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審決分類 審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載  E06B
審判 一部申し立て 発明同一  E06B
審判 一部申し立て 2項進歩性  E06B
管理番号 1346788
異議申立番号 異議2018-700773  
総通号数 229 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2019-01-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-09-26 
確定日 2018-11-27 
異議申立件数
事件の表示 特許第6300450号発明「日射遮蔽材昇降装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6300450号の請求項1、4ないし6、8に係る特許を維持する。 
理由 1 手続の経緯
特許第6300450号の請求項1、4ないし6、8に係る特許についての出願は、平成25年3月29日に出願され、平成30年3月9日にその特許権の設定登録がされ、平成30年3月28日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、平成30年9月26日に異議申立人寺田誠治(以下「申立人」という。)は、特許異議の申立てを行った。

2 本件発明
特許第6300450号の請求項1、4ないし6、8に係る発明(以下「本件発明1」等といい、全体を「本件発明」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1、4ないし6、8に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
ヘッドボックスと、前記ヘッドボックス内に収容され且つ回転によって日射遮蔽材を昇降させる巻取軸と、前記巻取軸を回転させる駆動軸と、前記日射遮蔽材が下限に到達したときに前記駆動軸の回転を規制するリミット装置と、前記リミット装置を前記駆動軸に対して連結及び分離可能な連結分離部とを備える、日射遮蔽材昇降装置。
【請求項4】
前記リミット装置は、ネジ軸と、前記ネジ軸の回転に伴って前記ネジ軸に沿って移動するスライダと、前記スライダの移動を規制する当接部とを備え、前記ネジ軸は、前記リミット装置が前記駆動軸に連結されている際に前記駆動軸の回転に伴って回転する、請求項1?請求項3の何れか1つに記載の装置。
【請求項5】
前記日射遮蔽材の下側に一端が取着され且つ前記巻取軸に他端が取着された昇降コードをさらに備え、前記昇降コードが前記巻取軸に巻取り及び巻戻しされることによって、前記日射遮蔽材が昇降される、請求項1?請求項4の何れか1つに記載の装置。
【請求項6】
前記昇降コードの一端は、前記日射遮蔽材の下側に設けられた中間レール又はボトムレールに取着される、請求項5に記載の装置。
【請求項8】
請求項1?請求項7の何れか1つに記載の日射遮蔽材昇降装置を用いた下限調整方法であって、
前記連結分離部において前記リミット装置を前記駆動軸から分離し、
その状態で前記駆動軸を回転させ、
その後、前記連結分離部において前記リミット装置を前記駆動軸に連結する工程を備える、方法。」

3 申立理由の概要
申立人は、主たる証拠として甲第1号証を提出し、請求項1、4、5、8に係る特許は特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものであるか、請求項1、4、5、8に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであって、さらに従たる証拠として甲第2号証を提出し、請求項6に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、また主たる証拠として甲第3号証を提出し、請求項1、4、5、8に係る特許は特許法第29条の2の規定に違反してされたものであるから、請求項1、4?6、8に係る特許を取り消すべきものである旨、主張している。
〔証拠〕
甲第1号証:特開2005-282133号公報
甲第2号証:特開2005-207161号公報
甲第3号証:特開2013-133694号公報(特願2011-286899号の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面とする。)

4 証拠の記載事項
(1)甲第1号証
(下線は決定で付した。以下同様。)
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、インテリアブラインド、プリーツカーテン、ローマンシェード等の昇降コード巻取ドラムを使用して日射遮蔽材を昇降させる日射遮蔽装置の昇降限度停止装置に関する。」

イ 「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、この問題を解決するためになされたものであり、その課題は、昇降コード巻取ドラムを備えるインテリアブラインド、プリーツカーテン、ローマンシェード等の日射遮蔽装置において、外部に露出することも、騒音を発生することもなく、日射遮蔽材を下降限度位置に停止させることができる昇降限度停止装置を提供することにある。」

ウ 「【発明の効果】
【0006】
上記構成により、本発明の昇降限度停止装置は、操作プーリにより回転軸を回転して日射遮蔽材を昇降すると、ネジ軸が回転し、移動コマはガイドにより回転せずにネジ軸上を軸方向に移動する。日射遮蔽材が下限位置に到達すると、移動コマはストッパと当接して停止するから、ネジ軸も、それと一体の回転軸も回転を停止し、日射遮蔽材は下限位置において停止する。この装置は、ヘッドボックスに内設されるから、外部に露出することも、日射遮蔽材を急速に下限位置まで降下させても移動コマとストッパの当接が騒音となることもない。
【0007】
日射遮蔽材の上昇限度位置において移動コマと当接する上限ストッパを配設すると、本発明の昇降限度停止装置は、日射遮蔽材を上昇限度位置に停止させることも可能となる。又、本発明の昇降限度停止装置は、ネジ軸と、移動コマと、ガイドと、ストッパとからなる独立のユニットとして組立可能であるから、ヘッドボックスへの内装は至極容易である。」

エ 「【実施例】
【0010】
本発明を図面に示す実施例に基づいて説明する。図1は、本発明実施例の昇降限度停止装置を備えるプリーツカーテンの正面図であり、ヘッドボックスの内部を示すため、ヘッドボックスの正面は切除している。図2は、図1の昇降限度停止装置の横断面図、図3及び図4は、図1の昇降限度停止装置の縦断面図であり、図3は日射遮蔽材が下限位置にあるときの状態を、図4は日射遮蔽材が上昇位置にあるときの状態をそれぞれ示す。
【0011】
図1に示すように、プリーツカーテン1は、ヘッドボックス2と、そのヘッドボックス2にホルダ3を介して軸受けされる回転軸4と、その回転軸4に一体回転するように外嵌される複数の昇降コード巻取ドラム5と、その昇降コード巻取ドラム5に上端を巻取り巻解き可能に止着される昇降コード6と、その昇降コード6の下端が止着されるボトムレール7と、ヘッドボックスと2とボトムレール7の間に折りたたみ可能に張設されるスクリーン8と、回転軸4の一端部に固定されるプーリ9と、そのプーリ9に掛けられるボールチェーン等の操作ひも10とを備える。手動でボールチェーン等の操作ひも10を牽引してボトムレール7を昇降することによりスクリーン8を開閉する。
【0012】
昇降限度停止装置11は、回転軸4に一体回転する直結するネジ軸12、そのネジ軸12にねじ係合するように外嵌した移動コマ13と、その移動コマ13の回転を制止して軸方向に移動させるガイド14と、ボトムレール7の下限位置において移動コマ13と当接して回転軸の回転を制止するストッパ15とを備える。ガイド14は2つの前後に分割可能な直方体の箱体16、17であり、その箱体16、17はネジ軸12の両端部を軸受けする。ストッパ15は、ネジ軸12の先端部にネジ止め固定される。昇降限度停止装置11は、外部からは見えないようにヘッドボックス2に内装される。
【0013】
図2に示すように、昇降限度停止装置11のガイド14はヘッドボックス2の前側凸条18と後側凸条19に取り付けられる。前側の箱体16の凹形突起20は前側凸条18に、後側の箱体17の凹形突起21は後側凸条19にそれぞれ嵌着する。
【0014】
円筒状のネジ軸12は横断面6角形の回転軸4に外嵌され、止めねじを介して一体回転するように固定される。移動コマ13は、ガイド14の内面に沿う直方体ブロックであり、中央にネジ軸12とねじ嵌合するネジ孔22を備える。
【0015】
次に、実施例のボトムレール下限停止について説明する。操作コード10を一方に引いて回転軸4を回すと、回転軸4と共に、昇降コード巻取りドラム5が昇降コード6を巻き解く方向に回転し、ボトムレール7が下降する。同時に、ネジ軸12とストッパ15も回転する。ネジ軸12とネジ孔22がネジ係合する移動コマ13は、ガイド14により回転することができないから、ネジ軸12上をストッパ15側に移動する。
【0016】
ボトムレール7が、下限位置まで下降すると、図3に示すように、移動コマ13の係合突起23はストッパ15の係合突起と周方向に当接するから、ストッパ15の回転は直ぐ阻止され、ネジ軸12も、それと一体の回転軸4も回転を停止するから、ボトムレールは下限位置に停止しそれ以上の下降は阻止される。移動コマ13とストッパ15は、箱体のガイド14の内部に配置され、ガイド14はヘッドボックス2に内装されるから、ボトムレールが急速に降下しても、移動コマ13とストッパ15の当接が騒音となるおそれはない。
【0017】
操作コード10の他一方に引いて回転軸4を逆に回すと、回転軸4と共に、昇降コード巻取りドラム5が昇降コード6を巻取る方向に回転し、ボトムレール7が上昇する。同時に、ネジ軸12も逆に回転するから、図4に示すように、移動コマ13の係合突起23ははストッパ15の係合突起24から直ぐに離れ、移動コマ13はストッパ15の反対方向に移動する。
【0018】
分割可能な箱体16、17からなるガイド14と、そのガイド14に軸受けされるネジ軸12と、そのネジ軸12に外嵌される移動コマ13と固定されるストッパ15は、独立のユニットとして組立てられるから、ヘッドボックス2の端部に容易に内装して回転軸4に連結可能することができる。
【0019】
図1において、昇降限度停止装置11の左右を逆にして回転軸4に連結すると、右側に移転したストッパはスクリーンの上昇限度を規定する上限ストッパとなるから、昇降限度停止装置11は日射遮蔽材を上昇限度位置に停止させる装置となる。又、図1において、左側の下限ストッパ15とは別に、日射遮蔽材の上昇限度位置において移動コマと当接する図外の上限ストッパをネジ軸又はガイドの右側に配設すると、昇降限度停止装置は、日射遮蔽材を下降限度位置と上昇限度位置の双方において停止させる装置となる。」

オ 上記アないしエからみて、甲第1号証には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているものと認める。
「ヘッドボックス2と、そのヘッドボックス2にホルダ3を介して軸受けされる回転軸4と、その回転軸4に一体回転するように外嵌される複数の昇降コード巻取ドラム5と、その昇降コード巻取ドラム5に上端を巻取り巻解き可能に止着される昇降コード6と、その昇降コード6の下端が止着されるボトムレール7と、ヘッドボックスと2とボトムレール7の間に折りたたみ可能に張設されるスクリーン8と、昇降限度停止装置11を備えるプリーツカーテン1であって、
昇降限度停止装置11は、回転軸4に一体回転する直結するネジ軸12、そのネジ軸12にねじ係合するように外嵌した移動コマ13と、その移動コマ13の回転を制止して軸方向に移動させるガイド14と、ボトムレール7の下限位置において移動コマ13と当接して回転軸の回転を制止するストッパ15とを備え、
円筒状のネジ軸12は横断面6角形の回転軸4に外嵌され、止めねじを介して一体回転するように固定され、
分割可能な箱体16、17からなるガイド14と、そのガイド14に軸受けされるネジ軸12と、そのネジ軸12に外嵌される移動コマ13と固定されるストッパ15は、独立のユニットとして組立てられるから、ヘッドボックス2の端部に容易に内装して回転軸4に連結可能とすることができる、
プリーツカーテン1。」

(2)甲第2号証
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、プリーツスクリーン等の日射遮蔽材を上下に連装するツイン型日射遮蔽装置に関する。」

イ 「【0015】
図に示すように、ツイン型プリーツスクリーン装置は、ヘッドボックス1から2本の第1昇降コード2を介して昇降可能にボトムレール3を、2本の第2昇降コード4を介して昇降可能に中間レール5をそれぞれ吊り下げる。ヘッドボックス1と中間レール5の間に上側プリーツスクリーン6を、中間レール5とボトムレール3との間に下側プリーツスクリーン7をそれぞれ張設する。」

(3)甲第3号証
ア 「【特許請求の範囲】
【請求項1】
遮蔽材(20、78)の昇降に伴って回転する第1部材(30)の回転を、遮蔽材が所望の昇降高さに位置したときに規制すると共にその昇降高さ位置を調整することが可能なブラインドの昇降高さ決定装置(28)において、
第1部材と同軸に配設され、第1部材と相対回転可能な第2部材(32)と、第1部材及び第2部材の相対回転により、第1部材及び第2部材の軸方向に移動可能なスライダー(34)と、第2部材を回転操作可能な操作部(50)と、第2部材と係合して第2部材の回転を規制する係合位置と、第2部材との係合を解除可能で第2部材を回転駆動可能な状態にする非係合位置との間で切替移動操作可能な切替部材(52)と、を備えることを特徴とするブラインドの昇降高さ決定装置。
【請求項2】
切替部材は、第2部材と係合するストッパ(54)と、ストッパを操作する切替操作部(56)とを備え、切替操作部が係合位置に保持されることにより第2部材とストッパとが係合して第2部材の回転が規制され、切替操作部が非係合位置に保持されることによって、第2部材とストッパとの係合が解除可能となり第2部材の回転が許容されることを特徴とする請求項1記載のブラインドの昇降高さ決定装置。
【請求項3】
第2部材とストッパとはラチェット式に係合しており、切替操作部が非係合位置に保持された状態においては、操作部の一方向のみの回転が許容され、操作部の他方向への回転は第2部材とストッパとが係合されて規制されることを特徴とする請求項2記載のブラインドの昇降高さ決定装置。
【請求項4】
切替操作部は、ストッパを第2部材から完全に離間した状態とする完全開放位置への切替操作が可能とされることを特徴とする請求項2又は3記載のブラインドの昇降高さ決定装置。
【請求項5】
切替操作部は、ストッパを係合位置と非係合位置との間で移動させる第1切替操作部(58)と、ストッパを完全開放位置へと移動させる第2切替操作部(60)とからなることを特徴とする請求項4記載のブラインドの昇降高さ決定装置。
【請求項6】
第1部材は、遮蔽材を昇降可能な昇降コード(18)を巻取り及び巻解き可能に駆動する回転軸(14)と一体回転可能に設けられることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のブラインドの昇降高さ決定装置。
【請求項7】
第1部材は、遮蔽材の一端が巻取り及び巻解き可能に連結される巻取パイプ(76)と一体回転可能に設けられることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のブラインドの昇降高さ決定装置。」

イ 「【技術分野】
【0001】
本発明は、遮蔽材が所望の昇降高さに位置したときに遮蔽材の昇降を規制することができ、この昇降高さ位置を調整することができるブラインドの昇降高さ決定装置に関する。」

ウ 「【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に示されるものでは、ヘッドボックスの外部から駆動軸を回転させるための手段としてウォームギアを用いているが、ウォームギアによる操作はスライダーの移動量を微調整しやすい半面、操作量に対するスライダーの移動量が小さいため、多くの操作量を必要とするという問題がある。
【0007】
また、特許文献2に示されるものでは、ダイヤルの回転をボルトに伝達するためには、制動コイルばねを弛緩させる必要があり、制動コイルばねの反発力が作用するためにその分ダイヤルの操作荷重が重くなるという問題がある。
【0008】
本発明はかかる課題に鑑みなされたもので、操作量に対するスライダーの移動量を大きくすると共に、操作荷重が軽いブラインドの昇降高さ決定装置を提供することをその目的とする。

エ 「【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、第2部材を操作部によって直接操作することによって、操作量に対する第2部材の回転量を大きくできるため、操作量に対するスライダーの移動量が大きく、ブラインドの昇降高さ位置の調整を迅速に行うことができる。
【0017】
また、切替部材が、第2部材の回転を規制する係合位置と、第2部材との係合を解除可能で第2部材を回転駆動可能な状態とする非係合位置との間で切替操作可能となっており、切替部材が非係合位置に切り替わることで、第2部材との係合を解除することができるため、軽い操作荷重で操作部を操作することができる。」

オ 「【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1の実施形態)
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。
【0020】
図1に示すように、本発明に係るブラインドの昇降高さ決定装置が適用されるブラインドは、ヘッドボックスから垂下される遮蔽材を昇降可能にする任意のブラインドに適用することができ、図示したものは、プリーツスクリーンに適用した例を表している。しかしながら、これに限るものではなく、ラダーコードを介してヘッドボックスから垂下される多数のスラットを遮蔽材とする横型ブラインドや後述するロールスクリーンといった任意の種類のブラインドに適用することができる。
【0021】
ブラインド10は、壁面または天井面にブラケット11を介して取り付けられるヘッドボックス12を有しており、ヘッドボックス12内には、回転軸14が回転可能に配設されている。回転軸14には、これの回転を減速させるブレーキ15が設けられている。尚、回転軸14は長尺物からなるが、必ずしも1つの部材からでなく、互いに連結された複数の部材から構成することも可能である。回転軸14の外周面は六角形といった多角形となっている。
【0022】
回転軸14は、同じくヘッドボックス12内に配設されている巻取ドラム16に対して相対回転不能に挿通されており、巻取ドラム16には、昇降コード18の上端が巻取り及び巻解き可能に連結されている。昇降コード18の下端は、上端がヘッドボックス12に連結されてヘッドボックス12から垂下している遮蔽材としての襞つきのスクリーン20の各襞を挿通し、スクリーン20の最下端に配置されるボトムレール22に連結される。回転軸14は、ヘッドボックス12の一端に設けられるコントロールユニット24から垂下する操作コード26によって操作され、回転規制装置27によって回転駆動が可能な状態と回転が規制される状態とに切り換えられる。但し、回転軸14の回転駆動は、電動式とすることもでき、電動モータの出力軸に回転軸14を連結することも可能である。
【0023】
本発明による昇降高さ決定装置28は、ヘッドボックス12内に配設されて、スクリーン20が所望の昇降高さに位置したときに回転軸14の回転駆動を規制することにより巻取ドラム16の回転駆動を規制して、結果としてスクリーン20を所望の昇降高さにするものである。
【0024】
具体的には昇降高さ決定装置28は、図2及び図3に示すように、回転軸14と同軸に設けられる回転筒(第1部材)30、回転筒30内に同軸に配設される駆動筒(第2部材)32、回転筒30と駆動筒32との間に配設されるスライダー34、及びこれらを収納してヘッドボックス12内に固定されるケース38を備えている。
【0025】
回転筒30はその一端30aがケース38の一側端部から突出し、ケース38に回転自在に且つ軸方向に移動不能に支持されている。図4に示すように、回転筒30内には、その軸方向に回転軸14が挿通しており、回転筒30の一端30aが回転軸14と係合することで、回転筒30は回転軸14と一体化し、回転軸14と一体回転するようになっている。回転筒30の内周面には、周方向に離間した2箇所の位置において、複数の案内部30bが、軸方向ほぼ全長にわたってそれぞれ突設されている。
【0026】
駆動筒32は回転筒30内に同軸に配設されており、駆動筒32内には回転軸14が係合することなく相対回転自在に軸方向に挿通している。駆動筒32の外周には雄ネジ32aが形成されており、更に外周の一端部寄りには係合歯32bが形成されている。係合歯32bと雄ネジ32aとの境界の段部には、雄ネジ32a側に向かって突出する突部32cが形成される。駆動筒32は、その係合歯32b側の一端部がケース38の他側端部に回転自在に支持され、他端部が回転筒30に回転自在に支持されて、ケース38内で軸方向に移動不能に軸支されている。また、駆動筒32の一端部には、駆動筒32と一体に回転するように操作ダイヤル50が取り付けられており、操作ダイヤル50の外周は、ケース38外に突出して、ヘッドボックス12の外部から操作可能である。
【0027】
回転筒30と駆動筒32との間にはスライダー34が配設される。スライダー34は、その外周面の周方向に離間した2箇所の位置において、軸方向に貫通する被案内部34aが凹状に形成されており、回転筒30の案内部30bとそれぞれ係合する。これにより、スライダー34は回転筒30に対して相対回転不能であるが、案内部30bに案内されて軸方向には移動可能に係合される。また、スライダー34の内周面には雌ネジ34bが形成されており、駆動筒32の雄ネジ32aと螺合している。これにより、スライダー34は、回転筒30及び駆動筒32の相対回転により、回転筒30及び駆動筒32の軸方向に移動するようになっている。さらに、係合歯32bと対向するスライダー34の面には、軸方向に係合凸部34cが形成されており、スライダー34が駆動筒32を係合歯32b側端部まで移動した際に係合凸部34cと突部32cが係合して、スライダー34のそれ以上の移動が規制される(図5参照)。
【0028】
図6ないし図9に示すように、駆動筒32の係合歯32bの下方には切替部材52が配設されており、駆動筒32は、切替部材52により回転可能な状態と回転が規制される状態とに切替えられる。切替部材52は、駆動筒32の係合歯32bと係合して駆動筒32の回転を規制する係合位置と、係合歯32bとの係合を解除可能で駆動筒32を回転駆動可能な状態にする非係合位置との間で切替移動操作可能である。より詳細には、切替部材52は係合歯32bとラチェット式に係合するストッパ54とストッパ54を操作する切替操作部56とからなり、さらに切替操作部56は、ストッパ54を係合歯32bと係合する係合位置と係合歯32bとの係合を解除可能な非係合位置との間で移動させる第1切替操作部58と、ストッパ54を係合歯32bから完全に離間した状態とする完全開放位置へと移動させる第2切替操作部60とからなる。
【0029】
切替部材52は、ケース38の底部38aにケース38の内外に跨って配設される。ケース38の底部38aには、下方に突出する方形の枠38bが形成されており、枠38b内の底部38aには、後述する第1切替操作部58の一対の規制部58aが摺動可能に挿通する一対の第1摺動穴38cと、後述する第2切替操作部60の押圧部60aが摺動可能に挿通する第2摺動穴38dがそれぞれ形成されている。また、枠38bの図6(b)中上下に位置する部分には、前後方向に間隔をあけたそれぞれ2か所に第1係合凸部38eと第2係合凸部38fとが形成される。
【0030】
ストッパ54は、ケース38内に配設され、ケース38の底部38aに沿って前後方向に摺動可能であり、ばね62により常時係合位置方向に付勢されている。ストッパ54のばね62に当接する側と反対側の端部には、切欠き54bが形成されており、この切欠き54bはケース38の第2摺動穴38dに対応するように位置づけられる。さらに、ストッパ54の両側部にはそれぞれ凹部54a、54aが形成されており、この凹部54a、54aはケース38の第1摺動穴38cに対応するように位置づけられる。
【0031】
第1切替操作部58は、ケース38の一対の第1摺動穴38cを前後方向に摺動可能に挿通し、ケース38内を上方に向かって延びる一対の規制部58aと、ケース38の枠38b内に前後方向に摺動操作可能に配設され、ヘッドレール12外から操作可能な第1外部操作部58bとからなる。
【0032】
第1外部操作部58bの両側部にはそれぞれ係合凹部58c、58cが形成されており、各係合凹部58cは、第1係合凸部38eと第2係合凸部38fとそれぞれ係合可能である。係合凹部58cが第1係合凸部38eまたは第2係合凸部38fと係合することにより、第1切替操作部58が不用意に摺動することを防止することができると共に、係合時のクリック感により第1切替操作部58が確実に操作されたことを確認することができる。
【0033】
一対の規制部58aは、ケース38の第1摺動穴38cを挿通して、ストッパ54の凹部54a内に挿入される。図6(b)及び(c)に示すように、規制部58aが凹部54aの一端部に当接し、係合凹部58cが第1係合凸部38eに係合している状態で係合位置となり、図7(b)及び(c)に示すように、規制部58aが凹部54aの他端部に当接し、係合凹部58cが第2係合凸部38fに係合している状態で非係合位置となる。
【0034】
また、第2切替操作部60は、ケース38の第2摺動穴38dを摺動可能に挿通し、ケース38内を上方に向かって延びる押圧部60aと、ケース38の枠38b内に前後方向に摺動操作可能に配設され、ヘッドレール12外から操作可能な第2外部操作部60bとからなる。
【0035】
押圧部60aはストッパ54の切欠き54b内にも挿入されており、切欠き54b内を前後方向に移動可能である。第2切替操作部60は、ばね62の付勢力に抗して押圧部60aでストッパ54を押圧可能であり、図9(a)?(c)に示すように、ケース38の一方の壁部38gに当接するまでストッパ54を移動させた状態が完全開放位置となる。
【0036】
次に、図6ないし図9に基づいて、切替部材52の下記4つの状態における切替部材52の各部材と係合歯32bとの状態について詳細説明する。
【0037】
図6(a)?(c)は、切替部材52が係合位置にある状態を示し、この状態では、第1切替操作部58は、係合凹部58cが枠38bの第1係合凸部38eと係合していると共に、規制部58aがストッパ54の凹部54aの一端部に当接している。規制部58aによりストッパ54の図6(a)、(c)中左方向への移動が規制されているため、ストッパ54は係合歯32bと係合した状態を保持し、係合歯32bの回転が規制される。ストッパ54はばね62により図6(a)、(c)中右方向へ付勢され、第2切替操作部60の押圧部60aに当接しており、第2切替操作部60はケース38の枠38bに当接している。
【0038】
図7(a)?(c)は、切替部材52が非係合位置にある状態を示し、この状態では、第1切替操作部58は、係合凹部58cが枠38bの第2係合凸部38fと係合していると共に、規制部58aがストッパ54の凹部54aの他端部に当接している。ストッパ54と係合歯32bとの係合が解除可能であり、ストッパ54の図7(a)、(c)中左方向への移動が可能な状態となっている。ストッパ54は、ばね62の付勢力により図7(a)、(c)中右方向へ押圧されて第2切替操作部60の押圧部60aに当接しており、第2切替操作部60はケース38の枠38bに当接している。
【0039】
図8(a)?(c)は、切替部材52が非係合位置にある状態において、操作ダイヤル50を操作する様子を示す。操作ダイヤル50を図8(a)中時計回りに回転させることにより、操作ダイヤル50と共に係合歯32bが図8(a)中時計回りに回転し、ストッパ54を図8(a)中左方向へ押圧する。これにより、ストッパ54はばね62の付勢力に抗して図8中左方向に移動するため、係合歯32bはストッパ54を乗り越えて回転する。このとき、ストッパ54は、第1切替操作部58の規制部58aと第2切替操作部60の押圧部60aとによって規制される範囲を往復動可能である。このため、ストッパ54は、係合歯32bに押圧されて図8(a)中二点鎖線で示すように左方向に摺動した後、係合歯32bがストッパ54を乗り越えて回転し、係合歯32bからの押圧力がなくなると、ばね62の付勢力により図8(a)中実線で示すように右方向に摺動し、第2切替操作部60の押圧部60aに当接して停止するという動作を、操作ダイヤル50を操作している間繰り返す。ただし、ストッパ54は係合歯32bの反時計回りの回転に対しては、係合歯32bから図8(a)中右方向へ押圧され図6に示す位置まで移動するため、係合歯32bと係合する状態となり、係合歯32bの回転を規制する。
【0040】
図9(a)?(c)は、切替部材52が完全開放位置にある状態を示し、この状態では、第1切替操作部58は非係合位置にあり、第2切替操作部60はその押圧部60aがケース38の第2摺動穴38dの先端に当接する位置にある。そして、ストッパ54はばね62の付勢力に抗して第2切替操作部60の押圧部60aに押圧されてケース38の壁部38gに当接している。このような状態では、ストッパ54は係合歯32bから完全に離隔するため、係合歯32bは、図9(a)中時計回り及び反時計回りの両方向に回転自在となる。
【0041】
次に、本実施形態による昇降高さ決定装置28の作用について説明する。
【0042】
スクリーン20を昇降させる場合、操作コード26を操作し、回転軸14を回転駆動させる。これにより、巻取ドラム16が回転軸14と一体に回転するため、昇降コード18が巻取ドラム16に巻取り又は巻解かれてスクリーン20が上昇又は下降する。このとき、昇降高さ決定装置28において、図4に示すようにスライダー34が回転筒30及び駆動筒32の軸方向途中位置に位置していたとすると、回転筒30が回転軸14と一体に回転し、スライダー34も回転筒30と一体に回転する一方で、切替部材52が図6に示すように係合位置にあるため、駆動筒32は回転が規制され、回転筒30は駆動筒32に対して相対回転する。これにより、スライダー34は、駆動筒32の雄ネジ32aに案内されて、回転筒30及び駆動筒32の軸方向に移動する。
【0043】
スクリーン20が下降して、図5に示すように、スライダー34が突部32cに接近する方向へと移動し、係合凸部34cが突部32cに係合すると、スライダー34のそれ以上の移動が規制されるため、回転筒30の回転が規制される。これにより、回転軸14及び巻取ドラム16の回転が規制されてスクリーン20の下降が規制される。このようにスクリーン20の下降が規制された位置が、スクリーン20の下限位置となり、スクリーン20はそれ以上下降することができなくなる。このとき、突部32cを介して駆動筒32にスクリーン20からの自重が作用するが、ストッパ54が係合歯32bと係合しているために、駆動筒32の回転は防止され、下限位置が保持される。
【0044】
この回転軸14の回転の規制は、スライダー34の係合凸部34cが係合歯32bの突部32cに係合するだけで行われているので、操作コード26を反対方向に操作し、回転軸14を反対方向に回転駆動させると、回転筒30が上記とは反対方向に回転するため、スライダー34は、係合凸部34cが突部32cから離反する方向に移動し、スクリーン20は上昇する。
【0045】
スクリーン20の下限位置を現在の設定位置よりも高くする場合には、第1切替操作部58の第1外部操作部58bを図6に示す係合位置から図7に示す非係合位置まで摺動させると、係合歯32bとストッパ54との係合が解除可能となり係合歯32bが回転可能な状態となる。この状態で操作ダイヤル50を回転操作することにより、前述のように係合歯32bがストッパ54を乗り越えて回転し、駆動筒32が回転する。このとき、駆動筒32の回転力がスライダー34にも伝達されるが、回転軸14及び回転筒30は、スクリーン20からの自重によって回転駆動が規制され、したがって、駆動筒32が回転筒30に対して相対回転し、スライダー34は、その被案内部34aが回転筒30の案内部30bに案内されて駆動筒32の軸方向に移動する。
【0046】
このようにして、スライダー34を突部32cに接近させるように移動させると、スクリーン20の下限位置を現在の設定位置よりも高く調整することができる。
【0047】
操作ダイヤル50を回転操作することで直接駆動筒32を回転させて調整するので、操作量に対する操作筒32の回転量を大きくできるため、調整を迅速に行うことができる。また、操作時に、クラッチバネといったバネの反発力に抗して操作する必要がないので、操作荷重を軽減することができる。
【0048】
また、係合歯32bの歯数分だけ切替えの段階を設けることができるので、高さ位置を段階的に調整することができる。また、例えば、ブラインドを連装にした場合、隣り合うブラインドの係合歯の位置を合わせるだけで、互いの昇降高さを簡単に合わせることができる。さらには、係合歯32bとストッパ54との係合にラチェット方式を採用することにより、操作ダイヤル50の一回転方向への操作感に優れ、クリック音によって操作量が把握し易くなる。また、下限位置の調整中に、駆動筒32がスクリーン20の自重によって意図せずに回転することを防ぐことができる。
【0049】
他の下限位置の設定方法としては、操作コード26を操作してスクリーン20を下限位置として新たに設定したい位置まで上昇させて、その位置で回転規制装置27を作動させてスクリーンの上昇を停止させる。そして、第1切替操作部58の第1外部操作部58を図6に示す係合位置から図7に示す非係合位置まで摺動させて、操作ダイヤル50を回転操作して、スライダー34の係合凸部34cが駆動筒32の突部32cに係合する方向に移動させ、両者が係合したら操作ダイヤル50の回転操作を止めると、下限位置の設定を完了させることができる。
【0050】
スクリーン20の下限位置の設定を高くし過ぎた場合、または、下限位置の設定位置を現在の設定位置よりも低くしたい場合には、図6または図7に示すように第2切替操作部60がケース38の枠38bに当接している状態から、第2外部操作部60bを図9中左方向に摺動させる。このとき、第2外部操作部60bが第1切替操作部58の第1外部操作部58を押圧し、第2切替操作部60の押圧部60bがストッパ54を押圧するため、第1切替操作部58及びストッパ54も第2切替操作部60と共に図9中左方向に摺動し、ストッパ54が壁部38gに当接し、完全開放位置に移動する。これにより、ストッパ54は係合歯32bから離隔するため、係合歯32bは回転自在な状態となり、スクリーン20の自重により巻取ドラム16から昇降コード18が巻解かれ、回転軸14が回転する。この回転により回転筒30が回転しスライダー34の係合凸部34cが駆動筒32の突部32cに係合した状態になっても、スライダー34の係合凸部34cから駆動筒32の突部32cに回転が伝達され、駆動筒32が回転筒30及びスライダー34と共に回転し、現在設定している下限位置を超えてスクリーン20がさらに下降することができ、下限位置の設定のリセットをすることができるので、再び、完全開放位置から図7に示したように非係合位置に戻して、下限位置の設定を行えばよい。
【0051】
仮に、一つの切替操作部で下限位置の調整とリセットとを行うことを想定すると、一つの操作でストッパを係合歯から完全に離隔する構成か、一つの操作部で下限位置の調整とリセットの2つの操作を行う構成にすることが考えられるが、下限位置の調整をしようとするときに操作ミスなどによりリセットしてしまう場合があるので、手で抑えて操作しなければならない。しかし、上記実施形態においては、第1切替操作部58によって操作ダイヤル50の回転を規制する状態と許容する状態とに切替えて下限位置の調整を行い、第2切替操作部60によって下限位置の調整をリセットするというように、下限位置の調整を行う切替操作部と、下限位置の調整をリセットする切替操作部とを分けたため、操作ミスを防ぐことができる。
【0052】
なお、以上の実施形態においては、昇降高さ決定装置28において、スクリーン20の下限位置を決定したが、これに限定されるものではなく、スクリーン20の上限位置を決定することでもよい。
【0053】
また、以上の実施形態において、スクリーン20が設定位置に近づくに従ってスライダー34が係合歯32bのある駆動筒32の一端部側方向へと移動するように設定したが、これに限定されるものではなく、スライダー34が係合歯32bと反対側の回転筒30の一端30aの方向へ移動するようにしてもよい。スライダー34の移動が規制されるときに、回転筒30の回転軸14への支持点に近い部分でスライダー34が規制されることで、回転筒30に発生するねじりを低減させることができる。
【0054】
また、以上の実施形態においては、第2部材としての駆動筒32に雄ネジ32aを、第1部材としての回転筒30に案内部30bを、スライダー34の内周に駆動筒32の雄ネジ32aと螺合する雌ネジ34bを、外周に回転筒30の案内部30bと係合する被案内部34aをそれぞれ形成したが、これは一例であり、第1部材と第2部材の構成は任意に構成することができる。例えば、回転筒の内周に雌ネジを、駆動筒の外周に案内部を、スライダーの外周に雄ネジを、また内周に被案内部をそれぞれ形成し、回転筒の雌ネジとスライダーの雄ネジを螺合させると共に、駆動筒の案内部にスライダーの被案内部を係合して、スライダーが駆動筒に対して相対回転不能であるが案内部に案内されて軸方向には移動可能とするようにしてもよく、または、その他の構成とすることもできる。
【0055】
また、案内部及び被案内部は、スプライン、キー、多角形同士の嵌合等の任意の手段によって構成することができる。」

カ 上記アないしオからみて、甲第3号証には次の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されているものと認める。
「ヘッドボックス(12)を有し、
ヘッドボックス内に、昇降コード(18)の上端が巻取り及び巻解き可能に連結されている巻取ドラム(16)と、
回転可能であって、巻取ドラム16に対して相対回転不能に挿通されている回転軸14と、
ブラインドの昇降高さ決定装置(28)が配設された、ブラインド(10)において、
スクリーン(20)の昇降に伴って回転する回転筒(30)の回転を、スクリーンが所望の昇降高さに位置したときに規制すると共にその昇降高さ位置を調整することが可能なブラインドの昇降高さ決定装置(28)であって、
回転筒と同軸に配設され、回転筒と相対回転可能な駆動筒(32)と、回転筒及び駆動筒の相対回転により、回転筒及び駆動筒の軸方向に移動可能なスライダー(34)と、駆動筒を回転操作可能な操作ダイヤル(50)と、駆動筒と係合して駆動筒の回転を規制する係合位置と、駆動筒との係合を解除可能で駆動筒を回転駆動可能な状態にする非係合位置との間で切替移動操作可能な切替部材(52)と、を備え、
切替部材は、駆動筒と係合するストッパ(54)と、ストッパを操作する切替操作部(56)とを備え、切替操作部が係合位置に保持されることにより駆動筒とストッパとが係合して駆動筒の回転が規制され、切替操作部が非係合位置に保持されることによって、駆動筒とストッパとの係合が解除可能となり駆動筒の回転が許容されるものであって、
切替操作部は、ストッパを係合位置と非係合位置との間で移動させる第1切替操作部(58)と、ストッパを完全開放位置へと移動させる第2切替操作部(60)とからなり、
回転筒内には、回転軸が挿通しており、回転筒の一端が回転軸と係合することで、回転筒は回転軸と一体化し、一体回転するようになっており、
駆動筒内には回転軸が係合することなく相対回転自在に軸方向に挿通している、
ブラインドの昇降高さ決定装置。」

5 当審の判断
(1)特許法第29条第1項第3号、第2項について
ア 本件発明1について
(ア)本件発明1と甲1発明を対比すると、甲1発明の「昇降コード巻取ドラム5」、「回転軸4」及び「昇降限度停止装置11」が、それぞれ本件発明1の「巻取軸」、「駆動軸」及び「リミット装置」に相当するから、本件発明1と甲1発明とは、「ヘッドボックスと、前記ヘッドボックス内に収容され且つ回転によって日射遮蔽材を昇降させる巻取軸と、前記巻取軸を回転させる駆動軸と、前記日射遮蔽材が下限に到達したときに前記駆動軸の回転を規制するリミット装置と、を備える、日射遮蔽材昇降装置。」で一致するものの、本件発明1が、前記リミット装置を前記駆動軸に対して連結及び分離可能な連結分離部を備えるのに対し、甲1発明は、当該連結分離部を備えていない点で相違する。
そして、当該連結分離部を備える点について、公知または周知であることを示す文献は、申立人より提示されていない。
よって、本件発明1は、甲1発明と同一ではなく、また、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

(イ)申立人は、甲1発明の「止めねじ」が本件発明1の「連結分離部」に相当する旨、主張する。
しかしながら、甲1発明において、「円筒状のネジ軸12は横断面6角形の回転軸4に外嵌され、止めねじを介して一体回転するように固定され」ているから、該「止めねじ」は、ねじ軸12と回転軸4を一体回転するように固定するものであって、ネジ軸12と回転軸4の固定の解除に関わるものかどうか不明である。
また、昇降限度停止装置11と回転軸4の連結についてみても、「分割可能な箱体16、17からなるガイド14と、そのガイド14に軸受けされるネジ軸12と、そのネジ軸12に外嵌される移動コマ13と固定されるストッパ15は、独立のユニットとして組立てられるから、ヘッドボックス2の端部に容易に内装して回転軸4に連結可能」とされるのみであって、該連結の解除については不明である。
よって、甲第1号証には、ネジ軸12と回転軸4の固定を意図的に解除することは、何ら記載も示唆もない。
したがって、甲1発明の「止めねじ」は、昇降限度停止装置11の一部であるネジ軸12と回転軸4を連結するものではあるものの、連結された両部材を分離するものとは認められないから、本件発明1の「リミット装置を駆動軸に対して連結及び分離可能な連結分離部」には相当せず、申立人の主張は採用できない。

(ウ)以上のことから、本件発明1は、甲1発明と同一ではなく、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

イ 本件発明4ないし6、8について
本件発明4ないし6、8は、本件発明1を直接または間接的に引用し、本件発明1にさらに技術事項を追加したものである。よって、上記アで示した理由と同様の理由により、本件発明4、5、8は、甲1発明と同一ではなく、かつ、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、さらに、本件発明6は、甲1発明及び甲第2号証(本件発明6で追加された事項に対する引用例)に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

ウ 小括
以上のとおり、 本件発明1、4、5、8は、甲第1号証に記載された発明ではなく、かつ、甲第1号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、さらに、本件発明6は、甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(2)特許法第29条の2について
ア 本件発明1について
(ア)本件発明1と甲3発明を対比する。
甲3発明の「巻取ドラム」、「回転軸」及び「昇降高さ決定装置」は、それぞれ本件発明1の「巻取軸」、「駆動軸」及び「リミット装置」に相当する。
なお、甲3発明の「昇降高さ決定装置」及び「回転軸」の連結又は分離についてみると、「回転軸」は、「昇降高さ決定装置」の「回転筒」と一体化し、一体回転するようになっており、同じく「駆動筒」とは係合することなく相対回転自在であるから、甲3発明において、「昇降高さ決定装置」と「回転軸」を連結及び分離の両方を行う部材は存在しない。
してみると、本件発明1と甲3発明とは、
「ヘッドボックスと、前記ヘッドボックス内に収容され且つ回転によって日射遮蔽材を昇降させる巻取軸と、前記巻取軸を回転させる駆動軸と、前記日射遮蔽材が下限に到達したときに前記駆動軸の回転を規制するリミット装置と、を備える、日射遮蔽材昇降装置。」で一致するものの、本件発明1が、前記リミット装置を前記駆動軸に対して連結及び分離可能な連結分離部とを備えるのに対し、甲3発明は、当該連結分離部を備えていない点で相違する。
よって、本件発明1と甲3発明とは、実質的な相違点が存在するから、同一ではない。

(イ)申立人は、甲3発明の「切替操作部56(第1切替操作部58、第2切替操作部60)」が本件発明1の「連結分離部」に相当する旨、主張する。
しかしながら、甲3発明において、「切替操作部」は、駆動筒と係合するストッパを操作するものであって、該ストッパと該駆動筒の係合又は係合の解除により、駆動筒の回転の規制又は規制の解除を許容しているが、該駆動筒と回転軸14とは、係合することなく相対回転自在であるから、甲3発明の「切替操作部」は、昇降高さ決定装置内部の連結状態に関わるものの、昇降高さ決定装置と回転軸とを連結及び分離するものではない。
よって、申立人の主張は採用できない。

(ウ)以上のとおりであるから、本件発明1は、甲3発明と同一ではない。

イ 本件発明4、5、8について
本件発明4、5、8は、本件発明1を直接または間接的に引用し、本件発明1にさらに技術事項を追加したものであるから、上記アで示した理由と同様の理由により、本件発明4、5、8は、甲3発明と同一ではない。

ウ 小括
以上のとおりであるから、本件発明1、4、5、8は、甲第3号証に記載された発明と同一ではない。

6 むすび
したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によって、本件発明1、4ないし6、8に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1、4ないし6、8に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2018-11-15 
出願番号 特願2013-71441(P2013-71441)
審決分類 P 1 652・ 113- Y (E06B)
P 1 652・ 161- Y (E06B)
P 1 652・ 121- Y (E06B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 兼丸 弘道  
特許庁審判長 小野 忠悦
特許庁審判官 富士 春奈
住田 秀弘
登録日 2018-03-09 
登録番号 特許第6300450号(P6300450)
権利者 立川ブラインド工業株式会社
発明の名称 日射遮蔽材昇降装置  
代理人 奥野 彰彦  
代理人 SK特許業務法人  
代理人 伊藤 寛之  
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