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審決分類 |
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A47J 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A47J |
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管理番号 | 1346521 |
審判番号 | 不服2017-5558 |
総通号数 | 229 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2019-01-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-04-19 |
確定日 | 2018-11-21 |
事件の表示 | 特願2014-530368「飲料を調製するための方法、システム及びカプセル」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 3月21日国際公開、WO2013/038383、平成26年12月 4日国内公表、特表2014-531923〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1手続の経緯 本願は、2012年9月14日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2011年9月14日 イタリア)を国際出願日とする出願であって、平成28年6月3日付けで拒絶理由が通知され、平成28年9月6日に意見書及び手続補正書が提出され、その後平成28年12月15日付けで拒絶査定がされた。これに対し、平成29年4月19日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。 第2 本願発明について 1 本願発明 特許請求の範囲の請求項1?10に係る発明は、平成28年9月6日の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?10に記載された事項により特定されるものであるところ、そのうち、請求項9に記載された発明は以下のとおりのものであると認める(以下「本願発明」という。)。 「上側を蓋で閉じられているカップ形本体を含む型の、飲料を調製するためのカプセルであって、 前記カプセルは、各々が水流の入口領域を有し、各々が浸出液の出口領域を有する複数の浸出チャンバを内部に備え、 前記浸出チャンバは互いに対して液密に密封されており、 前記カップ形本体は、円筒形状の側壁と、底部壁と、少なくとも1つの中間壁とを有し、前記中間壁は前記カップ形本体の内部を前記浸出チャンバに分割し、前記中間壁は前記カップ形本体の内部に存在し、前記中間壁は前記底部壁とともに単一の部品として形成され、前記中間壁は前記底部壁から前記側壁に平行に延び、 前記底部壁は複数の第1の貫通孔を有し, 前記底部壁の外表面から始まり下方に延びる複数の環状の突起は、前記浸出チャンバの各々に対して1つずつ設けられている浸出液の複数の出口領域を画定するように、前記第1の貫通孔のいくつかを他の前記第1の貫通孔から隔て、 前記蓋は複数の第2の貫通孔を有し、 前記蓋は、前記浸出液チャンバの各々に対して1つずつ設けられている水流の複数の入口領域を画定するように、前記第2の貫通孔のいくつかを他の前記第2の貫通孔から隔てる複数の壁厚部を有する、 カプセル。」 2 原査定の理由 原査定の拒絶の理由は、概略、以下のとおりである 1.(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 (引用文献等については引用文献等一覧参照) ●理由1(新規性)、理由2(進歩性)について ・請求項9 ・引用文献等1 ・請求項10 ・引用文献等1 ●理由2(進歩性)について ・請求項1 ・引用文献等1-3 ・請求項2-5 ・引用文献等1-4 ・請求項6 ・引用文献等1、3 ・請求項7-8 ・引用文献等1、3、5 <引用文献等一覧> 1.特表2008-535050号公報 2.特表2010-501206号公報 3.特表2007-536020号公報 4.米国特許出願公開第2009/0007796号明細書 5.米国特許出願公開第2011/0151075号明細書(周知技術を示す文献) 3 引用例 (1)引用例 原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に頒布された刊行物1(以下「引用例」という。)には、次の事項が記載されている。 (ア)「【0001】 本発明は、ホットドリンク又はコールドドリンクを調製するための飲料カートリッジ、及び飲料システムの分野に関する。より詳細には、本発明は、コーヒー、ティー、カプチーノのような飲料を、自動販売機において調製する際に使用され、新鮮な液体や、溶性又は粉末製品を含む使い捨てカートリッジを使用する飲料システムに関する。また本発明は、このような飲料の分配方法にも関する。」 (イ)「【発明が解決しようとする課題】 【0012】 従って、改良されたシステムに対する要求がある。すなわち、特に2以上の成分を、簡単で信頼性が高く、かつ費用効果のすぐれた手法で飲料を分配しうる、カートリッジと飲料集液エレメントを含む装置及び方法が必要とされている。 【0013】 前記問題点を解決し、かつ1又は2以上の飲料成分から高品質の飲料を提供できる改良された飲料分配装置及び方法を提供することが、本発明の目的である。」 (ウ)「【課題を解決するための手段】 【0014】 本発明は、カートリッジと、このカートリッジから飲料容器へ飲料を分配するための飲料集液ユニットを備える飲料分配装置において、前記飲料集液ユニットは、単一カートリッジから飲料成分を分配するための、少なくとも2個の別々の分配手段を備えていることを特徴とする飲料分配装置を提供するものである。またこの装置は、水及び/又は蒸気導入手段、すなわち、カートリッジに水及び/又は蒸気を供給し、カートリッジ内で、水又は蒸気、あるいはそれらの両者を飲料成分と混合して、飲料を得る手段を備えている。 【0015】 換言すると、本発明によると、2本以上の別々の異なった経路を形成する2本以上の別々の異なったダクトを利用し、分配される飲料又はその成分が、前記経路を通ってカートリッジからカップや他の飲料容器に供給される。 【0016】 また本発明は、カートリッジと、カートリッジから飲料容器へ飲料を分配するための飲料集液ユニットとを有する飲料分配装置から、飲料を分配する方法において、前記飲料を、前記カートリッジから前記飲料容器へ、少なくとも2つの別個の分配手段を経て、分配することを特徴とする方法をも提供するものである。 【0017】 好ましい態様によると、2個の分配手段は、前記集液ユニットに形成された2個のダクトを備え、各ダクトは、カートリッジの1又は2以上の開口部から、前記飲料又は飲料成分を前記飲料容器に供給するために適した位置へ広がっている。各ダクトの入口は、他のダクトの入口から分離され、1種の飲料又は飲料成分のみがカップへ流れるようになっている。換言すると、本発明のダクトは、1種の飲料又は飲料成分(例えばコーヒーやミルク)専用である。 【0018】 他の好ましい態様によると、前記カートリッジは、異なった飲料や成分を入れるための少なくとも2つの空所を有し、各飲料又は成分は、異なった分配ダクトを通して、カートリッジから飲料容器に分配される。 【0019】 本発明の他の局面によると、飲料集液ユニットは、同じ面、又は異なった複数の面に互いに隣接し、かつ同心状に配置された2個の環状集液チャンバを有し、各チャンバは、前記分配手段に向かう少なくとも1個の出口を有している。好ましい態様では、2個の入口と2個の出口を有する飲料集液ユニットが、別々の水入口と飲料(又は飲料成分)出口を有するカートリッジとともに使用される。前記分配装置の水/蒸気導入手段、すなわちカートリッジに水/蒸気を供給する手段も、異なった温度の水、ときには蒸気を供給するための別々の出口孔を有している。この態様においては、2又はそれ以上の別々の流路が、システムの上部(水/蒸気供給出口)から下部へ、すなわち飲料集液ユニットの分配手段の端部に向けて形成されている。」 (エ)「【0039】 本発明によると、カートリッジ内の飲料成分用の出口孔は、集液ユニットのみの分配手段に接続され、これにより前記集液ユニットに、別の手法、つまり異なった経路で、異なった飲料成分を、カップや他の飲料容器に供給する手段が提供されている。 【0040】 この目的のため図示の態様では、底壁21に、底壁21に対して実質的に縦方向を向く短寸の環状壁24が設けられ(図6)、前記底壁21の外側部分を、別の飲料(成分)を分配する2個の別のエリアに区画している。前記底壁21の外周部には、少なくとも1個の、好ましくは複数の分配用出口孔23が設けられている。前記環状壁24の中央部には、中央出口孔22が形成され、カートリッジからの飲料の流れを集液ユニット1へ供給するようになっている。 【0041】 より詳細に述べると、前記カートリッジの中心には、4個の翼部22aを形成するための2本の分離線25を備える中央出口孔22が設けられている。翼部22aを曲げることにより、出口孔を形成することができる。 【0042】 中央出口孔22は、プラジャ4により翼部22aをカートリッジ13の内方へ押圧することにより開口されるか、又はカートリッジ13に供給される加圧水により翼部22aをカートリッジ13の外方へ向けて押圧することにより開口される。前者の態様では、プランジャ4は、底壁21の中央出口孔22より小径であって、この中央出口孔22に挿入されている。後者の態様では、集液ユニットは、前記中央出口孔22より大径のプランジャヘッドを有し、図8から図11に示すように、プランジャヘッドは、底壁21の外周の環状壁24の内周部21aに当接している。」 (オ)「【0049】 図14に示すカートリッジは、下部29と上部蓋30を有している。カートリッジの底壁31には、内部に位置し、カートリッジの底壁31から上部蓋30へ達する環状壁32が形成されている。このように、カートリッジ内の空間は、中央チャンバ35と周辺チャンバ34の2つのチャンバに分割されている。中央チャンバ35の上部と下部には、濾紙が装着されている。下部濾紙は、孔を有するディスク(図示せず)で支持していても良い。 【0050】 周辺チャンバ34は、例えば前述の態様の分配用出口23と同じように操作される、飲料用出口孔36を有している。中央チャンバ35は、孔の開いた底壁を有するが、図5から図11におけるのと同じような底壁も、好適に適用できる、 【0051】 上部蓋30は、水を選択的にチャンバ34及び35に供給するための複数の孔を有している。より詳細には、前記上部蓋30は、中央エリアCを環状エリアAから隔てる2個のリッジ37及び38を有している。中央エリアCには、水が中央チャンバ35に到達する経路となる孔39が設けられ、環状エリアAの孔40は、水や蒸気をチャンバ34に供給する。41は、装置の水供給部を示す。前記水供給部41がカートリッジの上部蓋30に押し付けられると、2個のOリング44,45又はその他の密閉手段は、2個のエリアA及びCを密閉する。水又は蒸気、あるいはそれら両者を、供給ダクト42及び43を通して、選択的にチャンバ34及び35へ供給することができる。」 (カ)「 」 (キ)「 」 (ク)図14には、【0049】を参酌すると、下部29がカップ型であること、円筒形状の側壁と底壁31と環状壁32とからなることが示されている。 (2) 引用例に記載された発明 上記(ア)?(ク)の記載を総合して、上記(オ)の実施例に着目すると、引用例には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。 「カップ型の下部29と上部蓋30を有する飲料カートリッジであって、 上部蓋30は、水を選択的に周辺チャンバ34及び中央チャンバ35に供給するための複数の孔を有しており、周辺チャンバ34は、飲料用出口孔36を有し、中央チャンバ35は、孔の開いた底壁31を有し、 カップ型の下部29は、円筒形状の側壁と、底壁31と、飲料カートリッジの底壁31から上部蓋30へ達する環状壁32とを有し、飲料カートリッジ内の空間は、中央チャンバ35と周辺チャンバ34の2つのチャンバに分割され、 上部蓋30は、中央エリアCを環状エリアAから隔てる2個のリッジ37及び38を有し、中央エリアCには、水が中央チャンバ35に到達する経路となる孔39を設け、環状エリアAの孔40は、水や蒸気を周辺チャンバ34に供給する、 飲料カートリッジ。」 4 本願発明と引用発明の対比・判断 (1)対比 本願発明と引用発明とを対比する。 (ア)引用発明の「飲料カートリッジ」は、その機能から、本願発明の「カプセル」に相当し、同様に、「カップ型の下部29」は「カップ形本体」に、「環状壁32」は「中間壁」にそれぞれ相当する。 (イ)引用発明の「カップ型の下部29と上部蓋30を有する飲料カートリッジ」は、カップ型の下部29の上側が上部蓋30で閉じられているのであるから、本願発明の「上側を蓋で閉じられているカップ形本体を含む型の、飲料を調製するためのカプセル」に相当する。 (ウ)引用発明の「カップ型の下部29は、円筒形状の側壁と、底壁31と、カートリッジの底壁31から上部蓋30へ達する環状壁32とを有し、カートリッジ内の空間は、中央チャンバ35と周辺チャンバ34の2つのチャンバに分割され」る態様は、図14を参酌すると、環状壁32が中央チャンバ35と周辺チャンバ34の2つのチャンバにカップ型の下部29の内部を分割し、底壁31と単一の部品であり、側壁に平行に延びていることは明らかであるから、本願発明の「前記カップ形本体は、円筒形状の側壁と、底部壁と、少なくとも1つの中間壁とを有し、前記中間壁は前記カップ形本体の内部を前記浸出チャンバに分割し、前記中間壁は前記カップ形本体の内部に存在し、前記中間壁は前記底部壁とともに単一の部品として形成され、前記中間壁は前記底部壁から前記側壁に平行に延び」る態様に相当する。 (エ)引用発明の「周辺チャンバ34は、飲料用出口孔36を有し、中央チャンバ35は、孔の開いた底壁31を有」する態様は、飲料用出口孔36及び孔が底壁31に設けられていることであるから、本願発明の「前記底部壁は複数の第1の貫通孔を有」する態様に相当する。 (オ)引用発明の「上部蓋30は、水を選択的に周辺チャンバ34及び中央チャンバ35に供給するための複数の孔を有して」いる態様は、本願発明の「前記蓋は複数の第2の貫通孔を有」する態様に相当する。 (カ)引用発明の「上部蓋30は、中央エリアCを環状エリアAから隔てる2個のリッジ37及び38を有し、中央エリアCには、水が中央チャンバ35に到達する経路となる孔39を設け、環状エリアAの孔40は、水や蒸気を周辺チャンバ34に供給する」態様は、中央チャンバ35と周辺チャンバ34に対して各々に中央エリアCと環状エリアAを設け、中央エリアCには水が中央チャンバ35に到達する孔39、環状エリアAには水や蒸気を周辺チャンバ34に供給する孔40が設けられ、中央エリアCと環状エリアAとを隔てる2個のリッジ37及び38が設けられていることであるから、本願発明の「前記蓋は、前記浸出液チャンバの各々に対して1つずつ設けられている水流の複数の入口領域を画定するように、前記第2の貫通孔のいくつかを他の前記第2の貫通孔から隔てる複数の壁厚部を有する」態様に相当する。 ここで、請求人は、審判請求書において、「引用文献1は、『前記蓋は、前記浸出液チャンバの各々に対して1つずつ設けられている水流の複数の入口領域を画定するように、前記第2の貫通孔のいくつかを他の前記第2の貫通孔から隔てる複数の壁厚部を有する』という請求項9に係る発明の特徴的な構成を何ら開示も示唆もしていません。」「引用文献1の図14に例示の実施態様では、2つの流れの効果的な分離を保証するためには、蓋がカプセルの外部にある2つのOリング44、45と協働することを必要とします。これに対し、請求項9に係る発明によれば、「前記第2の貫通孔のいくつかを他の前記第2の貫通孔から隔てる複数の壁厚部」は蓋に属し、故に、カプセルに属します。」(4.の4.3の(4))と主張する。 しかし、上記のとおり、引用発明の上部蓋30の2個のリッジ37及び38は、中央エリアCと環状エリアAとを隔てるものであって、孔39と孔40と隔てていることは明らかであるから、請求人の主張は失当である。 (キ)引用発明の「飲料カートリッジ」は、水が中央エリアCに供給され、孔の開いた底壁31より排出される中央チャンバ35、及び水や蒸気が環状エリアAに供給され、飲料用出口孔36より排出される周辺チャンバ34を備えているから、本願発明の「前記カプセルは、各々が水流の入口領域を有し、各々が浸出液の出口領域を有する複数の浸出チャンバを内部に備え」る態様に相当する。 (ク)引用発明の「中央チャンバ35と周辺チャンバ34の2つのチャンバに分割」される態様は、中央チャンバ35と周辺チャンバ34がそれぞれ独立して設けられていることであるから、本願発明の「前記浸出チャンバは互いに対して液密に密封されて」いる態様に相当する。 したがって、本願発明と引用発明とは、 「上側を蓋で閉じられているカップ形本体を含む型の、飲料を調製するためのカプセルであって、 前記カプセルは、各々が水流の入口領域を有し、各々が浸出液の出口領域を有する複数の浸出チャンバを内部に備え、 前記浸出チャンバは互いに対して液密に密封されており、 前記カップ形本体は、円筒形状の側壁と、底部壁と、少なくとも1つの中間壁とを有し、前記中間壁は前記カップ形本体の内部を前記浸出チャンバに分割し、前記中間壁は前記カップ形本体の内部に存在し、前記中間壁は前記底部壁とともに単一の部品として形成され、前記中間壁は前記底部壁から前記側壁に平行に延び、 前記底部壁は複数の第1の貫通孔を有し, 前記蓋は複数の第2の貫通孔を有し、 前記蓋は、前記浸出液チャンバの各々に対して1つずつ設けられている水流の複数の入口領域を画定するように、前記第2の貫通孔のいくつかを他の前記第2の貫通孔から隔てる複数の壁厚部を有する、 カプセル。」 の点で一致し、以下の点で一応相違する。 <相違点> 本願発明では、「前記底部壁の外表面から始まり下方に延びる複数の環状の突起は、前記浸出チャンバの各々に対して1つずつ設けられている浸出液の複数の出口領域を画定するように、前記第1の貫通孔のいくつかを他の前記第1の貫通孔から隔て」るのに対して、引用発明では、そのように特定されていない点。 (2) 当審の判断 上記相違点について検討する。 引用例の図14に係る実施例に関し、【0049】?【0051】には、底壁31の形状に関して具体的な記載はない。 一方、引用例の摘記事項(エ)(摘記事項(カ)参照。)には、「底壁21の外側部分を、別の飲料(成分)を分配する2個の別のエリアに区画するために、底壁21に、底壁21に対して実質的に縦方向を向く短寸の環状壁24を設け、前記底壁21の外周部には、複数の分配用出口孔23を設け、前記環状壁24の中央部には、中央出口孔22を形成する点」が記載されているといえる。 そして、【0050】の「図5から図11におけるのと同じような底壁も、好適に適用できる」との記載から、上記摘記事項(エ)の記載を参酌すると、図14の環状壁32に対応する位置で底壁31より下方に延びる突出壁は、底壁31の外側部分を中央チャンバ35と周辺チャンバ34からの飲料を分配する2個の別のエリアに区画する環状壁であって、図14の円筒形状の側壁及び環状壁32に対応する位置で底壁31より下方に延びる突出壁の態様は、中央チャンバ35と周辺チャンバ34の各々に対して飲料出口のエリアを画定し、周辺チャンバ34の飲料用出口孔36と中央チャンバ35の底壁31の孔とを隔てているといえるから、本願発明の「前記底部壁の外表面から始まり下方に延びる複数の環状の突起は、前記浸出チャンバの各々に対して1つずつ設けられている浸出液の複数の出口領域を画定するように、前記第1の貫通孔のいくつかを他の前記第1の貫通孔から隔て」る態様に相当する。 そうすると、上記相違点は実質的な相違点でないから、本願発明は、引用発明である。 また、上記相違点が実質的な相違点であるとしても、引用例の【0050】の示唆に従い、引用発明の底壁31に、上記引用例1記載の事項を適用して上記相違点に係る本願発明の事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 そして、本願発明の奏する効果は、引用発明及び引用例記載の事項から、予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。 5 むすび したがって、本願発明は、引用発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないか、又は引用発明及び引用例記載の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 第3 まとめ 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないか、又は特許法第29条第2項の規定より特許を受けることができないものであるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審理終結日 | 2018-06-25 |
結審通知日 | 2018-06-26 |
審決日 | 2018-07-09 |
出願番号 | 特願2014-530368(P2014-530368) |
審決分類 |
P
1
8・
113-
Z
(A47J)
P 1 8・ 121- Z (A47J) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 西田 侑以 |
特許庁審判長 |
紀本 孝 |
特許庁審判官 |
佐々木 正章 莊司 英史 |
発明の名称 | 飲料を調製するための方法、システム及びカプセル |
代理人 | 大貫 進介 |
代理人 | 伊東 忠彦 |
代理人 | 伊東 忠重 |