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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G01S 審判 査定不服 特174条1項 取り消して特許、登録 G01S |
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管理番号 | 1346460 |
審判番号 | 不服2018-2396 |
総通号数 | 229 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2019-01-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2018-02-20 |
確定日 | 2018-12-11 |
事件の表示 | 特願2013-224918「電子機器」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 5月 7日出願公開、特開2015- 87201、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成25年10月30日の出願であって、平成28年9月20日付けの拒絶理由通知に対して、平成28年11月24日付けで手続補正がなされ、平成29年4月14日付けの最後の拒絶理由通知に対して、平成29年6月12日付けで手続補正がなされたが、平成29年11月6日付けで、平成29年6月12日付け手続補正書でした補正の却下の決定がなされるとともに、同日付で拒絶査定(以下、「原査定」という)がなされ(謄本送達日 平成29年11月21日)、これに対し、平成30年2月20日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に手続補正がなされたものである。 第2 平成29年11月6日付けの補正の却下の決定及び原査定の概要 1 平成29年11月6日付けの補正の却下の決定の概要は以下のとおりである。 (1)平成29年6月12日付け手続補正書でした、請求項1及び6記載の「受信周期」を、「間欠受信するタイミング」とする補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、平成29年6月12日付けの補正は却下すべきものである。 (2)仮に、平成29年6月12日付けの補正が特許法第17条の2第3項の規定に違反するものでなく、特許請求の範囲の限定的減縮を目的とするものであったとしても、当該補正後の本願請求項1、6に係る発明は引用文献1、2に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、独立特許要件を満たさないから、平成29年6月12日付けの補正は却下すべきものである。 引用文献等一覧 1.特開2012-154760号公報 2.特開平11-83529号公報 2 原査定の概要は次のとおりである。 1.(新規事項)平成28年11月24日付け手続補正書でした補正は、下記の点で願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。 2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 (引用文献等については引用文献等一覧参照) ●理由1(新規事項)について ・請求項 1-6 上記補正により、請求項1、6に加えられた「乗り物移動状態より速度の遅い移動状態を判定し、乗り物移動状態より速度の遅い移動状態であると判定した場合、前記GPS受信部によるGPS信号の受信周期を、乗り物移動状態のときの受信周期より長い受信周期にする」という事項は、当初明細書等に記載した事項の範囲内であるとはいえない。 ●理由2(進歩性)について ・請求項 1、3-6 ・引用文献等 1-2 ・請求項 2 ・引用文献等 1-3 引用文献等一覧 1.特開2012-154760号公報 2.特開平11-83529号公報 3.特開2004-28916号公報 第3 本願発明 本願の請求項1-6に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明6」という。)は、平成30年2月20日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-6に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1、6は以下のとおりのものである。 「【請求項1】 加速度を検出する加速度センサ部と、 GPS信号を受信するGPS受信部と、 前記加速度センサ部により検出された加速度に基づいて、乗り物移動状態より速度の遅い移動状態を判定し、乗り物移動状態より速度の遅い移動状態であると判定した場合、前記GPS受信部によるGPS信号を間欠受信するタイミングを、乗り物移動状態のときのタイミングより減らす制御部と、を備える電子機器。」 「【請求項6】 加速度を検出する加速度センサ部と、GPS信号を受信するGPS受信部と、を備える電子機器の制御方法であって、 前記加速度センサ部により検出された加速度に基づいて、乗り物移動状態より速度の遅い移動状態を判定し、乗り物移動状態より速度の遅い移動状態であると判定した場合、前記GPS受信部によるGPS信号を間欠受信するタイミングを、乗り物移動状態のときのタイミングより減らす電子機器の制御方法。」 本願発明2-5は、本願発明1を減縮した発明である。 第4 引用文献、引用発明等 1 引用文献1について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開2012-154760号公報)には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与したものである。以下同様。)。 「【請求項9】 測位電波を受信することによって現在位置を測位する測位部と、加速度センサと、広域無線通信網の基地局から基地局識別子を受信する広域通信インタフェース部とを有する移動端末であって、 前記加速度センサから出力される加速度データに基づいて、「停止」「電動車搭乗」「その他」のいずれかの移動状態を推定する移動状態推定手段と、 前記測位部の「起動状態」「休止状態」を制御する測位起動制御手段と を有し、 前記測位起動制御手段は、 フラグを「起動状態」に設定する第1のステップと、 前記フラグが「起動状態」である場合、第2のステップを実行し、 前記フラグが「休止状態」である場合、第3のステップを実行し、 第1のステップから第3のステップを繰り返すように実行されるものであり、 第2のステップは、 前記移動状態推定手段から、推定された移動状態を取得し、 前記移動状態が「停止」「電動車搭乗」である場合、前記フラグを「休止状態」に設定し、 現在位置を測位するべく前記測位部を起動するものであり、 第3のステップは、 以前の移動状態が「停止」であって、前記加速度センサに基づく歩数反応があるか、若しくは前記広域通信インタフェース部によって取得された基地局識別子に変更がある場合、前記フラグを「起動状態」に設定し、 又は、以前の移動状態が「電動車搭乗」であって、前記加速度センサに基づく歩数反応があるか、若しくは前記広域通信インタフェース部によって取得された基地局識別子に変更がない場合、前記フラグを「起動状態」に設定する ことを特徴とする移動端末。」 「【0027】 携帯電話機やスマートフォンのような移動端末1は、ユーザによって所持され、ユーザと共に移動する。図1によれば、移動端末1は、現在位置を測位する測位部101と、広域通信インタフェース部102と、加速度センサ103とを搭載する。更に、歩数計104を搭載することも好ましい。 【0028】 測位部101は、GPS衛星2からの測位電波を受信することによって、現在位置の緯度経度情報を算出し出力する。」 「【0034】 (S200)内部変数として「フラグ」を有し、その値は、測位部に対する「起動状態」又は「休止状態」のいずれかを有する。初期値としては、「フラグ=起動状態」とする。 (S201)S204との間の処理を、常に繰り返す。 (S202)「フラグ=起動状態」である場合、S211?S215を実行し、「フラグ=休止状態」である場合、S221?S226を実行する。 【0035】 (S211)加速度センサから出力される加速度データに基づいて、「停止」/「電動車搭乗」/「その他」のいずれかの移動状態を推定する。時刻tにおける移動状態State(t)を保持すると共に、少なくとも1つ以前(過去)の移動状態State(t-1)も保持する。移動状態推定処理については、図4?7を用いて具体的に後述する。 (S212)加速度センサからの加速度データによって、「停止」「電動車搭乗」「その他」のいずれであるか推定する移動状態推定処理を実行する。「その他」である場合、「フラグ=起動状態」のまま、S215へ移行する。 (S213)移動状態が「停止」である場合、フラグを「休止状態」に設定する(State(t)<-休止状態)。そして、S215へ移行する。 (S214)移動状態が「電動車搭乗」である場合、フラグを「休止状態」に設定する(State(t)<-休止状態)。そして、S215へ移行する。 (S215)現在位置を測位するべく測位部を起動する。測位された現在位置は、アプリケーション処理部へ出力される。そして、S203へ移行する。」 「【0048】 <移動状態推定部112> 移動状態推定部112は、加速度センサから出力される加速度データを用いて、n個(n≧2)の移動状態の中で、いずれの移動状態であるかを推定する。移動状態としては、例えば、「停止」「歩行中」「走行中」「自転車搭乗」「電車搭乗」「自動車搭乗」「バス搭乗」がある。本発明によれば、少なくとも「停止」「電動車搭乗」「その他」の移動状態を推定する。 「停止」 「電動車搭乗」=「電車搭乗」「自動車搭乗」「バス搭乗」 「その他」=「歩行中」「走行中」「自転車搭乗」 尚、移動状態推定処理については、既存技術である(例えば特許文献4参照)。」 図2 ここで、【0034】の「(S201)S204との間の処理を、常に繰り返す。(S202)「フラグ=起動状態」である場合、S211?S215を実行し、「フラグ=休止状態」である場合、S221?S226を実行する。」の記載及び図2から、(S202)「フラグ=起動状態」である場合、S211?S215(第2のステップ)を実行し、「フラグ=休止状態」である場合、S221?S226(第3のステップ)を実行し、S211?S215(第2のステップ)とS221?S226(第3のステップ)がフラグの設定に従って繰り返すように実行されることが読み取れる。 したがって、上記記載より、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている(括弧内は、認定に用いた引用文献1の記載箇所を示す。)。 「GPS衛星からの測位電波(【0028】)を受信することによって現在位置を測位する測位部と、加速度センサと、広域無線通信網の基地局から基地局識別子を受信する広域通信インタフェース部とを有する移動端末であって、 前記加速度センサから出力される加速度データに基づいて、「停止」「電動車搭乗」「その他」のいずれかの移動状態を推定する移動状態推定手段と、 前記測位部の「起動状態」「休止状態」を制御する測位起動制御手段と を有し(【請求項9】)、 「その他」は「歩行中」「走行中」「自転車搭乗」であり(【0048】)、 前記測位起動制御手段は、 フラグを「起動状態」に設定する第1のステップと、 前記フラグが「起動状態」である場合、第2のステップを実行し、 前記フラグが「休止状態」である場合、第3のステップを実行し(【請求項9】)、 第2のステップと第3のステップをフラグの設定に従って繰り返すように実行されるものであり(【0034】、図2)、 第2のステップは、 前記移動状態推定手段から、推定された移動状態を取得し、 前記移動状態が「停止」「電動車搭乗」である場合、前記フラグを「休止状態」に設定し(【請求項9】)、 前記移動状態が「その他」である場合、前記フラグは「起動状態」のままで(【0035】)、 現在位置を測位するべく前記測位部を起動するものであり、 第3のステップは、 以前の移動状態が「停止」であって、前記加速度センサに基づく歩数反応があるか、若しくは前記広域通信インタフェース部によって取得された基地局識別子に変更がある場合、前記フラグを「起動状態」に設定し、 又は、以前の移動状態が「電動車搭乗」であって、前記加速度センサに基づく歩数反応があるか、若しくは前記広域通信インタフェース部によって取得された基地局識別子に変更がない場合、前記フラグを「起動状態」に設定する ことを特徴とする携帯電話機やスマートフォンのような移動端末(【請求項9】、【0027】)。」 2 引用文献2について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2(特開平11-83529号公報)には、図面とともに、次の事項が記載されている。 「【要約】 【課題】消費電流の大きいGPS受信機の動作時間を最小限にしながら、アクセスに対して即座に現在位置を応答することのできる位置検出通知装置を提供する。 【解決手段】GPS受信機12に加えて消費電流の小さい圧電加速度センサ13および圧電振動ジャイロ14を設け、これら加速度センサ13およびジャイロ14を用いて移動量を検出する。そして、この移動量が一定値になる毎にGPS受信機12を起動して正確なGPS測位を行い測定データレジスタ11aに記憶しておく。PHS通信網を介するアクセスで現在位置の問い合わせがあったとき、PHS通信部10およびマイコン11が応答し、この問い合わせに対して現在位置レジスタ11aに記憶されている現在位置データを返信する。」 「【0007】 【課題を解決するための手段】この出願の請求項2の発明は、通信手段と、衛星測位手段と、運動センサと、測定データ記憶手段とを備え、前記運動センサが一定距離の移動を検出する毎に、前記衛星測位手段を起動して測位を行い、測位結果を前記測定データ記憶手段に記憶する測位制御手段と、前記通信手段を介した問い合わせに応答して、そのとき測定データ記憶手段に記憶しているデータを返信する測定データ通知手段と、を備えたことを特徴とする。」 3 引用文献3について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3(特開2004-28916号公報)には、図面とともに、次の事項が記載されている。 「【0051】 ステップS6では、表示情報処理部51が、経路地図領域102に表示した地図M上に現在位置Cをプロットすると共に、その現在位置Cから所定数だけ時間的に遡った位置をプロットし、それらのプロットした位置を直線で結んで登山者がそれまで移動してきた経路Bとして表示する。」 第5 対比・判断 1 本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明を対比すると、次のことがいえる。 ア 引用発明の「加速度センサ」は、本願発明1の「加速度を検出する加速度センサ部」に相当する。 イ 引用発明の「測位部」は、「GPS衛星からの測位電波を受信することによって、現在位置を測位する」のであるから、本願発明1の「GPS信号を受信するGPS受信部」に相当する。 ウ 引用発明において「「その他」は「歩行中」「走行中」「自転車搭乗」であ」り、「電動車搭乗」より速度の遅い移動状態であるので、引用発明の「その他」は、本願発明の「乗り物移動状態より速度の遅い移動状態」に相当する。 したがって、引用発明の「前記加速度センサから出力される加速度データに基づいて、「停止」「電動車搭乗」「その他」のいずれかの移動状態を推定する移動状態推定手段」と、本願発明1の「前記加速度センサ部により検出された加速度に基づいて、乗り物移動状態より速度の遅い移動状態を判定し、乗り物移動状態より速度の遅い移動状態であると判定した場合、前記GPS受信部によるGPS信号を間欠受信するタイミングを、乗り物移動状態のときのタイミングより減らす制御部」とは、「前記加速度センサ部により検出された加速度に基づいて、乗り物移動状態より速度の遅い移動状態を判定する制御部」である点で共通する。 エ 引用発明の「携帯電話機やスマートフォンのような移動端末」は、本願発明1の「電子機器」に相当する。 すると、本願発明1と引用発明とは、次の一致点及び相違点を有する。 (一致点) 「加速度を検出する加速度センサ部と、 GPS信号を受信するGPS受信部と、 前記加速度センサ部により検出された加速度に基づいて、乗り物移動状態より速度の遅い移動状態を判定する制御部と、を備える電子機器。」 (相違点) 制御部が、本願発明1は、「乗り物移動状態より速度の遅い移動状態であると判定した場合、前記GPS受信部によるGPS信号を間欠受信するタイミングを、乗り物移動状態のときのタイミングより減らす」のに対して、 引用発明は、「第2のステップは、前記移動状態推定手段から、推定された移動状態を取得し、前記移動状態が」「「電動車搭乗」である場合、前記フラグを「休止状態」に設定し、前記移動状態が「その他」(「歩行中」「走行中」「自転車搭乗」)である場合、前記フラグは「起動状態」のままで、現在位置を測位するべく前記測位部を起動するものであり、」「第3のステップは、」「以前の移動状態が「電動車搭乗」であって、前記加速度センサに基づく歩数反応があるか、若しくは前記広域通信インタフェース部によって取得された基地局識別子に変更がない場合、前記フラグを「起動状態」に設定」し、「前記フラグが「起動状態」である場合、第2のステップを実行し、前記フラグが「休止状態」である場合、第3のステップを実行」するのであって、引用発明は、第2のステップで、移動状態が「電動車搭乗」である場合、フラグを「休止状態」に設定し、移動状態が「歩行中」「走行中」「自転車搭乗」である場合、フラグは「起動状態」としており、第2のステップ終了後に、移動状態が「歩行中」「走行中」「自転車搭乗」でフラグが「起動状態」であると、再び第2のステップに行き測位部が起動するのに対して、移動状態が「電動車搭乗」でフラグが「休止状態」に設定されたら、第3のステップで、フラグを「起動状態」に設定し直さない限り、第2のステップに行くことはなく、したがって測位部を起動できないのであるから、引用発明は、移動状態が「歩行中」「走行中」「自転車搭乗」であると、移動状態が「電動車搭乗」より測位部の起動が多くなり、本願発明1のように、乗り物移動状態より速度の遅い移動状態であると判定した場合、GPS受信部によるGPS信号を間欠受信するタイミングを、乗り物移動状態のときのタイミングより減らすことにはならない点。 (2)判断 上記相違点について検討する。 上記相違点で述べたように、引用発明は、移動状態が「その他」(「歩行中」「走行中」「自転車搭乗」)であると、移動状態が「電動車搭乗」より測位部の起動が多くなり、本願発明1のように、乗り物移動状態より速度の遅い移動状態であると判定した場合、GPS受信部によるGPS信号を間欠受信するタイミングを、乗り物移動状態のときのタイミングより減らすことにはならないので、引用発明から本願発明1を導き出すことはできない。 また、引用文献2、3には、乗り物移動状態より速度の遅い移動状態であると判定した場合、GPS受信部によるGPS信号を間欠受信するタイミングを、乗り物移動状態のときのタイミングより減らすことは記載されていない。 したがって、上記相違点に係る本願発明1の構成は、引用発明及び引用文献2、3に記載された技術に基づいて、当業者が容易に想到し得えたことであるとはいえない。 よって、本願発明1は、引用発明及び引用文献2、3に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 2 本願発明2-5について 本願発明2-5も、上記相違点に係る本願発明1の「乗り物移動状態より速度の遅い移動状態であると判定した場合、前記GPS受信部によるGPS信号を間欠受信するタイミングを、乗り物移動状態のときのタイミングより減らす」と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、引用発明及び引用文献2、3に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 3 本願発明6について 本願発明6は、上記相違点に係る本願発明1の「乗り物移動状態より速度の遅い移動状態であると判定した場合、前記GPS受信部によるGPS信号を間欠受信するタイミングを、乗り物移動状態のときのタイミングより減らす」に対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、引用発明及び引用文献2、3に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 第6 原査定について 1 理由1(特許法第17条の2第3項)について 当初明細書等の「制御部13は、加速度センサ部11により検出された加速度に基づいて移動状態の種別を判定した場合、判定した移動種別に応じて、GPS信号の受信周期を変更する構成でもよい。移動状態には、上述したように、歩行状態、走行状態、自転車乗車状態、又はその他乗り物状態がある。」(段落【0026】)、「移動状態の種別がその他乗り物状態の場合について以下に説明する。なお、以下では、その他乗り物は、自動車を想定するが、これに限られない。」(段落【0027】)、「よって、電子機器1は、歩行時のように、速度が遅い移動の場合において、GPS信号を間欠受信するタイミングを減らすので、移動状態に応じてGPS受信部12の起動回数を必要最低限に抑えることができ、電力消費を抑制することができる。」(段落【0030】)の記載から、その他乗り物状態より速度の遅い移動状態である歩行時に、GPS信号を間欠受信するタイミングを減らしていることは明らかといえる。 したがって、請求項1、6に記載された「乗り物移動状態より速度の遅い移動状態であると判定した場合、前記GPS受信部によるGPS信号を間欠受信するタイミングを、乗り物移動状態のときのタイミングより減らす」という事項は、当初明細書等に記載した事項の範囲内であるといえる。 したがって、原査定の理由1を維持することはできない。 2 理由2(特許法第29条第2項)について 審判請求時の補正により、本願発明1-6は、「乗り物移動状態より速度の遅い移動状態であると判定した場合、前記GPS受信部によるGPS信号を間欠受信するタイミングを、乗り物移動状態のときのタイミングより減らす」という構成又はそれに対応する構成を有するものとなっており、引用発明及び引用文献2、3に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 したがって、原査定の理由2を維持することはできない。 第7 むすび 以上のとおり、原査定の拒絶の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2018-11-27 |
出願番号 | 特願2013-224918(P2013-224918) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G01S)
P 1 8・ 55- WY (G01S) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 神谷 健一 |
特許庁審判長 |
中塚 直樹 |
特許庁審判官 |
清水 稔 須原 宏光 |
発明の名称 | 電子機器 |
代理人 | 正林 真之 |
代理人 | 林 一好 |