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審決分類 審判 一部申し立て 2項進歩性  C09D
審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載  C09D
管理番号 1344838
異議申立番号 異議2018-700020  
総通号数 227 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-11-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-01-11 
確定日 2018-09-10 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6161243号発明「電着塗料組成物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6161243号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1ないし9〕について訂正することを認める。 特許第6161243号の請求項1ないし4,8,9に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯

特許第6161243号の請求項1ないし9に係る特許についての出願は、平成24年9月4日の出願(優先日:平成23年9月7日、日本)であり、平成29年6月23日にその特許権の設定登録がされ、平成30年1月11日に、その特許について特許異議申立人関西ペイント株式会社(以下、「異議申立人」という。)により特許異議の申立てがなされ、同年3月20日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である同年5月24日に特許権者より意見書の提出及び訂正の請求があり、これに対し、同年7月5日付けで異議申立人より意見書が提出されたものである。


第2 訂正の適否

1 訂正事項

上記平成30年5月24日付け訂正請求書による訂正(以下、「本件訂正」という。)は、本件特許請求の範囲を、上記訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1?9について訂正することを求めるものであって、その具体的訂正事項は次のとおりである。

(1)訂正事項1

特許請求の範囲の請求項1に「比率(R)が、4,000<R<400,000の関係を満たす」とあるのを、「比率(R)が、20,000<R<400,000の関係を満たす」と訂正する。(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2?9も同様に訂正する。)

(2)訂正事項2

特許請求の範囲の請求項2に「さらに硝酸または亜硝酸金属塩(D)を含む」とあるのを、「さらに亜硝酸金属塩(D)を含む」と訂正する。(請求項2の記載を引用する請求項3?9も同様に訂正する。)

(3)訂正事項3

特許請求の範囲の請求項4に「キレート酸(E)を含む」とあるのを、「キレート酸(E)を含み、前記キレート酸は溶解金属化合物(A)に由来する金属イオンをキレートする酸である」と訂正する。(請求項4の記載を引用する請求項5?9も同様に訂正する。)

(4)訂正事項4

特許請求の範囲の請求項8に「電着塗料組成物に対する前記硝酸または亜硝酸金属塩(D)の含有量」とあるのを、「電着塗料組成物に対する前記亜硝酸金属塩(D)の含有量」と訂正する。(請求項8の記載を引用する請求項9も同様に訂正する。)

2 訂正事項の訂正の目的の適否、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否

(1)訂正事項1について

ア 訂正前の請求項1?9に係る発明は、「比率(R)が、4,000<R<400,000の関係を満たす」ことを特定しているのに対して、訂正後の請求項1?9は、「比率(R)が、20,000<R<400,000の関係を満たす」との記載により、訂正後の請求項1?9に係る発明における比率(R)の数値範囲を限定するものであるから、上記訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 上記訂正事項1は、願書に添付した明細書の段落【0053】の「上記比率(R)が4,000以上であることにより、残存水酸基量が十分となるために溶解金属化合物(A)との水素結合が十分となって塗膜密着性が向上する。また上記比率(R)が400,000以下であることにより、硬化電着塗膜中に残存する水酸基量が適正な範囲内となるために塗膜の水に対する遮断性が十分となり耐食性が良好となる。上記比率(R)の下限は20,000がさらに好ましく、上記比率(R)の上限は200,000がさらに好ましい。」等の記載に基づくものであるから、上記訂正事項1は、新規事項を追加するものではない。

ウ 上記訂正事項1は、訂正前の「比率(R)」の数値範囲を限定するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
エ 本件については、請求項1?4,8及び9について特許異議申立がされているので、請求項1?4,8及び9に係る訂正事項1に関して、独立特許要件は課されない。
そこで、訂正後の請求項5?7に係る発明の独立特許要件についてみると、異議申立人が提出した後述する甲1及び甲2には、請求項5?7に記載される発明特定事項(請求項5は、「前記電着塗料組成物が、さらにアミノシラン化合物(F)を含む」こと、請求項6は、「前記溶解金属化合物(A)が亜鉛化合物であって、該亜鉛化合物が、一部が溶解せずにカチオン分散剤で分散された、体積平均粒子径D50が3μm以下であるリン酸亜鉛であり、該カチオン分散剤がアミノシラン化合物である」こと、請求項7は、「前記電着塗料組成物が、さらにアルミニウム錯体(G)を含む」こと。)が記載されていないことから、当該発明は、特許法第29条第1項第3号により特許を受けることができないものには該当しない。
また、請求項5に係る発明は、さらにアミノシラン化合物(F)を含むことによって、アミノ基の作用により、密着性が向上し耐食性が優れるという効果があること、請求項6に係る発明は、溶解金属化合物(A)が特定の亜鉛化合物であることによって、分散顔料ペーストの安定性が良好となること、請求項7に係る発明は、アルミニウム錯体(G)をさらに含むことによって、塗膜の耐食性が向上することという甲第1号証及び甲第2号証いずれにおいても開示も示唆もされていない技術的効果を奏することから、これらの発明は、当業者といえども本件特許出願前に容易に発明をすることができたものではなく、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものには該当しない。
さらに、平成30年7月5日付け意見書により提出された甲第3号証?甲第5号証のいずれにおいても、請求項5?7に記載の発明特定事項及び効果は開示も示唆もされていない。
そして、請求項5?7に係る発明は、記載要件について不備はなく、特許法第36条第6項及び同条第4項の規定に違反するところはないし、他にこれらの発明が特許を受けることができない事由も見当たらない。
よって、訂正後の請求項5?7に係る発明は、特許出願の際に独立して特許を受けることができるものである。

(2)訂正事項2について

ア 訂正前の請求項2?9に係る発明は、「さらに硝酸または亜硝酸金属塩(D)を含む」ことを特定しているのに対して、訂正後の請求項2?9は、「さらに亜硝酸金属塩(D)を含む」との記載により、訂正後の請求項2?9に係る発明における成分(D)の種類を、「硝酸または亜硝酸金属塩(D)」から「亜硝酸金属塩(D)」へ限定するものであるから、上記訂正事項2は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 上記訂正事項2は、願書に添付した明細書の段落【0057】の「硝酸またはまたは亜硝酸金属塩(D)としては、亜硝酸金属塩がより好ましい。亜硝酸金属塩は酸化力が非常に強いため、より少量で無機層の析出促進効果がある。このため、カソード密着性が特に優れるため耐食性が向上する。さらに、硝酸より低濃度で効果を発揮するため塗膜遮断性の低下が抑制され、耐食性が優れるという利点がある。」等の記載に基づくものであるから、上記訂正事項2は、新規事項を追加するものではない。

ウ 上記訂正事項2は、訂正前の成分Dを限定するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

エ 本件については、請求項1?4,8及び9について特許異議申立がされているので、請求項2?4,8及び9に係る訂正事項2に関して、独立特許要件は課されない。
そこで、訂正後の請求項5?7に係る発明の独立特許要件についてみると、上記(1)エで検討したとおり、訂正後の請求項5?7に係る発明は、特許出願の際に独立して特許を受けることができるものである。

(3)訂正事項3について

ア 訂正前の請求項4?9に係る発明は、「キレート酸(E)を含む」ことを特定しているのに対して、訂正後の請求項4?9は、「キレート酸(E)を含み、前記キレート酸は溶解金属化合物(A)に由来する金属イオンをキレートする酸である」との記載により、訂正後の請求項4?9に係る発明における成分(E)の機能を限定するものであるから、上記訂正事項3は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 上記訂正事項3は、願書に添付した明細書の段落【0062】の「本発明の電着塗料組成物にキレート酸(E)が含まれることによって、溶解金属化合物(A)に由来する金属イオンがキレートされ、電導度が低減し、電着塗装により得られる塗膜の外観が向上することにより、優れた耐食性を有する硬化電着塗膜を形成することができるという利点がある。」等の記載に基づくものであるから、上記訂正事項3は、新規事項を追加するものではない。

ウ 上記訂正事項3は、訂正前の成分Eの機能を限定するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

エ 本件については、請求項1?4,8及び9について特許異議申立がされているので、請求項4,8及び9に係る訂正事項3に関して、独立特許要件は課されない。
そこで、訂正後の請求項5?7に係る発明の独立特許要件についてみると、上記(1)エで検討したとおり、訂正後の請求項5?7に係る発明は、特許出願の際に独立して特許を受けることができるものである。

(4)訂正事項4について

ア 訂正前の請求項8,9に係る発明は、「電着塗料組成物に対する前記硝酸または亜硝酸金属塩(D)の含有量」を特定しているのに対して、訂正後の請求項8,9は、「電着塗料組成物に対する前記亜硝酸金属塩(D)の含有量」との記載により、訂正後の請求項8,9に係る発明における成分(D)の種類を、「硝酸または亜硝酸金属塩(D)」から「亜硝酸金属塩(D)」へ限定するものであるから、上記訂正事項4は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 上記訂正事項4は、願書に添付した明細書の段落【0057】の「硝酸またはまたは亜硝酸金属塩(D)としては、亜硝酸金属塩がより好ましい。亜硝酸金属塩は酸化力が非常に強いため、より少量で無機層の析出促進効果がある。このため、カソード密着性が特に優れるため耐食性が向上する。さらに、硝酸より低濃度で効果を発揮するため塗膜遮断性の低下が抑制され、耐食性が優れるという利点がある。」等の記載に基づくものであるから、上記訂正事項4は、新規事項を追加するものではない。

ウ 上記訂正事項4は、訂正前の成分Dを限定するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

エ 本件については、訂正前の請求項1?4,8及び9について特許異議申立がされているので、訂正前の請求項8,9に係る訂正事項4に関して、独立特許要件は課されない。

3 小括

上記「2」のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第4項の規定に従い、一群の請求項を構成する請求項〔1ないし9〕について訂正することを求めるものであり、それらの訂正事項はいずれも、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものに該当し、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項、第6項及び第7項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1ないし9〕について訂正することを認める。


第3 本件発明

上記「第2」のとおり、本件訂正は認容し得るものであるから、本件訂正後の請求項1ないし9に係る発明(以下、各請求項に係る発明を項番に対応して「本件発明1」などといい、併せて「本件発明」ということがある。)の記載は、次のとおりである。

「【請求項1】
Ti、Bi、Zn、Y、Nd、LaおよびZrからなる群から選択される1種またはそれ以上の金属を含む溶解金属化合物(A)、アミン化樹脂(B)および硬化剤(C)を含む電着塗料組成物であって、
該アミン化樹脂(B)は、数平均分子量が1,000?5,000であり、アミン価が20?100mgKOH/gであり、かつ、水酸基価が50?400mgKOH/gであり、
該硬化剤(C)がブロックイソシアネート硬化剤であり、
前記溶解金属化合物(A)は、硝酸でpH4に調整した20℃の水に対して、金属換算で0.1質量%以上が溶解する金属化合物であり、
該アミン化樹脂(B)と、該ブロックイソシアネート硬化剤とが、電着塗膜中において加熱硬化時に反応した場合における理論残存水酸基価が20?350mgKOH/gであり、
下記数式に示される、該理論残存水酸基価と、電着塗料組成物中におけるアミン化樹脂(B)およびブロックイソシアネート硬化剤の固形分濃度(質量%)の合計に対する電着塗料組成物中における溶解金属化合物(A)の金属換算濃度(質量%)との比率(R)が、20,000<R<400,000の関係を満たす、
電着塗料組成物。
【数1】

【請求項2】
前記電着塗料組成物が、さらに亜硝酸金属塩(D)を含む、請求項1記載の電着塗料組成物。
【請求項3】
前記電着塗料組成物が、さらに可塑剤を含む、請求項1または2記載の電着塗料組成物。
【請求項4】
前記電着塗料組成物が、さらに、スルホン酸、有機ホスホン酸、有機カルボン酸、アミノ酸、アミノカルボン酸、糖酸およびカルボキシル基含有ビニル樹脂からなる群から選択される少なくとも1種であるキレート酸(E)を含み、前記キレート酸は溶解金属化合物(A)に由来する金属イオンをキレートする酸である、請求項1?3いずれかに記載の電着塗料組成物。
【請求項5】
前記電着塗料組成物が、さらにアミノシラン化合物(F)を含む、請求項1?4いずれかに記載の電着塗料組成物。
【請求項6】
前記溶解金属化合物(A)が亜鉛化合物であって、
該亜鉛化合物が、一部が溶解せずにカチオン分散剤で分散された、体積平均粒子径D50が3μm以下であるリン酸亜鉛であり、該カチオン分散剤がアミノシラン化合物である、
請求項1?5いずれかに記載の電着塗料組成物。
【請求項7】
前記電着塗料組成物が、さらにアルミニウム錯体(G)を含む、請求項1?6いずれかに記載の電着塗料組成物。
【請求項8】
電着塗料組成物に対する前記溶解金属化合物(A)の固形分含有量は、金属元素換算で0.001?1質量%であり、
電着塗料組成物に対する前記亜硝酸金属塩(D)の含有量は0.001?1質量%であり、
電着塗料組成物の樹脂固形分量が1?30質量%である、
請求項2?7いずれかに記載の電着塗料組成物。
【請求項9】
ジルコニウム化成処理組成物によって形成された化成被膜を有する被塗物に、請求項1?8いずれかに記載の電着塗料組成物を電着塗装して電着塗膜形成し、得られた電着塗膜を加熱硬化させて硬化電着塗膜を得る工程を包含する、ジルコニウム化成処理被膜を有する被塗物に電着塗膜を形成する方法。」


第4 平成30年3月20日付けで通知した取消理由の概要

標記取消理由の概要は、以下のとおりである。

訂正前の請求項1ないし4,8,9に係る発明は、下記甲第1号証(以下、甲各号証を「甲1」などという。)に記載された発明であるか、甲1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものである。
また、訂正前の請求項1,2,4,8に係る発明は、下記甲2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものであり、訂正前の請求項9に係る発明は、甲2に記載された発明及び甲1に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものである。
そうすると、訂正前の請求項1ないし4,8,9に係る発明の特許は、特許法第29条第1項第3号又は同法同条第2項の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである(以下、特許法第29条第1項第3号に関する理由及び特許法第29条第2項に関する理由を「取消理由1」及び「取消理由2」という)。

なお、上記取消理由1は、申立理由のうち、甲1を主引例とする訂正前の請求項1ないし4,8,9に対する新規性欠如に関する理由と同趣旨である。
また、上記取消理由2は、申立理由のうち、甲1又は甲2を主引例とする訂正前の請求項1ないし4,8,9に対する進歩性欠如に関する理由と同趣旨である。



甲1:特開2011-084729号公報
甲2:特開2008-133419号公報


第5 取消理由1及び2に関する当審の判断

1 甲号証に記載の事項

(1)甲1(特開2011-084729号公報)
甲1には、次の記載がある。なお、下線は、当審が付与したものであり、以下、同様である。

(1-1)「【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミノ基含有変性エポキシ樹脂(A)、ブロック化ポリイソシアネート硬化剤(B)、金属化合物(C)及び窒素酸化物イオン(E)を含有するカチオン電着塗料組成物であって、
該カチオン電着塗料組成物は、該金属化合物(C)を、カチオン電着塗料組成物の質量に対し、金属元素の質量として、10?10,000ppm含有し、かつ窒素酸化物イオン(E)を50?10,000ppm含有し、
アミノ基含有変性エポキシ樹脂(A)は、エポキシ当量500?2500の変性エポキシ樹脂(A1)とアミン化合物(A2)とを反応させることにより得られる樹脂であり、
変性エポキシ樹脂(A1)は、ジエポキシ化合物(a1)、エポキシ当量170?500のエポキシ樹脂(a2)及びビスフェノール化合物(a3)を反応させて得られる樹脂であり、
ジエポキシ化合物(a1)は、下記一般式(1):
【化1】


[式中、R^(1)は、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1?6のアルキル基を示し、R^(2)は同一又は異なって、水素原子又は炭素数1?2のアルキル基を示し、アルキレンオキシド構造部分の繰り返し単位の数であるm及びnは、m+n=1?20となる整数を示す。]
で表わされる化合物(1)及び/又は下記一般式(2):
【化2】


[式中、R^(3)は、水素原子又は炭素数1?6のアルキル基を示し、Xは1?9の整数を示し、Yは1?50の整数を示す。Yが2以上の場合、繰り返し単位中の各R^(3)は、同一であっても異なってもよい。]
で表わされる化合物(2)であり、かつ、
金属化合物(C)が、ジルコニウム、チタン、コバルト、バナジウム、タングステン、モリブデン、銅、インジウム、亜鉛、アルミニウム、ビスマス、イットリウム、ランタノイド金属、アルカリ金属及びアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の金属(c)の化合物である、カチオン電着塗料組成物。」

(1-2)「【0010】
即ち、本発明は、以下の項を提供する:
項1.アミノ基含有変性エポキシ樹脂(A)、ブロック化ポリイソシアネート硬化剤(B)、金属化合物(C)及び窒素酸化物イオン(E)を含有するカチオン電着塗料組成物であって、
該カチオン電着塗料組成物は、該金属化合物(C)を、カチオン電着塗料組成物の質量に対し、金属元素の質量として、10?10,000ppm含有し、かつ窒素酸化物イオン(E)を50?10,000ppm含有し、
アミノ基含有変性エポキシ樹脂(A)は、エポキシ当量500?2500の変性エポキシ樹脂(A1)とアミン化合物(A2)とを反応させることにより得られる樹脂であり、
変性エポキシ樹脂(A1)は、ジエポキシ化合物(a1)、エポキシ当量170?500のエポキシ樹脂(a2)及びビスフェノール化合物(a3)を反応させて得られる樹脂であり、
ジエポキシ化合物(a1)は、下記一般式(1):
【0011】
【化1】

【0012】
[式中、R^(1)は、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1?6のアルキル基を示し、R^(2)は同一又は異なって、水素原子又は炭素数1?2のアルキル基を示し、アルキレンオキシド構造部分の繰り返し単位の数であるm及びnは、m+n=1?20となる整数を示す。]
で表わされる化合物(1)及び/又は下記一般式(2):
【0013】
【化2】

【0014】
[式中、R^(3)は、水素原子又は炭素数1?6のアルキル基を示し、Xは1?9の整数を示し、Yは1?50の整数を示す。Yが2以上の場合、繰り返し単位中の各R^(3)は、同一であっても異なってもよい。]
で表わされる化合物(2)であり、かつ、
金属化合物(C)が、ジルコニウム、チタン、コバルト、バナジウム、タングステン、モリブデン、銅、インジウム、亜鉛、アルミニウム、ビスマス、イットリウム、ランタノイド金属、アルカリ金属及びアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の金属(c)の化合物である、カチオン電着塗料組成物。」

(1-3)「【0020】
また、カチオン電着塗料組成物を用いた塗膜形成は特に制限なく従来公知の方法で行うことができ、特に浸漬/電着の2工程をとった場合には、まず金属化合物(C)を選択的に被塗物上に析出させて、無機成分を主体とする皮膜(下層)を形成し、次いで皮膜(下層)上に、アミノ基含有変性エポキシ樹脂(A)とブロック化ポリイソシアネート硬化剤(B)を含む樹脂成分等を析出させて有機成分を主体とする皮膜(上層)を形成することができる。このことから無処理鋼板等の金属被塗物の表面に不働体化能を有する金属酸化物を下層に形成でき、皮膜下腐食の抑制に貢献できる。この為、耐食性、特に高温下での耐温塩水浸漬性に優れた塗膜が得られる。
さらに、アミノ基含有変性エポキシ樹脂(A)に使用されるジエポキシ化合物(a1)によって、カチオン電着塗料組成物が金属化合物(C)及び窒素酸化物イオン(E)を含有しても浴(液)安定性に優れ、かつ塗膜に応力緩和能を付与できる為、無処理鋼板上に形成された電着塗膜上の3コート1ベーク塗装方式における複層塗膜においても、複合腐食サイクル試験による耐食性に優れた効果を得ることができるものと考える。」

(1-4)「【0086】
[窒素酸化物イオン(E)]
本発明のカチオン電着塗料組成物は、窒素酸化物イオン(E)を含有することを特徴とする。窒素酸化物イオン(E)は、硝酸イオン、亜硝酸イオン等の総称である。本発明のカチオン電着塗料組成物には、溶剤等に、窒素酸化物イオンを配合したものだけでなく、窒素酸化物イオンをカチオン電着塗料中に含有させたものも包含される。窒素酸化物イオンを生成又は含有する化合物としては、例えば、硝酸、金属硝酸塩、金属亜硝酸塩等が挙げられる。」

(1-5)「【実施例】
【0123】
以下、製造例、実施例及び比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。各例中の「部」は質量部、「%」は質量%を示す。
【0124】
アミノ基含有変性エポキシ樹脂(A)の製造
製造例1 基体樹脂No.1の製造例
温度計、還流冷却器、及び攪拌機を備えた内容積2リットルのフラスコに、グリシエールPP-300P(注1)296部、jER828EL(注4)1330部、ビスフェノールAを684部及びテトラブチルアンモニウムブロマイド1.0部を加え、160℃でエポキシ当量1,150になるまで反応させた。
【0125】
次に、反応生成物に、メチルイソブチルケトンを611部加え、次いで、モノメチルアミノエタノール137部を加えて120℃で4時間反応させ、樹脂固形分80%のアミノ基含有変性エポキシ樹脂である基体樹脂No.1溶液を得た。基体樹脂No.1は、アミン価41mgKOH/g、数平均分子量2,700であった。」

(1-6)「【0132】
表1に、製造例1?4の基体樹脂No.1?No.4の配合内容及び特数を示す。
【0133】
【表1】

【0134】
(注1)グリシエールPP-300P:三洋化成工業社製、商品名、エポキシ樹脂 (ジエポキシ化合物(a1))、エポキシ当量296、化合物(2)に相当(R^(3)=CH_(3)基、X=1、Y=7)
(注2)デナコールEX-821:ナガセケムテックス社製、商品名、エポキシ樹脂(ジエポキシ化合物(a1))、エポキシ当量185、化合物(2)に相当(R^(3)=水素原子、X=1、Y=4)
(注3)グリシエールBPP-350:三洋化成工業社製、商品名、エポキシ樹脂 (ジエポキシ化合物(a1))、エポキシ当量340、化合物(1)に相当(R^(1)=CH_(3)基、R^(2)=CH_(3)、m+n=3)
(注4)jER828EL:ジャパンエポキシレジン社製、商品名、エポキシ樹脂(a2)、エポキシ当量190、数平均分子量380
合成例1 キシレンホルムアルデヒド樹脂の製造
温度計、還流冷却器及び撹拌機を備えた内容積2リットルのセパラブルフラスコに50%ホルマリン480部、フェノール110部、98%工業用硫酸202部及びメタキシレン424部を仕込み、84?88℃で4時間反応させた。 反応終了後、静置して樹脂相と硫酸水相とを分離した後、樹脂相を3回水洗し、20?30mmHg/120?130℃の条件で20分間未反応メタキシレンをストリッピングして、粘度1,050mPa・s(25℃)のフェノール変性されたキシレンホルムアルデヒド樹脂480部を得た。
・・・
【0137】
ブロック化ポリイソシアネート硬化剤(B)の製造
製造例6 硬化剤の製造例
反応容器中に、コスモネートM-200(商品名、三井化学社製、クルードMDI)270部及びメチルイソブチルケトン127部を加え70℃に昇温した。この中にエチレングリコールモノブチルエーテル236部を1時間かけて滴下して加え、その後、100℃に昇温し、この温度を保ちながら経時でサンプリングし、赤外線吸収スペクトル測定にて未反応のイソシアナト基の吸収がなくなったことを確認し、樹脂固形分80%の硬化剤を得た。
【0138】
製造例7 顔料分散用樹脂の製造例
jER828EL(注4参照)1,010部に、ビスフェノールAを390部、プラクセル212(ポリカプロラクトンジオール、ダイセル化学工業株式会社、商品名、重量平均分子量約1,250)240部及びジメチルベンジルアミン0.2部を加え、130℃でエポキシ当量が約1,090になるまで反応させた。
【0139】
次に、反応生成物に、ジメチルエタノールアミン134部及び90%の乳酸水溶液150部を加え、120℃で4時間反応させた。次いで、得られた反応生成物に、メチルイソブチルケトンを加えて固形分を調整し、固形分60%のアンモニウム塩型樹脂系の顔料分散用樹脂を得た。上記分散用樹脂のアンモニウム塩濃度は、0.78mmol/gであった。
【0140】
製造例8 顔料分散ペーストの製造例
製造例7で得た固形分60%の顔料分散用樹脂8.3部(固形分5部)、酸化チタン14.5部、精製クレー7.0部、カーボンブラック0.3部、ジオクチル錫オキサイド1部、水酸化ビスマス1部及び脱イオン水20.3部を混合して、ボールミルにて20時間分散し、固形分55%の顔料分散ペーストを得た。
【0141】
エマルションの製造
製造例9 エマルションNo.1の製造例
製造例1で得られた基体樹脂No.1 81.3部(固形分65部)と、製造例5で得られた硬化剤37.5部(固形分30部)とを混合し、さらに10%酢酸15.0部を配合して均一に攪拌した後、脱イオン水155.2部を強く攪拌しながら約15分間を要して滴下して、固形分34%のエマルションNo.1を得た。
【0142】
製造例10?16 エマルションNo.2?No.8の製造例
表2の配合内容とする以外は、製造例9と同様にして、エマルションNo.2?No.8を得た。
【0143】
【表2】

【0144】
カチオン電着塗料の製造
実施例1
エマルションNo.1を294部(固形分100部)、製造例8で得た55%顔料分散ペーストを52.4部(固形分28.8部)及び脱イオン水653.6部を混合して1,000部の浴とした。次いで、当該浴に、10%のジルコニウムフッ化水素酸14.0部及び10%硝酸10部を加えてカチオン電着塗料No.1を得た。
【0145】
実施例2?28
下記表3?5に示す配合とする以外は、実施例1と同様にしてカチオン電着塗料No.2?No.28を得た。
【0146】
【表3】

【0147】
【表4】



(2)甲2(特開2008-133419号公報)
甲2には、次の記載がある。

(2-1)「【特許請求の範囲】
【請求項1】
カチオン性樹脂(A)、及びイソシアネート基を2個以上有するポリイソシアネート化合物(b1)にひまし油(b2)とブロック剤(b3)とを反応させて得られるブロック化ポリイソシアネート(B)を含有するカチオン電着塗料組成物。」

(2-2)「【0016】
上記アミン付加エポキシ樹脂の製造に使用されるエポキシ樹脂は、1分子中にエポキシ基を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物であり、一般に少なくとも200、好ましくは400?4,000、より好ましくは800?2,500の範囲内の数平均分子量と、少なくとも160、好ましくは180?2,500、より好ましくは400?1,500の範囲内のエポキシ当量とを有するものが適しており、特に、ポリフェノール化合物とエピハロヒドリンとの反応によって得られるものが好ましい。」

(2-3)「【0063】
さらに、腐食抑制又は防錆を目的として、ビスマス化合物を含有させることができる。上記ビスマス化合物としては、例えば、酸化ビスマス、水酸化ビスマス、塩基性炭酸ビスマス、硝酸ビスマス、ケイ酸ビスマス及び有機酸ビスマス等を用いることができる。
また、硬化性の向上を目的として、ジオクチル錫オキサイド、ジブチル錫オキサイド等の有機錫化合物を用いることができる。しかし、上記酸化亜鉛(亜鉛華)等の防錆顔料及び/又はビスマス化合物を使用し、所望により、増量、微細化(ナノ化)等をすることによって、これらの有機錫化合物を含有させずに硬化性を向上させることもできる。」

(2-4)「【実施例】
【0069】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。本発明はこれによって限定されるものではない。なお、「部」及び「%」は「質量部」及び「質量%」を示す。
【0070】
[製造例1]硬化剤No.1の製造
反応容器中に、コスモネートM-200(商品名、三井化学社製、クルードMDI、イソシアネート価311mgNCO/g)270部及びメチルイソブチルケトン155部を加え、70℃に昇温した。この中にURICH-30(伊藤製油社製、商品名、ひまし油系ポリオール、水酸基価160mgKOH/g)160部を添加し、イソシアネート価が155mgNCO/gになるまで反応させた。
【0071】
次いで、エチレングリコールモノブチルエーテル(水酸基価475mgKOH/g)190部を1時間かけて滴下し、その後、100℃に昇温し、この温度を保ちながら、経時でサンプリングし、赤外線吸収スペクトル測定にて2270cm^(-1)に未反応のイソシアネート基の吸収がなくなったことを確認し、固形分が80%の硬化剤No.1を得た。
【0072】
硬化剤No.1において、ひまし油(b2)の活性水素基/ポリイソシアネート化合物(b1)のイソシアネート基の当量比は0.23であり、ブロック剤(b3)の活性水素基/ポリイソシアネート化合物(b1)のイソシアネート基の当量比は0.81であり、そして[ひまし油(b2)の活性水素基+ブロック剤(b3)の活性水素基]/[ポリイソシアネート化合物(b1)のイソシアネート基]の当量比は1.03であった。また、ひまし油(b2)の割合は、ポリイソシアネート化合物(b1)とひまし油(b2)とブロック剤(b3)との合計質量を基準にして、26質量%であった。
・・・
【0084】
[製造例7]基体樹脂No.1溶液の製造
温度計、還流冷却器、及び攪拌機を備えた内容積2リットルのセパラブルフラスコに、エピコート828EL(ジャパンエポキシレジン(株)製、商品名、エポキシ樹脂)1010gに、ビスフェノールA 390g及びジメチルベンジルアミン0.2gを加え、130℃でエポキシ当量800になるまで反応させた。
次に、ジエタノールアミン160g及びジエチレントリアミンのケチミン化物65gを加え、120℃で4時間反応させた後、エチレングリコールモノブチルエーテル355gを加え、樹脂固形分が80質量%の基体樹脂No.1溶液を得た。基体樹脂No.1は、アミン価67、数平均分子量2,000であった。
・・・
【0089】
[エマルションの製造]
[製造例9]エマルションNo.1の製造
製造例7で得られた基体樹脂No.1を87.5部(固形分70部)と、製造例1で得られた硬化剤No.1を37.5部(固形分30部)とを混合し、さらに10%ギ酸11部を配合して均一に攪拌した後、混合物を強攪拌しながら、脱イオン水158部を約15分かけて滴下して、エマルションNo.1を得た。
【0090】
[製造例10?20]エマルションNo.2?No.12の製造
表1の配合内容とする以外は、製造例9と同様にしてエマルションNo.2?No.12を得た。
【0091】
【表1】

【0092】
[製造例21]顔料分散用樹脂の製造
エピコート828EL(ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名、エポキシ樹脂)1010部に、ビスフェノールA 390部、プラクセル212(ポリカプロラクトンジオール、ダイセル化学工業株式会社、商品名、重量平均分子量約1,250)240部及びジメチルベンジルアミン0.2部を加え、130℃でエポキシ当量が約1090になるまで反応させた。
【0093】
次に、ジメチルエタノールアミン134部及び濃度90%の乳酸水溶液150部を系に加え、120℃で4時間反応させた。次いで、メチルイソブチルケトンを加えて固形分を調整し、固形分60%のアンモニウム塩型樹脂系の顔料分散用樹脂を得た。アンモニウム塩型樹脂系の顔料分散用樹脂は、アンモニウム塩濃度0.78mmol/gであった。
【0094】
[製造例22]顔料分散ペーストNo.1の製造
製造例21で得た固形分60%の顔料分散用樹脂8.3部(固形分5部)、酸化チタン14.5部、精製クレー7.0部、カーボンブラック0.3部、ジオクチル錫オキサイド1部、水酸化ビスマス1部及び脱イオン水20.3部を加え、ボールミルにて20時間分散し、固形分55%の顔料分散ペーストNo.1を得た。
【0095】
[製造例23]顔料分散ペーストNo.2の製造
ジオクチル錫オキサイド1部を、酸化亜鉛3.0部に変えた以外は製造例22と同様にして、固形分55%の顔料分散ペーストNo.2を得た。
【0096】
[カチオン電着塗料の製造]
[実施例1]
カチオン電着用のエマルションNo.1を294部(固形分100部)と、55%の顔料分散ペーストNo.1を52.4部(固形分28.8部)と、脱イオン水297.6部とを加え、固形分20%のカチオン電着塗料No.1を製造した。
【0097】
[実施例2?9]
実施例1と同様にして、表2で示される配合内容で、カチオン電着塗料No.2?No.9を製造した。
・・・
【0098】
【表2】



2 刊行物に記載の発明

(1)甲1発明について

甲1には、上記2.(1)(1-6)の段落【0144】の実施例1に、エマルションNo.1を294部、製造例8で得た55%顔料分散ペーストを52.4部(固形分28.8部)及び脱イオン水653.6部を含有する浴に、10%のジルコニウムフッ化水素酸14.0部と硝酸を加えてカチオン電着塗料No.1を得たことが記載されており、同(1-6)の段落【0140】及び【0141】の製造例8,9に、当該エマルションNo.1は、製造例1で得られた基体樹脂No.1が81.3部(固形分65部)と、製造例6(注:段落【0141】の「製造例5」は「製造例6」の誤記と解される。)で得られた硬化剤37.5部(固形分30部)とを混合して得られた固形分34%のエマルションであること、当該顔料分散ペーストは、顔料分散用樹脂8.3部(固形分5部)、水酸化ビスマス1部を混合して得られた固形分55%の顔料分散ペーストであることが記載されている。また、同(1-6)の段落【0132】?【0134】の製造例1に、当該基体樹脂No.1は、エポキシ当量296のジエポキシ化合物であるエポキシ樹脂(グリシエノールPP-300P)を296部と、エポキシ当量190、数平均分子量380であるエポキシ樹脂(jER828EL)を1330部、モノメチルアミノエタノールを137部を反応させて得られた、アミン価41、数平均分子量2700のアミノ基含有変性エポキシ樹脂であることが記載されている。加えて、同(1-6)の段落【0137】の製造例6に、コスモネートM-200を270部、エチレングリコールモノブチルエーテル236部からブロック化ポリイソシアネート硬化剤が製造される旨記載されている。
そうすると、甲1には、「ジルコニウムフッ化水素酸と水酸化ビスマス、アミノ基含有変性エポキシ樹脂およびブロック化ポリイソシアネート硬化剤を含む電着塗料であって、
該アミノ基含有変性エポキシ樹脂は、数平均分子量2700であり、アミン価が41mgKOH/gであり、
該硬化剤が、ブロックイソシアネート硬化剤である、
電着塗料。」(以下、「甲1発明」という。)が記載されているといえる。

(2)甲2発明について

甲2には、上記2.(2)(2-4)の段落【0097】の実施例9に、実施例1と同様に、表2の配合量で電着塗料No.9を製造した旨記載されており、同段落【0098】の表2に、実施例9は、エマルションNo.1を294部、製造例23で得た55%顔料分散ペーストを52.4部(固形分28.8部)及び脱イオン水350部を含有するカチオン電着塗料No.9を644部得たことが記載されており、同(2-4)の段落【0089】及び【0091】の製造例9及び表1に、当該エマルションNo.1は、製造例7で得られた基体樹脂No.1が87.5部(固形分70部)と、製造例1で得られた硬化剤No.1を37.5部(固形分30部)とを混合して得られたエマルションであること、当該顔料分散ペーストNo.2は、顔料分散用樹脂8.3部(固形分5部)、酸化亜鉛3部、水酸化ビスマス1部を混合して得られた固形分55%の顔料分散ペーストであることが記載されている。また、同(2-4)の段落【0084】の製造例7に、当該基体樹脂No.1は、エピコート828EL(エポキシ樹脂)を1010gと、ジエタノールアミン160g及びジエチレントリアミンのケチミン化物65gを反応させて得られた、アミン価67、数平均分子量2000のカチオン性樹脂であることが記載されている。加えて、同(2-4)の段落【0070】?【0072】の製造例1から、コスモネートM-200を270部、ひまし油系ポリオールを160部、エチレングリコールモノブチルエーテルを190部からブロック化ポリイソシアネート化合物(硬化剤No.1)が製造される旨記載されている。
そうすると、甲2には、「酸化亜鉛と水酸化ビスマス、カチオン性樹脂および硬化剤を含む電着塗料であって、
該カチオン性樹脂は、数平均分子量2000であり、アミン価が67mgKOH/gであり、
該硬化剤が、ブロックイソシアネート硬化剤である、
電着塗料。」(以下、「甲2発明」という。)が記載されているといえる。

3 本件発明と甲1発明との対比・判断

(1)本件発明1について

ア 本件発明1と甲1発明との一致点・相違点

本件発明1と甲1発明を対比する。

甲1発明の「ジルコニウムフッ化水素酸と水酸化ビスマス」は、本願明細書の段落【0024】及び【0027】の記載からみて、同じ化合物であることから、本件発明1の「Bi、Zrから選択される1種またはそれ以上の金属を含む溶解金属化合物(A)」に相当し、甲1発明の「アミノ基含有変性エポキシ樹脂」は、甲1の上記2.(1)(1-6)の段落【0124】及び本願明細書の段落【0031】の記載からみて、同様の原料及び製法から得られているから、本件発明1の「アミン化樹脂(B)」に相当するといえる。また、甲1発明の「ブロック化ポリイソシアネート硬化剤」、「電着塗料」は、本件発明1の「硬化剤(C)」、「電着塗料組成物」に相当するといえる。
そうすると、本件発明1と甲1発明とは、「Bi、Zrから選択される1種またはそれ以上の金属を含む溶解金属化合物(A)、アミン化樹脂(B)および硬化剤(C)を含む電着塗料組成物であって、
該アミン化樹脂(B)は、数平均分子量2700であり、アミン価が41mgKOH/gであり、
該硬化剤が、ブロックイソシアネート硬化剤である、
電着塗料組成物。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

【相違点1】アミン化樹脂(B)において、本件発明1は、水酸基価が50?400mgKOH/gであるのに対して、甲1発明は、そのように明示されていない点。

【相違点2】溶解金属化合物(A)において、本件発明1は、硝酸でpH4に調整した20℃の水に対して、金属換算で0.1質量%以上が溶解する金属化合物であるのに対し、甲1発明は、そのように明示されていない点。

【相違点3】本件発明1は、アミン化樹脂(B)とブロックイソシアネート硬化剤とが、電着塗膜中において加熱硬化時に反応した場合における理論残存水酸基価が20?350mgKOH/gであるのに対して、甲1発明は、そのように明示されていない点。

【相違点4】本件発明1は、【数1】(式は略)に示される、理論残存水酸基価と、電着塗料組成物中におけるアミン化樹脂(B)およびブロックイソシアネート硬化剤の固形分濃度(質量%)の合計に対する電着塗料組成物中における溶解金属化合物(A)の金属換算濃度(質量%)との比率(R)が、20,000<R<400,000の関係を満たすのに対して、甲1発明は、そのように明示されていない点。

イ 相違点に関する判断

事案に鑑みて、はじめに、【相違点4】について検討する。

(イ-1)まず、甲1の上記2.(1)(1-6)の実施例1の記載から、理論残存水酸基価と、電着塗料組成物中におけるアミン化樹脂(B)およびブロックイソシアネート硬化剤の固形分濃度(質量%)の合計に対する電着塗料組成物中における溶解金属化合物(A)の金属換算濃度(質量%)との比率(R)(以下、「比率(R)」という。)を計算する。

(i)「理論残存水酸基価」について

甲1の上記2.(1)(1-6)の段落【0132】?【0134】の製造例1より、グリシエノールPP-300Pは、エポキシ当量が296のジエポキシ化合物であることから、分子量は296×2=592となる。
そして、グリシエノールPP-300P由来のエポキシ基モル数(296部÷分子量592×2=1モル)とjER828EL由来のエポキシ基モル数(1330部÷分子量380×2=7モル)の合計エポキシ基モル数8モルとなり、当該エポキシ基が開環して残存水酸基が8モル生じ、それに、モノメチルアミノエタノール由来の水酸基モル数(137部÷分子量75=1.83モル)を加算すると、製造例1の合計水酸基モル数は9.83モルとなる。
さらに、当該合計水酸基モル数を用いて、水酸基価を算出すると、9.83モル(合計水酸基モル数)÷2447g(原料の合計重量よりアミノ基含有変性エポキシ樹脂の重量を計算)×56.1(KOHの分子量)×1000=225.36mgKOH/gが「アミノ基含有変性エポキシ樹脂の水酸基価」となる。
上記製造例6において使用されているコスモネートM-200のイソシアネート含有量が31.5%であること(国際公開第2010/150699号の[0082]参照)を考慮すると、コスモネートM-200のイソシアネート基価は、0.315÷42.02(イソシアネート基の分子量)×56.1(KOHの分子量)×1000=420.75mgKOH/gである。
そして、製造例6によると、ブロック化ポリイソシアネート硬化剤中のポリイソシアネート化合物含有率が270部÷(270部+236部)×100=53.3%であるから、ブロック化ポリイソシアネート硬化剤のイソシアネート基価は、420.75×0.533=224.26mgKOH/gであり、基体樹脂No.1とブロック化ポリイソシアネート硬化剤との質量比が7:3であることも鑑みると、「理論残存水酸基価」は、225.36(上記「アミノ基含有変性エポキシ樹脂の水酸基価」)×0.7-224.26×0.3=90.47である。

(ii)比率(R)について

上記実施例1より、ジルコニウムフッ化水素酸の金属換算濃度は、1.4部(10%溶液を14質量部)×91.224(ジルコニウムの原子量)÷207.23(ジルコニウムフッ化水素酸の分子量)÷1000部(浴の質量部)×100=0.0616質量%であり、水酸化ビスマスの金属換算濃度は、1.0部×208.98(ビスマスの原子量)÷259.98(水酸化ビスマスの分子量)÷1000部(浴の質量部)×100=0.0804質量%であること、基体樹脂No.1濃度は、70部÷1000部×100=7質量%、ブロック化ポリイソシアネート硬化剤の濃度は30部÷1000部×100=3質量%であることを考慮すると、Rの値は、90.47(理論残存水酸基価)÷[(0.0616+0.0804)÷(7+3)]=6371となる。

(イ-2)一方、上記2.(1)(1-6)の段落【0147】【表4】の実施例12に記載のカチオン電着塗料No.12は、10%ジルコニウムフッ化水素酸14部に代えて、硝酸銅を18部を使用し、10%硝酸の配合量を4.2部とする以外、実施例1のカチオン電着塗料No.1と同様の組成を用いて得られた具体例が記載されており、カチオン電着塗料No.12における水酸化ビスマスの金属換算濃度を計算すると、上記3.で検討したとおり、0.0804質量%であるから、比率(R)は、90.47(上記「理論残存水酸基価」)÷[0.0804÷(7+3)]=11252となる。

(イ-3)よって、甲1発明の認定箇所である実施例1(実施例12も同様)において、比率(R)を計算すると、本願発明1の範囲20,000<R<400,000から外れるものとなるから、上記【相違点4】は、実質的な相違点となるものである。

(イ-4)さらに、上記【相違点4】が、当業者が容易に想到し得るものであるのか否かについて検討するに、甲1の段落【0095】には、「カチオン電着塗料組成物の製造は、上記エマルションと顔料分散ペーストを、脱イオン水等で調整して、浴固形分濃度が通常5?40質量%、好ましくは8?25質量%、・・・の範囲内となるように行うことができる。」旨記載され、段落【0083】に、「なお本発明に用いられる金属化合物(C)の濃度は、無処理鋼板上の防食性向上の観点から、カチオン電着塗料組成物の質量に対して、金属元素の質量で10?10,000ppm、好ましくは150?8,000ppm、さらに好ましくは250?5,000ppmである。」旨記載されている。
そこで、甲1発明において、これらの記載から比率(R)を20,000<R<400,000とすることができるかを検討するに、本件明細書の段落【0154】の【表2】の実施例4(ただし本件発明1に対する参考例)と同段落【0155】の【表3】の比較例5とを対比すると、両者は溶解金属化合物(A)の種類とアミン化樹脂(B)、硬化剤(C)において同じものを用いており、溶解金属化合物(A)の量が後者が前者よりも3倍となっている一方で、比率(R)は前者が9000、後者が3000を示しており、通常、溶解金属化合物(A)の濃度が高いほど、被塗物に対する金属析出量が多くなり、エッジ腐食試験やCCT(サイクル腐食試験)の試験結果が良好となる傾向が想定されるにもかかわらず、【表2】の実施例4及び【表3】の比較例5の試験結果は、後者が前者よりもCCT(サイクル腐食試験)の結果が大きく劣っていることが示されている。
これを踏まえると、本件発明1は、CCT(サイクル腐食試験)には、単に溶解金属化合物(A)の量だけでなく、比率(R)、つまり、塗膜中に残存する水酸基価と溶解金属化合物(A)の量との関係が大きく関わることを発見し、比率(R)を本件発明1の構成要件としたものである。
そして、甲1には、前述のとおり、エマルションと顔料分散ペーストの濃度や金属化合物(C)の濃度について特定の幅をもった範囲が示唆されているものの、残存する水酸基価について着目していない甲1に記載の発明において、甲1の記載に当業者が接したとしても、比率(R)を20,000<R<400,000とすることを認識することができるとはいえない。
そうすると、たとえ溶解金属化合物、アミン化樹脂及び硬化剤を含む電着塗料組成物の技術分野において、本件発明1に記載の特定の溶解金属化合物、特定のアミン化樹脂を用い、たまたま理論残存水酸基価を20?350mgKOH/gと設定することが周知の技術的事項であったとしても、残存する水酸基価と溶解金属化合物の量との関係に着目し、比率(R)を、本件発明1に重複する範囲とすることが当業者ならば容易に想到し得るものであるともいえない。

そして、本件発明1は、本件明細書の段落【0008】に記載される「無処理鋼板上に形成された電着塗膜の耐食性、特に、高温下での耐温塩水浸漬性、無処理鋼板上に形成された電着塗膜上の3コート1ベーク塗装方式における複層塗膜において複合腐食サイクル試験による耐食性に優れるカチオン電着塗料組成物」が得られたものであるから、本件発明1は、甲1発明及び甲1に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(2)本件発明2について

本件発明2は、本件発明1を引用し、さらに亜硝酸金属塩を添加することを特定したものであるから、本件発明1と同様に、本件発明2は、甲1発明及び甲1に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(3)本件発明3,4について

本件発明3は、本件発明1の発明特定事項にさらに可塑剤やキレート酸を添加することに関する限定を行ったものであるから、本件発明1と同様に、本件発明3,4は、甲1発明及び甲1に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(4)本件発明8について

本件発明8は、本件発明2を引用し、溶解金属化合物の固形分含有量、亜硝酸金属塩の含有量と樹脂固形分量とを特定したものであるから、本件発明2と同様に、本件発明8は、甲1発明及び甲1に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(5)本件発明9について

本件発明9は、本件発明1の電着塗料組成物を、ジルコニウム化成処理組成物によって形成された化成被膜を有する被塗物に、電着塗装して電着塗膜形成し、得られた電着塗膜を加熱硬化させて硬化電着塗膜を得る工程を包含する、ジルコニウム化成処理被膜を有する被塗物に電着塗膜を形成する方法であるから、本件発明1と同様に、本件発明9は、甲1発明及び甲1に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

4 本件発明と甲2発明との対比・判断

(1)本件発明1について

ア 本件発明1と甲2発明との一致点・相違点

本件発明1と甲2発明を対比する。

甲2発明の「酸化亜鉛と水酸化ビスマス」は、本願明細書の段落【0024】及び【0026】の記載からみて、同じ化合物であることから、本件発明1の「Bi、Znから選択される1種またはそれ以上の金属を含む溶解金属化合物(A)」に相当し、甲2発明の「カチオン性樹脂」は、甲2の上記2.(2)(2-4)の段落【0084】及び本願明細書の段落【0031】の記載からみて、同様の原料及び製法から得られているから、本件発明1の「アミン化樹脂(B)」に相当するといえる。また、甲2発明の「電着塗料」は、本件発明1の「硬化剤(C)」、「電着塗料組成物」に相当するといえる。
そうすると、本件発明1と甲2発明は、
「Bi、Znから選択される1種またはそれ以上の金属を含む溶解金属化合物(A)、アミン化樹脂(B)および硬化剤(C)を含む電着塗料組成物であって、
該アミン化樹脂(B)は、数平均分子量2000であり、アミン価が67mgKOH/gであり、
該硬化剤が、ブロックイソシアネート硬化剤である、
電着塗料組成物。」である点で一致し、以下の点で一応相違する。

【相違点5】アミン化樹脂(B)において、本件発明1は、水酸基価が50?400mgKOH/gであるのに対して、甲2発明は、そのように明示されていない点。

【相違点6】溶解金属化合物(A)において、本件発明1は、硝酸でpH4に調整した20℃の水に対して、金属換算で0.1質量%以上が溶解する金属化合物であるのに対し、甲2発明は、そのように明示されていない点。
【相違点7】本件発明1は、アミン化樹脂(B)とブロックイソシアネート硬化剤とが、電着塗膜中において加熱硬化時に反応した場合における理論残存水酸基価が20?350mgKOH/gであるのに対して、甲2発明は、そのように明示されていない点。

【相違点8】本件発明1は、【数1】(式は略)に示される、理論残存水酸基価と、電着塗料組成物中におけるアミン化樹脂(B)およびブロックイソシアネート硬化剤の固形分濃度(質量%)の合計に対する電着塗料組成物中における溶解金属化合物(A)の金属換算濃度(質量%)との比率(R)が、4,000<R<400,000の関係を満たすのに対して、甲2発明は、そのように明示されていない点。

イ 相違点に関する判断

事案に鑑みて、はじめに、【相違点8】について検討する。

(イ-1)まず、甲2の上記2.(2)(2-4)の実施例1及び実施例9の記載から、理論残存水酸基価と、電着塗料組成物中におけるアミン化樹脂(B)および硬化剤の固形分濃度(質量%)の合計に対する電着塗料組成物中における溶解金属化合物(A)の金属換算濃度(質量%)との比率(R)(以下、「比率(R)」という。)を計算する。

(i)「理論残存水酸基価」について

甲2の上記2.(2)(2-4)の段落【0084】の製造例7より、エピコート828ELは、エポキシ当量が190のジエポキシ化合物であることから(国際公開第2008/102550号の段落【0215】参照)、分子量は190×2=380となる。
そして、エピコート828EL由来のエポキシ基モル数は、1010g÷分子量380×2=5.32モルとなり、当該エポキシ基が開環して残存水酸基が5.32モル生じ、それに、ジアタノールアミン由来の水酸基モル数(160g÷分子量105.14×2=3.04モル)とジエチレントリアミンのケチミン化物65g由来の水酸基モル数(65g÷分子量267.49×2=0.49モル)を加算すると、製造例7の合計水酸基モル数は8.85モルとなる。なお、ジエチレントリアミンのケチミン化物は、汎用品であるジエチレントリアミンとメチルイソブチルケトンの反応物であることは明らかであるから、その分子量として、267.49を利用した。
さらに、当該合計水酸基モル数を用いて、水酸基価を算出すると、8.85モル(合計水酸基モル数)÷1625(原料の合計重量よりカチオン性樹脂の重量を計算)×56.1(KOHの分子量)×1000=305.53mgKOH/gがカチオン性樹脂の水酸基価となる。
上記製造例1において使用されているコスモネートM-200のイソシアネート含有量が31.5%であること(国際公開第2010/150699号の[0082]参照)を考慮すると、コスモネートM-200のイソシアネート基価は、0.315÷42.02(イソシアネート基の分子量)×56.1(KOHの分子量)×1000=420.75mgKOH/gである。
そして、製造例1によると、硬化剤中のポリイソシアネート化合物含有率が270部÷(270部+160部+190部)×100=43.5%であるから、硬化剤のイソシアネート基価は、420.75×0.435=183.03mgKOH/gであり、基体樹脂No.1と硬化剤との質量比が7:3であることも鑑みると、「理論残存水酸基価」は、305.53(上記「カチオン性樹脂の水酸基価」)×0.7-183.03×0.3=158.96である。

(ii)比率(R)について

上記実施例9は、製造例23より得られた顔料分散ペーストNo.2を使用しており、当該製造例23は、ジオクチル錫オキサイド1部に代えて酸化亜鉛を3部含ませた固形分55%のペーストであることから、脱イオン水を21.9部加えて合計量56部(固形分30.8部)に調製したと考えられる。
そして、同(2-4)の表2の実施例9に、52.4部(固形分28.8部)と記載されているから、酸化亜鉛の金属換算濃度は、(3部×65.38(亜鉛の原子量)÷81.40(酸化亜鉛の分子量)×52.4部÷56部)÷644部(塗料の全量)×100=0.35質量%であり、水酸化ビスマスの金属換算濃度は、[1.0部×208.98(ビスマスの原子量)÷259.98(水酸化ビスマスの分子量)×52.4部÷56部]÷644部(塗料の全量)×100=0.117質量%であること、基体樹脂No.1の濃度は、70部÷644部×100=10.87質量%、硬化剤の濃度は30部÷644部×100=4.66質量%であることを考慮すると、Rの値は、158.96(理論残存水酸基価)÷[(0.35+0.117)÷(10.87+4.66)]=5286となる。

(イ-2)よって、甲2発明の認定箇所である実施例9において、比率(R)を計算すると、本願発明1の範囲20,000<R<400,000から外れるものとなるから、上記【相違点8】は、実質的な相違点となるものである。

(イ-3)さらに、甲2発明において、これらの記載から比率(R)を20,000<R<400,000とすることができるかを検討するに、本件明細書の段落【0154】の【表2】の実施例4(ただし本件発明1に対する参考例)と同段落【0155】の【表3】の比較例5とを対比すると、両者は溶解金属化合物(A)の種類とアミン化樹脂(B)、硬化剤(C)において同じものを用いており、溶解金属化合物(A)の量が後者が前者よりも3倍となっている一方で、比率(R)は前者が9000、後者が3000を示しており、通常、溶解金属化合物(A)の濃度が高いほど、被塗物に対する金属析出量が多くなり、エッジ腐食試験やCCT(サイクル腐食試験)の試験結果が良好となる傾向が想定されるにもかかわらず、【表2】の実施例4及び【表3】の比較例5の試験結果は、後者が前者よりもCCT(サイクル腐食試験)の結果が大きく劣っていることが示されている。
これを踏まえると、本件発明1は、CCT(サイクル腐食試験)には、単に溶解金属化合物(A)の量だけでなく、比率(R)、つまり、塗膜中に残存する水酸基価と溶解金属化合物(A)の量との関係が大きく関わることを発見し、比率(R)を本件発明1の構成要件としたものである。
そして、残存する水酸基価について着目していない甲2に記載の発明において、甲2の記載に当業者が接したとしても、比率(R)を20,000<R<400,000とすることを認識することができるとはいえない。
そうすると、たとえ溶解金属化合物、アミン化樹脂及び硬化剤を含む電着塗料組成物の技術分野において、本件発明1に記載の特定の溶解金属化合物、特定のアミン化樹脂を用い、たまたま理論残存水酸基価を20?350mgKOH/gと設定することが周知の技術的事項であったとしても、残存する水酸基価と溶解金属化合物の量との関係に着目し、比率(R)を、本件発明1に重複する範囲とすることが当業者ならば容易に想到し得るものであるともいえない。

そして、本件発明1は、本件明細書の段落【0008】に記載される「無処理鋼板上に形成された電着塗膜の耐食性、特に、高温下での耐温塩水浸漬性、無処理鋼板上に形成された電着塗膜上の3コート1ベーク塗装方式における複層塗膜において複合腐食サイクル試験による耐食性に優れるカチオン電着塗料組成物」が得られたものであるから、本件発明1は、甲2発明及び甲2に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(2)本件発明2について

本件発明2は、本件発明1を引用し、さらに亜硝酸金属塩を添加することを特定したものであるから、本件発明1と同様に、本件発明2は、甲2発明及び甲2に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(3)本件発明4について

本件発明4は、本件発明1の発明特定事項にさらにキレート酸を添加することに関する限定を行ったものであるから、本件発明1と同様に、本件発明4は、甲2発明及び甲2に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(4)本件発明8について

本件発明8は、本件発明2を引用し、溶解金属化合物の固形分含有量、亜硝酸金属塩の含有量と樹脂固形分量とを特定したものであるから、本件発明2と同様に、本件発明8は、甲2発明及び甲2に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(5)本件発明9について

本件発明9は、本件発明1の電着塗料組成物を、ジルコニウム化成処理組成物によって形成された化成被膜を有する被塗物に、電着塗装して電着塗膜形成し、得られた電着塗膜を加熱硬化させて硬化電着塗膜を得る工程を包含する、ジルコニウム化成処理被膜を有する被塗物に電着塗膜を形成する方法であるから、本件発明1と同様に、本件発明9は、甲2発明、甲2に記載の事項及び甲1に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。


第6 取消理由で採用しなかった申立理由

異議申立人は、申立理由として、本件発明1,2,4に対する、甲2に基づく特許法第29条第1項第3号違反についても主張するが、上記第5 4(1)で述べたように、本件発明1と甲2に記載された発明(甲2発明)との間には、実質的な相違点(【相違点8】)が存在する。
そうすると、本件発明1及び、本件発明1の発明特定事項をすべて有する本件発明2,4は、いずれも甲2に記載された発明であるということはできない。


第7 異議申立人の平成30年7月5日付け意見書(以下、単に「意見書」という。)における主な主張について

1 取消理由2について

(1)異議申立人の主張

標記意見書における、取消理由2についての異議申立人の主張は、概ね以下のとおりである(意見書第16,17頁)。

「しかし、甲第1号証には、その段落【0095】に
「カチオン電着塗料組成物の製造は、上記エマルションと顔料分散ペーストを、脱イオン水等で調整して、浴固形分濃度が通常5?40質量%、・・・となるように行うことができる。」(下線付加)
と記載されている。

また、甲第1号証には、その【0088】に
「なお本発明に用いられる金属化合物(C)の濃度は、無処理鋼板上の防食性向上の観点から、カチオン電着塗料組成物の質量に対して、金属元素の質量で10?10,000ppm、好ましくは150?8,000ppm、さらに好ましくは250?5,000ppmである。」(下線付加)
との記載がされている。

また、甲第3号証?甲第5号証について後述するように比率(R)が20,000<R<400,000を満たす電着塗料組成物は、本件特許優先日当時、多数存在していた。

従って、防食性を向上すべく、甲第1号証の実施例1、12に記載のカチオン電着塗料組成物の固形分濃度、ジルコニウムフッ化水素酸、水酸化ビスマスの濃度を調整して、比率(R)が上記範囲にあるような電着塗料組成物を作製することは、当業者であれば容易に相当し得る。

同様に、甲第2号証の実施例9に記載のカチオン電着塗料No.9の固形分濃度、ビスマスの濃度を調整して、比率(R)が上記範囲にあるような電着塗料組成物を作製することは、当業者であれば容易に相当し得る。

また、本件特許明細書の表2には、実施例4(R=9000)と実施例9(R=30000)とが、エッジ腐食、CCT、塗膜物性、塗膜外観、安定性の全ての項目において同一の性能だったことが記載されている。また、当該表2には、実施例17(R=30000)及び実施例18(R=4400)も、全ての項目において同一の性能であったことが記載されている。従って、比率(R)の下限値20,000にいわゆる臨界的意義がないことは明らかである。」

(2)当該主張についての検討

第5 3(1)及び4(1)で述べたように、残存する水酸基価と溶解金属化合物の量との関係に着目していない甲1発明又は甲2発明において、それぞれ実施例で求められた比率(R)6371、11252、5286を、本件発明1に重複する範囲とすることは動機もないし、本件発明の優れた効果についても、本件明細書より看取できるといえるから、異議申立人の上記の主張は、採用できない。

2 新たに提出された甲第3号証?甲第5号証について

異議申立人は、意見書の第18頁?第26頁において、甲第3号証?甲第5号証に記載された発明は、それぞれ、本件発明1と同一であるか、本件発明1は、甲第3号証?甲第5号証それぞれに記載された事項に基づいて容易に発明できたものと主張し、新たに甲第3号証?甲第5号証を提出した。

しかしながら、これらの証拠に基づく取消理由は、訂正により追加された事項についての見解など訂正の請求の内容に付随して生じる理由であるとも、適切な取消理由を構成することが一見して明らかであるともいえないから、本件異議申立においては採用しない。


3 記載不備に関する新たな取消理由について

(1)理論残存水酸基価の算出方法について

異議申立人は、「上記主張により、実施例1の電着塗料組成物における理論残存水酸基価が、段落【0110】に記載の電着塗料樹脂エマルション(EmA)及び段落【0119】に記載のブロックイソシアネート硬化剤(1)のみから算出されていることが明らかになった。
しかし、本件特許明細書段落【0130】に記載のように、電着塗料組成物には、樹脂エマルション(EmA)だけでなく、製造例5で得られた顔料分散ペーストも配合されていることが記載されている。ここで、本件特許明細書段落【0128】には製造例5の顔料分散樹脂の製法が製造例3に記載されている。
具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂385部、ビスフェノールA120部、オクチル酸95部、2-エチル-4-メチルイミダゾール1%溶液1部を仕込んで、反応させ、2-エチルヘキサノール化ハーフブロック化トリレンジイソシアネートのメチルイソブチルケトン溶液(固形分95%)198部を加え、反応混合物を保持した後、エチレングリコールモノn-ブチルエーテル157を加え、85?95℃に冷却して均一化させ、ジエチレントリアミンジケチミン(固形分73%のメチルイソブチルケトン溶液)277部、エチレングリコールモノn-ブチルエーテル13部を加え、アミン化樹脂を製造し、ついで18部のイオン交換水とギ酸8部を仕込み上記アミン化樹脂を混合、撹拌し、イオン交換水200部を混合して、顔料分散樹脂(平均分子量2,200)の樹脂溶液(樹脂固形分25%)を得たことが記載されている。
上記製法から、顔料分散樹脂の水酸基価は172.75mgKOH/g、アミン価は146.92mgKOH/g(そのうち1級アミン価は97.95mgKOH/g)と算出される。
従って、当該顔料分散樹脂も、訂正請求項1に記載のアミン化樹脂(B)の要件を満たす。
しかし、前述のように理論残存水酸基価を算出する際に顔料分散樹脂に含まれる水酸基、アミンを考慮せずに計算がされている。そして本件特許明細書には、当該顔料分散樹脂を考慮せずに理論残存水酸基価を算出している理由について一切記載されていない。訂正請求項1の規定から比率(R)を算出するためには理論残存水酸基価を計算することが必須である。
従って、当業者は、本件特許明細書の記載からでは、ある電着塗料組成物が有する理論残存水酸基価を算出することができず、従って、比率(R)を算出することができない。従って、当業者が訂正発明1を実施することができないため本件特許は特許法第36条第4項第1号の要件を満たさない。同様の理由から訂正発明1の効果は本件特許明細書の記載により裏付けられていないため同条第6項第1号の要件を満たさない。さらに、電着塗料組成物に含まれるどの樹脂に基づき算出すればよいかが不明という点で理論残存水酸基価、比率(R)が意味するところが不明であるため本件特許は特許法第36条第6項第2号の規定を満たさない。」と主張している(意見書第34?37頁)。

しかしながら、本件発明においては、確かに顔料分散樹脂はアミン化樹脂(B)に相当するものの、その添加量は、電着塗料用顔料分散ペースト149g中、50gであること、さらに、電着塗料組成物の樹脂エマルションの樹脂固形分量10質量%に対して、顔料分散ペーストは1質量%の添加割合であることから、顔料分散樹脂の存在は、理論残存水酸基価の算出値に大きく影響を与えるものではなく、電着塗料組成物の樹脂エマルションに含まれるアミン化樹脂の量に比べると、極めて微量であることが理解できる。

本件発明は、残存する水酸基価と溶解金属化合物の量とが特定の関係にあることに着目したものであるから、電着塗料組成物に積極的に添加されるアミン化樹脂と溶解金属化合物の量を計算することは行うことができる程度のことである。
そうすると、異議申立人の上記の主張は、採用できない。

(2)比率(R)の算出方法について

異議申立人は、「しかし、理論残存水酸基価の計算値そのものを使用するのではなく、求めた数値のうち上2桁のみ使用するという計算方法について本件特許明細書には一切説明がなく、また、本件特許が属する技術分野における技術常識とも考えられない。また、仮に理論残存水酸基価の計算値のうち上2桁のみ使用するにしても3桁目を四捨五入するのではなく切り捨てた数字を使用する計算方法についても本件特許明細書には一切説明がなく、また、本件特許が属する技術分野における技術常識とも考えられない。上記意見書において特許権者も認めるように、理論残存水酸基価の計算値(例えば、「155」)を用いるか上2桁のみ使用し、3桁意向は切り捨てた数値(例えば、「150」)を使用するかで比率(R)の値は異なってくる。例えば、理論残存水酸基価の計算値が実施例1と同様に155であり「アミン化樹脂(B)の固形分濃度(質量%)+ブロックイソシアネート硬化剤の固形分濃度(質量%)」も実施例1と同様に10質量%であって、溶融金属化合物(A)の金属換算濃度(質量%)が0.077質量%の電着塗料組成物の場合、計算値「155」を用いて比率(R)を計算すると20130(=155÷(0.077÷10))となり、訂正請求項1の要件を満たすが、上2桁のみ使用し、3桁以降は切り捨てた「150」を使用すると比率(R)は19480(=150÷(0.077÷10))となり、訂正請求項1の要件を満たさないこととなる。

上記のように理論残存水酸基価の計算値を用いるか、その数値を一定の桁数で切り捨てた数値を用いるかは、得られる比率(R)に影響するにもかかわらず、かかる点について本件特許明細書には説明がされておらず、従って、比率(R)を算出することができない。従って、当業者が訂正発明1を実施することができないため本件特許は特許法第36条第4項第1号の要件を満たさない。同様の理由から訂正発明1の効果は本件特許明細書の記載により裏付けられていないため同条第6項第1号の要件を満たさない。さらに、前記平成30年5月24日付け意見書において主張されているように理論残存水酸基価の算出方法には実際の計算値を求める方法と上2桁のみ使用し、3桁以降は切り捨てた数値を求める方法との少なくとも2つの方法があるところ、本件特許明細書にはこれらのうちいずれの方法で算出するかが明示されておらず、従って、理論残存水酸基価及び比率(R)の算出方法が本件明細書からは不明であるため本件特許は特許法第36条第6項第2号の規定を満たさない。」と主張している(意見書第37?39頁)。

しかしながら、平成30年5月24日付け意見書の記載からみて、本件発明においては、理論残存水酸基価は、上2桁のみ使用し、3桁以降は切り捨てた数値を用いることが明らかになったのであるから、その理論残存水酸基価を用いて算出した比率(R)が、本件発明1を満たさないものは、本件発明1の範囲のものではないといえる。

そうすると、異議申立人の上記の主張は、採用できない。


第8 むすび

上記「第4」ないし「第7」で検討したとおり、本件特許1ないし4,8,9は、特許法第29条第1項第3号及び同法同条第2項の規定に違反してされたものであるということはできず、同法第113条第2号に該当するものではないから、上記取消理由1,2及び上記申立理由によっては、本件特許1ないし4,8,9を取り消すことはできない。
また、他に本件特許1ないし4,8,9を取り消すべき理由を発見しない。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Ti、Bi、Zn、Y、Nd、LaおよびZrからなる群から選択される1種またはそれ以上の金属を含む溶解金属化合物(A)、アミン化樹脂(B)および硬化剤(C)を含む電着塗料組成物であって、
該アミン化樹脂(B)は、数平均分子量が1,000?5,000であり、アミン価が20?100mgKOH/gであり、かつ、水酸基価が50?400mgKOH/gであり、
該硬化剤(C)がブロックイソシアネート硬化剤であり、
前記溶解金属化合物(A)は、硝酸でpH4に調整した20℃の水に対して、金属換算で0.1質量%以上が溶解する金属化合物であり、
該アミン化樹脂(B)と、該ブロックイソシアネート硬化剤とが、電着塗膜中において加熱硬化時に反応した場合における理論残存水酸基価が20?350mgKOH/gであり、
下記数式に示される、該理論残存水酸基価と、電着塗料組成物中におけるアミン化樹脂(B)およびブロックイソシアネート硬化剤の固形分濃度(質量%)の合計に対する電着塗料組成物中における溶解金属化合物(A)の金属換算濃度(質量%)との比率(R)が、20,000<R<400,000の関係を満たす、
電着塗料組成物。
【数1】

【請求項2】
前記電着塗料組成物が、さらに亜硝酸金属塩(D)を含む、請求項1記載の電着塗料組成物。
【請求項3】
前記電着塗料組成物が、さらに可塑剤を含む、請求項1または2記載の電着塗料組成物。
【請求項4】
前記電着塗料組成物が、さらに、スルホン酸、有機ホスホン酸、有機カルボン酸、アミノ酸、アミノカルボン酸、糖酸およびカルボキシル基含有ビニル樹脂からなる群から選択される少なくとも1種であるキレート酸(E)を含み、前記キレート酸は溶解金属化合物(A)に由来する金属イオンをキレートする酸である、請求項1?3いずれかに記載の電着塗料組成物。
【請求項5】
前記電着塗料組成物が、さらにアミノシラン化合物(F)を含む、請求項1?4いずれかに記載の電着塗料組成物。
【請求項6】
前記溶解金属化合物(A)が亜鉛化合物であって、
該亜鉛化合物が、一部が溶解せずにカチオン分散剤で分散された、体積平均粒子径D50が3μm以下であるリン酸亜鉛であり、該カチオン分散剤がアミノシラン化合物である、
請求項1?5いずれかに記載の電着塗料組成物。
【請求項7】
前記電着塗料組成物が、さらにアルミニウム錯体(G)を含む、請求項1?6いずれかに記載の電着塗料組成物。
【請求項8】
電着塗料組成物に対する前記溶解金属化合物(A)の固形分含有量は、金属元素換算で0.001?1質量%であり、
電着塗料組成物に対する前記亜硝酸金属塩(D)の含有量は0.001?1質量%であり、
電着塗料組成物の樹脂固形分量が1?30質量%である、
請求項2?7いずれかに記載の電着塗料組成物。
【請求項9】
ジルコニウム化成処理組成物によって形成された化成被膜を有する被塗物に、請求項1?8いずれかに記載の電着塗料組成物を電着塗装して電着塗膜形成し、得られた電着塗膜を加熱硬化させて硬化電着塗膜を得る工程を包含する、ジルコニウム化成処理被膜を有する被塗物に電着塗膜を形成する方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2018-08-31 
出願番号 特願2012-194345(P2012-194345)
審決分類 P 1 652・ 113- YAA (C09D)
P 1 652・ 121- YAA (C09D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 ▲吉▼澤 英一西澤 龍彦上條 のぶよ  
特許庁審判長 佐々木 秀次
特許庁審判官 阪▲崎▼ 裕美
日比野 隆治
登録日 2017-06-23 
登録番号 特許第6161243号(P6161243)
権利者 日本ペイント・オートモーティブコーティングス株式会社
発明の名称 電着塗料組成物  
代理人 山田 卓二  
代理人 特許業務法人三枝国際特許事務所  
代理人 田中 光雄  
代理人 田中 光雄  
代理人 後藤 裕子  
代理人 後藤 裕子  
代理人 山田 卓二  
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