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審決分類 審判 査定不服 発明同一 取り消して特許、登録 G05D
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G05D
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G05D
管理番号 1346404
審判番号 不服2016-8882  
総通号数 229 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-01-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-06-15 
確定日 2018-12-14 
事件の表示 特願2014-513491「センサー場の選択」拒絶査定不服審判事件〔平成24年12月6日国際公開、WO2012/166170、平成26年6月30日国内公表、特表2014-515527、請求項の数(17)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2011年(平成23年)9月30日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2011年6月1日、アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、平成27年6月18日付けで拒絶理由が通知され、その指定期間内の同年9月18日に手続補正されたが、平成28年1月29日付けで拒絶査定(発送日:同年2月17日、以下「原査定」という。)され、これに対し、同年6月15日に拒絶査定不服審判が請求され、その審判の請求と同時に手続補正され、その後、当審において平成30年2月27日付けで拒絶理由(以下「当審拒絶理由1」という。)が通知され、その指定期間内の同年5月31日に手続補正され、同年6月25日付けで拒絶理由(以下「当審拒絶理由2」という。)が通知され、その指定期間内の同年9月26日に手続補正されたものである。

第2 原査定の概要
本願の平成27年9月18日の手続補正により補正された請求項1?19に係る発明は、次の引用文献Aに記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易になし得たものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

引用文献一覧
A 特開2001-34898号公報 (本審決の引用文献1)
B 特開2010-134829号公報(周知技術を示す文献)(本審決の引用文献4)
C 特開2009-93431号公報(周知技術を示す文献)(本審決の引用文献5)

第3 当審拒絶理由の概要
1 当審拒絶理由1
(1)本願は、平成28年6月15日の手続補正により補正された特許請求の範囲が次の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
ア 請求項1、9、17は、発明の詳細な説明に記載されているとはいえない。
イ 請求項5、13は、発明の詳細な説明の記載と整合していない。

(2)本願は、平成28年6月15日の手続補正により補正された特許請求の範囲の記載が次の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
ア 請求項5、13に係る発明の外延が不明瞭である。
イ 請求項5、13は、請求項5、13が引用する請求項1、9との関係が不明瞭である。

(3)本願の平成28年6月15日の手続補正により補正された請求項1?17に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において頒布された次の引用文献a?dに基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものである。

引用文献一覧
a 特開2001-34898号公報(本審決の引用文献1)
b 特開2007-233770号公報 (本審決の引用文献2)
c 特開平7-318650号公報 (本審決の引用文献3)
d 特開2010-134829号公報(本審決の引用文献4)

(4)本願の平成28年6月15日の手続補正により補正された請求項1?4、8?12、16、17に係る発明は、本願の優先日前の特許出願であって、本願の優先日後に出願公開がされた下記の特許出願の願書に最初に添付された明細書又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、本願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、また本願の出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない。

特願2010-62847号(特開2011-194979号公報参照)(本審決の先願)

2 当審拒絶理由2
(1)本願は、平成30年5月31日の手続補正により補正された特許請求の範囲が次の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
・請求項1、9、17の記載は発明の詳細な説明と整合していない。

(2)本願は、平成30年5月31日の手続補正により補正された特許請求の範囲の記載が次の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
・請求項1、9、17の記載は明確でない。

第4 本願発明
本願の請求項1?17に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」?「本願発明17」という。)は、平成30年9月26日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?17に記載された次のとおりのものである。

1 本願発明1
「【請求項1】
自律走行運転モードを有する車両をコントロールする方法であって、
プロセッサーにより、第1のコントロール方針に基づき車両の運転をコントロールするステップと、
この車両の1以上のセンサーの視野に基づきセンサー場を特定するステップと、
前記1以上のセンサーのうち選択されたものからのセンサーデータを受け取るステップと、
前記受け取ったセンサーデータに基づき前記センサー場内の、道路上の物体及び該物体の位置を検出するステップと、
前記センサー場内の前記物体の位置に基づき前記センサー場が狭まっていると判断するステップと、
前記センサー場が狭まっているとの前記判断に基づき、前記センサー場を増大させるために第2のコントロール方針を決定するステップと、
プロセッサーにより、前記第2のコントロール方針に基づき前記車両の運転をコントロールするステップと、
前記センサーデータに基づき前記センサー場が狭まっている状態が続いていないと判断するステップと、
前記センサー場が狭まっている状態が続いていないとの前記判断に基づき、プロセッサーにより、前記第1のコントロール方針に基づき前記車両の運転をコントロールするステップと、
を具備することを特徴とする方法。」

2 本願発明2?8
請求項2?8は請求項1を直接的に引用するから、本願発明2?8は本願発明1を含むものである。

3 本願発明9
「【請求項9】
自律走行運転モードを有する車両をコントロールする装置であって、該装置は、
前記車両の周囲の物体を検出する1以上のセンサーと、
前記1以上のセンサーと接続されたプロセッサーと、
を具備し、
前記プロセッサーは、
第1のコントロール方針に基づき前記車両の運転をコントロールすることと、
前記車両の前記1以上のセンサーの視野に基づきセンサー場を特定することと、
前記1以上のセンサーからのうち選択されたものからのセンサーデータを受け取ることと、
前記受け取ったセンサーデータに基づき前記センサー場内の、道路上の物体及び該物体の位置を検出することと、
前記センサー場内の前記物体の位置に基づき前記センサー場が狭まっていると判断することを含むことと、
前記センサー場が狭まっているとの前記判断に基づき、前記センサー場を増大させるために第2のコントロール方針を決定することと、
前記第2のコントロール方針に基づき前記車両の運転をコントロールすることと、
前記センサーデータに基づき前記センサー場が狭まっている状態が続いていないと判断することと、
前記センサー場が狭まっている状態が続いていないとの前記判断に基づき、前記第1のコントロール方針に基づき前記車両の運転をコントロールすることと、
ができることを特徴とする、
装置。」

4 本願発明10?16
請求項10?16は請求項9を直接的に引用するから、本願発明10?16は本願発明9を含むものである。

5 本願発明17
「【請求項17】
コンピュータ読み取り可能なプログラムの命令が保存された、実体のあるコンピュータ読み取り可能記憶媒体であって、該命令が、プロセッサーにより実行されたとき、プロセッサーは自律走行運転モードを有する車両のコントロール方法を実行し、該方法は、
第1のコントロール方針に基づく車両の運転をコントロールするステップと、
前記車両の1以上のセンサーの視野に基づくセンサー場を特定するステップと、
前記1以上のセンサーのうち選択されたものからセンサーデータを受け取るステップと、
前記受け取ったセンサーデータに基づき前記センサー場内の、道路上の物体及び該物体の位置を検出するステップと、
前記センサー場内の前記物体の位置に基づき前記センサー場が狭まっていると判断するステップと、
前記センサー場が狭まっているとの前記判断に基づき、前記センサー場を増大させるために第2のコントロール方針を決定するステップと、
前記第2のコントロール方針に基づき前記車両の運転をコントロールするステップと、
前記センサーデータに基づき前記センサー場が狭まっている状態が続いていないと判断するステップと、
前記センサー場が狭まっている状態が続いていないとの前記判断に基づき、前記第1のコントロール方針に基づき前記車両の運転をコントロールするステップと、
を具備することを特徴とするコンピュータ読み取り可能記憶媒体。」

第5 引用発明、先願発明
1 引用文献
(1)引用文献1
当審拒絶理由1に引用され、本願の優先日前に頒布された特開2001-34898号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面(特に、図1、図2、図4?図7)とともに、次の事項が記載されている。

ア 「【0015】
【作用及び発明の効果】図1に、本発明の標準探査可能範囲S_(0 )と探査限界範囲Uとの関係を例示する平面図及び側面図を示す。この様に本発明においては、センサによる現在の探査限界範囲Uを「センサの特性、性能に基づいて求められた標準探査可能範囲S_(0)」等に基づいて推定するので、探査限界範囲Uを求めるためにリフレクタのようなものの存在を仮定する必要もなく、よって、一般道でも使用可能な、より現実的な探査不能領域推定装置を構成することが可能となる。」

イ 「【0017】図2に、本発明の探査限界範囲Uと第1種死角領域Y1との関係を例示する平面図及び側面図を示す。この様に本発明によれば、探査限界範囲U内で障害物等により遮蔽されて死角となる領域(第1種死角領域Y1)を求めることができるので、この第1種死角領域Y1をも上記の探査不能領域Xに含めて判断することで、例えば、図11(b)で説明した場合等においても、より確実に障害物等との衝突を回避することが可能となる。」

ウ 「【0019】図4に、本発明の推定走行範囲Wを例示する平面図(a)及び、超過走行領域Zを例示する平面図(b)を示す。この様に本発明によれば、探査不能領域Xと推定走行範囲Wとの共通部分(X∩W)である超過走行領域Zを求めることができるので、この領域の有無により、減速制御や警報処理等の異常時処理を行うか否かを判定することができる。即ち、Z≠φなる場合には、減速制御や警報処理等の異常時処理を行うことにより、超過走行領域Z内に障害物が隠れていた場合でも、その障害物との衝突を未然に防止することが可能である。
【0020】また、例えば、「Z≡X∩W=φ」なる場合には、たとえ探査限界範囲U内に死角(Y1やY2)が存在していても、これらの死角を無視し、減速制御や警報処理等の異常時処理を行わずに今までの走行をそのまま継続することができるため、無駄な異常時処理が実行されることがない。」

エ 「【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体的な実施例に基づいて説明する。
(第1実施例)図5は、本発明の各実施例における、探査不能領域推定装置100を備えた運転支援システムのハードウェア構成図である。本運転支援システムは、一般車両にアダプティブクルーズ制御システム(アクセル操作を自動制御する速度制御システム)として搭載可能なものであり、本発明の探査不能領域推定装置100を中心に構成されている。」

オ 「【0031】図6は、本第1実施例における探査不能領域推定プログラム100Aの機能(手段)ブロック図である。本探査不能領域推定プログラム100Aは、図5のアクチュエータ130を制御するアクチュエータ制御手段690に対して、実行すべき制御処理の内容(種別)を指令するものである。本プログラム100Aは、探査限界範囲推定手段610、第1種死角領域推定手段620、走行範囲推定手段630、及び超過走行領域有無判別手段640より構成されている。
【0032】探査限界範囲推定手段610は、外界センサ106の特性、性能に基づいて立体的に求められた標準探査可能範囲S_(0 )に基づいて、自車両の現在の位置R、及び自車両の現在の姿勢A(前後、左右の向き)を用いて外界センサ106による現在の探査限界範囲Uを推定する。この標準探査可能範囲S0 の立体形状や大きさは、固定値であっても良いが、本実施例の探査不能領域推定装置100では、雨天時やセンサヘッドに汚れが付着した場合等の性能劣化に応じて、標準探査可能範囲S_(0) の立体形状や大きさを変化させている。
【0033】第1種死角領域推定手段620は、物体検出手段625を有しており、これによって検知した物体の位置、大きさ、形状に基づいて、探査限界範囲Uにおいて、障害物等により遮蔽されて死角となる第1種死角領域Y1を推定する。
【0034】外界センサ106を用いて実現される物体検出手段625は、例えば、ステレオカメラ等を用いて物体の立体的な位置、大きさ、形状を検出するものであっても良く、或いは、ミリ波レーダ等を用いて物体の位置と大きさのみを検出し、物体の比較的詳細な形状については、予め与えられた多数の形状サンプルの中から物体の大きさに基づいて選択的に推定するものであっても良い。」

カ 「【0037】図7に、本第1実施例における探査不能領域推定プログラム100Aを用いた運転支援システムのフローチャートを示す。本プログラム100Aは、探査不能領域推定装置100のCPU101により実行されるものである。
【0038】本プログラム100Aでは、まず最初に、ステップ710により、探査限界範囲U、第1種死角領域Y1、及び推定走行範囲Wを推定するために必要な、環境情報等の情報を、内界センサ106、外界センサ107、及び位置情報受信装置109より入力する。次に、ステップ720では、上記の探査限界範囲推定手段610、第1種死角領域推定手段620、及び走行範囲推定手段630により、探査限界範囲U、第1種死角領域Y1、及び推定走行範囲Wを推定する。
【0039】ステップ730?ステップ750では、上記の超過走行領域Zの有無を判定する。即ち、ステップ730では、第1種死角領域Y1の有無を判定し、Y1=φならばステップ750へ、そうでなければステップ740へ処理を移す。また、ステップ740では、第1種死角領域Y1と推定走行範囲Wとの間の共通部分(Y1∩W)の有無を判定し、Y1∩W=φならばステップ750へ、そうでなければステップ770へ処理を移す。
【0040】また、ステップ750では、推定走行範囲Wが探査限界範囲U内に納まるか否かを判定し、W⊂Uならばステップ760へ、そうでなければステップ770へ処理を移す。これらのステップ730?ステップ750により、前記の超過走行領域有無判別手段640が実現される。以上のステップ710?750により、本探査不能領域推定プログラム100Aは構成されている。
【0041】また、ステップ760、及びステップ770は、アクチュエータ制御手段690により、実行される。ステップ760では、進路上に障害物が無いものと判断し、走行速度を維持したまま現在の走行を継続する(正常時処理)。ステップ770では、進路上に障害物が在るものと判断、又は仮定して、減速すると共に、運転者に対して警報を行う(異常時処理)。
【0042】この様に探査不能領域推定プログラム100Aを構成すれば、探査不能領域Xと推定走行範囲Wとの共通部分(X∩W)である超過走行領域Zを求めることができ、この領域の有無により、減速制御や警報処理等の異常時処理を行うか否かを判定できる。即ち、Z≠φなる場合には、減速制御や警報処理等の異常時処理を行うことにより、超過走行領域Z内に障害物が隠れていた場合でも、その障害物との衝突を未然に防止することができる。
【0043】また、本実施例の探査不能領域推定プログラム100Aによれば、例えば、「Z≡X∩W=φ」なる場合には、たとえ探査限界範囲U内に死角(Y1やY2)が存在していても、これらの死角を無視し、減速制御や警報処理等の異常時処理を行わずに今までの走行をそのまま継続することができる。このため、無駄な異常時処理が実行されることがなく、効率のよい快適な走行を実現することができる。」

これらの記載事項及び図面の図示内容を総合し、本願発明1の記載ぶりに則って整理すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。なお、便宜のため( )内に対応する図7のステップ番号を示す。

「アダプティブクルーズ制御を有する車両をコントロールする方法であって、
探査不能領域推定装置100により、第1種死角領域Y1が無いと判断した場合(ステップ730でYES)それ以後、推定走行範囲Wが探査限界範囲U内に納まるか否かを判定した後(ステップ750)、正常時処理(ステップ760)又は異常時処理(ステップ770)を実行するステップと、
この車両の外界センサ106の視野に基づき探査限界範囲Uを特定するステップと、
前記外界センサ106のうち選択されたものからの信号を受け取るステップと、
前記信号に基づき前記探査限界範囲U内の、道路上の物体及び該物体の位置を検出するステップと、
前記探査限界範囲U内の前記物体の位置に基づき前記探査限界範囲Uの領域に第1種死角領域Y1が有ると判断(ステップ730でNO)するステップと、
前記探査限界範囲Uの領域に第1種死角領域Y1が有るとの判断に基づき、それ以後、第1種死角領域Y1と推定走行範囲Wとの間の共通部分(Y1∩W)の有無を判定した後(ステップ740)、推定走行範囲Wが探査限界範囲U内に納まるか否かを判定し(ステップ750)、正常時処理(ステップ760)又は異常時処理(ステップ770)を実行するフローに切り替えるステップと、
探査不能領域推定装置100により、前記フローを実行するステップと、 前記信号に基づき前記第1種死角領域Y1が無いと判断するステップと、 第1種死角領域Y1が無いとの前記判断に基づき、探査不能領域推定装置100により、前記推定走行範囲Wが探査限界範囲U内に納まるか否かを判定し(ステップ750)、正常時処理(ステップ760)又は異常時処理(ステップ770)を実行するステップと、
を具備する方法。」

(2)引用文献2
当審拒絶理由1に引用され、本願の優先日前に頒布された特開2007-233770号公報(以下「引用文献2」という。)には、次の事項(以下「引用文献2に記載された事項」という。)が記載されている。

「【0031】
また、以上の実施形態は、死角算出部5において、さらに以下のような警告処理を行うようにしてもよい。すなわち、この計測処理において、死角算出部5は、車両センサ3の検出するユーザの車線変更操作(たとえば、方向指示器の操作)などに基づいて、自車の車線変更の発生を予測し、予測した車線変更によって進行しようとする車線上後方に、死角範囲が存在する場合には、入出力制御部7を介して音声出力装置9から、車線変更の安全を確認できない旨の注意を促す音声メッセージを出力したり、自車近傍に他車要因死角範囲が広がっている場合に、他車との車間距離を広げるよう注意を促す音声メッセージを、入出力制御部7を介して音声出力装置9から出力する処理などを行う。」

(3)引用文献3
当審拒絶理由1に引用され、本願の優先日前に頒布された特開平7-318650号公報(以下「引用文献3」という。)には、次の事項(以下「引用文献3に記載された事項」という。)が記載されている。

「【0059】
【発明の効果】以上のように、請求項1の発明によれば、霧,降雨,降雪による視界不良を検出する視界不良検出手段を設け、該視界不良検出手段による検出出力に応じて、レーザ強度制御手段に、送出光のパワーを制御させるように構成したので、霧,降雨,降雪等の視界不良状態を検出したとき、障害物検知用のレーザビームの送出光出力自体を適宜増加させることで、送出光のビームの広がり角度を絞ることなく、障害物検知を高感度にて実施できるものが得られる効果がある。」

(4)引用文献4
当審拒絶理由1に引用され、本願の優先日前に頒布された特開2010-134829号公報(以下「引用文献4」という。)には、次の事項(以下「引用文献4に記載された事項」という。)が記載されている。

「【0032】
死角効率は、進路候補を評価する指標の一つである。死角効率は、自車両が進路候補に従って進行した前後での死角面積の増減を示すものであり、死角面積の減少率が大きいほど高い値である。したがって、複数の進路候補の中から死角効率の最も高い進路候補が選択され、その選択された進路候補に従って自車両が進行すると、死角面積が最も減少する。目的地への進路方向における死角面積が減るほど、その死角から飛び出してくる可能性のある物体が減る(物体が無くなる場合もある)ので、その物体との衝突確率が低下(衝突確率が0になる場合もある)し、自車両が目的地に向かうための領域を確実に確保することができる。」

(5)引用文献5
原査定に引用され、本願の優先日前に頒布された特開2009-93431号公報(以下「引用文献5」という。)には、次の事項(以下「引用文献5に記載された事項」という。)が記載されている。

「【0046】
また、上記実施形態では、図3に示すステップS16において、車両Aが車両Bの死角に位置すると判断した場合に、減速パラメータを算出し(ステップS17)、算出した減速パラメータを車両Aに送信する(ステップS18)態様としたが、ステップS16の判断処理を行うことなく、ステップS17?S18の処理を行なう態様とすることもできる。このような態様とすることで、速度規制区間に進入する全ての車両に対して、当該車両の前方を走行する車両の死角とならない位置に走行させるための走行条件を設定することができる。」

2 先願
当審拒絶理由1に引用され、本願の優先日前の特許出願であって、本願の優先日後に出願公開がされた特願2010-62847号(特開2011-194979号公報参照)の願書に最初に添付された明細書には、図面(特に、図1、図4参照)とともに、次の事項が記載されている。

(1)「【0015】
本実施の形態では、本発明に係る運転支援装置を、自動運転又はオートクルーズなどの車両側で速度制御を行う車両速度制御装置に適用する。本発明に係る車両速度制御装置は、通常は法定速度で走行するように一定車速制御を行い、死角を検出すると安全な速度まで減速制御を行う。本実施の形態には3つの形態があり、第1の実施の形態が複数の死角を検出した場合に全ての死角がなくなるまで安全な速度を維持する形態であり、第2の実施の形態が死角を検出した場合に死角からの飛び出しの可能性の高い死角に対してのみ安全な速度まで減速する形態であり、第3の実施の形態が対向車両による死角を検出した場合に死角から飛び出せる状況のときにのみ安全な速度まで減速する形態である。」

(2)「【0030】
図1を参照して、車両速度制御装置1の動作について説明する。特に、ECU30における車両速度制御について図4のフローチャートに沿って説明する。図4は、第1の実施の形態に係る車両速度制御の流れを示すフローチャートである。
【0031】
車速センサ10では、一定時間毎に、自車両の車速を検出し、車速信号をECU30に送信している。カメラ11では、一定時間毎に、自車両の周辺を撮像し、画像信号をECU30に送信している。レーダ12では、一定時間毎に、電磁波を水平面内でスキャンしながら送信するとともに反射波を受信し、レーダ信号をECU30に送信している。光ビーコン受信装置13では、光ビーコンからのダウンリンクエリアを自車両が走行しているときに、光ビーコンからの信号を受信し、インフラ情報を取り出して、インフラ信号をECU30に送信している。
【0032】
ECU30では、通常、一定時間毎に、目標速度を法定速度とし、法定速度と自車両の現在車速との差に基づいて自車両の車速が法定速度を維持するために必要な目標加減速度を算出し、目標加減速度に基づいて減速制御を行う場合には目標減速度になるためのブレーキ制御信号をブレーキアクチュエータ20に送信し、加速制御を行う場合には目標加速度になるためのエンジン制御信号をスロットルアクチュエータ21に送信する(S10)。ブレーキアクチュエータ20では、ブレーキ制御信号を受信すると、ブレーキ制御信号に応じて作動し、ホイールシリンダのブレーキ油圧を調整する。あるいは、スロットルアクチュエータ21では、エンジン制御信号を受信すると、エンジン制御信号に応じて作動し、スロットルバルブの開度を調整する。これによって、自車両は、法定速度での一定車速で走行する。
【0033】
ECU30では、一定時間毎に、画像情報、レーダ情報、インフラ情報に基づいて、死角の探索を行い、死角を探索できた場合にはその死角の情報(死角の領域、死角の数、死角の発生要因など)を取得する(S11)。ECU30では、探索結果に基づいて、死角となる領域が存在するか否かを判定する(S12)。S12にて死角となる領域が存在しないと判定した場合、ECU30では、S10の処理に戻って、法定速度での一定車速制御を継続する。なお、S12の判定では、死角となる領域が複数存在するか否かを判定してもよい。
【0034】
S12にて死角となる領域が存在すると判定した場合、ECU30では、目標車速として飛び出し対応可能速度(安全な速度)を設定し、飛び出し対応可能速度と自車両の現在車速との差に基づいて自車両の車速が飛び出し対応可能速度になるために必要な目標減速度を算出し、その目標減速度になるためのブレーキ制御信号をブレーキアクチュエータ20に送信する(S13)。ブレーキアクチュエータ20では、ブレーキ制御信号を受信すると、上記と同様に動作する。これによって、自車両は、飛び出し対応可能速度まで減速する。
【0035】
ECU30では、死角となる領域がセンサレンジ内にまだ存在するか否かを判定する(S14)。S14にて死角となる領域がセンサレンジ内にまだ存在すると判定した場合、ECU30では、目標車速として飛び出し対応可能速度を設定し続け、飛び出し対応可能速度と自車両の現在車速との差に基づいて自車両の車速が飛び出し対応可能速度を維持するために必要な目標加減速度を算出し、目標加減速度に基づいて減速制御を行う場合には目標減速度になるためのブレーキ制御信号をブレーキアクチュエータ20に送信し、加速制御を行う場合には目標加速度になるためのエンジン制御信号をスロットルアクチュエータ21に送信する(S15)。ブレーキアクチュエータ20あるいはスロットルアクチュエータ21では、制御信号を受信すると、上記と同様に動作する。これによって、自車両は、飛び出し対応可能速度を維持して走行する。
【0036】
S14にて死角となる領域がセンサレンジ内に存在しないと判定した場合、ECU30では、目標車速として法定速度を設定し、法定速度と自車両の現在車速との差に基づいて自車両の車速が法定速度になるために必要な目標加速度を算出し、その目標加速度になるためのエンジン制御信号をスロットルアクチュエータ21に送信する(S16)。スロットルアクチュエータ21では、エンジン制御信号を受信すると、上記と同様に動作する。これによって、自車両は、法定速度まで加速する。そして、ECU30では、S10の処理に戻って、法定速度での一定車速制御を継続する。
【0037】
車両速度制御装置1によれば、センサレンジ内に複数の死角がある場合でも、一度減速したら死角がなくなるまでは減速後の安全な速度を維持することにより、減速と加速を繰り返すことがなく、乗り心地の低下を抑制でき、運転者の不快感を軽減できる。」

これらの記載事項及び図面の図示内容を総合し、本願発明1の記載ぶりに則って整理すると、引用文献1には、次の発明(以下「先願発明」という。)が記載されている。

「自動運転又はオートクルーズなどの車両側での速度制御を行う方法であって、
ECU30により、目標速度として法定速度を設定するステップと、
この車両のカメラ11、レーダ12及び光ビーコン受信装置13の視野に基づきセンサレンジを特定するステップと、
前記カメラ11、レーダ12及び光ビーコン受信装置13のうち選択されたものからの画像信号、レーダ信号及びインフラ信号を受け取るステップと、
前記画像信号、レーダ信号及びインフラ信号に基づき前記センサレンジ内の、道路上の物体及び該物体の位置を検出するステップと、
前記センサレンジ内の前記物体の位置に基づき前記センサレンジ内に死角となる領域が存在すると判定するステップと、
前記センサレンジ内に死角となる領域が存在するとの前記判定に基づき、目標速度として飛び出し対応可能速度に切り替えるステップと、
ECU30により、前記飛び出し対応可能速度を設定するステップと、
前記画像信号、レーダ信号及びインフラ信号に基づき前記カメラ11、レーダ12及び光ビーコン受信装置13の死角となる領域が存在しないと判定するステップと、
死角となる領域が存在しないとの前記判定に基づき、ECU30により、前記法定速度を設定するステップと、
を具備する方法。」

第6 判断
1 進歩性について
(1)本願発明1について
本願発明1と引用発明とを対比すると、後者の「アダプティブクルーズ制御」は前者の「自律走行運転モード」に相当し、以下同様に、「探査不能領域推定装置100」は「プロセッサー」に、「第1種死角領域Y1が無いと判断した場合(ステップ730でYES)それ以後、推定走行範囲Wが探査限界範囲U内に納まるか否かを判定した後(ステップ750)、正常時処理(ステップ760)又は異常時処理(ステップ770)を実行する」ことは「第1のコントロール方針に基づき車両の運転をコントロールする」ことに、「外界センサ106」は「1以上のセンサ」に、「探査限界範囲U」は「センサー場」に、「信号」は「センサーデータ」に、「前記探査限界範囲U内の、道路上の物体及び該物体の位置を検出する」ことは「前記センサー場内の、道路上の物体及び該物体の位置を検出する」ことに、「前記探査限界範囲Uの領域に第1種死角領域Y1が有ると判断(ステップ730でNO)する」ことは「前記センサー場が狭まっていると判断する」ことに、「前記信号に基づき、前記第1種死角領域Y1が無いと判断する」ことは「前記センサーデータに基づき前記センサー場が狭まっている状態が続いていないと判断する」ことに、「第1種死角領域Y1が無いとの前記判断に基づき、探査不能領域推定装置100により、前記推定走行範囲Wが探査限界範囲U内に納まるか否かを判定し(ステップ750)、正常時処理(ステップ760)又は異常時処理(ステップ770)を実行する」ことは「前記センサー場が狭まっている状態が続いていないとの前記判断に基づき、プロセッサーにより、前記第1のコントロール方針に基づき前記車両の運転をコントロールする」ことにそれぞれ相当する。

また、後者の「前記探査限界範囲Uの領域に第1種死角領域Y1が有るとの判断に基づき、それ以後、第1種死角領域Y1と推定走行範囲Wとの間の共通部分(Y1∩W)の有無を判定した後(ステップ740)、推定走行範囲Wが探査限界範囲U内に納まるか否かを判定し(ステップ750)、正常時処理(ステップ760)又は異常時処理(ステップ770)を実行するフローに切り替える」ことと前者の「前記センサー場が狭まっているとの前記判断に基づき、前記センサー場を増大させるために第2のコントロール方針を決定する」こととは、「前記センサー場が狭まっているとの前記判断に基づき、第2のコントロール方針を決定する」という限りで共通し、同「前記フローを実行する」ことは同「前記第2のコントロール方針に基づき前記車両の運転をコントロールする」ことに相当する。

したがって、両者は、
「自律走行運転モードを有する車両をコントロールする方法であって、
プロセッサーにより、第1のコントロール方針に基づき車両の運転をコントロールするステップと、
この車両の1以上のセンサーの視野に基づきセンサー場を特定するステップと、
前記1以上のセンサーのうち選択されたものからのセンサーデータを受け取るステップと、
前記受け取ったセンサーデータに基づき前記センサー場内の、道路上の物体及び該物体の位置を検出するステップと、
前記センサー場内の前記物体の位置に基づき前記センサー場が狭まっていると判断するステップと、
前記センサー場が狭まっているとの前記判断に基づき、第2のコントロール方針を決定するステップと、
プロセッサーにより、前記第2のコントロール方針に基づき前記車両の運転をコントロールするステップと、
前記センサーデータに基づき前記センサー場が狭まっている状態が続いていないと判断するステップと、
前記センサー場が狭まっている状態が続いていないとの前記判断に基づき、プロセッサーにより、前記第1のコントロール方針に基づき前記車両の運転をコントロールするステップと、
を具備する方法。」
で一致し、次の点で相違する。

〔相違点1〕
「第2のコントロール方針を決定する」ことについて、本願発明1は、「前記センサー場を増大させるために第2のコントロール方針を決定する」のに対し、
引用発明は、「それ以後、第1種死角領域Y1と推定走行範囲Wとの間の共通部分(Y1∩W)の有無を判定した後(ステップ740)、推定走行範囲Wが探査限界範囲U内に納まるか否かを判定し(ステップ750)、正常時処理(ステップ760)又は異常時処理(ステップ770)を実行するフローに切り替える」点。

そこで、相違点1について検討する。
引用文献2には、自車近傍に他車要因死角範囲が広がっている場合に他車との車間距離を広げるよう注意を促す音声メッセージを音声出力装置9から出力することが開示され、引用文献3には、霧、降雨、降雪等の視界不良状態を検出したとき、障害物検知用のレーザビームの送出光出力自体を適宜増加させることで障害物検知を高感度に実施できることが開示され、引用文献4には、死角面積が最も減少するように選択された進路候補に従って自車両が進行することが開示され、引用文献5には、車両の前方を走行する車両の死角とならない位置に走行させることが開示されている。

また、引用文献4、5からみて、車両の死角が減少するように制御することは、本願の優先日前に周知技術であるといえる。

他方、引用発明は、探査限界範囲Uの領域に第1種死角領域Y1が有ると判断(ステップ730でNO)した場合に正常時処理(ステップ760)又は異常時処理(ステップ770)を実行するものであるから、第1種死角領域Y1が有ると判断(ステップ730でNO)した場合に正常時処理と異常時処理とを択一的に実行するものである。

そして、引用文献1には、引用発明において引用文献2?5に記載された事項及び上記周知技術を適用する動機付けとなる記載や示唆がなく、引用文献2?5に記載された事項及び上記周知技術から、相違点1に係る本願発明1の発明特定事項を当業者が容易に想到し得たということができない。

したがって、本願発明1は、引用発明並びに引用文献2?5に記載された事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(2)本願発明9、17について
本願発明9及び17は、本願発明1のカテゴリーを変更したものにすぎないから、本願発明1と同様の理由により、引用発明並びに引用文献2?5に記載された事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(3)本願発明2?8、10?16について
本願発明2?8、10?16は、本願発明1又は9の発明特定事項を全て含むものであるから、本願発明1又は9と同様の理由により、引用発明並びに引用文献2?5に記載された事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(4)まとめ
以上のとおり、本願発明1ないし17は、引用発明並びに引用文献2?5に記載された事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

2 拡大先願について
(1)本願発明1について
本願発明1と先願発明とを対比すると、後者の「自動運転又はオートクルーズなどの車両側での速度制御を行う方法」は前者の「自律走行運転モードを有する車両をコントロールする方法」に相当し、以下同様に、「ECU30」は「プロセッサー」に、「目標速度として法定速度を設定する」ことは「第1のコントロール方針に基づき車両の運転をコントロールする」ことに、「カメラ11、レーダ12及び光ビーコン受信装置13」は「1以上のセンサー」に、「センサレンジ」は「センサー場」に、「画像信号、レーダ信号及びインフラ信号」は「センサーデータ」に、「前記センサレンジ内の、道路上の物体及び該物体の位置を検出する」ことは「前記センサー場内の、道路上の物体及び該物体の位置を検出する」ことに、「前記センサレンジ内に死角となる領域が存在すると判定する」ことは「前記センサー場が狭まっていると判断する」ことに、「前記カメラ11、レーダ12及び光ビーコン受信装置13の死角となる領域が存在しないと判定する」ことは「前記センサー場が狭まっている状態が続いていないと判断する」ことに、「死角となる領域が存在しないとの前記判定に基づき、ECU30により、前記法定速度を設定する」ことは「前記センサー場が狭まっている状態が続いていないとの前記判断に基づき、プロセッサーにより、前記第1のコントロール方針に基づき前記車両の運転をコントロールする」ことにそれぞれ相当する。

また、後者の「前記センサレンジ内に死角となる領域が存在するとの前記判定に基づき、目標速度として飛び出し対応可能速度に切り替える」ことと前者の「前記センサー場が狭まっているとの前記判断に基づき、前記センサー場を増大させるために第2のコントロール方針を決定する」こととは、「前記センサー場が狭まっているとの前記判断に基づき、第2のコントロール方針を決定する」という限りにおいて共通し、同「前記飛び出し対応可能速度を設定する」ことは同「前記第2のコントロール方針に基づき車両の運転をコントロールする」ことに相当する。

したがって、両者は、
「自律走行運転モードを有する車両をコントロールする方法であって、
プロセッサーにより、第1のコントロール方針に基づき車両の運転をコントロールするステップと、
この車両の1以上のセンサーの視野に基づきセンサー場を特定するステップと、
前記1以上のセンサーのうち選択されたものからのセンサーデータを受け取るステップと、
前記受け取ったセンサーデータに基づき前記センサー場内の、道路上の物体及び該物体の位置を検出するステップと、
前記センサー場内の前記物体の位置に基づき前記センサー場が狭まっていると判断するステップと、
前記センサー場が狭まっているとの前記判断に基づき、第2のコントロール方針を決定するステップと、
プロセッサーにより、前記第2のコントロール方針に基づき前記車両の運転をコントロールするステップと、
前記センサーデータに基づき前記センサー場が狭まっている状態が続いていないと判断するステップと、
前記センサー場が狭まっている状態が続いていないとの前記判断に基づき、プロセッサーにより、前記第1のコントロール方針に基づき前記車両の運転をコントロールするステップと、
を具備する方法。」
で一致し、次の点で相違する。

〔相違点2〕
「第2のコントロール方針を決定する」について、本願発明1は、「前記センサー場を増大させるために第2のコントロール方針を決定する」のに対し、
先願発明は、「目標速度として飛び出し対応可能速度に切り替える」点。

そして、上記相違点2は実質的なものであるから、本願発明1は先願発明と同一であるとはいえない。

(2)本願発明9、17について
本願発明9及び17は、本願発明1のカテゴリーを変更したものにすぎないから、本願発明1と同様の理由により、先願発明と同一であるとはいえない。

(3)本願発明2?8、10?16について
本願発明2?8、10?16は、本願発明1又は9の発明特定事項を全て含むものであるから、本願発明1又は9と同様の理由により、先願発明と同一であるとはいえない。

(4)まとめ
以上のとおり、本願発明1ないし17は、先願発明と同一ではない。

第7 原査定についての判断
本願発明1?17は、上記相違点1に係る発明特定事項を備えるものとなっており、上記のとおり、当該発明特定事項は、引用文献2?5に記載された事項及び周知技術から当業者が容易に想到し得たとはいえない。
したがって、本願発明1?17は、引用発明並びに引用文献2?5に記載された事項及び周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものではないから、原査定を維持することはできない。

第8 当審拒絶理由1、2について
1 平成30年9月26日の手続補正により請求項1?17に係る発明は、明確となり、発明の詳細な説明に記載したものとなった。

2 前記「第6」「1」のとおり、本願発明1ないし17は、引用発明並びに引用文献2?5に記載された事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

3 前記「第6」「2」のとおり、本願発明1ないし17は、先願発明と同一ではない。

4 上記1?3により、当審拒絶理由1、2は解消した。

第9 むすび
以上のとおり、本願発明1?17は、引用発明並びに引用文献2?5に記載された事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2018-12-04 
出願番号 特願2014-513491(P2014-513491)
審決分類 P 1 8・ 161- WY (G05D)
P 1 8・ 121- WY (G05D)
P 1 8・ 537- WY (G05D)
最終処分 成立  
前審関与審査官 青山 純  
特許庁審判長 金澤 俊郎
特許庁審判官 冨岡 和人
粟倉 裕二
発明の名称 センサー場の選択  
代理人 稲葉 良幸  
代理人 佐藤 睦  

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