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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1346709
審判番号 不服2018-3070  
総通号数 229 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-01-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-03-02 
確定日 2018-11-29 
事件の表示 特願2016- 40261「対戦ゲームを提供する方法、サーバ装置、及びコンピュータプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 9月 1日出願公開、特開2016-154862〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成25年12月27日(以下、「原出願日」という。)に出願された特願2013-271115号の一部を分割して、平成27年7月22日に新たな特許出願とした特願2015-144988号の一部をさらに分割して、平成28年3月2日に新たな特許出願としたものであって、同年12月26日に手続補正がなされ、平成29年3月27日付けで拒絶理由通知がなされ、同年6月2日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされ、同年8月9日付けで最後の拒絶理由通知がなされ、同年9月28日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが、同年11月30日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成30年3月2日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。


第2 平成30年3月2日にされた手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
平成30年3月2日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]

1 本件補正について(補正の内容)

(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の記載は、次のとおり補正された。(下線は、補正箇所を示すため当審で付加した。)

ア 請求項1
「1人以上の第1プレイヤのそれぞれに対応する1つ以上の第1キャラクタを含む第1グループと、1人以上の第2プレイヤのそれぞれに対応する1つ以上の第2キャラクタを含む第2グループとによる対戦が実行される対戦ゲームを、ネットワーク経由で前記第1プレイヤ及び前記第2プレイヤのそれぞれのクライアント装置に提供するための方法であって、
サーバ装置が、
前記クライアント装置の表示デバイスに、前記対戦に用いられるカードを選択するための仮想的な場を表示し、
前記第1グループ及び前記第2グループに対して、所定の時間的長さを有する共通の期間を設定し、
前記期間内に前記1人以上の第1プレイヤのそれぞれの前記クライアント装置において選択されたカードの組み合わせに応じて、前記第1グループに含まれる第1キャラクタに関する情報を設定し、
前記期間内に前記1人以上の第2プレイヤのそれぞれの前記クライアント装置において選択されたカードの組み合わせに応じて、前記第2グループに含まれる第2キャラクタに関する情報を設定し、
前記期間内に前記第1グループ及び前記第2グループからそれぞれ表明を行った参加人数を判定し、
前記参加人数に応じて、前記表明に関わる前記第1キャラクタ及び第2キャラクタの視覚的表現を変化させ、
設定された前記第1キャラクタに関する前記情報と、設定された前記第2キャラクタに関する前記情報と、に基づき、前記対戦を進行させる、方法。」

イ 請求項2
「請求項1に記載の方法であって、
前記仮想的な場には、仮想的なカードの束であるデッキと、前記デッキから選択されたカードとが表示される、方法。」

ウ 請求項3
「請求項1又は請求項2に記載の方法であって、
前記表示デバイスは、前記対戦ゲームが展開される仮想的なフィールドをさらに表示する、方法。」

エ 請求項4
「請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の方法であって、
前記表示デバイスは、前記第1グループを構成するキャラクタから前記第2グループを構成するキャラクタに連続して攻撃を行った回数に関する情報をさらに表示する、方法。」

オ 請求項5
「1人以上の第1プレイヤのそれぞれに対応する1つ以上の第1キャラクタを含む第1グループと、1人以上の第2プレイヤのそれぞれに対応する1つ以上の第2キャラクタを含む第2グループとによる対戦が実行される対戦ゲームをネットワーク経由で前記第1プレイヤ及び前記第2プレイヤのそれぞれのクライアント装置に提供するサーバ装置であって、
前記クライアント装置の表示デバイスに、前記対戦に用いられるカードを選択するための仮想的な場を表示し、
前記第1グループ及び前記第2グループに対して、所定の時間的長さを有する共通の期間を設定し、
前記期間内に前記1人以上の第1プレイヤのそれぞれの前記クライアント装置において選択されたカードの組み合わせに応じて、前記第1グループに含まれる第1キャラクタに関する情報を設定し、
前記期間内に前記1人以上の第2プレイヤのそれぞれの前記クライアント装置において選択されたカードの組み合わせに応じて、前記第2グループに含まれる第2キャラクタに関する情報を設定し、
前記期間内に前記第1グループ及び前記第2グループからそれぞれ表明を行った参加人数を判定し、
前記参加人数に応じて、前記表明に関わる前記第1キャラクタ及び第2キャラクタの視覚的表現を変化させ、
設定された前記第1キャラクタに関する前記情報と、設定された前記第2キャラクタに関する前記情報と、に基づき、前記対戦を進行させるプロセッサと、
を備える、
サーバ装置。」

カ 請求項6
「1人以上の第1プレイヤのそれぞれに対応する1つ以上の第1キャラクタを含む第1グループと、1人以上の第2プレイヤのそれぞれに対応する1つ以上の第2キャラクタを含む第2グループとによる対戦が実行される対戦ゲームを、ネットワーク経由で前記第1プレイヤ及び前記第2プレイヤのそれぞれのクライアント装置に提供するためのコンピュータに、
前記クライアント装置の表示デバイスに、前記対戦に用いられるカードを選択するための仮想的な場を表示するステップと、
前記第1グループ及び前記第2グループに対して、所定の時間的長さを有する共通の期間を設定するステップと、
前記期間内に前記1人以上の第1プレイヤのそれぞれの前記クライアント装置において選択されたカードの組み合わせに応じて、前記第1グループに含まれる第1キャラクタに関する情報を設定するステップと、
前記期間内に前記1人以上の第2プレイヤのそれぞれの前記クライアント装置において選択されたカードの組み合わせに応じて、前記第2グループに含まれる第2キャラクタに関する情報を設定するステップと、
前記期間内に前記第1グループ及び前記第2グループからそれぞれ表明を行った参加人数を判定し、前記参加人数に応じて、前記表明に関わる前記第1キャラクタ及び第2キャラクタの視覚的表現を変化させるとともに、設定された前記第1キャラクタに関する前記情報と、設定された前記第2キャラクタに関する前記情報と、に基づき、前記対戦を進行させるステップと、
を実行させる、コンピュータプログラム。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、平成29年9月28日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の記載は次のとおりである。

ア 請求項1
「1人以上の第1プレイヤのそれぞれに対応する1つ以上の第1キャラクタを含む第1グループと、1人以上の第2プレイヤのそれぞれに対応する1つ以上の第2キャラクタを含む第2グループとによる対戦が実行される対戦ゲームを、ネットワーク経由で前記第1プレイヤ及び前記第2プレイヤのそれぞれのクライアント装置に提供するための方法であって、
サーバ装置が、
前記クライアント装置の表示デバイスに、前記対戦に用いられるカードを選択するための仮想的な場を表示し、
前記第1グループ及び前記第2グループに対して、所定の時間的長さを有する共通の期間を設定し、
前記期間内に前記1人以上の第1プレイヤのそれぞれの前記クライアント装置において選択されたカードの組み合わせに応じて、前記第1グループに含まれる第1キャラクタに関する情報を設定し、
前記期間内に前記1人以上の第2プレイヤのそれぞれの前記クライアント装置において選択されたカードの組み合わせに応じて、前記第2グループに含まれる第2キャラクタに関する情報を設定し、
設定された前記第1キャラクタに関する前記情報と、設定された前記第2キャラクタに関する前記情報と、に基づき、前記対戦を進行させる、方法。」

イ 請求項2
「請求項1に記載の方法であって、
前記仮想的な場には、仮想的なカードの束であるデッキと、前記デッキから選択されたカードとが表示される、方法。」

ウ 請求項3
「請求項1又は請求項2に記載の方法であって、
前記表示デバイスは、前記対戦ゲームが展開される仮想的なフィールドをさらに表示する、方法。」

エ 請求項4
「請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の方法であって、
前記表示デバイスは、前記第1グループを構成するキャラクタから前記第2グループを構成するキャラクタに連続して攻撃を行った回数に関する情報をさらに表示する、方法。」

オ 請求項5
「1人以上の第1プレイヤのそれぞれに対応する1つ以上の第1キャラクタを含む第1グループと、1人以上の第2プレイヤのそれぞれに対応する1つ以上の第2キャラクタを含む第2グループとによる対戦が実行される対戦ゲームをネットワーク経由で前記第1プレイヤ及び前記第2プレイヤのそれぞれのクライアント装置に提供するサーバ装置であって、
前記クライアント装置の表示デバイスに、前記対戦に用いられるカードを選択するための仮想的な場を表示し、
前記第1グループ及び前記第2グループに対して、所定の時間的長さを有する共通の期間を設定し、
前記期間内に前記1人以上の第1プレイヤのそれぞれの前記クライアント装置において選択されたカードの組み合わせに応じて、前記第1グループに含まれる第1キャラクタに関する情報を設定し、
前記期間内に前記1人以上の第2プレイヤのそれぞれの前記クライアント装置において選択されたカードの組み合わせに応じて、前記第2グループに含まれる第2キャラクタに関する情報を設定し、
設定された前記第1キャラクタに関する前記情報と、設定された前記第2キャラクタに関する前記情報と、に基づき、前記対戦を進行させるプロセッサと、
を備える、
サーバ装置。」

カ 請求項6
「1人以上の第1プレイヤのそれぞれに対応する1つ以上の第1キャラクタを含む第1グループと、1人以上の第2プレイヤのそれぞれに対応する1つ以上の第2キャラクタを含む第2グループとによる対戦が実行される対戦ゲームを、ネットワーク経由で前記第1プレイヤ及び前記第2プレイヤのそれぞれのクライアント装置に提供するためのコンピュータに、
前記クライアント装置の表示デバイスに、前記対戦に用いられるカードを選択するための仮想的な場を表示するステップと、
前記第1グループ及び前記第2グループに対して、所定の時間的長さを有する共通の期間を設定するステップと、
前記期間内に前記1人以上の第1プレイヤのそれぞれの前記クライアント装置において選択されたカードの組み合わせに応じて、前記第1グループに含まれる第1キャラクタに関する情報を設定するステップと、
前記期間内に前記1人以上の第2プレイヤのそれぞれの前記クライアント装置において選択されたカードの組み合わせに応じて、前記第2グループに含まれる第2キャラクタに関する情報を設定するステップと、
設定された前記第1キャラクタに関する前記情報と、設定された前記第2キャラクタに関する前記情報と、に基づき、前記対戦を進行させるステップと、
を実行させる、コンピュータプログラム。」

2 補正の適否

(1)請求項1に係る本件補正について
請求項1に係る本件補正は、本件補正前の請求項1に対して、「前記期間内に前記第1グループ及び前記第2グループからそれぞれ表明を行った参加人数を判定し、前記参加人数に応じて、前記表明に関わる前記第1キャラクタ及び第2キャラクタの視覚的表現を変化させ」るとの事項(以下、「本件補正事項1」という。)を追加するものであると認められる。
これに対して、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)には、「参加するプレイヤの数に応じて一斉攻撃イベントの表示態様(視覚的表現)を変化させても良い。」(段落【0040】)、「例えば、図8に示すように、一斉攻撃を代行する代行キャラクタCh(例えば召喚獣など)をゲーム画面200に登場させ、一斉攻撃に参加表明するプレイヤが3人(「一斉コンボ3」)まで、10人(「一斉コンボ10」)まで、10人以上(「一斉コンボ10以上」)と変化するにつれ、代行キャラクタChも進化(電撃の帯電が激しくなるなど)させる。」(段落【0040】)、「一斉攻撃イベントには、代行キャラクタChが攻撃する態様のほか、代行キャラクタChを使うことなしに各キャラクタが同じタイミングで一斉に攻撃する態様であっても良いのはもちろんである。」(段落【0041】)と記載されていることから、「一斉攻撃イベント」への参加人数に応じて「一斉攻撃イベント」の際に「一斉攻撃」する「キャラクタ」の「視覚的表現」を変化させることは、当初明細書等の記載から自明な事項であると認められる。
しかしながら、本件補正事項1における「参加」は、「一斉攻撃」への参加に限定されておらず、「一斉攻撃」ではない通常の攻撃への参加や、対戦に関係しない何らかのイベント(例えば抽選等)への参加も含まれるところ、そのような「参加」の人数に応じて、「表明に関わる前記第1キャラクタ及び第2キャラクタの視覚的表現を変化させ」ることは当初明細書等に記載も示唆もされていない。
また、本件補正事項1においては、どのような時期に「視覚的表現を変化させ」るのかが規定されていないところ、「一斉攻撃イベント」のタイミングに関わらず常に「視覚的表現を変化させ」ることも含まれることに鑑みれば、そのように「視覚的表現を変化させ」ることは当初明細書等に記載も示唆もされていない。
してみると、本件補正事項1は、当初明細書等に記載されておらず、また、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項の範囲内であるとはいえず、請求項1に係る本件補正は当初明細書等に記載した事項との関係において新たな技術的事項を導入するものである。

(2)請求項5,6に係る本件補正について
請求項5に係る本件補正は、本件補正前の請求項5に対して、「前記期間内に前記第1グループ及び前記第2グループからそれぞれ表明を行った参加人数を判定し、前記参加人数に応じて、前記表明に関わる前記第1キャラクタ及び第2キャラクタの視覚的表現を変化させ」るとの事項(以下、「本件補正事項2」という。)を追加するものであり、請求項6に係る本件補正は、本件補正前の請求項6の「対戦を進行させるステップ」に「前記期間内に前記第1グループ及び前記第2グループからそれぞれ表明を行った参加人数を判定し、前記参加人数に応じて、前記表明に関わる前記第1キャラクタ及び第2キャラクタの視覚的表現を変化させるとともに」との事項(以下、「本件補正事項3」という。)を追加するものである。
してみると、上記(1)と同様に、本件補正事項2および本件補正事項3は当初明細書等に記載されておらず、また、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項の範囲内であるとはいえず、請求項5,6に係る本件補正は当初明細書等に記載した事項との関係において新たな技術的事項を導入するものである。

3 本件補正についてのむすび

よって、本件補正は、特許法17条の2第3項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。


第3 本願発明について

1 本願発明

平成30年3月2日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし6に係る発明は、平成29年9月28日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2の1(2)アのとおりのものであって、再掲すると、以下のとおりのものである。
「1人以上の第1プレイヤのそれぞれに対応する1つ以上の第1キャラクタを含む第1グループと、1人以上の第2プレイヤのそれぞれに対応する1つ以上の第2キャラクタを含む第2グループとによる対戦が実行される対戦ゲームを、ネットワーク経由で前記第1プレイヤ及び前記第2プレイヤのそれぞれのクライアント装置に提供するための方法であって、
サーバ装置が、
前記クライアント装置の表示デバイスに、前記対戦に用いられるカードを選択するための仮想的な場を表示し、
前記第1グループ及び前記第2グループに対して、所定の時間的長さを有する共通の期間を設定し、
前記期間内に前記1人以上の第1プレイヤのそれぞれの前記クライアント装置において選択されたカードの組み合わせに応じて、前記第1グループに含まれる第1キャラクタに関する情報を設定し、
前記期間内に前記1人以上の第2プレイヤのそれぞれの前記クライアント装置において選択されたカードの組み合わせに応じて、前記第2グループに含まれる第2キャラクタに関する情報を設定し、
設定された前記第1キャラクタに関する前記情報と、設定された前記第2キャラクタに関する前記情報と、に基づき、前記対戦を進行させる、方法。」

2 原査定の拒絶の理由

本願発明についての原査定の拒絶の理由は、本願発明は、原出願日前に頒布された下記の引用文献1に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないというものである。

引用文献1:特開2013-255809号公報

3 引用文献1

(1)引用文献1の記載事項
ア 引用文献1には、次の記載がある(下線は当審で付した。)。
「【0021】
サーバ装置10の外部メモリ15は、端末装置30で実行又は操作可能な様々なゲームを実行又は操作するためのゲームプログラムを記憶する。このゲームプログラムは,例えば,ActionScript、JavaScript(登録商標)等のスクリプト言語や、Objective-C、Java(登録商標)等のオブジェクト指向プログラミング言語で作成することができる。これらのゲームプログラムは、端末装置30に実装されたプラットフォーム上で実行及び/又は操作される。また、外部メモリ15に記憶されるゲームプログラムは、HTML5等のマークアップ言語で作成されたウェブページをCSS3等のスタイルシートで修飾したものであってもよい。このようなマークアップ言語で作成されたウェブページは、端末装置30に実装されたブラウザソフトウェアにより実行又は操作される。また、サーバ装置10は、外部メモリ15に、任意の数のゲームプログラムを格納することができ、端末装置30によって選択されたゲームを実行及び/又は操作するためのゲームプログラムを、CPU11の制御に従って、通信I/F14を介して任意の数の端末装置30に提供することもできる。端末装置30では、サーバ装置10により送信されたゲームプログラムが、CPU31の制御に従って、通信I/F34を介して受信され、受信されたゲームプログラムが外部メモリ35に送信され記憶される。
【0022】
端末装置30のユーザは、このゲームを実行又は操作することにより、アクションゲーム、ロールプレイングゲーム、野球対戦ゲーム、カードゲーム等の様々なゲームをプレイすることができる。ゲームプログラムによって実現されるゲームの種類は、本明細書において明示されたものに限られない。ゲームが実行されると、例えば、プログラムにより指示されたアニメーションや操作用アイコンが端末装置30の画面に表示される。プレイヤは、端末装置30の入力インタフェース(例えば、タッチスクリーンやボタン)を用いてゲームを進行させるための指示を入力することができる。」
「【0029】
カード管理部55は、各プレイヤがどのカードを保有しているのかを管理する。具体的には、カード管理部55は、例えば、図6に示すような管理テーブル(カード管理テーブル)を作成して識別情報記憶部52に記憶させる。図6に示すように、カード管理部55は、各プレイヤ(例えばプレイヤP1)に対して、そのプレイヤの保有する各カードを識別するカード識別情報を割り当てて識別情報記憶部52に記憶させる。なお、図6には、同一種類のカード(例えば戦士Aが割り当てられたカードC1)について、プレイヤP1及びプレイヤP2には、それぞれカード識別情報P001C001及びP002C001が割り当てられているが、そのカードを未だ保有していないプレイヤP3には、カード識別情報00000000が割り当てられている。このカード管理テーブルを参照すれば、各プレイヤがゲームで使用可能なカードのうちのどのカードを保有しているのかを識別することができる。」
「【0039】
図10に示すように、まず、ステップ100において、チームT1及びチームT2が編成される。各チームは、複数のプレイヤにより構成される。チームの編成の態様としては、i)加入可能なチームの一覧が各プレイヤの端末装置30に表示され、各プレイヤがその一覧から加入を希望するチームを選択してそのチームに加入する態様、ii)サーバ装置10が任意の条件に従って又はランダムに各プレイヤを所定のチームに割り当てる態様等が挙げられる。なお、各チームを構成するプレイヤの総数は限定されるものではないが、本実施形態では、各チームは一例として10人のプレイヤにより構成されるものとする。・・・」
「【0041】
次に、ステップ104において、各チームは、そのチームが使用するチームデッキを形成する。本実施形態では、各プレイヤは、チームデッキに提供すべきカードとして、手持ちのカードの中から1枚のカードを選択する。よって、各チームのチームデッキは、10枚のカードにより構成される。なお、チームデッキを構成するカードの総数、及び/又は、各プレイヤがチームデッキに提供すべきカードとして選択することができるカードの総数は、特に限定されるものではなく、任意に設定可能なものである。例えば、或るチームに属する或るプレイヤがチームデッキに提供すべきカードとして複数のカードを選択してもよいし、そのチームに属する別のプレイヤがチームデッキに対して全くカードを提供しなくてもよい。
【0042】
各チームがチームデッキを形成すると、サーバ装置10のチームデッキ管理部58は、各チームについて、図9に示したようなチームデッキ管理テーブルを用いて、チームを識別するチーム識別情報と、チームデッキを識別するチームデッキ識別情報と、そのチームデッキを構成するカードを識別するカード識別情報と、を対応付けて管理する。
なお、チームデッキ管理部58は、各プレイヤにチームデッキに提供すべきカードを選択させることに代えて、そのプレイヤの手持ちのカードの中から所定の基準に従って(例えば所定の特性値が高いカードを優先的に選択するという基準等)又はランダムに選択したカードを用いて、そのチームのチームデッキを形成してもよい。
【0043】
次に、ステップ106において、チームT1とチームT2との対戦が行われる。チームT1とチームT2との対戦方法には、様々な態様が含まれる。」
「【0046】
プレイヤ1は、図11の矢印に示すように、チームT2のチームデッキを構成する10枚のカードのうちカード1(チームT2のプレイヤ1により提供されたカード1)と対戦する。なお、チームT1のプレイヤ1と対戦するカードを決定する方法としては、対戦の度にサーバ装置10の対戦処理部59がチームT2のチームデッキの中からランダムにカードを1枚選ぶ方法;対戦処理部59が、チームT2のチームデッキの中から、あらかじめ決められた順番に従って、カードを出す方法;対戦処理部59が、チームT1のプレイヤ1に、チームT2のチームデッキの中からカードを選択させる方法、などが挙げられる。チームT1のプレイヤ1のプレイヤデッキとチームT2のカード1とが対戦するとき、チームT1のプレイヤ1の端末装置30には、チームT2のカード1が、敵キャラクター(レイドボス)として表示されてもよい。・・・」
「【0051】
次に、図11に示した対戦方法に代えて、図13に示した対戦方法を用いることも可能である。図13は、本発明の一実施形態に係るサーバ装置10により提供される対戦方法の別の具体例を概念的に示す模式図である。
図13において、上段には、防御側チームであるチームT2のチームデッキが示され、下段には、攻撃側チームであるT1のチームデッキが示されている。このように、防御側チームも攻撃側チームも、そのチームのチームデッキを用いる。
【0052】
上段に示されたチームT2のチームデッキは、上述したように、チームT2を構成する各プレイヤにより1枚ずつ提供されたカードにより形成されたものである。ここで、カード1?カード10は、それぞれ、チームT2のプレイヤ1?プレイヤ10により提供されたものである。同様に、下段に示されたチームT1のチームデッキもまた、上述したように、チームT1を構成する各プレイヤにより1枚ずつ提供されたカードにより形成されたものである。ここで、カード1?カード10は、それぞれ、チームT1のプレイヤ1?プレイヤ10により提供されたものである。
【0053】
図13に示す対戦では、サーバ装置10の対戦処理部59は、攻撃側チームであるチームT1のチームデッキを構成するカード1?カード10のそれぞれに設定された攻撃値を合計した合計攻撃値(評価値)と、防御側チームであるチームT2のチームデッキを構成するカード1?カード10のそれぞれに設定された体力値を合計した合計体力値(評価値)と、を比較する。合計攻撃値が合計体力値より大きい場合には、チームT1が勝利する一方、合計攻撃値が合計体力値以下である場合には、チームT2が勝利する。」
「【0060】
さらには、チームデッキに提供されたカード間の相性によって特殊能力が発現するというルールが定められている場合がある。例えば、図3に示したサーバ装置10の対戦処理部59が、図10に示したステップ106において対戦の処理をする際に、チームデッキに含まれた或るカードに設定された所定の特性値と、そのチームデッキに含まれた別のカードに設定された所定の特性値と、の間の関連性(共通性、逆行性や相性等)に基づいて、そのチームデッキ(又はそのチームデッキに含まれたカード)の評価値を算出することもできる。具体的には、対戦処理部59は、或るカードに設定された属性値と別のカードに設定された属性値とが共通する場合(例えば両方の属性値がともに「火」である場合)には、それらのカードに設定された攻撃値、体力値やレアリティ値を一時的に増加させて、そのチームデッキ(又はそのチームデッキに含まれたカード)の評価値を算出すること、逆に、或るカードに設定された属性値と別のカードに設定された属性値とが逆行する場合(例えば両方の属性値がそれぞれ「火」及び「水」である場合)には、それらのカードに設定された攻撃値、体力値やレアリティ値を一時的に減少させて、そのチームデッキ(又はそのチームデッキに含まれたカード)の評価値を算出することができる。したがって、各プレイヤは、複数のカード間における特性値の関連性を考慮して、チームデッキに提供すべきカードを選択することができる。例えば、各プレイヤは、属性値として「火」が設定されたカードが多数提供されていることを考慮して、手持ちのカードの中から属性値として「火」が設定されたカードを選択することができる。」



引用文献1の図10より、「ステップ104」が「ステップ106」の前に行われることが、看て取れる。



引用文献1の図14より、戦士A、魔術師C、遊び人、学者またはドラゴンCがカードに割り当てられることが、看て取れる。

(2)引用発明1の認定
ア 引用文献1の段落【0051】には「図13に示した対戦方法を用いることも可能である。」および「図13において、上段には、防御側チームであるチームT2のチームデッキが示され、下段には、攻撃側チームであるT1のチームデッキが示されている。このように、防御側チームも攻撃側チームも、そのチームのチームデッキを用いる。」と記載されており、「防御側チームも攻撃側チームも、そのチームのチームデッキを用いる」「対戦方法」が記載されていると認められるから、引用文献1には「チームデッキ」を用いて「チームT1」と「チームT2」とによる対戦を行うゲームが記載されていると認められる。
イ 引用文献1の段落【0022】には「ゲームが実行されると、例えば、プログラムにより指示されたアニメーションや操作用アイコンが端末装置30の画面に表示される。プレイヤは、端末装置30の入力インタフェース(例えば、タッチスクリーンやボタン)を用いてゲームを進行させるための指示を入力することができる。」と記載されているから、「プレイヤ」の「端末装置」には「ゲームが実行される」ための「プログラム」が存在していると認められる。そして、段落【0021】には「サーバ装置10は、外部メモリ15に、任意の数のゲームプログラムを格納することができ、端末装置30によって選択されたゲームを実行及び/又は操作するためのゲームプログラムを、CPU11の制御に従って、通信I/F14を介して任意の数の端末装置30に提供することもできる。」と記載されていることから、引用文献1には、「サーバ装置」が「ゲームを実行及び/又は操作するためのゲームプログラムを」「通信I/F」を介して「プレイヤ」の「端末装置に提供する」ことが記載されていると認められる。
ウ 引用文献1の段落【0060】には「具体的には、対戦処理部59は、或るカードに設定された属性値と別のカードに設定された属性値とが共通する場合(例えば両方の属性値がともに「火」である場合)には、それらのカードに設定された攻撃値、体力値やレアリティ値を一時的に増加させて、そのチームデッキ(又はそのチームデッキに含まれたカード)の評価値を算出する」との記載があり、これは「チームデッキに含まれた或るカードに設定された所定の特性値と、そのチームデッキに含まれた別のカードに設定された所定の特性値と、の間の関連性(共通性、逆行性や相性等)に基づいて、そのチームデッキ(又はそのチームデッキに含まれたカード)の評価値を算出する」ことの具体例として記載されているから、当該「具体的には、・・・」との記載における「或るカード」と「別のカード」は同じ「チームデッキ」に含まれるものであると認められる。
エ 以上より、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「サーバ装置が、
10人のプレイヤにより構成されるチームT1を構成する各プレイヤにより1枚ずつ提供されたカードにより形成されたチームデッキ、および、10人のプレイヤにより構成されるチームT2を構成する各プレイヤにより1枚ずつ提供されたカードにより形成されたチームデッキを用いてチームT1とチームT2とによる対戦を行うゲームを実行及び/又は操作するためのゲームプログラムを、通信I/Fを介してプレイヤの端末装置に提供し、
ステップ106において、チームデッキに含まれた或るカードに設定された属性値と、そのチームデッキに含まれた別のカードに設定された属性値とが共通する場合には、それらのカードに設定された攻撃値、体力値を一時的に増加させ、
攻撃側チームであるチームT1のチームデッキを構成するカード1?カード10のそれぞれに設定された攻撃値を合計した合計攻撃値(評価値)と、防御側チームであるチームT2のチームデッキを構成するカード1?カード10のそれぞれに設定された体力値を合計した合計体力値(評価値)と、を比較して、対戦処理を行う、方法において、
ステップ106の前のステップ104において、各チームの各プレイヤが、チームデッキに提供すべきカードとして、手持ちのカードの中から1枚のカードを選択する、方法。」

4 対比・判断

(1)本願発明と引用発明1とを対比する。
ア 引用発明1の「チームT1」を構成する「10人のプレイヤ」および「チームT2」を構成する「10人のプレイヤ」は、それぞれ、本願発明の「1人以上の第1プレイヤ」および「1人以上の第2プレイヤ」に相当する。
イ 引用文献1の段落【0029】および図14には、「カード」に「戦士A」、「魔術師C」、「遊び人」、「学者」または「ドラゴンC」が割り当てられることが例示されている。そして、引用文献1の段落【0046】には、「チームT2のカード1が、敵キャラクター(レイドボス)として表示されてもよい。」と記載されている。してみると、引用発明1の「カード」は本願発明の「第1キャラクタ」および「第2キャラクタ」に相当する構成を含むものであると認められる。
ウ 引用発明1において、「チームT1を構成する各プレイヤにより1枚ずつ提供されたカードにより形成されたチームデッキ」は「チームT1」に属し、「チームT2を構成する各プレイヤにより1枚ずつ提供されたカードにより形成されたチームデッキ」は「チームT2」に属すると認められるから、「チームT1を構成する各プレイヤにより1枚ずつ提供されたカード」は「チームT1」に含まれ、「チームT2を構成する各プレイヤにより1枚ずつ提供されたカード」は「チームT2」に含まれると認められる。そして、引用文献1の段落【0029】の記載より、引用発明1の「カード」は「各プレイヤ」に対応づけられていると認められるとともに、上記イのとおり引用発明1の「カード」は本願発明の「第1キャラクタ」および「第2キャラクタ」に相当する構成を含むものであると認められるから、引用発明1の「チームT1を構成する各プレイヤにより1枚ずつ提供されたカード」を含む「チームT1」は本願発明の「第1プレイヤのそれぞれに対応する1つ以上の第1キャラクタを含む第1グループ」に相当し、引用発明1の「チームT2を構成する各プレイヤにより1枚ずつ提供されたカード」を含む「チームT2」は本願発明の「第2プレイヤのそれぞれに対応する1つ以上の第2キャラクタを含む第2グループ」に相当する。
エ 引用発明1の「通信I/Fを介してプレイヤの端末装置に提供し」は、本願発明の「ネットワーク経由で前記第1プレイヤ及び前記第2プレイヤのそれぞれのクライアント装置に提供する」に相当する。
オ 引用発明1の「チームデッキ」は、「各チームの各プレイヤが、チームデッキに提供すべきカードとして、手持ちのカードの中から1枚のカードを選択する」ことにより形成されるから、本願発明の「前記1人以上の第1プレイヤのそれぞれの前記クライアント装置において選択されたカードの組み合わせ」および「前記1人以上の第2プレイヤのそれぞれの前記クライアント装置において選択されたカードの組み合わせ」に相当する。
カ 引用発明1においては「チームデッキに含まれた或るカードに設定された属性値と、そのチームデッキに含まれた別のカードに設定された属性値とが共通する場合には、それらのカードに設定された攻撃値、体力値を一時的に増加させ」るところ、これは、「チームデッキに含まれた」「カード」の組み合わせに応じて「カードに設定された攻撃値、体力値を一時的に増加させ」て設定すると言い換えることができる。そして、上記イのとおり、引用発明1の「カード」は本願発明の「第1キャラクタ」および「第2キャラクタ」に相当する構成を含むものであると認められるから、引用発明1の「カードに設定された攻撃値、体力値」は、本願発明の「第1キャラクタに関する情報」および「第2キャラクタに関する情報」に該当する。してみると、本願発明の「前記期間内に前記1人以上の第1プレイヤのそれぞれの前記クライアント装置において選択されたカードの組み合わせに応じて、前記第1グループに含まれる第1キャラクタに関する情報を設定し、前記期間内に前記1人以上の第2プレイヤのそれぞれの前記クライアント装置において選択されたカードの組み合わせに応じて、前記第2グループに含まれる第2キャラクタに関する情報を設定し」と、引用発明1の「チームデッキに含まれた或るカードに設定された属性値と、そのチームデッキに含まれた別のカードに設定された属性値とが共通する場合には、それらのカードに設定された攻撃値、体力値を一時的に増加させ」とは、「前記1人以上の第1プレイヤのそれぞれの前記クライアント装置において選択されたカードの組み合わせに応じて、前記第1グループに含まれる第1キャラクタに関する情報を設定し、」「前記1人以上の第2プレイヤのそれぞれの前記クライアント装置において選択されたカードの組み合わせに応じて、前記第2グループに含まれる第2キャラクタに関する情報を設定」する点で共通する。
キ 引用発明1において、「合計攻撃値(評価値)」および「合計体力値(評価値)」は「カードに設定された攻撃値、体力値」に基づくものであると認められるところ、引用発明1の「攻撃側チームであるチームT1のチームデッキを構成するカード1?カード10のそれぞれに設定された攻撃値を合計した合計攻撃値(評価値)と、防御側チームであるチームT2のチームデッキを構成するカード1?カード10のそれぞれに設定された体力値を合計した合計体力値(評価値)と、を比較して、対戦処理を行う」は、本願発明の「設定された前記第1キャラクタに関する前記情報と、設定された前記第2キャラクタに関する前記情報と、に基づき、前記対戦を進行させる」に相当する。
ク 以上のことから、本願発明と引用発明1との一致点および相違点は、次のとおりである。
【一致点】
「1人以上の第1プレイヤのそれぞれに対応する1つ以上の第1キャラクタを含む第1グループと、1人以上の第2プレイヤのそれぞれに対応する1つ以上の第2キャラクタを含む第2グループとによる対戦が実行される対戦ゲームを、ネットワーク経由で前記第1プレイヤ及び前記第2プレイヤのそれぞれのクライアント装置に提供するための方法であって、
サーバ装置が、
前記1人以上の第1プレイヤのそれぞれの前記クライアント装置において選択されたカードの組み合わせに応じて、前記第1グループに含まれる第1キャラクタに関する情報を設定し、
前記1人以上の第2プレイヤのそれぞれの前記クライアント装置において選択されたカードの組み合わせに応じて、前記第2グループに含まれる第2キャラクタに関する情報を設定し、
設定された前記第1キャラクタに関する前記情報と、設定された前記第2キャラクタに関する前記情報と、に基づき、前記対戦を進行させる、方法。」
【相違点1】
本願発明においては「サーバ装置が、前記クライアント装置の表示デバイスに、前記対戦に用いられるカードを選択するための仮想的な場を表示」するのに対して、引用発明1ではそのような「仮想的な場を表示」することが明示されていない点。
【相違点2】
本願発明においては、「第1プレイヤ」および「第2プレイヤ」が「カード」を「選択」するため、「前記第1グループ及び前記第2グループに対して、所定の時間的長さを有する共通の期間を設定」しているのに対して、引用発明1ではそのような「共通の期間を設定」しているか否かが不明である点。

(2)上記相違点1について検討する。
プレイヤがカードを選択するために、ゲームの端末装置の画面に、仮想的な場を表示することは例を挙げるまでもなく周知技術である。そして、引用発明1において、「各チームの各プレイヤが、チームデッキに提供すべきカードとして、手持ちのカードの中から1枚のカードを選択する」際に、「プレイヤ」が「カードを選択する」ための何らかの手段を設ける必要があることは当業者にとって自明であるところ、当業者であれば、前記周知技術を採用して、上記相違点1に係る本願発明の発明特定事項となすことは容易に想到し得たことである。

(3)上記相違点2について検討する。
引用発明1においては「ステップ104において、各チームの各プレイヤが、チームデッキに提供すべきカードとして、手持ちのカードの中から1枚のカードを選択」しており、「チームT1」および「チームT2」に対して共通の「ステップ104」で「カードを選択」していると認められる。引用文献1には、「所定の時間的長さを有する共通の期間」に「カードを選択」することまでは記載されていないものの、「カードを選択」する「ステップ104」の後続には、「チームT1」と「チームT2」との「対戦処理を行う」「ステップ106」がある。そして、このような「チーム」による「対戦を行うゲーム」において「対戦処理」の前段階の「プレイヤ」が選択する期間に時間的制限を設けることは、常套手段であると認められる。また、「チームT1」および「チームT2」に対して共通の期間を設定することも、常套手段であると認められる。
してみると、引用発明1において、「カードを選択」するため、「チームT1」および「チームT2」に対して「所定の時間的長さを有する共通の期間」を設定し、上記相違点2に係る本願発明の構成となすことは当業者であれば適宜なし得た設計的事項である。また、そのようにすることにより、当業者が予測し得ない格別の効果を奏するとはいえない。

(4)したがって、本願発明は、引用発明1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。


第4 むすび

以上のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-09-27 
結審通知日 2018-10-02 
審決日 2018-10-15 
出願番号 特願2016-40261(P2016-40261)
審決分類 P 1 8・ 561- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 前地 純一郎  
特許庁審判長 尾崎 淳史
特許庁審判官 吉村 尚
後藤 昌夫
発明の名称 対戦ゲームを提供する方法、サーバ装置、及びコンピュータプログラム  
代理人 恩田 博宣  
代理人 恩田 誠  

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