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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  C09B
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  C09B
管理番号 1343922
異議申立番号 異議2018-700494  
総通号数 226 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-10-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-06-19 
確定日 2018-09-07 
異議申立件数
事件の表示 特許第6248838号発明「着色組成物、着色硬化膜、並びに表示素子及び固体撮像素子」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6248838号の請求項1ないし10に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6248838号の請求項1?10に係る特許についての出願は、平成26年7月15日(優先権主張 平成25年7月22日 同年10月29日)に出願され、平成29年12月1日にその特許権の設定登録がされ、同年同月20日にその特許公報が発行され、その後平成30年6月19日に鈴木弘之(以下「特許異議申立人」という。)により特許異議の申立てがされたものである。

第2 本件発明
特許第6248838号の請求項1?10に係る発明(以下「本件発明1?10」、またこれらをあわせて「本件発明」ともいう。)は、それぞれ、願書に添付された特許請求の範囲の請求項1?10に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。
「 【請求項1】
(A)着色剤、(C)バインダー樹脂及び(D)重合性化合物を含む着色組成物であって、
(A)着色剤が、下記式(1)で表される顔料を含み、
更に、(B1)リン酸エステル、及び(B2)窒素原子を有する分散剤を含む、着色組成物。
【化1】

〔式(1)において、R^(1)及びR^(2)は、臭素原子を表す。〕
【請求項2】
(B2)窒素原子を有する分散剤が、(メタ)アクリル系分散剤及びポリエステル系分散剤であって、アミノ基、四級アンモニウム、アミド基及びイミノ基から選ばれる1以上の特性基を有する分散剤、並びにウレタン系分散剤のうちの少なくとも1種である、請求項1に記載の着色組成物。
【請求項3】
(B1)リン酸エステルの含有量w_(1)と、(B2)窒素原子を有する分散剤の含有量w_(2)との比(w_(1)/w_(2))が質量比で10/90?90/10である、請求項1又は2に記載の着色組成物。
【請求項4】
(B1)リン酸エステルの酸価が1?150mgKOH/gである、請求項1?3のいずれか1項に記載の着色組成物。
【請求項5】
前記(B1)リン酸エステルが、ポリエーテルリン酸エステル系重合体である、請求項1?4のいずれか1項に記載の着色組成物。
【請求項6】
前記(A)着色剤が、前記式(1)で表される顔料以外の着色剤を含む、請求項1?5のいずれか1項に記載の着色組成物。
【請求項7】
請求項1?6のいずれか1項に記載の着色組成物を用いて形成された着色硬化膜。
【請求項8】
請求項7に記載の着色硬化膜を具備する表示素子。
【請求項9】
請求項7に記載の着色硬化膜を具備する固体撮像素子。
【請求項10】
(A)着色剤及び(F)溶媒を含む着色剤分散液であって、
(A)着色剤が、下記式(1)で表される顔料を含み、
更に、(B1)リン酸エステル、及び(B2)窒素原子を有する分散剤を含む、着色剤分散液。
【化2】

〔式(1)において、R^(1)及びR^(2)は、臭素原子を表す。〕」

第3 特許異議申立理由の概要
特許異議申立人が特許異議申立書において申し立てた取消理由の概要、証拠方法は次のとおりである。

理由1:本件発明1?2、4?8、10は、甲第1号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、本件発明1?2、4?8、10に係る特許は、同法第29条の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。

理由2:本件発明1?10は、甲第1?4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本件発明1?10に係る特許は、同法第29条の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。

甲第1号証:国際公開第2012/102399号
甲第2号証:特開2010-235748号公報
甲第3号証:特開2011-187689号公報
甲第4号証:特開2006-267792号公報

第4 刊行物の記載事項及び刊行物に記載された発明
1 刊行物に記載された事項
(1)甲第1号証
1a)「[0039] 本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、従来使用されていたC.I.ピグメントレッド254(塩素化ジケトピロロピロール顔料)と比較して、臭素化ジケトピロロピロール顔料(式(1))をカラーフィルタに適用することにより、明度が向上することを見出した。」

1b)「[0176][第5の実施態様]
(カラーフィルタ用着色組成物)
第5の実施態様のカラーフィルタ用着色組成物は、・・・感光性着色組成物として用いることができる。
・・・
[0179](顔料(A))
顔料(A)は、式(1)に示す顔料(A1)を含む。
《顔料(A1)》
[化39]

・・・
[0182]《その他の顔料》
着色組成物は、顔料(A1)以外の顔料を併用しても良く、このような顔料としては、有機または無機の顔料を、単独で、または2種類以上併用できる。・・・
[0183] 用いることのできる有機顔料としては、・・・
[0185] また、無機顔料としては、・・・有機顔料と組み合わせて用いられる。・・・
[0215](感光性着色組成物の製法)
感光性着色組成物は、顔料(A)をバインダー樹脂(C-B)などの色素担体および溶剤中に、好ましくは顔料分散剤と一緒に、三本ロールミル、二本ロールミル、サンドミル、ニーダー、アトライター等の各種分散手段を用いて微細に分散して顔料分散体を製造し、該顔料分散体に光重合開始剤(C-D)、バインダー樹脂(C-B)、光重合性化合物、場合によって増感剤(C-E)、多官能チオール、紫外線吸収剤、重合禁止剤、貯蔵安定剤、その他成分を混合撹拌して製造することができる。また、2種以上の顔料を含む着色組成物は、各顔料分散体を別々に色素担体および/または溶剤中に微細に分散したものを混合し、さらに光重合開始剤(C-D)や光重合性化合物等を混合撹拌して製造することができる。」

1c)「[0242][第6の実施態様]
第6の実施態様のカラーフィルタ用着色組成物は、顔料(A)と、バインダー樹脂(D-B)と、溶剤とを含むカラーフィルタ用着色組成物であって、顔料(A)が、式(1)に示す顔料(A1)を含み、バインダー樹脂(D-B)が、下記構成単位(D-b1)?(D-b3)を有する樹脂(D-B1)を含む。第6の実施態様のカラーフィルタ用着色組成物は、感光性着色組成物として用いることができる。
[0243] 本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、従来使用されていたC.I.ピグメントレッド254(塩素化ジケトピロロピロール顔料)に替えて、臭素化ジケトピロロピロール顔料と特定構造を有するバインダー樹脂とを含む着色組成物を用いることにより、高明度、高コントラストかつ加熱工程による結晶析出が抑制された高精細のフィルタセグメントを有するカラーフィルタが得られることを見出した。」

1d)「[0245](顔料(A))
顔料(A)は、第5の実施態様における顔料(A)と同様の顔料であり、第5の実施態様における製造方法と同様の方法により得ることができる。
[0246] 式(1)に示す顔料(A1)と樹脂(D-B1)とを組み合わせて用いることで、従来よりも、高明度および高コントラスト比の赤色着色組成物とすることができる。
[0247] 第6の実施態様の着色組成物は、第5の実施態様の着色組成物と同様に、顔料(A1)と共にその他の顔料を併用してもよく、また、顔料(A1)およびその他の顔料は、微細化して用いることが好ましい。
[0248](バインダー樹脂(D-B))
《樹脂(D-B1)》
カラーフィルタ用着色組成物に含まれるバインダー樹脂(D-B)は、下記構成単位(D-b1)?(D-b3)を有する樹脂(D-B1)を含むことを特徴とする。
(D-b1)カルボキシル基を有する構成単位:2?60重量%
(D-b2)式(D-2)または(D-3)に示す芳香族環基を有する構成単位:2?80重量%
(D-b3)式(D-4)または(D-5)に示す脂肪族環基を有する構成単位:2?60重量%
[化43]

[化44]

[式(D-2)及び(D-3)中、Rは、水素原子、またはベンゼン環を有していてもよい炭素数1?20のアルキル基である。式(D-3)中の破線部は、ベンゼン環に隣あう、置換基を有しても良い一個以上の飽和または不飽和の複素環を含む環状構造を示す。]
[化45]

[化46]



1e)「[0284](感光性着色組成物の製法)
第6の実施態様の着色組成物は、第5の実施態様の着色組成物と同様の製造方法により製造することができる。
[0285](任意成分)
第6の実施態様の着色組成物には、顔料分散剤(D-C)、光重合開始剤(D-D)、増感剤、光重合性化合物、多官能チオール、紫外線吸収剤、重合禁止剤、貯蔵安定剤、その他の添加剤等の任意成分を含有させることができる。・・・
[0287][溶剤、任意成分]
以下、上記のカラーフィルタ用着色組成物に用いられる溶剤及び任意成分の具体例を示す。
[0288](その他着色剤(その他の顔料))
着色組成物に用いることができるその他着色剤(その他の顔料)として、例えばC.I.ピグメントレッド1、・・・、254、・・・または287等の赤色顔料を挙げることができる。赤色染料としては、キサンテン系、・・・アントラキノン系などが挙げられる。具体的には、C.I.アシッドレッド52、・・・などのキサンテン系酸性染料の造塩化合物等が挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
・・・
[0291](有機溶剤)
着色組成物に用いることができる有機溶剤としては、例えば、乳酸エチル、・・・1,3-ブチレングリコールジアセテート、・・・、2-ヘプタノン、・・・、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、・・・、エチレングリコールモノプロピルエーテル、・・・、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、・・・、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、・・・、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、・・・、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、・・・、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、・・・、プロピレングリコールモノエチルエーテル、・・・、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、・・・、酢酸n-ブチル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、・・・等が挙げられる。これらの溶剤は、単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
・・・
[0293](樹脂型分散剤)
樹脂型分散剤は、着色剤に吸着する性質を有する顔料親和性部位と、着色剤担体と相溶性のある部位とを有し、着色剤に吸着して着色剤の着色剤担体への分散を安定化する働きをするものである。樹脂型分散剤として具体的には、・・・、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩・・・等の油性分散剤、・・・等が用いられる。・・・
[0294] 市販の樹脂型分散剤としては、ビックケミー・ジャパン社製のDisperbyk-101、・・・、111、・・・、161、162、・・・、165、・・・、167、・・・、170、・・・、182、・・・、2000、2001、・・・、日本ルーブリゾール社製のSOLSPERSE-3000、・・・、24000、・・・、41000、・・・、76500等、・・・、味の素ファインテクノ社製のアジスパーPA111、・・・、PB821、PB822、・・・等が挙げられる。これらは単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
・・・
[0296](界面活性剤)
界面活性剤としては、・・・、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等のアニオン性界面活性剤;・・・、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、・・・等のノニオン性界面活性剤;・・・が挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
[0297](光重合性単量体(光重合性化合物))
紫外線や熱などにより硬化して透明樹脂を生成するモノマー、オリゴマーとしては、例えば、・・・、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、・・・、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、・・・、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、・・・等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。これらの光重合性化合物は、1種を単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。」

1f)「[0323](カラーフィルタの製造方法)
カラーフィルタは、印刷法またはフォトリソグラフィー法により、製造することができる。
[0324] 印刷法によるフィルタセグメントの形成は、印刷インキとして調製した着色組成物の印刷と乾燥を繰り返すだけでパターン化ができるため、カラーフィルタの製造法としては、低コストで量産性に優れている。・・・
[0325] フォトリソグラフィー法によりフィルタセグメントを形成する場合は、上記溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジスト材として調製した着色組成物を、透明基板上に、スプレーコートやスピンコート、スリットコート、ロールコート等の塗布方法により、乾燥膜厚が0.2?10μm、好ましくは0.2?5μmとなるように塗布する。必要により乾燥された膜には、この膜と接触あるいは非接触状態で設けられた所定のパターンを有するマスクを通して紫外線露光を行う。・・・さらに、着色レジスト材の重合を促進するため、必要に応じて加熱を施すこともできる。」

1g)「[0572][実施例D]
実施例D中、「部」および「%」は、「重量部」および「重量%」をそれぞれ表す。・・・
[0579]<バインダー樹脂(B)溶液の製造方法>
・・・
[0590] 得られた樹脂溶液(B1-1?15)および樹脂溶液(B2-1?4)の組成および重量比を表D-1に示す。カッコ内は樹脂固形分中の構成単位重量比(重量%)を表す。
[0591]
[表D-1]

[0592] 表D-1における構成単位の前駆体および構成単位の略称の説明
MAA:メタクリル酸
THPA:テトラヒドロフタル酸無水物(4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物
BzMA:ベンジルメタクリレート
St:スチレン
M110:パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート
DCPMA:ジシクロペンタニルメタクリレート
GMA:グリシジルメタクリレート
GMA-AA:構成単位GMAにアクリル酸が付加反応し結合したもの
GMA-MAA:構成単位GMAにメタクリル酸が付加反応し結合したもの
BMA:n-ブチルメタクリレート
[0593][樹脂溶液(B2-5)の調製]
反応容器にシクロヘキサノン370部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら80℃に加熱して、同温度でメタクリル酸20.0部、メチルメタクリレート10.0部、n-ブチルメタクリレート55.0部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート15.0部、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル4.0部の混合物を1時間かけて滴下して重合反応を行った。滴下終了後、さらに80℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル1.0部をシクロヘキサノン50部に溶解させたものを添加し、さらに80℃で1時間反応を続けて、アクリル樹脂溶液を得た。
室温まで冷却した後、アクリル樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成したアクリル樹脂溶液に不揮発分が20重量%になるようにシクロヘキサノンを添加して樹脂溶液(B2-5)を調製した。重量平均分子量(Mw)は40000であった。
[0594]<式(1)に示す顔料(A1)の製造方法>
[臭素化ジケトピロロピロール顔料(A1-1)]
還流管を付けたステンレス製反応容器に、窒素雰囲気下、モレキュラシーブで脱水したtert-アミルアルコール200部、およびナトリウム-tert-アミルアルコキシド140部を加え、撹拌しながら100℃に加熱し、アルコラート溶液を調製した。一方で、ガラス製フラスコに、コハク酸ジイソプロピル88部、4-ブロモベンゾニトリル153.6部を加え、撹拌しながら90℃に加熱して溶解させ、これらの混合物の溶液を調製した。この混合物の加熱溶液を、100℃に加熱した上記アルコラート溶液中に、激しく撹拌しながら、2時間かけて一定の速度でゆっくり滴下した。滴下終了後、90℃にて2時間、加熱撹拌を継続し、ジケトピロロピロール系化合物のアルカリ金属塩を得た。さらに、ガラス製ジャケット付き反応容器に、メタノール600部、水600部、及び酢酸304部を加え、-10℃に冷却した。この冷却した混合物を、高速撹拌ディスパーサーを用いて、直径8cmのシェアディスクを4000rpmで回転させながら、この中に、75℃まで冷却した先に得られたジケトピロロピロール系化合物のアルカリ金属塩溶液を、少量ずつ添加した。この際、メタノール、酢酸、および水からなる混合物の温度が常に-5℃以下の温度を保つように、冷却しながら、かつ、75℃のジケトピロロピロール系化合物のアルカリ金属塩の添加する速度を調整しながら、およそ120分にわたって少量ずつ添加した。アルカリ金属塩添加後、赤色の結晶が析出し、赤色の懸濁液が生成した。続いて、得られた赤色の懸濁液を5℃にて限外濾過装置で洗浄後、濾別し赤色ペーストを得た。このペーストを0℃に冷却したメタノール3500部にて再分散し、メタノール濃度約90%の懸濁液とし、5℃にて3時間撹拌し、結晶転移を伴う粒子整粒および洗浄を行った。続いて、限外濾過機で濾別し、得られたジケトピロロピロール系化合物の水ペーストを、80℃にて24時間乾燥させ、粉砕することにより式(1)に示す顔料(A1)である臭素化ジケトピロロピロール顔料を150.8部得た。
[0595] 得られた臭素化ジケトピロロピロール顔料100.0部、塩化ナトリウム1000部、およびジエチレングリコール120部を、ステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)中に仕込み、60℃で8時間混練した。次に、混練した混合物を温水に投入し、約80℃に加熱しながら1時間撹拌してスラリー状として、濾過および水洗をして食塩およびジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥させ、粉砕することにより式(1)に示す臭素化ジケトピロロピロール顔料(A1-1)96.5部を得た。平均一次粒子径は38nm、比表面積は80m^(2)/gであった。
[0596]<顔料分散体の製造方法>
[顔料分散体(P-1)]
下記の組成の混合物を均一に撹拌混合した後、直径1mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM-250 MKII」)で5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過し顔料分散体(P-1)を得た。
臭素化ジケトピロロピロール顔料(A1-1) 8.78部
酸性樹脂型顔料分散剤 1.74部
(ビックケミー・ジャパン社製BYK-111)
顔料誘導体1 2.05部
[化63]

樹脂溶液(B2-5) 5.83部
シクロヘキサノン 81.60部
[0597][顔料分散体(P-2)]
臭素化ジケトピロロピロール顔料(A1-1)を塩素化ジケトピロロピロール顔料(C.I.ピグメントレッド254;チバ・ジャパン社製「イルガフォーレッドB-CF」)に変更した以外は顔料分散体(P-1)と同様にして顔料分散体(P-2)を得た。
[0598][顔料分散体(P-3)]
下記の組成の混合物を均一に撹拌混合した後、直径1mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM-250 MKII」)で5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過し顔料分散体(P-3)を得た。
臭素化ジケトピロロピロール顔料(A1-1) 6.82部
アントラキノン系顔料(C.I.Pigment Red177) 1.08部
(チバ・ジャパン社製「クロモフタールレッドA2B」)
ニッケルアゾ錯体系顔料(C.I.Pigment Yellow150) 0.88部
(ランクセス社製「E4GN」)
酸性樹脂型顔料分散剤 1.74部
(日本ルーブリゾール社製ソルスパース21000」)
顔料誘導体1 2.05部
[化64]

樹脂溶液(B2-5) 5.83部
シクロヘキサノン 81.60部
[0599][顔料分散体(P-4?10)]
表D-2に示す、顔料、顔料誘導体、および樹脂型顔料分散剤の種類、および配合量に変更した以外は、顔料分散体(P-3)と同様にして顔料分散体(P-4?11)を得た。
[0600]
[表D-2]

[0601] 表D-2中の略語を下記に記す。
<顔料>
PR254;ジケトピロロピロール系顔料C.I.ピグメントレッド254
チバ・ジャパン社製「イルガフォーレッドB-CF」
PO71;ジケトピロロピロール系顔料C.I.ピグメントオレンジ71
チバ・ジャパン社製「イルガジンDPPオレンジ398」
PR242;アゾ系顔料C.I.ピグメントレッド242
クラリアント社製「ノボパーム」
PR179;ペリレン系顔料C.I.ピグメントレッド179
大日本インキ化学工業(株)製「ファーストゲンスパーマルーンPSK」
PR122;キナクリドン系顔料C.I.ピグメントレッド122
クラリアント社製「ホスタパーム」
PY180;ベンズイミダゾロン系顔料C.I.ピグメントイエロー180
クラリアント社製「PVファーストイエローHG
PY138;キノリン系顔料C.I.ピグメントイエロー180
BASF社製「パリオトールイエローK0960-HD」
[0602]<顔料誘導体>
[化65]

[化66]

[化67]

・・・
[0611][実施例7?31、参考例3?9]
(感光性着色組成物(RR-1?32))
表D-4?10に示す組成、配合量で各材料を混合・撹拌し、1μmのフィルタで濾過して、感光性着色組成物(RR-1?32)を得た。
[0612][表D-4]

[0613][表D-5]

[0614][表D-6]

[0615]
[表D-7]

[0616][表D-8]

[0617][表D-9]

[0618][表D-10]

[0619] 表D-4?10中の略語について以下に示す。
<光重合開始剤(D)>
光重合開始剤D1:2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン
(チバ・ジャパン社製「イルガキュア907」)
光重合開始剤D2:2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン
(チバ・ジャパン社製「イルガキュア379」)
光重合開始剤D3:2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキサイド
(BASF社製「ルシリンTPO」)
光重合開始剤D4:2,2’-ビス(o-クロロフェニル)-4,5,4’,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール
(黒金化成社製「ビイミダゾール」)
光重合開始剤D5:p-ジメチルアミノアセトフェノン
(ダイキファイン社製「DMA」)
光重合開始剤D6:エタン-1-オン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル],1-(O-アセチルオキシム)
(チバ・ジャパン社製「イルガキュアOXE02」)
[0620]<増感剤>
増感剤E1:2,4-ジエチルチオキサントン
(日本化薬社製「カヤキュアDETX-S」)
増感剤E2:4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン
(保土谷化学工業社製「EAB-F」)
[0621]<光重合性化合物>
光重合性化合物C1:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(東亞合成社製「アロニックスM-402」)
[0622]<多官能チオール>
多官能チオールF1:トリメチロールエタントリス(3-メルカプトブチレート)
(昭和電工社製「TEMB」)
多官能チオールF2:トリメチロールプロパントリ(3-メルカプトブチレート)
(昭和電工社製「TPMB」)
多官能チオールF3:ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)
(堺化学工業社製「PEMP」)
[0623]<紫外線吸収剤>
紫外線吸収剤G1:2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-(ドデシルおよびトリデシル)オキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン
(チバ・ジャパン社製「TINUVIN400」)
紫外線吸収剤G2:2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール
(チバ・ジャパン社製「TINUVIN900」)
[0624]<貯蔵安定剤>
貯蔵安定剤J1:2,6-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-メチルフェノール
(本州化学工業社製「BHT」)
貯蔵安定剤J2:トリフェニルホスフィン
(北興化学工業社製「TPP」)
[0625]<溶剤>
PGMAC:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
[0626][感光性着色組成物の評価]
・・・
[0627](色特性、コントラスト比(CR)評価)
・・・
[0628](塗膜表面の結晶析出評価)
・・・
[0629](感度、直線性、パターン形状、解像度、現像耐性、薬品耐性評価)
・・・
[0630](感度評価)
・・・
[0631](直線性評価)
・・・
[0632](パターン形状評価)
・・・
[0633](解像性評価)
・・・
[0634](現像耐性評価)
・・・
[0635](薬品耐性評価)
・・・
[0636](着色組成物の経時安定性評価)
・・・
[0637][表D-11]

[0638] 表D-11に示すように、式(1)に示す顔料(A1)と構成単位(Db1)?(D-b3)を有する樹脂(D-B1)とを含むカラーフィルタ用着色組成物は、全ての評価で高水準の評価結果を得た。
[0639] すなわち顔料(A1)との組み合わせにおいて、樹脂(D-B1)の構成単位(D-b1)を多く含有する構成ではコントラストの向上と経時安定性の安定化が、構成単位(D-b2)を多く含有する構成では明度の向上と耐薬品性の向上が、構成単位(D-b3)を多く含有する構成では加熱工程における顔料の結晶析出を抑える効果と解像度を抑える効果が認められる傾向にあるが、いずれも構成単位が特定の含有比を満たしていれば、高い性能を有した感光性着色組成物を得ることができる。適切な構成単位比にすることにより、高性能でバランスの良いカラーフィルターセグメントを得ることが可能となる。」

(2)甲第2号証
2a)「【請求項1】
少なくとも顔料(A)、3級以下のアミンを有する重合体(B)、アミンと反応可能な低分子化合物(C)、及び溶剤(D)を混合し、前記重合体(B)と前記低分子化合物(C)とを反応させながら、前記顔料(A)を分散させる顔料分散工程を有することを特徴とする、顔料分散液の製造方法。
・・・
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の顔料分散液の製造方法を用いて製造されたことを特徴とする顔料分散液。
【請求項6】
請求項5に記載の顔料分散液と、多官能性モノマー(E)、及び光重合開始剤(F)を含有することを特徴とする、カラーフィルター用感光性着色樹脂組成物。」

2b)「【0004】
近年、カラーフィルターの色再現性向上のため、着色層に対しては、より高透過、且つ高濃度であることが要求されている。
・・・
【0006】
また近年、より高精細、高輝度、高コントラストの画面が求められており、これに対してより微細な顔料の使用が検討されている。
・・・
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記実情に鑑み、本発明は、微細な顔料や顔料濃度が高い場合においても顔料分散安定性に優れ、生産性が高い顔料分散液及びその製造方法、顔料分散安定性に優れながら、地汚れの問題がなく、密着性に優れ、顔料濃度の高い着色層を精度良く形成可能なカラーフィルター用感光性着色樹脂組成物、及び当該樹脂組成物を用いたカラーフィルターを提供することを目的とするものである。
・・・
【0013】
本発明によれば、溶剤(D)中で、顔料(A)、3級以下のアミンを有する重合体(B)、アミンと反応可能な低分子化合物(C)を混合し、前記重合体(B)と前記低分子化合物(C)とを反応させながら、前記顔料(A)を分散することにより、微細な顔料や顔料濃度が高い場合においても顔料分散安定性に優れた顔料分散液を提供することができる。」

2c)「【0028】
以下、本発明の顔料分散液は、顔料(A)、3級以下のアミンを有する重合体(B)及び/又はその反応物、前記重合体のアミンと反応可能な低分子化合物(C)及び/又はその反応物、及び溶剤(D)を少なくとも含有するが、更に必要に応じて他の成分を含んでもよいものである。以下、用いられる各成分を説明する。
<顔料(A)>
本発明に用いられる顔料としては、公知の顔料を用いることができる。本発明において使用可能な有機顔料の具体例を下記表1および表2に示す。
・・・
【0031】
また、用いることができる無機顔料としては、・・・。」

2d)「【0034】
<3級以下のアミンを有する重合体(B)>
3級以下のアミンを有する重合体(B)とは、3級アミン、2級アミン、及び1級アミンよりなる群から選択される1種以上のアミンを有する重合体である。・・・
【0038】
重合体の主鎖構造としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、・・・が挙げられる。中でも、(メタ)アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂が好ましい。
【0039】
3級以下のアミンを有する重合体(B)は、市販の顔料分散剤から適宜選択して用いてもよい。このような市販の顔料分散剤としては、例えば、具体的な商品名として、Ciba EFKA-4300, Ciba EFKA-4330(以上、チバスペシャリティケミカルズ社製)、Disperbyk161, Disperbyk162, Disperbyk182, Disperbyk2001, BYK-LPN6919, BYK-LPN21116(以上、ビックケミー社製)、・・・、アジスパーPB821、アジスパーPB822、アジスパーPB827(以上、味の素ファインテクノ(株)製)等を挙げることができる。」

2e)「【0042】
<前記重合体のアミンと反応可能な低分子化合物(C)>
前記重合体のアミンと反応可能な低分子化合物(C)は、溶剤中で組み合わせて用いる前記重合体(B)が有するアミンと反応可能な官能基を有する低分子化合物である。アミンと反応可能な官能基としては、例えば、・・・、リン酸エステル等が挙げられる。
・・・
【0049】
前記重合体のアミンと反応可能な低分子化合物(C)としては、具体的には例えば、・・・、モノブチルリン酸、ジブチルリン酸、メチルリン酸、ジベンジルリン酸、ジフェニルリン酸、フェニルホスフィン酸、フェニルホスホン酸などが挙げられる。」

2f)「【0050】
前記重合体のアミンと反応可能な低分子化合物(C)の配合量は、顔料を均一に分散することができるものであれば特に限定されるものではないが、上記3級以下のアミンを有する重合体(B)の100重量部に対して、5?50重量部であることが好ましく、更に10?40重量部であることが、顔料分散安定性の点から好ましい。」

2g)「【0052】
<溶剤(D)>
本発明に係る顔料分散液には、顔料を分散させるために溶剤が含まれる。
本発明に用いられる溶剤としては、本発明に用いられる各成分とは反応せず、これらを溶解もしくは均一に分散可能な溶剤であれば良い。具体的には、・・・エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のジエチレングリコールモノアルキルエーテル類;・・・;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールジメチルエーテル等の他のエーテル類;シクロヘキサノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン等のケトン類;・・・、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、ぎ酸n-アミル、酢酸イソアミル、プロピオン酸n-ブチル、酪酸エチル、酪酸イソプロピル、酪酸n-ブチル、ピルビン酸エチル等の他のエステル類;・・・等を挙げることができる。」

2h)「【0054】
<その他の成分>
本発明の顔料分散液は、必要に応じて本発明の目的を妨げない範囲において、その他の成分を含んでいても良い。たとえば、その後の着色樹脂組成物を調製する際に、着色樹脂組成物を構成する感光性組成物と前記顔料分散液が相溶しやすくするためのポリマー(バインダー樹脂)を含んでいても良い。このようなポリマーは選択により、顔料分散補助樹脂としても機能する。
その他、・・・を添加することができる。
【0055】
[バインダー樹脂]
本発明に用いられるバインダー樹脂としては、特に限定されるものではないが、カラーフィルターの製造に用いられることから、耐熱性および、製造工程において使用される有機溶剤への耐性を有する樹脂であることが好ましい。具体的には、エポキシ系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などの感光性または非感光性の樹脂を挙げることができる。
【0056】
上述したなかでも、特に好ましい樹脂としては、カルボキシル基等の酸性官能基を有するアルカリ可溶性樹脂を挙げることができる。カルボキシル基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、カルボキシル基含有不飽和単量体と、他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体との共重合体が好ましく、さらに分子内にエポキシ基と、エチレン性不飽和基とを併せ持つ化合物、例えばグリシジル(メタ)アクリレートなどを付加させ、側鎖にエチレン性不飽和基を導入したものも好ましい。
【0057】
カルボキシル基不飽和単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、・・・等が好ましく、(メタ)アクリル酸が特に好ましい。なお、カルボキシル基含有不飽和単量体は、単独もしくは数種類を組み合わせることができる。
【0058】
エチレン性不飽和単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、・・・、アリル(メタ)アクリレート、・・・、ベンジル(メタ)アクリレート、・・・、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、・・・等を挙げることができる。なお、エチレン性不飽和単量体は、単独もしくは数種類を組み合わせることができる。」

2i)「【0069】
<多官能性モノマー(E)>
本発明のカラーフィルター用感光性着色樹脂組成物に含まれる多官能性モノマーとしては、重合可能なものであれば特に限定されるものではないが、通常、エチレン性不飽和二重結合を2つ以上含むものである。
このような多官能性モノマーとしては、なかでも、アクリロイル基またはメタクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートであることが好ましい。
・・・
【0071】
また、多官能(メタ)アクリレートとしては、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、・・・、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、・・・、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、・・・等の三官能以上の(メタ)アクリレートが挙げられる。
これらの多官能(メタ)アクリレートは、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用して使用してもよい。
・・・
【0079】
<その他の成分>
更に、本発明のカラーフィルター用感光性着色樹脂組成物には、必要に応じて、その他の成分を含有することができる。中でも、上述したバインダー樹脂のうち、カルボキシル基等の酸性官能基を有するアルカリ可溶性樹脂を含有することが現像性の点から好ましい。
・・・
【0083】
本発明の感光性着色樹脂組成物に用いられる溶剤(D)の含有量としては、着色層を精度良く形成することができるものであれば特に限定されるものではない。」

2j)「【0090】
<着色層>
本発明に用いられる着色層は、上記カラーフィルター用感光性着色樹脂組成物を用いて形成されたものである。
・・・
【0091】
本発明に用いられる着色層の形成方法は、上記カラーフィルター用感光性着色樹脂組成物を、後述する透明基板上に塗布し、乾燥させ、露光および現像を行うフォトリソグラフィー法により形成することができる。
・・・
【0092】
<カラーフィルター>
本発明のカラーフィルターは、上記着色層以外に、通常、透明基板と、遮光部とを少なくとも有するものである。」

2k)「【0097】
(実施例2:顔料分散液の製造)
3級以下のアミンを有する重合体(B)(MMA/DMMA=60/40重量%、アミン価 140mgKOH/g、重量平均分子量 10,000、PGMEA溶液、固形分60重量%)を8.3重量部、酸基含有バインダー樹脂(BzMA/MMA/MAA=50/35/15重量%、重量平均分子量 10,000、PGMEA溶液、固形分40重量%)を6.1重量部、及び溶剤(D)(PGMEA)を69.1重量部についてディゾルバーで撹拌混合して、重合体溶液を得た。当該重合体溶液に、重合体のアミンと反応可能な低分子化合物(C)(リン酸ジブチル、DP-4;商品名、大八化学社製)を1.0重量部及びBzCl(ベンジルクロライド、関東化学社製)を0.5重量部、並びに顔料(A)(C.I.ピグメントレッド254)15.0重量部を添加し、ビーズミルを用いて、前記重合体(B)と前記低分子化合物(C)とを反応させながら、前記顔料(A)を分散し、実施例2の顔料分散液を製造した。
・・・
【0105】
(実施例5?8及び比較例6?10:着色感光性樹脂組成物)
実施例1?4及び比較例1?5の顔料分散液をそれぞれ用い、下記に示す組成を、ディゾルバーを使用して均一に混合して、実施例5?8及び比較例6?10の感光性着色樹脂組成物を調製した。
<感光性着色樹脂組成物の組成>
・各顔料分散液:16.0重量部(固形分換算)
・バインダー樹脂(BzMA/MAA/GMA=30/40/30重量%、重量平均分子量 12,000):7.7重量部
・多官能モノマー(ジペンタエリストールヘキサアクリレート(DPHA)):3.3重量部
・光重合開始剤(IRGACURE369、チバスペシャリティーケミカルズ社製):1重量部
・光重合開始剤(IRGACURE907、チバスペシャリティーケミカルズ社製):1重量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)):60.8重量部」

(3)甲第3号証
3a)「【要約】
【課題】固体撮像素子用の微細化したカラーフィルタの製造方法において、着色画素の剥がれを回避すること、および、簡単な工程により平坦で形状の良好な着色画素からなるカラーフィルタ着色層を得ること。」

(4)甲第4号証
4a)「【要約】
【課題】加法混色タイプのカラー固体撮像素子に適した、色再現性に優れた、カラーフィルタの形成。」

(5)甲第1号証に記載された発明
甲第1号証には、第6の実施態様のカラーフィルター用着色組成物が記載され、該組成物は、「顔料(A)と、バインダー樹脂(D-B)と、溶剤とを含むカラーフィルタ用着色組成物であって、顔料(A)が、式(1)に示す顔料(A1)を含み、バインダー樹脂(D-B)が、下記構成単位(D-b1)?(D-b3)を有する樹脂(D-B1)を含む

(D-b1)カルボキシル基を有する構成単位:2?60重量%
(D-b2)式(D-2)または(D-3)に示す芳香族環基を有する構成単位:2?80重量%
(D-b3)式(D-4)または(D-5)に示す脂肪族環基を有する構成単位:2?60重量%
[化43]

[化44]

[式(D-2)及び(D-3)中、Rは、水素原子、またはベンゼン環を有していてもよい炭素数1?20のアルキル基である。式(D-3)中の破線部は、ベンゼン環に隣あう、置換基を有しても良い一個以上の飽和または不飽和の複素環を含む環状構造を示す。]
[化45]

[化46]

」ものであり、感光性着色組成物として用いることができるものである(摘示1b?1d)。
また、甲第1号証には、第6の実施態様の着色組成物について、該組成物には、顔料分散剤(D-C)、光重合開始剤(D-D)、増感剤、光重合性化合物、多官能チオール、紫外線吸収剤、重合禁止剤、貯蔵安定剤、その他の添加剤等の任意成分を含有させることができることが記載されており、任意成分の具体例として樹脂型分散剤、光重合性単量体(光重合性化合物)が記載されており(摘示1e)、実施例として、臭素化ジケトピロロピロール顔料(A1-1)(式(1)に示す顔料に相当)、酸性樹脂型顔料分散剤、樹脂溶液(バインダー樹脂(D-B)に相当)、光重合性化合物、溶剤を含有する感光性着色組成物が記載されている(摘示1g、例えば実施例7)。
してみると、甲第1号証には、
「顔料(A)と、バインダー樹脂(D-B)と、溶剤と、光重合性化合物と、樹脂型分散剤を含むカラーフィルタ用着色組成物であって、顔料(A)が、式(1)に示す顔料(A1)を含み、バインダー樹脂(D-B)が、下記構成単位(D-b1)?(D-b3)を有する樹脂(D-B1)を含むカラーフィルター用着色組成物

(D-b1)カルボキシル基を有する構成単位:2?60重量%
(D-b2)式(D-2)または(D-3)に示す芳香族環基を有する構成単位:2?80重量%
(D-b3)式(D-4)または(D-5)に示す脂肪族環基を有する構成単位:2?60重量%
[化43]

[化44]

[式(D-2)及び(D-3)中、Rは、水素原子、またはベンゼン環を有していてもよい炭素数1?20のアルキル基である。式(D-3)中の破線部は、ベンゼン環に隣あう、置換基を有しても良い一個以上の飽和または不飽和の複素環を含む環状構造を示す。]
[化45]

[化46]

」の発明(以下「甲1発明1」という。)が記載されているといえる。
さらに、甲第1号証には、第6の実施態様の着色組成物は、第5の実施態様の着色組成物と同様の製造方法により製造することができることが記載されており(摘示1e)、感光性着色組成物の製法として、概要、顔料、バインダー樹脂等の色素担体、溶剤、顔料分散剤から顔料分散体を製造し、該顔料分散体に光重合性化合物等を混合撹拌して製造することができる旨が記載されており(摘示1b)、実施例として、臭素化ジケトピロロピロール顔料(A1-1)(式(1)に示す顔料に相当)、樹脂溶液、酸性樹脂型顔料分散剤、溶剤を含有する顔料分散体が記載されている(摘示1g。例えば、顔料分散体P-1、P-3。)。
してみると、甲第1号証には、
「顔料(A)と、溶剤と、色素担体と、樹脂型分散剤を含む顔料分散体であって、顔料(A)が、式(1)に示す顔料(A1)を含む顔料分散体

」の発明(以下「甲1発明2」という。)が記載されているといえる。

(6)甲第2号証に記載された発明
甲第2号証には、請求項1に、「少なくとも顔料(A)、3級以下のアミンを有する重合体(B)、アミンと反応可能な低分子化合物(C)、及び溶剤(D)を混合し、前記重合体(B)と前記低分子化合物(C)とを反応させながら、前記顔料(A)を分散させる顔料分散工程を有することを特徴とする、顔料分散液の製造方法。」が記載され、請求項5に、「請求項1乃至4のいずれかに記載の顔料分散液の製造方法を用いて製造されたことを特徴とする顔料分散液。」が記載され、請求項6に、「請求項5に記載の顔料分散液と、多官能性モノマー(E)、及び光重合開始剤(F)を含有することを特徴とする、カラーフィルター用感光性着色樹脂組成物。」が記載されており(摘示2a)、感光性着色樹脂組成物にバインダー樹脂を含有することができること、溶剤が用いられることが記載されており(摘示2i)、実施例として、上記顔料分散液(溶剤を含有する)、バインダー樹脂、多官能モノマー、光重合開始剤、溶剤を含有する感光性着色樹脂組成物が記載されている(摘示2k)から、甲第2号証には、
「少なくとも顔料(A)、3級以下のアミンを有する重合体(B)、アミンと反応可能な低分子化合物(C)、及び溶剤(D)を混合し、前記重合体(B)と前記低分子化合物(C)とを反応させながら、前記顔料(A)を分散させる顔料分散工程を有する顔料分散液の製造方法により製造された顔料分散液と、バインダー樹脂、多官能性モノマー(E)、及び光重合開始剤(F)を含有することを特徴とする、カラーフィルター用感光性着色樹脂組成物」の発明(以下「甲2発明1」という。)及び
「少なくとも顔料(A)、3級以下のアミンを有する重合体(B)、アミンと反応可能な低分子化合物(C)、及び溶剤(D)を混合し、前記重合体(B)と前記低分子化合物(C)とを反応させながら、前記顔料(A)を分散させる顔料分散工程を有する顔料分散液の製造方法により製造された顔料分散液」の発明(以下「甲2発明2」という。)が記載されているといえる。

第5 当審の判断
1 理由1(新規性)について
(1)本件発明1について
本件発明1と甲1発明1とを対比する。
甲1発明1の顔料(A1)は本件発明1の式(1)で表される顔料に一致し、甲1発明1の顔料(A)は顔料(A1)を含むこと、甲1発明1はカラーフィルター用着色組成物であることから、甲1発明1の顔料(A)が本件発明1の(A)着色剤に相当することは明らかである。また、甲1発明1のバインダー樹脂(D-B)、光重合性化合物は、それぞれ、本件発明1の(C)バインダー樹脂、(D)重合性化合物に該当する。さらに、甲1発明1の樹脂型分散剤は、分散剤である限りにおいて、本件発明1の分散剤と共通する成分である。
したがって、本件発明1と甲1発明1とは、
「(A)着色剤、(C)バインダー樹脂及び(D)重合性化合物を含む着色組成物であって、
(A)着色剤が、下記式(1)で表される顔料を含み、
更に、分散剤を含む、着色組成物。
【化1】

〔式(1)において、R^(1)及びR^(2)は、臭素原子を表す。〕
」である点で一致し、
本件発明1が、「(B1)リン酸エステル、及び(B2)窒素原子を有する分散剤を含む」としているのに対し、甲1発明1は、樹脂型分散剤を含むとしている点で相違する。
そして、本件優先日当時の技術常識を参酌しても、甲1発明1が、(B1)リン酸エステル、及び(B2)窒素原子を有する分散剤を含むとはいえないから、当該相違点が実質的な相違点でないということもできない。
したがって、本件発明1は甲第1号証に記載された発明とはいえない。

(2)本件発明2、4?8について
本件発明2は、本件発明1について、(B2)窒素原子を有する分散剤が、(メタ)アクリル系分散剤及びポリエステル系分散剤であって、アミノ基、四級アンモニウム、アミド基及びイミノ基から選ばれる1以上の特性基を有する分散剤、並びにウレタン系分散剤のうちの少なくとも1種であることを、
本件発明3は、本件発明1、2について、(B1)リン酸エステルの含有量w_(1)と、(B2)窒素原子を有する分散剤の含有量w_(2)との比(w_(1)/w_(2))が質量比で10/90?90/10であることを、
本件発明4は、本件発明1?3について、(B1)リン酸エステルの酸価が1?150mgKOH/gであることを、
本件発明5は、本件発明1?4について、(B1)リン酸エステルが、ポリエーテルリン酸エステル系重合体であることを
本件発明6は、本件発明1?5について、(A)着色剤が、前記式(1)で表される顔料以外の着色剤を含むことを、
それぞれ特定するものであり、
本件発明7は、本件発明1?6の着色組成物を用いて形成された着色硬化膜であり、
本件発明8は、本件発明7の着色硬化膜を具備する表示素子であるところ、
本件発明2、4?8は、いずれも本件発明1の発明特定事項を有する発明であるといえるから、本件発明1が甲第1号証に記載された発明であるといえない以上、本件発明2、4?8も甲第1号証に記載された発明であるとはいえない。

(3)本件発明10について
本件発明10と甲1発明2とを対比する。
甲1発明2の顔料(A1)は本件発明10の式(1)で表される顔料に一致し、甲1発明2の顔料(A)は顔料(A1)を含むことから、甲1発明2の顔料(A)が本件発明10の(A)着色剤に相当することは明らかである。また、甲1発明2の溶剤は、本件発明10の(F)溶媒に相当する。そして、甲1発明2は、溶剤を含む顔料分散体であるから、着色剤分散液であるといえる。さらに、甲1発明2の樹脂型分散剤は、分散剤である限りにおいて、本件発明10の分散剤と共通する成分である。
したがって、本件発明10と甲1発明2とは、
「(A)着色剤及び(F)溶媒を含む着色剤分散液であって、
(A)着色剤が、下記式(1)で表される顔料を含み、
更に、分散剤を含む、着色剤分散液。
【化2】

〔式(1)において、R^(1)及びR^(2)は、臭素原子を表す。〕」である点で一致し、
本件発明10が、「(B1)リン酸エステル、及び(B2)窒素原子を有する分散剤を含む」としているのに対し、甲1発明2は、色素担体と、樹脂型分散剤を含むとしている点で相違する。
そして、本件優先日当時の技術常識を参酌しても、甲1発明2が、(B1)リン酸エステル、及び(B2)窒素原子を有する分散剤を含むとはいえないから、当該相違点が実質的な相違点でないということもできない。
したがって、本件発明10は甲第1号証に記載された発明とはいえない。

(4)特許異議申立人の主張について
特許異議申立人は、特許異議申立書において、甲第1号証の種々の記載を組み合わせて、甲第1号証には、「下記式(1)(当審注:式略)に示される臭素化ジケトピロロピロール顔料を含む顔料、バインダー樹脂、光重合性化合物を含む顔料組成物であって、リン酸エステル及び窒素原子を有する分散剤を含む、顔料組成物」の発明が記載されている旨主張する。
そこで検討するに、甲第1号証には、樹脂型分散剤としてポリカルボン酸(部分)アミン塩のような窒素原子を有するもの、Disperbyk-111、SOLSPERSE-41000(それぞれ、本件特許明細書において、リン酸エステルとして例示された、Disperbyk-111、ソルスパース41000に該当するとも解される)が記載され、任意成分の界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルが記載されており(摘示1e)、これらの物質は本件発明の(B1)リン酸エステル、(B2)窒素原子を有する分散剤に相当するとはいえるものの、これらは、樹脂型分散剤及び任意成分として例示された物質の一つに過ぎず、甲第1号証にはその他にも多数の物質が樹脂型分散剤及び任意成分として例示されており、(B1)リン酸エステル、(B2)窒素原子を有する分散剤に相当する物質を組み合わせて特定して配合した着色組成物の具体的な記載もない(なお、[0596]に記載の顔料分散体P-1に配合された「ビックケミー・ジャパン社製BYK-111」はDisperbyk-111と表記が一致せず、仮にこれがDisperbyk-111と同じものであったとしても、P-1には(B2)窒素原子を有する分散剤は配合されていない。)。
したがって、甲第1号証に特許異議申立人が主張するとおりの発明が記載されているということはできず、上記主張を採用することはできない。

2 理由2(進歩性)について
(1)本件発明1について
ア 甲第1号証を主引用例とする場合
本件発明1と甲1発明1との一致点、相違点は、上記1(1)で示したとおりである。
当該相違点について検討する。
甲第1号証には、樹脂型分散剤としてポリカルボン酸(部分)アミン塩のような窒素原子を有するもの、Disperbyk-111、SOLSPERSE-41000(それぞれ、本件特許明細書において、リン酸エステルとして例示された、Disperbyk-111、ソルスパース41000に該当するとも解される)が記載され、任意成分の界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルが記載されており(摘示1e)、これらの物質は本件発明の(B1)リン酸エステル、(B2)窒素原子を有する分散剤に相当するとはいえるものの、これらは、樹脂型分散剤及び任意成分として例示された物質の一つに過ぎず、甲第1号証にはその他にも多数の物質が樹脂型分散剤及び任意成分として例示されており、(B1)リン酸エステル、(B2)窒素原子を有する分散剤に相当する物質を組み合わせて特定して配合した着色組成物の具体的な記載もない(なお、[0596]に記載の顔料分散体P-1に配合された「ビックケミー・ジャパン社製BYK-111」はDisperbyk-111と表記が一致せず、仮にこれがDisperbyk-111と同じものであったとしても、P-1には(B2)窒素原子を有する分散剤は配合されていない。)。
そして、甲第1号証には、上述のとおり、樹脂型分散剤及び任意成分が多数例示されているから、樹脂型分散剤及び任意成分の組合せの数は膨大なものとなり、そのような組合せの中から、本件発明1に係る(B1)リン酸エステル、及び(B2)窒素原子を有する分散剤を組み合わせてカラーフィルター用着色組成物に配合することが当業者が容易になし得る事項であるとはいえない。
また、甲第2号証には、3級以下のアミンを有する重合体(B)とアミンと反応可能な低分子化合物(C)を用いること、低分子化合物(C)としてリン酸エステルに相当するリン酸ジブチルを用いることが記載されているが(摘示2a、2k)、重合体(B)と低分子化合物(C)とは顔料分散液の製造時に反応させるものであり、顔料分散液中には反応させたものとして存在するといえるから、甲第2号証の記載を考慮しても、甲1発明1において、(B1)リン酸エステル、(B2)窒素原子を有する分散剤を含むものとすることが当業者が容易になし得る事項であるとはいえない。
(なお、甲第2号証には、「本発明の顔料分散液は、顔料(A)、3級以下のアミンを有する重合体(B)及び/又はその反応物、前記重合体のアミンと反応可能な低分子化合物(C)及び/又はその反応物、及び溶剤(D)を少なくとも含有する」との記載があり(摘示2c)、形式的には、3級以下のアミンを有する重合体(B)とアミンと反応可能な低分子化合物(C)について、反応させていないものを含有する顔料分散液を包含するとも解される記載も存在するが、特許請求の範囲を含めた甲第2号証の全体の記載からみて、実質的に、顔料分散液には、3級以下のアミンを有する重合体(B)とアミンと反応可能な低分子化合物(C)とを反応させた顔料分散液が記載されているに過ぎず、反応させていない、3級以下のアミンを有する重合体(B)とアミンと反応可能な低分子化合物(C)の両者を含有する顔料分散液が記載ないし示唆されているとはいえない。)
さらに、甲第3号証は、固体撮像素子用の微細化したカラーフィルタの製造方法について、甲第4号証は、加法混色タイプのカラー固体撮像素子に適した、色再現性に優れた、カラーフィルタの形成について記載するに過ぎないから、甲第3及び甲第4号証の記載を考慮しても、甲1発明1において、(B1)リン酸エステル、(B2)窒素原子を有する分散剤を含むものとすることが当業者が容易になし得る事項であるとはいえない。
そして、本件特許明細書からみて、本件発明1の着色組成物は、低露光量でも色度特性に優れ、かつ欠けを生じ難い着色硬化膜を形成することができ、現像速度にも優れ、タクトタイムを短縮することができる、という効果を奏するものである。
したがって、本件発明1は甲第1?4号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。

イ 甲第2号証を主引用例とする場合
本件発明1と甲2発明1とを対比する。
甲2発明1のカラーフィルター用感光性着色樹脂組成物は、顔料分散液と、バインダー樹脂、多官能性モノマー(E)、及び光重合開始剤(F)を含有するものであるところ、該顔料分散液は、顔料(A)と、3級以下のアミンを有する重合体(B)とアミンと反応可能な低分子化合物(C)とを反応させたものとを含有するものであるといえるから、結局、上記組成物は、顔料(A)、3級以下のアミンを有する重合体(B)とアミンと反応可能な低分子化合物(C)とを反応させたもの、バインダー樹脂、多官能性モノマー(E)、及び光重合開始剤(F)を含有するものであるといえる。
そして、甲2発明1は、カラーフィルター用感光性着色樹脂組成物であることから、甲2発明1の顔料(A)は、着色剤である限りにおいて本件発明1の(A)着色剤と共通することは明らかである。また、甲2発明1の多官能性モノマー(E)は、重合性の化合物であることは明らかであるから、本件発明1の(D)重合性化合物に相当する。さらに、甲2発明1における、3級以下のアミンを有する重合体(B)は、市販の顔料分散剤から適宜選択して用いてもよいものであり(摘示2d)、アミンと反応可能な低分子化合物(C)について、重合体のアミンと反応可能な低分子化合物(C)の配合量は、顔料を均一に分散することができるものであれば特に限定されるものではなく(摘示2f)、顔料(A)、3級以下のアミンを有する重合体(B)、アミンと反応可能な低分子化合物(C)を混合し、前記重合体(B)と前記低分子化合物(C)とを反応させながら、前記顔料(A)を分散することにより、微細な顔料や顔料濃度が高い場合においても顔料分散安定性に優れた顔料分散液を提供することができるものであるから(摘示2d)、甲2発明1の3級以下のアミンを有する重合体(B)とアミンと反応可能な低分子化合物(C)とを反応させたものは、顔料分散剤であるといえ、これは分散剤である限りにおいて、本件発明1の分散剤と共通する。
したがって、本件発明1と甲2発明1とは、
「(A)着色剤、(C)バインダー樹脂及び(D)重合性化合物を含む着色組成物であって、
更に、分散剤を含む、着色組成物。」である点で一致し、
以下の点で相違する。
<相違点1>
本件発明1が、「(A)着色剤が、下記式(1)で表される顔料を含み、
【化1】

〔式(1)において、R^(1)及びR^(2)は、臭素原子を表す。〕」としているのに対し、甲2発明1では、顔料が特定されていない点

<相違点2>
本件発明1が、「(B1)リン酸エステル、及び(B2)窒素原子を有する分散剤を含む」としているのに対し、甲2発明1は、分散剤に相当するものが、「3級以下のアミンを有する重合体(B)とアミンと反応可能な低分子化合物(C)とを反応させ」たものである点

上記相違点について検討する。
<相違点1>について
甲第2号証には、「近年、カラーフィルターの色再現性向上のため、着色層に対しては、より高透過、且つ高濃度であることが要求されている」こと、「また近年、より高精細、高輝度、高コントラストの画面が求められており、これに対してより微細な顔料の使用が検討されている」ことが記載されており(摘示2b)、また、実施例として、顔料としてC.I.ピグメントレッド254を用いた実施例が記載されているところ(摘示2k)、甲第1号証には、「従来使用されていたC.I.ピグメントレッド254(塩素化ジケトピロロピロール顔料)と比較して、臭素化ジケトピロロピロール顔料(式(1))をカラーフィルタに適用することにより、明度が向上することを見出した」ことが記載されている(摘示1a)。
しみてると、甲2発明1において、カラーフィルターにおける色再現性向上、高輝度等を目的として、顔料(A)として、臭素化ジケトピロロピロール顔料(式(1))(当審注:摘示1bの式(1)であり、本件発明1の式(1)と実質的に同一である。)を用いることは当業者が容易になし得る事項である。

<相違点2>について
甲第2号証には、3級以下のアミンを有する重合体(B)とアミンと反応可能な低分子化合物(C)を用いること、低分子化合物(C)としてリン酸エステルに相当するリン酸ジブチル等を用いることが記載されているが(摘示2a、2e、2k)、重合体(B)と低分子化合物(C)とは顔料分散液の製造時に反応させるものであり、顔料分散液中には反応させたものとして存在するといえるから、甲2発明1において、(B1)リン酸エステル、(B2)窒素原子を有する分散剤を含むものとすることが当業者が容易になし得る事項であるとはいえない。
(なお、甲第2号証には、「本発明の顔料分散液は、顔料(A)、3級以下のアミンを有する重合体(B)及び/又はその反応物、前記重合体のアミンと反応可能な低分子化合物(C)及び/又はその反応物、及び溶剤(D)を少なくとも含有する」との記載があり(摘示2c)、形式的には、3級以下のアミンを有する重合体(B)とアミンと反応可能な低分子化合物(C)について、反応させていないものを含有する顔料分散液を包含するとも解される記載も存在するが、特許請求の範囲を含めた甲第2号証の全体の記載からみて、実質的に、顔料分散液には、3級以下のアミンを有する重合体(B)とアミンと反応可能な低分子化合物(C)とを反応させた顔料分散液が記載されているに過ぎず、反応させていない、3級以下のアミンを有する重合体(B)とアミンと反応可能な低分子化合物(C)の両者を含有する顔料分散液が記載ないし示唆されているとはいえない。)
また、甲第1号証には、樹脂型分散剤としてポリカルボン酸(部分)アミン塩のような窒素原子を有するもの、Disperbyk-111、SOLSPERSE-41000(それぞれ、本件特許明細書において、リン酸エステルとして例示された、Disperbyk-111、ソルスパース41000に該当するとも解される)が記載され、任意成分の界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルが記載されており(摘示1e)、これらの物質は本件発明1の(B1)リン酸エステル、(B2)窒素原子を有する分散剤に相当するとはいえるものの、これらは、樹脂型分散剤及び任意成分として例示された物質の一つに過ぎず、甲第1号証にはその他にも多数の物質が樹脂型分散剤及び任意成分として例示されており、(B1)リン酸エステル、(B2)窒素原子を有する分散剤に相当する物質を組み合わせて特定して配合した着色組成物の具体的な記載もない(なお、[0596]に記載の顔料分散体P-1に配合された「ビックケミー・ジャパン社製BYK-111」はDisperbyk-111と表記が一致せず、仮にこれがDisperbyk-111と同じものであったとしても、P-1には(B2)窒素原子を有する分散剤は配合されていない。)。
そして、甲第1号証には、上述のとおり、樹脂型分散剤及び任意成分が多数例示されているから、樹脂型分散剤及び任意成分の組合せの数は膨大なものとなり、そのような組合せの中から、本件発明1に係る(B1)リン酸エステル、及び(B2)窒素原子を有する分散剤を組み合わせて、甲2発明1の組成物に配合することが当業者が容易になし得る事項であるとはいえない。
さらに、甲第3号証は、固体撮像素子用の微細化したカラーフィルタの製造方法について、甲第4号証は、加法混色タイプのカラー固体撮像素子に適した、色再現性に優れた、カラーフィルタの形成について記載するに過ぎないから、甲第3及び甲第4号証の記載を考慮しても、甲2発明1において、(B1)リン酸エステル、(B2)窒素原子を有する分散剤を含むものとすることが当業者が容易になし得る事項であるとはいえない。
そして、本件特許明細書からみて、本件発明1の着色組成物は、低露光量でも色度特性に優れ、かつ欠けを生じ難い着色硬化膜を形成することができ、現像速度にも優れ、タクトタイムを短縮することができる、という効果を奏するものである。
したがって、本件発明1は甲第1?4号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。

ウ 小括
以上のとおりであるから、本件発明1は、甲第1?4号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(2)本件発明2?9について
本件発明2は、本件発明1について、(B2)窒素原子を有する分散剤が、(メタ)アクリル系分散剤及びポリエステル系分散剤であって、アミノ基、四級アンモニウム、アミド基及びイミノ基から選ばれる1以上の特性基を有する分散剤、並びにウレタン系分散剤のうちの少なくとも1種であることを、
本件発明3は、本件発明1、2について、(B1)リン酸エステルの含有量w_(1)と、(B2)窒素原子を有する分散剤の含有量w_(2)との比(w_(1)/w_(2))が質量比で10/90?90/10であることを、
本件発明4は、本件発明1?3について、(B1)リン酸エステルの酸価が1?150mgKOH/gであることを、
本件発明5は、本件発明1?4について、(B1)リン酸エステルが、ポリエーテルリン酸エステル系重合体であることを
本件発明6は、本件発明1?5について、(A)着色剤が、前記式(1)で表される顔料以外の着色剤を含むことを、
それぞれ特定するものであり、
本件発明7は、本件発明1?6の着色組成物を用いて形成された着色硬化膜であり、
本件発明8は、本件発明7の着色硬化膜を具備する表示素子であり、
本件発明9は、本件発明7の着色硬化膜を具備する固体撮像素子であるところ、
本件発明2?9は、いずれも本件発明1の発明特定事項を有する発明であるといえるから、本件発明1が甲第1?4号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるといえない以上、本件発明2?9も甲第1?4号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるといえない。

(3)本件発明10について
ア 甲第1号証を主引用例とする場合
本件発明10と甲1発明2との一致点、相違点は、上記1(3)で示したとおりであるところ、上記(1)アで述べたのと同様の理由により、甲1発明2において、(B1)リン酸エステル、(B2)窒素原子を有する分散剤を含むものとすることが当業者が容易になし得る事項であるとはいえない。
そして、本件特許明細書の記載からみて、本件発明10の着色剤分散液は、ジケトピロロピロール系顔料の分散性が良好で粘度を低く抑えられる等の効果を奏するものである。

イ 甲第2号証を主引用例とする場合
本件発明10と甲2発明2とを対比する。
甲2発明2の顔料分散液は、少なくとも顔料(A)、3級以下のアミンを有する重合体(B)、アミンと反応可能な低分子化合物(C)、及び溶剤(D)を混合し、前記重合体(B)と前記低分子化合物(C)とを反応させながら、前記顔料(A)を分散させる顔料分散工程を有する顔料分散液の製造方法により製造されたものであるから、結局、該分散液は、顔料(A)と、3級以下のアミンを有する重合体(B)とアミンと反応可能な低分子化合物(C)とを反応させたものと、溶剤(D)を含有するものであるといえ、このうち、溶剤(D)は本件発明10の(F)溶媒に該当する。
そして、甲2発明2の顔料(A)は、着色剤である限りにおいて本件発明10の(A)着色剤と共通することは明らかである。また、甲2発明2における、3級以下のアミンを有する重合体(B)は、市販の顔料分散剤から適宜選択して用いてもよいものであり(摘示2d)、アミンと反応可能な低分子化合物(C)について、重合体のアミンと反応可能な低分子化合物(C)の配合量は、顔料を均一に分散することができるものであれば特に限定されるものではなく(摘示2f)、顔料(A)、3級以下のアミンを有する重合体(B)、アミンと反応可能な低分子化合物(C)を混合し、前記重合体(B)と前記低分子化合物(C)とを反応させながら、前記顔料(A)を分散することにより、微細な顔料や顔料濃度が高い場合においても顔料分散安定性に優れた顔料分散液を提供することができるものであるから(摘示2d)、甲2発明2の3級以下のアミンを有する重合体(B)とアミンと反応可能な低分子化合物(C)とを反応させたものは、顔料分散剤であるといえ、これは分散剤である限りにおいて、本件発明10の分散剤と共通する。さらに、これらのことから、甲2発明2の組成物は、着色剤分散液であるといえる。

したがって、本件発明10と甲2発明2とは、
「(A)着色剤及び(F)溶媒を含む着色剤分散液であって、
(A)着色剤が、顔料を含み、
更に、分散剤を含む、着色剤分散液。」である点で一致し、
以下の点で相違する。
<相違点3>
本件発明10が、「(A)着色剤が、下記式(1)で表される顔料を含み、
【化2】

〔式(1)において、R^(1)及びR^(2)は、臭素原子を表す。〕」としているのに対し、甲2発明2では顔料が特定されていない点

<相違点4>
本件発明10が、「(B1)リン酸エステル、及び(B2)窒素原子を有する分散剤を含む」としているのに対し、甲2発明2は、分散剤に相当するものが、「3級以下のアミンを有する重合体(B)とアミンと反応可能な低分子化合物(C)とを反応させ」たものである点

上記相違点3及び4について検討するに、相違点3及び4は相違点1及び2と同様の相違点であるところ、上記(1)イで述べたのと同様の理由により、相違点3に係る技術的事項については、当業者が容易になし得る事項であるといえるものの、相違点4に係る技術的事項については、当業者が容易になし得る事項であるとはいえない。
そして、本件特許明細書の記載からみて、本件発明10の着色剤分散液は、ジケトピロロピロール系顔料の分散性が良好で粘度を低く抑えられる等の効果を奏するものである。

ウ 小括
以上のとおりであるから、本件発明10は、甲第1?4号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(4)特許異議申立人の主張について
特許異議申立人は、特許異議申立書において、甲第1号証の種々の記載を組み合わせて、甲第1号証には、「下記式(1)(当審注:式略)に示される臭素化ジケトピロロピロール顔料を含む顔料、バインダー樹脂、光重合性化合物を含む顔料組成物であって、リン酸エステル及び窒素原子を有する分散剤を含む、顔料組成物」の発明が記載されている旨主張し、甲第2号証には、「顔料、バインダー樹脂、多官能性モノマーを含み、リン酸ジブチル及び3級以下のアミンを含有する重合体を含む顔料分散液」の発明が記載されている旨を主張し、これらを前提として、本件発明1?10は甲第1?4号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである旨主張する。
そこで、検討する。
甲第1号証に特許異議申立人が主張する発明が記載されているとはいえないことは上記1(4)で述べたとおりである。
また、甲第2号証には、顔料(A)と、3級以下のアミンを有する重合体(B)とアミンと反応可能な低分子化合物(C)、及び溶剤(D)を混合し、前記重合体(B)と前記低分子化合物(C)とを反応させながら、前記顔料(A)を分散させる顔料分散工程を有する顔料分散液の製造方法により製造された顔料分散液が記載されているのであり(摘示2a)、リン酸ジブチル(アミンと反応可能な低分子化合物(C)に相当する)と3級以下のアミンを含有する重合体とを別個に含む顔料分散液が実質的に記載されているとはいえないから、この点で、特許異議申立人が主張する発明が甲第2号証に記載されているとはいえない。
してみると、特許異議申立人の主張はその前提において誤っており、甲第3?4号証に記載された技術的事項を考慮しても、本件発明1?10を当業者が容易に想到し得たといえないことは、上述のとおりであるので、その主張を採用することはできない。

第6 むすび
したがって、本件発明1?10に係る特許は、特許異議申立人が申し立てた取消理由によっては取り消すことができない。
また、他に本件発明1?10に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2018-08-30 
出願番号 特願2014-144779(P2014-144779)
審決分類 P 1 651・ 113- Y (C09B)
P 1 651・ 121- Y (C09B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 水野 浩之  
特許庁審判長 瀬良 聡機
特許庁審判官 関 美祝
冨永 保
登録日 2017-12-01 
登録番号 特許第6248838号(P6248838)
権利者 JSR株式会社
発明の名称 着色組成物、着色硬化膜、並びに表示素子及び固体撮像素子  
代理人 特許業務法人アルガ特許事務所  
代理人 村田 正樹  
代理人 高野 登志雄  
代理人 山本 博人  
代理人 中嶋 俊夫  
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