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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  F21S
審判 全部申し立て (特120条の4,3項)(平成8年1月1日以降)  F21S
審判 全部申し立て ただし書き1号特許請求の範囲の減縮  F21S
審判 全部申し立て 2項進歩性  F21S
管理番号 1344855
異議申立番号 異議2017-700402  
総通号数 227 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-11-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-04-21 
確定日 2018-09-12 
異議申立件数
事件の表示 特許第6011915号発明「車輌用前照灯」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6011915号の請求項1?5に係る特許を取り消す。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6011915号の請求項1?5に係る特許についての出願は、平成24年7月18日に特許出願され、平成28年9月30日に特許の設定登録がされ、その後、平成29年4月21日に特許異議申立人小宮 邦彦により特許異議の申立てがされ、同年7月26日付けで取消理由が通知され、同年9月29日に訂正請求書及び意見書が提出されたが、同年11月9日付けで訂正拒絶理由が通知され、同年12月11日に訂正請求取下書及び上記意見書の主張を取り下げる旨の上申書が提出され、平成30年1月24日付けで取消理由(決定の予告)が通知され、同年4月2日に訂正請求書及び意見書が提出され、同年5月21日付けで訂正拒絶理由が通知され、同年6月22日に手続補正書及び意見書が提出されたものである。

第2 平成30年6月22日付けの手続補正の可否について
上記手続補正(以下「本件補正」という。)は、平成30年4月2日に提出された訂正請求書の請求の理由の欄と特許請求の範囲を補正するものであって、その具体的内容は、特許請求の範囲の請求項1に係る「訂正事項1」の内容を変更するものである。
そして、本件補正の前後の「訂正事項1」を示すと次のとおりである。

〔本件補正前〕
本件特許請求の範囲の請求項1に記載された
「少なくとも一方に開口を有するランプハウジングと前記ランプハウジングの前記開口を覆うカバーとによって構成された灯具外筐の内部に灯具ユニットが配置された車輌用前照灯であって、
前記灯具ユニットは、
光源が搭載されヒートシンクが設けられた光源ユニットと、
前記光源から出射された光の遮蔽量を切り替える可動シェードと前記可動シェードを動作させるアクチュエーターとを有する光量制御機構と、
前記光源から出射された光を投影する投影レンズとを備え、
前記投影レンズと前記ヒートシンクの間に前記アクチュエーターが配置された
ことを特徴とする」
を、
「少なくとも一方に開口を有するランプハウジングと前記ランプハウジングの前記開口を覆うカバーとによって構成された灯具外筐の内部に灯具ユニットが配置された車輌用前照灯であって、
前記灯具ユニットは、
光源が搭載されヒートシンクが設けられた光源ユニットと、
前記光源から出射された光の遮蔽量を切り替える可動シェードと前記可動シェードを動作させるアクチュエーターとを有する光量制御機構と、
前記光源から出射された光を投影する投影レンズとを備え、
前記投影レンズと前記ヒートシンクの間に前記アクチュエーターが配置され、
前記アクチュエーターに軸方向へ移動されるとともに左右方向又は前後方向へ移動され、前記可動シェードに回動力を付与する出力軸が設けられ、
前記可動シェードは前記アクチュエーターが組み付けられたレンズホルダーの保持部に支持され、
前記アクチュエータは前記レンズホルダーの前方に設けられ、
前記ヒートシンクを有する光源ユニットは前記レンズホルダーの後方に設けられた
ことを特徴とする」(請求項1の記載を引用する請求項2、3も同様に訂正する)。

〔本件補正後〕
本件特許請求の範囲の請求項1に記載された
「少なくとも一方に開口を有するランプハウジングと前記ランプハウジングの前記開口を覆うカバーとによって構成された灯具外筐の内部に灯具ユニットが配置された車輌用前照灯であって、
前記灯具ユニットは、
光源が搭載されヒートシンクが設けられた光源ユニットと、
前記光源から出射された光の遮蔽量を切り替える可動シェードと前記可動シェードを動作させるアクチュエーターとを有する光量制御機構と、
前記光源から出射された光を投影する投影レンズとを備え、
前記投影レンズと前記ヒートシンクの間に前記アクチュエーターが配置された
ことを特徴とする」
を、
「少なくとも一方に開口を有するランプハウジングと前記ランプハウジングの前記開口を覆うカバーとによって構成された灯具外筐の内部に灯具ユニットが配置された車輌用前照灯であって、
前記灯具ユニットは、
光源が搭載されヒートシンクが設けられた光源ユニットと、
前記光源から出射された光の遮蔽量を切り替える可動シェードと前記可動シェードを動作させるアクチュエーターとを有する光量制御機構と、
前記光源から出射された光を投影する投影レンズとを備え、
前記投影レンズと前記ヒートシンクの間に前記アクチュエーターが配置され、
前記アクチュエーターには、左右方向又は前後方向へ移動して前記可動シェードに回動力を付与する出力軸が設けられ、
前記可動シェードは前記アクチュエーターが組み付けられたレンズホルダーの保持部に支持され、
前記アクチュエータは前記レンズホルダーの前方に設けられ、
前記ヒートシンクを有する光源ユニットは前記レンズホルダーの後方に設けられた
ことを特徴とする」 (請求項1の記載を引用する請求項2、3も同様に訂正する)。

両者を比較すると、「出力軸」に関し、本件補正前において、
「前記アクチュエーターに軸方向へ移動されるとともに左右方向又は前後方向へ移動され、前記可動シェードに回動力を付与する出力軸が設けられ、」
とあったのを、本件補正後において、
「前記アクチュエーターには、左右方向又は前後方向へ移動して前記可動シェードに回動力を付与する出力軸が設けられ、」
としている。
すなわち、本件補正前においては、「出力軸」が「軸方向へ移動される」ものであることが特定されていたのに対し、本件補正後においては、「出力軸」が軸方向へ移動されないものも含むものとなっている。
したがって、本件補正は、訂正事項1の内容を変更し、審理の対象を変更するものであり、訂正請求書の要旨を変更するものであるから、本件補正は認められない。

第3 訂正の適否について
1 請求の趣旨及び訂正の内容
上記「第2」で述べたとおり、本件補正は認められないので、本件の訂正請求の趣旨は、平成30年4月2日に提出された訂正請求書に記載されるとおりのものであるところ、本件特許第6011915号の願書に添付した特許請求の範囲(以下「本件特許請求の範囲」という。)を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおりに訂正することを求めるものであり、その訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである(下線部は訂正箇所を示す。)。
(なお、願書に添付した明細書、図面は、以下それぞれ「本件特許明細書」、「本件特許図面」といい、それらと本件特許請求の範囲とを併せたものを「本件特許明細書等」という。)

(1)訂正事項1
本件特許請求の範囲の請求項1に記載された
「少なくとも一方に開口を有するランプハウジングと前記ランプハウジングの前記開口を覆うカバーとによって構成された灯具外筐の内部に灯具ユニットが配置された車輌用前照灯であって、
前記灯具ユニットは、
光源が搭載されヒートシンクが設けられた光源ユニットと、
前記光源から出射された光の遮蔽量を切り替える可動シェードと前記可動シェードを動作させるアクチュエーターとを有する光量制御機構と、
前記光源から出射された光を投影する投影レンズとを備え、
前記投影レンズと前記ヒートシンクの間に前記アクチュエーターが配置された
ことを特徴とする」
を、
「少なくとも一方に開口を有するランプハウジングと前記ランプハウジングの前記開口を覆うカバーとによって構成された灯具外筐の内部に灯具ユニットが配置された車輌用前照灯であって、
前記灯具ユニットは、
光源が搭載されヒートシンクが設けられた光源ユニットと、
前記光源から出射された光の遮蔽量を切り替える可動シェードと前記可動シェードを動作させるアクチュエーターとを有する光量制御機構と、
前記光源から出射された光を投影する投影レンズとを備え、
前記投影レンズと前記ヒートシンクの間に前記アクチュエーターが配置され、
前記アクチュエーターに軸方向へ移動されるとともに左右方向又は前後方向へ移動され、前記可動シェードに回動力を付与する出力軸が設けられ、
前記可動シェードは前記アクチュエーターが組み付けられたレンズホルダーの保持部に支持され、
前記アクチュエータは前記レンズホルダーの前方に設けられ、
前記ヒートシンクを有する光源ユニットは前記レンズホルダーの後方に設けられた
ことを特徴とする」
と訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2、3も同様に訂正する)。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項4及び5を削除する。

2 訂正の判断
(1)訂正事項1について
訂正事項1に係る訂正箇所を次のように分説して、訂正の適否について検討する。
・訂正事項1A:「前記アクチュエーターに軸方向へ移動されるとともに左右方向又は前後方向へ移動され、前記可動シェードに回動力を付与する出力軸が設けられ」、
・訂正事項1B:「前記可動シェードは前記アクチュエーターが組み付けられたレンズホルダーの保持部に支持され」、
・訂正事項1C:「前記アクチュエータは前記レンズホルダーの前方に設けられ」、
・訂正事項1D:「前記ヒートシンクを有する光源ユニットは前記レンズホルダーの後方に設けられた」

ア 訂正事項1Aについて
(ア)「出力軸」に関し、「軸方向へ移動されるとともに左右方向又は前後方向へ移動され」(下線は当審で付加。以下同様。)との記載があるが、「軸方向」と、「左右方向」又は「前後方向」との関係の特定がないため、軸方向の移動と、左右方向又は前後方向の移動とがどのような関係にあるのか明らかでなく、当該記載がどのような技術的事項を特定しようとしているのか不明である。
したがって、上記訂正事項1Aに係る訂正は、特許請求の範囲の記載を不明確とするものであって、特許請求の範囲の減縮、誤記の訂正、明瞭でない記載の釈明、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該請求項の記載を引用しないものとすることのいずれを目的とするものにも該当しない。
よって、上記訂正事項1Aに係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号ないし第4号に掲げる事項を目的としないものである。

(イ)また、「出力軸」の「移動」に関し、「軸方向へ移動される」ことと「左右方向又は前後方向へ移動され」ることとが任意の組み合わせも含むような内容となっている。そうすると、例えば、車輌に対し何らかの方向に配置された「出力軸」が、その「軸方向」へ移動しつつ、その移動の方向とは別の「左右方向」又は「前後方向」へ移動するようなものまで含むことになり、そのようなものは、本件特許明細書等のいずれにも記載は見当たらないし、また、当業者にとって自明な事項ともいえない。
したがって、上記訂正事項1Aに係る訂正は、本件特許明細書等に記載した事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものとはいえない。
よって、上記訂正事項1Aに係る訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものでもない。

イ 訂正事項1Cについて
「レンズホルダー」について、本件特許明細書の「実施の形態」に対応する段落【0027】に「レンズホルダー8は前後に貫通された円弧状のレンズ取付部13とレンズ取付部13の左右両端部からそれぞれ後方へ突出された側部14、14と側部14、14間に設けられた保持部15とを有している(図2及び図3参照)。」と記載され、当該記載によれば、「レンズホルダー8」には「レンズ取付部13」及び「側部14、14」が含まれていることが理解できる。同様に「変形例」に対応する段落【0073】に「変形例に係るレンズホルダー8Aは前後に貫通された円形状のレンズ取付部43とレンズ取付部43の左右両端部からそれぞれ後方へ突出された側部44、44と側部44、44間に設けられた保持部45とを有している。」と記載され、「レンズホルダー8A」には「レンズ取付部43」及び「側部44、44」が含まれていることが理解できる。
また、「アクチュエーター」について、本件特許明細書の「実施の形態」に対応する段落【0042】に「アクチュエーター27はヨークケース30とヨークケース30の内部に配置されたコイル体31と左右方向へ移動可能とされた出力軸32とを有している。」と記載され、当該記載によれば、「アクチュエーター27」には「ヨークケース30」及び「出力軸32」が含まれていることが理解できる。同様に「変形例」に対応する段落【0083】に「アクチュエーター57はヨークケース60とヨークケース60の内部に配置されたコイル体61と前後方向へ移動可能とされた出力軸62とを有している。」と記載され、当該記載によれば、「アクチュエーター57」には「ヨークケース60」及び「出力軸62」が含まれていることが理解できる。
ここで、訂正事項1Cの「レンズホルダーの前方」という事項について検討するに、「レンズホルダー」よりも前側(前後方向でみてレンズホルダーと重複する位置は含まない。)という解釈(以下「解釈A」という。)と、「レンズホルダー」における前後方向の中央より前側(レンズホルダーより前にはみ出す位置を含まない。)という解釈(以下「解釈B」という。)、「レンズホルダー」に対し前後方向の中央より前側(レンズホルダーとレンズホルダーより前にはみ出す位置とに跨がる。)という解釈(以下「解釈C」という。)があり得るので、以下それぞれについて検討する。
(ア)解釈Aについて
本件特許明細書の「実施の形態」の説明において、「アクチュエーター27」が「レンズホルダー8」よりも前側に設けられていることの記載はなく、「実施の形態」に対応する【図1】に当審が破線等を付加した下記〔参考図1〕において両矢印を付加した部分から明らかなように、「レンズホルダー8」は、「アクチュエーター27」よりも前側の部分(「レンズ取付部13」、「側部14」の一部)を有するものであって、「アクチュエーター27」はその全てが、「レンズホルダー8」と前後後方でみて重複する位置にあるものであるから、「アクチュエーター27」が「レンズホルダー8」よりも前側に設けられているように記載されてはいない。
また、本件特許明細書の「変形例」の説明において、「アクチュエーター57」が「レンズホルダー8A」よりも前側に設けられていることの記載はなく、「変形例」に対応する【図7】、【図8】をみても、「アクチュエータ57」は「レンズホルダー8A」よりも前側に設けられているように記載されてはいない。
そして、「アクチュエーター」を「レンズホルダー」よりも前側(前後方向でみてレンズホルダーと重複する位置は含まない。)に設けることは、本件特許明細書等の記載から当業者にとって自明な事項ともいえない。
したがって、「前記アクチュエータは前記レンズホルダーの前方に設けられ」たということは、本件特許明細書等に記載されておらず、また、本件特許明細書等の記載から当業者にとって自明な事項ともいえない。

〔参考図1〕


(イ)解釈Bについて
まず、一般に特許出願の願書に添付される図面は、明細書を補完し、特許を受けようとする発明に係る技術内容を当業者に理解させるための説明図であり、設計図と異なり、当該図面の表示された寸法や角度、曲率などは、必ずしも正確でなくとも足りるものであって、本件特許明細書において、図面が正確に記載されているものであることの記載はない。
そして、本件特許明細書の「実施の形態」の説明において、「アクチュエータ27」の前後方向の後側の位置が「レンズホルダー8」における前後方向中央より前側であることの記載はなく、対応する【図1】、【図2】等をみてもそのことは明らかではない。
また、本件特許明細書の「変形例」の説明において、「アクチュエータ57」の前後方向の後側の位置の位置が「レンズホルダー8A」における前後方向中央より前側であることの記載はなく、対応する【図7】、【図8】等をみてもそのことは明らかではない。
そして、「アクチュエーター」を「レンズホルダー」における前後方向の中央より前側(レンズホルダーより前にはみ出す位置を含まない。)に設けることは、本件特許明細書等の記載から自明な事項ともいえない。
したがって、「前記アクチュエータは前記レンズホルダーの前方に設けられ」たということは、本件特許明細書等に記載されておらず、また、本件特許明細書等の記載から当業者にとって自明な事項ともいえない。

(ウ)解釈Cについて
この場合、上記(イ)で述べたように、本件特許明細書には、「アクチュエータ27」または「アクチュエータ57」の前後方向の後側の位置が「レンズホルダー8」または「レンズホルダー8A」における前後方向中央より前側であることの記載はなく、【図1】、【図2】、【図7】、【図8】等をみてもそのことは明らかではなく、さらに、上記(ア)で述べたように、「レンズホルダー8」は「アクチュエーター27」よりも前側の部分を有するものであるし、【図7】、【図8】等をみても「アクチュエーター57」の前後方向の前側の位置が「レンズホルダー8A」の前後方向の前側の位置よりも前にはみ出す位置にあるように記載されてはいないことから、「アクチュエータ-27」が「レンズホルダー8」と「レンズホルダー8」よりも前にはみ出す位置とに跨がること、あるいは、「アクチュエータ57」が「レンズホルダー8A」と「レンズホルダー8A」よりも前にはみ出す位置とに跨がることは記載されているとはいえない。
そして、「アクチュエーター」を「レンズホルダー」に対し前後方向の中央より前側(レンズホルダーとレンズホルダーより前にはみ出す位置とに跨がる。)に設けるようにすることは、本件特許明細書等の記載から自明な事項ともいえない。
したがって、「前記アクチュエータは前記レンズホルダーの前方に設けられ」たということは、本件特許明細書等に記載されておらず、また、本件特許明細書等の記載から当業者にとって自明な事項ともいえない。

以上(ア)?(ウ)のとおりであるから、いずれの解釈の場合であっても、上記訂正事項1Cに係る訂正は、本件特許明細書等に記載した事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものとはいえない。
よって、上記訂正事項1Cに係る訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものではない。

ウ 訂正事項1Dについて
「光源ユニット」について、本件特許明細書の「実施の形態」に対応する段落【0035】に「光源ユニット11は回路基板23と回路基板23の上面に搭載された光源24とを有し、光源24としては、例えば、発光ダイオード(LED)が用いられている。」と記載され、同【0036】に「光源ユニット11には側方(外方)へ突出された被取付片11a、11aが設けられている。光源ユニット11は被取付片11a、11aがそれぞれ結合用突部19、19に後方から押し当てられ、ネジ止め等によってそれぞれ結合用突部19、19に結合されてレンズホルダー8に取り付けられる。」と記載され、同【0037】に「光源ユニット11には回路基板23の下側に位置するヒートシンク25が設けられている。」と記載されている。そして、本件特許図面の【図1】に当審が破線の丸を付加した下記〔参考図2〕の符号11の引き出し線の位置からみて、「光源ユニット11」には「ヒートシンク25」が含まれていることが理解できる。また、本件特許明細書の「変形例」に対応する段落【0079】、【0081】、【0105】、【0106】においては、他の部材と異なり「光源ユニット11」と「実施の形態」と同符号を用いていることから、「変形例」の「光源ユニット11」は「実施の形態」と同様構成であると理解できる。

〔参考図2〕



一方、「レンズホルダー」について、本件特許明細書の「実施の形態」に対応する段落【0027】に「レンズホルダー8は前後に貫通された円弧状のレンズ取付部13とレンズ取付部13の左右両端部からそれぞれ後方へ突出された側部14、14と側部14、14間に設けられた保持部15とを有している(図2及び図3参照)。」と記載され、同【0030】に「保持部15は上下方向を向く取付面部16と取付面部16の前端部に左右に離隔して設けられた軸受部17、17と取付面部16の前側に設けられたアクチュエーター取付部18と取付面部16の左右両端部からそれぞれ下方へ突出された結合用突部19、19とを有している。」と記載され、当該記載によれば、「レンズホルダー8」には「側部14、14」、「取付面部16」及び「結合用突部19、19」が含まれていることが理解できる。同様に「変形例」に対応する段落【0073】に「変形例に係るレンズホルダー8Aは前後に貫通された円形状のレンズ取付部43とレンズ取付部43の左右両端部からそれぞれ後方へ突出された側部44、44と側部44、44間に設けられた保持部45とを有している。」と記載され、同【0075】に「保持部45は上下方向を向く取付面部46と取付面部46の前端部に左右に離隔して設けられた軸受部47、47と取付面部46の前端側に設けられたアクチュエーター取付部48と取付面部46の左右両端部からそれぞれ下方へ突出された結合用突部49、49とを有している。」と記載され、当該記載によれば、「レンズホルダー8A」には「側部44、44」、「取付面部46」及び「結合用突部49、49」が含まれていることが理解できる。
ここで、訂正事項1Dの「レンズホルダーの後方」という事項について検討するに、上記イと同様に、「レンズホルダー」よりも後側(前後方向でみてレンズホルダーと重複する位置は含まない。)という解釈(以下「解釈D」という。)と、「レンズホルダー」における前後方向の中央より後側(レンズホルダーより後にはみ出す位置を含まない。)という解釈(以下「解釈E」という。)、「レンズホルダー」に対し前後方向の中央より後側(レンズホルダーとレンズホルダーより後にはみ出す位置とに跨がる。)という解釈(以下「解釈F」という。)があり得るので、以下それぞれについて検討する。
(ア)解釈Dについて
本件特許明細書の「実施の形態」の説明において、「ヒートシンク25」を有する「光源ユニット11」が「レンズホルダー8」よりも後側に設けられていることの記載はなく、「実施の形態」に対応する【図1】、【図2】等を参酌すれば、「ヒートシンク25」を有する「光源ユニット11」の少なくとも「ヒートシンク25」は、「レンズホルダー8」と車輌前後方向に重複する部分(「取付面部16」、「側部14」の一部、「結合用突起19、19」)を有するものであることは明らかであるから、「ヒートシンク25」を有する「光源ユニット11」が「レンズホルダー8」よりも後側に設けられているように記載されてはいない。
また、本件特許明細書の「変形例」の説明において、「ヒートシンク25」を有する「光源ユニット11」が「レンズホルダー8A」よりも後側に設けられていることの記載はなく、「変形例」に対応する【図7】、【図8】をみても、「レンズホルダー8A」は、「取付面部46」、「側部44」、「結合用突起49、49」を有するものであることから、「実施の形態」と同様に「ヒートシンク25」を有する「光源ユニット11」が「レンズホルダー8A」よりも後側に設けられているように記載されてはいない。
そして、「ヒートシンクを有する光源ユニット」を「レンズホルダー」よりも後側(前後方向でみてレンズホルダーと重複する位置は含まない。)に設けることは、本件特許明細書等の記載から自明な事項ともいえない。
したがって、「前記ヒートシンクを有する光源ユニットは前記レンズホルダーの後方に設けられた」ということは、本件特許明細書等に記載されておらず、また、本件特許明細書等の記載から当業者にとって自明な事項ともいえない。

(イ)解釈Eについて
まず、特許出願の願書に添付される図面については、上記イ(イ)で述べたとおりであり、同様に本件特許明細書において、図面が正確に記載されているものであることの記載はない。
そして、本件特許明細書の「実施の形態」の説明において、「ヒートシンク25」を有する「光源ユニット11」の車輛前後方向の前側の位置が「レンズホルダー8」における中央より後側であることの記載はなく、対応する【図1】をみてもそのことは明らかではない。さらに、「実施の形態」に対応する本件特許明細書の段落【0036】及び本件特許図面の【図1】、【図2】等を参酌すれば、「ヒートシンク25」を有する「光源ユニット11」の「被取付片11a、11a」(「レンズホルダー8」の「結合用突部19、19」に後方から取り付けられるものである。)と、「ヒートシンク25」を有する「光源ユニット11」の当該「被取付片11a、11a」より車輌前後方向の後側の部分は、「レンズホルダー8」よりも後側に位置することになるので、「レンズホルダー8」における前後方向の中央より後側にあるように記載されてはいない。
また、本件特許明細書の「変形例」の説明において、「ヒートシンク25」を有する「光源ユニット11」の車輛前後方向の前側の位置が「レンズホルダー8A」における中央より後側であることの記載はなく、対応する【図7】、【図8】をみてもそのことは明らかでない。さらに、「変形例」に対応する本件特許明細書の段落【0079】及び【図7】、【図8】等を参酌すれば、「ヒートシンク25」を有する「光源ユニット11」の「被取付片11a、11a」(「レンズホルダー8A」の「結合用突部49、49」に後方から取り付けられるものである。)と、「ヒートシンク25」を有する「光源ユニット11」の当該「被取付片11a、11a」より車輌前後方向の後側の部分は、「レンズホルダー8A」よりも後側に位置することになるので、「レンズホルダー8A」における前後方向の中央より後側にあるように記載されてはいない。
そして、「ヒートシンクを有する光源ユニット」を「レンズホルダー」における中央よりも後側(レンズホルダーより後にはみ出す位置を含まない。)に設けることは、本件特許明細書等の記載から自明な事項ともいえない。
したがって、「前記ヒートシンクを有する光源ユニットは前記レンズホルダーの後方に設けられた」ということは、本件特許明細書等に記載されておらず、また、本件特許明細書等の記載から当業者にとって自明な事項ともいえない。

(ウ)解釈Fについて
この場合、上記(イ)で述べたように、本件特許明細書には、「ヒートシンク25」を有する「光源ユニット11」の車輛前後方向の前側の位置が「レンズホルダー8」または「レンズホルダー8A」における中央より後側であることの記載はなく、【図1】、【図2】、【図7】、【図8】等をみてもそのことは明らかではない。
そして、「ヒートシンクを有する光源ユニット」を「レンズホルダー」に対し前後方向の中央より後側(レンズホルダーとレンズホルダーより後にはみ出す位置とに跨がる。)に設けることは、本件特許明細書等の記載から自明な事項ともいえない。
したがって、「前記ヒートシンクを有する光源ユニットは前記レンズホルダーの後方に設けられた」ということは、本件特許明細書等に記載されておらず、また、本件特許明細書等の記載から当業者にとって自明な事項ともいえない。

以上(ア)?(ウ)のとおりであるから、いずれの解釈の場合であっても、上記訂正事項1Dに係る訂正は、本件特許明細書等に記載した事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものとはいえない。
よって、上記訂正事項1Dに係る訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものではない。

エ 平成30年6月22日付け意見書の主張について
特許権者は上記意見書の「5.(2-2)」において、
「(i)先ず、『XはYの前方に設けられ』と表現した場合の解釈ですが、部材Xと部材Yの形状、用途、機能等に基づいて行うべきであり、必ずしもXがYの全ての部分より前になければならないと限定して解釈されるべきではないと考えます。例えば、広辞苑(第5版)の1532頁を見ると『前方』は『(1)前面の方』と記載されており、1533頁を見ると「前面」は「前の面」と記載されています。
(ii)特に、本願発明は車輌用前照灯であるため、『前方』と『後方』は車輛前方及び車輛後方と対応付けて明確に把握することができます。そうすると、『部材Xは部材Yの前方に設けられる』と記載されたときは、部材Xは部材Yを正面からみたときに把握される『前の面』に設けられていることを意味すると理解できるので明確であります。本願の図2などから明らかなように、前記アクチュエーターは前記レンズホルダーの前方(=車輛前方側)に設けられているので、新たな技術的事項を導入したものではありません。
(iii)広辞苑(第5版)によれば、『後方』は『後ろの方』との記載があり、「前方」の対義語と説明されています。そうすると、『前記ヒートシンクを有する光源ユニットは前記レンズホルダーの後方に設けられ』の記載も、新たな技術的事項を導入したものではありません。
(iv)特に、本願の請求項1においては、『前方に設けられ』と『後方に設けられ』は対をなす記載であり、レンズホルダーを基準として、アクチュエーターとヒートシンクの相対的な位置関係を規定していることは明白であります。
(v)例えば、『フロントガラスは自動車の前方に設けられ、リヤガラスは自動車の後方に設けられる』の文章をみた場合、その意味は明確に理解することができます(たとえ、フロントガラスよりも前方に自動車の構成要素であるバンパーやボンネットや前輪などが存在してもであります。)。」
と主張する。
しかしながら、特許権者が(iii)で指摘する広辞苑(第5版)において「前方」とは「○1前面の方。前の方。」(合議体注;丸囲みの1を「○1」で代用した。以下同様。)、「前面」とは「○1まえの方。おもての方。前の面。」と記載されていることから、「前方」とは必ずしも何らかの物体等の「前の面」に対してのみ用いる用語ではないことが明らかである(本件特許請求の範囲の請求項2においても、「前方」の対義語の「後方」という用語を面ではなく「焦点」という点に対して用いている。)。そして、広辞苑(第5版)において「後方」は「うしろのほう。」と記載され、「方」とは「●1○1向き。かた。」(合議体注;黒丸囲みの1を「●1」で代用した。)と記載されている。また、訂正された特許請求の範囲の請求項1において、「レンズホルダー」における何らかの特定の面に対する「方」であることを特定するような記載はない。
ここで、(v)における例は、フロントガラスやリヤガラスが自動車の構成要素であることが技術常識であるから、例えば「自動車の前方」は「自動車における前方」という意味を示すものであることが理解できる。しかしながら、車輌用前照灯の分野において、「レンズホルダー」に対する「アクチュエータ-」や「ヒートシンクを有する光源ユニット」の取付けに際し、「前記アクチュエータは前記レンズホルダーの前方に設けられ」、「前記ヒートシンクを有する光源ユニットは前記レンズホルダーの後方に設けられた」と記載した場合、(v)における例と同様のものを必ず意味することが技術常識であることは示されていない。そして、仮に同様のものを意味していたとしても、上記イ(イ)、ウ(イ)で説示したとおりである。
また、特許権者が(i)でいうように、「XはYの前方に設けられ」と表現した場合、「必ずしもXがYの全ての部分より前になければならないと限定して解釈されるべきではない」のであったとしても、XがYの前後方向の全ての部分より前にあるものも含むことになるので、上記(イ)アで説示したとおりである(「後方」については、同様に、上記(ウ)アで説示したとおり。)。
さらに、(iv)の「レンズホルダーを基準として、アクチュエーターとヒートシンクの相対的な位置関係を規定していることは明白」という主張については、訂正事項1C、1Dは「アクチュエータ」、「ヒートシンクを有する光源ユニット」のそれぞれが「レンズホルダーの前方」、「レンズホルダーの後方」にあることを特定するものであって、その判断については上記(イ)、(ウ)で説示したとおりである。
仮に、上記(iv)の主張のように「レンズホルダー」を「アクチュエーター」と「ヒートシンク」の相対的な位置関係の基準とするということであるのなら、当該「レンズホルダー」は前後方向に長さを有するものであるから、「基準」となる位置がどこであるのか特定できず、請求項1の記載を不明確とするものである。また、「アクチュエータ」が「ヒートシンク」に対し相対的に前にある位置関係であることを規定するということであれば、後述する「第4 当審の判断」にて示す甲第1?3号証に記載されるものもそのような位置関係にあるものであるし、甲第4号証に記載されるものに甲第1?3号証に示される周知技術を適用したのであれば、そのような位置関係となるものである。

したがって、特許権者の意見は採用できない。

オ 小括
以上のとおりであるから、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号ないし第4号に掲げる事項を目的としないものであるし、また、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものでもない。

(2)訂正事項2について
訂正事項2は、特許請求の範囲の請求項4及び5を削除するというものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、また変更するものには該当せず、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものであり、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるから、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。

(3)まとめ
したがって、上記訂正請求による訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号ないし第4号に掲げる事項を目的としないものであるし、また、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものでもない。また、上記訂正請求による訂正事項2は、同法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5、6項の規定に適合するものではあるが、請求項1?5は一群の請求項である。
よって、訂正後の請求項〔1?5〕について訂正を認めない。

第4 当審の判断
1 本件特許発明
上記「第3」のとおり、訂正後の請求項〔1?5〕について訂正を認めないので、特許第6011915号の請求項1?5に係る特許発明(以下「本件特許発明1」?「本件特許発明5」という。)は、以下のとおりである。
「【請求項1】
少なくとも一方に開口を有するランプハウジングと前記ランプハウジングの前記開口を覆うカバーとによって構成された灯具外筐の内部に灯具ユニットが配置された車輌用前照灯であって、
前記灯具ユニットは、
光源が搭載されヒートシンクが設けられた光源ユニットと、
前記光源から出射された光の遮蔽量を切り替える可動シェードと前記可動シェードを動作させるアクチュエーターとを有する光量制御機構と、
前記光源から出射された光を投影する投影レンズとを備え、
前記投影レンズと前記ヒートシンクの間に前記アクチュエーターが配置された
ことを特徴とする車輌用前照灯。
【請求項2】
前記光源から出射された光を前記投影レンズへ向けて反射するリフレクターが設けられ、
前記投影レンズの焦点の後方に前記光源ユニットの少なくとも一部と前記リフレクターとが配置された
ことを特徴とする請求項1に記載の車輌用前照灯。
【請求項3】
前記光源ユニットが前記リフレクターの下方に配置された
ことを特徴とする請求項2に記載の車輌用前照灯。
【請求項4】
前記アクチュエーターに軸方向へ移動され前記可動シェードに回動力を付与する出力軸が設けられ、
前記出力軸が前後方向へ移動されるようにした
ことを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載の車輌用前照灯。
【請求項5】
前記アクチュエーターに軸方向へ移動され前記可動シェードに回動力を付与する出力軸が設けられ、
前記出力軸が左右方向へ移動されるようにした
ことを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載の車輌用前照灯。」

2 各甲号証の記載事項及び認定事項並びに甲号証に記載された発明及び技術的事項
(1)甲第1号証
ア 記載事項
取消理由で通知した特開2010-153333号公報には、次の事項が記載されている。
(ア)「【0019】
前記車両用前照灯1は、主リフレクタ2と、半導体型光源3と、投影レンズ4と、補助リフレクタ5と、シェード6と、遮光部材7と、切替装置8と、ヒートシンク部材9と、図示しないランプハウジングおよびランプレンズ(たとえば、素通しのアウターレンズなど)と、から構成されている。」

(イ)「【0020】
前記主リフレクタ2および前記半導体型光源3および前記投影レンズ4および前記補助リフレクタ5および前記シェード6および前記遮光部材7および前記切替装置8および前記ヒートシンク部材9は、ランプユニットを構成する。前記ランプユニット3、4、5、6、7、8、9は、前記ランプハウジングおよび前記ランプレンズにより区画されている灯室内に、たとえば光軸調整機構を介して水平軸回りに上下にかつ垂直軸回りに左右に光軸調整可能に配置されている。なお、前記灯室内には、前記ランプユニット2、3、4、5、6、7、8、9以外に、フォグランプ、コーナリングランプ、クリアランスランプ、ターンシグナルランプなどの他のランプユニットが配置されている場合がある。」

(ウ)「【0021】
前記ヒートシンク部材9は、上面に固定面を有する前部10と、上部がフィン形状の後部11と、から構成されている。前記ヒートシンク部材9は、たとえば、熱伝導率が高い樹脂部材もしくは金属部材から構成されている。」

(エ)「【0024】
前記半導体型光源3は、たとえば、LED、EL(有機EL)などの自発光半導体型光源(この実施例ではLED)を使用する。・・・」

(オ)「【0029】
前記投影レンズ4は、前側焦点(前記半導体型光源3側の焦点)および後側焦点(外部側の焦点)と、前記前側焦点と前記後側焦点とを結ぶ光軸とを有する。前記投影レンズ4の光軸は、前記収束型反射面12の光軸および前記Z軸と一致(ほぼ一致も含む)する。前記投影レンズ4の前側焦点は、レンズ焦点(物空間側の焦点面であるメリジオナル像面、投影レンズ基本焦点)FLである。前記投影レンズ4の前記レンズ焦点FLは、前記収束型反射面12の第2焦点F2もしくはその近傍に位置する。」

(カ)「【0036】
前記シェード6は、光不透過性の部材からなり、平板形状をなす。なお、所望のカットオフラインが得られるのであれば、平板形状でなくとも良い。前記シェード6には、前記エルボー点E、前記カットオフラインCL1、CL2、CL3を形成するエッジ17が設けられている。 」

(キ)「【0041】
前記シェード6は、前記第1位置に位置するときには、前記半導体型光源3から放射されて前記収束型反射面12で反射された反射光L4の一部L5をカットオフして前記エッジ17により前記カットオフラインCL1、CL2、CL3を有するロービーム用配光パターンLPを形成するものである。また、前記シェード6は、前記第2位置に位置するときには、前記半導体型光源3から放射されて前記収束型反射面12で反射された反射光L4、L5で前記ハイビーム用配光パターンHPの基本配光WP1、WP2を形成するものである。」

(ク)「【0044】
前記切替装置8は、図6に示すように、モータ20と、第1ギア21と、第2ギア22と、フェールセーフ用(復帰用)のスプリング23と、を備えるものである。前記モータ20は、前記ホルダもしくは前記ヒートシンク部材9に固定されている。」

(ケ)「【0050】
この状態において、車両用前照灯1の半導体型光源3の発光チップ14を点灯発光させる。すると、半導体型光源3の発光チップ14から光L1、L2が放射される。この放射光の一部L1は、収束型反射面12に入射してこの収束型反射面12で反射され、この反射光L4、L5が収束型反射面8の第2焦点F2付近に収束(集中)する。第2焦点F2付近に収束(集中)する反射光の一部L5は、遮光部材7と一体構造であって第1位置に位置するシェード6によりカットオフされ、かつ、シェード6のエッジ17によりカットオフラインCL1、CL2、CL3が形成される。一方、シェード6でカットオフされなかった反射光L4は、そのまま投影レンズ4側に進む。」

(コ)「【0059】
また、一体構造のシェード6と遮光部材7とが第2位置に位置している状態または第1位置から第2位置に回転移動中のとき、切替装置8のモータ20への通電が遮断されると(電力供給が断たれると)、スプリング23のスプリング力により、一体構造のシェード6と遮光部材7が第1位置に復帰する。このために、図9に示すハイビーム用配光パターンHPから図8に示すロービーム用配光パターンLPに切り替えることができる。これにより、フェールセーフ機能が作用することとなる。」

イ 認定事項
上記アの記載事項に加え、以下の事項が認定できる。
(ア)上記ア(ア)、(イ)より、甲第1号証には、ランプハウジングとランプレンズによって区画された灯室を備える車両用前照灯1が開示されていると認められる。

(イ)上記ア(イ)より、甲第1号証には、灯室内にランプユニットを配置すること、及び、ランプユニットがヒートシンク部材9と切替装置8と投影レンズ4とを備えることが開示されていると認められる。

(ウ)【図5】の記載より、甲第1号証には、半導体光源3は、ヒートシンク部材9の前部10に配置することが開示されていると認められる。

(エ)上記ア(キ)より、甲第1号証には、シェード6は、半導体光源3から出射された光の遮蔽量を切り替えていることが開示されていると認められる。

(オ)上記ア(コ)より、甲第1号証には、切替装置8のモータ20は、シェード6を動作させることが開示されていると認められる。

(カ)上記アの各記載事項及び【図5】の記載より、甲第1号証には、投影レンズ4は半導体型光源3から出射された光を投影するものであること、モータ20がヒートシンク部材9に対して「前下方及びモータ20の後側の一部が前後方向に重複する箇所」(以下この箇所を「略前下方」という。【図4】に当審が破線等を付加した下記〔参考図3〕を参照。)に配置されていること、半導体光源3から出射された光を投影レンズ4の焦点FLの後方にヒートシンク部材9と、主リフレクタ2とが配置されていること、及び、ヒートシンク部材9の半導体光源3が配置された前部10が主リフレクタ2よりも下方に配置されていることが開示されていると認められる。

〔参考図3〕

ウ 記載された発明ないし技術的事項
(ア)甲1発明Aないし甲1技術
上記アの各記載事項、上記イの各認定事項及び【図1】?【図5】の記載からみて、甲第1号証には次の発明(以下「甲1発明A」という。)ないし技術的事項(以下「甲1技術」という。)が記載されているものと認める。
「ランプハウジングとランプレンズによって区画された灯室内に、ランプユニットが配置された車両用前照灯1であって、
前記ランプユニットは、前部にLED、EL(有機EL)などの自発光半導体型光源からなる半導体型光源3が搭載されたヒートシンク部材9と、
半導体型光源3から出射された光の遮蔽量を切り替えるシェード6と、シェード6を動作させるモータ20とを有する切替装置8と、
半導体型光源3から出射された光を投影する投影レンズ4とを備え、
前記ヒートシンク部材9に対して略前下方に前記モータ20が配置された
車両用前照灯1。」

(イ)甲1発明B
甲第1号証には、上記甲1発明Aの事項に加え、以下の事項をさらに備えた発明(以下「甲1発明B」という。)が記載されているものと認める。
「前記半導体型光源3から出射された光を前記投影レンズ4へ向けて反射する主リフレクタ2が設けられ、
前記投影レンズ4の焦点FLの後方に前記ヒートシンク部材9と、前記主リフレクタ2とが配置された」

(ウ)甲1発明C
甲第1号証には、上記甲1発明Bの事項に加え、以下の事項をさらに備えた発明(以下「甲1発明C」という。)が記載されているものと認める。
「前記ヒートシンク部材9の半導体光源3が配置された前部10が前記主リフレクタ2よりも下方に配置された」

(2)甲第2号証
ア 記載事項
取消理由で通知した特開2010-140663号公報には、次の事項が記載されている。
(ア)「【0030】
同図に示すように、本実施形態に係る車両用照明灯具10は、ランプボディ12と、このランプボディ12の前端開口部に取り付けられた素通し状の透光カバー14とで形成される灯室内に、左右1対の灯具ユニット20A、20Bと、これら各灯具ユニット20A、20Bをそれぞれ独立して水平方向に旋回させる1対のスイブル機構50A、50Bが収容された構成となっている。」

(イ)「【0037】
これらの図にも示すように、灯具ユニット20Aは、光軸Ax上に配置された投影レンズ22と、この投影レンズ22の後側焦点Fよりも後方側でかつ光軸Ax近傍において左側方へ向けて配置された発光素子24Aと、この発光素子24Aを左側方から覆うように配置され、該発光素子24Aからの光を前方へ向けて光軸Ax寄りに反射させるリフレクタ26Aと、このリフレクタ26Aと投影レンズ22との間に配置されたミラー部材28Aと、ミラー部材28Aの前方近傍に配置されたシェード40A(第1シェード)と、このシェード40Aを上下方向に移動させるシェード駆動機構42Aと、を備えてなっている。」

(ウ)「【0038】
投影レンズ22は、前方側表面が凸面で後方側表面が平面の平凸非球面レンズからなり、その後側焦点面上に形成される光源像を、反転像として灯具前方の仮想鉛直スクリーン上に投影するようになっている。」

(エ)「【0040】
発光素子24Aは、白色発光ダイオードであって、・・・」

(オ)「【0042】
ミラー部材28Aは、その左側面が、光軸Axを含む鉛直面に沿って延びるように配置された金属製の板状部材である。このミラー部材28Aの左側面には鏡面処理が施されており、これによりリフレクタ26Aからの反射光の一部を、左側方へ向けて反射させる反射面28Aaを構成している。このミラー部材28Aは、その反射面28Aaの前端縁28Aa1が、後側焦点Fを通るようにして鉛直方向に延びている。また、このミラー部材28Aの右側面には、ヒートシンク28Abが形成されている。このヒートシンク28Abは、光軸Axと直交する鉛直面に沿って延びる複数の放熱フィンを備えている。」

(カ)「【0043】
発光素子24Aは、その支持プレート24cにおいて、このミラー部材28Aにおける左側面の後部に段下がりで形成された凹部28Acに固定支持されている。また、リフレクタ26Aは、このミラー部材28Aの左側面に固定支持されている。そして、このミラー部材28Aは、その上下両端部において、レンズホルダ30の上下1対のブラケット部30aに固定支持されている。」

(キ)「【0045】
シェード駆動機構42Aは、シェード40Aに連結されたソレノイド等のアクチュエータとして構成されており、シェード40Aを上下方向に直線的に往復動させるようになっている。その際、このシェード駆動機構42Aの駆動により、シェード40Aは図示の下端位置と、その上端縁40Aaが光軸Axを含む水平面上に位置する上端位置とを採り得るようになっている。」

(ク)「【0065】
この付加配光パターンPA1は、灯具ユニット20Aのシェード駆動機構42Aの駆動により、そのシェード40Aが上端位置に移動すると、同図(b)において2点鎖線で示すように、その下半部のみとなり、この下半部の上端縁は、H-H線に沿った水平カットオフラインCL5として形成されることとなる。これは、上端位置に移動したシェード40Aにより灯具ユニット20Aから上向きに照射される光が遮蔽されるためであり、その際、水平カットオフラインCL5は、シェード40Aの上端縁40Aaの反転投影像として形成されるものである。」

イ 認定事項
上記アの記載事項に加え、以下の事項が認定できる。
(ア)上記ア(ア)及び【図1】の記載より、甲第2号証には、ランプボディ12と素通し状の透光カバー14によって区画された灯室の内部に灯具ユニット20A、20Bが配置されていることが開示されていると認められる。

(イ)上記ア(イ)及び【図3】の記載より、甲第2号証には、灯具ユニット20Aは、発光素子24Aが搭載され、ヒートシンク28Abが形成されたミラー部材28Aを備えていることが開示されていると認められる。

(ウ)上記ア(キ)、(ク)より、甲第2号証には、シェード40Aは、発光素子24Aから出射される光の遮蔽量を切り替えるものであることが開示されていると認められる。

(エ)上記ア(キ)より、甲第2号証には、シェード駆動機構42Aは、シェード40Aを動作させるものであることが開示されていると認められる。

(オ)【図2】、【図3】の記載より、甲第2号証には、投影レンズ22は、発光素子24Aから出射された光を投影するものであること、投影レンズ22とヒートシンク28Abが形成されたミラー部材28Aとの間にシェード駆動機構42Aが配置されること、発光素子24Aから出射された光を投影レンズ22に向けて反射するリフレクタ26Aが設けられること、投影レンズ22の焦点Fの後方に、ヒートシンク28Abが形成されたミラー部材28Aとリフレクタ26Aを配置されること、及び、ヒートシンク28Abが形成されたミラー部材28Aの発光素子24Aが固定支持された側面がリフレクタ26Aの側方に配置されることが開示されていると認められる。

ウ 記載された発明ないし技術的事項
(ア)甲2発明Aないし甲2技術
上記アの各記載事項、上記イの各認定事項及び【図1】?【図3】の記載からみて、甲第2号証には次の発明(以下「甲2発明A」という。)ないし技術的事項(以下「甲2技術」という。)が記載されているものと認める。
「ランプボディ12と素通し状の透光カバー14によって区画された灯室の内部に、灯具ユニット20Aが配置された車両用照明灯具10であって、
前記灯具ユニット20Aは、白色発光ダイオードからなる発光素子24Aが搭載されたヒートシンク28Abが形成されたミラー部材28Aと、
発光素子24Aから出射された光の遮蔽量を切り替えるシェード40Aと、シェード40Aを動作させるソレノイド等のアクチュエータとして構成されるシェード駆動機構42を有し、
発光素子24Aから出射された光を投影する投影レンズ22とを備え、
前記投影レンズ22と前記ミラー部材28Aとの間にシェード駆動機構42Aが配置された
車両用照明灯具10。」

(イ)甲2発明B
甲第2号証には、上記甲2発明Aの事項に加え、以下の事項をさらに備えた発明(以下「甲2発明B」という。)が記載されているものと認める。
「前記発光素子24Aから出射された光を前記投影レンズ22に向けて反射するリフレクタ26Aが設けられ、
前記投影レンズ22の焦点Fの後方に前記ヒートシンク28Abが形成されたミラー部材28Aと、前記リフレクタ26Aとが配置された」

(ウ)甲2発明C
甲第2号証には、上記甲2発明Bの事項に加え、以下の事項をさらに備えた発明(以下「甲2発明C」という。)が記載されているものと認める。
「前記ヒートシンク28Abが形成されたミラー部材28Aの発光素子24Aが固定支持された側面がリフレクタ26Aの側方に配置された」

(3)甲第3号証
ア 記載事項
取消理由で通知した特開2011-119184号公報には、次の事項が記載されている。
(ア)「【0022】
本発明の車両用前照灯はその主要部が、光源モジュール1、リフレクタ10、可動ミラー20、投影レンズ30、レンズホルダー40、ヒートシンク50及び回動機構部60により構成されている。」

(イ)「【0023】
光源モジュール1は、光源2と、光源2を備えた基板3と、該基板3が搭載されたメタルプレート4により構成されている。」

(ウ)「【0024】
光源2は、光学系において点光源とみなすことができる発光源(発光素子)からなり、例えば、LED等の半導体発光素子5が用いられ、・・・」

(エ)「【0028】
投影レンズ30は、前側の面(光出射面30b)が凸状で後側の面(光入射面30a)が平面状の平凸非球面レンズからなり、光軸XLが主反射面11aの長軸と一致すると共に、後側の焦点f3の位置が主反射面11aの第二焦点f2aの位置と一致するように配設されている。」

(オ)「【0031】
可動ミラー20の位置は、ロービーム用配光パターンを形成するときの位置とハイビーム用配光パターンを形成するときの位置が予め設定されており、ヒートシンク50に固定設置された回動機構部60を介して、車幅方向に位置する回動支持軸61の周りを回動する回動支持部20bを支点として回動することによりいずれかの位置に切換えられる。」

(カ)「【0039】
すると、主反射面11aの第一焦点f1近傍に位置する光源2から発せられた光のうち、主反射面11aに向かい該主反射面11aにより光軸XL寄りの前方に向けて反射された光は、直接第二焦点f2aに向かう光と第二焦点近傍の平面反射面20aに向かう光に分かれ、直接第二焦点f2aに向かう光は一旦第二焦点f2aで収束してその後発散し、その発散光が投影レンズ30の光入射面30aに投影されて投影レンズ30内を導光されて光出射面30bから照射方向に向けて照射される。また、第二焦点f2a近傍の平面反射面20aに向かう光は平面反射面20aで反射されて反射光が第二焦点f2aで収束してその後発散し、同様にその発散光が投影レンズ30の光入射面30aに投影されて投影レンズ30内を導光されて光出射面30bから照射方向に向けて照射される。」

(キ)「【0044】
このとき、可動ミラー20の平面反射面20aの具体的な位置は上述したように、この平面反射面20aを対称面としたときに副反射面11bの第2焦点f2bの位置と主反射面11aの第2焦点f2aの位置とが面対称となるような位置に設定されている。」

(ク)「【0046】
この照射光によって形成される配光パターンは、主反射面11aからの反射光が可動ミラー20に遮蔽されることなくそのまま第二焦点f2aを通って投影レンズ30に投影され、その反転投影像によって配光パターンが形成される。そのため、図8(a)に示すような、水平基準線Hの上側(U側)と下側(D側)の両方に大きく広がる配光パターンとなる。」

(ケ)「【0047】
一方、主反射面11aに連設されて該主反射面11aの前方方向に位置する副反射面11bに向かい該副反射面11bにより光軸XLの下方に向けて反射された光は、光軸XLを含む水平面に対して所定の角度をもって前方に向けて下方(水平面から離れる方向)に傾斜させた平面反射面20aで反射されて、平面反射面20aを対称面とする副反射面11bの第二焦点f2bの仮想第二焦点の位置にある第二焦点f2aに一旦収束してその後発散し、その発散光が投影レンズ30の光入射面30aに投影されて投影レンズ30内を導光されて光出射面30bから照射方向に向けて照射される。」

(コ)「【0048】
この照射光によって形成される配光パターンは、副反射面11bで反射された一次反射光が更に可動ミラー20の平面反射面20aで反射されてその二次反射光が第二焦点f2aを通って投影レンズ30に投影され、その反転投影像によって配光パターンが形成される。そのため、図8(b)に示すような、水平基準線Hの上側(U側)と下側(D側)の両方の狭い範囲で且つ照射光量の多い配光パターンとなる。」

イ 認定事項
上記アの記載事項に加え、以下の事項が認定できる。
(ア)上記ア(ア)及び車両用前照灯の技術常識より、甲第3号証には、内部に主要部が配置された車両用前照灯、及び、主要部が投影レンズ30と、ヒートシンク50と、回転機構60を有することが開示されていると認められる。

(イ)上記ア(ク)、(ケ)より、甲第3号証には、可動ミラー20は、光源2から出射された光の遮蔽量を切り替えるものであることが開示されていると認められる。

(ウ)上記ア(オ)より、甲第3号証には、回動機構部60は、可動ミラー20を動作させるものであることが開示されていると認められる。

(エ)【図1】、【図2】、【図5】及び【図6】の記載より、甲第3号証には、投影レンズ30が光源2から射出された光を投影していること、ヒートシンク50には光源2が搭載されていること、投影レンズ30とヒートシンク50の間に回動機構部60が配置されていること、リフレクタ10が光源2から出射された光を投影レンズ30へ向けて反射すること、投影レンズ30の焦点f3の後方にヒートシンク50とリフレクタ10が配置されていること、及び、ヒートシンク50の下方部分がリフレクタ10よりも下方に配置されていることが開示されていると認められる(【図3】に当審が破線等を付加した下記〔参考図4〕を参照。)。

〔参考図4〕



(オ)甲第3号証の【図2】、【図4】に特許異議申立人が部材名を付加し、特許異議申立書第71ページに提示した下記〔参考図5〕に示されるように、「出力軸」と部材名を付した部材(【図1】、【図3】の記載から軸の形状であることが把握できる。)は、回動機構部60の一部をなすものであること、【図2】の状態と【図4】の状態で突出量が変化していること、及び、出力軸に連結される線状の部材が可動ミラー20の回動支持部20bに対しリンク状に連結されていることが看取でき、出力軸の軸方向の前後方向の移動により可動ミラー20に回動力を付与していることは明らかである。したがって、甲第3号証には、回動機構部60に軸方向へ移動され可動ミラー20に回動力を付与しする出力軸が設けられ、前記出力軸が前後方向に移動されるようにしたことが開示されていると認められる。

〔参考図5〕


ウ 記載された発明ないし技術的事項
(ア)甲3発明Aないし甲3技術A
上記アの各記載事項、上記イの各認定事項及び【図1】?【図6】の記載からみて、甲第3号証には次の発明(以下「甲3発明A」という。)ないし技術的事項(以下「甲3技術A」という。)が記載されているものと認める。
「内部に、主要部が配置された車両用前照灯であって、
前記主要部は、
LED等の半導体発光素子5からなる光源2が搭載されたヒートシンク50と、
前記光源2から出射された光の遮蔽量を切り替える可動ミラー20と、
前記可動ミラー20を動作させる回動機構部60と、
前記光源2から出射された光を投影する投影レンズ30とを備え、
前記投影レンズ30と前記ヒートシンク50の間に前記回動機構部60が配置された
車両用前照灯。」

(イ)甲3発明B
甲第3号証には、上記甲3発明Aの事項に加え、以下の事項をさらに備えた発明(以下「甲3発明B」という。)が記載されているものと認める。
「前記光源2から出射された光を前記投影レンズ30へ向けて反射するリフレクタ10が設けられ、
前記投影レンズ30の焦点f3の後方にヒートシンク50とリフレクタ10が配置された」

(ウ)甲3発明C
甲第3号証には、上記甲3発明Bの事項に加え、以下の事項をさらに備えた発明(以下「甲3発明C」という。)が記載されているものと認める。
「前記ヒートシンク50の下方部分が前記リフレクタ10よりも下方に配置された」

(エ)甲3発明Dないし甲3技術B
甲第3号証には、上記甲3発明Aの事項に加え、以下の事項をさらに備えた発明(以下「甲3発明D」という。)ないし技術的事項(以下「甲3技術B」という。)が記載されているものと認める。
「前記回動機構部60に軸方向へ移動され前記可動ミラー20に回動力を付与する出力軸が設けられ、
前記出力軸が前後方向へ移動されるようにした」

(4)甲第4号証
ア 記載事項
取消理由で通知した特開2007-294203号公報には、次の事項が記載されている。
(ア)「【0023】
本第1実施形態の車両用前照灯10は、図1に示すように、ランプボディ12とその前方開口部に取り付けられた素通し状の透明カバー(カバー)14で形成された灯室16内に、灯具ユニット18が収容されている。」

(イ)「【0024】
灯具ユニット18は、図1に示すように、ランプボディ12にフレーム22を介して支持されているが、該フレーム22は図示せぬエイミング機構を介して、ランプボディ12に支持されている。
エイミング機構は、灯具ユニット18の取付位置及び取付角度を微調整するための機構で、エイミング調整した段階では、灯具ユニット18のレンズ中心軸Axは、車両前後方向に対して、0.5?0.6度程度下向きの方向に延びるようになっている。」

(ウ)「【0027】
灯具ユニット18は、図1及び図2に示すように、プロジェクタ型の灯具ユニットであり、車両前後方向に延びるレンズ中心軸(光軸)Ax上に配置された投影レンズ11と、投影レンズ11の後方側焦点Fよりも後方に配置された光源バルブ23と、この光源バルブ23の光源23aを第1焦点として光源バルブ23から放射された光(直接光)を前方に向けてレンズ中心軸Ax寄りに反射させるリフレクタ25と、投影レンズ11と光源23aとの間に配置されてリフレクタ25からの反射光の一部及び光源23aからの直接光の一部を遮蔽して配光パターンのカットオフラインを形成するシェード機構29と、投影レンズ11とリフレクタ25の前端開口縁との間に介在して両者の連結手段となる略円筒状のホルダ31と、光源23aの上方でリフレクタ25と投影レンズ11との間に設けられ、光源23aからの光を後方側焦点Fよりも僅かに前方の位置に向けて反射するオーバーヘッドサイン用反射面25bと、可動シェード30の前方に設けられ、オーバーヘッドサイン用反射面25bからの光P1を投影レンズ11に向けて反射し、投影レンズ11から上向きの照射光であるオーバーヘッドサイン照射光P2を出射させるオーバーヘッドサイン用受光面28aと、を備えている。」

(エ)「【0029】
・・・
光源バルブ23は、放電発光部を光源23aとするメタルハライドバルブ等の放電バルブであって、・・・
【0030】
光源バルブ23には、バルブソケット60が取着されている。・・・」

(オ)「【0038】
アクチュエータ20は、支持板26に固定された本体20aに対して、該本体20aに収容したプランジャ20bをレンズ中心軸Axと平行な方向に進退駆動するソレノイドであり、図示しないビーム切り替えスイッチの操作が行われた時に作動し、プランジャ20bの進退に伴うロッド部材40の移動により、カム板44を回転軸42回りに回動させて、可動シェード30の位置を切り替える。」

(カ)「【0039】
ビーム切り替えスイッチが、すれ違いビームを選択するボジションに設定された時、アクチュエータ20のプランジャ20bは、図1及び図2に示すように、本体20aから最大限に突出した状態になっており、このとき、可動シェード30は、図2に示す遮蔽位置に保持される。
なお、回転軸42には、可動シェード30を遮蔽位置側に付勢するねじりコイルばねによるリターンスプリング(図示せず)が装備されている。」

(キ)「【0040】
一方、ビーム切り替えスイッチが、走行用ビームを選択するボジションに設定された時、アクチュエータ20のプランジャ20bは、図3に矢印Bで示すように、本体20aから最大限に突出した状態から本体20a内に所定量引き込まれる。これにより、図3に一点鎖線で示す位置から実線で示す位置にロッド部材40が変位し、このロッド部材40の変位に従動するカム板44の回動により、可動シェード30は遮蔽位置から後方側へ所定角度回動した遮蔽緩和位置(図3に実線で示す位置)に移動する。」

イ 認定事項
上記アの記載事項に加え、以下の事項が認定できる。
(ア)上記ア(ア)より、甲第4号証には、前方開口部を有するランプボディ12と前記ランプボディ12の前方開口部を覆う透明カバー14とによって構成された灯室16の内部に灯具ユニット18が配置された車両用前照灯10が開示されていると認められる。

(イ)上記ア(ウ)、(オ)より、甲第4号証には、光源23aから出射された光の遮蔽量を切り替える可動シェード30と、可動シェード30を動作させるアクチュエータ20とを有することが開示されていると認められる。

(ウ)上記ア(キ)及び【図3】の記載より、甲第4号証には、アクチュエータ20に軸方向へ移動され可動シェード30に回動力を付与するプランジャ20bが設けられること、プランジャ20bが前後方向へ移動されることが開示されていると認められる。

(エ)上記ア(ウ)及び【図1】の記載より、甲第4号証には、投影レンズ11が光源23aから出射された光を投影するものであること、リフレクタ25が光源23aから出射された光を投影レンズ11へ向けて反射するものであること、投影レンズ11の焦点Fよりも後方に光源バルブ23とリフレクタ25が配置されていること、及び、光源バルブ23がリフレクタ25の下方に配置されていることが開示されていると認められる。

ウ 記載された発明ないし技術的事項
(ア)甲4発明A
上記アの各記載事項、上記イの各認定事項及び【図1】?【図3】の記載からみて、甲第4号証には次の発明(以下「甲4発明A」という。)が記載されているものと認める。
「前方開口部を有するランプボディ12と前記ランプボディ12の前方開口部を覆う透明カバー14とによって構成された灯室16の内部に灯具ユニット18が配置された車両用前照灯10であって、
灯具ユニット18は、
放電発光部を光源23aとする光源バルブ23と、
前記光源バルブ23に取着されたバルブソケット60と、
前記光源23aから出射された光の遮蔽量を切り替える可動シェード30と前記可動シェード30を動作させるアクチェエータ20と、
前記光源23aから出射された光を投影する投影レンズ11とを備えた
車両用前照灯10。」

(イ)甲4発明B
甲第4号証には、上記甲4発明Aの事項に加え、以下の事項をさらに備えた発明(以下「甲4発明B」という。)が記載されているものと認める。
「前記光源23aから出射された光を前記投影レンズ11へ向けて反射するリフレクタ25が設けられ、
前記投影レンズ11の焦点Fの後方に前記光源バルブ23と、前記リフレクタ25とが配置された」

(ウ)甲4発明C
甲第4号証には、上記甲4発明Bの事項に加え、以下の事項をさらに備えた発明(以下「甲4発明C」という。)が記載されているものと認める。
「前記光源バルブ23が前記リフレクタ25の下方に配置された」

(エ)甲4発明Dないし甲4技術
甲第4号証には、上記甲4発明Aの事項に加え、以下の事項をさらに備えた発明(以下「甲4発明D」という。)ないし技術的事項(以下「甲4技術」という。)が記載されているものと認める。
「前記アクチュエータ20に軸方向に移動され前記可動シェード30に回動力を付与するプランジャ20bが設けられ、
前記プランジャ20bが前後方向に移動されるようにした」

(5)甲第5号証
ア 記載事項
取消理由で通知した特開2010-218728号公報には、次の事項が記載されている。
(ア)「【0001】
本発明は車輌用前照灯に関する。詳しくは、第1のシェードと第2のシェードをともに同一の支持軸に回動自在に支持させて動作の円滑化及び部品点数の削減による機構の簡素化を図る技術分野に関する。」

(イ)「【0047】
第1のシェード21は、例えば、遠距離を照射する所謂ハイビームの配光パターンと近距離を照射する所謂ロービームの配光パターンとを切り替える機能を有している。第2のシェード22は、例えば、左側通行用の配光パターンを右側通行用に適した配光パターンに切り替える機能を有している。」

(ウ)「【0048】
第1のシェード21は前方側の位置である近距離を照射する近距離照射位置と後方側の位置である遠距離を照射する遠距離照射位置との間で回動され、光源11から出射された光の一部を遮蔽する。」

(エ)「【0061】
ベース板16における水平面部17には第1のシェード21を回動させるための第1の駆動手段として用いられたソレノイド34が配置されている。ソレノイド34は電磁コイル35と該電磁コイル35への通電状態により前後方向へ移動されるプランジャー36とを有している。」

(オ)「【0062】
プランジャー36の後端部は電磁コイル35から後方へ突出され、プランジャー36の後端部と第1のシェード21の被支持片26とが針金状の連結部材37によって連結されている。従って、プランジャー36が前後方向へ移動されると、連結部材37が前後方向へ移動されて第1のシェード21が支持軸20を支点として回動される。」

イ 認定事項
上記アの記載事項に加え、以下の事項が認定できる。
(ア)上記ア(イ)、(ウ)及び【図1】の記載より、甲第5号証には、第1のシェード21は、光源から出射された光の遮蔽量を切り替えるものであることが開示されていると認められる。

(イ)上記ア(エ)、(オ)及び【図3】の記載より、甲第5号証には、ソレノイド34は第1のシェード21を動作させるものであること、ソレノイド34のプランジャー36は、軸方向へ移動され、第1のシェード21に回動力を付与するものであること、及び、プランジャー36が前後方向に移動されるようにしたものであることが開示されていると認められる。

ウ 記載された技術的事項
(ア)甲5技術
上記アの各記載事項、上記イの各認定事項及び【図1】?【図3】の記載からみて、甲第5号証には次の技術的事項(以下「甲5技術」という。)が記載されているものと認める。
「光源11から出射された光の遮蔽量を切り替える第1のシェード21と前記第1のシェード21を動作させるソレノイド34とを有し、
前記ソレノイド34に軸方向へ移動され前記第1のシェード21に回動力を付与するプランジャー36が設けられ、
前記プランジャー36が前後方向へ移動されるようにした
車輌用前照灯。」

(6)甲第6号証
ア 記載事項
取消理由で通知した特開2007-213938号公報には、次の事項が記載されている。
(ア)「【0001】
本発明は、例えば自動車の前部に設けられた前照灯または補助前照灯として使用されるプロジェクタタイプの車両前照灯及びこれに使用される遮光シャッタの駆動装置に関する。」

(イ)「【0033】
[実施例1]
図1は、本発明による遮光シャッタ駆動装置を組み込んだ車両前照灯の一実施形態の構成を示している。
図1において、車両前照灯10は、光源としてのバルブ11と、上記バルブ11からの光を前方に向かって反射させる反射面12と、上記反射面12の前方に配置された投影レンズ13と、上記反射面12と投影レンズ13との間に配置された遮光シャッタ14と、上記遮光シャッタ14を揺動させる遮光シャッタ駆動装置20(図2参照)と、から構成されている。」

(ウ)「【0046】
本発明実施形態による車両前照灯10は、以上のように構成されており、バルブ11が外部から給電されて発光する。これにより、バルブ11の発光部から光が出射することになる。
そして、バルブ11から出射した光は、直接に、または上記反射面12で反射されて、この反射面12の第二焦点F2付近に向かって前方に進み、さらに投影レンズ13により集束されながら、前方に向かって照射される。」

(エ)「【0047】
ここで、上記遮光シャッタ14の可動部分14bが図1にて実線で示すように挿入位置Aに在る場合には、バルブ11から出射した光のうち、一部の光が上記遮光シャッタ14により遮断され、その上縁14aによりカットオフラインが形成される。
従って、従来のすれ違いビームと同様のカットオフラインが形成されるので、対向車や歩行者に眩惑を与えない、すれ違いビームのために最適な配光パターンが得られることになる。」

(オ)「【0048】
これに対して、遮光シャッタ駆動装置20の直動式アクチュエータ21が動作して、その駆動軸21aが吸引方向(矢印P方向)に移動されると、これに伴って、クランク軸22の第一のアーム24の先端が同様に矢印P方向に移動して、クランク軸22が回転駆動される。・・・」

(カ)「【0049】
従って、バルブ11または反射面12からの光は、上記遮光シャッタ14により遮断されることなく、投影レンズ13を介して前方に向かって照射されることになる。
このようにして、遮光シャッタ14の上縁14aによってカットオフラインが形成されないので、遠方視認性の良好な走行ビームのために最適な配光パターンが得られることになる。」

(キ)「【0056】
[実施例3]
図4は、本発明による遮光シャッタ駆動装置の第三の実施形態を示している。 図4において、遮光シャッタ駆動装置40は、図3に示した遮光シャッタ駆動装置20と同様の構成であるので、同じ構成要素には同じ符号を付して、その説明を省略する。
上記遮光シャッタ駆動装置30は、図3に示した遮光シャッタ駆動装置20とは、直動式アクチュエータ21が、その駆動軸21aが光軸Oに対して横向きに配置されている点でのみ異なる構成になっている。
これに対応して、上記遮光シャッタ駆動装置40においては、クランク軸22は、その第一のアーム25が、光軸Oに平行に前方に向かって延びている。」

イ 認定事項
上記アの記載事項に加え、以下の事項が認定できる。
(ア)上記ア(イ)、(エ)、(カ)より、甲第6号証には、遮光シャッタ14が、光源としてのバルブ11から出射された光の遮蔽量を切り替えることが開示されていると認められる。

(イ)上記ア(オ)及び【図2】(実施例1)の記載より、直動式アクチュエータ21が遮光シャッタ14を動作させること、直動式アクチュエータ21の駆動軸21aは軸方向に移動され、遮光シャッタ14に回動力を付与するものであること、及び、駆動軸21aが前後方向に移動されるようにしたものであることが開示されていると認められる。

(ウ)上記ア(キ)及び【図4】(実施例3)の記載より、甲第6号証には、駆動軸21aが左右方向に移動されるようにしたものであることが開示されていると認められる。

ウ 記載された技術的事項
(ア)甲6技術A
上記アの記載事項(ア)?(カ)、上記イの認定事項(ア)、(イ)及び【図1】、【図2】の記載からみて、甲第6号証には次の技術的事項(以下「甲6技術A」という。)が記載されているものと認める。
「光源としてのバルブ11から出射された光の遮蔽量を切り替える遮光シャッタ14と、前記遮光シャッタ14を動作させる直動式アクチュエータ21を有する遮光シャッタ駆動装置20と、
前記直動式アクチュエータ21に軸方向へ移動され前記遮光シャッタ14に回動力を付与する駆動軸21aが設けられ、
前記駆動軸21aが前後方向へ移動されるようにした
車両前照灯10。」

(イ)甲6技術B
また、上記アの記載事項(ア)?(キ)、上記イの認定事項(ア)?(ウ)及び【図1】、【図4】の記載からみて、甲第6号証には次の技術的事項(以下「甲6技術B」という。)も記載されているものと認める。
「光源としてのバルブ11から出射された光の遮蔽量を切り替える遮光シャッタ14と、前記遮光シャッタ14を動作させる直動式アクチュエータ21を有する遮光シャッタ駆動装置20と、
前記直動式アクチュエータ21に軸方向へ移動され前記遮光シャッタ14に回動力を付与する駆動軸21aが設けられ、
前記駆動軸21aが左右方向へ移動されるようにした
車両前照灯10。」

(7)甲第7号証
ア 記載事項
取消理由で通知した特開2011-65960号公報には、次の事項が記載されている。
(ア)「【0031】
これらの図に示すように、本実施形態に係る車両用前照灯10は、プロジェクタ型の灯具ユニットとして構成されており、図示しないランプボディ等に組み込まれた状態で用いられるようになっている。そして、この車両用前照灯10は、左配光のロービーム用配光パターンを形成するための光照射と、ハイビーム用配光パターンを形成するための光照射と、さらにこれら以外のいくつかの配光パターンを形成するための光照射を選択的に行い得る構成となっている。」

(イ)「【0032】
この車両用前照灯10は、車両前後方向に延びる光軸Ax上に配置された投影レンズ12と、この投影レンズ12の後側焦点Fよりも後方側に配置された発光素子14と、この発光素子14からの光を投影レンズ12へ向けて光軸Ax寄りに反射させるリフレクタ16と、このリフレクタ16からの反射光の一部を遮蔽するシェードとしての左右1対のシェード片18L、18Rおよびミラー部材20と、レンズホルダ22と、光源ホルダ24を備えた構成となっている。」

(ウ)「【0036】
発光素子14は、白色発光ダイオードであって、矩形状の発光面を有する発光チップ14aが基板14bに支持されてなり、その発光チップ14aの発光面を鉛直上向きにした状態で、光源ホルダ24に固定支持されている。」

(エ)「【0038】
このリフレクタ16の反射面16aは、光軸Axを含む平面に沿った断面形状が略楕円形に設定されており、その離心率は鉛直断面から水平断面へ向けて徐々に大きくなるように設定されている。そしてこれにより、この反射面16aで反射した発光素子14からの光を、鉛直断面内においては後側焦点F近傍に略収束させるとともに、水平断面内においてはその収束位置を後側焦点Fの前方側へ変位させるようになっている。」

(オ)「【0040】
左右1対のシェード片18L、18Rは、いずれも帯板状に形成されており、光軸Axを含む鉛直面に関して左右対称の形状を有している。そして、これら各シェード片18L、18Rは、その上端縁18La、18Raが光軸Axを含む水平面内において投影レンズ12の後側焦点面に略沿って延びるように配置される第1位置と、その上端縁18La、18Raが第1位置から下方に変位した第2位置との間で移動し得るように構成されている。」

(カ)「【0043】
これら各シェード片18L、18Rは、第1位置にあるときには、リフレクタ16からの反射光の一部を遮蔽して、投影レンズ12から上向きに出射する光を除去するとともに、第2位置および第3位置にあるには、リフレクタ16からの反射光に対する遮蔽を解除するようになっている。」

(キ)「【0046】
その際、これら左右1対のシェード片18L、18Rは、これら各シェード片18L、18Rの後端部においてリンク機構40を介して互いに連結されている。そして、一方のシェード片18L(または18R)が第1位置から第2位置へ向けて回動するのに連動して、他方のシェード片18R(または18L)が第2位置から第1位置へ向けて回動するように構成されている。」

(ク)「【0047】
これら左右1対のシェード片18L、18Rの回動は、光源ホルダ24の右側部(または左側部)に固定支持されたステッピングモータ50の駆動により行われるようになっている。その際、このステッピングモータ50の駆動により、各シェード片18L、18Rを、第1位置と、第2位置と、その中間に位置する第3位置とに選択的に配置し得るようになっている。」

(ケ)「【0048】
リンク機構40は、光源ホルダ24に固定支持された軸部材36に対して、光軸Axの真下において光軸Axと平行に延びる軸線Ax2回りに回動可能に支持された連結板42と、この連結板42の左右両端部において前方へ向けて突出するように形成された1対のピン44L、44Rと、左右1対のシェード片18L、18Rの各々の後端部の下端縁近傍において水平方向に延びるように形成された長孔18Lc、18Rcと、連結板42の下端部の後面において、ステッピングモータ50の出力軸50aに形成されたピン50bと係合する溝部42aとから構成されている。」

イ 認定事項
上記アの記載事項に加え、以下の事項が認定できる。
(ア)上記ア(エ)、(カ)より、甲第7号証には、シェード片18L、18Rが、発光素子14から出射された光の遮蔽量を切り替えるものであることが開示されていると認められる。

(イ)上記ア(ク)より、甲第7号証には、ステッピングモータ50は、シェード片18L、18Rを動作させるものであることが開示されていると認められる。

(ウ)上記ア(ク)、(ケ)及び【図2】、【図6】の記載より、ステッピングモータ50に軸方向へ移動されシェード18L、18Rに回動力を付与する出力軸50aが設けられ、出力軸50aが左右方向に移動されるようにしたものであることが開示されていると認められる。

ウ 記載された技術的事項
(ア)甲7技術
上記アの各記載事項、上記イの各認定事項及び【図1】、【図2】、【図6】の記載からみて、甲第7号証には次の技術的事項(以下「甲7技術」という。)が記載されているものと認める。
「発光素子14から出射された光の遮蔽量を切り替えるシェード片18L、18Rと前記シェード片18L、18Rを動作させるステッピングモータ50と、
前記ステッピングモータ50に軸方向へ移動され前記シェード片18L、18Rに回動力を付与する出力軸50aが設けられ、
前記出力軸50aが左右方向へ移動されるようにした
車両用前照灯10。」

3 対比・判断
(1)甲第1号証を主引例とした場合
ア 本件特許発明1について
(ア)対比
a 本件特許発明1と甲1発明Aとを対比すると、後者の「ランプハウジング」は前者の「ランプハウジング」に相当し、以下同様に、「ランプユニット」は「灯具ユニット」に、「車両用前照灯1」は「車輌用前照灯」に、「LED、EL(有機EL)などの自発光半導体型光源からなる半導体光源3」は「光源」に、「ヒートシンク部材9」は「ヒートシンク」に、「シェード6」は「可動シェード」に、「モータ20」は「アクチュエータ-」に、「切替装置8」は「光量制御機構」に、「投影レンズ4」は「投影レンズ」にそれぞれ相当する。

b 後者の「ランプレンズ」は「ランプハウジング」に対し覆う(カバーする)構造といえ、灯室を区画する「ランプレンズ」及び「ランプハウジング」は、前者の「灯具外筐」に相当するといえる。したがって、後者の「ランプハウジングとランプレンズによって区画された灯室内に、ランプユニットが配置された車両用前照灯1」と、前者の「少なくとも一方に開口を有するランプハウジングと前記ランプハウジングの前記開口を覆うカバーとによって構成された灯具外筐の内部に灯具ユニットが配置された車輌用前照灯」とは、「ランプハウジングとカバーとによって構成された灯具外筐の内部に灯具ユニットが配置された車輌用前照灯」の限度で一致するといえる。

c 前者の「光源ユニット」とは、本件特許明細書の段落【0035】?【0037】の記載から、光源、ヒートシンクを含む光源に関する各種部材をまとめたユニットを称しているものである。そうすると、後者の「半導体光源3」と「ヒートシンク部材9」を合わせたものは「光源ユニット」といい得るものである。したがって、後者の「前部に半導体型光源3が搭載されたヒートシンク部材9」からなるものは、前者の「光源が搭載されヒートシンクが設けられた光源ユニット」を充足するといえる。

d 後者の「モータ20」が配置された位置は灯室内であり、前者の「アクチュエータ-」が配置された位置は灯具外筐の内部にあるものであって、上記bを踏まえると、後者の「前記ヒートシンク部材9の略前下方に前記モータ20が配置された」と、前者の「前記投影レンズと前記ヒートシンクの間に前記アクチュエーターが配置された」とは、「前記灯具外筐の内部に前記アクチュエーターが配置された」の限度で一致するといえる。

e そうすると、両者の一致点、相違点は以下のとおりである。
[一致点1]
「ランプハウジングとカバーとによって構成された灯具外筐の内部に灯具ユニットが配置された車輌用前照灯であって、
前記灯具ユニットは、
光源が搭載されヒートシンクが設けられた光源ユニットと、
前記光源から出射された光の遮蔽量を切り替える可動シェードと前記可動シェードを動作させるアクチュエーターとを有する光量制御機構と、
前記光源から出射された光を投影する投影レンズとを備え、
前記灯具外筐の内部に前記アクチュエーターが配置された
車輌用前照灯。」

[相違点1-1]
「灯具外筐」に関し、本件特許発明1が、「少なくとも一方に開口を有するランプハウジングと前記ランプハウジングの前記開口を覆うカバーとによって構成され」るのに対し、甲1発明Aは、そのような特定がない点。

[相違点1-2]
「アクチュエーター」の配置位置に関し、本件特許発明1が、「前記投影レンズと前記ヒートシンクの間」であるのに対し、甲1発明Aは、「前記ヒートシンク部材9の略前下方」である点。

(イ)判断
上記相違点について検討する。
a 相違点1-1について
車輌用前照灯の分野の技術常識を考慮すれば、甲第1号証に明示がなくとも、甲1発明Aの「ランプハウジング」は少なくとも一方に開口を有するものであり、「ランプレンズ」は、その開口を覆うものであることは自明であるといえる。
したがって、甲1発明Aも上記相違点1-1に係る本件特許発明1の事項を実質的に有しているといえる。

あるいは、車輌用前照灯の分野において、灯具外筺を、少なくとも一方に開口を有するランプハウジングとランプハウジングの開口を覆うカバーとによって構成することは、甲第4号証の段落【0023】(上記2(4)ア(ア))及び【図1】、特開2012-22789号公報の段落【0024】及び【図1】等に示されるように、周知技術(以下「甲4等周知技術」という。)といえるものであり、甲1発明Aにおいて、このような手段を採用することは、当業者であれば所望により適宜なし得た設計的事項にすぎない。
したがって、甲1発明Aにおいて、上記相違点1-1に係る本件特許発明1の事項を有するものとすることは、当業者にとって容易になし得たことである。

b 相違点1-2について
「間」とは、「物と物との中間」[株式会社岩波書店 広辞苑第六版]を示す用語であるが、一般的には、物と物を幾何学的に結んだ範囲の周辺に対しても用いられる用語といえる。そして、本件特許明細書においても「前記投影レンズと前記ヒートシンクの間」の厳密な定義がされているわけでもない。
そうすると、甲1発明Aの「モータ20」(アクチュエーター)が配置される「ヒートシンク部材9の略前下方」の位置についても、「モータ20」の大部分が「ヒートシンク部材9」よりも前側に位置することを鑑みると、「モータ20」は「投影レンズ4」と「ヒートシンク部材9」との間にあるということができる。
したがって、甲1発明Aも上記相違点1-2に係る本件特許発明1の事項を実質的に有しているといえる。
あるいは、「間」という用語が、上記の周辺の箇所が含まれないと解釈しても、「シェード6」の機能を損なわないようにしつつ上記の範囲内の位置に「モータ20」を配置するようにすることは、当業者であれば所望により適宜なし得た設計変更にすぎない。
したがって、甲1発明Aにおいて、上記相違点1-2に係る本件特許発明1の事項を有するものとすることは、当業者にとって容易になし得たことである。
そして、本件特許発明1が奏する作用効果についても、甲1発明A(及び甲4等周知技術)から予測し得る範囲内のものであって、格別でない。

以上検討したとおり、本件特許発明1は、甲1発明Aである。あるいは、甲1発明A(及び甲4等周知技術)に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

イ 本件特許発明2について
(ア)対比
a 本件特許発明2と甲1発明Bとを対比すると、上記ア(ア)a?dに加えて、後者の「主リフレクタ2」は前者の「リフレクター」に相当する。

b 前者の「光源ユニット」は「ヒートシンク」を含むものであるから、後者の「前記投影レンズ4の焦点FLの後方に前記ヒートシンク部材9と、前記主リフレクタ2とが配置された」は、前者の「前記投影レンズの焦点の後方に前記光源ユニットの少なくとも一部と前記リフレクターとが配置された」を充足するといえる。

c そうすると、両者は、上記一致点1に加え「前記光源から出射された光を前記投影レンズへ向けて反射するリフレクターが設けられ、前記投影レンズの焦点の後方に前記光源ユニットの少なくとも一部と前記リフレクターとが配置された」という事項を有する点で一致し、相違点1-1、1-2で相違する。

(イ)判断
相違点1-1、1-2については、上記ア(イ)で述べたとおりである。
したがって、本件特許発明2は、甲1発明Bである。あるいは、甲1発明B(及び甲4等周知技術)に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

ウ 本件特許発明3について
(ア)対比
a まず、本件特許発明3の「前記光源ユニットが前記リフレクターの下方に配置された」という事項について検討するに、本件特許図面の【図1】等の記載から具体的に把握されるものは、光源24やヒートシンク25等を含む「光源ユニット11」の全てが「リフレクター10」よりも下方に配置されているわけではないので、上記事項は、光源ユニットの少なくとも一部がリフレクターよりも下方に配置されているものである場合も含むものと解される(以下、甲第2?4号証を主引例とする場合についても同様解釈とする。)。

b そして、本件特許発明3と甲1発明Cとを対比すると、上記ア(ア)a?d、上記イ(ア)a、bに加えて、前者の「光源ユニット」は「ヒートシンク」を含むものであるから、後者の「前記ヒートシンク部材9の半導体光源3が配置された前部10が前記主リフレクタ2よりも下方に配置された」は、前者の「前記光源ユニットが前記リフレクターの下方に配置された」に相当するといえる。

c そうすると、両者は、上記一致点1に加え「前記光源から出射された光を前記投影レンズへ向けて反射するリフレクターが設けられ、前記投影レンズの焦点の後方に前記光源ユニットの少なくとも一部と前記リフレクターとが配置された」及び「前記光源ユニットが前記リフレクターの下方に配置された」という事項を有する点で一致し、相違点1-1、1-2で相違する。

(イ)判断
相違点1-1、1-2については、上記ア(イ)で述べたとおりである。
したがって、本件特許発明3は、甲1発明Cである。あるいは、甲1発明C(及び甲4等周知技術)に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

エ 本件特許発明4について
(ア)対比
a 本件特許発明4と甲1発明Aとを対比すると、両者は、上記一致点1で一致し、相違点1-1、1-2で相違することに加え、さらに次の点で相違する。
[相違点1-3]
本件特許発明4が「前記アクチュエーターに軸方向へ移動され前記可動シェードに回動力を付与する出力軸が設けられ、前記出力軸が前後方向へ移動されるようにした」事項を有するのに対し、甲1発明Aは当該事項を有していない点。

(イ)判断
a 相違点1-1、1-2については、上記ア(イ)で述べたとおりである。

b 相違点1-3について以下検討する。
甲3技術Bの「回動機構部60」は、技術常識を考慮すればいわゆるアクチュエーターを含むことは明らかであり、その「出力軸」はアクチュエーターに設けられた出力軸ということができる。
甲4技術の「アクチュエータ20」はアクチュエーターであり、「プランジャ20b」はその出力軸であることが明らかである。
甲5技術の「ソレノイド34」はアクチュエーターであり、「プランジャー36」はその出力軸であることが明らかである。
甲6技術Aの「直動式アクチュエータ21」はアクチュエーターであり、「駆動軸21a」はその出力軸であることが明らかである。
そうすると、甲3技術B?甲6技術Aには、上記相違点1-3に係る本件特許発明4に係る事項が開示されているということができ、当該事項は周知技術といえるものである。
そして、甲1発明Aの「シェード6」を動作させる機構に、甲1発明Aと同一の技術分野である上記周知技術を採用することは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
また、仮に当該事項が周知技術とまではいえないとしても、甲1発明Aの「シェード6」を動作させる機構に、甲3技術B?甲6技術Aを採用することは、当業者であれば容易に想到し得たことである。

c したがって、本件特許発明4は、甲1発明A(及び甲4等周知技術)及び甲3技術B?甲6技術Aに示される周知ないし公知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

オ 本件特許発明5について
(ア)対比
a 本件特許発明5と甲1発明Aとを対比すると、両者は、上記一致点1で一致し、相違点1-1、1-2で相違することに加え、さらに次の点で相違する。
[相違点1-4]
本件特許発明5が「前記アクチュエーターに軸方向へ移動され前記可動シェードに回動力を付与する出力軸が設けられ、前記出力軸が左右方向へ移動されるようにした」事項を有するのに対し、甲1発明Aは当該事項を有していない点。

(イ)判断
a 相違点1-1、1-2については、上記ア(イ)で述べたとおりである。

b 次に相違点1-4について以下検討する。
甲6技術Bの「直動式アクチュエータ21」はアクチュエータであり、「駆動軸21a」はその出力軸であることが明らかである。
甲7技術の「ステッピングモータ50」はアクチュエータであり、「出力軸50a」はその出力軸であることが明らかである。
そうすると、甲6技術B、甲7技術には、上記相違点1-4に係る本件特許発明5に係る事項が開示されているということができ、当該事項は周知技術といえるものである。
そして、甲1発明Aの「シェード6」を動作させる機構に、甲1発明Aと同一の技術分野である上記周知技術を採用することは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
また、仮に当該事項が周知技術とまではいえないとしても、甲1発明Aの「シェード6」を動作させる機構に、上記甲6技術B、甲7技術を採用することは、当業者であれば容易に想到し得たことである。

c したがって、本件特許発明5は、甲1発明A(及び甲4等周知技術)及び甲6技術B、甲7技術に示される周知ないし公知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(2)甲第2号証を主引例とした場合
ア 本件特許発明1について
(ア)対比
a 本件特許発明1と甲2発明Aとを対比すると、後者の「ランプボディ12」は前者の「ランプハウジング」に相当し、以下同様に、「素通し状の透光カバー14」は「カバー」に、「灯具ユニット20A」は「灯具ユニット」に、「白色発光ダイオードからなる発光素子24A」は「光源」に、「シェード40A」は「可動シェード」に、「ソレノイド等のアクチュエータとして構成されるシェード駆動機構42」は「アクチュエーター」に、「投影レンズ22」は「投影レンズ」にそれぞれ相当する。
また、後者の「車両用照明灯具10」は車両の前方を照らすものであるから(甲第2号証の段落【0009】)、前者の「車輌用前照灯」に相当する。

b 後者の灯室を区画する「ランプボディ12」及び「素通し状の透光カバー14」は、前者の「灯具外筐」に相当するといえる。したがって、後者の「ランプボディ12と素通し状の透光カバー14によって区画された灯室の内部に、灯具ユニット20Aが配置された車両用照明灯具10」と、前者の「少なくとも一方に開口を有するランプハウジングと前記ランプハウジングの前記開口を覆うカバーとによって構成された灯具外筐の内部に灯具ユニットが配置された車輌用前照灯」とは、「ランプハウジングとカバーとによって構成された灯具外筐の内部に灯具ユニットが配置された車輌用前照灯」の限度で一致するといえる。

c 上記(1)ア(ア)cで述べたとおり、前者の「光源ユニット」とは、光源、ヒートシンクを含む光源に関する各種部材をまとめたユニットを称しているものである。そして、後者の「発光素子24Aが搭載されたヒートシンク28Abが形成されたミラー部材28A」について検討するに、甲第2号証の段落【0042】の「ミラー部材28Aは、・・・金属製の板状部材である。」との記載及び【図3】の記載から、「ヒートシンク28Ab」は、その反対側に設けられた「発光素子24A」の熱を「ミラー部材28A」の板状部材の部分を介して放熱するものであることが技術的に明らかである。したがって、本件特許明細書の段落【0035】、【0037】及び【図1】の記載も参照すると、後者の「ヒートシンク28Abが形成されたミラー部材28A」は、前者の「ヒートシンク」に相当するといえる。そうすると、後者の「白色発光ダイオードからなる発光素子24A」と「ヒートシンク28Abが形成されたミラー部材28A」を合わせたものは「光源ユニット」といい得るものである。
以上のことから、後者の「白色発光ダイオードからなる発光素子24Aが搭載されたヒートシンク28Abが形成されたミラー部材28A」からなるものは、前者の「光源が搭載されヒートシンクが設けられた光源ユニット」を充足するといえる。

d 前者の「光量制御機構」とは、本件特許明細書の段落【0041】の記載から、アクチュエーター、可動シェードを含む光量制御に関する各種部材をまとめた機構を称しているので、後者の「発光素子24Aから出射された光の遮蔽量を切り替えるシェード40Aと、シェード40Aを動作させるソレノイド等のアクチュエータとして構成されるシェード駆動機構42と」からなるものは、前者の「前記光源から出射された光の遮蔽量を切り替える可動シェードと前記可動シェードを動作させるアクチュエーターとを有する光量制御機構」を充足するといえる。

e 上記cを踏まえると、後者の「前記投影レンズ22と前記ミラー部材28Aとの間にシェード駆動機構42Aが配置された」は、前者の「前記投影レンズと前記ヒートシンクの間に前記アクチュエーターが配置された」を充足するといえる。

f そうすると、両者の一致点、相違点は以下のとおりである。
[一致点2]
「ランプハウジングとカバーとによって構成された灯具外筐の内部に灯具ユニットが配置された車輌用前照灯であって、
前記灯具ユニットは、
光源が搭載されヒートシンクが設けられた光源ユニットと、
前記光源から出射された光の遮蔽量を切り替える可動シェードと前記可動シェードを動作させるアクチュエーターとを有する光量制御機構と、
前記光源から出射された光を投影する投影レンズとを備え、
前記投影レンズと前記ヒートシンクの間に前記アクチュエータが配置された
車輌用前照灯。」

[相違点2-1]
「灯具外筺」に関し、本件特許発明1が、「少なくとも一方に開口を有するランプハウジングと前記ランプハウジングの前記開口を覆うカバーとによって構成され」るのに対し、甲2発明Aは、そのような特定がない点。

(イ)判断
上記相違点について検討する。
a 相違点2-1について
車輌用前照灯の分野の技術常識を考慮すれば、甲第2号証に明示がなくとも、甲2発明Aの「ランプボディ12」は少なくとも一方に開口を有するものであり、「素通し状の透光カバー14」は、その開口を覆うものであることは自明であるといえる。
したがって、甲2発明Aも上記相違点2-1に係る本件特許発明1の事項を実質的に有しているといえる。

あるいは、車輌用前照灯の分野において、灯具外筺を、少なくとも一方に開口を有するランプハウジングとランプハウジングの開口を覆うカバーとによって構成することは、上記1(1)イ(ア)で指摘したように周知技術(甲4等周知技術)といえるものであり、甲2発明Aの「ランプボディ12」及び「素通し状の透光カバー14」において、このような手段を採用することは、当業者であれば所望により適宜なし得た設計的事項にすぎない。
したがって、甲2発明Aにおいて、上記相違点2-1に係る本件特許発明1の事項を有するものとすることは、当業者にとって容易になし得たことである。
そして、本件特許発明1が奏する作用効果についても、甲2発明A及び甲4等周知技術から予測し得る範囲内のものであって、格別でない。

以上検討したとおり、本件特許発明1は、甲2発明Aである。あるいは、甲2発明A及び甲4等周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

イ 本件特許発明2について
(ア)対比
a 本件特許発明2と甲2発明Bとを対比すると、上記ア(ア)a?eに加えて、後者の「リフレクタ26A」は前者の「リフレクター」に相当する。

b 後者の「前記投影レンズ22の焦点Fの後方に前記ヒートシンク28Abが形成されたミラー部材28Aと、前記リフレクタ26Aとが配置された」は、前者の「前記投影レンズの焦点の後方に前記光源ユニットの少なくとも一部と前記リフレクターとが配置された」を充足するといえる。

c そうすると、両者は、上記一致点2に加え「前記光源から出射された光を前記投影レンズへ向けて反射するリフレクターが設けられ、前記投影レンズの焦点の後方に前記光源ユニットの少なくとも一部と前記リフレクターとが配置された」という事項を有する点で一致し、相違点2-1で相違する。

(イ)判断
相違点2-1については、上記ア(イ)で述べたとおりである。
したがって、本件特許発明2は、甲2発明Bである。あるいは、甲2発明B及び甲4等周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

ウ 本件特許発明3について
(ア)対比
a 本件特許発明3と甲2発明Cとを対比すると、上記ア(ア)a?e、上記イ(ア)a、bがいえる。

b 後者の「前記ヒートシンク28Abが形成されたミラー部材28Aの発光素子24Aが固定支持された側面が前記リフレクタ26Aの側方に配置された」という事項について検討するに、甲第2号証の【図2】、【図3】の記載から、「ヒートシンク28Abが形成されたミラー部材28A」は「リフレクタ26A」に対し、下方に配置された部分も含むものであることが把握できるから、当該事項は、前者の「前記光源ユニットが前記リフレクターの下方に配置された」を充足するといえる。

c そうすると、両者は、上記一致点2に加え「前記光源から出射された光を前記投影レンズへ向けて反射するリフレクターが設けられ、前記投影レンズの焦点の後方に前記光源ユニットの少なくとも一部と前記リフレクターとが配置された」及び「前記光源ユニットが前記リフレクターの下方に配置された」という事項を有する点で一致し、相違点2-1で相違する。

(イ)判断
相違点2-1については、上記ア(イ)で述べたとおりである。
したがって、本件特許発明2は、甲2発明Cである。あるいは、甲2発明C及び甲4等周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

エ 本件特許発明4について
(ア)対比
a 本件特許発明4と甲2発明Aとを対比すると、両者は、上記一致点2で一致し、相違点2-1で相違することに加え、さらに次の点で相違する。
[相違点2-2]
本件特許発明4が「前記アクチュエーターに軸方向へ移動され前記可動シェードに回動力を付与する出力軸が設けられ、前記出力軸が前後方向へ移動されるようにした」事項を有するのに対し、甲2発明Aは当該事項を有していない点。

(イ)判断
a 相違点2-1については、上記ア(イ)で述べたとおりである。

b 相違点2-2について以下検討する。
上記(1)エ(イ)bで指摘したように、甲2発明Aと同一の技術分野である甲3技術B?甲6技術Aには、上記相違点2-2に係る本件特許発明4に係る事項が開示されているということができ、当該事項は周知技術といえるものである。
そして、甲2発明Aの「シェード駆動機構42」に、上記周知技術を採用することは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
また、仮に当該事項が周知技術とまではいえないとしても、甲2発明Aの「シェード駆動機構42」に、甲3技術B?甲6技術Aを採用することは、当業者であれば容易に想到し得たことである。

c したがって、本件特許発明4は、甲2発明A(及び甲4等周知技術)、甲3技術B?甲6技術Aに示される周知ないし公知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

オ 本件特許発明5について
(ア)対比
a 本件特許発明5と甲2発明Aとを対比すると、両者は、上記一致点2で一致し、相違点2-1で相違することに加え、さらに次の点で相違する。
[相違点2-3]
本件特許発明5が「前記アクチュエーターに軸方向へ移動され前記可動シェードに回動力を付与する出力軸が設けられ、前記出力軸が左右方向へ移動されるようにした」事項を有するのに対し、甲2発明Aは当該事項を有していない点。

(イ)判断
a 相違点2-1については、上記ア(イ)で述べたとおりである。

b 次に相違点2-3について以下検討する。
上記(1)オ(イ)bで指摘したように、甲2発明Aと同一の技術分野である甲6技術B、甲7技術には、上記相違点2-3に係る本件特許発明5に係る事項が開示されているということができ、当該事項は周知技術といえるものである。
そして、甲2発明Aの「シェード駆動機構42」に、上記周知技術を採用することは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
また、仮に当該事項が周知技術とまではいえないとしても、甲2発明Aの「シェード駆動機構42」に、上記甲6技術B、甲7技術を採用することは、当業者であれば容易に想到し得たことである。

c したがって、本件特許発明5は、甲2発明A(及び甲4等周知技術)及び甲6技術B、甲7技術に示される周知ないし公知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)甲第3号証を主引例とした場合
ア 本件特許発明1について
(ア)対比
a 本件特許発明1と甲3発明Aとを対比すると、後者の「車両用前照灯」は前者の「車輌用前照灯」に相当し、以下同様に、「LED等の半導体発光素子5からなる光源2」は「光源」に、「ヒートシンク50」は「ヒートシンク」に、「回動機構部60」は「光量制御機構」に、「投影レンズ30」は「投影レンズ」にそれぞれ相当する。

b 後者の「内部に、主要部が配置された車両用前照灯」という事項について検討するに、「主要部」を「内部」に配置するものであるから、「灯具外筺」といえるものを有することは明らかであり、「主要部」は光源2、可動ミラー20、投影レンズ30、ヒートシンク50、回動機構部60を含むものである。したがって、当該事項と、前者の「少なくとも一方に開口を有するランプハウジングと前記ランプハウジングの前記開口を覆うカバーとによって構成された灯具外筐の内部に灯具ユニットが配置された車輌用前照灯」とは、「灯具外筐の内部に灯具ユニットが配置された車輌用前照灯」の限度で一致するといえる。

c 上記(1)ア(ア)cで述べたとおり、前者の「光源ユニット」とは、光源、ヒートシンクを含む光源に関する各種部材をまとめたユニットを称しているものである。そうすると、後者の「光源2」と「ヒートシンク50」を合わせたものは「光源ユニット」といい得るものである。したがって、後者の「光源2が搭載されたヒートシンク50」からなるものは、前者の「光源が搭載されヒートシンクが設けられた光源ユニット」を充足するといえる。

d 後者の「可動ミラー20」は、具体的には光源2から出射された光を反射させる平面反射面20aを有するものであるが(甲第3号証の段落【0039】(上記2(3)ア(カ)))、遮蔽量を切り替えているともいい得るものであるから(甲第3号証の段落【0046】(上記2(3)ア(ク)))、前者の「可動シェード」を充足するといえる。
そして、上記(2)ア(ア)dで述べたとおり、前者の「光量制御機構」とは、アクチュエーター、可動シェードを含む光量制御に関する各種部材をまとめた機構を称しているものであるので、後者の「光源2から出射された光の遮蔽量を切り替える可動ミラー20と、可動ミラー20を動作させる回動機構部60と」からなるものは、前者の「前記光源から出射された光の遮蔽量を切り替える可動シェードと前記可動シェードを動作させるアクチュエーターとを有する光量制御機構」を充足するといえる。

e そうすると、両者の一致点、相違点は以下のとおりである。
[一致点3]
「灯具外筐の内部に灯具ユニットが配置された車輌用前照灯であって、
前記灯具ユニットは、
光源が搭載されヒートシンクが設けられた光源ユニットと、
前記光源から出射された光の遮蔽量を切り替える可動シェードと前記可動シェードを動作させるアクチュエーターとを有する光量制御機構と、
前記光源から出射された光を投影する投影レンズとを備え、
前記投影レンズと前記ヒートシンクの間に前記アクチュエーターが配置された
車輌用前照灯。」

[相違点3-1]
「灯具外筐」に関し、本件特許発明1が、「少なくとも一方に開口を有するランプハウジングと前記ランプハウジングの前記開口を覆うカバーとによって構成され」るのに対し、甲3発明Aは、そのような特定がない点。

(イ)判断
上記相違点3-1について検討する。
車輌用前照灯の分野において、灯具外筺を、少なくとも一方に開口を有するランプハウジングとランプハウジングの開口を覆うカバーとによって構成することは、上記(1)ア(イ)aで述べたように、周知技術(甲4等周知技術)といえるものであり、甲3発明Aにおいて、このような手段を採用することは、当業者であれば所望により適宜なし得た設計的事項にすぎない。
したがって、甲3発明Aにおいて、上記相違点3-1に係る本件特許発明1の事項を有するものとすることは、当業者にとって容易になし得たことである。
そして、本件特許発明1が奏する作用効果についても、甲3発明A及び甲4等周知技術から予測し得る範囲内のものであって、格別でない。

以上検討したとおり、本件特許発明1は、甲3発明A及び甲4等周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

イ 本件特許発明2について
(ア)対比
a 本件特許発明2と甲3発明Bとを対比すると、上記ア(ア)a?dに加えて、後者の「リフレクタ10」は前者の「リフレクター」に相当する。

b 前者の「光源ユニット」は、「ヒートシンク」を含むものであるから、後者の「前記投影レンズ30の焦点f3の後方にヒートシンク50とリフレクタ10が配置された」は、前者の「前記投影レンズの焦点の後方に前記光源ユニットの少なくとも一部と前記リフレクターとが配置された」を充足するといえる。

c そうすると、両者は、上記一致点3に加え「前記光源から出射された光を前記投影レンズへ向けて反射するリフレクターが設けられ、前記投影レンズの焦点の後方に前記光源ユニットの少なくとも一部と前記リフレクターとが配置された」という事項を有する点で一致し、相違点3-1で相違する。

(イ)判断
相違点3-1については、上記ア(イ)で述べたとおりである。
したがって、本件特許発明2は、甲3発明B及び甲4等周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

ウ 本件特許発明3について
(ア)対比
a 本件特許発明3と甲3発明Cとを対比すると、上記ア(ア)a?d、上記イ(ア)a、bに加えて、前者の「光源ユニット」は「ヒートシンク」を含むものであるから、後者の「前記ヒートシンク50の下方部分が前記リフレクタ10の下方に配置された」は、前者の「前記光源ユニットが前記リフレクターの下方に配置された」を充足するといえる。

b そうすると、両者は、上記一致点3に加え「前記光源から出射された光を前記投影レンズへ向けて反射するリフレクターが設けられ、前記投影レンズの焦点の後方に前記光源ユニットの少なくとも一部と前記リフレクターとが配置された」及び「前記光源ユニットが前記リフレクターの下方に配置された」を有する点で一致し、相違点3-1で相違する。

(イ)判断
相違点3-1については、上記ア(イ)で述べたとおりである。
したがって、本件特許発明3は、甲3発明C及び甲4等周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

エ 本件特許発明4について
(ア)対比
a 本件特許発明4と甲3発明Dとを対比すると、上記ア(ア)a?dに加えて、後者の「出力軸」は前者の「出力軸」に相当する。

b そうすると、両者は、上記一致点3に加え「前記アクチュエーターに軸方向へ移動され前記可動シェードに回動力を付与する出力軸が設けられ、前記出力軸が前後方向へ移動されるようにした」という事項を有する点で一致し、相違点3-1で相違する。

(イ)判断
a 相違点3-1については、上記ア(イ)で述べたとおりである。

b したがって、本件特許発明4は、甲3発明D及び甲4等周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

c なお、仮に、甲第3号証の記載から、「前記回動機構部60に軸方向へ移動され前記可動ミラー20に回動力を付与する出力軸が設けられ、前記出力軸が前後方向へ移動されるようにした」という事項を有する甲3発明Dが認定できないとしても、車輌用前照灯において、アクチュエーターに軸方向に移動され可動シェードに回動力を付与する出力軸が設けられ、前記出力軸が前後方向に移動されるようにしたものは、甲4技術、甲5技術、甲6技術Aに示されるように周知技術ともいえるものであり(上記(1)エ(イ)bを参照。)、甲3発明Aの「回動機構部60」に対し、このような周知技術を採用することは、当業者であれば容易になし得たことである。

d したがって、cの場合であったとしても、本件特許発明4は、甲3発明A、甲4等周知技術及び甲4技術?甲6技術Aに示される周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

オ 本件特許発明5について
(ア)対比
a 本件特許発明5と甲3発明Dとを対比すると、上記ア(ア)a?dに加えて、後者の「出力軸」は前者の「出力軸」に相当する。

b そうすると、両者は、上記一致点3に加え「前記アクチュエーターに軸方向へ移動され前記可動シェードに回動力を付与する出力軸が設けられ」という事項を有する点で一致し、相違点3-1で相違することに加え、次の点で相違する。
[相違点3-2]
「出力軸」の移動方向に関し、本件特許発明5が「前記出力軸が左右方向へ移動されるようにした」ものであるのに対し、甲3発明Dは「前記出力軸が前後方向へ移動されるようにした」というものである点。

(イ)判断
a 相違点3-1については、上記ア(イ)で述べたとおりである。

b 次に相違点3-2について以下検討する。
上記(1)オ(イ)bで指摘したように、甲6技術B、甲7技術には、上記相違点3-1に係る本件特許発明5に係る事項が開示されているということができ、当該事項は周知技術といえるものである。
そして、甲3発明Dの「回動機構部60」の出力軸を前後方向へ移動されるようにしたことに代えて、甲3発明Dと同一の技術分野である上記周知技術を採用することは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
また、仮に当該事項が周知技術とまではいえないとしても、甲3発明Dの「回動機構部60」の出力軸を前後方向へ移動されるようにしたことに代えて、上記甲6技術B、甲7技術を採用することは、当業者であれば容易に想到し得たことである。

c したがって、本件特許発明5は、甲3発明D、甲4等周知技術及び甲6技術B、甲7技術に示される周知ないし公知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

d なお、仮に、甲第3号証の記載から、「前記回動機構部60に軸方向へ移動され前記可動ミラー20に回動力を付与する出力軸が設けられ、前記出力軸が前後方向へ移動されるようにした」という事項を有する甲3発明Dが認定できないとしても、甲3発明Aの「回動機構部60」に対し、甲3発明Aと同一の技術分野である上記甲6技術B、甲7技術に示される周知技術を採用することは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
また、仮に当該事項が周知技術とまではいえないとしても、甲3発明Aの「回動機構部60」に対し、上記甲6技術B、甲7技術を採用することは、当業者であれば容易に想到し得たことである。

e したがって、dの場合であったとしても、本件特許発明5は、甲3発明A、甲4等周知技術及び甲6技術B、甲7技術に示される周知ないし公知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)甲第4号証を主引例とした場合
ア 本件特許発明1について
(ア)対比
a 本件特許発明1と甲4発明Aとを対比すると、後者の「ランプボディ12」は前者の「ランプハウジング」に相当し、以下同様に、「透明カバー14」は「カバー」に、「灯具ユニット18」は「灯具ユニット」に、「車両用前照灯10」は「車輌用前照灯」に、「放電発光部を光源23aとする光源バルブ23」は「光源」に、「可動シェード30」は「可動シェード」に、「アクチュエータ20」は「アクチュエータ-」に、「投影レンズ11」は「投影レンズ」にそれぞれ相当する。

b 後者の「ランプボディ12」及び「透明カバー14」は、前者の「灯具外筺」に相当するといえる。したがって、後者の「前方開口部を有するランプボディ12と前記ランプボディ12の前方開口部を覆う透明カバー14とによって構成された灯室16の内部に灯具ユニット18が配置された車両用前照灯10」は、前者の「少なくとも一方に開口を有するランプハウジングと前記ランプハウジングの前記開口を覆うカバーとによって構成された灯具外筐の内部に灯具ユニットが配置された車輌用前照灯」に相当するといえる。

c 上記(1)ア(ア)cで述べたとおり、前者の「光源ユニット」とは、光源、ヒートシンクを含む光源に関する各種部材をまとめたユニットを称しているものである。そうすると、後者の「放電発光部を光源23aとする光源バルブ23」と「前記光源バルブ23に取着されたバルブソケット60」を合わせたものは「光源ユニット」といい得るものである。したがって、後者の「放電発光部を光源23aとする光源バルブ23と、前記光源バルブに取着されたバルブソケット60」と、前者の「光源が搭載されヒートシンクが設けられた光源ユニット」とは、「光源が搭載された光源ユニット」の限度で一致するといえる。

d 上記(2)ア(ア)dで述べたとおり、前者の「光量制御機構」とは、アクチュエーター、可動シェードを含む光量制御に関する各種部材をまとめた機構を称しているものであるので、後者の「前記光源23aから出射された光の遮蔽量を切り替える可動シェード30と前記可動シェード30を動作させるアクチェエータ20と」からなるものは、前者の「前記光源から出射された光の遮蔽量を切り替える可動シェードと前記可動シェードを動作させるアクチュエーターとを有する光量制御機構」を充足するといえる。

e そうすると、両者の一致点、相違点は以下のとおりである。
[一致点4]
「少なくとも一方に開口を有するランプハウジングと前記ランプハウジングの前記開口を覆うカバーとによって構成された灯具外筐の内部に灯具ユニットが配置された車輌用前照灯であって、
前記灯具ユニットは、
光源が搭載された光源ユニットと、
前記光源から出射された光の遮蔽量を切り替える可動シェードと前記可動シェードを動作させるアクチュエーターとを有する光量制御機構と、
前記光源から出射された光を投影する投影レンズとを備えた
車輌用前照灯。」

[相違点4-1]
「光源ユニット」の構成及び「アクチュエーター」の配置に関し、本件特許発明1は、「光源ユニット」に「ヒートシンクが設けられた」ものであって、「前記投影レンズと前記ヒートシンクの間に前記アクチュエーターが配置された」ものであるのに対し、甲4発明Aは、ヒートシンクを有しておらず、したがって、「アクチュエータ20」とヒートシンクの配置関係の特定も有していない点。

(イ)判断
上記相違点4-1について検討する。
車輌用前照灯の技術分野において、LED等を光源とした光源ユニットといえるものにヒートシンクを設け、投影レンズとヒートシンクの間にアクチュエーターを配置することは、甲1技術、甲2技術、甲3技術Aに示されており、周知技術といえるものである(上記(1)ア、(2)ア、(3)アも参照。)。
そして、車輌用前照灯の技術分野において、電力消費量の低減は一般的な課題といえることから、甲4発明Aの「放電発光部を光源23aとする光源バルブ23」に代えて、相対的に消費電力の少ない上記周知技術を採用する動機付けは十分あるといえる。
したがって、甲4発明Aにおいて、上記相違点4-1に係る本件特許発明1の事項を有するものとすることは、当業者にとって容易になし得たことである。
そして、本件特許発明1が奏する作用効果についても、甲4発明A及び甲1技術?甲3技術Aに示される周知技術から予測し得る範囲内のものであって、格別でない。

以上検討したとおり、本件特許発明1は、甲4発明A及び甲1技術?甲3技術Aに示される周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

イ 本件特許発明2について
(ア)対比
a 本件特許発明2と甲4発明Bとを対比すると、上記ア(ア)a?dに加えて、後者の「リフレクタ25」は前者の「リフレクター」に相当する。

b 後者の「前記光源23aから出射された光を前記投影レンズ11へ向けて反射するリフレクタ25が設けられ、前記投影レンズ11の焦点Fの後方に前記光源バルブ23と、前記リフレクタ25とが配置された」は、前者の「前記投影レンズの焦点の後方に前記光源ユニットの少なくとも一部と前記リフレクターとが配置された」を充足するといえる。

c そうすると、両者は、上記一致点4に加え「前記光源から出射された光を前記投影レンズへ向けて反射するリフレクターが設けられ、前記投影レンズの焦点の後方に前記光源ユニットの少なくとも一部と前記リフレクターとが配置された」という事項を有する点で一致し、相違点4-1で相違する。

(イ)判断
相違点4-1については、上記ア(イ)で述べたとおりである。
したがって、本件特許発明2は、甲4発明B及び甲1技術?甲3技術Aに示される周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

ウ 本件特許発明3について
(ア)対比
a 本件特許発明3と甲4発明Cとを対比すると、上記ア(ア)a?d、上記イ(ア)a、bがいえる。

b 後者の「前記光源バルブ23が前記リフレクタ25の下方に配置された」は、前者の「前記光源ユニットが前記リフレクターの下方に配置された」を充足するといえる。

c そうすると、両者は、上記一致点4に加え「前記光源から出射された光を前記投影レンズへ向けて反射するリフレクターが設けられ、前記投影レンズの焦点の後方に前記光源ユニットの少なくとも一部と前記リフレクターとが配置された」及び「前記光源ユニットが前記リフレクターの下方に配置された」という事項を有する点で一致し、相違点4-1で相違する。

(イ)判断
相違点4-1については、上記ア(イ)で述べたとおりである。
したがって、本件特許発明3は、甲4発明C及び甲1技術?甲3技術Aに示される周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

エ 本件特許発明4について
(ア)対比
a 本件特許発明4と甲4発明Dとを対比すると、上記ア(ア)a?dに加え、後者の「プランジャ20b」は前者の「出力軸」に相当する。

b そうすると、両者は、上記一致点4に加え「前記アクチュエーターに軸方向へ移動され前記可動シェードに回動力を付与する出力軸が設けられ、前記出力軸が前後方向へ移動されるようにした」という事項を有する点で一致し、相違点4-1で相違する。

(イ)判断
相違点4-1については、上記ア(イ)で述べたとおりである。
したがって、本件特許発明4は、甲4発明D及び甲1技術?甲3技術Aに示される周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

オ 本件特許発明5について
(ア)対比
a 本件特許発明5と甲4発明Dとを対比すると、上記ア(ア)a?dに加え、後者の「プランジャ20b」は前者の「出力軸」に相当する。

b そうすると、両者は、上記一致点4に加え「前記アクチュエーターに軸方向へ移動され前記可動シェードに回動力を付与する出力軸が設けられ」という事項を有する点で一致し、相違点4-1で相違することに加え、次の点で相違する。
[相違点4-2]
「出力軸」の移動方向に関し、本件特許発明5が「前記出力軸が左右方向へ移動されるようにした」ものであるのに対し、甲4発明Dは「前記プランジャ20bが前後方向に移動されるようにした」というものである点。

(イ)判断
a 相違点4-1については、上記ア(イ)で述べたとおりである。

b 次に相違点4-2について以下検討する。
上記(1)オ(イ)bで指摘したように、甲6技術B、甲7技術には、上記相違点4-2に係る本件特許発明5に係る事項が開示されているということができ、当該事項は周知技術といえるものである。
そして、甲4発明Dの「プランジャ20b」を前後方向へ移動されるようにしたことに代えて、甲4発明Dと同一の技術分野である上記周知技術を採用することは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
また、仮に当該事項が周知技術とまではいえないとしても、甲4発明Dの「プランジャ20b」を前後方向へ移動されるようにしたことに代えて、上記甲6技術B、甲7技術を採用することは、当業者であれば容易に想到し得たことである。

c したがって、本件特許発明5は、甲4発明D及び甲6技術B、甲7技術に示される周知ないし公知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第5 むすび
以上のとおりであるから、本件特許発明1?3は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであるか、同法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、また、本件特許発明4、5は、同法第29条第2項の規定に規定により特許を受けることができないものであるから、請求項1?5に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
よって、結論の通り決定する。
 
異議決定日 2018-08-02 
出願番号 特願2012-160005(P2012-160005)
審決分類 P 1 651・ 121- ZB (F21S)
P 1 651・ 113- ZB (F21S)
P 1 651・ 851- ZB (F21S)
P 1 651・ 841- ZB (F21S)
最終処分 取消  
前審関与審査官 柿崎 拓石井 孝明  
特許庁審判長 和田 雄二
特許庁審判官 島田 信一
一ノ瀬 覚
登録日 2016-09-30 
登録番号 特許第6011915号(P6011915)
権利者 株式会社小糸製作所
発明の名称 車輌用前照灯  
代理人 岩田 雅信  
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