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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G09F |
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管理番号 | 1345796 |
審判番号 | 不服2017-18358 |
総通号数 | 228 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2018-12-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-12-11 |
確定日 | 2018-11-27 |
事件の表示 | 特願2013-93615「デジタル画像表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成26年11月17日出願公開、特開2014-215501、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 この審判事件に関する出願(本願)は、平成25年4月26日にされた特許出願である。そして、平成29年4月17日に特許請求の範囲についての補正がされ、同年9月8日付けで拒絶査定(原査定)がされ、同12日に査定の謄本が送達された。 これに対して、同年12月11日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に特許請求の範囲についての補正(以下、「本件補正」という。)がされた。 その後、平成30年2月7日付けで特許法第164条第3項の規定による報告(以下、「前置報告」という。)がされ、請求人は、同年5月15日に上申書を提出した。 なお、本願の請求項の数は、本件補正前(すなわち、原査定時)は4であり、本件補正後は3である。 第2 本願に係る発明 本願の特許請求の範囲の請求項1ないし請求項3に係る発明(以下、「本願発明1」ないし「本願発明3」という。)は、本願の特許請求の範囲の請求項1ないし請求項3に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。 「【請求項1】 (1)画像表示セル、 (2)前記画像表示セルより視認側に配置される偏光板、 (3)前記偏光板より視認側に配置される透明成形体、及び (4)前記偏光板より視認側に配置される、3000nm以上150000nm以下のリタデーションを有する配向フィルム、 を有し、前記配向フィルムが、前記偏光板と前記透明成形体との間に配置され、前記透明成形体は、画像表示装置の表示部分にリタデーションが150nm以上ある部分が存在する、デジタル画像表示装置。 【請求項2】 前記偏光板が有する偏光子の偏光軸と前記配向フィルムの配向主軸とが形成する角が略45度である、請求項1に記載のデジタル画像表示装置。 【請求項3】 請求項1に記載のデジタル画像表示装置の製造方法であって、前記透明成形体が未延伸体であって、溶融押出し法、カレンダー成形法、射出成形法、プレス成形法、真空成形法、又は圧空成形法により製造される、製造方法。」 なお、本願発明2は、本願発明1の構成を全て含む。 また、本願発明3は、本願発明1に係るデジタル画像表示装置の製造方法の発明である。 第3 原査定の概要 本願の請求項1及び請求項2に係る発明は、引用文献1ないし引用文献3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献1:国際公開第2011/058774号 引用文献2:特開2012-237928号公報 引用文献3:特開2013-19941号公報 第4 引用文献等に記載された発明等 1 引用文献1 (1)引用文献1の記載 引用文献1には、以下の記載がある。下線は、当合議体が付した。 「技術分野 [0001] 本発明は、サングラスなどの偏光板を通して画面を観察した時、その観察角度によらず良好な視認性を確保することができる液晶表示装置の視認性改善方法、及びそれを用いた液晶表示装置に関する。」 「背景技術 [0002] 近年、液晶表示装置(LCD)の用途が拡大しており、屋外で用いられる各種の表示物にもLCDが利用されている。例えば、車、船、飛行機などの計器盤、車載カーナビゲーション、デジタルカメラ、携帯電話やパソコンなどのモバイル機器、あるいはビル、スーパーなどで用いられるデジタルサイネージなどに利用が広がっている。 [0003] LCDは液晶セルを2枚の偏光板で挟みこんだ液晶パネルに、外光や、フロントライト、バックライトなどの光源により発生せられた光を透過/遮蔽することによって表示を行なう。バックライト光源としては冷陰極管や熱陰極管などの蛍光管を用いることが一般的である。冷陰極管や熱陰極管などの蛍光灯の分光分布は複数のピークを有する発光スペクトルを示し、これら不連続な発光スペクトルがあわさって白色系の光源が得られる。一方、省エネルギー化の点から消費電力の小さい発光ダイオードを利用することが検討されている。特に、白色発光ダイオード(白色LED)は、蛍光管に比べ連続的で幅広い発光スペクトルを有しており発光効率に優れる。 [0004] ところで、日差しの強い屋外等の環境では、その眩しさを解消するために、偏光特性を有するサングラスを掛けた状態でLCDを視認する場合がある。この場合、観察者はLCDから射出した直線偏光を有する光を、偏光板を通して視認することとなるため、LCDに内装される偏光板の吸収軸と、サングラスなどの偏光板の吸収軸とがなす角度によっては画面が見えなくなってしまう。」 「[0010] 本発明は、かかる課題を解決すべくなされたものであり、その目的は、サングラスなどの偏光板を通して画面を観察した時、その観察角度によらず高度に良好な視認性を確保することができる液晶表示装置を提供することにある。」 「発明を実施するための最良の形態 [0015] 一般に、液晶パネルは、バックライト光源に対向する側から画像を表示する側(視認側)に向かう順に、後面モジュール、液晶セルおよび前面モジュールから構成されている。後面モジュールおよび前面モジュールは、一般に、透明基板と、その液晶セル側表面に形成された透明導電膜と、その反対側に配置された偏光板とから構成されている。ここで、偏光板は、後面モジュールでは、バックライト光源に対向する側に配置され、前面モジュールでは、画像を表示する側(視認側)に配置されている。 [0016] 本発明の液晶表示装置(LCD)は少なくとも、バックライト光源と、液晶セルと、液晶セルの視認側に配した偏光板とを構成部材とする。前記のように液晶セルはバックライト光源側と視認側とで2つの偏光板に挟まれて配されるのが一般的であるため、液晶セルの視認側の反対側にも偏光板を配しても構わない。また、これら以外の他の構成、例えばカラーフィルター、レンズフィルム、拡散シート、反射防止フィルムなどを適宜有しても構わない。 [0017] 本発明では、液晶表示装置(LCD)のバックライト光源として白色発光ダイオード(白色LED)を用いることが必要である。白色LEDとは、蛍光体方式、すなわち化合物半導体を使用した青色光、もしくは紫外光を発する発光ダイオードと蛍光体を組み合わせることにより白色を発する素子のことである。その中でも特に、化合物半導体を使用した青色発光ダイオードとイットリウム・アルミニウム・ガーネット系黄色蛍光体とを組み合わせた発光素子からなる白色発光ダイオードは、連続的で幅広い発光スペクトルを有しているとともに発光効率にも優れるため、本発明のバックライト光源として好適である。また、本発明の方法により消費電力の小さい白色LEDを広汎に利用可能になるので、省エネルギー化の効果も奏することが可能となる。 [0018] なお、赤・緑・青の各色を発するLEDを組み合わせて白色光源として用いる方式も実用化されているが、この方式では発光スペクトルが狭くかつ不連続であるため、本発明の所期の効果を得ることが困難になると予想されるため、好ましくない。 [0019] また、従来からバックライト光源として広く用いられている冷陰極管や熱陰極管等の蛍光管についても、本発明に使用することは出来ない。なぜなら、これらの光源の発光スペクトルは特定波長にピークを有する不連続な発光スペクトルしか有していないため、このような発光スペクトルから干渉色により白色光を奏するためには、100000nmを超えるリタデーションを有する特殊な無機系素材を用いなければならず、液晶表示装置の装置設計に大きな制約をもたらすことになるからである。 [0020] 本発明では、前記偏光板の視認側に特定範囲のリタデーションを有する高分子フィルムを配することを特徴とする。本発明者は複屈折体を透過した透過光による干渉色スペクトルの包絡線形状に着目し、本発明の着想を得たものである。すなわち、光源の発光スペクトルと複屈折体を透過した透過光による干渉色スペクトルの包絡線形状とが相似形となることで視認性が顕著に改善することを見出し、本発明に至ったものである。具体的に、本発明の構成により視認性が改善するという効果は以下の技術思想による。 [0021] 直交する2つの偏光板の間に複屈折性を有する高分子フィルムを配した場合、偏光板から出射した直線偏光が高分子フィルムを通過する際に乱れが生じ、光が透過する。透過した光は高分子フィルムの複屈折と厚さの積であるリタデーションに特有の干渉色を示す。本発明では、連続的な発光スペクトルを有する白色LEDを光源とする。このため、高分子フィルムによっても達成可能な特定のリタデーション範囲に制御することにより、干渉色を示す透過光のスペクトルの包絡線形状が光源の発光スペクトルに近似させることが可能となる。本発明はこれにより視認性の向上を図るに至ったものである。(図3参照) [0022] 上記効果を奏するために、本発明に用いられる高分子フィルムは、3000?30000nmのリタデーションを有していなければならない。リタデーションが3000nm未満では、サングラスなどの偏光板を通して画面を観察した時、強い干渉色を呈するため、包絡線形状が光源の発光スペクトルと相違し、良好な視認性を確保することができない。好ましいリタデーションの下限値は4500nm、より好ましい下限値は6000nm、更に好ましい下限値は8000nm、より更に好ましい下限値は10000nmである。 [0023] 一方、リタデーションの上限は30000nmである。それ以上のリタデーションを有する高分子フィルムを用いたとしても更なる視認性の改善効果は実質的に得られないばかりか、フィルムの厚みも相当に厚くなり、工業材料としての取り扱い性が低下するので好ましくない。 [0024] なお、本発明のリタデーションは、2軸方向の屈折率と厚みを測定して求めることもできるし、KOBRA-21ADH(王子計測機器株式会社)といった市販の自動複屈折測定装置を用いて求めることもできる。 [0025] 本発明は幅広い発光スペクトルを有する白色LEDを光源に用いるため、高分子フィルムのリタデーションを上記範囲に設定することで、比較的簡便な構成のみで透過光のスペクトルの包絡線形状を光源の発光スペクトルに近似させることが可能となる。すなわち、従来技術では不連続な発光スペクトルを有する光源を用いるがために、極めて高いリタデーション(100000nm超)を有する複屈折体を用いなければ、視認性の改善ができなかったところ、連続的な発光スペクトルを有するという白色LED光源の性質を利用して上記のように比較的簡便な構成で視認性を向上させるという特異な効果を奏する。 [0026] 本発明に用いられる高分子フィルムは、液晶セルの視認側に配した偏光板の視認側に、前記偏光板の吸収軸と前記高分子フィルムの遅相軸とのなす角が凡そ45度となるように配して使用される。高分子フィルムを偏光板の視認側に配する方法は、偏光板の最外層に直接に高分子フィルムを積層しても構わないし、他の透明部材を介して配しても構わない。また、液晶表示装置の視認側最表面に高分子フィルムを設置、貼り合わせてもよい。高分子フィルムを直接、または他の透明部材を介して配する際は、粘着層を設けた高分子フィルムを用いることも好ましい態様である。」 (2)引用文献1に記載された発明 引用文献1の前記(1)の記載によれば、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「バックライト光源と、液晶セルと、液晶セルの視認側に配した偏光板とを構成部材とする液晶表示装置であって、 偏光板の視認側に特定範囲のリタデーションを有する高分子フィルムを配し、 高分子フィルムは、3000?30000nmのリタデーションを有し、 高分子フィルムを偏光板の視認側に配する方法は、偏光板の最外層に直接に高分子フィルムを積層しても構わないし、他の透明部材を介して配しても構わないし、液晶表示装置の視認側最表面に高分子フィルムを設置、貼り合わせてもよい液晶表示装置。」 2 引用文献2 引用文献2の【0013】、【0028】ないし【0033】、【0044】及び図1ないし図3の記載によれば、引用文献2には、以下の技術事項が記載されている。 「配向膜12と、配向状態に固定された液晶化合物を含有する位相差層14とを、透明フィルム10の一方の面上に有する光学フィルム1であって、λ/4板として機能する光学フィルム1を、その位相差層14の表面に偏光膜16を貼合した上で、その透明フィルム10を視認側として、表示パネル18の視認側表面に配置し、 透明フィルム10は、その裏面(即ち、配向膜12及び位相差層14が配置されていない側の面)にハードコート層20を有し、 透明フィルム10としては、低レターデーションのポリマーフィルムを用いてもよく、具体的には、面内のレターデーションの絶対値が50nm以下のフィルムを用いてもよい。」 3 引用文献3 引用文献3の【0002】ないし【0007】及び【0032】の記載によれば、引用文献3には、以下の技術事項が記載されている。 「LCDモジュール等の画像表示モジュールを保護する透明パネルとしてのガラスパネルの傷つき防止や破損した際の飛散防止のための保護フィルムの基材を二軸延伸樹脂フィルムとし、二軸延伸樹脂フィルム基材の一面に透明性が高いハードコート層を設ける。」 4 前置報告で引用された文献 前置報告で引用された文献である特開2010-85978号公報(以下「前置引用文献」という。)の【0004】ないし【0005】、【0034】ないし【0036】及び【0062】の記載によれば、前置引用文献には、以下の技術事項が記載されている。 「従来の液晶ディスプレイ保護板は偏光である液晶ディスプレイからの出射光の偏光性をほとんど変化させないため、偏光サングラスをかけて画面を見ると、出射光の偏光軸と偏光サングラスの透過軸とがなす角度によっては、画面が真っ暗で画像が見えなかったり、画面が暗くて画像が見難かったりすることがあり、偏光サングラスなどの偏光性フィルターを通して液晶ディスプレイの画面を見る場合に画像の視認性が低下していたので、これを抑制するために、液晶ディスプレイ保護板として用いる耐擦傷性樹脂板の面内のリタデーション値を85?300nmとする。」 第5 対比・判断 1 本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比すると、以下のとおりである。 ア 本願発明1の「デジタル画像表示装置」は、本願の明細書に「デジタル画像表示装置は、デジタル情報を文字又は画像として表示する装置であり、テレビ又はコンピュータのディスプレイだけでなく、電話などの通信機器、家電機器、遊戯機器、自動販売機、ATM、デジタルサイネージ、GPS、カーナビゲーションなど、日常生活で文字又は画像が表示される部分に多く用いられている。」(【0002】)、「これらのデジタル画像表示装置として、液晶表示装置(LCD)又はエレクトロルミネッセンス表示装置(ELD)が多く用いられている。」(【0003】)と記載されていることから、各種の電気機器に使用される液晶表示装置を含むものである。 一方、引用発明の「液晶表示装置」は、引用文献1に「近年、液晶表示装置(LCD)の用途が拡大しており、屋外で用いられる各種の表示物にもLCDが利用されている。例えば、車、船、飛行機などの計器盤、車載カーナビゲーション、デジタルカメラ、携帯電話やパソコンなどのモバイル機器、あるいはビル、スーパーなどで用いられるデジタルサイネージなどに利用が広がっている」([0002])と記載されていることから、各種の電気機器に使用されるものである。 したがって、引用発明の「液晶表示装置」は、本願発明1の「デジタル画像表示装置」に相当する。 イ 引用発明の「液晶セル」は、本願発明1の「画像表示セル」に相当する。 ウ 引用発明の「液晶セルの視認側に配した偏光板」は、本願発明1の「前記画像表示セルより視認側に配置される偏光板」に相当する。 エ 引用発明の「高分子フィルム」は、「偏光板の視認側」に配され、「3000?30000nmのリタデーションを有」するから、本願発明1の「前記偏光板より視認側に配置される、3000nm以上150000nm以下のリタデーションを有する配向フィルム」に相当する。 (2)一致点及び相違点 前記(1)の対比の結果をまとめると、本願発明1と引用発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。 ア 一致点 「(1)画像表示セル、 (2)前記画像表示セルより視認側に配置される偏光板、及び (4)前記偏光板より視認側に配置される、3000nm以上150000nm以下のリタデーションを有する配向フィルム、 を有する、デジタル画像表示装置。」 イ 相違点 本願発明1は、「(3)前記偏光板より視認側に配置される透明成形体」「を有し、」「前記配向フィルムが、前記偏光板と前記透明成形体との間に配置され、前記透明成形体は、画像表示装置の表示部分にリタデーションが150nm以上ある部分が存在する」から、「配向フィルム」の視認側に「画像表示装置の表示部分にリタデーションが150nm以上ある部分が存在する」「透明成形体」が配置されるのに対し、 引用発明は、「高分子フィルム」(本願発明1の「配向フィルム」に相当する。)の視認側に透明成形体が配置されない点。 (3)相違点についての判断 引用発明が相違点に係る本願発明1の構成を備えるようにするには、引用発明の「高分子フィルム」(本願発明1の「配向フィルム」に相当する。)の視認側に「画像表示装置の表示部分にリタデーションが150nm以上ある部分が存在する」「透明成形体」を配置する必要がある。 しかし、引用発明では、「高分子フィルムを偏光板の視認側に配する方法は、偏光板の最外層に直接に高分子フィルムを積層しても構わないし、他の透明部材を介して配しても構わないし、液晶表示装置の視認側最表面に高分子フィルムを設置、貼り合わせてもよい」とされているだけで、「高分子フィルム」の視認側に「画像表示装置の表示部分にリタデーションが150nm以上ある部分が存在する」「透明成形体」を配置することは示唆されていない。 また、引用文献2及び引用文献3に記載された技術事項も、引用発明の「高分子フィルム」の視認側に「画像表示装置の表示部分にリタデーションが150nm以上ある部分が存在する」「透明成形体」を配置することを示唆するものではない。 さらに、前置引用文献に記載された技術事項は、偏光である液晶ディスプレイからの出射光の偏光性をほとんど変化させない従来の液晶ディスプレイ保護板を備える液晶ディスプレイの画面を、偏光サングラスなどの偏光性フィルターを通して見たときに生じる視認性の低下を抑制することを目的とするのに対し、引用発明は、「偏光板の視認側に」「3000?30000nmのリタデーションを」「有する高分子フィルムを配し」た「液晶表示装置」であり、液晶ディスプレイからの出射光の偏光性は大きく変化していると認められるから、前置引用文献に記載された技術事項を引用発明に適用する動機付けがない。 したがって、相違点に係る本願発明1の構成は、引用発明と、引用文献2、引用文献3及び前置引用文献に記載された技術事項とに基づいて、当業者が容易に思い付くものであるということはできない。 (4)本願発明1についてのまとめ 以上のとおりであるから、本願発明1は、引用文献1ないし引用文献3に記載された発明に基づいて、又はさらに前置引用文献に記載された発明に基づいても、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。 2 本願発明2について 本願発明2は、本願発明1の構成を全て含むから、少なくとも本願発明1と引用発明との相違点(前記1(2)イ)で引用発明と相違する。そして、前記1(3)のとおり、相違点に係る本願発明1の構成は、引用発明と引用文献2、引用文献3及び前置引用文献に記載された技術事項とに基づいて、当業者が容易に思い付くものであるということはできないから、相違点に係る本願発明2の構成も同様である。 したがって、本願発明2は、引用文献1ないし引用文献3に記載された発明に基づいて、又はさらに前置引用文献に記載された発明に基づいても、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。 3 本願発明3について 本願発明3は、本願発明1に係るデジタル画像表示装置の製造方法の発明であるから、相違点に係る本願発明1の構成に対応する構成を備えるものである。そして、前記1(3)のとおり、相違点に係る本願発明1の構成は、引用発明と引用文献2、引用文献3及び前置引用文献に記載された技術事項とに基づいて、当業者が容易に思い付くものであるということはできないから、これに対応する本願発明3の構成も同様である。 したがって、本願発明3は、引用文献1ないし引用文献3に記載された発明に基づいて、又はさらに前置引用文献に記載された発明に基づいても、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。 第6 原査定について 本願発明1ないし本願発明3は、本件補正により、「(3)前記偏光板より視認側に配置される透明成形体」「を有し、」「前記配向フィルムが、前記偏光板と前記透明成形体との間に配置され、前記透明成形体は、画像表示装置の表示部分にリタデーションが150nm以上ある部分が存在する」ものとなった。 そして、引用発明の「高分子フィルム」(本願発明1の「配向フィルム」に相当する。)の視認側に「画像表示装置の表示部分にリタデーションが150nm以上ある部分が存在する」「透明成形体」を配置することは、引用文献1ないし引用文献3に記載も示唆もされていないから、本願発明1ないし本願発明3は、引用文献1ないし引用文献3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。 したがって、原査定の理由は、維持することができない。 第7 むすび 以上のとおりであるから、原査定の理由によっては、本願は拒絶をするべきものであるということはできない。 また、他に、本願は拒絶をするべきものであるとする理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2018-11-13 |
出願番号 | 特願2013-93615(P2013-93615) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G09F)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 佐野 浩樹 |
特許庁審判長 |
中塚 直樹 |
特許庁審判官 |
小林 紀史 櫻井 健太 |
発明の名称 | デジタル画像表示装置 |
代理人 | 特許業務法人三枝国際特許事務所 |