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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1344725
審判番号 不服2017-17503  
総通号数 227 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-11-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-11-27 
確定日 2018-10-04 
事件の表示 特願2016-52270号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成28年6月16日出願公開、特開2016-105908号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯の概要
本願は、平成24年7月30日に出願した特願2012-168624号の一部を平成28年3月16日に新たな特許出願(特願2016-52270号)としたものであって、平成29年2月23日付けで拒絶の理由が通知され、同年4月26日に意見書及び手続補正書が提出され、同年5月30日付けで最後の拒絶の理由が通知され、同年8月4日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年8月25日付けで、同年8月4日にされた手続補正が却下されるとともに拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、それに対して、同年11月27日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。

第2 平成29年11月27日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成29年11月27日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲の補正を含んでおり、本件補正により、平成29年4月26日にされた手続補正書における特許請求の範囲の請求項1の
「【請求項1】
始動口へ入球したことを契機に当り抽選を行う当り抽選手段と、
前記当り抽選に当選した場合に生起される当り遊技において、遊技盤の右方領域に配置された特別入賞手段の開放及び閉鎖を制御する開閉制御手段と、
遊技機への電源供給の遮断時における遊技状態を記憶保持可能な記憶保持手段と、
遊技機への電源供給が再開されたことに伴い、前記記憶保持手段に記憶保持されている遊技状態に復帰させる復帰手段と、
実行情報を生成する実行情報生成手段と、
遊技球の発射に関する報知を制御する報知制御手段と、
画像を表示する表示手段と、を備え、
前記実行情報には、第1実行情報と、前記第1実行情報とは異なる第2実行情報と、があり、
前記実行情報生成手段は、前記当り遊技の生起中である場合には前記第1実行情報を生成する一方、前記復帰手段により復帰されたときが前記当り遊技の生起中である場合には前記第2実行情報を生成し、
前記第1実行情報が生成され、前記報知が行われたときの前記表示手段の表示内容は、前記第2実行情報が生成され、前記報知が行われたときの前記表示手段の表示内容と異なる一方、
前記第1実行情報が生成された場合の前記報知、及び、前記第2実行情報が生成された場合の前記報知の何れにおいても、遊技盤の右方領域への遊技球の発射が促されることを特徴とする遊技機。」は、

審判請求時に提出された手続補正書(平成29年11月27日付け)における
「【請求項1】
始動口へ入球したことを契機に当り抽選を行う当り抽選手段と、
前記当り抽選に当選した場合に生起される当り遊技において、遊技盤の右方領域に配置された特別入賞手段の開放及び閉鎖を制御する開閉制御手段と、
遊技機への電源供給の遮断時における遊技状態を記憶保持可能な記憶保持手段と、
遊技機への電源供給が再開されたことに伴い、前記記憶保持手段に記憶保持されている遊技状態に復帰させる復帰手段と、
実行情報を生成する実行情報生成手段と、
遊技球の発射に関する報知を制御する報知制御手段と、
画像を表示する表示手段と、を備え、
前記実行情報には、第1実行情報と、前記第1実行情報とは異なる第2実行情報と、があり、
前記実行情報生成手段は、前記当り遊技の生起中である場合には前記第1実行情報を生成する一方、前記復帰手段により復帰されたときが前記当り遊技の生起中である場合には前記第2実行情報を生成し、
前記第1実行情報が生成され、前記報知が行われた場合の前記表示手段の表示内容は、前記第2実行情報が生成され、前記報知が行われた場合の前記表示手段の表示内容と異なる一方、
前記第1実行情報が生成された場合の前記報知、及び、前記第2実行情報が生成された場合の前記報知の何れにおいても、遊技盤の右方領域への遊技球の発射が促され、
前記第1実行情報が生成された場合の前記報知と、前記第2実行情報が生成された場合の前記報知と、の報知態様は同一であり、
前記第2実行情報が生成された場合に前記報知が行われる前記表示手段の表示領域は、前記第1実行情報が生成された場合に前記報知が行われる前記表示手段の表示領域に比して、広いことを特徴とする遊技機。」に補正された(下線は、補正箇所を明示するために審決にて付した。)。

2 補正の適否
本件補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「第1実行情報が生成された場合の報知」、「第2実行情報が生成された場合の報知」に関して、
「前記第1実行情報が生成された場合の前記報知と、前記第2実行情報が生成された場合の前記報知と、の報知態様は同一であ」ると限定すると共に、
「前記第2実行情報が生成された場合に前記報知が行われる前記表示手段の表示領域は、前記第1実行情報が生成された場合に前記報知が行われる前記表示手段の表示領域に比して、広い」と限定することを含むものである。

そして、補正後の請求項1に係る発明は、補正前の請求項1に係る発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正のうち特許請求の範囲の請求項1についてする補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。
また、本件補正は、願書に最初に添付した明細書の【0175】、【0320】、特許請求の範囲又は【図7】等の記載からみて、新規事項を追加するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。

3 独立特許要件
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否かについて、以下に検討する。

(1)本件補正発明
本件補正発明は、次のとおりのものであると認める(記号A?Mは、分説するため審決にて付した。)。
「A 始動口へ入球したことを契機に当り抽選を行う当り抽選手段と、
B 前記当り抽選に当選した場合に生起される当り遊技において、遊技盤の右方領域に配置された特別入賞手段の開放及び閉鎖を制御する開閉制御手段と、
C 遊技機への電源供給の遮断時における遊技状態を記憶保持可能な記憶保持手段と、
D 遊技機への電源供給が再開されたことに伴い、前記記憶保持手段に記憶保持されている遊技状態に復帰させる復帰手段と、
E 実行情報を生成する実行情報生成手段と、
F 遊技球の発射に関する報知を制御する報知制御手段と、
G 画像を表示する表示手段と、を備え、
H 前記実行情報には、第1実行情報と、前記第1実行情報とは異なる第2実行情報と、があり、
I 前記実行情報生成手段は、前記当り遊技の生起中である場合には前記第1実行情報を生成する一方、前記復帰手段により復帰されたときが前記当り遊技の生起中である場合には前記第2実行情報を生成し、
J 前記第1実行情報が生成され、前記報知が行われた場合の前記表示手段の表示内容は、前記第2実行情報が生成され、前記報知が行われた場合の前記表示手段の表示内容と異なる一方、
K 前記第1実行情報が生成された場合の前記報知、及び、前記第2実行情報が生成された場合の前記報知の何れにおいても、遊技盤の右方領域への遊技球の発射が促され、
L 前記第1実行情報が生成された場合の前記報知と、前記第2実行情報が生成された場合の前記報知と、の報知態様は同一であり、
M 前記第2実行情報が生成された場合に前記報知が行われる前記表示手段の表示領域は、前記第1実行情報が生成された場合に前記報知が行われる前記表示手段の表示領域に比して、広いことを特徴とする遊技機。」

(2)刊行物
ア 刊行物1
原査定の拒絶の理由に引用された、本件の出願前に頒布された刊行物である特開2012-34893号公報(以下「刊行物1」という。)には、遊技機に関して、図面と共に以下の事項が記載されている(下線は審決にて付した。以下同じ。)。

・記載事項
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機、アレンジボール機等の弾球遊技機に関するものである。」

(イ)「【発明が解決しようとする課題】
・・・
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、電源復帰時に遊技者が適切な発射操作を行うことができ、通常得られるべき利益を確実に獲得することが可能な弾球遊技機を提供することを目的とする。」

(ウ)「【0015】
センターケース16は、例えば遊技盤5の裏側に固定される液晶式等の画像表示手段21に対応して遊技領域15内の略中央に配置されており、遊技盤5の前面側に沿って設けられ且つ固定ねじ等により遊技盤5に固定される前面装着板22と、画像表示手段21の表示画面21aを取り囲む表示枠部23とを一体に備えている。表示枠部23は、例えばその略全体が前面装着板22から前側に突出しており、その内側、即ち画像表示手段21側への遊技球の侵入を阻止するようになっている。即ち、発射手段6により遊技領域15の上部側に打ち込まれた遊技球は、この表示枠部23の上部側で左右に振り分けられ、センターケース16の左側の左流下経路(非特定流下経路)24aと右側の右流下経路(特定流下経路)24bとの何れかを流下する。」

(エ)「【0022】
第1,第2特別図柄表示手段32a,32bは、夫々1個又は複数個、例えば各1個の特別図柄を変動表示可能な7セグメント式等の表示手段により構成されており、第1特別図柄表示手段32aは第1特別図柄始動手段18aが遊技球を検出することを条件に、また第2特別図柄表示手段32bは第2特別図柄始動手段18bが遊技球を検出することを条件に、夫々第1,第2特別図柄を所定時間変動表示して、それら第1,第2特別図柄始動手段18a,18bへの入賞時に取得された大当たり判定乱数値が予め定められた大当たり判定値と一致する場合には所定の大当たり態様で、それ以外の場合には外れ態様で夫々停止するようになっている。」

(オ)「【0031】
発射誘導情報表示手段39は、左流下経路(非特定流下経路)24aを狙って発射する「左打ち」の方が遊技者に有利な左打ち期間(非特定期間)であるか、右流下経路(特定流下経路)24bを狙って発射する「右打ち」の方が遊技者に有利な右打ち期間(特定期間)であるかに関する発射誘導情報を表示するもので、左打ち期間中には「←左へ」等の左打ち誘導情報を、右打ち期間中には「右へ→」等の右打ち誘導情報を画像表示手段21上に表示するように構成されており、遊技状態が変化した場合等に所定期間作動するようになっている。
【0032】
大入賞手段19は、遊技球が入賞可能な開状態と入賞不可能な閉状態とに切り換え可能な開閉板42を備えた開閉入賞手段で、例えばセンターケース16の右側の右流下経路(特定流下経路)24b上で且つ第2特別図柄始動手段18bよりも下流側に配置されており、第1,第2特別図柄表示手段32a,32bの変動後の第1,第2特別図柄が大当たり態様となることに基づいて発生する大当たり状態中に、開閉板42が複数種類の開放パターンの何れかに従って前側に開放して、その上に落下した遊技球を内部へと入賞させると共に、その入賞した遊技球を検出するようになっている。
【0033】
図2は本パチンコ機の制御系のブロック図である。図2において、51は主制御基板、52は演出制御基板で、これら各制御基板51,52は、遊技盤5に装着されたセンターケース16、その他の複数個の遊技部品を裏側から一括して覆う裏カバーの裏側等、内枠4及び遊技盤5を含む遊技機本体1の裏側の適宜箇所に着脱自在に装着された基板ケースに夫々収納されている。
【0034】
主制御基板51は、主に遊技盤5側の遊技動作に関わる制御を行うためのもので、CPU,ROM,RAM等により構成される普通乱数作成処理手段61、普通始動口チェック処理手段62、普通乱数記憶手段63、普通図柄処理手段64、普通利益状態発生手段65、普通図柄表示制御手段66、第1,第2特別乱数作成処理手段71a,71b、第1,第2特別始動口チェック処理手段72a,72b、第1,第2特別乱数記憶手段(乱数記憶手段)73a,73b、第1,第2特別図柄処理手段74a,74b、大当たり状態発生手段75、第1,第2特別図柄表示制御手段76a,76b、特別遊技状態発生手段77、事前判定手段78、制御コマンド送信手段78等を備えている。」

(カ)「【0041】
第1,第2特別始動口チェック処理手段72a,72bは、第1,第2特別図柄始動手段18a,18bへの遊技球の入賞に基づく処理を行うもので、第1,第2特別図柄始動手段18a,18bに遊技球が入賞し、第1,第2特別図柄始動手段18a,18bがその入賞球を検出することに基づいて、第1,第2特別乱数作成処理手段71a,71bで作成された大当たり判定乱数値、大当たり図柄乱数値を1個ずつ取得し、それら大当たり判定乱数値及び大当たり図柄乱数値を予め定められた上限保留個数(例えば各4個)を限度として第1,第2特別乱数記憶手段73a,73bに記憶させるように構成されている。
【0042】
第1,第2特別図柄処理手段74a,74bは、第1,第2特別図柄の変動表示に関する処理を行うもので、第1,第2特別図柄表示手段32a,32bが変動表示可能な状態となり且つ第1,第2特別乱数記憶手段73a,73bに1個以上の大当たり判定乱数値が記憶されていること(第1,第2特別保留個数が1以上であること)を条件に、第1,第2特別乱数記憶手段73a,73bに最も早く記憶された大当たり判定乱数値を取り出し、その大当たり判定乱数値が予め定められた大当たり判定値と一致するか否かに応じて大当たり/外れの判定を行う大当たり判定機能、大当たり/外れの判定結果と、第1,第2特別乱数記憶手段73a,73bに大当たり判定乱数値と共に記憶されている大当たり図柄乱数値とに基づいて、第1,第2特別図柄の変動後の停止図柄を選択する特別停止図柄選択機能、大当たり/外れの判定結果に基づいて、第1,第2特別図柄の変動パターンとして複数種類の特別図柄変動パターンの中から1つを選択する第1,第2変動パターン選択機能等を備えている。」
・・・
【0045】
大当たり状態発生手段75は、遊技者に有利な大当たり状態を発生させるためのもので、第1,第2特別図柄処理手段74a,74bによる大当たり/外れの判定結果が大当たり判定となり、第1,第2特別図柄の変動後の停止図柄が大当たり態様となることに基づいて、大入賞手段19を所定の開放パターンに従って開放する大当たり状態を発生させるように構成されている。大当たり状態における大入賞手段19の開放パターンは例えば複数種類用意されており、大当たり状態毎にそれらのうちの1つが選択されるようになっている。」

(キ)「【0053】
制御コマンド送信手段78は、所定の制御コマンドを一方向通信により演出制御基板52等のサブ制御基板側に送信して制御指令を与えるためのもので、第1,第2特別図柄処理手段74a,74bによる第1,第2特別図柄処理に基づいて、第1,第2演出図柄の変動パターンを指定する変動パターン指定コマンド、第1,第2演出図柄の停止図柄を指定する停止図柄指定コマンド、第1,第2演出図柄の変動停止を指定する変動停止指定コマンド等を演出制御基板52側に送信する機能、第1,第2特別保留個数を指定する第1,第2特別保留個数指定コマンドを演出制御基板52側に送信する機能、遊技状態に応じた遊技状態コマンドを演出制御基板52側に送信する機能等を備えている。
【0054】
ここで、遊技状態コマンドには、停電後などの電源復帰時に送信される後述の電源復帰時状態コマンドと、通常の遊技状態の移行時に送信される通常時状態コマンドとの2種類が設けられている(図5)。通常時状態コマンドには、大当たり状態開始前の例えば図柄変動終了時にその大当たり状態の種類に応じて送信される2R/15R大当たり開始前コマンド、15R大当たり状態の開始時に送信される15R大当たり開始コマンド、大当たり状態の終了時に特別遊技状態の種類に応じて送信される潜伏確変/確変/時短開始コマンド、時短状態の終了時に送信される時短終了コマンド等が設けられている。
【0055】
以上のように構成される主制御基板71にはバックアップ電源79が接続されており、営業終了時や停電等によって主電源が遮断された後も、その直前の遊技制御情報を含むRAM上のデータ(バックアップデータ)は電源遮断後も保持されるようになっている。なお、バックアップ電源79は例えば図示しない電源基板上に設けられている。
【0056】
また電源投入時には、主制御基板71上で、図6に示すようなメイン処理が開始されるようになっている。なお、この「電源投入時」には、遊技ホールの開店時のように、例えば初期化スイッチ(図示省略)がON操作された状態で電源がONになるとき(以下、「電源初期投入時」という)と、停電状態からの復旧時のように、初期化スイッチがOFF状態のままで電源がONになるとき(以下、「電源復帰時」という)とがある。
【0057】
このメイン処理(図6)が開始されると、まず初期設定処理(S1)が行われる。この初期設定処理では、例えばRAMが書き込み禁止に設定され、入出力ポートなどの周辺回路、乱数生成処理手段等の各部が初期状態に設定される。そして、所定の割り込みモードに設定された後、RAMクリア信号の値が確認される(S2)。このRAMクリア信号は、RAMの全領域を初期化するか否かを示す信号で、例えば初期化スイッチのON/OFF状態に対応した値を有している。
【0058】
電源復帰時のようにRAMクリア信号がOFFの場合には(S2:No)、RAMに記憶されているバックアップデータが有効か否かが判定される(S3)。このバックアップデータが有効か否かの判定は、例えば電源が遮断される直前にバックアップデータと共にRAMに保存された誤り検出符号に基づいて、RAMに保存されているデータが電源遮断時のデータと異なっているか否かを判断することにより行われる。
【0059】
バックアップデータが有効であると判定された場合には(S3:Yes)、演出制御基板52等のサブ制御基板に対してバックアップ復帰コマンドが送信される(S4)と共に、遊技復旧処理(S5)が行われ、RAMに記憶されているバックアップデータに基づいて電源遮断前の状態から遊技が再開されると共に、その再開時の遊技状態に応じて演出制御基板52に対して電源復帰時状態コマンドが送信される(S6)。
【0060】
この電源復帰時状態コマンドには、例えば図5に示すように、電源復帰時の各遊技状態に対応して、通常遊技状態中を示す通常遊技状態中コマンド、時短状態中を示す時短状態中コマンド、潜伏確変状態中を示す潜伏確変状態中コマンド、確変状態中を示す確変状態中コマンド、15R大当たり状態中を示す15R大当たり状態中コマンド等が設けられている。」

(ク)「【0065】
発射誘導情報制御手段85は、発射誘導情報の出力制御を行うもので、図7に示す発射誘導情報制御処理を例えば定期割り込み毎に実行することにより、変化後の遊技状態に応じて左打ち誘導情報又は右打ち誘導情報の何れかを出力させるように構成されている。この発射誘導情報制御手段85による発射誘導情報制御処理(図7)では、遊技状態コマンド(電源復帰時状態コマンド又は通常時状態コマンド)(図5)を受信したか否かが判定され(S11)、遊技状態コマンドを受信したと判定された場合には(S11:Yes)、図8に示す発射誘導情報出力開始処理が実行される(S12)。
【0066】
この発射誘導情報出力開始処理(図8)では、受信した遊技状態コマンドの種類が判定され(S21)、受信した遊技状態コマンドが通常時状態コマンドであれば図9に示す通常時開始処理が実行され(S22)、電源復帰時状態コマンドであれば図10に示す電源復帰時開始処理が実行される(S23)。
【0067】
S21において遊技状態コマンドが通常時状態コマンドであると判定された場合に実行される通常時開始処理(図9)では、まず受信した通常時状態コマンドの種類が判定される(S31?S34)。そして、受信した通常時状態コマンドが15R大当たり開始コマンドであれば(S31:Yes)、図13に示すように、右流下経路24bを狙って発射する「右打ち」の方が遊技者に有利な右打ち期間であることを示す右打ち誘導情報(発射誘導情報)の出力が開始され(S35)、また通常時出力中フラグがONに設定され(S36)、通常時出力開始処理は終了する。
【0068】
本実施形態では、通常時状態コマンドを受信した場合の発射誘導情報の出力を、発射誘導情報表示手段39、即ち画像表示手段21の表示画面21aによる画像出力と、音声出力手段81による音声出力とによる2種類の出力態様により行うようになっている。例えばS35においては、図14(a)に示すように発射誘導情報表示手段39に「右へ→」等の右打ち誘導画像が表示されると共に音声出力手段81により右打ちに対応する所定の音声が出力される。15R大当たり開始コマンドが送信されると、その後に15R大当たり状態が開始され、右流下経路24b上にある大入賞手段19が開放されるため、遊技者は右流下経路24b側を狙って「右打ち」を行う方が有利(右打ち期間)となる。」

(ケ)「【0078】
一方、受信した電源復帰時状態コマンドが通常遊技状態中コマンド,潜伏確変状態中コマンド以外、即ち時短状態中コマンド、確変状態中コマンド、15R大当たり状態中コマンドの何れかであれば(S41:No)、右打ち誘導情報(発射誘導情報)の出力が開始され(S44)、また電源復帰時出力中フラグがONに設定され(S43)、電源復帰時出力開始処理は終了する。
【0079】
上述したように、本実施形態では、電源復帰時状態コマンドを受信した場合の発射誘導情報の出力を、発射誘導情報表示手段39による画像出力のみで行っているため、例えばS44においては、発射誘導情報表示手段39に「右へ→」等の右打ち誘導画像が表示される。」

・認定事項
(コ)上記【0053】の記載事項、及び、「パチンコ機の遊技状態とそれに対応する発射誘導情報の種類、遊技者に有利な発射位置、遊技状態コマンドの送信タイミングの対応関係の一例を示す」図である【図13】の図示内容に基づくと、刊行物1には、制御コマンド送信手段78が、ファンファーレの終了後に、15R大当たり開始コマンドを演出制御基板52等のサブ制御基板側に送信して制御指令を与えることが示されていると認める。



上記(ア)?(ケ)の記載事項、上記(コ)の認定事項、及び、図面の図示内容を総合すると、刊行物1には次の発明(以下「刊行物発明」という。)が記載されていると認められる(a?lは、本件補正発明のA?Lに対応させて付与した。)。
「a 第1,第2特別図柄始動手段18a,18bに遊技球が入賞し、入賞球が検出されることに基づいて、大当たり/外れの判定を行う大当たり判定機能(【0041】、【0042】)と、

b 大当たり/外れの判定結果が大当たり判定となることにより、遊技盤5に装着されたセンターケース16の右側の右流下経路(特定流下経路)24b上に配置されている大入賞手段19を、所定の開放パターンに従って開放する大当たり状態を発生させる大当たり状態発生手段75(【0032】、【0033】、【0045】)と、

c 停電によって主電源が遮断された後も、遊技制御情報を含むデータ(バックアップデータ)を保持するRAM(【0055】)と、

d 電源投入時にRAMに記憶されているバックアップデータに基づいて電源遮断前の状態から遊技が再開される遊技復旧処理(S5)を行う主制御基板71(【0056】、【0057】、【0059】)とを備え、

e 主制御基板51は、遊技状態コマンドを含む、所定の制御コマンドを演出制御基板52等のサブ制御基板側に送信して制御指令を与える、制御コマンド送信手段78を備え、主に遊技動作に関わる制御を行い(【0034】、【0053】)と、

f?g 発射誘導情報の出力制御を、発射誘導情報表示手段39、即ち画像表示手段21の表示画面21aによる画像出力により行う発射誘導情報制御手段85(【0065】、【0068】)と、

h 遊技状態コマンドに、通常の遊技状態の移行時に送信される15R大当たり開始コマンドと、停電後などの電源復帰時に送信される、15R大当たり状態中を示す15R大当たり状態中コマンドとが含まれ(【0054】、【0060】)、

i 制御コマンド送信手段78は、ファンファーレの終了後に、15R大当たり開始コマンドを送信し、停電後などの電源復帰時に、15R大当たり状態中を示す15R大当たり状態中コマンドを送信し(【0053】、【0054】、【0060】、認定事項コ)、

j?l 発射誘導情報制御手段85による発射誘導情報制御処理では、
受信した通常時状態コマンドが15R大当たり開始コマンドであれば(S31:Yes)、画像表示手段21の表示画面21aに「右へ→」等を表示する、右打ち誘導情報(発射誘導情報)の出力が開始され(S35)、
受信した電源復帰時状態コマンドが15R大当たり状態中コマンドであれば(S41:No)、発射誘導情報表示手段39である画像表示手段21の表示画面21aに「右へ→」等を表示する、右打ち誘導情報(発射誘導情報)の出力が開始され(S44)(【0067】、【0068】、【0078】、【0079】)る
パチンコ機(【0001】)。」

イ 刊行物2
同じく、原査定の拒絶の理由に引用された、本件の出願前に頒布された刊行物である特開2002-143523号公報(以下「刊行物2」という。)には、遊技機に関して、図面と共に以下の事項が記載されている(下線は審決にて付した。以下同じ。)。

・記載事項
(ア)「【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電源の遮断に際して遊技情報を記憶保持可能な遊技制御装置を備えた遊技機に関し、特に電源が回復した際の復旧表示の仕方の技術に関する。」

(イ)「【0005】
【発明が解決しようとする課題】
・・・
【0012】本発明の他の目的は、停電が発生した時の遊技状態に応じて、停電復旧時の表示を適切に行い遊技機に対する信頼性を向上させることにある。」

(ウ)「【0076】図7(c)では、大当りを発生する図柄で停止したときに停電が発生し、復旧した図柄を指定するコマンドx1?x3に基づいて例えば「3,3,3」の当たり図柄を図7(a)に比べて大きく停止表示すると共に、復旧画面を指定するコマンドXに基づいて「停電復旧しました。遊技再開しています。画面復旧はしばらくお待ちください。」とのメッセージを表示し、加えて確率情報を指定するコマンドx4に基づいて停止図柄の右上方に高確率あるいは大当りを示す図柄(例えばドル箱の図柄)を表示する。」

(エ)「【0082】また、大当たり遊技中に停電した場合にも同様の復旧画面表示を行う。この場合、図7(c)のように左停止図柄、中停止図柄、右停止図柄に例えば、「3,3,3」のような同一図柄を表示する。この後、遊技制御装置210が、バックアップデータに基づいて、新たなラウンドコマンド、インターバルコマンドまたは大当たり遊技終了コマンド等を送信すると、復旧画面表示を終了し、正常復旧状態となる。」

【図7】



・認定事項
(オ)上記【0076】、【0082】の記載事項、及び、復旧画面の表示例を示す説明図である【図7】(c)の図示内容に基づくと、刊行物2には、停電復旧時に「停電復旧しました。遊技再開しています。画面復旧はしばらくお待ちください。」とのメッセージと、例えば「3,3,3」の当たり図柄とをほぼ全画面領域に亘って表示することが示されていると認める。

上記(ア)?(エ)の記載事項、上記(オ)の認定事項、及び、図面の図示内容を総合すると、刊行物2には次の技術事項(以下「刊行物2記載の技術事項」という。)が記載されていると認められる。
「大当たり遊技中に停電が発生し、停電が復旧した場合、ほぼ全画面領域に亘って、
復旧画面を指定するコマンドXに基づいて「停電復旧しました。遊技再開しています。画面復旧はしばらくお待ちください。」とのメッセージを表示すると共に、
復旧した図柄を指定するコマンドx1?x3に基づいて例えば「3,3,3」の当たり図柄を大きく停止表示する
遊技機。」

(3)対比
本件補正発明と刊行物発明とを、分説に従い対比する。
(a)刊行物発明における「第1,第2特別図柄始動手段18a,18bに遊技球が入賞し、入賞球が検出される」ことは、本件補正発明における「始動口へ入球した」ことに相当する。
そして、刊行物発明における「大当たり/外れの判定を行う」ことは、本件補正発明における「当り抽選」に相当する。
したがって、刊行物発明における「大当たり判定機能」は、本件補正発明における「当り抽選手段」が奏する機能に相当する。

(b)刊行物発明における「大当たり/外れの判定結果が大当たり判定となることにより」「発生」する「大当たり状態」は、本件補正発明における「当り抽選に当選した場合に生起される当り遊技」に相当する。
そして、刊行物発明における「遊技盤5に装着されたセンターケース16の右側の右流下経路(特定流下経路)24b上に配置されている大入賞手段19を、所定の開放パターンに従って開放する」ことは、「開放パターン」が、少なくとも、開放、閉鎖を行うものであることは明らかであるから、本件補正発明における「遊技盤の右方領域に配置された特別入賞手段の開放及び閉鎖を制御する」に相当する。
したがって、刊行物発明における「大当たり状態発生手段75」は、本件補正発明における「開閉制御手段」に相当する。

(c)刊行物発明における「停電によって主電源が遮断された後も、遊技制御情報を含むデータ(バックアップデータ)を保持する」ことは、本件補正発明における「遊技機への電源供給の遮断時における遊技状態を記憶保持可能な」ことに相当する。
したがって、刊行物発明における「RAM」は、本件補正発明における「記憶保持手段」に相当する。

(d)刊行物発明における「電源投入時」は、本件補正発明における「遊技機への電源供給が再開されたこと」に相当する。
そして、刊行物発明における「RAMに記憶されているバックアップデータに基づいて電源遮断前の状態から遊技が再開される」ことは、本件補正発明における「(遊技機への電源供給の遮断時における遊技状態を記憶保持可能な)記憶保持手段に記憶保持されている遊技状態に復帰させる」ことに相当する。

(e)刊行物発明における「遊技状態コマンドを含む、所定の制御コマンド」は、本件補正発明における「実行情報」に相当する。
そして、刊行物発明において、「主制御基板51」は、「主に遊技動作に関わる制御を行う」ものであって、「所定の制御コマンドを演出制御基板52等のサブ制御基板側に送信して制御指令を与える、制御コマンド送信手段78を備え」ることからみて、「所定の制御コマンド」は、「主制御基板51」において生成されていることは明らかである。
したがって、刊行物発明における「主制御基板51」は、本件補正発明における「実行情報を生成する実行情報生成手段」に相当する。

(f)刊行物発明における「発射誘導情報の出力制御を」「画像表示手段21の表示画面21aによる画像出力により行う」ことは、本件補正発明における「遊技球の発射に関する報知を制御する」ことに相当する。
したがって、刊行物発明におけるf?gの「発射誘導情報制御手段85」は、本件補正発明における「報知制御手段」に相当する。

(g)刊行物発明における構成f?gの「表示画面21aに」「画像」を表示する「画像表示手段21」は、本件補正発明における構成Gの「画像を表示する表示手段」に相当する。

(h)刊行物発明における「遊技状態コマンド」は、構成eより「所定の制御コマンド」に含まれるものである。
そして、刊行物発明において、「通常の遊技状態の移行時に送信される15R大当たり開始コマンド」と「停電後などの電源復帰時に送信される15R大当たり状態中コマンド」とは、異なるコマンドであることから、刊行物発明における「15R大当たり開始コマンド」、「15R大当たり状態中を示す15R大当たり状態中コマンド」は、それぞれ、本件補正発明における「第1実行情報」、「第1実行情報とは異なる第2実行情報」に相当する。
したがって、刊行物発明における構成hは、本件補正発明における構成Hに相当する。

(i)上記eより、刊行物発明における「主制御基板51」は、本件補正発明における「実行情報生成手段」に相当するものである。

ここで、本件補正発明における「当り遊技」は、本願明細書の【0141】に「主制御用CPU30aは、実質8R大当り遊技又はSU大当り遊技を付与するときは、オープニングコマンドが出力される時と同時期、すなわち、大当り遊技開始時と同時期において、第3出力端子G3に当り外部信号を出力する。」(下線は審決にて付した。)と記載されていることからみて、「オープニングコマンドが出力される時」から開始されるものと解される。
そうすると、刊行物発明における「ファンファーレ」の開始後は、本件補正発明における「当り遊技の生起中」に相当する。
したがって、刊行物発明において、「ファンファーレの終了後」は、本願明細書に記載された「オープニングコマンドが出力され」た後に対応することは明らかであるから、本件補正発明における「当り遊技の生起中である場合」に相当する。
ゆえに、刊行物発明における「ファンファーレの終了後に、15R大当たり開始コマンドを送信」することは、本件補正発明における「当り遊技の生起中である場合には第1実行情報を生成する」ことに相当する。

そして、刊行物発明における「停電後などの電源復帰時に、15R大当たり状態中」であることは、本件補正発明における「復帰手段により復帰されたときが当り遊技の生起中である場合」に相当する。
したがって、刊行物発明における「停電後などの電源復帰時に、15R大当たり状態中を示す15R大当たり状態中コマンドを送信」することは、本件補正発明における「復帰手段により復帰されたときが当り遊技の生起中である場合には第2実行情報を生成」することに相当する。

よって、刊行物発明における構成iは、本件補正発明における構成Iに相当する。

(j)刊行物発明は、「受信した通常時状態コマンドが15R大当たり開始コマンド」である場合も、「受信した電源復帰時状態コマンドが15R大当たり状態中コマンド」である場合も、共に、「発射誘導情報表示手段39である画像表示手段21の表示画面21aに「右へ→」等を表示する」ものである。
ここで、刊行物発明における「画像表示手段21の表示画面21a」は、本件補正発明における「表示手段」に相当する。
したがって、刊行物発明における構成j?lの「受信した通常時状態コマンドが15R大当たり開始コマンドであれば(S31:Yes)、画像表示手段21の表示画面21aに「右へ→」等を表示」し、「受信した電源復帰時状態コマンドが15R大当たり状態中コマンドであれば(S41:No)、発射誘導情報表示手段39である画像表示手段21の表示画面21aに「右へ→」等を表示する」ことと、本件補正発明における構成Jとは、「第1実行情報が生成され、報知が行われた場合、及び、第2実行情報が生成され、報知が行われた場合に、表示手段に所定の表示内容を表示する」点で共通する。

(k?l)刊行物発明は、構成j?lの「発射誘導情報表示手段39である画像表示手段21の表示画面21aに「右へ→」等を表示する」ことにより、遊技者が、構成bの「遊技盤5に装着されたセンターケース16の右側の右流下経路(特定流下経路)24b上」に、遊技球を右打ち発射することを誘導するものである。
ここで、刊行物発明における「画像表示手段21の表示画面21aに「右へ→」等を表示する」報知態様は、「画像表示手段21の表示画面21a」を用いた態様であるといえる。
したがって、刊行物発明における構成j?lの「受信した通常時状態コマンドが15R大当たり開始コマンドであれば(S31:Yes)、発射誘導情報表示手段39である画像表示手段21の表示画面21aに「右へ→」等を表示」し、「受信した電源復帰時状態コマンドが15R大当たり状態中コマンドであれば(S41:No)、発射誘導情報表示手段39である画像表示手段21の表示画面21aに「右へ→」等を表示する」ことは、本件補正発明における構成Kの「第1実行情報が生成された場合の報知、及び、第2実行情報が生成された場合の報知の何れにおいても、遊技盤の右方領域への遊技球の発射が促され」ることに相当し、また、構成Lの「第1実行情報が生成された場合の報知と、第2実行情報が生成された場合の報知と、の報知態様は同一であ」ることに相当する。

よって、上記(a)?(k?l)によれば、本件補正発明と刊行物発明は、
「A 始動口へ入球したことを契機に当り抽選を行う当り抽選手段と、
B 前記当り抽選に当選した場合に生起される当り遊技において、遊技盤の右方領域に配置された特別入賞手段の開放及び閉鎖を制御する開閉制御手段と、
C 遊技機への電源供給の遮断時における遊技状態を記憶保持可能な記憶保持手段と、
D 遊技機への電源供給が再開されたことに伴い、前記記憶保持手段に記憶保持されている遊技状態に復帰させる復帰手段と、
E 実行情報を生成する実行情報生成手段と、
F 遊技球の発射に関する報知を制御する報知制御手段と、
G 画像を表示する表示手段と、を備え、
H 前記実行情報には、第1実行情報と、前記第1実行情報とは異なる第2実行情報と、があり、
I 前記実行情報生成手段は、前記当り遊技の生起中である場合には前記第1実行情報を生成する一方、前記復帰手段により復帰されたときが前記当り遊技の生起中である場合には前記第2実行情報を生成し、
J’前記第1実行情報が生成され、前記報知が行われた場合、及び、前記第2実行情報が生成され、前記報知が行われた場合に、前記表示手段に所定の表示内容を表示する一方、
K 前記第1実行情報が生成された場合の前記報知、及び、前記第2実行情報が生成された場合の前記報知の何れにおいても、遊技盤の右方領域への遊技球の発射が促され、
L 前記第1実行情報が生成された場合の前記報知と、前記第2実行情報が生成された場合の前記報知と、の報知態様は同一である遊技機。」の点で一致し、次の点で相違する。

[相違点1](構成J)
本件補正発明は、第1実行情報が生成され、報知が行われた場合の表示手段の表示内容は、第2実行情報が生成され、報知が行われた場合の表示手段の表示内容と異なるのに対して、刊行物発明はそのような構成を備えるか否か不明である点。

[相違点2](構成M)
本件補正発明は、第2実行情報が生成された場合に報知が行われる表示手段の表示領域は、第1実行情報が生成された場合に報知が行われる表示手段の表示領域に比して、広いのに対して、刊行物発明はそのような構成を備えるか否か不明である点。

(4)判断
上記相違点1、2は、可動役物動作演出に関する点で共通するのでまとめて検討する。
本件補正発明における構成Jの「表示内容」について、特許請求の範囲に、その具体的に内容について特定するものではないが、構成Jの「表示内容」には、イ:表示対象の内容自体や、ロ:表示対象自体のサイズ等が含まれるものと解される。

そして、刊行物発明の構成j?lにおいて、「画像表示手段21の表示画面21aに「右へ→」等を表示する」のは、電源復帰後を含め、遊技状態が「15R大当たり」状態中であることを示すためである。
一方、刊行物2記載の技術事項において、「「3,3,3」の当たり図柄」は、停電復旧後の遊技状態が「当たり」状態であることを示唆するものである。
したがって、刊行物発明における「画像表示手段21の表示画面21aに「右へ→」等を表示する」ことと、刊行物2記載の技術事項における「「3,3,3」の当たり図柄を大きく停止表示」することとは、電源復帰後の遊技状態が大当たり状態中であることを示唆する内容の表示を行う点で共通する。
また、刊行物発明は、「電源復帰時に遊技者が適切な発射操作を行うことができ、通常得られるべき利益を確実に獲得することが可能な弾球遊技機を提供する」こと(【0007】)を目的とするものである。
一方、刊行物2記載の技術事項は、「停電が発生した時の遊技状態に応じて、停電復旧時の表示を適切に行い遊技機に対する信頼性を向上させる」こと(【0012】)を目的とするものである。
したがって、刊行物発明と、刊行物2記載の技術事項とは、電源復帰時に遊技者に適切な表示を行い、遊技者の遊技機に対する信頼性を向上させるという共通の課題を解決するものである。
ゆえに、刊行物発明に刊行物2記載の技術事項を適用する動機付けは十分ある。
ところで、刊行物2記載の技術事項は、停電復旧時にほぼ全画面領域に亘って、遊技状態が「当たり」状態であることを示唆する情報(「3,3,3」の当たり図柄)を表示することに加え、「停電復旧しました。遊技再開しています。画面復旧はしばらくお待ちください。」とのメッセージを表示すると共に、遊技状態が「当たり」状態であることを示唆する情報(「3,3,3」の当たり図柄)を大きく停止表示させるものである。

イ 本件補正発明における構成Jの「表示内容」を、上記「イ:表示対象の内容自体」と解した場合
刊行物発明に刊行物2記載の技術事項を適用して、電源復帰時に「画像表示手段21の表示画面21aに「右へ→」等を表示する」ことに加え、「停電復旧しました。遊技再開しています。画面復旧はしばらくお待ちください。」等のメッセージを表示し、「通常時状態コマンド」として「15R大当たり開始コマンド」を受信した場合と、「電源復帰時状態コマンド」として「15R大当たり状態中コマンド」を受信した場合とで、「画像表示手段21の表示画面21a」における表示内容を異ならせると共に、電源復帰時に、画像表示手段21の表示画面21aに「右へ→」等を大きく表示するために、表示領域を広くし、上記相違点1?2に係る本件補正発明の構成J、Mとすることは当業者が容易になし得たものである。

ロ 本件補正発明における構成Jの「表示内容」を、上記「ロ:表示対象自体のサイズ」と解した場合
刊行物発明に刊行物2記載の技術事項を適用して、電源復帰時に「画像表示手段21の表示画面21a」に、遊技状態が「当たり」状態であることを示唆する情報である「右へ→」等を大きく表示し、表示するサイズを、「通常時状態コマンド」として「15R大当たり開始コマンド」を受信した場合に比べて大きくすることにより、両者の表示内容を異ならせると共に、電源復帰時に「右へ→」等を大きく表示するために、表示領域を広くし、上記相違点1?2に係る本件補正発明の構成J、Mとすることは当業者が容易になし得たものである。

(5)請求人の主張について
請求人は、平成29年11月27日付けの審判請求書において、「引用文献1の図14(a)及び図14(b)によれば、右打ち誘導画像が表示される表示位置が異なることは理解できるが、右打ち誘導画像の大きさや右打ち誘導画像が表示される表示領域が異なることについては何ら開示及び示唆されていない。また、そもそも引用文献1の図14(a)に示されている右打ち誘導画像の表示は、大当り遊技中という状況での右打ち誘導画像の表示であって、引用文献1の図14(b)に示されている右打ち誘導画像の表示は、時短状態中などという状況での右打ち誘導画像の表示である。つまり、引用文献1には、右打ち誘導画像が表示される表示領域の大きさを異なること、及び、電源復帰時において右打ち誘導画像が表示される表示領域を通常時において右打ち誘導画像が表示される表示領域よりも広くすること、については何ら開示及び示唆されていない。すなわち、引用文献1には、本願発明1の特徴的な構成について何ら開示及び示唆されていない。
引用文献2には、本願発明1でいう「遊技盤の右方領域への遊技球の発射を促す」報知を行うことについては記載されておらず、本願発明1の特徴的な構成については何ら開示及び示唆されていない。」((4)本願発明と引用文献との対比)と主張する。

そこで、請求人の上記主張について検討する。
請求人が主張する「右打ち誘導画像の大きさや右打ち誘導画像が表示される表示領域が異なること」、すなわち、本願発明の構成J、Mは、それぞれ、相違点1、2として認定した。
ここで、審決にて、刊行物2記載の技術事項として、「復旧した図柄を指定するコマンドx1?x3に基づいて例えば「3,3,3」の当たり図柄を大きく停止表示する」ことを認定したのは、停電復旧時において、当たり図柄を大きく停止表示させることを認定したにすぎない。
そして、相違点1、2については、上記(4)ロにおいて検討したように、刊行物発明に刊行物2記載の技術事項を適用して、電源復帰時に「画像表示手段21の表示画面21a」に、遊技状態が「当たり」状態であることを示唆する情報である「右へ→」等を大きく表示し、表示するサイズを、「通常時状態コマンド」として「15R大当たり開始コマンド」を受信した場合に比べて大きくすることにより、両者の表示内容を異ならせると共に、電源復帰時に「右へ→」等を大きく表示するために、表示領域を広くし、上記相違点1?2に係る本件補正発明の構成とすることは当業者が容易になし得たものである。
さらに、刊行物2記載の技術事項を、電源復帰時に「右へ→」等を表示することに加え、復旧メッセージを表示するものとして捉えた場合、上記(4)イにおいて検討したように、刊行物発明に刊行物2記載の技術事項を適用することにより、上記相違点1?2に係る本件補正発明の構成とすることは当業者が容易になし得たものである。

したがって、請求人の上記主張を採用することはできない。

(6)小括
本件補正発明により奏される効果は、当業者が、刊行物発明、及び、刊行物2記載の技術事項から予測し得る効果の範囲内のものであって、格別のものではない。
よって、本件補正発明は、刊行物発明、及び、刊行物2記載の技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものである。

4 まとめ
上記1?3より、本件補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たさないものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されることとなったので、平成29年4月26日付け手続補正書の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものと認める。
A 始動口へ入球したことを契機に当り抽選を行う当り抽選手段と、
B 前記当り抽選に当選した場合に生起される当り遊技において、遊技盤の右方領域に配置された特別入賞手段の開放及び閉鎖を制御する開閉制御手段と、
C 遊技機への電源供給の遮断時における遊技状態を記憶保持可能な記憶保持手段と、
D 遊技機への電源供給が再開されたことに伴い、前記記憶保持手段に記憶保持されている遊技状態に復帰させる復帰手段と、
E 実行情報を生成する実行情報生成手段と、
F 遊技球の発射に関する報知を制御する報知制御手段と、
G 画像を表示する表示手段と、を備え、
H 前記実行情報には、第1実行情報と、前記第1実行情報とは異なる第2実行情報と、があり、
I 前記実行情報生成手段は、前記当り遊技の生起中である場合には前記第1実行情報を生成する一方、前記復帰手段により復帰されたときが前記当り遊技の生起中である場合には前記第2実行情報を生成し、
J 前記第1実行情報が生成され、前記報知が行われたときの前記表示手段の表示内容は、前記第2実行情報が生成され、前記報知が行われたときの前記表示手段の表示内容と異なる一方、
K 前記第1実行情報が生成された場合の前記報知、及び、前記第2実行情報が生成された場合の前記報知の何れにおいても、遊技盤の右方領域への遊技球の発射が促されることを
特徴とする遊技機。」

2 原査定の拒絶の理由の概要
(1)(進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内において、頒布された下記の刊行物1、あるいは、2に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>
1.特開2012-34893号公報
2.特開2002-143523号公報

3 引用文献に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(前記「第2 3(2)ア」における「刊行物1」に対応する。)の記載事項及び引用発明の認定、及び、同じく、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2(前記「第2 3(2)」イにおける「刊行物2」に対応する。)の記載事項及び刊行物2記載の技術事項の認定については、前記「第2 3(2)刊行物」に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、前記「第2 3(1)」で検討した本件補正発明の「第1実行情報が生成された場合の報知」、「第2実行情報が生成された場合の報知」に関して、「前記第1実行情報が生成された場合の前記報知と、前記第2実行情報が生成された場合の前記報知と、の報知態様は同一であ」るとの限定、及び、「前記第2実行情報が生成された場合に前記報知が行われる前記表示手段の表示領域は、前記第1実行情報が生成された場合に前記報知が行われる前記表示手段の表示領域に比して、広い」との限定を省いたものである。
そうすると、本願発明と刊行物発明とは、本件補正発明と同様に、上記相違点1(構成J)において、相違し、その余の点において一致する。
そして、上記相違点1については、上記第2の3「(4)判断」において検討したとおり、刊行物発明に刊行物2記載の技術事項を適用して当業者が容易になし得たものである。
したがって、本願発明は、原査定で引用した刊行物発明、及び、刊行物2記載の技術事項に基づいて当業者が容易に発明できたものである。

4 むすび
上記1?3より、本願発明は、特許法第29条第2項の規定に基づいて特許を受けることができないものである。
したがって、本願は拒絶すべきである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-07-31 
結審通知日 2018-08-01 
審決日 2018-08-21 
出願番号 特願2016-52270(P2016-52270)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 野田 華代  
特許庁審判長 鉄 豊郎
特許庁審判官 川崎 優
長崎 洋一
発明の名称 遊技機  
代理人 山本 実  
代理人 恩田 誠  
代理人 恩田 博宣  
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