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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  G01N
管理番号 1346803
異議申立番号 異議2018-700801  
総通号数 229 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2019-01-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-10-03 
確定日 2018-12-12 
異議申立件数
事件の表示 特許第6303211号発明「ガス検知器」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6303211号の請求項1ないし6に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯

特許第6303211号の請求項1ないし6に係る特許についての出願は、平成25年9月27日に出願され、平成30年3月16日にその特許権の設定登録がされ、同年4月4日に特許掲載公報が発行された。その後、その請求項1ないし6に係る特許に対し、同年10月3日に特許異議申立人 松田 亘弘 により特許異議の申立てがされたものである。


第2 本件発明

特許第6303211号の請求項1ないし6の特許に係る発明(以下それぞれ「本件発明1」ないし「本件発明6」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

(本件発明1)
「【請求項1】
被検知ガスと接触するガス感応部を有するガス検知素子を備えたガス検知器であって、
前記ガス検知素子を収容する二重の筐体を備え、
前記二重の筐体における外側の外側筐体は、被検知ガスを導入するガス導入口および有機ガスを吸収する第一吸着部を備え、
前記二重の筐体における内側の内側筐体は、前記ガス導入口より開口面積が小さい制限通気口および有機ガスを吸収する第二吸着部を備え、
前記制限通気口は前記第一吸着部および前記第二吸着部の間に配設してあるガス検知器。」

(本件発明2)
「【請求項2】
前記制限通気口と前記第一吸着部との間に、空隙部を設けた請求項1に記載のガス検知器。」

(本件発明3)
「【請求項3】
前記制限通気口の開口面積は、前記ガス導入口の開口面積の5?33%である請求項1または2に記載のガス検知器。」

(本件発明4)
「【請求項4】
前記空隙部の容積が、前記ガス検知器の筐体の容積の9?26%である請求項2に記載のガス検知器。」

(本件発明5)
「【請求項5】
前記第二吸着部の重量を前記第一吸着部の重量より少なくしてある請求項1?4の何れか一項に記載のガス検知器。」

(本件発明6)
「【請求項6】
前記第一吸着部を活性炭とし、前記第二吸着部を活性炭およびシリカアルミナとした請求項1?5の何れか一項に記載のガス検知器。」


第3 申立理由の概要

特許異議申立人は、主たる証拠として下記の甲第1号証、従たる証拠として下記の甲第2号証ないし甲第10号証を提出し、本件発明1ないし6は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証ないし甲第10号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1ないし6は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであって、本件発明1ないし6に係る特許は同法同条同項の規定に違反してされたものであるから同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである旨主張している。

特許異議申立人が提出した甲第1号証ないし甲第10号証
甲第1号証:特開平10-197470号公報(以下「甲1」という。)
甲第2号証:特開2004-144679号公報(以下「甲2」という。)
甲第3号証:特開2004-271436号公報(以下「甲3」という。)
甲第4号証:特開2002-257767号公報(以下「甲4」という。)
甲第5号証:国際公開第2006/090433号(以下「甲5」という。)
甲第6号証:特開平10-10067号公報(以下「甲6」という。)
甲第7号証:特開2000-187014号公報(以下「甲7」という。)
甲第8号証:特開平6-300726号公報(以下「甲8」という。)
甲第9号証:特開平8-247982号公報(以下「甲9」という。)
甲第10号証:実願昭60-140523号(実開昭62-47961号)のマイクロフィルム(以下「甲10」という。)


第4 各証拠の記載事項

1 甲1の記載事項

(1)甲1には、以下の記載がある(下線は当審で付加した。以下同様。)。

(甲1-1)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、施設園芸、環境衛生、防災用、工業用、ビル用、住宅用などの環境を計測し制御する場所に使用される検知素子に関する。
【0002】
【従来の技術】以下、その検知素子について、加熱駆動型のガスセンサを例にとって、図10を参照しながら説明する。
【0003】図に示すように、ガス感応部101は片面下部に加熱部102を備えた基板103の片面上部に位置し、電極104a、104bからの出力取り出し用リード線105a、105bおよび、前記加熱部102から取り出したリード線106a、106bにそれぞれ接続したリードピン107a、107b、107c、107dを介して下部の台座108に固定されている。そして、きょう体109は、内包するガス感応部101、加熱部102、電極104a、104b、リード線105a、105b、106a、106bを機械的損傷から保護するとともに測定雰囲気と接触を良くするため開口部110が設けられており、台座108に固定されている。測定雰囲気の妨害ガスを除去する除去手段としてシリカゲルフィルタ111はきょう体109内部に固定手段112として上下の金属メッシュにはさまれ固定されている。
【0004】上記構成においてガス感応部101を加熱部102により測定温度に加熱するとともに、電極104a、104b間に一定電圧を印加し、きょう体109の開口部110を通じてガス感応部101が測定雰囲気と接触すると、その際の検知対象ガスの濃度に応じてガス感応部の抵抗値が変化し測定雰囲気中の検知対象ガスの濃度を測定することができるものであった。
【0005】そして、雰囲気中の妨害成分である干渉ガスや水蒸気が開口部110を介してきょう体109内部に侵入してもシリカゲルフィルタ111に吸着され、ガス感応部101への干渉ガスの反応を低減し、誤動作を防止していた。」

(甲1-2)「【0024】
【実施例】
(実施例1)以下、本発明の第1実施例について、図1?図2を参照しながら説明する。
【0025】なお、従来例と同一部分は同一番号を付し説明を省略する。図1に示すようにシリカゲルフィルタ111と感応部101との間に妨害成分流入制限手段としてピンホール2を設けた流入制限板1が固定手段3によって固定されている。上記構成により、シリカゲルフィルタ111は雰囲気の温度変化により吸着した水分を吸放出する。水分の吸放出は、開口部110を通じ雰囲気との間で行われるか、流入制限板1のピンホール2を通じ、きょう体109内部との間で行われる。しかし、きょう体109内部への水分の吸放出は流入制限板1によって制限されるため、シリカゲルフィルタ111は雰囲気との間で吸放出の大部分を行うこととなる。そのため、きょう体109内部の湿度変化は最小限に抑えられ、図2に示すようにガス感応部101のシリカゲルフィルタ111から吸放出する水分による誤動作を抑制することができる。
【0026】また、ピンホール2により、きょう体109内部へのガスの流入が制限されるため、シリカゲルフィルタ111で除去できない妨害ガス成分についても、急激な発生によるガス感応部101の短期的な誤動作を抑制することができる。」

(甲1-3)「【0037】(実施例2)図5は、本発明の第2実施例の構成を示している。なお、従来例および本発明の第1実施例と同一部分は同一番号を付し説明を省略する。
【0038】図5において、シリカゲルフィルタ111と流入制限板1との間に目詰まり防止手段として金属メッシュ板4が固定手段112によって固定されている。
【0039】上記構成により、シリカゲルフィルタ111が振動や衝撃で破損した場合においても、破損片や破損粉の流入制限板1上への落下を防止し、また雰囲気からのほこり、油、ヤニ、等による汚れによるピンホール2の目詰まりを防止できる。」

(甲1-4)「【0041】(実施例3)図6は、本発明の第3実施例の構成を示している。なお、従来例および本発明の第1、第2実施例と同一部分は同一番号を付し説明を省略する。
【0042】図6において、流入制限板1の下部に妨害成分吸着手段として活性炭シート5が固定手段6によって固定されている。
【0043】上記構成により、流入制限板1を通過した妨害成分を活性炭シート5で吸着し除去することによりきょう体109内部への妨害成分の侵入を防止することができガス感応部101の妨害成分による誤動作を防止することができる。また、この効果は、シリカゲルフィルタ111から放出されるガスや水分などの妨害成分だけでなく、シリカゲルフィルタ111で除去できずに通過した妨害成分に対しても得ることができる。図7に活性炭シート5の有無によるCO2およびエタノールに対する感度を示している。図に示すとおり、アルコールに対する感度は大きく改善されている。また、シリカゲルフィルタ111および流入制限板1を通過後の微量の妨害成分を活性炭シート5で吸着するため、長期にわたり活性炭シート5の吸着性能を維持できる効果がある。
【0044】なお、本実施例では妨害成分吸着手段として活性炭シート5としたが、シリカゲル、ゼオライトなど妨害成分を吸着する材料であれば同様の効果が得られる。」

(甲1-5)【図6】




(2)甲1に記載された発明

ア (甲1-1)の「【0003】・・・測定雰囲気の妨害ガスを除去する除去手段としてシリカゲルフィルタ111はきょう体109内部に固定手段112として上下の金属メッシュにはさまれ固定されている」、及び(甲1-3)の「【0038】・・・シリカゲルフィルタ111と流入制限板1との間に目詰まり防止手段として金属メッシュ板4が固定手段112によって固定されている」との記載に照らして(甲1-5)の【図6】の記載を見ると、測定雰囲気の妨害ガスを除去する除去手段としてのシリカゲルフィルタ111と、その下面に接する目詰まり防止手段としての金属メッシュ板4とが、きょう体109内部に固定手段112によって固定されていることが見てとれる。

イ (甲1-2)の「【0025】・・・シリカゲルフィルタ111と感応部101との間に妨害成分流入制限手段としてピンホール2を設けた流入制限板1が固定手段3によって固定されている」との記載に照らして(甲1-5)の【図6】の記載を見ると、金属メッシュ板4と感応部101との間に妨害成分流入制限手段としてピンホール2を設けた流入制限板1が固定手段3によって固定されていることが見てとれる。

ウ そうすると、(甲1-1)ないし(甲1-5)の記載から、甲1には、

「 ガス感応部101は片面下部に加熱部102を備えた基板103の片面上部に位置し、電極104a、104bからの出力取り出し用リード線105a、105b及び前記加熱部102から取り出したリード線106a、106bにそれぞれ接続したリードピン107a、107b、107c、107dを介して下部の台座108に固定されており、
きょう体109は、内包する前記ガス感応部101、加熱部102、電極104a、104b、リード線105a、105b、106a、106bを機械的損傷から保護するとともに測定雰囲気と接触を良くするため開口部110が設けられており、台座108に固定されており、
測定雰囲気の妨害ガスを除去する除去手段としてのシリカゲルフィルタ111と、その下面に接する目詰まり防止手段としての金属メッシュ板4とが、前記きょう体109内部に固定手段112によって固定されており、
前記金属メッシュ板4と前記感応部101との間に妨害成分流入制限手段としてピンホール2を設けた流入制限板1が固定手段3によって固定されており、
前記流入制限板1の下部に妨害成分吸着手段として活性炭シート5が固定手段6によって固定されており、
前記ガス感応部101を前記加熱部102により測定温度に加熱するとともに、前記電極104a、104b間に一定電圧を印加し、前記きょう体109の開口部110を通じて前記ガス感応部101が測定雰囲気と接触すると、その際の検知対象ガスの濃度に応じて前記ガス感応部101の抵抗値が変化し測定雰囲気中の検知対象ガスの濃度を測定することができる、
加熱駆動型のガスセンサ。」

の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているものと認められる。

2 甲2の記載事項

(1)甲2には、以下の記載がある。

(甲2-1)「【0030】
【発明の実施の形態】
先ず、図1に示す実施の形態の例から述べる。円盤状のベース2には検査対象ガスと点検ガスを感知し得るガス検知素子1を設置してあり、このベース2には有底筒状の第1ハウジング5を被せて装着してあり、第1ハウジング5内にガス検知素子1を内装してある。この第1ハウジング5は金属板を有底筒状に成形して形成されている。第2ハウジング6は樹脂等で有底筒状に形成されており、第1ハウジング5の上に第2ハウジング6を被せるように装着してある。第2ハウジング6と第1ハウジング5との間には中間室7を形成してある。第1ハウジング5には第1ハウジング5内と中間室7とを連通させる第1通気孔8を形成してあり、この第1通気孔8には防爆構造材としての金属メッシュ板10を装着してある。第2ハウジング6には第2ハウジング6の外部と中間室7とを連通させる第2通気孔9を穿孔してあり、検知対象以外のガスを吸着する吸着層3を中間室7側で第2通気孔9に装着してある。第2ハウジング6には点検ガスを注入するための点検ガス導入孔4を第2ハウジング6の外部と中間室7とを連通させるように設けてある。この点検ガス導入孔4は本例では第1通気孔8に向かうように指向性を持たせてある。このように構成せるガスセンサーは、金属にて形成せる第1ハウジング6と第1通気孔8に装着した金属メッシュ板10で防爆を図るものであるため第2ハウジング6の外径が6?8mm程度と小型化できる。
【0031】
ガスセンサーの点検を行う際には点検ガス導入孔4から点検ガスを中間室7内に注入するが、点検ガス導入孔4に指向性を持たせてあるため点検ガス導入孔4から点検ガスを第1通気孔8に誘導されるように注入できる。これにより、第2ハウジング6内に点検ガスを充満させなくても第1ハウジング5内に点検ガスを入れてガス検知素子1に接触させることができる。これによりガスセンサーの点検をする場合に規定の感度になるまでの時間を短縮できると共に規定感度になった後に点検ガスの圧入を停止した後、注入している点検ガスの量も少ないので規定の感度以下になる時間を短縮することができる。
【0032】
また、金属メッシュ板10は、ガス流通制限手段を兼用しており、点検ガスを注入した際は、点検ガスが第1通気孔8を移動可能であるが、普段の検知時は対流による第1通気孔8の移動は制限し、拡散による検知対象ガスの移動は可能である。」

(甲2-2)【図1】




(2)甲2に記載された技術事項

(甲2-1)及び(甲2-2)の記載から、甲2には、

「 円盤状のベース2に検査対象ガスと点検ガスを感知し得るガス検知素子1を設置し、
このベース2に金属板を有底筒状に成形して形成されている第1ハウジング5を被せて装着して、第1ハウジング5内にガス検知素子1を内装し、
第1ハウジング5の上に樹脂等で有底筒状に形成されている第2ハウジング6を被せるように装着して、第2ハウジング6と第1ハウジング5との間に中間室7を形成してあり、
第1ハウジング5には第1ハウジング5内と中間室7とを連通させる第1通気孔8を形成してあり、この第1通気孔8には防爆構造材としての金属メッシュ板10を装着してあり、
第2ハウジング6には第2ハウジング6の外部と中間室7とを連通させる第2通気孔9を穿孔してあり、検知対象以外のガスを吸着する吸着層3を中間室7側で第2通気孔9に装着してあり、
第2ハウジング6には点検ガスを注入するための点検ガス導入孔4を、第2ハウジング6の外部と中間室7とを連通させるように、かつ、第1通気孔8に向かうように指向性を持たせて設けてある、
ガスセンサーであって、
金属にて形成せる第1ハウジング6と第1通気孔8に装着した金属メッシュ板10で防爆を図るものであるため第2ハウジング6の外径が6?8mm程度と小型化できる、ガスセンサー。」

の技術事項(以下「甲2技術事項」という。)が記載されているものと認められる。

3 甲3の記載事項

(1)甲3には、以下の記載がある。

(甲3-1)「【0025】
(実施形態1)
先ず、図1に示す実施形態の例から述べる。円盤状のベース2には検査対象ガスと点検ガスを感知し得るガス検知素子1を設置してあり、このベース2には有底筒状の第1ハウジング5を被せて装着してあり、第1ハウジング5内にガス検知素子1を内装してある。この第1ハウジング5は金属板を有底筒状に成形して形成してある。
【0026】
上記有底筒状をした第1ハウジング5の底でない側の周縁部は外方に向けて折り曲げ曲げて(当審注:「折り曲げ曲げて」は「折り曲げて」の誤記と認める。)あって第1筒開口側縁部21となっている。
【0027】
第1ハウジング5の外周にはバネ20が第1ハウジング5を周回するように配置してあり、該バネ20の一端が第1筒開口側縁部21に溶接または接着してある。
【0028】
第2ハウジング6は樹脂等で有底筒状に形成してあり、第1ハウジング5の上に第2ハウジング6を被せるように装着してある。第2ハウジング6の底でない側の縁部である第2筒開口側縁部22に上記バネ20の他端が溶接または接着してある。
【0029】
第2ハウジング6と第1ハウジング5との間には中間室7が形成してある。第1ハウジング5には第1ハウジング5内と中間室7とを連通させる第1通気孔8を形成してあり、この第1通気孔8には防爆構造としての金属メッシュ板10を装着してある。
【0030】
第2ハウジング6には第2ハウジング6の外部と中間室7とを連通させる第2通気孔9を穿孔してあり、検知対象以外のガスを吸着する吸着層3を中間室7側で第2通気孔9に装着してある。
【0031】
第2ハウジング6は、第1ハウジング5の外面に沿って、筒の軸方向に移動が可能であるが、第1ハウジング5と第2ハウジング6の接触面(以下、第1接触面23という)は、通気が無い程度の密着性を保持している。
【0032】
外力がかからない状態では、図1(b)に示すようにバネ20によって、第2ハウジング6の位置は、バネ20の強度により保持されているが、外力が第2ハウジング6に、例えば、図1(a)の矢印イに示すように鉛直方向に下側にかかれば第2ハウジング6は外力の方向(矢印イ方向)に移動し、外力が解消されると、図1(b)に示すようにバネ20の強度により保持される位置に戻るように構成してある。
【0033】
第2ハウジング6には第2通気孔9とは別に、点検ガスを注入するための点検ガス導入孔4を第2ハウジング6の外部と内部とを連通させるように設けてある。この点検ガス導入孔4の第2ハウジング6における位置は、第2ハウジング6に外力がかからず、バネ20の強度により保持される位置にある場合においては、図1(b)に示すように中間室7と面するが、第2ハウジング6に外力がかかり、第2ハウジング6が、バネ20が規定の位置まで縮小されている状態の位置にある場合においては、図1(a)に示すように第1ハウジング5の外面と面する位置となるように設定してある。
【0034】
このように、本実施形態においては、外力により第2ハウジング6の位置を変えることによって、点検ガス導入孔4のガスの流通が可能な状態とガスの流通を阻止する状態とを切替えることが可能な構造となっている。
【0035】
上記のような構成のガスセンサーAの点検を行う際には、図1(b)に示すように、第2ハウジング6に外力をかけず、点検ガス導入孔4が、中間室7に面する状態で、点検ガス導入孔4から点検ガスを中間室7内に注入する。中間室7に注入された点検ガスは、さらに第1通気孔8を通して第1ハウジング5内に入り、ガス検知素子1に接触し、ガス検知素子1が点検ガスに対する感度を持つことで点検ができる。
【0036】
ガスセンサーの点検が終わり、通常の使用状態とするときには、第2ハウジング6に外力をかけて図1(a)のように、点検ガス導入孔4が、第1ハウジングの外面と面する状態とする。
【0037】
仮にこの図1(a)の状態で、点検ガス導入孔4に点検ガスを注入しても、中間室7には点検ガスは入らず、第1ハウジング5内に入ることもなく、ガス検知素子1が点検ガスに対する感度を持つことはない。
【0038】
また、周囲空気が何らかの原因により運動エネルギーを得て移動した場合であっても、周囲空気が、点検ガス導入孔4を通して、中間室7に流入することは無いため、周囲空気にガス検知素子1が感度を持つ雑ガスが存在しても、ガス検知素子1が反応することはない。
【0039】
以上により、本実施形態においては、点検ガス導入孔4が、ガスの流通が可能な状態とガスの流通を阻止する状態とを切替可能な構造としたガスセンサーAを実現できる。」

(甲3-2)【図1】




(2)甲3に記載された技術事項

(甲3-1)及び(甲3-2)の記載から、甲3には、

「 円盤状のベース2に検査対象ガスと点検ガスを感知し得るガス検知素子1を設置し、このベース2に金属板を有底筒状に成形して形成してある第1ハウジング5を被せて装着して、第1ハウジング5内にガス検知素子1を内装し、
第1ハウジング5の上に樹脂等で有底筒状に形成してある第2ハウジング6を被せるように装着して、第2ハウジング6と第1ハウジング5との間には中間室7が形成してあり、
第1ハウジング5の底でない側の周縁部は外方に向けて折り曲げてあって第1筒開口側縁部21となっており、
第1ハウジング5の外周にはバネ20が第1ハウジング5を周回するように配置してあり、該バネ20の一端が第1筒開口側縁部21に溶接または接着してあり、
第2ハウジング6の底でない側の縁部である第2筒開口側縁部22に上記バネ20の他端が溶接または接着してあり、
第1ハウジング5には第1ハウジング5内と中間室7とを連通させる第1通気孔8を形成してあり、この第1通気孔8には防爆構造としての金属メッシュ板10を装着してあり、
第2ハウジング6には第2ハウジング6の外部と中間室7とを連通させる第2通気孔9を穿孔してあり、検知対象以外のガスを吸着する吸着層3を中間室7側で第2通気孔9に装着してあり、
第2ハウジング6は、第1ハウジング5の外面に沿って、筒の軸方向に移動が可能であるが、第1ハウジング5と第2ハウジング6の接触面は、通気がない程度の密着性を保持しており、
第2ハウジング6には第2通気孔9とは別に、点検ガスを注入するための点検ガス導入孔4を第2ハウジング6の外部と内部とを連通させるように設けてあり、この点検ガス導入孔4の第2ハウジング6における位置は、第2ハウジング6に外力がかからず、バネ20の強度により保持される位置にある場合においては、中間室7と面するが、第2ハウジング6に外力がかかり、第2ハウジング6が、バネ20が規定の位置まで縮小されている状態の位置にある場合においては、第1ハウジング5の外面と面する位置となるように設定してあり、
外力により第2ハウジング6の位置を変えることによって、点検ガス導入孔4のガスの流通が可能な状態とガスの流通を阻止する状態とを切替えることが可能な構造となっている、ガスセンサー。」

の技術事項(以下「甲3技術事項」という。)が記載されているものと認められる。

4 甲4の記載事項

(1)甲4には以下の記載がある。

(甲4-1)「【0023】図1に示すように、ガスセンサ1は、半導体式ガスセンサ1Aで構成され、基板4上にガス検知部5を備える半導体式検知素子3を囲うハウジング2の側面に支持された金網9が、前記ガス検知部5の上方に配置され、同じく側面に、前記金網9とは別にガスフィルタ8がガス導入部7内に保持されている。前記半導体式検知素子3は、例えば図2に示すように、基板4の上面に前記ガス検知部5が形成され、その基板4には、前記ガス検知部5の下側にヒータ6を付設してある。」

(甲4-2)「【0027】〔別実施形態〕上記実施の形態においては、金網9とガスフィルタ8とを、支持体10を形成する同一のハウジング2に支持させた例を図1に示して説明したが、例えば図3に示すように、前記ハウジング2を二重構成として、前記金網9は金属製の第一支持体11で支持し、前記ガスフィルタ8を、前記第一支持体11とは別体で、熱伝導が起こりにくい非熱良導体である樹脂製の第二支持体12により支持し、前記金網9との間を熱的に絶縁してもよい。これは、上記実施の形態に示した構成よりも望ましい構成で、前記ガスフィルタ8が、熱伝導による支持体10を熱伝達経路とする熱伝達によって加熱されることを抑制し、さらにガスセンサを小型化することが可能となる。」

(甲4-3)「【0029】図1に示したように、ガス検知部5とガスフィルタ8の下面との間に、金網9を設け、この金網9と、ガスフィルタ8の下面との間には空隙Gを設けた。ガスフィルタとしては、厚さ5.5mmの活性炭フィルタを用いた。本実施例では活性炭を用いたが、ゼオライトやシリカゲル等のをガスフィルタとして用いた場合にも適用可能である。本実施例では、金網は、防爆キャップを兼ねており、センサキャップ全体が一体もの(金属製)である。」

(甲4-4)「【0034】[第二実施例]本実施例では、さらなるコンパクト化を図るため、活性炭フィルタキャップと金網との間との空隙を、樹脂により支持することにより設けた素子について調べた。その概略構成を図3に示す。つまり、支持体10を第一支持体11と第二支持部とで構成し、半導体式検知素子3を囲う第一支持体11を熱良導体である金属で形成して、これに金網9を支持させ、その第一支持体11に被せて熱非良導体である樹脂製の第二支持体12を設け、その第二支持体12にガスフィルタ8を支持させた。樹脂としては、ポリオレフィン樹脂を使用したが、ポリカーボネートのほか、汎用のプラスチックを使用できる。ここでも、ガス検知部5と金網9との間の距離は4mmと一定にし、この金網9と、ガスフィルタ8の下面との間の距離、即ち空隙Gの厚さを異ならせた場合について、感ガス層5aの抵抗値の時間的変化を調べ、1?2分で抵抗値の安定化が得られる距離Lについて検討した。ここでも、前記ガス検知部5の基底部からの距離は4.0mmとした。」

(甲4-5)【図3】




(2)甲4に記載された技術事項

(甲4-1)ないし(甲4-5)の記載から、甲4には、

「 基板4上にガス検知部5を備える半導体式検知素子3を囲うハウジング2を有し、金網9とガスフィルタ8とを、支持体10を形成するハウジング2に支持させたガスセンサにおいて、
ハウジング2を二重構成として、支持体10を第一支持体11と第二支持部とで構成し、半導体式検知素子3を囲う第一支持体11を熱良導体である金属で形成して、これに金網9を支持させ、その第一支持体11に被せて熱非良導体である樹脂製の第二支持体12を設け、その第二支持体12にガスフィルタ8を支持させることにより、
ガスフィルタ8が、熱伝導による支持体10を熱伝達経路とする熱伝達によって加熱されることを抑制し、小型化することを可能とした、ガスセンサ。」

の技術事項(以下「甲4技術事項」という。)が記載されているものと認められる。

5 甲5の記載事項

(1)甲5には以下の記載がある。

(甲5-1)「[0021] (第1の実施形態)
本発明に係る第1の実施形態について添付図面を参照して説明する。尚、以下の説明では特に断りがない限り、図1に示す向きにおいて上下左右の方向を規定する。
[0022] 図1は本実施形態の水素ガスセンサ1の構造を模式的に示した図、図2は外観斜視図、図3は断面図であり、この水素ガスセンサ1は発熱抵抗体2とステム 3a,3bとべース4と保護キャップ5とを備える。
[0023] 発熱抵抗体2は、従来のガスセンサにおける燃焼体21と発熱抵抗体22の両方の機能を備えており、表面の組成をパラジウム、ルテニウム、ロジウム、ニッケル、コバルトの内の少なくとも1種と白金との合金とした白金線をコイル状に卷回して形成されており、その両端がステム3a,3bに電気的且つ機械的に接続されている。本実施形態では発熱抵抗体2として例えば線径が約20μmのものを用い、コイル径を約210μm、線間を約20μmとして10ターン卷回しており、コイルの全長を 360?400μmとしている。なお本実施形態では発熱抵抗体2として白金線を用いているが、白金系の抵抗線であれば純白金以外の材料を用いても良く、例えばジルコニア安定化白金などでも良い。なお本実施形態では白金系の抵抗線の表面を、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、ニッケル、コバルトの内の少なくとも1種と合金化して発熱抵抗体2を形成しているが、最初から合金化された白金系抵抗性を使用しても良い。
[0024] ベース4は合成樹脂により円盤状に形成され、3本のステム3a,3b,3cはベース4を上下方向に貫通するようにベース4にインサート成形されている。3本のステム3a?3cの内、中央のステム3cは他の2本のステム3a,3bに比べて上面からの突出量が 短くなつており、両端にある 2本のステム3a,3bにおいてベース4の上面から突出する部位に発熱抵抗体2の両端部2a,2bが溶接などの方法で固着されている。なお中央のステム3cは、後述の実施形態2で説明するように発熱抵抗体2と補償抵抗8の両方共に取り付ける場合に使用するものであり、発熱抵抗体2だけの場合にはステム3cは使用しない。
[0025] 保護キャップ5は下面側の端部が開口した略円筒状であって、開口部から発熱抵抗体2を内部に納めるようにしてベース4が圧入固定されている。保護キャップ5の天井面には丸孔状の通気孔6が中央に貫設され、通気孔6には防爆のために100メッシュのステンレス製の金網7が装着されている。なお保護キャップ5は金属製のものでも、樹脂製のものでも良い。」

(甲5-2)「[0038] (第2の実施形態)
本発明に係る第2の実施形態について図6を参照して説明する。本実施形態では、第1の実施形態で説明したガスセンサ1において、発熱抵抗体2と同一の材料から形成され、水素ガスに対する活性を無くした補償抵抗8を備えている。尚、補償抵抗8以外の構成は第1の実施形態と同様であるので、共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
・・・
[0041] ベース4は合成樹脂により円盤状に形成され、3本のステム3a,3b,3cがベース4を上下方向に貫通するようにインサート成形されている。3本のステム3a,3b,3cは同一平面内に一列に並ぶように設けられ、中央のステム3cは他の2本のステム3a,3bに比べて上面からの突出量が短くなつている。そして、左側の2本のステム3a,3cには、ベース4の上面から突出する部位に発熱抵抗体2の両端部が溶接などの方法で固着され、右側の2本のステム3b,3cには、ベース4の上面から突出する部位に補償抵抗8の両端部が溶接などの方法で固着されている。ここで、3本のステム3a?3c は同一平面内に並んでいるので、ステム3a?3cに発熱抵抗体2および補償抵抗 8をレーザ溶接する場合は溶接作業を一度に行うことができ、作業性が向上するという利点がある。」

(甲5-3)「[0044] (第3の実施形態)
本発明に係る第3の実施形態について図7および図8を参照して説明する。本実施形態では、第2の実施形態で説明したガスセンサ1において、保護キャップ5の上側にフィルタ12を保持したフィルタキャップ9を被せてある。尚、フィルタキャップ9やフィルタ12以外の構成は第2の実施形態と同様であるので、共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
[0045] フィルタキャップ9は合成樹脂製であって、上面側の端部が閉塞された略円筒状に形成されている。フィルタキャップ9の上面には丸孔状の通気孔10が貫設されており、この通気孔10には防爆のために100メッシュのステンレス製の金網11が装着されている。またフィルタキャップ9の筒内には、通気孔10を通って内部に侵入するガス中の被毒物質を吸着するフィルタ12が装着されている。このフィルタ12は、活性炭、シリカゲル、又はゼオライトのような吸着性多孔質体、或いは、有機または無機の多孔質体に化学物質捕捉性液体成分を含浸させた吸着剤からなり、ガス中の被毒物質(例えばシリコンなど)を吸着する機能を有している。なお上記の化学物質捕捉液体成分としては、例えば酸化性ガスを取り除くために担持されるKOHやアンモニア、アミン等を取り除くために担持される燐酸等があり、特定の被毒物質を吸着するために適宜の成分の液体を有機無機多孔質体に含浸させて使用すれば良い。
[0046] ここにベース4と保護キャップ5とフィルタキャップ9とで、発熱抵抗体2および補償抵抗8を内部に収納するケースが構成され、ケース(フィルタキャップ9)に設けた通気孔10と発熱抵抗体2および補償抵抗8との間のガス流路に被毒物質を吸着するフィルタ12を設けているので、通気孔10を通って内部に侵入するガス中の被毒物質を吸着でき、被毒物質による発熱抵抗体2および補償抵抗8の被毒が抑制されて、感度の劣化を低減できる。」

(甲5-4)[図7]




(甲5-5)[図8]




(2)甲5に記載された技術事項

(甲5-1)ないし(甲5-5)の記載から、甲5には、

「 3本のステム3a,3b,3cが合成樹脂により円盤状に形成されたベース4を上下方向に貫通するようにインサート成形されており、
左側の2本のステム3a,3cには、ベース4の上面から突出する部位に白金線を用いた発熱抵抗体2の両端部が溶接などの方法で固着され、右側の2本のステム3b,3cには、ベース4の上面から突出する部位に、発熱抵抗体2と同一の材料から形成され水素ガスに対する活性を無くした補償抵抗8の両端部が溶接などの方法で固着されており、
保護キャップ5は下面側の端部が開口した金属製又は樹脂製の略円筒状であり、天井面には丸孔状の通気孔6が中央に貫設され、通気孔6には防爆のために100メッシュのステンレス製の金網7が装着されており、開口部から発熱抵抗体2を内部に納めるようにしてベース4が圧入固定されている、水素ガスセンサにおいて、
上面側の端部が閉塞された略円筒状に形成され、上面には丸孔状の通気孔10が貫設されており、この通気孔10には防爆のために100メッシュのステンレス製の金網11が装着されており、筒内には、通気孔10を通って内部に侵入するガス中の被毒物質を吸着するフィルタ12が装着されている合成樹脂製のフィルタキャップ9を、保護キャップ5の上側に被せてあり、
ベース4と保護キャップ5とフィルタキャップ9とで、発熱抵抗体2及び補償抵抗8を内部に収納するケースが構成されている、水素ガスセンサ。」

の技術事項(以下「甲5技術事項」という。)が記載されているものと認められる。

6 甲6の記載事項

(1)甲6には以下の記載がある。

(甲6-1)「【0008】
【発明の実施の形態】まず、本発明のガスセンサにより説明する。図1(a)は本発明のガスセンサの一部破断せる斜視図であり、センサ筐体1は略直径が23mmの合成樹脂製の有底筒体からなり、底部にセンサ部2を配設し、開口部1a近傍内にフィルター3を配置し、開口部1aにステンレス製のキャップ4を被着してある。
【0009】センサ部2はセンサ筐体1の底部を兼ねたセンサーベース5と、このセンサーベース5を貫通してセンサ筐体1内外に突出せる4本の電極ピン6と、これらの電極ピン6に電極線を接続固定して支持された金属酸化物半導体からなる感ガス体7と、この感ガス体7を囲む金属製カバー8とで構成され、センサ筐体1の開口部1aから感ガス体7に至るまでの空間でガス流路を構成するために金属製カバー8の一端は開口している。
【0010】フィルター3は、ウレタン樹脂に活性炭を混入させて発泡成形して形成されたシート状の多孔性樹脂体を、センサ筐体1の開口部1a近傍内周に形成せる広径部9と略同径に打抜いて円盤状となったもので、その厚さ寸法を広径部9の高さ寸法より大きくしてある。このフィルター3をセンサ筐体1内に配置するに当たって、まずフィルター3をセンサ筐体1の開口部1aより広径部9に落とし込み、次にフィルター3を圧縮しながらキャップ4をセンサ筐体1の開口部に被せてセンサ筐体1に固定するのである。このときフィルター3はセンサ筐体1内の広径部9と狭径部10との境界となる段部により構成される支承部11とキャップ4との間で挟持されて、上記ガス流路に介在することになる。
【0011】キャップ4は3個の孔4aを開口するとともに裏面側にメッシュ体4bを貼り付けたもので、孔4aとメッシュ体4bの網目を介してセンサ筐体1外からセンサ筐体1内のガス流路に導入するになっている。感ガス体7は、検知対象ガスによって組成が異なるものであって、本発明ガスセンサでは一酸化炭素又は水素を検知対象とし、SnO_(2)を基材として用いるとともに、SnO_(2)1g当たり、貴金属触媒を例えばPd或いはPtを混合焼成した金属酸化物半導体からなり、図1(b)に示すように埋設した加熱用ヒータ12a,12aの両端を対となる電極ピン6,6間に接続してある。」

(甲6-2)「【0016】図4は合成樹脂成形品からなる約8mmのセンサ筐体1を用いた小型のガスセンサを構成する実施形態を示しており、この実施形態では、センサ筐体1の底部に収納せる金属製カバー13内に金属酸化物半導体からなる感ガス体を収納したセンサ部2を配置するとともに金属製カバー13の開口よりセンサ筐体1の開口との間にフィルター3を圧縮収納し、フイィルター3(当審注:「フイィルター3」は「フィルター3」の誤記と認める。)をセンサ筐体1の開口から金属製カバー13の開口内の底部付近の感ガス体に至るガス流路内に介在させている。」

(甲6-3)【図1】




(甲6-4)【図4】




(2)甲6に記載された技術事項

(甲6-1)ないし(甲6-4)の記載から、甲6には、

「 合成樹脂成形品からなるセンサ筐体1の底部に収納せる金属製カバー13内に金属酸化物半導体からなる感ガス体を収納したセンサ部2を配置するとともに、金属製カバー13の開口とセンサ筐体1の開口との間に、ウレタン樹脂に活性炭を混入させて発泡成形して形成された多孔性樹脂体からなるフィルター3を圧縮収納した、ガスセンサ。」

の技術事項(以下「甲6技術事項」という。)が記載されているものと認められる。

7 甲7の記載事項

(1)甲7には、以下の記載がある。

(甲7-1)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、防水型ガスセンサに関するものである。」

(甲7-2)「【0008】図1?図3は本実施形態の構造を示すものであり、図示するように合成樹脂製のキャップ1は円筒状に形成されたもので、一端開口部には内向き突片2を一体形成して、この内向き突片2で囲繞される開口をガス流入口3としている。
【0009】ガス流入口3は透気性防水膜4(例えば、延伸多孔質ポリテトラフロロエチレン<ゴアテックス(ジャパンゴアテックス株式会社の商品名)>)により塞がれている。この透気性防水膜4は周辺部を全周に亘って、上記内向き突片2の内側面(下面)に接着して固定されている。
【0010】キャップ1内に収納させるセンサ本体5は、リードフレームから形成された3本の端子6a?6cをインサート成形により貫設した樹脂製ベース9と、該ベース9の上方に突出した上記端子6a?6cの一端(上端)部にワイヤー7a?7cにより接続されて保持された感ガス体8と、感ガス体8を覆うようにベース9の上面側に被着された金属製カバー10とで構成される。
【0011】金属製カバー10は天井部中央に開口窓10aを開口したもので、下側の開口部にベース9を嵌合して開口部下端をベース9の周部の下端に形成した突部11上に載置することでベース9に保持されるようになっている。また開口窓10(当審注:「開口窓10」は「開口窓10a」の誤記と認める。)は開口窓10(当審注:「開口窓10」は「開口窓10a」の誤記と認める。)の周囲の天井部内面に周辺部を接着固定した網体12により塞がれている。
【0012】而してセンサ本体5をキャップ1内に収納するに当たっては、円盤状のシリカフィルター13とこのシリカフィルター13の外径より内径がやや小さく、外径がほぼキャップ1の内径と等しいゴム製の弾性環状リング(Oリング)14とを、弾性環状リング14をシリカフィルター13の周部に嵌着した状態でキャップ1内に先に収納し、この収納後に、センサ本体5をキャップ1内に収納するのである。」

(甲7-3)【図1】




(2)甲7に記載された技術事項

(甲7-1)ないし(甲7-3)の記載から、甲7には、

「 センサ本体5は、リードフレームから形成された3本の端子6a?6cをインサート成形により貫設した樹脂製ベース9と、該ベース9の上方に突出した端子6a?6cの一端(上端)部にワイヤー7a?7cにより接続されて保持された感ガス体8と、感ガス体8を覆うようにベース9の上面側に被着された金属製カバー10とで構成され、
金属製カバー10は天井部中央に開口窓10aを開口したもので、開口窓10aは開口窓10aの周囲の天井部内面に周辺部を接着固定した網体12により塞がれており、
合成樹脂製のキャップ1は円筒状に形成されたもので、一端開口部には内向き突片2を一体形成して、この内向き突片2で囲繞される開口をガス流入口3としていて、ガス流入口3は透気性防水膜4により塞がれており、
円盤状のシリカフィルター13とこのシリカフィルター13の外径より内径がやや小さく、外径がほぼキャップ1の内径と等しいゴム製の弾性環状リング(Oリング)14とを、弾性環状リング14をシリカフィルター13の周部に嵌着した状態でキャップ1内に先に収納し、この収納後に、センサ本体5をキャップ1内に収納した、防水型ガスセンサ。」

の技術事項(以下「甲7技術事項」という。)が記載されているものと認められる。

8 甲8の記載事項

甲8には以下の記載がある。

(甲8-1)「【0005】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するための本発明によるガスセンサの特徴構成は、検知対象ガスに対するガス検知状態において、通気孔を流通するガスの流量を、検知対象ガスに対する選択性が得られる流量に制限する流量制限通気孔として通気孔を構成するとともに、通気孔の外側に防爆用構造材を配設し、ハウジング外部と通気孔との間に防爆用構造材を介する通気路を備え、防爆用構造材の外側通気面積が通気孔の通気面積より大きく設定されていることにあり、その作用・効果は次の通りである。
【0006】
【作用】つまり、このガスセンサにおいては、ハウジング内部と外部とのガスの流通は、外部側から防爆用構造材、通気孔を経る通気路を介して行われる。そして、ガスの流量は、通気孔によって規制され、これにより、従来、金網、焼結金属等でおこなわれてきた拡散制限効果が得られ、検知対象ガスに対する選択性が得られる。ここで、この拡散制限効果とは、複数のガス種において、夫々のガスが有している燃焼速度に差があるため、ハウジング内へ供給される外気の量が規制されると、ハウジング内に配設される金属酸化物半導体に於けるガス種による感度差(選択性)が得られることをいう。本願の構成の場合は、通気孔の形状を特定すれば、この効果が得られるため、ハウジング内へのガス流入量を一定量に制限することが正確に行え、確実なガス選択性能を得ることができる。そして、この通気孔の外部側に、金網、焼結体等の防爆用構造材を配設することにより、センサの防爆が確保される。ここで、この防爆用構造材においては、必ずしも拡散制限能を期待する必要はないため、一般に採用されているものを使用するだけでよい。さて、前述の通気孔であるが、上述のような拡散制限能を備えたものは、その孔径が比較的小さくなる。従って、この通気孔を外部に露出させ、その内側に防爆用構造材を配設する場合は、この孔のダスト等による目詰まりを起こす可能性が高い。例えば、検知対象ガスがブタンの場合、ガスセンサは例えば台所の床近傍部位に配設されることとなるため、こういった問題は発生しやすい。しかしながら、本願のガスセンサにおいては、防爆用構造材の外側通気面積が通気孔の通気面積より大きく設定されていることにより、例え防爆用構造材の一部が目詰まりをおこした場合においても、他の開口部位からの通気が確保される。更に、防爆用構造材と通気制限部材との間に隙間を設ければ、より前述の通気孔の効果が確実に発揮されることとなる。」

(甲8-2)「【0014】
【表1】



(甲8-3)【図1】




9 甲9の記載事項

甲9には以下の記載がある。

(甲9-1)「【0008】
【作用】つまり、検出ガスを外部空間からガス検出素子へ導くガス誘導路に、前記外部空間から前記ガス検出素子を隔離するガスフィルタを設けたから、前記検出ガスは、前記ガスフィルタを通過して前記ガス検出素子に達する。このとき、前記ガスフィルタには、有機シリコーンガス吸着用のケイ酸成分粒子又はアルミノケイ酸成分粒子(以下、有機シリコーンガス吸着用粒子と称する)を保持させてあるから、前記検出ガス中に有機シリコーンガスが含まれていたとしても、前記検出ガスには、前記ガスフィルタに吸着されるなどの不都合をきたすことなく、前記有機シリコーンガスが、前記ガスフィルタに吸着されて、前記検出ガス中から除去され、前記有機シリコーンガスはガス検出素子に達しにくい。そのため、前記ガス検出素子にシリコーン成分が付着してガス検知特性を変化させてしまうという不都合を抑制することが出来る。また、前記ガスフィルタとしては、一対の通気性多孔質シート間にガス吸着用粒子を介在させてなるものであれば、前記有機シリコーンガス吸着用粒子を高密度に保持された状態に、かつ表面積の大きい状態に保持出来、しかも、検知ガスの通気性を高く維持できるので前記ガス吸着用粒子のガス吸着性能を高くできる。」

(甲9-2)「【0012】
【実施例】以下に本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図2に示すように、ガスセンサは、ガス検出素子Aを設け、検出ガスを外部空間Bからガス検出素子Aへ導くガス誘導路を設け、前記外部空間Bから前記ガス検出素子Aを隔離するガスフィルタCを、前記ガス誘導路を形成する通気口D1に設け、前記ガスフィルタCにシリカアルミナ微粒子2(13%アルミナ)を保持させてある。前記ガス検出素子Aは貴金属コイルに金属酸化物半導体を塗布焼結した、いわゆる熱線型半導体センサであり、円筒形状のハウジングDの内部に備えて構成してある。また、前記ハウシングDの頂部部位において、外部空間BとハウジングDの内部との間でガスが流通可能なガス誘導路を形成する通気口D1を設けててある。そして、このハウジングDに対して下部よりガス検出素子Aを備えたセンサ基台D2を挿入することによりガスセンサが組立てられる。ここで、ハウジングD自体は気密性の材料で構成されており、通気口D1には、全面に渡ってガスフィルタCと防爆用金網D3とを設けてあり、前記ガスフィルタCを介して外部空間Bと前記ハウジング内のガス検出素子Aの近傍とに渡ってガスが流通する。」

(甲9-3)「【0014】前記ガスフィルタCは、図1に示すように、一対のガラス繊維不織布1の間にシリカアルミナ微粒子(13%アルミナ)を分散介在させた状態で、前記ガラス繊維不織布1同士をシリカゾルバインダを用いて、振動を与えても前記シリカ・アルミナ微粒子が自由に流動しない程度に、約0.1g/cm^(2)の割合で含浸接着して形成してある。」

(甲9-4)【図2】




10 甲10の記載事項

(1)甲10には、以下の記載がある。

(甲10-1)明細書第1頁下から3?末行
「(産業上の利用分野)
この考案は、ガラス面の湿度を検出する湿度センサに関するものである。」

(甲10-2)明細書第4頁2行?第7頁2行
「(実施例)
以下この考案の実施例を図面により説明する。第1図、第2図においてケース1は、一方が開放され、他方が閉塞された断面矩形状のもので、開放端周縁に膨出した段部2を形成し、この段部2に感湿素子3を取付けた基板4を嵌着させて該感湿素子3を囲むように収納している。感湿素子3が対向するケース1の部分、即ちケース1の閉塞部5には、横方向に延びる複数の通気孔6が形成され、この通気孔6を挟んで下記する第1のフイルタ7及び第2のフイルタ8が設けられている。そしてこのケース1を、例えば、基板4の外側の面に付着させた接着材により、ガラス9の表面に固着させている。尚、感湿素子3は、周知のように、Au,Ptからなる一対の電極にZn_(3)(P0_(4))_(2)等からなる感湿膜を取付けて構成されたものである。
第1のフイルタ7は、ケース1の内側から閉塞部5に付着させて通気孔6に設けられたもので、通気孔6を介してケース1内に侵入する水滴や塵埃等の異物を取り除き、感湿素子3を保護する働きをしている。この実施例において第1のフイルタ7は、水蒸気を通過させるのに支障がない程度の目の細かい多孔質高分子膜で構成されている。
第2のフィルタ8は、ケース1の閉塞部5の外面と等しい大きさに形成された矩形状のもので、第1のフィルタ7よりも目が荒く形成され、例えばケース1に設けられた着脱自在なカバー10により、ケース1の外側から通気孔6に設けられている。このカバー10は、ケース1と同様、一方を開放し、他方を閉塞した箱状のもので、その閉塞部11には複数の空気導入口12が形成され、カバー10の内側にはケース1の段部2に係止する当て部13が設けられている。また、ケース1にカバー10を取付けた際、内璧面がケース1の外壁面に弱い弾力にて当接され、カバー10の閉塞部11とケース1の閉塞部5との間に第2のフイルタ8の厚みに略等しい隙間ができるよう形成されている。
そして、第2のフイルタ8は、ケース1に嵌合されたカバー10により、カバー10の閉塞部11とケース1の閉塞部5との間に着脱自在に挾みつけられているものである。従つて、第1のフイルタ7は、第2のフイルタ8により、ケース1の通気孔6 を介して覆われた構造となつている。 尚、湿度センサ3のリード線14、14は、前記電極の端部に半田付けされ、ケース1及びカバー10の下部の側壁を介して外部に引き出されている。
上記構成において、空気は、カバー10の空気導入口12を介して第2のフイルタ8を通過し、その後ケース1の通気孔6を介して第1のフイルタ7を通過し、感湿素子3に導かれる。この際、空気に混在する異物の大部分は、 第2のフイルタ8により取り除かれ、感湿素子3を保護する第1のフイルタ7の目づまりを抑えることができるものである。一方、第2のフイルタ8に異物が付着して通気が悪くなることが考えられるが、第2のフイルタ8は着脱自在であり、異物の付着状態等により必要に応じて交換できるため、通気性の低下を防ぐことができるものである。」

(甲10-3)第1図




(甲10-4)第2図




(2)甲10に記載された技術事項

(甲10-1)ないし(甲10-3)の記載から、甲10には、

「 ケース1は、一方が開放され、他方が閉塞された断面矩形状のもので、開放端周縁に膨出した段部2を形成し、この段部2に感湿素子3を取付けた基板4を嵌着させて該感湿素子3を囲むように収納しており、
感湿素子3が対向するケース1の部分、即ちケース1の閉塞部5には、横方向に延びる複数の通気孔6が形成され、この通気孔6を挟んで第1のフイルタ7及び第2のフイルタ8が設けられており、
第1のフイルタ7は、ケース1の内側から閉塞部5に付着させて通気孔6に設けられたもので、通気孔6を介してケース1内に侵入する水滴や塵埃等の異物を取り除き、感湿素子3を保護する働きをしており、
第2のフィルタ8は、ケース1の閉塞部5の外面と等しい大きさに形成された矩形状のもので、第1のフィルタ7よりも目が荒く形成され、ケース1に設けられた着脱自在なカバー10により、ケース1の外側から通気孔6に設けられており、このカバー10は、ケース1と同様、一方を開放し、他方を閉塞した箱状のもので、その閉塞部11には複数の空気導入口12が形成され、カバー10の内側にはケース1の段部2に係止する当て部13が設けられており、
第2のフイルタ8は、第1のフイルタ7の目づまりを抑えることができるものであり、ケース1に嵌合されたカバー10により、カバー10の閉塞部11とケース1の閉塞部5との間に着脱自在に挾みつけられているものであって、着脱自在であり、異物の付着状態等により必要に応じて交換できる、
ガラス面の湿度を検出する湿度センサ。」

という技術事項(以下「甲10技術事項」という。)が記載されているものと認められる。


第5 判断

1 本件発明1について

(1)本件発明1と甲1発明とを対比する。


(ア)甲1発明の「検知対象ガス」、「ガス感応部101」及び「加熱駆動型のガスセンサ」は、それぞれ本件発明1の「被検知ガス」、「ガス感応部」及び「ガス検知器」に相当する。

(イ)甲1発明の「ガス感応部101」及び「電極104a、104b」は、併せて本件発明1の「ガス検知素子」に相当する。

(ウ)甲1発明は、「前記ガス感応部101が測定雰囲気と接触すると、その際の検知対象ガスの濃度に応じて前記ガス感応部101の抵抗値が変化し測定雰囲気中の検知対象ガスの濃度を測定することができる」ものであるから、「前記ガス感応部101」が「検知対象ガス」と接触することによりその抵抗値が変化することは明らかである。

(エ)上記(ア)ないし(ウ)を踏まえると、甲1発明の「ガス感応部101」及び「電極104a、104b」を有し、「前記ガス感応部101が測定雰囲気と接触すると、その際の検知対象ガスの濃度に応じて前記ガス感応部101の抵抗値が変化し測定雰囲気中の検知対象ガスの濃度を測定することができる」、「加熱駆動型のガスセンサ」は、本件発明1の「被検知ガスと接触するガス感応部を有するガス検知素子を備えたガス検知器」に相当する。


(ア)甲1発明の「きょう体109」と、本件発明1の「二重の筐体における外側の外側筐体」とは、「本体筐体」の点で共通する。

(イ)甲1発明の「内包する」は、本件発明1の「収容する」に相当する。

(ウ)上記(ア)及び(イ)並びにア(イ)を踏まえると、甲1発明の「きょう体109」が「前記ガス感応部101」及び「電極104a、104b」を「内包」していることと、本件発明1の「前記ガス検知素子を収容する二重の筐体を備え」ていることとは、「前記ガス検知素子を収容する本体筐体を備え」ている点で共通する。


(ア)甲1発明の「測定雰囲気と接触を良くするため」の「開口部110」は、本件発明1の「被検知ガスを導入するガス導入口」に相当する。

(イ)甲1発明の「測定雰囲気の妨害ガスを除去する除去手段としてのシリカゲルフィルタ111」が「有機ガスを吸収する」ことが可能であることは明らかであるから、甲1発明の「測定雰囲気の妨害ガスを除去する除去手段としてのシリカゲルフィルタ111」は、本件発明1の「有機ガスを吸収する第一吸着部」に相当する。

(ウ)上記(ア)及び(イ)並びにイ(ア)を踏まえると、甲1発明の「きょう体109」に「測定雰囲気と接触を良くするため」の「開口部110が設けられており」、「測定雰囲気の妨害ガスを除去する除去手段としてのシリカゲルフィルタ111」が「前記きょう体109内部に固定手段112によって固定されて」いることと、本件発明1の「前記二重の筐体における外側の外側筐体は、被検知ガスを導入するガス導入口および有機ガスを吸収する第一吸着部を備え」ていることとは、「前記本体筐体は、被検知ガスを導入するガス導入口および有機ガスを吸収する第一吸着部を備え」ている点で共通する。


(ア)甲1発明において、「妨害成分流入制限手段として」の「ピンホール2」の開口面積が、「測定雰囲気と接触を良くするため」の「開口部110」の開口面積よりも小さいことは明らかである。
よって、甲1発明の「妨害成分流入制限手段として」の「ピンホール2」は、本件発明1の「前記ガス導入口より開口面積が小さい制限通気口」に相当する。

(イ)甲1発明の「妨害成分吸着手段として活性炭シート5」が「有機ガスを吸収する」ことが可能であることは明らかであるから、甲1発明の「妨害成分吸着手段として活性炭シート5」は、本件発明1の「有機ガスを吸収する第二吸着部」に相当する。

(ウ)甲1発明の「流入制限板1」と、本件発明1の「前記二重の筐体における内側の内側筐体」とは、「本体筐体内部の構造体」の点で共通する。

(エ)上記(ア)ないし(ウ)及びイ(ア)を踏まえると、甲1発明の「前記きょう体109内部に」「妨害成分流入制限手段としてピンホール2を設けた流入制限板1が固定手段3によって固定されており」、「前記流入制限板1の下部に妨害成分吸着手段として活性炭シート5が固定手段6によって固定されて」いることと、本件発明1の「前記二重の筐体における内側の内側筐体は、前記ガス導入口より開口面積が小さい制限通気口および有機ガスを吸収する第二吸着部を備え」ていることとは、「本体筐体内部の構造体は、前記ガス導入口より開口面積が小さい制限通気口を備え、前記本体筐体は、内部に有機ガスを吸収する第二吸着部を備え」ている点で共通する。

オ 上記エ(ア)、ウ(イ)及びエ(イ)を踏まえると、甲1発明の「測定雰囲気の妨害ガスを除去する除去手段としてのシリカゲルフィルタ111と、その下面に接する目詰まり防止手段としての金属メッシュ板4とが、前記きょう体109内部に固定手段112によって固定されており、前記金属メッシュ板4と前記感応部101との間に妨害成分流入制限手段としてピンホール2を設けた流入制限板1が固定手段3によって固定されており、前記流入制限板1の下部に妨害成分吸着手段として活性炭シート5が固定手段6によって固定されて」いることは、本件発明1の「前記制限通気口は前記第一吸着部および前記第二吸着部の間に配設してある」ことに相当する。

(2)一致点及び相違点

したがって、本件発明1と甲1発明とは、

「 被検知ガスと接触するガス感応部を有するガス検知素子を備えたガス検知器であって、
前記ガス検知素子を収容する本体筐体を備え、
前記本体筐体は、被検知ガスを導入するガス導入口および有機ガスを吸収する第一吸着部を備え、
本体筐体内部の構造体は、前記ガス導入口より開口面積が小さい制限通気口を備え、前記本体筐体は、内部に有機ガスを吸収する第二吸着部を備え
前記制限通気口は前記第一吸着部および前記第二吸着部の間に配設してあるガス検知器。」

の発明である点において一致し、以下の相違点において相違する。

(相違点)
本件発明1は、「前記ガス導入口より開口面積が小さい制限通気口を備え」る「本体筐体内部の構造体」が、「前記ガス検知素子を収容する二重の筐体」「における内側の内側筐体」であり、「有機ガスを吸収する第二吸着部」が、「内側筐体」に「備え」られているのに対し、甲1発明は、「前記ガス導入口より開口面積が小さい制限通気口を備え」る「本体筐体内部の構造体」が、「前記きょう体109内部に」「固定され」た「流入制限板1」であり、「有機ガスを吸収する第二吸着部」(「妨害成分吸着手段として」の「活性炭シート5」)が、「前記きょう体109内部に」「固定され」ており、「内側筐体」を有していない点。

(3)上記相違点について検討する。

ア 異議申立人は、甲2ないし甲7の記載から、ガス検知素子を収容する二重の筐体を備えたガス検知器は、本件特許に係る出願前において周知技術である旨主張している。
そこで検討するに、甲2ないし甲7には、それぞれ甲2技術事項ないし甲7技術事項が記載されている。
甲2技術事項は、「金属板を有底筒状に成形して形成され」、「第1通気孔8には防爆構造材としての金属メッシュ板10を装着してあり」、「ガス検知素子1を内装」する「第1ハウジング5」及び「第1ハウジング5の上に」「被せるように装着し」、「バネ20」で連結した「樹脂等で有底筒状に形成されている第2ハウジング6」を有しているが、甲2には、ガス検知素子を収容する筐体を任意の形態の二重の筐体で構成しようという技術思想が読み取れる記載は見当たらない。
甲3技術事項は、「金属板を有底筒状に成形して形成し」、「第1通気孔8には防爆構造としての金属メッシュ板10を装着してあり」、「ガス検知素子1を内装」する「第1ハウジング5」及び「第1ハウジング5の上に」「被せるように装着し」た「樹脂等で有底筒状に形成してある第2ハウジング6」を有しているが、甲3には、ガス検知素子を収容する筐体を任意の形態の二重の筐体で構成しようという技術思想が読み取れる記載は見当たらない。
甲4技術事項は、「半導体式検知素子3を囲うハウジング2」であって「支持体10を形成する」「ハウジング2を二重構成とし」、「支持体10を第一支持体11と第二支持部とで構成し」ているが、「金網9とガスフィルタ8とを」支持するための支持体を二重構成にしようとするものであり、甲4には、ガス検知素子を収容する筐体を任意の形態の二重の筐体で構成しようという技術思想が読み取れる記載は見当たらない。
甲5技術事項は、「発熱抵抗体2を内部に納める」「保護キャップ5」及び「保護キャップ5の上側に被せ」た「フィルタキャップ9」を有し、「ベース4と保護キャップ5とフィルタキャップ9とで、発熱抵抗体2及び補償抵抗8を内部に収納するケースが構成されている」が、(甲5-3)の段落[0044]の「 本実施形態では、第2の実施形態で説明したガスセンサ1において、保護キャップ5の上側にフィルタ12を保持したフィルタキャップ9を被せてある。尚、フィルタキャップ9やフィルタ12以外の構成は第2の実施形態と同様であるので、共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。」との記載によれば、甲5技術事項はフィルタを有していないガスセンサにフィルタを装着するために、保護キャップに被せるフィルタキャップを採用したものと認められ、甲5には、ガス検知素子を収容する筐体を任意の形態の二重の筐体で構成しようという技術思想が読み取れる記載は見当たらない。
甲6技術事項は、「金属製カバー13内に」「感ガス体を収納したセンサ部2」及び「金属製カバー13」を「底部に収納」した「センサ筐体1」を有しているが、甲6には、ガス検知素子を収容する筐体を任意の形態の二重の筐体で構成しようという技術思想が読み取れる記載は見当たらない。
甲7技術事項は、「開口窓10a」が「網体12により塞がれており」、「感ガス体8を覆う」「金属製カバー10」を有する「センサ本体5」及び「センサ本体5を」「内に収納した」「キャップ1」を有しているが、甲7には、ガス検知素子を収容する筐体を任意の形態の二重の筐体で構成しようという技術思想が読み取れる記載は見当たらない。
そうすると、甲2ないし甲7の記載から、甲2技術事項ないし甲7技術事項を上位概念化したガス検知素子を収容する二重の筐体を備えたガス検知器が、周知技術であると認定することはできない。

仮に、ガス検知素子を収容する二重の筐体を備えたガス検知器が周知技術(以下、当該技術を「技術事項A」という。)であると認定することができたとしても、その技術的意義は明らかではないから、甲1発明に技術事項Aを採用する動機付けがあるとは認められない。

さらに、仮に、甲1発明に技術事項Aを採用したとしても、技術事項Aは、甲1発明の「流入制限板1」に相当する部材を構成するための技術ではなく、甲1発明を具体的にどのように二重の筐体を備えた構成にするのかを示唆するものではないから、当業者といえども、甲1発明の「流入制限板1」を天板とする内側筐体とすることを容易に想到できるとはいえない。

また、甲1発明に甲2技術事項ないし甲7技術事項をそれぞれ採用したとしても、甲2技術事項ないし甲7技術事項から把握される内側筐体は、いずれも「有機ガスを吸収する第二吸着部」を備えておらず、「ガス検知素子」のみを収容するものであるから、「活性炭シート5」の下方に「ガス感応部101、電極104a、104b」等を収容する金網を備えた「内側筐体」が得られるのみであり、当業者といえども、甲1発明の「流入制限板1」を天板とする内側筐体とすることを容易に想到できるとはいえない。

イ 甲10技術事項は、(ア)閉塞部5に通気孔6が形成され感湿素子3を囲むように収納するケース1の内側から閉塞部5に付着させた第1のフイルタ7、(イ)ケース1に設けられた着脱自在なカバー10であって、閉塞部11に空気導入口12が形成されカバー10により、ケース1の外側から通気孔6に設けられた第2のフィルタ8を備えていることから、本件発明1の「二重の筐体における外側の外側筐体」が「第一吸着部を備え」、「前記二重の筐体における内側の内側筐体」が「第二吸着部を備え」るという構成に相当する構成を備えているといえる。
しかしながら、甲10技術事項は、「ガラス面の湿度を検出する湿度センサ」に関するものであって、「第1のフイルタ7の目づまりを抑える」ために設けた「第2のフイルタ8」を交換可能とするために、当該構成を採用したものと認められるところ、加熱駆動型のガスセンサである甲1発明に甲10技術事項を採用する動機付けがあるとは認められない。

ウ また、上記「第4の8及び9」によれば、甲8及び甲9は、ガス検知素子を収容する二重の筐体を備えたガス検知器を開示するものではない。

(4)したがって、本件発明1は、甲1発明及び甲2ないし甲10の記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
よって、本件発明1についての特許異議申立人の申立理由には理由がない。

2 本件発明2ないし6について

本件発明2ないし6は、本件発明1を更に減縮したものであるところ、本件発明1についての特許異議申立人の申立理由に理由がないことは、上記「1 本件発明1について」で検討したとおりであるから、本件発明2ないし6についての特許異議申立人の申立理由も同様に理由がない。


第6 むすび

以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件請求項1ないし6に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1ないし6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2018-11-29 
出願番号 特願2013-202590(P2013-202590)
審決分類 P 1 651・ 121- Y (G01N)
最終処分 維持  
前審関与審査官 櫃本 研太郎  
特許庁審判長 伊藤 昌哉
特許庁審判官 ▲高▼見 重雄
渡戸 正義
登録日 2018-03-16 
登録番号 特許第6303211号(P6303211)
権利者 新コスモス電機株式会社
発明の名称 ガス検知器  
代理人 北村 修一郎  
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