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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 H02J
管理番号 1346489
審判番号 不服2017-13225  
総通号数 229 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-01-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-09-06 
確定日 2018-11-22 
事件の表示 特願2013-135000「ワイヤレス電力伝送装置」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 1月19日出願公開、特開2015- 12656〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成25年6月27日の出願であって、平成28年11月1日付け拒絶理由通知に対する応答時、同年12月27日付けで手続補正がなされ平成29年3月9日付け拒絶理由通知に対する応答時、同年5月12日付けで意見書が提出されたが、同年5月24日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年9月6日付けで拒絶査定不服審判の請求及び手続補正がなされたものである。

2.本願発明
本願の請求項1ないし請求項4に係る発明は、平成29年9月6日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし請求項4に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は次のとおりである。
「一次巻線、及び、対向する二つの主面を持つ一次磁性体コアを有する給電側コイルと、対向する二つの主面を持つ給電側シールド材とを含み、かつ、前記一次磁性体コアの持つ前記主面の一方と前記給電側シールド材の持つ前記主面の一方とが互いに対向して配置された給電部と、
二次巻線、及び、対向する二つの主面を持つ二次磁性体コアを有する受電側コイルと、対向する二つの主面を持つ受電側シールド材とを含み、前記二次磁性体コアの持つ前記主面の一方と前記受電側シールド材の持つ前記主面の一方とが互いに対向し、かつ、前記受電側コイルと前記受電側シールド材とが重なって配置された受電部と、を備え、
前記給電部と前記受電部とは、前記一次巻線と前記二次巻線とを介して、前記一次磁性体コアの持つ前記主面の他方と前記二次磁性体コアの持つ前記主面の他方とが互い対向するように配置されており、
前記給電側シールド材の前記給電側コイルとの対向面から、前記給電側コイルの前記給電側シールド材との対向面までの距離は、
前記受電側シールド材の前記受電側コイルとの対向面から、前記受電側コイルの前記受電側シールド材との対向面までの距離よりも長い、ワイヤレス電力伝送装置。」

なお、請求項1は、上記平成29年9月6日付け手続補正による補正はなされていない。

3.引用例
原査定の拒絶の理由に引用された特開2010-93180号公報(以下、「引用例」という。)には、「非接触給電装置」について、図面とともに以下の記載がある(なお、下線は当審で付与した)。
(1)「【請求項1】
電磁誘導の相互誘導作用に基づき、1次側から2次側に、エアギャップを存し非接触で近接対応位置しつつ電力を供給する、非接触給電装置であって、
該1次側および該2次側は、それぞれ該エアギャップ側から順に、コイル,磁心コア,ベースプレートを備えており、該コイルは、渦巻き状に巻回されたフラット構造よりなり、該磁心コアは、フラットな平板状をなし、該ベースプレートも、フラットな平板状をなしており、
該磁心コアとベースプレートとの間に、電気絶縁材が介装されていること、を特徴とする非接触給電装置。
【請求項2】
請求項1に記載した非接触給電装置おいて、請求項1では、該磁心コアとベースプレートとの間に、該電気絶縁材が介装されているが、これに換えて、電気絶縁スペースが設けられていること、を特徴とする非接触給電装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載した非接触給電装置において、該ベースプレートは、強度サポート用兼磁気遮蔽用として機能し、内部誘起される渦電流によって漏洩磁束の外部漏出を遮蔽し、
該電気絶縁材や電気絶縁スペースは、両該コイル間の電磁結合の結合係数を、向上させるべく機能すること、を特徴とする非接触給電装置。
【請求項4】
請求項3において、該コイルは、円形や方形の扁平な環状をなし、該磁心コアは、フェライトコアよりなり、該ベースプレートは、アルミプレートよりなり、該電気絶縁材は、樹脂プレートよりなること、を特徴とする非接触給電装置。」

(2)「【0004】
《従来技術》
図1の(2)図は、この種従来例を示し、正面の断面説明図である。同図にも示したように、この種の非接触給電装置Aにおいて、その1次側1および2次側2は、それぞれ、エアギャップ3側から順に、コイル4,5,磁心コア6,7,ベースプレート8,9を備えている。
そして図示例では、1次側1および2次側2は、上下等で対称構造をなしている。コイル4,5は、渦巻き状に巻回されたフラット構造よりなり、磁心コア6,7は、フラットな平板状をなし、ベースプレート8,9も、フラットな平板状をなしている。磁心コア6,7は、ベースプレート8,9に対し接着等により固定されている。
そこで、このような1次側1と2次側2を、エアギャップ3を介し非接触で近接対応位置させ、もって、1次側1のコイル4への励磁電流の通電,磁束形成により、2次側2のコイル5に誘導起電力が生成されて、電力が1次側1から2次側2に供給されていた。」

(3)「【0005】
《問題点》
ところで、この種従来例の非接触給電装置Aについては、次の問題が指摘されていた。
非接触給電装置Aにおいて、ベースプレート8,9は、例えばアルミプレートよりなり、強度サポート用兼磁気遮蔽用として用いられており、内部誘起される渦電流によって、漏洩磁束の外部漏出を遮蔽するようになっている。
ところが、この渦電流が、1次側1と2次側2に形成される回路間の電磁結合を弱め、結合係数を低下させる、という問題が指摘されていた。
電磁結合の結合係数は、周知の通り、非接触給電装置Aにとってその性能を左右する重要な指標であり、電力損失低減,高出力確保,ひいては大電力供給にとって重要な要素となる。
しかも、この種の非接触給電装置Aについては、1次側1と2次側2間のエアギャップ3寸法(例えば10cm)の拡大化ニーズ、そして給電交流(例えば20kHz)の高周波化ニーズが、高まっており、これらの面からも、電力損失の増大が懸念され、結合係数の低下回避が重要なテーマとなっている。
・・・・・(中 略)・・・・・
【0009】
《作用等について》
本発明は、このような手段よりなるので、次のようになる。
(1)この非接触給電装置では、給電に際し2次側のコイルが、1次側のコイルに対し、エアギャップを存して近接対応位置決めされる。
(2)そして1次側では、コイルが通電されて磁束が形成され、もって磁路が、2次側のコイルとの間に形成される。
(3)このようにして、1次側のコイルと2次側のコイル間が電磁結合され、もって2次側のコイルに誘導起電力が生成される。
(4)このような電磁誘導の相互誘導作用により、電力が、1次側から2次側へと供給される。
(5)さて、この非接触給電装置において、1次側や2次側のベースプレートは、磁気遮蔽用としても用いられており、内部誘起される渦電流によって、漏洩磁束の外部漏出を遮蔽する。
(6)しかしながら、この渦電流は、1次側,2次側間の電磁結合を弱め、結合係数を低下させる懸念がある。
(7)そこで、この非接触給電装置では、1次側や2次側の磁心コアとベースプレート間に、電気絶縁材を介装したり、電気絶縁スペースを設けてなる。
(8)このように磁心コアとベースプレート間に、間隔,距離を形成したことにより、ベースプレートの渦電流による結合係数への悪影響は、抑制される。
(9)もって、この非接触給電装置では、1次側と2次側間の電磁結合が強化され、結合係数が増加するようになる。
・・・・・(以下、略)」

(4)「【0018】
《1次側1や2次側2の構造について》
次に、図1の(1)図および図3を参照して、1次側1や2次側2の構造について、説明する。
1次側1および2次側2は、それぞれ、エアギャップ3側から順に、樹脂製表面カバー(図示せず)、コイル4,5、磁心コア6,7、ベースプレート8,9等を、備えた構造よりなる。
そして1次側1,2次側2共に、それぞれ、磁心コア6,7とベースプレート8,9との間に、樹脂プレートその他の電気絶縁材19,20が介装されるか、又は、電気絶縁スペース21,22が設けられている。
この電気絶縁材19,20や電気絶縁スペース21,22は、両コイル4,5間の電磁結合の結合係数を向上させるべく機能する。
【0019】
《その詳細について》
このような1次側1や2次側2の構造について、更に詳述する。まず図示例は、停止給電方式であることに鑑み、1次側1のコイル4,磁心コア6,ベースプレート8,電気絶縁材19,電気絶縁スペース21等と、2次側2ののコイル5,磁心コア7,ベースプレート9,電気絶縁材20,電気絶縁スペース22等とは、対応した対称構造よりなる。
ベースプレート8,9は、フラットな平板状をなし、例えばアルミプレート等の透磁率の低い金属製よりなり、強度サポート用兼磁気遮蔽用として機能し、内部誘起される渦電流によって、漏洩磁束の外部漏出を遮蔽する。
すなわちベースプレート8,9は、まず背板とも称され、1次側1や2次側2の強度部材として用いられる。これと共にベースプレート8,9は、電磁結合された1次側1,2次側2の両コイル4,5回路間の交番磁束変化によって渦電流が内部誘起され、もって、誘起された渦電流により漏洩磁束の外部漏出を遮断して、外部の人体や電子機器等を保護する。
【0020】
気絶縁材19,20や電気絶縁スペース21,22は、このようにベースプレート8,9に誘起される渦電流が、(ジュール熱損失を発生させるほか、)、コイル4,5により生成されるものとは逆向きの磁束を発生させるため、1次側1,2次側2の両コイル4,5に形成される回路間の電磁結合を弱め、結合係数を低下させることへの対策として、採用されたものである。
そして、磁心コア6,7とベースプレート8,9との間に介在して、両者間に間隙,距離を形成させることにより、結合係数を増加,向上させる機能を発揮する。
・・・・・(以下、略)」

(5)「【0031】
(10)なお、以上説明した図示例において、電気絶縁材19,20や電気絶縁スペース21,22は、1次側1および2次側2の両方について、採用されていた。しかしながら本発明は、このような図示例に限定されるものではなく、例えば、1次側1又は2次側2のいずれか一方についてのみ、電気絶縁材19,20や電気絶縁スペース21,22を採用し、残りの他方については、これを採用せず、この種従来例と同様の構成としてもよい。」

・上記引用例に記載の「非接触給電装置」は、上記(1)の【請求項1】、(4)の段落【0018】の記載事項、及び図1の(1)によれば、1次側から2次側に、エアギャップを存し非接触で電力を給電する装置である。
そして、1次側および2次側は、エアギャップ側から順に、コイル,磁心コア,ベースプレートを備えた構造よりなり、磁心コアはフラットな平板状をなし、ベースプレートもフラットな平板状をなしている。
・上記(1)の【請求項3】?【請求項4】、(3)、(4)の段落【0019】の記載事項によれば、ベースプレートは、アルミプレートよりなり、強度サポート用兼磁気遮蔽用として機能するものである。
・上記(1)の【請求項1】?【請求項2】、(3)の段落【0009】、(4)の記載事項、及び図1の(1)によれば、ベースプレートに内部誘起される渦電流が、両コイル間の電磁結合を弱め、結合係数を低下させるという悪影響を抑制し、両コイル間の電磁結合の結合係数を向上させるべく、磁心コアとベースプレートとの間に、電気絶縁材又は電気絶縁スペースを介装し、磁心コアとベースプレート間に、間隔、距離を形成するようにしてなるものである。
・上記(5)の記載事項によれば、電気絶縁材又は電気絶縁スペースは、1次側および2次側の両方に採用されることに限定されるものではなく、1次側又は2次側のいずれか一方についてのみ、電気絶縁材又は電気絶縁スペースを採用し、残りの他方については、これを採用せず、従来例と同様の構成〔磁心コアがベースプレートに対し接着等により固定される(上記(2)を参照)〕としてもよいものである。
この場合、次の(a)の構成または(b)の構成のどちらかを採り得るものである。
(a)1次側の磁心コアとベースプレートとの間についてのみ電気絶縁材又は電気絶縁スペースを介装して、磁心コアとベースプレート間に間隔、距離を形成し、2次側については、磁心コアをベースプレートに接着等により固定する。
(b)2次側の磁心コアとベースプレートとの間についてのみ電気絶縁材又は電気絶縁スペースを介装して、磁心コアとベースプレート間に間隔、距離を形成し、1次側については、磁心コアをベースプレートに接着等により固定する。

したがって、電気絶縁材又は電気絶縁スペースを、1次側又は2次側のいずれか一方についてのみ採用し、残りの他方についてはこれを採用せず、従来例と同様の構成としてなるものであって、上記(a)の構成のものに着目し、上記記載事項及び図面を総合勘案すると、引用例には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「1次側から2次側に、エアギャップを存し非接触で電力を給電する非接触給電装置であって、
1次側および2次側は、エアギャップ側から順に、コイル,フラットな平板状をなす磁心コア,フラットな平板状をなし、強度サポート用兼磁気遮蔽用として機能するベースプレートを備えた構造よりなり、
1次側の磁心コアとベースプレートとの間についてのみ電気絶縁材又は電気絶縁スペースを介装して、磁心コアとベースプレート間に間隔、距離を形成し、2次側については、磁心コアをベースプレートに接着等により固定してなる、非接触給電装置。」

4.対比・判断
本願発明と引用発明を対比する。
(1)引用発明における「1次側から2次側に、エアギャップを存し非接触で電力を給電する非接触給電装置であって、1次側および2次側は、エアギャップ側から順に、コイル,フラットな平板状をなす磁心コア,フラットな平板状をなし、強度サポート用兼磁気遮蔽用として機能するベースプレートを備えた構造よりなり、・・・2次側については、磁心コアをベースプレートに接着等により固定してなる、非接触給電装置。」によれば、
(a)引用発明の「非接触給電装置」は、「1次側」から「2次側」に、非接触で電力を給電する装置であるから、本願発明でいう「ワイヤレス電力伝送装置」に相当し、
また、引用発明の「1次側」は、電力を給電する側であるから、本願発明の「給電部」に相当し、引用発明の「2次側」は、電力を受ける側であるから、本願発明の「受電部」に相当する。
(b)引用発明における、1次側の「コイル」、1次側のフラットな平板状をなす「磁心コア」は、それぞれ本願発明でいう「一次巻線」、対向する二つの主面を持つ「一次磁性体コア」、に相当し、引用発明における、1次側の「コイル」及び1次側の「磁心コア」とからなるものが、本願発明でいう「給電側コイル」に相当する。
また、引用発明における、1次側のフラットな平板状をなし、強度サポート用兼磁気遮蔽用として機能する「ベースプレート」が、本願発明でいう、対向する二つの主面を持つ「給電側シールド材」に相当する。
そして、引用発明においても、1次側のフラットな平板状をなす「磁心コア」と、1次側のフラットな平板状をなす「ベースプレート」とは、その主面の一方同士が互い対向して配置されているといえるものである(引用例の図1も参照)。
したがって、本願発明と引用発明とは、「一次巻線、及び、対向する二つの主面を持つ一次磁性体コアを有する給電側コイルと、対向する二つの主面を持つ給電側シールド材とを含み、かつ、前記一次磁性体コアの持つ前記主面の一方と前記給電側シールド材の持つ前記主面の一方とが互いに対向して配置された給電部と」を備えるものである点で一致する。
(c)同様に、引用発明における、2次側の「コイル」、2次側のフラットな平板状をなす「磁心コア」は、それぞれ本願発明でいう「二次巻線」、対向する二つの主面を持つ「二次磁性体コア」、に相当し、引用発明における、2次側の「コイル」及び2次側の「磁心コア」とからなるものが、本願発明でいう「受電側コイル」に相当する。
また、引用発明における、2次側のフラットな平板状をなし、強度サポート用兼磁気遮蔽用として機能する「ベースプレート」が、本願発明でいう、対向する二つの主面を持つ「受電側シールド材」に相当する。
そして、引用発明においても、2次側のフラットな平板状をなす「磁心コア」と、2次側のフラットな平板状をなす「ベースプレート」とは、接着等により固定されものであり、両者の間に間隙,距離が存在しない配置となっていることから、その主面の一方同士が互い対向し、かつ重なって配置されているといえるものである(引用例の図1も参照)。
したがって、本願発明と引用発明とは、「二次巻線、及び、対向する二つの主面を持つ二次磁性体コアを有する受電側コイルと、対向する二つの主面を持つ受電側シールド材とを含み、前記二次磁性体コアの持つ前記主面の一方と前記受電側シールド材の持つ前記主面の一方とが互いに対向し、かつ前記受電側コイルと前記受電側シールド材とが重なって配置された受電部と」を備えるものである点で一致する。

(2)引用発明における「1次側および2次側は、エアギャップ側から順に、コイル,フラットな平板状をなす磁心コア,フラットな平板状をなし、強度サポート用兼磁気遮蔽用として機能するベースプレートを備えた構造よりなり」によれば、
1次側の「コイル」と2次側の「コイル」とがエアギャップを介して対向し、1次側の「磁心コア」と2次側の「磁心コア」とが、1次側の「コイル」と2次側の「コイル」を介して対向する構造の配置であるといえるから、 本願発明と引用発明とは、「前記給電部と前記受電部とは、前記一次巻線と前記二次巻線とを介して、前記一次磁性体コアの持つ前記主面の他方と前記二次磁性体コアの持つ前記主面の他方とが互い対向するように配置され」てなるものである点で一致する。

(3)引用発明における「1次側の磁心コアとベースプレートとの間についてのみ電気絶縁材又は電気絶縁スペースを介装して、磁心コアとベースプレート間に間隔、距離を形成し、2次側については、磁心コアをベースプレートに接着等により固定してなる・・」によれば、
給電側である「1次側」では、磁心コアとベースプレートとの間に電気絶縁材又は電気絶縁スペースが介装され、磁心コアとベースプレートとの間に、間隔,距離を有するのに対し、受電側である「2次側」では、磁心コアはベースプレートに接着等により固定され、磁心コアとベースプレートとの間に、間隙,距離は存在しないことから、「一次側」の磁心コアとベースプレートとの間の距離は、「二次側」の磁心コアとベースプレートとの間の距離よりも長いことは明らかであり、
本願発明と引用発明とは、「前記給電側シールド材の前記給電側コイルとの対向面から、前記給電側コイルの前記給電側シールド材との対向面までの距離は、前記受電側シールド材の前記受電側コイルとの対向面から、前記受電側コイルの前記受電側シールド材との対向面までの距離よりも長い」点で一致する。

したがって、本願発明と引用発明とは、
「一次巻線、及び、対向する二つの主面を持つ一次磁性体コアを有する給電側コイルと、対向する二つの主面を持つ給電側シールド材とを含み、かつ、前記一次磁性体コアの持つ前記主面の一方と前記給電側シールド材の持つ前記主面の一方とが互いに対向して配置された給電部と、
二次巻線、及び、対向する二つの主面を持つ二次磁性体コアを有する受電側コイルと、対向する二つの主面を持つ受電側シールド材とを含み、前記二次磁性体コアの持つ前記主面の一方と前記受電側シールド材の持つ前記主面の一方とが互いに対向し、かつ、前記受電側コイルと前記受電側シールド材とが重なって配置された受電部と、を備え、
前記給電部と前記受電部とは、前記一次巻線と前記二次巻線とを介して、前記一次磁性体コアの持つ前記主面の他方と前記二次磁性体コアの持つ前記主面の他方とが互い対向するように配置されており、
前記給電側シールド材の前記給電側コイルとの対向面から、前記給電側コイルの前記給電側シールド材との対向面までの距離は、
前記受電側シールド材の前記受電側コイルとの対向面から、前記受電側コイルの前記受電側シールド材との対向面までの距離よりも長い、ワイヤレス電力伝送装置。」
である点で一致し、相違するところがない。

よって、本願発明は、引用例に記載された発明である。

5.むすび
以上のとおりであるから,本願請求項1に係る発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-09-18 
結審通知日 2018-09-25 
審決日 2018-10-11 
出願番号 特願2013-135000(P2013-135000)
審決分類 P 1 8・ 113- Z (H02J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小池 堂夫赤穂 嘉紀阿部 陽  
特許庁審判長 酒井 朋広
特許庁審判官 井上 信一
田中 慎太郎
発明の名称 ワイヤレス電力伝送装置  
代理人 飯田 雅人  
代理人 荻野 彰広  
代理人 荒 則彦  
代理人 棚井 澄雄  

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