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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  C08L
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  C08L
管理番号 1345901
異議申立番号 異議2018-700285  
総通号数 228 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-12-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-04-04 
確定日 2018-11-26 
異議申立件数
事件の表示 特許第6205870号発明「光配向性基を有する高分子組成物、該高分子組成物から作製される液晶配向膜及び該液晶配向膜から作製される位相差板を備えた光デバイス」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6205870号の請求項1ないし26に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6205870号の請求項1ないし26に係る発明についての出願は、平成25年6月5日(優先権主張 平成24年6月6日)の出願であって、平成29年9月15日にその特許権の設定登録がされ、同年10月4日に特許掲載公報が発行され、その後、平成30年4月4日に、異議申立人 張 迪(以下「申立人」という。)により、特許異議の申立てがされたものである。
その後の経緯は以下のとおりである。
平成30年5月25日付け:取消理由通知
同年7月25日 :意見書(特許権者)
乙第1号証を添付
同年9月5日 :上申書(特許権者)
乙第2号証を添付
同年10月1日付け:通知書
(意見書、上申書の提出があった旨を通知)
同年10月30日 :意見書(申立人)
以下、平成30年7月25日提出の意見書を、「特許権者の意見書」といい、同年9月5日提出の上申書を、「特許権者の上申書」といい、同年10月30日提出の意見書を、「申立人の意見書」という。

申立人が提出した証拠方法は、以下のとおりである。
甲第1号証:異議2017-700510号の異議の決定及び特許第6 029567号公報
甲第2号証:特表2013-513017号公報
甲第3号証:特許第5943203号公報
甲第4号証:国際公開第2013/081066号
甲第5号証:特許第6172463号公報
(以下、甲第1号証ないし甲第5号証を、「甲1」ないし「甲5」という。)

第2 本件特許発明について
本件特許の請求項1ないし26に係る発明(以下、「本件発明1」ないし「本件発明26」という。また、「本件発明1」ないし「本件発明26」を、まとめて「本件発明」ということがある。)は、その特許請求の範囲の請求項1ないし26に記載された事項により特定される以下のとおりのものであると認める。

【請求項1】
第一成分として少なくとも1つの光配向性基並びに水酸基及びカルボキシル基から選ばれる少なくとも1つの極性基を有しかつ該極性基と反応性を有する基を有さない光配向性ポリマーと、第二成分として上記極性基との反応性を有する基を有するポリマーとを含有し、
第一成分の光配向性基が下記一般式(I-1)?(I-3)で表される構造のうち少なくとも1種を有し、
第二成分のポリマーが、下記一般式(I-1)?(I-3)で表される構造のうち少なくとも1種を有する光配向性基と、水酸基及びカルボキシル基から選ばれる少なくとも1つの極性基と反応する基としてアルコキシシラン基、イソシアネート基、[1’-メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ基、(3,5-ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ基、エポキシ基から選ばれる少なくとも1つの基とを有する光配向性高分子組成物。

(上記式中、R^(1)は水素、又は任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい炭素数1?5のアルキル基を示し、mは2、4又は6を表し、フェニレン基の任意の水素はフッ素、メチル基、又はメトキシ基で置き換えられてもよい。)
【請求項2】
第二成分のポリマーに含まれる水酸基及びカルボキシル基から選ばれる少なくとも1つの極性基と反応する基がアルコキシシラン基である、請求項1に記載の光配向性高分子組成物。
【請求項3】
第二成分のポリマーが、下記式(II-1-1)で表される少なくとも1種の構成単位を含む請求項2に記載の光配向性高分子組成物。

(上記式中、R^(3)は水素、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい炭素数1?20のアルキル基、又は任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい炭素数1?20のアルコキシ基を示し、R^(2)はおのおの独立して水素、炭素数1?4のアルキル基又は炭素数1?4のアルコキシ基を示し、少なくとも1つのR^(2)は炭素数1?4のアルコキシ基であり、qは0?10の整数を表し、xはモル分率を表す。)
【請求項4】
第二成分のポリマーに含まれる水酸基及びカルボキシル基から選ばれる少なくとも1つの極性基と反応する基がイソシアネート基、[1’-メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ基、(3,5-ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ基、から選ばれる少なくとも1つの基である請求項1に記載の光配向性高分子組成物。
【請求項5】
第二成分のポリマーが下記式(II-2-1)及び(II-3-1)で表される少なくとも1種の構成単位を含む請求項4に記載の光配向性高分子組成物。

(上記式中、R^(3)は水素、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい炭素数1?20のアルキル基、又は任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい炭素数1?20のアルコキシ基を示し、Lは-CH_(2)CH_(2)-、又は-CH_(2)CH_(2)OCH_(2)CH_(2)-を示し、R^(4)は下記式(II-3-1-1)又は(II-3-1-2)で表される基を示し、zはモル分率を表す。)

【請求項6】
第二成分のポリマーに含まれる水酸基及びカルボキシル基から選ばれる少なくとも1つの極性基と反応する基がエポキシ基から選ばれる少なくとも1つの基である請求項1に記載の光配向性高分子組成物。
【請求項7】
第二成分のポリマーが、下記式(II-4-1)で表される少なくとも1種の構成単位を含む請求項6に記載の光配向性高分子組成物。

(上記式中、R^(3)は水素、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい炭素数1?20のアルキル基、又は任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい炭素数1?20のアルコキシ基を示し、Tは任意の炭素が酸素に置き換えられてもよい炭素数1?20のメチレン基を示し(ただし隣接する炭素が同時に酸素に置き換わることはない)、Sは式(II-4-1-1)、(II-4-1-2)又は(II-4-1-3)で表される基を示し、R^(5)はメチル基、又はエチル基を示し、wはモル分率を表す。)
【請求項8】
第一成分の光配向性ポリマーが、請求項1に記載の一般式(I-1)?(I-3)で表される構造のうち少なくとも1種を有する光配向性基を有するモノマーから導かれる構成単位と、アクリル酸、メタクリル酸、炭素原子数2?6のヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル、カルボキシル基含有イタコン酸エステル及びフェノール性水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種のモノマーから導かれる構成単位とを含む請求項1?7のいずれか1項に記載の光配向性高分子組成物。
【請求項9】
第一成分の光配向性ポリマーが、下記式(I-1-1)?(I-3-1)で表される少なくとも1種の構成単位と炭素原子数2?6のヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルから導かれる構成単位とを含むポリマーである請求項8に記載の光配向性高分子組成物。

(上記式中、R^(1)は水素、又は任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい炭素数1?20のアルキル基を示し、R^(6)は水素、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい炭素数1?5のアルキル基、又は下記式(I-4)で表される基を示し、R^(7)は水素、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい炭素数1?20のアルキル基、又は任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい炭素数1?20のアルコキシ基を示し、Z^(1)は単結合、-COO-、又は-OCO-を示し、oは2?10の整数、pは0?2の整数、rは0又は1を表し、y^(1),y^(2),およびy3はモル分率であり(0<y^(1)+y^(2)+y^(3)<1)の関係を満たし、フェニレン基の任意の水素はフッ素、メチル基、又はメトキシ基で置き換えられてもよい。)

(上記式中、R^(8)は水素又はメチル基を示し、gは0又は1を表す。)
【請求項10】
第一成分の光配向性ポリマーが、下記式(I-1-1)?(I-3-1)で表される少なくとも1種の構成単位とカルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル、カルボキシル基含有イタコン酸エステル及びフェノール性水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルから選ばれる少なくとも1種のモノマーから導かれる構成単位とを含むポリマーである請求項8に記載の光配向性高分子組成物。

(上記式中、R^(1)は水素、又は任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい炭素数1?20のアルキル基を示し、R^(6)は水素、又は任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい炭素数1?5のアルキル基又は下記式(I-4)で表される基を示し、R^(7)は水素、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい炭素数1?20のアルキル基、又は任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい炭素数1?20のアルコキシ基を示し、Z^(1)は単結合、-COO-、又は-OCO-を示し、oは2?10の整数、pは0?2の整数、rは0又は1を表し、y^(1),y^(2),およびy^(3)はモル分率であり(0<y^(1)+y^(2)+y^(3)<1)の関係を満たし、フェニレン基の任意の水素はフッ素、メチル基、又はメトキシ基で置き換えられてもよい。)

(上記式中、R^(8)は水素又はメチル基を示し、gは0又は1を表す。)
【請求項11】
第一成分の光配向性ポリマーが、下記式(I-1-1)で表される少なくとも1種の構成単位と炭素原子数2?6のヒドロキシアルキル基を有するメクリル酸ヒドロキシアルキルから導かれる構成単位とを含むポリマーであり、第二成分のポリマーが下記式(II-1-1)で表される構成単位を含むポリマーである請求項9に記載の光配向性高分子組成物。

(上記式中、R^(6)は水素、又は任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい炭素数1?5のアルキル基又は下記式(I-4)で表される基を示し、R^(7)は水素、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい炭素数1?20のアルキル基、又は任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい炭素数1?20のアルコキシ基を示し、Z^(1)は単結合、-COO-、又は-OCO-を示し、oは2?10の整数、pは0?2の整数、rは0又は1を表し、yはモル分率であり(0<y<1の関係を満たし)、フェニレン基の任意の水素は、フッ素、メチル基、又はメトキシ基で置き換えられてもよい。)

(上記式中、R^(8)は水素又はメチル基を示し、gは0又は1を表す。)

(上記式中、R^(3)は水素、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい炭素数1?20のアルキル基、又は任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい炭素数1?20のアルコキシ基を示し、R^(2)はおのおの独立して水素、炭素数1?4のアルキル基又は炭素数1?4のアルコキシ基を示し、少なくとも1つのR^(2)は炭素数1?4のアルコキシ基であり、qは0?10の整数を表し、xはモル分率を表す。)
【請求項12】
第一成分の光配向性ポリマーが、下記式(I-2-1)で表される少なくとも1種の構成単位と炭素原子数2?6のヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルから導かれる構成単位とを含むポリマーであり、第二成分のポリマーが下記式(II-1-1)で表される構成単位を含むポリマーである請求項9に記載の光配向性高分子組成物。

(上記式中、R^(6)は水素、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい炭素数1?5のアルキル基、又は下記式(I-4)で表される基を示し、R^(7)は水素、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい炭素数1?20のアルキル基、又は任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい炭素数1?20のアルコキシ基を示し、Z^(1)は単結合、-COO-、又は-OCO-を示し、oは2?10の整数、pは0?2の整数、rは0又は1を表し、yはモル分率であり(0<y<1の関係を満たし)、フェニレン基の任意の水素は、フッ素、メチル基、又はメトキシ基で置き換えられてもよい。)

(上記式中、R^(8)は水素又はメチル基を示し、gは0又は1を表す。)

(上記式中、R^(3)は水素、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい炭素数1?20のアルキル基、又は任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい炭素数1?20のアルコキシ基を示し、R^(2)はおのおの独立して水素、炭素数1?4のアルキル基又は炭素数1?4のアルコキシ基を示し、少なくとも1つのR^(2)は炭素数1?4のアルコキシ基であり、qは0?10の整数を表し、xはモル分率を表す。)
【請求項13】
第一成分の光配向性ポリマーが、下記式(I-3-1)で表される少なくとも1種の構成単位と炭素原子数2?6のヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルから導かれる構成単位とを含むポリマーであり、第二成分のポリマーが下記式(II-1-1)で表される構成単位を含むポリマーである請求項9に記載の光配向性高分子組成物。

(上記式中、R^(1)は水素、又は任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい炭素数1?20のアルキル基を示し、R^(6)は水素、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい炭素数1?5のアルキル基、又は下記式(I-4)で表される基を示し、Z^(1)は単結合、-COO-、又は-OCO-を示し、oは2?10の整数、pは0?2の整数、rは0又は1を表し、yはモル分率であり(0<y<1の関係を満たし)、フェニレン基の任意の水素はフッ素、メチル基、又はメトキシ基で置き換えられてもよい。)

(上記式中、R^(8)は水素又はメチル基を示し、gは0又は1を表す。)

(上記式中、R^(3)は水素、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい炭素数1?20のアルキル基、又は任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい炭素数1?20のアルコキシ基を示し、R^(2)はおのおの独立して水素、炭素数1?4のアルキル基又は炭素数1?4のアルコキシ基を示し、少なくとも1つのR^(2)は炭素数1?4のアルコキシ基であり、qは0?10の整数を表し、xはモル分率を表す。)
【請求項14】
第一成分の光配向性ポリマーが、下記式(I-1-1)で表される少なくとも1種の構成単位とカルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル、カルボキシル基含有イタコン酸エステル、及びフェノール性水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルから選ばれる少なくとも1種のモノマーから導かれる構成単位とを含むポリマーであり、第二成分のポリマーが、下記式(II-1-1)で表される構成単位を含むポリマーである請求項10に記載の光配向性高分子組成物。

(上記式中、R^(6)は水素、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい炭素数1?5のアルキル基、又は下記式(I-4)で表される基を示し、R^(7)は水素、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい炭素数1?20のアルキル基、又は任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい炭素数1?20のアルコキシ基を示し、Z^(1)は単結合、-COO-、又は-OCO-を示し、oは2?10の整数、pは0?2の整数、rは0又は1を表し、yはモル分率であり(0<y<1の関係を満たし)、フェニレン基の任意の水素は、フッ素、メチル基、又はメトキシ基で置き換えられてもよい。)

(上記式中、R^(8)は水素又はメチル基を示し、gは0又は1を表す。)

(上記式中、R^(3)は水素、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい炭素数1?20のアルキル基、又は任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい炭素数1?20のアルコキシ基を示し、R^(2)はおのおの独立して水素、炭素数1?4のアルキル基又は炭素数1?4のアルコキシ基を示し、少なくとも1つのR^(2)は炭素数1?4のアルコキシ基であり、qは0?10の整数を表し、xはモル分率を表す。)
【請求項15】
第一成分の光配向性ポリマーが、下記式(I-2-1)で表される少なくとも1種の構成単位とカルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル、カルボキシル基含有イタコン酸エステル及びフェノール性水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルから選ばれる少なくとも1種のモノマーから導かれる構成単位とを含むポリマーであり、第二成分のポリマーが、下記式(II-1-1)で表される構成単位を含むポリマーである請求項10に記載の光配向性高分子組成物。

(上記式中、R^(6)は水素、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい炭素数1?5のアルキル基、又は下記式(I-4)で表される基を示し、R^(7)は水素、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい炭素数1?20のアルキル基、又は任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい炭素数1?20のアルコキシ基を示し、Z^(1)は単結合、-COO-、又は-OCO-を示し、oは2?10の整数、pは0?2の整数、rは0又は1を表し、yはモル分率であり(0<y<1の関係を満たし)、フェニレン基の任意の水素はフッ素、メチル基、又はメトキシ基で置き換えられてもよい。)

(上記式中、R^(8)は水素又はメチル基を示し、gは0又は1を表す。)

(上記式中、R^(3)は水素、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい炭素数1?20のアルキル基、又は任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい炭素数1?20のアルコキシ基を示し、R^(2)はおのおの独立して水素、炭素数1?4のアルキル基又は炭素数1?4のアルコキシ基を示し、少なくとも1つのR^(2)は炭素数1?4のアルコキシ基であり、qは0?10の整数を表し、xはモル分率を表す。)
【請求項16】
第一成分の光配向性ポリマーが、下記式(I-3-1)で表される少なくとも1種の構成単位とカルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル、カルボキシル基含有イタコン酸エステル、及びフェノール性水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルから選ばれる少なくとも1種のモノマーから導かれる構成単位とを含むポリマーであり、第二成分のポリマーが、下記式(II-1-1)で表される構成単位を含むポリマーである請求項10に記載の光配向性高分子組成物。

(上記式中、R^(1)は水素、又は任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい炭素数1?20のアルキル基を示し、R^(6)は水素、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい炭素数1?5のアルキル基、又は下記式(I-4)で表される基を示し、Z^(1)は単結合、-COO-、又は-OCO-を示し、oは2?10の整数、pは0?2の整数、rは0又は1を表し、yはモル分率であり(0<y<1の関係を満たし)、フェニレン基の任意の水素はフッ素、メチル基、又はメトキシ基で置き換えられてもよい。)

(上記式中、R^(8)は水素又はメチル基を示し、gは0又は1を表す。)

(上記式中、R^(3)は水素、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい炭素数1?20のアルキル基、又は任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい炭素数1?20のアルコキシ基を示し、R^(2)はおのおの独立して水素、炭素数1?4のアルキル基又は炭素数1?4のアルコキシ基を示し、少なくとも1つのR^(2)は炭素数1?4のアルコキシ基であり、qは0?10の整数を表し、xはモル分率を表す。)
【請求項17】
第一成分の光配向性ポリマーが、下記式(I-1-1)?(I-3-1)で表される少なくとも1種の構成単位と炭素原子数2?6のヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルから導かれる構成単位とを含むポリマーであり、第二成分のポリマーが下記式(II-2-1)あるいは(II-3-1)で表される構成単位を含むポリマーである請求項9に記載の光配向性高分子組成物。

(上記式中、R^(1)は水素、又は任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい炭素数1?20のアルキル基を示し、R^(6)は水素、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい炭素数1?5のアルキル基、又は下記式(I-4)で表される基を示し、R^(7)は水素、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい炭素数1?20のアルキル基、又は任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい炭素数1?20のアルコキシ基を示し、Z^(1)は単結合、-COO-、又は-OCO-を示し、oは2?10の整数、pは0?2の整数、rは0又は1を表し、y^(1),y^(2),およびy^(3)はモル分率であり(0<y^(1)+y^(2)+y^(3)<1)の関係を満たし、フェニレン基の任意の水素はフッ素、メチル基、又はメトキシ基で置き換えられてもよい。)

(上記式中、R^(8)は水素又はメチル基を示し、gは0又は1を表す。)

(上記式中、R^(3)は水素、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい炭素数1?20のアルキル基、又は任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい炭素数1?20のアルコキシ基を示し、Lは-CH_(2)CH_(2)-、又は-CH_(2)CH_(2)OCH_(2)CH_(2)-を示し、R^(4)は下記式(II-3-1-1)又は(II-3-1-2)で表される基を示し、zはモル分率を表す。)

【請求項18】
第一成分の光配向性ポリマーが、下記式(I-1-1)?(I-3-1)で表される少なくとも1種の構成単位とカルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル、カルボキシル基含有イタコン酸エステル、及びフェノール性水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルから選ばれる少なくとも1種のモノマーから導かれる構成単位とを含むポリマーであり、第二成分のポリマーが、下記式(II-4-1)で表される構成単位を含む請求項10に記載の光配向性高分子組成物。

(上記式中、R^(1)は水素、又は任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい炭素数1?20のアルキル基を示し、R^(6)は水素、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい炭素数1?5のアルキル基、又は下記式(I-4)で表される基を示し、R^(7)は水素、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい炭素数1?20のアルキル基、又は任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい炭素数1?20のアルコキシ基を示し、Z^(1)は単結合、-COO-、又は-OCO-を示し、oは2?10の整数、pは0?2の整数、rは0又は1を表し、y^(1),y^(2),およびy^(3)はモル分率であり(0<y^(1)+y^(2)+y^(3)<1)の関係を満たし、フェニレン基の任意の水素はフッ素、メチル基、又はメトキシ基で置き換えられてもよい。)

(上記式中、R^(8)は水素又はメチル基を示し、gは0又は1を表す。)

(上記式中、R^(3)は水素、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい炭素数1?20のアルキル基、又は任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい炭素数1?20のアルコキシ基を示し、Tは任意の炭素が酸素に置き換えられてもよい炭素数1?20のメチレン基を示し(ただし隣接する炭素が同時に酸素に置き換わることはない)、Sは式(II-4-1-1)、(II-4-1-2)又は(II-4-1-3)で表される基を示し、R^(5)はメチル基、又はエチル基を示し、wはモル分率を表す。)
【請求項19】
第一成分と第二成分の総重量に対して第一成分の割合が50.00?99.99重量%、第二成分の割合が0.01?50.00重量%である、請求項1?18のいずれか1項に記載の光配向性高分子組成物。
【請求項20】
第一成分と第二成分の総重量に対して第一成分の割合が70.00?99.50重量%、第二成分の割合が0.50?30.00重量%である、請求項1?18のいずれか1項に記載の光配向性高分子組成物。
【請求項21】
第一成分と第二成分との総重量に対して、増感剤及び架橋剤から選ばれる少なくとも1種の物質を0.01?50重量%含有する、請求項1?20のいずれか1項に記載の光配向性高分子組成物。
【請求項22】
第一成分と第二成分との総重量に対して、酸性化合物、熱酸発生剤及び光酸発生剤から選ばれる少なくとも1種の物質を0.01?50重量%含有する、請求項1?21のいずれか1項に記載の光配向性高分子組成物。
【請求項23】
第一成分及び第二成分を溶解可能なアルコキシアルコール系溶剤又はグリコールエーテル系溶剤を更に含有することを特徴とする、請求項1?22のいずれか1項に記載の光配向性高分子組成物。
【請求項24】
請求項1?23のいずれか1項に記載の光配向性高分子組成物から形成される液晶配向膜。
【請求項25】
請求項1?23のいずれか1項に記載の光配向性高分子組成物を用いて作製される位相差板を備えた光デバイス。
【請求項26】
請求項1?23のいずれか1項に記載の光配向性高分子組成物から作製されるパターン化位相差板。

第3 平成30年5月25日付け取消理由通知について

1 当審が、平成30年5月25日付けの取消理由通知において特許権者に通知した取消理由の概要は、以下のとおりである。

(1)本件特許は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから、同法第113条第4号に該当し、本件の請求項1ないし26に係る特許は取り消すべきものである(以下、「取消理由1」という)。

2 当審の判断
上記取消理由1は、詳述すれば、請求項1の、「第一成分として少なくとも1つの光配合性基並びに水酸基及びカルボシキル基から選ばれる少なくとも1つの極性基を有しかつ該極性基と反応性を有する基を有さない光配向性ポリマー」について、「該極性基と反応性を有する基を有さない」とはどのようなことを意味するのか不明である、というものである。
これに対して、特許権者の意見書には、乙第1号証が添付され、
(1)光配向性基および水酸基を有する光配向性ポリマーと、光配向性基およびカルボキシル基を有するポリマーとを含有する光配向性高分子組成物では、本件発明の光配向性高分子組成物と同等の効果が得られないこと、
(2)光配向性基ならびに水酸基およびカルボキシル基を有する光配向性ポリマーのみを含む光配向性高分子組成物では、本件発明の光配向性高分子組成物と同等の効果が得られないこと、
(3)光配向性基ならびに水酸基およびカルボキシル基を有する光配向性ポリマーと、第二成分であるポリマーとを含む光配向性高分子組成物は、本件特許明細書に記載された実施例1から5と同等の効果を有すること、
が示された。そして、これらのことから、
(4)本件発明の優れた効果をもたらすような相互作用が、「水酸基」と「カルボキシル基」との間に存在しないこと、
が主張された。
また、特許権者の上申書には、乙第2号証が添付され、
(5)光配向性基及び水酸基を有する光配向性ポリマーと光配向性基及びカルボキシル基を有する光配向性ポリマーの混合物と、第二成分であるポリマーとを含む光配向性高分子組成物は、本件特許明細書に記載された実施例1から5と同等の効果を有すること、
が示された。そして、
(6)第一成分でいう「反応性を有する基」は、請求項1で規定の第二成分に含まれる光配向性基以外の基、すなわち、アルコキシシラン基、イソシアネート基、[1’-メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ基、(3,5-ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ基、エポキシ基から選ばれる少なくとも1つの基のことを意味すること、
が主張された。
上記(1)ないし(6)から、「水酸基」と「カルボキシル基」との間には、本件発明1の第一成分についての規定である「該極性基と反応性を有する基を有さない」における「反応性」は存在しないことが明確になった。また、上記「該極性基と反応性を有する基」が、アルコキシシラン基、イソシアネート基、[1’-メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ基、(3,5-ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ基、エポキシ基であることが明確になった。
ここで、本件特許明細書をみると【0102】には、
(7)第一成分に、極性基と反応性を有する基が含まれていないことにより、第一成分ポリマー同士の反応は起きることがなく、第二成分と効率よく反応できること、
が記載され、【0110】?【0111】には、
(8)第二成分として含まれるポリマーは、水酸基及びカルボキシル基から選ばれる少なくとも1つの極性基と反応性を有する基を有することに特徴があること、
(9)第一成分に含まれる水酸基及びカルボキシル基から選ばれる少なくとも1種の極性基が、第二成分に含まれる該極性基に反応性を有する基と相互作用を生じ(典型的には反応し)、近接する光配向基の距離を近づける効果により配向感度を上げることが可能になると推定されること、
(10)極性基と反応性を有する基としては、アルコキシシラン基、イソシアネート基、[1’-メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ基、(3,5-ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ基、エポキシ基などが挙げられること
が記載されている。
これらの記載に鑑みると、本件発明1は、第一成分が有する、水酸基およびカルボキシル基から選ばれる少なくとも一つの極性基と、第二成分が有する、アルコキシシラン基、イソシアネート基、[1’-メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ基、(3,5-ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ基、エポキシ基から選ばれる少なくとも1つの、極性基と反応する基とが反応することにより、第一成分と第二成分とが効率よく反応し、近接する光配向基の距離を近づける効果により配向感度を上げることを可能にするものであり、第一成分における「極性基と反応性を有する基を有さない」との規定は、第一成分同士の反応を回避するためのものであると解される。
そうであれば、第一成分が「有さない」とされた「極性基と反応性を有する基」は、第二成分が有すると規定された、アルコキシシラン基、イソシアネート基、[1’-メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ基、(3,5-ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ基、エポキシ基を意味し、「水酸基」に対する「カルボキシル基」、あるいは「カルボキシル基」に対する「水酸基」は、当該「極性基と反応性を有する基」にはあたらないとみるのが自然であり、特許権者の上記主張は妥当なものであるといえる。
以上のとおりであるから、請求項1の記載は明確であって、特許法第36条第6項第2号の規定を満たしているから、本件発明1に係る特許は、取消理由1によって取り消すことはできない。
同様の理由により、本件発明2ないし26に係る特許は、取消理由1によって取り消すことはできない。

3 小括
よって、上記取消理由通知で通知した取消理由1によっては、本件発明1ないし26に係る特許を取り消すことはできない。

第4 取消理由通知で採用しなかった申立理由について

1 特許異議申立書に記載された申立理由のうち、取消理由通知で採用しなかった申立理由は、以下のとおりのものである。
(1)本件発明1ないし10、13及び16ないし26は、甲1に記載された発明及び甲2に記載された発明並びに慣用技術、または甲3ないし甲5に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、これらの発明に係る特許は同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである(以下、「申立理由1」という)。
(2)本件発明1ないし26は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36項第6項第1号に規定する要件を満たしていないから、これらの発明に係る特許は同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである(以下、「申立理由2」という)。

2 当審の判断
上記申立理由1及び2について検討する。
(1)申立理由1について
ア 各甲号証について
(ア)甲1について
甲1は、平成30年1月10日になされた、異議2017-700510号の異議の決定及び平成28年11月24日に発行された特許掲載公報であるから、いずれも、本件特許出願の優先日(平成24年6月6日)前に、日本国内又は外国において頒布された刊行物あるいは電気通信回線を通じて公衆に利用可能になったものではない。
よって、甲1は、申立理由1(特許法第29条第2項)の証拠として採用することはできない。

(イ)甲2について
甲2は、平成25年4月18日に公表された公表特許公報であり、本件特許出願の優先日(平成24年6月6日)前に、日本国内又は外国において頒布された刊行物あるいは電気通信回線を通じて公衆に利用可能になったもののいずれでもない。
よって、甲2は、申立理由1(特許法第29条第2項)の証拠として採用することはできない。

(ウ)甲3ないし甲5について
甲3には、特許請求の範囲から、液晶配向剤、液晶配向膜、液晶表示素子及び液晶表示素子の製造方法が記載されている。
甲4には、特許請求の範囲から、液晶配向膜の製造方法、液晶配向膜及び液晶表示素子が記載されている。
甲5には、特許請求の範囲から、液晶配向剤、液晶配向膜、液晶表示素子及び液晶表示素子の製造方法が記載されている。

イ 申立理由1についての検討
上記アで述べたとおり、甲1及び甲2はいずれも特許法第29条第2項の証拠として採用することができない。
よって、甲3ないし甲5に記載された事項の如何に関わらず、本件発明1ないし10、13及び16ないし26は、甲1に記載された発明及び甲2に記載された発明並びに慣用技術、または甲3ないし甲5に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとして、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとすることはできない。
したがって、申立理由1によっては、本件発明1ないし10、13及び16ないし26に係る特許を取り消すことはできない。

(2)申立理由2について
本件発明1は、本件特許明細書の【0014】の記載からみて、露光時間が短くても配向可能で、各種基材に適用可能な溶剤に溶解可能な光配向性高分子組成物を提供すること、該高分子組成物から作製される、耐溶剤性及び透明性や密着性に優れ、重合性液晶に対して高い光配向能を有する光配向膜、典型的には液晶配向膜を提供するという課題を有するものと認められる。
そして、【0015】には、特定の極性基及び光配向性基を有する光配向性ポリマーと上記極性基と反応性を有する基を有するポリマーとを含む光配向性高分子組成物により上記課題が解決することが記載され、また、【0110】には、第一成分に含まれる水酸基およびカルボキシル基から選ばれる少なくとも1種の極性基が、第二成分に含まれる該極性基に反応性を有する基と反応し、近接する光配向基の距離を近づける効果により配向感度を上げることが可能になると推定されることが記載されている。
さらに、実施例1ないし5と比較例1ないし3をみると、本件発明1を具体的に実施した実施例1ないし5の光配向性高分子組成物は、光配向性や密着性に優れることが看て取れる。
そうすると、上記実施例1ないし5以外の場合であっても、特定の光配向性基と水酸基及びカルボキシル基から選ばれる少なくとも1つの極性基を有し、該極性基と反応性を有する基を有さないポリマーである第一成分と、特定の光配向性基及び、水酸基及びカルボシキル基から選ばれる少なくとも1つの極性基と反応する基として、アルコキシシラン基、イソシアネート基、[1’-メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ基、(3,5-ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ基 、エポキシ基から選ばれる少なくとも1つの基を有するポリマーである第二成分を含有する光配向性高分子組成物であれば、上記課題が解決できることは理解できるといえる。
してみると、本件発明1は、上記課題を解決できると認識できる範囲内のものであって、発明の詳細な説明に記載したものである。
同様の理由により、本件発明2ないし26は、発明の詳細な説明に記載したものである。
以上のとおりであるから、申立理由2によっては、本件発明1ないし26に係る特許を取り消すことはできない。

第5 申立人のその他の主張について

1 申立人は、申立人の意見書において、以下の主張をしている。
(1)特許権者が提出した実験成績証明書(乙第1号証、乙第2号証)は、「水酸基」と「カルボキシル基」との間の相互作用は本件特許発明における「反応性」に含まれないということを示すに過ぎず、第一成分における「水酸基およびカルボキシル基から選ばれる少なくとも1つの極性基と反応性を有する基を有さない」との文言中の「反応性」がそのような意味であるのか明確にするものではない。
(2)特許権者は、平成30年9月5日付けの上申書において、第一成分における「反応性を有する基を有さない」という表現の「反応性を有する基」は、第二成分で規定する、「アルコキシシラン基、イソシアネート基、[1’-メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ基、(3,5-ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ基、エポキシ基から選ばれる少なくとも1つの基」を意味すると説明しているが、第一成分の「反応性を有する基」がこれらの基であると解釈すべきことの根拠となる記載は請求項1の文言中にはない。
(3)本件特許の審査経過によれば、拒絶理由通知に応答した補正により、第二成分については、「反応性を有する基を有する」という条件に加えて「反応する基として」特定の官能基を有するという条件を追加する限定を行ったが、第一成分については、「反応性を有する基」に関しては具体的な構造の限定をしないという選択を意図的に行った。
(4)「水酸基」と「カルボキシル基」とは互いに反応性を有することは化学常識そのものであり、「該極性基と反応性を有する基」として、化学常識では反応性を有するが、実際に実験を行った場合に相互作用を有さないものは除かれるということであれば、そのような定義をすべきであり、そうすると、どのような基準によって「反応性を有する」と判断すればよいのか分からないため、第一成分としての光反応性ポリマーの範囲を特定することができず、不明確のままである。
(5)したがって、本件発明1は、依然として特許法第36条第6項第2号の規定に違反している。

2 上記1の主張に対する反論
特許権者の意見書及び上申書により、「水酸基」と「カルボキシル基」との間には、本件発明1の第一成分についての規定である「該極性基と反応性を有する基を有さない」における「反応性」は存在しないことが明確になったり、上記「該極性基と反応性を有する基」が、アルコキシシラン基、イソシアネート基、[1’-メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ基、(3,5-ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ基、エポキシ基であることが明確になったこと、及び、これらの事項が本件特許明細書の記載からみて妥当であることは、上記第3 2に述べたとおりである。
ここで、「水酸基」と「カルボキシル基」との間の相互作用は、本件特許発明における「反応性」に含まれないということが、乙第1号証及び乙第2号証により示されたことは、申立人も認めるところである。
そうすると、第一成分が有さないとされた「極性基と反応性を有する基」がどのようなものであるかは明確であり、このことは、「水酸基」と「カルボキシル基」とが互いに反応性を有するということが化学常識であることや、本件特許出願の審査経過には、何ら左右されない。
以上のとおりであるから、上記1(1)ないし(5)の申立人の主張は採用できない。

第6 まとめ
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した申立理由によっては、本件発明1ないし26に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1ないし26に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2018-11-15 
出願番号 特願2013-118720(P2013-118720)
審決分類 P 1 651・ 121- Y (C08L)
P 1 651・ 537- Y (C08L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 久保 道弘  
特許庁審判長 大熊 幸治
特許庁審判官 橋本 栄和
海老原 えい子
登録日 2017-09-15 
登録番号 特許第6205870号(P6205870)
権利者 JNC石油化学株式会社 JNC株式会社
発明の名称 光配向性基を有する高分子組成物、該高分子組成物から作製される液晶配向膜及び該液晶配向膜から作製される位相差板を備えた光デバイス  
代理人 特許業務法人SSINPAT  
代理人 特許業務法人SSINPAT  
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