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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 G09F
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G09F
管理番号 1346736
審判番号 不服2018-2470  
総通号数 229 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-01-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-02-21 
確定日 2018-12-18 
事件の表示 特願2015- 16551「画像表示装置及びその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 8月 8日出願公開、特開2016-142807、請求項の数(10)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成27年1月30日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成29年 7月20日付け:拒絶理由通知書
平成29年 9月22日 :意見書、手続補正書の提出
平成29年11月29日付け:拒絶査定(送達日:同年12月5日)
平成30年 2月21日 :審判請求書、手続補正書の提出

第2 原査定の概要
原査定(平成29年11月29日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

1.(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

●理由1(特許法第29条第1項第3号)、理由2(特許法第29条第2項)について

・請求項 1-4
・引用文献等 1-2

・請求項 5
・引用文献等 1

●理由2(特許法第29条第2項)について

・請求項 6
・引用文献等 1-3

<拒絶の理由を発見しない請求項>
平成29年9月22日付け手続補正書による補正後の請求項7-10に係る発明については、現時点では、拒絶の理由を発見しない。

引用文献等一覧
1.特開2014-92724号公報
2.特開2011-118409号公報
3.特開2014-129469号公報

第3 本願発明
本願請求項1-10に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明10」という。)は、平成30年2月21日に補正された特許請求の範囲の請求項1-10に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1、本願発明7及び本願発明9は、それぞれ、以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
第1のパネルと、
前記第1のパネルと粘着部材を介して貼り合わされる第2のパネルと、
を備え、
前記粘着部材は、断面視したときに、前記第1のパネルとの接着面である第1の接着面と側面とが前記第1の接着面の端点で成す第1の角、及び前記第2のパネルとの接着面である第2の接着面と側面とが前記第2の接着面の端点で成す第2の角のいずれの角度も、10度から60度の範囲であること、
を特徴とする画像表示装置。」
「【請求項7】
第1のパネルと、前記第1のパネルと粘着部材を介して貼り合わされる第2のパネルとを備えた画像表示装置の製造方法であって、
前記第1のパネルの前記第2のパネルと対向する面上に、硬化後に粘着部材となる粘着部剤を面状に印刷する第1の工程と、
前記第1の工程で印刷された前記粘着部剤の周縁部の位置を決める硬化をさせる仮硬化を行う第2の工程と、
前記第2の工程で仮硬化された前記粘着部剤の表面と前記第2のパネルの前記第1のパネルと対向する面とを接触させ、前記第1のパネルもしくは前記第2のパネルのいずれか一方、または前記第1のパネルおよび前記第2のパネルの両方を揺動する第3の工程と、
前記第3の工程後に、前記第1のパネルと前記第2のパネルとを引き離す第6の工程と、
前記第6の工程を経た前記粘着部剤を本硬化させて前記粘着部材にする第4の工程と、
を備えたことを特徴とする画像表示装置の製造方法。」
「【請求項9】
第1のパネルと、前記第1のパネルと粘着部材を介して貼り合わされる第2のパネルとを備えた画像表示装置の製造方法であって、
前記第1のパネルの前記第2のパネルと対向する面上と、前記第2のパネルの前記第1のパネルと対向する面上とに、それぞれ硬化後に粘着部材となる粘着部剤を面状に印刷する第7の工程と、
前記第7の工程で印刷された前記粘着部剤の周縁部の位置を決める硬化をさせる仮硬化を行う第8の工程と、
前記第8の工程で仮硬化された第1のパネルの前記粘着部剤の表面と前記第2のパネルの前記粘着部剤の表面とを接触させ、前記第1のパネルもしくは前記第2のパネルのいずれか一方、または前記第1のパネルおよび前記第2のパネルの両方を揺動する第9の工程と、
前記第9の工程後に、前記第1のパネルと前記第2のパネルとを引き離す第12の工程と、
前記第12の工程を経た前記粘着部剤を本硬化させて前記粘着部材にする第10の工程と、
を備えたことを特徴とする画像表示装置の製造方法。」

なお、本願発明2-6は本願発明1を減縮した発明であり、本願発明8は本願発明7を減縮した発明であり、本願発明10は本願発明9を減縮した発明である。

第4 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
(1)原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審による。)。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に係わり、特に、表示パネルの前面に保護部材となるフロントウィンドが配置される表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話に代表される携帯情報端末に搭載される表示装置では、表示装置の前面からの衝撃等から表示パネルを形成するガラス基板を保護するために、フロントウィンドと称される表示装置の前面を覆う透明保護部材が設けられている。このフロントウィンドは表示装置の最前面に配置されるガラス基板に固定されており、特に、透光性を有するUV硬化性樹脂や熱硬化性樹脂等を接着剤として用いて固定されている。このフロントウィンドが配置される表示装置では、フロントウィンドの辺縁部に沿って環状の遮光膜が形成されており、該遮光膜はフロントウィンドの裏面すなわち表示パネルとの対向面に印刷で形成されている。
【0003】
表示パネルへのフロントウィンドの接着では、例えば、フロントウィンドの対向面に必要量のUV硬化性樹脂や熱硬化性樹脂を塗布した後に表示パネルを載置して硬化性樹脂を塗り広げ、UV光や熱を印加して硬化性樹脂を硬化させることが一般的である。しかしながら、フロントウィンドの対向面に形成される遮光膜はフロントウィンドの対向面(裏面)から法線方向に突出するようにして形成されているので、遮光膜の内側端部とフロントウィンドの対向面とには段差が形成される。このために、硬化性樹脂の塗布量が少ない場合や塗り広がりが不足する場合には、段差部分への硬化性樹脂の入り込みが不十分となり、この段差部分に気泡が生じてしまい表示品質が低下してしまうという問題があった。この気泡の発生を防止する方法として硬化性樹脂を多めに塗布する方法があるが、フロントウィンドや表示パネルの外周部分から硬化性樹脂がはみ出してしまい、このはみ出した硬化性樹脂を除去する工程が必要となり生産効率が低下してしまうという問題があった。」

「【0008】
本発明はこれらの問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、フロントウィンドと表示パネルとを接着剤で固定する際に生じる気泡の発生と接着剤のはみ出しを防止した表示装置を提供することにある。」

「【0015】
本実施形態の表示装置では、図2の断面図に示すように、表示パネル3の前面すなわち表示面側にUV接着剤(接着剤層)2でフロントウィンド1が接着され、固定されている。このとき、フロントウィンド1の裏面すなわち表示パネル3と対向する側の面(対向面)に遮光膜4が印刷で形成されている。この遮光膜4は図1に示すようにフロントウィンド1の辺縁部に沿い環状に形成され、この遮光膜4に囲まれる開口部分を介して表示パネル3からの画像が表示される。」

「【0017】
本願発明の表示装置においては、図1中に点線で示すように、UV接着剤2は遮光膜4の開口部を覆うように形成されると共に、その端部が遮光膜4に覆われる領域内となる。すなわち、本願発明の構成においても、表示パネル3から出力される表示画像が操作者側に出力される範囲である遮光膜4の開口領域には接着剤2が塗布されると共に、遮光膜4の内周側の辺縁領域にも接着剤2が塗布される構成となる。この構成により、本願発明の表示装置においても、接着剤2の端部等が操作者側に露出されてしまうことを防止する構成となっている。」

「【0020】
また、本実施形態の構成では、環状の遮光膜4で囲まれる領域である開口部を覆うようにして透明印刷層5が形成されており、該透明印刷層5の端部が遮光膜4の内周側端部と重畳される構成となっている。すなわち、本実施形態の構成では、フロントウィンド1の対向面に遮光膜4のみが形成される領域(図3中に示す領域R1)と、フロントウィンド1の対向面に遮光膜4と透明印刷層5とが重畳して形成される領域(図3中に示す領域R2)と、フロントウィンド1の対向面に透明印刷層5のみが形成される領域(図3中に示す領域R3)とが形成される。ただし、本実施形態の透明印刷層5は、従来の表示装置におけるフロントウィンドと表示パネルとの間隔に相当する膜厚で形成される。この構成により、UV接着剤2の塗布量を低減させることを可能としている。なお、透明印刷層5の膜厚はこれに限定されることはなく、従来の表示装置でのフロントウィンドと表示パネルとの間隔よりも薄く形成される構成であってもよい。
【0021】
また、領域R2となる遮光膜4の内周側の辺縁部には、遮光膜4と透明印刷層5とが重畳して形成されている。特に、本実施形態の構成では、第1の遮光膜41を印刷で形成し、さらに該第1の遮光膜41に重畳するようにして第2の遮光膜42が印刷で形成され、遮光膜4が形成される。この後に、図3に示すように、第2の遮光膜42の内側辺縁部とこの第2の遮光膜42から露出される第1の遮光膜41の表面、及び第1の遮光膜41から露出されるフロントウィンド1の対向面側を覆うようにして、透明印刷層5が印刷により形成される。その結果、本実施形態の構成では、遮光膜4の開口部側の端部は透明印刷層5で覆われる構成となるので、遮光膜4の開口部側の端部に気泡が生じてしまうことを防止できる。
【0022】
この後に、透明印刷層5の上層すなわち表示パネル3が接着される側の面にUV接着剤2が塗布され、表示パネル3が載置され、UV光によりUV接着剤2が硬化処理され、表示パネル3の前面にフロントウィンド1が固定される。このとき、本実施形態の構成では、透明印刷層5の上面である対向面にUV接着剤2が塗布され、該UV接着剤2が濡れ広がることとなる。この濡れ広がりは、例えば、図3に示すように、透明印刷層5の端部よりもA側に濡れ広がるUV接着剤2はその表面張力によって、UV接着剤2のA側の端面が曲面状となり、濡れ広がりが一時的に抑制されることとなる。従って、例えば、誤差を含めたUV接着剤2の塗布量及び塗布領域の最小が図3に示す範囲となるように、UV接着剤2の塗布量及び塗布領域を予め設定しておくことができる。これにより、遮光膜4の開口側の端部すなわち第1及び第2の遮光膜41,42のA’側の端部よりもフロントウィンド1の辺縁部側すなわち遮光膜4の形成領域に、UV接着剤2の端部が形成される構成とすることができる。その結果、接着剤2の端部も遮光膜4で覆われる構成となるので、操作者側から接着剤2の端部等が確認できてしまうことを防止できる。
【0023】
例えば、UV接着剤2の塗布量及び塗布領域が最小値よりも多い場合、前述する図3に示す接着剤2の表面張力による範囲を超えてUV接着剤2が濡れ広がることなる。このときの図1に示すB-B’線での断面図を示したのが図4であり、図3と同様な位置での拡大された断面図となる。
【0024】
図3に示す場合よりもUV接着剤2の塗布される量が多い場合、図4に示すように、塗布されたUV接着剤2は領域R1に濡れ広がることとなる。この場合、領域R1では遮光膜4のみが形成される構成となっているので、遮光膜4と透明印刷層5とが重畳して形成される領域R2よりもその容積が大きい構成となる。特に、本実施形態の構成では、図3及び図4に示すように、遮光膜4の膜厚よりも透明印刷層5の膜厚が大きく構成されている。その結果、領域R2及び領域R3よりも領域R1における容積が大きく形成されている。すなわち、フロントウィンド1と表示パネル3とにより形成されるZ方向すなわち厚さ方向の間隔が、領域R1>領域R3>領域R2の順となり、その容積すなわち各領域でのUV接着剤2が占める体積もこの順番となる。
【0025】
その結果、UV接着剤2の塗布量及び塗布領域が製造装置の誤差範囲等で大きくなった場合であっても、UV接着剤2の領域R1におけるA側方向すなわちフロントウィンド1の端部方向への濡れ広がりすなわち外周方向へのUV接着剤2の端部の移動量を他の領域R2,R3よりも抑えることが可能となる。すなわち、本実施形態の構成では、領域R1をUV接着剤2の塗布時における貯留領域として用いることが可能となるので、UV接着剤2の塗布や濡れ広がりに伴う当該UV接着剤2のはみ出しを防止することが可能となる。」

(2)したがって、上記引用文献1には次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「表示パネル3にUV接着剤2でフロントウィンド1が接着され、固定されている表示装置であって、フロントウィンド1の表示パネル3と対向する側の面(対向面)に遮光膜4が印刷で環状に形成され、この遮光膜4に囲まれる開口部分を介して表示パネル3からの画像が表示され(【0015】より。)、
環状の遮光膜4で囲まれる領域である開口部を覆うようにして透明印刷層5が形成されており(【0020】より。)、
透明印刷層5の上面にUV接着剤2が塗布され、透明印刷層5の端部よりもA側に濡れ広がるUV接着剤2はその表面張力によって、UV接着剤2のA側の端面が曲面状となり、濡れ広がりが一時的に抑制される状態を、UV接着剤2の塗布量及び塗布領域の最小とし(【0022】より。)、
UV接着剤2の塗布量及び塗布領域が最小値よりも多い場合、接着剤2の表面張力による範囲を超えて(【0023】より。)、塗布されたUV接着剤2は、フロントウィンド1の対向面に遮光膜4のみが形成される領域R1に濡れ広がることとなる(【0020】、【0024】より。)、
表示装置(【0015】より。)。」

2.引用文献2について
(1)原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審による。)。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関し、特にその前面側に透明な保護板を備える表示装置に関する。さらに、このような表示装置を備える機器に関する。」

「【0003】
このような表示装置が携帯電話などの携帯機器に搭載される場合には、外部からの機械的な力の作用により表示が乱れたり、破壊してしまうことを防止するため、表示装置の前面に透明な保護板を設ける。
【0004】
保護板は空気と異なる屈折率を有するため、保護板と空気との界面では反射が生じる。つまり、保護板を備える表示装置では、保護板の前面と背面で不要な界面反射が生じるため、特に周囲の環境が明るい場合には表示装置の視認性が著しく損なわれてしまう。
【0005】
保護板を備えることにより生じる不要な反射を抑制する方法として、例えば特許文献1には、保護板と表示装置との間に保護板と略同一の屈折率の液状材料で構成される外光反射防止層を設ける表示装置が開示されている。」

「【0008】
保護板と表示装置との間に液状材料からなる透明層を外光反射防止層として充填する場合、保護板と表示装置の間から透明層が漏れ出さないようにするため、周囲をシール材で覆うなどの対策が必要となり、工程や構造が煩雑になる。
【0009】
このため、我々はその扱い易さと加工性が良いことから透明層として液状材料の代わりにシート状材料を適用することを検討した。透明層としてシート状の材料を適用する場合には幾つかの課題が生じる。
【0010】
一般に保護板と表示装置はいずれも固く、固いもの同士の間にシート状部材を貼り合わせる場合、気泡が介在しやすい。シート状部材からなる透明層と保護板の間や透明層と表示装置の間に気泡が介在する場合、気泡が介在する部分では不要な反射が生じるため、表示品位が低下するという課題を生じる。」

「【0012】
本発明はこのような従来技術の課題を解決すべくなされたものであり、その目的は気泡の混入が少なく、高品位な表示が得られる表示装置を実現することにある。」

「【0051】
透明層としては、例えば下記のものが挙げられる。
【0052】
モノマーを熱硬化,光硬化することにより重合させる熱硬化樹脂や、光硬化樹脂、或いはすでに重合が完了している熱可塑性の樹脂を挙げることができる。
【0053】
保護板10と表示パネル30の間に透明層20を充填する方法としては、透明層20が接する部材(保護板、或いは液晶セル)の周縁部に必要に応じて図示しない土手を設け、透明層20としての熱硬化樹脂や光硬化樹脂のモノマーを保護板10と表示パネル30との隙間に充填後、適切な熱、或いは光を与えることにより硬化させるという方法がある。これら樹脂のモノマーとしては、モノマー内の2重結合を用いて重合させるもの、脱水反応により重合させるもの、脱アルコール反応等が挙げられる。」

「【0056】
また、熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン,スチレン/アクリル樹脂,アクリル樹脂,ポリエステル樹脂,ポリプロピレン,ポリイソブチレン等が挙げられる。これらはTg以上に加温することにより液状化して充填することができる。
【0057】
尚、本実施例は透明層が液体の場合を除外するものではない。この場合、以下のような方法で透明層を充填することができる。まず透明層の接する部材(保護板、或いは液晶セル)の周囲に図示しないバンクを設け、次に液状の透明層組成物を注入し、気泡が入っている場合は、オートクレーブ等の装置で加圧、或いは加圧・加熱したり、バイブレータ等で振動を与えたり、吸引する等して気泡を除去する。透明層が液状の場合、例えばアルコール(炭素数6以上),ジオール(エチレングリコール,プロピレングリコール等),炭化水素(炭素数10以上),エチレングリコールのモノアルキルエーテル,エチレングリコールのモノアルキルエステル,ジエチレングリコールのモノアルキルエーテル,ジエチレングリコールのモノアルキルエステル,トリエチレングリコールのモノアルキルエーテル,トリエチレングリコールのモノアルキルエステル等を用いることができる。
【0058】
透明層の厚さは、液体の場合、バンクを形成する際の精度を確保するため、或いは気泡を抜けやすくするため、少なくとも0.1mm以上が望ましい。また、厚すぎると、特に液体の場合、液体の重量が増加するためバンクの液体保持が困難になってくる。
【0059】
このように、透明層を液状として充填する場合、工程や構造が煩雑になる。このため、透明層として液状素材の代わりにシート状の素材を適用することが、その扱い易さと加工性が良いことから望ましい。この場合、シート状の透明層としては、いわゆる透明エラストマーを用いればよく、その弾性率は1×10^(5)?3×10^(5)Paとし、厚さは0.1mm?1mm程度とすることが扱い易さの面から望ましい。」

「【0081】
尚、気泡を抜けやすくするには、保護板10の表示パネル側の面や、表示パネル30の表側の面といった透明層が接触する面の濡れ性を向上させることが有効である。表面の濡れ性が向上すると透明層が付着しやすくなるため、結果として気泡が抜けやすくなる。濡れ性の具体的な条件は水を基準に考えると、水との接触角が20°以下、より望ましくは水との接触角が10°以下とすることが好適である。」

「【実施例4】
【0092】
次に本発明の表示装置の他の実施例について説明する。本実施例は表示パネルと、その前面側に配置する透明な保護板と、表示パネル及び保護板の間に透明層を有する表示装置において、透明層の端部の厚みが中央部より薄いことを特徴とする。
【0093】
図10,図11,図12,図13はそれぞれ本発明の表示装置の一実施例の概略構成を模式的に示す断面図である。本実施例に係る表示装置1も表示パネル30と、その前面に配置する保護板10と、保護板10と表示パネル30の間に充填される透明層20から構成され、上記実施例と同じ部材には同じ符号を付け詳細な説明は省略する。
【0094】
ここでは、透明層20の端部とは、表示パネル30の表示領域(画面)の外側に相当する位置に存在するものであり、その厚みte(図13においてはte1+te2)が透明層20の表示パネル30の表示領域(画面)に相当する位置での厚みtcより小さい部分のことを示すこととする。」

「【0098】
図13は透明層20の端部が内側へ凹んだ形状であることで透明層の端部の厚みte1+te2が中央部の厚みtcより薄い場合を模式的に示す断面図である。この場合も表示パネル30の表面に偏光板が設けられ、その端面にばりが存在していても、透明層の端部が薄いため、この部分を偏光板の端部に相当する位置に配置することで、偏光板の端面のばりに起因する気泡の発生は抑制される。また、透明層の熱膨張係数が表示パネルよりも大きく、環境温度が高い状態の場合、透明層は表示パネルよりも大きく膨張するが、透明層の端部が内側に向って凹んでいるため、温度上昇による寸法の変化を透明層で吸収しやすくなる。」

「【0100】
また、透明層20の端部の形状は透明層がシート状素材であれば端面をカットする方法、あるいは透明層が液状材料であれば透明層を保持するための土手の形状や、保護板及び(あるいは)表示パネル表面の濡れ性を制御し、その接触角を調整することにより変化させることができる。」

「【0141】
表示装置1は表示パネル30と、その前面に配置する保護板10と、保護板10と表示パネル30の間に充填される透明層20から構成され、上記実施例と同じ部材には同じ符号を付け詳細な説明は省略する。保護板10は表示パネル30よりも面積が大きく、表示パネル30は透明層20により保護板10に接着されている。」

(2)したがって、上記引用文献2には次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。
「携帯電話などの携帯機器に搭載される(【0003】より。)、表示パネル30と、その前面に配置する保護板10と、保護板10と表示パネル30の間に充填される透明層20から構成される、表示装置1(【0093】より。)であって、
透明層20の端部が内側へ凹んだ形状であることで透明層の端部の厚みte1+te2が中央部の厚みtcより薄く(【0098】より。)、
表示パネル30は透明層20により保護板10に接着されている(【0141】より。)、
表示装置1(【0093】より。)。」

3.引用文献3について
原査定の拒絶の理由において周知技術を示す文献として引用された上記引用文献3には、「【0073】・・・このタッチパネルを内蔵した液晶表示装置は、透明保護板(ガラス又はプラスチック基材)1、タッチパネル3、偏光板4、液晶モジュール5で構成されており、透明保護板1とタッチパネル3とが、また、タッチパネル3と偏光板4とが、それぞれ粘着層6、7を介して貼り合わされている。なお、粘着層6及び/又は粘着層7には、前述した本実施形態の粘着シートが用いられる。・・・」とあり、概略、第1のパネルを保護板、第2のパネルをタッチパネルとする周知技術が記載されていると認められる。

第5 対比・判断
1.本願発明1について
(1)引用発明1を主引用発明とした場合
ア 対比
本願発明1と引用発明1とを対比する。
(ア)引用発明1における、「遮光膜4が」「形成され」た「フロントウィンド1」は、本願発明1における「第1のパネル」に相当する。

(イ)引用発明1における「UV接着剤2」は、本願発明1における「粘着部材」に相当する。

(ウ)引用発明1において、「塗布されたUV接着剤2は、フロントウィンド1の対向面に遮光膜4のみが形成される領域R1に濡れ広がる」際の、「UV接着剤2でフロントウィンド1が接着され、固定されている」「表示パネル3」は、上記(ア)、(イ)をふまえると、本願発明1における「前記第1のパネルと粘着部材を介して貼り合わされる第2のパネル」に相当する。

(エ)引用発明1における「表示パネル3にUV接着剤2でフロントウィンド1が接着され、固定されている表示装置」は、「遮光膜4に囲まれる開口部分を介して表示パネル3からの画像が表示され」るから、上記(ア)ないし(ウ)をふまえると、本願発明1における、「第1のパネルと、前記第1のパネルと粘着部材を介して貼り合わされる第2のパネルと、を備え」た「画像表示装置」に相当する。

(オ)そして、引用発明1では、「塗布されたUV接着剤2は、フロントウィンド1の対向面に遮光膜4のみが形成される領域R1に濡れ広がる」のであるから、引用文献1の図4からも把握されるように、「UV接着剤2」は、断面視したときに、「遮光膜4」との接着面と側面とが「遮光膜4」との接着面の端点で成す角、及び「表示パネル3」との接着面と側面とが「表示パネル3」との接着面の端点で成す角のいずれの角度も、90度未満であるとはいえる。
そうすると、上記(ア)ないし(ウ)をふまえると、引用発明1における、「塗布されたUV接着剤2は、フロントウィンド1の対向面に遮光膜4のみが形成される領域R1に濡れ広がる」ことは、本願発明1における、「前記粘着部材は、断面視したときに、前記第1のパネルとの接着面である第1の接着面と側面とが前記第1の接着面の端点で成す第1の角、及び前記第2のパネルとの接着面である第2の接着面と側面とが前記第2の接着面の端点で成す第2の角のいずれの角度も、10度から60度の範囲であること」と、「前記粘着部材は、断面視したときに、前記第1のパネルとの接着面である第1の接着面と側面とが前記第1の接着面の端点で成す第1の角、及び前記第2のパネルとの接着面である第2の接着面と側面とが前記第2の接着面の端点で成す第2の角のいずれの角度も、90度未満である」点で共通するといえる。

してみると、本願発明1と引用発明1との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「第1のパネルと、
前記第1のパネルと粘着部材を介して貼り合わされる第2のパネルと、
を備え、
前記粘着部材は、断面視したときに、前記第1のパネルとの接着面である第1の接着面と側面とが前記第1の接着面の端点で成す第1の角、及び前記第2のパネルとの接着面である第2の接着面と側面とが前記第2の接着面の端点で成す第2の角のいずれの角度も、90度未満である、
る画像表示装置。」
(相違点)
本願発明1では、「前記粘着部材は、断面視したときに、前記第1のパネルとの接着面である第1の接着面と側面とが前記第1の接着面の端点で成す第1の角、及び前記第2のパネルとの接着面である第2の接着面と側面とが前記第2の接着面の端点で成す第2の角のいずれの角度も、10度から60度の範囲である」のに対して、
引用発明1では、「塗布されたUV接着剤2は、フロントウィンド1の対向面に遮光膜4のみが形成される領域R1に濡れ広がる」のであるから、引用文献1の図4からも把握されるように、「UV接着剤2」は、断面視したときに、「遮光膜4」との接着面と側面とが「遮光膜4」との接着面の端点で成す角、及び「表示パネル3」との接着面と側面とが「表示パネル3」との接着面の端点で成す角のいずれの角度も、90度未満であるとはいえるものの、10度から60度の範囲であるかどうかは不明な点(以下「相違点1」という。)。

イ 相違点1についての判断
引用文献1には、フロントウィンドの対向面に形成される遮光膜はフロントウィンドの対向面(裏面)から法線方向に突出するようにして形成されているので、遮光膜の内側端部とフロントウィンドの対向面とには段差が形成され、硬化性樹脂の塗布量が少ない場合や塗り広がりが不足する場合には、段差部分への硬化性樹脂の入り込みが不十分となり、この段差部分に気泡が生じてしまい表示品質が低下してしまうという問題、及び、この気泡の発生を防止する方法として硬化性樹脂を多めに塗布する方法があるが、フロントウィンドや表示パネルの外周部分から硬化性樹脂がはみ出してしまい、このはみ出した硬化性樹脂を除去する工程が必要となり生産効率が低下してしまうという問題(【0003】)を解決するために、遮光膜4の開口部側の端部を透明印刷層5で覆う構成とすることで、遮光膜4の開口部側の端部に気泡が生じてしまうことを防止し(【0021】)、領域R1では遮光膜4のみが形成される構成となっているので、遮光膜4と透明印刷層5とが重畳して形成される領域R2よりもその容積が大きい構成となり、その結果、UV接着剤2の塗布量及び塗布領域が製造装置の誤差範囲等で大きくなった場合であっても、UV接着剤2の領域R1におけるA側方向すなわちフロントウィンド1の端部方向への濡れ広がりすなわち外周方向へのUV接着剤2の端部の移動量を他の領域R2,R3よりも抑えることが可能となり、領域R1をUV接着剤2の塗布時における貯留領域として用いることが可能となるので、UV接着剤2の塗布や濡れ広がりに伴う当該UV接着剤2のはみ出しを防止することが可能となる(【0024】?【0025】)、という技術的事項が記載されている。
そして、引用文献1には、引用発明1における、「塗布されたUV接着剤2は、フロントウィンド1の対向面に遮光膜4のみが形成される領域R1に濡れ広がる」という事項に関して、濡れ広がりやすさ(濡れ性)はどの程度なのか、という定量的な観点での記載は無い。
一方で、本願発明1は、粘着部材を断面視したときに、第1のパネルとの接着面である第1の接着面の端点における側面と第1の接着面とが成す第1の角、又は第2のパネルとの接着面である第2の接着面の端点における側面と第2の接着面とが成す第2の角が、鈍角であると、画像表示装置の第1の接着面及び第2の接着面に、第1のパネル及び第2のパネルが粘着部材から引き剥がされる方向に力がかかると、粘着部材との接着面の端点における側面と接着面とが成す角が鈍角となっている端部に引き剥がし応力が集中するから、第1のパネルと粘着部材との間、又は第2のパネルと粘着部材との間で剥離が起きるという問題点(本願明細書の【0006】?【0007】)を解決するものであり、第1の角及び第2の角のいずれの角度も、10度から60度の範囲であるため、第1の接着面、及び第2の接着面に、第1のパネル及び第2のパネルが粘着部材から引き剥がされる方向に応力がかかったときに、粘着部材の端部にかかる引き剥がし応力が集中するのを低減させることができ、第1のパネルと粘着部材との間、及び第2のパネルと粘着部材との間で剥離が起きるのを低減することができる(本願明細書の【0009】?【0010】)、という効果を奏するものである。
引用文献1には、画像表示装置の第1の接着面及び第2の接着面に、第1のパネル及び第2のパネルが粘着部材から引き剥がされる方向に力がかかった場合に、第1のパネルと粘着部材との間、又は第2のパネルと粘着部材との間で剥離が起きるという問題に関係する記載や示唆はなく、また、引用文献1に記載された上記技術的事項を考慮しても、引用発明1において、上記相違点1に係る本願発明1の構成のように、粘着部材との接着面の端点における側面と接着面とが成す角である第1の角及び第2の角を、10度から60度の範囲とすることの動機づけを見出すことはできない。
また、引用文献2、引用文献3も、上記相違点1に関連する技術的事項を記載するものではない。

したがって、本願発明1と引用発明1とは実質的な上記相違点1を有しており、本願発明1は引用文献1に記載された発明であるとはいえない。
また、本願発明1は、当業者であっても、引用発明1、及び、引用文献2、3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

(2)引用発明2を主引用発明とした場合
ア 対比
本願発明1と引用発明2とを対比する。
(ア)引用発明2における「保護板10」は、本願発明1における「第1のパネル」に相当する。
また、引用発明2における「透明層20」、「保護板10と表示パネル30の間に充填される」「透明層20により保護板10に接着されている」「表示パネル30」は、それぞれ、本願発明1における「粘着部材」、「前記第1のパネルと粘着部材を介して貼り合わされる第2のパネル」に相当する。

(イ)引用発明2における、「表示パネル30と、その前面に配置する保護板10と、保護板10と表示パネル30の間に充填される透明層20から構成される、表示装置1」は、「携帯電話などの携帯機器に搭載される」ものであり、画像を表示するものであるといえるから、上記(ア)をふまえると、本願発明1における、「第1のパネルと、前記第1のパネルと粘着部材を介して貼り合わされる第2のパネルと、を備え」た「画像表示装置」に相当する。

(ウ)引用発明2では、「透明層20の端部が内側へ凹んだ形状である」から、「透明層20」は、断面視したときに、「保護板10」との接着面と、「透明層20の端部」である側面とが、「保護板10」との接着面の端点で成す角は、90度未満であるといえる。同様に、引用発明2の「透明層20」は、断面視したときに、「表示パネル30」との接着面と、「透明層20の端部」である側面とが、「表示パネル30」との接着面の端点で成す角も、90度未満であるといえる。
したがって、上記(ア)をふまえると、引用発明2における、「透明層20の端部が内側へ凹んだ形状である」ことは、本願発明1における、「前記粘着部材は、断面視したときに、前記第1のパネルとの接着面である第1の接着面と側面とが前記第1の接着面の端点で成す第1の角、及び前記第2のパネルとの接着面である第2の接着面と側面とが前記第2の接着面の端点で成す第2の角のいずれの角度も、10度から60度の範囲であること」と、「前記粘着部材は、断面視したときに、前記第1のパネルとの接着面である第1の接着面と側面とが前記第1の接着面の端点で成す第1の角、及び前記第2のパネルとの接着面である第2の接着面と側面とが前記第2の接着面の端点で成す第2の角のいずれの角度も、90度未満である」点で共通するといえる。

してみると、本願発明1と引用発明2との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「第1のパネルと、
前記第1のパネルと粘着部材を介して貼り合わされる第2のパネルと、
を備え、
前記粘着部材は、断面視したときに、前記第1のパネルとの接着面である第1の接着面と側面とが前記第1の接着面の端点で成す第1の角、及び前記第2のパネルとの接着面である第2の接着面と側面とが前記第2の接着面の端点で成す第2の角のいずれの角度も、90度未満である、
る画像表示装置。」
(相違点)
本願発明1では、「前記粘着部材は、断面視したときに、前記第1のパネルとの接着面である第1の接着面と側面とが前記第1の接着面の端点で成す第1の角、及び前記第2のパネルとの接着面である第2の接着面と側面とが前記第2の接着面の端点で成す第2の角のいずれの角度も、10度から60度の範囲である」のに対して、
引用発明2では、「透明層20の端部が内側へ凹んだ形状である」から、「透明層20」は、断面視したときに、「保護板10」との接着面と、「透明層20の端部」である側面とが、「保護板10」との接着面の端点で成す角、及び、「表示パネル30」との接着面と、「透明層20の端部」である側面とが、「表示パネル30」との接着面の端点で成す角、のいずれの角度も、90度未満であるとはいえるものの、10度から60度の範囲であるかどうかは不明な点(以下「相違点2」という。)。

イ 相違点2についての判断
引用発明2は、透明層20の端部が内側へ凹んだ形状であることで透明層の端部の厚みte1+te2が中央部の厚みtcより薄くなり、表示パネル30の表面に偏光板が設けられ、その端面にばりが存在していても、透明層の端部が薄いため、この部分を偏光板の端部に相当する位置に配置することで、偏光板の端面のばりに起因する気泡の発生は抑制される、また、透明層の熱膨張係数が表示パネルよりも大きく、環境温度が高い状態の場合、透明層は表示パネルよりも大きく膨張するが、透明層の端部が内側に向って凹んでいるため、温度上昇による寸法の変化を透明層で吸収しやすくなる、というものである(引用文献2の【0098】)。
引用文献2の図13は、透明層20の端部が内側へ凹んだ形状であることで透明層の端部の厚みte1+te2が中央部の厚みtcより薄い場合を模式的に示す断面図であって(【0098】)、透明層20の端部が内側へ凹んだ形状であることを図示したものであるが、「保護板10」との接着面と、「透明層20の端部」である側面とが、「保護板10」との接着面の端点で成す角、及び、「表示パネル30」との接着面と、「透明層20の端部」である側面とが、「表示パネル30」との接着面の端点で成す角が、具体的に何度程度なのかは、引用文献2の図13からは定量的には把握できない。
また、引用文献2の【0100】には、「透明層20の端部の形状は透明層がシート状素材であれば端面をカットする方法、あるいは透明層が液状材料であれば透明層を保持するための土手の形状や、保護板及び(あるいは)表示パネル表面の濡れ性を制御し、その接触角を調整することにより変化させることができる」という記載もあるが、角度の具体的な数値は記載されていない。引用文献2の【0081】には、「気泡を抜けやすくするには、保護板10の表示パネル側の面や、表示パネル30の表側の面といった透明層が接触する面の濡れ性を向上させることが有効である・・・濡れ性の具体的な条件は水を基準に考えると、水との接触角が20°以下、より望ましくは水との接触角が10°以下とすることが好適である」という記載もあるが、液状素材の透明層との接触角は不明である。
引用文献2の【0098】、【0100】、【0081】における上記記載を考慮しても、引用発明2において、上記相違点2に係る本願発明1の構成のように、粘着部材との接着面の端点における側面と接着面とが成す角である第1の角及び第2の角を、具体的に10度から60度の範囲とすることの動機づけを見出すことはできない。
一方で、本願発明1は、粘着部材を断面視したときに、第1のパネルとの接着面である第1の接着面の端点における側面と第1の接着面とが成す第1の角、又は第2のパネルとの接着面である第2の接着面の端点における側面と第2の接着面とが成す第2の角が、鈍角であると、画像表示装置の第1の接着面及び第2の接着面に、第1のパネル及び第2のパネルが粘着部材から引き剥がされる方向に力がかかると、粘着部材との接着面の端点における側面と接着面とが成す角が鈍角となっている端部に引き剥がし応力が集中するから、第1のパネルと粘着部材との間、又は第2のパネルと粘着部材との間で剥離が起きるという問題点(本願明細書の【0006】?【0007】)を解決するものであり、第1の角及び第2の角のいずれの角度も、10度から60度の範囲であるため、第1の接着面、及び第2の接着面に、第1のパネル及び第2のパネルが粘着部材から引き剥がされる方向に応力がかかったときに、粘着部材の端部にかかる引き剥がし応力が集中するのを低減させることができ、第1のパネルと粘着部材との間、及び第2のパネルと粘着部材との間で剥離が起きるのを低減することができる(本願明細書の【0009】?【0010】)、という効果を奏するものである。
また、引用文献1、引用文献3も、上記相違点2に関連する技術的事項を記載するものではない。

したがって、本願発明1と引用発明2とは実質的な上記相違点2を有しており、本願発明1は引用文献2に記載された発明であるとはいえない。
また、本願発明1は、当業者であっても、引用発明2、及び、引用文献1、3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

(3)本願発明1についてのまとめ
本願発明1は、引用文献1または2に記載された発明であるとはいえない。
また、本願発明1は、当業者であっても、引用文献1-3に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

2.本願発明2-6について
本願発明2-6は本願発明1を減縮した発明であり、本願発明2-6は、本願発明1の上記相違点1または2に係る構成と同一の構成を備えるものである。
したがって、本願発明1と同じ理由により、本願発明2-6は、引用文献1または2に記載された発明であるとはいえない。
また、本願発明1と同じ理由により、本願発明2-6は、当業者であっても、引用文献1-3に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

3.本願発明7-8について
本願発明7は、「第1のパネルと、前記第1のパネルと粘着部材を介して貼り合わされる第2のパネルとを備えた画像表示装置の製造方法」の発明であって、
「前記第1のパネルの前記第2のパネルと対向する面上に、硬化後に粘着部材となる粘着部剤を面状に印刷する第1の工程と、
前記第1の工程で印刷された前記粘着部剤の周縁部の位置を決める硬化をさせる仮硬化を行う第2の工程と、
前記第2の工程で仮硬化された前記粘着部剤の表面と前記第2のパネルの前記第1のパネルと対向する面とを接触させ、前記第1のパネルもしくは前記第2のパネルのいずれか一方、または前記第1のパネルおよび前記第2のパネルの両方を揺動する第3の工程と、
前記第3の工程後に、前記第1のパネルと前記第2のパネルとを引き離す第6の工程と、
前記第6の工程を経た前記粘着部剤を本硬化させて前記粘着部材にする第4の工程と、
を備えた」ものである。
「第1のパネルと、前記第1のパネルと粘着部材を介して貼り合わされる第2のパネルとを備えた画像表示装置の製造方法」において上記各工程を組み合わせることは、引用文献1-3には記載されておらず、拒絶理由通知で周知技術を示す文献として引用された特開2014-76661号公報、特開平8-160407号公報にも記載されていない。また、これらの文献から当業者が容易に発明できたものでもない。
本願発明8は、本願発明7を減縮した発明であるから、本願発明7と同じ理由により、上記の文献に記載された発明ではなく、上記の文献から当業者が容易に発明できたものでもない。
なお、本願発明7-8は、原査定の対象とはされていない。

4.本願発明9-10について
本願発明9は、「第1のパネルと、前記第1のパネルと粘着部材を介して貼り合わされる第2のパネルとを備えた画像表示装置の製造方法」の発明であって、
「前記第1のパネルの前記第2のパネルと対向する面上と、前記第2のパネルの前記第1のパネルと対向する面上とに、それぞれ硬化後に粘着部材となる粘着部剤を面状に印刷する第7の工程と、
前記第7の工程で印刷された前記粘着部剤の周縁部の位置を決める硬化をさせる仮硬化を行う第8の工程と、
前記第8の工程で仮硬化された第1のパネルの前記粘着部剤の表面と前記第2のパネルの前記粘着部剤の表面とを接触させ、前記第1のパネルもしくは前記第2のパネルのいずれか一方、または前記第1のパネルおよび前記第2のパネルの両方を揺動する第9の工程と、
前記第9の工程後に、前記第1のパネルと前記第2のパネルとを引き離す第12の工程と、
前記第12の工程を経た前記粘着部剤を本硬化させて前記粘着部材にする第10の工程と、
を備えた」ものである。
「第1のパネルと、前記第1のパネルと粘着部材を介して貼り合わされる第2のパネルとを備えた画像表示装置の製造方法」において上記各工程を組み合わせることは、引用文献1-3には記載されておらず、拒絶理由通知で周知技術を示す文献として引用された特開2014-76661号公報、特開平8-160407号公報にも記載されていない。また、これらの文献から当業者が容易に発明できたものでもない。
本願発明10は、本願発明9を減縮した発明であるから、本願発明9と同じ理由により、上記の文献に記載された発明ではなく、上記の文献から当業者が容易に発明できたものでもない。
なお、本願発明9-10は、原査定の対象とはされていない。

第6 原査定について
1.理由1(特許法第29条第1項第3号)について
上記「第5」の「1.」及び「2.」に記載したとおり、本願発明1-5は、拒絶査定において引用された引用文献1に記載された発明であるとはいえず、本願発明1-4は、拒絶査定において引用された引用文献2に記載された発明であるとはいえない。したがって、原査定の理由1を維持することはできない。

2.理由2(特許法第29条第2項)について
上記「第5」の「1.」及び「2.」に記載したとおり、本願発明1-6は、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1-3に基づいて容易に発明できたものとはいえない。したがって、原査定の理由2を維持することはできない。

第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2018-12-03 
出願番号 特願2015-16551(P2015-16551)
審決分類 P 1 8・ 113- WY (G09F)
P 1 8・ 121- WY (G09F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 中村 直行  
特許庁審判長 中塚 直樹
特許庁審判官 須原 宏光
中村 説志
発明の名称 画像表示装置及びその製造方法  
代理人 伊達 研郎  
代理人 村上 加奈子  
代理人 松井 重明  
代理人 倉谷 泰孝  
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