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審決分類 審判 全部申し立て ただし書き1号特許請求の範囲の減縮  E03D
審判 全部申し立て 2項進歩性  E03D
審判 全部申し立て 判示事項別分類コード:857  E03D
審判 全部申し立て ただし書き3号明りょうでない記載の釈明  E03D
管理番号 1345839
異議申立番号 異議2018-700105  
総通号数 228 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-12-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-02-08 
確定日 2018-09-25 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6176336号発明「便座装置、および便器装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6176336号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、〔2?12〕について訂正することを認める。 特許第6176336号の請求項2?12に係る特許を維持する。 特許第6176336号の請求項1に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6176336号の請求項1?12に係る特許についての出願は、平成26年12月9日(優先権主張平成25年12月13日)を国際出願日とし、平成29年7月21日付けでその特許権の設定登録がされ、その後、平成30年2月8日に特許異議申立人TOTO株式会社(以下「申立人」という。)より、請求項1?12に対して特許異議の申立てがされ、同年4月13日付けで取消理由(発送日同年4月19日)が通知され、その指定期間内である同年6月18日に意見書の提出及び訂正請求がされたものである。

第2 訂正請求について
1 訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は以下の(1)?(11)のとおりである。(下線は訂正箇所を示す。)

(1)訂正事項1
請求項2に「前記サンプルデータには、第1のサンプルデータと、前記第1のサンプルデータとは異なる第2のサンプルデータとがあり、前記認識部は、前記第1の検出機能を実行する場合には前記第1のサンプルデータを用い、前記第2の検出機能を実行する場合には前記第2のサンプルデータを用いることを特徴とする請求項1記載の便座装置。」とあるのを、「便器上に載置される本体と、前記本体に開閉自在に付設された便座と、人体を検出対象とする人検出器とを備え、前記人検出器は、無線信号を送信し、物体で反射した前記無線信号を受信して、前記物体の動きに応じたセンサ信号を出力するセンサ部と、前記センサ信号を周波数領域の信号に変換し、周波数帯域の異なる複数のフィルタバンク毎の信号として抽出する周波数分析部と、前記複数のフィルタバンク毎の信号に基づく信号の周波数分布と、前記複数のフィルタバンク毎の信号に基づく信号強度の成分比との少なくとも一方を検出データとし、前記検出データにより人体の所定動作を検出する認識処理を行う認識部と、前記人体の所定動作に対応する周波数分布と、前記人体の所定動作に対応する信号強度の成分比との少なくとも一方をサンプルデータとして格納するデータベースとを備え、前記認識部は、前記検出データを前記サンプルデータと照合することによって前記認識処理を行い、少なくとも前記便器が設置された空間に侵入した前記人体の存否を検出する第1の検出機能と、前記便座に着座した前記人体の存否を検出する第2の検出機能とを有し、前記サンプルデータには、第1のサンプルデータと、前記第1のサンプルデータとは異なる第2のサンプルデータとがあり、前記認識部は、前記第1の検出機能を実行する場合には前記第1のサンプルデータを用い、前記第2の検出機能を実行する場合には前記第2のサンプルデータを用いることを特徴とする便座装置。」に訂正する。
請求項2の記載を引用する請求項3?12も同様に訂正する。

(2)訂正事項2
請求項1を削除する。

(3)訂正事項3
請求項3に「前記認識部は、前記複数のフィルタバンクの各信号強度の総和が閾値以上である場合、前記認識処理を行う、もしくは前記認識処理の結果を有効とし、前記閾値には、第1の閾値と、前記第1の閾値とは異なる第2の閾値とがあり、前記認識部は、前記第1の検出機能を実行する場合には前記閾値として前記第1の閾値を用い、前記第2の検出機能を実行する場合には前記閾値として前記第2の闘値を用いることを特徴とする請求項1または2記載の便座装置。」とあるのを、「前記認識部は、前記複数のフィルタバンクの各信号強度の総和が閾値以上である湯合、前記認識処理を行う、もしくは前記認識処理の結果を有効とし、前記閾値には、第1の閾値と、前記第1の閾値とは異なる第2の閾値とがあり、前記認識部は、前記第1の検出機能を実行する場合には前記閾値として前記第1の閾値を用い、前記第2の検出機能を実行する場合には前記閾値として前記第2の閾値を用いることを特徴とする請求項2記載の便座装置。」に訂正する。
請求項3の記載を引用する請求項4?12も同様に訂正する。

(4)訂正事項4
請求項4に「前記複数のフィルタバンクを通過した信号から背景信号を除去する背景信号除去部を備えることを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載の便座装置。」とあるのを、「前記複数のフィルタバンクを通過した信号から背景信号を除去する背景信号除去部を備えることを特徴とする請求項2又は3記載の便座装置。」に訂正する。
請求項4の記載を引用する請求項5?12も同様に訂正する。

(5)訂正事項5
請求項5に「前記センサ信号に基づいて前記人体までの距離を測定する測距部を備え、前記認識部は、前記測距部の測定結果も併せて用いて前記認識処理を行うことを特徴とする請求項1乃至4いずれか記載の便座装置。」とあるのを、「前記センサ信号に基づいて前記人体までの距離を測定する測距部を備え、前記認識部は、前記測距部の測定結果も併せて用いて前記認識処理を行うことを特徴とする請求項2乃至4いずれか記載の便座装置。」に訂正する。
請求項5の記載を引用する請求項6?12も同様に訂正する。

(6)訂正事項6
請求項6に「前記センサ信号に基づいて前記人体の移動方向を検出する方向検出部を備え、前記認識部は、前記方向検出部の検出結果も併せて用いて前記認識処理を行うことを特徴とする請求項1乃至5いずれか記載の便座装置。」とあるのを、「前記センサ信号に基づいて前記人体の移動方向を検出する方向検出部を備え、前記認識部は、前記方向検出部の検出結果も併せて用いて前記認識処理を行うことを特徴とする請求項2乃至5いずれか記載の便座装置。」に訂正する。
請求項6の記載を引用する請求項7?12も同様に訂正する。

(7)訂正事項7
請求項7に「前記センサ信号に基づいて、前記便座に着座した前記人体の呼吸の状態を検出する呼吸検出部を備えることを特徴とする請求項1乃至6いずれか記載の便座装置。」とあるのを、「前記センサ信号に基づいて、前記便座に着座した前記人体の呼吸の状態を検出する呼吸検出部を備えることを特徴とする請求項2乃至6いずれか記載の便座装置。」に訂正する。
請求項7の記載を引用する請求項8?12も同様に訂正する。

(8)訂正事項8
請求項8に「前記センサ部は、前記便座に着座した前記人体の背面と向き合うように設けられることを特徴とする請求項1乃至7いずれか記載の便座装置。」とあるのを、「前記センサ部は、前記便座に着座した前記人体の背面と向き合うように設けられることを特徴とする請求項2乃至7いずれか記載の便座装置。」に訂正する。
請求項8の記載を引用する請求項9?12も同様に訂正する。

(9)訂正事項9
請求項9に「前記周波数分析部により抽出された信号の強度の総和もしくは所定の前記複数のフィルタバンクのうち所定数のフィルタバンクを通過した信号の強度の総和で、前記複数のフィルタバンクそれぞれを通過した信号の強度を規格化し規格化強度として出力する規格化部を備え、前記認識部は、前記規格化部から出力される前記複数のフィルタバンク毎の規格化強度から決まる周波数分布と前記規格化強度の成分比との少なくとも一方により前記人体の所定動作を検出する前記認識処理を行うことを特徴とする請求項1乃至8いずれか記載の便座装置。」とあるのを、「前記周波数分析部により抽出された信号の強度の総和もしくは所定の前記複数のフィルタバンクのうち所定数のフィルタバンクを通過した信号の強度の総和で、前記複数のフィルタバンクそれぞれを通過した信号の強度を規格化し規格化強度として出力する規格化部を備え、前記認識部は、前記規格化部から出力される前記複数のフィルタバンク毎の規格化強度から決まる周波数分布と前記規格化強度の成分比との少なくとも一方により前記人体の所定動作を検出する前記認識処理を行うことを特徴とする請求項2乃至8いずれか記載の便座装置。」に訂正する。
請求項9の記載を引用する請求項10?12も同様に訂正する。

(10)訂正事項10
請求項10に「請求項1乃至9いずれか記載の便座装置と、前記便座装置の前記本体が載置される前記便器とを備えることを特徴とする便器装置。」とあるのを、「請求項2乃至9いずれか記載の便座装置と、前記便座装置の前記本体が載置される前記便器とを備えることを特徴とする便器装置。」に訂正する。
請求項10の記載を引用する請求項11?12も同様に訂正する。

(11)訂正事項11
明細書の段落【0006】に「本発明の便座装置は、便器上に載置される本体と、前記本体に開閉自在に付設された便座と、人体を検出対象とする人検出器とを備え、前記人検出器は、無線信号を送信し、物体で反射した前記無線信号を受信して、前記物体の動きに応じたセンサ信号を出力するセンサ部と、前記センサ信号を周波数領域の信号に変換し、周波数帯域の異なる複数のフィルタバンク毎の信号として抽出する周波数分析部と、前記複数のフィルタバンク毎の信号に基づく信号の周波数分布と、前記複数のフィルタバンク毎の信号に基づく信号強度の成分比との少なくとも一方を検出データとし、前記検出データにより人体の所定動作を検出する認識処理を行う認識部と、前記人体の所定動作に対応する周波数分布と、前記人体の所定動作に対応する信号強度の成分比との少なくとも一方をサンプルデータとして格納するデータベースとを備え、前記認識部は、前記検出データを前記サンプルデータと照合することによって前記認識処理を行い、少なくとも前記便器が設置された空間に侵入した前記人体の存否を検出する第1の検出機能と、前記便座に着座した前記人体の存否を検出する第2の検出機能とを有することを特徴とする。」と記載されているのを、「本発明の便座装置は、便器上に載置される本体と、前記本体に開閉自在に付設された便座と、人体を検出対象とする人検出器とを備え、前記人検出器は、無線信号を送信し、物体で反射した前記無線信号を受信して、前記物体の動きに応じたセンサ信号を出力するセンサ部と、前記センサ信号を周波数領域の信号に変換し、周波数帯域の異なる複数のフィルタバンク毎の信号として抽出する周波数分析部と、前記複数のフィルタバンク毎の信号に基づく信号の周波数分布と、前記複数のフィルタバンク毎の信号に基づく信号強度の成分比との少なくとも一方を検出データとし、前記検出データにより人体の所定動作を検出する認識処理を行う認識部と、前記人体の所定動作に対応する周波数分布と、前記人体の所定動作に対応する信号強度の成分比との少なくとも一方をサンプルデータとして格納するデータベースとを備え、前記認識部は、前記検出データを前記サンプルデータと照合することによって前記認識処理を行い、少なくとも前記便器が設置された空間に侵入した前記人体の存否を検出する第1の検出機能と、前記便座に着座した前記人体の存否を検出する第2の検出機能とを有する。前記サンプルデータには、第1のサンプルデータと、前記第1のサンプルデータとは異なる第2のサンプルデータとがある。前記認識部は、前記第1の検出機能を実行する場合には前記第1のサンプルデータを用い、前記第2の検出機能を実行する場合には前記第2のサンプルデータを用いることを特徴とする。」に訂正する。

2 訂正の適否
(1)訂正事項1について
訂正事項1は、訂正前の請求項2が訂正前の請求項1を引用する記載であったものを、引用関係を解消して、請求項1を引用しないものとするものであるから、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。
そして、訂正事項1は、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかである。

(2)訂正事項2について
訂正事項2は、請求項1を削除するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(3)訂正事項3?10について
訂正事項3?10は、上記訂正事項2の訂正に伴って、引用する請求項を整合させるものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、訂正事項3?10は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことは明らかである。

(4)訂正事項11について
訂正事項11は、上記訂正事項1の訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と明細書の記載を整合させるものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、訂正事項11は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことは明らかである。

(5)一群の請求項について
訂正前の請求項1?12は、請求項2?12が、訂正の請求の対象である請求項1の記載を引用する関係にあるから、訂正前の請求項1?12は、訂正前において一群の請求項に該当するものである。したがって、訂正の請求は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項ごとにされたものである。

(6)明細書の訂正と関係する一群の請求項について
明細書についての訂正である訂正事項11は、一群の請求項である請求項1?12についての訂正である訂正事項1との整合性をとるための訂正である。したがって、訂正事項11は、一群の請求項である請求項1?12に関連する訂正であるから、特許法第120条の5第9項で準用する126条第4項に適合するものである。

3 小括
したがって、上記訂正請求による訂正事項1?11は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号、第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項、第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項1、〔2?12〕について訂正を認める。
訂正後の請求項2?12に係る訂正事項1、3?10は、引用関係の解消を目的とする訂正又は明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正であって、その訂正は認められるものである。そして、特許権者から、訂正後の請求項2?12について訂正が認められるときは請求項1とは別の訂正単位として扱われることの求めがあったことから、訂正後の請求項〔2?12〕について請求項ごとに訂正することを認める。

第3 特許異議の申立てについて
1 訂正後の請求項2?12に係る発明
上記訂正請求により訂正された請求項2?12に係る発明(以下、「本件発明2」等、あるいはまとめて「本件発明」という。)は、以下のとおりのものである。(下線は訂正箇所を示す。)

「【請求項2】
便器上に載置される本体と、
前記本体に開閉自在に付設された便座と、
人体を検出対象とする人検出器とを備え、
前記人検出器は、
無線信号を送信し、物体で反射した前記無線信号を受信して、前記物体の動きに応じたセンサ信号を出力するセンサ部と、
前記センサ信号を周波数領域の信号に変換し、周波数帯域の異なる複数のフィルタバンク毎の信号として抽出する周波数分析部と、
前記複数のフィルタバンク毎の信号に基づく信号の周波数分布と、前記複数のフィルタバンク毎の信号に基づく信号強度の成分比との少なくとも一方を検出データとし、前記検出データにより人体の所定動作を検出する認識処理を行う認識部と、
前記人体の所定動作に対応する周波数分布と、前記人体の所定動作に対応する信号強度の成分比との少なくとも一方をサンプルデータとして格納するデータベースとを備え、
前記認識部は、前記検出データを前記サンプルデータと照合することによって前記認識処理を行い、少なくとも前記便器が設置された空間に侵入した前記人体の存否を検出する第1の検出機能と、前記便座に着座した前記人体の存否を検出する第2の検出機能とを有し、
前記サンプルデータには、第1のサンプルデータと、前記第1のサンプルデータとは異なる第2のサンプルデータとがあり、
前記認識部は、前記第1の検出機能を実行する場合には前記第1のサンプルデータを用い、前記第2の検出機能を実行する場合には前記第2のサンプルデータを用いることを特徴とする便座装置。
【請求項3】
前記認識部は、前記複数のフィルタバンクの各信号強度の総和が閾値以上である湯合、前記認識処理を行う、もしくは前記認識処理の結果を有効とし、
前記閾値には、第1の閾値と、前記第1の閾値とは異なる第2の閾値とがあり、
前記認識部は、前記第1の検出機能を実行する場合には前記閾値として前記第1の閾値を用い、前記第2の検出機能を実行する場合には前記閾値として前記第2の閾値を用いることを特徴とする請求項2記載の便座装置。
【請求項4】
前記複数のフィルタバンクを通過した信号から背景信号を除去する背景信号除去部を備えることを特徴とする請求項2又は3記載の便座装置。
【請求項5】
前記センサ信号に基づいて前記人体までの距離を測定する測距部を備え、前記認識部は、前記測距部の測定結果も併せて用いて前記認識処理を行うことを特徴とする請求項2乃至4いずれか記載の便座装置。
【請求項6】
前記センサ信号に基づいて前記人体の移動方向を検出する方向検出部を備え、前記認識部は、前記方向検出部の検出結果も併せて用いて前記認識処理を行うことを特徴とする請求項2乃至5いずれか記載の便座装置。
【請求項7】
前記センサ信号に基づいて、前記便座に着座した前記人体の呼吸の状態を検出する呼吸検出部を備えることを特徴とする請求項2乃至6いずれか記載の便座装置。
【請求項8】
前記センサ部は、前記便座に着座した前記人体の背面と向き合うように設けられることを特徴とする請求項2乃至7いずれか記載の便座装置。
【請求項9】
前記周波数分析部により抽出された信号の強度の総和もしくは所定の前記複数のフィルタバンクのうち所定数のフィルタバンクを通過した信号の強度の総和で、前記複数のフィルタバンクそれぞれを通過した信号の強度を規格化し規格化強度として出力する規格化部を備え、
前記認識部は、前記規格化部から出力される前記複数のフィルタバンク毎の規格化強度から決まる周波数分布と前記規格化強度の成分比との少なくとも一方により前記人体の所定動作を検出する前記認識処理を行う
ことを特徴とする請求項2乃至8いずれか記載の便座装置。
【請求項10】
請求項2乃至9いずれか記載の便座装置と、前記便座装置の前記本体が載置される前記便器とを備えることを特徴とする便器装置。
【請求項11】
前記人検出器の検出結果に基づいて、前記便器内にて水を吐出する給水装置の動作を制御するコントローラを備えることを特徴とする請求項10記載の便器装置。
【請求項12】
前記便器内に供給する水を貯める水洗タンクを、前記便座に着座した前記人体の背面と向き合うように備え、
前記センサ部は、前記水洗タンクに設けられる
ことを特徴とする請求項11記載の便器装置。」

2 取消理由の概要
訂正前の請求項1?12に係る特許に対して平成30年4月13日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。

本件特許の請求項1?12に係る発明は、本件特許の出願前に頒布された甲第1号証?甲第5号証に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。

甲第1号証:特開2013-142221号公報
甲第2号証:国際公開2013/183271号
甲第3号証:特開2003-121534号公報
甲第4号証:特開2002-71825号公報
甲第5号証:特開2005-90192号公報

3 刊行物の記載
(1)甲第1号証について
ア 甲第1号証の記載事項
甲第1号証には、図面と共に次の事項が記載されている。(下線は当決定で付与。以下同じ。)
(ア)「【請求項1】
便座と、
放射した電波の反射波によって被検知体に関する情報を取得するドップラーセンサと、
前記ドップラーセンサから出力された検知信号に基づいて使用者の前記便座からの離座を判定し制御信号を出力する制御部と、
前記制御信号に基づいて制御される被制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記検知信号から前記離座に近似する信号を抽出する第1のステップを実行した後、前記抽出した検知信号と、格納した離座波形のサンプルデータと、を比較し前記離座を判定する第2のステップを実行することを特徴とするトイレ装置。
【請求項2】
前記第1のステップは、所定数の波数が前記検知信号に存在するか否かを前記制御部が判定する波数判定ステップを有することを特徴とする請求項1記載のトイレ装置。
【請求項3】
前記所定数は、前記使用者が離座動作において前記便座から立ち上がる際に検知信号に生ずる振動の波数に設定されたことを特徴とする請求項2記載のトイレ装置。
・・・
【請求項6】
前記制御部は、前記使用者が前記便座から実際に離座したときに前記ドップラーセンサから出力される前記検知信号の波形を前記サンプルデータとして記憶することを特徴とする請求項1?5のいずれか1つに記載のトイレ装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記検知信号の振幅の大きさと第1の閾値とを比較し前記使用者のトイレルームへの入室を判定し、
前記検知信号の振幅の大きさと第2の閾値とを比較し前記使用者の前記便座への着座を判定し、
前記検知信号の振幅の大きさと第3の閾値とを比較し前記使用者の前記トイレルームからの退室を判定することを特徴とする請求項1?6のいずれか1つに記載のトイレ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、トイレ装置に関する。
・・・
【0006】
着座検知について誤検知が生ずる場合とは、例えば、使用者が便座に着座していないにもかかわらず使用者が便座に着座しているとセンサが判断する場合や、使用者が便座に着座しているにもかかわらず使用者が便座に着座していないとセンサが判断する場合などである。使用者が便座に着座していないにもかかわらず使用者が着座しているとセンサが判断すると、例えば、「おしり洗浄」の動作が禁止されず実行可能となる。その結果として、間違って「おしり洗浄」のスイッチを操作したときに、使用者や床に洗浄水がかかる。一方、使用者が便座に着座しているにもかかわらず使用者が着座していないとセンサが判断すると、「おしり洗浄」の動作が禁止される。その結果として、使用者が「おしり洗浄」のスイッチを操作しても、「おしり洗浄」が実行されない。
・・・
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、制御部への負荷を抑えつつより高い精度の離座判定を実行することができる、あるいはトイレ装置の美観を向上させることができるトイレ装置を提供することを目的とする。」

(イ)「【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施の形態にかかるトイレ装置を表す斜視模式図である。
また、図2および図3は、本実施形態にかかるトイレ装置の要部構成を表すブロック図である。
また、図4は、本実施形態のドップラーセンサの設置位置と送信波の放射方向とを表す平面模式図である。
なお、図4(a)は、使用者が便器の前に立った状態を例示する平面模式図である。図4(b)は、使用者が便座に着座した状態を例示する平面模式図である。
【0026】
図1に表したトイレ装置は、洋式腰掛便器(以下説明の便宜上、単に「便器」と称する)800と、その上に設けられた衛生洗浄装置100と、を備える。衛生洗浄装置100は、ケーシング400と、便座200と、便蓋300と、を有する。便座200と便蓋300とは、ケーシング400に対して開閉自在にそれぞれ軸支されている。
【0027】
図2に表したように、ケーシング400の内部には、ドップラーセンサ410と、制御部420と、被制御部401と、が設けられている。
ドップラーセンサ410は、マイクロ波あるいはミリ波などの高周波の電波を放射(送信)し、放射した電波の被検知体からの反射波を受信する。そして、ドップラーセンサ410は、被検知体の有無や状態を検知し、その検知信号を出力する。制御部420は、ドップラーセンサ410から出力された検知信号に基づいて制御信号を出力する。ドップラーセンサ410および制御部420については、後に詳述する。
・・・
【0031】
図2に表したように、ドップラーセンサ410には、アンテナ412と、送信部414と、受信部416と、ミキサ部418と、が設けられている。送信部414に接続されたアンテナ412からは、高周波、マイクロ波あるはミリ波などの10kHz?100GHzの周波数帯の電波が放射される。具体的には、アンテナ412からは、例えば24.15GHzの周波数を有する送信波T1が放射される。人体などの被検知体からの反射波または透過波T2は、アンテナ412を経由して受信部416に入力される。ここで、アンテナは、図2に表したように、送信側と受信側とを共通としてもよく、または、図3に表したように、送信部414にはアンテナ412aを接続し、受信部416にはアンテナ4
12bを接続してもよい。
【0032】
送信波の一部と受信波とは、ミキサ部418にそれぞれ入力されて合成され、例えばドップラー効果が反映された出力信号が出力される。ミキサ部418から出力された検知信号は、制御部420に出力される。制御部420には、フィルタ421と、周波数や波数や振幅値などを検出する物理量検出部422と、判定部423と、記憶手段427と、駆動制御部428と、が設けられている。判定部423は、離座判定部424と、着座判定部425と、入退室判定部426と、を有する。ミキサ部418から出力された検知信号は、まずフィルタ421において高周波数成分が取り除かれる。この際のフィルタリング周波数は、例えば200Hzとすることができる。
【0033】
なお、本実施形態においては、フィルタ421は設けなくてもよい。また、本実施形態の制御部は、図2に表したように、フィルタ421と、物理量検出部422と、判定部423と、記憶手段427と、駆動制御部428と、を含む1つの制御部420として設けられていてもよい。あるいは、本実施形態の制御部は、図3に表したように、第1の制御部(駆動制御部)420aと、フィルタ421と物理量検出部422と判定部423と記憶手段427とを含む第2の制御部420bと、に別体として分割されていてもよい。
【0034】
ミキサ部418から出力された検知信号は、周波数の低いベースラインに周波数の高い信号が重畳した波形を有する。高周波数成分には、ドップラー効果に関する情報が含まれる。すなわち、人体などの被検知体が移動すると、ドップラー効果によって反射波の波長がシフトする。ドップラー周波数ΔF(Hz)は、下記の式(1)により表すことができる。

ΔF=Fs-Fb=2×Fs×v/c 式(1)

但し、Fs:送信周波数(Hz)
Fb:反射周波数(Hz)
v:物体の移動速度(m/s)
c:光速(=300×10^(6)m/s)

ドップラーセンサ410に対して被検知体が相対的に移動すると、式(1)で表されるように、その速度vに比例した周波数ΔFを含む出力信号が得られる。出力信号は周波数スペクトラムを有し、スペクトラムのピークに対応するピーク周波数と移動体の速度vとの間には相関関係がある。従って、ドップラー周波数ΔFを測定することにより速度vを求めることができる。なお、日本においては、人体を検知する目的には10.50?10.55GHzまたは24.05?24.25GHzの周波数が使用できる。
【0035】
本実施形態においては、図4(a)および図4(b)に表したように、ドップラーセンサ410は、例えば便座200の後方に設けられている。具体的には、図1に表したように、便座200の後方であってケーシング400の内部の前方部に設けられている。
【0036】
なお、本願明細書においては、便座200に座った使用者からみて前方を「前方」とし、便座200に座った使用者からみて後方を「後方」とする。また、後方を向いて便器800の前に立った使用者からみて右側を「右側方」とし、左側を「左側方」とする。
【0037】
図4(a)および図4(b)に表したように、ドップラーセンサ410は、前方へ向けて送信波T1を放射している。そして、ドップラーセンサ410は、便器800の前から便座200へ向かって移動し便座200に着座する使用者850を前述したドップラー効果あるいはドップラー周波数ΔFにより検知することができる。
【0038】
ドップラーセンサ410が便座200に座った使用者を検知している場合において、使用者が操作部500を操作すると、洗浄ノズル473を便器800のボウル801内に進出させることができる。なお、図1に表した衛生洗浄装置100では、洗浄ノズル473がボウル801内に進出した状態を表している。
【0039】
洗浄ノズル473の先端部には、ひとつあるいは複数の吐水口474が設けられている。そして、洗浄ノズル473は、その先端部に設けられた吐水口474から水を噴射して、便座200に座った使用者の「おしり」などを洗浄することができる。なお、本願明細書において「水」という場合には、冷水のみならず、加温されたお湯も含むものとする。
【0040】
次に、使用者がトイレ室に入室してから退室するまでの一連の動作と、ドップラーセンサ410から出力された検知信号の電圧値および振幅値と、の関係について、図面を参照しつつ説明する。
図5は、使用者の動作と、ドップラーセンサの検知信号と、の関係を例示する概念図である。
なお、図5(a)は、ドップラーセンサから出力された検知信号の電圧値を例示するグラフ図である。すなわち、同図の縦軸は、ドップラーセンサから出力された検知信号の電圧値を表し、同図の横軸は、時間を表す。図5(b)は、ドップラーセンサから出力された検知信号の振幅値を例示するグラフ図である。すなわち、同図の縦軸は、ドップラーセンサから出力された検知信号の振幅値を表し、同図の横軸は、時間を表す。
【0041】
まず、使用者がトイレ室の前に立ち(動作M11)、トイレ室の扉を開けてトイレ室に入室すると(動作M13:入室動作)、ドップラーセンサ410から出力された検知信号(ドップラー信号)の電圧値は、基準値を中心として振動を始める。そして、使用者がトイレ装置に近づくと、ドップラーセンサ410から出力された検知信号の振幅値は、徐々に増加する(動作M13:入室動作)。
【0042】
ここで、図5(b)に表したように、検知信号の振幅値が入室動作に関する閾値(入室閾値:第1の閾値)以上となると、制御部420(入退室判定部426)は、使用者がトイレ室に入室したと判定する(時間t11)。つまり、本実施形態では、制御部420(入退室判定部426)は、検知信号の振幅値(振幅の大きさ)と第1の閾値とを比較し使用者の入室を判定する。
【0043】
続いて、使用者が脱衣動作を行い便座200に着座するときには、検知信号の電圧値は、入室動作のときの検知信号の電圧値よりも大きく振動する(動作M15:着座動作)。つまり、使用者が便座200に着座するときには、検知信号の振幅値は、入室動作のときの検知信号の振幅値よりも大きくなる(動作M15:着座動作)。
【0044】
ここで、図5(b)に表したように、検知信号の振幅値が着座動作に関する閾値(着座閾値:第2の閾値)以上となると、制御部420(着座判定部425)は、使用者が便座200に着座したと判定する(時間t13)。つまり、本実施形態では、制御部420(着座判定部425)は、検知信号の振幅値(振幅の大きさ)と第2の閾値とを比較し使用者の便座200への着座を判定する。
【0045】
続いて、使用者が着座中に静止しているときには、検知信号の電圧値は、振動しない(動作M17:着座/静止)。これは、図2に関して前述した式(1)において、移動体(使用者)の速度vが略ゼロとなり、ドップラー周波数ΔFが略ゼロとなるためである。そのため、使用者が着座中に静止しているときには、検知信号の振幅値は、略ゼロとなる。
【0046】
一方、使用者が着座中に身体を例えば前傾させたり、揺らしたり、捻ったりするなどの動作を行うと、検知信号の電圧値は、基準値を中心として振動を始める(動作M19:着座/動作)。そして、図5(b)に表したように、検知信号の振幅値は、第2の閾値と略同じ大きさとなる場合がある。使用者の着座中の動作については、後に詳述する。
続いて、使用者が着座中に再び静止すると、検知信号の電圧値は、振動しない(動作M21:着座/静止)。そのため、使用者が着座中に再び静止すると、検知信号の振幅値は、再び略ゼロとなる。
【0047】
続いて、使用者が便座200から離座して立ち上がると、検知信号の電圧値は、基準値を中心として振動を始める(動作M23:離座動作)。そして、使用者が着衣動作を行い便座200から遠ざかると、検知信号の振幅値は、徐々に減少する(動作M23:離座動作)。続いて、使用者がトイレ室の扉を開けてトイレ室から退室すると、検知信号の振幅値は、離座動作のときの検知信号の振幅値よりも減少する(動作M25:退室動作)。
【0048】
ここで、図5(b)に表したように、検知信号の振幅値が退室動作に関する閾値(退室閾値:第3の閾値)以下となると、制御部420(入退室判定部426)は、使用者がトイレ室から退室したと判定する(時間t15)。つまり、本実施形態では、制御部420(入退室判定部426)は、検知信号の振幅値(振幅の大きさ)と第3の閾値とを比較し使用者の退室を判定する。
なお、退室動作に関する退室閾値(第3の閾値)は、図5に表したように入室動作に関する入室閾値(第1の閾値)と異なっていてもよいし、あるいは同じであってもよい。
【0049】
このように、使用者が着座中に身体を例えば前傾させたり、揺らしたり、捻ったりするなどの動作を行うと、検知信号の電圧値は、比較的大きい振動を行う。つまり、検知信号の振幅値は、比較的大きくなる。一方で、使用者が着座中に再び静止すると、検知信号の電圧値は、振動しない。つまり、検知信号の振幅値は、略ゼロとなる。そのため、前述した入室判定や、着座判定や、退室判定のように、制御部420が所定の閾値に基づいて離座判定や着座中判定を行うと、誤検知(誤判定)を行う場合がある。
【0050】
離座判定や着座中判定について誤検知(誤判定)が生ずると、制御部420は、例えば、使用者が便座200に着座していないにもかかわらず使用者が便座200に着座していると判定したり、使用者が便座200に着座しているにもかかわらず使用者が便座200に着座していないと判定したりする。使用者が便座200に着座していないにもかかわらず使用者が便座200に着座していると制御部420が判定すると、例えば、「おしり洗浄」の動作が禁止されず実行可能となる。そうすると、使用者や床に洗浄水がかかる場合がある。一方、使用者が便座200に着座しているにもかかわらず使用者が便座200に着座していないと制御部420が判定すると、使用者が「おしり洗浄」を実行しても「おしり洗浄」の動作が禁止される。そうすると、使用者は、洗浄水を利用した「おしり洗浄」を実行できない場合がある。
【0051】
これに対して、本実施形態にかかるトイレ装置の制御部420は、ドップラーセンサから出力された検知信号から離座に近似する信号を抽出する第1のステップを実行する。その後、制御部420は、第1のステップにおいて抽出した検知信号の波形と、記憶手段427に格納された離座波形のサンプルデータと、を比較し離座を判定する第2のステップを実行する。
【0052】
これによれば、制御部420は、第1のステップにおいて抽出された離座に近似する信号のみを第2のステップにおいて離座波形のサンプルデータと比較することができる。そのため、制御部420への負荷を抑えつつより高い精度の離座検知(離座判定)を実行することができる。また、ドップラーセンサ410を使用することで、光電センサのために
必要であった窓部を省略することができる。そのため、トイレ装置の美観を向上させることができる。
【0053】
また、制御部420は、検知信号の振幅の大きさと閾値とを比較することで、離座判定以外の判定、すなわち入室判定、着座判定、および退室判定を行っている。つまり、制御部420は、離座判定の動作よりも簡略化された動作により入室判定、着座判定、および退室判定を行っている。そのため、制御部420にかかる負荷を抑えることができる。
・・・
【0059】
・・・
発振波長は、ドップラーセンサ410が放射する電波の振動の周波数(発振周波数)により決定される。そのため、制御部420は、検知信号の電圧値の波形に表れる振動の波数を数えることで、使用者の移動距離を推定することができる。これについては、後に詳述する。
・・・
【0091】
このように、制御部420は、波形の最初の振幅値から最後の振幅値への減衰率が所定値以下であるか否かを判定することで、使用者がドップラーセンサ410から遠ざかったか否かを判定することができる。なお、図12に表したように、ステップS109?ステップS113の動作は、図5に関して前述した第1のステップに相当する。
・・・
【0094】
記憶手段427は、使用者が便座200から実際に離座したときにドップラーセンサ410から出力される検知信号の波形をサンプルデータとして記憶することができる。例えば、制御部420(離座判定部424)は、予め記憶手段427に記憶されたサンプルデータに基づいて、離座判定を行う。ここで、制御部420は、使用者が便座200から離座したと判定していないにもかかわらず、所定時間が経過しても検知信号がドップラーセンサ410から出力されない場合には、過去の検知信号の波形を参照することができる。そして、制御部420は、過去の検知信号の波形を参照し、使用者が便座200から実際に離座したと推定できるときの検知信号の波形をサンプルデータとして記憶手段427に格納することができる。つまり、制御部420は、学習機能を有する。これによれば、制御部420は、使用者の動作の癖などを学習し、より高い精度の離座判定を実行することができる。」

(ウ)図2から、制御部420は、離席判定部424、着座判定部425、入退室判定部426からなる判定部423、記憶手段427及び駆動制御部428を有することが看て取れる。

イ 甲第1号証に記載された発明の認定
甲第1号証には、上記アを踏まえると、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。

甲1発明
「便器と、その上に設けられた衛生洗浄装置と、を備え、衛生洗浄装置は、ケーシングと、便座と、便蓋と、を有し、便座と便蓋とは、ケーシングに対して開閉自在にそれぞれ軸支されており、
放射した電波の反射波によって被検知体に関する情報を取得するドップラーセンサと、
ドップラーセンサは、被検知体の有無や状態を検知し、その検知信号を出力し、
ドップラーセンサから出力された検知信号に基づいて使用者の前記便座からの離座を判定し制御信号を出力する制御部と、
前記制御信号に基づいて制御される被制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記検知信号から前記離座に近似する信号を抽出する第1のステップを実行した後、前記抽出した検知信号と、格納した離座波形のサンプルデータと、を比較し前記離座を判定する第2のステップを実行し、
前記制御部は、
前記検知信号の振幅の大きさと第1の閾値とを比較し前記使用者のトイレルームへの入室を判定し、
前記検知信号の振幅の大きさと第2の閾値とを比較し前記使用者の前記便座への着座を判定し、
前記検知信号の振幅の大きさと第3の閾値とを比較し前記使用者の前記トイレルームからの退室を判定し、
前記制御部は、離席判定部、着座判定部、入退室判定部からなる判定部、記憶手段、及び駆動制御部を有し、
記憶手段は、使用者が便座から実際に離座したときにドップラーセンサから出力される検知信号の波形をサンプルデータとして記憶することができる、
トイレ装置」

(2)甲第2号証について
ア 甲第2号証の記載事項
甲第2号証には、図面と共に次の事項が記載されている。
(ア)「[0001]本発明は、電波センサからのセンサ信号を信号処理する信号処理装置に関するものである。」

(イ)「[0013] 本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、検知対象以外の物体の動きに起因した誤検出を低減することが可能な信号処理装置を提供することにある。
[0014] 本発明に係る第1の形態の信号処理装置は、物体で反射された電波に応じたセンサ信号を周波数領域の信号に変換し周波数帯域の異なるフィルタバンクの群における前記フィルタバンク毎の信号として抽出する周波数分析手段と、前記周波数分析手段により抽出された信号の総和もしくは所定の複数の前記フィルタバンクを通過した信号の強度の総和で、前記各フィルタバンクそれぞれを通過した信号の強度を規格化し規格化強度として出力する規格化手段と、前記規格化手段から出力される前記フィルタバンク毎の規格化強度から決まる周波数分布もしくは前記規格化強度の成分比との少なくとも一方により前記物体を識別する認識処理を行う認識手段と、を備える。
[0015] 本発明に係る第2の形態の信号処理装置は、第1の形態において、前記センサ信号を増幅する増幅部と、前記増幅部によって増幅されたセンサ信号をディジタルのセンサ信号に変換して出力するA/D変換部と、を備える。前記周波数分析手段は、前記A/D変換部から出力されるセンサ信号を周波数領域の信号に変換し前記フィルタバンクの群における前記フィルタバンク毎の信号として抽出するように構成される。
[0016] 本発明に係る第3の形態の信号処理装置では、第1または第2の形態において、前記周波数分析手段が、前記A/D変換部から出力されるセンサ信号を離散コサイン変換することで前記周波数領域の信号に変換する機能を有するものである。前記各フィルタバンクの各々が複数の周波数ビンを有する。前記信号処理装置は、前記周波数分析手段と前記規格化手段との間に、前記各フィルタバンク毎に前記周波数ビン毎の信号の強度を周波数領域において平滑化処理する機能と、前記各フィルタバンク毎に前記周波数ビン毎の信号の強度を時間軸方向において平滑化処理する機能との少なくとも一方を有する平滑化処理手段を備える。
[0017] 本発明に係る第4の形態の信号処理装置は、第1?第3の形態のいずれか1つにおいて、前記フィルタバンクを通過した信号から背景信号を除去する背景信号除去手段を備える。」

(ウ)「[0042]電波センサ1としては、所定周波数の電波を検知エリアに向けて送信して、検知エリア内で動いている物体で反射された電波を受信し、送信した電波と受信した電波との周波数の差分に相当するドップラ周波数のセンサ信号を出力するドップラセンサを用いている。したがって、センサ信号(電波センサ1から出力されるセンサ信号)は、物体の動きに対応するアナログの時間軸信号である。このように、電波センサ1は、所定の検知エリアに電波を送信する。電波センサ1は、検知エリアからの電波を受信すると、受信した電波に応じた信号であるセンサ信号(アナログのセンサ信号)を出力する。」

(エ)「[0049] 換言すれば、周波数分析手段5は、物体で反射された電波に応じたセンサ信号を周波数領域の信号に変換し、周波数領域の信号を周波数帯域の異なる複数のフィルタバンク5aの群(フィルタ)に通して複数のフィルタバンク5aにそれぞれ対応する複数の信号を抽出するように構成される。ここで、フィルタバンク5aに対応する信号とは、フィルタバンク5aを通過した信号を意味する。
[0050] このように、周波数分析手段5は、センサ信号(周波数領域の信号)を周波数軸において分割して、周波数帯域が異なる複数の信号を生成する。」

(オ)「[0055] また、信号処理装置2は、規格化手段6から出力されるフィルタバンク5a毎の規格化強度から決まる周波数分布により物体を認識する認識処理を行う認識手段7を備えている。つまり、認識手段7は、規格化手段6で求められた規格化強度により決定されるセンサ信号(周波数領域の信号)の規格化強度に関する特徴により物体を識別する認識処理を行うように構成される。ここで、センサ信号(周波数領域の信号)の規格化強度に関する特徴は、規格化手段6から出力されるフィルタバンク5a毎の規格化強度から決まる周波数分布、すなわち、センサ信号(周波数領域の信号)の規格化強度の周波数分布である。」

(カ)「[0071] 背景信号除去手段10は、例えば、フィルタバンク5aから出力される信号から背景信号を減算することで背景信号を除去するようにしてもよい。この場合、背景信号除去手段10は、例えば、各フィルタバンク5aそれぞれを通過した信号m_(1) 、m_(2) 、・・・(図9参照)の強度から、背景信号推定手段9で推定された背景信号の強度b_(1)、b_(2)、・・(図8参照)を減算する減算器により構成することができる。図10は、同一のフィルタバンク5a同士で信号から背景信号を減算することで得られた信号の強度を示している。ここで、左から1番目のフィルタバンク5aの信号の強度をL_(1)とすれば、強度L_(1) は、下記の(8)式により求められる。」

(キ)「[0087] 認識手段7は、例えば、主成分分析(principal component analysis)によるパターン認識処理を行うことによって物体を識別するようにすることができる。この認識手段7は、主成分分析を用いた認識アルゴリズムに従って動作する。このような認識手段7を採用するには、あらかじめ、電波センサ1の検知エリアに検出対象の物体を含まない場合の学習サンプルデータ、検出対象の物体の異なった動きそれぞれに対応した学習サンプルデータを取得し、これら複数の学習データに対して主成分分析を施すことで得られたデータをデータベース(データベース装置)11に記憶させておく。ここにおいて、データベース11に記憶させておくデータは、パターン認識に利用するデータであり、物体の動きと射影ベクトル及び判別境界値(閾値)とを対応付けたカテゴリデータである。
[0088] ここでは、説明の便宜上、電波センサ1の検知エリアに検出対象の物体を含まない場合の学習サンプルデータに対応する規格化強度の周波数領域での分布が図15、検出対象の物体を含む場合の学習サンプルデータに対応する規格化強度の周波数領域での分布が図16であるとする。そして、図15では、各フィルタバンク5aそれぞれを通過した信号の規格化強度が、低周波側から順に、m_(10) 、m_(20) 、m_(30) 、m_(40) 及びm_(50) とする。図16では、各フィルタバンク5aそれぞれを通過した信号の規格化強度が、低周波側から順に、m_(11)、m_(21)、m_(31)、m_(41)及びm_(51)とする。そして、図15,16のいずれにおいても、低周波側の3つのフィルタバンク5aそれぞれを通過した信号の規格化強度の総和を変量m_(1)とし、高周波側の2つのフィルタバンク5aそれぞれを通過した信号の規格化強度の総和を変量m_(2 )とする。要するに、図15では、変量m_(1)、m_(2)はそれぞれ下記の(19)及び(20)式により求められる。」

(ク)「[0092] 図17は、2つの変量m_(1) ,m_(2 )を互いに直交する座標軸とした場合の2次元散布図と射影軸及び識別境界とをイメージ的に説明するために2次元で図示したものである。図17では、破線で囲んだ領域内の各散布点(図17中の“+”)の座標位置をμ_(0 )(m_(2 ),m_(1 ))、実線で囲んだ領域内の各散布点の座標位置をμ_(1 )(m_(2) ,m_(1) )としている。主成分分析では、あらかじめ、電波センサ1の検知エリアに検出対象の物体を含まない場合の学習サンプルデータに対応するデータのグループGr0と、電波センサ1の検知エリアに検出対象の物体を含む場合の学習サンプルデータに対応するデータのグループGr1とを決める。そして、主成分分析では、図17において破線、実線で囲んだそれぞれの領域内の各散布点を射影軸上に射影したデータの分布(破線、実線で模式的に示してある)の平均値の間隔が最大となり、且つ、分散(variance)が最大となる条件で射影軸を決める。これにより、主成分分析では、学習サンプルごとに射影ベクトルを求めることができる。」

(ケ)「[0109] 認識手段7は、規格化手段6から出力されるフィルタバンク5a毎の規格化強度の成分比により物体を識別する認識処理を行うようにしてもよい。つまり、認識手段7は、規格化手段6で求められた規格化強度により決定されるセンサ信号(周波数領域の信号)の規格化強度に関する特徴により物体を識別する認識処理を行うように構成されていてもよい。ここで、センサ信号(周波数領域の信号)の規格化強度に関する特徴は、規格化手段6から出力されるフィルタバンク5a毎の規格化強度から決まる規格化強度の成分比、すなわち、センサ信号(周波数領域の信号)の規格化強度の成分比である。
[0110] このような認識手段7は、例えば、重回帰分析による認識処理を行うことによって物体を識別するようにすればよい。この場合、認識手段7は、重回帰分析を用いた認識アルゴリズムに従って動作する。
[0111] このような認識手段7を採用する場合には、あらかじめ、電波センサ1の検知エリア内での検出対象の物体の異なった動きそれぞれに対応した学習データを取得し、これら複数の学習データに対して重回帰分析を施すことで得られたデータをデータベース11に記憶させておく。重回帰分析によれば、図28に示すように、信号成分s1と信号成分s2と信号成分s3とが合成された合成波形Gsは、信号成分s1,s2,s3の種別、信号成分の数、各信号成分s1,s2,s3それぞれの強度が未知であっても、合成波形から各信号成分s1,s2,s3に分離推定することが可能である。図28中の〔S〕は、信号成分s1、s2、s3を行列要素とする行列を示し、〔S〕^(-1) は〔S〕の逆行列を意味し、Iは規格化強度の成分比(係数)を意味している。より詳しくは、Iは、規格化強度の成分比(係数)i1、i2、i3を行列要素とする行列を意味している。ここにおいて、データベース11に記憶させておくデータは、認識処理に利用するデータであり、物体の動きと信号成分s1,s2,s3とを対応付けたデータである。」

(コ)「[0114] なお、認識手段7では、上述の周波数分布の特徴及び規格化強度の成分比に基づいて検知対象の物体を識別するようにしてもよい。つまり、認識手段7は、規格化手段6で求められた規格化強度により決定されるセンサ信号(周波数領域の信号)の規格化強度に関する特徴により物体を識別する認識処理を行うように構成されていてもよい。ここで、センサ信号(周波数領域の信号)の規格化強度に関する特徴は、センサ信号(周波数領域の信号)の規格化強度の周波数分布および規格化強度の成分比である。」

(サ)「[0119] また、信号処理装置2は、規格化手段6による規格化前の複数の所定のフィルタバンク5aを1つのフィルタバンク群50とし(図34参照)、複数のフィルタバンク群50のそれぞれにおいて、規格化前の信号成分の強度の総和もしくは重み付け総和が所定値(Eth2)以上であるか否かを判定してもよい。すなわち、信号処理装置2は、いずれかのフィルタバンク群50において、規格化前の信号成分の強度の総和が所定値(Eth2)以上である場合のみ、認識手段7による認識処理を行うかもしくは認識手段による認識処理の結果を有効とする。または、信号処理装置2は、全てのフィルタバンク群50において、規格化前の信号成分の強度の総和もしくは重み付け総和が所定値(Eth2)以上である場合のみ、認識手段7による認識処理を行うかもしくは認識手段による認識処理の結果を有効としてもよい。以下、この判定処理を含む一連の処理について、図35のフローチャートにしたがって説明する。なお、以降、「規格化前の信号成分の強度の総和もしくは重み付け総和」を、単に「規格化前の信号成分の強度の総和」と称す。」

(シ)「[0175] また、本実施形態の信号処理装置2は、以下の第4の特徴を備えていてもよい。第4の特徴では、信号処理装置2は、フィルタバンク5aを通過した信号から背景信号を除去する背景信号除去手段10を備える。
[0176] また、本実施形態の信号処理装置2は、第4の特徴に加えて、以下の第5の特徴を備えていてもよい。第5の特徴では、背景信号除去手段10は、フィルタバンク5aを通過した信号から背景信号を減算することで背景信号を除去する。また、本実施形態の信号処理装置2は、第5の特徴に加えて、以下の第6および第7の特徴を選択的に備えていてもよい。第6の特徴では、背景信号除去手段10は、事前に得た各フィルタバンク5a毎における複数点の信号の時間軸上での平均値を背景信号として除去する。第7の特徴では、背景信号除去手段10は、フィルタバンク5a毎の直前の信号を背景信号として除去する。」

(ス)「[0182] また、本実施形態の信号処理装置2は、以下の第16の特徴を備えていてもよい。第16の特徴では、信号処理装置2は、規格化手段6による規格化前の複数のフィルタバンク5aの信号の強度の総和が所定値以上である場合のみ、認識手段7による認識処理を行うかもしくは認識手段7による認識処理の結果を有効とする。」

イ 甲第2号証に記載された技術の認定
甲第2号証には、上記アを踏まえると、次の技術(以下「甲2技術」という。)が記載されていると認められる。

甲2技術
「電波センサからのセンサ信号を信号処理する信号処理装置であって、
物体で反射された電波に応じたセンサ信号を周波数領域の信号に変換し周波数帯域の異なるフィルタバンクの群における前記フィルタバンク毎の信号として抽出する周波数分析手段と、
前記周波数分析手段により抽出された信号の総和もしくは所定の複数の前記フィルタバンクを通過した信号の強度の総和で、前記各フィルタバンクそれぞれを通過した信号の強度を規格化し規格化強度として出力する規格化手段と、
前記規格化手段から出力される前記フィルタバンク毎の規格化強度から決まる周波数分布もしくは前記規格化強度の成分比との少なくとも一方により前記物体を識別する認識処理を行う認識手段と、
前記認識手段を採用する場合には、あらかじめ、電波センサの検知エリア内での検出対象の物体の異なった動きそれぞれに対応した学習データを取得し、これら複数の学習データに対して重回帰分析を施すことで得られたデータをデータベースに記憶させておき、データベースに記憶させておくデータは、認識処理に利用するデータであり、物体の動きと信号成分とを対応付けたデータであり、
規格化手段による規格化前の複数のフィルタバンクの信号の強度の総和が所定値以上である場合のみ、認識手段による認識処理を行うかもしくは認識手段による認識処理の結果を有効とし、
フィルタバンクを通過した信号から背景信号を除去する背景信号除去手段を備える、
信号処理装置。」

(3)甲第3号証について
甲第3号証には、図面と共に次の事項が記載されている。
ア 「【請求項1】 検知対象エリアに向けてマイクロ波を送信し、この検知対象エリア内に物体が存在する場合に、マイクロ波の反射波を受信して物体までの距離を計測するマイクロウエーブセンサにおいて、
上記計測された物体までの距離とその物体からの反射波の信号レベルとに基づいて物体の大きさを判別し、物体の大きさが所定以上である場合にのみ物体検知信号を発信する物体検知手段を備えていることを特徴とするマイクロウエーブセンサ。
【請求項2】 請求項1記載のマイクロウエーブセンサにおいて、
計測された物体までの距離に応じて、物体検知信号を発信する反射波の信号レベルの値が変更されたトリガレベルが予め設定されており、
物体検知手段は、このトリガレベルを超える信号レベルの反射波を受信したときにのみ物体検知信号を発信するよう構成されていることを特徴とするマイクロウエーブセンサ。
【請求項3】 請求項1または2記載のマイクロウエーブセンサにおいて、
検知対象とする物体は人体であって、
物体検知手段は、検知物体の大きさが人体以上である場合にのみ物体検知信号を発信するよう構成されていることを特徴とするマイクロウエーブセンサ。」

イ 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、可視光線よりも低周波の電磁波を用いた能動型のセンサであるマイクロウエーブセンサ(以下、「MWセンサ」という)に係る。特に、本発明は、検知物体を特定するのに有効なセンシング技術の改良に関するものである。」

ウ 「【0024】-物体検知判定部38の説明-
次に、コンパレータ36,37からの出力信号波形を受ける物体検知判定部38について説明する。この物体検知判定部38は、上記各コンパレータ36,37の出力信号波形を受け、これに基づいて検知物体(人体等)までの距離を計測するものである。また、この物体検知判定部38は、検知した物体からの反射波の信号レベルを認識し、上記計測した検知物体までの距離と、この信号レベルとに基づいて物体の大きさを判別し、物体の大きさが所定以上の大きさである場合にのみ物体検知信号を発信するようになっている。
【0025】具体的には、物体までの距離とその物体からの反射波の信号レベルとを関連付けたトリガレベルを予め設定しておき、反射波の受信レベルがこのトリガレベルを超える状況であるときにのみ物体検知判定部38から物体検知信号が発信(発報)されるようになっている。このトリガレベルとしては、図2に実線で示すように、検知物体までの距離が長くなるほど、物体の検知判断を行う信号レベルを次第に小さくしていくように設定している。尚、このトリガレベルの傾斜角度は、センサの設置環境や受信アンテナの指向性などに応じて設定されている。」

(4)甲第4号証について
甲第4号証には、図面と共に次の事項が記載されている。
ア 「【請求項1】 トイレ、洗面所、キッチン、風呂、シャワー、等の生活シーンで、マイクロ波を送信波とし、マイクロ波を受信する単一のアンテナと、前記アンテナで受信されたマイクロ波を検波する検波手段と、変化成分検出手段の出力を所定位置と比較する比較手段と、前記比較手段からの信号により、人の存在と、人の生体情報を検出する手段とを有するマイクロ波利用人体検出装置。
【請求項2】 前記検波手段は、送信に対する反射波のドップラーシフトを検出するドップラーセンサーを備えることを特徴とする請求項1記載のマイクロ波利用人体検知装置。
【請求項3】 前記検波手段と比較手段によって得られる信号は、人間の脈拍に同期した信号であることを特徴とする請求項1記載のマイクロ波利用人体検知装置。
【請求項4】 前記検波手段と比較手段によって得られる信号は、人間の呼吸動作に同期した信号であることを特徴とする請求項1記載のマイクロ波利用人体検知装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、人体検出装置に関わり、特にドップラー効果により人体検出と微少な脈動を捕らえること出来る装置に関わる。
【0002】
【従来の技術】従来、人の存在を検知するためには人が発する赤外線を捕らえる焦電センサーを用いたものや、赤外線をアクティブに発光して反射光を捕らえる事で人体の検知が行えるものが一般的で、その他にカメラのように三角測量法による測距情報であったり、音波の反射で対象物を捕らえたりするものがあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来例では、人体検知手段として単一機能のみでいずれも対象物を捕らえるだけの機能しか有しておらず、他の機能を持つ事が出来なかった。そのため、機能毎の処理回路を準備する必要があり、スペース、組み立て性に問題があった。
【0004】本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、本発明の目的は、小型軽量な人体検出手段に検知された人の心拍、呼吸の動作も検知できる人体センサーの提供する事にある。」

イ 「【0015】第3図はマイクロ波の受発信機をトイレに組み込んだもので、第6図に示すように肺や、心臓の動きによって人体の胸部が動く事によるドップラー効果を選られる場所に設置できれば良い。便ブタ31内部、W/Lコントローラー32内部、便座33の内部、ロータンク34等の陶器の内部等が考えられる。また不図示ではあるが、トイレの壁天井に設置されても同様な効果である。」

(5)甲第5号証について
甲第5号証には、図面と共に次の事項が記載されている。
ア 「【請求項1】
便器本体の後部上側に便器の洗浄水を貯える洗浄タンクを設置するとともに、該洗浄タンクの前側位置に人体検知センサとしてのドップラセンサを前方に向けて配置し、該ドップラセンサによる人体検知に基づき、制御部において各種機器を動作制御するようになしたトイレ設備において、
前記ドップラセンサから前記洗浄タンク内部に向けての電波の透過を遮断する電波遮断層を設けたことを特徴とするトイレ設備。
【請求項2】
請求項1において、前記電波遮断層は前記洗浄タンクに直接設けてあることを特徴とするトイレ設備。
【請求項3】
請求項1において、前記電波遮断層は前記ドップラセンサに且つその後面に直接設けてあることを特徴とするトイレ設備。
【請求項4】
便器本体の後部上側に便器の洗浄水を貯える洗浄タンクを設置するとともに、該洗浄タンクの前側位置に人体検知センサとしてのドップラセンサを前方に向けて配置し、該ドップラセンサによる人体検知に基づき、制御部において各種機器を動作制御するようになしたトイレ設備において、
便器洗浄に基づいて前記洗浄タンク内部の洗浄水の水位が変動する間、前記制御部において前記ドップラセンサによる検知を実質的に停止することを特徴とするトイレ設備。
【請求項5】
請求項4において、前記制御部は洗浄開始を表す信号の入力から前記洗浄タンク内が満水化したことを表す信号の入力までの間、前記ドップラセンサによる検知を実質的に停止することを特徴とするトイレ設備。
【請求項6】
請求項4において、前記制御部は洗浄開始を表す信号の入力から予め定めた設定時間を経過するまでの間、前記ドップラセンサによる検知を実質的に停止することを特徴とするトイレ設備。
【請求項7】
請求項4?6の何れかにおいて、前記制御部において前記ドップラセンサを動作停止若しくは感度低下させ又は該ドップラセンサからの検知信号を無効とすることによって該ドップラセンサによる検知を実質的に停止することを特徴とするトイレ設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はドップラセンサを人体検知センサとして備えたトイレ設備に関し、特に便器の洗浄水を貯える洗浄タンクを備えたものに関する。」

イ 「【0036】
尚、ドップラセンサ54は図2に示しているようにタンクカバー22で囲まれた内側の
洗浄タンク20の前側位置に配置されており、且つこれから発する送信波(電波)のビームが便器から見て正面方向を向くようにその取付けの向きが選ばれている。
【0037】
ドップラセンサ54は、検知対象即ち使用者に対して送信波(10GHz程度の高周波の電波)を送り、そして使用者が移動しているときに使用者からの反射波の周波数が変化する、いわゆるドップラ効果に基づいて移動する使用者を検知するもので、図2に示しているようにセンサ素子58と、センサ素子58からの信号を処理する信号処理回路を搭載したセンサ基板59と、樹脂製のセンサケーシング60とを有している。
センサ素子58とセンサ基板59とはこのセンサケーシング60内部に収容されている。」

4 取消理由通知に記載した取消理由(第29条第2項)について
(1)本件発明2について
ア 対比
(ア)甲1発明の「便器」、「便座」、「ケーシング」は、それぞれ本件発明2の「便器」、「便座」、「本体」に相当する。甲1発明の「トイレ装置」は、「便座」等の機器を有しているから、本件発明2の「便座装置」を含んでいる。

(イ)甲1発明の「放射した電波の反射波によって被検知体に関する情報を取得するドップラーセンサ」は「被検知体の有無や状態を検知し、その検知信号を出力」するので、甲1発明の「ドップラーセンサ」は、本件発明2の「無線信号を送信し、物体で反射した前記無線信号を受信して、前記物体の動きに応じたセンサ信号を出力するセンサ部」に相当する。

(ウ)甲1発明の「制御部」は、「ドップラーセンサから出力された検知信号に基づいて使用者の前記便座からの離座を判定し制御信号を出力する」と共に「サンプルデータと、を比較し前記離座を判定する」から、本件発明2の「認識部」と、「センサ信号に係るデータにより人体の所定動作を検出する認識処理を行う」点、及び「便座への人体の存否を検出するために、前記データを前記サンプルデータと照合することによって前記認識処理を行う」点で共通する。

(エ)甲1発明の「記憶手段」は「サンプルデータ」を記憶するから、甲1発明の「記憶手段」は、本件発明2の「データベース」と、「サンプルデータ」を「格納する」点で共通する。

(オ)甲1発明において「ドップラーセンサ」、「制御部」は「被検知体(使用者)の有無や状態を検知」「判定」しているから、甲1発明の「ドップラーセンサ」及び「制御部」は、本件発明2の「人体を検出対象とする人検出器」に相当する。

(カ)甲1発明において「制御部は、前記検知信号の振幅の大きさと第1の閾値とを比較し前記使用者のトイレルームへの入室を判定し、前記検知信号の振幅の大きさと第2の閾値とを比較し前記使用者の前記便座への着座を判定し」ているから、当該構成は、本件発明2の「少なくとも前記便器が設置された空間に侵入した前記人体の存否を検出する第1の検出機能と、前記便座に着座した前記人体の存否を検出する第2の検出機能とを有し」に相当する。

(キ)上記(ア)?(カ)から、本件発明2と甲1発明は、以下の点で、一致し相違する。

<一致点>
「便器上に載置される本体と、
前記本体に開閉自在に付設された便座と、
人体を検出対象とする人検出器とを備え、
前記人検出器は、
無線信号を送信し、物体で反射した前記無線信号を受信して、前記物体の動きに応じたセンサ信号を出力するセンサ部と、
センサ信号に係るデータにより人体の所定動作を検出する認識処理を行う認識部と、
サンプルデータを格納するデータベースとを備え、
前記認識部は、便座への人体の存否を検出するために、前記データを前記サンプルデータと照合することによって前記認識処理を行い、
少なくとも前記便器が設置された空間に侵入した前記人体の存否を検出する第1の検出機能と、前記便座に着座した前記人体の存否を検出する第2の検出機能とを有する、
便座装置。」

<相違点1>
センサ信号に係るデータに関して、本件発明2が「前記センサ信号を周波数領域の信号に変換し、周波数帯域の異なる複数のフィルタバンク毎の信号として抽出する周波数分析部」を有し、「前記複数のフィルタバンク毎の信号に基づく信号の周波数分布と、前記複数のフィルタバンク毎の信号に基づく信号強度の成分比との少なくとも一方を検出データとし」て用いているのに対し、甲1発明では、検知信号(センサ信号)を用いている点。

<相違点2>
サンプルデータに関して、本件発明2が「前記人体の所定動作に対応する周波数分布と、前記人体の所定動作に対応する信号強度の成分比との少なくとも一方」をサンプルデータとし、「サンプルデータには、第1のサンプルデータと、前記第1のサンプルデータとは異なる第2のサンプルデータとがあり、前記認識部は、前記第1の検出機能を実行する場合には前記第1のサンプルデータを用い、前記第2の検出機能を実行する場合には前記第2のサンプルデータを用いる」のに対して、甲1発明では「(便座からの)離座波形のサンプルデータ」を「ドップラーセンサから出力される検知信号の波形をサンプルデータ」として用いている点。

イ 判断
相違点1、2は関連しているので、併せて検討する。
甲第1号証の【0008】、【0053】によれば、甲1発明は、制御部への負荷を抑えつつ、離座判定のみサンプルデータを用いた判定を実行し、入室判定、着座判定等の他の判定については簡略化された判定を行うものであるから、当該他の判定について、サンプルデータを用いたような甲1発明における閾値比較よりも複雑になる判定を採用する動機付けはないというべきである。
したがって、相違点1に係る構成のような信号変換を行って検出データを得ることが、甲第2号証に記載されており、甲2技術を甲1発明に適用できたとしても、入室判定、着座判定についてまで、判定のためにサンプルデータを用いるようにする動機付けはなく、当業者が容易に想到しうる程度のこととはいえない。
また、甲第3号証?甲第5号証にも、相違点1、2に係る構成に関する記載はない。
申立人は、「甲第2号証には、サンプルデータとして、サンプルデータ(Gr0)と、このサンプルデータとは異なる別のサンプルデータ(Gr1)と、があることが記載されている。そして、甲1発明に甲第2号証の上記記載事項を適用した際、認識処理において、第1の検出機能を実行する場合には或るサンプルデータを用い、第2の検出機能を実行する場合には別のサンプルデータを用いることは、設計的事項にすぎない」(特許異議申立書27頁7行?12行)旨主張するが、上記で説示したように、甲1発明において、入室判定等の他の判定に対して、サンプルデータを用いた判定を採用する動機付けはないため、設計事項ということはできない。
よって、甲1発明において相違点1、2に係る本件発明2の構成にすることは、当業者が容易に想到し得ることではない。

(2)本件発明3?12について
本件発明3?12は、本件発明2に従属し、本件発明2の発明特定事項をすべて含むものであるから、本件発明2と同様の理由(上記(1)参照)により、甲1発明において、相違点1、2に係る本件発明3?12の構成にすることは、当業者が容易に想到し得ることではない。

(3)まとめ
したがって、本件発明2?12は、甲1発明及び甲第2号証?甲第5号証に記載されたものから、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、それらの特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。

5 請求項1に対する特許異議の申立てについて
上記第2のとおり、請求項1を削除する本件訂正が認められたので、請求項1に対する本件特許異議の申立ては、その対象が存在しないものとなった。
したがって、請求項1に対する本件特許異議の申立ては、不適法な特許異議の申立てであるから、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定によって却下すべきである。

第4 むすび
以上のとおりであるから、平成30年4月13日付け取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由、証拠によっては、本件請求項2?12に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項2?12に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
そして、請求項1に対する本件特許異議の申立ては、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定によって却下すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
便座装置、および便器装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に便座装置、および便器装置、より詳細には入室、着座等の人体検出を行う便座装置、および便器装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無線信号を用いた人検出器を設けて、トイレ室への入退室等の使用者の動作を検出し、洗浄水の吐水制御等を行う便座装置または便器装置がある(例えば、日本国特許番号第3740696号参照)。この人検出器は、ドップラセンサを用いており、低域バンドパスフィルタを通過させたドップラセンサの出力を閾値と比較することによって、人体の動作を検出している。
【0003】
便座装置、便器装置に設けた人検出器は、使用者のトイレ室への入退室だけでなく、便座への着座等の他の様々な動作を検出することも要求される。
【0004】
しかしながら、便座装置、便器装置に設けた従来の人検出器は、使用者の実際の動作とは異なる動作を検出する誤検出、使用者がいないにも関わらず人体を検出する誤検出が発生する可能性があった。
【発明の開示】
【0005】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、トイレへの入室、退室、便座の着座、離隔等の人体の様々な動作を精度よく検出することができる便座装置、および便器装置を提供することにある。
【0006】
本発明の便座装置は、便器上に載置される本体と、前記本体に開閉自在に付設された便座と、人体を検出対象とする人検出器とを備え、前記人検出器は、無線信号を送信し、物体で反射した前記無線信号を受信して、前記物体の動きに応じたセンサ信号を出力するセンサ部と、前記センサ信号を周波数領域の信号に変換し、周波数帯域の異なる複数のフィルタバンク毎の信号として抽出する周波数分析部と、前記複数のフィルタバンク毎の信号に基づく信号の周波数分布と、前記複数のフィルタバンク毎の信号に基づく信号強度の成分比との少なくとも一方を検出データとし、前記検出データにより人体の所定動作を検出する認識処理を行う認識部と、前記人体の所定動作に対応する周波数分布と、前記人体の所定動作に対応する信号強度の成分比との少なくとも一方をサンプルデータとして格納するデータベースとを備え、前記認識部は、前記検出データを前記サンプルデータと照合することによって前記認識処理を行い、少なくとも前記便器が設置された空間に侵入した前記人体の存否を検出する第1の検出機能と、前記便座に着座した前記人体の存否を検出する第2の検出機能とを有する。前記サンプルデータには、第1のサンプルデータと、前記第1のサンプルデータとは異なる第2のサンプルデータとがある。前記認識部は、前記第1の検出機能を実行する場合には前記第1のサンプルデータを用い、前記第2の検出機能を実行する場合には前記第2のサンプルデータを用いることを特徴とする。
【0007】
本発明の便器装置は、本発明の便座装置と、前記便座装置の前記本体が載置される前記便器とを備えることを特徴とする。
本発明の便座装置、便器装置は、トイレへの入室、退室、便座の着座、離隔等の人体の様々な動作を精度よく検出することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施形態における便器装置の構成を示すブロック図である。
【図2】実施形態における便器装置の外観を示す斜視図である。
【図3】図3A?図3Cは、実施形態における信号処理部の規格化部の説明図である。
【図4】図4A?図4Cは、実施形態における平滑化処理部の説明図である。
【図5】図5A?図5Cは、実施形態における背景信号除去部の一例の説明図である。
【図6】実施形態における背景信号除去部の他例の説明図である。
【図7】図7A,図7Bは、実施形態における背景信号除去部の更に他の例の説明図である。
【図8】実施形態における背景信号除去部の別例を構成する適応フィルタのブロック図である。
【図9】図9A?図9Cは、実施形態における信号処理部の主成分分析による認識処理の説明図である。
【図10】実施形態における信号処理部の重回帰分析による認識処理の説明図である。
【図11】図11A,図11Bは、実施形態における信号処理部の重回帰分析による認識処理の他の説明図である。
【図12】図12A,図12Bは、実施形態における信号処理部の説明図である。
【図13】実施形態におけるフィルタバンク群の説明図である。
【図14】実施形態における動作のフローチャート図である。
【図15】実施形態におけるコントローラのモードを示す遷移図である。
【図16】実施形態における周波数分析部の構成を示すブロック図である。
【図17】図17A?図17Cは、実施形態における呼吸検出時における各部の波形を示す波形図である。
【図18】実施形態における呼吸検出処理を示す説明図である。
【図19】図19A,図19Bは、実施形態における測距時の動作を示す説明図である。
【図20】実施形態における測距時のビート信号を示す波形図である。
【図21】図21A?図21Dは、実施形態における測距時の出力波形を示す波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本実施形態の便器装置1のブロック構成を図1に示し、便器装置1の外観構成を図2に示す。便器装置1は、便器11と、便座装置12と、人検出器5とを主構成として備える。
【0010】
便器11は、凹形状のボウル部11a、ボウル部11aの周縁に形成されたリム11bを有する洋式便器からなる(図2参照)。便器11は、水洗装置11c、局部洗浄装置11d、洗剤供給装置11f、照明制御装置11g、開閉装置11hを内蔵している(図1参照)。水洗装置11cは、ボウル部11a内に水を供給する給水、ボウル部11a内の水を排出する排水を行う。局部洗浄装置11dは、ボウル部11a内に突出して人体の局部を洗浄する洗浄ノズル11eを有しており、洗浄ノズル11eから局部洗浄用の水が吐出される(図2参照)。洗剤供給装置11fは、ボウル部11aを洗浄するための洗剤を供給する。照明制御装置11gは、トイレ室内の照明器具の点灯・消灯を制御する。開閉装置11hは、便座12bおよび便蓋12cの開閉制御を行う。水洗装置11c、局部洗浄装置11dが用いる水は、トイレ室の壁面に設けた止水栓7から配水管8を介して給水される。なお、水洗装置11c、局部洗浄装置11dが、便器11のボウル部11a内にて水を吐出する給水装置に相当する。
【0011】
そして、便器11のリム11bの上面には、便座装置12が設置される。便座装置12は、リム11bの後側上面に載置される便座本体12aと、便座本体12aに回動可能に支持された便座12bおよび便蓋12cを備える。便座12bおよび便蓋12cは、便器11の上面側において、モータ等を用いた開閉装置11hによって開閉自在に構成される。
【0012】
便器装置1は、水洗装置11c、局部洗浄装置11d、洗剤供給装置11f、照明制御装置11g、開閉装置11hの各動作を制御するコントローラ6を備える。コントローラ6は、便器11、便座装置12のいずれに設けられてもよい。
【0013】
トイレ室の壁面には、リモコン操作器3が設置されており、リモコン操作器3には、水洗装置11c、局部洗浄装置11d、開閉装置11hの各操作を行う操作スイッチが設けられており、操作スイッチの操作に応じた赤外線信号等の操作信号を送信する。便座装置12の便座本体12aには、リモコン操作器3から送信される操作信号を受信する受信部12dを設ける。図1に示すコントローラ6は、受信部12dが受信した操作信号に応じて、水洗装置11c、局部洗浄装置11d、開閉装置11hの各動作を制御する。
【0014】
さらに、便座装置12の便座本体12aには、人検出器5が設けられる。人検出器5は、使用者のトイレ室への入室・退室(第1の検出機能)、便座12bへの着座・離隔(第2の検出機能)等の人体の動作を検出する。以下、この人検出器5について説明する。
【0015】
図1に示すように、人検出器5は、センサ部51と、信号処理部52とで構成される。
【0016】
センサ部51は、所定周波数の電波を検出範囲に向けて送信して、検出範囲内で動いている物体で反射された電波を受信し、送信した電波と受信した電波との周波数の差分に相当するドップラ周波数のセンサ信号を出力するドップラセンサである。このセンサ信号は、物体の動きに対応するアナログの時間軸信号である。なお、電波を反射した物体が検出範囲内を移動している場合には、ドップラ効果によって反射波の周波数がシフトする。本実施形態において検出対象は、トイレ室における人体の動作(入室、退室、着座、離隔等)である。
【0017】
このセンサ部51は、図1に示すように、送信制御部51a、送信部51b、送信アンテナ51c、受信アンテナ51d、受信部51eを備える。
【0018】
送信部51bは、送信アンテナ51cを介して、電波を検出範囲に向けて送信する。送信制御部51aは、送信部51bが送信する電波の周波数、送信タイミング等を制御する。送信部51bが送波する電波は、例えば、周波数が24.15GHzのミリ波とすることができる。なお、送信部51bが送波する電波は、ミリ波に限らず、マイクロ波でもよい。また、送信部51bが送波する電波の周波数の値は一例であって、この数値に限定する趣旨ではない。
【0019】
受信部51eは、受信アンテナ51dを介して、検出範囲内の物体で反射された電波を受信し、送信した電波と受信した電波との周波数の差分に相当する周波数のセンサ信号を出力する。具体的には、受信部51eは、センサ信号をI相成分(In Phase)、Q相成分(Quadrature Phase)の2チャンネルの信号に分離して出力する。
【0020】
信号処理部52は、センサ部51から出力されるセンサ信号を信号処理する機能を有する。
【0021】
信号処理部52は、図1に示すように、センサ信号を増幅する増幅部52aと、増幅部52aによって増幅されたセンサ信号をディジタルのセンサ信号に変換して出力するA/D変換部52bとを備えている。増幅部52aは、例えば、オペアンプを用いた増幅器により構成することができる。具体的には、増幅部52aは、I相成分の信号およびQ相成分の信号のそれぞれを増幅し、A/D変換部52bは、I相成分の信号およびQ相成分の信号のそれぞれをディジタルの信号に変換する。
【0022】
また、信号処理部52は、図1に示すように、周波数分析部52cを備えている。周波数分析部52cは、A/D変換部52bから出力される時間領域のセンサ信号を周波数領域の信号(周波数軸信号)に変換し、周波数帯域の異なるフィルタバンク5a(図3A参照)の群におけるフィルタバンク5a毎の信号として抽出する。
【0023】
周波数分析部52cは、フィルタバンク5aの群として、規定数(例えば、16個)のフィルタバンク5aを設定してあるが、この数は一例であって、この数に限定する趣旨ではない。
【0024】
また、信号処理部52は、規格化部52dを備えている。規格化部52dは、周波数分析部52cにより抽出された信号の総和もしくは所定の複数(例えば、低周波側の4個)のフィルタバンク5aを通過した信号の強度の総和で、フィルタバンク5aそれぞれを通過した信号の強度を規格化し規格化強度として出力する。
【0025】
また、信号処理部52は、図1に示すように、規格化部52dから出力されるフィルタバンク5a毎の規格化強度から決まる周波数分布により物体を検出する認識処理を行う認識部52eを備えている。
【0026】
上述の周波数分析部52cは、A/D変換部52bから出力されるセンサ信号を離散コサイン変換(Discrete Cosine Transform:DCT)することで周波数領域の信号に変換する機能を有している。また、図3Aに示すように、フィルタバンク5aの各々は、複数(図示例では、5個)の周波数ビン(frequency bin)5bを有している。DCTを利用したフィルタバンク5aの周波数ビン5bは、DCTビンとも呼ばれる。各フィルタバンク5aは、周波数ビン5bの幅(図3A中のΔf1)により分解能が決まる。フィルタバンク5aの各々における周波数ビン5bの数は一例であって、この数に限定する趣旨ではない。周波数ビン5bの数は、5個以外の複数でもよいし、1個でもよい。A/D変換部52bから出力されるセンサ信号を周波数領域の信号に変換する直交変換は、DCTに限らず、例えば、高速フーリエ変換(Fast Fourier Transformation:FFT)でもよい。FFTを利用したフィルタバンク5aの周波数ビン5bは、FFTビンとも呼ばれる。また、A/D変換部52bから出力されるセンサ信号を周波数領域の信号に変換する直交変換は、ウェーブレット変換(Wavelet Transform:WT)でもよい。
【0027】
フィルタバンク5aの各々が複数の周波数ビン5bを有している場合、信号処理部52は、周波数分析部52cと規格化部52dとの間に、平滑化処理部52fを備えていることが好ましい。この平滑化処理部52fは、以下の2つの平滑化処理機能(第1の平滑化処理機能および第2の平滑化処理機能)のうち、少なくとも一方を有することが好ましい。第1の平滑化処理機能は、フィルタバンク5a毎に周波数ビン5b毎の信号の強度を周波数領域(周波数軸方向)において平滑化処理する機能である。第2の平滑化処理機能は、フィルタバンク5a毎に周波数ビン5b毎の信号の強度を時間軸方向において平滑化処理する機能である。これにより、信号処理部52は、雑音の影響を低減することが可能となり、両方とも有していれば、雑音の影響をより低減することが可能となる。
【0028】
第1の平滑化処理機能は、例えば、平均値フィルタ、荷重平均フィルタ、メジアンフィルタ、荷重メジアンフィルタなどにより実現でき、この第1の平滑化処理機能を平均値フィルタにより実現したとする。そして、図3A,図4Aに示すように、時刻t_(1)において、周波数の低い方から順に数えて1番目のフィルタバンク5aの5個の周波数ビン5bそれぞれにおける信号の強度がそれぞれs1、s2、s3、s4、s5であるとする。ここで、1番目のフィルタバンク5aについてみれば、第1の平滑化処理機能により平滑化処理された信号の強度をm_(11)(図3B,図4B参照)とすると、
m_(11)=(s1+s2+s3+s4+s5)/5
となる。
【0029】
同様に、2番目のフィルタバンク5a、3番目のフィルタバンク5a、4番目のフィルタバンク5a及び5番目のフィルタバンク5aの信号は、図3B,図4Bに示すように、それぞれ、m_(21)、m_(31)、m_(41)及びm_(51)となる。要するに、本実施形態では、説明の便宜上、時間軸上の時刻t_(i)(iは自然数)におけるj(jは自然数)番目のフィルタバンク5aの信号に対して第1の平滑化処理機能により平滑化処理された信号の強度を、m_(ji)と表している。
【0030】
規格化部52dでは、認識部52eにおいて認識処理に利用する複数の所定のフィルタバンク5aを通過した信号の強度の総和で、フィルタバンク5aそれぞれを通過した信号の強度値を規格化する。ここでは、例えば、周波数分析部52cにおけるフィルタバンク5aの総数が16個であり、認識処理に利用する所定の複数のフィルタバンク5aが、周波数の低い方から順に数えて1?5番目の5個のみであるとして説明する。時刻t_(1)において1番目のフィルタバンク5aを通過した信号の強度m_(11)の規格化強度をn_(11)(図3C参照)とすると、規格化強度n_(11)は、規格化部52dにおいて、
n_(11)=m_(11)/(m_(11)+m_(21)+m_(31)+m_(41)+m_(51))
の演算により求められる。
【0031】
また、フィルタバンク5aの各々が1つの周波数ビン5bからなる場合、規格化部52dは、フィルタバンク5aそれぞれを通過した信号の強度を抽出し、これらの強度の総和で、フィルタバンク5aそれぞれを通過した信号の強度を規格化する。
【0032】
また、第2の平滑化処理機能は、例えば、平均値フィルタ、荷重平均フィルタ、メジアンフィルタ、荷重メジアンフィルタなどにより実現できる。この第2の平滑化処理機能を、時間軸方向の複数点(例えば、3点)での平均値を求める平均値フィルタにより実現したとする。この場合、図4Cに示すように、1番目のフィルタバンク5aについてみれば、第2の平滑化処理機能により平滑化処理された信号の強度をm_(1)とすると、
m_(1)=(m_(10)+m_(11)+m_(12))/3
となる。
【0033】
同様に、2番目のフィルタバンク5a、3番目のフィルタバンク5a、4番目のフィルタバンク5a及び5番目のフィルタバンク5aの信号は、それぞれ、m_(2)、m_(3)、m_(4)及びm_(5)とすれば、
m_(2)=(m_(20)+m_(21)+m_(22))/3
m_(3)=(m_(30)+m_(31)+m_(32))/3
m_(4)=(m_(40)+m_(41)+m_(42))/3
m_(5)=(m_(50)+m_(51)+m_(52))/3
となる。
【0034】
要するに、本実施形態では、説明の便宜上、n(nは自然数)番目のフィルタバンク5aの信号に対して第1の平滑化処理機能により平滑化処理され、更に第2の平滑化処理機能により平滑化処理された信号の強度を、m_(n)と表している。
【0035】
また、信号処理部52は、背景信号推定部52g、背景信号除去部52hを備えていることが好ましい。背景信号推定部52gは、フィルタバンク5aそれぞれから出力される信号に含まれている背景信号(つまり、雑音)を推定する。背景信号除去部52hは、各フィルタバンク5aを通過した信号から背景信号を除去する。
【0036】
信号処理部52は、例えば、動作モードとして、背景信号を推定する第1モードと、認識処理を行う第2モードとがあり、タイマにより計時される所定時間(例えば、30秒)ごとに第1モードと第2モードとが切り替わるようにすることが好ましい。ここにおいて、信号処理部52は、第1モードの期間に背景信号推定部52gを動作させ、第2モードの期間に、背景信号除去部52hで背景信号を除去してから、認識部52eで認識処理を行うことが好ましい。第1モードの時間と第2モードの時間とは、同じ時間(例えば、30秒)に限らず、互いに異なる時間でもよい。
【0037】
背景信号除去部52hは、例えば、フィルタバンク5aから出力される信号から背景信号を減算することで背景信号を除去するようにしてもよい。この場合、背景信号除去部52hは、例えば、フィルタバンク5aそれぞれを通過した信号m_(1)、m_(2)、・・(図5B参照)の強度から、背景信号推定部52gで推定された背景信号の強度b_(1)、b_(2)、・・(図5A参照)を減算する減算器で構成できる。図5Cは、同一のフィルタバンク5a同士で信号から背景信号を減算することで得られた信号の強度を示している。ここで、左から1番目のフィルタバンク5aの信号の強度をL_(1)とすれば、
L_(1)=m_(1)-b_(1)
となる。
【0038】
同様に、2番目のフィルタバンク5a、3番目のフィルタバンク5a、4番目のフィルタバンク5a及び5番目のフィルタバンク5aについて背景信号を減算した後の信号の強度は、それぞれ、L_(2)、L_(3)、L_(4)及びL_(5)とすれば、
L_(2)=m_(2)-b_(2)
L_(3)=m_(3)-b_(3)
L_(4)=m_(4)-b_(4)
L_(5)=m_(5)-b_(5)となる。
【0039】
背景信号推定部52gは、第1モードの期間において、フィルタバンク5aそれぞれについて得られた信号の強度を、フィルタバンク5a毎の背景信号の強度と推定し随時更新するようにしてもよい。また、背景信号推定部52gは、第1モードにおいて、フィルタバンク5aそれぞれについて得られた複数の信号の強度の平均値を、フィルタバンク5a毎の背景信号の強度と推定するようにしてもよい。すなわち、背景信号推定部52gは、事前に得たフィルタバンク5a毎の複数点の信号の時間軸上での平均値を背景信号とするようにしてもよい。これにより、背景信号推定部52gは、背景信号の推定精度を向上させることが可能となる。
【0040】
また、背景信号除去部52hは、フィルタバンク5a毎の直前の信号を背景信号とするようにしてもよい。ここで、信号処理部52は、各信号を規格化部52dで規格化処理する前に、時間軸上の直前の信号を減算することで背景信号を除去する機能を有するようにしてもよい。要するに、背景信号除去部52hは、フィルタバンク5aそれぞれを通過した信号に関し、規格化処理の対象となる信号から時間軸上における1サンプル前の信号を減算することで背景信号を除去する機能を有するようにしてもよい。この場合、例えば、図6に示すように、規格化処理の対象となる時刻t_(1)でのフィルタバンク5aそれぞれの信号をm_(1)(t_(1))、m_(2)(t_(1))、m_(3)(t_(1))、m_(4)(t_(1))及びm_(5)(t_(1))とする。さらに、その直前の時刻t_(0)での信号をm_(1)(t_(0))、m_(2)(t_(0))、m_(3)(t_(0))、m_(4)(t_(0))及びm_(5)(t_(0))とする。そして、減算後の信号の強度をL_(1)、L_(2)、L_(3)、L_(4)及びL_(5)とすれば、
L_(1)=m_(1)(t_(1))-m_(1)(t_(0))
L_(2)=m_(2)(t_(1))-m_(2)(t_(0))
L_(3)=m_(3)(t_(1))-m_(3)(t_(0))
L_(4)=m_(4)(t_(1))-m_(4)(t_(0))
L_(5)=m_(5)(t_(1))-m_(5)(t_(0))
となる。
【0041】
ところで、信号処理部52の使用形態に基づく周囲環境によっては、あらかじめ比較的大きな背景信号(雑音)が含まれる周波数ビン5bが既知である場合がある。例えば、人検出器5の周辺に、商用電源から電源供給される機器が存在しているとする。この場合、商用電源周波数(例えば、60Hz)の逓倍の周波数(例えば、60Hz、120Hz等)のような特定周波数を含む周波数ビン5bの信号には、比較的大きな背景信号が含まれる可能性が高い。また、背景雑音には、便器装置1の機械的信号、ボウル部11a内の水面の変動、照明器具の雑音等がある。
【0042】
一方、人体が検出範囲内を移動しているときに出力されるセンサ信号は、当該センサ信号の周波数(ドップラ周波数)が、センサ部51と物体の間の距離と、物体の移動速度とに応じて随時変化する。この場合、信号が特定周波数で定常的に発生することはない。
【0043】
そこで、信号処理部52は、フィルタバンク5aそれぞれが複数の周波数ビン5bを有している場合に、背景信号が定常的に含まれる周波数ビン5bを特定周波数ビン5b_(i)とする。そして、背景信号除去部52hは、特定周波数ビン5b_(i)の信号を無効とし、当該特定周波数ビン5b_(i)に近接する2個の周波数ビン5bの信号の強度から推定した信号の強度で補完することによって背景信号を除去するようにしてもよい。
【0044】
図7Aにおける左から3番目の周波数ビン5bが特定周波数ビン5b_(i)であるとする。背景信号除去部52hは、当該特定周波数ビン5b_(i)の信号(信号の強度b_(3))を無効とし、図7Bに示すように、当該特定周波数ビン5b_(i)に近接する2個の周波数ビン5bの信号成分の強度b_(2),b_(4)から推定した信号成分の強度b3で補完している。この推定にあたっては、特定周波数ビン5b_(i)に近接する2個の周波数ビン5bの信号の強度b_(2),b_(4)の平均値、つまり、(b_(2)+b_(4))/2を、推定した信号の強度b_(3)としている。要するに、フィルタバンク5a内において低周波数側からi番目の周波数ビン5bが特定周波数ビン5b_(i)であり、当該特定周波数ビン5b_(i)の信号の強度をb_(i)とすれば、b_(i)は、
b_(i)=(b_(i-1)+b_(i+1))/2
からなる推定式により求めた値としている。
【0045】
これにより、信号処理部52は、定常的に発生する特定周波数の背景信号(雑音)の影響を短時間で低減することが可能となる。よって、信号処理部52は、人体の検出精度の向上を図ることが可能となる。
【0046】
背景信号除去部52hは、周波数領域(周波数軸上)において背景信号を濾波することで背景信号を除去する適応フィルタ(Adaptive filter)を用いることもできる。
【0047】
適応フィルタは、適応アルゴリズム(最適化アルゴリズム)に従って伝達関数(フィルタ係数)を自己適応させるフィルタであり、ディジタルフィルタにより実現することができる。この種の適応フィルタとしては、DCTを用いた適応フィルタ(Adaptive filter using Discrete Cosine Transform)が好ましい。この場合、適応フィルタの適応アルゴリズムとしては、DCTのLMS(Least Mean Square)アルゴリズムを用いればよい。
【0048】
また、適応フィルタは、FFTを用いた適応フィルタでもよい。この場合、適応フィルタの適応アルゴリズムとしては、FFTのLMSアルゴリズムを用いればよい。LMSアルゴリズムは、射影(Projection)アルゴリズムやRLS(Recursive Least Square)アルゴリズムに比べて演算量を低減できるという利点がある。また、DCTのLMSアルゴリズムは、実数の演算のみでよく、複素数の演算を必要とするFFTのLMSアルゴリズムに比べて演算量を低減できるという利点がある。
【0049】
適応フィルタは、例えば、図8に示す構成を有している。この適応フィルタは、フィルタ57aと、減算器57bと、適応処理部57cとを有している。フィルタ57aは、フィルタ係数を可変に構成される。減算器57bは、フィルタ57aの出力信号と参照信号との誤差信号を出力する。適応処理部57cは、適応アルゴリズムに従って入力信号と誤差信号とからフィルタ係数の補正係数を生成しフィルタ係数を更新させる。適応フィルタは、フィルタ57aの入力信号を熱雑音からなる背景信号とし、参照信号を所望の白色雑音の値とすれば、不要な背景信号を濾波することで背景信号を除去することが可能となる。
【0050】
また、背景信号除去部52hは、適応フィルタの忘却係数(forgetting factor)を適宜設定しておくことによって、長時間の平均的な背景信号を周波数軸上で濾波した信号の周波数分布を抽出するようにしてもよい。忘却係数は、フィルタ係数を更新する演算の際に過去のデータ(フィルタ係数)の影響を現在のデータ(フィルタ係数)から過去にさかのぼるほど指数関数的に軽くし、現在のデータに近づくほど重くするための係数である。忘却係数は、1未満の正の値であり、例えば、0.95?0.99程度の範囲で適宜設定すればよい。
【0051】
認識部52eは、各フィルタバンク5aを通過し規格化部52dにより規格化された各規格化強度の周波数領域での分布に基づいて、人体の各動作を検出する認識処理を行う。ここにおいて、検出は、分類、認識、識別を含む概念である。
【0052】
認識部52eは、例えば、主成分分析(principal component analysis)によるパターン認識処理を行うことによって、人体の各動作を検出する。この認識部52eは、主成分分析を用いた認識アルゴリズムに従って動作する。このような認識部52eを採用するには、信号処理部52は、予め、センサ部51の検出範囲に人体が存在しない場合の学習データ、人体の異なった動き(入室、退室、着座等)それぞれに対応した学習データを取得しておく(学習)。そして、信号処理部52は、これら複数の学習データに対して主成分分析を施すことで得られたサンプルデータを、データベース52iに記憶しておく。ここにおいて、データベース52iに記憶しておくサンプルデータは、パターン認識に利用するデータであり、物体の動きと射影ベクトル及び判別境界値とを対応付けたカテゴリデータである。ここで、入室、退室に応じた学習データから得られたサンプルデータが第1のサンプルデータに相当し、着座に応じた学習データから得られたサンプルデータが第2のサンプルデータに相当する。
【0053】
ここでは、説明の便宜上、センサ部51の検出範囲に人体が存在しない場合のサンプルデータに対応する規格化強度の周波数領域での分布を図9Aに示す。さらに、検出範囲に存在する人体の所定動作のサンプルデータに対応する規格化強度の周波数領域での分布を図9Bに示す。そして、図9Aでは、フィルタバンク5aそれぞれを通過した信号の規格化強度が、低周波側から順に、m_(10)、m_(20)、m_(30)、m_(40)及びm_(50)とする。図9Bでは、フィルタバンク5aそれぞれを通過した信号の規格化強度が、低周波側から順に、m_(11)、m_(21)、m_(31)、m_(41)及びm_(51)とする。そして、図9A,図9Bのいずれにおいても、低周波側の3つのフィルタバンク5aそれぞれを通過した信号の規格化強度の総和を変量m_(1)とし、高周波側の2つのフィルタバンク5aそれぞれを通過した信号の規格化強度の総和を変量m_(2)とする。要するに、図9Aでは、
m_(1)=m_(10)+m_(20)+m_(30)
m_(2)=m_(40)+m_(50)
となる。また、図9Bでは、
m_(1)=m_(11)+m_(21)+m_(31)
m_(2)=m_(41)+m_(51)
となる。
【0054】
図9Cは、2つの変量m_(1),m_(2)を互いに直交する座標軸とした場合の2次元散布図と射影軸及び認識境界とをイメージ的に説明するために2次元で図示している。図9Cでは、破線で囲んだ領域内の各散布点(図9C中の“+”)の座標位置をμ0(m_(2),m_(1))、実線で囲んだ領域内の各散布点の座標位置をμ1(m_(2),m_(1))としている。主成分分析では、センサ部51の検出範囲に人体が存在しない場合のサンプルデータに対応するデータのグループGr0と、検出範囲に存在する人体の所定動作のサンプルデータに対応するデータのグループGr1とを予め決める。そして、主成分分析では、図9Cにおいて破線、実線で囲んだそれぞれの領域内の各散布点を射影軸上に射影したデータの分布(破線、実線で模式的に示してある)の平均値の間隔が最大となり、且つ、分散(variance)が最大となる条件で射影軸を決める。これにより、主成分分析では、サンプルデータごとに射影ベクトルを求めることができる。
【0055】
そして、認識部52eは、規格化部52dにより規格化された各規格化強度の周波数領域での分布に基づいて物体を検出する。この場合、認識部52eは、規格化部52dにより規格化された各規格化強度の周波数領域での分布を検出データとし、この検出データをサンプルデータと照合することによって人体の所定動作を検出する認識処理を行っている。認識部52eは、検出対象となる動作毎に異なるサンプルデータをデータベース52iから取得して、認識処理に用いる。
【0056】
ところで、信号処理部52は、認識部52eによる検出結果を出力する出力部52mを備えている。出力部52mは、認識部52eにより人体の所定動作が認識された場合、人体の所定動作が検出されたことを示す出力信号を出力する。出力部52mは、検出範囲内に人体が認識されない場合、検出対象を非検出であることを示す出力信号を出力する。
【0057】
信号処理部52は、図1において、増幅部52a、A/D変換部52b、出力部52m及びデータベース52i以外の部分が、マイクロコンピュータで適宜のプログラムを実行することにより実現される。
【0058】
なお、信号処理部52は、上述の判別境界値を外部からの設定により可変とすることが好ましい。これにより、信号処理部52は、使用用途に応じて要求される失報率、誤報率を調整することが可能となる。
【0059】
以上説明した信号処理部52において、周波数分析部52cは、A/D変換部52bから出力されるセンサ信号(時間軸信号)を周波数領域の信号に変換し周波数帯域の異なるフィルタバンク5aの群におけるフィルタバンク5a毎の信号として抽出する。認識部52eは、フィルタバンク5a毎の信号に基づく信号強度から決まる周波数分布を検出データとし、この検出データをサンプルデータと照合することにより人体の所定動作を検出する認識処理を行う。
【0060】
センサ信号は、DCT等の周波数分析が行われる短時間(例えば数十ms)においても、人体の動作毎に互いに異なる特有の周波数分布(周波数領域での統計分布)を有する。信号処理部52は、この周波数分布の特徴を人体の動作の検出に利用する場合、周波数分布が異なる動作は分離して認識することができる。而して、信号処理部52は、検出対象となる動作以外に起因した誤検出を低減することが可能となる。要するに、信号処理部52では、複数のフィルタバンク5aを通過した信号の各信号強度から決まる周波数分布が統計的に異なる各動作を分離して検出することができるため、誤検出を低減することが可能となる。
【0061】
また、FFTを利用したフィルタバンク5aでは、FFT処理の前にセンサ信号に対して所定の窓関数(window function)を掛け合わせる処理を実施し、所望の周波数帯域(通過帯域)外のサイドローブ(side-lobe)を抑圧する必要が生じる場合がある。窓関数としては、例えば、矩形窓(rectangular window)、ガウス窓(Gauss window)、ハン窓(hann window)、ハミング窓(hamming window)などを使うことができる。これに対して、DCTを利用したフィルタバンク5aでは、窓関数をなくすことができるので、窓関数を簡素なディジタルフィルタで実現することが可能である。
【0062】
また、DCTを利用したフィルタバンク5aは、FFTを利用したフィルタバンク5aと比較すると、FFTが複素演算の処理方式である(強度及び位相を演算する)のに対し、DCTが実数演算の処理方式であるため、演算規模を低減することが可能となる。また、DCTでは、周波数の分解能に関しては、DCTとFFTとを同じ処理点数で比較すると、DCTの方がFFTの2分の1になるため、データベース52i等のハードウエアリソース(hardware resource)等を小型化することが可能となる。信号処理部52では、例えば、A/D変換部52bの1秒間当たりのサンプリング数を128とした場合(サンプリング周波数を1kHzとした場合)、FFTビン5bの幅が8Hzであるのに対して、DCTビン5bの幅を4Hzとすることができる。なお、これらの数値は、一例であり、これらの数値に限定する趣旨ではない。
【0063】
認識部52eは、主成分分析によるパターン認識処理によって物体を検出してもよいし、他のパターン認識処理を用いてもよい。例えば、認識部52eは、KL変換によるパターン認識処理により物体を検出するようにしてもよい。信号処理部52は、認識部52eにおいて主成分分析によるパターン認識処理もしくはKL変換によるパターン認識処理を行うようにすることによって、認識部52eでの計算量の低減及びデータベース52iの容量の低減を図ることが可能となる。
【0064】
また、認識部52eは、規格化部52dから出力されるフィルタバンク5a毎の規格化強度の成分比を検出データとし、この検出データをサンプルデータと照合することにより人体の所定動作を検出する認識処理を行ってもよい。
【0065】
このような認識部52eは、例えば、重回帰分析による認識処理を行うことによって、人体の所定動作を検出するようにすればよい。この場合、認識部52eは、重回帰分析を用いた認識アルゴリズムに従って動作する。
【0066】
このような認識部52eを採用する場合、予め、センサ部51の検出範囲内に存在する人体の異なった動きそれぞれに対応した学習データを取得する(学習)。そして、これら複数の学習データに対して重回帰分析を施すことで得られたサンプルデータをデータベース52iに記憶させておく。図10において、信号成分s1と信号成分s2と信号成分s3とが合成された合成波形Gsを示す。重回帰分析によれば、この合成波形Gsは、信号成分s1,s2,s3の種別、信号成分の数、信号成分s1,s2,s3それぞれの強度が未知であっても、合成波形から各信号成分s1,s2,s3に分離推定することが可能である。図10中の〔S〕は、信号成分s1、s2、s3を行列要素とする行列を示し、〔S〕^(-1)は〔S〕の逆行列を意味し、Iは規格化強度の成分比(係数)を意味している。ここにおいて、データベース52iに記憶させておくサンプルデータは、認識処理に利用するサンプルデータであり、人体の動きと信号成分s1,s2,s3とを対応付けたデータである。
【0067】
図11Aは、横軸が時間、縦軸が規格化強度である。図11Aにおいて、検出範囲内において人体が所定動作を行ったときに、規格化部52dから出力された規格化強度の時間軸上でのデータ(上述の合成波形Gsに対応する)をA1とする。また、図11Aには、重回帰分析によりデータA1から分離された信号成分A2,A3も示してある。ここにおいて、信号成分A2は、人の所定動作に起因した信号成分であり、信号成分A3は、他の物体の動きに起因した信号成分である。
【0068】
そして、認識部52eは、規格化部52dから出力されるフィルタバンク5a毎の規格化強度の成分比(A2:A3)を検出データとし、この検出データをサンプルデータと照合することにより人体の所定動作を検出する認識処理を行う。認識部52eは、検出対象となる動作毎に異なるサンプルデータをデータベース52iから取得して、認識処理に用いる。
【0069】
例えば、図11Bは、出力部52mの出力信号である。認識部52eは、A2>A3のときに人体が所定動作を行ったと認識しており、この場合の出力部52mの出力信号はハイレベル(例えば「1」)となる。認識部52eは、A2>A3以外のときに人体が所定動作を行っていないと認識しており、この場合の出力部52mの出力信号はローレベル(例えば「0」)となる。この図11Bから、人体の所定動作以外に起因した誤検出を低減できることが確認された。
【0070】
信号処理部52は、上述の判定条件(A2>A3)を外部からの設定により可変とすることが好ましい。例えば、判定条件をA2>α×A3とし、係数αを外部からの設定により可変とすることが好ましい。これにより、信号処理部52は、使用用途に応じて要求される失報率、誤報率を調整することが可能となる。
【0071】
なお、認識部52eでは、上述の周波数分布の特徴及び規格化強度の成分比の両方に基づいて、人体の動作を検出するようにしてもよい。これにより、信号処理部52は、認識部52eでの検出精度を向上させることが可能となる。
【0072】
また、信号処理部52は、規格化部52dによる規格化前の複数の所定のフィルタバンク5aの信号成分の強度の総和が閾値以上である場合のみ、認識部52eによる認識処理を行う、もしくは認識部52eによる認識結果を有効とするようにしてもよい。また、信号処理部52は、規格化部52dによる規格化前の複数の所定のフィルタバンク5aの信号成分の強度の重み付け総和が閾値以上である場合のみ、認識部52eによる認識処理を行う、もしくは認識部52eによる認識結果を有効とするようにしてもよい。
【0073】
図12は、規格化部52dによる規格化前のフィルタバンク5aそれぞれの信号の強度が低周波側から順に、m_(1)、m_(2)、m_(3)、m_(4)及びm_(5)とした場合の例である。図12Aは強度の総和[m_(1)+m_(2)+m_(3)+m_(4)+m_(5)]が閾値E1以上の場合を示す。図12Bは強度の総和[m_(1)+m_(2)+m_(3)+m_(4)+m_(5)]が閾値E1未満の場合を示す。
【0074】
これにより、信号処理部52は、誤検出を低減することが可能となる。例えば、認識部52eは、規格化された信号成分の強度を用いた周波数分布により人体の所定動作を認識したとする。この場合、認識部52eは、検出範囲内において人体の所定動作が実際には発生しておらず、暗雑音が入力されていても、信号強度の周波数分布が、検出範囲内において人体の所定動作が発生した場合の特徴に似ていると判定して、誤検出する可能性がある。そこで、信号処理部52は、規格化前の信号強度を用いて認識処理の可否を判断することによって、誤検出を抑制している。
【0075】
また、規格化部52dによる規格化前の複数の所定のフィルタバンク5aを1つのフィルタバンク群5cとする(図13参照)。この場合、信号処理部52は、複数のフィルタバンク群5cのそれぞれにおいて、規格化前の信号成分の強度の総和もしくは重み付け総和が閾値E2以上であるか否かを判定してもよい。すなわち、信号処理部52は、いずれかのフィルタバンク群5cにおいて、規格化前の信号成分の強度の総和が閾値E2以上である場合のみ、認識部52eによる認識処理を行う、もしくは認識部52eによる認識処理の結果を有効とする。または、信号処理部52は、全てのフィルタバンク群5cにおいて、規格化前の信号成分の強度の総和もしくは重み付け総和が閾値E2以上である場合のみ、認識部52eによる認識処理を行う、もしくは認識部52eによる認識処理の結果を有効としてもよい。以下、この判定処理を含む一連の処理について、図14のフローチャートにしたがって説明する。なお、以降、「規格化前の信号成分の強度の総和もしくは重み付け総和」を、単に「規格化前の信号成分の強度の総和」と称す。
【0076】
まず、A/D変換部52bが、増幅部52aによって増幅されたセンサ信号をディジタルのセンサ信号に変換して出力するA/D変換処理を行う(X1)。次に、周波数分析部52cは、A/D変換部52bから出力されるセンサ信号を、DCT処理によって周波数領域の信号(周波数軸信号)に変換し(X2)、フィルタバンク5a毎の信号として抽出するフィルタバンク処理を行う(X3)。例えば、128ポイントのDCTの場合、128個の周波数ビン5bから、周波数ビン5bを5個ずつ束ねて、25個のフィルタバンク5aに分割する等が考えられる。
【0077】
次に、信号処理部52は、例えば図13に示すように、低周波側および高周波側の2つのフィルタバンク群5cのそれぞれについて、各フィルタバンク群5cを構成する複数のフィルタバンク5aの規格化前の信号強度の総和を求める。そして、信号処理部52は、信号強度の総和が閾値E2以上であるか否かをフィルタバンク群5c毎に判定する閾値判定処理を行う(X4)。
【0078】
信号処理部52は、いずれかのフィルタバンク群5cにおける信号強度の総和が閾値E2以上であれば、センサ部51から出力されるセンサ信号の振幅が大きく、暗雑音である可能性が低いと判断して、規格化部52dによる規格化処理を行う(X5)。すなわち、規格化部52dは、フィルタバンク5aそれぞれを通過した信号の強度を規格化し規格化強度として出力する。
【0079】
そして、信号処理部52の認識部52eは、規格化により得られた複数のフィルタバンク5aの周波数成分毎の信号強度の分布の特徴を認識し、人体の所定動作とみなしてよいか否かを判断する認識処理を行う(X6)。そして、出力部52mは、認識部52eが人体の所定動作を認識した場合、検出信号の出力処理を行う(X7)。
【0080】
一方、信号処理部52は、全てのフィルタバンク群5cにおける各信号強度の総和が閾値E2未満であれば、センサ部51から出力されるセンサ信号の振幅が小さく、暗雑音である可能性が高いと判断する。そして、信号処理部52は、暗雑音である可能性が高いと判断した場合、規格化部52dによる規格化処理を含む以降の処理(X5?X7)を行わない。
【0081】
そして、本実施形態の便器装置1、便座装置12は、上述の人検出器5を用いることによって、人体の動きとは異なる背景雑音(商用電源による雑音、便器装置1の機械的信号、ボウル部11a内の水面の変動、照明器具の雑音等)の影響を抑制できる。
【0082】
したがって、上述の人検出器5を用いた便器装置1、便座装置12は、使用者のトイレ室への入室、退室、便座12bへの着座、離隔等の人体の様々な動作を、誤検出を抑制しながら精度よく検出することができる。
【0083】
次に、人検出器5の検出結果を用いたコントローラ6の動作について、図15を用いて説明する。
【0084】
まず、便器装置1のコントローラ6は、トイレ室内に人が存在せず、人検出器5がトイレ室内の人体を検出していない場合、待ち受けモードで動作する。待ち受けモードのコントローラ6は、水洗装置11cによって、ボウル部11a内の溜水を低水位にし、照明制御装置11gによって、トイレ室内の照明器具を消灯状態とし、開閉装置11hによって、便座12bおよび便蓋12cを閉状態とする。さらに、待ち受けモードのコントローラ6は、局部洗浄装置11d、洗剤供給装置11fの各動作を停止させておく。
【0085】
そして、人検出器5がトイレ室内に入室する人体を検出した場合、待ち受けモードから在室モードに遷移する(J1)。待ち受けモードから在室モードに遷移したコントローラ6は、照明制御装置11gによって、トイレ室内の照明を点灯させ、開閉装置11hによって、便蓋12c、または便座12bおよび便蓋12cを開状態とする。さらに、入室検出後の認識部52eは、上述の閾値判定処理で用いる閾値E2(または閾値E1)を在室モード用の値(第1の閾値)に変更する。
【0086】
人が、便器11にさらに近付き、センサ部51(アンテナ51c、51d)の極近傍で人体が停止したことを人検出器5が検出した場合、人検出器5は人体が便座12bに着座したことを検出し、コントローラ6は、在室モードから着座モードに遷移する(J2)。着座検出後の認識部52eは、上述の閾値判定処理で用いる閾値E2(または閾値E1)を着座モード用の値(第2の閾値)に変更する。
【0087】
そして、信号処理部52では、在室モードから着座モードに移行したことを認識すると、周波数分析部52cが着座モード用の処理を実行する。そして、呼吸検出部52jは、周波数分析部52cの分析結果に基づいて、便座12bに着座した人体の呼吸の状態を検出する。すなわち、呼吸検出部52jは、人体の微動検出を行っている(J3)。
【0088】
着座モード時の周波数分析部52cは、図16に示す平均値除去部521,525、バンドパスフィルタ522,526、微分器523,527、ローパスフィルタ524,528、位相比較器529の各機能を実行する。
【0089】
周波数分析部52cは、受信部51eから出力されるセンサ信号のI相成分Yi1(In Phase)、Q相成分Yq1(Quadrature Phase)の2チャンネルの信号を利用する。
【0090】
I相成分Yi1は、平均値除去部521で平均値除去処理を施されて、I相成分Yi2となる(図17A参照)。I相成分Yi2は、所定の周波数帯域のみを通過させるバンドパスフィルタ522を通過し、微分器523で微分処理を施された後、ローパスフィルタ524を通過して、I相成分Yi3(図17B参照)となる。I相成分Yi3は、位相比較器529に入力される。
【0091】
Q相成分Yq1は、平均値除去部525で平均値除去処理を施されて、Q相成分Yq2となる(図17A参照)。Q相成分Yq2は、所定の周波数帯域のみを通過させるバンドパスフィルタ526を通過し、微分器527で微分処理を施された後、ローパスフィルタ528を通過して、Q相成分Yq3(図17B参照)となる。Q相成分Yq3は、位相比較器529に入力される。
【0092】
位相比較器529は、I相成分Yi3と、Q相成分Yq3との位相差φ1を導出し(図18参照)、この位相差φ1に基づいて、息を吸う吸気状態を示す吸気信号Yi4、息を吐く呼気状態を示す呼気信号Yq4を生成する(図17C参照)。図18において、位相角φ1>0の場合、吸気状態であり、位相角φ1<0の場合、呼気状態である。なお、位相差φ1を時間微分した値[dφ1/dt]がドップラ周波数となる。
【0093】
呼吸検出部52jは、吸気信号Yi4および呼気信号Yq4の発生パターンから、着座した人の呼吸検出を行う。そして、認識部52eは、着座中の人体が静止状態であっても、呼吸検出部52jが呼吸を検出している間(すなわち、人体の微動を検出している間)、人体が着座していることを検出できる。
【0094】
着座モードのコントローラ6は、着座モードに移行してから呼吸検出部52jによる呼吸検出状態が所定時間継続すると、水洗装置11cによって、ボウル部11a内の溜水の水位を低水位から高水位に変更させる。また、着座モードのコントローラ6は、水洗装置11cによって、ボウル部11a内の溜水の水位を低水位から中水位に一旦変更させた後に、高水位に変更させてもよい。さらに、着座モードのコントローラ6は、洗剤供給装置11fによって、洗浄水に洗剤を混入させておくことによって、ボウル部11aの洗浄効果を向上させておく。
【0095】
そして、着座モードのコントローラ6は、認識部52eによる認識処理も継続しており、認識部52eが人体の大きな動きを検出し、呼吸検出部52jが呼吸を検出しなくなると、便座12bから人体が離れる離隔と判断する。そして、コントローラ6は、着座モードから在室モードに移行する(J4)。離隔検出後の認識部52eは、上述の閾値判定処理で用いる閾値E2(または閾値E1)を在室モード用の値に変更する。着座モードから在室モードに移行したコントローラ6は、局部洗浄装置11dが使用中であれば、洗浄ノズル11eへの洗浄水の給水を停止させ、洗浄ノズル11eを収納する。また、コントローラ6は、着座モードから在室モードに移行して一定時間が経過した後、ボウル部11a内の洗浄動作を水洗装置11cに行わせる。
【0096】
そして、在室モードのコントローラ6は、人検出器5がトイレ室内から退室する人体を検出した場合、在室モードから待ち受けモードに遷移する(J5)。在室モードから待ち受けモードに遷移したコントローラ6は、照明制御装置11gによって、トイレ室内の照明を消灯し、開閉装置11hによって、便座12bおよび便蓋12cを閉状態とする。さらに、退室検出後の認識部52eは、上述の閾値判定処理で用いる閾値E2(または閾値E1)を待ち受けモード用の値に変更する。
【0097】
また、信号処理部52は、周波数分析部52cの出力に基づいて人体までの距離を検出する測距部52kを備える。また、信号処理部52は、周波数分析部52cの出力に基づいて人体の移動方向(接近・離脱)を検出する方向検出部52lを備える。
【0098】
測距部52kの動作の概要を図19?図21に示す。
【0099】
まず、センサ部51の送信制御部51aは、送信部51bが送信する電波(送信信号)の周波数fsを上昇させた後に下降させるスイープ処理を繰り返す。送信信号の周波数fsは、変動幅Δfa、中心周波数fo1、スイープ周期T1に設定される(図19A)。
【0100】
受信部51eは、センサ部51と人体との間の距離をW、光速をCとすると、T2=2W/C後に反射波(受信信号)を受信する(図19A)。受信信号の周波数frは、送信信号の周波数fsと同様に、変動幅Δfa、スイープ周期T1で変化する。また、人体の接近速度をVrとすると、受信信号の中心周波数fo2=[fo1+{(2・fo1・Vr)/C}]となる。
【0101】
そして、受信部51eは、送信信号の周波数fsと受信信号の周波数frとの周波数差に等しい周波数fbを有するビート信号を生成して出力する(図19B)。
【0102】
送信信号の周波数fsと受信信号の周波数frとの両方が上昇しているとき、ビート信号の周波数fbは、fb=fb1=[(4・Δfa・W)/(C・T1)]-[(2・fo1・Vr)/C]
となる。上式の第1項は、人検出器5から人体までの距離を表す位置情報であり、第2項は、人体が人検出器5に接近する速度を表す速度情報である。
【0103】
また、送信信号と受信信号との両方の周波数が下降しているとき、ビート信号の周波数fbは、
fb=fb2=[(4・Δfa・W)/(C・T1)]+[(2・fo1・Vr)/C]
となる。上式の第1項は、人検出器5から人体までの距離を表す位置情報であり、第2項は、人体が人検出器5に接近する速度を表す速度情報である。
【0104】
そして、周波数分析部52cは、ビート信号(図20参照)に周波数分析処理を施す。図21A?図21Dは、周波数分析部52cによって周波数分析処理を施されたビート信号の波形であり、図21A→図21B→図21C→図21Dの順に人体が人検出器5に接近している。
【0105】
測距部52kは、周波数分析処理を施されたビート信号に基づいて、センサ部51から人体までの距離を測定する。そして、認識部52eは、測距部52kが生成した距離情報(測定結果)も併せて用いて認識処理を行うことで人体の位置を特定できるため、人体の各動作をより精度よく識別して認識できる。
【0106】
また、方向検出部52lは、周波数分析部52cの出力に基づいて人体の移動方向(接近・離脱)を検出する。そして、認識部52eは、方向検出部52lが検出した方向情報も併せて用いて認識処理を行うことで人体の移動方向を特定できるため、人体の各動作をより精度よく識別して認識できる。この方向検出部52lは、呼吸検出部52jと同様の処理、もしくは距離情報の差分から、人体の移動方向を判断することができる。
【0107】
また、便器装置1は、トイレ室の大きさに合わせて、人体の動作を検出する範囲を外部から設定できる外部設定機能を設けてもよい。
【0108】
また、センサ部51(送信アンテナ51c、受信アンテナ51d)の取り付け位置としては、便座12bに着座した側に設けられることが好ましい。例えば、センサ部51は、便座12bに着座した人体の背面側に位置する便座本体12aに設けられることが好ましい。あるいは、便器11内に供給する水を貯める水洗タンクを、便座12bに着座した人体の背面側に備えた場合、センサ部51は、この水洗タンクに設けられることが好ましい。
【0109】
また、送信アンテナ51c、受信アンテナ51dは、そのアンテナ面が鉛直、または鉛直とみなせる範囲に設置されることが好ましい。また、待ち受けモード、在室モード、着座モードで、送信アンテナ51c、受信アンテナ51dの各アンテナ面の向きを変更できるようにしてもよい。この場合、人体の動きの検出感度が向上する。
【0110】
上述の人検出器5は、便座装置12が備える構成に限定されず、便器装置1が備える構成、あるいはリモコン操作器3が備える構成でもよい。
【0111】
(まとめ)
(1)以上説明したように、便座装置12は、便器11上に載置される便座本体12a(本体)と、便座本体12aに開閉自在に付設された便座12bと、人体を検出対象とする人検出器5とを備える。人検出器5は、無線信号を送信し、物体で反射した無線信号を受信して、物体の動きに応じたセンサ信号を出力するセンサ部51を備える。さらに人検出器5は、周波数分析部52cを備える。周波数分析部52cは、センサ信号を周波数領域の信号に変換し、周波数帯域の異なる複数のフィルタバンク5a毎の信号として抽出する。さらに人検出器5は、認識部52eを備える。認識部52eは、複数のフィルタバンク5a毎の信号に基づく信号の周波数分布と、複数のフィルタバンク5a毎の信号に基づく信号強度の成分比との少なくとも一方を検出データとし、検出データにより人体の所定動作を検出する認識処理を行う。さらに人検出器5は、人体の所定動作に対応する周波数分布と、人体の所定動作に対応する信号強度の成分比との少なくとも一方をサンプルデータとして格納するデータベース52iを備える。認識部52eは、検出データをサンプルデータと照合することによって認識処理を行い、少なくとも便器11が設置された空間に侵入した人体の存否を検出する第1の検出機能と、便座12bに着座した人体の存否を検出する第2の検出機能とを有する。
【0112】
この構成によると、便座装置は、人体の様々な動作を、誤検出を抑制しながら精度よく検出することができる人検出器を用いる。したがって、便座装置は、トイレへの入室、退室、便座の着座、離隔等の人体の様々な動作を精度よく検出することができるという効果がある。
【0113】
(2)ここで、上記(1)の便座装置12において、サンプルデータには、第1のサンプルデータと、第2のサンプルデータとがある。認識部52eは、第1の検出機能を実行する場合には第1のサンプルデータを用い、第2の検出機能を実行する場合には第2のサンプルデータを用いることが好ましい。
【0114】
この構成によると、便座装置12は、人体の動作を、誤検出を抑制しながら精度よく検出することができる。
【0115】
(3)ここで、上記(1)または(2)の便座装置12の認識部52eは、複数のフィルタバンク5aの各信号強度の総和が閾値以上である場合、認識処理を行う、もしくは認識処理の結果を有効とすることが好ましい。ここで、閾値には、第1の閾値(在室モード用の値)と、第1の閾値とは異なる第2の閾値(着座モード用の値)とがある。認識部52eは、第1の検出機能を実行する場合には閾値として第1の閾値を用い、第2の検出機能を実行する場合には閾値として第2の閾値を用いる。
【0116】
この構成によると、便座装置12は、人体の動作を、誤検出を抑制しながら精度よく検出することができる。
【0117】
(4)ここで、上記(1)?(3)のいずれかの便座装置12は、複数のフィルタバンク5aを通過した信号から背景信号を除去する背景信号除去部52hを備えることが好ましい。
【0118】
この構成によると、便座装置12は、人体の検出精度の向上を図ることができる。
【0119】
(5)ここで、上記(1)?(4)のいずれかの便座装置12は、センサ信号に基づいて人体までの距離を測定する測距部52kを備え、認識部52eは、測距部52kの測定結果も併せて用いて認識処理を行うことが好ましい。
【0120】
この構成によると、認識部52eは、測距部52kが生成した測定結果も併せて用いて認識処理を行うことで人体の位置を特定できるため、人体の動きをより精度よく識別して認識でき、さらには所望のエリア外からの不要な信号を排除できる。
【0121】
(6)ここで、上記(1)?(5)のいずれかの便座装置12は、センサ信号に基づいて人体の移動方向を検出する方向検出部52lを備え、認識部52eは、方向検出部52lの検出結果も併せて用いて識処理を行うことが好ましい。
【0122】
この構成によると、認識部52eは、方向検出部52lが検出した移動方向も併せて用いて認識処理を行うことで人体の存在を特定できるため、人体をより精度よく識別して認識できる。
【0123】
(7)ここで、上記(1)?(6)のいずれかの便座装置12は、センサ信号に基づいて、便座12bに着座した人体の呼吸の状態を検出する呼吸検出部52jを備えることが好ましい。
【0124】
この構成によると、便座装置12は、呼吸検出部52jが呼吸を検出している間、人体が着座していることを検出できる。
【0125】
(8)ここで、上記(1)?(7)のいずれかの便座装置12のセンサ部51は、便座12bに着座した人体の背面と向き合うように設けられることが好ましい。
【0126】
この構成によると、便座装置12は、人体の検出を行うことができる。
【0127】
(9)ここで、上記(1)?(8)のいずれかの便座装置12は、規格化部52dを備えることが好ましい。規格化部52dは、周波数分析部52cにより抽出された信号の強度の総和もしくは複数のフィルタバンク5aのうち所定数のフィルタバンク5aを通過した信号の強度の総和で、複数のフィルタバンク5aそれぞれを通過した信号の強度を規格化する。規格化部52dは、規格化した強度を規格化強度として出力する。認識部52eは、規格化部52dから出力される複数のフィルタバンク5a毎の規格化強度から決まる周波数分布と規格化強度の成分比との少なくとも一方により人体の所定動作を検出する認識処理を行う。
【0128】
この構成によると、便座装置12は、複数のフィルタバンク5a毎の規格化強度から決まる周波数分布と規格化強度の成分比との少なくとも一方により人体の所定動作を検出することができる。
【0129】
(10)また、便器装置1は、上記(1)から(9)のいずれの便座装置12と、便座装置12の便座本体12a(本体)が載置される便器11とを備えることを特徴とする。
【0130】
したがって、便器装置1、便座装置12は、人体の様々な動作を、誤検出を抑制しながら精度よく検出することができる人検出器5を用いることによって、トイレへの入室、退室、便座の着座、離隔等の人体の様々な動作を精度よく検出することができる。
【0131】
(11)ここで、上記(10)の便器装置1は、人検出器5の検出結果に基づいて、便器11内にて水を吐出する給水装置(水洗装置11c、局部洗浄装置11d)の動作を制御するコントローラ6を備えることが好ましい。
【0132】
この構成によると、便器装置1は、人検出器5の検出結果に基づいて給水装置の動作を制御することができる。
【0133】
(12)ここで、上記(11)の便器装置1は、便器11内に供給する水を貯める水洗タンクを、便座12bに着座した人体の背面と向き合うように備え、センサ部51は、水洗タンクに設けられることが好ましい。
【0134】
この構成によると、便器装置1は、人体を検出することができる。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(削除)
【請求項2】
便器上に載置される本体と、
前記本体に開閉自在に付設された便座と、
人体を検出対象とする人検出器とを備え、
前記人検出器は、
無線信号を送信し、物体で反射した前記無線信号を受信して、前記物体の動きに応じたセンサ信号を出力するセンサ部と、
前記センサ信号を周波数領域の信号に変換し、周波数帯域の異なる複数のフィルタバンク毎の信号として抽出する周波数分析部と、
前記複数のフィルタバンク毎の信号に基づく信号の周波数分布と、前記複数のフィルタバンク毎の信号に基づく信号強度の成分比との少なくとも一方を検出データとし、前記検出データにより人体の所定動作を検出する認識処理を行う認識部と、
前記人体の所定動作に対応する周波数分布と、前記人体の所定動作に対応する信号強度の成分比との少なくとも一方をサンプルデータとして格納するデータベースとを備え、
前記認識部は、前記検出データを前記サンプルデータと照合することによって前記認識処理を行い、少なくとも前記便器が設置された空間に侵入した前記人体の存否を検出する第1の検出機能と、前記便座に着座した前記人体の存否を検出する第2の検出機能とを有し、
前記サンプルデータには、第1のサンプルデータと、前記第1のサンプルデータとは異なる第2のサンプルデータとがあり、
前記認識部は、前記第1の検出機能を実行する場合には前記第1のサンプルデータを用い、前記第2の検出機能を実行する場合には前記第2のサンプルデータを用いることを特徴とする便座装置。
【請求項3】
前記認識部は、前記複数のフィルタバンクの各信号強度の総和が閾値以上である場合、前記認識処理を行う、もしくは前記認識処理の結果を有効とし、
前記閾値には、第1の閾値と、前記第1の閾値とは異なる第2の閾値とがあり、
前記認識部は、前記第1の検出機能を実行する場合には前記閾値として前記第1の閾値を用い、前記第2の検出機能を実行する場合には前記閾値として前記第2の閾値を用いる
ことを特徴とする請求項2記載の便座装置。
【請求項4】
前記複数のフィルタバンクを通過した信号から背景信号を除去する背景信号除去部を備えることを特徴とする請求項2又は3記載の便座装置。
【請求項5】
前記センサ信号に基づいて前記人体までの距離を測定する測距部を備え、前記認識部は、前記測距部の測定結果も併せて用いて前記認識処理を行うことを特徴とする請求項2乃至4いずれか記載の便座装置。
【請求項6】
前記センサ信号に基づいて前記人体の移動方向を検出する方向検出部を備え、前記認識部は、前記方向検出部の検出結果も併せて用いて前記認識処理を行うことを特徴とする請求項2乃至5いずれか記載の便座装置。
【請求項7】
前記センサ信号に基づいて、前記便座に着座した前記人体の呼吸の状態を検出する呼吸検出部を備えることを特徴とする請求項2乃至6いずれか記載の便座装置。
【請求項8】
前記センサ部は、前記便座に着座した前記人体の背面と向き合うように設けられることを特徴とする請求項2乃至7いずれか記載の便座装置。
【請求項9】
前記周波数分析部により抽出された信号の強度の総和もしくは所定の前記複数のフィルタバンクのうち所定数のフィルタバンクを通過した信号の強度の総和で、前記複数のフィルタバンクそれぞれを通過した信号の強度を規格化し規格化強度として出力する規格化部を備え、
前記認識部は、前記規格化部から出力される前記複数のフィルタバンク毎の規格化強度から決まる周波数分布と前記規格化強度の成分比との少なくとも一方により前記人体の所定動作を検出する前記認識処理を行う
ことを特徴とする請求項2乃至8いずれか記載の便座装置。
【請求項10】
請求項2乃至9いずれか記載の便座装置と、前記便座装置の前記本体が載置される前記便器とを備えることを特徴とする便器装置。
【請求項11】
前記人検出器の検出結果に基づいて、前記便器内にて水を吐出する給水装置の動作を制御するコントローラを備えることを特徴とする請求項10記載の便器装置。
【請求項12】
前記便器内に供給する水を貯める水洗タンクを、前記便座に着座した前記人体の背面と向き合うように備え、
前記センサ部は、前記水洗タンクに設けられる
ことを特徴とする請求項11記載の便器装置。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2018-09-10 
出願番号 特願2015-552335(P2015-552335)
審決分類 P 1 651・ 851- YAA (E03D)
P 1 651・ 853- YAA (E03D)
P 1 651・ 857- YAA (E03D)
P 1 651・ 121- YAA (E03D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 油原 博  
特許庁審判長 前川 慎喜
特許庁審判官 西田 秀彦
井上 博之
登録日 2017-07-21 
登録番号 特許第6176336号(P6176336)
権利者 パナソニックIPマネジメント株式会社
発明の名称 便座装置、および便器装置  
代理人 特許業務法人北斗特許事務所  
代理人 日向寺 雅彦  
代理人 特許業務法人北斗特許事務所  
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