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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1344528
審判番号 不服2017-16963  
総通号数 227 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-11-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-11-15 
確定日 2018-09-20 
事件の表示 特願2015-104758号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成28年12月22日出願公開、特開2016-214674号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成27年5月22日の出願であって、平成29年4月14日付けで拒絶の理由が通知され、同年6月20日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年8月7日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、それに対して、同年11月15日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正(以下「本件補正」という。)がなされたものである。

第2 本件補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
本件補正は特許請求の範囲の請求項1の記載の補正を含むものであり、本件補正前の平成29年6月20日にされた手続補正の特許請求の範囲の請求項1の記載と本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は、それぞれ以下のとおりである(下線部は補正箇所を示す。また、A?Hについては発明を分説するため当審で付与した。)。

(本件補正前)
「【請求項1】
変動表示を行ない、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
未だ開始されていない変動表示に関する情報を保留記憶として記憶する保留記憶手段と、
前記保留記憶手段に記憶された保留記憶に対応する保留表示を表示する保留表示手段と、
保留記憶に対応する変動表示が行なわれているときに、変動対応表示を表示する変動対応表示手段と、
一の保留記憶に対応する保留表示が表示されているときから当該一の保留記憶に対応する変動表示が行なわれているときに跨る期間を含む特定期間において、特定画像を継続して表示可能な特定画像表示手段とを備え、
前記特定画像表示手段は、前記特定期間のうちのいずれかのタイミングで前記特定画像の態様を変化させることが可能であり、
前記特定画像の態様が変化したときに、保留表示の態様を変化させること、または、変動対応表示の態様を変化させることが可能であり、
前記特定画像の種類が第1の種類のときと第2の種類のときとで、変動対応表示の態様を変化させる割合が異なることを特徴とする、遊技機。」

(本件補正後)
「【請求項1】
A 変動表示を行ない、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
B 未だ開始されていない変動表示に関する情報を保留記憶として記憶する保留記憶手段と、
C 前記保留記憶手段に記憶された保留記憶に対応する保留表示を表示する保留表示手段と、
D 保留記憶に対応する変動表示が行なわれているときに、変動対応表示を表示する変動対応表示手段と、
E 一の保留記憶に対応する保留表示が表示されているときから当該一の保留記憶に対応する変動表示が行なわれているときに跨る期間を含む特定期間において、特定画像を継続して表示可能な特定画像表示手段とを備え、
F 前記特定画像表示手段は、前記特定期間のうちのいずれかのタイミングで前記特定画像の態様を変化させることが可能であり、
G 前記一の保留記憶に対応する変動表示が行われる前に、前記特定画像の態様を変化させるとともに前記一の保留記憶に対応する保留表示の態様を変化させる第1パターンの演出と、前記一の保留記憶に対応する変動表示が行われているときに、前記特定画像の態様を変化させるとともに当該一の保留記憶に対応する変動対応表示の態様を変化させる第2パターンの演出とを選択的に行なうことが可能であり、
H 前記特定画像の種類が第1の種類のときと第2の種類のときとで、前記第2パターンの演出が行われる割合が異なる
ことを特徴とする、遊技機。」

2 補正の適否
本件補正は、補正前の請求項1に記載された発明特定事項である「前記特定画像の態様が変化したときに、保留表示の態様を変化させること」について、「G 前記一の保留記憶に対応する変動表示が行われる前」に行われる「前記一の保留記憶に対応する」「第1パターンの演出」であることを限定するとともに、「前記特定画像の態様が変化したときに」「変動対応表示の態様を変化させること」に関して、Gの「前記一の保留記憶に対応する変動表示が行われているときに」行われる「当該一の保留記憶に対応する」「第2パターンの演出」であることを限定して、それらを「選択的に行なうことが可能であ」ると限定したものである。
なお、補正前の請求項1に記載された発明特定事項である「前記特定画像の種類が第1の種類のときと第2の種類のときとで」「割合が異なる」対象について、「変動対応表示の態様を変化させる」ことから、Hの「前記第2パターンの演出が行われる」ことへ変更する補正は、上記Gに係る補正、すなわち、「変動対応表示の態様を変化させること」に関して、Gの「当該一の保留記憶に対応する」「第2パターンの演出」と限定する補正との整合を採る補正に過ぎず、実質的に技術的範囲を変更するものではない。
そして、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明とは、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
そうすると、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。
また、本件補正は、明細書の段落【0007】の記載及び図15に基づいており、新規事項を追加するものではない。

そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。

(1)本願補正発明
本願補正発明は、前記1(本件補正後)に記載したとおりのものである。

(2)引用文献に記載された事項
ア 原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願前に頒布された刊行物である特開2014-79523号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。

「【0021】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態を詳細に説明する。図1は、本実施の形態におけるパチンコ遊技機の正面図であり、主要部材の配置レイアウトを示す。パチンコ遊技機(遊技機)1は、大別して、遊技盤面を構成する遊技盤(ゲージ盤)2と、遊技盤2を支持固定する遊技機用枠(台枠)3とから構成されている。遊技盤2には、ガイドレールによって囲まれた、ほぼ円形状の遊技領域が形成されている。この遊技領域には、遊技媒体としての遊技球が、所定の打球発射装置から発射されて打ち込まれる。」

「【0027】
画像表示装置5の画面上には、始動入賞記憶表示エリア5Hが配置されている。始動入賞記憶表示エリア5Hでは、特図ゲームに対応した可変表示の保留数(特図保留記憶数)を特定可能に表示する保留記憶表示が行われる。ここで、特図ゲームに対応した可変表示の保留は、普通入賞球装置6Aが形成する第1始動入賞口や、普通可変入賞球装置6Bが形成する第2始動入賞口に、遊技球が進入(例えば、通過)することによる始動入賞に基づいて発生する。すなわち、特図ゲームや飾り図柄の可変表示といった可変表示ゲームを実行するための始動条件(「実行条件」ともいう)は成立したが、先に成立した開始条件に基づく可変表示ゲームが実行中であることやパチンコ遊技機1が大当り遊技状態に制御されていることなどにより、可変表示ゲームの開始を許容する開始条件が成立していないときに、成立した始動条件に対応する可変表示の保留が行われる。この実施の形態では、保留記憶表示を、保留されている可変表示と同じ個数の図柄(本実施の形態では、丸印などであり、以下、保留表示図柄ともいう。)を表示することによって行う。1つの保留表示図柄は、保留されている1つの可変表示に対応している。第1特図を用いた特図ゲームに対応した、保留されている可変表示は、始動入賞記憶表示エリア5Hにおける向かって左側の領域に表示される保留表示図柄によって表される。第2特図を用いた特図ゲームに対応した、保留されている可変表示は、始動入賞記憶表示エリア5Hにおける向かって右側の領域に表示される保留表示図柄によって表される。これらの保留表示図柄は、特図ゲームの実行が開始されるときに、可変表示対象保留記憶エリア5Fにシフトされることとなる。」

「【0064】
上記のような構成によって、演出制御用CPU120は、音声制御基板13を介してスピーカ8L、8Rを制御して音声を出力させたり、ランプ制御基板14を介して遊技効果ランプ9や装飾用LEDなどにおける点灯/消灯駆動を行わせたり、表示制御部123を介して画像表示装置5の表示領域に演出画像を表示させたりして、各種の演出(リーチ演出、保留表示予告、示唆演出など、遊技の盛り上げるための演出など)を実行する。」

「【0069】
こうした可変表示結果や変動パターンの決定に基づいて特図ゲームが開始された後、例えば変動パターンに対応して予め定められた可変表示時間が経過したときには、可変表示結果となる確定特別図柄が導出表示される。第1特別図柄表示装置4Aや第2特別図柄表示装置4Bによる特別図柄の可変表示に対応して、画像表示装置5の画面上に配置された「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rでは、特別図柄とは異なる飾り図柄(演出図柄)の可変表示が行われる。第1特別図柄表示装置4Aによる第1特図を用いた特図ゲームや、第2特別図柄表示装置4Bによる第2特図を用いた特図ゲームにおいて、特別図柄の可変表示結果となる確定特別図柄が導出表示されるときには、画像表示装置5において飾り図柄の可変表示結果となる確定飾り図柄が導出表示される。
【0070】
特別図柄の可変表示結果として予め定められた大当り図柄が導出表示されたときには、可変表示結果(特図表示結果)が「大当り」(特定表示結果)となり、遊技者にとって有利な特定遊技状態としての大当り遊技状態に制御される。すなわち、大当り遊技状態に制御されるか否かは、可変表示結果が「大当り」となるか否かに対応しており、その可変表示結果を導出表示する以前に決定(事前決定)される。特別図柄の可変表示結果として、大当り図柄とは異なる小当り図柄が導出表示されたときには、可変表示結果(特図表示結果)が「小当り」(特殊表示結果)となり、特定遊技状態とは異なる特殊遊技状態としての小当り遊技状態に制御される。特別図柄の可変表示結果として、大当り図柄と小当り図柄のいずれも導出表示されず、ハズレ図柄が導出表示されたときには、可変表示結果(特図表示結果)が「ハズレ」となる。」

「【0109】
図6(A)に示す第1特図保留記憶部は、普通入賞球装置6Aが形成する第1始動入賞口を遊技球が進入して第1始動入賞が発生したものの、未だ開始されていない特図ゲーム(第1特別図柄表示装置4Aにおける第1特図を用いた特図ゲーム)の保留データを記憶する。一例として、第1特図保留記憶部は、第1始動入賞口への入賞順(遊技球の検出順)に保留番号と関連付けて、その遊技球の進入による第1始動条件の成立に基づいてCPU103が乱数回路104等から抽出した特図表示結果決定用の乱数値MR1や大当り種別決定用の乱数値MR2、変動パターン決定用の乱数値MR3を示す数値データなどを保留データとして、その記憶数が所定の上限値(例えば「4」)に達するまで記憶する。こうして第1特図保留記憶部に記憶された保留データは、第1特図を用いた特図ゲームの実行(可変表示)が保留されていることを示し、この特図ゲームにおける可変表示結果(特図表示結果)に基づき大当り遊技状態に制御すると決定されるか否かや、飾り図柄の可変表示態様が特定態様(例えばスーパーリーチのリーチ演出など)となるか否かなどを判定可能にする保留記憶情報となる。なお、第1特図保留記憶部の保留番号と保留表示図柄の表示位置とは、互いに対応している。このため、第1特図保留記憶部に保留データが記憶されると、この保留データに関連付けられた保留番号に対応する表示位置に保留表示図柄が表示される。例えば、保留番号「1」に関連付けて保留データが新たに格納された場合には、始動入賞記憶表示エリア5Hにおける向かって左側の領域の一番左側の第1の表示位置に保留表示図柄を表示する。例えば、保留番号「2」に関連付けて保留データが新たに格納された場合には、始動入賞記憶表示エリア5Hにおける向かって左側の領域の第1の表示位置の右側に位置する第2の表示位置に保留表示図柄を表示する。
【0110】
図6(B)に示す第2特図保留記憶部は、普通可変入賞球装置6Bが形成する第2始動入賞口を遊技球が進入して第2始動入賞が発生したものの、未だ開始されていない特図ゲーム(第2特別図柄表示装置4Bにおける第2特図を用いた特図ゲーム)の保留データを記憶する。一例として、第2特図保留記憶部は、第2始動入賞口への入賞順(遊技球の検出順)に保留番号と関連付けて、その遊技球の進入による第2始動条件の成立に基づいてCPU103が乱数回路104等から抽出した特図表示結果決定用の乱数値MR1や大当り種別決定用の乱数値MR2、変動パターン決定用の乱数値MR3を示す数値データなどを保留データとして、その数が所定の上限値(例えば「4」)に達するまで記憶する。こうして第2特図保留記憶部に記憶された保留データは、第2特図を用いた特図ゲームの実行(可変表示)が保留されていることを示し、この特図ゲームにおける可変表示結果(特図表示結果)に基づき大当り遊技状態に制御すると決定されるか否かや、飾り図柄の可変表示態様が特定態様(例えばスーパーリーチのリーチ演出など)となるか否かなどを判定可能にする保留記憶情報となる。なお、第2特図保留記憶部の保留番号と保留表示図柄の表示位置とは、互いに対応している。このため、第2特図保留記憶部に保留データが記憶されると、この保留データに関連付けられた保留番号に対応する表示位置に保留表示図柄が表示される。例えば、保留番号「1」に関連付けて保留データが新たに格納された場合には、始動入賞記憶表示エリア5Hにおける向かって右側の領域の一番左側の第1の表示位置に保留表示図柄を表示する。例えば、保留番号「2」に関連付けて保留データが新たに格納された場合には、始動入賞記憶表示エリア5Hにおける向かって右側の領域の第1の表示位置の右側に位置する第2の表示位置に保留表示図柄を表示する。」

「【0234】
この実施の形態では、図27(B)に示すように、「保留変化態様」、「保留不変化態様+保留変化態様」、「保留不変化態様」といった3種類の保留表示予告態様が予め用意されている。「保留変化態様」は、図31(e)?(g)に示すように、1変動(1回の可変表示)内にキャラクタ(5CH)を表示して、当該キャラクタが保留情報の表示態様を変更する態様である。「保留不変化態様+保留変化態様」は、図32(c)?(h)に示すように、キャラクタ(5CH)を表示し、当該キャラクタ(5CH)が保留情報の表示態様を変更することなく1回目の可変表示が終了し、次の可変表示において再度キャラクタを表示し、当該キャラクタが保留情報の表示態様を変更する、2変動に亘って(2回の可変表示に亘って)行われる態様であり、保留情報の表示態様が変化すると遊技者に見せかける態様の演出を行ってから、最終的に保留情報の表示態様を変化させる態様である。「保留不変化態様」は、1変動(1回の可変表示)内にキャラクタを表示して、当該キャラクタが保留情報の表示態様を変更することなく可変表示が終了する態様であり、保留情報の表示態様が変化すると遊技者に見せかけて、遊技者の期待感を向上させる態様である。なお、「保留不変化態様+保留変化態様」は、2変動に限られず、3変動や4変動であってもよい。この場合には、キャラクタを表示し、当該キャラクタが保留情報の表示態様を変更することなく可変表示が終了する「保留不変化態様」を複数回繰り返せばよい。また、「保留変化態様」は、図33に示すように、1変動目(1回目の可変表示)にキャラクタ(5CH)を表示して(図33(a)、(b))、2変動目(2回目の可変表示)にて当該キャラクタ(5CH)が保留情報の表示態様を変更する(図33(c)、(d))といった態様のように、複数の可変表示に亘って行われるものであってもよい。同様に、「保留不変化態様」についても、複数の可変表示に亘って行われてもよい。なお、保留表示予告の実行態様が決定されると、各態様に対応した保留表示予告設定値が、第1始動入賞時コマンドバッファ及び第2始動入賞時コマンドバッファの各保留表示番号に対応した領域に格納される。なお、保留表示予告を実行しないことが決定されている場合は、図24のステップS901の処理にて、保留表示予告設定値として「0」が設定されればよい。このように、「保留不変化態様」の保留表示予告態様が実行されることにより、保留表示を変化しない場合についても保留表示を変化する場合に実行される態様と一部(演出開始時)同様の態様の演出が実行されるため、遊技興趣を向上させることができる。また、「保留不変化態様」の保留表示予告態様が実行されることにより、本来実行される態様の演出が実行されないことによる遊技者の違和感を低減することができ、遊技興趣の低下を抑制することができる。」

上記記載事項を総合すれば、引用文献1には以下の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる(a?eについては本願補正発明のA?Eに対応させて付与した。)。

「a 特別図柄表示装置4A、4Bによる特図を用いた特図ゲームを行い、特別図柄の可変表示結果として予め定められた大当り図柄が導出表示されたときには、可変表示結果が「大当り」となり、遊技者にとって有利な特定遊技状態としての大当り遊技状態に制御されるパチンコ遊技機1であって(【0021】、【0069】、【0070】)、
b 未だ開始されていない特図ゲームの特図表示結果決定用の乱数値MR1や大当り種別決定用の乱数値MR2、変動パターン決定用の乱数値MR3を示す数値データなどを保留データとして記憶する特図保留記憶部と(【0109】、【0110】)、
c 前記特図保留記憶部に保留データが記憶されると、この保留データに関連付けられた保留番号に対応する表示位置に保留表示図柄を表示する、画像表示装置5の画面上の始動入賞記憶表示エリア5Hと(【0027】、【0109】、【0110】)、
d 特図ゲームの実行が開始されるときに、保留表示図柄をシフトする、画像表示装置5の画面上の可変表示対象保留記憶エリア5Fと(【0027】)、
e 保留変化態様が、1変動目(1回目の可変表示)にキャラクタ(5CH)を表示して、2変動目(2回目の可変表示)にて当該キャラクタ(5CH)が前記保留表示図柄の態様を変更するといった態様のように、複数の可変表示に亘って行われる保留表示予告を実行する演出制御用CPU120と(【0064】【0234】)
を備えた、パチンコ遊技機1。」

イ 本願の出願前に頒布された刊行物である特開2015-61581号公報(以下「引用文献2」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。

「【0015】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機1の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機1を正面からみた正面図である。」

「【0350】
すると、始動入賞にもとづいて、合算保留記憶表示部18cに3つ目の保留表示(予告対象)が通常態様(本例では「○」)で表示される(図44(B))。そして、変動表示が停止して、はずれ図柄の導出表示が行われると(図44(C))、アクティブ保留表示および保留表示がシフトされるとともに、新たな変動表示が開始される。ここで、特殊態様に変化させる変化タイミングであるので、キャラクタAを表示して第1演出態様の作用演出を開始し(図44(D))、予告対象の保留表示をキャラクタAが叩く演出を行い、演出の結果として保留表示の表示態様を特殊態様(本例では「○」に2つの絆創膏が交差して貼られている)に変化させる(図44(E))。なお、この実施の形態では、一旦特殊態様に変化すると、シフトタイミングごとにさらに期待度が高い表示態様に変化するため、保留表示の表示態様が特殊態様に変化した図44(E)の時点で、遊技者は、残りのシフト回数(図44の例では2回)から、最終的に第2特別態様まで変化することがわかる。具体的には、1回目のシフトタイミングで特殊態様から第1特別態様に変化し、2回目のシフトタイミングで第1特別態様から第2特別態様に変化することがわかる。したがって、この実施の形態によれば、いずれの表示態様まで変化するかが示唆されるため、興趣を向上させることができる。」

「【0370】
なお、ここでは、第1演出態様の作用演出(例えば、キャラクタAが表示され、保留表示またはアクティブ保留表示を叩く)と一部の演出が共通する偽作用演出(例えば、キャラクタAが表示され、通過する)を、第1演出態様の偽作用演出といい、第2演出態様の作用演出(例えば、キャラクタBが表示され、保留表示またはアクティブ保留表示を叩く)と一部の演出が共通する偽作用演出を、第2演出態様の偽作用演出(例えば、キャラクタBが表示され、通過する)という。」

「【0372】
図52(B)に示す作用演出態様決定テーブルにおいて特徴的なことは、作用演出態様によって、演出の結果としてアクティブ保留表示の表示態様が変化するか否か、変化する場合にどの表示態様に変化するかの割合が異なるように判定値が設定されていることである。具体的には、作用演出態様が第2演出態様のとき(すなわちキャラクタBが表示されたとき)には、第1演出態様のとき(すなわちキャラクタAが表示されたとき)に比べて、演出の結果としてアクティブ保留表示の表示態様が変化する割合が高くなるように判定値が設定されている。また、作用演出態様が第2演出態様のとき(例えば、キャラクタBが表示され、保留表示またはアクティブ保留表示を叩いたとき)には、第1演出態様のとき(例えば、キャラクタAが表示され、保留表示またはアクティブ保留表示を叩いたとき)に比べて、第2特別態様に変化する割合が高くなるように判定値が設定されている。このような特徴を備えていることによって、作用演出態様によって、アクティブ保留表示が変化する期待度と、どの表示態様に変化するかの期待度とを異ならせることができ、作用演出態様に着目させることができる。」

上記記載事項を総合すれば、引用文献2には以下の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる(g?hについては本願補正発明のG?Hに対応させて付与した。)。

「g キャラクタが表示されて予告対象の保留表示をキャラクタが叩く演出の結果として保留表示の表示態様を変化させる演出と、キャラクタが表示されてアクティブ保留表示をキャラクタが叩く演出の結果としてアクティブ保留表示の表示態様を変化させる演出とを行うことが可能であり、
h キャラクタBが表示されてアクティブ保留表示を叩いたときには、キャラクタAが表示されてアクティブ保留表示を叩いたときに比べて、変化する割合が高くなるように設定されている
パチンコ遊技機1。」

(3)対比・判断
ア 対比
本願補正発明と引用発明1とを対比する。なお、見出し(a)?(g)は、本願補正発明のA?Gに対応させている。

(a)引用発明1のaの「可変表示」及び「パチンコ遊技機1」は、本願補正発明のAの「変動表示」及び「遊技機」に相当する。
また、引用発明1のaの「特別図柄の可変表示結果として予め定められた大当り図柄が導出表示されたときには、可変表示結果が「大当り」となり、遊技者にとって有利な特定遊技状態としての大当り遊技状態に制御される」ことは、本願補正発明のAの「遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な」ことに相当する。
したがって、引用発明1の「a 可変表示を行ない、特別図柄の可変表示結果として予め定められた大当り図柄が導出表示されたときには、可変表示結果が「大当り」となり、遊技者にとって有利な特定遊技状態としての大当り遊技状態に制御されるパチンコ遊技機1」は、本願補正発明の「A 変動表示を行ない、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機」に相当する。

(b)引用発明1のbの「未だ開始されていない特図ゲームの特図表示結果決定用の乱数値MR1や大当り種別決定用の乱数値MR2、変動パターン決定用の乱数値MR3を示す数値データ」、「保留データ」及び「特図保留記憶部」は、本願補正発明のBの「未だ開始されていない変動表示に関する情報」、「保留記憶」及び「保留記憶手段」に相当する。
したがって、引用発明1の「b 未だ開始されていない特図ゲームの特図表示結果決定用の乱数値MR1や大当り種別決定用の乱数値MR2、変動パターン決定用の乱数値MR3を示す数値データなどを保留データとして記憶する特図保留記憶部」は、本願補正発明の「B 未だ開始されていない変動表示に関する情報を保留記憶として記憶する保留記憶手段」に相当する。

(c)引用発明1のcの「前記特図保留記憶部に保留データが記憶されると、この保留データに関連付けられた保留番号に対応する表示位置に」「表示される」「保留表示図柄」及び「画像表示装置5の画面上の始動入賞記憶表示エリア5H」は、本願補正発明のCの「前記保留記憶手段に記憶された保留記憶に対応する保留表示」及び「保留表示手段」に相当する。
したがって、引用発明1の「c 前記特図保留記憶部に保留データが記憶されると、この保留データに関連付けられた保留番号に対応する表示位置に保留表示図柄を表示する、画像表示装置5の画面上の始動入賞記憶表示エリア5H」は、本願補正発明の「C 前記保留記憶手段に記憶された保留記憶に対応する保留表示を表示する保留表示手段」に相当する。

(d)引用発明1の「d 特図ゲームの実行が開始されるときに、保留表示図柄をシフトする、画像表示装置5の画面上の可変表示対象保留記憶エリア5F」は、保留表示図柄に対応する特図ゲームが行われているときに、保留表示図柄を表示するものであることは明らかであるから、本願補正発明の「D 保留記憶に対応する変動表示が行なわれているときに、変動対応表示を表示する変動対応表示手段」に相当する。

(e)引用発明1の「e 保留変化態様が、1変動目(1回目の可変表示)にキャラクタ(5CH)を表示して、2変動目(2回目の可変表示)にて当該キャラクタ(5CH)が保留表示図柄の態様を変更するといった態様のように、複数の可変表示に亘って行われる保留表示予告を実行する演出制御用CPU120」は、保留表示図柄が表示されている複数の可変表示に跨る期間においてキャラクタ(5CH)を継続して表示可能であることは図33に示されるように明らかであるから、本願補正発明の「E 一の保留記憶に対応する保留表示が表示されているときから当該一の保留記憶に対応する変動表示が行なわれているときに跨る期間を含む特定期間において、特定画像を継続して表示可能な特定画像表示手段」とは、「E’一の保留記憶に対応する保留表示が表示されているときに跨る期間を含む特定期間において、特定画像を継続して表示可能な特定画像表示手段」の点で共通する。

(f)引用発明1のeの「演出制御用CPU120」が「保留変化態様が、1変動目(1回目の可変表示)にキャラクタ(5CH)を表示して、2変動目(2回目の可変表示)にて当該キャラクタ(5CH)が保留表示図柄の態様を変更するといった態様のように、複数の可変表示に亘って行われる保留表示予告を実行する」ことは、保留変化態様が、1変動目や2変動目等の複数の可変表示のいずれかのタイミングで保留表示図柄の態様を変更することが可能といえるから、本願補正発明の「F 前記特定画像表示手段は、前記特定期間のうちのいずれかのタイミングで前記特定画像の態様を変化させることが可能であ」ることに相当する。

(g)引用発明1の「e 保留変化態様が、1変動目(1回目の可変表示)にキャラクタ(5CH)を表示して、2変動目(2回目の可変表示)にて当該キャラクタ(5CH)が保留表示図柄の態様を変更するといった態様のように、複数の可変表示に亘って行われる保留表示予告を実行する」ことが、dの「画像表示装置5の画面上の可変表示対象保留記憶エリア5F」に「保留表示図柄をシフト」して「特図ゲームの実行が開始される」前に行われることが可能であることは図33に示されるように明らかであるから、本願補正発明の「G 前記一の保留記憶に対応する変動表示が行われる前に、前記特定画像の態様を変化させるとともに前記一の保留記憶に対応する保留表示図柄の態様を変化させる第1パターンの演出と、前記一の保留記憶に対応する変動表示が行われているときに、前記特定画像の態様を変化させるとともに当該一の保留記憶に対応する変動対応表示の態様を変化させる第2パターンの演出とを選択的に行なうことが可能であ」ることとは、「G’前記一の保留記憶に対応する変動表示が行われる前に、前記特定画像の態様を変化させるとともに前記一の保留記憶に対応する保留表示の態様を変化させる第1パターンの演出を行なうことが可能であ」る点で共通する。

そうすると、両者は、
「A 変動表示を行ない、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
B 未だ開始されていない変動表示に関する情報を保留記憶として記憶する保留記憶手段と、
C 前記保留記憶手段に記憶された保留記憶に対応する保留表示を表示する保留表示手段と、
D 保留記憶に対応する変動表示が行なわれているときに、変動対応表示を表示する変動対応表示手段と、
E’一の保留記憶に対応する保留表示が表示されているときから当該一の保留記憶に対応する変動表示が行なわれているときに跨る期間を含む特定期間の一部において、特定画像を継続して表示可能な特定画像表示手段とを備え、
F 前記特定画像表示手段は、前記特定期間のうちのいずれかのタイミングで前記特定画像の態様を変化させることが可能であり、
G’前記一の保留記憶に対応する変動表示が行われる前に、前記特定画像の態様を変化させるとともに前記一の保留記憶に対応する保留表示の態様を変化させる第1パターンの演出を行なうことが可能であり、
遊技機。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点1)
E’の「特定画像表示手段」が「特定画像を継続して表示可能な」「特定期間」について、「一の保留記憶に対応する保留表示が表示されているときに跨る期間を含む」だけでなく、本願補正発明はEの「当該一の保留記憶に対応する変動表示が行なわれているときに跨る期間を含む」ものであるのに対し、引用発明1はそのようなものか否か明らかでない点。

(相違点2)
「G’前記一の保留記憶に対応する変動表示が行われる前に、前記特定画像の態様を変化させるとともに前記一の保留記憶に対応する保留表示の態様を変化させる第1パターンの演出を行なうことが可能であ」るだけでなく、本願補正発明はGの「前記一の保留記憶に対応する変動表示が行われているときに、前記特定画像の態様を変化させるとともに当該一の保留記憶に対応する変動対応表示の態様を変化させる第2パターンの演出とを選択的に行なうことが可能であ」るのに対し、引用発明1はそのようなものか否か明らかでない点。

(相違点3)
本願補正発明は「H 前記特定画像の種類が第1の種類のときと第2の種類のときとで、前記第2パターンの演出が行われる割合が異なる」のに対し、引用発明1はそのようなものか否か明らかでない点。

イ 判断
以下、上記相違点について検討するが、事案に鑑み、まず、相違点2及び3から検討する。
(相違点2及び3について)
上記(2)イに記載した引用発明2のgの「保留表示」及び「アクティブ保留表示」は、本願補正発明のGの「保留表示」及び「変動対応表示」に相当する。
そして、引用発明2のgの「予告対象の保留表示をキャラクタが叩く演出の結果として保留表示の表示態様を変化させる演出」は、本願補正発明のGの「前記特定画像の態様を変化させるとともに前記一の保留記憶に対応する保留表示の態様を変化させる第1パターンの演出」に相当する。
また、引用発明2の「保留表示の表示態様を変化させる演出」は、当該「保留表示」が「アクティブ保留表示」となる前に行われるから、当該「保留表示」に対応する変動表示が行われる前に行われるといえる。
そのうえ、引用発明2のgの「キャラクタが表示されて予告対象の保留表示をキャラクタが叩く演出の結果として保留表示の表示態様を変化させる演出と、キャラクタが表示されてアクティブ保留表示をキャラクタが叩く演出の結果としてアクティブ保留表示の表示態様を変化させる演出と」が選択的に行われることも明らかである。
したがって、引用発明2の「g キャラクタが表示されて予告対象の保留表示をキャラクタが叩く演出の結果として保留表示の表示態様を変化させる演出と、キャラクタが表示されてアクティブ保留表示をキャラクタ叩く演出の結果としてアクティブ保留表示の表示態様を変化させる演出とを行うことが可能であ」ることは、本願補正発明の「G 前記一の保留記憶に対応する変動表示が行われる前に、前記特定画像の態様を変化させるとともに前記一の保留記憶に対応する保留表示の態様を変化させる第1パターンの演出と、前記一の保留記憶に対応する変動表示が行われているときに、前記特定画像の態様を変化させるとともに当該一の保留記憶に対応する変動対応表示の態様を変化させる第2パターンの演出とを選択的に行なうことが可能であ」ることに相当する。
さらに、引用発明2のhの「キャラクタA」及び「キャラクタB」は、本願補正発明のHの「前記特定画像の種類が第1の種類のとき」及び「前記特定画像の種類が」「第2の種類のとき」に相当する。
また、引用発明2のhの「キャラクタ」が「アクティブ保留表示を叩いたときに」「変化する」ことは、本願補正発明のHの「前記第2パターンの演出が行われる」ことに相当する。
したがって、引用発明2の「h キャラクタBが表示されアクティブ保留表示を叩いたときには、キャラクタAが表示されアクティブ保留表示を叩いたときに比べて、変化する割合が高くなるように設定されている」ことは、本願補正発明の「H 前記特定画像の種類が第1の種類のときと第2の種類のときとで、前記第2パターンの演出が行われる割合が異なる」ことに相当する。
よって、引用発明2は、相違点2及び3に係る本願補正発明の構成G及びHを備えるといえる。
そして、保留表示に加えてアクティブ保留表示をも表示態様を変化させる演出を行うとともに、キャラクタA、Bによりアクティブ保留表示が変化する割合が異なる引用発明2を、遊技の興趣向上のために、引用発明1の可変表示対象保留記憶エリア5Fの保留表示図柄に適用して、相違点2及び3に係る本願補正発明の構成に想到することに当業者にとって格別の困難性はない。

(相違点1について)
上記(相違点2及び3について)で検討したように、引用発明1に引用発明2を適用して、可変表示対象保留記憶エリア5Fで保留表示図柄の態様を変更するのであれば、引用発明1が「e 保留変化態様が、1変動目(1回目の可変表示)にキャラクタ(5CH)を表示して、2変動目(2回目の可変表示)にて当該キャラクタ(5CH)が保留表示図柄の態様を変更するといった態様のように、複数の可変表示に亘って行われる保留表示予告を実行する」ものであることに鑑みて、キャラクタ(5CH)を表示する期間は、キャラクタ(5CH)が表示される1変動目(1回目の可変表示)に始動入賞記憶表示エリア5Hに保留表示図柄が表示されているときから、保留記憶エリア5Fでキャラクタ(5CH)が保留表示図柄の態様を変更するときに跨がる期間を含む期間とするのが自然であり、そのようにして相違点1に係る本願補正発明の構成に想到することに当業者にとって格別の困難性はない。

そして、本願補正発明の発明の奏する作用効果は、引用発明1及び引用発明2の奏する作用効果から予測できる範囲のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

したがって、本願補正発明は、引用発明1及び引用発明2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(4)請求人の主張について
ア 請求人は、審判請求書において、以下のように主張する。

(ア)引用文献1には、「キャラクタ(5CH)」が「保留表示から変動対応表示へと状態が移行する間で継続的に態様変化の期待を遊技者に抱かせる指標」として機能することは示唆も教示もされいない。

(イ)引用文献1には、本願補正発明の「前記一の保留記憶に対応する変動表示が行われる前に、前記特定画像の態様を変化させるとともに前記一の保留記憶に対応する保留表示の態様を変化させる第1パターンの演出と、前記一の保留記憶に対応する変動表示が行われているときに、前記特定画像の態様を変化させるとともに当該一の保留記憶に対応する変動対応表示の態様を変化させる第2パターンの演出とを選択的に行なうことが可能」であるという構成Gは、記載されていない。

(ウ)上記ア及びイの結果、引用文献1に記載の発明では保留表示の段階にしか態様変化への期待が持てない一方、本願補正発明では、保留表示段階から変動表示段階までを通して態様変化への期待を持てるという作用効果上の相違が生じることになり、また、引用文献2には、同じキャラクタが保留またはアクティブ表示に作用する点の記載があるが、引用文献1と同様に、キャラクタが「保留表示から変動対応表示へと状態が移行する間で継続的に態様変化の期待を遊技者に抱かせる指標」として機能することは示唆も教示もされおらず、以上より、補正後の本願発明は、引用文献1,2からでは、たとえ当業者であったとしても容易に想到し得るものではない旨主張する。

イ しかしながら、上記ア(イ)については、前記(3)の(相違点2及び3について)で検討したように、遊技の興趣向上のために、保留表示に加えてアクティブ保留表示をも表示態様を変化させる演出を行う引用発明2を、引用発明1の可変表示対象保留記憶エリア5Fの保留表示図柄に適用して、本願補正発明の構成Gに想到することに格別の困難性はない。
また、上記ア(ア)については、前記(3)の(相違点1について)で検討したように、引用発明1に引用発明2を適用して、可変表示対象保留記憶エリア5Fで保留表示図柄の態様を変更するのであれば、引用発明1が「e 保留変化態様が、1変動目(1回目の可変表示)にキャラクタ(5CH)を表示して、2変動目(2回目の可変表示)にて当該キャラクタ(5CH)が前記保留表示図柄の態様を変更するといった態様のように、複数の可変表示に亘って行われる保留表示予告を実行する」ものであることに鑑みて、キャラクタ(5CH)を表示する期間は、キャラクタ(5CH)が表示される1変動目(1回目の可変表示)に始動入賞記憶表示エリア5Hに保留表示図柄が表示されているときから、保留記憶エリア5Fでキャラクタ(5CH)が保留表示図柄の態様を変更するときに跨がる期間を含む期間とするのが自然であり、そのようにして相違点1に係る本願補正発明の構成に想到することに当業者にとって格別の困難性はない。
さらに、上記ア(ウ)については、本願補正発明の、保留表示段階から変動表示段階までを通して態様変化への期待を持てるという作用効果は、引用発明1及び引用発明2の奏する作用効果から予測できる範囲のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
よって、請求人の主張は採用できない。

(5)本件補正についてのむすび
以上より、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成29年6月20日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記第2[理由]1の(本件補正前)に記載のとおりのものである。

2 原査定の拒絶理由
原査定の拒絶の理由のうち、請求項1に係るものは、この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に頒布された以下の引用文献に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献1:特開2014-79523号公報
引用文献2:特開2015-61581号公報

3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1の記載事項は、前記第2[理由]2(2)に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本願補正発明の発明特定事項であるGの「前記特定画像の態様を変化させるとともに」「保留表示の態様を変化させる」ことについて、「G 前記一の保留記憶に対応する変動表示が行われる前」に行われる「前記一の保留記憶に対応する」「第1パターンの演出」であるという限定を省くとともに、本願補正発明の発明特定事項であるGの「前記特定画像の態様を変化させる」こと関して、Gの「前記一の保留記憶に対応する変動表示が行われているときに」行われる「当該一の保留記憶に対応する」「第2パターンの演出」であるという限定を省いて、それらを「選択的に行うことが可能である」との限定を省いたものである。
なお、本願発明は、本願補正発明の発明特定事項である「前記特定画像の種類が第1の種類のときと第2の種類のときとで」「割合が異なる」対象について、Hの「前記第2パターンの演出が行われる」ことを「変動対応表示の態様を変化させる」こととしたものであるが、これは、上記Gに係る限定、すなわち、Gの「前記特定画像の態様を変化させる」こと関して、Gの「当該一の保留記憶に対応する」「第2パターンの演出」であるという限定を省いたものとの整合を採るものに過ぎず、実質的に技術的範囲を変更するものではない。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本願補正発明が、前記第2[理由]2(3)に記載したとおり、引用発明1及び引用発明2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明1及び引用発明2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-07-11 
結審通知日 2018-07-17 
審決日 2018-07-30 
出願番号 特願2015-104758(P2015-104758)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 下村 輝秋  
特許庁審判長 瀬津 太朗
特許庁審判官 藤田 年彦
川崎 優
発明の名称 遊技機  
代理人 特許業務法人深見特許事務所  
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