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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1346707
審判番号 不服2018-652  
総通号数 229 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-01-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-01-17 
確定日 2018-11-29 
事件の表示 特願2013- 4269号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 7月28日出願公開、特開2014-135961号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年1月15日の出願であって、平成28年10月18日付けで拒絶の理由が通知され、同年12月14日に意見書及び手続補正書が提出され、平成29年4月21日付けで最後の拒絶の理由が通知され、同年7月4日に意見書が提出されたところ、同年10月20日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、それに対して、平成30年1月17日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。

第2 平成30年1月17日付け手続補正についての補正の却下の決定
〔補正の却下の決定の結論〕
平成30年1月17日付け手続補正についての補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

〔理由〕
1 本件補正の内容
(1)本件補正は、特許請求の範囲についてする補正を含むものであって、平成28年12月14日付け手続補正書によって補正された本件補正前の請求項1に、
「遊技媒体が進入可能な遊技領域が設けられ、始動領域を遊技媒体が通過したことに基づいて可変表示を行う遊技機であって、
前記始動領域として第1始動領域、第2始動領域および第3始動領域が設けられ、
遊技媒体を振り分けるための振分装置が前記遊技領域に設けられ、
前記振分装置は、
遊技媒体が当該振分装置に流入可能な流入口と、
遊技媒体が通過可能な複数の通路と、
遊技媒体を前記複数の通路のうちのいずれかに振り分ける振分手段と
を含み、
前記振分手段は、前記複数の通路のうちの第1通路に遊技媒体を振り分けやすい第1状態と第2通路に遊技媒体を振り分けやすい第2状態とに所定の順序に従って切り替わり、
前記第1始動領域は、前記第1通路に振り分けられた遊技媒体が通過しやすい態様で設けられ、
前記第2始動領域は、前記第2通路に振り分けられた遊技媒体が通過しやすい態様で設けられ、
前記第1始動領域を通過した遊技媒体を検出する第1検出手段と、
前記第2始動領域を通過した遊技媒体を検出する第2検出手段と、
前記第3始動領域を通過した遊技媒体を検出する第3検出手段と、
前記第1検出手段および前記第2検出手段によって検出された遊技媒体の通過順序が所定の順序と異なる場合に異常と判定する異常判定手段と
を備え、
前記異常判定手段は、前記第3検出手段の検出結果にかかわらず前記判定を行い、
前記第1検出手段と前記第2検出手段と前記第3検出手段とのいずれかにより遊技媒体が検出されたことにより可変表示の実行条件が成立した後、可変表示の開始条件が成立したことにもとづいて可変表示を行う可変表示手段と、
前記第1検出手段により遊技媒体が検出されたことにより前記実行条件は成立したが、前記開始条件が成立していない可変表示について、保留記憶として所定の上限値まで記憶する第1保留記憶手段と、
前記第2検出手段と前記第3検出手段とのいずれかにより遊技媒体が検出されたことにより前記実行条件は成立したが、前記開始条件が成立していない可変表示について、保留記憶として所定の上限値まで記憶する第2保留記憶手段と、
保留記憶の数が特定値となったことにもとづいて複数回の可変表示において特別演出を実行する特別演出実行手段と
を更に備えることを特徴とする遊技機。」とあったものを、

「遊技媒体が進入可能な遊技領域が設けられ、始動領域を遊技媒体が通過したことに基づいて可変表示を行う遊技機であって、
前記始動領域として第1始動領域、第2始動領域および第3始動領域が設けられ、
遊技媒体を振り分けるための振分装置が前記遊技領域に設けられ、
前記振分装置は、
遊技媒体が当該振分装置に流入可能な流入口と、
遊技媒体が通過可能な複数の通路と、
遊技媒体を前記複数の通路のうちのいずれかに振り分ける振分手段と
を含み、
前記振分手段は、前記複数の通路のうちの第1通路に遊技媒体を振り分けやすい第1状態と第2通路に遊技媒体を振り分けやすい第2状態とに所定の順序に従って切り替わり、
前記第1始動領域は、前記第1通路に振り分けられた遊技媒体が通過しやすい態様で設けられ、
前記第2始動領域は、前記第2通路に振り分けられた遊技媒体が通過しやすい態様で設けられ、
前記第1始動領域を通過した遊技媒体を検出する第1検出手段と、
前記第2始動領域を通過した遊技媒体を検出する第2検出手段と、
前記第3始動領域を通過した遊技媒体を検出する第3検出手段と、
前記第1検出手段および前記第2検出手段によって検出された遊技媒体の通過順序が所定の順序と異なる入賞順異常が発生した場合に異常と判定する異常判定手段と
を備え、
前記異常判定手段は、前記第3検出手段の検出結果にかかわらず前記判定を行い、
前記第1検出手段と前記第2検出手段と前記第3検出手段とのいずれかにより遊技媒体が検出されたことにより可変表示の実行条件が成立した後、可変表示の開始条件が成立したことにもとづいて可変表示を行う可変表示手段と、
前記第1検出手段により遊技媒体が検出されたことにより前記実行条件は成立したが、前記開始条件が成立していない可変表示について、保留記憶として所定の上限値まで記憶する第1保留記憶手段と、
前記第2検出手段と前記第3検出手段とのいずれかにより遊技媒体が検出されたことにより前記実行条件は成立したが、前記開始条件が成立していない可変表示について、保留記憶として所定の上限値まで記憶する第2保留記憶手段と、
保留記憶の数が特定値となったことにもとづいて複数回の可変表示において特別演出を実行する特別演出実行手段と
を更に備えることを特徴とする遊技機。」とする補正を含むものである(下線は補正箇所を明示するために合議体が付した。)。

(2)本件補正後の請求項1に係る上記(1)の補正は、次の補正事項からなる。
本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「異常判定手段」が「異常と判定する」「遊技媒体の通過順序が所定の順序と異なる」場合を「入賞順異常が発生した場合」とする補正。

2 本件補正の目的
(1)上記1(2)の補正は、願書に最初に添付された特許請求の範囲、明細書及び図面(以下「当初明細書等」という。)の【0120】、【0121】等の記載に基づいて、本件補正前の請求項1において記載されていた「異常判定手段」が「異常と判定する」「遊技媒体の通過順序が所定の順序と異なる」場合を「入賞順異常が発生した場合」と限定するものである。

(2)以上のとおり、本件補正後の請求項1に係る上記1(2)の補正は、新規事項を追加するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。また、本件補正後の請求項1に係る上記1(2)の補正は、本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が補正の前後において同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

3 独立特許要件について
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下検討する。

(1)本願補正発明
本願補正発明を再掲すると、次のとおりのものである。なお、記号AないしLは、分説するため合議体が付した。

「A 遊技媒体が進入可能な遊技領域が設けられ、始動領域を遊技媒体が通過したことに基づいて可変表示を行う遊技機であって、
B 前記始動領域として第1始動領域、第2始動領域および第3始動領域が設けられ、
C 遊技媒体を振り分けるための振分装置が前記遊技領域に設けられ、
前記振分装置は、
C-1 遊技媒体が当該振分装置に流入可能な流入口と、
C-2 遊技媒体が通過可能な複数の通路と、
C-3 遊技媒体を前記複数の通路のうちのいずれかに振り分ける振分手段と
を含み、
C-3-1 前記振分手段は、前記複数の通路のうちの第1通路に遊技媒体を振り分けやすい第1状態と第2通路に遊技媒体を振り分けやすい第2状態とに所定の順序に従って切り替わり、
B-1 前記第1始動領域は、前記第1通路に振り分けられた遊技媒体が通過しやすい態様で設けられ、
B-2 前記第2始動領域は、前記第2通路に振り分けられた遊技媒体が通過しやすい態様で設けられ、
D 前記第1始動領域を通過した遊技媒体を検出する第1検出手段と、
E 前記第2始動領域を通過した遊技媒体を検出する第2検出手段と、
F 前記第3始動領域を通過した遊技媒体を検出する第3検出手段と、
G 前記第1検出手段および前記第2検出手段によって検出された遊技媒体の通過順序が所定の順序と異なる入賞順異常が発生した場合に異常と判定する異常判定手段と
を備え、
G-1 前記異常判定手段は、前記第3検出手段の検出結果にかかわらず前記判定を行い、
H 前記第1検出手段と前記第2検出手段と前記第3検出手段とのいずれかにより遊技媒体が検出されたことにより可変表示の実行条件が成立した後、可変表示の開始条件が成立したことにもとづいて可変表示を行う可変表示手段と、
I 前記第1検出手段により遊技媒体が検出されたことにより前記実行条件は成立したが、前記開始条件が成立していない可変表示について、保留記憶として所定の上限値まで記憶する第1保留記憶手段と、
J 前記第2検出手段と前記第3検出手段とのいずれかにより遊技媒体が検出されたことにより前記実行条件は成立したが、前記開始条件が成立していない可変表示について、保留記憶として所定の上限値まで記憶する第2保留記憶手段と、
K 保留記憶の数が特定値となったことにもとづいて複数回の可変表示において特別演出を実行する特別演出実行手段と
L を更に備えることを特徴とする遊技機。」

(2)引用例
ア 原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用され、本願出願前に頒布された刊行物である特開2012-231902号公報(平成24年11月29日出願公開、以下「引用例1」という。)には、次の事項が図とともに記載されている(下線は引用発明等の認定に関連する箇所を明示するために合議体が付した。以下同様。)。
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技盤に有する遊技媒体が流下する遊技領域に配設されて、軸を中心に両側に傾動する振分部材によって、流下する遊技媒体を両側に振り分け可能な遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の遊技機として、回転軸から下方へ直線状に延びた振分部材が、流下する遊技球と衝突することで左右に傾動するものが知られている(特開2005-334501号公報)。
・・・略・・・
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の遊技機では、例えば、遊技球の流下速度が遅い場合、振分部材が遊技球と衝突しても傾動姿勢が変更されず、遊技球が左右の一方側に偏って振り分けられるということがあった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、振分部材が遊技媒体を両側に交互に振り分け可能な遊技機の提供を目的とする。」
(イ)「【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を適用したパチンコ遊技機10に係る一実施形態を、図1?図15に基づいて説明する。図1に示すように、遊技盤11の前面には、ガイドレール12で囲まれたほぼ円形の遊技領域YR1が形成されている。
【0026】
遊技盤11の前面は、パチンコ遊技機10の前面に開閉可能に取り付けられた前面枠10Zにて覆われ、その前面枠10Zに形成されたガラス窓10Wを通して遊技領域YR1の全体が視認可能となっている。前面枠10Zのうちガラス窓10Wより上側の両角位置には、それぞれスピーカ25,25が設けられている。また、前面枠10Zのうちガラス窓10Wより下方には、上皿26及び下皿27が上下2段にして設けられ、下皿27の右端部には操作ノブ28が設けられている。そして、操作ノブ28を回動操作すると、上皿26に収容された遊技球(本発明の「遊技媒体」に相当する)が遊技領域YR1に向けて弾き出される。なお、上皿26に備えたボタン(図示せず)を押すと上皿26に収容されている遊技球が下皿27へと移動する。
【0027】
図2に示すように、遊技盤11のうち遊技領域YR1の中央には、遊技盤表示窓11Hが貫通形成されており、その遊技盤表示窓11Hに遊技盤11の裏面側から表示装置30が対向している。表示装置30は、液晶モジュールで構成され、その表示画面30Gが、遊技盤11の奥側に配置されている。
【0028】
遊技盤11の前面中央には、表示画面30Gを囲むように表示装飾枠23が取り付けられている。表示装飾枠23は、遊技盤11の前面側から遊技盤表示窓11Hに嵌め込まれ、遊技盤表示窓11Hの内側に張り出すと共に、遊技盤11の前面から突出している。そして、遊技領域YR1を流下する遊技球が、表示装飾枠23の前側を通過して表示装飾枠23の内側に進入しないように構成されている。
【0029】
表示装飾枠23の左側の下方には、風車19が設けられ、遊技領域YR1の左側を流下してきた遊技球の進路を中央側へ変更可能になっている。また、表示装飾枠23の左側部には、表示装飾枠23の下辺の内側上面に形成されたステージ24へ遊技球を案内するためのステージ導入口22が備えられている。
【0030】
ステージ24における左右方向の中央部には、ステージ24上の遊技球を前方へ案内する球誘導路24A,24Aが横並びに配置されている。また、ステージ24の奥側には、図示しないワープ入口が設けられ、そのワープ入口に入球した遊技球が、球誘導路24A,24Aの下方に配置されたワープ出口24Bから排出されるようになっている。
【0031】
表示装飾枠23の下方における右側には、第3始動入賞口17と大入賞口15が上下に並べて設けられている。また、第3始動入賞口の右側には、始動ゲート18が備えられている。
【0032】
表示装飾枠23の下方における左右方向の中央部には、振分装置40とアウト口16が、上下に間隔を開けて並べて設けられている。振分装置40は、下端部に第1始動入賞口14A(本発明の「第1の入賞口」に相当する)、第2始動入賞口14B(本発明の「第2の入賞口」に相当する)を左右横並びにして備え、上端部で上方に開口した入球口41に入球した遊技球を第1と第2の始動入賞口14A,14Bに振り分け可能になっている。また、振分装置40の左側には、サイド入賞口21が設けられている。
【0033】
遊技領域YR1の下側部分には、ガイドレール12に沿って一般入賞口20が複数設けられている。また、遊技領域YR1には多数の障害釘が植設されている。
【0034】
次に、遊技領域YR1の各部位についてさらに詳説する。一般入賞口20及びサイド入賞口21は、所謂、ポケット構造をなし、遊技球が1つずつ入ることが可能な大きさで上方に開口している。一般入賞口20又はサイド入賞口21へ入賞すると、その遊技球は遊技盤11の裏側に取り込まれ、例えば、1個の入賞につき15個の賞球が上皿26に払い出される。
【0035】
第1及び第2の始動入賞口14A,14Bも、一般入賞口20と同様に、ポケット構造になっていて、遊技球が1つずつ入ることが可能な大きさで上方に開口している。
【0036】
始動ゲート18は、遊技球が潜って通過可能な門形構造をなしている。始動ゲート18を遊技球が通過すると普通図柄の当否判定が行われる。その当否判定の結果は、表示画面30Gの右下隅の普通図柄表示部38にて表示される。例えば、当否判定の結果が当たりの場合には、普通図柄表示部38に「○」が表示され、外れの場合には、「×」が表示される。なお、普通図柄表示部38が変動表示の最中に始動ゲート18を遊技球が通過した場合、その通過球は最大で4個まで保留記憶される。そして、普通図柄表示部38の変動表示が終了すると、その保留記憶に基づいて再び普通図柄表示部38が変動表示される。
【0037】
なお、本実施形態では、通常の遊技状態では、普通図柄の当否判定が当たりとなる確率は低く設定されており、後述する「大当たり遊技」後に、普通図柄の当否判定が当たりとなる確率が高くなる「時短遊技」に突入する。「時短遊技」は、「大当たり遊技」終了後、第1?第3の始動入賞口14A,14B,17への入賞回数が、例えば、100回に達するか、或いは、「時短遊技」中に「大当たり遊技」へ移行した場合に終了する。
【0038】
第3の始動入賞口17は、遊技盤11の前面から突出した部材の上面に遊技球が1つずつ入賞可能な開口を備えた、所謂、ポケット構造をなし、その開口の左右両側には可動翼片17A,17Aが備えられている。これら両可動翼片17A,17Aは、常には、起立状態になっている。また、第3始動入賞口17の上方には、図示しない障害釘が配置されて、常には遊技球が入賞しないようになっている。そして、上述した普通図柄の当否判定結果が当たりとなった場合に、可動翼片17A,17Aが所定期間に亘って横に倒される。すると、第3始動入賞口17の上方空間が側方に開放し、遊技球が可動翼片17Aを案内して第3始動入賞口17に入賞可能となる。
【0039】
各始動入賞口14A,14B,17に遊技球が入賞すると、例えば、1個の入賞につき4個の遊技球が上皿26に払い出されると共に、特別図柄の当否判定が行われる。その判定結果は、表示装置30の表示画面30Gにて表示される。
【0040】
具体的には、表示画面30Gには、通常、3つの左、中、右の特別図柄(図示せず)が横並びに停止表示されている。これら各特別図柄は、例えば、「0」?「9」の数字を表記した複数種類のもので構成されており、通常は、各特別図柄ごと、所定の種類のものが停止表示されている。そして、始動入賞口14A,14B,17に遊技球が入賞したときに、これら3つの特別図柄が変動表示(上下方向にスクロール表示)され、所定時間後に、例えば、左、右、中の順で各特別図柄が停止表示される。始動入賞口14A,14B,17への入賞に起因した当否判定結果が当たり(以下、「大当たり」という)の場合には、3つの特別図柄が全て同じ図柄(ゾロ目)で停止表示され、その後、遊技状態が「大当たり遊技」に移行する。これに対し、判定結果が外れの場合には、ゾロ目以外の組み合わせで停止表示され、通常の遊技状態が続行する。
【0041】
ここで、表示画面30Gにて特別図柄が変動表示している最中又は「大当たり遊技」の最中に各始動入賞口14A,14B,17に入賞した遊技球の数は、所定の保留限度数(4個)まで保留記憶され、特別図柄が外れの図柄組み合わせで停止表示又は「大当たり遊技」が終了すると、その保留記憶に基づいて再び、特別図柄の変動表示が開始される。なお、保留記憶数は、表示画面30Gのうち上述した普通図柄表示部38の上方にある特別図柄保留数表示部37によって遊技者に報知される。
【0042】
具体的には、第1及び第2の始動入賞口14A,14Bに入賞した遊技球の保留記憶数の合計が、例えば、青色の「1」?「8」までの数字で表示され、第3始動入賞口17に入賞した遊技球の保留記憶数が、例えば、赤色の「1」?「4」までの数字で表示される。なお、保留記憶がない場合には、「0」が表示される。」
(ウ)「【0046】
さて、図3には、振分装置40を備えた入賞口ユニット50の外観全体が示されている。入賞口ユニット50は、遊技盤11に固定される取付板51を備えている。具体的には、取付板51は、上下方向の中間位置より下側部分が左側に張り出した形状になっていて、取付板51の外縁部には、複数の螺子孔51Aが貫通形成されている。そして、取付板51を遊技盤11に重ねた状態で、螺子孔51Aに通した螺子を遊技盤11に締め付けて入賞口ユニット50が遊技盤11に固定されている。
・・・略・・・
【0056】
始動入賞口本体58の上端部には、球検出センサ59が備えられている。球検出センサ59は、前後方向に長いブロック状をなして前端部に上下に貫通形成された通過孔59Aを備え、通過孔59Aを通過した遊技球を検出する構成になっている(図4参照)。また、球検出センサ59は、取付板51の貫通孔58Aを貫通し、通過孔59Aが入賞口溝58Mの上方に配置され、通過孔59Aを通過した遊技球が入賞口溝58Mに受容されるようになっている。これにより、第1及び第2の始動入賞口14A,14Bに入賞した遊技球は、球検出センサ59によって検出される。なお、球検出センサ59の後端部は、球誘導部52に備えたストッパ52Sによって位置決めされている(図5参照)。
・・・略・・・
【0073】
図11に示すように、振分部材42は、基準中心線L2(即ち、中央規制部44)が鉛直方向と平行な状態から左側へ回転すると、第1規制部45Aの下面がストッパ突部43の平坦部43Hと当接して、左側への回転が規制される。このとき、第2の受容部46Bが導入流路47の下方位置で上方に向かって開放した状態となり、第1の受容部46Aが左側に向かって開放した状態になる。また、第1規制部45Aは、回転軸部80に対して斜め左下方に配置され、第1規制部45Aの上面が左側へ向かって下るように傾斜してストッパ突部43の左側の傾斜面43Kと略面一になっている。
【0074】
また、図12に示すように、振分部材42が、基準中心線L2(中央規制部44)が鉛直方向と平行な状態から右側へ回転すると、第2規制部45Bの下面がストッパ突部43の平坦部43Hと当接して、右側への回転が規制される。このとき、第1の受容部46Aが導入流路47の下方位置で上方に向かって開放した状態となり、第2の受容部46Bが右側に向かって開放した状態になる。また、第2規制部45Bは、回転軸部80に対して斜め右下方に配置され、第1規制部45Bの上面が右側へ向かって下るように傾斜してストッパ突部43の右側の傾斜面43Kと略面一になっている。なお、図11及び図12に示した振分部材42は、区画壁81及び外周壁81Gが振分部材受容部62の下側内側面62Mと当接することによっても回転が規制されている。
【0075】
ここで、振分部材42は、上述した第1磁石73と第2磁石83との反発によって、基準中心線L2、即ち、中央規制部44が鉛直方向と平行になった状態では安定せず、基準中心線L2が鉛直方向に対して左右の何れかに傾いた状態となる。また、振分部材42は、基準中心線L2を中心とした左右対称形状をなし、回転軸部80から上方に張り出した形状になっているので、重心42Gが回転軸部80より上方でかつ基準中心線L2上に位置する。従って、振分部材42は、基準中心線L2が鉛直方向に対して傾くと、自重によって左側又は右側へ回転する。これにより、振分部材42は、図11に示す位置か図12に示す位置の何れか一方の位置で位置決めされる。本実施形態では、図11に示す振分部材42の位置が、本発明の「第1側傾動位置」に相当し、図12に示す振分部材42の位置が、本発明の「第2側傾動位置」に相当する。なお、振分部材42は、例えば、合成樹脂製であって、遊技球1つ分の重さよりも軽くなっている。
【0076】
次に、振分装置40の動作について説明する。図11に示すように、振分装置40の入球口41に入球した遊技球90は鉛直下方に流下する。振分部材42が第1側傾動位置に配置されていると、遊技球90は、中央規制部44によって第1の受容部46Aへの受容が規制され、第2の受容部46Bに受容される。詳細には、振分部材42が第1側傾動位置にあるとき、中央規制部44と左側の流路側壁57との間隔及び第2規制部46Bと右側の流路側壁57との間隔が、遊技球90の直径よりも小さくなっていて、遊技球90は、中央規制部44によって左側への流下が規制されると共に、第2規制部45Bによって右側への流下が規制されて、第2の受容部46Bに受容される。
【0077】
このとき、第2の受容部46Bに受容された遊技球90は、重心が回転軸部80の中心軸よりも右側に位置する。また、振分部材42の重心は、上述したように、基準中心線L2上にあり、回転軸部80の中心軸よりも右側に位置する。即ち、遊技球90の重心は、振分部材42の回転軸を挟んで振分部材42の重心と反対側に配置されている。ここで、遊技球90の重量は振分部材42の重量よりも大きくなっているので、振分部材42は、遊技球90の自重によって右側へ回転し、第2側傾動位置に配置される(図12参照)。
【0078】
図12に示すように、振分部材42が第2側傾動位置に配置されると、第2の受容部46Bに受容されていた遊技球90は、第2規制部46B及びストッパ突部43の右側の傾斜面43Kに沿って斜め右下方に転動した後、右側の流路側壁57の下端部に沿って鉛直下方に流下し、第2始動入賞口14Bに入球する。なお、このとき、遊技球90は、誘導突条60によって前方へ押されるが、前面カバー53の裏面に形成された誘導凹部56A(図5参照)によって前方への移動が許容される。これにより、遊技球90は、第2始動入賞口14Bの前側に入球しやすくなっている。
【0079】
次いで、図13に示すように、振分部材42が第2側傾動位置に配置された状態で入球口41に遊技球90が入球すると、遊技球90は、第1の受容部46Aに受容される。詳細には、振分部材42が第1側傾動位置に配置されたときと同様に、遊技球90は、中央規制部44によって右側への流下が規制されると共に、第1規制部45Aによって左側への流下が規制されて、第1の受容部46Aに受容される。
【0080】
そして、図11から図12への変化と同様に、振分部材42は、遊技球90の自重によって左側へ回転し、第1側傾動位置に配置される(図14参照)。すると、第1の受容部46Aに受容されていた遊技球90が、第1規制部46A及びストッパ突部43の左側の傾斜面43Kに沿って斜め左下方に転動した後、左側の流路側壁57の下端部に沿って鉛直下方に流下し、第1始動入賞口14Aに入球する。
【0081】
そして、次の遊技球が入賞口41に入球すると、図11?図14に示す変化が繰り返される。このように、振分装置40の入球口41に入球した遊技球90は、振分部材42によって1個ずつ左右交互に振り分けられ、第1始動入賞口14Aと第2始動入賞口14Bに交互に入賞する。
【0082】
なお、本実施形態では、取付板51と前面壁54とで挟まれた領域のうち入球口41より下方かつ振分部材受容部62より上方の領域が、本発明の導入流路R1に相当する(図11?図14参照)。また、左側の誘導突条60の下方かつ第1始動入賞口14Aの上方の領域R3とを合わせた領域が、本発明の「第1の分岐流路」に相当し、右側の誘導突条60の下方かつ第2始動入賞口14Bの上方の領域R5とを合わせた領域が、本発明の「第2の分岐流路」に相当する。また、取付板51と前面壁54とで挟まれた領域のうち、導入流路R1の下端部、振分部材受容部62及びストッパ突部43より左側かつ左側の流路側壁57より右側の領域R2と、導入流路R1の下端部、振分部材受容部62及びストッパ突部43より右側かつ右側の流路側壁57より左側の領域R4とが、「振分部材の側方に配置されかつ導入流路の下端部と第1又は第2の分岐流路とを連絡する流路」に相当する。
・・・略・・・
【0088】
このように、本実施形態のパチンコ遊技機10によれば、振分部材42が、基準中心線L2の両側に備えた2つの受容部で遊技球90を交互に受容し、各受容部から遊技球90を排出するので、遊技球90を左右に交互に振り分けることができる。また、振分部材42は、遊技球90を第1の受容部46A又は第2の受容部46Bで下方から受け止めて流下させる構成になっているので、遊技球90の流下速度を減速して流下させることができる。
【0089】
また、本実施形態によれば、第1始動入賞口14Aと第2始動入賞口14Bとに交互に入賞させることができる。ここで、各始動入賞口について当否判定結果を最大4つまで保留できる場合には、最大8つまで当否判定結果を保留することが可能になる。しかも、第1始動入賞口14Aの4つの保留記憶に対応して、例えば、1,3,5,7章のストーリー演出を用意すると共に、第2始動入賞口14Bの4つの保留記憶に対応して、例えば、2,4,6,8章のストーリー演出を用意すれば、1?8章までの連続したストーリー演出が可能になる。」
(エ)「【0090】
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0091】
(1)前記実施形態では、本発明をパチンコ遊技機に適用した例を示したが、アレンジボールに適用してもよい。
【0092】
(2)前記実施形態では、遊技媒体が球体であったが、ラグビーボールのような楕円体であってもよいし、サッカーボールのような球形に近い多面体であってもよい。
【0093】
(3)第1始動入賞口14A又は第2始動入賞口14Bに遊技球が2個以上連続して入賞した場合に異常報知を行う構成としてもよい。この構成によれば、振分部材42の破損や、不正行為を報知することができる。」
(オ)「【図2】

・・・略・・・
【図6】

・・・略・・・
【図11】

【図12】

【図13】

【図14】


(カ)遊技盤の正面図である図2(上記(オ))の記載からみて、振分装置40は、遊技領域YR1に設けられていることが看取できる。また、前記図2及び入賞口ユニットの前方斜視図である図6の記載からみて、始動入賞口本体58は、第1及び第2の始動入賞口14A,14Bを構成するものであることが看取できる。また、上記(ウ)の記載事項、振分装置の正面図である図11ないし図14(上記(オ))の記載からみて、振分装置40は、領域R3を備える第1の分岐流路と、領域R5を備える第2分岐流路と、振分部材40とを含むことは明らかである。
(キ)上記(ア)ないし(カ)からみて、引用例1には、実施形態として、次の発明が記載されている。なお、aないしlについては本願補正発明のAないしLに対応させて付与し、引用箇所の段落番号等を併記した。
「a、h 遊技盤11の前面にガイドレール12で囲まれたほぼ円形の遊技領域YR1が形成され、始動入賞口14A,14B,17に遊技球が入賞したときに、特別図柄が変動表示される、パチンコ遊技機10(【0025】、【0040】)であって、
b 前記始動入賞口14A,14B,17は、第1始動入賞口14A、第2始動入賞口14B及び第3始動入賞口17であり(【0031】、【0032】)、
c 遊技球を第1始動入賞口14Aと第2始動入賞口14Bに振り分け可能とする振分装置40は、遊技領域YR1に設けられ(【0032】、図2、上記(カ))、
前記振分装置40は、
c-1 上端部で上方に開口し、遊技球が入球可能で入球口41(【0032】)と、
c-2 左側の誘導突条60の下方かつ第1始動入賞口14Aの上方の領域R3とを合わせた第1の分岐流路と、右側の誘導突条60の下方かつ第2始動入賞口14Bの上方の領域R5とを合わせた第2の分岐流路(【0082】、上記(カ))と、
c-3 入球口41に入球した遊技球90を1個ずつ左右交互に振り分ける振分部材42(【0081】、上記(カ))と、
を含み、
c-3-1、b-1、b-2 前記振分部材42は、第1始動入賞口14Aと第2始動入賞口14Bに交互に入賞するように、入球口41に入球した遊技球90を1個ずつ左右交互に振り分け(【0081】)、
d、e 第1始動入賞口14A及び第2始動入賞口14Bを構成する始動入賞口本体58の上端部には、球検出センサ59が備えられ、
g、g-1 第1始動入賞口14A又は第2始動入賞口14Bに遊技球が2個以上連続して入賞した場合に異常報知を行い(【0093】)、
i’、j’ 第1及び第2の始動入賞口14A,14Bに入賞した遊技球の保留記憶数の合計が、青色の「1」?「8」までの数字で表示され、第3始動入賞口17に入賞した遊技球の保留記憶数が、赤色の「1」?「4」までの数字で表示され(【0042】)、
k 第1始動入賞口14Aの4つの保留記憶に対応して、例えば、1,3,5,7章のストーリー演出を用意すると共に、第2始動入賞口14Bの4つの保留記憶に対応して、例えば、2,4,6,8章のストーリー演出を用意すれば、1?8章までの連続したストーリー演出を可能とした(【0089】)、
l パチンコ遊技機10。」(以下「引用発明」という。)

イ 原査定の拒絶の理由に引用文献2として引用され、本願出願前に頒布された刊行物である特許第4938150号公報(平成24年5月23日発行、以下「引用例2」という。)には、次の事項が図とともに記載されている。
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技盤上を転動する遊技球を受入れて二つの流路の何れかに振分ける遊技球振分装置及びこの振分装置を具備するパチンコ遊技機等の弾球遊技機に関する。」
(イ)「【発明を実施するための形態】
【0041】
図1は、本発明に係る遊技球振分装置8であって、遊技盤への取付ベース8Bと前カバー8Fとをもつ球ハウジング8Hを備え、前カバー8Fの上部に開口する球受入口80から前カバー8Fの裏側に設ける鉛直な受入通路800に受入れる遊技球Pを、前カバー8Fの裏側に設ける正面視で右側の第1流路81と正面視で左側の第2流路82との何れかに振分ける。前カバー8Fには、受入通路800の下部で二股に分かれる第1流路81と第2流路82との分岐部812に到達した振分対象の遊技球Pを確認できる中央丸穴8Cと、右側の第1流路81に対応した振分前後の遊技球Pを確認できる右側スリット穴8Rと、左側の第2流路82に対応した振分前後の遊技球Pを確認できる左側スリット穴8Lとを開口している。第1流路81には、第1始動口8Xとその入賞センサ8xを、第2流路82には、第2始動口8Yとその入賞センサ8yを各設けている。
・・・略・・・
【実施例1】
【0050】
図8は、以上の遊技球振分装置8を具備する実施例1に係るパチンコ遊技機の遊技盤2を示す。遊技球振分装置8は、カラー液晶表示器から成る演出表示装置70を具備する演出表示ユニット7の下方に配置している。球受入口80は、演出表示ユニット7の飾り枠71の左側に設けるワープルート入口72から取り込んだ遊技球を開放する中央下部のワープルート出口73の下方に対応させて配置している。
【0051】
遊技球振分装置8の前カバー8Fには、1周期について8個の遊技球P1-1?P1-7,P2-2が第1又は第2始動口8X,8Yの各入賞センサ8x,8yで検出される毎に、第2流路82に振分けられた遊技球P2-1(丸囲み2の表示)を時計の12時の位置として45度ずつあたかも時計が進むように、内蔵するLEDランプを所定時間例えば5秒間を上限に点灯させ、第1流路81への遊技球の振分けが第1個数N1(7個)のうちの第何番目に当たるのかについて認識可能な態様(丸囲み1と丸囲み2の順次点灯)で報知し、何かと関心事となる第2通路82への振分の切換時期の遠近を知らせる振分状況報知手段8Dを設けている。右側の第1流路81に対応させて第1流路目印810(丸囲み1の表示)を、左側の第2流路82に対応させて第2流路目印820(丸囲み2の表示)を、それぞれシール等の貼付けにより表示している。
【0052】
ところで、「演出表示装置」とは、遊技機規則で定義する「特別図柄表示装置」での図柄の変動及び確定停止と同期した変動及び確定停止をする演出用の表示装置をいう。なお、「特別図柄表示装置」とは、特別電動役物及び条件装置が作動することとなる図柄の組合せを表示するための装置をいう(遊技機規則第6条別表第2(2)ヌ)。
「条件装置」とは、その作動が役物連続作動装置の作動に必要な条件とされている装置で、特定の図柄の組合せが表示され、又は遊技球(役物連続作動装置が作動している時にその入口が開き、又は拡大した大入賞口に入賞したものを除く。)が大入賞口内の特定の領域を通過した場合に作動するものをいう(遊技機規則第6条別表第2(2)リ)。
【0053】
遊技球振分装置8の右側の第1流路81に対応して設けた第1始動口8Xは、その入賞センサ8xで検出する第1流路81に振分けられた遊技球の入球により、相対的な優劣をつけた予め定めた優側遊技価値と劣側遊技価値とのうち、劣側遊技価値を優側遊技価値よりも高率で付与する契機となる劣側の始動口として用いている。左側の第2流路82に対応して設けた第2始動口8Yは、その入賞センサ8yで検出する第2流路82に振分けられた遊技球の入球により、優側遊技価値を劣側遊技価値よりも高率で付与する契機となる優側の始動口として用いている。ここに、高率とは、50%を越え、100%以下で予め定めた値をいう。すなわち、他方の低率は50%未満となる。以下、同様である。
【0054】
遊技盤2には、遊技球を通過させるゲートGTと、このゲートGTへの球通過を契機とした普通図柄抽選での当選を条件に開放する電動チューリップから成る普通電動役物GDと、この普通電動役物GDを入口に設ける可変入賞装置付の第3始動口8Zと、第1?第3始動口8X,8Y,8Zへの入球を契機とした大当り抽選での当選を条件にアタッカー90を前に倒すことにより開放する大入賞口9とを備える。普通電動役物GDたる電動チューリップが開かない限り、第3始動口8Zへは遊技球が入らない仕様にしている。
【0055】
優側遊技価値は、大入賞口9を開放する大当り遊技後、普通図柄抽選での当選確率及び又は普通電動役物GDの開放時間を劣側遊技価値の場合に比べて大にすることにより可変入賞装置付の第3始動口8Zを契機とした抽選効率の高い時短大当りとしている。また、劣側遊技価値は、大入賞口9を開放する大当り遊技後、普通図柄抽選での当選確率及び又は普通電動役物NDの開放時間を優側遊技価値の場合に比べて小にすることにより可変入賞装置付の第3始動口8Zを契機とした抽選効率の低い非時短大当りとしている。なお、可変入賞装置付の第3始動口8Zへの入球により、優側遊技価値である時短大当りを劣側遊技価値である非時短大当りよりも高率で付与する仕様にしている。
【0056】
劣側の始動口である第1始動口8Xへの入球を契機として、表示器ボードDB内の第1特別図柄表示装置SD1上で第1特別図柄を変動させると共に、演出表示装置70上で演出図柄を変動させ、所定時間経過後、第1特別図柄表示装置SD1及び演出表示装置70で同時に大当りの当否を停止図柄の違い(当選時は第1特別図柄表示装置SD1に「7」や「3」等、演出表示装置70に「7」「7」「7」や「3」「3」「3」等、外れ時は同SD1にバー「-」、同70に非三つ揃い図柄の組合せ)により導出する。H1,H2,H3,H4は、最大4個の保留中にある、第1始動口8Xへの入球に基づく大当り抽選の権利数を表示する第1特別図柄保留表示器である。
【0057】
優側の始動口である第2始動口8Y又は可変入賞装置付の第3始動口8Zへの入球を契機として、表示器ボードDB内の第2特別図柄表示装置SD2上で第2特別図柄を変動させると共に、演出表示装置70上で演出図柄を変動させ、所定時間経過後、第2特別図柄表示装置SD2及び演出表示装置70で同時に大当りの当否を停止図柄の違い(当選時は第2特別図柄表示装置SD2に「7」や「3」等、演出表示装置70に「7」「7」「7」や「3」「3」「3」等、外れ時は同SD2にバー「-」、同70に非三つ揃い図柄の組合せ)により導出する。K1,K2,K3,K4は、最大4個の保留中にある、第2始動口8Y又は第3始動口8Zへの入球に基づく大当り抽選の権利数を表示する第2特別図柄保留表示器である。」
(ウ)上記(ア)及び(イ)からみて、引用例2には、次の事項が記載されている。
「遊技盤上を転動する遊技球を受入れて二つの流路の何れかに振分ける遊技球振分装置を具備するパチンコ遊技機(【0001】)において、
遊技球振分装置8の右側の第1流路81に対応して設けた第1始動口8Xと、同左側の第2流路82に対応して設けた第2始動口8Y(【0053】)と、普通電動役物GDを入口に設ける可変入賞装置付の第3始動口8Z(【0054】)と、を備え、
最大4個の保留中にある、第1始動口8Xへの入球に基づく大当り抽選の権利数を表示する第1特別図柄保留表示器H1,H2,H3,H4(【0056】)と、最大4個の保留中にある、第2始動口8Y又は第3始動口8Zへの入球に基づく大当り抽選の権利数を表示する第2特別図柄保留表示器K1,K2,K3,K4(【0057】)と、をさらに備えること。」(以下「引用例2の記載事項」という。)

(4)対比
ア 本願補正発明と引用発明とを対比する。なお、以下の見出し(a)ないし(l)は、本願補正発明のAないしLに対応させている。

(a)(h)引用発明の「遊技領域YR1」、「始動入賞口14A,14B,17」、「遊技球」、「変動表示」及び「パチンコ遊技機10」は、それぞれ本願補正発明の「遊技領域」、「始動領域」、「遊技媒体」、「可変表示」及び「遊技機」に相当する。また、引用発明の「パチンコ遊技機10」(遊技機)は、「遊技領域YR1」(遊技領域)が形成され、「始動入賞口14A,14B,17」(始動領域)に「遊技球」(遊技媒体)が入賞したときに、特別図柄が「変動表示」(可変表示)されるものである。してみると、引用発明の特定事項a、hにより特定される構成は、本願補正発明の「A 遊技媒体が進入可能な遊技領域が設けられ、始動領域を遊技媒体が通過したことに基づいて可変表示を行う遊技機」を備える。
また、引用発明は、「始動入賞口14A,14B,17」(始動領域)に「遊技球」(遊技媒体)が入賞したときに、特別図柄が表示手段により「変動表示」(可変表示)されるものであり、該「変動表示」は、特別図柄が変動表示中でない等という条件に基づいて実行されることが技術常識であるから、引用発明の特定事項a,hにより特定される構成は、本願補正発明の「H 前記第1検出手段と前記第2検出手段と前記第3検出手段とのいずれかにより遊技媒体が検出されたことにより可変表示の実行条件が成立した後、可変表示の開始条件が成立したことにもとづいて可変表示を行う可変表示手段」を備えることは明らかである。

(b)引用発明の「第1始動入賞口14A」、「第2始動入賞口14B」及び「第3始動入賞口17」は、それぞれ本願補正発明の「第1始動領域」、「第2始動領域」及び「第3始動領域」に相当する。そして、引用発明の「始動入賞口14A,14B,17」は、「第1始動入賞口14A」(第1始動領域)、「第2始動入賞口14B」(第2始動領域)及び「第3始動入賞口17」(第3始動領域)であるから、引用発明の特定事項bは、本願補正発明の「B 前記始動領域として第1始動領域、第2始動領域および第3始動領域が設けられ」に相当する。

(c)引用発明の「振分装置40」は、「遊技球」(遊技媒体)を第1と第2の始動入賞口14A,14B(第1、2始動領域)に振り分け可能とするものであるから、本願補正発明の「遊技媒体を振り分けるための振分装置」に相当する。また、引用発明の「振分装置40」は、遊技領域YR1に設けられているのであるから、引用発明の特定事項cは、本願補正発明の「C 遊技媒体を振り分けるための振分装置が前記遊技領域に設けられ」に相当する。

(c-1)引用発明の「振分装置40」は、上端部で上方に開口し、遊技球が入球可能で入球口41を含むものであり、該入球口41は、本願補正発明の「C-1 遊技媒体が当該振分装置に流入可能な流入口」に相当する。

(c-2)引用発明の「振分装置40」は、左側の誘導突条60の下方かつ第1始動入賞口14Aの上方の領域R3とを合わせた第1の分岐流路と、右側の誘導突条60の下方かつ第2始動入賞口14Bの上方の領域R5とを合わせた第2の分岐流路を含むものであり、前記「第1の分岐流路」及び前記「第2の分岐流路」は、遊技球が通過可能な通路といえることは明らかであるから、「C-2 遊技媒体が通過可能な複数の通路」に相当する。

(c-3)引用発明の「振分装置40」は、入球口41に入球した遊技球90を1個ずつ左右交互に振り分ける振分部材42を含むものであり、該振分部材42は、遊技球90を1個ずつ左右交互に振り分けるものであり、振り分け先が前記「第1の分岐流路」及び前記「第2の分岐流路」(複数の通路)であることが明らかであるから、「C-3 遊技媒体を前記複数の通路のうちのいずれかに振り分ける振分手段」に相当する。

(c-3-1)(b-1)(b-2)引用発明の「振分部材42」は、第1始動入賞口14Aと第2始動入賞口14Bに交互に入賞するように、遊技球90を1個ずつ左右交互に振り分けるものであり、各始動入賞口に交互に入賞させるために、各始動入賞口の上方に位置する前記「第1の分岐流路」及び前記「第2の分岐流路」(複数の通路)にそれぞれ遊技球90を振り分けやすい状態に切り替わるものといえるから、引用発明の特定事項c-3-1、b-1、b-2により特定される構成は、「C-3-1 前記振分手段は、前記複数の通路のうちの第1通路に遊技媒体を振り分けやすい第1状態と第2通路に遊技媒体を振り分けやすい第2状態とに所定の順序に従って切り替わり」を備えることは明らかである。
また、同様に、引用発明の第1始動入賞口14Aは、第1の分岐流路に振り分けられた遊技球が通過しやすく、同第2始動入賞口14Bは、第2の分岐流路に振り分けられた遊技球が通過しやすくなっていることも明らかであるから、引用発明の特定事項c-3-1、b-1、b-2により特定される構成は、本願補正発明の「B-1 前記第1始動領域は、前記第1通路に振り分けられた遊技媒体が通過しやすい態様で設けられ」及び「B-2 前記第2始動領域は、前記第2通路に振り分けられた遊技媒体が通過しやすい態様で設けられ」を備えることは明らかである。

(d)(e)引用発明の「球検出センサ59」は、本願補正発明の「『第1検出手段』又は『第2検出手段』」に相当する。そして、引用発明は、「第1及び第2の始動入賞口14A,14B」(第1、2始動領域)を構成する始動入賞口本体58の上端部には、「球検出センサ59」(第1、2検出手段)が備えられているから、引用発明の特定事項d、eは、「D 前記第1始動領域を通過した遊技媒体を検出する第1検出手段」及び「E 前記第2始動領域を通過した遊技媒体を検出する第2検出手段」に相当する構成を備えることは明らかである。

(g)引用発明は、第1始動入賞口14Aと第2始動入賞口14Bに交互に入賞するように遊技球を振り分けていることを前提としているから、該「交互に入賞する」ことが、本願補正発明の「前記第1検出手段および前記第2検出手段によって検出された遊技媒体の通過順序が所定の順序」に相当するものといえる。そうすると、引用発明における「第1始動入賞口14A又は第2始動入賞口14Bに2個以上連続入賞した場合」とは、「交互に入賞する」(所定の順序)とは異なる入賞順が発生したものと解することができ、異なる入賞順が発生したときに異常報知を行うものであり、異常報知を行う際に異常と「判定」していることは技術常識からみて明らかである。そうしてみると、引用発明の特定事項g、g-1は、本願補正発明の「G 前記第1検出手段および前記第2検出手段によって検出された遊技媒体の通過順序が所定の順序と異なる入賞順異常が発生した場合に異常と判定する異常判定手段」に相当する構成を備えることは明らかである。

(i)(j)引用発明は、「第1及び第2の始動入賞口14A,14B」(第1始動領域、第2始動領域)に入賞した遊技球の保留記憶数の合計(以下「第1保留記憶数」という。)が、青色の「1」?「8」までの数字で表示され、「第3始動入賞口17」(第3始動領域)に入賞した遊技球の保留記憶数(以下「第2保留記憶数」という。)が、赤色の「1」?「4」までの数字で表示されているから、「第1保留記憶数」及び「第2保留記憶数」のそれぞれに対応した本願補正発明の「第1保留記憶手段」及び「第2保留記憶手段」に相当する構成を備えることは明らかである。
また、引用発明における、「第1保留記憶数」を青色の「1」?「8」までの数字で表示すること、及び、「第2保留記憶数」を赤色の「1」?「4」までの数字で表示することは、本願補正発明の「保留記憶として所定の上限値まで記憶する」ことに相当する構成を備えることは明らかである。
また、引用発明において、第1及び第2の始動入賞口14A,14Bの球検出センサ59(第1検出手段、第2検出手段)での検出、あるいは、第3始動入賞口17の入賞(遊技媒体の通過)により、特別図柄の変動条件が成立後、変動開始条件が成立していない変動表示を保留記憶として「第1保留記憶手段」及び「第2保留記憶手段」に記憶することは明らかである。
そして、引用発明において、第1及び第2の始動入賞口14A,14Bの球検出センサ59(第1検出手段、第2検出手段)での検出が「第1保留記憶数」に対応し、第3始動入賞口17の入賞(遊技媒体の通過)が「第2保留記憶数」に対応するから、少なくとも第1の始動入賞口14Aの球検出センサ59(第1検出手段)による検出が「第1保留記憶数」に対応し、少なくとも「第3始動入賞口17」(第3始動入賞口17)の入賞が「第2保留記憶数」に対応するといえる。同様に、本願補正発明も、少なくとも「第1検出手段」が「第1保留記憶手段」に対応し、少なくとも「第3始動領域」が「第2保留記憶手段」に対応するといえる。
そうすると、引用発明の特定事項i、jと、本願補正発明の特定事項I、Jとは、「I’ 少なくとも前記第1検出手段により遊技媒体が検出されたことにより前記実行条件は成立したが、前記開始条件が成立していない可変表示について、保留記憶として所定の上限値まで記憶する第1保留記憶手段」及び「J’ 少なくとも前記第3始動領域に遊技媒体が通過したことにより前記実行条件は成立したが、前記開始条件が成立していない可変表示について、保留記憶として所定の上限値まで記憶する第2保留記憶手段」である点で一致する。

(k)引用発明の「ストーリー演出」は、本願補正発明の「特別演出」に相当する。そして、引用発明は、第1始動入賞口14Aの4つの保留記憶に対応して、例えば、1,3,5,7章の「ストーリー演出」(特別演出)を用意すると共に、第2始動入賞口14Bの4つの保留記憶に対応して、例えば、2,4,6,8章の「ストーリー演出」を用意すれば、1?8章までの連続した「ストーリー演出」を可能としたものであるから、保留記憶の数に応じた「ストーリー演出」を実行するといえるとともに、該「ストーリー演出」を複数回の変動表示で実行するといえる。そうすると、引用発明の特定事項kは、本願補正発明の「K 保留記憶の数が特定値となったことにもとづいて複数回の可変表示において特別演出を実行する特別演出実行手段」に相当する構成を備える。

(l)上記(a)のとおり、引用発明の「パチンコ遊技機10」は、本願補正発明の「遊技機」に相当する。

イ 上記アからみて、本願補正発明と引用発明とは、
「A 遊技媒体が進入可能な遊技領域が設けられ、始動領域を遊技媒体が通過したことに基づいて可変表示を行う遊技機であって、
B 前記始動領域として第1始動領域、第2始動領域および第3始動領域が設けられ、
C 遊技媒体を振り分けるための振分装置が前記遊技領域に設けられ、
前記振分装置は、
C-1 遊技媒体が当該振分装置に流入可能な流入口と、
C-2 遊技媒体が通過可能な複数の通路と、
C-3 遊技媒体を前記複数の通路のうちのいずれかに振り分ける振分手段と
を含み、
C-3-1 前記振分手段は、前記複数の通路のうちの第1通路に遊技媒体を振り分けやすい第1状態と第2通路に遊技媒体を振り分けやすい第2状態とに所定の順序に従って切り替わり、
B-1 前記第1始動領域は、前記第1通路に振り分けられた遊技媒体が通過しやすい態様で設けられ、
B-2 前記第2始動領域は、前記第2通路に振り分けられた遊技媒体が通過しやすい態様で設けられ、
D 前記第1始動領域を通過した遊技媒体を検出する第1検出手段と、
E 前記第2始動領域を通過した遊技媒体を検出する第2検出手段と、
G 前記第1検出手段および前記第2検出手段によって検出された遊技媒体の通過順序が所定の順序と異なる入賞順異常が発生した場合に異常と判定する異常判定手段と
を備え、
H 前記第1検出手段と前記第2検出手段と前記第3検出手段とのいずれかにより遊技媒体が検出されたことにより可変表示の実行条件が成立した後、可変表示の開始条件が成立したことにもとづいて可変表示を行う可変表示手段と、
I’ 少なくとも前記第1検出手段により遊技媒体が検出されたことにより前記実行条件は成立したが、前記開始条件が成立していない可変表示について、保留記憶として所定の上限値まで記憶する第1保留記憶手段と、
J’ 少なくとも前記第3始動領域に遊技媒体が通過したことにより前記実行条件は成立したが、前記開始条件が成立していない可変表示について、保留記憶として所定の上限値まで記憶する第2保留記憶手段と、
K 保留記憶の数が特定値となったことにもとづいて複数回の可変表示において特別演出を実行する特別演出実行手段と
L を更に備える遊技機。」である点で一致し、次の点で相違する。

・相違点1(特定事項F、G-1)
本願補正発明では、「前記第3始動領域を通過した遊技媒体を検出する第3検出手段」を備え、「前記異常判定手段は、前記第3検出手段の検出結果にかかわらず前記判定を行」うものであるに対し、
引用発明では、そのような特定がない点。

・相違点2(特定事項I、J)
「第1保留記憶手段」及び「第2保留記憶手段」に関して、
本願補正発明では、「第1保留記憶手段」が「前記第1検出手段により遊技媒体が検出されたこと」に基づき、「第2保留記憶手段」が「前記第2検出手段と前記第3検出手段とのいずれかにより遊技媒体が検出されたこと」に基づいて、「保留記憶として」「記憶する」のに対し、
引用発明では、そのような特定がない点。

(5)判断
引用発明における、本願補正発明の「第3検出手段」の有無については、相違点1、2の双方に関連するため、相違点1、2についてまとめて検討する。
ア 引用発明は、第3始動入賞口17に通過した遊技球を検出するための検出手段を備えることは明示していないが、第3始動入賞口17への入賞を契機に特別図柄を変動表示させていること、同じく、特別図柄を変動表示させることに関連する第1始動入賞口14A及び第2始動入賞口14Bが球検出センサ59を備えていること及び技術常識に照らせば、引用発明の第3始動入賞口17に入賞した遊技球を検出する検出手段、すなわち「第3検出手段」を備えることは引用発明に明示がなくとも自明な事項である。

イ 引用例1には、異常報知が第3始動入賞口17への入賞と関連することの記載は一切なされておらず、そもそも引用発明は、第1始動入賞口14A又は第2始動入賞口14Bに遊技球が2個以上連続して入賞した場合に異常報知をするのであり、第3始動入賞口17への入賞と異常報知とを関連させる必要がないものである。そして、上記アのとおり、第3始動入賞口17に入賞した遊技球を検出する第3検出手段を実質的に備えるといえるから、引用発明において、「G-1 前記異常判定手段は、前記第3検出手段の検出結果にかかわらず前記判定を行」うようになすことは、引用例1に明示がなくとも、引用例1の記載全体から自明な事項であるか、仮に自明な事項でないとしても、当業者が適宜なし得たことである。
以上のとおり、上記相違点1は実質的な相違点でないか、相違点であったとしても、引用発明において、上記相違点1に係る本願補正発明の特定事項のようになすことは当業者が容易になし得たことである。

ウ 引用例2の記載事項(上記(3)イ(ウ))を再掲すると、「遊技盤上を転動する遊技球を受入れて二つの流路の何れかに振分ける遊技球振分装置を具備するパチンコ遊技機において遊技球振分装置8の右側の第1流路81に対応して設けた第1始動口8Xと、同左側の第2流路82に対応して設けた第2始動口8Yと、普通電動役物GDを入口に設ける可変入賞装置付の第3始動口8Zと、を備え、最大4個の保留中にある、第1始動口8Xへの入球に基づく大当り抽選の権利数を表示する第1特別図柄保留表示器H1,H2,H3,H4(【0056】)と、最大4個の保留中にある、第2始動口8Y又は第3始動口8Zへの入球に基づく大当り抽選の権利数を表示する第2特別図柄保留表示器K1,K2,K3,K4と、をさらに備える」というものである。

エ 引用発明も引用例2の記載事項も、遊技球振分装置を具備するパチンコ遊技機で共通し、第1始動口ないし第3始動口を備え、振分装置で遊技球を振り分ける先が第1始動口及び第2始動口である点でさらに共通するものである。そうすると、引用例2の記載事項に接した当業者であれば、引用発明において、引用例2の記載事項を適用しようと試みるものである。そして、具体的には、引用発明において、振分装置内に配置されている第1始動入賞口14A(第1始動領域)の球検出センサ59(第1検出手段)で検出した遊技球の保留記憶数を前記第1保留記憶数として第1保留記憶手段に記憶し、第1始動入賞口14Aと同様に振分装置内に配置されている第2始動入賞口14B(第2始動領域)の球検出センサ59(第2検出手段)と第3始動入賞口の検出手段(第3検出手段)のいずれかで検出した遊技球の保留記憶数を前記第2保留記憶数として第2保留記憶手段に記憶するようになすこと、すなわち、上記相違点2に係る本願補正発明の特定事項のようになすことは、当業者が引用例2の記載事項に基づいて適宜なし得たことである。

オ 以上のとおりであるから、引用発明において、上記相違点1及び2に係る本願補正発明の特定事項のようになすことは当業者が引用例2の記載事項に基づいて容易に想到し得たことである。

カ 本願補正発明の奏する効果は、引用発明の奏する効果及び引用例2の記載事項の奏する効果から予測することができた程度のものである。

キ 審判請求人の主張について
(ア)審判請求人は、審判請求書において、概略以下のとおり主張している。
「3 本願発明が特許されるべき理由
・・・略・・・
(4) 構成上の相違
いずれの引用文献にも、本願請求項1に係る発明の少なくとも下記の構成が記載されていない。
「前記第1検出手段および前記第2検出手段によって検出された遊技媒体の通過順序が所定の順序と異なる入賞順異常が発生した場合に異常と判定する異常判定手段」

(5) 本願発明の有利な効果
かかる構成上の相違により、本願請求項1に係る発明は引用文献に記載された発明と比較して有利な下記の効果を奏する。

補正後の本願発明によれば、より精度の高い異常判定を行うことができる。
・・・略・・・
してみれば、補正後の本願発明と、引用文献1に開示されている事項とは、補正後の本願発明が「第1検出手段および第2検出手段によって検出された遊技媒体の通過順序が所定の順序と異なる入賞順異常が発生した場合」に異常と判定するのに対し、引用文献1に開示されている事項は「第1検出手段または第2検出手段によって遊技媒体が2個以上連続して検出された場合」に異常と判定する点で相違する。

そして、引用文献1に開示されている「異常判定手段」のように、「第1検出手段または第2検出手段によって遊技媒体が2個以上連続して検出された場合」に異常と判定する手法では、異常判定を行うことができない事象がある。」

(イ)しかしながら、上記(4)ア(g)のとおり、引用発明においては、第1始動入賞口14Aと第2始動入賞口14Bとに交互に入賞していない場合(所定の順序とは異なる順序)を異常と判定しており、遊技媒体が2個以上連続して検出された場合に異常と判定すれば足りるものであるから、引用例1(引用文献1)に、本願補正発明の特定事項Gが記載されているといえる。してみると、審判請求人の主張を採用することはできない。

(5)独立特許要件のむすび
以上のとおりであるから、本願補正発明は、当業者が引用例1に記載された発明及び引用例2の記載事項に基づいて容易に発明をすることができたものである。
よって、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4 小括
以上のとおり、本願補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものである。
したがって、本件補正は、同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成28年12月14日付けで補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定されるものであるところ、そのうち請求項1に係る発明は、上記第2〔理由〕1(1)に本件補正前の請求項1として記載したとおりのものである。

2 原査定の理由の概略
この出願の平成28年12月14日付け手続補正により補正された請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記引用文献に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


引用文献1.特開2012-231902号公報
引用文献2.特許第4938150公報

3 引用文献
(1)引用文献1(引用例1)及び引用文献2(引用例2)の記載事項は、上記第2〔理由〕3(2)に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願補正発明は、上記「第2〔理由〕1(2)」のとおり、本願発明を特定するために必要な事項を限定したものである。
そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに限定を付加したものに相当する本願補正発明が、上記「第2〔理由〕3(4)及び(5)」に記載したとおり、当業者が引用発明及び引用例2の記載事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、当業者が引用発明及び引用例2の記載事項に基づいて容易に発明をすることができたものである。

5 むすび
本願発明は、以上のとおり、当業者が引用例1に記載された発明及び引用例2の記載事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-09-27 
結審通知日 2018-10-02 
審決日 2018-10-15 
出願番号 特願2013-4269(P2013-4269)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 河本 明彦  
特許庁審判長 安久 司郎
特許庁審判官 鉄 豊郎
田付 徳雄
発明の名称 遊技機  
代理人 田▲崎▼ 聡  
代理人 佐伯 義文  
代理人 松沼 泰史  
代理人 平野 昌邦  
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