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審決分類 審判 一部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A24D
審判 一部申し立て 2項進歩性  A24D
審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載  A24D
管理番号 1345863
異議申立番号 異議2017-701078  
総通号数 228 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-12-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-11-16 
確定日 2018-10-12 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6129554号発明「フィルターロッド製造機」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6129554号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-8、10〕、〔11-13〕について訂正することを認める。 特許第6129554号の請求項1、2、5、10、11及び13に係る特許を維持する。 特許第6129554号の請求項12に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6129554号の請求項1?13に係る特許についての出願は、平成29年4月21日にその特許権の設定登録がされ、平成29年5月17日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
平成29年11月16日 : 特許異議申立人飯田進による請求項1、請求項2、請求項5及び請求項10ないし請求項13に係る特許に対する異議の申立て
平成30年 1月16日付け: 取消理由通知
同年 4月19日 : 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
同年 6月21日 : 特許異議申立人による意見書の提出

第2 訂正の適否
1 訂正の内容
平成30年4月19日の訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)による訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は以下のとおりである。
(1)訂正事項1(下線は訂正箇所を示す。)
特許請求の範囲の請求項1に「前記回転自在の対象物移送部材は、対象物を該回転自在の対象物移送部材から前記舌部内に直接搬送して、その対象物が、前記舌部内を通過しているフィルタープラグ材内に挿入されるように配されており、
前記カッターは、前記長尺のフィルターロッドを切断し、中に1つ以上の対象物を有するフィルターロッドセグメントを形成するように構成されている」と記載されている事項を、
「前記回転自在の対象物移送部材は、対象物を該回転自在の対象物移送部材から前記舌部内に直接搬送して、その対象物が、前記舌部内を通過しているフィルタープラグ材内に挿入されるように配されており、
前記舌部において、該舌部内を通過している前記フィルタープラグ材に轍のような溝を開口するように構成されたプラフをさらに含み、対象物が前記溝に挿入され、
前記カッターは、前記長尺のフィルターロッドを切断し、中に1つ以上の対象物を有するフィルターロッドセグメントを形成するように構成されている」と訂正する。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項3を削除する。

(3)訂正事項3(下線は訂正箇所を示す。)
請求項4の「請求項3記載の」を「請求項1または2記載の」と訂正し、請求項5の「請求項1乃至4」を「請求項1若しくは2または4」と訂正し、請求項6の「請求項1乃至5」を「請求項1若しくは2または4若しくは5」と訂正し、請求項10の「請求項1乃至9」を「請求項1若しくは2または4乃至9」と訂正する。

(4)訂正事項4(下線は訂正箇所を示す。)
特許請求の範囲の請求項11に「対象物を回転自在の対象物移送部材から前記舌部内に直接搬送し、前記対象物を、前記舌部内を通過しているフィルタープラグ材内に挿入する工程と、
前記ガーニチャーにおいて、包装された長尺のフィルターロッドを形成する工程と、」と記載されている事項を、
「対象物を回転自在の対象物移送部材から前記舌部内に直接搬送し、前記対象物を、前記舌部内を通過しているフィルタープラグ材内に挿入する工程と、
前記舌部内を通過している前記フィルタープラグ材に轍のような溝を開口し、前記対象物を前記溝に挿入する工程と、
前記溝内に前記回転自在の対象物移送部材からの対象物を案内する工程と、
前記ガーニチャーにおいて、包装された長尺のフィルターロッドを形成する工程と、」と訂正する。

(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項12を削除する。

(6)訂正事項6(下線は訂正箇所を示す。)
特許請求の範囲の請求項13に「前記溝内に前記回転自在の対象物移送部材からの対象物を案内する工程をさらに含み、前記対象物を案内する工程が、前記舌部内を通過している前記フィルタープラグ材の移動方向に対して実質的に平行な方向に前記溝内に前記対象物を案内することを含むことを特徴とする請求項12記載の方法」と記載されている事項を、
「前記対象物を案内する工程が、前記舌部内を通過している前記フィルタープラグ材の移動方向に対して実質的に平行な方向に前記溝内に前記対象物を案内することを含むことを特徴とする請求項11記載の方法」に訂正する。

2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、一群の請求項及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1
訂正事項1は、訂正前の請求項1の「舌部」について、訂正前の請求項3に記載された事項に基づき、より具体的に特定して限定するものであるから特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。また、請求項1を直接又は間接に引用する訂正後の請求項2、4?8、10についても同様に特許請求の範囲を減縮するものである。
そして、訂正事項1は上記のとおりの訂正であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された範囲内でなされたものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(2)訂正事項2
訂正事項2は、訂正前の請求項3を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(3)訂正事項3
訂正前の請求項4は請求項3のみを引用していたところ、訂正事項1により請求項3の特定事項が請求項1に組み込まれ、訂正事項2により請求項3が削除されたことから、請求項1または2を引用するものとしたものであり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、訂正前の請求項5、6及び10は請求項3を引用するものであるところ、請求項3の削除に伴い、請求項5、6及び10について請求項3を引用しないものに訂正するものであり、引用する請求項の一部を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項3は上記のとおりの訂正であるから、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(4)訂正事項4
訂正事項4は、訂正前の請求項11の「舌部」について、訂正前の請求項12に記載された事項及び訂正前の請求項13に記載された事項の一部に基づき、より具体的に特定して限定するものであるから特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項4は上記のとおりの訂正であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された範囲内でなされたものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(5)訂正事項5
訂正事項5は、訂正前の請求項12を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(6)訂正事項6
訂正前の請求項13は請求項12のみを引用していたところ、訂正事項4により、請求項12の特定事項及び請求項13の特定事項の一部が請求項11に組み込まれたことから、請求項13の当該特定事項を削除するとともに、請求項11を引用するものとしたものであり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、訂正事項6は上記のとおりの訂正であるから、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(7)一群の請求項に係る訂正
訂正事項1ないし3に係る訂正前の請求項1ないし8及び10について、訂正前の請求項2ないし8及び10は訂正前の請求項1を直接又は間接的に引用するものであるから、訂正事項1ないし3に係る請求項1ないし8及び10は一群の請求項である。
訂正事項4ないし6に係る訂正前の請求項11ないし13について、訂正前の請求項12及び13は訂正前の請求項11を直接又は間接的に引用するものであるから、訂正事項4ないし6に係る請求項11ないし13は一群の請求項である。

3 独立特許要件について
(1)請求項1、2、5及び10ないし13
特許異議の申立ては、訂正前の請求項1、2、5及び10ないし13に対してされているので、訂正後の請求項1、2、5及び10ないし13については、訂正を認める要件として、特許法120条の5第9項で準用する同法126条7項の規定が適用されない。

(2)請求項4及び6ないし8について
他方、訂正後の請求項4及び6ないし8は、上記したとおり特許請求の範囲の減縮を目的とした訂正がされたものであるが、訂正前の請求項4及び6ないし8は特許異議の申立てがされていない請求項であるから、訂正後の請求項4及び6ないし8に係る発明は、特許出願の際、独立して特許を受けることができるものでなければならない(特許法120条の5第9項で準用する同法126条7項)ので、以下検討する。

ア 訂正後の請求項4及び6ないし8について
訂正後の請求項4及び6ないし8は訂正後の請求項1を引用するものであるところ、訂正後の請求項1に係る発明は、後記第3の【請求項1】に記載された事項により特定されるとおりのものである。
そして、訂正後の請求項1に係る発明は、後記第3及び第4のとおり、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立ての理由によって特許を受けることができないものではない。
そうすると、訂正後の請求項4及び6ないし8に係る発明は、訂正後の請求項1を引用するものであって、訂正後の請求項1に係る発明の発明特定事項の全てを含むものであるから、訂正後の請求項1に係る発明と同様に、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立ての理由によって特許を受けることができないものではない。
また、他に訂正後の請求項4及び6ないし8に係る発明が特許を受けることができないとする理由はない。

イ まとめ
したがって、訂正後の請求項4及び6ないし8に係る発明は特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。

4 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正は特許法120条の5第2項ただし書1号及び3号に掲げる事項を目的とするものであり、同条9項において準用する同法126条5項ないし7項の規定に適合し、また、本件訂正請求は、同条4項に適合するので、本件訂正を認める。

第3 当審の判断
1 平成30年1月16日付け取消理由通知について
当審において、平成30年1月16日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は次のとおりである。
(1)本件特許の請求項1、2、5及び10ないし12に係る発明は,その優先日前に頒布された後記甲第1ないし3号証及び甲第5ないし12号証に記載の発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。

(2)本件特許の請求項1、2、11及び12に係る発明は,その優先日前に頒布された後記甲第3号証に記載された発明であり、特許法29条1項3号の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。

(3)請求項1、2、5及び10ないし12に係る発明は,その優先日前の外国語特許出願(特許法第184条の4第3項の規定により取り下げられたものとみなされたものを除く。)であって,その出願後に国際公開がされたPCT/EP2009/065107(甲第4号証参照。)に係る外国語特許出願の国際出願日における国際出願の明細書,請求の範囲又は図面(以下「明細書等」という。)に記載された発明と同一であり,しかも,この出願の発明者がその出願前の外国語特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく,またこの出願の時において,その出願人が上記外国語特許出願の出願人と同一でもないので,特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないから(同法第184条の13参照),取り消されるべきものである。

甲第1号証 特表2007-504824号公報
甲第2号証 特公昭57-1226号公報
甲第3号証 特公昭51-47799号公報
甲第4号証 特表2012-508570号公報
甲第5号証 特公昭55-29676号公報
甲第6号証 特公平2-40311号公報
甲第7号証 特開平11-221068号公報
甲第8号証 特開昭63-291567号公報
甲第9号証 特表2002-537789号公報
甲第10号証 米国特許第5331976号明細書
甲第11号証 特開平8-228751号公報
甲第12号証 国際公開第2008/154539号
甲第13号証 国際公開第2007/038053号

2 本件特許に係る発明
本件訂正は認容されるので、本件特許の請求項1、2、5、10、11及び13係る発明(以下「本件発明1」などといい、総称して「本件発明」という。)は、本件訂正に係る訂正特許請求の範囲の請求項1、2、5、10、11及び13に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
喫煙品の製造に使用するためのフィルターロッド製造機であって、この製造機は、舌部を含むガーニチャーと、回転自在の対象物移送部材と、カッターとを含み、
前記ガーニチャーは、フィルタープラグ材およびフィルター包装材を受け、包装された長尺のフィルターロッドを形成するように構成されており、
さらに前記ガーニチャーに含まれる前記舌部は、その内部に、前記フィルタープラグ材、前記フィルター包装材、およびガーニチャーテープが、それぞれ、前記フィルタープラグ材が前記フィルター包装材の上に接触して位置し、また、前記フィルター包装材が前記ガーニチャーテープの上に接触して位置するように引き込まれるように構成されており、さらに前記舌部は、前記フィルタープラグ材が該舌部内を通過する際に該フィルタープラグ材を圧縮するように構成されており、
前記回転自在の対象物移送部材は、対象物を該回転自在の対象物移送部材から前記舌部内に直接搬送して、その対象物が、前記舌部内を通過しているフィルタープラグ材内に挿入されるように配されており、
前記舌部において、該舌部内を通過している前記フィルタープラグ材に轍のような溝を開口するように構成されたプラフをさらに含み、対象物が前記溝に挿入され、
前記カッターは、前記長尺のフィルターロッドを切断し、中に1つ以上の対象物を有するフィルターロッドセグメントを形成するように構成されている、製造機。」
「【請求項2】
前記回転自在の対象物移送部材が、前記舌部内に入り込んで、各対象物が前記舌部の内側の出口ポイントで移送部材から出るようにすることを特徴とする請求項1記載の装置。」
「【請求項5】
前記フィルタープラグ材が前記ガーニチャーに入る前に前記フィルタープラグ材を圧縮するように構成された押し込み噴射部をさらに含むことを特徴とする請求項1若しくは2または4いずれか1項記載の製造機。」
「【請求項10】
前記対象物が脆弱な流体含有カプセルであることを特徴とする請求項1若しくは2または4乃至9いずれか1項記載の製造機。」
「【請求項11】
喫煙品の製造に使用するためのフィルターロッドの製造方法であって、該方法は、
フィルターロッド製造機のガーニチャーがフィルタープラグ材およびフィルター包装材を受ける工程と、
前記ガーニチャーに含まれる舌部内に、前記フィルタープラグ材、前記フィルター包装材、およびガーニチャーテープを、それぞれ、前記フィルタープラグ材が前記フィルター包装材の上に接触して位置し、また、前記フィルター包装材がガーニチャーテープの上に接触して位置するように引き込む工程と、
前記フィルタープラグ材が前記舌部内を通過する際に該フィルタープラグ材を圧縮する工程と、
対象物を回転自在の対象物移送部材から前記舌部内に直接搬送し、前記対象物を、前記舌部内を通過しているフィルタープラグ材内に挿入する工程と、
前記舌部内を通過している前記フィルタープラグ材に轍のような溝を開口し、前記対象物を前記溝に挿入する工程と、
前記溝内に前記回転自在の対象物移送部材からの対象物を案内する工程と、
前記ガーニチャーにおいて、包装された長尺のフィルターロッドを形成する工程と、
この長尺のフィルターロッドをフィルターロッドセグメントに切断し、各セグメントがその中に1つ以上の対象物を有するようにする工程とを含む方法。」
「【請求項13】
前記対象物を案内する工程が、前記舌部内を通過している前記フィルタープラグ材の移動方向に対して実質的に平行な方向に前記溝内に前記対象物を案内することを含むことを特徴とする請求項11記載の方法。」

3 甲各号証の記載について
訂正後の本件発明1は、特許異議の申立てがされてない訂正前の請求項3に係る発明の発明特定事項を全て含むものである。
そして、訂正前の請求項3は「【請求項3】前記舌部において、該舌部内を通過している前記フィルタープラグ材に轍のような溝を開口するように構成されたプラフをさらに含み、対象物が前記溝に挿入されることを特徴とする請求項1または2記載の装置。」であり、該請求項3に係る発明特定事項の一部である「フィルタープラグ材に轍のような溝を開口する」という事項については、特許異議の申立てがされている訂正前の請求項12の「【請求項12】前記舌部内を通過している前記フィルタープラグ材に轍のような溝を開口する工程をさらに含み、前記対象物が前記溝に挿入されることを特徴とする請求項11記載の方法。」と発明特定事項が共通するものである。
この点、甲第1号証ないし甲第3号証の中で、「フィルタープラグ材に轍のような溝を開口する」ための手段についての記載が認められるものは、後記するように甲第3号証である。
他方、他の甲号証については、次のとおりである。
甲第4号証(及び甲第13号証)については、特許法29条1項3号又は29条2項に係る証拠である甲第1号証ないし甲第3号証とは異なり、特許法29条の2に係る証拠である。
甲第5号証ないし甲第7号証は、フィルタープラグ材、フィルター包装材、及びガーニチャーテープを、舌部の内部に引き込むようにすることは周知(以下「周知技術1」という。)であることの例として引用する文献であるが、周知技術1に係る構成は後記するとおり、甲第3号証に記載されている。
甲第8号証ないし甲第10号証は、フィルタトウを舌部に押し込むための押し込み噴射部が周知(以下「周知技術2」という。)であることの例として引用する文献であるが、周知技術2は、本件発明5(請求項5)に関係するものである。
甲第11号証及び甲第12号証は、流体含有カプセルをフィルターロッドに挿入することが周知(以下「周知技術3」という。)であることの例として引用する文献であるが、周知技術3は、本件発明10(請求項10)に対応するものである。
以上から、事案に鑑み、甲第3号証及び甲第4号証の記載から述べることとする。

(1)甲第3号証:特公昭51-47799号公報
ア 甲第3号証の記載
甲第3号証(以下「甲3」という。)には、次の事項が記載されている。
(ア)「特許請求の範囲
1 粒状物質からなる添加物を含むタバコ用フィルターを製造するに当り、細長いフイルター材を軸方向に連続的に供給しつつそのフイルター材を拡げてU字形に成形し、一方、周囲に決められた間隔ごとに決められた寸法のポケツトを有する車輪をその外周の速度がフイルター材の移動速度と同調するように回転せしめ、ポケツトが上部にある時にホツパーより添加物を受け取り、ポケツトが下に来た時に吸引力の補助により重力で決められた量の添加物を上記フイルターのU字形の底に決められた一定距離間隔ごとに連続して添加させた後そのフイルター材を被覆で包み丸棒状となし、切断された一単位ごとに少なくとも一定量の添加物が含まれた丸棒状のフイルター材を得られるようにこれを切断した粒状物質を含むマルチ・フイルターの製造方法。」(1欄21?37行)
(イ)「発明の詳細な説明
この発明は紙巻きタバコのフイルターとして用いられる粒状物質を含むマルチ・フイルターの製造方法に関するものである。・・・
この発明の目的はこのような従来の粒状物質を含むマルチ・フイルター製造方法の添加物が移動しやすいことあるいはそれを防ぐと製造工程が複雑になり製造費が掛るという欠点を除去し、さらに添加物が飛び散ることなどによる工場の汚染が少なく、正確な量の添加物を添加でき、しかも実用的な、粒状物質を含むマルチ・フイルターの製造方法を供することにある。」(2欄1?32行)
(ウ)「以下図面によつて本発明の詳細を説明すると第1図において本発明の方法による装置10は粒状の物質を断続的に含むマルチ・フイルター棒を製造し、これを適当な長さに切断するものである。」(2欄33?36行)
(エ)「フイルター物質14は細長い棒状であり、通常の保存用入れ物などから軸方向に連続的に供給され、通常のフイルター製造に用いられるフィルター拡げ装置20で拡げられ、拡げられたフイルター物質22はトリアセトンなどの固化剤を固化剤添加装置24で添加される。
さらにフイルター物質22は駆動ロール26及びロール28によつてトランぺツト32へと供給される。トランぺツト32は拡げられたフイルター物質22をU字形にして添加物18を受け入れやすくするためのものである。
U字形にされたフイルター物質22は、供給ロール38から供される紙製の被覆36とともにベルト40により添加装置34へと送られる。」(3欄8?21行)
(オ)「添加装置34の詳細を第4図および第6図に示す。添加装置34はあらかじめ決めた量の添加物18をU字形にされたフイルター物質22の底部に適当な間隔ごとに連続的に添加するための装置である。車輪46の周囲に決められた間隔ごとに設けられた寸法のポケツト44へホツパー42から重力によつて添加物18が供給される。添加物18の供給が確実に行なわれるように車輪46の内側から吸引力を加えてもよい。ポケツト44が添加物18によつて満されてから後添加物18の入つたポケツト44が一番下に来てU字形のフイルター物質22に重力により添加するまでの間は車輪46の回転中に添加物18がこぼれないよう、保持板48が車輪46の外周に設けられている。フイルター物質22に添加を行なう位置すなわち車輪46の一番下側の位置では添加を確実にするために下から真空装置50で吸引してもよい。被覆36およびフイルター物質22の運動と同調させるため車輪36の外周の速度はベルト40の速度と同じで連続的に回転することが望ましい。」(3欄22?41行)
(カ)「あらかじめ決めた間隔ごとに決められた量の添加物18を添加されたフイルター物質22は被覆36とともに添加装置34を出ると直ちに仕上げ装置52へ送られる。仕上げ装置52ではのり付け装置54で被覆36のふちにのりを付け、折り機55でフイルター物質22が添加物18を包んで円柱形となるように丸めて被覆36をのり付けする。被覆36に円周部を包まれたフイルター物質22はヒーター56を通り、切断装置58により第2図に示されるように、切断された一単位ごとに少なくとも一個の添加物18が入るように切断される。」(3欄42行?4欄9行)
(キ)「なお実施例では1種類の添加物を完成されたマルチ・フイルターの一単位に1つづつ含む場合について図示したが、実用に際しては2種類以上の添加物を加えることも、完成されたマルチ・フイルターの一単位ごとに2つ以上の添加物のポケツトを有するフイルターを製造することも可能である。」(4欄21?27行)
(ク)第4図並びに第4図の断面図である第6及び7図について
a 上記記載(オ)及び第4図の記載を参照すると、添加物18は、車輪36が回転しポケット44が一番下に来て、重力によりフィルター物質22に添加されるのであり、添加物18が添加される場所を含み、フィルター物質22が進行する下流にかけて、点線及び実線で示された部材(以下「部材A」という。)が仕上げ装置52の上方に位置するものであることが理解できる。
b 第4図の6-6断面図である第6図の記載から、添加物18が添加される場所において、部材Aが、内側屈曲部を上部に有する一対の壁を有するものであることが看取でき、第4図の7-7断面図である第7図の記載から、部材Aが、上記添加される場所の下流において、フィルター物質22を覆うカバーを上部に有することが看取できる。
c 上記部材Aの図示位置に加え、上記(エ)の「U字形にされたフイルター物質22は、供給ロール38から供される紙製の被覆36とともにベルト40により添加装置34へと送られる。」という記載、上記(オ)の「被覆36およびフイルター物質22の運動と同調させるため車輪36の外周の速度はベルト40の速度と同じで連続的に回転することが望ましい。」という記載、並びに第4図、第6図及び第7図の記載から、フィルター物質22、紙製の被覆36、及びベルト40が、それぞれ、フィルター物質22が紙製の被覆36の上に接触して位置し、また、紙製の被覆36がベルト40の上に接触して位置するように、部材Aの内部に引き込まれることが理解できる。
(ケ)第4図並びに第4図の断面図である第5図について
上記(エ)の「トランぺツト32は拡げられたフイルター物質22をU字形にして添加物18を受け入れやすくするためのものである。U字形にされたフイルター物質22は、供給ロール38から供される紙製の被覆36とともにベルト40により添加装置34へと送られる。」という記載に基づき、第4及び5図を参照すると、両図面のトランペット32には、フィルター物質22をU字形にするためのリブが看取できる。
(コ)上記(カ)及び(ケ)に加え、第6図に記載された断面態様から、車輪46の一番下側の位置で添加物18を添加する際に、車輪46の縁部は部材Aの中に入り、縁部はフィルター物質22に接触していることが看取できる。
















イ 甲3発明
上記記載事項から、甲3には次の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されている。
「紙巻タバコのフィルターとして用いられるマルチ・フィルターの製造装置であって、この製造装置は、
内側屈曲部を上部に有する一対の壁とその下流側の上部に設けられたカバーとを有する部材Aを備えた仕上げ装置52と、車輪46と、切断装置58とを含み、
仕上げ装置52は、フィルター物質22及び紙製の被覆36を受け、包装されたフィルター棒12を形成するように構成されており、
仕上げ装置52の上方に位置する部材Aは、その内部に、フィルター物質22、紙製の被覆36、及びベルト40が、それぞれ、フィルター物質22が紙製の被覆36の上に接触して位置し、また、紙製の被覆36がベルト40の上に接触して位置するように引き込まれるように構成されており、
さらに部材Aは、フィルター物質22が部材Aを構成する一対の壁内を、側方及び上方にて接触するとともに、その下流側の上部に設けられたカバーに接触して通過するように構成されており、
トランペット32のリブは拡げられたフィルター物質22をU字形にし、車輪46は、添加物18の入ったポケット44が一番下に来て、U字形にされたフィルター物質22に重力により添加物18を添加し、添加物18を添加する際に車輪46の縁部は部材Aの中に入り、縁部はフィルター物質22に接触しており、
切断装置58は、フィルター棒12を切断し、中に1つ以上の添加物18を有するフィルター棒12の一単位を形成するように構成されている製造装置。」

ウ 甲3方法発明
上記記載事項から、甲3には次の発明(以下「甲3方法発明」という。)が記載されている。
「紙巻タバコのフィルターとして用いられるマルチ・フィルターの製造方法であって、該方法は、
マルチ・フィルターの製造装置の仕上げ装置52がフィルター物質22及び紙製の被覆36を受ける工程と、
仕上げ装置52の上方に位置する部材A内に、フィルター物質22、紙製の被覆36、及びベルト40を、それぞれ、フィルター物質22が紙製の被覆36の上に接触して位置し、また、紙製の被覆36がベルト40の上に接触して位置するように引き込む工程と、
フィルター物質22が部材Aを構成する一対の壁内に側方及び上方にて接触するとともに、その下流側の上部に設けられたカバーに接触して通過する工程と、
トランペット32のリブは拡げられたフィルター物質22をU字形にし、車輪46は、添加物18の入ったポケット44が一番下に来て、U字形にされたフィルター物質22に重力により添加物18を添加し、添加物18を添加する際に車輪46の縁部は部材Aの中に入り、縁部はフィルター物質22に接触する工程と、
仕上げ装置52において、被覆36に縁周部を包まれたフィルター物質22からなるフィルター棒12を形成する工程と、
フィルター棒12を切断された一単位ごとに1つ以上の添加物18が入るように切断する工程とを含む方法。」

(2)甲第4号証:特表2012-508570号公報
ア 甲第4号証の記載
先願明細書の訳文に係る甲第4号証(以下「甲4」という。)には、次の事項が記載されている。
(ア)「【請求項1】
喫煙物品内に物体(4)を導入する方法であって、
喫煙物品内に導入される物体(4)を保持するためのリザーバ(10;20;30)を準備する段階と、
前記物体(4)を該物体(4)が単一の垂直に配置された層に整列するように配置された移送チャンバ(11;21;31)内に導入する段階と、
前記移送チャンバ(11;21;31)に隣接して配置された回転可能ホイール(12;22;32)内の前記物体(4)を該物体が前記喫煙物品内に導入されることになる位置まで送出する段階と、
前記物体を前記移送チャンバ(11;21;31)における前記単一の垂直に配置された層から前記回転可能ホイール(12;22;32)の周囲面に向うか又はそれに沿った方向に移動する段階と、
を含むことを特徴とする方法。」
(イ)「【請求項4】
物体(4)を喫煙物品内に導入するための装置(1;2;3)であって、
喫煙物品内に導入される複数の物体(4)を供給するためのリザーバ(10;20;30)と、
前記物体(4)を該物体が前記喫煙物品内に導入されることになる位置まで送出するための回転可能ホイール(12;22;32)と、
前記複数の物体(4)を前記回転可能ホイール(12;22;32)まで移送するために、前記リザーバ(10;20;30)と該回転可能ホイール(12;22;32)の間に配置され、かつ該物体(4)が単一の垂直方向に配置された層に整列するように設計された移送チャンバ(11;21;31)と、
前記物体(4)を前記移送チャンバ(11;21;31)における前記単一の垂直に配置された層から前記回転可能ホイール(12;22;32)の周囲面に向うか又はそれに沿った方向に移動するための手段(111、121;211、221;311、316)と、
を含むことを特徴とする装置。」
(ウ)「【0009】
本発明により、喫煙物品内に物体を導入するための装置を提供する。以下の明細には喫煙物品のフィルタ材料内に物体が挿入される実施形態だけが説明されているが、本発明はまた、喫煙物品の他の部分、例えば、喫煙物品のタバコロッド内又は空洞内に物体が挿入される場合を含む。本発明による装置は、喫煙物品内に導入される複数の物体を供給するためのリザーバと、物体が喫煙物品内に導入されることになる位置まで物体を送出するための回転可能ホイールと、リザーバと回転可能ホイールの間に配置され、かつ物体が単一の垂直方向に配置された層に整列するように設計された回転可能ホイールまで物体を移送するための移送チャンバと、回転可能ホイールの周囲面に向うか又はそれに沿った方向に移送チャンバ内で単一の垂直に配置された層から物体を移動するための手段とを含む。単一の層から物体を移動するためのこれらの手段は、重力による物体の移動に追加される移動を引き起こす。【0010】
回転可能ホイールの周囲面に向うか又はそれに沿った方向に物体を移動するための手段により、装置は、高速で作動させることができ、同時に、物体は、それらが保持され、かつ一般的に喫煙物品内に、特にフィルタ材料内にそれらが導入される位置まで送出される回転可能ホイールの個々のポケット内に確実に装填することができる。一例として、物体は、ビーズ、カプセル、又はペレットとすることができるが、それらはまた、あらゆる他の適切な種類とすることができる。例えば、物体は、シガレット煙の感覚的属性を強化することができる。特に、それらは、主流煙に香味を追加するための媒体として使用することができる。」
(エ)「【発明を実施するための形態】
【0023】
フィルタロッドの生産は、当業技術で公知であり、例えば、ドイツのハンブルグ所在の「Hauni-Werke Kober & Co,」 から市販されているKGKDF2-AF2ユニットのような市販のフィルタ製造機械を用いて実施することができる。そのような機械を用いて、後に単一のフィルタ要素に切断されるフィルタロッドを製造することができる。そのような装置は、フィルタ材料の連続長の範囲内で、所定間隔でフィルタ材料内への物体の導入を可能にするように修正することができることも公知である。」
(オ)「【0033】
・・・図9は、ポケット220内に保持されたビーズ4の形態の物体を含む回転可能ホイール22のポケット220の大きく拡大した図である。溝227は、ビーズ4がフィルタ材料内に導入されることになる位置の直前でスクレーパ23の先端230が溝に入るように十分に深いことが分る(図12参照)。
【0034】
そのようなスクレーパ23の一実施形態が、ポケット220から物体を放出し、かつフィルタ材料内の望ましい位置まで物体を案内するための先端230と傾斜面231とを有して図8に示されている。これを以下でより詳細に説明する。
【0035】
図10は、案内錐体17を示し、それを通して、物体が挿入されることになるフィルタ材料が案内される。一例として、3.5mmの直径を有するビーズの場合、案内錐体17の内径は、7mmから21mmの範囲とし、特にビーズがフィルタ材料内に挿入される位置では13mmとすることができる。案内錐体17は、案内錐体17の縦方向に延びる開口部170を有する。案内錐体17の下流には、案内錐体17を通過させた後にフィルタ材料の更なる圧縮を担う舌状体15を配置することができる。案内錐体17は、縦方向に延びるスリット170を除いてほぼ従来通りである。
【0036】
図11及び12は、回転可能ホイールの案内錐体の開口部内への貫通を示す側面図及び断面図である。図11から、回転可能ホイール22は、案内錐体17を通って案内されたフィルタ材料内に物体を導入することができるように、開口部170を通って錐体17内に貫通することが分る。上述のように、一例として、3.5mmの直径を有するビーズの場合、案内錐体17の内径は、7mmから21mmの範囲とし、ビーズがフィルタ材料内に挿入される位置では特に13mmとすることができる。ビーズは、案内錐体の底面から測定された高さで約5.5mmの位置に挿入することができる。しかし、これらの値が適切な範囲内で変わり得ることは明らかである。従って、ホイールの中心部の高さは、ビーズが最適位置でフィルタ材料内に挿入されるように移送ホイールを精密に配置するために調節することができる。図12から、回転可能ホイール22の周囲面224の周囲全体に沿って延びる溝227内にスクレーパ23が配置されることが分る。チャンネル225を通して印加された吸引を用いてそこにビーズ4が保持されたポケットがスクレーパ23の先端230に到達した状態で、チャンネル225を通して印加された吸引は、スクレーパの存在によって中断又は少なくとも大きく減らされる。回転可能ホイール22の更なる回転は、ビーズ4がフィルタ材料内のその最終位置に到達するまでスクレーパの傾斜面231に沿ってビーズを案内させ、この位置は、ビーズ4の最下部位置として図12に示されている。案内錐体17を通って流れるフィルタ材料は、次に、それと共にビーズ4を搬送し、かつ錐体17の直ぐ下流で、導入されたビーズ4を有するフィルタ材料は、舌状体15内で更に圧縮され、それによってビーズ4が最終的にフィルタ材料内の望ましい位置に確実に固定される。ビーズを所定の離間した関係で含有するフィルタ材料のそのように形成されたロッドは、次に、上述のように更に処理することができる。」
(カ)段落【0035】には「案内錐体17の下流には、案内錐体17を通過させた後にフィルタ材料の更なる圧縮を担う舌状体15を配置することができる。」と記載されているから、フィルタ材料は、舌状体15に加えて、案内錐体17においても圧縮されているといえる。
(キ)図11から、舌状体15及び案内錐体17は装置の台に取り付けられていることが理解できる。





イ 甲4発明
上記記載事項から、甲4には次の発明(以下「甲4発明」という。)が記載されている。
「喫煙物品の製造に使用するためのKGKDF2-AF2ユニットのような市販のフィルタ製造機械を用いて実施されるフィルタロッド製造装置であって、この製造装置は、案内錐体17及び舌状体15を取り付ける台と、回転可能ホイール22と、切断部とを含み、
台に取り付けられる案内錐体17及び舌状体15は、フィルタ材料が案内錐体17及び舌状体15内を通過する際にフィルタ材料を圧縮するように構成されており、
回転可能ホイール22は、案内錐体17の開口部170を通って該案内錐体17内に貫通し、ホイールの中心部の高さは、ビーズが最適位置でフィルタ材料内に挿入されるように配置されており、ホイールは案内錐体17を通って案内されたフィルタ材料内にビーズを導入し、
切断部は、単一のフィルタ要素に切断して、中にビーズを有するフィルタロッドを製造するフィルタロッド製造装置。」

イ 甲4方法発明
上記記載事項から、甲4には次の発明(以下「甲4方法発明」という。)が記載されている。
「喫煙物品の製造に使用するためのKGKDF2-AF2ユニットのような市販のフィルタ製造機械を用いて実施されるフィルタロッド製造方法であって、該方法は、
台に取り付けられる案内錐体17及び舌状体15は、フィルタ材料が案内錐体17及び舌状体15内を通過する際にフィルタ材料を圧縮する工程と、
回転可能ホイール22は、案内錐体17の開口部170を通って該案内錐体17内に貫通し、ホイールの中心部の高さは、ビーズが最適位置でフィルタ材料内に挿入されるように配置されており、ホイールは案内錐体17を通って案内されたフィルタ材料内にビーズを導入する工程と、
ホイールのポケットからビーズを放出し、かつフィルタ材料内の望ましい位置までビーズを案内する工程と、
切断部は、単一のフィルタ要素に切断して、中にビーズを有するフィルタロッドを製造する工程とを含むフィルタロッド製造方法。」

(3)甲第1号証:特表2007-504824号公報
甲第1号証(以下「甲1」という。)には、次の事項が記載されている。
「【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、各ロッドがその長手にわたって所定の間隔で個別に離間されている対象物を有する、喫煙アーティクルの製造に使用される複数のロッドを提供する装置および方法を提供する。」
「【0016】
図1を参照すると、例示的なロッド形成装置10は、ロッド形成ユニット12と、連続的な長さのフィルタ材料16において所定の間隔で対象物を配置するカプセル挿入ユニット14とを含む。連続的な長さのフィルタ材料は、保管ベール、糸巻き等のようなソース(図示せず)から供給される。一般的に、フィルタ材料は、フィルタ材料処理ユニット18を用いて処理される。対象物が所定の離間された間隔で中に組み込まれている連続的な長さのフィルタ材料16は、ロッド形成ユニット12を通過することで連続的なロッド20が形成され、切断手段22によって複数のロッド24に細分化され、トレイ26または他の好適な収集手段を用いて収集される。切断手段22は、対象物またはカプセルが個々のロッド24に正しく位置決めされるよう正確な場所で連続的なロッド20を切断するために、ビデオ検査ユニット等のカプセル検査手段28と同期される。」
「【0022】
図1を再び参照すると、連続的な長さのフィルタ材料16はロッド形成ユニット12の作用によりブロック30中を引っ張られ、個々のカプセルがフィルタ材料のウェブ内で所定の間隔で挿入される。フィルタ材料はロッド形成ユニット12の集積手段32に更に方向付けられる。・・・
【0023】
円筒形の混合物に圧縮されたフィルタ材料は、ロッド形成ユニット12で受容される。円筒形の混合物は、エンドレスガルニチュールコンベヤベルト36または他のガルニチュール手段を含むラッピング機構34に送られる。ガルニチュールコンベヤベルト36は、円筒形の混合物をラッピング機構34に移送するようリボンホイールまたは協働ドラム等の前進機構38を用いて、連続的に且つ長手方向に前進させられる。ラッピング機構は、連続的なラッピングされたロッド20を生産するために、円筒形の混合物の外表面に細長いラッピング材料40を供給する。
【0024】
細長いラッピング材料40は、回転可能な糸巻き42から供給される。ラッピング材料は、糸巻きから引き出され、一連の案内ローラ上でならされ、ブロック30の下を通過し、ロッド形成ユニットのラッピング機構34に入る。エンドレスガルニチュールコンベヤベルト36は、ラッピング材料で円筒形の混合物の周りを覆いながらまたは包みながら、細長いラッピング材料と円筒形の混合物の両方が、ラッピング機構34中を長手方向に延在するように移送する。」
「【0028】
カプセル挿入ユニット14は、レジャー筺体50内において定位置で任意に保持されるホイールの形状を有する、回転可能な部材48を含む。カプセル挿入ユニットは、更に、一実施形態では挿入ホイールとも称される回転可能な部材48にカプセルを供給またはその通路を提供する、ホッパ52および/または他の移送手段54を含む。一実施形態では、回転可能な部材48は、ロッド形成装置10の主駆動組立体と結合されるプーリ56およびベルト58によって駆動される。」
「【0031】
・・・以下に説明するように、挿入ホイール74が回転すると、ポケット75内で保持されるカプセルはブロック30内のフィルタ材料16と接触し、カプセルはポケットから集められたフィルタ材料へと放出される。」
「【0045】
レッジャ(ledger)筺体50(図1および図12)は、ホイール74の周面上に縁として位置決めされ、ホイールがその中で回転自在であるようにホイールから離間されている。図12を参照すると、レッジャ筺体は、ホイール74の周囲にわたる連続的なポケットにカプセルを導入した後にホイールを収容する(詳細に上述したとおり)。レッジャ筺体は、カプセルがポケット76から便利に除去され、フィルタ材料に位置決めされる領域の近傍までホイール74の周面上を延在する(詳細に上述したとおり)。」
「【0048】
図12を参照すると、フィルタ材料16の連続的なウェブは、案内部またはブロック30(部分的に切り取られて図示される)に供給される。案内部30は、幅広いフィルタ材料を受容し、ウェブを段々に混合物にし、円筒形の混合物に略類似させる。レッジャ筺体のプラウ176は、カプセル300がフィルタ材料のウェブ内の所望の場所に位置決めされる、または、配置されるように、フィルタ材料を分離または広げる。トウがプラウの最端部分に到達すると、トウの動きは、内部の所望の場所に個々のカプセルを含む円筒形の混合物になるようにトウ自体を閉じるよう作用する。好適なプラウは約0.25インチの最大深さを有することが好ましい。
【0049】
カプセルは、レッジャ筺体がホイールを縁として覆わない場所までポケット内で保持され、この時点でカプセルは上述の通り軸受筺体138を介した空気の放出の補助により、フィルタ材料のウェブに挿入される。このようにして、重力の作用が補助され、カプセルは選択されたポケットから所望の場所でフィルタ材料のウェブに強制的に送られる。」
「【0050】
図13を参照すると、案内部またはブロック30(その上部分は部分的に切り取られて図示されている)は、フィルタ材料16がその中に供給されるよう一端部が比較的広い開口部178を有する。好適な広い開口部は高さが約0.5インチで幅が約2.5インチである。好適なブロックは、長さが約5.5インチである。ブロックの中空の内部分の形状は、フィルタ材料が円筒形に実質的に類似する混合物に形成されるようにされている。好適な混合物は、直径が約9/16インチである。特に、ブロック30の内部分は、フィルタ材料が中を通れるよう中空の領域または空洞である。ブロックは、回転ホイールおよびレッジャ筺体(図示せず)がフィルタ材料のウェブに延在し、カプセル300が所望の場所に挿入されるよう、その上部分に沿って長手方向に延在するスロット180を有する。好適なスロットは、約5.5インチの長さを有するブロックに対して約4インチの長さである。好適な状況において、プラウは、ブロックの中空の内部分の最底部分から約1/8インチ延在するようにスロットに延在する。円筒形の混合物182は、ロッド形成ユニット(以下に説明するように)の受容手段によって受容される。このようにして、一連のカプセル300、302、および、304は、円筒形の混合物182内に所定の間隔でウェブに位置決めされ、トング(図示せず)等の集積手段へとブロック30から出力される。同様のブロックは、参照により本明細書に組み込まれるGreenらによる米国特許第4,862,905号明細書に記載される。」

(4)甲第2号証:特公昭57-1226号公報
甲第2号証(以下「甲2」という。)には、次の事項が記載されている。
「第1図を参照するに、フイルタ製造機械10はテーブル43を有し、上記テーブル43上には公知の仕上封止部44が公知態様で取り付けられてホイール27から送給されたトウ12とチユーブ群17を受容せしめる。図示の通り、テーブル43はコンベアベルト45を支持し、上記コンベアベルト45は駆動ロール46により駆動されて種々の案内ロール群47上を通過し、巻紙16、トウ12、包まれたチユーブ17を運搬せしめる。巻紙16は時々交換可能な紙ロール48から供給され、遊びロール49と適当な案内ロール50を介してフイルタ製造機械10に運ばれる。図示するように、巻紙16はチユーブ注入場所S近くの個所で仕上封止部に運ばれる。」(7欄29-42行)
「第7図に示すように、スリーブ51がチユーブ注入場所Sに設けられ、チユーブ群17を受容するためにトウ12を一定形状に形成せしめている。上記スリーブ51はトウ12をカバ34に当接して保持するように配置され、しかもスリーブ51はチユーブ群17を受容する態様でトウ12をカバ34の周りに案内するような形状をしている。このため、図式的に示したスリーブ51はその上面に沿つて割れており、上流に向かつて開いた円錐またはらつぱ形状部分を有してカバ34の周りに適合し、しかもスリーブ51はホイール27の下で下流に向かつて開いた筒状部分を有し、上記筒状部分はチユーブ注入場所Sの上流個所まで延びている。スリーブ51はホイール27に対して調整可能に取り付けられ、トウ12内にチューブ群17を集中することができるようになつている。」(7欄43行?第8欄14行)
「ホイール27の連続回回によりチユーブ17は後方マンドレルに当接しながらチユーブ注入場所Sまで運搬される。この注入場所Sにおいて、凹所28と組合わされた1対のプランジャ39のうち前方プランジャ39がローラカム40により外方に移動し、チューブ17の前端部をトウ12内に押入せしめる。上記トウ12はトウ供給装置11により運ばれてスリーブ51とカバ34により一定形状に形成されている。ホイール27の連続回転により後方プランジャ39がローラカム40の作用の下で外方に移動し、チユーブ17を完全に放逐せしめる。その後直ちに、巻紙16が巻紙供給装置15から運ばれると共に、仕上封止部44内でトウ12と埋め込んだチューブ群17の周りに上記巻紙16が巻かれる。このようにしてフイルタロツド18がトウ12と連続して運ばれ一定間隔離れたチユーブ群17から形成される(第8図)。」(第9欄13-30行)
「フイルタ製造機械で製造した連続フイルタロツドは適当な公知態様で処理できる。例えば所定長のフイルタ群に切断した後にタバコ用の個々のフイルタ群に切断することにより処理できる。」(10欄7-10行)

(5)甲第5号証:特公昭55-29676号公報
甲第5号証(以下「甲5」という。)には、次の事項が記載されている。
「第1図において、装備ベツドは全体として符号10を以て示されており、そしてベース板11と下折曲要素12とを有する。装備テープは符号13を以て示されておりそして右側において装備ベツド10に進入し、そしてプーリ14上を通り、そして全体として符号15を以て示されているトングに通されている。連続した巻紙ウエブは符号16を以て示されており、そしてもう一つのプーリ17上を通り、そして装備テープ13の上方に沿つてトング15に通されている。トウ処理装置から連続フイルタ・ロツド製造機に入るトウは符号18を以て示されている。」(4欄40行?5欄7行)
「トング15は、通常、部分円錐形にされておりそして下折曲要素12とベース板11とによつて画成される概ねV字形の溝と共同してその横断面積がその入口端からその出口端へ次第に小さくなる通路を形成している。トウ18は巻紙ウエブ16とトウ18との間の摩擦によつてトング15を通つて運搬される。巻紙ウエブ16は装備テープ13との摩擦によつて運搬される。」(5欄8?15行)

(6)甲第6号証:特公平2-40311号公報
甲第6号証(以下「甲6」という。)には、次の事項が記載されている。
「該巻管部4は、断面形状が半円形状の溝を有するガイド6と、ガイド6の溝内に配置された搬送ベルト7と、ガイド6の上方に順次配置された圧縮成形ガイド8、第1折り曲げガイド9,10、第2折り曲げガイド11、ヒータ12、およびクーラ13とから構成されている。該搬送ベルト7は、駆動ローラ14aと小径の従動ローラ14bとの間に掛けられた無端状のベルトである。なお、図1中14cは、搬送ベルト7に所定の張力を与えるテンシヨンローラである。該圧縮成形ガイド8は、ガイド6の溝と相対する弧状溝を下部に有する舌状のガイドで、成形部材3により成形されたストランドを丸棒状のフイルタ材2′に圧縮成形する。該第1折り曲げガイド9,10は、ガイド6の溝の両側方に配置されており、後述するフイルタの巻紙供給部15から巻管部4の搬送ベルト7上に供給される巻紙16の両端部を第3図に示すように丸棒状のフイルタ材2′の外周にU字状に折り曲げる。」(3欄14?32行)

(7)甲第7号証:特開平11-221068号公報
甲第7号証(以下「甲7」という。)には、次の事項が記載されている。
「【0012】入口ホッパー18にはいわゆるガーニチュア装置(成形装置装置)20が接続されており、このガーニチュア装置はフイルタ用トウのための断面が縮小している案内管路21(以下に短縮して“フインガ”と称する)を備えており、従ってフイルタ用トウは、これが移送されている間に断面の縮小により連続して聚合されていき、最後にほぼたばこ加工産業におけるフイルタシガレットの製造のために必要なフイルタロッドの断面に成形される。フイルタ用トウは、被覆材料テープ24(例えば紙テープ)と共に転向ローラ23を経て案内されているガーニチュアベルト22により、ガーニチュア装置20内に引入れられる。このガーニチュア装置内で、縁部が糊付けされている紙テープ24がフイルタ用トウ連続体の周囲に巻かれ、引続き公知の図示していない方法でフイルタ連続体が形成され、このフイルタ連続体から一本一本のフイルタロッドが切断される。ガーニチュア装置全体のうち、フインガ21を備えている入口部分のみを図示した。糊室等のようなガーニチュア装置の他の部分は、本発明には関係がないのでここには図示していない。」

(8)甲第8号証:特開昭63-291567号公報
甲第8号証(以下「甲8」という。)には、次の事項が記載されている。
「第2図は、第1図の装置における変向ロール11、流入ノズル12、流入漏斗13、流入フインガー14及び型バンド15を示している。
・・・空気で運転される流入ノズル12に送り、そこから流入漏斗13を経て流入フインガー14に送り、そこでトウを無端棒状体に集束する。1本の棒状体となつたトウ2を、次いで被包装置15(型バンド15)により接着剤を塗布した被包用テープ16(紙テープ)で包んだのち、図示されない切断装置により個々のシガレツトフイルタ-に切断する。」(4頁右下欄6行?5頁左上欄7行)
「本発明は、AF2と呼ばれる選別装置及びKDF2と呼ばれる加工装置から成り600m/分の運転速度を有する第1図に示す装置を改良した装置に関する。」(6頁右上欄7?10行)

(9)甲第9号証:特表2002-537789号公報
甲第9号証(以下「甲9」という。)には、次の事項が記載されている。
「【0023】
トウ処理装置20は大部分が、ドイツ国ハンブルグのHauni-Korber AGのAF1-E装置など、関連技術分野の通常の熟練者が精通している設計である。そのような機械は一般的に、トウ材料の連続撚線を1組の予備引張りローラ25、1組のねじ付き分塊ローラ26、可塑剤アプリケータ28、複数の送り出しローラ29、および最後に移送スタッファ噴霧31の前に方向付けるためのフィード・アーム24を含む。これらは全て協働してトウ処理装置20の出口にフィラメント状材料22の連続ストリームを形成する。本発明の好適な実施形態では、トウ処理装置20の出力は望ましい張力および速度で、好ましくは1組の計量ローラ53の助けを借りて、粒子装填装置50に供給される。可塑剤アプリケータによって適用される可塑剤は、フィラメントが相互に交差する位置で繊維をタック(tack)するために、セルラーアセテートのトウに少量添加される軟化剤であることが好ましい。さらに、移送噴霧31は、好ましくは図6に関連するこの後の説明に従って、移送噴霧31の出口でフィラメント状材料22の連続ストリームに平面のリボン状の形状を確立するように変更される。」
「【0043】
今、図1および図2を参照すると、閉止シュー700の下流では、ガーニチャ・ベルト34が閉止された粒子支持フィラメント・ストリーム22cをプラグ・ラップ32と一緒に引っ張り、好ましくはドイツ国ハンブルグのHauni-Korber AGのKDF2-E装置を備える連続ロッド形成装置30のトング802を通過する。」







(10)甲第10号証:米国特許第5331976号明細書
甲第10号証(以下「甲10」という。)には、「KDF-2」(4欄4?10行)について、次の事項が記載されている。
「A strip・・・the garniture "tape."」(4欄35?41行)
(訳)
「ロール20から供給されるプラグ包装紙18のストリップが22で示されるガーニチャーの下部セクションで中央にされる。トウとプラグ包装紙が、ガーニチャー「テープ」と呼ばれる無限ベルト32によって、ガーニチャーを通して運ばれる。」

「The fully assembled transport jet 30 and transport jet adapter 50 is illustrated in FIG. 4.」(6欄26?28行)
(訳)
「完全に組み立てられたトランスポートジェット30とトランスポートジェットアダプタ50が、図4に示されている。」

(11)甲第11号証:特開平8-228751号公報
甲第11号証(以下「甲11」という。)には、次の事項が記載されている。
「【0010】・・・フィルター製造機のガーニチャー部(garniture) で棒材料の中に液体又は粉末香気物質を注入する代わりに、液体香気物質を内包する破壊性のワックス又はゼラチンカプセルを、各紙巻きタバコ代替器具の棒材料又は吸い口に埋め込むこともできる。フレーバーを放出させたいとき、使用者はこの器具のカプセルが存在する部分を単しつぶしてカプセルを破壊し、香気物質を周りの棒材料の中に放出させる。」

(12)甲第12号証:国際公開第2008/154539号
甲第12号証(以下「甲12」という。)には、次の事項が記載されている。
「Some object・・・hollow object.」(30頁17?22行)
(訳)
「一部の物体は、香味剤のための基剤またはマトリックスの支持体として作用するポリエチレンビーズなどといった中実の材料であってもよい。一部のきわめて好ましい物体は、ユーザの要求で薬剤を放出することが可能である。たとえば、液体の搭載物を含む好ましい破裂可能な中空物体は、中空物体を破裂させるのに十分な物理的力の意図的な印加を喫煙者が加えるまで搭載物の放出に抵抗できる。」

(13)甲第13号証:国際公開第2007/038053号
甲第13号証には、次の事項が記載されている。
「[0063]・・・The object also can have・・・in composition.・・・」
(訳)
「この物体は中空の球の形態を有することもやはりあり得る。代表的な中空の物体は破裂可能なカプセルなどの液体含有物体であり、これらは極めて球状であり、サイズと重量で一様であり、自動化されたフィルタ作製器具を使用して物体が効率的かつ効果的に処理されることを可能にする表面特性を有し、組成で極めて一様である。・・・」

4 対比・判断
(1)本件発明1
(1-1)特許法29条1項3号及び同法29条2項について
ア 甲3発明との対比
本件発明1と甲3発明とを対比する。
甲3発明の「紙巻タバコのフィルターとして用いられる」は、その作用、構造又は技術的意義からみて本件発明1の「喫煙品の製造に使用するための」に相当し、以下同様に、「マルチ・フィルターの製造装置」は「フィルターロッド製造機」に、「仕上げ装置52」は「ガーニチャー」に、「車輪46」は「回転自在の対象物移送部材」に、「切断装置58」は「カッター」に、「フィルター物質22」は「フィルタープラグ材」に、「紙製の被覆36」は「フィルター包装材」に、「ベルト40」は「ガーニチャーテープ」に、「フィルター棒12」は「長尺のフィルターロッド」に、「添加物18」は「対象物」に、「フィルター棒12の一単位」は「フィルターロッドセグメント」に、それぞれ相当する。
また、甲3発明の「部材A」と本件発明1の「舌部」とは、「部材」であることで技術が共通するものであるから、両者は「部材」という限りにおいて相当する。
以上の相当関係を整理すると、本件発明1と甲3発明との一致点、及び相違点は、次のとおりである。
(一致点)
「喫煙品の製造に使用するためのフィルターロッド製造機であって、この製造機は、ガーニチャーと、回転自在の対象物移送部材と、カッターとを含み、
ガーニチャーは、フィルタープラグ材およびフィルター包装材を受け、包装された長尺のフィルターロッドを形成するように構成されており、
さらに部材は、その内部に、フィルタープラグ材、フィルター包装材、およびガーニチャーテープが、それぞれ、フィルタープラグ材がフィルター包装材の上に接触して位置し、また、フィルター包装材がガーニチャーテープの上に接触して位置するように引き込まれるように構成されており、
カッターは、長尺のフィルターロッドを切断し、中に1つ以上の対象物を有するフィルターロッドセグメントを形成するように構成されている、製造機。」
(相違点)
(ア)相違点1
本件発明1は、「舌部」が「ガーニチャー」に含まれるものであるのに対し、甲3発明は、「内側屈曲部を上部に有する一対の壁とその下流側の上部に設けられたカバーとを有する部材A」は「仕上げ装置52の上方に位置」して「仕上げ装置52」に備えられるものであり、「仕上げ装置52」に含まれるものであるか否か不明である点。
(イ)相違点2
本件発明1は、「舌部は、前記フィルタープラグ材が該舌部内を通過する際に該フィルタープラグ材を圧縮するように構成されており、
前記回転自在の対象物移送部材は、対象物を該回転自在の対象物移送部材から前記舌部内に直接搬送して、その対象物が、前記舌部内を通過しているフィルタープラグ材内に挿入されるように配されており、
前記舌部において、該舌部内を通過している前記フィルタープラグ材に轍のような溝を開口するように構成されたプラフをさらに含み、対象物が前記溝に挿入され」るものであるのに対し、
甲3発明は、「部材Aは、フィルター物質22が部材Aを構成する一対の壁内を、側方及び上方にて接触するとともに、その下流側の上部に設けられたカバーに接触して通過するように構成されており、
トランペット32のリブは拡げられたフィルター物質22をU字形にし、車輪46は、添加物18の入ったポケット44が一番下に来て、U字形にされたフィルター物質22に重力により添加物18を添加し、添加物18を添加する際に車輪46の縁部は部材Aの中に入り、縁部はフィルター物質22に接触」するものである点。

イ 検討
(ア)特許法29条1項3号について
本件発明1は、甲3発明と相違するから、本件発明1は、甲3に記載された発明とはいえない。

(イ)特許法29条2項について
事案に鑑み、最初に相違点2について検討する。
・相違点2について
甲3発明は、「部材A」よりも上流側に位置するトランペット32のリブにより、拡げられたフィルター物質22をU字形にするものであるから、「部材A」内において、U字形とすることの記載ないし示唆はない。
また、「部材A」は「フィルター物質22が部材Aを構成する一対の壁内を、側方及び上方にて接触するとともに、その下流側の上部に設けられたカバーに接触して通過するように構成」するものの「部材A」が積極的にフィルター物質22を圧縮させるものであるかについての記載ないし示唆はない。
そうすると、仮に「部材A」の上流に配置されているトランペット32のリブを、下流側の「部材A」に移設しようとしても、甲3発明の「車輪46は、添加物18の入ったポケット44が一番下に来て、U字形にされたフィルター物質22に重力により添加物18を添加し、添加物18を添加する際に車輪46の縁部は部材Aの中に入り、縁部はフィルター物質22に接触」することは、「仕上げ装置52」、「車輪46の縁部」及び「部材Aを構成する一対の壁」が近接配置になることを意味しており、この各部材の近接配置箇所における「部材A」において、フィルター物質22を圧縮するための手段、例えば「部材A」の内径を縮小するなどの構成の変更を採用することに加え、さらにこの変更された「部材A」の内部空間にトランペット32のリブなる手段を採用しようとすることは、動機付けがないことに加え、その適用に阻害事由が生じているといえる。

また、甲1及び甲2には、本件発明1の特に「フィルタープラグ材に轍のような溝を開口する」ための積極的な手段についての記載ないし示唆はない。
そして、甲5ないし甲7には、フィルタープラグ材、フィルター包装材、及びガーニチャーテープを、舌部の内部に引き込むようにすることが開示され、甲8ないし甲10には、フィルタトウを舌部に押し込むための押し込み噴射部が開示され、甲11及び甲12には、流体含有カプセルをフィルターロッドに挿入することが開示されているが、いずれにも、相違点2に係る本件発明1の構成は開示されていない。
以上から、本件発明1は、甲3発明、甲1記載事項、甲2記載事項及び甲5ないし甲12記載事項に基づき当業者が容易に発明をすることができたものではない。

ウ 甲1に記載された発明及び甲2に記載された発明との対比及び判断
本件発明1と甲1に記載された発明(以下「甲1発明」ともいう。)又は甲2に記載された発明(以下「甲2発明」ともいう。)とを対比すると、少なくとも上記アに示した相違点2で相違する。
そして、相違点2についての判断は上記イのとおりである。
したがって、本件発明1は、甲1発明若しくは甲2発明、甲3記載事項及び甲5ないし甲12記載事項に基づき当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(1-2)特許法29条の2について
ア 対比
本件発明1と甲4発明とを対比する。
甲4発明の「喫煙物品の製造に使用するためのKGKDF2-AF2ユニットのような市販のフィルタ製造機械を用いて実施されるフィルタロッド製造装置」は、その作用、構造又は技術的意義からみて本件発明1の「喫煙品の製造に使用するためのフィルターロッド製造機」に相当し、以下同様に、「回転可能ホイール22」は「回転自在の対象物移送部材」に、「切断部」は「カッター」に、「フィルター材料」は「フィルタープラグ材」に、「案内錐体17及び舌状体15」は「舌部」に、「ビーズ」は「対象物」に、「切断部は、単一のフィルタ要素に切断して、中にビーズを有するフィルタロッドを製造する」は「前記カッターは、前記長尺のフィルターロッドを切断し、中に1つ以上の対象物を有するフィルターロッドセグメントを形成するように構成されている」に、それぞれ相当する。
また、甲4発明の「回転可能のホイール22は、案内錐体17の開口部170を通って該案内錐体17内に貫通し、ホイールの中心部の高さは、ビーズ又はカプセルが最適位置でフィルタ材料内に挿入されるように配置されており、ホイールは案内錐体17を通って案内されたフィルタ材料内にビーズを導入し」は、案内錐体17内へのビーズの直接の搬送といえる態様であるから本件発明1の「回転自在の対象物移送部材は、対象物を該回転自在の対象物移送部材から前記舌部内に直接搬送して、その対象物が、前記舌部内を通過しているフィルタープラグ材内に挿入されるように配されており」に相当する。
以上の相当関係を整理すると、本件発明1と甲4発明との一致点、及び相違点は、次のとおりである。
(一致点)
「喫煙品の製造に使用するためのフィルターロッド製造機であって、この製造機は、回転自在の対象物移送部材と、カッターとを含み、
舌部は、フィルタープラグ材が該舌部内を通過する際に該フィルタープラグ材を圧縮するように構成されており、
回転自在の対象物移送部材は、対象物を該回転自在の対象物移送部材から舌部内に直接搬送して、その対象物が、舌部内を通過しているフィルタープラグ材内に挿入されるように配されており、
カッターは、長尺のフィルターロッドを切断し、中に1つ以上の対象物を有するフィルターロッドセグメントを形成するように構成されている、製造機。」
(相違点)
(ア)相違点1
本件発明1は、「舌部を含むガーニチャー」であり、「前記ガーニチャーは、フィルタープラグ材およびフィルター包装材を受け、包装された長尺のフィルターロッドを形成するように構成されており、
さらに前記ガーニチャーに含まれる前記舌部は、その内部に、前記フィルタープラグ材、前記フィルター包装材、およびガーニチャーテープが、それぞれ、前記フィルタープラグ材が前記フィルター包装材の上に接触して位置し、また、前記フィルター包装材が前記ガーニチャーテープの上に接触して位置するように引き込まれるように構成されて」いるのに対し、
甲4発明は「KGKDF2-AF2ユニットのような市販のフィルタ製造機械を用いて実施されるフィルタロッド製造装置」であり、案内錐体17及び舌状体15を取り付ける台と、回転可能ホイール22と、切断部とを備えるものの、他の構成が不明であることに加え、台に案内錐体17及び舌状体15が含まれるものであるか否かについても不明である点。
(イ)相違点2
本件発明1は、「舌部において、該舌部内を通過している前記フィルタープラグ材に轍のような溝を開口するように構成されたプラフをさらに含み、対象物が前記溝に挿入され」るものであるのに対し、甲4発明は、これらの構成が不明である点。

イ 検討
事案に鑑み、最初に相違点2について検討する。
甲4発明は、「回転可能のホイール22は、案内錐体17の開口部170を通って該案内錐体17内に貫通し、ホイールの中心部の高さは、ビーズが最適位置でフィルタ材料内に挿入されるように配置されており、ホイールは案内錐体17を通って案内されたフィルタ材料内にビーズを導入」するものであるが、案内中のフィルタ材料に轍のような溝を開口して、該溝にビーズを挿入することについての記載ないし示唆はないといえる。
甲4には、「【0036】…一例として、3.5mmの直径を有するビーズの場合、案内錐体17の内径は、7mmから21mmの範囲とし、ビーズがフィルタ材料内に挿入される位置では特に13mmとすることができる。ビーズは、案内錐体の底面から測定された高さで約5.5mmの位置に挿入することができる。」と記載されているが、これらの寸法関係からは、案内錐体17とビーズとの配置関係は推測できるものの、案内錐体内を案内されるフィルタ材料が轍のような溝を開口しているかについては不明である。
他方、本件発明1は、舌部内を通過しているフィルタープラグ材に轍のような溝を開口するように構成された「プラフ」という部材を用いることが特定されており、このような部材についても、甲4には記載ないし示唆はない。
したがって、本件発明1は甲4発明と同一ではない。

(2)本件発明2、5及び10
ア 特許法29条1項3号について
本件発明2は、本件発明1を更に減縮したものであり、本件発明1の発明特定事項を全て含むところ、上記のとおり本件発明1は、甲3に記載された発明とはいえないから、同様の理由により、本件発明2も甲3に記載された発明とはいえない。

イ 特許法29条2項について
本件発明2、5及び10は、本件発明1を更に減縮したものであり、本件発明1の発明特定事項を全て含むところ、上記のとおり本件発明1は、甲1発明ないし甲3発明、甲1ないし甲3記載事項及び甲5ないし甲12記載事項に基づき当業者が容易に発明をすることができたものではないから、同様の理由により、本件発明2、5及び10も甲1発明ないし甲3発明、甲1ないし甲3記載事項及び甲5ないし甲12記載事項に基づき当業者が容易に発明をすることができたものではない。

ウ 特許法29条の2について
本件発明2、5及び10は、本件発明1を更に減縮したものであり、本件発明1の発明特定事項を全て含むところ、上記のとおり本件発明1は、甲4発明と同一ではないから、同様の理由により、本件発明2、5及び10も甲4発明と同一ではない。

(3)本件発明11
(3-1)特許法29条1項3号及び同法29条2項について
ア 甲3方法発明との対比
本件発明11と甲3方法発明とを対比する。
甲3方法発明の「紙巻タバコのフィルターとして用いられる」は、その作用、構造又は技術的意義からみて本件発明11の「喫煙品の製造に使用するための」に相当し、以下同様に、「マルチ・フィルターの製造方法」は「フィルターロッド製造方法」に、「仕上げ装置52」は「ガーニチャー」に、「フィルター物質22」は「フィルタープラグ材」に、「紙製の被覆36」は「フィルター包装材」に、「ベルト40」は「ガーニチャーテープ」に、「被覆36に縁周部を包まれたフィルター物質22からなるフィルター棒12」は「包装された長尺のフィルターロッド」に、「フィルター棒12を切断された一単位ごとに1つ以上の添加物18が入るように切断する工程」は「この長尺のフィルターロッドをフィルターロッドセグメントに切断し、各セグメントがその中に1つ以上の対象物を有するようにする工程]に、それぞれ相当する。
また、甲3発明の「部材A」と本件発明11の「舌部」とは、「部材」であることで技術が共通するものであるから、両者は「部材」という限りにおいて相当する。
以上の相当関係を整理すると、本件発明11と甲3方法発明との一致点、及び相違点は、次のとおりである。
(一致点)
「喫煙品の製造に使用するためのフィルターロッドの製造方法であって、該方法は、
フィルターロッド製造機のガーニチャーがフィルタープラグ材およびフィルター包装材を受ける工程と、
ガーニチャーに含まれる部材内に、フィルタープラグ材、フィルター包装材、およびガーニチャーテープを、それぞれ、フィルタープラグ材がフィルター包装材の上に接触して位置し、また、フィルター包装材がガーニチャーテープの上に接触して位置するように引き込む工程と、
ガーニチャーにおいて、包装された長尺のフィルターロッドを形成する工程と、
この長尺のフィルターロッドをフィルターロッドセグメントに切断し、各セグメントがその中に1つ以上の対象物を有するようにする工程とを含む方法。」
(相違点)
(ア)相違点1
本件発明11は、「舌部」が「ガーニチャー」に含まれるものであるのに対し、甲3方法発明は、「仕上げ装置52の上方に位置」する「部材A」であり、「仕上げ装置52」に含まれるものであるか否か不明である点。
(イ)相違点2
本件発明11は、「フィルタープラグ材が前記舌部内を通過する際に該フィルタープラグ材を圧縮する工程と、
対象物を回転自在の対象物移送部材から前記舌部内に直接搬送し、前記対象物を、前記舌部内を通過しているフィルタープラグ材内に挿入する工程と、
前記舌部内を通過している前記フィルタープラグ材に轍のような溝を開口し、前記対象物を前記溝に挿入する工程と、
前記溝内に前記回転自在の対象物移送部材からの対象物を案内する工程」を含むものであるのに対し、
甲3方法発明は、「フィルター物質22が部材Aを構成する一対の壁内に側方及び上方にて接触するとともに、その下流側の上部に設けられたカバーに接触して通過する工程と、
トランペット32のリブは拡げられたフィルター物質22をU字形にし、車輪46は、添加物18の入ったポケット44が一番下に来て、U字形にされたフィルター物質22に重力により添加物18を添加し、添加物18を添加する際に車輪46の縁部は部材Aの中に入り、縁部はフィルター物質22に接触する工程」を含むものである点。

イ 検討
(ア)特許法29条1項3号について
上記のとおり、本件発明11は、甲3方法発明と相違するから、本件発明11は、甲3に記載された発明とはいえない。

(イ)特許法29条2項について
事案に鑑み、最初に相違点2について検討する。
・相違点2について
甲3方法発明は、「部材A」よりも上流側に位置するトランペット32のリブにより、拡げられたフィルター物質22をU字形にするものであるから、「部材A」内において、U字形とすることの記載ないし示唆はない。
また、「部材A」は「フィルター物質22が部材Aを構成する一対の壁内を、側方及び上方にて接触するとともに、その下流側の上部に設けられたカバーに接触して通過するように構成」するものの「部材A」が積極的にフィルター物質22を圧縮させるものであるかについての記載ないし示唆はない。
そうすると、仮に「部材A」の上流に配置されているトランペット32のリブを、下流側の「部材A」に移設しようとしても、甲3方法発明の「車輪46は、添加物18の入ったポケット44が一番下に来て、U字形にされたフィルター物質22に重力により添加物18を添加し、添加物18を添加する際に車輪46の縁部は部材Aの中に入り、縁部はフィルター物質22に接触」することは、「仕上げ装置52」、「車輪46の縁部」及び「部材Aを構成する一対の壁」が近接配置になることを意味しており、この各部材の近接配置箇所における「部材A」において、フィルター物質22を圧縮するための手段、例えば「部材A」の内径を縮小するなどの構成の変更を採用することに加え、さらにこの変更された「部材A」の内部空間にトランペット32のリブなる手段を採用しようとすることは、動機付けがないことに加え、その適用に阻害事由が生じているといえる。

また、甲1及び甲2には、本件発明11の特に「フィルタープラグ材に轍のような溝を開口する」ための積極的な手段についての記載ないし示唆はない。
そして、甲5ないし甲7には、フィルタープラグ材、フィルター包装材、及びガーニチャーテープを、舌部の内部に引き込むようにすることが開示され、甲8ないし甲10には、フィルタトウを舌部に押し込むための押し込み噴射部が開示され、甲11及び甲12には、流体含有カプセルをフィルターロッドに挿入することが開示されているが、いずれにも、相違点2に係る本件発明11の構成は開示されていない。
以上から、本件発明11は、甲3発明、甲1記載事項、甲2記載事項及び甲5ないし甲12記載事項に基づき当業者が容易に発明をすることができたものではない。

ウ 甲1に記載された発明及び甲2に記載された発明との対比及び判断
本件発明11と甲1に記載された発明又は甲2に記載された発明とを対比すると、少なくとも上記アに示した相違点2で相違する。
そして、相違点2についての判断は上記イのとおりである。
したがって、本件発明11は、甲1発明若しくは甲2発明、甲3記載事項及び甲5ないし甲12記載事項に基づき当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(3-2)特許法29条の2について
ア 対比
本件発明11と甲4方法発明とを対比する。
甲4方法発明の「喫煙物品の製造に使用するためのKGKDF2-AF2ユニットのような市販のフィルタ製造機械を用いて実施されるフィルタロッド製造方法」は、その作用、構造又は技術的意義からみて本件発明11の「喫煙品の製造に使用するためのフィルターロッド製造方法」に相当し、以下同様に、「フィルタ材料」は「フィルタープラグ材」に、「回転可能ホイール22」は「回転自在の対象物移送部材」に、「切断部」は「カッター」に、「フィルター材料」は「フィルタープラグ材」に、「案内錐体17及び舌状体15」は「舌部」に、「ビーズ」は「対象物」に、「切断部は、単一のフィルタ要素に切断して、中にビーズを有するフィルタロッドを製造する工程」は「この長尺のフィルターロッドをフィルターロッドセグメントに切断し、各セグメントがその中に1つ以上の対象物を有するようにする工程]に、それぞれ相当する。
また、甲4方法発明の「回転可能ホイール22は、案内錐体17の開口部170を通って該案内錐体17内に貫通し、ホイールの中心部の高さは、ビーズ又はカプセルが最適位置でフィルタ材料内に挿入されるように配置されており、ホイール22は案内錐体17を通って案内されたフィルタ材料内にビーズを導入する工程」は、案内錐体17内へのビーズの直接の搬送といえる態様であるから本件発明11の「対象物を回転自在の対象物移送部材から前記舌部内に直接搬送し、前記対象物を、前記舌部内を通過しているフィルタープラグ材内に挿入する工程」に相当する。
以上の相当関係を整理すると、本件発明11と甲4方法発明との一致点、及び相違点は、次のとおりである。
(一致点)
「喫煙品の製造に使用するためのフィルターロッドの製造方法であって、該方法は、
フィルタープラグ材が舌部内を通過する際に該フィルタープラグ材を圧縮する工程と、
対象物を回転自在の対象物移送部材から前記舌部内に直接搬送し、前記対象物を、前記舌部内を通過しているフィルタープラグ材内に挿入する工程と、
この長尺のフィルターロッドをフィルターロッドセグメントに切断し、各セグメントがその中に1つ以上の対象物を有するようにする工程とを含む方法。」
(相違点)
(ア)相違点1
本件発明11は、「フィルターロッド製造機のガーニチャーがフィルタープラグ材およびフィルター包装材を受ける工程と、
前記ガーニチャーに含まれる舌部内に、前記フィルタープラグ材、前記フィルター包装材、およびガーニチャーテープを、それぞれ、前記フィルタープラグ材が前記フィルター包装材の上に接触して位置し、また、前記フィルター包装材がガーニチャーテープの上に接触して位置するように引き込む工程」と、「ガーニチャーにおいて、包装された長尺のフィルターロッドを形成する工程」とを備えるものであるのに対し、
甲4方法発明は「KGKDF2-AF2ユニットのような市販のフィルタ製造機械を用いて実施されるフィルタロッド製造方法」であり、案内錐体17及び舌状体15を取り付ける台と、回転可能ホイール22と、切断部とを備えるものの、他の構成が不明であることに加え、台に案内錐体17及び舌状体15が含まれるものであるか否かについても不明である点。
(イ)相違点2
本件発明11は、「舌部内を通過している前記フィルタープラグ材に轍のような溝を開口し、前記対象物を前記溝に挿入する工程と、
前記溝内に前記回転自在の対象物移送部材からの対象物を案内する工程」とを備えるものであるのに対し、甲4方法発明は、「ホイールのポケットからビーズを放出し、かつフィルタ材料内の望ましい位置までビーズを案内する工程」を備えるものの、溝への案内を含め他の構成が不明である点。

イ 検討
事案に鑑み、最初に相違点2について検討する。
甲4方法発明は、「回転可能ホイール22は、案内錐体17の開口部170を通って該案内錐体17内に貫通し、ホイールの中心部の高さは、ビーズが最適位置でフィルタ材料内に挿入されるように配置されており、ホイール22は案内錐体17を通って案内されたフィルタ材料内にビーズを導入する」ものであるが、案内中のフィルタ材料に轍のような溝を開口して、該溝にビーズを挿入することについての記載ないし示唆はないといえる。
甲4には、「【0036】…一例として、3.5mmの直径を有するビーズの場合、案内錐体17の内径は、7mmから21mmの範囲とし、ビーズがフィルタ材料内に挿入される位置では特に13mmとすることができる。ビーズは、案内錐体の底面から測定された高さで約5.5mmの位置に挿入することができる。」と記載されているが、これらの寸法関係からは、案内錐体17とビーズとの配置関係は推測できるものの、案内錐体内を案内されるフィルタ材料が轍のような溝を開口しているかについては不明である。
したがって、本件発明11は甲4方法発明と同一ではない。

第4 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
1 サポート要件違反1(訂正前の請求項1、2、5及び10ないし13)
特許異議申立人飯田進(以下「申立人」ともいう。)は、特許異議申立書において、本件明細書には、(ア)下方胴体13(第1胴体部)に設けられた固定された舌部セクション29(第1舌部部分)と、上方胴体12(第2胴体部)に設けられた舌部入口16(第2舌部部分)とを備えること、及び、(イ)カプセル(対象物)が、舌部入口16にホイール6(回転自在の対象物移送部材)により搬送されて、舌部入口16の隙間27を通過してトウ(フィルタープラグ材)に挿入されること、の実施例しか記載されておらず、舌部について、これ以外の実施例の記載はないから、上記(ア)及び(イ)の特定を欠く本件発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえないから、本件発明は、発明の詳細な説明に記載されたものでない旨の主張をしている。
しかしながら、本件発明の課題は、「【0004】本発明は、フィルター製造時にフィルターロッド材に対象物を挿入するための別の方法を提供する。」ことであり、訂正前の請求項1及び11に係る発明における「舌部」を用いた特定であっても上記課題を解決できるものであることは明らかであるから、上記(ア)に係る「舌部セクション29」及び「舌部入口16」、並びに上記(イ)に係る「舌部入口16」の細部構成等の特定がないことをもって、本件発明が発明の詳細な説明に記載されてないとはいえない。
したがって、申立人の上記主張は採用することができない。

2 サポート要件違反2及び明確性要件違反1(訂正前の請求項1、2、5及び10ないし13)
申立人は、特許異議申立書において、舌部がガーニチャー入り口チャネルの床に沿って走行するガーニチャーテープを覆うように、舌部の内部に、フィルタープラグ材、フィルター包装材、及びガーニチャーテープが、それぞれ、フィルタープラグ材がフィルター包装材の上に接触して位置し、また、フィルター包装材がガーニチャーテープの上に接触して位置するように引き込まれることの特定のない本発明1は、明確性要件違反であり、また、上記特定のない本発明1の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえないから、本発明1は、発明の詳細な説明に記載されたものでなく、サポート要件違反である旨の主張をしている。
しかしながら、本件発明の課題は、「【0004】本発明は、フィルター製造時にフィルターロッド材に対象物を挿入するための別の方法を提供する。」ことであり、請求項1及び11に係る発明が、「舌部がガーニチャー入り口チャネルの床に沿って走行するガーニチャーテープを覆うように」という事項の限定のない構成であっても上記課題を解決できるものであることは明らかであるし、当該構成は明確であるといえる。
したがって、申立人の上記主張は採用することができない。

3 サポート要件違反3及び明確性要件違反2(訂正前の請求項13)
申立人は、請求項13に係る発明が対象物をフィルタープラグ材の移動方向に対して実質的に平行な方向に案内するための、例えば、請求項4で特定している「案内部」といった手段を欠いており明確でない旨、並びに、本件明細書及び図面には、この案内する工程について、段落0041及び図11Aに、カプセル案内部44(a)が記載されているに過ぎず、この案内部の特定を欠く請求項13に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえないから、請求項13は、発明の詳細な説明に記載されたものではない旨の主張をしている。
しかしながら、本件発明の課題は、「【0004】本発明は、フィルター製造時にフィルターロッド材に対象物を挿入するための別の方法を提供する。」ことであり、案内部といった手段を欠いていても上記課題を解決できるものであることは明らかであるし、当該構成は明確であるといえる。
したがって、申立人の上記主張は採用することができない。

第5 むすび
以上のとおりであるから、平成30年1月16日付け取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1、2、5、10、11及び13に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1、2、5、10、11及び13に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
そして、本件請求項12に係る特許は、本件訂正により削除されたため、本件特許の請求項12に対して特許異議申立人がした特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
喫煙品の製造に使用するためのフィルターロッド製造機であって、この製造機は、舌部を含むガーニチャーと、回転自在の対象物移送部材と、カッターとを含み、
前記ガーニチャーは、フィルタープラグ材およびフィルター包装材を受け、包装された長尺のフィルターロッドを形成するように構成されており、
さらに前記ガーニチャーに含まれる前記舌部は、その内部に、前記フィルタープラグ材、前記フィルター包装材、およびガーニチャーテープが、それぞれ、前記フィルタープラグ材が前記フィルター包装材の上に接触して位置し、また、前記フィルター包装材が前記ガーニチャーテープの上に接触して位置するように引き込まれるように構成されており、さらに前記舌部は、前記フィルタープラグ材が該舌部内を通過する際に該フィルタープラグ材を圧縮するように構成されており、
前記回転自在の対象物移送部材は、対象物を該回転自在の対象物移送部材から前記舌部内に直接搬送して、その対象物が、前記舌部内を通過しているフィルタープラグ材内に挿入されるように配されており、
前記舌部において、該舌部内を通過している前記フィルタープラグ材に轍のような溝を開口するように構成されたプラフをさらに含み、対象物が前記溝に挿入され、
前記カッターは、前記長尺のフィルターロッドを切断し、中に1つ以上の対象物を有するフィルターロッドセグメントを形成するように構成されている、製造機。
【請求項2】
前記回転自在の対象物移送部材が、前記舌部内に入り込んで、各対象物が前記舌部の内側の出口ポイントで移送部材から出るようにすることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】(削除)
【請求項4】
前記プラフが前記溝内に前記回転自在の対象物移送部材からの対象物を案内するように配された案内部を含み、前記案内部が前記舌部内を通過している前記フィルタープラグ材の移動方向に対して実質的に平行な方向に前記溝内に対象物を案内するように構成されていることを特徴とする請求項1または2記載の製造機。
【請求項5】
前記フィルタープラグ材が前記ガーニチャーに入る前に前記フィルタープラグ材を圧縮するように構成された押し込み噴射部をさらに含むことを特徴とする請求項1若しくは2または4いずれか1項記載の製造機。
【請求項6】
前記舌部が第1舌部部分と第2舌部部分を有し、
前記第1舌部部分を有する第1胴体部と、
前記対象物移送部材と前記第2舌部部分とを有する第2胴体部と、
前記第1胴体部と前記第2胴体部の相対位置が、前記第1舌部部分と前記第2舌部部分が離れて前記舌部の内部に清掃およびフィルタープラグ材を通すために触れることができる第1の位置と、前記第1舌部部分および第2舌部部分が位置合わせされ、フィルタープラグ材が交互に通過できるようにする第2の位置との間で調節できるように配されたヒンジとを有する請求項1若しくは2または4若しくは5いずれか1項記載の製造機。
【請求項7】
前記第2胴体部が上方胴体部であり、前記第1胴体部が下方胴体部であり、前記上方胴体部が前記第2の位置にある前記下方胴体部上に位置することを特徴とする請求項6記載の製造機。
【請求項8】
前記上方胴体部を前記下方胴体部に対して選択的に昇降させるように構成された位置決め機構をさらに含み、これにより前記第1および第2の位置間で前記上方胴体部と前記下方胴体部の相対位置を調節することを特徴とする請求項7記載の製造機。
【請求項9】
喫煙品の製造に使用するためのフィルターロッド製造機であって、この製造機は、舌部を含むガーニチャーと、回転自在の対象物移送部材と、カッターとを含み、
前記ガーニチャーは、フィルタープラグ材およびフィルター包装材を受け、包装された長尺のフィルターロッドを形成するように構成されており、
さらに前記ガーニチャーに含まれる前記舌部は、第1舌部部分および第2舌部部分を有し、
前記回転自在の対象物移送部材は、対象物貯蔵部から対象物を受け、この対象物を前記回転自在の対象物移送部材から前記舌部内に直接搬送して、この対象物が、前記舌部内を通過している前記フィルタープラグ材内に挿入されるように配されており、
前記カッターは、前記長尺のフィルターロッドを切断し、中に1つ以上の対象物を有するフィルターロッドセグメントを形成するように構成されており、
さらに前記製造機は、第1胴体部と、第2胴体部と、ヒンジとを含み、
前記第1胴体部は、前記第1舌部部分を有し、
前記第2胴体部は、前記対象物移送部材と前記第2舌部部分とを有し、
前記ヒンジは、前記第1胴体部と前記第2胴体部の相対位置が、前記第1舌部部分と前記第2舌部部分が離れて前記舌部の内部に清掃およびフィルタープラグ材を通すために触れることができる第1の位置と、前記第1舌部部分および第2舌部部分が位置合わせされ、フィルタープラグ材が交互に通過できるようにする第2の位置との間で調節できるように配されている、製造機。
【請求項10】
前記対象物が脆弱な流体含有カプセルであることを特徴とする請求項1若しくは2または4乃至9いずれか1項記載の製造機。
【請求項11】
喫煙品の製造に使用するためのフィルターロッドの製造方法であって、該方法は、
フィルターロッド製造機のガーニチャーがフィルタープラグ材およびフィルター包装材を受ける工程と、
前記ガーニチャーに含まれる舌部内に、前記フィルタープラグ材、前記フィルター包装材、およびガーニチャーテープを、それぞれ、前記フィルタープラグ材が前記フィルター包装材の上に接触して位置し、また、前記フィルター包装材がガーニチャーテープの上に接触して位置するように引き込む工程と、
前記フィルタープラグ材が前記舌部内を通過する際に該フィルタープラグ材を圧縮する工程と、
対象物を回転自在の対象物移送部材から前記舌部内に直接搬送し、前記対象物を、前記舌部内を通過しているフィルタープラグ材内に挿入する工程と、
前記舌部内を通過している前記フィルタープラグ材に轍のような溝を開口し、前記対象物を前記溝に挿入する工程と、
前記溝内に前記回転自在の対象物移送部材からの対象物を案内する工程と、
前記ガーニチャーにおいて、包装された長尺のフィルターロッドを形成する工程と、
この長尺のフィルターロッドをフィルターロッドセグメントに切断し、各セグメントがその中に1つ以上の対象物を有するようにする工程とを含む方法。
【請求項12】(削除)
【請求項13】
前記対象物を案内する工程が、前記舌部内を通過している前記フィルタープラグ材の移動方向に対して実質的に平行な方向に前記溝内に前記対象物を案内することを含むことを特徴とする請求項11記載の方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2018-10-02 
出願番号 特願2012-526158(P2012-526158)
審決分類 P 1 652・ 537- YAA (A24D)
P 1 652・ 113- YAA (A24D)
P 1 652・ 121- YAA (A24D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 杉山 豊博  
特許庁審判長 紀本 孝
特許庁審判官 藤原 直欣
槙原 進
登録日 2017-04-21 
登録番号 特許第6129554号(P6129554)
権利者 タバコ リサーチ アンド ディベロップメント インスティテュート (プロプリエタリー) リミテッド
発明の名称 フィルターロッド製造機  
代理人 森田 順之  
代理人 轟木 哲  
代理人 轟木 哲  
代理人 森田 順之  
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