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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 C08L 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 C08L |
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管理番号 | 1345869 |
異議申立番号 | 異議2018-700633 |
総通号数 | 228 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2018-12-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2018-07-31 |
確定日 | 2018-10-25 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 特許第6270927号発明「めっき用樹脂組成物及びめっき成形品」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6270927号の請求項1ないし5に係る特許を維持する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第6270927号(以下、「本件特許」という。)の請求項1ないし5に係る特許についての出願は、平成28年7月8日を出願日とする特許出願(特願2016-136315号)に係るものであって、平成30年1月12日にその特許権の設定登録がされたものである(特許掲載公報の発行日は、同年1月31日である。)。 その後、本件特許の請求項1ないし5に係る特許に対して、同年7月31日付けで特許異議申立人 赤松 智信(以下、「特許異議申立人」という。)により特許異議の申立てがされたものである。 第2 本件特許発明 本件特許の請求項1ないし5に係る発明(以下、順に「本件特許発明1」ないし「本件特許発明5」といい、総称して「本件特許発明」という。本件特許の願書に添付した明細書を「本件明細書」という。)は、それぞれ、本件特許の願書に添付した特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 ポリカーボネート樹脂(A)、グラフト共重合体(B)、及び共重合体(C)を含有する樹脂組成物であって、下記条件(1)?(5)を満足するめっき用樹脂組成物。 (1)ポリカーボネート樹脂(A)の含有量が、(A)、(B)及び(C)の合計100質量%に対して、20?60質量%。 (2)グラフト共重合体(B)が、ゴム質重合体と、スチレンとアクリロニトリルがグラフト重合して成るグラフト共重合体。 (3)共重合体(C)が、スチレンとアクリロニトリルを重合して成る共重合体。 (4)ゴム質重合体の含有量が、樹脂組成物に対して7?20質量%。 (5)ガスクロマトグラフィーを用いてInj温度230℃で測定されるスチレンの2量体、アクリロ二トリルとスチレンの2量体、スチレンの3量体及びアクリロ二トリルとスチレンの3量体からなるオリゴマー成分の含有量が、樹脂組成物に対して1質量%未満。 【請求項2】 ポリカーボネート樹脂(A)の含有量が、(A)、(B)及び(C)の合計100質量%に対して、30?50質量%であることを特徴とする請求項1に記載のめっき用樹脂組成物。 【請求項3】 ゴム質重合体の含有量が、樹脂組成物に対して10?15質量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載のめっき用樹脂組成物。 【請求項4】 共重合体(C)を構成するアクリロニトリルの含有量が、共重合体(C)に対して、30?40質量%であることを特徴とする請求項1?3の何れかに記載のめっき用樹脂組成物。 【請求項5】 請求項1?4の何れかに記載のめっき用樹脂組成物を成形して得られる成形品に、めっきが施されていることを特徴とするめっき成形品。」 第3 特許異議申立理由の概要 特許異議申立人は、証拠方法として、以下の甲第1ないし3号証を提出し、概ね次の取消理由(以下、順に、「取消理由1」ないし「取消理由2」という。)を主張している。 取消理由1(進歩性) 本件特許発明1ないし5は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となったものである文献に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、本件特許の請求項1ないし5に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 取消理由2(サポート要件) 本件特許の請求項1ないし5に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。 証拠方法 甲第1号証:特開2006-328133号公報 甲第2号証:特開昭53-19397号公報 甲第3号証:特開平9-59464号公報 第4 特許異議申立理由についての判断 1 取消理由1(進歩性)について (1)甲第1号証に記載された事項及び同号証に記載された発明 ア 甲第1号証に記載された事項 甲第1号証には、次の記載がある。 「【請求項1】 ポリカーボネート樹脂(A)20?80重量%およびエチレン-プロピレン系ゴム状重合体を構成成分とするゴム強化スチレン系樹脂(B)80?20重量%からなる組成物において、該ゴム強化スチレン系樹脂(B)のグラフト率が5?50%であることを特徴とするダイレクトめっき用樹脂組成物。 【請求項2】 ゴム強化スチレン系樹脂(B)が、エチレン-プロピレン系ゴムに芳香族ビニル系化合物および共重合可能な他のビニル系化合物を重合してなるものである請求項1に記載のダイレクトめっき用樹脂組成物。 【請求項3】 請求項1?2何れかに記載の樹脂組成物を成形してなる樹脂成形品にダイレクトめっきを施してなるめっき装飾製品。」 「【0001】 本発明は、ポリカーボネート樹脂とゴム強化スチレン系樹脂からなる、ダイレクトめっき用樹脂組成物に関するものである。詳しくは、該ゴム強化スチレン系樹脂として、特定のエチレン-プロピレン系ゴム状重合体を構成成分とするゴム強化スチレン系樹脂を使用してなる、ダイレクトめっき性、とりわけ電気銅めっき工程におけるめっき析出性とめっき密着強度のバランスおよび耐衝撃性、耐熱性などの樹脂性能に優れたダイレクトめっき用樹脂組成物、および該樹脂組成物を成形してなる樹脂成形品にダイレクトめっきを施してなるめっき装飾製品に関するものである。」 「【0007】 ダイレクトめっき法におけるPCアロイ系樹脂のとりわけ電気銅めっき工程におけるめっき析出性とめっき密着強度のバランスおよび耐衝撃性、耐熱性など樹脂性能に優れたダイレクトめっき用樹脂組成物が得られるという効果を奏する。」 「【0019】 〔実施例〕 以下に実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら制限されるものではない。なお、実施例中にて示す部および%は重量に基づくものである。 【0020】 ポリカーボネート樹脂(A):ホスゲンとビスフェノールAからなる粘度平均分子量20,500のポリカーボネート樹脂。 【0021】 ゴム強化スチレン系樹脂(B) ゴム強化スチレン系樹脂(b-1):攪拌翼を備えた重合反応機に、純水300部、懸濁安定剤としてヒドロキシエチルセルロース0.3部を溶解した後、3mm角に裁断したエチレン-プロピレン-エチリデンノルボルネン共重合体ゴム(エチレン含有量55%、ムーニー粘度(ML1+4121℃)60)50部を仕込み懸濁させた。その後、スチレン37部、アクリロニトリル13部、重合開始剤としてt-ブチルパーオキシピバレート3.0部および分子量調整剤としてt-ドデシルメルカプタン0.1部を添加し、100℃にて1時間重合を行った。重合終了後、脱水し、ゴム強化スチレン系樹脂(b-1)を得た。得られたゴム強化スチレン系樹脂(b-1)のグラフト率は40%であった。 ゴム強化スチレン系樹脂(b-i):エチレン含有量60%、ムーニー粘度(ML_(1+4)121℃)75のエチレン-プロピレン-エチリデンノルボルネン共重合体ゴムを使用し、かつ、重合開始剤としてt-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルヘキサノエート2.0部を使用し、さらにt-ドデシルメルカプタンを使用しない以外はゴム強化スチレン系樹脂(b-1)と同様にして重合を行い、グラフト率60%のゴム強化スチレン系樹脂(b-i)を得た。 ゴム強化スチレン系樹脂(b-ii):公知の乳化重合法により、樹脂中に分散するゴム状重合体としてポリブタジエン(重量平均粒子径0.36μm)40部を含み、スチレン42部およびアクリロニトリル18部からなるゴム強化スチレン系樹脂(b-ii))を製造した。 ゴム強化スチレン系樹脂(b-iii):公知の乳化重合法により、樹脂中に分散するゴム状重合体としてポリブタジエン(重量平均粒子径0.8μm(肥大化処理))40部を含み、スチレン42部およびアクリロニトリル18部からなるゴム強化スチレン系樹脂(b-iii)を製造した。 【0022】 AS共重合体:公知の塊状重合法により、スチレン70部、アクリロニトリル30部からなるAS共重合体を得た。 【0023】 〔実施例1?4および比較例1?3〕 上記のポリカーボネート樹脂(A)、およびゴム強化スチレン系樹脂(B)を表1に示す配合割合で混合し、50mm押出機(オーエヌ機械製)を用い、シリンダー温度250?270℃にて溶融混合しペレット化した。得られたペレットにつき、射出成形機にて各種試験片を作成し、耐衝撃性、耐熱性、成形加工性、めっき密着強度、めっき析出性およびヒートサイクル性を測定した。」 「【0028】 めっき析出性:射出成形機にてめっき用平板成形品(55×90×3mm)を成形し、長辺方向9mm毎に短辺方向に幅1mm長さ45mmの切込みを左右交互に入れ波形平板を作成し、以下の方法にてダイレクトめっきを施した後、めっき膜の析出度合いを、波形平板に析出しためっき膜の長さ:波形平板の段数、および、析出過程におけるめっき未着部(スキップ)の発生度合いを目視判定し、以下の判定基準にて判定した。○;スキップなしで良好。△;一部スキップが見られる状態。×;全体的にスキップが見られ不良。 <めっき処理工程>上記のめっき用平板を40℃のCRPクリーナーに3分間浸し脱脂した。脱脂後の平板を30℃の水で水洗した後、67℃のエッチング液(クロム酸;400g/l、硫酸;200cc/l)に10分間浸しエッチングを行った。エッチング後の平板を30℃の水で2分間水洗した後、25℃のCRPレデューサーに3分間浸し中和処理を行った。中和後の平板を30℃の水で2分間水洗した後、25℃の塩酸に1分間プリディップし、続いて35℃のCRPキャタリストに6分間浸し、Pd-Snコロイド触媒化処理を行った。触媒化後の平板を30℃の水で2分間水洗した後、45℃のCRPセレクターA,Bに3分間浸して導体化処理を行った。導体化処理した平板を30℃の水で2分間水洗した後、CRPカッパーを用いた電気銅めっき浴に25℃で5分間、電流密度2A/dm^(2)の電流を通電して、電気銅めっき膜を平板に析出させた。 【0029】 ヒートサイクル性:射出成形機にてめっき用平板成形品(55×90×3mm)、および額縁型成形品を成形し、以下の方法にてダイレクトめっきを施した後、-30℃(1hr)→23℃(0.5hr)→80℃(1hr)→23℃(0.5hr)の10サイクルを実施し、各めっき成形品外観に膨れ等の異常の有無を目視にて確認した。 <めっき処理工程>上記のめっき用平板を40℃のCRPクリーナーに3分間浸し脱脂した。脱脂後の平板を30℃の水で水洗した後、67℃のエッチング液(クロム酸;400g/l、硫酸;200cc/l)に10分間浸しエッチングを行った。エッチング後の平板を30℃の水で2分間水洗した後、25℃のCRPレデューサーに3分間浸し中和処理を行った。中和後の平板を30℃の水で2分間水洗した後、25℃の塩酸に1分間プリディップし、続いて35℃のCRPキャタリストに6分間浸し、Pd-Snコロイド触媒化処理を行った。触媒化後の平板を30℃の水で2分間水洗した後、45℃のCRPセレクターA,Bに3分間浸して導体化処理を行った。導体化処理した平板を30℃の水で2分間水洗した後、CRPカッパーを用いた電気銅めっき浴に25℃で15分間、電流密度2A/dm^(2)の電流を通電して、15μmの電気銅めっき膜を平板に析出させた。続いて一般的な装飾用電気めっき工程にて、半光沢ニッケル膜:6μm、光沢ニッケル膜:4μm、クロムめっき膜:0.1?0.3μmを析出させた。 【0030】 これらの測定結果を表1に示す。 【0031】 【表1】 【産業上の利用可能性】 【0032】 本発明における樹脂組成物は、ダイレクトめっき法におけるPCアロイ系樹脂のとりわけ電気銅めっき工程におけるめっき析出性とめっき密着強度のバランスおよび耐衝撃性、耐熱性などの樹脂性能に優れたダイレクトめっき用樹脂組成物であり、該樹脂組成物を成形してなる樹脂成形品にダイレクトめっきを施してなる上記性能を有するめっき装飾製品が得られるものであり、産業上の利用価値が高い。」 イ 甲第1号証に記載された発明 甲第1号証に記載された事項、特に、段落【0021】、【0023】、実施例1に関する記載を整理すると、甲第1号証には次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認める。 <甲1発明> 「ポリカーボネート樹脂(A)60重量部、ゴム強化スチレン系樹脂(b-1)30重量部、AS共重合体10重量部であるダイレクトめっき用樹脂組成物であって、 前記ゴム強化スチレン系樹脂(b-1)は、攪拌翼を備えた重合反応機に、純水300部、懸濁安定剤としてヒドロキシエチルセルロース0.3部を溶解した後、3mm角に裁断したエチレン-プロピレン-エチリデンノルボルネン共重合体ゴム(エチレン含有量55%、ムーニー粘度(ML_(1+4)121℃)60)50部を仕込み懸濁させ、その後、スチレン37部、アクリロニトリル13部、重合開始剤としてt-ブチルパーオキシピバレート3.0部および分子量調整剤としてt-ドデシルメルカプタン0.1部を添加し、100℃にて1時間重合を行い、重合終了後、脱水し得られ、グラフト率が40%であるものであり、 前記AS共重合体は、スチレン70部、アクリロニトリル30部からなるものである、 ダイレクトめっき用樹脂組成物。」 (2)甲第2号証に記載された事項 ア 「1.スチレン-アクリロニトリル共重合体を溶液又は塊状重合法により製造するにあたり、スチレン系モノマー95?10重量%とアクリロニトリル5?90重量%から成る単量体混合物に、半減期が10時間となる分解温度が50?130℃であるラジカル重合開始剤を単量体に対し0.01?0.1重量%加え、50?140℃の温度下で重合せしめることを特徴とするスチレン-アクリロニトリル共重合体の製造方法。」(特許請求の範囲1.) イ 「3.発明の詳細な説明 本発明は、耐熱性が向上し、しかも成形加工時の加熱により新たに生成するアクリロニトリル単量体及びスチレン単量体の極めて少ないスチレン-アクリロニトリル共重合体の製造方法に関するものである。」(第1頁右下欄第15-20行) ウ 「本発明は、重合単量体の最終転化率までの実質的に全部をラジカル重合開始剤の存在のもとに140℃以下の温度で重合を行なうものである。かかる条件下では熱重合反応は活発ではなく、重合はその大部分がラジカル開始剤重合反応によると思われる。従つて、熱重合反応の副生物である2量体、3量体の含有量が極めて少なくなり、その結果出来た樹脂の耐熱性が向上し、これを成形加工時に高温に曝らしても熱分解により生成するANが結果的に極めて少なくなるものと推定される。」(第2頁左下欄第8-18行) (3)甲第3号証に記載された事項 ア 「【請求項1】 ゴム質重合体(a)の存在化にシアン化ビニル系単量体(b)および芳香族ビニル系単量体(c)およびこれらと共重合可能な他のビニル系単量体(d)から選ばれる少なくとも1種以上の単量体をグラフトしてなるゴム含有グラフト共重合体(I)10?50重量部、シアン化ビニル系単量体(b)25?55重量%,芳香族ビニル系単量体(c)75?45重量%およびこれらと共重合可能な他のビニル系単量体(d)0?60重量%からなり、かつ、該シアン化ビニル系単量体の3連シーケンスの割合が10重量%以下であるシアン化ビニル系共重合体(II)10?80重量部、およびポリカーボネート(III )5?80重量部からなり、ゴム含有グラフト共重合体(I)、シアン化ビニル系共重合体(II)およびポリカーボネート(III )の合計が100重量部であることを特徴とする耐薬品性熱可塑性樹脂組成物。」 イ 「【0015】 本発明におけるゴム含有グラフト共重合体(I)およびシアン化ビニル系共重合体(II)に用いるシアン化ビニル系単量体(b)の具体例としてはアクリロニトリルおよびメタクリロニトリルなどが挙げられ、1種または2種以上用いることができる。中でもアクリロニトリルが耐薬品性の面で特に好ましい。 【0016】 本発明におけるゴム含有グラフト共重合体(I)およびシアン化ビニル系共重合体(II)に用いる芳香族ビニル系単量体(c)の具体例としては、スチレン,α-メチルスチレン,オルソメチルスチレン,パラメチルスチレン,パラ-t-ブチルスチレンおよびハロゲン化スチレンなどが挙げられ、1種または2種以上用いることができる。なかでもスチレン,α-メチルスチレンが成形加工性の面で特に好ましく、さらにはスチレンが好ましい。」 ウ 「【0033】 本発明におけるシアン化ビニル系共重合体(II)の重合方法としては芳香族ビニル系単量体を重合中に適宜添加することによる残存単量体中のシアン化ビニル系単量体含有量の制御、オリゴマーの低減および乳化剤、溶媒などの副原料による溶融時の熱着色安定性の阻害といった観点から水系懸濁重合が好ましい。」 エ 「【0064】 【表1】 【表2】 」 (4)本件特許発明1について ア 甲1発明と本件特許発明1の対比 甲1発明と本件特許発明1を対比する。 甲1発明の「ポリカーボネート樹脂(A)」、「AS共重合体」、「ダイレクトめっき用樹脂組成物」は、それぞれ、本件特許発明1の「ポリカーボネート樹脂(A)」、「共重合体(C)」、「めっき用樹脂組成物」に相当する。 甲1発明の「ゴム強化スチレン系樹脂(b-1)」は「グラフト率は40%であ」ることから、本件特許発明1の「グラフト共重合体(B)」に相当する。 そして、甲1発明の「ゴム強化スチレン系樹脂(b-1)」における「エチレン-プロピレン-エチリデンノルボルネン共重合体ゴム(エチレン含有量55%、ムーニー粘度(ML_(1+4)121℃)60)」、「スチレン」、「アクリロニトリル」は、本件特許発明1の「グラフト共重合体(B)」における「ゴム質重合体」、「スチレン」、「アクリロニトリル」に相当する。 甲1発明の「AS共重合体」における「スチレン」、「アクリロニトリル」は、本件特許発明1の「共重合体(C)」における「スチレン」、「アクリロニトリル」に相当する。 甲1発明の「ポリカーボネート樹脂(A)60部、ゴム強化スチレン系樹脂(b-1)30部、AS共重合体10部であるダイレクトめっき用樹脂組成物」に対する「ポリカーボネート樹脂(A)60部」の割合は、60%であるから、当該割合は、本件特許発明1の「ポリカーボネート樹脂(A)の含有量が、(A)、(B)及び(C)の合計100質量%に対して、20?60質量%」と重複一致する。 さらに、甲1発明の「ゴム強化スチレン系樹脂(b-1)」において、「エチレン-プロピレン-エチリデンノルボルネン共重合体ゴム(エチレン含有量55%、ムーニー粘度(ML_(1+4)121℃)60)50部」及び「スチレン37部、アクリロニトリル13部」の合計100部に対する「エチレン-プロピレン-エチリデンノルボルネン共重合体ゴム(エチレン含有量55%、ムーニー粘度(ML_(1+4)121℃)60)50部」の割合は、50%である。 そのため、甲1発明の「ポリカーボネート樹脂(A)60部、ゴム強化スチレン系樹脂(b-1)30部、AS共重合体10部であるダイレクトめっき用樹脂組成物」に対する「エチレン-プロピレン-エチリデンノルボルネン共重合体ゴム(エチレン含有量55%、ムーニー粘度(ML_(1+4)121℃)60)30部」の割合は、30部×0.5=15%となるから、当該割合は、本件特許発明1の「(4)ゴム質重合体の含有量が、樹脂組成物に対して7?20質量%」と重複一致する。 そうすると、両者は、 「ポリカーボネート樹脂(A)、グラフト共重合体(B)、及び共重合体(C)を含有する樹脂組成物であって、下記条件(1)?(4)を満足するめっき用樹脂組成物。 (1)ポリカーボネート樹脂(A)の含有量が、(A)、(B)及び(C)の合計100質量%に対して、20?60質量%。 (2)グラフト共重合体(B)が、ゴム質重合体と、スチレンとアクリロニトリルがグラフト重合して成るグラフト共重合体。 (3)共重合体(C)が、スチレンとアクリロニトリルを重合して成る共重合体。 (4)ゴム質重合体の含有量が、樹脂組成物に対して7?20質量%。」 との点で一致し、以下の相違点1で相違する。 <相違点1> 本件特許発明1は、「ガスクロマトグラフィーを用いてInj温度230℃で測定されるスチレンの2量体、アクリロ二トリルとスチレンの2量体、スチレンの3量体及びアクリロ二トリルとスチレンの3量体からなるオリゴマー成分の含有量が、樹脂組成物に対して1質量%未満」と特定するのに対し、甲1発明は、そのような特定がされていない点。 イ 判断 上記相違点1について検討する。 (ア)この点、特許異議申立人は、異議申立書の第15頁第10?15行において、「甲第2号証の記載事項1および2には、成形加工時の加熱により新たに生成するアクリロニトリル単量体及びスチレン単量体の極めて少ないスチレン-アクリロニトリル共重合体の製造方法が記載されており、同じく甲第2号証の記載事項3には、甲第2号証の発明の条件下では、熱重合反応は活発ではなく、熱重合反応の副生物である2量体、3量体の含有量が極めて少なくなる、ことが記載されている。」と説示する。 確かに、甲第2号証の摘記ウには、「熱重合反応の副生物である2量体、3量体の含有量が極めて少なくなり、その結果出来た樹脂の耐熱性が向上し、これを成形加工時に高温に曝らしても熱分解により生成するANが結果的に極めて少なくなるものと推定される」と記載されており、熱重合反応の副生物である2量体、3量体の含有量が極めて少なくなることが読み取れる。 しかしながら、甲第2号証の記載をみても、「ガスクロマトグラフィーを用いてInj温度230℃で測定されるスチレンの2量体、アクリロ二トリルとスチレンの2量体、スチレンの3量体及びアクリロ二トリルとスチレンの3量体からなるオリゴマー成分の含有量が、樹脂組成物に対して1質量%未満」であることは記載も示唆もされていない。 また、特許異議申立人は、異議申立書の第17頁第10?12行において、「甲1発明においてオリゴマー成分の含有量低減のために甲第2号証の方法を用いることにより、本件特許発明と同一のものが製造されるものである。」と主張する。 しかしながら、甲第2号証の発明は、スチレン-アクリロニトリル共重合体の製造方法に関するものであって、「ポリカーボネート樹脂(A)」、「エチレン-プロピレン-エチリデンノルボルネン共重合体ゴム」及び「AS共重合体」からなる「ダイレクトめっき用樹脂組成物」である甲1発明と異なり、甲第2号証の記載全体を参照しても、甲1発明のダイレクトめっき用樹脂組成物に対して、甲第2号証に記載の方法を用いることを動機付ける記載は見当たらない。 仮に、甲1発明のダイレクトめっき用樹脂組成物に対して、甲第2号証に記載の方法を用いたとしても、甲1発明のダイレクトめっき用樹脂組成物全体に対するオリゴマーの含有量は具体的には定まらないし推定もできないから、当該ダイレクトめっき用樹脂組成物中の「スチレンの2量体、アクリロ二トリルとスチレンの2量体、スチレンの3量体及びアクリロ二トリルとスチレンの3量体からなるオリゴマー成分の含有量が、樹脂組成物に対して1質量%未満」であるということはできない。そのため、甲1発明において「オリゴマー成分の含有量」を「樹脂組成物に対して1質量%未満」にすることは、当業者が容易に想到し得るということはできない。 (イ)特許異議申立人は、異議申立書の第17頁第6?9行において、「甲1発明において、オリゴマー成分の含有量低減というのは、甲第3号証を参照すれば当然考慮されるべき事項であり、しかも、本件特許発明1におけるオリゴマー成分の含有量低減手段は、甲第2号証に記載されている方法と同一である。」と主張する。 確かに、甲第3号証の摘記ウには、シアン化ビニル系共重合体(II)の重合方法として、オリゴマーの低減の観点から、水系懸濁法が好ましい旨記載されている。 しかしながら、甲第3号証の当該記載は、シアン化ビニル系共重合体(II)の重合方法に関するものであって、「ダイレクトめっき用樹脂組成物」である甲1発明と異なり、甲第3号証の記載を参照しても、甲1発明の「ダイレクトめっき用樹脂組成物」において、「オリゴマーの含有量低減」させるとの動機付けは存在しないし、甲1発明の「ダイレクトめっき用樹脂組成物」においても、オリゴマー成分の含有量低減が当然考慮されるべきということはできない。 したがって、甲第3号証の記載を参照しても、甲1発明において、「ガスクロマトグラフィーを用いてInj温度230℃で測定されるスチレンの2量体、アクリロ二トリルとスチレンの2量体、スチレンの3量体及びアクリロ二トリルとスチレンの3量体からなるオリゴマー成分の含有量が、樹脂組成物に対して1質量%未満」とすることは、当業者が容易に想到し得るということはできない。 また、本件特許発明1におけるオリゴマー成分の含有量低減手段が、甲第2号証に記載されている方法と同一であるとしても、上記(ア)で検討したとおり、甲1発明のダイレクトめっき用樹脂組成物に対して、甲第2号証に記載の方法を用いる動機付けは見当たらない。 (ウ)本件明細書の記載(段落【0013】、【0043】及び実施例1-8、比較例1-5)によれば、本件特許発明1は、めっき用樹脂組成物において、「ガスクロマトグラフィーを用いてInj温度230℃で測定されるスチレンの2量体、アクリロ二トリルとスチレンの2量体、スチレンの3量体及びアクリロ二トリルとスチレンの3量体からなるオリゴマー成分」を含むものとし、その含有量を「樹脂組成物に対して1質量%未満」とすることによって、「耐衝撃性、流動性に優れ、かつ、めっき密着強度、めっき析出性及び冷熱サイクル性のバランスに優れる」めっき用樹脂組成物を実現できるというものである。 一方、甲第1号証のほか、甲第2?3号証のいずれにも、このような事項については何ら記載されておらず、また、技術常識であるともいえない。 (エ)以上によれば,甲1発明において、「ガスクロマトグラフィーを用いてInj温度230℃で測定されるスチレンの2量体、アクリロ二トリルとスチレンの2量体、スチレンの3量体及びアクリロ二トリルとスチレンの3量体からなるオリゴマー成分」を含むものとし、「樹脂組成物に対して1質量%未満」とすることが,当業者が容易に想到し得るということはできない。 そして、本件特許発明1は、上記のとおり、「耐衝撃性、流動性に優れ、かつ、めっき密着強度、めっき析出性及び冷熱サイクル性のバランスに優れる」めっき用樹脂組成物を実現できるという、当業者が予測することができない格別顕著な効果を奏するものである。 したがって、上記相違点1は、甲第1?3号証に基づいて、当業者が容易に想到することはできない。 よって、本件特許発明1は、甲第1号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (5)本件特許発明2?5について 本件特許発明2?5は、本件特許発明1を直接又は間接的に引用するものであるが,上記(4)で述べたとおり、本件特許発明1が、甲第1号証に記載された発明に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない以上、本件特許発明2?5についても同様に、甲第1号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (6)まとめ 以上のとおり、本件特許発明1?5は,甲第1号証に記載された発明に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから、特許異議申立人が主張する取消理由1(進歩性)は理由がない。 したがって、取消理由1(進歩性)によっては、本件特許の請求項1?5に係る特許を取り消すことはできない。 2 取消理由2(サポート要件)について (1)本件特許発明1?5について 本件明細書の記載(【0010】,【0013】)によれば,本件特許発明1の課題は、耐衝撃性、流動性に優れ、かつ、めっき密着強度、めっき析出性及び冷熱サイクル性のバランスに優れるめっき用樹脂組成物及びめっき成形品を提供することであると認められる。 本件明細書の記載(【0011】、【0040】?【0049】)によれば、本件特許発明1の課題は、めっき用樹脂組成物において、「(1)ポリカーボネート樹脂(A)の含有量が、(A)、(B)及び(C)の合計100質量%に対して、20?60質量%」、「(4)ゴム質重合体の含有量が、樹脂組成物に対して7?20質量%」、「(5)ガスクロマトグラフィーを用いてInj温度230℃で測定されるスチレンの2量体、アクリロ二トリルとスチレンの2量体、スチレンの3量体及びアクリロ二トリルとスチレンの3量体からなるオリゴマー成分の含有量が、樹脂組成物に対して1質量%未満」とし、ポリカーボネート樹脂、グラフト共重合体、及び共重合体を特定量含有し、さらに樹脂組成物中のオリゴマー成分の含有量を規定することによって解決できるとされている。 また、本件明細書の段落【0040】には、「上記めっき用樹脂組成物を構成するグラフト共重合体(B)、共重合体(C)の重合方法には特に制限はなく、例えば乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、塊状重合法及びこれらを組み合わせた方法により製造することができる。」と記載されており、種々の重合方法を取り得ることが示されている。 さらに、本件明細書の段落【0049】には、「このようにして得られためっき用樹脂組成物は、射出成形、押出成形、圧縮成形、射出圧縮成形、ブロー成形等により成形され、得られた樹脂成形品は、公知のめっき方法、例えば通常のABS樹脂のめっき条件と同様の条件にてめっき加工することができるが、特にダイレクトめっき法を用いることが好ましい。」と記載されており、めっき方法としては、ダイレクトめっき等公知のめっき方法を取り得ることが示されている。 そして、本件明細書には、本件特許発明1を具体的に実施した実施例及び比較例が記載されており(実施例1?8、比較例1?5,表1)、これらの実施例及び比較例によれば、実施例において、耐衝撃性、流動性に優れ、かつ、めっき密着強度、めっき析出性及び冷熱サイクル性のバランスに優れるめっき用樹脂組成物を実現できることが示されているといえる。 そうすると、当業者であれば、上記実施例以外の場合であっても、めっき用樹脂組成物において、「(1)ポリカーボネート樹脂(A)の含有量が、(A)、(B)及び(C)の合計100質量%に対して、20?60質量%」、「(4)ゴム質重合体の含有量が、樹脂組成物に対して7?20質量%」、「(5)ガスクロマトグラフィーを用いてInj温度230℃で測定されるスチレンの2量体、アクリロ二トリルとスチレンの2量体、スチレンの3量体及びアクリロ二トリルとスチレンの3量体からなるオリゴマー成分の含有量が、樹脂組成物に対して1質量%未満」とする、との本件特許発明1の構成を備えるめっき用樹脂組成物によれば、同実施例と同様に,耐衝撃性、流動性に優れ、かつ、めっき密着強度、めっき析出性及び冷熱サイクル性のバランスに優れるめっき用樹脂組成物を実現できることが理解できるといえる。 以上のとおり、本件明細書の記載を総合すれば、本件特許発明1は、本件明細書の発明の詳細な説明に記載されたものであって、当業者が出願時の技術常識に照らして発明の詳細な説明の記載により本件特許発明1の課題を解決できると認識できる範囲のものということができる。 したがって、本件特許発明1は,特許請求の範囲の記載がサポート要件に適合するものである。 また、本件特許発明1を直接又は間接的に引用する本件発明2?5についても同様であり、本件発明2?5は,特許請求の範囲の記載がサポート要件に適合するものである。 (2)特許異議申立人の主張について ア 特許異議申立人は、異議申立書の第19-20頁で、「オリゴマー成分の発生は重合方法によって、大きく異なるものであり、本件請求項1にはどのような重合方法であるのかについて記載はない。」と説示し、さらに、「水系のものを用いる乳化重合法や懸濁重合法など他の重合法については、本件特許発明の効果は何ら示されていない」と説示し、本件特許発明1?5は、サポート要件に適合しない旨主張する(以下、「主張1」という。)。 確かに、本件明細書の段落【0059】-【0061】には、溶液重合法などの重合方法は特定されていない。 しかしながら、本件明細書の段落【0040】には、「上記めっき用樹脂組成物を構成するグラフト共重合体(B)、共重合体(C)の重合方法には特に制限はなく、例えば乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、塊状重合法及びこれらを組み合わせた方法により製造することができる。」と記載されており、本件特許発明1のめっき用樹脂組成物を構成するグラフト共重合体(B)、共重合体(C)の重合方法は、溶液重合法などに限るものではないと当業者は認識できる。 また、本件明細書の段落【0058】-【0061】には、具体的な重合方法が開示されており、「どのような重合方法」であるのかは、当業者は理解でき、本件明細書の記載全体からみて、いかなる重合方法であっても、めっき用樹脂組成物において、「(1)ポリカーボネート樹脂(A)の含有量が、(A)、(B)及び(C)の合計100質量%に対して、20?60質量%」、「(4)ゴム質重合体の含有量が、樹脂組成物に対して7?20質量%」、「(5)ガスクロマトグラフィーを用いてInj温度230℃で測定されるスチレンの2量体、アクリロ二トリルとスチレンの2量体、スチレンの3量体及びアクリロ二トリルとスチレンの3量体からなるオリゴマー成分の含有量が、樹脂組成物に対して1質量%未満」とすれば、発明の課題を解決することができるものと当業者は認識できるといえる。 さらに、特許異議申立人は、「オリゴマー成分の発生は重合方法によって、大きく異なる」ることや、「水系のものを用いる乳化重合法や懸濁重合法など他の重合法については、本件特許発明の効果は何ら示されていない」ことを裏付ける具体的なデータや技術常識を示す証拠を挙げているわけでもない。 よって、特許異議申立人の主張1は、採用することはできない。 イ 特許異議申立人は、異議申立書の第20頁で、「めっき方法には多様なものがあり、ダイレクトめっき以外のめっき方法においても本件実施例と同じような効果が得られるのか否かは全く不明である。そもそもめっき方法の違いによって密着強度やめっき析出性に大きな違いが生じることは当業者において周知の事項であり、単に「ダイレクトめっき」を施した場合の効果をもって他のめっき方法においても同様の効果が生じるとは言えないことは当然である。」と説示し、本件特許発明1?5は、サポート要件に適合しない旨主張する(以下、「主張2」という。)。 確かに、本件明細書の段落【0054】、【0055】に記載されているように、実施例1?8において用いられるめっき方法は、「ダイレクトめっき」である。 しかしながら、本件明細書の段落【0049】には、「このようにして得られためっき用樹脂組成物は、射出成形、押出成形、圧縮成形、射出圧縮成形、ブロー成形等により成形され、得られた樹脂成形品は、公知のめっき方法、例えば通常のABS樹脂のめっき条件と同様の条件にてめっき加工することができるが、特にダイレクトめっき法を用いることが好ましい。」と記載されており、本件特許発明1の「めっき」は、ダイレクトめっきに限るものではないと当業者は認識できる。 また、本件明細書の記載全体からみて、いかなるめっき方法であっても、めっき用樹脂組成物において、「(1)ポリカーボネート樹脂(A)の含有量が、(A)、(B)及び(C)の合計100質量%に対して、20?60質量%」、「(4)ゴム質重合体の含有量が、樹脂組成物に対して7?20質量%」、「(5)ガスクロマトグラフィーを用いてInj温度230℃で測定されるスチレンの2量体、アクリロ二トリルとスチレンの2量体、スチレンの3量体及びアクリロ二トリルとスチレンの3量体からなるオリゴマー成分の含有量が、樹脂組成物に対して1質量%未満」とすれば、発明の課題を解決することができるものと当業者は認識できるといえる。 さらに、特許異議申立人は、「めっき方法の違いによって密着強度やめっき析出性に大きな違いが生じることは当業者において周知の事項であ」ることや、「単に「ダイレクトめっき」を施した場合の効果をもって他のめっき方法においても同様の効果が生じ」ないことを裏付ける具体的なデータや技術常識を示す証拠を挙げているわけでもない。 よって、特許異議申立人の主張2は、採用することはできない。 (3)まとめ 以上のとおりであるから、特許異議申立人が主張する取消理由2(サポート要件)は理由がない。 したがって、取消理由2(サポート要件)によっては、本件特許の請求項1?5に係る特許を取り消すことはできない。 第5 むすび 以上のとおり、特許異議申立書に記載した特許異議の申立ての理由によっては、本件特許の請求項1?5に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件特許の請求項1?5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2018-10-15 |
出願番号 | 特願2016-136315(P2016-136315) |
審決分類 |
P
1
651・
537-
Y
(C08L)
P 1 651・ 121- Y (C08L) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 横山 法緒 |
特許庁審判長 |
大熊 幸治 |
特許庁審判官 |
長谷部 智寿 小柳 健悟 |
登録日 | 2018-01-12 |
登録番号 | 特許第6270927号(P6270927) |
権利者 | 日本エイアンドエル株式会社 |
発明の名称 | めっき用樹脂組成物及びめっき成形品 |