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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1346704
審判番号 不服2018-351  
総通号数 229 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-01-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-01-11 
確定日 2018-11-29 
事件の表示 特願2013-141719号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成27年1月22日出願公開、特開2015-13006号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年7月5日の出願であって、平成29年3月3日付けで拒絶の理由が通知され、同年5月9日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年10月6日付けで拒絶査定がなされ、それに対して、平成30年1月11日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成29年5月9日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである(A?Gについては発明を分説するため当審で付した。)。

「A 遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
B 画像が表示される第1の表示装置および第2の表示装置と、
C 前記第1の表示装置に対する遊技者の操作を検出する操作検出手段と、
D 前記操作検出手段により遊技者の操作が検出されたときに、前記第1の表示装置および前記第2の表示装置のうち、いずれか一方の表示装置における画像の変化に応じて、他方の表示装置において画像が変化する特定演出を実行する特定演出実行手段と、
E 動作可能な可動部材とを備え、
F 前記特定演出実行手段は、前記有利状態に制御されるか否かに応じて前記特定演出の演出態様を異ならせ、
G 前記可動部材は、動作することにより前記第2の表示装置を遮蔽可能である、
遊技機。」

第3 原査定の拒絶の理由
拒絶査定の理由である、平成29年3月3日付け拒絶理由通知の理由は、概略、次のとおりのものである。

●理由2(進歩性)
本願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内において頒布された以下の引用文献に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献:特開2012-147919号公報(以下、「引用文献」という。)

第4 引用文献の記載及び引用発明
引用文献には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は当審により付加した。)。

「【0018】
本実施形態の遊技機10は前面構成枠12を備え、該前面構成枠12は本体枠(外枠)11にヒンジ13を介して開閉回動可能に組み付けられている。遊技盤30(図3参照)は前面構成枠12の表側に形成された収納部(図示省略)に収納されている。また、前面構成枠(内枠)12には、遊技盤30の前面を覆うカバーガラス(透明部材)14を備えたガラス枠15が取り付けられている。」

「【0025】
表示装置41は、例えば、LCD(液晶表示器)、CRT(ブラウン管)等の表示画面を有する装置で構成されている。表示画面の画像を表示可能な領域(表示領域)には、複数の識別情報(特別図柄)や特図変動表示ゲームを演出するキャラクタや演出効果を高める背景画像等が表示される。表示装置41の表示画面においては、識別情報として割り当てられた複数の特別図柄が変動表示(可変表示)されて、特図変動表示ゲームに対応した飾り特図変動表示ゲームが行われる。また、表示画面には遊技の進行に基づく演出のための画像(例えば、大当たり表示画像、ファンファーレ表示画像、エンディング表示画像等)が表示される。」

「【0081】
枠表示ユニット28は、枠表示装置28aと、当該枠表示装置28aを振動させることが可能な振動機構部28bと、当該枠表示装置28aを回動させる駆動源としてのモータ28cと、当該枠表示装置28aの回動角度等を検出する3軸加速度センサ28dと、遊技者が当該枠表示装置28aを接触操作したときの接触位置や接触強度を検出するタッチセンサ28eと、を備えている。」

「【0088】
そして、遊技制御装置100のCPU111Aは、特図変動表示ゲームの結果が大当りの場合は、特図1表示器51や特図2表示器52に特別結果態様を表示するとともに、特別遊技状態を発生させる処理を行う。
例えば、この特図変動表示ゲームの結果として、特図1表示器51もしくは特図2表示器52の表示態様が特別結果態様(たとえば「7」)となった場合には、大当りとなって特別遊技状態(いわゆる、大当り状態)となる。
【0089】
特別遊技状態を発生させる処理においては、CPU111Aは、例えば、大入賞口ソレノイド38bにより特別変動入賞装置38の開閉扉38cを開放させ、大入賞口内への遊技球の流入を可能とする制御を行う。
そして、特図変動表示ゲームの結果が大当りの場合は、大入賞口に所定個数(例えば、10個)の遊技球が入賞するか、大入賞口の開放から所定時間(例えば、25秒又は0.5秒)が経過するかの何れかの条件が達成されるまで大入賞口を開放することを1ラウンドとし、これを所定ラウンド回数(例えば、15回(第1特別遊技状態)又は2回(第2特別遊技状態))継続する(繰り返す)制御(サイクル遊技)を行う。」

「【0202】
図46(a)は、特図変動表示ゲームが開始され、左、中、右の何れの図柄も変動中の状態を示す図である。このとき、枠表示装置28aには演出キャラクタ(例えば、“ヒト”)Cを表示させる。
そして、図46(b)のように、遊技者が指等を枠表示装置28aの演出キャラクタCが表示された領域に接触させた状態でその指等を表示装置41側へと左横方向にスライドさせる。なお、演出キャラクタCが枠表示装置28aに表示された際に遊技者に対して指等の当該左横方向へのスライド動作を促す表示(例えば、左向の矢印表示)を行うようにしても良い。
【0203】
次いで、図46(c)に示すように、遊技者による指等のスライド動作後に枠装飾装置18に配設された棒状発光部材18aが発光しない場合は、演出キャラクタCが枠表示装置28aから表示装置41へ移動して、表示装置41の右下部に表示されることとなる。
なお、演出キャラクタCが枠表示装置28aから表示装置41への移動に成功する演出表示は、例えば、当該特図変動表示ゲームにてリーチが発生することを条件に行うようにする。
一方、図46(d)に示すように、遊技者による指等のスライド動作後に棒状発光部材18aが発光した場合は、演出キャラクタCは枠表示装置28aから表示装置41への移動を阻まれ、枠表示装置28aにて転倒する演出表示がなされる。
ここで、演出制御装置300は、枠表示装置28aにキャラクタ画像を表示し、その状態で当該枠表示装置28aの表示画面が指で表示装置41が配設された方に向かってなぞられると、当該キャラクタ画像を当該表示装置41に表示したこととなる。
これにより、枠表示装置28aの表示内容と表示装置41の表示内容とに関連性を持たせることが可能となり、遊技の興趣を向上させることができる。
【0204】
なお、図46(e)に示すように、特図変動表示ゲームが開始され、枠表示装置28aに演出キャラクタを表示するとき、複数の演出キャラクタC1?C3を表示するようにしても良い。かかる場合、遊技者は所望の演出キャラクタを選択し、当該所望の演出キャラクタが表示された領域に指等を接触させた状態でその指等を表示装置41側へと左横方向にスライドさせるようにする。
【0205】
次に、図46(c)のように演出キャラクタCが枠表示装置28aから表示装置41への移動に成功する演出表示が行われたときの続きの演出表示の一例について説明する。
【0206】
図47(a)は、特図変動表示ゲームにてリーチが発生した状態(左図柄及び右図柄が「7」図柄で停止し、中図柄が変動中の状態)を示す図である。当該リーチの発生によって、表示装置41に表示された演出キャラクタCが変動中である中図柄を止める演出表示がなされる。
そして、図47(b)に示すように、当該特図変動表示ゲームの結果が大当りの場合には、演出キャラクタCが左図柄及び右図柄と同じ図柄である「7」図柄で中図柄を停止させる演出表示を行う。
続けて、図47(c)に示すように、中図柄が「7」図柄で停止すると、演出キャラクタCが枠表示装置28aの方へ戻る演出表示がなされた後、図47(d)に示すように、演出キャラクタCが表示装置41から枠表示装置28aへ移動して、枠表示装置28aでは演出キャラクタCが当該大当りの発生を喜ぶ演出表示(例えば、演出キャラクタCが踊る演出表示)がなされることとなる。
【0207】
一方、図47(e)に示すように、当該特図変動表示ゲームの結果がはずれの場合には、演出キャラクタCが左図柄及び右図柄と異なる図柄である「6」図柄で中図柄を停止させる演出表示を行う。
続けて、図47(f)に示すように、中図柄が「6」図柄で停止すると、演出キャラクタCが枠表示装置28aの方へ戻る演出表示がなされた後、図47(g)に示すように、演出キャラクタCが表示装置41から枠表示装置28aへ移動して、枠表示装置28aでは演出キャラクタCが当該はずれの発生に落胆する演出表示(例えば、演出キャラクタCが寝込んでしまう演出表示)がなされることとなる。」

上記記載事項を総合すれば、引用文献には以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる(a?dについては本願発明のA?Dに対応させて付与した。)。

「a 特図変動表示ゲームの結果として、特図1表示器51もしくは特図2表示器52の表示態様が特別結果態様(たとえば「7」)となった場合には、大当りとなって特別遊技状態(いわゆる、大当り状態)となり(【0088】)、大入賞口ソレノイド38bにより特別変動入賞装置38の開閉扉38cを開放させ、大入賞口内への遊技球の流入を可能とする制御を行う(【0089】)遊技機10(【0018】)であって、
b 演出キャラクタが表示される枠表示装置28a(【0204】)および複数の識別情報(特別図柄)や特図変動表示ゲームを演出するキャラクタや演出効果を高める背景画像等が表示される表示装置41と(【0025】)、
c 前記枠表示装置28aを遊技者が接触操作したときの接触位置や接触強度を検出するタッチセンサ28eと(【0081】)を備え、
d1 遊技者が指等を前記枠表示装置28aの演出キャラクタCが表示された領域に接触させた状態でその指等を前記表示装置41側へと左横方向にスライドさせると(【0202】)、前記特図変動表示ゲームにてリーチが発生することを条件に、演出キャラクタCが前記枠表示装置28aから前記表示装置41へ移動して、前記表示装置41の右下部に表示され(【0203】)、
d2 前記特図変動表示ゲームの結果が大当りの場合には、演出キャラクタCが左図柄及び右図柄と同じ図柄である「7」図柄で中図柄を停止させる演出表示を行い、続けて、中図柄が「7」図柄で停止すると、演出キャラクタCが前記枠表示装置28aの方へ戻る演出表示がなされた後、演出キャラクタCが前記表示装置41から前記枠表示装置28aへ移動して、前記枠表示装置28aでは演出キャラクタCが当該大当りの発生を喜ぶ演出表示(例えば、演出キャラクタCが踊る演出表示)がなされ(【0206】)、
d3 前記特図変動表示ゲームの結果がはずれの場合には、演出キャラクタCが左図柄及び右図柄と異なる図柄である「6」図柄で中図柄を停止させる演出表示を行い、続けて、中図柄が「6」図柄で停止すると、演出キャラクタCが前記枠表示装置28aの方へ戻る演出表示がなされた後、演出キャラクタCが前記表示装置41から前記枠表示装置28aへ移動して、前記枠表示装置28aでは演出キャラクタCが当該はずれの発生に落胆する演出表示(例えば、演出キャラクタCが寝込んでしまう演出表示)がなされる(【0207】)
遊技機10。」

第5 対比
本願発明と引用発明を対比する。なお、見出し(a)?(d)は、本願発明のA?Dに対応させている。

(a)引用発明の「a 特図変動表示ゲームの結果として、特図1表示器51もしくは特図2表示器52の表示態様が特別結果態様(たとえば「7」)となった場合には、大当りとなって特別遊技状態(いわゆる、大当り状態)となり、大入賞口ソレノイド38bにより特別変動入賞装置38の開閉扉38cを開放させ、大入賞口内への遊技球の流入を可能とする制御を行う遊技機10」は、本願発明の「A 遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機」に相当する。

(b)引用発明の「b 演出キャラクタが表示される枠表示装置28aおよび複数の識別情報(特別図柄)や特図変動表示ゲームを演出するキャラクタや演出効果を高める背景画像等が表示される表示装置41」は、表示される演出キャラクタが画像であることは明らかであるから、本願発明の「B 画像が表示される第1の表示装置および第2の表示装置」に相当する。

(c)引用発明の「c 前記枠表示装置28aを遊技者が接触操作したときの接触位置や接触強度を検出するタッチセンサ28e」は、本願発明の「C 前記第1の表示装置に対する遊技者の操作を検出する操作検出手段」に相当する。

(d)引用発明において、「d1 遊技者が指等を前記枠表示装置28aの演出キャラクタCが表示された領域に接触させた状態でその指等を表示装置41側へと左横方向にスライドさせる」と、cの「タッチセンサ28e」により「前記枠表示装置28aを遊技者が接触操作した」「接触位置や接触強度」が「検出」されることは明らかである。
また、d1の「前記表示装置41の右下部に表示され」たd2の「演出キャラクタCが左図柄及び右図柄と同じ図柄である「7」図柄で中図柄を停止させる演出表示を行い、続けて、中図柄が「7」図柄で停止すると、演出キャラクタCが前記枠表示装置28aの方へ戻る演出表示がなされた後、演出キャラクタCが前記表示装置41から前記枠表示装置28aへ移動して、前記枠表示装置28aでは演出キャラクタCが当該大当りの発生を喜ぶ演出表示(例えば、演出キャラクタCが踊る演出表示)がなされ」ることは、本願発明のDの「前記第1の表示装置および前記第2の表示装置のうち、いずれか一方の表示装置における画像の変化に応じて、他方の表示装置において画像が変化する特定演出を実行する」ことに相当する。
同様に、d1の「前記表示装置41の右下部に表示され」たd3の「演出キャラクタCが左図柄及び右図柄と異なる図柄である「6」図柄で中図柄を停止させる演出表示を行い、続けて、中図柄が「6」図柄で停止すると、演出キャラクタCが前記枠表示装置28aの方へ戻る演出表示がなされた後、演出キャラクタCが前記表示装置41から前記枠表示装置28aへ移動して、前記枠表示装置28aでは演出キャラクタCが当該はずれの発生に落胆する演出表示(例えば、演出キャラクタCが寝込んでしまう演出表示)がなされる」ことは、本願発明のDの「前記第1の表示装置および前記第2の表示装置のうち、いずれか一方の表示装置における画像の変化に応じて、他方の表示装置において画像が変化する特定演出を実行する」ことに相当する。
そして、引用発明において、d1?d3の演出表示がなされるのであるから、そのための演出実行手段を有することは明らかである。
したがって、d1?d3の構成を有する引用発明は、本願発明の「D 前記操作検出手段により遊技者の操作が検出されたときに、前記第1の表示装置および前記第2の表示装置のうち、いずれか一方の表示装置における画像の変化に応じて、他方の表示装置において画像が変化する特定演出を実行する特定演出実行手段」を有するといえる。

(f)引用発明の「d2 前記特図変動表示ゲームの結果が大当りの場合に」「前記枠表示装置28aでは演出キャラクタCが当該大当りの発生を喜ぶ演出表示(例えば、演出キャラクタCが踊る演出表示)がなされ」、「d3 前記特図変動表示ゲームの結果がはずれの場合に」「前記枠表示装置28aでは演出キャラクタCが当該はずれの発生に落胆する演出表示(例えば、演出キャラクタCが寝込んでしまう演出表示)がなされる」ことは、本願発明のFの「前記有利状態に制御されるか否かに応じて前記特定演出の演出態様を異ならせ」ることに相当する。

してみると、本願発明と引用発明とは
「A 遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
B 画像が表示される第1の表示装置および第2の表示装置と、
C 前記第1の表示装置に対する遊技者の操作を検出する操作検出手段と、
D 前記操作検出手段により遊技者の操作が検出されたときに、前記第1の表示装置および前記第2の表示装置のうち、いずれか一方の表示装置における画像の変化に応じて、他方の表示装置において画像が変化する特定演出を実行する特定演出実行手段と、
F 前記特定演出実行手段は、前記有利状態に制御されるか否かに応じて前記特定演出の演出態様を異ならせ、
遊技機。」
である点で一致し、次の点で相違する。

(相違点)
本願発明は「E 動作可能な可動部材」「を備え」、「G 前記可動部材は、動作することにより前記第2の表示装置を遮蔽可能である」のに対し、引用発明ではそのようなものではない点。

第6 判断
(相違点について)
パチンコ機等の遊技機が、装飾図柄が表示される表示装置を遮蔽する可動部材を備える点は、例えば、

ア 特開2011-147581号公報(下線は当審で付した。)
「【0020】
以下、図面を用いて、本発明に係る遊技台(例えば、パチンコ機100等の弾球遊技機やスロット機等の回胴遊技機)について詳細に説明する。
[実施形態1]
<全体構成>
まず、図1を用いて、本発明の第1実施形態に係るパチンコ機100の全体構成について説明する。なお、同図はパチンコ機100を正面側(遊技者側)から見た外観斜視図である。」
「【0196】
図14(a)は、役物演出における演出可動体224の初期動作を示す図である。この図では演出装置206内に設けられた、装飾図柄表示装置208および演出可動体224(本発明の可動部材の一例に相当)が示されている。この演出可動体224は第2副制御部500のCPU504によって、駆動回路516を介して制御されている。図14(a)では、この演出可動体224が待機状態から装飾図柄表示装置208の表示画面(本発明の表示領域の一例に相当)を遮蔽していく様子が上から順に示されている。
【0197】
まず一番上の図では、装飾図柄表示装置208に対する演出可動体224の待機状態が示されている。演出可動体224は、役物演出をしない場合はこの待機位置(本発明の可動部材における所定位置に相当)で待機している。この演出可動体224は、大きく分けて2段階の動作を行う。具体的には、まず最初に一番上の図から真ん中の図にかけて示されている、前腕部224bを持ち上げる1つめの動作と、真ん中の図から一番下の図にかけて示されている、上腕部224aを持ち上げる2つめの動作を行う。これは、前腕部224bを持ち上げずに上腕部224aを持ち上げると、前腕部224bが演出装置206の枠に衝突(図中の円で示す部分を参照)してしまうため、これを回避するために上記2段階の動作を行っている。この動作によって、可動部材224は装飾図柄表示装置208の遊技者側にあって、この装飾図柄表示装置208の表示画面の一部を遮蔽する遮蔽位置に移動する。なお、真ん中の図では、前腕部224bの一部が上記表示画面の一部を遮蔽しており、また、一番下の図では、前腕部224bの全体と上腕部224aの一部が上記表示画面の一部を遮蔽している。すなわち、これらの図に示す演出可動体224の位置が本発明の遮蔽位置の一例に相当する。なお、上記2段階の動作後は、前腕部224bが上記表示領域の遊技者側で上下動を繰り返す。」

イ 特開2011-92577号公報(下線は当審で付した。)
「【0014】
以下、本発明に第1の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
(1)第1の実施形態
図1乃至図8は本発明に係る第1の実施形態を示している。
図1は、本発明に係る第1の実施形態の遊技機1を示す斜視図である。図2は、遊技機1の分解斜視図である。図3は、遊技機1及び遊技球貸出装置(CR機)20の正面図である。図4は、遊技機1の前扉体8を不透明にして示す斜視図である。図5は、図1の遊技機1の背面図である。図6は、遊技機1の斜め後方から見た斜視図である。図7は、遊技機1の右側方から見た断面の概略を示す説明図である。図8は、遊技機1及びこれと接続する機材の回路構成を示すブロック図である。」
「【0143】
以下、第1の実施形態の可動装飾部材101の動作について説明する。
図20は、本発明に係る第1の実施形態の可動装飾部材101の動作を説明する説明図であり、刀型の可動部501が完全に振り下ろされた状態を示している。また、図3において、刀型の可動部501は完全に振り上げられた状態を示している。
【0144】
遊技機1が通常の状態においては、刀型の可動部501は、長手方向が水平より若干左回りの位置にあり、前扉体8の前記遊技盤視認用透明窓61の上側にある透明収納部62に全体が収納された状態にある。この位置を可動部501の可動初期位置としている。刀型の可動部501が図3に示す位置にある場合、回転軸518に取り付けられたギア534の突起部562は、ギア検出スイッチ101cにより検出される。これにより、ランプ制御基板404は、刀型の可動部501は完全に振り上げられた状態にあることを確認している。
【0145】
主制御基板401は、大当たりやハズレの抽選を行っており、この抽選に対応したコマンドを演出制御基板402に送信している。演出制御基板402は、主制御基板401から受信したコマンドに対応したテーブルに基づいて演出内容を抽選しており、大当たりに当選した場合、比較的高い確率で可動装飾部材101を動作させるコマンドをランプ制御基板404に供給し、ハズレの場合、比較的低い確率で可動装飾部材101を動作させるコマンドをランプ制御基板404に供給する。
【0146】
ランプ制御基板404は、演出制御基板402から可動装飾部材101を動作させるコマンドを受信した場合、可動装飾部材101の複数の発光ダイオード101bを点灯させ、ステッピングモータ101aを一方の回転方向(前方から見て回転軸518を左回り)に回転制御する。可動装飾部材101は、複数の発光ダイオード101bを点灯させながら刀型の可動部501を右回りに回転させる。この場合、可動部501の透明及びハーフミラー部511及び不透明塗装部512の一部は、内側透明扉7の前記内側透明板81と前扉体8遊技盤視認用透明窓61の間の隙間601(図7参照)に挿入して移動し、透明及びハーフミラー部511の一部は、遊技球の移動する遊技領域41の手前を通過することになる。そして、図20に示す刀型の可動部501が完全に振り下ろされた状態である可動終了位置に来た場合、回転軸518に取り付けられたギア534の突起部562は、ギア検出スイッチ101dにより検出される。これにより、ランプ制御基板404は、刀型の可動部501は完全に振り下ろされた状態にあることを確認し、ステッピングモータ101aを停止させる制御を行う。この状態では、遊技領域41の手前に可動装飾部材101の透明部513aが配置して遊技領域41を移動する遊技球901を遊技者が視認できるようになる。また、画像出力装置45の表示画面の手前には、可動装飾部材101のハーフミラー部514bが来て画面中央を含む部分を遮蔽するが、装飾図柄画像902は、演出制御基板402及び画像制御基板405の制御により、画面右下側の可動装飾部材101のハーフミラー部514bに遮蔽されない部分に縮小して移動する。これにより、第1の実施形態では、可動装飾部材101により装飾図柄画像902が隠れて遊技者を不快にさせるのを防止できる。第1の実施形態では、このような位置を可動部501の可動終了位置としている。」

に記載されているように本願出願前において周知技術である。
そして、遊技の興趣向上のために、引用発明に、上記周知技術を組み合わせて相違点に係る本願発明の構成に想到することは当業者が容易になし得たものである。

(効果について)
上記相違点により本願発明が奏する効果は、引用発明及び周知技術がそれぞれ奏する作用効果を単に寄せ集めた以上の作用効果を奏するものであるとは認められず、格別顕著なものということはできない。

第7 請求人の主張について
請求人は、審判請求書において、引用文献においては、本願発明の前記E,Gに示した「動作可能な可動部材が動作することにより第2の表示装置を遮蔽可能である」技術事項、たとえば、表示装置41と、タッチパネル式の枠表示装置28aのような表示装置を遮蔽可能な可動部材自体が開示も示唆もされておらず、このような引用文献の構成と本願発明との構成との差異によれば、本願発明では、たとえば、表示装置に対する遊技者の操作が可能である場合において、本願明細書の段落[0287]に記載されている効果である「遊技者が表示装置に対する操作に用いる手等の身体部位が可動部材と接触して遊技の安全性が損なわれるのを防ぐことができる」という、特有の技術的効果を得ることができるのに対し、引用文献の遊技機では、そもそも本願発明が含む可動部材を備えていない構成であるため、可動部材を備えた遊技機が意図した特有の課題を解決する本願発明の特有の効果が奏されるはずがなく、また、審査官により周知技術として指摘された「装飾図柄が表示される表示装置を遮蔽する可動部材」がたとえ存在していると仮定しても、当該可動部材について、前述の「遊技者が表示装置に対する操作に用いる手等の身体部位が可動部材と接触して遊技の安全性が損なわれるのを防ぐことができる」というような、可動部材を備えた遊技機特有の課題を解決する本願発明の特有の効果を奏させることを意図している技術思想は、ありふれた技術思想ではなく、したがって、可動部材を備えていない引用文献の遊技機から本願発明による前述の技術的効果を得ることは、当業者であっても容易に想到できるものではなく、本願発明は、たとえ当業者であっても、引用文献による技術思想から当業者が容易に想到し得たことの論理付けができないものである旨主張する。

しかしながら、平成29年10月6日付けの拒絶査定において、審査官が備考欄に記載した周知技術とは、「遊技機が、装飾図柄が表示される表示装置を遮蔽する可動部材を備える点」であり、この周知技術が適用されるのは、引用発明において「複数の識別情報(特別図柄)」「が表示される表示装置41」であって、「遊技者が接触操作」する「枠表示蔵置28a」ではないことは明らかであるから、本願明細書の段落【0286】の「可動部材40は、動作時に遊技者と接触を回避するために、演出表示装置9のようなタッチ操作が行われない(タッチ操作が検出されない)方の表示装置(演出表示装置9)を遮蔽可能となるように設け」ること、及び段落【0287】の「可動部材40が、演出表示装置9のような接触操作が検出されない方の演出表示装置9を遮蔽可能であるので、遊技者が操作に用いる手等の身体部位が可動部材40と接触して遊技の安全性が損なわれるのを防ぐことができる」ことは、引用発明に上記周知技術の適用することによって、自ずと奏する作用効果に過ぎず、格別のものではない。
したがって、請求人の主張は採用できない。

第8 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-09-26 
結審通知日 2018-10-02 
審決日 2018-10-15 
出願番号 特願2013-141719(P2013-141719)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 進藤 利哉  
特許庁審判長 瀬津 太朗
特許庁審判官 荒井 誠
藤田 年彦
発明の名称 遊技機  
代理人 特許業務法人深見特許事務所  
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