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審決分類 |
審判 査定不服 特29条の2 取り消して特許、登録 G06F 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F |
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管理番号 | 1344682 |
審判番号 | 不服2017-5081 |
総通号数 | 227 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2018-11-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-04-10 |
確定日 | 2018-10-23 |
事件の表示 | 特願2015-534951「マルチクライアント・アーキテクチャでのデータ・ログ管理」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 4月10日国際公開、WO2014/053313、平成27年12月10日国内公表、特表2015-535372、請求項の数(14)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、2013年9月17日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2012年10月4日、インド)を国際出願日とする出願であって、平成28年3月23日付けで拒絶理由通知がされ、平成28年8月25日付けで手続補正がされ、平成28年12月6日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成29年4月10日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ、その後、平成29年12月27日付けで当審より拒絶理由が通知され、平成30年7月9日付けで手続補正がされたものである。 第2 原査定の概要 原査定(平成28年12月6日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 理由1 本願請求項1-17に係る発明は、以下の引用文献A-Kに基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 A.特開2006-041764号公報 B.特開2010-244137号公報 C.特開2007-241540号公報 D.国際公開第2012/025994号 E.特開2004-038313号公報 F.特開2010-218313号公報 G.特開2003-015912号公報 H.特開平04-149749号公報 I.特開平08-069395号公報 J.特開2008-041041号公報 K.特開平08-147194号公報 第3 当審拒絶理由の概要 当審拒絶理由の概要は次のとおりである。 理由1(拡大先願)について 本願請求項1-3、6、10-12、15-16に係る発明は、その出願の日前の特許出願であって、その出願後に特許掲載公報の発行又は国際公開がされた下記の先願1の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない(同法第184条の13参照)。 先願1.PCT/JP2011/007014(特願2013-548958号)(国際公開第2013/088477号、再公表特許第2013/088477号公報参照) 第4 本願発明 本願請求項1-14に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明14」という。)は、平成30年7月9日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-14に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。 「 【請求項1】 データ・ログを格納するために複数のパーティションへとデータベースを区分するステップであって、前記複数のパーティションは、複数のエンティティの間で割り当てられ、前記複数のエンティティのうちの各エンティティは、前記複数のパーティションのうちの少なくとも1つのパーティションを割り当てられるステップと、 前記複数のエンティティのうちのあるエンティティに関連する消去パラメータを識別するステップであって、前記あるエンティティは、アプリケーションまたはユーザを少なくとも含み、前記消去パラメータは、前記あるエンティティの各データ・ログに割り当てられる重要度の情報を少なくとも含み、前記重要度の情報は第1のスコアおよび前記第1のスコアを下回る第2のスコアを備え、前記消去パラメータは、前記データベースに格納された前記あるエンティティのデータ・ログの中から、消去されるべきデータ・ログを選択する基準を示し、しきい値を上回る場合には、データ・ログには前記第1のスコアが割り当てられ、しきい値を下回る場合には、データ・ログには前記第2のスコアが割り当てられるステップと、 前記消去パラメータに基づいて選択された前記データ・ログを消去するステップと を含み、 前記区分するステップは、前記複数のエンティティのそれぞれに関連する区分パラメータに基づいており、 前記区分パラメータは、前記複数のエンティティのそれぞれに割り当てられたパーティションのサイズを規定する、1つまたは複数のプロセッサが実行する、データ・ログ管理のための方法。」 本願発明2-8は、本願発明1を減縮した発明である。 本願発明9は、本願発明1に対応する、カテゴリ表現が異なる「システム」の発明である。 本願発明10-12は、本願発明9を減縮した発明である。 本願発明13は、本願発明1に対応する、カテゴリ表現が異なる「コンピュータ可読媒体」の発明である。 本願発明14は、本願発明13を減縮した発明である。 第5 当審拒絶理由の理由1(拡大先願)について 1.先願1及び先願発明 当審拒絶理由に引用した先願1には、図面とともに、以下の記載がある(下線は、特に着目した箇所を示す。以下同様。)。 (1) 段落【0001】-【0003】 「【技術分野】 【0001】 本発明は、計算機システムの状態、性能を監視する装置において、監視した結果得られる計測データの削除技術に関わる。 【背景技術】 【0002】 監視システムは、情報システムが適正な性能で情報処理していることを監視する。監視システムは、監視対象の計算機システムを構成するコンポーネント(計算機、オペレーティングシステムおよびアプリケーション等)から性能情報を収集する。監視システムは、収集した性能情報を分析し、情報システムの性能が適正か否か判定する。 【0003】 監視システムが収集する性能情報のデータ量は膨大な大きさになる。これは、監視対象の計算機システムが多数のコンポーネントから構成されること、監視対象システムから性能情報を収集する間隔が分オーダーと短いこと、による。千台超の計算機からなる大規模な計算機システムを監視する監視システムでは、1日あたりの性能情報のデータ量は数十GBに達することもある。」 (2) 段落【0019】 「【0019】 図3は、詳細データテーブル0200の構成を示す。この詳細データテーブル0200には、監視プログラム0110が、監視対象計算機0130上で動作するOS、アプリケーションおよび監視エージェントプログラムから取得した性能情報が格納される。監視プログラム0110は、定期的、あるいは、管理者からの要求に応じて、監視対象計算機0130上で動作するOS、アプリケーション、あるいは、監視エージェントプログラムから性能情報を取得し、取得した性能情報を詳細データテーブル0200に格納する。詳細データテーブル0200は、監視対象計算機0130が所属するシステムを表す情報が格納されるシステム欄0201と、性能情報が記録された時刻が格納される計測時刻欄が0202と、性能計測の対象を示す情報が格納される計測対象欄0203、計測した監視項目を表すメトリックが格納されるメトリック欄0204と、計測値が格納される計測値欄0205とから構成される。」 (3) 段落【0024】-【0025】 「【0024】 図6は、設定テーブル0500の構成を示す。この設定テーブル0500には、管理計算機0100が、詳細データを残す期間を決定する上での基準となる、様々な設定内容が格納される。具体的に、設定テーブル0500には、保護期間(発生したイベントの前後どれくらいの期間分の詳細データを残すか)に関する情報が格納される。保護期間は、システムごと、イベント種別ごとに設定される。設定プログラム0113は、管理者からの設定入力を受領し、その内容を設定テーブル0500へ格納する。 【0025】 設定テーブル0500は、設定の対象システムを示す情報が格納されるシステム欄0501と、設定の対象イベント種別を示すイベントIDが格納されるイベントID欄0502と、イベント発生時刻の前後期間を示す保護期間が格納される保護期間欄0503と、詳細データの削除されにくさを示す優先度が格納される優先度欄0504とからなる。また、設定テーブル0500には、見極め期間が格納される見極め期間欄0505が設けられている。見極め期間は、イベント発生後、管理者が、そのイベント前後の詳細データを参照する可能性が高い期間である。イベント発生後、見極め期間の経過後であれば、イベント発生前後の詳細データを参照される可能性が下がる期間と言い換えてもよい。」 (4) 段落【0033】 「【0033】 図10は、クォータテーブル0900の構成を示す。クォータテーブル0900には、システムごとの詳細データのデータサイズの上限(以下、これをクォータと呼ぶ)が格納される。クォータは、各月で1GB未満、通年で5GB未満のように、期間ごとに定められてもよい。図10は、このようにクォータを期間ごとに定める場合のクォータテーブル0900の構成例である。このクォータテーブル0900は、システムを表す情報が格納されるシステム欄0901と、期間を表す期間欄0902と、その期間について定められたクォータが格納されるクォータ欄0903とから構成される。」 (5) 段落【0039】-【0051】 「【0039】 次に、詳細データ削除プログラム0112により実行される第1の詳細データ削除処理について説明する。 【0040】 詳細データ削除プログラム0112は、当該システムの見極め期間を設定する。見極め期間とは、以下の2つの時刻((A)および(B)の時刻)の間の時間である。 (A)現在時刻 (B)見極め期間にあるイベントの中で、最も過去に発生したイベントの発生時間 【0041】 見極め期間にあるイベントとは、イベント発生後の経過時間が、設定テーブル0500の見極め期間欄0505に格納された見極め期間以内であるイベントのことである。 【0042】 見極め期間にあるイベントが一つもない場合、詳細データ削除プログラム0112は、所与の期間(例えば、1週間)を見極め期間とする。 【0043】 (S1101) 詳細データ削除プログラム0112は、イベントテーブル0400を参照して、当該システムで発生した全イベントを取得する。次に、各イベントID欄0402に格納されたこれらのイベントのイベントIDをもとに、設定テーブル0500の対応する見極め期間欄0505を参照して、イベントごとの見極め期間を取得する。 【0044】 (S1102) 詳細データ削除プログラム0112は、当該システムの保護なし期間を求める。保護なし期間とは、詳細データが削除処理から保護されていない期間であり、具体的には、見極め期間でも保護期間でもない期間である。詳細データ削除プログラム0112は、保護期間テーブル0600を参照して、当該システム保護期間一覧を取得する。詳細データ削除プログラム0112は、これらの保護期間と、S1101で求めた見極め期間を除く期間を保護なし期間とする。 【0045】 (S1103) 詳細データ削除プログラム0112は、保護なし期間の詳細データを詳細データテーブル0200から削除する。 【0046】 (S1104) 詳細データ削除プログラム0112は、詳細データ削除後のデータ量が、クォータテーブル0900に格納されたクォータを超過しているかチェックする。クォータ違反している場合にはステップS1105へ進み、違反していなければ終了する。 【0047】 詳細データ削除プログラム0112は、ステップS1105およびステップS1106で、クォータ違反が解消するまで、保護期間の詳細データを削除する。 【0048】 (S1105) 詳細データ削除プログラム0112は、削除対象の保護期間を決定するために、保護期間の順位付けを行う。具体的には、詳細データ削除プログラム0112は、保護期間テーブル0600を参照し、当該システムにおける保護期間を取得し、その順位付けをする。順位付けは、例えば、まず優先度欄0604に格納された優先度に基づいてソートし、次に、同一優先度のイベントを発生時刻順にソートする。つまり、優先度が低いほど、古いイベントの保護期間ほど削除されやすくする。 【0049】 (S1106) 詳細データ削除プログラム0112は、ステップS1105でソートした保護期間を、クォータを満たすまで下位から順に削除する。詳細データ削除プログラム0112は、詳細データテーブル0200上の情報を削除すると同時に、保護期間テーブル0600上の該当する保護期間も削除する。 【0050】 管理者が後日参照する詳細データの期間には、次の(A)?(D)の特性があると考えられる。 (A)情報処理システムに、性能障害や構成変更などのイベントが発生した前後の期間は、他の期間に比べて参照可能性が高い (B)重大なイベントほど参照可能性が高い (C)イベント発生してからの時間経過が少ないほど参照可能性が高い (D)イベント発生時間を中心時間として、中心時間に近い期間ほど参照可能性が高い 【0051】 本実施の形態による管理計算機0100は、上記の特性に該当する期間の詳細データを残し、それ以外を削除する。これにより、管理者が参照する可能性の高い詳細データを残しつつ、詳細データのデータ量を削減できる。」 よって、上記各記載事項を関連図面と技術常識に照らし、下線部に着目すれば、先願1には次の発明(以下、「先願発明」という。)が記載されているといえる。 「監視対象の計算機システムを構成するコンポーネント(計算機、オペレーティングシステムおよびアプリケーション等)から性能情報を収集し、収集した性能情報を分析し、情報システムの性能が適正か否か判定する、監視システムにおける方法であって、 詳細データテーブル0200には、監視プログラム0110が、監視対象計算機0130上で動作するOS、アプリケーションおよび監視エージェントプログラムから取得した性能情報が格納され、 詳細データテーブル0200は、 監視対象計算機0130が所属するシステムを表す情報が格納されるシステム欄0201と、 性能情報が記録された時刻が格納される計測時刻欄0202と、 性能計測の対象を示す情報が格納される計測対象欄0203と、 計測した監視項目を表すメトリックが格納されるメトリック欄0204と、 計測値が格納される計測値欄0205とから構成され、 設定テーブル0500には、管理計算機0100が、詳細データを残す期間を決定する上での基準となる、様々な設定内容が格納され、具体的に、設定テーブル0500には、保護期間(発生したイベントの前後どれくらいの期間分の詳細データを残すか)に関する情報が格納され、保護期間は、システムごと、イベント種別ごとに設定され、設定プログラム0113は、管理者からの設定入力を受領し、その内容を設定テーブル0500へ格納し、 設定テーブル0500は、 設定の対象システムを示す情報が格納されるシステム欄0501と、 設定の対象イベント種別を示すイベントIDが格納されるイベントID欄0502と、 イベント発生時刻の前後期間を示す保護期間が格納される保護期間欄0503と、 詳細データの削除されにくさを示す優先度が格納される優先度欄0504とからなり、 クォータテーブル0900には、システムごとの詳細データのデータサイズの上限(以下、これをクォータと呼ぶ)が格納され、 クォータは、各月で1GB未満、通年で5GB未満のように、期間ごとに定められてもよく、 クォータテーブル0900は、 システムを表す情報が格納されるシステム欄0901と、 期間を表す期間欄0902と、 その期間について定められたクォータが格納されるクォータ欄0903とから構成され、 詳細データ削除プログラム0112により実行される詳細データ削除処理において、 ステップS1101では、設定テーブル0500の対応する見極め期間欄0505を参照して、イベントごとの見極め期間を取得し、 ステップS1102では、詳細データ削除プログラム0112は、保護期間と、S1101で求めた見極め期間を除く期間を保護なし期間とし、 ステップS1103では、詳細データ削除プログラム0112は、保護なし期間の詳細データを詳細データテーブル0200から削除し、 ステップS1104では、詳細データ削除プログラム0112は、詳細データ削除後のデータ量が、クォータテーブル0900に格納されたクォータを超過しているかチェックし、クォータ違反している場合にはステップS1105へ進み、 ステップS1105では、詳細データ削除プログラム0112は、削除対象の保護期間を決定するために、保護期間の順位付けを行い、具体的には、詳細データ削除プログラム0112は、保護期間テーブル0600を参照し、当該システムにおける保護期間を取得し、その順位付けをし、順位付けは、例えば、まず優先度欄に格納された優先度に基づいてソートし、次に、同一優先度のイベントを発生時刻順にソートし、つまり、優先度が低いほど、古いイベントの保護期間ほど削除されやすくし、 ステップS1106では、詳細データ削除プログラム0112は、ステップS1105でソートした保護期間を、クォータを満たすまで下位から順に削除する、 方法。」 2.対比・判断 本願請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)と先願発明とを対比すると、次のことがいえる。 (1) 先願発明の「システム欄0201」、「計測時刻欄0202」、「計測対象欄0203」、「メトリック欄0204」、「計測値が格納される計測値欄0205」からなる「詳細データ」を格納する「詳細データテーブル0200」は、本願発明1の「データ・ログ」を格納する「データベース」に相当する。 先願発明の「監視対象の計算機システムを構成するコンポーネント(計算機、オペレーティングシステムおよびアプリケーション等)」は、本願発明1の「アプリケーションまたはユーザを少なくとも含」む、「複数のエンティティ」に相当する。 よって、先願発明の「詳細データテーブル0200」において、「システムごとの詳細データのデータサイズの上限(以下、これをクォータと呼ぶ)」が割り当てられていることは、本願発明1の「データ・ログを格納するために複数のパーティションへとデータベースを区分するステップであって、前記複数のパーティションは、複数のエンティティの間で割り当てられ、前記複数のエンティティのうちの各エンティティは、前記複数のパーティションのうちの少なくとも1つのパーティションを割り当てられるステップ」に相当する。 (2) 先願発明の「詳細データの削除されにくさを示す優先度」は、本願発明1の「各データ・ログに割り当てられる重要度の情報を少なくとも含み」、「消去されるべきデータ・ログを選択する基準を示す」、「消去パラメータ」に相当する。 よって、先願発明の「詳細データ削除プログラム0112は、削除対象の保護期間を決定するために、保護期間の順位付けを行い、具体的には、詳細データ削除プログラム0112は、保護期間テーブル0600を参照し、当該システムにおける保護期間を取得し、その順位付けをし、順位付けは、例えば、まず優先度欄に格納された優先度に基づいてソートし、次に、同一優先度のイベントを発生時刻順にソートし、つまり、優先度が低いほど、古いイベントの保護期間ほど削除されやすく」する「ステップS1105」は、本願発明1の「前記複数のエンティティのうちのあるエンティティに関連する消去パラメータを識別するステップであって、前記あるエンティティは、アプリケーションまたはユーザを少なくとも含み、前記消去パラメータは、前記あるエンティティの各データ・ログに割り当てられる重要度の情報を少なくとも含み、前記重要度の情報は第1のスコアおよび前記第1のスコアを下回る第2のスコアを備え、前記消去パラメータは、前記データベースに格納された前記あるエンティティのデータ・ログの中から、消去されるべきデータ・ログを選択する基準を示し、しきい値を上回る場合には、データ・ログには前記第1のスコアが割り当てられ、しきい値を下回る場合には、データ・ログには前記第2のスコアが割り当てられるステップ」と、「前記複数のエンティティのうちのあるエンティティに関連する消去パラメータを識別するステップであって、前記あるエンティティは、アプリケーションまたはユーザを少なくとも含み、前記消去パラメータは、前記あるエンティティの各データ・ログに割り当てられる重要度の情報を少なくとも含み、前記消去パラメータは、前記データベースに格納された前記あるエンティティのデータ・ログの中から、消去されるべきデータ・ログを選択する基準を示すステップ」である点で共通するといえる。 (3) 先願発明の「ステップS1105でソートした保護期間を、クォータを満たすまで下位から順に削除する」「ステップS1106」は、本願発明1の「前記消去パラメータに基づいて選択された前記データ・ログを消去するステップ」に対応する。 (4) 先願発明の「クォータ」は、システムごとの詳細データのデータサイズの上限であるから、本願発明1の「パーティションのサイズを規定する」、「区分パラメータ」に相当する。 よって、先願発明の「詳細データテーブル0200」において、「システムごとの詳細データのデータサイズの上限(以下、これをクォータと呼ぶ)」が割当てられていることは、「前記区分するステップは、前記複数のエンティティのそれぞれに関連する区分パラメータに基づいており、前記区分パラメータは、前記複数のエンティティのそれぞれに割り当てられたパーティションのサイズを規定する」ことに相当する。 (5) 先願発明の「詳細データ削除プログラム0112により実行される詳細データ削除処理」を行う「方法」は、本願発明1の「1つまたは複数のプロセッサが実行する、データ・ログ管理のための方法」に対応する。 したがって、本願発明1と先願発明との一致点・相違点は次のとおりであるといえる。 [一致点] 「データ・ログを格納するために複数のパーティションへとデータベースを区分するステップであって、前記複数のパーティションは、複数のエンティティの間で割り当てられ、前記複数のエンティティのうちの各エンティティは、前記複数のパーティションのうちの少なくとも1つのパーティションを割り当てられるステップと、 前記複数のエンティティのうちのあるエンティティに関連する消去パラメータを識別するステップであって、前記あるエンティティは、アプリケーションまたはユーザを少なくとも含み、前記消去パラメータは、前記あるエンティティの各データ・ログに割り当てられる重要度の情報を少なくとも含み、前記消去パラメータは、前記データベースに格納された前記あるエンティティのデータ・ログの中から、消去されるべきデータ・ログを選択する基準を示す、ステップと、 前記消去パラメータに基づいて選択された前記データ・ログを消去するステップと を含み、 前記区分するステップは、前記複数のエンティティのそれぞれに関連する区分パラメータに基づいており、 前記区分パラメータは、前記複数のエンティティのそれぞれに割り当てられたパーティションのサイズを規定する、1つまたは複数のプロセッサが実行する、データ・ログ管理のための方法。」 [相違点1] 本願発明1では、「前記複数のエンティティのうちのあるエンティティに関連する消去パラメータを識別するステップであって、前記あるエンティティは、アプリケーションまたはユーザを少なくとも含み、前記消去パラメータは、前記あるエンティティの各データ・ログに割り当てられる重要度の情報を少なくとも含み、前記重要度の情報は第1のスコアおよび前記第1のスコアを下回る第2のスコアを備え、前記消去パラメータは、前記データベースに格納された前記あるエンティティのデータ・ログの中から、消去されるべきデータ・ログを選択する基準を示し、しきい値を上回る場合には、データ・ログには前記第1のスコアが割り当てられ、しきい値を下回る場合には、データ・ログには前記第2のスコアが割り当てられるステップ」を備えるのに対して、先願発明1の「詳細データの削除されにくさを示す優先度」は、「管理者からの設定入力」操作によって設定された「システム」と「イベント種別」ごとに定められる値であって、「第1のスコア」と「第2のスコア」を備え、「しきい値を上回る場合には、データ・ログには前記第1のスコアが割り当てられ、しきい値を下回る場合には、データ・ログには前記第2のスコアが割り当てられる」ものではない点。 3.当審の判断 [相違点1]について 本願発明1と先願発明とは、上記[相違点1]を有するので、同一であるということはできず、[相違点1]に係る構成が、課題解決のための具体的手段における微差ということもできないので、本願発明1と先願発明とは、実質同一であるということもできない。 (2) 請求項2-14について 本願発明2-14も、本願発明1の上記[相違点1]に係る、「消去パラメータ」に関して「前記複数のエンティティのうちのあるエンティティに関連する消去パラメータを識別するステップであって、前記あるエンティティは、アプリケーションまたはユーザを少なくとも含み、前記消去パラメータは、前記あるエンティティの各データ・ログに割り当てられる重要度の情報を少なくとも含み、前記重要度の情報は第1のスコアおよび前記第1のスコアを下回る第2のスコアを備え、前記消去パラメータは、前記データベースに格納された前記あるエンティティのデータ・ログの中から、消去されるべきデータ・ログを選択する基準を示し、しきい値を上回る場合には、データ・ログには前記第1のスコアが割り当てられ、しきい値を下回る場合には、データ・ログには前記第2のスコアが割り当てられるステップ」と実質的に同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、先願発明と同一ではない。 第6 原査定についての判断 平成30年7月9日付けの補正により、補正後の請求項1-14は、「消去パラメータ」に関して「前記複数のエンティティのうちのあるエンティティに関連する消去パラメータを識別するステップであって、前記あるエンティティは、アプリケーションまたはユーザを少なくとも含み、前記消去パラメータは、前記あるエンティティの各データ・ログに割り当てられる重要度の情報を少なくとも含み、前記重要度の情報は第1のスコアおよび前記第1のスコアを下回る第2のスコアを備え、前記消去パラメータは、前記データベースに格納された前記あるエンティティのデータ・ログの中から、消去されるべきデータ・ログを選択する基準を示し、しきい値を上回る場合には、データ・ログには前記第1のスコアが割り当てられ、しきい値を下回る場合には、データ・ログには前記第2のスコアが割り当てられるステップ」という技術事項を実質的に有するものとなった。当該技術的事項は、原査定における引用文献A-Kには記載されておらず、本願優先日前における周知技術でもないので、本願発明1-14は、原査定における引用文献A-Kに基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。 第7 むすび 以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。 他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2018-10-09 |
出願番号 | 特願2015-534951(P2015-534951) |
審決分類 |
P
1
8・
16-
WY
(G06F)
P 1 8・ 121- WY (G06F) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 古河 雅輝 |
特許庁審判長 |
▲吉▼田 耕一 |
特許庁審判官 |
稲葉 和生 山田 正文 |
発明の名称 | マルチクライアント・アーキテクチャでのデータ・ログ管理 |
代理人 | 吉澤 弘司 |
代理人 | 岡部 讓 |