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審決分類 審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない。 A23L
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 A23L
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A23L
管理番号 1346298
審判番号 不服2017-10206  
総通号数 229 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-01-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-07-07 
確定日 2018-11-14 
事件の表示 特願2015-131447号「ステアリドン酸を取り込む食物組成物」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 1月 7日出願公開、特開2016-36号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2008年1月3日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2007年1月3日(US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする特願2009-544918号の一部を平成27年6月30日に新たに特許出願としたものであって、平成27年7月29日付けで手続補正書が提出され、平成28年6月17日付けで拒絶理由が通知され、同年11月14日付けで意見書及び手続補正書が提出されたが、平成29年2月28日付けで拒絶査定がされ(発送日:同年3月7日)、これに対し、同年7月7日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に手続補正書が提出され、さらに、平成29年8月23日付けで審判請求書についての手続補正書(方式)が提出され、平成30年1月30日付けで上申書が提出されたものである。

第2 原査定の理由の概要
原査定の理由は、特許法第36条第6項第2号、同条第4項第1号、同条第6項第1号及び同法第29条第2項を根拠とするものであり、その概要は、以下のとおりである。

1 特許法第36条第6項第2号
請求項1の「香味分解」及び「貯蔵寿命」の意味するところが理解できず、「香味分解に対して少なくとも5%長い貯蔵寿命を示し」の意味するところが理解できないから、請求項1に係る発明は明確でなく、請求項1の記載を引用する請求項2ないし15に係る発明も明確でない。

2 特許法第36条第6項第1号及び特許法第36条第4項第1号
請求項1には、「ステアリドン酸ではなくエイコサペンタエン酸を有する以外は同一の食品よりも香味分解に対して少なくとも5%長い貯蔵寿命を示」す食品が記載されているが、発明の詳細な説明には、当該食品が示されているとはいえない。
また、発明の詳細な説明から、「香味分解に対して少なくとも5%長い貯蔵寿命を示」す食品がどのようなものであるかを理解することはできない。
したがって、請求項1ないし15に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されたものではなく、また、発明の詳細な説明は、当業者が請求項1ないし15に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものではない。

3 特許法第29条第2項
本願の請求項1ないし15に係る発明は、その出願(優先日)前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1:国際公開第2006/052662号
引用文献3:特開平11-292898号公報
引用文献4:国際公開第2005/076821号
引用文献5:特開2005-192557号公報

第3 判断
1 特許法第36条第6項第2号について
(1)平成29年7月7日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は以下のとおりである。
「 【請求項1】
トランスジェニック植物由来の油を含む食品であって、ここにステアリドン酸ではなくエイコサペンタエン酸を有する以外は同一の食品よりも香味分解に対して少なくとも5%長い貯蔵寿命を示し、トランスジェニック植物由来の油が油中の脂肪酸の全重量に基づいて少なくとも10重量%ステアリドン酸を含み、ダイズ粉、ダイズタンパク質濃縮物、特定のきめを出したダイズタンパク質濃縮物、加水分解ダイズタンパク質、ダイズタンパク質単離物および噴霧乾燥豆腐よりなる群から選択される食品。」

(2)上記記載には、「ステアリドン酸ではなくエイコサペンタエン酸を有する以外は同一の食品よりも香味分解に対して少なくとも5%長い貯蔵寿命を示し、」という発明特定事項が含まれている。
しかし、「香味分解」が不明確であり、また、「香味分解」に対して長い「貯蔵寿命」を示すということが技術的にどのようなことを特定、意味しているのか明確に把握することができず、上記発明特定事項は、明確であるとはいえない。
したがって、請求項1に係る発明は明確でない。

以下、詳述する。
(3)請求人は、審判請求書についての平成29年8月23日付け手続補正書において、次のように主張する。
「原査定においては、『貯蔵寿命』なる用語が理解できないとされている。『貯蔵寿命』の定義は、その商品を保存することができる最大の時間であり、特定の比率の商品の品質が配達、貯蔵および陳列下で許容し得るままである最大の時間であると定義される。したがって、異なる商品についての貯蔵寿命はその商品の特性により変動し得るのであり、当業者であれば特許請求の範囲に規定する食品の貯蔵寿命をどのように測定するかを知っている。したがって、この用語は明確であると思料する。
また、原査定においては、『香味分解』なる用語についても不明確であるとされているが、当業者であればこの用語の意味がわかると思料する。香味の定義は食品または飲料の特有の味覚である。本願明細書を通して記載しスコア付けした属性から、当業者であればかかる標準感覚試験や特徴の知識を用いて請求項にかかるこの要件の境界を理解することができると思料する。
ステアリドン酸を含む発明とエイコサペンタエン酸を含む魚油を含む発明とは比較している。これは請求項の比較であり、SDA油についての表3aおよび魚油についての表3bは、加速条件での2のサラダドレッシング間の『合計オフ香味』(香味分解の尺度)の低い数値を明らかに示している。原査定においては2の『合計オフ』欄が存在するとしているが、表3aの上方にある合計オフは『香り』の表示の下にあるから『合計オフの香り』である。一方、表3aの下方にある合計オフは『香味』の表示の下にあるから『合計オフの香味』である。したがって、表3aは合計オフ香りと合計オフ香味との間を区別しているのである。
さらに、食品の感覚属性を評価する標準感覚評価も、ここに参考資料として提出する Sensory Evaluation of Food: Principles and Practices, 1999, Chapter 1, “INTRODUCTION AND OVERVIEW.”に示されているように当該技術分野でよく知られている。
すなわち、同書13ページには『The sensory test design involves not only the selection of an appropriate method but also of appropriate participants and statistical analyses. The three classes of sensory tests can be divided into two types: analytical sensory tests, including discrimination and descriptive methods, and affective or hedonic tests, such as those involved in assessing consumer liking or preferences (Lawless and Claassen 1993). For the analytic tests, panelists are selected based on having average to good sensory acuity for the critical characteristics (tastes, smells, textures, etc.) of products to be evaluated. They are familiarized with the test procedures and may undergo greater or lesser amounts of training, depending on the method. In the case of descriptive analysis, they adopt an analytical frame of mind, focusing on specific aspects of the product as directed by the scales on their questionnaires. They are asked to put aside personal preferences and hedonic reactions aside, as their job is only to specify what attributes are present in the product and at what levels of sensory intensity, extent, amount, or duration.(感覚テストの設計には、適当な方法の選択のみならず、適当な参加者および統計解析の選択が含まれる。3つのクラスの感覚テストは2つのタイプ:識別および記述的方法を含む分析型感覚テスト、および消費者の好みまたは優先性を評価するのに含まれるもののような情緒または快楽型テスト、に分けることができる(LawlessおよびClaassen 1993)。分析型テストについては、評価する製品の重要な特徴(味、臭い、テクスチャーほか)について良好な感覚の鋭敏さに対して平均を有することに基づいてパネリストを選択する。彼らは、テスト方法に精通しており、方法に応じてより多いまたは少ない量の訓練を受け得る。記述的分析の場合は、彼らは質問事項に対するスケールによって指向される製品の特定の態様に焦点を当てながら、意見の分析フレームを採用する。彼らの仕事は製品にどのような属性が存在するのか、およびどのような感覚の強さ、程度、量または器官のレベルなのかを特定することのみであるため、彼らには個人的な好みや嗜好的反応を無視することが要求される。)』と記載されており、同書10ページには『Descriptive analysis has proved to be the most comprehensive and informative sensory evaluation tool. It is applicable to the characterization of a wide variety of product changes and research questions in food product development. The information can be related to consumer acceptance information and to instrumental measures by means of statistical techniques such as regression and correlation.(記述的分析は、最も包括的かつ情報的な感覚評価ツールであることが証明されている。それは、広範囲の製品の変化の特徴付けおよび食品開発における研究上の疑問に適用することができる。その情報は、消費者の受け入れ性情報に関係付けることができ、また回帰および相関のような統計技術によって機器測定に関係付けることができる。)』と記載されている。」(「4.本願が特許される理由」の「・理由1(明確性要件違反)、理由2(実施可能要件違反)および理由3(サポート要件違反)について」の欄)

(4)しかしながら、発明の詳細な説明において、「香味分解」及び「貯蔵寿命」自体は定義されておらず、また十分明確に説明されていないので、明細書の発明の詳細な説明の記載からは「香味分解」及びそれに対する「貯蔵寿命」とは、技術的にどのようなことを意味しているのか明確に特定できるものではない。また、請求人が提出した上記(3)における参考資料は、「香味分解」との関係でどのような標準感覚試験・評価が行われるのかを説明したものでもないから、当該参考資料を考慮しても「香味分解」及びそれに対する「貯蔵寿命」を理解することができない。

(5)発明の詳細な説明において「香味」と記載されている箇所をみるに、表3a、表3b、表3c、表6a、表6b、表8a、表8b、表8c、表8d、表12及び表17には、「香味」及び「合計香味」の欄が設けられ、表4a及び表7aには、「香味料」の欄が設けられ、表5には、「合計香味 基本的な味を含む、試料の合計の香味の強さ」との記載、表11には、「天然および人工の香味料」との記載、図2a、図2c、図3a、図3c、図4a、図4c、図5a及び図6cには、「合計オフ香味」との記載、図2e、図3e、図4eには、「合計香味」との記載、図2b、図2d、図3b、図3d、図4b、図4d、図5bには、「酸化油香味」との記載、図6bには、「合計酸化油香味」との記載があるが、これらから「香味分解」がどのようなことを特定しているのか理解できるものではない。
仮に、「香味」が「分解」することと解したとしても、発明の詳細な説明には、「香味」とはどのようなものを指し、それがどのようにして「分解」していくのか、を説明する記載が一切見当たらず、「香味」とは、どのような「香」や「味」を対象として、これらの「貯蔵寿命」をどのようにして特定し得るのか必ずしも明確に特定できるとも認められない。
さらに、「香味分解」が「香味料が分解すること」であると解するとなると、発明の詳細な説明における香味料に関する記載として、「用いた例は異なるタイプの均質および熱処理ユニット(直接蒸気、間接蒸気ほか)にも適用することができる。プレーン、チョコレート、リンゴ、オレンジ、ベリー他を含む異なる豆乳香味料は同様にして調製することができる。」(段落【0084】)、「第1のアプローチにおいて、豆乳はSDAに富んだダイズ粉を利用する実施例4の最初の部分に記載したように調製する。安定化剤、香味料および果実を含むさらなる成分は均質化の前に添加する。下記は生成物に使用した処方である」(段落【0091】)とあるものの、これらの記載から「香味料」とはどのように特定されるのか、また、その「分解」、さらにはそれに対する「貯蔵寿命」とはどのようなことを意味するのか明らかでない。

(6)以上を踏まえると、「香味分解」に対して長い「貯蔵寿命」を示すということが技術的にどのようなことを特定しているのか明確に把握することができず、それを含む「香味分解に対して少なくとも5%長い貯蔵寿命を示し、」という発明特定事項は、依然として、明確であるとはいえない。
したがって、請求項1に係る発明は明確でない。

(7)よって、本願の特許請求の範囲の請求項1及び請求項1を引用する請求項2ないし15の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

2 特許法第36条第6項第1号及び特許法第36条第4項第1号について
(1)本願明細書の記載(主に、「ステアリドン酸(SDA)」、「リノール酸」及び「トコフェロール」に関する記載部分の抜粋)
「【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能性食品の開発における形質転換的に由来するステアリドン酸の利用に関する。より詳細には、本発明は、トランスジェニック植物由来のステアリドン酸の使用を介した食品の栄養品質および貯蔵寿命の両方の改善に関する。」

「【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、末端消費者の健康を改善するための食品に使用するための顕著な量のステアリドン酸(18:4ω3)を含有するよう設計したトランスジェニック・ダイズからの油の生成を包含する。十分な量のSDAに富むダイズを成長させて、実質的なSDA成分を含むダイズ油の送達を許容する。この「SDA油」は、いずれのオメガ-3油と比較しても、初期の食用に適した風味、長い貯蔵寿命安定性および高められた栄養品質を提供する。貯蔵の間に油の品質を維持する手段も開発した。SDA油から製造した幾つかの食品も製造し、ダイズ油のような従来の油から製造した製品と比較して同様の味および感覚特性を有することを見出した。
【0012】
また、本発明によれば、食品の貯蔵寿命試験も行い、植物由来のSDA油は他のオメガ-3含有生成物と比較して実質的に改善された貯蔵寿命特性を有する。したがって、本発明の好ましい形態は、ヒト消費用の食品の製造におけるトランスジェニック植物によって生成したSDA油の用法である。
【0013】
栄養学的な研究により、アルファ-リノレン酸と比較してSDAはイン・ビボ(in vivo)でEPAに約5倍効率的に変換されることが示された。したがって、本発明のもう1の形態において、植物由来のSDAは、ある種の病理状態についてのニュートラシューティカル・サプリメントまたは食餌療法添加剤として利用し得る。
【0014】
詳細には、本発明は、許容し得る食品がステアリドン酸を用いて製造することができ、その貯蔵寿命を匹敵するPUFA油のものを超えて増大することができることを示す。」

「【0031】
上述のように、本発明によれば、組換え脂肪種子植物において産生されたSDAに富む油は、食品製造業者に以前は入手できなかった油組成を提供する。それは、本発明より前に典型的な植物油中に測定できるほどの量で存在していなかった食品中のオメガ-3油の取込みを提供する。また、このオメガ-3油の使用は、かかる油が魚または藻類起源から送達される場合は、食物の感覚的品質または貯蔵期間に関する伝統的な関心なしに可能である。油を送達した後、それを採取し、焼いた製品、日常品、スプレッド(spread)、マーガリン、スポーツ製品、栄養バーおよび乳幼児用のミルク、飼料、水産養殖、ニュートラシューティカルおよび医薬用途の生産に利用することができる。各々が高められた栄養含量を有する。
【0032】
表1bに転じて、本発明の有用性を説明するために、広範な範囲の食物カテゴリーを代表する種々の食品を選択して、製品味覚および貯蔵寿命に対するSDAおよび他のオメガ-3油の影響を決定した。
【0033】
受け入れた貯蔵寿命感覚試験によって測定した酸化安定性は、脂肪および油の有用な寿命および香味特徴を決定する重要なPUFA特徴である。脂肪および油の酸化的な劣化は、過酸化値(一次酸化から生じる過酸化物を測定する、PV)およびp-アニシジン値(二次酸化から生じる2-アルケナールを主に測定する、AV)のような湿潤化学法、あるいは食物においては感覚試食試験によって評価することができる。選択した食物カテゴリーおよび食品は、以下のとおりである:」

「【0035】
本実験により、トランスジェニックSDAを取り込む食品の開発は幾つかの処方および方法を提供した。さらなる開発および研究は、香味最適化および貯蔵寿命特徴の向上のために行った。例えば、本発明のSDA組成物を含み得る食品または飲料には、焼いた製品および焼いた製品の混合物(例えば、ケーキ、ぶどうパン、マフィン、クッキー、練り粉菓子、パイおよびパイの皮)、ショートニングおよび油生成物(例えば、ショートニング、マーガリン、揚げ油(frying oil)、調理油およびサラダ油、ポップコーン油、サラダドレッシング、およびマヨネーズ)、油中で揚げた食物(例えば、ポテトチップ、コーンチップ、トルティヤチップ、他の揚げた澱粉質のスナック食品、フレンチフライ、ドーナッツおよびフライドチキン)、乳製品および人工乳製品(例えば、バター、アイスクリームおよび他の脂肪を含む冷凍デザート、ヨーグルト、およびナチュラルチーズ、プロセスチーズ、クリームチーズ、コテージチーズ、チーズ食品およびチーズスプレッド、ミルク、クリーム、サワークリーム、バターミルクおよびコーヒークリーマー)、肉食品(例えば、ハンバーガー、ホットドッグ、フランクフルトソーセージ、ソーセージ、ボローニャソーセージおよび他のランチョンミート、パスタ/肉製品、シチュー、サンドイッチスプレッドおよび缶詰めの魚を含む缶詰めの肉)、肉類似物、豆腐および種々のタンパク質スプレッド、甘味製品および糖菓(例えば、キャンディー、チョコレート、チョコレート菓子、粉砂糖をかけた菓子、および砂糖ごろも菓子、シロップ、クリームが詰まった菓子および果実が詰まった菓子)、木の実で造った代用バターおよび種々のスープ、クリームソース、ソースおよびグレービーソースが含まれる。前記の例の各々は、本発明の異なる形態を含む。」





「【0054】
本発明の方法によれば、種々のサラダドレッシングの試料を、本発明の種々の形態の確認実験および分析のために契約食品研究所に提出した。貯蔵寿命試験の一般的なアプローチは、5の属性パネリストにドレッシングを試食し、各ドレッシングについての属性および強さ(15ポイントのスケール-0は存在しない、15は極めて)に関して合意を生じた。パネリストによって同定した属性のリストは表5にある。さらなる属性は保証として同定した。属性試験の特徴を以下の表5に提供し、種々の時点での感覚試験からのデータを一緒に表6に提供する。」

「【0056】
実施例1 サラダドレッシング
表3a-3cは、本発明の好ましい形態のために開発したデータを表す。4ヶ月まで出力したデータのグラフ表示のための図2a-2eも参照されたい。表3a-3cに提供するデータによれば、SDAを含有する試料は対応する魚および藻のオメガ-3油処方よりも顕著に風味がなく、実質的な短い貯蔵寿命および限定された安定性なしにオメガ-3処方の存在の恩恵を提供する。刺激風味および極めて深いな臭いにより、魚および藻由来の油は単純に試験できず、3ヶ月加速評価期間から外したが、本発明のSDA組成物はそうでなかった。全体として、本発明のSDA組成物は、食餌に遊離なオメガ-3を送達するのと結合した商業的利用のための改善された安定性、低下した分解およびその結果としての高められた貯蔵寿命を証明する。
【0057】
特定のサラダドレッシング態様に関して、本発明のSDA組成物は、6ヶ月の室温保存後に魚および藻油よりも長い風味プロフィールを維持する高められたランチドレッシングに利用するために開発した。イタリアンドレッシングに関して、より複雑な香味系が幾分かのマスキングを呈したが、ここでも本発明のSDAを含有するドレッシングは匹敵するベースの魚/藻ドレッシングよりもより少ない不快な臭いであった。
【0058】
イタリアン・サラダドレッシング:
本発明によれば、室温での貯蔵寿命実験および加速実験は4ヶ月で終了した。各試料は室温にて0、2および4ヶ月ならびに1、2および3ヶ月に加速温度(95°F)にて食品研究所で訓練した属性のパネルによって評価した。ランチドレッシングに関しては、魚および藻油試料を2ヶ月時点での高い不快な臭いおよび特徴のため、3ヶ月のみ嗅いだ。本発明のSDAを含有するものを含むすべての他の試料は、3ヶ月に評価した。これは、加速貯蔵寿命評価の典型である。
【0059】
本発明の方法によれば、イタリアンドレッシングは他のオメガ-3含有試験対象物と比較して風味の観点で顕著な安定性を示した。加速試験は95°Fでの4ヶ月の試験を通して完了した。この時点では、すべての生成物が不快な臭いを示し、魚油は不快な注記で最高値を示した。重要なことに、本発明のSDA処方はダイズ油参照に似ていた。
【0060】
本発明の方法によれば、ランチスタイルのドレッシングは、他のオメガ-3を含有する魚油および藻油処方と比較して感覚パラメータに関して顕著な改善を示した。また、本発明により、加速試験が完了した。高い強さの不快な臭いが2ヶ月で魚および藻試料で発生したが、本発明のSDA油および参照ダイズ油は3ヶ月の感覚パラメータに従って評価し得た。参照およびアマ試料はより特徴的な風味を示し、本発明のSDA油よりも小さい不快な臭いであった。本発明のSDA油は魚および藻試料よりもより特徴的な風味および小さな不快な臭いを示した。このことは、SDAが魚および藻油に対して改善された貯蔵寿命を有することを示している。また、室温試験は4ヶ月を通して本発明にかかる処方について完了した。結果は、本発明のSDA試料が、本発明のSDA生成物が魚および藻油を含む他のオメガ-3源と比べて不快な臭いおよび気持ち悪い臭いについて顕著に低い特性を有することを示すことを示す。」

「【0069】
貯蔵寿命試験への一般的アプローチは、5の訓練した属性パネリストにドレッシングを試食させ、各ドレッシングについての属性および強度(15スケール、-0は不存在、15は最高)に関して同意を生じさせる。さらなる属性を保証のために同定する。

【0070】
本実施例に関して、表6a-6bは風味および稠度に対する重要なデータを提供している。ランチドレッシングの場合においては、そのより敏感な風味のために、SDAおよび競合する対照物で生成したドレッシングの間の差異はより明白である。表6a-6bは、本発明の好ましい形態について明らかにしたデータを表す。ランチドレッシングを用いたデータのグラフ表示については、図3a-3hも参照されたい。表6a-6bに提供するデータによれば、SDAを含有する試料は魚および藻油を含有するものよりも顕著に低い不快な臭いである。刺激風味および極めて気持ち悪い臭いにより、魚および藻由来の油は3ヶ月の加速評価期間から単純に除いたが、SDAは除かなかった。改善された安定性、減少した分解およびその結果として高められた貯蔵寿命を示している。」

「【0078】
本発明によれば、貯蔵寿命試験の一般的アプローチは、5の訓練した属性パネリストにドレッシングを試食させ、各ドレッシングについて属性および強さ(15ptのスケールで-0は不存在、15は最高)に関して同意を生じさせる。さらなる属性を保証のために同定する。」

「【0080】
本発明により、最初の評価後に以下のデータを生じた。サラダドレッシングの例と同様に、SDAを含有するマヨネーズの初期の風味は対照と同様であった。アマ試料は比較した他のものから最も異なっていた。
【0081】
本発明の方法によれば、貯蔵寿命実験、室温および加速貯蔵条件の2ヶ月の実験を行った。加速温度実験におけるすべての試料は顕著な不快な臭いを有していたが、藻油試料は最高の不快な特徴を含んでいた。SDAは他のオメガ-3を含有する油源よりも良好に発揮した。室温実験については、藻油は本発明のSDA油よりも遙かに高いレベルの不快な臭いを示した。表8a-8dおよび図4a-4eの上記データを参照されたい。
【0082】
実施例4 豆乳
本発明によれば、豆乳は2の異なる方法で調製し得る。第1のものは、SDAに富むダイズの外皮をとり、薄片にし、ついで十分に肥ったダイズ粉にする。豆乳は、最初にダイズ粉を水に溶解し、混合し、加工して酵素を不活性化することによって処方化する。ダイズベースを濾過してさらなる固形物を除去し、脱気する。残りの成分を添加し、混合し、ついで生成物を2ステージ・ホモジナイザーでホモジナイズし、ついで超高温(UHT)高温プロセシングユニットを通して加工する。得られた生成物は、12週の典型的な貯蔵寿命で梱包および冷蔵する。以下に示すのは表10に提供した処方であり、プロセスフロー図については図8も参照されたい。」

「【0084】
用いた例は異なるタイプの均質および熱処理ユニット(直接蒸気、間接蒸気ほか)にも適用することができる。プレーン、チョコレート、リンゴ、オレンジ、ベリー他を含む異なる豆乳香味料は同様にして調製することができる。
【0085】
得られた生成物は、本発明のSDA向上を含まない以外は同様にして処理した粉から製造した豆乳と比較して許容し得る香味および口あたりを有することが判明した。9ヶ月貯蔵寿命後の本発明の追跡で明らかにされたデータによれば、トランスジェニックSDA組成物で高められた本発明の形態とオメガ-3脂肪酸を含まない非トランスジェニック・ダイズ油を含む対照組成物との間には味覚において僅かな相違しか存在しない。このことは豆乳および果実スムージーの両方について同様であった。これらは冷蔵保存し、大部分の商業的設計においては3ヶ月の貯蔵寿命しか有しないことを特記しておく。
【0086】
この実施例に対する第2のアプローチは、単離したダイズタンパク質を用いること、およびSDAに富むダイズ油を添加して新たな生成物組成物を達成することである。下記は図9の対応するフロー図を有する表11に提供する処方である。」

「【0090】
実施例5 フルーツ・スムージ
本発明の好ましい形態によれば、豆乳からフルーツ・スムージを生じる。別の態様において、他の源のSDA油をフルーツ・スムージの開発のために使用し得る。本発明によれば、フルーツ・スムージの製造のために開発した方法を健康および栄養を高めるためのSDA油のユニークな特性を考慮する。2のスムージ型の生成物を開発し、両方の生成物は延長された貯蔵寿命特性を有することが決定された。超高低温殺菌、冷蔵保存の利用を含む方法の間は、典型的に12週の貯蔵寿命の他の冷蔵飲料を含む。混合したベリープロトタイプを本明細書に記載するが、イチゴ、ブドウ、クランベリー、オレンジ、レモン、リンゴ、パイナップル、マンゴー、イチゴ-バナナを含む他の風味およびいずれか他の果実の風味の組み合わせを開発することができる。」

「【0099】
本実施例の両方のアプローチから得られた生成物は、本発明のために開発した12ヶ月の冷蔵貯蔵寿命を有する本発明の典型的な果実風味のスムージー態様であった。」

「【0124】
リノール酸の減少
オメガ-3およびオメガ-6脂肪酸は、ヒトの栄養に必要である脂肪酸であることは知られている。オメガ-6脂肪酸には、リノール酸およびその誘導体が含まれる。これらの油はヒトの栄養に必須であると考えられている。なぜなら、これらの脂肪酸は食餌で消費しなければならず、ヒトはそれらを他の食餌脂肪または栄養から製造することができず、しかもそれらは体内に貯蔵できないからである。この類の脂肪酸はエネルギーを提供し、神経細胞、細胞膜の成分でもあり、プロスタグランジンとして知られているホルモン様物質に変換される。
【0125】
図1を見ると、リノール酸は2の二重結合を含む18-炭素の長鎖ポリ不飽和脂肪酸である。その1番目の二重結合はオメガ末端から6番目の炭素に生じ、それをオメガ-6油として分類している。リノール酸はヒト体内に吸収され代謝され、誘導脂肪酸、ガンマ・リノール酸(GLA)に変換され、これはジ-ホモ-ガンマ・リノール酸(DGLA)およびアラキドン酸(AA)に変換される。ついで、DGLAおよびAAは2の炭素分子が加わり、水素分子が除去されることによって2のタイプのプロスタグランジンに変換される。3のファミリーのプロスタグランジン、PGE1、PGE2およびPGE3が存在する。DGLAはPGE1に変換され、一方でAAはPGE2に変換される。PGE3はオメガ-3脂肪酸の変換によって生成する。
【0126】
ヒトにおいて、オメガ-3油の消費と比べたオメガ-6の過剰な消費は、炎症-生成プロスタグランジン(PGE2)の過剰生成および非-炎症性プロスタグランジン(PGE1およびPGE2)の不足につながる場合がある。代わってこのことは、種々の他の健康問題につながる場合がある。さらにすすむと、現在市販されている一般的な調理植物油および加工食品にオメガ-6脂肪酸が存在することに起因して、消費者によるオメガ-6脂肪酸の日消費が過剰になる場合がある。オメガ-3脂肪酸消費に対するオメガ-6脂肪酸消費の比は、西洋食においては20:1に達する場合もある。より望ましい比を達成するために、本発明の形態はトランスジェニック脂肪種子植物においてSDAの生成を増大させる一方でLAの生成を減少する。得られる油は低レベルのLAを含有する一方で著量のSDAの生成を提供し、調理油から食品成分までの食品産業における種々の役割に使用することができる。
【0127】
上昇するトコフェロールレベル
トコフェロールは植物油に見出される天然の抗酸化剤であり、食餌中の必須の栄養である。これらの抗酸化剤は細胞膜および他の身体の脂溶性部分、低密度リポタンパク質(LDL)コレステロールを障害から保護する。また、それは心血管疾患およびある種の形態の癌から身体を保護し、免疫向上効果が示されている。本発明によれば、トランスジェニック種子油植物の油中のトコフェロールの存在の向上は、油の消費者に有益であろう。本発明の目的に比して、現在の種々の形態で存在する高濃度のトコフェロールは油生成物の部分として有益であり、SDAの酸化を低下することもできる。」

(図5)




(図6)




(2)請求人は、審判請求書についての平成29年8月23日付け手続補正書において、上記1(3)のように主張するところ、発明の詳細な説明において、SDA油についての表3aおよび魚油についての表3bにおける加速条件での2のサラダドレッシング間の「合計オフ香味」の数値により、ステアリドン酸を含む発明とエイコサペンタエン酸を含む魚油を含む発明とは比較している旨主張する。

(3)そこで検討すると、ここでいう「合計オフ香味」が何故請求項1でいう「香味分解」の「香味」であるといえるのか定かではないが、そのことを置いたとしても、この表3a,3bは、イタリアン・サラダドレッシングに係るものであって、そもそも請求項1に記載された「ダイズ粉、ダイズタンパク質濃縮物、特定のきめを出したダイズタンパク質濃縮物、加水分解ダイズタンパク質、ダイズタンパク質単離物および噴霧乾燥豆腐よりなる群から選択される食品」に係るものではなく、また、表3bの「魚油」を含むイタリアン・サラダドレッシングは、表3aの「SDA油」を含むイタリアン・サラダドレッシングに比して、「ステアリドン酸ではなくエイコサペンタエン酸を有する以外は同一」なものには相当しない。
したがって、表3a,3bをもって、「トランスジェニック植物由来の油を含む食品であって、ここにステアリドン酸ではなくエイコサペンタエン酸を有する以外は同一の食品よりも香味分解に対して少なくとも5%長い貯蔵寿命を示し、トランスジェニック植物由来の油が油中の脂肪酸の全重量に基づいて少なくとも10重量%ステアリドン酸を含み、ダイズ粉、ダイズタンパク質濃縮物、特定のきめを出したダイズタンパク質濃縮物、加水分解ダイズタンパク質、ダイズタンパク質単離物および噴霧乾燥豆腐よりなる群から選択される食品。」が開示されていることにはならない。

(4)また、ステアリドン酸(SDA)、リノール酸及びトコフェロールに関する本願明細書の発明の詳細な説明の記載は、上記(1)に示したとおりであって、全てのデータをみても、上記「少なくとも5%」、「少なくとも10重量%」、「少なくとも5ppm」、「0.1重量%?80重量%」、「40重量%未満」、「2重量%?50重量%」及び「最大35重量%」という各数字を直ちに導くことができるとは認めることはできない。
したがって、発明の詳細な説明中に記載も示唆もされていない事項が、請求項1ないし15に記載されていることは明らかである。

(5)さらに、本願明細書の発明の詳細な説明には、発明の課題として、貯蔵寿命について、
「【0011】
・・・この「SDA油」は、いずれのオメガ-3油と比較しても、初期の食用に適した風味、長い貯蔵寿命安定性および高められた栄養品質を提供する。
・・・
【0012】
また、本発明によれば、食品の貯蔵寿命試験も行い、植物由来のSDA油は他のオメガ-3含有生成物と比較して実質的に改善された貯蔵寿命特性を有する。
・・・
【0014】
詳細には、本発明は、許容し得る食品がステアリドン酸を用いて製造することができ、その貯蔵寿命を匹敵するPUFA油のものを超えて増大することができることを示す。」と記載されている。
しかしながら、本願請求項1に係る発明の「トランスジェニック植物由来の油を含む食品」について、具体的に示されたものは、実施例4の「豆乳」及び実施例5の「フルーツ・スムージ」のみであって、これらについての感覚情報のTime Point試験を示す図5及び図6をみても、本願請求項1に係る発明で特定する「ステアリドン酸ではなくエイコサペンタエン酸を有する以外は同一の食品よりも香味分解に対して少なくとも5%長い貯蔵寿命を示」しているとはいえず、上記の課題を解決できているとは認められない。
したがって、本願請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明において発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲のものとはいえない。
この点、請求項1を引用する請求項2ないし15も同様である。

(6)そうすると、本願の請求項1ないし15に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されたものであるとはいえないから、本願特許請求の範囲の請求項1ないし15の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

(7)また、上記(1)及び(3)ないし(6)を踏まえると、本願の発明の詳細な説明には、請求項1に係る発明で発明特定事項とされた「ステアリドン酸ではなくエイコサペンタエン酸を有する以外は同一の食品よりも香味分解に対して少なくとも5%長い貯蔵寿命」を示す食品がどのようなものであるのかを明確に把握できるように記載されておらず、当該食品をどのようにして製造するのかを理解できるように記載されていない。
したがって、本願の発明の詳細な説明の記載は、請求項1ないし15に係る発明を当業者が実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものとはいえないから、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。

3 特許法第29条第2項について
(1)本願発明
上記1で述べたとおり、請求項1に係る発明は明確ではないが、請求人の上記1(3)に示した主張に沿って、「香味分解に対して」「長い貯蔵寿命を示」すということは、「商品を保存することができる最大の時間であり、特定の比率の商品の品質が配達、貯蔵および陳列下で許容し得るままである最大の時間」が「長い」ことを意味していると理解して検討する。
以下、請求項1に記載された事項(上記1(1)参照)により特定される発明を「本願発明」という。

(2)引用文献
ア 原査定の拒絶の理由に引用された国際公開第2006/052662号(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は、当審で付与。参考訳は、対応する国内文献である特表2008-519129号に基づくものである。なお、下線は、当審で付与したものである。以下同じ。)。

(1a)「6. An oil composition comprising at least 0.4 wt.% of at least one polyunsaturated fatty acid having four or more carbon-carbon double bonds or a derivative thereof based upon the total weight of fatty acids or derivatives thereof in the composition, the composition being derived from a genetically-modified seed selected from the group consisting of Arabidopsis, canola, carrot, coconut, corn, cotton, flax, linseed, maize, palm kernel, peanut, potato, rapeseed, safflower, soybean, sunflower, tobacco, and mixtures thereof.
7. An oil composition comprising from about 3 wt.% to about 30 wt.% stearidonic acid or a derivative thereof based upon the total weight of fatty acids or derivatives thereof in the composition, the composition having an anisidine value of less than about 3 and a peroxide value less than about 1 meq/kg.」
(参考訳:【請求項6】
組成物中の脂肪酸またはそれらの誘導体の全重量に対して少なくとも0.4重量%の、4以上の炭素-炭素二重結合を有する少なくともひとつのポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含み、アラビドプシス、カノーラ、ニンジン、ココナッツ、コーン、綿、亜麻、亜麻仁、トウモロコシ、パーム核、ピーナッツ、ジャガイモ、ナタネ、サフラワー、ダイズ、ヒマワリ、タバコ、およびそれらの混合物よりなる群から選択される遺伝子組換え種子から誘導される油組成物。
【請求項7】
組成物中の脂肪酸またはそれらの誘導体の全重量に対して約3重量%から約30重量%のステアリドン酸またはその誘導体を含み、約3未満のアニシジン値を有し、かつ、約1meq/kg未満のパーオキシド値を有する油組成物。)

(1b)「28. A food composition comprising the oil of any one of claims 1 to 27.」
(【請求項28】
請求項1?27いずれかに記載の油を含む、食用組成物。)

(1c)「34. The food composition of claim 28 wherein the composition is a mayonnaise, a salad dressing, soy milk, filled milk, yogurt, processed meat, or a refrigerated dough product.」
(【請求項34】
マヨネーズ、サラダドレッシング、豆乳、フィルドミルク、ヨーグルト、加工肉、または冷凍練り物である、請求項28に記載の食用組成物。)

(1d)「FIELD OF THE INVENTION

[0001] The present invention relates to non-hydrogenated or partially hydrogenated non-animal oils having a low level of trans-fatty acids and improved flavor and performance attributes especially suitable for food applications and processes for the preparation thereof.

[0002] As consumers have become more aware of the health impact of lipid nutrition, consumption of oils with high levels of unsaturated and polyunsaturated fats and low levels of trans-fats is desirable.

[0003] Oils containing long chain polyunsaturated fatty acids (PUFAs) can be used as food ingredients. PUFAs of importance include docosahexaenoic acid (DHA), eicosapentaenoic acid (EPA), alpha-linolenic acid (ALA), gamma-linolenic acid (GLA), docosapentaenoic acid (DPA), arachidonic acid (all-c/s-5,8, 11 ,14- eicosatetraenoic acid; AA) and stearidonic acid (c/s-6,9,12,15-octadecatetraenoic acid; SDA). Many of these PUFAs are found in marine oils and plant seeds. PUFAS are important components of phospholipids found in the plasma membrane of the cell, and are precursors to other molecules of importance in human beings and animals, including the prostacyclins, leukotrienes and prostaglandins. Moreover, PUFAs are necessary for proper development, particularly in the developing infant brain, and for tissue formation and repair.

[0004] PUFAs may be extracted from natural sources or synthesized by various organisms. However, there are several disadvantages associated with commercial production of PUFAs from natural sources. Natural sources of PUFAs, such as animals and plants, tend to have highly heterogeneous oil compositions. The oils obtained from these sources can require extensive purification to separate out one or more desired PUFAs or to produce an oil which is enriched in one or more PUFA. Fish oils containing significant quantities of EPA and DHA can have unpleasant tastes and odors, which would make them undesirable food ingredients or supplements, i-urthermore, in some cases, fish oil capsules can contain low levels of the desired component and retain undesirable levels of other components, including contaminants.

[0005] PUFAs are considered to be useful for nutritional, pharmaceutical, industrial, and other purposes. Therefore, it is of interest to extract oils having high levels of PUFAs from genetically-modified seeds; these seeds have been modified to contain higher concentrations of SDA as compared to the corresponding naturally- occurring seed.」
(【技術分野】
【0001】
本発明は、低レベルのトランス-脂肪酸および改善された味および特に食品アプリケーションに適した特性を有する非硬化または部分硬化非動物性油ならびにそれらの調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
消費者が、脂質栄養素の健康への影響について気づくにつれて、高レベルの不飽和およびポリ不飽和油脂ならびに低レベルのトランス-油脂の油の消費が望まれる。
【0003】
長鎖ポリ不飽和脂肪酸(PUFA)を含有する油は、食物材料として用いることができる。重要なPUFAは、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、アルファ-リノレン酸(ALA)、ガンマ-リノレン酸(GLA)、ドコサペンタエン酸(DPA)、アラキドン酸(all-c/s-5,8,11,14-エイコサテトラエン酸;AA)およびステアリドン酸(c/s-6,9,12,15-オクタデカテトラエン酸;SDA)を含む。これらのPUFAの多くは、海洋性油および植物種子に見出される。PUFAは、細胞の原形質膜に見出されるリン脂質の重要な成分であり、プロスタサイクリン、ロイコトリエンおよびプロスタグランジンを含む人類および動物において重要な他の分子の前駆体である。さらに、PUFAは、適正な発達、特に、幼児脳の発達、ならびに組織の形成および修復に必須である。
【0004】
PUFAは天然起源から抽出するか、または、様々な生体によって合成することができる。しかしながら、天然起源からのPUFAの商業的生産にはいくつかの問題点がある。動物および植物のごとき、天然起源は非常に不均一な油組成物を有する傾向にある。これらの起源から得られた油は、1以上の所望するPUFAを分離し、または、1以上のPUFAを富化した油を製造するために、多大な精製を必要とする。大量のEPAおよびDHAを含有する魚油は不快な味および臭いを有し、それゆえ、食品材料やサプリメントとして望ましくない。さらに、いくつかの場合、魚油カプセルは低レベルの所望成分を含有し、不純物などの他の成分を望ましくないレベルで含有する。
【0005】
PUFAは、栄養、医薬、工業その他の目的に対して有用であると考えられている。したがって、遺伝子組換え種子から高レベルのPUFAを有する油を抽出することに関心が持たれ;これらの種子は、天然産のものと比較して高濃度のSDAを含有するように改良されている。)

(1e)「SUMMARY OF THE INVENTION

[0006] One embodiment of the invention is directed to an oil composition comprising at least 0.4 wt.% of at least one polyunsaturated fatty acid having four or more carbon-carbon double bonds or a derivative thereof based upon the total weight of fatty acids or derivatives thereof in the composition, the composition having either: a peroxide value of less than about 1 meq/kg and being derived from a source other than a marine oil; an anisidine value of less than about 3 and being derived from a source other than a marine oil; at least one additional polyunsaturated fatty acid having four or more carbon-carbon double bonds or a derivative thereof, and an anisidine value of less than about 3; at least about 400 ppm tocopherols; or less than 1 wt.% trans-fatty acid.

[0007] Another embodiment of the invention is directed to an oil composition comprising at least 0.4 wt.% of at least one polyunsaturated fatty acid having four or more carbon-carbon double bonds or a derivative thereof based upon the total weight of fatty acids or derivatives thereof in the composition, the composition being derived from a genetically-modified seed selected from the group consisting of Arabidopsis, canola, carrot, coconut, corn, cotton, flax, linseed, maize, palm kernel, peanut, potato, rapeseed, safflower, soybean, sunflower, tobacco, and mixtures thereof.

[0008] Yet another aspect of the invention is directed to a process for maintaining the storage stability of an oil during shipment or storage, the process comprising storing an oil of the invention in a container at a temperature ranging from about 4 to about 45℃ for at least one month, wherein the oil has an anisidine value of less than 3 after storage.

[0009] Yet another aspect of the invention is directed to a process for maintaining the storage stability of an oil during shipment or storage, the process comprising storing an oil of the invention in a container at a temperature ranging from about 4 to about 45℃ for at least one month, wherein the absolute change in the anisidine value of the oil during storage is no more than about 20.」
(【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明のひとつの具体例は、組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に対して、少なくとも0.4重量%の、4以上の炭素-炭素二重結合を有する少なくとも1種のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含む油組成物に向けられ、前記組成物は、約1meq/kg未満のパーオキシド値を有し、かつ、海洋性油以外の起源に由来するか;約3未満のアニシジン値を有し、かつ、海洋性油以外の起源に由来するか;4以上の炭素-炭素二重結合を有する少なくともひとつのさらなるポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体および約3未満のアニシジン値を有するか;少なくとも約400ppmトコフェロールを有するか;または1重量%未満のトランス-脂肪酸のいずれかである。
【0007】
本発明のもうひとつの具体例は、組成物中の脂肪酸またはそれらの誘導体全重量に対して少なくとも0.4重量%の、4以上の炭素-炭素二重結合を有する少なくとも1種のポリ不飽和脂肪酸またはそれらの誘導体を含む油組成物に向けられ、前記組成物は、アラビドプシス (Arabidopsis)、カノーラ、ニンジン、ココナッツ、コーン (corn)、綿、亜麻 (flax)、亜麻仁 (linseed)、トウモロコシ (maize)、パーム核 (palm kernel)、ピーナッツ、ジャガイモ、ナタネ (rapeseed)、サフラワー、ダイズ、ヒマワリ、タバコ、およびそれらの混合物よりなる群から選択される遺伝子組換え種子から誘導体される。
【0008】
本発明のさらに別の態様は、出荷または保存中の油の貯蔵安定性を維持する方法に向けられ、前記方法は、約4から約45℃の範囲の温度にて少なくとも1月間、本発明の油を容器に貯蔵することを含み、ここに、前記油は貯蔵後に3未満のアニシジン値を有することを特徴とする。
【0009】
本発明のさらに別の態様は、出荷または保存中の油の貯蔵安定性を維持する方法に向けられ、前記方法は、約4から約45℃の範囲の温度にて少なくとも1月間、本発明の油を容器に貯蔵することを含み、ここに、貯蔵中のアニシジン値の絶対変化量は約20を超えないことを特徴とする。)

(1f)「[0023] The oils of the present invention have improved stability in terms of taste and smell and low levels of trans-fatty acids. In one embodiment, certain oils of the invention can be used as food ingredients, due to the health benefits of the consumption of highly unsaturated fats. It is known that consumption of saturated fats has a negative impact on cardiovascular health. However, consumption of fatty acids having four or more double bonds is desirable. Due to the high level of unsaturation (four or more double bonds), certain oils of the present invention are less stable than oils with a lower level of unsaturation (less than four double bonds). Lower stability of certain oils of the invention leads to decomposition reactions of fatty acids that form undesirable peroxides and hydroperoxides. The subsequent decomposition of these oxidation products can form volatile and non-volatile aldehydes and/or ketones. The non-volatile components can catalyze further oxidation of the oils and the volatile components give rise to undesirable taste and smell.」
(【0023】
本発明の油は、味および臭いに関して向上した安定性および、低レベルのトランス-脂肪酸を有する。ひとつの具体例において、本発明のある種の油は、高級不飽和油脂の消費の健康的利点のため、食品成分として用いることができる。飽和樹脂の消費は心臓血管の健康に対して悪い影響を有することが知られている。しかしながら、4以上の二重結合を有する脂肪酸の消費が望ましい。高レベルの不飽和(4以上の二重結合)のため、本発明のある種の油は、低レベルの不飽和(4未満の二重結合)の油と比較して安定性が低い。安定性が低い本発明のある種の油は脂肪酸の分解反応を生じ、望ましくないパーオキシドおよびヒドロパーオキシドを生成する。これらの酸化生成物の次の分解が揮発性および不揮発性のアルデヒドおよび/またはケトンを生成する。不揮発性成分は、油のさらなる酸化を触媒し、揮発性成分は望ましくない味と臭いを発生する。)

(1g)「[0041] Further, the present invention is directed to an oil composition comprising at least about 0.4, 1 , 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11 , 12, 13, 14, 15, 16, 17, 18, 19, 20, 21 , 22, 23, 24, 25, 26, 27, 28, 29, 30, 31 , 32, 33, 34, 35, 36, 37, 38, 39, 40, 41 , 42, 43, 44 or 45 wt.% or more of at least one polyunsaturated fatty acid having four or more carbon-carbon double bonds or a derivative thereof, based on the total weight of fatty acids or derivatives thereof in the composition, the composition being derived from genetically-modified seed of Arabidopsis, canola, carrot, coconut, corn, cotton, flax, linseed, maize, palm kernel, peanut, potato, rapeseed, safflower, soybean, sunflower, and/or tobacco. In one embodiment, the composition has a peroxide value of 0, 0.1 , 0.2, 0.3, 0.4, 0.5, 0.6, 0.7, 0.8, 0.9, 1.0, 1.5, 2.0, 2.5, 3.0, 3.5, 4.0, 4.5, 5.0, 5.5, 6.0, 6.5, 7.0, 7.5, 8.0, 8.5, 9.0, 9.5, or 10.0 meq/kg. In another embodiment, the composition has an anisidine value of 0, 0.1 , 0.2, 0.3, 0.4, 0.5, 0.6, 0.7, 0.8, 0.9, 1.0, 1.5, 2.0, 2.5, 3.0, 3.5, 4.0, 4.5, 5.0, 5.5, 6.0, 6.5, 7.0, 7.5, 8.0, 8.5, 9.0, 9.5, 10, 11 , 12, 13, 14, 15, 16, 17, 18, 19 or 20. In another embodiment, the composition has a totox value of 0, 0.1 , 0.2, 0.3, 0.4, 0.5, 0.6, 0.7, 0.8, 0.9, 1.0, 1.5, 2.0, 2.5, 3.0, 3.5, 4.0, 4.5, 5.0, 5.5, 6.0, 6.5, 7.0, 7.5, 8.0, 8.5, 9.0, 9.5, 10, 11 , 12, 13, 14, 15, 16, 17, 18, 19, 20, 21, 22, 23, 24, 25 or 26. In yet another embodiment, the composition further comprises up to 100, 200, 300, 400, 500, 600, 700, 800, 900, 1000, 1100, 1200, 1300, 1400, 1500, 1600, 1700, 1800, 1900, 2000, 2100, 2200, 2300, 2400, 2500, 2600, 2700, 2800, 2900, 3000, 3100, 3200, 3300, 3400, 3500, 3600, 3700, 3800, 3900, 4000, 4100, 4200, 4300, 4400, 4500, 4600, 4700, 4800, 4900, or 5000 ppm tocopherols or more. Tocopherols are naturally-occurring stabilizers and include α-tocopherol, β- tocopherol, γ-tocopherol, and δ-tocopherol. In yet another embodiment, the composition further comprises not more than 0.1 , 0.2, 0.3, 0.4, 0.5, 0.6, 0.7, 0.8, 0.9, 1.0, 1.5, 2.0, 2.5, 3.0, 3.5, 4.0, 4.5, 5.0, 5.5, 6.0, 6.5, 7.0, 7.5, 8.0, 8.5, 9.0, 9.5, or 10.0 wt.% trans-fatty acid. In another embodiment, the composition further comprises at least about 0.4, 0.5, 0.6, 0.7, 0.8, 0.9, 1 , 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11 , 12, 13, 14, 15, 16, 17, 18, 19, 20, 21 , 22, 23, 24, 25, 26, 27, 28, 29, 30, 31 , 32, 33, 34, 35, 36, 37, 38, 39, 40, 41 , 42, 43, 44, 45, 46, 47, 48, 49, or 50 wt.% γ-linolenic acid (GLA; C18:3) or a derivative thereof.」
(【0041】
さらに、本発明は、組成物中の脂肪酸またはそれらの誘導体の全重量に対して少なくとも約0.4、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44または45重量%またはそれ以上の、4以上の炭素-炭素二重結合を有する少なくともひとつのポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含む油組成物に向けられ、前記組成物は、アラビドプシス (Arabidopsis)、カノーラ、ニンジン、ココナッツ、コーン (corn)、綿、亜麻 (flax)、亜麻仁 (linseed)、トウモロコシ (maize)、パーム核 (palm kernel)、ピーナッツ、ジャガイモ、ナタネ (rapeseed)、サフラワー、ダイズ、ヒマワリ、および/またはタバコの遺伝子組換え種子から誘導される。ひとつの具体例において、前記組成物は、0、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、または10.0meq/kgのパーオキシド値を有する。もうひとつの具体例において、前記組成物は、0、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20のアニシジン値を有する。もうひとつの具体例において、前記組成物は、0、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25または26のtotox値を有する。さらにもうひとつの具体例において、前記組成物は、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200、2300、2400、2500、2600、2700、2800、2900、3000、3100、3200、3300、3400、3500、3600、3700、3800、3900、4000、4100、4200、4300、4400、4500、4600、4700、4800、4900、または5000ppmまで、またはそれ以上のトコフェロールをさらに含む。トコフェロールは天然に産出する安定化剤であり、α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、およびδ-トコフェロールを含む。さらにもうひとつの具体例において、前記組成物は、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、または10.0重量%未満のトランス-脂肪酸をさらに含む。もうひとつの具体例において、前記組成物は、少なくとも約0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50重量%のγ-リノレン酸(GLA;C18:3)またはその誘導体をさらに含む。)

(1h)「[0043] This invention is also useful for genetically modified plant oils containing elevated levels of polyunsaturated fatty acids containing three carbon- carbon double bonds or more. Examples include seeds of plants derived from Arabidopsis, canola, carrot, coconut, corn, cotton, flax, linseed, maize, palm kernel, peanut, potato, rapeseed, safflower, soybean, sunflower, and/or tobacco. Exemplary polyunsaturated fatty acids, or derivatives thereof, having three or more double bonds are stearidonic acid (SDA, C18:4), eicosatrienoic acid (EtrA, C20:3), eicosatetraenoic acid (ETA, C20:4), eicosapentaenoic acid (EPA; C20:5), docosapentaenoic acid (DPA; C22:5), docosahexaenoic acid (DHA, C22:6), gamma linolenic acid ( GLA, C18:3), dihomogammalinolenic acid (DGLA, C20:3) and arachidonic acid (AA; C20:4). Preferably, the polyunsaturated fatty acid or derivative thereof of the above described oil compositions comprises at least one omega-3 or omega-6 fatty acid, and preferably comprises omega-3 stearidonic acid (SDA, C18:4), omega-3 eicosatrienoic acid (EtrA, C20:3), omega-3 eicosatetraenoic acid (ETA, C20:4), omega-3 eicosapentaenoic acid (EPA; C20:5), omega-3 docosapentaenoic acid (DPA; C22:5), omega-3 docosahexaenoic acid (DHA, C22:6)), omega-6 gamma linolenic acid( GLA, C18:3), omega-6 dihomogammalinolenic acid (DGLA, C20:3) or omega-6 arachidonic acid (AA; C20:4).」
(【0043】
本発明は、上昇したレベルの3以上の炭素-炭素二重結合を含有するポリ不飽和脂肪酸を含有する遺伝子組換え植物性油にも有用である。例えば、アラビドプシス (Arabidopsis)、カノーラ、ニンジン、ココナッツ、コーン (corn)、綿、亜麻 (flax)、亜麻仁 (linseed)、トウモロコシ (maize)、パーム核 (palm kernel)、ピーナッツ、ジャガイモ、ナタネ (rapeseed)、サフラワー、ダイズ、ヒマワリ、および/またはタバコから誘導される植物の種子を含む。3以上の二重結合を有する代表的なポリ不飽和脂肪酸またはそれらの誘導体は、ステアリドン酸 (SDA; C18:4)、エイコサトリエン酸 (EtrA; C20:3)、エイコサテトラエン酸(ETA、C20:4)、エイコサペンタエン酸 (EPA; C20:5)、ドコサペンタエン酸 (DPA; C22:5)、ドコサヘキサエン酸 (DHA; C22:6)、ガンマリノレン酸 (GLA; C18:3)、ジホモガンマリノレン酸 (DGLA; C20:3)およびアラキドン酸 (AA; C20:4)である。好ましくは、上記油組成物のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体は、少なくとも1種のオメガ-3またはオメガ-6脂肪酸を含み、好ましくはオメガ-3ステアリドン酸 (SDA; C18:4)、オメガ-3エイコサトリエン酸 (EtrA; C20:3)、オメガ-3エイコサテトラエン酸 (ETA、C20:4)、オメガ-3エイコサペンタエン酸 (EPA; C20:5)、オメガ-3ドコサペンタエン酸 (DPA; C22:5)、オメガ-3ドコサヘキサエン酸 (DHA; C22:6))、オメガ-6ガンマリノレン酸 (GLA; C18:3)、オメガ-6ジホモガンマリノレン酸 (DGLA; C20:3)またはオメガ-6アラキドン酸 (AA; C20:4)を含む。)

(1i)「[0045] As discussed herein above, oils having relatively higher concentrations of omega-3 fatty acid units are advantageous food ingredients. The process of the present invention can be used to extract oils from oilseeds containing at least one polyunsaturated fatty acid having four or more carbon-carbon double bonds or a derivative thereof, such as stearidonic acid, in an amount greater than about 0.4, 1 , 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11 , 12, 13, 14, 15, 16, 17, 18, 19, 20, 21 , 22, 23, 24, 25, 26, 27, 28, 29, 30, 31 , 32, 33, 34, 35, 36, 37, 38, 39, 40, 41 , 42, 43, 44 or 45 wt.% or more based on the total weight of fatty acids in the composition, the composition having an anisidine value of less than about 0.1 , 0.2, 0.3, 0.4, 0.5, 0.6, 0.7, 0.8, 0.9, 1.0, 1.1, 1.2, 1.3, 1.4, 1.5, 1.6, 1.7, 1.8, 1.9, 2.0, 2.1 , 2.2, 2.3, 2.4, 2.5, 2.6, 2.7, 2.8, 2.9 or 3.0. Preferably, the oilseeds extracted are seeds containing a similar proportion of SDA to total fatty acid content as the oil composition. Therefore, the SDA content in the whole seed is at least about 0.4 wt.% of its total fatty acid concentration. Furthermore, the SDA content in the oil throughout the process is at least about 0.4, 0.5, 1 , 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11 , 12, 13, 14, 15, 16, 17, 18, 19, 20, 21 , 22, 23, 24, 25, 26, 27, 28, 29, 30, 31 , 32, 33, 34, 35, 36, 37, 38, 39 or 40 wt.% based on the total weight of fatty acids in the composition.」
(【0045】
上記のごとく、比較的高濃度のオメガ-3脂肪酸単位を有する油は有利な食品成分である。本発明の方法を用いて、ステアリドン酸のごとき4以上の炭素-炭素二重結合を有する少なくともひとつのポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含有する脂肪種子から、組成物中の脂肪酸の全重量に対して約0.4、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44または45重量%またはそれ以上を超える量にて油を抽出し得、前記組成物は、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9または3.0未満のアニシジン値を有する。好ましくは、抽出された脂肪種子は、全脂肪酸含有量に対して前記油組成物と同様の比率でSDAを含有する種子である。したがって、種子全体のSDA含有量は、全脂肪酸濃度の少なくとも約0.4重量%である。さらに、当該方法を通じて、油中のSDA含有量は、組成物中の脂肪酸の全重量に対して少なくとも約0.4、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39または40重量%である。)

(1j)「[0053] Some of the various oils of the present invention can be extracted from plant tissue, including plant seed tissue. Plants from which polyunsaturated fatty acids can be isolated include plants with native levels of polyunsaturated fatty acids as well as plants genetically engineered to express elevated levels of polyunsaturated fatty acids. Examples of plants with native levels of polyunsaturated fatty acids include oilseed crops, such as canola, safflower, and linseed, as well as plants such as flax, evening primrose (Oenothera biennis), borage (Borago officinalis) and black currants (Ribes nigrum), Trichodesma, and Echium. Certain mosses, for example Physcomitrella patens, are known to natively produce polyunsaturated fatty acids that can be extracted and purified according to the methods of the invention. As another example, the methods of the invention are useful for the extraction and/or stabilization of polyunsaturated fatty acid (including for example, stearidonic acid, docosahexaenoic acid, eicosapentaenoic acid, gamma linolenic acid, arachidonic acid, dihomogammalinolenic acid, docosapentaenoic acid, and octadecatetraeonic acid) from plants and/or recombinant plants (including for example, Arabidopsis, canola, carrot, coconut, corn, cotton, flax, linseed, maize, palm kernel, peanut, potato, rapeseed, safflower, soybean, sunflower, tobacco, and mixtures thereof) produced with, for example, the compositions and methods of U.S. Patent Nos. 6,677,145; 6,683,232; 6,635,451 ; 6,566,583; 6,459,018; 6,432,684; 6,355,861 ; 6,075,183; 5,977,436; 5,972,664; 5,968,809; 5,959,175; 5,689,050; 5,614,393; 5,552,306; and 5,443,974, as well as WO 02/26946; WO 98/55625; WO 96/21022, and also U.S. Patent App. Ser. Nos. 20040078845; 20030196217; 20030190733; 20030177508; 20030163845; 20030157144; 20030134400; 20030104596; 20030082754; 20020138874; and 20020108147 (the prior references are herein incorporated by reference).」
(【0053】
本発明の種々の油のうちのいくつかは、植物種子組織を含む植物組織から抽出できる。ポリ不飽和脂肪酸を単離できる植物は、生来レベルのポリ不飽和脂肪酸を有する植物ならびに上昇したレベルのポリ不飽和脂肪酸を発現できるように遺伝子操作された植物を含む。生来レベルのポリ不飽和脂肪酸を有する植物の例は、カノーラ、サフラワー、および亜麻仁 (linseed)のごとき油糧作物 (oil seed crops)、ならびに、亜麻 (flax)、イブニングプリムローズ (Oenothera biennis)、ボリジ (Borago officinalis)およびブラックカラント (Ribes nigrum)、トリコデスマ属 (Trichodesma)、およびエキウムのごとき植物を含む。ある種のコケ、例えば、ヒメツリガネゴケ (Physcomitrella patens)は、本発明の方法により抽出および精製できるポリ不飽和脂肪酸を生来産生することが知られている。別の例として、本発明の方法は、米国特許第6,677,145; 6,683,232; 6,635,451; 6,566,583; 6,459,018; 6,432,684; 6,355,861; 6,075,183; 5,977,436; 5,972,664; 5,968,809; 5,959,175; 5,689,050; 5,614,393; 5,552,306; および5,443,974, ならびにWO02/26946; WO98/55625; WO96/21022、および米国特許出願番号20040078845; 20030196217; 20030190733; 20030177508; 20030163845; 20030157144; 20030134400; 20030104596; 20030082754; 20020138874; および20020108147(これらの先行技術は、出典明示して本明細書の一部とみなされる。)の組成物および方法で生成される(例えば、アラビドプシス (Arabidopsis)、カノーラ、ニンジン、ココナッツ、コーン (corn)、綿、亜麻 (flax)、亜麻仁 (linseed)、トウモロコシ (maize)、パーム核 (palm kernel)、ピーナッツ、ジャガイモ、ナタネ (rape seed)、サフラワー、ダイズ、ヒマワリ、タバコ、およびそれらの混合物を含む)植物および/または組換え植物からの(例えば、ステアリドン酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、ガンマリノレン酸、アラキドン酸、ジホモガンマリノレン酸、ドコサペンタエン酸、およびオクタデカテトラエン酸を含む)ポリ不飽和脂肪酸の抽出および/または安定化に有用である。)

(1k)「IV. Food Products
[0095] Food products can be prepared comprising any one of the oil compositions described above in section I. In particular, the food composition can comprise a food product or food analog comprising a spray-dried or freeze-dried food particle, an extruded food, a meat product, a meat analog, a cereal product, a snack food, a baked good, a health food, a fried food, a dairy product, a cheese analog, a milk analog, a pet food, an animal feed or an aquiculture feed. In another embodiment, the food product is a beverage; the beverage can be an adult nutritional formula, an infant formula, a juice, a milk drink, a soymilk, a yogurt drink, smoothie, or a reconstitutable dry-powder such as a non-dairy creamer. Further, the food product can be a nutritional supplement, a spread, a margarine, a salad dressing, a cooking oil, a refrigerated dough product, a microwave popcorn, a dairy product such as yogurt, cheese, cream cheese, sour cream or mayonnaise, a baked good such as bread, rolls, cakes, pastries, cookies, muffins or crackers, an entree, a side dish, a soup, a sauce, granola, a cereal, a snack bar, a nutritional bar, or a confectionary.」
(【0095】
IV.食品
節Iに記載の油組成物のいずれか1を含む食品を調製できる。特に、食用組成物は、スプレードライまたはフリーズドライの食品片 (food particle)、押出し物(an extruded food)、肉製品、疑似肉、シリアル製品、スナック食品、焼き物 (baked good)、健康食品、揚げ物 (fried food)、乳製品、疑似チーズ、疑似ミルク、ペットフード、飼料または養殖餌 (aquiculture feed)を含む食品または疑似食品 (food analog)を含み得る。もうひとつの具体例において、食品は飲料であり;この飲料は、成人用栄養補給調製物 (an adult nutritional formula)、幼児用調製物(an infant formula)、ジュース、乳飲料、豆乳、ヨーグルトドリンク、スムージー、または、非乳製品クリーマーのごとき復元可能な乾燥粉であり得る。さらに、食品は、栄養サプリメント、スプレッド、マーガリン、サラダドレッシング、調理油、冷凍練り物 (a refrigerated dough product)、電子レンジポップコーン、ヨーグルト、チーズ、クリームチーズ、サワークリームまたはマヨネーズのごとき乳製品、パン、ロールパン、ケーキ、ペーストリー、クッキー、マフィンまたはクラッカーのごとき焼き物 (baked good)、前菜、副菜、スープ、ソース、グラノーラ、シリアル、スナックバー、栄養補給バー、または菓子であり得る。)

(1l)「[0096] One advantage of the oils containing four or more double bonds made from the process of this invention is that they are bland in odor and flavor. They also can be stored at room temperature for a period of time while retaining their flavor and sensory properties. In addition, they have the advantage of being able to be stored under refrigeration while still remaining bland. These oils can also be encapsulated or frozen by methods well known in the art for fish oil stabilization.」
(【0096】
本発明の方法により製造された4以上の二重結合を含有する油のひとつの利点は、それらが味および臭いに関して無刺激であることである。それらは、また、それらの風味および官能特定を維持したまま、室温である期間貯蔵できる。さらに、依然として無刺激を維持したまま冷蔵条件で貯蔵できる利点を有する。これらの油は、魚油安定化のために当該分野でよく知られた方法によってカプセル化または冷凍できる。)

(1m)「Example 2: Aging Studies at 55℃ and 25℃

[00102] The oils included in this study were: 20% SDA Test Article (TA) processed at lab scale and pilot scale (PS), nulls that were isolines, and thus, were SDA negative (prepared using the process conditions of examples 45 and 46 described in U.S. Patent Application Serial No. entitled Processes for Preparation of Oil Compositions filed November 4, 2005, attorney docket no. MTC 6921.201 (38-21(53354C))), and a soy control oil 1. In addition, the 20% SDA oil was blended with either the soy control oil 1 or the null oil to generate a 4% SDA oil blend. A relative ranking in the stability of these oils based on the PV and AV vs. time at 55 ℃ starting with the least stabile oil is: TA-Lab TA-(PS) TA-PS with CA TA-Lab with CA 4% blend (TA-PS Nulls) with CA 4% blend (TA-PS plus soy control oil 1) with CA Nulls soy control oil 1 (See Figure 2). Relative ranking of the stabilities was determined by comparison of the time at which the PV or AV value crossed 10. In general, this is where the transition from initiation into the propagation phase begins.) At 25 ℃ (see Figure 3), five of the oils have transitioned from the initiation to propagation phase (via AV) and they show significant qualitative and quantitative similarities to the relative position of the data generated at 55 ℃.
[00103] Another accelerated aging study at 55 ℃ was carried out using the 20% SDA Test Article spiked with citric acid (50 ppm), ascorbyl palmitate (400 ppm), and TBHQ (120 ppm). One sample contained a mixture of all three stabilizers in these amounts. In addition, commercial fish oil products like fish oil 3 (with TBHQ and tocopherols) and fish oil 4 (with ascorbyl palmitate and tocopherols) were included as controls. In order to further assess these commercial fish oil products, they were blended with soy control oil 1 to give EPA + DHA bioequivalency to the SDA oil. For every three SDA molecules consumed, one EPA molecule is produced. Thus, if it is assumed that EPA, DPA and DHA are equal in bioefficacy, in order to produce the same amount of EPA, three times more SDA than EPA must be consumed. The sum of the omega three fatty acids was determined for each fish oil and each oil was diluted with soy oil to a 6.67 wt.% solution to make a direct comparison with a 20 wt.% SDA oil. Figure 4 shows the AV vs. time for these oils. Initial AV results show that 20% SDA oils stabilized with AP, TBHQ, and the combination of AP, TBHQ, and CA have longer initiation phases than fish oil 3 and fish oil 4, including their bioequivalent dilutions.」
(【0102】
実施例2:55℃および25℃でのエージング実験
この実験に含まれる油は:実験規模およびパイロット規模(PS)で加工された20%SDAテストアーティクル(TA);等価であり、SDAネガティブである(Processes for Preparation of oil componentsと題され、2005年11月4日に出願され、代理人番号MTC6921.201 (38-21 (53354C))の米国特許出願番号 に記載された実施例45および46のプロセス条件を用いて調製された)無添加物;およびダイズ対照油1である。さらに、20%SDA油をダイズ対照油1または無添加油とブレンドして4%SDA油ブレンドを調製した。55℃にてのPVおよびAV対時間に基づきこれらの油の安定性における相対ランキングは、安定性が最も低い油からTA-Lab TA-(PS) CA入りTA-PS CA入りTA-Lab CA入り4%ブレンド(TA-PS無添加物) CA入り4%ブレンド (TA-PSプラスダイズ対照油1) 無添加物 ダイズ対照油1である(図2を参照せよ)。安定性の相対ランキングは、PVまたはAV値が10と交わる時刻を比較して決定した。一般に、これは、開始期から成長期への転移の始まる点である。25℃にて(図3を参照せよ)、5種の油が開始期から成長期に転移し(AVによる)、それらは、明らかに定性的および定量的に55℃で得られたデータの相対位置と同じであった。
【0103】
別の55℃における加速エージング試験は、クエン酸(50ppm)添加の20%SDAテストアーティクル、パルミチン酸アスコルビル(400ppm)、およびTBHQ(120ppm)を用いて行った。ひとつのサンプルは、これらの量にて、3つ全ての安定化剤の混合物を含有した。さらに、魚油3(TBHQおよびトコフェロール入り)および魚油4(パルミチン酸アスコルビルおよびトコフェロール入り)のような市販魚油製品を対照として含めた。これらの市販魚油製品をさらに評価するため、それらをダイズ対照油1とブレンドして、SDA油とEPA+DHA生物学的等価とした。消費された3つのSDA分子全てに対して一EPAつの分子が生じる。かくして、EPA、DPAおよびDHAが生体効率において同等であるならば、同量のEPAを生成するためには、EPAの3倍のSDAを消費しなければならない。オメガ3脂肪酸の合計を各魚油につき定量し、20重量%SDA油と直接比較するように各油をダイズ油で6.67重量%溶液に希釈した。図4は、これらの油についてのAV対時間を示す。初期AV結果は、AP、TBHQ、ならびにAP、TBHQ、およびCAの組合せで安定化された20%SDA油は、生物学的等価な希釈物を含み魚油3および魚油4よりも長い開始期を有することを示す。)

(1n)「Example 5
[00114] The purpose of the aroma study (Sensory Study 1) was to characterize the aroma of SDA-enriched soy oils. As a frame of reference, aroma profiles of processing control soy oils (null-seed oils), as well as several commercially available soy oils and omega-3 containing fish and algal oils were also tested.
[00115] The purpose of the aroma/taste/mouth feel study (Sensory Study 2) was to characterize the aroma, taste, and mouth feel of SDA-enriched soy oils. As a frame of reference, aroma, taste, and mouth feel profiles of processing control soy oils (null-seed oils), as well as several commercially available soy oils and omega-3 containing fish and algal oils were also tested.」
(実施例5
[00114] 芳香実験(官能試験1)の目的は、SDA富化ダイズ油の芳香を特徴付けることにあった。リファレンスの枠組みとして、加工対照ダイズ油(無添加種子油)、ならびにいくつかの市販のダイズ油および、魚油および海藻油を含有するオメガ-3の芳香も試験した。
[00115] 芳香/味/口触り試験(官能試験2)の目的は、SDA富化ダイズ油の芳香、味および口触りを特徴付けることにあった。リファレンスの枠組みとして、加工対照ダイズ油(無添加種子油)、ならびにいくつかの市販のダイズ油および、魚油および海藻油を含有するオメガ-3の芳香、味および口触りも試験した。)

(1o)「BRIEF DESCRIPTION OF THE DRAWINGS

[0013] Figure 1A is a graph of peroxide value (PV) vs. time for an oil composition comprising 20 wt.% stearidonic acid (SDA) and various added stabilizers. The graph of figure 1 shows the results of an accelerated aging test carried out at 55 ℃.

[0014] Figure 1B is a graph of anisidine value (AV) vs. time for an oil composition comprising 20 wt.% stearidonic acid (SDA) and various added stabilizers. The graph of figure 1 shows the results of an accelerated aging test carried out at 55 ℃.

[0015] Hgure 2A is a graph of PV vs. time for 20% SDA, 4% SDA blend, 20% SDA with citric acid, and control soy oil compositions. The graph of figure 2 shows the results of an accelerated aging test carried out at 55 ℃.

[0016] Figure 2B is a graph of AV vs. time for 20% SDA, 4% SDA blend, 20% SDA with citric acid, and control soy oil compositions. The graph of figure 2 shows the results of an accelerated aging test carried out at 55℃.

[0017] Figure 3A is a graph of PV vs. time for 20% SDA, 4% SDA blend, 20% SDA with citric acid, and control soy oil compositions. The graph of figure 3 shows the results of a room temperature aging test carried out at 25℃.

[0018] Figure 3B is a graph of AV vs. time for 20% SDA, 4% SDA blend, 20% SDA with citric acid, and control soy oil compositions. The graph of figure 3 shows the results of a room temperature aging test carried out at 25℃.

[0019] Figure 4 is a graph of AV vs. time for 20% SDA, 20% SDA and citric acid, commercial fish, and bioequivalent SDA blend oil compositions. The graph of figure 4 shows the results of an accelerated aging test carried out at 55℃.

[0020] Figure 5 is a graph of peroxide value (PV) vs. time for a 20% SDA oil composition containing 200 ppm ascorbyl palmitate and 0, 30, 60, and 120 ppm propyl gallate. The graph of figure 5 shows the results of an accelerated aging test carried out using a thin film IR method at 60℃.

[0021] Figure 6A is a graph of peroxide value (PV) vs. time for a 20% SDA oil composition containing (i) ascorbyl palmitate (AP) and TBHQ, (ii) citric acid (CA) and ascorbyl palmitate (AP), and (iii) citric acid (CA), TBHQ, and ascorbyl palmitate (AP).

[0022] Figure 6B is a graph of anisidine value (AV) vs. time for a 20% SDA oil composition containing (i) ascorbyl palmitate (AP) and TBHQ, (ii) citric acid (CA) and ascorbyl palmitate (AP), and (iii) citric acid (CA), TBHQ, and ascorbyl palmitate (AP). 」
(図面の簡単な説明
[0013] 図1Aは、20重量%のステアリドン酸(SDA)および添加された種々の安定化剤を含む油組成物についてのパーオキシド値(PV)対時間のグラフである。図1のグラフは、55℃で行われた加速エージング試験の結果を示す。
[0014] 図1Bは、20重量%のステアリドン酸(SDA)および添加された種々の安定化剤を含む油組成物についてのアニシジン値(AV)対時間のグラフである。図1のグラフは、55℃で行われた加速エージング試験の結果を示す。
[0015] 図2Aは、20%SDA、4%SDAブレンド、20%SDA入りクエン酸および対照ダイズ油組成物についてのPV対時間のグラフである。図2のグラフは、55℃で行われた加速エージング試験の結果を示す。
[0016] 図2Bは、20%SDA、4%SDAブレンド、20%SDA入りクエン酸および対照ダイズ油組成物についてのAV対時間のグラフである。図2のグラフは、55℃で行われた加速エージング試験の結果を示す。
[0017] 図3Aは、20%SDA、4%SDAブレンド、20%SDA入りクエン酸および対照ダイズ油組成物についてのPV対時間のグラフである。図3のグラフは、25℃で行われた室温エージング試験の結果を示す。
[0018] 図3Bは、20%SDA、4%SDAブレンド、20%SDA入りクエン酸および対照ダイズ油組成物についてのAV対時間のグラフである。図3のグラフは、25℃で行われた室温エージング試験の結果を示す。
[0019] 図4は、20%SDA、20%SDA入りクエン酸、市販魚油、および生物学的等価なSDAブレンド油組成物についてのAV対時間のグラフである。図4のグラフは、55℃で行われた加速エージング試験の結果を示す。
[0020] 図5は、200ppmのパルミチン酸アスコルビルならびに0、30、60、および120ppmの没食子酸プロピルを含む20%SDA油組成物についてのパーオキシド値(PV)対時間のグラフである。図5は、薄膜IRを用いて60℃にて行われた加速エージング試験の結果を示す。
[0021] 図6Aは、(i)パルミチン酸アスコルビル(AP)およびTBHQ、(ii)クエン酸(CA)およびパルミチン酸アスコルビル(AP)、ならびに、(iii)クエン酸(CA)、TBHQ、およびパルミチン酸アスコルビル(AP)を含有する20%SDA油組成物についてのパーオキシド値(PV)対時間のグラフである。
[0022] 図6Bは、(i)パルミチン酸アスコルビル(AP)およびTBHQ、(ii)クエン酸(CA)およびパルミチン酸アスコルビル(AP)、ならびに、(iii)クエン酸(CA)、TBHQ、およびパルミチン酸アスコルビル(AP)を含有する20%SDA油組成物についてのアニシジン値(AV)対時間のグラフである。)

イ 以上を踏まえ、請求項7を引用する請求項28に係る発明の食用組成物において、油組成物として遺伝子組換えしたダイズから誘導されるものに着目すると(上記記載事項(1a),(1b),(1e))、引用文献には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認める。

「遺伝子組換えしたダイズから誘導される油組成物を含む食用組成物であって、油組成物中の脂肪酸またはそれらの誘導体の全重量に対して約3重量%から約30重量%のステアリドン酸を含み、約3未満のアニシジン値を有し、かつ、約1meq/kg未満のパーオキシド値を有する油を含む食用組成物。」

(3)対比
引用発明の「食用組成物」は、本願発明の「食品」に相当する。
引用発明の「遺伝子組換えしたダイズ」は、本願発明の「トランスジェニック植物」に相当する。
そうすると、引用発明の「遺伝子組換えしたダイズから誘導される油組成物」は、本願発明の「トランスジェニック植物由来の油」に相当する。
引用発明の「油組成物中の脂肪酸またはそれらの誘導体の全重量に対して約3重量%から約30重量%のステアリドン酸を含」むことは、その上限値「約30重量%」は、本願発明の「少なくとも10重量%」に含まれることから、本願発明の「トランスジェニック植物由来の油が油中の脂肪酸の全重量に基づいて少なくとも10重量%のステアリドン酸を含」むことに相当する。
よって、本願発明と引用発明との一致点、相違点は以下のとおりである。

[一致点]
「トランスジェニック植物由来の油を含む食品であって、トランスジェニック植物由来の油が油中の脂肪酸の全重量に基づいて少なくとも10重量%のステアリドン酸を含む、食品。」

[相違点1]
食品について、本願発明は、「ダイズ粉、ダイズタンパク質濃縮物、特定のきめを出したダイズタンパク質濃縮物、加水分解ダイズタンパク質、ダイズタンパク質単離物および噴霧乾燥豆腐よりなる群から選択される」としているのに対して、引用発明は、そのように特定されたものではない点。

[相違点2]
本願発明は、「ステアリドン酸ではなくエイコサペンタエン酸を有する以外は同一の食品よりも香味分解に対して少なくとも5%長い貯蔵寿命を示」すとしているのに対して、引用発明は、そのように特定されたものではない点。

(4)判断
ア 相違点1について
引用発明の食品(食用組成物)の具体的な例として、シリアル製品、スナック食品、健康食品、成人用栄養補給調製物、幼児用調製物、豆乳、栄養サプリメント、グラノーラ、シリアル、栄養補給バー等が挙げられている(上記記載事項(1c)、(1k))。
この例示中に「豆乳」というダイズタンパク質食品が含まれているし、上記記載事項(1n)には「SDA富化ダイズ油」とした実施例があることからみて、引用発明において、ダイズタンパク質と合わせて食品とすること自体は、明らかに想定されていた事項である。
そして、食品を製造する際に、栄養バランスを考慮してタンパク質を添加して補強することも普通に行われることであって、そのために、本願優先日前に周知のものである、ダイズ粉、脱脂ダイズ粉、ダイズタンパク質濃縮物、加水分解ダイズタンパク質、ダイズタンパク質単離物等のダイズタンパク質を選択することも当業者が適宜なし得た事項である。
そうすると、相違点1に係る本願発明の構成は、引用発明及び本願優先日前に周知のものに基いて、当業者が容易に想到し得たものである。

イ 相違点2について
引用発明の「油」は、上記記載事項(1e)の段落【0008】及び【0009】の油の貯蔵安定性を維持すること、並びに上記記載事項(1f)の油の味及び臭いに関して向上した安定性を有することを考慮したものであるから、当該油を含む引用発明の食用組成物においても「商品を保存することができる最大の時間であり、特定の比率の商品の品質が配達、貯蔵および陳列下で許容し得るままである最大の時間」が「長い」ものとすることは当業者が容易に想到できたことである。
そして、その「貯蔵寿命」が「長い」ものとする程度を、「ステアリドン酸ではなくエイコサペンタエン酸を有する以外は同一の食品」よりも「少なくとも5%長い」とものとすることも、当業者が具体的な材料構成、調整方法、貯蔵条件等の選択により適宜なし得た事項である。
そうすると、相違点2に係る本願発明の構成は、引用発明に基いて、当業者が容易に想到し得たものである。

ウ 効果について
本願発明は、全体としてみても、引用発明及び本願優先日前に周知のものから予測される以上の格別な効果を奏するものとは認められない。

(5)小括
上記相違点を総合判断しても、本願発明は、引用発明及び本願優先日前に周知のものに基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第4 むすび
本願の特許請求の範囲の請求項1ないし15の記載は、特許法第36条第6項第2号及び特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
また、本願の発明の詳細な説明の記載は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。
さらに、本願発明は、引用発明及び本願優先日前に周知のものに基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、原査定の理由により拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2018-06-14 
結審通知日 2018-06-19 
審決日 2018-07-02 
出願番号 特願2015-131447(P2015-131447)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A23L)
P 1 8・ 536- Z (A23L)
P 1 8・ 537- Z (A23L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 藤澤 雅樹坂崎 恵美子  
特許庁審判長 山崎 勝司
特許庁審判官 井上 哲男
槙原 進
発明の名称 ステアリドン酸を取り込む食物組成物  
代理人 佐藤 剛  
代理人 田中 光雄  

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