• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 取り消して特許、登録 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1345758
審判番号 不服2018-355  
総通号数 228 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-01-11 
確定日 2018-12-03 
事件の表示 特願2016-526645「電子ペン」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 1月22日国際公開、WO2015/007856、平成28年 9月29日国内公表、特表2016-530612、請求項の数(16)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成26年7月17日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2013年7月17日、ドイツ)を国際出願日とする出願であって、平成29年1月24日付けで拒絶理由通知がされ、同年4月25日付けで手続補正がされ、同年8月31日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、平成30年1月11日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に、手続補正がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定(平成29年8月31日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

(進歩性)この出願の請求項1-16に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記1-4の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。



引用文献1.特開2004-227563号公報
引用文献2.特開2004-284341号公報
引用文献3.特開平11-296290号公報
引用文献4.特開平09-054653号公報

第3 審判請求時の補正について
審判請求時の補正は、特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとはいえない。
審判請求時の補正によって請求項1を「前記ポジション検出センサは、該ポジション検出センサの測定データに基づき、当該電子ペン(100)のポジションおよび運動の重複検出が可能であるように構成されており」、「前記ポジション検出センサは、前記力センサ(107)に加わる力がなくなった後、所定の時間において、前記電子ペン(100)のポジションおよび運動の検出を継続する」とする補正は、補正前の請求項1に記載のあった発明を特定するために必要な事項である「前記ポジション検出センサは、該ポジション検出センサの測定データに基づき、当該電子ペン(100)のポジションおよび/または運動の重複検出が可能であるように構成されており」、「前記ポジション検出センサは、前記力センサ(107)に加わる力がなくなった後、所定の時間において、前記電子ペン(100)のポジションおよび/または運動の検出を継続する」という構成を、「ポジションおよび運動」の双方を検出するものに限定したものであり、かつ、補正の前後において、請求項1の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であり、また、前記追加された事項は当初明細書の段落【0013】等に記載されているから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、また、新規事項を追加するものではないといえる。
また、審判請求時の補正によって請求項16を「少なくとも3つのポジション検出センサを用いて、電子ペン(100)のポジションおよび運動を重複検出し」、「前記電子ペン(100)の筆記芯(113)に結合された力センサ(107)によって筆圧が検出されなくなった後の所定の時間にわたり、前記少なくとも3つのポジション検出センサは、前記電子ペン(100)のポジションおよび運動の検出を継続する」とする補正は、補正前の請求項16に記載のあった発明を特定するために必要な事項である「少なくとも3つのポジション検出センサを用いて、電子ペン(100)のポジションおよび/または運動を重複検出し」、「前記電子ペン(100)の筆記芯(113)に結合された力センサ(107)によって筆圧が検出されなくなった後の所定の時間にわたり、前記少なくとも3つのポジション検出センサは、前記電子ペン(100)のポジションおよび/または運動の検出を継続する」という構成を、「ポジションおよび運動」の双方を検出するものに限定したものであり、かつ、補正の前後において、請求項16の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であり、また、前記追加された事項は当初明細書の段落【0013】等に記載されているから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、また、新規事項を追加するものではないといえる。
そして、「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、補正後の請求項1-16に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。

第4 本願発明
本願請求項1-16に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明16」という。)は、平成30年1月11日付けの手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1-16に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1及び本願発明16は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
ペンポジション検出部を備えた電子ペン(100)であって、当該電子ペン(100)は、
少なくとも1つの筆記芯(113)と、
少なくとも1つの電圧源(103)と、
少なくとも1つのディジタルコントロールユニット(120)と、
少なくとも1つのデータ伝送モジュール(111)とを有する、
電子ペン(100)において、
当該電子ペン(100)は、少なくとも3つのポジション検出センサ(105,112,104)を有しており、
前記ポジション検出センサは、該ポジション検出センサの測定データに基づき、当該電子ペン(100)のポジションおよび運動の重複検出が可能であるように構成されており、
前記筆記芯(113)に力センサ(107)が結合されており、
前記ポジション検出センサは、前記力センサ(107)に加わる力がなくなった後、所定の時間において、前記電子ペン(100)のポジションおよび運動の検出を継続する、ことを特徴とする電子ペン(100)。」

「【請求項16】
電子ペン(100)の運動パターンおよびポジションを検出および認識する方法であって、
少なくとも3つのポジション検出センサを用いて、電子ペン(100)のポジションおよび運動を重複検出し、
前記電子ペン(100)の筆記芯(113)に結合された力センサ(107)によって筆圧が検出されなくなった後の所定の時間にわたり、前記少なくとも3つのポジション検出センサは、前記電子ペン(100)のポジションおよび運動の検出を継続する、方法。」

なお、本願発明2-15は、本願発明1を直接又は間接的に引用し、本願発明1を減縮した発明である。

第5 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。

a)「【0021】
慣性センサ入力装置
図2は、本発明の種々の形態に従って使用する入力装置の一実施形態の例を示す。図2では、入力装置201は、インクカートリッジ202、圧力センサ203、加速度計204、磁気センサ205、ジャイロスコープ206、プロセッサ207、メモリ208、トランシーバ209、加速度計210、電源211、ドッキングステーションアダプタ212、キャップ213、誘導要素215、および図示はしていないがディスプレイ、のうちの1つまたは複数を含むことができる。種々の構成要素は、必要に応じて、例えば図示していないがバスを使用して、あるいは無線で電気的に結合することができる。1つまたは複数のセンサを使用することによって、入力装置の場所の検出の精度を向上させることができる。
【0022】
ペンなど標準の筆記用具では一般的であるように入力装置の使用を可能にするために、インクカートリッジ202を含んでいてもよい。インクカートリッジ202は、入力装置の動きが検出され、記録され、および/または電子インクの生成に使用されている間に用紙の上に手書きストロークを生成するための快適かつよく知られている媒体を提供することができる。例えば、入力装置201が例えばオブジェクト上に配置されている間に押し下げられたときに示されるなど、入力を指定する圧力センサ203を含んでいてもよい。さらに、圧力センサ203を使用して、ユーザが入力装置でストロークを作成する際の押下力を検出し、こうしたデータを、生成された電子インクの幅を変更するのに使用することができる。ただし一部の例では、圧力センサを除いてもよい。
【0023】
プロセッサ207は、本発明の種々の形態に関連する機能を行う既存の任意のプロセッサで構成することができる。例えばプロセッサは、20MHzクロックを含み20MIPSで動作する特定の装置であるFPSLIC AT94S40を含んでいてもよい。プロセッサ207は、さらに消費電力を低減できる諸ステップを実行するよう動作し、入力装置が稼動していないときに種々の構成要素の電源を切るなど、電源211に格納されている電力を維持することができる。こうしたパワーダウンは、例えば所与の時間量において装置の動きおよび/または配置がないことを示すデータの有無に基づいて決定することができる。」

b)「【0028】
トランシーバ、すなわち通信ユニット209は、送信ユニットおよび受信ユニットを含むことができる。電子インクを生成する、および/または表示する、あるいはその他に適した形式に処理される入力装置の動きを表す情報を、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットPC、PDA、電話、またはユーザ入力および/または電子インクが有効となり得る他のこうした装置などのホストコンピュータに送信することができる。トランシーバ209は、短距離無線通信を行うBluetooth技術、赤外線通信、あるいはセル式または他の長距離無線技術を含む無線通信技術を使用して外部装置と通信することができる。あるいはまた、トランシーバ209は、例えばUSB接続などホストコンピュータへの直接リンクを介したデータの送信、あるいはドッキングクレードル212との接続を介した間接的なデータの送信を制御することができる。入力装置は、専用の接続を使用して特定のホストコンピュータに直接リンクすることもできる。また、トランシーバ209を使用して、一実施形態でダウンロードして入力装置の性能を向上させることができる情報および/またはソフトウェアを受信することができる。例えば、プロセッサの制御機能を更新するプログラム情報をホストコンピュータから、ないしは上述の任意の送信/結合技術を介してダウンロードすることができる。さらに、画像データを分析する、および/または入力装置を校正するためのソフトウェアなどのソフトウェアを入力装置に送信する、あるいは入力装置によってダウンロードすることもできる。」

c)「【0036】
図3は、入力装置を表しており、代表的な慣性センサによって生成されたデータの例を示している。図示したように、ジャイロスコープ306は、2つの軸の入力装置の角速度の示度を生成する。加速度計304および加速度計310は、3つの軸の加速度の示度を生成する。同様に、磁力計305は、3つの軸に沿った地球の磁気引力の変化を感知する。これらの測定値を組み合わせることによって、入力装置の動きの極めて正確な示度が生成され、それによって電子インク、および他の入力を介して手書きを正確に記録することが容易になる。列挙したものの代替のセンサを使用して入力を生成することもできる。」

d)「【0054】
本発明の一実施形態によれば、図4に示すように、手書きを正確に表す電子インクは、1つの慣性センサまたは複数の慣性センサの組合せから出力されたデータに基づいて生成される。示した実施形態では、2軸ジャイロスコープは、フロー図のステップ401に示すように、時間「0」から時間「t」に移動したときの入力装置の角速度を表すデータを生成する。こうした値は、ステップ406で示すように、修正されたカルマンフィルタに転送して処理することができる。第3次元における入力装置の動きに対応する情報は、時間「t」の間の入力装置の動きを推定するのを助け、2軸ジャイロスコープによって生成された情報を補うことができる。したがって、図示した実施形態の例によれば、第3次元の入力装置の動きを表すデータは、図示したジャイロスコープなど、第1のセンサに加えてのセンサの測定から決定することができる。
【0055】
フロー図のステップ402およびステップ403で、例えば第1の組の加速度計によって生成された入力装置の前部の加速度を表す値、および第2の組の加速計によって生成された入力装置の後部の加速度を表す値を使用して欠けているデータを補う。精度をさらに向上させるには、得られた加速度値を、ステップ405で表す「擬似立」点校正技術を使用して、例えばユーザが装置の方向を逆にした場合、入力装置の加速度がゼロまで減速する位置の推定値に基づいて校正することができる。この校正は、入力装置の速度がゼロとなるべきときを検出するアルゴリズムを使用し、検出されたデータ値に存在し得る任意のオフセットを補償する。説明した校正ステップ405の代わりに、あるいはそれに加えて、加速度データが動きを示す際の精度を向上させる代替の処理技術を使用することができる。次いで加速度値を、修正されたカルマンフィルタに入力することができる。

中略

【0059】
上述したように、加速度計によって生成されたデータが提供する入力装置の動きの示度が一貫して正確なわけではないことがある。例えば、入力装置がほぼ一定速度で移動し、任意の方向の入力装置の加速度がほぼ0のとき、加速度計は、望ましくない結果をもたらすことがある。こうした場合、加速度データの代わりに代替のセンサによって生成される測定値を使用してもよい。例えば3軸磁力計は、上述したように、例えば第3次元における入力装置の動きの示度を提供することによって入力装置の動きを推定するのを助けることができる。磁力計は、ステップ404で示すように、地球の磁場に対応する測定値の変化を測定することによって、入力装置の動きを感知することができる。次いでこうした測定値をステップ406で修正されたカルマンフィルタに入力して処理することができる。当然、こうしたセンサは、電磁妨害に極めて敏感であり、装置の頻繁な再校正を必要とし、かつ/または測定データは、妨害を補正するように処理することが必要となることがある。
【0060】
例示的な実施形態によれば、フロー図のステップ406に示すように、ジャイロスコープおよび加速度計または磁気センサからのデータはすべてプロセッサに入力されて、修正されたカルマンフィルタに従って処理される。フィルタは、ステップ407で示すように入力装置の現在の3次元の向きを表すデータを生成する。例示的な実施形態では、一部カルマンフィルタが現在の値に基づいて将来の値を正確に予測し得る最小二乗法を使用する再帰的フィードバックフィルタであるため、修正されたカルマンフィルタを使用した入力装置の向きの測定について説明する。あるいはまた、装置の動きおよび/または位置を示す任意の数の測定データを使用して入力装置の向きの正確な表現を生成する他の予知的フィルタまたは処理技術を使用することもできる。また、それだけには限定されないが、拡張されたカルマンフィルタを含む他のフィルタリング技術を使用することもできる。
【0061】
同時に、ステップ408で示すように、ペンなどの入力装置の「ペン座標系」(入力装置に対応する座標系)における先端の加速度を、例えば2組の加速度計によって出力されるデータから決定することができる。上述したように、入力装置の軸に沿って間隔をあけた場所に配置されている2組の加速度計からのデータを変換プロセスを使用して変換して、時間間隔「t」の間の入力装置の先端の加速度の示度を提供する。一例では、入力装置の軸に沿った座標系から装置の先端への変換は、以前の校正、推定技術、あるいは値を変換して入力装置の先端の動きを正確に表すための任意の技術を使用してあらかじめ決定することができる。次いで、ステップ409に示すように、ステップ407で決定された入力装置の上述の現在の3次元の向きを使用して、入力装置のペン先での加速度を表すデータを、慣性座標系における入力装置の先端の加速度を表すデータに変換することができる。

中略

【0067】
「慣性座標系」から入力装置が移動する面の座標系に変換するための変換行列を、例えば以前実行した校正手順に基づいて決定することができる。こうした校正ステップは、組立て、製造、各使用前、使用中の休止時、または任意の時に行うことができる。入力が移動する面が用紙の場合、こうした面の座標系を「ペーパ座標系」と表してきた。しかし、入力装置は任意の数の面の上で移動させることができ、「ペーパ座標系」と称することにより、入力装置の使用、あるいはこうした面への変換の説明を限定するものではない。
【0068】
フロー図のステップ410に示すように、ペーパ座標系における入力装置の先端の加速度は、装置が用紙の上で移動する場合、上述の変換行列を使用して加速度データを慣性座標系に変換することによって決定される。次いで結果として生じる加速度が、ステップ411に示すように2回積分されて、それによって入力装置の動きの追跡が生成される。最後に、追跡データは、ドリフト補正を行うことによってさらに処理することができる。上記の演算の結果、入力装置の先端の動きが追跡され、入力装置の動きに対応する電子インクを表すデータが生成される。」

e)「【0117】
本発明の一実施形態で説明したように、変更されたカルマンフィルタを使用して、慣性座標系における入力装置の現在の姿勢を決定することができる。ペン座標系から慣性座標系への変換のために移動行列を決定し、前もって慣性座標系からペーパ座標系への変換に対応する変換行列を校正によって取得しておくことによって、ペン座標系からペーパ座標系への変換行列を決定することができる。したがって、入力装置の先端の追跡は、変換された先端の加速度を入力装置が移動する面の空間座標系に統合することによって算出することができる。入力装置の先端の動きを正確に決定して従来の筆記用具によって生成されたものと同じようにストロークを記録することにより、ペンの動きを正確に決定することによって正確な入力の生成に必要なデータが提供される。ただし、こうした動きを記録するために入力装置が面に接触する必要はない。」

上記下線部及び関連箇所の記載によれば、引用文献1には、入力装置として、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

「入力装置201は、インクカートリッジ202、圧力センサ203、加速度計204、磁気センサ205、ジャイロスコープ206、プロセッサ207、メモリ208、トランシーバ209、加速度計210、電源211、ドッキングステーションアダプタ212、キャップ213、誘導要素215を含み、1つまたは複数のセンサを使用することによって、入力装置の場所の検出の精度を向上させることができ、
ペンなど標準の筆記用具では一般的であるように入力装置の使用を可能にするために、インクカートリッジ202を含み、インクカートリッジ202は、入力装置の動きが検出され、記録され、電子インクの生成に使用されている間に用紙の上に手書きストロークを生成するための媒体を提供し、入力装置201がオブジェクト上に配置されている間に押し下げられたときに示されるなど、入力を指定する圧力センサ203を含んでおり、
プロセッサ207は、種々の形態に関連する機能を行う既存の任意のプロセッサで構成し、さらに消費電力を低減できる諸ステップを実行するよう動作し、入力装置が稼動していないときに種々の構成要素の電源を切るなど、電源211に格納されている電力を維持することができ、こうしたパワーダウンは、例えば所与の時間量において装置の動きおよび/または配置がないことを示すデータの有無に基づいて決定することができ、
トランシーバ、すなわち通信ユニット209は、送信ユニットおよび受信ユニットを含み、電子インクを生成する、および/または表示する、あるいはその他に適した形式に処理される入力装置の動きを表す情報を、ホストコンピュータに送信し、
ジャイロスコープ306は、2つの軸の入力装置の角速度の示度を生成し、
加速度計304および加速度計310は、3つの軸の加速度の示度を生成し、
同様に、磁力計305は、3つの軸に沿った地球の磁気引力の変化を感知し、
これらの測定値を組み合わせることによって、入力装置の動きの極めて正確な示度が生成され、それによって電子インク、および他の入力を介して手書きを正確に記録することが容易になるものであり、
2軸ジャイロスコープは、時間「0」から時間「t」に移動したときの入力装置の角速度を表すデータを生成し、こうした値は、修正されたカルマンフィルタに転送して処理され、
第1の組の加速度計によって生成された入力装置の前部の加速度を表す値、および第2の組の加速計によって生成された入力装置の後部の加速度を表す値を使用して欠けているデータを補い、精度をさらに向上させるには、得られた加速度値を、「擬似立」点校正技術を使用して、ユーザが装置の方向を逆にした場合、入力装置の加速度がゼロまで減速する位置の推定値に基づいて校正し、次いで加速度値を、修正されたカルマンフィルタに入力し、
加速度データの代わりに代替のセンサによって生成される測定値を使用してもよく、例えば3軸磁力計は、第3次元における入力装置の動きの示度を提供することによって入力装置の動きを推定するのを助け、磁力計は、地球の磁場に対応する測定値の変化を測定することによって、入力装置の動きを感知し、次いでこうした測定値を修正されたカルマンフィルタに入力して処理し、
ジャイロスコープおよび加速度計または磁気センサからのデータはすべてプロセッサに入力されて、修正されたカルマンフィルタに従って処理され、フィルタは、入力装置の現在の3次元の向きを表すデータを生成し、
同時に、ペンなどの入力装置の「ペン座標系」(入力装置に対応する座標系)における先端の加速度を、2組の加速度計によって出力されるデータから決定し、
次いで、入力装置の上述の現在の3次元の向きを使用して、入力装置のペン先での加速度を表すデータを、慣性座標系における入力装置の先端の加速度を表すデータに変換し、
入力が移動する面の座標系を「ペーパ座標系」と表すと、ペーパ座標系における入力装置の先端の加速度は、装置が用紙の上で移動する場合、加速度データを慣性座標系に変換することによって決定され、
次いで結果として生じる加速度が、2回積分されて、それによって入力装置の動きの追跡が生成され、
最後に、追跡データは、ドリフト補正を行うことによってさらに処理され、
入力装置の先端の動きが追跡され、入力装置の動きに対応する電子インクを表すデータが生成され、
入力装置の先端の追跡は、変換された先端の加速度を入力装置が移動する面の空間座標系に統合することによって算出することができ、入力装置の先端の動きを正確に決定して従来の筆記用具によって生成されたものと同じようにストロークを記録することにより、ペンの動きを正確に決定することによって正確な入力の生成に必要なデータが提供される
入力装置201。」

2.引用文献3について
引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。

f)「【0027】そこで、図7に示すように、演算部5の筆記軌跡抽出部9に軌跡算出部7で算出した2次元の軌跡とともにA/D変換器61,62から出力するジャイロ3X,3Yの角速度信号ω_(x),ω_(y)を入力し、区切データ記憶部8には文字の区切りを判別する空中ストロークの平均速度のしきい値として例えば10mm/secをあらかじめ記憶しておく。そして、筆記軌跡抽出部9で軌道算出手段7から送られた2次元の軌跡と感圧スイッチ4で判定したペン先21と紙面との接触位置から実際の筆跡軌跡を抽出して文字や図形を再構成するときに、A/D変換器61,62から出力するジャイロ3X,3Yの角速度信号ω_(x),ω_(y)から、(1)式によりペン先21の移動速度を算出し、算出した移動速度が区切データ記憶部8に記憶したしきい値10mm/sec以下になったときに文字の区切りと判別する。このようにして簡単に筆記文字の区切りを判別することができ、文字を正確に認識することができる。
【0028】上記実施例はペン先21の移動速度から筆記文字の区切りを判別する場合について説明したが、文字の区切りを判別する空中ストロークの移動速度のしきい値10mm/secに対応するジャイロ3X,3Yの角速度ω_(xTH),ω_(yTH)をしきい値として区切データ記憶部8に記憶しておき、A/D変換器61,62から出力するジャイロ3X,3Yの角速度信号ω_(x),ω_(y)としきい値ω_(xTH),ω_(yTH)を直接比較して筆記文字の区切りを判別しても良い。
【0029】また、区切データ記憶部8にあらかじめ文字の区切りを判別する空中ストロークの移動速度や角速度のしきい値の基準値を10mm/secを基準として設定しておき、筆記者毎に1文字を入力しているときの空中ストロークの移動速度や角速度の分布を検出して区切データ記憶部8に記憶し、記憶した筆記者毎の空中ストロークの移動速度や角速度の分布と空中ストロークの移動速度と角速度のしきい値の基準値と比較して、筆記者に最適な文字の区切りを判別する空中ストロークの移動速度や角速度になるようにしきい値を調整すると良い。このようにして筆記者に合わせて文字を区切ることができ、文字を正しく認識することができる。
【0030】また、文字の書き始めや文字の区切りにおいてはペン先21を紙面に接触させない空中ストロークで無意識のうちにペン2を書きやすい状態に戻すことが多い。このとき、ペン先21は書き始めの所定位置に移動する動作と、ペン2の姿勢を整える動作が組み合わされて2段モーションのような動きをする。すなわち文字区切りの空中ストロークでは、図8に示すように、ペン先21の速度は少なくとも2つ以上の速度ピークは発生する確率が高い。そこで空中ストロークのなかの速度ピークの数を検出することにより文字の区切りを判別することもできる。
【0031】そこで、図9に示すように、演算部5にジャイロ3X,3Yに接続されたカットオフ周波数が10?20Hzのローパスフィルタ(LPF)53,54と、LPF53,54からの信号を入力するA/D変換器63,64を設け、筆記軌跡抽出部9に軌跡算出部7で算出した2次元の軌跡とともにA/D変換器63,64から出力するジャイロ3X,3Yの角速度信号ω_(x),ω_(y)を入力する。そして、筆記軌跡抽出部9で軌道算出手段7から送られた2次元の軌跡と感圧スイッチ4で判定したペン先21と紙面との接触位置から実際の筆跡軌跡を抽出して文字や図形を再構成するときに、ペン先21が紙面に接触していないときにA/D変換器63,64から出力するジャイロ3X,3Yの角速度信号ω_(x),ω_(y)から空中ストロークのときのペン先21の移動速度を算出し、算出した移動速度のピーク値が2つ以上あったときに文字の区切りと判別する。このようにして簡単に筆記文字の区切りを判別することができ、文字を正確に認識することができる。ここでLPF53,54のカットオフ周波数を10?20Hzとしたのは、ペン先21が紙面に接触していない空中ストロークのときのペン先21の移動速度の周波数帯を調べた結果、10?20Hz以下を扱えば良いことが判った。そして、このようにLPF53,54のカットオフ周波数を定めることにより、ノイズ等による余分な速度ピークを検出することを防止できる。
【0032】この場合もペン先21が紙面に接触していないときのにペン先21の移動速度に替えてA/D変換器63,64から出力するジャイロ3X,3Yの角速度信号ω_(x),ω_(y)のピーク値から直接文字の区切りを判別しても良い。
【0033】上記のように文字の区切りでペン先21の速度ピークが2段モーションのような動きをするのは、ペン2の姿勢を書き易い状態に戻そうとするからである。すなわち、文字の書き始めには筆記者がペン2を書き易い同じ姿勢にする。そこで図10に示すように、演算部5に初期姿勢記憶部81を設け、初期姿勢記憶部81に実際に文字を書き始めるときの初期姿勢または仮定した初期姿勢を記憶させておき、上記のように筆記軌跡抽出部9でペン先21の移動速度のピーク値やペン2の姿勢変化を示すジャイロ3X,3Yの角速度信号ω_(x),ω_(y)のピーク値を2つ以上検出したときに、軌跡算出部7で算出したジャイロ3X,3Yの姿勢角度の変化速度を積分した結果が初期姿勢記憶部81に記憶した初期姿勢に戻ったかどうかで文字の区切りかどうかを評価する。このようにして文字の区切りをより正確に認識することができる。この場合、初期姿勢記憶部81に記憶する初期姿勢は「0」でも良いが、文字の区切りの判別毎に平均化して記憶しなおすことにより、文字の区切りの検出精度をより向上させることができる。
【0034】上記各実施例は空中ストロークの移動時間や移動速度や移動速度のピーク値の数等により文字の区切りを判別する場合についた説明したが、これらを組み合わせることにより、文字の区切りの検出精度をより向上させることができる。例えば、空中ストロークの移動時間により文字の区切りを判別してから、さらに移動速度のピーク値の数により文字の区切りを判別を行う。すなわち空中ストロークが短く、明らかに1文字中に続するものは空中ストロークの移動時間により短時間で1文字と判別できるが、空中ストロークの移動時間が長くしきい値に近い場合は、1文字に属するか文字の区切りかの判別が微妙になる。このような場合、さらに移動速度のピーク値の数により文字の区切りかどうかを判別する。このようにして、文字の区切りを短時間で正確に判別することができ、正確な文字を認識することができる。」

3.引用文献4について
引用文献4には、図面とともに次の事項が記載されている。

g)「【0019】次に、本実施形態のペン型ポインティングデバイス10の動作について説明する。まず、従来のマウスと同様にカーソルを移動させるときには、切換手段25により常にX,Y傾斜角度変換回路23の回路動作を無効にするように切換える。そして、軸ホルダ16を筆記面Pの左右方向(X軸方向)及び上下方向(Y軸方向)が決められた一定方向になるように手で持ち、ペン先部11aを筆記面Pに当接し、押圧力を加えて表示装置のカーソルを動かしたい方向に合わせて移動させると、ペン先部11aには筆記面Pから移動方向と反対方向の摩擦力と、筆記面Pから垂直方向の押上力が生じる。この摩擦力は側面圧力として軸部11と軸ホルダ16との間に配置された周辺方向感圧素子12(a?d)に加わり、また、押上力が押圧力として軸部11と軸ホルダ16の奥側の中心軸上に設けられた軸方向感圧素子13に加わり、それらの部分の電気的抵抗値が変化する。感圧検出回路21は、これらの電気的抵抗値変化によりペン先部11aが筆記面Pに接触しているか否かを検出し接触信号を出力する。そして、感圧検出回路21が接触信号を出力しているとき、カーソル位置算出回路22は、周辺方向感圧素子12(a?d)と軸方向感圧素子13のそれぞれで検出された電気的抵抗値変化を、方向と大きさを持ったベクトル量として算出し、そのベクトル量の方向及び大きさに応じてカーソルに対応した移動方向及び移動速度として算出する。このカーソル位置算出回路22で算出された移動方向及び移動速度は、カーソル移動信号発生回路26でカーソルの移動信号として発生され、続いてインターフェース回路27から無線送信回路28に送られ、無線電波としてパソコン側に送信される。パソコン側は無線送信回路28から送信されてきた無線電波を無線受信回路29で受信し、マウスポートに入力され、表示装置のカーソルを必要な方向に所定の速度で動かすことが可能になる。軸部11の先端側と軸ホルダ16の先端側内面に周辺方向感圧素子12(a?d)が配置されているため、製造や組み立てが容易になるとともに、軸ホルダ16の奥側に形成されている場合よりもペン先部11aからの摩擦力の影響に敏感に反応でき、また、4か所の周辺方向感圧素子12(a?d)に加えて中心部に1か所の軸方向感圧素子13が配置されていることで、少ない数の感圧素子より検出が複数箇所で行われ感度を向上させることが可能になる。このペン型ポインティングデバイス10は、筆記面Pが水平面、傾斜面あるいは垂直面であっても使用できる。また、軸ホルダ16の形状を手で持つ方向が常に一定になるように形成すれば、取扱が容易になりカーソル移動方向に合わせることが簡単になる。したがって、このペン型ポインティングデバイス10では、狭い場所でも任意の筆記面P上で使用でき操作も容易になり、筆記面Pに当接するペン先部11aに回転部分がないため、目づまりによるトラブルを生じることがない。
【0020】次に、感圧素子12,13と角度センサ14,15の両者を使用してカーソルを移動させるときには、切換手段25により感圧検出回路21が接触信号を出力していないときにのみX,Y傾斜角度変換回路23の回路動作を有効にするように切換える。そして、上記と同様に軸ホルダ16を筆記面Pに対して決められた一定方向になるように手で持ち、ペン先部11aを筆記面Pに当接させると、感圧検出回路21が軸部11を介して軸方向感圧素子13に加えられる側面圧力と軸方向感圧素子13に加えられる押圧力とを検出し、ペン先部11aが筆記面Pに接触しているか否かが検出され接触しているときに接触信号を出力する。感圧検出回路21から接触信号が出力されているときには、上記と同様にカーソル位置検出回路22でカーソル位置が算出され、カーソル移動信号発生回路26でカーソルの移動信号として発生され、続いてインターフェース回路27から無線送信回路28に送られ、無線電波としてパソコン側に送信される。パソコン側は無線送信回路28から送信されてきた無線電波を無線受信回路29で受信し、マウスポートに入力され、表示装置のカーソルを必要な方向に所定の速度で動かすことが可能になる。次に、ペン先部11aを筆記面Pから離し、軸ホルダ16を筆記面Pから離す直前の傾斜角度(Θ1)からさらにカーソルを移動させたい方向に傾斜角度(Θ2)になるようにペン先部11aを向けると、角度センサ14,15からX,Y傾斜角度変換回路23が傾斜角度Θ1,Θ2を検出し、カーソル位置検出回路24がこれら傾斜角度Θ1,Θ2をX軸角度センサ14とY軸角度センサ15のそれぞれについて角度変換速度と角度変換量を求め、それぞれの値をベクトル量として合成することでカーソル位置を算出する。そして、このX,Y傾斜角度変換回路23で算出されたカーソルの移動信号として発生され、続いてインターフェース回路27から無線送信回路28に送られ、無線電波としてパソコン側に送信される。パソコン側は無線送信回路28から送信されてきた無線電波を無線受信回路29で受信し、マウスポートに入力され、表示装置のカーソルを必要な方向に所定の速度で動かすことが可能になる。すなわち、軸部11のペン先部11aを筆記面Pに接触させているときには、感圧検出回路21が接触していることを検出してその間には上記説明と同等に感圧素子12,13が検出する接触圧力に基づきカーソルを移動させることができるが、軸部11のペン先部11aを筆記面Pから離して次にカーソル位置を移動させたい方向に傾斜させたときには、角度センサ14,15が検出する傾斜角度に基づきカーソルを移動させることができる。したがって、例えば、ペン型ポインティングデバイス10を用いて字を書くような動作として、ペン先部11aを筆記面Pに接触させて移動させている間には従来のマウスと同様にカーソルを移動させることができ、続いてペン先部11aを筆記面Pから離して必要な移動位置にカーソルを移動させてから再びペン先部11aを筆記面Pに接触させて移動させることができる。そのため、従来のマウスなどでは、字を書くような動作では必要な場所まで戻す動作が必要であったが、本実施形態では通常の筆記具を扱うと同様な動作でカーソルを移動させることができる。これにより、字を書いたりグラフィックに必要とされるカーソル移動を簡単に実現することができる。
【0021】図5は上記のペン型ポインティングデバイス10の動作を説明するフローチャートであり、まず、感圧検出回路21によりペン先部11aが筆記面に接触しているか否かを判断し(ST1)、接触しているときには感圧素子によるカーソル位置算出回路22がカーソル位置を算出し(ST2)、続いてカーソル移動信号発生回路26がカーソル移動信号を発生し(ST3)、以後は上述のようにインターフェース回路27から無線送信回路28を介して無線電波として送信され、パソコン側の無線受信回路29で受信されマウスポートに入力される。そして、、感圧検出回路21によりペン先部11aが筆記面から離れているときには、X及びY軸角度センサ14及び15から傾斜角度変換回路23が傾斜角度を検出し(ST4)、この傾斜角度から角度センサによるカーソル位置算出回路24がカーソル位置を算出し(ST5)、続いてカーソル移動信号発生回路26がカーソル移動信号を発生し(ST3)、以後は上述と同様にインターフェース回路27から無線送信回路28を介して無線電波として送信され、パソコン側の無線受信回路29で受信されマウスポートに入力される。」

第6 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。

ア.引用発明の「入力装置201」は、「ペンなど標準の筆記用具では一般的であるように入力装置の使用を可能」にしたものであり、「入力装置の場所の検出」をするものであるから、本願発明1の「ペンポジション検出部を備えた電子ペン(100)」に相当する。

イ.引用発明は、「ペンなど標準の筆記用具では一般的であるように入力装置の使用を可能にするために、インクカートリッジ202を含み、インクカートリッジ202は、入力装置の動きが検出され、記録され、電子インクの生成に使用されている間に用紙の上に手書きストロークを生成するための媒体を提供」のものであるから、引用発明の「インクカートリッジ202」は、本願発明1の「少なくとも1つの筆記芯(113)」に相当する。

ウ.引用発明の「電源211」は、本願発明1の「少なくとも1つの電圧源(103)」に相当する。

エ.引用発明の「プロセッサ207は、種々の形態に関連する機能を行う既存の任意のプロセッサで構成」されるものであるから、本願発明1の「少なくとも1つのディジタルコントロールユニット(120)」に相当する。

オ.引用発明の「トランシーバ、すなわち通信ユニット209は、送信ユニットおよび受信ユニットを含み、電子インクを生成する、および/または表示する、あるいはその他に適した形式に処理される入力装置の動きを表す情報を、ホストコンピュータに送信」するものであるから、本願発明1の「少なくとも1つのデータ伝送モジュール(111)」に相当する。

カ.引用発明の「入力装置201」が「加速度計204」、「磁気センサ205」、「ジャイロスコープ206」、「加速度計210」を含むことは、本願発明1の「電子ペン(100)は、少なくとも3つのポジション検出センサ(105,112,104)を有して」いることに相当する。

キ.本願の明細書段落【0013】の「本発明による電子ペンは、この電子ペンに少なくとも3つのポジション検出センサが設けられていることから、ペンポジションデータないしは電子ペンのペンポジションおよび/または運動を、三次元座標系において重複検出することができる。」なる記載を考慮すれば、本願発明1の「電子ペン(100)のポジションおよび運動の重複検出が可能であるように構成」されていることは、「3つのポジション検出センサ」の測定データに基づき電子ペン(100)のポジションおよび運動を検出するように構成されていることといえる。
したがって、引用発明において「ジャイロスコープ306は、2つの軸の入力装置の角速度の示度を生成し、加速度計304および加速度計310は、3つの軸の加速度の示度を生成し、同様に、磁力計305は、3つの軸に沿った地球の磁気引力の変化を感知し、これらの測定値を組み合わせることによって、入力装置の動きの極めて正確な示度が生成され」ることは、本願発明1の「前記ポジション検出センサは、該ポジション検出センサの測定データに基づき、当該電子ペン(100)のポジションおよび運動の重複検出が可能であるように構成され」ることに相当する。

ク.引用発明は、「インクカートリッジ202は、入力装置の動きが検出され、記録され、電子インクの生成に使用されている間に用紙の上に手書きストロークを生成するための媒体を提供し、入力装置201がオブジェクト上に配置されている間に押し下げられたときに示されるなど、入力を指定する圧力センサ203を含んで」いるものであるから、引用発明の「インクカートリッジ202」が「圧力センサ203」を含んでいることは、本願発明1の「前記筆記芯(113)に力センサ(107)が結合」されていることに相当する。

したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点と相違点とがあるといえる。

〈一致点〉
「ペンポジション検出部を備えた電子ペン(100)であって、当該電子ペン(100)は、
少なくとも1つの筆記芯(113)と、
少なくとも1つの電圧源(103)と、
少なくとも1つのディジタルコントロールユニット(120)と、
少なくとも1つのデータ伝送モジュール(111)とを有する、
電子ペン(100)において、
当該電子ペン(100)は、少なくとも3つのポジション検出センサ(105,112,104)を有しており、
前記ポジション検出センサは、該ポジション検出センサの測定データに基づき、当該電子ペン(100)のポジションおよび運動の重複検出が可能であるように構成されており、
前記筆記芯(113)に力センサ(107)が結合されている、
ことを特徴とする電子ペン(100)。」
である点。

〈相違点〉
本願発明1は、「前記ポジション検出センサは、前記力センサ(107)に加わる力がなくなった後、所定の時間において、前記電子ペン(100)のポジションおよび運動の検出を継続する」ものであるのに対し、引用発明は、「入力装置が稼動していないときに種々の構成要素の電源を切るなど、電源211に格納されている電力を維持することができ、こうしたパワーダウンは、例えば所与の時間量において装置の動きおよび/または配置がないことを示すデータの有無に基づいて決定することができ」るものではあるものの、「圧力センサ203」に加わる力がなくなった後、所定の時間において、入力装置のポジションおよび運動の検出を継続するものではない点。

(2)相違点についての判断
上記相違点について検討すると、上記摘記事項f)に「感圧スイッチ4で判定したペン先21と紙面との接触位置から実際の筆跡軌跡を抽出して文字や図形を再構成するときに、ペン先21が紙面に接触していないときにA/D変換器63,64から出力するジャイロ3X,3Yの角速度信号ω_(x),ω_(y)から空中ストロークのときのペン先21の移動速度を算出し、算出した移動速度のピーク値が2つ以上あったときに文字の区切りと判別する」ことが、g)に「押上力が押圧力として軸部11と軸ホルダ16の奥側の中心軸上に設けられた軸方向感圧素子13に加わり、それらの部分の電気的抵抗値が変化し、感圧検出回路21は、これらの電気的抵抗値変化によりペン先部11aが筆記面Pに接触しているか否かを検出し接触信号を出力し、感圧検出回路21によりペン先部11aが筆記面から離れているときには、X及びY軸角度センサ14及び15から傾斜角度変換回路23が傾斜角度を検出し、この傾斜角度から角度センサによるカーソル位置算出回路24がカーソル位置を算出し、続いてカーソル移動信号発生回路26がカーソル移動信号を発生する」ことが記載されるように、「電子ペンにおいて、ペン先への力を検出する力センサに加わる力がなくなった後も、ポジション検出センサによる検出を継続すること」は、本願の優先日前周知技術と認められるものの、「力センサに加わる力がなくなった後、所定の時間において」ポジションおよび運動の検出を継続することは、引用文献2-4のいずれにも記載も示唆もされておらず 、また、本願の優先日前周知のこととは認められない。
また、「パワーダウンは、例えば所与の時間量において装置の動きおよび/または配置がないことを示すデータの有無に基づいて決定する」ものである引用発明において、「力センサに加わる力がなくなった後、所定の時間において、前記電子ペンのポジションおよび運動の検出を継続する」、積極的な動機はない。
したがって、本願発明1は、当業者であっても、引用発明、引用文献2-4に記載された技術及び上記周知技術に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2.本願発明2-15について
本願発明2-15は、本願発明1を直接又は間接的に引用するものであり、上記「1.請求項1について」にて述べたのと同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2-4に記載された技術及び上記周知技術に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

3.本願発明16について
本願発明16は、「力センサ(107)によって筆圧が検出されなくなった後の所定の時間にわたり、前記少なくとも3つのポジション検出センサは、前記電子ペン(100)のポジションおよび運動の検出を継続する」という構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2-4に記載された技術及び上記周知技術に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

第7 原査定について
本願発明1-15は、「前記ポジション検出センサは、前記力センサ(107)に加わる力がなくなった後、所定の時間において、前記電子ペン(100)のポジションおよび運動の検出を継続する」との、本願発明16は、「前記電子ペン(100)の筆記芯(113)に結合された力センサ(107)によって筆圧が検出されなくなった後の所定の時間にわたり、前記少なくとも3つのポジション検出センサは、前記電子ペン(100)のポジションおよび運動の検出を継続する」との構成を有するものであり、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1-4に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。
したがって、原査定を維持することはできない。

第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2018-11-16 
出願番号 特願2016-526645(P2016-526645)
審決分類 P 1 8・ 575- WY (G06F)
P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 間野 裕一松田 岳士  
特許庁審判長 千葉 輝久
特許庁審判官 山田 正文
稲葉 和生
発明の名称 電子ペン  
代理人 上島 類  
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト  
代理人 前川 純一  
代理人 二宮 浩康  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ