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審決分類 審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載  H01G
管理番号 1344843
異議申立番号 異議2018-700132  
総通号数 227 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-11-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-02-16 
確定日 2018-08-31 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6180010号発明「電解コンデンサの製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6180010号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[1-6]について訂正することを認める。 本件特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6180010号は、平成24年10月18日に特許出願したものであって、平成29年7月28日に特許権の設定登録がなされたものである。その後、当該特許に対し、平成30年2月16日に特許異議申立人筒井雅人(以下、「異議申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、当審において同年4月24日付けで取消理由を通知し、特許権者のテイカ株式会社から同年6月26日付けで意見書および訂正請求書が提出された。


第2 訂正請求による訂正の適否
1 訂正請求の趣旨および訂正の内容
平成30年6月26日付け訂正請求された訂正(以下、「本件訂正」という。)の趣旨は、
「特許第6180010号の特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1?6について訂正することを求める。」
ものである。
そして、本件訂正の内容は以下のとおりである。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1を削除する。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に「導電性高分子の分散液の含浸後の乾燥を、形成される導電性高分子層の表面を乾燥し内部は完全乾燥しない状態に部分乾燥することによって行う請求項1記載の電解コンデンサの製造方法。」と記載されているのを、
引用形式から独立形式に改めて、
「導電性高分子を固体電解質として用いる電解コンデンサの製造にあたり、アルミニウム、タンタルおよびニオブよりなる群から選ばれる少なくとも1種の弁金属の多孔体と上記弁金属の酸化被膜からなる誘電体層を有するコンデンサ素子に導電性高分子の分散液を含浸した後、乾燥する操作を少なくとも1回行って、コンデンサ素子に導電性高分子層を形成した後、該コンデンサ素子に沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤または沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤を20質量%以上100質量%未満で含有する溶液を含浸した後、乾燥する操作を少なくとも1回行うことを経て電解コンデンサを製造方法であって、導電性高分子の分散液の含浸後の乾燥を、形成される導電性高分子層の表面を乾燥し内部は完全乾燥しない状態に部分乾燥することによって行う電解コンデンサの製造方法。」と訂正する。
(なお、訂正された箇所は下線で示す。以下も同様。)

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3に「沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤が、エチレングリコール、γ-ブチロラクトンまたはジメチルスルホキシドである請求項1または2記載の電解コンデンサの製造方法。」と記載されているのを、
請求項1を引用するものについて独立形式に改めて、
「導電性高分子を固体電解質として用いる電解コンデンサの製造にあたり、アルミニウム、タンタルおよびニオブよりなる群から選ばれる少なくとも1種の弁金属の多孔体と上記弁金属の酸化被膜からなる誘電体層を有するコンデンサ素子に導電性高分子の分散液を含浸した後、乾燥する操作を少なくとも1回行って、コンデンサ素子に導電性高分子層を形成した後、該コンデンサ素子に沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤または沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤を20質量%以上100質量%未満で含有する溶液を含浸した後、乾燥する操作を少なくとも1回行うことを経て電解コンデンサを製造方法であって、沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤が、エチレングリコール、γ-ブチロラクトンまたはジメチルスルホキシドである電解コンデンサの製造方法。」と訂正する。

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4に「沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤を20質量%100質量%未満で含有する溶液が、沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤を炭素数が1?4のアルコールまたは水に溶解させたものである請求項1または2記載の電解コンデンサの製造方法。」と記載されているのを、
請求項1を引用するものについて独立形式に改めて、
「導電性高分子を固体電解質として用いる電解コンデンサの製造にあたり、アルミニウム、タンタルおよびニオブよりなる群から選ばれる少なくとも1種の弁金属の多孔体と上記弁金属の酸化被膜からなる誘電体層を有するコンデンサ素子に導電性高分子の分散液を含浸した後、乾燥する操作を少なくとも1回行って、コンデンサ素子に導電性高分子層を形成した後、該コンデンサ素子に沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤または沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤を20質量%以上100質量%未満で含有する溶液を含浸した後、乾燥する操作を少なくとも1回行うことを経て電解コンデンサを製造方法であって、沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤を20質量%100質量%未満で含有する溶液が、沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤を炭素数が1?4のアルコールまたは水に溶解させたものである電解コンデンサの製造方法。」と訂正する。

(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項5に「沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤または沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤を20質量%以上100%未満で含有する溶液が、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基およびカルボキシエステル基よりなる群から選ばれる少なくとも2種の官能基を有するベンゼン系化合物を少なくとも1種含有する請求項1または2記載の電解コンデンサの製造方法。」と記載されているのを、
請求項1を引用するものについて独立形式に改めて、
「導電性高分子を固体電解質として用いる電解コンデンサの製造にあたり、アルミニウム、タンタルおよびニオブよりなる群から選ばれる少なくとも1種の弁金属の多孔体と上記弁金属の酸化被膜からなる誘電体層を有するコンデンサ素子に導電性高分子の分散液を含浸した後、乾燥する操作を少なくとも1回行って、コンデンサ素子に導電性高分子層を形成した後、該コンデンサ素子に沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤または沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤を20質量%以上100質量%未満で含有する溶液を含浸した後、乾燥する操作を少なくとも1回行うことを経て電解コンデンサを製造方法であって、沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤または沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤を20質量%以上100%未満で含有する溶液が、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基およびカルボキシエステル基よりなる群から選ばれる少なくとも2種の官能基を有するベンゼン系化合物を少なくとも1種含有する電解コンデンサの製造方法。」と訂正する。

(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項6に「沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤または沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤を20質量%以上100%未満で含有する溶液が、さらにグリシジル化合物またはアルコキシシラン化合物を少なくとも1種含有することを特徴とする請求項1?5のいずれかに記載の電解コンデンサの製造方法。」と記載されているのを、
請求項1との引用関係を解消して、請求項2ないし5のいずれかに従属するものとし、
「沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤または沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤を20質量%以上100%未満で含有する溶液が、さらにグリシジル化合物またはアルコキシシラン化合物を少なくとも1種含有することを特徴とする請求項2?5のいずれかに記載の電解コンデンサの製造方法。」と訂正する。

2 一群の請求項について
本件訂正に係る本件訂正前の請求項1ないし6について、請求項2ないし6は請求項1を引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。よって、本件訂正前の請求項1ないし6に対応する本件訂正の請求項1ないし6は、特許法第120条の5第4項に規定する関係を有する一群の請求項である。

3 訂正の適否の判断
(1)訂正事項1
ア.訂正の目的について
訂正事項1は、請求項1を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。

イ.新規事項の追加、特許請求の範囲の拡張又は変更について
訂正事項1は、請求項を削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
また、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。

(2)訂正事項2ないし5
ア.訂正の目的について
訂正事項2ないし5は、訂正前の請求項2ないし5がそれぞれ請求項1の記載を引用する記載であるところ、訂正事項1によって請求項1が削除されたことに伴い、その引用関係を解消して、それぞれ独立形式の請求項2ないし5とするための訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものにすること」を目的とするものである。

イ.新規事項の追加、特許請求の範囲の拡張又は変更について
訂正事項2ないし5は、実質的な内容の変更を伴うものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
また、訂正事項2ないし5は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。

(3)訂正事項6
ア.訂正の目的について
訂正事項6は、訂正事項1によって請求項1が削除されたことに伴い、請求項6が請求項1を引用しないものにする訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。

イ.新規事項の追加、特許請求の範囲の拡張又は変更について
訂正事項6は、実質的な内容の変更を伴うものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
また、訂正事項6は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。

4 まとめ
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号および第4号に掲げる事項を目的とし、かつ同条第4項、及び、同条第9項で準用する同法第126条第5項および第6項の規定に適合するから、本件訂正を認める。


第3 本件特許異議の申立てについて
本件特許異議申立は、請求項1に係る特許に対するものであるが、「訂正事項1」のとおり、請求項1は訂正により削除された。
したがって、本件特許異議申立は、対象となる請求項が存在しないものとなった。


第4 むすび
以上のとおりであるから、異議申立人による特許異議申立ては、不適法な特許異議の申立てであって、その補正をすることができないものであるから、特許法第120条の8第1項で準用する特許法第135条の規定によって却下すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(削除)
【請求項2】
導電性高分子を固体電解質として用いる電解コンデンサの製造にあたり、アルミニウム、タンタルおよびニオブよりなる群から選ばれる少なくとも1種の弁金属の多孔体と上記弁金属の酸化被膜からなる誘電体層を有するコンデンサ素子に導電性高分子の分散液を含浸した後、乾燥する操作を少なくとも1回行って、コンデンサ素子に導電性高分子層を形成した後、該コンデンサ素子に沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤または沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤を20質量%以上100質量%未満で含有する溶液を含浸した後、乾燥する操作を少なくとも1回行うことを経て電解コンデンサを製造する電解コンデンサの製造方法であって、
導電性高分子の分散液の含浸後の乾燥を、形成される導電性高分子層の表面を乾燥し内部は完全乾燥しない状態に部分乾燥することによって行う電解コンデンサの製造方法。
【請求項3】
導電性高分子を固体電解質として用いる電解コンデンサの製造にあたり、アルミニウム、タンタルおよびニオブよりなる群から選ばれる少なくとも1種の弁金属の多孔体と上記弁金属の酸化被膜からなる誘電体層を有するコンデンサ素子に導電性高分子の分散液を含浸した後、乾燥する操作を少なくとも1回行って、コンデンサ素子に導電性高分子層を形成した後、該コンデンサ素子に沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤または沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤を20質量%以上100質量%未満で含有する溶液を含浸した後、乾燥する操作を少なくとも1回行うことを経て電解コンデンサを製造する電解コンデンサの製造方法であって、
沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤が、エチレングリコール、γ-ブチロラクトン、またはジメチルスルホキシドである電解コンデンサの製造方法。
【請求項4】
導電性高分子を固体電解質として用いる電解コンデンサの製造にあたり、アルミニウム、タンタルおよびニオブよりなる群から選ばれる少なくとも1種の弁金属の多孔体と上記弁金属の酸化被膜からなる誘電体層を有するコンデンサ素子に導電性高分子の分散液を含浸した後、乾燥する操作を少なくとも1回行って、コンデンサ素子に導電性高分子層を形成した後、該コンデンサ素子に沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤または沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤を20質量%以上100質量%未満で含有する溶液を含浸した後、乾燥する操作を少なくとも1回行うことを経て電解コンデンサを製造する電解コンデンサの製造方法であって、
沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤を20質量%以上100質量%未満で含有する溶液が、沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤を炭素数が1?4のアルコールまたは水に溶解させたものである電解コンデンサの製造方法。
【請求項5】
導電性高分子を固体電解質として用いる電解コンデンサの製造にあたり、アルミニウム、タンタルおよびニオブよりなる群から選ばれる少なくとも1種の弁金属の多孔体と上記弁金属の酸化被膜からなる誘電体層を有するコンデンサ素子に導電性高分子の分散液を含浸した後、乾燥する操作を少なくとも1回行って、コンデンサ素子に導電性高分子層を形成した後、該コンデンサ素子に沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤または沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤を20質量%以上100質量%未満で含有する溶液を含浸した後、乾燥する操作を少なくとも1回行うことを経て電解コンデンサを製造する電解コンデンサの製造方法であって、
沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤または沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤を20質量%以上100質量%未満で含有する溶液が、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基およびカルボキシエステル基よりなる群から選ばれる少なくとも2種の官能基を有するベンゼン系化合物を少なくとも1種含有する電解コンデンサの製造方法。
【請求項6】
沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤または沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤を20質量%以上100質量%未満で含有する溶液が、さらにグリシジル化合物またはアルコキシシラン化合物を少なくとも1種含有することを特徴とする請求項2?5のいずれかに記載の電解コンデンサの製造方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2018-08-20 
出願番号 特願2012-230412(P2012-230412)
審決分類 P 1 652・ 113- XA (H01G)
最終処分 決定却下  
前審関与審査官 多田 幸司上谷 奈那田中 晃洋  
特許庁審判長 井上 信一
特許庁審判官 國分 直樹
酒井 朋広
登録日 2017-07-28 
登録番号 特許第6180010号(P6180010)
権利者 テイカ株式会社
発明の名称 電解コンデンサの製造方法  
代理人 三輪 鐵雄  
代理人 三輪 鐵雄  
代理人 三輪 英樹  
代理人 三輪 英樹  
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