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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  G01B
審判 全部申し立て 2項進歩性  G01B
管理番号 1343927
異議申立番号 異議2018-700394  
総通号数 226 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-10-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-05-11 
確定日 2018-08-31 
異議申立件数
事件の表示 特許第6229812号発明「三次元座標測定装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6229812号の請求項1及び2に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯

特許第6229812号(以下、「本件特許」という。)の請求項1及び請求項2に係る発明(以下、「本件発明1」及び「本件発明2」といい、本件発明1及び本件発明2を併せて「本件発明」という。)は、平成28年1月29日(優先権主張 平成27年1月30日)を国際出願日とする出願である特願2016-531719号の一部を同年12月20日に新たな特許出願(特願2016-246967号)とし、さらに、その一部を平成29年3月30日に新たな特許出願(特願2017-68525号)とし、さらに、その一部を同年6月30日に新たな特許出願(特願2017-128896号)としたものに係る発明である。そして、同年10月27日にその特許権の設定登録がされ、同年11月15日にその特許掲載公報が発行された。

これに対して、平成30年5月11日に本件特許の全ての請求項について特許異議申立人山本美映子による特許異議の申立てがされた。


第2 本件発明

本件発明1及び本件発明2は、本件特許の特許請求の範囲の請求項1及び請求項2に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。

「【請求項1】
測定対象物を載置する定盤と、
測定プローブを支持し、前記定盤を跨いで前記定盤のY軸方向に移動する二つの支柱部材で支持されるYキャリッジと、を備え、
前記二つの支柱部材は、前記Yキャリッジを前記Y軸方向に駆動する駆動機構をもつ第1の支柱部材と、前記第1の支柱部材に追従移動する第2の支柱部材とを有し、
前記定盤の前記第1の支柱部材側には、前記Y軸方向に平行なガイド部を形成し、
前記ガイド部の側面であるガイド部側面を挟み込むことにより、前記第1の支柱部材を前記定盤に支持させる側面支持部を有し、
前記駆動機構は、前記定盤の定盤面に垂直な軸を有するローラを有し、前記ガイド部側面に前記ローラを当接させて転動させることで、前記Yキャリッジを定盤に対して相対的に移動させる三次元座標測定装置。
【請求項2】
前記ガイド部側面の一方は前記定盤の側面であり、
前記ローラは、前記ガイド部側面として前記定盤の側面に当接する請求項1に記載の三次元座標測定装置。」


第3 特許異議申立ての理由の概要
1 理由1(明確性要件違反及びサポート要件違反)
(1)理由1-1(明確性要件違反)
ア 本件特許の請求項1に記載された「前記ガイド部の側面であるガイド部側面」が、対となる2側面のことを示すのか、それとも片側面のことを示しているのかが不明であり、当業者はその技術的意義を理解できず、本件発明1及び本件発明2は、明確でない。

イ 本件特許の請求項1に記載された「前記ガイド部側面に前記ローラを当接させて転動させる」が、複数個のローラを、対となる2側面の「ガイド部側面」のそれぞれに「当接させ」るように配置される構成を意味しているのか、それとも、単一のローラを単に片側面の「ガイド部側面」にのみ「当接させ」るように配置される構成を意味しているのかが不明であり、当業者はその技術的意義を理解できず、本件発明1及び本件発明2は、明確でない。

(2)理由1-2(サポート要件違反)
ア 上記(1)の理由1-1に関連し、仮に、本件特許の請求項1に記載された「前記ガイド部の側面であるガイド部側面」が、対となる2側面のことを示しており、本件特許の請求項1に記載された「前記ガイド部側面に前記ローラを当接させて」を、複数個の「ローラ」を、対となる2側面の「ガイド部側面」のそれぞれに「当接させ」るように配置する構成と解釈した場合、当該構成は、本件特許の発明の詳細な説明中に記載も示唆もされていない。したがって、本件発明1及び本件発明2は、発明の詳細な説明に記載された発明ではない。

イ 本件特許の請求項1及び2において、発明の詳細な説明に記載された、発明の課題を解決するための手段が反映されていないから、本件発明1及び2は、発明の詳細な説明に記載された発明ではない。

すなわち、本件発明1及び本件発明2についての特許は、特許法第36条第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当する。

2 理由2(進歩性欠如)

本件発明1及び本件発明2は、後記の甲6号証に記載された発明と後記の甲7号証及び甲8号証に記載された事項並びに後記の甲9号証ないし甲11号証に記載の周知技術とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

すなわち、本件発明1及び本件発明2についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当する。

甲6号証:特開平5-312556号公報
甲7号証:特開平2-247519号公報
甲8号証:特開平7-139936号公報
甲9号証:特開昭62-235502号公報
甲10号証:特開昭62-235513号公報
甲11号証:特開昭62-235514号公報


第4 理由1(明確性要件違反及びサポート要件違反)について
1 理由1-1のア及びイについて
理由1-1のア及びイについてまとめて検討する。

(1)特許異議申立人の主張
特許異議申立人は、本件特許の請求項1に記載された「前記ガイド部の側面であるガイド部側面」及び「前記ガイド部側面に前記ローラを当接させて転動させる」について、以下のように主張する。(特許異議申立書、第8ページ第1行?第12ページ最終行)

ア 理由1-1のアについて
本件特許の請求項1には「前記ガイド部の側面であるガイド部側面を挟み込む」と記載されており、対となる2側面があってこそ「挟み込む」ことができるのであるから、「前記ガイド部の側面であるガイド部側面」とは対となる2側面のことを示すものと解釈されるのに対し、特許権者が本件特許の審査過程において提出した平成29年8月28日付け意見書の中で補正の根拠として挙げた段落【0070】ないし【0073】及び図6、7からは「ローラ」が「当接」している面が「前記ガイド部の側面であるガイド部側面」の片側面のみであることから、「前記ガイド部の側面であるガイド部側面」とは片側面のみを示すと解釈されるから、本件発明1の「前記ガイド部の側面であるガイド部側面」が、対となる2側面のことを示すのか、それとも片側面のことを示しているのかが不明であり、当業者はその技術的意味を理解することができない。

イ 理由1-1のイについて
上記理由1-1のアで述べたように、「前記ガイド部の側面であるガイド部側面」の技術的意味が不明確であるから、本件特許の請求項1に記載された「前記ガイド部側面に前記ローラを当接させて転動させる」が、複数個のローラを、対となる2側面の「ガイド部側面」のそれぞれに「当接させ」るように配置される構成を意味しているのか、それとも、単一のローラを単に片側面の「ガイド部側面」にのみ「当接させ」るように配置される構成を意味しているのかが不明であり、当業者はその技術的意義を理解できない。

(2)判断
本件特許の請求項1に記載された「前記ガイド部の側面であるガイド部側面」が、「前記ガイド部の側面であるガイド部側面を挟み込む」の「挟み込む」の記載から、「挟み込む」ために必要な対となる2側面を有することは明確である。
本件特許の請求項1に記載された「前記ガイド部側面に前記ローラを当接させて」は、「ローラ」が「当接」している面が「ガイド部側面」であることを限定する記載であり、「ローラ」の数については特定されていない。ここで、上述したように「前記ガイド部の側面であるガイド部側面」が対となる2側面を有していることは明らかであるから、本件特許の請求項1に記載された「前記ガイド部側面に前記ローラを当接させて」が、「ローラ」が、「ガイド部側面」の対となる2側面の内の一方、又は両面に当接することを表すことは明らかである。

よって、理由1-1のア及びイについての特許異議申立人の主張は、採用することができない。

2 理由1-2のアについて
(1)特許異議申立人の主張
特許異議申立人は、仮に、本件特許の請求項1に記載された「前記ガイド部の側面であるガイド部側面」が、対となる2側面のことを示しており、本件特許の請求項1に記載された「前記ガイド部側面に前記ローラを当接させて」を、複数個の「ローラ」を、対となる2側面の「ガイド部側面」のそれぞれに「当接させ」るように配置する構成とした場合、当該構成は、本件特許の発明の詳細な説明中に記載も示唆もされていない、と主張する。(特許異議申立書、第13ページ第1?14行)

(2)判断
上記1において述べたように、本件特許の請求項1に記載された「前記ガイド部の側面であるガイド部側面」が対となる2側面を有していることは明らかであり、本件特許の請求項1に記載された「前記ガイド部側面に前記ローラを当接させて」が、「ローラ」が、「ガイド部側面」の対となる2側面の内の一方、又は両面に当接することを表していることは明らかである。
そして、「ローラ」が「ガイド部側面」の対となる2側面の内の一方、又は両面に当接することは、本件特許の明細書段落【0074】に「なお、Yキャリッジ14の駆動手段として、駆動部80の他にYガイド42の左側面42Lに当接する駆動部を例えば駆動部80に対峙させて設けてもよいし、駆動部80の代わりにYガイド42の左側面42Lに当接する駆動部のみを設けてもよい。」と記載されているから、本件特許の発明の詳細な説明中に記載されている。
よって、特許異議申立人の主張は、採用することができない。

3 理由1-2のイについて
(1)特許異議申立人の主張
特許異議申立人は、本件特許の明細書の段落【0005】ないし【0008】、【0177】、【0186】ないし【0193】、及び図27の記載から、本件特許の明細書には、「Yキャリッジにおいてエアパッドを定盤の適切な位置に配置することにより、Z軸周り方向(ヨーイング方向)の振れ及びX軸周り方向(ピッチング方向)の振れを抑止することをその解決課題とし」、前記課題を解決する発明が記載されているのに対し、本件特許の請求項1及び2において、前記課題を解決するための手段が反映されておらず、本件発明が、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えて特許されたものである、と主張する。(特許異議申立書、第13ページ第15行?第20ページ下から4行目)

(2)判断
しかし、発明の課題は、【発明が解決しようとする課題】に記載された事項のみならず、発明の詳細な説明全体の記載から把握されるものであるところ、本件特許の明細書には以下の記載がある。

「【0167】
上記実施の形態の三次元座標測定装置1において、駆動部80のローラ84の軸が定盤10の上面10Tに対して垂直方向に配置される。したがって、ローラ84が定盤10の垂直面で接触するのでゴミをかむことがなく、また定盤10の側面を基準にして正確に測定することができる。
【0168】
また、ローラ84は、定盤10の側面(右側面10R)に沿って駆動する。したがって、微小に定盤10が変形しても定盤10を基準にして測定することができる。もし、定盤10と違う別レールをローラ84が沿って移動すると、別レールの熱膨張など他の要因で定盤10の変形と同期しない。」

上記段落【0167】及び【0168】には、本件発明1の「ローラ」が「定盤の定盤面に垂直な軸を有する」こと、及び「ローラ」が「定盤」に「形成」された「ガイド部」の「ガイド部側面」に「当接」することの効果が、それぞれ、「ローラ84が定盤10の垂直面で接触するのでゴミをかむことがな」い、及び「微小に定盤10が変形しても定盤10を基準にして測定することができる」であることが記載されていると認められ、当該効果はYキャリッジのY軸方向の移動位置の測定精度の向上に関するものと認められるから、本件発明の課題はYキャリッジのY軸方向の移動位置の測定精度を向上させることであると認められ、本件特許の請求項1及び2において、この課題を解決するための手段が反映されていると認められる。
よって、特許異議申立人の主張は、採用することができない。

4 小括
上記1ないし3で述べた理由により、本件発明1及び本件発明2についての特許は、理由1によって取り消すべきであるということはできない。


第5 理由2(進歩性欠如)について
1 甲6号証ないし甲11号証に記載された発明等
(1)甲6号証
ア 甲6号証の記載
甲6号証には、以下の記載がある。下線は、当審が付した。

「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は座標測定機に係り、特にX、Y、Z軸の3軸方向にプローブを移動して被測定物の形状を測定する座標測定機に関する。
【0002】
【従来の技術】3次元座標測定機はX、Y、Z軸の3軸方向にプローブを移動して被測定物の形状を測定する。図5及び図6に示すように、3次元座標測定機はYキャリッジ10を備えていて、Yキャリッジ10はガイド12に沿ってY軸方向に移動する。すなわち、ガイド12は定盤14の表面や側面にボルト16、16…を介して取り付けられていて、ガイド12の両側部にはYキャリッジ10の一方の脚部10Aのエアパッド18、18が摺動自在に支持されている。この場合、定盤14にはボルト16、16…が螺合するねじ穴14A、14A…が加工されている。
【0003】また、Yキャリッジ10の他方の脚部10Bにはエアパッド20が設けられていて、他方の脚部10Bはエアパッド20を介して定盤14の表面に沿って移動する。これにより、Yキャリッジ10はガイド12に沿ってY軸方向に移動する。前記従来例において、Yキャリッジ10はガイド12に沿って移動するように構成されていたが、図7及び図8に示すように、定盤14の溝22に沿ってYキャリッジ10を移動する3次元座標測定機も一般に知られている。尚、図5及び図6と同一類似部材については同一符号を付与して説明を省略する。」

【図7】


イ 甲6号証に記載された発明
上記アの記載によれば、以下のことが認められる。

(ア)甲6号証には3次元座標測定機の発明が記載されている。

(イ)3次元座標測定機は、定盤14を備える。(【0003】、図7)

(ウ)3次元座標測定機は、Y軸方向に移動するYキャリッジ10を備える。(【0002】)

(エ)Yキャリッジ10は一方の脚部10A及び他方の脚部10Bで支持される。(【0002】、【0003】、図7)

(オ)Yキャリッジ10は定盤を跨いでいる。(図7)

(カ)3次元座標測定機はプローブを有しており(【0002】)、該プローブはYキャリッジ10に支持されている。

(キ)上記(ウ)ないし(カ)から、3次元座標測定機は、プローブを支持し、定盤14を跨いでY軸方向に移動する一方の脚部10A及び他方の脚部10Bで支持されるYキャリッジ10を備える。

(ク)定盤の一方の脚部10A側に溝22が形成されている。(【0003】、図7)

(ケ)溝22の一方の脚部10A側の側面、定盤14の一方の脚部10A側の側面には、Yキャリッジ10の一方の脚部10Aのエアパッド18、18が摺動自在に支持されている。(【0002】、【0003】、図7)

(コ)以上のことをまとめると、甲6号証には、以下の発明(以下、「甲6発明」という。)が記載されている。

「定盤14と、
プローブを支持し、定盤14を跨いでY軸方向に移動する一方の脚部10A及び他方の脚部10Bで支持されるYキャリッジ10と、を備え、
定盤14の一方の脚部10A側に溝22が形成され、
溝22の一方の脚部10A側の側面、定盤14の一方の脚部10A側の側面には、Yキャリッジ10の一方の脚部10Aのエアパッド18、18が摺動自在に支持されている3次元座標測定機。」

(2)甲7号証
ア 甲7号証の記載
甲7号証には、以下の記載がある。下線は、当審が付した。

「(産業上の利用分野)
本発明は、三次元測定機に係り、特に、直交三軸であるX、Y、Z軸のいずれかの方向(所定方向)に移動可能にされた移動部材を、案内部材に沿って所定方向に移動させる駆動手段と、この駆動手段が係合されるガイド部材との改良に関する。」(第2ページ左上欄第3?8行)

「以下、本発明の一実施例を図面を参照して説明する。
第1図には、本実施例に係る三次元測定機10の全体構成が示されている。
三次元測定機l0は、基体としての所定間隔を離して配置された一対の支持台11を備え、これらの支持台11は、それぞれ前後2つの脚部12上にビーム13を載置、固定して構成されている。
ここにおいて、左右一対の支持台11は、その配置位置が逆である以外、その構成は同一であるから、以下、その一方についてのみ説明し、他方についての説明は、必要に応じて説明する以外は同一構成部分に同一符号を付してその説明を省略する。
前記ビーム13は、その長手方向に沿って段部を形成し、その上段面13A上には案内部材としての案内レール20が載置され、下段面13B上には支持手段30を介して支持されたガイド部材としての角柱体48が設けられている。
前記支持手段30は、後に詳述するように、角柱体48の一端を取付板32を介して弾性的に支持する弾性支持部31と、角柱体48の他端を揺動可能に支持する球面ベアリング41とから構成され、これにより、前記案内レール20に対し略平行に配置された角柱体48を案内レール20に対し上下、左右方向の何れの方向にも変位可能に支持している。
前記案内レール20には、その長手方向両側面20Aに沿って溝状の切欠部20Bが形成されている。この切欠部20B内には、ビーム13の上段面13A上に配置された複数の係合片22の一側の突出部が係合されており、この係合片22を貫通して挿入された固定ボルト(図示せず)をビーム13の上段面13Aに螺合することにより、係合片22の突出部で案内レール20をビーム13側に押圧、固定するようになっている。
前記複数の係合片22間において、ビーム13の上段面13Aには案内レール20の側面20Aをそれぞれ案内レール20の中心に向って常時押圧する複数の押圧部材25が設けられている。このような係合片22及び押圧部材25の作用により、案内レール20は、真直度を正しく出された状態でビーム13の上段面13A上に固定されている。
前記真直度を出された一対の案内レール20上には凹型フレームからなるY軸移動部材50が水平面内の所定方向すなわちY軸方向に摺動自在に載置されている。このY軸移動部材50は、一対の脚部51間に横桁52を掛け渡して構成され、この両脚部51の下部位置には、Y軸移動部材50をY軸方向に駆動するY軸駆動手段60がそれぞれ設けられている。
Y軸駆動手段60は、後に詳述するように、ブラケット61を介してY軸移動部材50に支持された回転駆動源としてのサーボモータ62を備えるとともに、同じくブラケット61を介して支持されたローラ保持部材63を備えている。このロ-ラ保持部材63には、前記モータ62によりその一方が駆動されるローラ対64を含み、このローラ対64は、前記角柱体48を後述する押圧部材76を介して所定の押圧力で挟持している。これにより、モータ62が駆動されると、ローラ対64が角柱体48に沿って転動し、Y軸移動部材50が案内レール20に沿って移動するようになっている。」(第3ページ左下欄下から3行目?第4ページ左下欄第2行)


イ 甲7号証に記載された発明
上記アの記載をまとめると、甲7号証には、以下の発明(以下、「甲7発明」という。)が記載されている。

「基体としての所定間隔を離して配置された一対の支持台11を備え、これらの支持台11は、それぞれ前後2つの脚部12上にビーム13を載置、固定して構成されている三次元測定機l0であって、
前記ビーム13は、その長手方向に沿って段部を形成し、その上段面13A上には案内部材としての案内レール20が載置され、下段面13B上には支持手段30を介して支持されたガイド部材としての角柱体48が設けられ、
一対の案内レール20上には凹型フレームからなるY軸移動部材50が水平面内の所定方向すなわちY軸方向に摺動自在に載置され、
このY軸移動部材50は、一対の脚部51間に横桁52を掛け渡して構成され、この両脚部51の下部位置には、Y軸移動部材50をY軸方向に駆動するY軸駆動手段60がそれぞれ設けられ、
Y軸駆動手段60は、サーボモータ62を備えるとともにローラ保持部材63を備えており、このロ-ラ保持部材63には、前記モータ62によりその一方が駆動されるローラ対64を含み、このローラ対64は、前記角柱体48を後述する押圧部材76を介して所定の押圧力で挟持しており、
モータ62が駆動されると、ローラ対64が角柱体48に沿って転動し、Y軸移動部材50が案内レール20に沿って移動するようになっている
三次元測定機l0。」

(3)甲8号証
ア 甲8号証の記載
甲8号証には、以下の記載がある。下線は、当審が付した。

「【0001】
【産業上の利用分野】この発明は座標測定機に係り、特にY軸方向に移動自在な門型構造のYキャリッジと、YキャリッジのXガイドに沿ってX軸方向に移動自在なXキャリッジと、Xキャリッジに設けられた測定子とを有する座標測定機に関する。」

「【0012】
【実施例】以下添付図面に従って本発明を3次元座標測定機に適用した実施例1の3次元座標測定機について詳説する。図1は本発明に係る実施例1の3次元座標測定機の斜視図、図2はその平面図、図3はその背面図を示している。3次元座標測定機10はYキャリッジ12を有していて、Yキャリッジ12は一対の脚部12A、12Bと、脚部12A、12Bの上端部を連結しているXガイド12Cとで門型構造に構成されている。脚部12A、12Bは基台14の両側に配置されていて、案内面14A、14B、14C、14Dに沿って、対向するエアパッド31A、31B、31C、31DによりY軸方向に移動自在に支持されている(図3参照)。Xガイド12CにはXキャリッジ18がXガイド12Cに沿ってX軸方向に移動自在に支持されている。
【0013】すなわち、図2、図3に示すようにボールねじ46がXガイド12Cに平行に配設された状態で、その両端部が軸受48A、48Bに回動自在に支持されていて、軸受48A、48Bは脚部12A、12Bの上端部に固定されている。ボールねじ46の略中央にはナット部材49がねじ結合されていて、ナット部材49はXキャリッジ18に固定さられている。また、ボールねじ46の左端部には駆動モータ50のシャフト50Aが同軸上に連結されている。従って、駆動モータ50を駆動してボールねじ46を回動すると、ナット部材49を介してXキャリッジ18がX軸方向に移動する。
【0014】Xキャリッジ18のZ軸ガイド20にはZキャリッジ22がZ軸方向に移動自在に支持されている。Zキャリッジ22の下端部には電子プローブ(測定子)24が設けられていて、電子プローブ24をX、Y、Z軸の3方向に移動して、基台14上に載置されたワーク(図示せず)の測定点を検出することによりワーク形状等を測定する。尚、Yキャリッジ12、Xキャリッジ18、Zキャリッジ22及び電子プローブ24は移動体25を構成する。
【0015】また、3次元座標測定機10は駆動キャリッジ26、継手28及び駆動機構30を備えている。駆動キャリッジ26は脚部26Aと、脚部26Aに連結された梁部26Bとで略L字形に構成されている。駆動キャリッジ26はYキャリッジ12に併設されていている。この駆動キャリッジ26は、基台14に設けられた案内面14A、14Bに沿ってY軸方向に移動自在に支持されている。図3上で梁部26Bの右端部にはエアパッド29が設けられていて、エアパッド29はYキャリッジ12の脚部12Bの段部12B′上に載置されている。さらに、脚部26Aの下端部は脚部12Aの下端部を収納するように形成されていて、脚部26Aの下端部にエアパッド31A、31B、31Dが設けられている。エアパッド31A、31B、31Dは夫々案内面14A、14B、14Dに対向するように配置されている(図4参照)。
【0016】脚部26Aの下端部内には駆動機構30の駆動モータ32が配設されている。駆動機構30は駆動モータを含む駆動ユニット32、駆動ローラ34及びガイドレール36から構成されていて、駆動ユニット32から駆動ローラ34が出ている。また、駆動ローラ34の外周はガイドレール36の側面に当接していて、ガイドレール36はY軸方向に平行に配置された状態で基台14に固定されている。従って、駆動ユニット32が内蔵されたモータで駆動されると駆動ローラ34が回転して、駆動キャリッジ26はガイドレール36に沿ってY軸方向に移動する。」

【図3】


イ 甲8号証に記載された発明
上記アの記載をまとめると、甲8号証には、以下の発明(以下、「甲8発明」という。)が記載されている。

「一対の脚部12A、12Bと、脚部12A、12Bの上端部を連結しているXガイド12Cとで門型構造に構成されており、脚部12A、12Bは基台14の両側に配置されていて、案内面14A、14B、14C、14Dに沿って、対向するエアパッド31A、31B、31C、31DによりY軸方向に移動自在に支持されているYキャリッジ12と(【0012】)、
脚部26Aと、脚部26Aに連結された梁部26Bとで略L字形に構成され、Yキャリッジ12に併設され、基台14に設けられた案内面14A、14Bに沿ってY軸方向に移動自在に支持されている駆動キャリッジ26と(【0015】)、
駆動モータを含む駆動ユニット32、駆動ローラ34及びガイドレール36から構成されていて、駆動ローラ34の外周はガイドレール36の側面に当接していて、ガイドレール36はY軸方向に平行に配置された状態で基台14に固定されており、駆動モータ32が脚部26Aの下端部内に配設されている駆動機構30と
を有し、
駆動ユニット32が内蔵されたモータで駆動されると駆動ローラ34が回転して、駆動キャリッジ26はガイドレール36に沿ってY軸方向に移動する(【0016】)、
3次元座標測定機10(【0012】)。」

(4)甲9号証ないし甲11号証
ア 甲9号証ないし甲11号証の記載
甲9号証及び甲10号証にはいずれも下記の記載がある。下線は、当審が付した。

「ベース3上の第1図において左右両側部に、箱型形状の内部を空洞にした摺動案内部5.7が設けられている。この摺動案内部5.7はそれぞれ第2図において前後方向すなわちX軸方向に延伸しである。摺動案内部5.7上には、門型形状のメインキャレッジ9が設けられ、該メインキャレッジ9の左右下部には、それぞれ摺動案内部材11.13がX軸方向に沿って移動自在に取付けてある。摺動案内部材13の後方部には、X軸モータ15が設けてあり、かつ摺動案内部7上にガイドレール17がX軸方向に延伸して設けてある。
上記構成により、X軸モータ15により摺動案内部材11.13がベース3上の摺動案内部5.7に沿って、ガイドレール17に案内されてX軸方向に移動されてメインキャレッジ9がX軸方向に移動されることになる。」(甲9号証第2ページ右上欄第6行?同ページ左下欄第2行、甲10号証第2ページ右上欄第8行?同ページ左下欄第4行)

「上記構成により、駆動ローラ69と従動ローラ77とでガイドレール17を挾み込み、X軸モータ15を駆動させて駆動ローラ69を回転させると、摺動案内部材13はガイドレール17に案内されてX軸方向に移動されることになる。」(甲9号証第4ページ左下欄第10?14行、甲10号証第4ページ左下欄第12?16行)

甲11号証には、上記「ガイドレール17」が「ラック17」、上記「駆動ローラ69」が「ピニオン69」である点が異なるのみで他は同一の記載がある。(第2ページ左上欄下から4行目?同ページ右上欄第13行、第4ページ右上欄最終行?同ページ左下欄第4行)

イ 甲9号証ないし甲11号証に記載の技術
上記アの記載をまとめると、甲9号証及び甲10号証にはいずれも下記の技術が記載されている。

「ベース3上の左右両端部に摺動案内部5.7が設けられ、摺動案内部5.7上に門型形状のメインキャレッジ9が設けられ、メインキャレッジ9の左右下部には、それぞれ摺動案内部材11.13が取り付けてあり、一方の摺動案内部材13にX軸モータが設けてあり、摺動案内部7上にはガイドレール17が設けてあり、駆動ローラ69と従動ローラ77とでガイドレール17を挾み込み、X軸モータ15を駆動させて駆動ローラ69を回転させると、摺動案内部材11.13がベース3上の摺動案内部5.7に沿って、ガイドレール17に案内されてX軸方向に移動されてメインキャレッジ9がX軸方向に移動されることになる、3次元測定装置。」

甲11号証には、甲9号証及び甲10号証に記載の技術に対し、「ガイドレール17」が「ラック17」、「駆動ローラ69」が「ピニオン69」である点でのみ異なる下記の技術が記載されている。

「ベース3上の左右両端部に摺動案内部5.7が設けられ、摺動案内部5.7上に門型形状のメインキャレッジ9が設けられ、メインキャレッジ9の左右下部には、それぞれ摺動案内部材11.13が取り付けてあり、一方の摺動案内部材13にX軸モータが設けてあり、摺動案内部7上にはラック17が設けてあり、ピニオン69と従動ローラ77とでガイドレール17を挾み込み、X軸モータ15を駆動させてピニオン69を回転させると、摺動案内部材11.13がベース3上の摺動案内部5.7に沿ってラック17に案内されてX軸方向に移動されてメインキャレッジ9がX軸方向に移動されることになる、3次元測定装置。」


2 本件発明1について
(1)対比
本件発明1と甲6発明とを対比すると、以下のとおりである。

ア 甲6発明の「定盤14」は、測定対象物を載置するためのものであることは明らかであるから、本件発明1の「測定対象物を載置する定盤」に相当する。

イ 甲6発明の「一方の脚部10A及び他方の脚部10B」が、本件発明1の「二つの支柱部材」に相当するから、甲6発明の「プローブを支持し、定盤を跨いで前記定盤のY軸方向に移動する一方の脚部10A及び他方の脚部10Bで支持されるYキャリッジ10」は、本件発明1の「測定プローブを支持し、前記定盤を跨いで前記定盤のY軸方向に移動する二つの支柱部材で支持されるYキャリッジ」に相当する。

ウ 甲6発明の「一方の脚部10A及び他方の脚部10B」は、本件発明1の「前記Yキャリッジを前記Y軸方向に駆動する駆動機構をもつ第1の支柱部材と、前記第1の支柱部材に追従移動する第2の支柱部材とを有」する「前記二つの支柱部材」と、「第1の支柱部材と、第2の支柱部材とを有」する点で共通する。

エ 甲6発明の「溝22の一方の脚部10A側の側面、定盤14の一方の脚部10A側の側面」及び「定盤14」の上面であって前記2つの側面の間の面からなる部分は、「溝22の一方の脚部10A側の側面、定盤14の一方の脚部10A側の側面」に「Yキャリッジ10の一方の脚部10Aのエアパッド18、18が摺動自在に支持され」るものであるから、「Y軸方向」に平行に形成されており、「Yキャリッジ10」が「Y軸方向に移動する」際のガイドの役割を果たしていると認められる。
よって、甲6発明が「定盤14の一方の脚部10A側に溝22が形成され」ていることは、本件発明1が「前記定盤の前記第1の支柱部材側には、前記Y軸方向に平行なガイド部を形成し」ていることに相当する。

オ 甲6発明の「キャリッジ10の一方の脚部10Aのエアパッド18、18」は、「溝22の一方の脚部10A側の側面、定盤14の一方の脚部10A側の側面に」「摺動自在に支持されている」から、上記エを踏まえると、本件発明1の「前記ガイド部の側面であるガイド部側面を挟み込むことにより、前記第1の支柱部材を前記定盤に支持させる側面支持部」に相当する。

(2)一致点及び相違点
上記(1)の対比の結果をまとめると、本件発明1と甲6発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。

(一致点)
「測定対象物を載置する定盤と、
測定プローブを支持し、前記定盤を跨いで前記定盤のY軸方向に移動する二つの支柱部材で支持されるYキャリッジと、を備え、
前記二つの支柱部材は、第1の支柱部材と、第2の支柱部材とを有し、
前記定盤の前記第1の支柱部材側には、前記Y軸方向に平行なガイド部を形成し、
前記ガイド部の側面であるガイド部側面を挟み込むことにより、前記第1の支柱部材を前記定盤に支持させる側面支持部を有する、
三次元座標測定装置。」

(相違点)
本件発明1は「第1の支柱部材」が「前記定盤の定盤面に垂直な軸を有するローラを有し、前記ガイド部側面に前記ローラを当接させて転動させることで、前記Yキャリッジを定盤に対して相対的に移動させ」「前記Y軸方向に駆動する」「駆動機構」をもち、「第2の支柱部材」が「第1の支柱部材に追従移動する」のに対し、甲6発明は駆動機構をもっているのか否か不明な点。

(3)判断
相違点について検討する。

ア 甲8号証、甲9号証ないし甲11号証に、基台(甲8発明の「基台14」、甲9号証ないし甲11号証に記載された技術の「ベース3」、以下同順)に、所定の軸方向に移動可能に支持された門型構造のキャリッジ(「Yキャリッジ12」、「メインキャレッジ9」)を有する3次元座標測定機において、キャリッジの一方の脚部(「脚部26A」、「摺動案内部材13」)のみに駆動機構(「駆動機構30」、「X軸モータ15」)を備える技術が記載されているように、基台に移動可能に支持された門型構造のキャリッジを備える3次元座標測定機において、キャリッジの一方の脚部に駆動機構を設けることは周知技術である。
よって、甲6発明においても、「溝22の一方の脚部10A側の側面、定盤14の一方の脚部10A側の側面に」「摺動自在に支持されている」「エアパッド18、18」を有する「一方の脚部10A」に駆動機構を設け、「他方の脚部10B」を「一方の脚部10A」に追従移動させることは、当業者が通常実施する技術事項である。

イ 甲7発明及び甲8発明は、いずれも、門型構造のキャリッジ(甲7発明の「Y軸移動部材50」、甲8発明の「Yキャリッジ12」、以下同順)を備える3次元座標測定機において、前記キャリッジをローラ(「ローラ対64」、「駆動ローラ34」)を用いて移動させる駆動機構を備えるものであるから、甲6発明の「Yキャリッジ10」を「Y軸方向に移動」させるための駆動機構として、「一方の脚部10A」に甲7発明又は甲8発明のローラを用いる駆動機構を適用することは、当業者が容易に思い付くことである。

ウ ここで、本件発明1の、相違点に係る構成の「駆動機構」が有する「ローラ」が「当接」している「ガイド部側面」とは、本件発明1の「Yキャリッジ」が有する「前記第1の支柱部材を前記定盤に支持させる側面支持部」が「挟み込」んでいる「前記ガイド部の側面であるガイド部側面」であるから、「ローラ」が「当接」している面と、「Yキャリッジ」が有する「前記第1の支柱部材を前記定盤に支持させる側面支持部」が「挟み込」んでいる面とは、同一の「ガイド部の側面」である。
これに対し、甲7発明においては、「Y軸移動部材50」が「摺動自在に載置」されるのは「案内レール20」であるのに対し、「ローラ対64」が「挟持している」のは「ガイド部材としての角柱体48」であり、
甲8発明においては、「Yキャリッジ12」が「Y軸方向に移動自在に支持されている」のは「基台14の両側に配置されて」いる「案内面14A、14B、14C、14D」であるのに対し、「駆動ローラ34」が「当接」しているのは「ガイドレール36」であるから、
甲7発明及び甲8発明のいずれの発明においても、ローラが当接する面と門型構造のキャリッジが支持される面とが、同一の面でない。そうすると、甲7発明及び甲8発明は、これらの面を同一とすることを示唆するものではない。

エ さらに、本件発明1の「ローラ」が「当接」している「ガイド部側面」は、「前記定盤の前記第1の支柱部材側」に「形成」された「ガイド部」の側面であるから、本件発明1の「ローラ」は、「定盤」に当接するものである。
これに対し、甲7発明は「定盤」に相当する構成を備えておらず、甲8発明の「駆動ローラ34」が「当接」している「ガイドレール36」は、「基台14」(甲6発明の「定盤」に相当)に「Y軸方向に平行に配置された状態で」「固定されて」いるものであり、「基台14」に形成されたものではないから、甲8発明の「駆動ローラ34」は「基台14」に当接するものではない。そうすると、甲7発明及び甲8発明は、駆動ローラを定盤に当接させることを示唆するものではない。

オ 上記ウ及びエより、甲7発明及び甲8発明は、いずれも、「ローラ」が当接する面と、「Yキャリッジ」が支持される面とを同一の面とするものでもなく、「ローラ」が当接する面を「定盤」上の面とするものでもないから、甲6発明に甲7発明又は甲8発明のローラを用いる駆動機構を適用して構成される発明は、駆動機構のローラが、甲6発明の「エアパッド18、18」(本件発明1の「側面支持部」に相当)「が摺動自在に支持されている」面である、「定盤14」に「形成され」た「溝22の一方の脚部10A側の側面」及び「定盤14の一方の脚部10A側の側面」(本件発明1の「ガイド部側面」に相当)のいずれか一方又は両方に「当接」するものとはならず、「定盤14」とは別に設けられた部材に当接するものとなる。

カ 甲9号証ないし甲11号証に記載されている技術も、「門型形状のメインキャレッジ9」が設けられた3次元測定装置において、「門型形状のメインキャレッジ9」を「駆動ローラ69」及び「従動ローラ77」(又は、「ピニオン69」及び「従動ローラ77」)を有する駆動機構により移動させるものであるが、「駆動ローラ69」及び「従動ローラ77」(又は、「ピニオン69」及び「従動ローラ77」)が当接するのは「ガイドレール17」上の面であるのに対し、「門型形状のメインキャレッジ9」が支持されるのは「摺動案内部材11.13」であり、「駆動ローラ69」及び「従動ローラ77」(又は、「ピニオン69」及び「従動ローラ77」)が当接する面と、「門型形状のメインキャレッジ9」が支持される面とが同一ではなく、「駆動ローラ69」及び「従動ローラ77」(又は、「ピニオン69」及び「従動ローラ77」)が当接する「ガイドレール17」は、「ベース3」(甲6発明の「定盤」に相当)上の面ではない。
すなわち、甲9号証ないし甲11号証に記載されている技術は、駆動機構のローラが当接する面と門型形状のメインキャレッジが支持される面を同一とすることを示唆するものはでないし、駆動機構のローラを定盤に当接させることを示唆するものでもない。
よって、上記オで述べた理由により、甲6発明に甲9号証ないし甲11号証に記載されているローラを有する駆動機構を適用しても、駆動機構のローラは、甲6発明の「定盤14」に「形成され」た「溝22の一方の脚部10A側の側面」及び「定盤14の一方の脚部10A側の側面」(本件発明1の「ガイド部側面」に相当)のいずれか一方又は両方に「当接」するものとはならない。

キ 上記オ及びカより、相違点に係る本件発明1の構成は、甲6発明と甲7号証ないし甲11号証に記載された事項とに基づいて当業者が容易に思い付くものであるということはできない。

(4)特許異議申立人の主張について
特許異議申立人は、甲7号証記載の技術事項を甲6発明に適用して、駆動機構が、定盤の定盤面に垂直な軸を有するローラを有し、ガイド部側面にローラを当接させて転動させることは、当業者が容易に想到し得るものであると主張する。(特許異議申立書、第37ページ第17?22行)
しかし、上記(3)オで述べた理由により、甲7号証記載の技術事項を甲6発明に適用しても、ローラは、甲6発明の「定盤14」に「形成され」た「溝22の一方の脚部10A側の側面」及び「定盤14の一方の脚部10A側の側面」(本件発明1の「ガイド部側面」に相当)のいずれか一方又は両方に「当接」するものとはならないから、特許異議申立人の主張は、採用することができない。

(5)本件発明1についてのまとめ
上記(3)において述べたとおり、相違点に係る本件発明1の構成は、甲6発明と甲7号証ないし甲11号証に記載された事項とに基づいて当業者が容易に思い付くものであるということはできないから、本件発明1は、甲6号証ないし甲11号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

したがって、本件発明1についての特許は、理由2によって取り消すべきであるということはできない。

3 本件発明2について
本件発明2は、本件発明1の構成を全て含むから、少なくとも本件発明1と甲6発明との相違点において甲6発明と相違する。そして、上記2(3)のとおり、相違点に係る本件発明1の構成は、甲6発明と甲7号証ないし甲11号証に記載された事項とに基づいて当業者が容易に思い付くものであるということはできない。

そうすると、本件発明2は、甲6号証ないし甲11号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

したがって、本件発明2についての特許は、理由2によって取り消すべきであるということはできない。


第6 むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由によっては、本件発明1及び本件発明2についての特許を取り消すべきであるということはできない。

また、他に、本件発明1及び本件発明2についての特許を取り消すべきであるとする理由を発見しない。

よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2018-08-22 
出願番号 特願2017-128896(P2017-128896)
審決分類 P 1 651・ 121- Y (G01B)
P 1 651・ 537- Y (G01B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 櫻井 仁  
特許庁審判長 小林 紀史
特許庁審判官 須原 宏光
▲うし▼田 真悟
登録日 2017-10-27 
登録番号 特許第6229812号(P6229812)
権利者 株式会社東京精密
発明の名称 三次元座標測定装置  
代理人 松浦 憲三  
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