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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1345370
審判番号 不服2017-16550  
総通号数 228 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-11-07 
確定日 2018-10-18 
事件の表示 特願2013-109955号「遊技機用の演出装置、遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成26年12月 8日出願公開、特開2014-226423号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続きの経緯
本願は、平成25年5月24日の出願であって、平成29年2月3日付けで拒絶の理由が通知され、平成29年3月3日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成29年8月14日付け(発送日:平成29年8月22日)で拒絶査定がなされ、それに対して、平成29年11月7日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。

第2 平成29年11月7日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成29年11月7日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正の概要
本件補正は特許請求の範囲の請求項1の記載の補正を含むものであり、平成29年3月3日付けの手続補正と本件補正の特許請求の範囲の請求項1の記載はそれぞれ、以下のとおりである(下線部は補正箇所を示す。)。

(補正前:平成29年3月3日付けの手続補正)
「【請求項1】
少なくとも一部が光透過性を有し、遊技機の前面に配置される演出効果部と、
前記演出効果部の光透過性を有する部位において画像が視認できる態様で前記部位に後方から画像を投影する画像投影部と、
を備えることを特徴とする遊技機用の演出装置。」

(補正後:本件補正:平成29年11月7日付け手続補正)
「【請求項1】
少なくとも一部が光透過性を有し、遊技機の前面に配置される演出効果部と、
前記演出効果部の光透過性を有する部位において画像が視認できる態様で前記部位に後方から画像を投影する画像投影部と、を備え、
前記演出効果部は、前記画像投影部に対して相対的に変位可能に構成されていることを特徴とする遊技機用の演出装置。」

2 補正の適否
(1)補正事項
本件補正は、補正前の請求項1の「演出効果部」に関して、「前記演出効果部は、前記画像投影部に対して相対的に変位可能に構成されていること」という記載を追加する補正である。

(2)補正の目的についての検討
上記補正事項は、「演出効果部」に関して、「前記画像投影部に対して相対的に変位可能に構成されていること」を限定する補正であり、また、補正後の請求項1に記載された発明は、補正前の請求項1に記載された発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そして、本件補正は、【0007】、【0015】、図1(b)の記載に基づくものであるから、新規事項を追加するものではない。

3 独立特許要件
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否か、について以下に検討する。

(1)本件補正後の請求項1に係る発明
補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)は、上記「1 本件補正の概要」に本件補正後の請求項1として記載したとおりのものである(A?Cは、本願補正発明を分説するために当審で付与した。)。
「【請求項1】
A 少なくとも一部が光透過性を有し、遊技機の前面に配置される演出効果部と、
B 前記演出効果部の光透過性を有する部位において画像が視認できる態様で前記部位に後方から画像を投影する画像投影部と、を備え、
C 前記演出効果部は、前記画像投影部に対して相対的に変位可能に構成されていることを特徴とする遊技機用の演出装置。」

(2)刊行物に記載された事項
原査定の拒絶理由に引用された本願の出願前に頒布された特開2013-66651号公報(以下、「刊行物」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。

ア 「【0015】
球貯留皿付扉108は、パチンコ機100の前面において本体104の下側に対して、ロック機能付きで且つ開閉自在となるように装着された扉部材である。球貯留皿付扉108は、複数の遊技球(以下、単に「球」と称する場合がある)が貯留可能で且つ発射装置110へと遊技球を案内させる通路が設けられている上皿126と、上皿126に貯留しきれない遊技球を貯留する下皿128と、遊技者の操作によって上皿126に貯留された遊技球を下皿128へと排出させる球抜ボタン130と、遊技者の操作によって下皿128に貯留された遊技球を不図示の遊技球収集容器(俗称、ドル箱)へと排出させる球排出レバー132と、遊技者の操作によって発射装置110へと案内された遊技球を遊技盤200の遊技領域124へと打ち出す球発射ハンドル134と、遊技者の操作によって各種演出装置206(図3参照)の演出態様に変化を与えるチャンスボタン136と、チャンスボタン136を発光させるチャンスボタンランプ138と、遊技店に設置された不図示のカードユニット(CRユニット)に対して球貸し指示を行う球貸操作ボタン140と、カードユニットに対して遊技者の残高の返却指示を行う返却操作ボタン142と、遊技者の残高やカードユニットの状態を表示する球貸表示部144と、を備える。」

イ 「【0186】
チャンスボタン136は、図1に示したように上皿126に組み付けられている状態では、上部に設けられたボタンカバー701のみ露出した状態であり、本体部700は上皿126内に隠れた状態となっている。」

ウ 「【0205】
第1光源708から導光部705内に照射された光は垂直上方に進み、光方向変化部720にて水平方向遊技台B側に進行方向を変化させ、光反射部704に照射される。光反射部704は一定の傾斜角度を持って構成されているので、照射された光は、若干遊技者F側斜め上方に反射される。反射された光はボタンカバー701に照射されるが、ボタンカバー701も表面が円弧状に形成されているので、ボタンカバー701内を通過した光は、更に進行方向を遊技者F側に変化させてチャンスボタン136外部に照射される。
【0206】
一方、図17(b)に示すように、チャンスボタン136を押圧操作した場合、ボタンカバー701は、点線で示した未操作状態における位置よりも、下方に移動した状態となるので、光反射部704とボタンカバー701との距離が縮まることになる。よって、光反射部704からボタンカバー701に対して入射される場所が、図17(a)のチャンスボタン136の未操作時と、図17(b)の操作時とで異なるので、ボタンカバー701から外部に照射される光の位置も異なることから、遊技者からチャンスボタン136を見た場合、異なる光の態様となって見える。」

エ 「【0219】
図21は、本発明に係る変化手段の図18とは別の第2の例を示す斜視図であって、(a)は変化手段が、内部を視認困難な第二の状態の場合を示す図であり、(b)は変化手段が、内部を視認可能な第一の状態の場合を示す図である。なお、同図では、チャンスボタン136の内部が見えるようにボタンカバー701を切り欠いて示している。

【0224】
なお、図21(a)および図22(a)はチャンスボタン136の非押下時を示し、図21(b)および図22(b)はチャンスボタン136の押下時を示しているが、チャンスボタン136の非押下/押下と、第二の遮蔽部材725bの開閉とは連動してもよいし、非連動でもよい。すなわち、チャンスボタン136を押下すると、それまで閉じていた第二の遮蔽部材725bが開くものであってもよいし、チャンスボタン136を押下すると、それまで開いていた第二の遮蔽部材725bが閉じるものであってもよいし、チャンスボタン136の非押下/押下と関係なく第二の遮蔽部材725bが開閉するものであってもよい。」

オ 「【0251】
図30は、図21に示した第2の例の第2の変形例を示す斜視図であって、(a)は変化手段が、内部を視認困難な第二の状態の場合を示す図であり、(b)は変化手段が、内部を視認可能な第一の状態の場合を示す図である。なお、同図では、チャンスボタン136の内部が見えるようにボタンカバー701を切り欠いて示している。
【0252】
この第2の例の第2の変形例では、演出手段が異なる点を除いて図21に示した第2の例と同様である。
【0253】
本例の演出手段737は、何らかの情報を投影表示する投影手段を兼ねている(図では「大当たり」を投影表示している)。これにより、内部を視認可能な第一の状態では、遊技者に対して情報伝達をすることができる。」

カ 上記エの【0224】の「図22(a)はチャンスボタン136の非押下時を示し、・・・図22(b)はチャンスボタン136の押下時を示している」との記載から、図22(b)の点線は、チャンスボタン136の非押下時の位置を示していることが明らかであり、ボタンカバー701は、チャンスボタン136の押下により位置が変わることが見て取れる。一方、光反射部704は、チャンスボタン136の押下により位置が変わらないことが見て取れる。

キ 上記オの【0251】に「同図では、チャンスボタン136の内部が見えるようにボタンカバー701を切り欠いて示している」と記載されるように、図30(b)はチャンスボタン136の内部が見えるようにされた図であるが、当該図から、チャンスボタン136の内部に演出手段737が備えられていることが見てとれる。

上記記載事項ア?オ、上記図示内容カ、キより、以下の事項が導かれる。
なお、(c)は、本願補正発明の構成Cに対応した事項を示している。

(c)上記図示内容カから、図21に示される「図18とは別の第2の例」においても、チャンスボタン136の押下により、上記記載事項ウの【0206】に記載されるように、光反射部704とボタンカバー701の距離が縮まることが明らかである。また、上記記載事項オの【0252】の「この第2の例の第2の変形例では、演出手段が異なる点を除いて図21に示した第2の例と同様である」との記載から、図30に示される「第2の例の第2の変形例」において、「ボタンカバー701は、チャンスボタン136の押下により、投影手段との距離が縮まるように構成されている」と言える。

上記ア?オの記載事項、上記図示内容カ、キ及び上記(c)の認定事項を総合すれば、刊行物には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる(a?cは本願補正発明の記号A?Cに対応させて付与した。)。

「a パチンコ機100の前面において装着された球貯留皿付扉108に備えられたチャンスボタン136の上部に設けられたボタンカバー701であって、光を通過させ進行方向を変化させるように構成されたボタンカバー701と、(上記アの【0015】、上記イの【0186】、上記ウの【0205】)
b チャンスボタン136の内部の演出手段737として備えられ、何らかの情報を投影表示し、遊技者に対して情報伝達をすることを可能とする投影手段と、を備え(上記オの【0253】、上記キ)、
c ボタンカバー701は、チャンスボタン136の押下により、投影手段との距離が縮まるように構成されていることを特徴とするパチンコ機100のチャンスボタン。(上記(c))」

(3)対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。

(a)引用発明の「光を通過させ」ること、及び、「パチンコ機100の前面において装着された球貯留皿付扉108に備えられたチャンスボタン136の上部に設けられ」ることは、それぞれ本願補正発明の「少なくとも一部が光透過性を有」すること、及び、「遊技機の前面に配置される」ことに相当する。
また、引用発明の構成bの「何らかの情報を投影表示し、遊技者に対して情報伝達をすること」は、本願補正発明の構成Aの「演出」に相当する。そして、当該「演出」は投影つまり光を用いるものであるが、ボタンカバー701は当該演出に用いられる光に対して上記記載事項ウの【0205】に記載されるように進行方向を変化させる等の効果を及ぼすものである。したがって、引用発明の「ボタンカバー701」は、本願補正発明の「演出効果部」に相当する。
よって、引用発明の「パチンコ機100の前面において装着された球貯留皿付扉108に備えられたチャンスボタン136の上部に設けられたボタンカバー701であって、光を通過させ進行方向を変化させるように構成されたボタンカバー701」は、本願補正発明の「少なくとも一部が光透過性を有し、遊技機の前面に配置される演出効果部」に相当する。

(b)引用発明の「チャンスボタン136の内部」は、本願補正発明の「後方」に相当し、引用発明の「遊技者に対して情報伝達をすることを可能とする投影手段」から「何らかの情報を投影表示」することは、本願補正発明の「画像を投影する」ことに相当する。また、引用発明において、「ボタンカバー701」のうち、「何らかの情報」が「投影」される部位は、光透過性を有していることは自明であるから、本願補正発明の「前記演出効果部の光透過性を有する部位」に相当する。
よって、引用発明の「チャンスボタン136の内部の演出手段737として備えられ、何らかの情報を投影表示し、遊技者に対して情報伝達をすることを可能とする投影手段」と本願補正発明の「前記演出効果部の光透過性を有する部位において画像が視認できる態様で前記部位に後方から画像を投影する画像投影部」とは、「前記演出効果部の光透過性を有する部位に後方から画像を投影する画像投影部」の点で共通する。

(c)引用発明の「ボタンカバー701は、チャンスボタン136の押下により、投影手段との距離が縮まるように構成されていること」は、本願補正発明の「前記演出効果部は、前記画像投影部に対して相対的に変位可能に構成されていること」に相当する。
また、引用発明の「パチンコ機100のチャンスボタン」は、本願補正発明の「遊技機用の演出装置」に相当する。

上記(a)?(c)から、本願補正発明と引用発明とは、
[一致点]
「A 少なくとも一部が光透過性を有し、遊技機の前面に配置される演出効果部と、
B’ 前記演出効果部の光透過性を有する部位に後方から画像を投影する画像投影部と、を備え、
C 前記演出効果部は、前記画像投影部に対して相対的に変位可能に構成されていることを特徴とする遊技機用の演出装置。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点](構成B)
「前記演出効果部の光透過性を有する部位に」「後方から画像を投影する画像投影部」に関して、
本願補正発明は、「画像が視認できる態様で前記部位に後方から画像を投影する」のに対して、
引用発明は、そのような構成を有しているか否か不明な点。

(4)判断
遊技機の技術分野において、透過型のスクリーンに対して、裏側から画像を投影し、表側から画像を視認できるようにすることは、特開2011-250827号公報(拒絶査定時の引用文献3。【請求項1】には、「遊技者側に凸状の湾曲面を有し、該遊技者側から映像の視認が可能な透過型スクリーンと、前記透過型スクリーンの表面形状に投影させる映像を記憶する記憶手段と、前記映像を遊技機側から前記透過型スクリーンに投影する投影手段」との記載がある。)、特開2010-12108号公報(拒絶査定時の引用文献4。【0159】には、「また、スクリーン部160は、半透過レンズとすることにより、遊技盤14の背面方向から前面方向へ向って投影される画像Pを同スクリーン部160に結像させて、遊技盤14の前面の遊技者が画像Pを視認することが可能となっている。」と記載されている。)、実願平5-70368号(実開平7-39879号)のCD-ROM(拒絶査定時の引用文献5。【0008】には「…液晶表示素子を介して放射される投影機4の小さな光画像は…透光性の保護ガラス6に形成された透光性スクリーン7に投映表示される。パチンコ利用者は、自身に直接対向する保護ガラス6に投映表示される光画像を前面から直接監視することとなる。」と記載され、【0012】には「また、液晶表示素子を含む投光機は娯楽機の奥にあり」と記載されている。)に記載されているように、本願出願前に周知(以下、「周知技術1」という。)である。
引用発明と周知技術1は、いずれも画像の投影により演出を行う点で共通する技術分野に属している。
したがって、引用発明の「投影手段」と光透過性の部位を有する「ボタンカバー701」に周知技術1を適用し、該「ボタンカバー701」を透過型のスクリーンとして用いること、すなわち、「ボタンカバー701」に対して、「投影手段」により裏側から画像を投影し、表側から画像を視認できるようにすることにより、上記相違点に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

そして、本願補正発明の作用効果も、引用発明及び周知技術1から当業者が予測できる範囲のものである。

よって、本願補正発明は、引用発明及び周知技術1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(5)請求人の主張について
ア 請求人は審判請求書の3(4)において、
「また、いずれの引用文献にも記載のされていない上記(ii)の特徴について、引用文献1-5から想到することは容易ではありません。引用文献3-5に開示される構成は、いずれも、画像を投影する装置と、スクリーンに相当する部分と、の位置関係が一定であり、またその位置関係を変化させる点について示唆はありません。すなわち、遊技機の技術分野において、画像を投影する装置(画像投影部)が、相対的に変位するスクリーン部分(演出効果部)に対して画像を投影することは、従来にない技術思想であるといえます。本願発明は、演出効果部が、画像投影部に対して相対的に変位可能に構成されていることによって、従来にない斬新な演出効果を発揮することができるものであるため、引用文献1-5にそのような技術思想が認識されていない以上、上記特徴を想起することが当業者にとって困難であることは明らかです。」
と主張している。
しかしながら、「画像を投影する装置(画像投影部)が、相対的に変位するスクリーン部分(演出効果部)に対して画像を投影すること」は、「第2[理由]3(4)」で検討したように、引用発明と周知技術1に基づき当業者が容易に想到し得た構成にすぎない。また、「従来にない斬新な演出効果」とは、審判請求書の3(1)に記載される「演出効果部は、画像投影部に対して相対的に変位可能であることから、変位によって画像が変化すること」であると認められるが、(2)の認定事項(c)に記載のとおり、チャンスボタン136の押下により投影手段との距離が縮まるように構成されたボタンカバー701を、「(4)判断」に記載のとおり、透過型スクリーンとした場合に、該透過型スクリーンが変位すれば投影画像が変化することは、当然のことであり、前記効果が当業者が予測し得ない格別な効果ということはできない。
よって、請求人の主張は採用できない。

イ 請求人は上申書の2において、
「ここで、本願の演出効果部とは、請求項1に記載されるように、光透過性を有する部位において画像が視認できる態様で、画像投影部により画像が投影されるものです。一方、引用文献1の図30では、明らかにボタンカバー701の外部にて、画像が視認できる態様で投影されています。よって、仮に審査官殿の指摘どおりボタンカバー701が演出手段737に対して変位可能であるとしても、ボタンカバー701は遊技者が視認できるように画像が投影される部分ではないことから、本願発明の演出効果部とボタンカバー701とはその機能が相違します。よって、ボタンカバー701が変位可能であることにより、引用文献1に本願の演出効果部が記載されているとは言えません。」
と主張している。
しかしながら、「第2[理由]3(4)」で検討したように、「ボタンカバー701は遊技者が視認できるように画像が投影される部分」であるようにすることは、引用発明と周知技術1に基づき当業者が容易に想到し得たことである。
よって、請求人の主張は採用できない。

(6)まとめ
したがって、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定に基づいて特許出願の際独立して特許を受けることができない。
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正(平成29年11月7日付け手続補正)は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成29年3月3日付け手続補正書により補正された、上記「第2[理由]1」で前述した特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。

「【請求項1】
少なくとも一部が光透過性を有し、遊技機の前面に配置される演出効果部と、
前記演出効果部の光透過性を有する部位において画像が視認できる態様で前記部位に後方から画像を投影する画像投影部と、
を備えることを特徴とする遊技機用の演出装置。」

2 刊行物
原査定の拒絶理由に引用された本願の出願前に頒布された刊行物の記載事項及び引用発明の認定については、上記「第2[理由]3(2)」に記載したとおりである。

3 対比・判断
本願発明は、上記「第2[理由]3」で検討した本願補正発明から、「演出効果部」に関して、「前記演出効果部は、前記画像投影部に対して相対的に変位可能に構成されていること」との限定を削除したものである。
そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、上記「第2[理由]3(4)」に記載したとおり、引用発明及び周知技術1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-08-17 
結審通知日 2018-08-21 
審決日 2018-09-05 
出願番号 特願2013-109955(P2013-109955)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小河 俊弥  
特許庁審判長 瀬津 太朗
特許庁審判官 田邉 英治
荒井 誠
発明の名称 遊技機用の演出装置、遊技機  
代理人 名古屋国際特許業務法人  

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