• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する G10L
管理番号 1345092
審判番号 訂正2018-390100  
総通号数 228 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-12-28 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2018-06-15 
確定日 2018-09-21 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第4943418号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第4943418号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 
理由 第1 経緯
本件特許第4943418号に係る出願は、2006年(平成18年)3月16日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2005年3月30日、欧州特許庁、2005年4月18日、欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって、平成24年3月9日に特許権の設定登録がなされ、その後、平成30年6月15日付けで本件審判が請求されたものである。

第2 請求
1 請求の趣旨
本件審判の請求の趣旨は、特許第4943418号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものである。

2 訂正事項
特許請求の範囲の請求項15の「2)前記残余信号部分及び前記第2空間パラメータ群に基づき、混合マトリクスを決定するステップと、」を、「2)前記残余信号部分及び前記第3空間パラメータに基づき、混合マトリクスを決定するステップと、」に訂正する。

第3 当審の判断
1 訂正の目的について
訂正前の請求項15の記載は、以下のとおりである。

「【請求項15】
請求項14記載の方法により発生させられた前記符号化出力信号から、マルチチャネル音声信号を復号する方法であって、
1)前記主要信号部分、前記残余信号部分、前記第2空間パラメータ及び前記第3空間パラメータ、を含む前記符号化出力信号を受信するステップと、
2)前記残余信号部分及び前記第2空間パラメータ群に基づき、混合マトリクスを決定するステップと、
3)前記決定された混合マトリクスに基づき、前記第1および第2音声信号を発生させるステップと、
を含む方法。」

訂正前の請求項15には、「前記第2空間パラメータ群」と記載されているが、当該記載の前に「第2空間パラメータ群」という記載はなく、訂正前の請求項15の記載は明瞭でない。

ここで、訂正前の請求項15には、「前記第2空間パラメータ群」に関連する構成として、「1)前記主要信号部分、前記残余信号部分、前記第2空間パラメータ及び前記第3空間パラメータ、を含む前記符号化出力信号を受信するステップ」における「第2空間パラメータ」及び「第3空間パラメータ」が存在しているところ、訂正前の「前記第2空間パラメータ群」という記載を、それ以前に存在する「第2空間パラメータ」及び「第3空間パラメータ」のうちの「前記第3空間パラメータ」とし、「2)前記残余信号部分及び前記第3空間パラメータに基づき、混合マトリクスを決定するステップ」とすることにより、請求項15は明瞭になるから、訂正事項に係る訂正は、特許請求の範囲の明瞭でない記載を釈明する訂正であるといえる。

したがって、訂正事項に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

2 新規事項の追加及び特許請求の範囲の拡張又は変更の有無について
明細書の段落0058には、混合マトリクスの決定に関して、「復号器合成ユニットDUは、主要信号部分に基づく第1及び第2信号を生成する混合マトリクスMMを含む。混合マトリクスMM、すなわち符号化器合成モジュールECMにおいて適用された混合マトリクスの逆処理は、受信される主要信号部分、残余部分、並びに第1及び第2パラメータ群に基づき決定される。」と記載されており、当該記載より、混合マトリクスは、受信される主要信号部分、残余部分、並びに第1及び第2パラメータ群に基づき決定されることが理解できる。
また、明細書の段落0044には、第1及び第2パラメータ群に関して、「第1パラメータ群PS1は、第2空間パラメータSP1を含み、第2パラメータ群PS2は、第3空間パラメータSP3を含む。」と記載されており、当該記載より、第1パラメータ群は第2空間パラメータを含み、第2パラメータ群は第3空間パラメータを含むことが理解できる。
以上によれば、混合マトリクスは、受信される主要信号部分、残余部分、並びに第2空間パラメータ及び第3空間パラメータに基づき決定されることが理解できる。

そして、訂正事項に係る訂正後の「2)前記残余信号部分及び前記第3空間パラメータに基づき、混合マトリクスを決定するステップ」は、上述した明細書の段落0058、0044の記載に基づくものであるから、訂正事項に係る訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであるといえる。

また、上記1で述べたとおり、訂正事項に係る訂正は、明瞭でない記載を釈明する訂正であるから、実質的に特許請求の範囲を拡張し又は変更するものには該当しない。

したがって、訂正事項に係る訂正は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

第4 むすび
以上のとおり、本件審判の請求に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチチャネル音声信号を符号化するように構成される音声符号化器であって、
-第1及び第2音声信号の合成された表現である主要信号部分及び残余信号部分を発生させる符号化器合成モジュールであって、前記主要及び残余信号部分が、前記第1及び第2音声信号に数学的演算を適用することによって得られ、前記数学的演算が、前記第1及び第2音声信号の空間特性の記述を含む第1空間パラメータを用いた演算である、符号化器合成モジュールと、
-パラメータ発生器であって、
-前記第1及び第2音声信号の空間特性の記述を含む、前記第1空間パラメータとは異なる第2空間パラメータ、及び
-前記第1及び第2音声信号の空間特性の記述を含む、前記第1空間パラメータ及び前記第2空間パラメータとは異なる第3空間パラメータ、
を発生させるパラメータ発生器と、
-出力発生器であって、
-前記主要信号部分及び前記第2空間パラメータを含む第1出力部分、及び
-前記残余信号部分及び前記第3空間パラメータを含む第2出力部分、
を含む符号化出力信号を発生させる出力発生器と、
を備える音声符号化器。
【請求項2】
前記第3空間パラメータが、前記第2空間パラメータと前記第1空間パラメータとの間の差を含む、請求項1に記載の音声符号化器。
【請求項3】
前記第2空間パラメータが、コーヒレントに基づくパラメータを含む、請求項1に記載の音声符号化器。
【請求項4】
前記第3空間パラメータが、コーヒレントに基づくパラメータと相関に基づくパラメータとの間の差を含む、請求項1に記載の音声符号化器。
【請求項5】
前記残余信号部分が、前記第1及び第2音声信号の間の差を含む、請求項1から4いずれか1項に記載の音声符号化器。
【請求項6】
前記符号化器合成モジュールが、前記主要および残余信号部分を、これらの信号部分が、前記第1および第2音声信号よりも相関していないように発生させる、請求項1から5いずれか1項に記載の音声符号化器。
【請求項7】
第3、第4、第5、及び第6音声信号を受信し、これらの信号を前記第1及び第2音声信号とともにダウンミックスし、これらの信号に応答して前記第1及び第2出力部分を発生させるように更に構成される、請求項1から6いずれか1項に記載の音声符号化器。
【請求項8】
請求項1から7いずれか1項記載の音声符号化器により発生させられた前記符号化出力信号から、マルチチャネル音声信号を復号する音声復号器であって、
-前記主要信号部分、前記残余信号部分、前記第2空間パラメータ及び前記第3空間パラメータに基づき、前記第1及び第2音声信号を発生させる復号器合成ユニットであって、前記残余信号部分及び前記第2空間パラメータが、前記第1および第2音声信号を発生させるのに用いられる混合マトリクスを決定するのに関与される、復号器合成ユニット、
を備える音声復号器。
【請求項9】
前記復号器が、前記主要信号部分を受信し、これに応答して非相関化された主要信号部分を発生させる非相関化器を含む、請求項8に記載の音声復号器。
【請求項10】
前記残余信号部分及び前記非相関化された主要信号部分の加算が、前記混合マトリクスを決定するのに関与される、請求項9に記載の音声復号器。
【請求項11】
前記復号器が、前記非相関化された主要信号部分を前記残余信号部分に加える前に、前記非相関化された主要信号部分を減衰する減衰器を含む、請求項10に記載の音声復号器。
【請求項12】
第2空間パラメータ及び第3空間パラメータの複数の群並びに複数の残余信号部分を受信し、これにより、これらの信号に応答して複数の群の第1及び第2音声信号を発生させるように構成される、請求項8から11いずれか1項に記載の音声復号器。
【請求項13】
復号器が、第2空間パラメータ及び第3空間パラメータの3つの群と3残余信号部分を受信し、これにより、これらの信号に応答して3つの群の第1及び第2音声信号を生成するように構成される、請求項12に記載の音声復号器。
【請求項14】
マルチチャネル音声信号を符号化する方法であって、
1)第1及び第2音声信号の合成された表現である主要信号部分及び残余信号部分を発生させるステップであって、前記主要及び残余信号部分が、前記第1及び第2音声信号に数学的演算を適用することによって得られ、前記数学的演算が、前記第1及び第2音声信号の空間特性の記述を含む第1空間パラメータを用いた演算である、ステップと、
2)前記第1及び第2音声信号の空間特性の記述を含む、前記第1空間パラメータとは異なる第2空間パラメータを発生させるステップと、
3)前記第1及び第2音声信号の空間特性の記述を含む、前記第1空間パラメータ及び前記第2空間パラメータとは異なる第3空間パラメータを発生させるステップと、
4)前記主要信号部分及び前記第2空間パラメータを含む第1出力部分、並びに前記残余信号部分及び前記第3空間パラメータを含む第2出力部分、を含む符号化出力信号を発生させるステップと、
を含む方法。
【請求項15】
請求項14記載の方法により発生させられた前記符号化出力信号から、マルチチャネル音声信号を復号する方法であって、
1)前記主要信号部分、前記残余信号部分、前記第2空間パラメータ及び前記第3空間パラメータ、を含む前記符号化出力信号を受信するステップと、
2)前記残余信号部分及び前記第3空間パラメータに基づき、混合マトリクスを決定するステップと、
3)前記決定された混合マトリクスに基づき、前記第1および第2音声信号を発生させるステップと、
を含む方法。
【請求項16】
前記主要信号部分を非相関化させ、これに応答して非相関化された主要信号部分を発生させるステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記残余信号部分及び前記非相関化主要信号部分を加えるステップを更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記混合マトリクスを決定するステップが、前記加えられた残余信号部分及び前記非相関化主要信号部分に基づく、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
第2空間パラメータ及び第3空間パラメータの複数の群並びに複数の残余信号部分を受信し、これにより、これらの信号に応答して複数の群の第1及び第2音声信号を発生させるステップを含む、請求項15から18いずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
第2空間パラメータ及び第3空間パラメータの3つの群と3つの残余信号部分を受信し、これにより、これらの信号に応答して3つの群の第1及び第2音声信号を生成するステップを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
請求項14に記載の方法を実行するように構成される計算機実行可能プログラム。
【請求項22】
請求項15から20いずれか1項に記載の方法を実行するように構成される計算機実行可能プログラム。
【請求項23】
請求項1から7いずれか1項に記載の符号化器を備える装置。
【請求項24】
請求項8から13いずれか1項に記載の復号器を備える装置。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2018-08-27 
結審通知日 2018-08-29 
審決日 2018-09-11 
出願番号 特願2008-503630(P2008-503630)
審決分類 P 1 41・ 853- Y (G10L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 井上 健一  
特許庁審判長 清水 正一
特許庁審判官 小池 正彦
坂東 大五郎
登録日 2012-03-09 
登録番号 特許第4943418号(P4943418)
発明の名称 スケーラブルマルチチャネル音声符号化方法  
代理人 笛田 秀仙  
代理人 五十嵐 貴裕  
代理人 五十嵐 貴裕  
代理人 矢ヶ部 喜行  
代理人 笛田 秀仙  
代理人 矢ヶ部 喜行  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ