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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G01D
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G01D
管理番号 1346558
審判番号 不服2018-1082  
総通号数 229 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-01-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-01-26 
確定日 2018-12-25 
事件の表示 特願2012-254557「磁気センサ装置」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 6月 5日出願公開、特開2014-102163、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
特許出願: 平成24年11月20日
拒絶査定: 平成29年10月20日
(以下「原査定」という。送達日:同年同月31日)
拒絶査定不服審判の請求: 平成30年 1月26日
拒絶理由通知: 平成30年8月22日
(以下「当審拒絶理由」という。発送日:同年同月28日)
手続補正: 平成30年10月11日(以下「本件補正」という。)

第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。

1.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)

・請求項 1-2
・引用文献等 1-3

・請求項 3
・引用文献等 1-4

・請求項 4
・引用文献等 1-5

・請求項 5-6
・引用文献等 1-6

<引用文献等一覧>
1.特開2001-66151号公報
2.特開2000-275059号公報
3.特開2007-258740号公報
4.特開平8-116108号公報
5.特開平3-146888号公報
6.特開2006-84410号公報

第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。

1.(明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

・請求項 1-6
請求項1の「・・・前記フレキシブル配線基板の端部から露出した領域には、粘着材層を介して保護シートが貼付されている」という記載では、「・・・前記フレキシブル配線基板の端部から露出した領域」以外の領域に、「粘着材層を介して保護シートが貼付されている」のか否かは特定されておらず、
・・・前記フレキシブル配線基板の端部から露出した領域“のみ”に、粘着材層を介して保護シートが貼付されている、のか、
・・・前記フレキシブル配線基板の端部から露出した領域に、前記フレキシブル配線基板の端部から露出していない領域も含めて、粘着材層を介して保護シートが貼付されている、のか、
どちらを意味しているのか明確でない。
請求項1に従属する請求項2-6に係る発明においても同様である。
よって、請求項1-6に係る発明は明確でない。

・請求項 2-6
請求項2の「前記保護シートは、前記素子基板の外縁、および前記フレキシブル配線基板の端部から離間した領域に貼付されている」という記載も上記と同様に明確でない。
請求項2に従属する請求項3-6に係る発明においても同様である。
よって、請求項2-6に係る発明は明確でない。

2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

・請求項 1-3
・引用文献等 1-3

・請求項 4
・引用文献等 1-5

<引用文献等一覧>
1.特開平8-25741号公報
2.特開平1-250084号公報(周知技術を示す文献)
3.実願平1-79753号(実開平3-19979号)のマイクロフィルム(周知技術を示す文献)
4.特開平3-146888号公報
5.特開2007-232616号公報

なお、請求項5-6は、特許法第29条第2項に係る当審拒絶理由の対象ではない。

第4 本願発明
本願の請求項1-4に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明4」という。)は、本件補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-4に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
一方面側に磁気抵抗素子が形成された感磁領域、および端子が形成された接続領域を備えた素子基板と、前記接続領域に接続されたフレキシブル配線基板と、を有する磁気センサ装置において、
前記素子基板の前記一方面のうち、前記感磁領域を含み、前記フレキシブル配線基板の端部から露出した領域にのみ、粘着材層を介して保護シートが貼付されており、
前記保護シートの前記素子基板側とは反対側の面には、シールド部材が重なっており、
前記素子基板を内側に保持する筐体を有し、
当該筐体は、前記素子基板から離間した位置で前記シールド部材が固定されたシールド部材固定部と、前記シールド部材と重なる位置に前記保護シートの前記素子基板側とは反対側の面と同一平面内に位置する基準面と、を有していることを特徴とする磁気センサ装置。」

なお、本願発明2-4は、本願発明1を減縮した発明である。

第5 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
(1)当審拒絶理由において引用された特開平8-25741号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審による。以下同様。)。
「【0015】図1は実施例の記録装置においてキャリッジの位置検出に関わる要部の構成を示している。
【0016】図1において、一点鎖線で示すキャリッジ1は、インクジェット方式などの記録ヘッド2を搭載し、ガイドバー3上に摺動可能に設けられており、外周面に螺旋溝を形成した案内軸4によって往復移動するように案内される。即ち、キャリッジ1は、案内軸4の螺旋溝に係合する不図示の係合部を有し、不図示のキャリッジ駆動モータによって案内軸4が回転駆動されると、前記係合部が案内軸4の螺旋溝に沿って移動し、キャリッジ1が移動する。
【0017】キャリッジ1は、両方向の矢印で示すようにプラテン5に沿って往復移動し、この移動中に記録ヘッド2が駆動され、プラテン5の外周面上に巻付けられた記録シート6に対してインク滴を噴射し、所定ピッチPでドットDを記録する。そして、ドットマトリクスパターンで画像ないし文字が記録される。
【0018】一方、キャリッジ1の位置を検出して同期信号を発生する磁気式リニアエンコーダを構成する磁気スケール部7と磁気ヘッド8が設けられている。」

「【0020】また図1において、磁気ヘッド8は、MR素子によりスケール部7の磁界を検知するMRヘッドであり、磁気スケール部7に対し摺動可能でキャリッジ1内に固定されている。磁気スケール部7の磁界に応じた磁気ヘッド8の出力信号はフレキシブルプリント板9とフレキシブルケーブル10を介し記録装置の制御回路基板11に導かれ、その制御回路において磁気ヘッド8の出力信号によりキャリッジ1の位置が検出されるようになっている。
【0021】次に、磁気ヘッド8の構造の詳細を図2?図5により説明する。
【0022】図2において、磁気ヘッド8の構成部材として、まず符号12はスライダであり、全体として中空の筒状に形成され、磁気スケール部7を挿通し、両端部に形成された滑り軸受部12aに磁気スケール部7を摺動可能に嵌合して磁気スケール部7に対し摺動可能であり、キャリッジ1に固定されている。
【0023】スライダ12の内側には絶縁体のガラスからなるMR素子基板13が固定されており、その表面がギャップgを介して磁気スケール部7に近接して平行に対向するように配置されている。磁気スケール部7の基板13と対向する側の部分が着磁部7aとして着磁されている。
【0024】基板13の表面にはMR素子が設けられている。その様子を図3に示してある。図3は、図2のA部の断面を拡大して磁気スケール部7の着磁状態とMR素子パターンの配置等を模式的に示している。図3に示すように、基板13の表面にはMR素子を構成するパーマロイなど強磁性体の薄膜からなる線状のパターンであるMR素子パターン14が磁気スケール部7の長さ方向に沿って磁気スケール部7の着磁のピッチ(N極どうし、ないしS極どうしのピッチ)に対応したピッチで複数本(ここでは7本)並んで形成されている。
【0025】さらに基板13上で絶縁体からなる保護膜15がMR素子パターン14の全体を覆うように形成されている。
【0026】ここでMR素子パターン14の膜厚は500オングストローム程度であり、その磁気特性の関係からギャップgは20μm±5μm程度に抑えられ、そのため保護膜15の膜厚も10μm±3μm程度に抑えらえる。
【0027】ところで、図3は、あくまでもMR素子部の断面を模式的に示したものであって、実際にはMR素子パターン14の本数はより多く、保護膜15は好ましくは2層の膜とされる。その実際の磁気ヘッド8のMR素子部の構造例を図4,図5に示してある。図4は保護膜を透視して示す磁気ヘッド8のMRヘッド素子部の表面の平面図、図5は断面図である。
【0028】図4において、7本のMR素子パターン14をつづら折りのように接続して1組としたものが4組設けられ、それぞれの組の両端に電極16a、16bの薄膜パターンが接続されている。即ち、この場合、28本のMR素子パターン14からMR素子が構成されている。
【0029】また、保護膜15は、図5に示すように、MR素子パターン部14と電極16a,16bを形成した強磁性体薄膜(パーマロイ膜)17の直上にアモルファスSiNx膜(x=0.05at%以上)15aを成膜し、その上にUVエポキシ樹脂からなるエポキシ膜15bを成膜して2層の保護膜としている。」

「【0069】以上のような理由から、保護膜15の最適なものとして、先述の図5のように、MR素子パターン14を形成した強磁性体薄膜17の直上にSiNx膜15aを成膜し、その上にUVエポキシ樹脂からなるエポキシ膜15bを成膜する。
【0070】ここで成膜方法を説明すると、まず後で多数のMR素子基板13として切断される大きなガラス板の上に蒸着によりパーマロイ膜を成膜し、エッチングにより電極16a、16bとMR素子パターン14の形状に加工する。この場合、前記1枚の大きなガラス板上に図4と同形状のパターンを例えば150ケ以上いっしょに形成する。
【0071】その後、電極16a、16bの図4中下部側のみマスキングして、SiNx膜15aを1μmの厚さでスパッタする。即ち、SiNx膜15aはMR素子パターン14全部と電極16a、16bを含めてMR素子基板13上の図4中上半部全面を覆い、MR素子基板13の外縁となる切断前の前記大きなガラス板の境界まで覆う大きさに形成される。
【0072】次に、UVエポキシ樹脂からなるエポキシ膜15bをスクリーン印刷で成膜する。その厚みは8μm±3μmで成膜する。その時、エポキシ膜15bは、SiNx膜15a上からMR素子パターン14全体と電極16a、16bの上部は覆うが、MR素子基板13の外縁となる切断前の前記大きなガラス板の切断の境界までは覆わない大きさとする。つまりエポキシ膜15bは、その全周縁がSiNx膜15aの全周縁の内側に位置するようにSiNx膜15aの成膜領域の内側にSiNx膜15aより小さく形成する。これは前記の各膜の成膜後に前記の大きなガラス板をMR素子基板13の大きさに切断する時、エポキシ膜15bが切断される境界を覆っていて切断されると、切断面から剥離するためである。なおSiNx膜15aは精密切断刃で切断しても密着性が良いので剥離しない。
【0073】またSiNx膜上でのエポキシ膜はガラス基板上に比べ密着度も向上してエポキシ膜の端面からの剥離が減少することからも、エポキシ膜15bは上記のようにSiNx膜15aより小さく形成するのが良い。
【0074】このようにエポキシ膜15bを成膜した後、前記大きなガラス板をMR素子基板13の大きさに切断して磁気ヘッド8の素子部が完成する。」

「【0077】なお、図4中露出している電極16a、16bの下部は図5に示すようにハンダ18をつけた後、FPC(フレキシブルプリント板)9を接合し、その上から不図示のUVエポキシ樹脂で厚く覆うことにより腐食をさける。この部分は磁気スケール部7との距離が大きくなるので、エポキシ樹脂を厚くできる。」

(2)したがって、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「磁気ヘッド8は、MR素子によりスケール部7の磁界を検知するMRヘッドであり、磁気スケール部7に対し摺動可能でキャリッジ1内に固定され、磁気スケール部7の磁界に応じた磁気ヘッド8の出力信号はフレキシブルプリント板9を介し導かれ、制御回路において磁気ヘッド8の出力信号によりキャリッジ1の位置が検出され(【0020】より。)、
磁気ヘッド8のスライダ12は、全体として中空の筒状に形成され、磁気スケール部7を挿通し(【0022】より。)、
スライダ12の内側にはMR素子基板13が固定されており、その表面がギャップgを介して磁気スケール部7に近接して平行に対向するように配置され(【0023】より。)、
MR素子基板13(【0023】より。)の表面にはMR素子パターン14が磁気スケール部7の長さ方向に沿って磁気スケール部7の着磁のピッチに対応したピッチで複数本並んで形成され(【0024】より。)、MR素子パターン14の両端に電極16a、16bの薄膜パターンが接続され(【0028】より。)、
MR素子パターン部14と電極16a,16bを形成した強磁性体薄膜(パーマロイ膜)17の直上にアモルファスSiNx膜15aを成膜し、その上にUVエポキシ樹脂からなるエポキシ膜15bを成膜して2層の保護膜としたものであって(【0029】より。)、
電極16a、16bの図4中下部側のみマスキングして、SiNx膜15aをスパッタし、SiNx膜15aはMR素子パターン14全部と電極16a、16bを含めてMR素子基板13上の図4中上半部全面を覆う大きさに形成され(【0071】より。)、
UVエポキシ樹脂からなるエポキシ膜15bをスクリーン印刷で成膜し、エポキシ膜15bは、SiNx膜15a上からMR素子パターン14全体と電極16a、16bの上部は覆うが、MR素子基板13の外縁までは覆わない大きさとし、エポキシ膜15bの全周縁がSiNx膜15aの全周縁の内側に位置するようにSiNx膜15aの成膜領域の内側にSiNx膜15aより小さく形成し(【0072】より。)、
図4中露出している電極16a、16bの下部は図5に示すようにハンダ18をつけた後、FPC(フレキシブルプリント板)9を接合する(【0077】より。)、
磁気ヘッド8(【0018】より。)及びフレキシブルプリント板9(【0020】より。)を含む構成。」

2.引用文献2、3について
当審拒絶理由において周知技術を示す文献として引用された、特開平1-250084号公報(以下「引用文献2」という。)の第1頁左欄第17行-第2頁左上欄第18行、第3図(b)、実願平1-79753号(実開平3-19979号)のマイクロフィルム(以下「引用文献3」という。)の明細書第2頁第5行-第3頁第11行、第4図には、磁気センサ装置において、磁気抵抗素子が形成された感磁領域を保護する際に、粘着材層を介して保護シート(保護板12、保護層15)を貼付する周知技術が記載されていると認められる。

3.引用文献4について
(1)当審拒絶理由において引用された特開平3-146888号公報(以下「引用文献4」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
ア「従来、強磁性薄膜層を基板上に所定のパターンで形成し、外部磁界の作用により該強磁性薄膜層の磁気抵抗が変化することを利用して、回転体等の変位検出を行う磁気センサが知られている。
そして、近年の電子回路の汎用化と高精度、高速化に伴い不要電磁波(以下単にノイズとも言う)のシールド対策が上記磁気センサにおいても要求されている。」(第1頁右欄第5-12行)

イ「第1図は本発明の第一実施例の磁気センサの外観斜視図、第2図は第1図のA-A線断面図である。
第1図に示す磁気センサ1は、ガラス製の基板2と、この基板2上に、フォトエッチング法により所定のパターンに形成された磁気抵抗効果を発揮するNiCo等の強磁性薄膜層からなる感磁部3と、この感磁部3の表面を被覆する絶縁層4と、前記絶縁層4上に形成された電磁波シールド部材5と前記感磁部3の電極3aとリード線6aで接続された3本の外部接続用端子7aと、前記電磁波シールド部材5の電極5aとリード線6bで接続された1本の接地用端子7bと、これらの外部接続用端子7a及び接地用端子7bの接続部を含み、前記基板2の全体を被覆した被覆樹脂8とから構成されている。
前記電磁波シールド部材5は、例えば真空蒸着法により、非磁性の電気良導体であるチタン、金、アルミニウム、コバルト、モリブデン等が、前記感磁部3のパターンをほぼ覆うように前記絶縁層4上に形成されている。
また前記3本の外部接続用端子7aは、図示しない回路基板の入出カバターン等に接続され、前記接地用端子7bは回路基板の接地パターンに接続され、かつ、前記磁気センサ1が回転体等に対向配置され回転体等の変位検出を行なう。
上記構成の磁気センサ1によれば、以下の効果が得られる。前記電磁波シールド部材5が、前記感磁部3のパターンをほぼ覆うように形成されているので、回転体等の変位検出の際、前記感磁部3側の面から侵入する不要電磁波(以下単にノイズとも言う)をシールドでき、検出感度も向上する。また、電磁波シールド部材を被覆樹脂8の外側に形成する構成ではないので、外形が大きくならず磁気センサの小形化に対応できる。」(第2頁左下欄第12行-第3頁左上欄第6行)

(2)したがって、引用文献4には次の技術的事項(以下「引用文献4に記載された技術的事項」という。)が記載されていると認められる。
「強磁性薄膜層を基板上に所定のパターンで形成し、外部磁界の作用により該強磁性薄膜層の磁気抵抗が変化することを利用して、回転体等の変位検出を行う磁気センサ(上記(1)アより。)において、磁気センサ1は、基板2と、この基板2上に形成された磁気抵抗効果を発揮する感磁部3と、この感磁部3の表面を被覆する絶縁層4と、前記絶縁層4上に形成された電磁波シールド部材5とを含み、前記基板2の全体を被覆した被覆樹脂8とから構成される(上記(1)イより。)、磁気センサ。」

4.引用文献5について
(1)当審拒絶理由において引用された特開2007-232616号公報(以下「引用文献5」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0005】
上記課題を解決するために、本発明では、磁気抵抗素子と、磁気スケールと対向するセンサ面内に前記磁気抵抗素子が位置するように当該磁気抵抗素子を保持するホルダとを有する磁気センサ装置において、前記ホルダは導電性を有し、前記センサ面は、少なくとも前記磁気抵抗素子が位置する領域が電波シールド用導電層で覆われ、当該電波シールド用導電層は、前記ホルダに電気的に接続されていることを特徴とする。
【0006】
本発明では、磁気抵抗素子が位置する領域が電波シールド用導電層で覆われ、この電波シールド用導電層は、導電性を有するホルダに電気的に接続されているため、磁気抵抗素子に侵入しようとする外乱ノイズは、電波シールド用導電層を介してホルダに放出される。従って、本発明によれば、外乱ノイズの影響を受けずに磁気スケールからの情報を検出できるので、検出精度が高い。」

「【0015】
(全体構成)
図1は、本発明を適用した磁気センサ装置を用いたエンコーダの説明図である。図2(A)、(B)、(C)は、図1に示す磁気センサ装置の底面図、要部の縦断面図、および磁気抵抗素子の周辺を拡大して示す断面図である。
【0016】
図1に示すように、本形態における磁気センサ装置1を磁気式リニアエンコーダに用いた場合には、磁気センサ装置1の底面(センサ面)に対して、可動部材(図示せず)に固定された磁気スケール3を対向させる。磁気スケール3には、例えば、長手方向(移動方向)に沿ってN極とS極とが交互に配列されている。従って、可動部材が磁気スケール3とともに磁気スケール3の長手方向に移動した際の磁気センサ装置1からの出力信号を検出すれば、可動部材の位置や移動速度などを検出することができる。
【0017】
磁気センサ装置1は、略直方体形状のアルミニウムダイカスト品からなるホルダ6と、このホルダ6の開口を覆う矩形のカバー68と、ホルダ6から延びたケーブル7とを備えている。ホルダ6にはその側面にケーブル挿通穴69が形成されており、このケーブル挿通穴69からケーブル7が引き出されている。
【0018】
図2(A)、(B)、(C)に示すように、ホルダ6には、磁気スケール3と対向する底面に、段差を介してホルダ6の底面から突出した平坦面からなるセンサ面60が形成されている。このセンサ面60には開口部65が形成されており、開口部65に対して、シリコン基板やセラミックグレース基板などの剛性基板10上に形成された磁気抵抗素子25が配置される。」

「【0020】
図2(B)、(C)および図3(A)、(B)において、本形態の磁気センサ装置1では、剛性基板10の一方側の面からなる主面に、磁気抵抗パターンにより形成された磁気抵抗素子25が形成されている。ここで、磁気抵抗素子25は、剛性基板10における走査方向(図1に示す磁気スケール3の長手方向)の略中央領域に形成されている。また、剛性基板10の主面には、磁気抵抗素子25を走査方向の両側から挟む両端部のうち、一方側端部11には、磁気抵抗パターンの一方端が接続された複数の端子を備えた第1の端子部21が形成され、他方側端部12には、磁気抵抗パターンの他方端が接続された複数の端子を備えた第2の端子部22が形成されている。磁気抵抗パターンは、剛性基板10の主面に半導体プロセスにより形成された強磁性体NiFe等の磁性体膜からなり、ホイートストン・ブリッジなどを構成している。端子は、磁気抵抗パターンと同時形成された導電膜などからなる。
【0021】
このように構成した剛性基板10に対しては、その一方側端部11に第1の可撓性基板31が接続され、この第1の可撓性基板31においてベースフィルム36上に形成された導電パターン37(信号線)の端部は第1の端子部21にハンダ接合、合金接合、異方性導電膜などを用いた接合などの方法で接続されている。また、剛性基板10において、その他方側端部12には第2の可撓性基板32が接続され、この第2の可撓性基板32においてベースフィルム36上に形成された導電パターン37(信号線)の端部は第2の端子部22にハンダ接合、合金接合、異方性導電膜などを用いた接合などの方法で接続されている。ここで、第1の可撓性基板31および第2の可撓性基板32においてベースフィルム36上に形成された導電パターン37のうち、第1の端子部21および第2の端子部22に接合される部分にはSn-Cu系のメッキなどが施されている。」

「【0024】
このように構成した磁気センサ装置1において、磁気抵抗素子25は、表面が絶縁樹脂層40、導電性粘着材層81、非磁性の金属層82、および樹脂保護層83で覆われ、かつ、金属層82は、導電性粘着材層81を介してホルダ6に接着固定されている。従って、金属層82は、導電性粘着材層81を介してホルダ6に電気的に接続され、かかる金属層82は、磁気抵抗素子25の表面を覆う電波シールド用導電層として機能する。
【0025】
ここで、樹脂保護層83、金属層82、および導電性粘着材層81は、アルミニウム箔や銅箔などからなる金属層82の両面に樹脂保護層83および導電性粘着材層81が各々、積層されたフィルム80を、導電性粘着材層81を介してホルダ6に接着固定したものである。また、樹脂保護層83、金属層82、および導電性粘着材層81は、PETなどのフィルム基材からなる樹脂保護層83の表面に、アルミニウム膜や銅膜などからなる金属層82、および導電性粘着材層81を積層したフィルム80を、導電性粘着材層81を介してホルダ6に接着固定したものである。導電性粘着材層81としては、各種粘着材にカーボン粒子、アルミニウム粒子、銀粒子、銅粒子などを分散させたものである。かかるフィルム80の厚さは約50μmであり、極めて薄い。それ故、磁気抵抗素子25と磁気スケール3とのギャップを300μm以下にまで狭めることができる。また、樹脂保護層83は、金属層82を保護するという観点からすればあった方がよいが、金属層82を構成する金属の種類や使用形態によっては樹脂保護層83を省略してもよい。
【0026】
このような構成の磁気センサ装置1の製造方法を、図2(A)、(B)、(C)および図3(A)、(B)、(C)を参照して説明しながら、本形態の磁気センサ装置1の構成をさらに詳述する。
【0027】
本形態では、まず、半導体プロセスにより剛性基板10の主面に対して磁気抵抗素子25、第1の端子部21、および第2の端子部22を形成した後、剛性基板10の一方側端部11に第1の可撓性基板31を接続し、剛性基板10の他方側端部12に第2の可撓性基板32を接続する。
【0028】
次に、剛性基板10の主面と第1の可撓性基板31との間、および剛性基板10の主面と第2の可撓性基板32との間には、可撓性基板30において導電パターンが形成されていない部分、および剛性基板10において端子が形成されていない部分に起因して隙間38a、38bが発生しているので、かかる隙間38a、38bに対しては、エポキシ樹脂などの封止樹脂41を充填する。なお、剛性基板10に対して第1の可撓性基板31および第2の可撓性基板32の接合に異方性導電膜を用いた場合には、その樹脂部分で隙間を埋めることができるので、隙間に対する樹脂の充填を別途、行う必要はない。
【0029】
次に、可撓性基板30を図3(A)に一点鎖線で示す谷折部分、および二点鎖線で示す山折部分に沿って折り曲げた後、剛性基板10の主面を外側(下向き)にして、可撓性基板30および剛性基板10をホルダ6内の底部に配置する。その際、第1の可撓性基板31および第2の可撓性基板32において、剛性基板10と接続されている部分のベースフィルム36の裏面側361をホルダ6のセンサ面60と一致するように、ホルダ6内に剛性基板10、第1の可撓性基板31および第2の可撓性基板32を固定する。
【0030】
次に、図3(C)に示すように、剛性基板10の主面において、第1の可撓性基板31と第2の可撓性基板32とによって挟まれた領域にエポキシ樹脂などの樹脂を充填した後、硬化させ、図3(A)に右上がりの点線で示すように、磁気抵抗素子25を覆う絶縁樹脂層40を形成する。その際、ホルダ6の開口部65において、第1の可撓性基板31および第2の可撓性基板32と開口部65との間の隙間にも樹脂を充填してもよい。以上の工程により、磁気センサ装置1において、ホルダ6への剛性基板10の固定が完了する。
【0031】
次に、図2(C)に示すように、樹脂保護層83、金属層82、および導電性粘着材層81がこの順に形成されたフィルム80を、導電性粘着材層81をセンサ面60に向けて貼る。
【0032】
このようにして本形態では、磁気抵抗素子25の表面を絶縁樹脂層40、導電性粘着材層81、金属層82、および樹脂保護層83で覆い、かつ、金属層82は、導電性粘着材層81を介してホルダ6に接着固定する。従って、金属層82は、導電性粘着材層81を介してホルダ6に電気的に接続される。以上の工程により、磁気センサ装置1において、金属層82からなる電波シールド用導電層によって磁気抵抗素子25の表面を覆うことができる。
【0033】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の磁気センサ装置1では、センサ面60において、少なくとも磁気抵抗素子25が位置する領域が非磁性の金属層82(電波シールド用導電層)で覆われ、この金属層82は、導電性を有するホルダ6に電気的に接続されている。このため、磁気抵抗素子25に侵入しようとする外乱ノイズは、金属層82を介してホルダ6に放出される。従って、外乱ノイズは、磁気抵抗素子25に届かないため、外乱ノイズの影響を受けずに磁気スケール3からの情報を検出でき、検出精度が高い。
【0034】
また、本形態では、剛性基板10の一方側端部11および他方側端部22の各々に第1の端子部21と第2の端子部22とを形成し、剛性基板10の一方側端部11に第1の可撓性基板31を接続し、他方側端部22に第2の可撓性基板32を接続している。このため、磁気抵抗素子25の両側は略同一の構成であるため、第1の可撓性基板31および第2の可撓性基板32において剛性基板10に接続されている箇所のベースフィルム36の裏面側361をホルダ6のセンサ面60と一致するように剛性基板10の姿勢を決めるだけで、磁気抵抗素子25をセンサ面60に平行に配置することができる。それ故、ホルダ6の底面を磁気スケール3に対向配置した際、磁気抵抗素子25と磁気スケール3とを平行、かつ、近接した状態に配置できるので、感度を向上することができる。
【0035】
ここで、本形態の磁気センサ装置1は、磁気スケール3での一定方向の磁界の強弱変化を検出して位置検出するエンコーダ、および略飽和感度以上の磁界感度で回転磁界の方向を検出するタイプのエンコーダのいずれにも適用することができる。但し、回転磁界の方向を検出するタイプのエンコーダでは、略飽和感度以上の磁界感度を必要とするため、磁気スケール3と磁気センサ装置1のセンサ面60との間隔を狭めて検出感度を高める必要があることから、本形態の磁気センサ装置1は、回転磁界の方向を検出するタイプのエンコーダを構成するのに適している。
【0036】
また、本形態では、磁気抵抗素子25の表面を第1の可撓性基板31と第2の可撓性基板32との間に塗布した絶縁樹脂層40で覆ったため、磁気抵抗素子25の耐湿性能などを向上することができる。」

(2)したがって、引用文献5には次の技術的事項(以下「引用文献5に記載された技術的事項」という。)が記載されていると認められる。
「磁気抵抗素子と、磁気スケールと対向するセンサ面内に前記磁気抵抗素子が位置するように当該磁気抵抗素子を保持するホルダとを有する磁気センサ装置(【0005】より。)において、
ホルダ6には、磁気スケール3と対向する底面に、段差を介してホルダ6の底面から突出した平坦面からなるセンサ面60が形成されており、このセンサ面60には開口部65が形成され、開口部65に対して、剛性基板10上に形成された磁気抵抗素子25が配置され(【0018】より。)、
剛性基板10の一方側の面からなる主面における走査方向の略中央領域に、磁気抵抗パターンにより形成された磁気抵抗素子25が形成され、磁気抵抗素子25を走査方向の両側から挟む両端部のうち、一方側端部11には、磁気抵抗パターンの一方端が接続された複数の端子を備えた第1の端子部21が形成され、他方側端部12には、磁気抵抗パターンの他方端が接続された複数の端子を備えた第2の端子部22が形成され(【0020】より。)、
剛性基板10に対しては、その一方側端部11と他方側端部12に第1の可撓性基板31と第2の可撓性基板32が接続され、この第1の可撓性基板31と第2の可撓性基板32においてベースフィルム36上に形成された導電パターン37(信号線)の端部は第1の端子部21と第2の端子部22に接続され(【0021】より。)、
剛性基板10の主面に対して磁気抵抗素子25、第1の端子部21、および第2の端子部22を形成した後、剛性基板10の一方側端部11に第1の可撓性基板31を接続し、剛性基板10の他方側端部12に第2の可撓性基板32を接続し(【0027】より。)、剛性基板10の主面を外側(下向き)にして、可撓性基板30および剛性基板10をホルダ6内の底部に配置する際、第1の可撓性基板31および第2の可撓性基板32において、剛性基板10と接続されている部分のベースフィルム36の裏面側361をホルダ6のセンサ面60と一致するように、ホルダ6内に剛性基板10、第1の可撓性基板31および第2の可撓性基板32を固定し(【0029】より。)、剛性基板10の主面において、第1の可撓性基板31と第2の可撓性基板32とによって挟まれた領域にエポキシ樹脂などの樹脂を充填した後、硬化させ、磁気抵抗素子25を覆う絶縁樹脂層40を形成し(【0030】より。)、金属層82および導電性粘着材層81がこの順に形成されたフィルム80を、導電性粘着材層81をセンサ面60に向けて貼り(【0031】より。)、
磁気抵抗素子25は、表面が絶縁樹脂層40、導電性粘着材層81、非磁性の金属層82で覆われ、金属層82は、導電性粘着材層81を介してホルダ6に接着固定されており、金属層82は、磁気抵抗素子25の表面を覆う電波シールド用導電層として機能し(【0024】より。)、
磁気抵抗素子25の表面を絶縁樹脂層40で覆ったため、磁気抵抗素子25の耐湿性能などを向上することができる(【0036】より。)、磁気センサ装置。」

5.引用文献6について
(1)本件補正により本願発明1に導入された、本件補正前の請求項4及び5に記載されていた発明特定事項に関して、原査定では、上記引用文献4と、特開2006-84410号公報とが引用されたところ、この特開2006-84410号公報(以下「引用文献6」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0037】
図3、図4(a)、(b)、および図5(a)、(b)において、本形態の磁気センサ装置1は、磁気式リニアエンコーダであり、上記形態に係る磁気抵抗素子10によって底面に感磁面50が形成されたヘッド5と、このヘッド5の感磁面50に対向する磁気スケール3とを有している。磁気スケール3には、A相、B相、Z相などの着磁が施されており、長さ方向においてN極とS極が交互に配列されている。このような磁気センサ装置1では、移動テーブルなどの可動体の側に磁気スケール3を直線的に配置する一方、磁気スケール3に対向するようにヘッド5を配置しておき、ヘッド5からの出力信号に基づいて、移動テーブルの移動位置や移動速度などを検出する。
【0038】
ヘッド5は、略直方体形状の枡状のアルミニウムダイカスト品からなるセンサホルダ6と、このセンサホルダ6の右側開口を覆う矩形のカバー61と、センサホルダ6内から引き出されたケーブル7とを備えている。センサホルダ6には、その背面にケーブル挿入穴67が形成され、正面にもケーブル挿入穴67として利用可能な穴が形成されている。このため、センサホルダ6のいずれの側からケーブル7を引き出す場合でも、共通のセンサホルダ6を用いることができる。
【0039】
センサホルダ6において、磁気スケール3と対向する底面55には、開口57が形成されており、この開口57に磁気抵抗素子10を配置することにより感磁部50が構成される。また、センサホルダ6の底面55では、感磁面50が形成されている底面55の中央領域がその周囲よりも0.2mm?1.0mmだけ突き出た平坦な基準面56になっており、この基準面56は、底面55全体の面積の約1/2倍程度である。ここで、磁気抵抗素子10の外側の面(感磁面50)は、センサホルダ6の基準面56と同一の平面上に位置しており、基準面56は、底面55での感磁面50の高さ位置を示している。
【0040】
このようなセンサホルダ6内に対しては、図6(a)に示すように、一対の可撓性基板16、17が圧着などの方法で接続された磁気抵抗素子10が配置される。磁気抵抗素子10は、図2を参照して説明したように、セラミックグレーズ基板からなる第1の基板上にABZ相磁気抵抗パターンが形成された第1の磁気抵抗素子基板11と、透明なガラス基板からなる第2の基板上にABZ相磁気抵抗パターンが形成された第2の磁気抵抗素子基板12とを互いの抵抗パターン形成面を対向させ、かつ、面方向にずらした状態でUV硬化接着剤によって貼り合せたものであり、各磁気抵抗素子基板11、12の張り出し領域115、125に可撓性基板16、17がそれぞれ接続されている。ここで、一対の可撓性基板16、17は各々、磁気抵抗素子10からY方向(磁気スケール3が延びている方向/移動方向)に沿って反対側に向けて延びている。また、一対の可撓性基板16、17は、磁気抵抗素子10に接続した状態で、回路基板19との接続端子161、171が互いに表裏反対側を向いているが、一対の可撓性基板16、17は、図6(b)に示すように、一方の可撓性基板16が回路基板19の表面側に接続され、他方の可撓性基板17が回路基板19の裏面側に接続されている。従って、一対の可撓性基板16、17では、互い同一構造の可撓性基板を表裏反対にして用いることができる。」

「【0046】
次に、図9(a)に示すように、磁気抵抗素子10の裏面側と素子支持部65との間に熱硬化性の接着剤912(第1の接着剤)を塗布した後、硬化させて、磁気抵抗素子10の裏面側を素子支持部65に第1の樹脂で固定する。この状態で、磁気抵抗素子10の外側の面(感磁面50)は、開口57で露出するとともに、センサホルダ6の基準面56と同一の平面を形成することになる。ここで、接着剤912は、ガラス等の難接着材に対して密着強度が高く、比較的硬度が高いエポキシ系などの熱硬化性接着剤であり、その硬度は、ショアD60からショアD90までの範囲にある。
【0047】
なお、本形態では、第1の接着剤として、2種類の接着剤911、912を用いたが、1種類の接着剤のみで磁気抵抗素子10をセンサホルダ6に固定してもよい。
【0048】
次に、図8(b)および図9(a)に示すように、開口57において磁気抵抗素子10の周りに接着剤92(第2の接着剤)を充填し、開口57において磁気抵抗素子10とセンサホルダ6との間に形成されていた隙間を接着剤92で埋める。その際、磁気抵抗素子10の裏面側にも接着剤92を塗布して磁気抵抗素子10の裏面側をセンサホルダ6に固定する。その結果、可撓性基板16、17と磁気抵抗素子10との実装部分が接着剤92で覆われた状態で、磁気抵抗素子10がセンサホルダ6に固定されることになる。この状態で、接着剤92の表面は、磁気抵抗素子10の感磁面50およびセンサホルダ6の基準面56と同一の平面上に位置する。ここで、接着剤92は、硬度がショアA30からショアA70までの範囲のゴム状の軟質樹脂であり、本形態では、接着剤92として、硬度が約ショアA50であるゴム状の軟質樹脂が用いられている。」

(2)したがって、引用文献6には次の技術的事項(以下「引用文献6に記載された技術的事項」という。)が記載されていると認められる。
「磁気式リニアエンコーダであり、磁気抵抗素子10によって底面に感磁面50が形成されたヘッド5と、このヘッド5の感磁面50に対向する磁気スケール3とを有している磁気センサ装置1(【0037】より。)において、
ヘッド5はセンサホルダ6を備えており(【0038】より。)、
磁気抵抗素子10は、セラミックグレーズ基板からなる第1の基板上にABZ相磁気抵抗パターンが形成された第1の磁気抵抗素子基板11と、透明なガラス基板からなる第2の基板上にABZ相磁気抵抗パターンが形成された第2の磁気抵抗素子基板12とを互いの抵抗パターン形成面を対向させ、かつ、面方向にずらした状態でUV硬化接着剤によって貼り合せたものであり、各磁気抵抗素子基板11、12の張り出し領域115、125に可撓性基板16、17がそれぞれ接続されており(【0040】より。)、
センサホルダ6において、磁気スケール3と対向する底面55には、開口57が形成されており、この開口57に磁気抵抗素子10を配置することにより感磁部50が構成され、センサホルダ6の底面55では、感磁面50が形成されている底面55の中央領域がその周囲よりも突き出た平坦な基準面56になっており、磁気抵抗素子10の外側の面(感磁面50)は、センサホルダ6の基準面56と同一の平面上に位置しており、基準面56は、底面55での感磁面50の高さ位置を示しており(【0039】より。)、
磁気抵抗素子10の外側の面(感磁面50)は、開口57で露出するとともに、センサホルダ6の基準面56と同一の平面を形成する(【0046】より。)、磁気センサ装置。」

第6 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
ア 引用発明では、「磁気ヘッド8は、MR素子によりスケール部7の磁界を検知するMRヘッドであり」、「MR素子基板13の表面にはMR素子パターン14が磁気スケール部7の長さ方向に沿って磁気スケール部7の着磁のピッチに対応したピッチで複数本並んで形成され」るから、引用発明における、「磁気スケール部7の長さ方向に沿って磁気スケール部7の着磁のピッチに対応したピッチで複数本並んで形成され」、「MRヘッドであ」る「磁気ヘッド8」が「MR素子によりスケール部7の磁界を検知する」のに寄与する、「MR素子パターン14」が形成された領域は、本願発明1の「磁気抵抗素子が形成された感磁領域」に相当する。
また、引用発明では、「MR素子パターン14の両端に電極16a、16bの薄膜パターンが接続され」、「図4中露出している電極16a、16bの下部は図5に示すようにハンダ18をつけた後、FPC(フレキシブルプリント板)9を接合する」から、引用発明における、「MR素子パターン14の両端に」「接続され」た「電極16a、16b」であって、「FPC(フレキシブルプリント板)9を接合する」「図4中露出している電極16a、16bの下部」が形成された領域は、本願発明1の「端子が形成された接続領域」に相当する。
そして、引用発明では、「MR素子基板13の表面にはMR素子パターン14が」「形成され、MR素子パターン14の両端に電極16a、16bの薄膜パターンが接続され」るから、引用発明における、「表面にはMR素子パターン14が」「形成され、MR素子パターン14の両端に電極16a、16bの薄膜パターンが接続され」る「MR素子基板13」は、本願発明1における、「一方面側に磁気抵抗素子が形成された感磁領域、および端子が形成された接続領域を備えた素子基板」に相当する。

イ 引用発明では、「MR素子パターン14の両端に電極16a、16bの薄膜パターンが接続され」、「図4中露出している電極16a、16bの下部は図5に示すようにハンダ18をつけた後、FPC(フレキシブルプリント板)9を接合する」から、上記アをふまえると、引用発明における、「図4中露出している電極16a、16bの下部」に「接合する」、「FPC(フレキシブルプリント板)9」は、本願発明1の「前記接続領域に接続されたフレキシブル配線基板」に相当する。

ウ 引用発明では、「磁気ヘッド8は、MR素子によりスケール部7の磁界を検知するMRヘッドであり、磁気スケール部7に対し摺動可能でキャリッジ1内に固定され、磁気スケール部7の磁界に応じた磁気ヘッド8の出力信号はフレキシブルプリント板9を介し導かれ」、「磁気ヘッド8のスライダ12」「の内側にはMR素子基板13が固定されて」いるから、上記ア、イをふまえると、引用発明における、「キャリッジ1内に固定され」、「スライダ12」「の内側にはMR素子基板13が固定されて」いる「磁気ヘッド8」、及び、「磁気ヘッド8の出力信号」が「導かれ」る「フレキシブルプリント板9」は、本願発明1の「一方面側に磁気抵抗素子が形成された感磁領域、および端子が形成された接続領域を備えた素子基板と、前記接続領域に接続されたフレキシブル配線基板と、を有する磁気センサ装置」に相当する。

エ 引用発明では、「MR素子パターン部14と電極16a,16bを形成した強磁性体薄膜(パーマロイ膜)17の直上にアモルファスSiNx膜15aを成膜し、その上にUVエポキシ樹脂からなるエポキシ膜15bを成膜して2層の保護膜とし」ており、引用発明における「SiNx膜15a」及び「エポキシ膜15b」からなる「保護膜」は、本願発明1における「保護シート」と、磁気抵抗素子が形成された感磁領域を保護する「保護部材」である点で共通する。

オ また、引用発明における、「MR素子パターン部14と電極16a,16b」「の直上に」「成膜」される、「SiNx膜15a」及び「エポキシ膜15b」からなる「保護膜」は、「電極16a、16bの図4中下部側のみマスキングして」、「MR素子パターン14全部と電極16a、16bを含めてMR素子基板13上の図4中上半部」に形成されるもので、(「保護膜」から)「図4中露出している電極16a、16bの下部」には「図5に示すように」「FPC(フレキシブルプリント板)9」が「接合」されるから、引用発明における「保護膜」は、「MR素子基板13」の「MR素子パターン14」と「電極16a、16b」が形成された「表面」のうち、「FPC(フレキシブルプリント板)9」が「接合」される「図4中露出している電極16a、16bの下部」を除く、「MR素子パターン14全部と電極16a、16bを含めてMR素子基板13上の図4中上半部」に成膜されている。
この、引用発明における、「保護膜」が、「MR素子基板13」の「MR素子パターン14」と「電極16a、16b」が形成された「表面」のうち、「FPC(フレキシブルプリント板)9」が「接合」される「図4中露出している電極16a、16bの下部」を除く、「MR素子パターン14全部と電極16a、16bを含めてMR素子基板13上の図4中上半部」に成膜されることは、上記ア、イ、エをふまえると、本願発明1における、「前記素子基板の前記一方面のうち、前記感磁領域を含み、前記フレキシブル配線基板の端部から露出した領域にのみ、粘着材層を介して保護シートが貼付されて」いることと、「前記素子基板の前記一方面のうち、前記感磁領域を含み、前記フレキシブル配線基板の端部から露出した領域にのみ、保護部材が形成されて」いる点で共通するといえる。

カ 引用発明では、「磁気ヘッド8は、」「キャリッジ1内に固定され」、「磁気ヘッド8のスライダ12」「の内側にはMR素子基板13が固定されており」、引用発明における、「内側に」「MR素子基板13が固定されて」いる「磁気ヘッド8のスライダ12」は、上記アをふまえると、本願発明1の「前記素子基板を内側に保持する筐体」に相当する。

したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「一方面側に磁気抵抗素子が形成された感磁領域、および端子が形成された接続領域を備えた素子基板と、前記接続領域に接続されたフレキシブル配線基板と、を有する磁気センサ装置において、
前記素子基板の前記一方面のうち、前記感磁領域を含み、前記フレキシブル配線基板の端部から露出した領域にのみ、保護部材が形成されており、
前記素子基板を内側に保持する筐体を有している
磁気センサ装置。」

(相違点)
(相違点1)
「前記素子基板の前記一方面のうち、前記感磁領域を含み、前記フレキシブル配線基板の端部から露出した領域」に形成される保護部材が、本願発明1では、「粘着材層を介して」「貼付され」る「保護シート」であるのに対して、引用発明では、「MR素子パターン部14と電極16a,16b」「の直上に」「スパッタ」される「SiNx膜15a」と、「SiNx膜15a上」に「スクリーン印刷」される「エポキシ膜15b」である点。

(相違点2)
本願発明1では、「前記保護シートの前記素子基板側とは反対側の面には、シールド部材が重なっており」、「当該筐体は、前記素子基板から離間した位置で前記シールド部材が固定されたシールド部材固定部と、前記シールド部材と重なる位置に前記保護シートの前記素子基板側とは反対側の面と同一平面内に位置する基準面と、を有している」のに対して、引用発明では、「保護膜」の「MR素子基板13」とは反対側の面(「磁気スケール部7」側の面)に、シールド部材が重なっているかどうかは不明であり、したがって、「スライダ12」におけるシールド部材の固定手法は記載されていない点。

(2)相違点についての判断
事案に鑑みて、上記相違点2について先に検討する。

ア 引用文献4に記載された技術的事項では、「感磁部3の表面を被覆する絶縁層4」の、「磁気抵抗効果を発揮する感磁部3」が「上に形成された」「基板2」とは反対側の面に、「電磁波シールド部材5」が重なっているといえる。
しかしながら、引用文献4に記載された技術的事項における「電磁波シールド部材5」は、「被覆樹脂8」に「被覆」されており、「電磁波シールド部材を被覆樹脂8の外側に形成する構成ではない」(第3頁左上欄第4-5行)から、引用文献4に記載された技術的事項における「磁気センサ1」は、「電磁波シールド部材5」が固定される筐体の構成を有していない。
したがって、引用文献4に記載された技術的事項では、「電磁波シールド部材5」が固定される筐体の構成を有していないから、当然に、引用文献4には、相違点2に係る本願発明1の「当該筐体は、前記素子基板から離間した位置で前記シールド部材が固定されたシールド部材固定部と、前記シールド部材と重なる位置に前記保護シートの前記素子基板側とは反対側の面と同一平面内に位置する基準面と、を有している」点は記載されていない。

イ 引用文献5に記載された技術的事項では、「磁気抵抗素子25」の「表面」を「覆」い、「磁気抵抗素子25の耐湿性能などを向上」させる「絶縁樹脂層40」の、「一方側の面からなる主面に」「磁気抵抗素子25が形成され」る「剛性基板10」とは反対側の面に、「導電性粘着材層81」及び「磁気抵抗素子25の表面を覆う電波シールド用導電層として機能」する「金属層82」が重なっているといえる。
また、引用文献5に記載された技術的事項における「磁気センサ装置」は、「磁気スケールと対向するセンサ面内に前記磁気抵抗素子が位置するように当該磁気抵抗素子を保持するホルダ」を有し、「金属層82は、導電性粘着材層81を介してホルダ6に接着固定されて」いる。

(ア)しかしながら、引用文献5に記載された技術的事項においては、「金属層82は、導電性粘着材層81を介してホルダ6に接着固定されて」いるのであって、「ホルダ6」が、「金属層82」及び「導電性粘着材層81」を固定する固定部を有しているわけではない。

(イ)また、引用文献5に記載された技術的事項における「ホルダ6のセンサ面60」は、「剛性基板10と接続されている部分のベースフィルム36の裏面側361」「と一致する」面であって、図2及び図3からは、「絶縁樹脂層40」の「剛性基板10」とは反対側の面とも一致しているように見受けられる。
ここで、引用文献5に記載された技術的事項においては、「第1の可撓性基板31」及び「第2の可撓性基板32」(フレキシブル配線基板)と、「絶縁樹脂層40」(保護部材)とを形成するにあたり、「剛性基板10の主面に対して磁気抵抗素子25、第1の端子部21、および第2の端子部22を形成した後、剛性基板10の一方側端部11に第1の可撓性基板31を接続し、剛性基板10の他方側端部12に第2の可撓性基板32を接続し、剛性基板10の主面を外側(下向き)にして、可撓性基板30および剛性基板10をホルダ6内の底部に配置する際、第1の可撓性基板31および第2の可撓性基板32において、剛性基板10と接続されている部分のベースフィルム36の裏面側361をホルダ6のセンサ面60と一致するように、ホルダ6内に剛性基板10、第1の可撓性基板31および第2の可撓性基板32を固定し、剛性基板10の主面において、第1の可撓性基板31と第2の可撓性基板32とによって挟まれた領域にエポキシ樹脂などの樹脂を充填した後、硬化させ、磁気抵抗素子25を覆う絶縁樹脂層40を形成」する、すなわち、「剛性基板10」(素子基板)の、「一方側端部11」及び「他方側端部12」(接続領域)に、「第1の可撓性基板31」及び「第2の可撓性基板32」(フレキシブル配線基板)を接続してから、「絶縁樹脂層40」(保護部材)を形成するとされている。
一方で、引用発明では、「FPC(フレキシブルプリント板)9」(フレキシブル配線基板)と、「SiNx膜15a」及び「エポキシ膜15b」からなる「保護膜」(保護部材)とを形成するにあたり、「電極16a、16bの図4中下部側のみマスキングして、SiNx膜15aをスパッタし、SiNx膜15aはMR素子パターン14全部と電極16a、16bを含めてMR素子基板13上の図4中上半部全面を覆う大きさに形成され、UVエポキシ樹脂からなるエポキシ膜15bをスクリーン印刷で成膜し、エポキシ膜15bは、SiNx膜15a上からMR素子パターン14全体と電極16a、16bの上部は覆うが、MR素子基板13の外縁までは覆わない大きさとし、エポキシ膜15bの全周縁がSiNx膜15aの全周縁の内側に位置するようにSiNx膜15aの成膜領域の内側にSiNx膜15aより小さく形成し、図4中露出している電極16a、16bの下部は図5に示すようにハンダ18をつけた後、FPC(フレキシブルプリント板)9を接合する」、すなわち、「SiNx膜15a」及び「エポキシ膜15b」からなる「保護膜」(保護部材)を形成してから、「MR素子基板13」(素子基板)の、(「保護膜」から)「図4中露出している電極16a、16bの下部」(接続領域)に、「FPC(フレキシブルプリント板)9」(フレキシブル配線基板)を接続するとされている。
したがって、引用文献5に記載された技術的事項においては、引用発明と、フレキシブル配線基板と保護部材とを形成する順序が異なっているところ、上記の「絶縁樹脂層40」の「剛性基板10」とは反対側の面が、(「金属層82」が「導電性粘着材層81を介して」「接着固定され」る)「ホルダ6のセンサ面60」と一致する、という事項には、「第1の可撓性基板31」及び「第2の可撓性基板32」(フレキシブル配線基板)を接続し、(「剛性基板10と接続されている部分のベースフィルム36の裏面側361をホルダ6のセンサ面60と一致するように、ホルダ6内に剛性基板10、第1の可撓性基板31および第2の可撓性基板32を固定し」てから)「絶縁樹脂層40」(保護部材)を形成する、という順序が必須であり、逆に、引用発明においては、上記(1)オで検討した、「保護膜」が、「MR素子基板13」の「MR素子パターン14」と「電極16a、16b」が形成された「表面」のうち、「FPC(フレキシブルプリント板)9」が「接合」される「図4中露出している電極16a、16bの下部」を除く、「MR素子パターン14全部と電極16a、16bを含めてMR素子基板13上の図4中上半部」に成膜される、という事項には、「電極16a、16bの図4中下部側のみマスキングして」「保護膜」(保護部材)を形成してから、(「保護膜」から)「図4中露出している電極16a、16bの下部」に「FPC(フレキシブルプリント板)9」(フレキシブル配線基板)を接続する、という順序が必須である。
すなわち、引用発明と引用文献5に記載された技術的事項とは、フレキシブル配線基板と保護部材とを形成するにあたり、互いに相容れない形成順序を必須の要件としている。
よって、引用発明において、「保護膜」が、「MR素子基板13」の「MR素子パターン14」と「電極16a、16b」が形成された「表面」のうち、「FPC(フレキシブルプリント板)9」が「接合」される「図4中露出している電極16a、16bの下部」を除く、「MR素子パターン14全部と電極16a、16bを含めてMR素子基板13上の図4中上半部」に成膜される、という構成、そのためには必須の、「電極16a、16bの図4中下部側のみマスキングして」「保護膜」(保護部材)を形成してから、(「保護膜」から)「図4中露出している電極16a、16bの下部」に「FPC(フレキシブルプリント板)9」(フレキシブル配線基板)を接続する、という構成はそのままに、引用文献5に記載された技術的事項における、「ホルダ6のセンサ面60」が、「絶縁樹脂層40」の「剛性基板10」とは反対側の面と一致し、「絶縁樹脂層40」の「剛性基板10」とは反対側の面と「ホルダ6のセンサ面60」とに、「導電性粘着材層81」及び「磁気抵抗素子25の表面を覆う電波シールド用導電層として機能」する「金属層82」を「接着固定」する、という構成を採用することはできない。

(ウ)したがって、上記(ア)に記載したように、引用発明において引用文献5に記載された技術的事項を適用しても、相違点2に係る本願発明1の「当該筐体は、前記素子基板から離間した位置で前記シールド部材が固定されたシールド部材固定部」「を有している」という構成に至るとまではいえない。
また、相違点2に係る本願発明1の「当該筐体は、」「前記シールド部材と重なる位置に前記保護シートの前記素子基板側とは反対側の面と同一平面内に位置する基準面」「を有している」という構成に関しては、上記(イ)に記載したように、引用発明において引用文献5に記載された技術的事項を適用することはできない。

ウ 引用文献6に記載された技術的事項では、「センサホルダ6の底面55」に「基準面56」を設けているが、引用文献6に記載された技術的事項は、「磁気抵抗素子10の外側の面(感磁面50)は、開口57で露出するとともに、センサホルダ6の基準面56と同一の平面を形成する」というものであって、引用文献6に記載された技術的事項における「磁気センサ装置1」は、保護部材もシールド部材も有していない。
したがって、引用文献6に記載された技術的事項では、保護部材及びシールド部材の構成を有していないから、引用文献6には、相違点2に係る本願発明1の構成は記載されていない。

エ 相違点2に係る本願発明1の構成は、その他の引用文献2、3にも記載されておらず、また、本願出願時点において周知技術であるともいえない。

(3)したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明及び引用文献2-6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2.本願発明2-4について
本願発明2-4も、相違点2に係る本願発明1の構成と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第7 原査定についての判断
上記の相違点2に係る本願発明1の構成は、上記のように引用文献4、6には記載されておらず、また、原査定において引用されたその他の文献にも記載されていないから、本願発明1-4は、当業者であっても、原査定において引用された文献に基づいて容易に発明できたものとはいえない。したがって、原査定の理由を維持することはできない。

第8 当審拒絶理由についての判断
1.特許法第36条第6項第2号について
本件補正により、請求項1の記載において「前記素子基板の前記一方面のうち、前記感磁領域を含み、前記フレキシブル配線基板の端部から露出した領域にのみ、粘着材層を介して保護シートが貼付されており」と特定され、請求項2の記載において「前記保護シートは、前記素子基板の外縁、および前記フレキシブル配線基板の端部から離間した領域にのみ貼付されている」と特定されたから、特許法第36条第6項第2号に係る当審拒絶理由は解消した。

2.特許法第29条第2項について
本件補正により、本願発明1-4が、特許法第29条第2項に係る拒絶理由の対象でなかった、本件補正前の請求項5に係る発明の発明特定事項を全て含むものとなったから、特許法第29条第2項に係る当審拒絶理由は解消した。

第9 むすび
以上のとおり、原査定の理由、当審拒絶理由によって、本願を拒絶することはできない。
他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2018-12-11 
出願番号 特願2012-254557(P2012-254557)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G01D)
P 1 8・ 537- WY (G01D)
最終処分 成立  
前審関与審査官 吉田 久  
特許庁審判長 中塚 直樹
特許庁審判官 中村 説志
須原 宏光
発明の名称 磁気センサ装置  
代理人 河合 徹  
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