイバ107から出射した光(信号光LS)を平行光束にする。また、コリメータレンズユニット40は、被検眼Eからの信号光LSの戻り光を光ファイバ107に入射させる。コリメータレンズユニット40には、平行光束のビーム径を変更することによりOCT計測における開口数(NA)変更する開口数変更部40Aが設けられている。開口数変更部40Aは、たとえば、屈折力が異なる複数のレンズを選択的に光路に配置可能なユニット、または、レンズを光軸方向に沿って移動可能なユニットにより構成される。信号光LSのビーム径を変更することにより、OCT計測における開口数が変更される。
【0030】
光路長変更部41は、図1に示す矢印の方向に移動可能とされ、OCT計測用の光路の光路長を変更する。この光路長の変更は、被検眼Eの眼軸長に応じた光路長の補正や、干渉状態の調整などに利用される。光路長変更部41は、たとえばコーナーキューブと、これを移動する機構とを含んで構成される。
【0031】
ガルバノスキャナ42は、OCT計測用の光路を通過する光(信号光LS)の進行方向を変更する。それにより、眼底Efを信号光LSで走査することができる。ガルバノスキャナ42は、たとえば、信号光LSをx方向に走査するガルバノミラーと、y方向に走査するガルバノミラーと、これらを独立に駆動する機構とを含んで構成される。それにより、信号光LSをxy平面上の任意の方向に走査することができる。
【0032】
合焦レンズ43は、図1に示す矢印の方向に移動可能とされ、OCT計測における合焦位置(フォーカス位置)を変更する。
【0033】
〔OCTユニット〕
図2を参照しつつOCTユニット100の構成の一例を説明する。OCTユニット100には、眼底EfのOCT画像を取得するための光学系が設けられている。この光学系は、従来のスペクトラルドメインタイプのOCT装置と同様の構成を有する。すなわち、この光学系は、低コヒーレンス光を参照光と信号光に分割し、眼底Efを経由した信号光と参照光路を経由した参照光とを干渉させて干渉光を生成し、この干渉光のスペクトル成分を検出するように構成されている。この検出結果(検出信号)は演算制御ユニット200に送られる。
【0034】
なお、スウェプトソースタイプのOCT装置の場合には、低コヒーレンス光源を出力する光源の代わりに波長掃引光源が設けられるとともに、干渉光をスペクトル分解する光学部材が設けられない。一般に、OCTユニット100の構成については、光コヒーレンストモグラフィのタイプに応じた公知の技術を任意に適用することができる。
【0035】
光源ユニット101は広帯域の低コヒーレンス光L0を出力する。低コヒーレンス光L0は、たとえば、近赤外領域の波長帯(約800nm?900nm程度)を含み、数十マイクロメートル程度の時間的コヒーレンス長を有する。なお、人眼では視認できない波長帯、たとえば1040?1060nm程度の中心波長を有する近赤外光を低コヒーレンス光L0として用いてもよい。
【0036】
光源ユニット101は、スーパールミネセントダイオード(Super Luminescent Diode:SLD)や、LEDや、SOA(Semiconductor Optical Amplifier)等の光出力デバイスを含んで構成される。
【0037】
光源ユニット101から出力された低コヒーレンス光L0は、光ファイバ102によりファイバカプラ103に導かれて信号光LSと参照光LRに分割される。
【0038】
参照光LRは、光ファイバ104により導かれて光減衰器(アッテネータ)105に到達する。光減衰器105は、公知の技術を用いて、演算制御ユニット200の制御の下、光ファイバ104に導かれる参照光LRの光量を自動で調整する。光減衰器105により光量が調整された参照光LRは、光ファイバ104により導かれて偏波調整器(偏波コントローラ)106に到達する。偏波調整器106は、たとえば、ループ状にされた光ファイバ104に対して外部から応力を与えることで、光ファイバ104内を導かれる参照光LRの偏光状態を調整する装置である。なお、偏波調整器106の構成はこれに限定されるものではなく、任意の公知技術を用いることが可能である。偏波調整器106により偏光状態が調整された参照光LRは、ファイバカプラ109に到達する。
【0039】
ファイバカプラ103により生成された信号光LSは、光ファイバ107により導かれ、コリメータレンズユニット40により平行光束とされる。更に、信号光LSは、光路長変更部41、ガルバノスキャナ42、合焦レンズ43、ミラー44、およびリレーレンズ45を経由してダイクロイックミラー46に到達する。そして、信号光LSは、ダイクロイックミラー46により反射され、対物レンズ22により屈折されて眼底Efに照射される。信号光LSは、眼底Efの様々な深さ位置において散乱(反射を含む)される。眼底Efによる信号光LSの後方散乱光(戻り光)は、往路と同じ経路を逆向きに進行してファイバカプラ103に導かれ、光ファイバ108を経由してファイバカプラ109に到達する。
【0040】
ファイバカプラ109は、信号光LSの後方散乱光と、光ファイバ104を経由した参照光LRとを干渉させる。これにより生成された干渉光LCは、光ファイバ110により導かれて出射端111から出射される。更に、干渉光LCは、コリメータレンズ112により平行光束とされ、回折格子113により分光(スペクトル分解)され、集光レンズ114により集光されてCCDイメージセンサ115の受光面に投影される。なお、図2に示す回折格子113は透過型であるが、たとえば反射型の回折格子など、他の形態の分光素子を用いることも可能である。
【0041】
CCDイメージセンサ115は、たとえばラインセンサであり、分光された干渉光LCの各スペクトル成分を検出して電荷に変換する。CCDイメージセンサ115は、この電荷を蓄積して検出信号を生成し、これを演算制御ユニット200に送る。
【0042】
この実施形態ではマイケルソン型の干渉計を採用しているが、たとえばマッハツェンダー型など任意のタイプの干渉計を適宜に採用することが可能である。また、CCDイメージセンサに代えて、他の形態のイメージセンサ、たとえばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどを用いることが可能である。
【0043】
〔演算制御ユニット〕
演算制御ユニット200の構成について説明する。演算制御ユニット200は、CCDイメージセンサ115から入力される検出信号を解析して眼底EfのOCT画像を形成する。そのための演算処理は、従来のスペクトラルドメインタイプのOCT装置と同様である。
【0044】
また、演算制御ユニット200は、眼底カメラユニット2、表示装置3およびOCTユニット100の各部を制御する。たとえば演算制御ユニット200は、眼底EfのOCT画像を表示装置3に表示させる。
【0045】
また、眼底カメラユニット2の制御として、演算制御ユニット200は、観察光源11、撮影光源15およびLED51、61の動作制御、LCD39の動作制御、合焦レンズ31、43の移動制御、反射棒67の移動制御、フォーカス光学系60の移動制御、開口数変更部40Aの動作制御、光路長変更部41の移動制御、ガルバノスキャナ42の動作制御などを行う。
【0046】
また、OCTユニット100の制御として、演算制御ユニット200は、光源ユニット101の動作制御、光減衰器105の動作制御、偏波調整器106の動作制御、CCDイメージセンサ115の動作制御などを行う。
【0047】
演算制御ユニット200は、たとえば、従来のコンピュータと同様に、マイクロプロセッサ、RAM、ROM、ハードディスクドライブ、通信インターフェイスなどを含んで構成される。ハードディスクドライブ等の記憶装置には、眼底観察装置1を制御するためのコンピュータプログラムが記憶されている。演算制御ユニット200は、各種の回路基板、たとえばOCT画像を形成するための回路基板を備えていてもよい。また、演算制御ユニット200は、キーボードやマウス等の操作デバイス(入力デバイス)や、LCD等の表示デバイスを備えていてもよい。
【0048】
眼底カメラユニット2、表示装置3、OCTユニット100および演算制御ユニット200は、一体的に(つまり単一の筺体内に)構成されていてもよいし、2つ以上の筐体に別れて構成されていてもよい。
【0049】
〔制御系〕
眼底観察装置1の制御系の構成について図3および図4を参照しつつ説明する。
【0050】
(制御部)
眼底観察装置1の制御系は、制御部210を中心に構成される。制御部210は、たとえば、前述のマイクロプロセッサ、RAM、ROM、ハードディスクドライブ、通信インターフェイス等を含んで構成される。制御部210には、主制御部211と記憶部212が設けられている。
【0051】
(主制御部)
主制御部211は前述の各種制御を行う。特に、主制御部211は、眼底カメラユニット2の合焦駆動部31A、開口数変更部40A、光路長変更部41、ガルバノスキャナ42、および合焦駆動部43Aを制御する。また、主制御部211は、OCTユニット100の光源ユニット101、光減衰器105および偏波調整器106を制御する。
【0052】
合焦駆動部31Aは、合焦レンズ31を光軸方向に移動させる。それにより、撮影光学系30の合焦位置が変更される。合焦駆動部43Aは、主制御部211の制御を受けて、合焦レンズ43を光軸に沿って移動する。それにより、OCT計測用の光学系の合焦位置が変更される。なお、この合焦位置は、コリメータレンズユニット40を介して光ファイバ107に入射される信号光LSの光量を規定する。つまり、最適な合焦位置は、光ファイバ107のコリメータレンズユニット40側のファイバ端と、眼底Efとが光学的に共役になる位置に合焦レンズ43を配置させることによって実現される。合焦駆動部31Aおよび合焦駆動部43Aは、それぞれ、パルスモータ等のアクチュエータと、このアクチュエータにより発生された駆動力を合焦レンズ43に伝達する機構とを含む。
【0053】
主制御部211は、図示しない光学系駆動部を制御して、眼底カメラユニット2に設けられた光学系を3次元的に移動させることもできる。この制御は、アライメントやトラッキングにおいて用いられる。トラッキングとは、被検眼Eの眼球運動に合わせて装置光学系を移動させるものである。トラッキングを行う場合には、事前にアライメントとピント合わせが実行される。トラッキングは、装置光学系の位置を眼球運動に追従させることにより、アライメントとピントが合った好適な位置関係を維持する機能である。
【0054】
また、主制御部211は、記憶部212にデータを書き込む処理や、記憶部212からデータを読み出す処理を行う。
【0055】
(記憶部)
記憶部212は、各種のデータを記憶する。記憶部212に記憶されるデータとしては、たとえば、OCT画像の画像データ、眼底像の画像データ、被検眼情報などがある。被検眼情報は、患者IDや氏名などの被検者に関する情報や、左眼/右眼の識別情報などの被検眼に関する情報を含む。また、記憶部212には、眼底観察装置1を動作させるための各種プログラムやデータが記憶されている。
【0056】
(画像形成部)
画像形成部220は、CCDイメージセンサ115からの検出信号に基づいて、眼底Efの断層像の画像データを形成する。この処理には、従来のスペクトラルドメインタイプの光コヒーレンストモグラフィと同様に、ノイズ除去(ノイズ低減)、フィルタ処理、分散補償、FFT(Fast Fourier Transform)などの処理が含まれている。他のタイプのOCT装置の場合、画像形成部220は、そのタイプに応じた公知の処理を実行する。
【0057】
画像形成部220は、たとえば、前述の回路基板を含んで構成される。なお、この明細書では、「画像データ」と、それに基づく「画像」とを同一視することがある。
【0058】
(画像処理部)
画像処理部230は、画像形成部220により形成された画像に対して各種の画像処理や解析処理を施す。たとえば、画像処理部230は、画像の輝度補正等の各種補正処理を実行する。また、画像処理部230は、眼底カメラユニット2により得られた画像(眼底像、前眼部像等)に対して各種の画像処理や解析処理を施す。
【0059】
画像処理部230は、断層像の間の画素を補間する補間処理などの公知の画像処理を実行して、眼底Efの3次元画像の画像データを形成する。なお、3次元画像の画像データとは、3次元座標系により画素の位置が定義された画像データを意味する。3次元画像の画像データとしては、3次元的に配列されたボクセルからなる画像データがある。この画像データは、ボリュームデータ或いはボクセルデータなどと呼ばれる。ボリュームデータに基づく画像を表示させる場合、画像処理部230は、このボリュームデータに対してレンダリング処理(ボリュームレンダリングやMIP(Maximum Intensity Projection:最大値投影)など)を施して、特定の視線方向から見たときの擬似的な3次元画像の画像データを形成する。表示部240A等の表示デバイスには、この擬似的な3次元画像が表示される。
【0060】
また、3次元画像の画像データとして、複数の断層像のスタックデータを形成することも可能である。スタックデータは、複数の走査線に沿って得られた複数の断層像を、走査線の位置関係に基づいて3次元的に配列させることで得られる画像データである。すなわち、スタックデータは、元々個別の2次元座標系により定義されていた複数の断層像を、1つの3次元座標系により表現する(つまり1つの3次元空間に埋め込む)ことにより得られる画像データである。
【0061】
画像処理部230は、層厚算出部231、反復回数決定部232、開口数決定部233および合成断層像形成部234を有する。
【0062】
(層厚算出部)
層厚算出部231は、眼底Efの断層像を解析することにより、眼底Efの所定層の厚さを算出する。この処理は、眼底Efの所定層の境界(上端および下端)を特定する処理と、特定された上端と下端との間の距離を求める処理とを含む。
【0063】
所定層は、観察対象となる眼底Efの層を示す。眼底Efの層組織には、網膜、脈絡膜および強膜がある。また、網膜は、多層構造となっており、内境界膜、神経線維層、神経節細胞層、内網状層内顆粒層、外網状層、外顆粒層、外境界膜、視細胞層および網膜色素上皮層を有する。所定層としては、網膜、脈絡膜若しくは強膜、または網膜に含まれる1以上の層組織が適用される。所定層は予め設定される。また、所定層を任意に設定できるようにしてもよい。
【0064】
所定層の境界を特定する処理は、いわゆるセグメンテーションと呼ばれる処理である。セグメンテーションとは、眼底Efの層組織に相当する断層像中の画像領域を特定する画像処理である。この処理は、断層像の画素値(輝度値)に基づいて行われる。眼底Efの層組織はそれぞれ特徴的な反射率を有し、その層組織の画像領域も特徴的な輝度値を有する。セグメンテーションにおいては、そのような特徴的な輝度値に基づいて目的の画像領域を特定する。なお、眼底Efの表面(網膜と硝子体との境界)を特定し、その表面位置からの距離に基づいて目的の画像領域を特定することも可能である。
【0065】
このようにして所定層の境界(上端および下端)が特定されたら、層厚算出部231は、たとえば上端と下端との間の画素数を求め、この画素数に基づいて所定層の厚さを求める。所定層の厚さを示す情報(層厚情報)は、画素数自体でもよいし、画素数から得られる距離情報(実空間における距離への換算等)でもよい。また、層厚情報は、所定層における厚さ分布を示す情報でもよいし、この厚さ分布から統計的に得られる情報(平均値、最頻値、中央値、最大値、最小値等)でもよい。また、所定層の所定位置(たとえばフレーム中心を通る直線状における位置)の厚さを層厚情報としてもよい。
【0066】
(反復回数決定部)
反復回数決定部232は、層厚算出部231により取得された層厚情報に基づいて、OCT計測におけるスキャンの反復回数を決定する。詳細は後述するが、この実施形態のOCT計測は、合焦位置を変更しながら眼底Efの同じ部分を反復的にスキャンするものである。反復回数決定部232により決定される反復回数は、このようなOCT計測により得られる断層像の数に相当する。また、このようなOCT計測において合焦位置を段階的に変更する場合、反復回数は、変更される合焦位置の個数に相当する。
【0067】
反復回数を決定する処理の例を説明する。図5に示すように、層厚情報として、網膜厚d、つまり網膜表面(内境界膜と硝子体との境界)L1と、網膜底面(網膜色素上皮層と脈絡膜との境界)L2との間の距離が得られたとする。また、断層像Gのフレームの高さ(眼底Efの深さ方向(z方向)における距離)をHとする。
【0068】
第1の処理例を説明する。反復回数決定部232は、フレーム高さHを網膜厚dで除算する。商H/dが整数である場合には、商H/dを反復回数とする。また、商H/dが整数でない場合には、商H/dより大きい整数のうち最小の値を反復回数とする。
【0069】
第2の処理例を説明する。反復回数決定部232は、網膜厚d以下であり、かつ、フレーム高さHの整数分の1である値d1を求める:d1≦d、H/d1=整数。この整数は、この関係を満たす最大の値であってもよいし、それ未満の値でもよい。この整数の値が反復回数として用いられる。
【0070】
第3の処理例を説明する。反復回数決定部232は、網膜厚d未満の値d2を任意に設定する:d2<d。そして、この値d2でフレーム高さHを除算して得られる商H/d2が整数である場合には、商H/d2を反復回数とする。また、商H/d2が整数でない場合には、商H/d2より大きい整数のうち最小の値を反復回数とする。なお、値d2を求める方法は、たとえば、網膜厚dを所定数eで除算した値とされる:d2=d/e。また、実質的に同値であるが、網膜厚dに所定割合f(%)を乗算した値をd2とすることもできる:d2=d×f。
【0071】
なお、後述する合成断層像の形成処理において、いわゆる「のりしろ」を設ける場合には、上記処理例で得られる反復回数に「のりしろ」に相当する反復回数が加算される。また、後述のように、焦点深度に基づいて反復回数を決定することも可能である。
【0072】
(開口数決定部)
前述のように、OCT計測における開口数は、開口数変更部40Aによって変更される。開口数決定部233は、OCT計測における焦点深度(または被写界深度)が所定層の厚さ未満となるように開口数の値を決定する。
【0073】
一般論として、焦点深度Dと開口数NAの間には次のような関係がある:D=λ/(2×NA^(2))。ここで、λは信号光LSの(中心)波長であり、固定値である。
【0074】
図5に示す場合、開口数決定部233は、焦点深度Dが網膜厚d未満となるように開口数NAの値を決定する。すなわち、開口数決定部233は、次の関係式を満たすように開口数NAの値を決定する:d>D=λ/(2×NA^(2))、つまりNA>√(λ/2d)。
【0075】
数値例として、NA=0.088、λ=840nmとすると、D≒50μmとなる。一般的な網膜厚dが200?300μmであるから、焦点深度D<網膜厚dとなる。
【0076】
以上のようにして得られた焦点深度Dに基づいて反復回数を決定することができる。たとえば、反復回数決定部232は、フレーム高さHを焦点深度Dで除算する。商H/Dが整数である場合、商H/Dを反復回数とする。また、商H/Dが整数でない場合、たとえば商H/Dより大きい整数のうち最小の値を反復回数とする。
【0077】
(合成断層像形成部)
この実施形態のOCT計測では、合焦位置を変更させつつ眼底Efの同一箇所を反復的にスキャンする。それにより、当該スキャン箇所について、合焦位置が異なる断層像が、反復回数に相当する枚数だけ得られる。合成断層像形成部234は、このようにして得られた2以上の断層像に基づいて、1枚の合成断層像を形成する。
【0078】
このような処理を行うために、合成断層像形成部234は、部分画像特定部2341、位置調整部2342、部分画像形成部2345および合成処理部2346を有する。また、位置調整部2342は、特徴画像領域特定部2343および画像位置調整部2344を有する。
【0079】
(部分画像特定部)
上記のように、この実施形態では、合焦位置を変更させつつ眼底Efの同一箇所を反復的にスキャンする。よって、断層像ごとに合焦位置が異なる。部分画像特定部2341は、各断層像について、対応する合焦位置に相当する画像領域を含む部分画像を特定する。合焦位置に相当する画像領域とは、この合焦位置に対応するフレームの深さ位置(z座標)を示す。
【0080】
部分画像を特定する処理の例を説明する。反復的なスキャンにより得られた複数の断層像のうちの1つを図6に示す。直線FPiは、断層像Giを取得したときの合焦位置を示す。直線FPi上に位置する画素が、この合焦位置に相当する画像領域をなす。部分画像特定部2341は、たとえば、直線FPi上に位置する画素がなす画像領域を中心として眼底Efの深さ方向(z方向)にそれぞれ等距離だけ広がる範囲Riを特定する。範囲Riに位置する画素からなる画像領域が、断層像Giの部分画像とされる。
【0081】
範囲Riは、たとえば、断層像Giのフレーム高さを上記反復回数で除算して得られる距離にわたる。この距離は、たとえば上記の焦点深度である。また、後述の合成処理において「のりしろ」を用いる場合には、範囲Riは「のりしろ」に相当する距離を含む。
【0082】
(位置調整部)
位置調整部2342は、部分画像特定部2341により特定された部分画像を解析することにより、これら部分画像の相対位置を調整する。この処理を行うために、位置調整部2342には、たとえば特徴画像領域特定部2343および画像位置調整部2344を有する。
【0083】
(特徴画像領域特定部)
特徴画像領域特定部2343は、部分画像特定部2341により特定された各部分画像を解析することにより、眼底Efの特徴部位に相当する特徴画像領域を特定する。特徴部位は、黄斑部(中心窩)、視神経乳頭、病変部などである。また、所定の層組織に相当する画像領域を特徴画像領域としてもよい。特徴画像領域を特定する処理は、たとえば、層厚算出部231と同様にして所定の画像領域を特定し、この画像領域の形状に基づいて特徴画像領域を特定することにより行われる。
【0084】
具体例として、黄斑部(中心窩)に相当する特徴画像領域を特定する場合、黄斑部に特徴的な凹部を検出する。また、視神経乳頭に相当する特徴画像領域を特定する場合、視神経乳頭に特徴的な深さ方向(z方向)への傾斜を検出する。また、浮腫(病変部)に相当する特徴画像領域を特定する場合、浮腫に特徴的な凸部を検出する。なお、浮腫に相当する空洞部を検出することもできる。
【0085】
(画像位置調整部)
画像位置調整部2344は、特徴画像領域特定部2343により特定された特徴画像領域に基づいて、部分画像特定部2341により特定された複数の部分画像の相対位置を調整する。この処理は、たとえば、特徴画像領域が一致するように、隣接する部分画像の位置合わせを行うものである。「のりしろ」が設けられている場合、特徴画像領域が重なるように、隣接する部分画像の位置合わせを行うことができる。「のりしろ」が設けられていない場合、特徴画像領域がスムースにつながるように、隣接する部分画像の位置合わせを行うことができる。
【0086】
(部分画像形成部)
部分画像形成部2345は、反復的なスキャンにより得られた断層像をトリミングして部分画像を形成する。このトリミング処理は、たとえば、部分画像特定部2341によって特定された断層像中の範囲に位置する画素の画素情報(画素位置および画素値)を抽出するものである。
【0087】
(合成処理部)
合成処理部2346は、部分画像形成部2345により形成された複数の部分画像を合成して1枚の断層像(合成断層像)を形成する。この合成処理は、たとえば、複数の部分画像の画素情報を単一の画像データとするものである。合成断層像は、反復的なスキャンが行われた眼底Efの断面を描画した画像である。更に、各部分画像は、そのOCT計測時における合焦位置に相当する画像領域を含むものであるから、合成断層像は全体的にフォーカスが合った画像となる。
【0088】
図7Aおよび図7Bを参照しつつ、この実施形態における合成処理の例を説明する。合成処理では、図7Aに示す複数の断層像G1?Gnの部分画像PG1?PGnが合成される。部分画像PG1?PGnはそれぞれ、図6に示す断層像Giの範囲Riに相当する画像である。この実施形態では、たとえば、反復的なスキャンにおける合焦位置の変更を段階的に行う。その場合、図6および図7Aに示すように、矩形状の部分画像PG1?PGnを適用できる。合成処理部2346は、これら矩形状の部分画像PG1?PGnを合成することで、図7Bに示す合成断層像CGを形成する。合成断層像CGは、矩形状の部分画像PG1?PGnを深さ方向(z方向)に配列したものである。
【0089】
合成処理部2346は、位置調整部2342による部分画像の相対位置の調整結果に基づいてこれら部分画像を合成することにより、合成断層像を形成することができる。ここで、位置調整の結果を常に反映させてもよいし、場合に応じて反映させるようにしてもよい。後者の例として、特徴画像領域の変位に基づいて部分画像の位置ずれを求め、この位置ずれが閾値以上である場合にのみ位置調整の結果を反映させて合成処理を行うことができる。
【0090】
以上のように機能する画像処理部230は、たとえば、前述のマイクロプロセッサ、RAM、ROM、ハードディスクドライブ、回路基板等を含んで構成される。ハードディスクドライブ等の記憶装置には、上記機能をマイクロプロセッサに実行させるコンピュータプログラムが予め格納されている。
【0091】
(ユーザインターフェイス)
ユーザインターフェイス240には、表示部240Aと操作部240Bとが含まれる。表示部240Aは、前述した演算制御ユニット200の表示デバイスや表示装置3を含んで構成される。操作部240Bは、前述した演算制御ユニット200の操作デバイスを含んで構成される。操作部240Bには、眼底観察装置1の筐体や外部に設けられた各種のボタンやキーが含まれていてもよい。たとえば眼底カメラユニット2が従来の眼底カメラと同様の筺体を有する場合、操作部240Bは、この筺体に設けられたジョイスティックや操作パネル等を含んでいてもよい。また、表示部240Aは、眼底カメラユニット2の筺体に設けられたタッチパネルなどの各種表示デバイスを含んでいてもよい。
【0092】
なお、表示部240Aと操作部240Bは、それぞれ個別のデバイスとして構成される必要はない。たとえばタッチパネルのように、表示機能と操作機能とが一体化されたデバイスを用いることも可能である。その場合、操作部240Bは、このタッチパネルとコンピュータプログラムとを含んで構成される。操作部240Bに対する操作内容は、電気信号として制御部210に入力される。また、表示部240Aに表示されたグラフィカルユーザインターフェイス(GUI)と、操作部240Bとを用いて、操作や情報入力を行うようにしてもよい。
【0093】
〔信号光の走査およびOCT画像について〕
ここで、信号光LSの走査およびOCT画像について説明しておく。
【0094】
眼底観察装置1による信号光LSの走査態様としては、たとえば、水平スキャン、垂直スキャン、十字スキャン、放射スキャン、円スキャン、同心円スキャン、螺旋(渦巻)スキャンなどがある。これらの走査態様は、眼底の観察部位、解析対象(網膜厚など)、走査に要する時間、走査の精密さなどを考慮して適宜に選択的に使用される。
【0095】
水平スキャンは、信号光LSを水平方向(x方向)に走査させるものである。水平スキャンには、垂直方向(y方向)に配列された複数の水平方向に延びる走査線に沿って信号光LSを走査させる態様も含まれる。この態様においては、走査線の間隔を任意に設定することが可能である。また、隣接する走査線の間隔を十分に狭くすることにより、前述の3次元画像を形成することができる(3次元スキャン)。垂直スキャンについても同様である。
【0096】
十字スキャンは、互いに直交する2本の直線状の軌跡(直線軌跡)からなる十字型の軌跡に沿って信号光LSを走査するものである。放射スキャンは、所定の角度を介して配列された複数の直線軌跡からなる放射状の軌跡に沿って信号光LSを走査するものである。なお、十字スキャンは放射スキャンの一例である。
【0097】
円スキャンは、円形状の軌跡に沿って信号光LSを走査させるものである。同心円スキャンは、所定の中心位置の周りに同心円状に配列された複数の円形状の軌跡に沿って信号光LSを走査させるものである。円スキャンは同心円スキャンの一例である。螺旋スキャンは、回転半径を次第に小さく(または大きく)させながら螺旋状(渦巻状)の軌跡に沿って信号光LSを走査するものである。
【0098】
ガルバノスキャナ42は、互いに直交する方向に信号光LSを走査するように構成されているので、信号光LSをx方向およびy方向にそれぞれ独立に走査できる。更に、ガルバノスキャナ42に含まれる2つのガルバノミラーの向きを同時に制御することで、xy面上の任意の軌跡に沿って信号光LSを走査することが可能である。それにより、上記のような各種の走査態様を実現できる。
【0099】
上記のような態様で信号光LSを走査することにより、走査線(走査軌跡)に沿う方向と眼底深度方向(z方向)とにより張られる面における断層像を取得することができる。また、特に走査線の間隔が狭い場合には、前述の3次元画像を取得することができる。
【0100】
上記のような信号光LSの走査対象となる眼底Ef上の領域、つまりOCT計測の対象となる眼底Ef上の領域を走査領域と呼ぶ。3次元スキャンにおける走査領域は、複数の水平スキャンが配列された矩形の領域である。また、同心円スキャンにおける走査領域は、最大径の円スキャンの軌跡により囲まれる円盤状の領域である。また、放射スキャンにおける走査領域は、各スキャンラインの両端位置を結んだ円盤状(或いは多角形状)の領域である。
【0101】
[動作]
眼底観察装置1の動作について説明する。図8は、眼底観察装置1の動作の一例を表す。なお、アライメントやフォーカスはなされているものとする。
【0102】
(S1:事前処理用の断層像を取得する)
まず、事前書利用の断層像を取得する。事前処理とは、スキャンの反復回数や開口数を決定する処理である。ここで取得される断層像は、たとえば、眼底Efの同一断面を繰り返しスキャンして得られるライブ断層像である。
【0103】
(S2:層厚情報を求める)
層厚算出部231は、ステップ1で取得された断層像を解析し、眼底Efの所定層の厚さを示す層厚情報を求める。
【0104】
(S3:開口数を決定する)
開口数決定部233は、焦点深度が、ステップ2で取得された層厚情報に示す厚さ未満となるように、開口数の値を決定する。主制御部211は、開口数変更部40Aを制御して、開口数を決定された値に設定する。
【0105】
(S4:反復回数を決定する)
反復回数決定部232は、ステップ2で取得された層厚情報に示す厚さに基づいて、信号光LSの反復的なスキャンにおける反復回数を決定する。このとき、合焦位置の決定も行うことが可能である。たとえば、断層像のフレーム高さを反復回数で等分する位置をそれぞれ合焦位置とすることができる。
【0106】
(S5:反復的なスキャンを行う)
所定のトリガを受けて、主制御部211は、合焦位置を変更させつつ反復的なスキャンを実行する。この反復的なスキャンは、ステップ3で設定された開口数で、かつ、ステップ4で決定された反復回数だけ実行される。また、変更される合焦位置の数は、反復回数と同じ数である。
【0107】
反復的なスキャンの制御は、たとえば図9に示すタイミングチャートで実行される。信号光LSのスキャンにおいて、信号光LSの照射位置は、鋸歯形状で示されるグラフにしたがって変更される。このグラフの斜線部分TSは、異なる複数の照射位置に対する信号光LSのスキャン動作を示す。また、このグラフの垂直部分TRは、複数の照射位置のうち最後の照射位置から最初の照射位置に信号光LSの照射位置を変更する動作(戻し動作)を示す。一方、合焦位置は、階段状のグラフTF1に示すように段階的に変更される。合焦位置の変更は、信号光LSの照射位置の戻し動作(垂直部分TR)と同時に行われる。
【0108】
(S6:複数の断層像を形成する)
画像形成部220は、ステップ5の反復的なスキャンにより得られたデータに基づいて、複数の断層像を形成する。ここで形成される断層像の個数は、ステップ4で決定された反復回数に等しい。各断層像は、図9に示すスキャンのタイミングチャートにおける一つの斜線部分TSの間に収集されたデータから形成される。
【0109】
(S7:部分画像を特定する)
部分画像特定部2341は、ステップ6で形成された各断層像について、対応する合焦位置に相当する画像領域を含む部分画像を特定する。
【0110】
(S8:特徴画像領域を特定する)
特徴画像領域特定部2343は、ステップ7で特定された各部分画像を解析することにより、眼底Efの特徴部位に相当する特徴画像領域を特定する。
【0111】
(S9:部分画像の相対位置を調整する)
画像位置調整部2344は、ステップ8で特定された特徴画像領域に基づいて部分画像の相対位置を調整する。
【0112】
(S10:部分画像を形成する)
部分画像形成部2345は、ステップ7で特定された部分画像を断層像からトリミングする。それにより、各断層像から部分画像が形成される。なお、ステップ10の処理は、ステップ7以降の任意のタイミングで行うことができる。
【0113】
(S11:合成断層像を形成する)
合成処理部2346は、ステップ9における相対位置の調整結果に基づいて、ステップ10で形成された部分画像を合成することにより、眼底Efの合成断層像を形成する。形成された合成断層像は、主制御部211により記憶部212に記憶される。また、合成断層像を表示部240Aに表示させることもできる。以上で、この動作例は終了となる。
【0114】
[作用・効果]
この実施形態に係る光画像計測装置(眼底観察装置1)の作用および効果について説明する。
【0115】
眼底観察装置1は、光学系と、画像形成部と、制御部と、合成断層像形成部とを有する。光学系は、対象物(眼底Ef)に対する信号光の照射位置を変更する走査部(ガルバノスキャナ42)と、信号光の合焦位置を変更する合焦位置変更部(合焦レンズ43、合焦駆動部43A)とを含む。更に、光学系は、各信号光の対象物からの戻り光と参照光との干渉光を検出する。つまり、光学系は対象物のOCT計測を行う。画像形成部220は、信号光の複数の照射位置に対応する複数の干渉光の検出結果に基づいて断層像を形成する。制御部(主制御部211)は、光学系を制御することにより、合焦位置を変更させつつ複数の照射位置に対して信号光を反復的に照射させる。合成断層像形成部(234)は、反復的な信号光の照射の結果に基づき画像形成部により形成された2以上の断層像に基づいて、1の合成断層像を形成する。
【0116】
このような構成によれば、対象物の同一断面を合焦位置を変えつつ複数回スキャンして得られる複数の断層像を合成して1枚の断層像(合成断層像)を形成できるので、フレーム全体にわたってフォーカスが合った画像が得られる。また、横分解能に影響するファクタ(開口数等)についても任意の設定を適用してOCT計測を行うことができる。したがって、横分解能が高く、かつ全体的にシャープな画像を取得することが可能である。
【0117】
合成断層像形成部は、画像形成部により形成された各断層像について、対応する合焦位置に相当する画像領域を含む部分画像を特定する部分画像特定部(2341)を含んでいてもよい。その場合、合成断層像形成部は、特定された部分画像を合成することにより合成断層像の形成を行うことができる。この構成を適用すれば、断層像のうち合焦位置を含む部分画像を合成することができるので、全体的にフォーカスが合った画像を確実に、また自動で取得することが可能である。
【0118】
合成断層像形成部は、部分画像特定部により特定された部分画像を解析することにより、これら部分画像の相対位置を調整する位置調整部(2342)を含んでいてもよい。その場合、合成断層像形成部は、相対位置の調整がなされた部分画像を合成することにより合成断層像の形成を行うことができる。この構成を適用すれば、反復的なスキャン中における眼球運動や拍動によって断層像の間に位置ずれが発生しても、この位置ずれを補正して合成断層像を形成することが可能である。
【0119】
位置調整部は、各部分画像を解析することにより、対象物の特徴部位に相当する特徴画像領域を特定する特徴画像領域特定部(2343)を含んでいてもよい。その場合、位置調整部(2344)は、特定された特徴画像領域に基づいて部分画像の相対位置の調整を行うことができる。この構成を適用すれば、特徴画像領域に基づいて高精度、高確度の位置調整が可能である。
【0120】
眼底観察装置1は、予め取得された対象物の所定層の厚さに基づいて、反復的な信号光の照射における反復回数を決定する反復回数決定部(232)を有していてもよい。この構成を適用すれば、反復的なスキャンにおける反復回数を自動で決定することができる。また、所定層の厚さを参照することにより、適正な反復回数を求めることが可能である。
【0121】
眼底観察装置1は、反復的な信号光の照射の前に取得された断層像を解析することにより、所定層の厚さを算出する層厚算出部(231)を有していてもよい。この構成を適用すれば、対象物を実際に測定して得られた所定層の厚さを参照することができるので、最適な反復回数を求めることが可能である。
【0122】
開口数を変更する開口数変更部(40A)を光学系に設け、かつ、焦点深度が所定層の厚さ未満となるように開口数の値を決定する開口数決定部(233)を設けてもよい。その場合、制御部は、開口数変更部を制御して、開口数を決定された値に設定することができる。この構成を適用すれば、所定層のOCT計測を高分解能で行うことができ、高画質の合成断層像を取得することができる。なお、開口数の決定は、横分解能への影響も考慮して行うことが望ましい。
【0123】
制御部は、反復的な信号光の照射において、複数の照射位置に対する信号光の照射の反復ごとに合焦位置を段階的に変更させることができる(図9参照)。その場合、合成断層像形成部は、合焦位置に相当する画像領域を含む断層像の矩形状部分画像に基づいて、合成断層像の形成を行うことができる。この構成は、反復的なスキャンと画像合成処理の一具体例を提供するものである。
【0124】
合成断層像形成部は、各断層像をトリミングして部分画像を形成する部分画像形成部(2345)と、これら部分画像をタイリングすることにより合成断層像の形成を行う合成処理部(2346)とを含んでいてもよい。タイリング(tiling)とは、複数の画像を貼り合わせることにより1つの画像を形成する画像合成処理を示す。この実施形態のタイリングにおいて、「のりしろ」はあってもなくてもよい。この構成は、画像合成処理の一具体例を提供するものである。
【0125】
[変形例]
以上に説明した構成は、この発明を好適に実施するための一例に過ぎない。よって、この発明の要旨の範囲内における任意の変形(省略、置換、付加等)を適宜に施すことが可能である。以下、そのような変形の例を説明する。なお、上記実施形態と同様の構成部分については同じ符号を付して説明を行う。
【0126】
(変形例1)
前述のように、反復的なスキャンを行なっている間に眼球運動や拍動、体動が発生すると、取得される複数の断層像に位置ずれが発生する。この位置ずれが大きい場合、複数の断層像は異なる断面を描画する画像となり、合成断層像の形成に供するに不適当となる。この変形例は、このような事態に対処するものである。
【0127】
この変形例の構成の一例を図10に示す。この変形例に係る光画像計測装置(眼底観察装置)は、上記実施形態とほぼ同様の構成を有するが(図3参照)、画像処理部230に変位検出部235が設けられている点が異なる。なお、この変形例の画像処理部230は、上記実施形態と同様の層厚算出部231、反復回数決定部232および/または開口数決定部233を有していてもよい。また、この変形例の合成断層像形成部234は、上記実施形態と同様の構成を有していてもよいし(図4参照)、これと異なる構成を有していてもよい。
【0128】
変位検出部235は、反復的なスキャンを実行している間における、OCT計測用の光学系と対象物(眼底Ef)との変位を検出する。この変位検出処理には、xy方向の変位の検出と、z方向の変位の検出の少なくとも一方が含まれる。なお、変位検出処理は、合成断層像を形成する処理の前に実行されることが望ましい。
【0129】
xy方向の変位の検出は、たとえば、反復的なスキャンと並行して眼底Efの観察画像(リアルタイム赤外眼底像)を取得し、時系列的に取得されるフレームにおける眼底Efの特徴部位の位置の経時変化を検出することによって行うことができる。また、被検眼Eの前眼部の観察画像によって同様の処理を行うこともできる。このような処理は、前述したトラッキングにおいても実行される。
【0130】
また、反復的なスキャンにより得られた複数の断層像を解析することによりxy方向の変位を検出することも可能である。なお、これら断層像は、反復的なスキャンの反復周波数をフレームレートとする時系列的な断層像である。これら断層像のフレームにおける眼底Efの特徴部位の形態(位置(x座標、y座標)、形状、サイズ等)の経時変化を検出することにより、xy方向の変位を検出することが可能である。
【0131】
z方向の変位の検出は、たとえば、反復的なスキャンにより得られた複数の断層像を解析することにより行うことが可能である。その一例として、xy方向の変位検出と同様に、これら断層像のフレームにおける眼底Efの特徴部位の位置(z座標)の経時変化を検出することにより、z方向の変位を検出することが可能である。
【0132】
主制御部211は、変位検出部235により検出された変位に基づいて、眼底Efの反復的なスキャンを新たに実行させる。この処理は、たとえば、検出された変位(変位の最大値等)に基づいて新たな反復的スキャンを行うか否か判断する処理である。また、この処理は、検出された変位に基づいて新たな反復的スキャンの制御内容(走査態様、走査位置等)を決定する処理を含んでいてもよい。
【0133】
新たな反復的スキャンは、たとえば前回と同じ走査態様で行われる。なお、前回と異なる走査態様を適用することもできる。たとえば、前回の反復的スキャンで水平スキャンが適用された場合、隣接する2本の水平スキャンを新たな反復的スキャンの走査態様として適用して、再度のやり直しのおそれの低減を図ることができる。
【0134】
画像形成部220は、新たに実行された反復的スキャンで得られた検出信号に基づいて、複数の新たな断層像を形成する。合成断層像形成部234は、これら新たな断層像に基づいて合成断層像を形成する。
【0135】
画像形成部220により形成された複数の新たな断層像に対して、上記と同様の変位検出処理を実行することも可能である。たとえば、新たに検出された変位に基づいて更なる反復的スキャンを実行するか否か判断することができる。その場合、反復的スキャンのやり直し回数が所定回数に達したときに、その旨のメッセージを表示部240Aに表示させるように構成することができる。
【0136】
このような変形例によれば、反復的なスキャンの間における光学系と対象物との変位に基づいて新たなスキャンを行うことが可能である。たとえば、反復的なスキャンが好適に行われなかった場合に自動で再計測を行うことができる。
【0137】
(変形例2)
この変形例は、変形例1と同様の事態に対処するものである。変形例1では、反復的なスキャンの間における光学系と対象物との変位に基づき新たなスキャンを行っているが、この変形例ではこの変位に基づいて報知を行う。
【0138】
この変形例の構成は変形例1と同様である(図10参照)。変位検出部235は、変形例1と同様に、反復的なスキャンを実行している間における、OCT計測用の光学系と対象物(眼底Ef)との変位を検出する。
【0139】
主制御部211は、変位検出部235により検出された変位に基づいて、報知部に報知情報を出力させる。報知部としては、表示部240A、図示しない音声出力部などがある。報知情報は、報知部の構成によって異なり、たとえば視覚的情報(文字列情報、画像情報等)や、聴覚的情報(警告メッセージ、警告音等)である。
【0140】
主制御部211は、たとえば、検出された変位の統計値(最大値、標準偏差等)を求め、この統計値に基づいて報知制御を行うことができる。具体例として、変位の統計値が所定値以上であった場合に、その旨を示すメッセージを出力させることができる。また、変位の統計値自体を報知することもできる。これらの場合において、再計測の有無をユーザが指示するためのGUIを表示部240Aに表示させることもできる。
【0141】
このような変形例によれば、反復的なスキャンの間における光学系と対象物との変位に基づいて報知を行うことができる。したがって、反復的なスキャンが好適に行われなかったことや、再計測を行うべきことを、ユーザに知らせることが可能である。
【0142】
(変形例3)
上記実施形態では、反復的なスキャンにおいて合焦位置を段階的に変更しているが(図9参照)、合焦位置の変更態様はこれには限定されない。たとえば、反復的なスキャンにおいて合焦位置を連続的に変更することができる。この場合のタイミングチャートの例を図11に示す。
【0143】
信号光LSのスキャンは、上記実施形態と同様に実行される。このグラフの斜線部分TSは、異なる複数の照射位置に対する信号光LSのスキャン動作を示す。垂直部分TRは、信号光LSの照射位置の戻し動作を示す。一方、合焦位置は、上記実施形態と異なり、直線状のグラフTF2に示すように連続的に変更される。
【0144】
なお、上記実施形態のように合焦位置を段階的に変更する場合には、スキャンの反復のそれぞれにおいて(つまり各斜線部分TSにおいて)合焦位置は同一であり、各反復に対応する合焦位置は1つである。しかし、この変形例では、合焦位置を連続的に変更している。よって、上記実施形態の図6に示すように、合成断層像の形成に供される断層像Giの範囲Riを矩形状にすると、その範囲Riから合焦位置が外れる可能性がある。また、合焦位置が外れないように範囲Riを広くすると、合焦位置からの距離が遠い部分ではフォーカスが甘くなってしまう。
【0145】
このような事情を鑑み、この変形例では、断層像内の平行四辺形状の部分領域を用いて合成断層像を形成する。その例を図12Aに示す。図12Aに示す複数の断層像J1?Jnは、図11に示すタイミングチャートにしたがって実行された反復的なスキャンにより得られたデータに基づいて形成される。ここで、各断層像Ji(i=1?n)は、このタイミングチャートの第i番目の斜線部分TSに相当するスキャンで収集されたデータに基づく。
【0146】
この例では、断層像Jiの部分画像PJiが合成処理に用いられる。各部分画像PJinは、対応する斜線部分TSの期間における合焦位置のグラフ(に相当する画像領域)TF2に対して±z方向に等距離だけ幅を有する画像領域である。グラフTF2は単調な直線グラフ(つまり傾きが一定のグラフ)であるから、各部分画像PJiは平行四辺形状の画像領域となる。各部分画像PJiは平行四辺形状部分画像の例である。
【0147】
合成断層像形成部234は、このような平行四辺形状部分画像PJ1?PJnを合成することで合成断層像を形成する。図示は省略するが、この合成断層像は、平行四辺形状の部分画像PJ1?PJnを深さ方向(z方向)に配列したものである。この例では、各部分画像PJiに「のりしろ」が設けられており、隣接する部分画像PJi、Pj(i+1)の一部が互いに重畳されるように合成が行われる。なお、図12Bに示す断層像K1?Knの部分画像PK1?PKnのように「のりしろ」を設けずに合成処理を行うことも可能である。
【0148】
合成断層像のフレームの上端と下端の三角形状領域については、それに最も近い部分画像PJiを含む断層像Ji、つまり、断層像J1およびJnにおける当該三角形状領域の画像を用いることができる。また、図11に示すグラフTF2を経時的に前後に延長することで、これら三角形状領域の画像を別途に取得することも可能である。
【0149】
合焦位置を連続的に変化させる場合の他の例を図13に示す。この例は、合焦位置を連続的に変化させて反復的なスキャンを実行しつつも、上記実施形態のような矩形状の部分画像を用いて合成処理を行うものである。
【0150】
主制御部211は、合焦位置の制御を行うので、反復的なスキャンの任意のタイミングにおける合焦位置(z座標)を認識している。なお、反復的なスキャンの間における合焦レンズ43の位置を検出するセンサを設けることにより合焦位置を認識するようにしてもよい。
【0151】
主制御部211は、信号光LSのスキャンにおける各斜線部分TSについて、その期間における代表的な合焦位置を取得する。この代表的な合焦位置としては、たとえば、図13に示すように、斜線部分TSの期間の中間時点t1?tnにおける合焦位置を適用できる。
【0152】
合成断層像形成部234は、各断層像について、その斜線部分TSに対応する代表的な合焦位置に相当する画像領域(z方向に直交する線分上の画素からなる)を含むように、矩形状の部分画像を特定する。そして、合成断層像形成部234は、特定された矩形状の部分画像を合成することにより合成断層像を形成する。なお、図12Aに示す合焦位置に相当する画像領域TF2を含むように矩形状の部分画像を設定することも可能である。
【0153】
以上のような変形例は、合焦位置を連続的に変更しているので、段階的に変更する場合と比較して、合焦駆動部43Aの構成や制御の簡素化を図ることができる。
【0154】
(変形例4)
上記実施形態では、複数の断層像をトリミングして貼り合わせることにより合成断層像を形成しているが、合成処理はこれには限定されない。たとえば、レイヤー機能を用いて複数の断層像を重ね合わせることにより合成断層像を形成することができる。
【0155】
この変形例の構成の一例を図14に示す。この変形例に係る光画像計測装置(眼底観察装置)は、上記実施形態とほぼ同様の構成を有するが(図3参照)、画像処理部230に重み付け部2347が設けられている点が異なる。なお、この変形例の画像処理部230は、上記実施形態と同様の層厚算出部231、反復回数決定部232および/または開口数決定部233を有していてもよい。また、この変形例の合成断層像形成部234は、上記実施形態と同様の構成を有していてもよいし(図4参照)、これと異なる構成を有していてもよい。
【0156】
重み付け部2347は、合成処理に供される各断層像の画素に重み付けを行う。この重み付けは、たとえば、断層像の画素のアルファチャンネルに透過度情報(アルファ値)を付与することにより行われる。重み付け部2347は、上記実施形態の部分画像を構成する画素の不透明度が相対的に高くなるように透過度情報を付与する。その具体例を図15Aおよび図15Bに示す。
【0157】
反復的なスキャンにより複数の断層像Mi(i=1?n)が得られたとする。図15Aに示す不透明度グラフα1は、断層像Miの部分画像PMiの不透明度が相対的に高くなるように、断層像Miの画素のアルファチャンネルに透過度情報を付与する。不透明度グラフα1が適用された断層像Miは、部分画像PMiの不透明度が高く、部分画像PMiから離れるに連れて不透明度が徐々に低くなっていく画像である。
【0158】
図15Bに示す不透明度グラフα2は、断層像Miの部分画像PMiの不透明度が最大値を取り、それ以外の部分の不透明度が最低値を取るように作成されたものである。不透明度グラフα2が適用された断層像Miは、部分画像PMi以外の部分が透明な画像である。
【0159】
合成断層像形成部234は、重み付け部2347により画素に重み付けがなされた複数の断層像M1?Mnを重ね合わせることにより合成断層像を形成する。ここで、複数の断層像Miの位置合わせを行う場合には、上記実施形態と同様にして行うことが可能である。
【0160】
(その他の変形例)
上記の実施形態においては、光路長変更部41の位置を変更することにより、信号光LSの光路と参照光LRの光路との光路長差を変更しているが、この光路長差を変更する手法はこれに限定されるものではない。たとえば、参照光の光路に反射ミラー(参照ミラー)を配置し、この参照ミラーを参照光の進行方向に移動させて参照光の光路長を変更することによって、当該光路長差を変更することが可能である。また、被検眼Eに対して眼底カメラユニット2やOCTユニット100を移動させて信号光LSの光路長を変更することにより当該光路長差を変更するようにしてもよい。また、特に対象物が生体部位でない場合などには、対象物を深度方向(z方向)に移動させることにより光路長差を変更することも可能である。
【0161】
上記の実施形態を実現するためのコンピュータプログラムを、コンピュータによって読み取り可能な任意の記録媒体に記憶させることができる。この記録媒体としては、たとえば、半導体メモリ、光ディスク、光磁気ディスク(CD-ROM/DVD-RAM/DVD-ROM/MO等)、磁気記憶媒体(ハードディスク/フロッピー(登録商標)ディスク/ZIP等)などを用いることが可能である。
【0162】
また、インターネットやLAN等のネットワークを通じてこのプログラムを送受信することも可能である。
【符号の説明】
【0163】
1 眼底観察装置(光画像計測装置)
2 眼底カメラユニット
40A 開口数変更部
41 光路長変更部
42 ガルバノスキャナ
43 合焦レンズ
43A 合焦駆動部
100 OCTユニット
200 演算制御ユニット
210 制御部
211 主制御部
212 記憶部
220 画像形成部
230 画像処理部
231 層厚算出部
232 反復回数決定部
233開口数変更部
234 合成断層像形成部
2341 部分画像特定部
2342 位置調整部
2343 特徴画像領域特定部
2344 画像位置調整部
2345 部分画像形成部
2346 合成処理部
2347 重み付け部
235 変位検出部
240A 表示部
240B 操作部
E 被検眼
Ef 眼底
LS 信号光
LR 参照光
LC 干渉光
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に対する信号光の照射位置を変更する走査部と、信号光の合焦位置を変更する合焦位置変更部とを含み、各信号光の対象物からの戻り光と参照光との干渉光を検出する光学系と、
信号光の複数の照射位置に対応する複数の干渉光の検出結果に基づいて断層像を形成する画像形成部と、
前記光学系を制御することにより、前記合焦位置を変更させつつ前記複数の照射位置に対して信号光を反復的に照射させる制御部と、
反復的な信号光の照射の結果に基づき前記画像形成部により形成された2以上の断層像に基づいて、1の合成断層像を形成する合成断層像形成部と
を有し、
前記合成断層像形成部は、
前記2以上の断層像のそれぞれについて、対応する合焦位置に相当する画像領域を含む当該断層像の部分画像を特定する部分画像特定部を含み、
特定された2以上の前記部分画像を合成することにより前記合成断層像を形成し、
前記制御部は、反復的な信号光の照射において単位時間あたりの変更量が一定になるように前記合焦位置を連続的に変更させ、
前記合成断層像形成部は、各断層像において、対応する合焦位置に相当する画像領域を含む平行四辺形状部分画像に基づいて、前記合成断層像を形成し、
前記平行四辺形状部分画像は、前記信号光のスキャン動作期間中に変更された各合焦位置に対して深くなる方向及び浅くなる方向に等距離の幅を有する
ことを特徴とする光画像計測装置。
【請求項2】
前記合成断層像形成部は、
前記2以上の部分画像を解析することにより、前記2以上の部分画像の相対位置を調整する位置調整部を含み、
相対位置の調整がなされた前記2以上の部分画像を合成することにより前記合成断層像を形成する
ことを特徴とする請求項1に記載の光画像計測装置。
【請求項3】
前記位置調整部は、
前記2以上の部分画像のそれぞれを解析することにより、対象物の特徴部位に相当する特徴画像領域を特定する特徴画像領域特定部を含み、
特定された特徴画像領域に基づいて前記2以上の部分画像の相対位置を調整する
ことを特徴とする請求項2に記載の光画像計測装置。
【請求項4】
反復的な信号光の照射の間における前記光学系と対象物との変位を検出する変位検出部を有し、
前記制御部は、検出された変位に基づいて、反復的な信号光の照射を新たに実行させ、 前記合成断層像形成部は、新たに実行された反復的な信号光の照射の結果に基づき形成された2以上の新たな断層像に基づいて、前記合成断層像を形成する
ことを特徴とする請求項1?3のいずれか一項に記載の光画像計測装置。
【請求項5】
反復的な信号光の照射の間における前記光学系と対象物との変位を検出する変位検出部を有し、
前記制御部は、検出された変位に基づいて、報知部に報知情報を出力させる
ことを特徴とする請求項1?3のいずれか一項に記載の光画像計測装置。
【請求項6】
予め取得された対象物の所定層の厚さに基づいて、反復的な信号光の照射における反復回数を決定する反復回数決定部を有することを特徴とする請求項1?5のいずれか一項に記載の光画像計測装置。
【請求項7】
反復的な信号光の照射の前に取得された断層像を解析することにより、前記所定層の厚さを算出する層厚算出部を有することを特徴とする請求項6に記載の光画像計測装置。
【請求項8】
前記光学系は、開口数を変更する開口数変更部を含み、
焦点深度が前記所定層の厚さ未満となるように開口数の値を決定する開口数決定部を有し、
前記制御部は、前記開口数変更部を制御して、開口数を決定された値に設定する
ことを特徴とする請求項6または請求項7に記載の光画像計測装置。
【請求項9】(削除)
【請求項10】(削除)
【請求項11】
前記合成断層像形成部は、
前記2以上の断層像のそれぞれをトリミングして部分画像を形成する部分画像形成部と、
前記2以上の断層像から得られた2以上の部分画像をタイリングすることにより前記合成断層像の形成を行う合成処理部と
を含むことを特徴とする請求項1?請求項8のいずれか一項に記載の光画像計測装置。
【請求項12】
前記合成断層像形成部は、
前記2以上の断層像のそれぞれについて、当該断層像の画素に重み付けを行う重み付け部と、
画素に重み付けがなされた前記2以上の断層像を重ね合わせることにより前記合成断層像の形成を行う合成処理部と
を含むことを特徴とする請求項1?請求項8のいずれか一項に記載の光画像計測装置。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2018-07-25 
出願番号 特願2016-135983(P2016-135983)
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (A61B)
P 1 651・ 113- YAA (A61B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 増渕 俊仁  
特許庁審判長 福島 浩司
特許庁審判官 ▲高▼橋 祐介
信田 昌男
登録日 2017-06-30 
登録番号 特許第6165935号(P6165935)
権利者 株式会社トプコン
発明の名称 光画像計測装置  
代理人 榎並 智和  
代理人 榎並 智和  
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