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審決分類 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する F16C
審判 訂正 特許請求の範囲の実質的変更 訂正する F16C
審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する F16C
審判 訂正 3項(134条5項)特許請求の範囲の実質的拡張 訂正する F16C
審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する F16C
審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する F16C
管理番号 1346942
審判番号 訂正2018-390145  
総通号数 230 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-02-22 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2018-09-20 
確定日 2018-11-29 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5601320号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第5601320号の明細書、特許請求の範囲及び図面を本件審判請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲及び図面のとおり訂正することを認める。 
理由 第1 手続の経緯
本件訂正審判の請求に係る特許第5601320号(以下、「本件特許」という。)は、2010年5月21日(優先権主張:2009年5月21日日本国、2010年2月19日 日本国)を国際出願日とし、平成26年8月29日に特許権の設定登録がされ、平成30年9月20日に本件訂正審判の請求がされたものである。

第2 請求の趣旨及び訂正の内容
本件訂正審判の請求の趣旨は、審判請求書の請求の趣旨に記載されているとおり、特許第5601320号の明細書、特許請求の範囲及び図面を本件審判請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲及び図面のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものであって、その内容は次のとおりである。(審決注:下線部分が訂正箇所である。)

1 訂正事項1
特許請求の範囲の【請求項1】の「前記転動体が、アルミナ成分と、ジルコニア成分またはイットリアを1.5?5モル%含有するイットリア-ジルコニア成分とを、質量比で、アルミナ成分:ジルコニア成分またはイットリア-ジルコニア成分=5?30:70?95で含み、アルミナ焼結粒子、ジルコニア焼結粒子またはイットリア-ジルコニア焼結粒子が、何れも平均粒径2μm以下であり、かつ、SiO_(2)、Na_(2)O及びFe_(2)O_(3)の各含有量が何れも0.3質量%以下であるアルミナ-ジルコニア系複合材料製である」との記載を
「前記転動体が、アルミナ成分と、ジルコニア成分またはイットリアを1.5?5モル%含有するイットリア-ジルコニア成分とを、質量比で、アルミナ成分:ジルコニア成分またはイットリア-ジルコニア成分=20:80で含み、アルミナ焼結粒子、ジルコニア焼結粒子またはイットリア-ジルコニア焼結粒子が、何れも平均粒径0.8μm以下であり、かつ、SiO_(2)、Na_(2)O及びFe_(2)O_(3)の各含有量が何れも0.3質量%以下であるアルミナ-ジルコニア系複合材料製である」に訂正する(請求項1を直接的又は間接的に引用する請求項2?8についても同様に訂正する)。

2 訂正事項2
特許請求の範囲の【請求項2】の「転動体の表面において、10?30μmのジルコニア塊またはイットリア-ジルコニア塊の個数が5個/300mm^(2)以下である」との記載を
「転動体の表面において、10?30μmのジルコニア塊またはイットリア-ジルコニア塊の個数が2個/300mm^(2)以下である」に訂正する(請求項2を直接的又は間接的に引用する請求項3?8についても同様に訂正する)。

3 訂正事項3
特許請求の範囲の【請求項9】の「少なくとも内輪、外輪、転動体及び保持器を備える転がり軸受の製造方法において、
SiO_(2)、Na_(2)O及びFe_(2)O_(3)の各含有量が何れも0.3質量%以下であり、かつ、アルミナ原料粉末と、ジルコニア原料粉末またはイットリアを1.5?5モル%含有するイットリア-ジルコニア原料粉末とを、質量比で、アルミナ原料粉末:ジルコニア原料粉末またはイットリア-ジルコニア原料粉末=5?30:70?95の割合で混合してなる混合物を、転動体の形状に成形した後、成形物を焼結して、ジルコニア焼結粒子またはイットリア-ジルコニア焼結粒子が何れも平均粒径2μm以下である転動体を作製する工程」との記載を
「少なくとも内輪、外輪、転動体及び保持器を備える転がり軸受の製造方法において、
SiO_(2)、Na_(2)O及びFe_(2)O_(3)の各含有量が何れも0.3質量%以下であり、かつ、アルミナ原料粉末と、ジルコニア原料粉末またはイットリアを1.5?5モル%含有するイットリア-ジルコニア原料粉末とを、質量比で、アルミナ原料粉末:ジルコニア原料粉末またはイットリア-ジルコニア原料粉末=20:80の割合で混合してなる混合物を、転動体の形状に成形した後、成形物を焼結して、アルミナ焼結粒子、ジルコニア焼結粒子またはイットリア-ジルコニア焼結粒子が何れも平均粒径0.8μm以下である転動体を作製する工程」に訂正する(請求項9を直接的又は間接的に引用する請求項10についても同様に訂正する)。

4 訂正事項4
明細書の段落【0009】の「(1)少なくとも内輪、外輪、転動体及び保持器を備える転がり軸受において、
前記転動体が、アルミナ成分と、ジルコニア成分またはイットリアを1.5?5モル%含有するイットリア-ジルコニア成分とを、質量比で、アルミナ成分:ジルコニア成分またはイットリア-ジルコニア成分=5?30:70?95で含み、アルミナ焼結粒子、ジルコニア焼結粒子またはイットリア-ジルコニア焼結粒子が、何れも平均粒径2μm以下であり、かつ、SiO_(2)、Na_(2)O及びFe_(2)O_(3)の各含有量が何れも0.3質量%以下であるアルミナ-ジルコニア系複合材料製であることを特徴とする転がり軸受。」との記載を
「(1)少なくとも内輪、外輪、転動体及び保持器を備える転がり軸受において、
前記転動体が、アルミナ成分と、ジルコニア成分またはイットリアを1.5?5モル%含有するイットリア-ジルコニア成分とを、質量比で、アルミナ成分:ジルコニア成分またはイットリア-ジルコニア成分=20:80で含み、アルミナ焼結粒子、ジルコニア焼結粒子またはイットリア-ジルコニア焼結粒子が、何れも平均粒径0.8μm以下であり、かつ、SiO_(2)、Na_(2)O及びFe_(2)O_(3)の各含有量が何れも0.3質量%以下であるアルミナ-ジルコニア系複合材料製であることを特徴とする転がり軸受。」に訂正し、
同段落【0009】の「(2) 転動体の表面において、10?30μmのジルコニア塊またはイットリア-ジルコニア塊の個数が5個/300mm^(2)以下であることを特徴とする上記(1)記載の転がり軸受。」との記載を「(2) 転動体の表面において、10?30μmのジルコニア塊またはイットリア-ジルコニア塊の個数が2個/300mm^(2)以下であることを特徴とする上記(1)記載の転がり軸受。」に訂正し、
同段落【0009】の「(9)少なくとも内輪、外輪、転動体及び保持器を備える転がり軸受の製造方法において、SiO_(2)、Na_(2)O及びFe_(2)O_(3)の各含有量が何れも0.3質量%以下であり、かつ、アルミナ原料粉末と、ジルコニア原料粉末またはイットリアを1.5?5モル%含有するイットリア-ジルコニア原料粉末とを、質量比で、アルミナ原料粉末:ジルコニア原料粉末またはイットリア-ジルコニア原料粉末=5?30:70?95の割合で混合してなる混合物を、転動体の形状に成形した後、成形物を焼結して、ジルコニア焼結粒子またはイットリア-ジルコニア焼結粒子が何れも平均粒径2μm以下である転動体を作製する工程を有することを特徴とする転がり軸受の製造方法。」との記載を
「(9)少なくとも内輪、外輪、転動体及び保持器を備える転がり軸受の製造方法において、SiO_(2)、Na_(2)O及びFe_(2)O_(3)の各含有量が何れも0.3質量%以下であり、かつ、アルミナ原料粉末と、ジルコニア原料粉末またはイットリアを1.5?5モル%含有するイットリア-ジルコニア原料粉末とを、質量比で、アルミナ原料粉末:ジルコニア原料粉末またはイットリア-ジルコニア原料粉末=20:80の割合で混合してなる混合物を、転動体の形状に成形した後、成形物を焼結して、アルミナ焼結粒子、ジルコニア焼結粒子またはイットリア-ジルコニア焼結粒子が何れも平均粒径0.8μm以下である転動体を作製する工程を有することを特徴とする転がり軸受の製造方法。」に訂正する。

5 訂正事項5
明細書の段落【0026】の「ポリα-オレフィン油を基油にした場合んは」との記載を、「ポリα-オレフィン油を基油にした場合には」に訂正する。

6 訂正事項6
明細書の段落【0040】の「耐約付き性」との記載を、「耐焼付き性」に訂正する。

7 訂正事項7
明細書の段落【0042】の「ボール紙件片」との記載を、「ボール試験片」に訂正する。

8 訂正事項8
明細書の段落【0056】の「酸化鉄が起点とする剥離」との記載を、「酸化鉄を起点とする剥離」に訂正する。

9 訂正事項9
明細書の段落【0072】の「(図11参照)」との記載を、「(図10参照)」に訂正する。

10 訂正事項10
図面の【図11】中の「本発明の範囲」との記載及び当該記載の範囲を示す矢印を削除し、ジルコニア含有量(質量%)70%及び90%の位置にある2本の太線を、ジルコニア含有量(質量%)80%の位置にある1本の太線に訂正する。

11 訂正事項11
図面の【図14】中の「本発明の範囲」を示す矢印と太線を、粒径2μmの位置から粒径0.8μmの位置に訂正する。

12 訂正事項12
図面の【図17】中の「本発明の範囲」を示す矢印と太線を、ジルコニア塊の個数5個の位置から2個の位置に訂正する。

13 訂正事項13
図面の【図18】中のジルコニア塊の個数5個以下を示す破線及び矢印を、ジルコニア塊の個数2個以下を示す破線及び矢印に訂正し、「請求項4の範囲」との記載を「請求項2の範囲」に訂正し、「本発明の範囲」をジルコニア塊の個数0個のプロットのみを囲む範囲に縮小するように訂正する。

第3 当審の判断
1 訂正事項1について
(1)訂正の目的について
訂正事項1は、訂正前の特許請求の範囲の請求項1の転がり軸受に備えられるアルミナ-ジルコニア系複合材料製の転動体について、アルミナ成分とジルコニア成分またはイットリア-ジルコニア成分との質量比を「5?30:70?95」から「20:80」に限定し、アルミナ焼結粒子、ジルコニア焼結粒子またはイットリア-ジルコニア焼結粒子の平均粒径の範囲を「2μm以下」から「0.8μm以下」に限定するものである。
同様に、訂正後の特許請求の範囲の請求項2?8は、直接的又は間接的に訂正後の請求項1の転動体の限定を引用することにより発明特定事項を限定するものである。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。

(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
転動体について、明細書の段落【0069】【表8】には、アルミナ成分とジルコニア成分とを質量比で「アルミナ成分:ジルコニア成分=20:80」で含み、焼結粒子の平均粒径が「0.8μm」である試験片Aを用いた場合、軸受の計算寿命に対する寿命比が「1.50」と向上することが示されており、同段落【0059】【表5】には、アルミナ成分とイットリア-ジルコニア成分とを質量比で「アルミナ成分:イットリア-ジルコニア成分=20:80」で含み、焼結粒子の平均粒径が「0.8μm」である場合に寿命比が「1.25」と向上することが示されている。
したがって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合する。

(3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
上記(1)のとおり、訂正事項1は、訂正前の特許請求の範囲の請求項1の範囲内で、転がり軸受に備えられるアルミナ-ジルコニア系複合材料製の転動体を、さらに限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項の規定に適合する。
また、訂正後の請求項2?8についても、訂正後の請求項1を引用することにより、発明特定事項を更に限定するものに過ぎず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。

(4)独立特許要件について
上記(1)のとおり、訂正事項1は、訂正前の請求項1及び請求項1を引用する訂正前の請求項2?8の発明特定事項である転がり軸受に備えられるアルミナ-ジルコニア系複合材料製の転動体を、さらに限定するだけであるから、特許要件の適否について見直すべき新たな事情は存在せず、特許法第126条第7項の規定に適合する。

2 訂正事項2について
(1)訂正の目的について
訂正事項2は、訂正前の特許請求の範囲の請求項2の転動体の表面に形成される10?30μmのジルコニア塊の個数の範囲を「5個/300mm^(2)以下」から「2個/300mm^(2)以下」に限定するものである。
同様に、訂正後の特許請求の範囲の請求項3?8は、直接的又は間接的に引用する訂正後の請求項2の転動体の表面に形成される10?30μmのジルコニア塊の個数の限定を引用することにより発明特定事項を限定するものである。
したがって、訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。

(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
転動体について、明細書の段落【0066】【表7】には、300mm^(2)当たりの10?30μmのジルコニア塊の個数が「1個」及び「2個」(すなわち「2個/300mm^(2)以下」)の場合に寿命比がそれぞれ「1.20」及び「1.25」と向上していること、並びに同段落【0069】【表8】には、試験片Aの300mm^(2)当たりの10?30μmのジルコニア塊の個数が「0個」であり、寿命比が「1.50」であることが記載されている。
したがって、訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合する。

(3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
上記(1)のとおり、訂正事項2は、訂正前の特許請求の範囲の請求項2の範囲内で、転動体の表面に形成される10?30μmのジルコニア塊の個数の範囲を、さらに限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項の規定に適合する。
また、訂正後の請求項3?8についても、訂正後の請求項2を引用することにより、発明特定事項を更に減縮するものに過ぎず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。

(4)独立特許要件について
上記(1)のとおり、訂正事項2は、訂正前の請求項2及び請求項2を引用する訂正前の請求項3?8の発明特定事項である転動体の表面に形成される10?30μmのジルコニア塊の個数の範囲を、さらに限定するだけであるから、特許要件の適否について見直すべき新たな事情は存在せず、特許法第126条第7項の規定に適合する。

3 訂正事項3について
(1)訂正の目的について
訂正事項3は、訂正前の特許請求の範囲の請求項9の転がり軸受に備えられるアルミナ-ジルコニア系複合材料製の転動体の作製工程について、アルミナ成分とジルコニア成分またはイットリア-ジルコニア成分との質量比を「5?30:70?95」から「20:80」に限定し、焼結粒子の平均粒径の範囲を「2μm以下」から「0.8μm以下」に限定するものであるから、訂正事項3は、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
また、訂正前の請求項9には、アルミナ原料粉末を焼結することが特定されているにも関わらず、平均粒径の範囲が限定される焼結粒子としてアルミナ焼結粒子が特定されておらず、発明が不明瞭となっているため、平均粒径の範囲が限定される焼結粒子としてアルミナ焼結粒子を明記し、焼結工程における原料と産物の関係を整合させるべく「アルミナ焼結粒子、ジルコニア焼結粒子またはイットリア-ジルコニア焼結粒子」と訂正するものであるから、訂正事項3は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものでもある。
同様に、訂正事項3により、訂正後の特許請求の範囲の請求項10は、訂正後の請求項9の転動体の作製工程についての記載を引用することにより発明特定事項を限定するものであるから、訂正事項3は、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであるとともに、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものでもある。


(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
転動体について、明細書の段落【0069】【表8】には、アルミナ成分とジルコニア成分とを質量比で「アルミナ成分:ジルコニア成分=20:80」で含み、焼結粒子の平均粒径が「0.8μm」である試験片Aを用いた場合、軸受の計算寿命に対する寿命比が「1.50」と向上することが示されており、同段落【0059】【表5】には、アルミナ成分とイットリア-ジルコニア成分とを質量比で「アルミナ成分:イットリア-ジルコニア成分=20:80」で含み、焼結粒子の平均粒径が「0.8μm」である場合に寿命比が「1.25」と向上することが示されている。
したがって、訂正事項3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合する。
また、上記【表5】及び【表8】の平均粒径に関して、明細書段落【0057】には「試験7」について「アルミナ焼結粒子とイットリア-ジルコニア焼結粒子とが混在しており、アルミナ焼結粒子とイットリア-ジルコニア焼結粒子とを区別することなく個々の粒径を求め、平均粒径を算出した」と記載されており、段落【0067】には「試験7?9を踏まえ、・・焼結粒子の粒径を測定して平均粒径を求めた」と記載されているから、「アルミナ焼結粒子、ジルコニア焼結粒子またはイットリア-ジルコニア焼結粒子」とする訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合する。

(3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
上記(1)のとおり、訂正事項3は、訂正前の特許請求の範囲の請求項9の範囲内で、転がり軸受に備えられるアルミナ-ジルコニア系複合材料製の転動体の作製工程を限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項の規定に適合する。
また、訂正後の請求項10についても、訂正後の請求項9を引用することにより、発明特定事項を更に限定するものに過ぎず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。

(4)独立特許要件について
上記(1)のとおり、訂正事項3は、訂正前の請求項9及び請求項9を引用する訂正前の請求項10の発明特定事項である転がり軸受に備えられるアルミナ-ジルコニア系複合材料製の転動体の作製工程を、さらに限定するだけであるから、特許要件の適否について見直すべき新たな事情は存在せず、独立特許要件を満たす。
したがって、訂正事項3は、特許法第126条第7項の規定に適合する。

4 訂正事項4について
(1)訂正の目的について
訂正前の明細書の段落【0009】には、訂正前の特許請求の範囲の請求項1、2及び9に対応する記載があるところ、訂正事項1?3による訂正後の特許請求の範囲の請求項1、2及び9の発明特定事項と一致せず、不明瞭となる。
訂正事項4は、訂正事項1?3による訂正後の特許請求の範囲の記載と、明細書の記載を整合させる訂正であり、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。

(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
訂正事項4は、明細書の記載を訂正事項1?3による訂正後の特許請求の範囲の記載に整合させるものに過ぎず、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合する。

(3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
訂正事項4は、明細書の記載を訂正事項1?3による訂正後の特許請求の範囲の記載に整合させるものに過ぎず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。

5 訂正事項5について
(1)訂正の目的について
訂正前の明細書の段落【0026】の「ポリα-オレフィン油を基油にした場合んは」との記載は、日本語として意味をなしておらず、「ポリα-オレフィン油を基油にした場合には」の誤記であることは明白である。
訂正事項5は、明らかな誤記を本来の意味に正すものであり、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する「誤記の訂正」を目的とするものである。

(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
訂正事項5は、明らかな誤記を本来の意味に正すものに過ぎず、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合する。

(3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
訂正事項5は、明らかな誤記を本来の意味に正すものに過ぎず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。

(4)独立特許要件について
訂正事項5は、明らかな誤記を本来の意味に正すものであり、特許要件の適否について見直すべき新たな事情は存在せず、特許法第126条第7項の規定に適合する。

6 訂正事項6について
(1)訂正の目的について
訂正前の明細書の段落【0040】の「耐約付き性」との記載は、日本語として意味をなしておらず、「耐焼付き性」の誤記であることは明白である。
訂正事項6は、明らかな誤記を本来の意味に正すものであり、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する「誤記の訂正」を目的とするものである。

(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
訂正事項6は、明らかな誤記を本来の意味に正すものに過ぎず、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合する。

(3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
訂正事項6は、明らかな誤記を本来の意味に正すものに過ぎず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。

(4)独立特許要件について
訂正事項6は、明らかな誤記を本来の意味に正すものであり、特許要件の適否について見直すべき新たな事情は存在せず、特許法第126条第7項の規定に適合する。

7 訂正事項7について
(1)訂正の目的について
訂正前の明細書の段落【0042】の「ボール紙件片」との記載は、日本語として意味をなしておらず、「ボール試験片」の誤記であることは明白である。
訂正事項7は、明らかな誤記を本来の意味に正すものであり、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する「誤記の訂正」を目的とするものである。

(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
訂正事項7は、明らかな誤記を本来の意味に正すものに過ぎず、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合する。

(3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
訂正事項7は、明らかな誤記を本来の意味に正すものに過ぎず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。

(4)独立特許要件について
訂正事項7は、明らかな誤記を本来の意味に正すものであり、特許要件の適否について見直すべき新たな事情は存在せず、特許法第126条第7項の規定に適合する。

8 訂正事項8について
(1)訂正の目的について
訂正前の明細書の段落【0056】の「酸化鉄が起点とする剥離」との記載は、日本語として意味をなしておらず、「酸化鉄を起点とする剥離」の誤記であることは明白である。
訂正事項8は、明らかな誤記を本来の意味に正すものであり、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する「誤記の訂正」を目的とするものである。

(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
訂正事項8は、明らかな誤記を本来の意味に正すものに過ぎず、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合する。

(3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
訂正事項8は、明らかな誤記を本来の意味に正すものに過ぎず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。

(4)独立特許要件について
訂正事項8は、明らかな誤記を本来の意味に正すものであり、特許要件の適否について見直すべき新たな事情は存在せず、特許法第126条第7項の規定に適合する。

9 訂正事項9について
(1)訂正の目的について
訂正前の明細書の段落【0072】には「下記の条件にてスラスト試験(図11参照)を行い、」と記載されている。
しかしながら、同段落【0011】には
「【図10】試験5におけるスラスト試験法を説明する模式図である。
【図11】試験5で得られた、アルミナ成分とジルコニア成分との比率と寿命比との関係を示すグラフである。」と記載されており、図面の【図10】には、スラスト試験の模式図が記載されており、【図11】には、ジルコニア含有量(質量%)を横軸とし寿命比を縦軸としたグラフが記載されている。
そうすると、訂正前の明細書の段落【0072】の「スラスト試験(図11参照)」との記載は、同段落【0011】の記載並びに図面の【図10】及び【図11】の記載と整合しない。
訂正事項9は、訂正前の明細書の段落【0072】の「スラスト試験(図11参照)」との記載を「スラスト試験(図10参照)」とすることで、明細書の段落【0072】の記載を同段落【0011】の記載並びに図面の【図10】及び【図11】の記載と整合させる訂正であり、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。

(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
訂正事項9は、明細書の段落【0072】の記載を同段落【0011】の記載並びに図面の【図10】及び【図11】の記載と整合させるものに過ぎず、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合する。

(3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
訂正事項9は、明細書の段落【0072】の記載を同段落【0011】の記載並びに図面の【図10】及び【図11】の記載と整合させるものに過ぎず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。

10 訂正事項10について
(1)訂正の目的について
訂正事項1及び3による請求項1及び9の減縮により、アルミナ成分とジルコニア成分との質量比を「5?30:70?95」から「20:80」に限定することに伴い、訂正前の【図11】の「本発明の範囲」を示す記載が訂正後の特許請求の範囲の技術的範囲と一致せず、不明瞭となる。
訂正事項10は、図面の【図11】の「本発明の範囲」との記載及び当該記載の範囲を示す矢印を削除し、ジルコニア含有量(質量%)70%及び90%の位置にある2本の太線を、ジルコニア含有量(質量%)80%の位置にある1本の太線に訂正することで、訂正事項1及び3による訂正後の特許請求の範囲の請求項1及び9の技術的範囲に含まれなくなる範囲が【図11】において「本発明の範囲」として示される不備を是正する訂正であり、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。

(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
訂正事項10は、図面の記載を訂正事項1及び3による訂正後の特許請求の範囲の記載に整合させるものに過ぎず、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合する。

(3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
訂正事項10は、図面の記載を訂正事項1及び3による訂正後の特許請求の範囲の記載に整合させるものに過ぎず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。

11 訂正事項11について
(1)訂正の目的について
訂正事項1及び3による請求項1及び9の限定により、焼結粒子の平均粒径の範囲が「2μm以下」から「0.8μm以下」に限定されることに伴い、訂正前の【図14】の「本発明の範囲」を示す記載が、訂正事項1及び3による訂正後の特許請求の範囲の請求項1及び9の技術的範囲と一致せず、不明瞭となる。
訂正事項11は、図面の【図14】の「本発明の範囲」を示す矢印と太線を、粒径2μmの位置から粒径0.8μmの位置に訂正することで、訂正事項1及び3による訂正後の請求項1及び9の技術的範囲に含まれなくなる範囲が【図14】において「本発明の範囲」として示される不備を是正する訂正であり、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。

(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
訂正事項11は、図面の記載を訂正事項1及び3による訂正後の特許請求の範囲の記載に整合させるものに過ぎず、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合する。

(3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
訂正事項11は、図面の記載を訂正事項1及び3による訂正後の特許請求の範囲の記載に整合させるものに過ぎず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。

12 訂正事項12について
(1)訂正の目的について
訂正事項2による請求項2の減縮により、10?30μmのジルコニア塊の個数の範囲が「5個/300mm^(2)以下」から「2個/300mm^(2)以下」に限定されることに伴い、訂正前の【図17】の「本発明の範囲」を示す記載が訂正事項2による訂正後の特許請求の範囲の請求項2の技術的範囲と一致せず、不明瞭となる。
訂正事項12は、図面の【図17】の「本発明の範囲」を示す矢印と太線を、ジルコニア塊の個数5個の位置から2個の位置に訂正することで、訂正事項2による訂正後の特許請求の範囲の請求項2の技術的範囲に含まれなくなる範囲が【図17】において「本発明の範囲」として示される不備を是正する訂正であり、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。

(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
訂正事項12は、図面の記載を訂正事項2による訂正後の特許請求の範囲の記載に整合させるものに過ぎず、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合する。

(3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
訂正事項12は、図面の記載を訂正事項2による訂正後の特許請求の範囲の記載に整合させるものに過ぎず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。

13 訂正事項13について
(1)訂正の目的について
訂正前の【図18】には、10?30μmのジルコニア塊の個数が5個/300mm^(2)以下の範囲に対して「請求項4の範囲」と記載されているが、請求項4は転動体の密度の範囲を特定する請求項であり、10?30μmのジルコニア塊の個数の範囲を特定する請求項は請求項2であるから、訂正前の【図18】の「請求項4の範囲」との記載は、特許請求の範囲の記載との間で不明瞭である。

また、【図18】の「請求項4の範囲」との記載を「請求項2の範囲」に訂正したとしても、訂正事項2により、請求項2に記載される10?30μmのジルコニア塊の個数の範囲が「5個/300mm^(2)以下」から「2個/300mm^(2)以下」に限定されるから、【図18】の「請求項2の範囲」を示す範囲が、訂正事項2による訂正後の請求項2の技術的範囲と一致せず、不明瞭となる。

さらにまた、訂正事項1及び3による請求項1及び9の限定により、焼結粒子の平均粒径が0.8μmを超える試験片B?I(表8参照)を含む【図18】の、黒い正方形のプロットの全てを「本発明の範囲」として囲む記載も、訂正事項1及び3による訂正後の請求項1及び9の技術的範囲と一致せず、不明瞭となる。

訂正事項13は、図面の【図18】中のジルコニア塊の個数5個以下を示す破線及び矢印を、ジルコニア塊の個数2個以下を示す破線及び矢印に訂正し、「請求項4の範囲」との記載を「請求項2の範囲」に訂正し、「本発明の範囲」をジルコニア塊の個数0個の位置の黒い正方形のプロット(表8の焼結粒子の平均粒径が0.8μmとなっている試験片A参照)のみを囲む範囲に縮小するように訂正することで、訂正事項1?3による訂正後の請求項1及び9並びに請求項2及び4に含まれない範囲が【図18】において「本発明の範囲」並びに「請求項2の範囲」及び「請求項4の範囲」として示される不備を是正する訂正であり、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。

(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
訂正事項13は、図面の記載を訂正事項1?3による訂正後の特許請求の範囲の記載に整合させるものに過ぎず、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合する。

(3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
訂正事項13は、図面の記載を訂正事項1?3による訂正後の特許請求の範囲の記載に整合させるものに過ぎず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。

第4 むすび
以上のとおり、本件訂正審判に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号ないし第3号に規定する事項を目的とし、かつ、同法第5項ないし第7項までの規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
転がり軸受及びその製造方法
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばエアコンファンモータやコンプレッサ等のインバータ制御されるモータ用、HDDのスイングアーム支持用ピボットアーム、サーボモータやステッピングモータ等の揺動運動するモータ用として好適な転がり軸受に関する。
【背景技術】
【0002】
エアコンファンモータや冷蔵庫のコンプレッサ等のモータは、省エネ化のためにインバータ制御されていることが多い。しかし、インバータ回路から高周波の電流が発生してモータ内の軸受の内外輪や転動体にも流れ込むことがあり、それにより転動面(レース面)に電食が発生することがある。
【0003】
電食を防止するために様々な提案がなされており、例えば、軌道輪の軌道面に合成樹脂や熱可塑性エラストマー、合成ゴム、セラミックスからなる絶縁層を設けることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、セラミックス製の転動体を用いた転がり軸受を用いることでも電食を防止することができるが、セラミックスとして一般的な窒化珪素製転動体を用いた転がり軸受では、音響特性及びトルク性能に改善の余地がある。即ち、窒化珪素製転動体の表面は元々油の濡れ性が悪いために、転がり軸受のトルクを低くするために低粘度の潤滑剤を用いると、転動体の表面に形成される油膜が薄すぎて油膜切れを生じやすくなる。
【0004】
そのため、低粘度の潤滑剤を用いると、窒化珪素よりも硬度の低い軸受鋼製の軌道面に損傷が生じやすくなる。従って、潤滑剤の供給を定期的に行なうなどのメンテナンスを行なわないと、窒化珪素製転動体を用いた転がり軸受は、高速になると内外輪をなす鋼と転動体をなす窒化珪素に線膨張係数の差により予圧が抜け、隙間が生じる可能性がある(特許文献2)。
【0005】
また、セラミックスとしてジルコニアも使用されている。ジルコニアは線膨張係数が軸受を構成する鋼に近く、転がり軸受に予圧抜けが生じにくい利点がある。また、MgOやCaO、Y_(2)O_(3)、CeO_(2)等の安定化剤を分散させたジルコニアは高強度、高靭性であることから(非特許文献1)、転がり軸受の長寿命化も可能である。更に、ジルコニアの高強度、高靭性を活かし、安価にするためアルミナを添加し、ジルコニア-イットリア:アルミナ=100:1?60:40で添加することも行われている(特許文献3)。しかし、低粘度の潤滑剤を用いたときに窒化珪素と同様に油膜切れを起こすことがあり、更には潤滑剤として極性を有するエステル系潤滑油を用いた場合には転動体の摩耗が加速される傾向がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】日本国特開平07-310748号公報
【特許文献2】日本国特開2002-139048号公報
【特許文献3】日本国特開2002-106570号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】宗宮重行、吉村昌弘編、ジルコニアセラミックス9、内田老鶴圃、p47?69及びp73?79
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明は、電食防止効果に優れ、かつ、潤滑剤の使用量を少なくしたり、低粘度の潤滑剤を用いて軸受の低トルク化を図ることが要求される用途に好適で、音響特性や耐久性に優れる転がり軸受を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明は、下記の転がり軸受及びその製造方法を提供する。
(1)少なくとも内輪、外輪、転動体及び保持器を備える転がり軸受において、
前記転動体が、アルミナ成分と、ジルコニア成分またはイットリアを1.5?5モル%含有するイットリア-ジルコニア成分とを、質量比で、アルミナ成分:ジルコニア成分またはイットリア-ジルコニア成分=20:80で含み、アルミナ焼結粒子、ジルコニア焼結粒子またはイットリア-ジルコニア焼結粒子が、何れも平均粒径0.8μm以下であり、かつ、SiO_(2)、Na_(2)O及びFe_(2)O_(3)の各含有量が何れも0.3質量%以下であるアルミナ-ジルコニア系複合材料製であることを特徴とする転がり軸受。
(2) 転動体の表面において、10?30μmのジルコニア塊またはイットリア-ジルコニア塊の個数が2個/300mm^(2)以下であることを特徴とする上記(1)記載の転がり軸受。
(3)転動体のヤング率が215?280GPaであることを特徴とする上記(1)または(2)記載の転がり軸受。
(4)転動体の密度が4.5?6g/cm^(3)であることを特徴とする上記(1)?(3)の何れか1項に記載の転がり軸受。
(5)保持器が合成樹脂組成物からなることを特徴とする上記(1)?(4)の何れか1項に記載の転がり軸受。
(6)内輪及び外輪の少なくとも一方が浸炭窒化処理されていることを特徴とする上記(1)?(5)の何れか1項に記載の転がり軸受。
(7)40℃における動粘度が80mm^(2)/s以下であるエステル油、または該エステル油を基油とするグリースを、軸受空間の20体積%以下となるように封入したことを特徴とする上記(1)?(6)何れか1項に記載の転がり軸受。
(8)40℃における動粘度が80mm^(2)/s以下で、分子中に極性基を持たない無極性潤滑油、または該無極性潤滑油を基油とするグリースを、軸受空間の20体積%以下となるように封入したことを特徴とする上記(1)?(7)の何れか1項に記載の転がり軸受。
(9)少なくとも内輪、外輪、転動体及び保持器を備える転がり軸受の製造方法において、SiO_(2)、Na_(2)O及びFe_(2)O_(3)の各含有量が何れも0.3質量%以下であり、かつ、アルミナ原料粉末と、ジルコニア原料粉末またはイットリアを1.5?5モル%含有するイットリア-ジルコニア原料粉末とを、質量比で、アルミナ原料粉末:ジルコニア原料粉末またはイットリア-ジルコニア原料粉末=20:80の割合で混合してなる混合物を、転動体の形状に成形した後、成形物を焼結して、アルミナ焼結粒子、ジルコニア焼結粒子またはイットリア-ジルコニア焼結粒子が何れも平均粒径0.8μm以下である転動体を作製する工程を有することを特徴とする転がり軸受の製造方法。
(10)アルミナ原料粉末と、ジルコニア原料粉末またはイットリア-ジルコニア原料粉末とを、φ1mm以下のジルコニア系ビーズとともにビーズミル混合機に投入して粉砕混合することを特徴とする上記(9)記載の転がり軸受の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、窒化珪素製転動体を用いた転がり軸受と同等の電食防止効果を有するとともに、低粘度で、少量の潤滑剤で十分な潤滑性が確保でき、低トルクが要求される用途に好適で、音響特性や耐久性に優れる転がり軸受が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る転がり軸受の一実施形態である玉軸受を示す断面図である。
【図2】ビーズミル混合機の一例を示す模式図である。
【図3】試験4で得られた、SUJ2製のボール試験片を用いた場合の摩擦係数の経時変化を示すチャートである。
【図4】試験4で得られた、SUJ2製のボール試験片を用いた場合のディスク試験片の比摩耗量を示すグラフである。
【図5】試験4で得られた、アルミナ-ジルコニア系複合材料製のボール試験片を用いた場合の摩擦係数の経時変化を示すチャートである。
【図6】試験4で得られた、アルミナ-ジルコニア系複合材料製のボール試験片を用いた場合のディスク試験片の比摩耗量を示すグラフである。
【図7】試験4で得られた、アルミナ-ジルコニア系複合材料製のボール試験片の表面状態の経時変化を測定したチャートである。
【図8】試験4で得られた、アルミナ-ジルコニア系複合材料製のボール試験片の表面状態の経時変化を測定したチャートである。
【図9】試験4で得られた、比摩耗量の比を示すグラフである。
【図10】試験5におけるスラスト試験法を説明する模式図である。
【図11】試験5で得られた、アルミナ成分とジルコニア成分との比率と寿命比との関係を示すグラフである。
【図12】試験6で得られた、酸化鉄の含有量と寿命との関係を示すグラフである。
【図13】試験6で得られた、酸化鉄の含有量と振動値との関係を示すグラフである。
【図14】試験7で得られた、平均粒径と寿命との関係を示すグラフである。
【図15】試験8で得られた、ジルコニア塊の長径寸法と寿命との関係を示すグラフである。
【図16】試験9で得られた、転動体表面における種々の大きさのジルコニア塊の個数を求めたグラフである。
【図17】試験9で得られた、300mm^(2)当たりの10?30μmのジルコニア塊の数と寿命との関係を示すグラフである。
【図18】試験10で得られた、300mm^(2)当たりの10?30μmのジルコニア塊の数と寿命の関係を示すグラフである。
【図19】試験11で得られた、ボール試験片Bを用いた軸受の寿命試験の結果を示すグラフである。
【図20】試験11で得られた、ボール試験片Aの内部組織を撮影したSEM写真(A)及びボール試験片Bの内部組織を撮影したSEM写真(B)である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に関して図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
本発明の転がり軸受は、例えば、エアコンファンモータやコンプレッサ等のインバータ制御されるモータ用、HDDのスイングアーム支持用ピボットアーム、サーボモータやステッピングモータ等の揺動運動するモータに使用されるものであれば、転がり軸受の構造には制限はなく、図1に断面図で示すような玉軸受を例示することができる。
【0014】
図示される玉軸受は、内輪1の外周面に形成された内輪軌道面1aと、外輪2の内周面に形成された外輪軌道面2aの間に、複数個の転動体である玉3を保持器4で保持し、シール5により、内輪1と外輪2と玉3とで形成される軸受空間6に充填した潤滑剤Gを封止して概略構成されている。尚、符号2bは、外輪2に設けたシール嵌合溝である。本発明では、内輪1と外輪2とをSUJ2鋼、SUS鋼、13Cr鋼等の金属製とし、玉3をアルミナ成分と、ジルコニア成分またはイットリア-ジルコニア成分とを含むアルミナ-ジルコニア系複合材料で形成する。このように内輪1や外輪2と玉3とを異種材料の組み合わせにすることにより、低トルク化のために潤滑剤Gの量を減らしたり、低粘度の潤滑剤Gを用いた場合でも内輪1と玉3、外輪2と玉3との凝着を防止することができる。また、玉3が、電気絶縁性のアルミナ-ジルコニア系複合材料であるため、電食を防止することもできる。
【0015】
軸受材料として一般的なセラミック材料である窒化珪素は、針状結晶が絡み合った微細結晶であり、その粒径は最大径で30?50μmで、アスペクト比2程度である。これに対しアルミナ-ジルコニア系複合材料は、アルミナ成分と、ジルコニア成分またはイットリア-ジルコニア成分とを下記の比率で含み、焼結して得られるアルミナの焼結粒子(以下、アルミナ焼結粒子)、ジルコニアの焼結粒子(以下、ジルコニア焼結粒子)またはイットリア-ジルコニアの焼結粒子(以下、イットリア-ジルコニア焼結粒子)は、何れも平均粒径が2μm以下の微細な略球物である。そのため、長時間軸受を稼動すると、玉3の表面の結晶粒が摩耗・脱落するため、表面の凹凸は、粒径の大きい窒化珪素は、粒径の小さいアルミナ-ジルコニア系複合材料よりも大きくなり、軌道面1a,2aの損傷が激しくなる傾向にある。
【0016】
尚、アルミナ成分と、ジルコニア成分またはイットリア-ジルコニア成分との比率は、質量比で、アルミナ成分:ジルコニア成分またはイットリア-ジルコニア成分=5?30:70?95であり、10?30:70?90であることが好ましく、20:80であることがより好ましい。
【0017】
また、焼結から室温まで冷却される際の体積収縮の差からアルミナ焼結粒子は圧縮し、ジルコニア焼結粒子やイットリア-ジルコニア焼結粒子は引張応力が付与され、残留応力の分布の違いから亀裂が迂回して進展する。更に、亀裂は強度の弱いアルミナ焼結粒子を進展するが、ジルコニア焼結粒子やイットリア-ジルコニア焼結粒子の相転移(正方晶→単斜晶)によるアルミナ粒子への圧縮応力が負荷され、亀裂進展が防止される。
【0018】
特に、ジルコニア成分またはイットリア-ジルコニア成分が70質量%未満では、相転移によるアルミナ焼結粒子への圧縮応力の負荷の効果が発現され難く、強度が低下する。また、ジルコニア成分またはイットリア-ジルコニア成分が90質量%を超えると,粒子成長・凝集が起きやすくなり、異常成長したジルコニア焼結粒子やイットリア-ジルコニア焼結粒子により強度が低下する。
【0019】
また、イットリア-ジルコニア成分において、イットリアを1.5モル%以上5モル%以下の割合で含み、イットリアの含有量は3モル%であることがより好ましい。ジルコニアにイットリアを添加し固溶させると、構造中に酸素空孔が形成され、立方晶及び正方晶が室温でも安定、または準安定となり強度が向上するが、そのときのジルコニア中のイットリア含有量の適正量が1.5?5モル%である。イットリア含有量が1.5モル%未満では正方晶からなる焼結体が得られず、5モル%以上では正方晶が減少して立方晶が主体となるため、転移による高強度化が得られない。
【0020】
玉3を作製するには、アルミナ原料粉末と、ジルコニア原料粉末またはイットリア-ジルコニア原料粉末とを、それぞれ上記の成分比となるように混合し、混合物を球形に成形した後、成形物を脱脂して焼結し、HIP処理すればよい。その際、より緻密にするために、各原料粉末に含まれる不純物は少ない方が好ましく、特にSiO_(2)、Fe_(2)O_(3)、Na_(2)Oを極力減少させることにより、焼結性を向上させて緻密化に有効となる。更に、不純物に起因する早期剥離も抑えることができる。具体的には、SiO_(2)、Fe_(2)O_(3)、Na_(2)Oの含有量はそれぞれ0.3質量%以下とし、好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.02質量%以下である。含有量が0.3質量%を超えると運転時に転動体表面から粒子の微小な脱落が起こり易くなり、転動体表面の粗さの低下、脱落した粒子による軌道面の微細な損傷が発生し、振動が大きくなり音響寿命を短くするおそれがある。また、転動体の疲労寿命も不純物が起点となり早期剥離を引き起こす原因にもなる。
【0021】
尚、成形方法は圧縮成形が一般的であり、焼結後に素材(素球)を研削、研磨して所定の球形状に調整する。また、HIP処理は通常の条件で行うことができる。
【0022】
また、アルミナ原料粉末と、ジルコニア原料粉末またはイットリア-ジルコニア原料粉末とが均一に混合せず、それぞれの焼結粒子が偏析すると、転がり疲労寿命が低下するようになる。特に、100μmを超える焼結粒子が存在すると顕著になる。偏析を防止する方法として均一に混合するだけでなく、強く粉砕する機能を持った混合を実施する必要があり、ボールミル混合機も可能であるが、粉砕メディアがφ1mm以下のジルコニア系のビ-ズを使用したビ-ズミル混合機が最も有効である。図2はビーズミル混合機の一例を示す模式図であるが、中央に撹拌羽根を配した容器に、アルミナ原料粉末と、ジルコニア原料粉末またはイットリア-ジルコニア原料粉末と、水またはアルコールとを、ビーズとともに投入し、撹拌羽根を回転させることにより、粉砕・混合させる。尚、回転速度は最大で3000rpmまで可能であり、混合中は容器内に冷却用水を流通させる。これに対しボ-ルミル混合機では、粉砕メディアがφ10mm以上であり、また構造上、回転速度は400?1000rpm程度であり、粉砕効率はビ-ズミル混合機の方が遥かに高い。
【0023】
玉3におけるアルミナ焼結粒子、ジルコニア焼結粒子またはイットリア-ジルコニア焼結粒子は、何れも平均粒径2μm以下であることが好ましく、1μm以下がより好ましい。通常、粒子の焼結を行うとある程度成長し、日本国特許第3910310号に記載されているように、10μm以上の粒子が存在すると寿命に悪影響が及ぶようになるが、複合化させることで粒子成長・凝集が抑制される効果が発現して粒径は単体のものより小さくなる。
【0024】
また、玉3の表面において、ジルコニア塊またはイットリア-ジルコニア塊が少ないことが好ましく、10?30μmのジルコニア塊またはイットリア-ジルコニア塊が5個/300mm^(2)以下であることがより好ましく、3個/300mm^(2)以下であることが更に好ましい。ジルコニア塊またはイットリア-ジルコニア塊が起点となって剥離し、転がり寿命を低下させる。特に、100μmレベルの塊が存在すると転がり寿命の低下が顕著になる。尚、塊は断面が円形ではないため、塊の大きさは長径部の長さとする。
【0025】
上記のように焼結粒子を平均粒径2μm以下の微粒子とし、表面のジルコニア塊またはイットリア-ジルコニア塊を少なくするには、上記のように不純物が少ない原料粉末を用い、ビーズミル混合機で混合すればよい。
【0026】
潤滑剤Gは、潤滑油でもよいし、潤滑油を基油とするグリースでもよい。また、潤滑油または基油も、鉱油や炭化水素油のように極性基を持たない無極性油でもよく、エステル油のように極性基を有する極性油であってもよい。例えば、無極性油のポリα-オレフィン油は酸化安定性に優れ、耐フレッチング性を有し、更にシール5の腐食を抑える作用がある。一方、極性油のエステル油は、潤滑性能や耐熱性に優れるため、高速回転用の転がり軸受に適している。例えば、モータ用に使用されるグリース組成物では、エステル油を基油にした場合には増ちょう剤には金属石けんを用い、ポリα-オレフィン油を基油にした場合にはウレア化合物を増ちょう剤に用いるのが一般的であるが、音響性能からは金属石けんがウレア化合物よりも優れており、音響性能を重視する場合には基油にエステル油が用いられる。
【0027】
また、低トルクを実現するために、潤滑油または基油は低粘度であることが好ましく、40℃における動粘度が80mm^(2)/s以下のものを用いることができる。玉3の表面は、材料に由来して極性物質の吸着力が大きい。そのため、潤滑油または基油に極性油を用いることにより、より低粘度のものを使用できる。
【0028】
但し、アルミナ-ジルコニア系複合材料は、高温安定相の正方晶(t-ZrO_(2))を室温で準安定化させたものであり、高靱性や高強度を有することが知られている。これは、亀裂先端でのt-ZrO_(2)から低温安定相の単斜晶(m-ZrO_(2))への応力誘起マルテンサイト型相転移の際の体積膨張により、クラックの進展が妨げられるためであると考えられている。しかしながら、アルミナ-ジルコニア系複合材料は、空気中で200℃付近の高温に長時間晒されると、強度の劣化が生じるという問題が知られている。これは、ジルコニアと水との化学反応によりZr-O-Zr結合が切断され、t-ZrO_(2)の応力腐食反応によって相転移が促され、それに伴う体積膨張により微小なクラックが生成されるためであると考えられている。また、この現象は、水だけではなく、アンモニア等の極性を有する溶媒により加速されることが分かっている(非特許文献1を参照)。そのため、局所的に高温、高圧となる摩擦環境下では、極性を有する油分子の表面への吸着は相転移を促進させて表面強度を低下させ、玉3の表面を容易に摩耗する。
【0029】
このように、アルミナ-ジルコニア系複合材料からなる玉3では、極性分子の表面への吸着は、潤滑効果と摩耗促進効果の二面性を有しており、高温・高圧下で使用される場合には、無極性油を用いることが好ましい。
【0030】
また、低トルク化のためには潤滑剤Gの充填量も少ないことが好ましく、軸受空間6の20体積%以下であっても十分な潤滑を確保できる。
【0031】
更に、玉3を形成するアルミナ-ジルコニア系複合材料のヤング率は215?280GPaであり、内輪1及び外輪2を形成する金属材料、一般的には軸受鋼のヤング率(208GPa)やSUJ2のヤング率(207GPa)よりも小さいことから、耐圧痕性も向上する。これに対し窒化珪素のヤング率は250?330GPaであり、軸受鋼やSUJ2のヤング率よりも大きいことから、耐圧痕性に劣る。
【0032】
加えて、アルミナ-ジルコニア系複合材料は、密度が4.5g/cm^(3)(アルミナ成分:ジルコニア成分またはイットリア-ジルコニア成分=50:50)?6g/cm^(3)(アルミナ成分:ジルコニア成分またはイットリア-ジルコニア成分=5:95)であり、軸受鋼の密度(7.8g/cm^(3))よりも小さい。そのため、軸受回転時の玉3の慣性力が小さく保持器4との衝突音が小さくなる。また、保持器4として鉄製保持器を用いた場合には、保持器4の摩耗が少なく、鉄粉による音響劣化も少なくなる。これに対し窒化珪素の密度は3.22g/cm^(3)であることから、窒化珪素製の玉では保持器4との衝突音及び鉄製保持器を使用したときの摩耗がアルミナ-ジルコニア系複合材料製の玉よりも少なくなるが、軸受組立時の転動体補給の際に飛び出してしまう不具合がある。
【0033】
更に、アルミナ-ジルコニア系複合材料は白色に近い。そのため、玉3の表面に発生した傷を容易に視認できる。
【0034】
また、玉精度は、真球度0.08で、表面粗さ0.012μm以下(G3レベルともいう)?真球度0.13で、表面粗さ0.02μm以下(G5レベルともいう)にすることが好ましい。これは、G5レベルを超えると、音響特性に影響を及ぼすからである。
【0035】
一方、内輪1及び外輪2はSUJ2鋼、SUS鋼、13Cr鋼等の金属製であるため安価であり、しかも音響寿命においても有利である。また、少なくとも軌道面1a,2a、好ましくは全表面に浸炭窒化処理等の硬化処理を施すことにより、耐摩耗性が向上して好ましい。
【0036】
また、保持器4は金属製でもよいが、軸受全体の軽量化や、玉3との衝突音を低減するために、ポリアミドやポリアセタール、PPS等の耐熱性の樹脂に、ガラス繊維や炭素繊維等の繊維状補強材を配合してなる樹脂組成物を成形したものが好ましい。
【0037】
尚、本実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態においては、転がり軸受の例として深溝玉軸受を挙げて説明したが、それ以外にもアンギュラ玉軸受、自動調心玉軸受、円筒ころ軸受、円すいころ軸受、針状ころ軸受、自動調心ころ軸受等のラジアル形の転がり軸受や、スラスト玉軸受、スラストころ軸受等のスラスト形の転がり軸受にも適用でき、それぞれの転動体を上記のアルミナ-ジルコニア系複合材料で形成する。
【実施例】
【0038】
以下に試験例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれにより何ら制限されるものはない。尚、下記の試験において、アルミナ-ジルコニア系複合材料製のボール試験片の玉精度をG3?G5レベルにした。
【0039】
(試験1)
内輪及び外輪をSUJ2鋼製とし、ボール試験片をアルミナ-ジルコニア系複合材料、窒化珪素またはSUJ2鋼で作製した。尚、アルミナ-ジルコニア系複合材料製のボール試験片は、アルミナ原料粉末とジルコニア原料粉末とを、質量比でアルミナ成分:ジルコニア成分=20:80となるように混合し、焼結したものである。そして、リチウム-エステル油系グリース(NSハイリューブ)を160mg充填して試験軸受とした。尚、このグリース充填量は、軸受空間の20体積%に相当する。
【0040】
そして、各試験軸受を雰囲気温度90℃、60000min^(-1)にて連続回転させ、焼付きに至るまでの時間を計測した。結果を表1に示すが、アルミナ-ジルコニア系複合材料製のボール試験片は、窒化珪素製のボール試験片と比べても焼付き寿命が2倍以上になっており、耐焼付き性が大きく向上することがわかる。
【0041】
【表1】

【0042】
(試験2)
試験1で用いたアルミナ-ジルコニア系複合材料製のボール試験片及びSUJ2鋼製のボール試験片を用いた試験軸受について、室温、60000min^(-1)の条件にて計算寿命で比較したところ、アルミナ-ジルコニア複合材料製のボール試験片を用いた試験軸受では寿命が約12.8倍も延びている。
【0043】
(試験3)
試験1で用いた試験軸受に500万回の往復振動運動を与え、揺動前とのアキシアル方向の振動量比を求めた。結果を表2に示すが、アルミナ-ジルコニア系複合材料製のボール試験片を用いた試験軸受では、耐フレッチング摩耗性が大きく向上することがわかる。
【0044】
【表2】

【0045】
(試験4)
各種潤滑油中で摩擦試験を行い、摩擦係数の経時変化及び比摩耗量を測定した。比摩耗量とは、固体同士を摩擦する際に単位摩擦距離、単位荷重あたりの摩耗体積を示している。この摩擦試験は、以下のようにして行った。SUJ2製の平板状のディスク試験片の上に、SUJ2製のボール試験片又はアルミナ-ジルコニア系複合材料製のボール試験片を載置し、ボール試験片に所定の荷重を負荷しながら所定のすべり速度で回転させた。試験条件は、以下の通りである。
・ボール試験片の直径:5/32インチ
・荷重:49N・すべり速度:5mm/s
【0046】
尚、アルミナ-ジルコニア系複合材料製のボール試験片は、アルミナ原料粉末とジルコニア原料粉末とを、アルミナ成分:ジルコニア成分=20:80となるように混合し、焼結したものである。また、潤滑油はポリα-オレフィン(PAO)、ポリオールエステル油(POE)、ジエステル油、エーテル油またはグリコール油である。これらの潤滑油の40℃における動粘度は、何れも30mm^(2)/sである。
【0047】
まず、SUJ2製のボール試験片を用いた場合の試験結果について、図3、4を参照しながら説明する。図3は摩擦係数の経時変化を示すチャートであり、図4はディスク試験片の比摩耗量を示すグラフである。図4から、金属同士の摩擦の場合には、POE、ジエステル油、エーテル油、グリコール油のような極性を有する潤滑油を用いた方が、摩耗が少ないことが分かる。これは、金属の表面の酸化物に油の分子が吸着することにより、金属間の直接接触が抑制されることが原因であると考えられる。
【0048】
次に、アルミナ-ジルコニア系複合材料製のボール試験片を用いた場合の試験結果について、図5、6を参照しながら説明する。図5は摩擦係数の経時変化を示すチャートであり、図6はディスク試験片の比摩耗量を示すグラフである。ジルコニア-アルミナは酸化物であるため、上記の金属同士の場合と同様に、極性を有する潤滑油を用いた方が摩耗が少ないと考えられた。しかしながら、図6から分かるように、極性を有する潤滑油であるPOE、グリコール油を用いた場合には、摩擦係数が大きく、比摩耗量も大きかった。
【0049】
そこで、アルミナ-ジルコニア系複合材料製のボール試験片の表面状態の経時変化を測定した。結果を図7、8に示す。図7から分かるように、潤滑油が極性を有しないPAOである場合は、試験開始後の初期においては摩耗が少なく、表面状態は殆ど崩れていなかった。これに対して、潤滑油が極性を有するPOEである場合は、図8から分かるように、試験開始後の初期においても摩耗が生じ、表面に凹凸が形成されて粗くなっていた。即ち、ボール試験片の表面に凹凸が形成されることにより、相手材であるディスク試験片を切削する作用が増大し、ディスク試験片の摩耗が増加したと考えられることが分かった。
【0050】
SUJ2製のボール試験片を用いた場合の比摩耗量(図4)と、アルミナ-ジルコニア系複合材料製のボール試験片を用いた場合の比摩耗量(図6)との比、即ち、後者を前者で除した値を図9に示す。この数値は、摩耗に及ぼす摩擦材料の影響を示すものであり、潤滑油の潤滑効果の影響を排除したものである。つまり、図9に示す比摩耗量の比が1より大きい潤滑油は、摩耗促進効果を有していると言える。図9のグラフから、アルミナ-ジルコニア系複合材料製のボール試験片を用いた場合は、極性を有する潤滑油を用いると摩耗が大きくなることが分かる。
【0051】
(試験5)
アルミナ原料粉末とジルコニア原料粉末とを、表3に示す成分比(質量%)にて混合してジルコニア-アルミナ系複合材料製のボール試験片を作製し、下記の条件にてスラスト試験を行った。尚、試験装置は図10に示すように、軸受を油浴中に浸漬した状態で回転させ、回転中の振動値を求めるとともに、一定時間毎に分解してボール試験片表面の剥離が確認された時点を寿命とした。そして、測定した実寿命と、51305軸受の計算寿命との比を求めた。
・荷重:450kgf
・ボール試験片の直径:3/8インチ
・玉数:3球
・回転数:1000rpm・軸受:51305(内輪及び外輪はSUJ2)
・潤滑油:RO68
【0052】
結果を表3及び図11に示すが、アルミナ成分が10質量%未満、または30質量%より大きくなると計算寿命に対する寿命比は1を下回る。しかし、10?30質量%の範囲では、寿命比は1を超えており、寿命向上になっている。
【0053】
【表3】

【0054】
(試験6)
アルミナ原料粉末と、イットリアを3質量%含有するイットリア-ジルコニア原料粉末とを、表4に示す成分比(質量%)にて混合し、焼結してボール試験片を作製した。尚、イットリア-ジルコニア原料粉末は、不純物として酸化鉄を表4に示す量含有するものを用いた。そして、試験5に従い下記の条件にて寿命比を求めた。
・ボール試験片の直径:3/8インチ
・面圧:1GPa
・回転数:1000rpm
・軸受:51305(内輪及び外輪はSUJ2)
・潤滑油:VG68
【0055】
【表4】

【0056】
図12に寿命を、図13に振動値の測定結果を示すが、不純物である酸化鉄の含有量が多くなるほど、酸化鉄を起点とする剥離が発生しやすくなり、転動疲労寿命が短くなる。また、ボール試験片の表面の結晶粒の脱落も起こり、振動値も大きくなる。このような傾向は、酸化鉄の含有量が0.3質量%を超えると顕著になる。
【0057】
(試験7)
アルミナ原料粉末と、イットリアを3質量%含有するイットリア-ジルコニア原料粉末とを、表5に示す成分比(質量%)にてビーズミル混合機を用い、水にて湿式混合した後、乾燥造粒、成形、脱脂、焼結、HIP処理を順次行いアルミナ-ジルコニア系複合材料製の素球を作製した。次いで、素球を研磨し、所定形状の完成球に仕上げた。そして、完成球の切断面をSEMを用いて倍率20000倍で観察し、焼結粒子の粒径を測定した。視野内にはアルミナ焼結粒子とイットリア-ジルコニア焼結粒子が混在しており、アルミナ焼結粒子とイットリア-ジルコニア焼結粒子とを区別することなく個々の粒径を求め、平均粒径を算出した。また、試験5と同様にして寿命比を求めた。
【0058】
結果を表5及び図14に示すが、平均粒径が大きくなるほど寿命も短くなり、特に平均2μmを超えると顕著になる。また、表5に示すように、平均粒径を2μm以下にするには、アルミナ成分が30質量%以下であればよいことがわかる。
【0059】
【表5】

【0060】
(試験8)
アルミナ原料粉末20質量%と、ジルコニア原料粉末80質量%とを混合し、焼結条件を変えて各種のボール試験片を作製し、ボール試験片の表面を観察してジルコニア塊の長径部の寸法を測定した。そして、試験5に従い寿命比を求めた。
【0061】
結果を表6及び図15に示すが、100μmを超える大径のジルコニア塊が存在すると、寿命が大きく低下することがわかる。
【0062】
【表6】

【0063】
(試験9)
試験8で得られた結果のように、剥離の起点から観察されたジルコニア塊が100μmを超えると寿命は計算寿命より低下することから、転動体の寿命を保証するためには転動体の表面を観察して100μmのジルコニア塊がないかを確認することになる。しかし、粉砕・混合・乾燥・造粒といった粉末の製造条件が十分に管理され、作製された転動体の実際の表面では、100μm以上のジルコニア塊の出現頻度は低く、転動体の表面を全数検査することは労度とコストの点より現実的に困難である。また、実際には転動体表面の直下にあって表面からこれが確認できない場合でも、剥離を生じるため、これを確認するには直接寿命試験を行う必要があった。そこで、ジルコニア塊が転動体の表面にどのようにして存在してるかを把握するために、まず転動体の表面を抜き取りで検査し、ジルコニア塊の分布を調査したところ、ジルコニア塊の大きさと個数の関係は図16に示すような指数分布に従うことがわかった。尚、図中の数式において、yはジルコニア塊の個数、xはジルコニア塊の大きさであり、c及びaは実験値として決定される定数である。この指数分布をもとに、実際に観察が容易な出現頻度の10?30μmと100μmの個数比を求めれば、10?30μmサイズのジルコニア塊の個数から寿命に有害な100μmサイズの個数を把握できることがわかった。さらに,この寿命に有害な100μmサイズの推定個数について信頼度を持たせるため、統計的な考えに基づいて観察すべき面積を検討し、300mm^(2)観察すれば十分な信頼度が得られることがわかった。そして、この面積中に存在する10?30μmサイズのジルコニア塊の個数と寿命との関係を調査するために、下記の寿命試験を行った。
【0064】
即ち、アルミナ原料粉末20質量%と、ジルコニア原料粉末80質量%とを混合し、焼結条件を変えて各種のボール試験片を作製し、ボール試験片の表面を観察して300mm^(2)当たりの10?30μmのジルコニア塊の個数を測定した。そして、試験5に従い寿命比を求めた。
・ボール試験片の直径:3/8インチ
・荷重:740kgf
・玉数:6球
・回転数:1000rpm
・軸受:51305(内輪及び外輪はSUJ2)
・潤滑油:RO68
【0065】
結果を表7及び図17に示すが、300mm^(2)当たりに10?30μmのジルコニア塊が5個を超えて存在すると、寿命が大きく低下することがわかる。
【0066】
【表7】

【0067】
(試験10)
試験7?9を踏まえ、表8に示すようにアルミナ成分とジルコニア成分との成分比(質量%)及び焼結条件を変えてボール試験片を作製した。そして、各ボール試験片の切断面を、SEMを用いて倍率20000倍で観察し、焼結粒子の粒径を測定して平均粒径を求めた。また、表面における300mm^(2)当たりの10?30μmのジルコニア塊の個数を測定した。更に、試験9と同様にして寿命比を求めた。
【0068】
結果を表8及び図18に示すが、アルミナ成分が10?30質量%であれば、ボール試験片中のアルミナ-ジルコニア複合粒子の粒径を2μm以下に抑えることかでき、また300mm^(2)当たりに10?30μmのジルコニア塊を5個以下に抑えることもでき、長寿命にもなることがわかる。
【0069】
【表8】

【0070】
(試験11)
アルミナ原料粉末20質量%と、ジルコニア原料粉末80質量%とをΦ10mmのジルコニア製粉砕メディアとともにボールミル混合機に投入し、600rpmで混合した。そして、混合物を球状に成形し、焼結した後、直径3/8インチのボール試験片Aを作製した。
【0071】
アルミナ原料粉末20質量%と、ジルコニア原料粉末80質量%とをφ1mmのジルコニア製粉砕メディアとともにビーズミル混合機(図2参照)に投入し、2000rpmで混合した。そして、混合物を球状に成形し、焼結した後、直径3/8インチのボール試験片Bを作製した。
【0072】
上記で作製したボール試験片A、Bを用い、下記の条件にて寿命試験を行った。そして、下記の条件にてスラスト試験(図10参照)を行い、一定時間毎に分解してボール試験片表面の剥離が確認された時点を寿命とした。
・ボール試験片の直径:3/8インチ
・面圧:3GPa
・回転数:1000rpm
・軸受:51305(内輪及び外輪はSUJ2)
・潤滑油:VG68
【0073】
結果を図19に示すが、ビーズミル混合機を用いて作製したボール試験片Bを備える軸受では、目標寿命を超えている。
【0074】
また、ボール試験片A、Bの内部組織のSEM写真を撮影した。図20(A)はボールミル混合機を用いて作製したボール試験片Aの内部組織のSEM写真、同図(B)はビーズミル混合機を用いて作製したボール試験片Bの内部組織のSEM写真であるが、ボール試験片Aでは大きな偏析塊が見られるのに対し、ボール試験片Bでは偏析塊が見られない。
【0075】
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
【0076】
本出願は、2009年5月21日出願の日本特許出願(特願2009-123072)、2010年2月19日出願の日本特許出願(特願2010-035213)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、例えばエアコンファンモータやコンプレッサ等のインバータ制御されるモータ用、HDDのスイングアーム支持用ピボットアーム、サーボモータやステッピングモータ等の揺動運動するモータ用転がり軸受に好適である。
【符号の説明】
【0078】
1 内輪
2 外輪
3 玉
4 保持器
5 シール
6 軸受空間
G 潤滑剤
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも内輪、外輪、転動体及び保持器を備える転がり軸受において、
前記転動体が、アルミナ成分と、ジルコニア成分またはイットリアを1.5?5モル%含有するイットリア-ジルコニア成分とを、質量比で、アルミナ成分:ジルコニア成分またはイットリア-ジルコニア成分=20:80で含み、アルミナ焼結粒子、ジルコニア焼結粒子またはイットリア-ジルコニア焼結粒子が、何れも平均粒径0.8μm以下であり、かつ、SiO_(2)、Na_(2)O及びFe_(2)O_(3)の各含有量が何れも0.3質量%以下であるアルミナ-ジルコニア系複合材料製であることを特徴とする転がり軸受。
【請求項2】
転動体の表面において、10?30μmのジルコニア塊またはイットリア-ジルコニア塊の個数が2個/300mm^(2)以下であることを特徴とする請求項1記載の転がり軸受。
【請求項3】
転動体のヤング率が215?280GPaであることを特徴とする請求項1または2記載の転がり軸受。
【請求項4】
転動体の密度が4.5?6g/cm^(3)であることを特徴とする請求項1?3の何れか1項に記載の転がり軸受。
【請求項5】
保持器が合成樹脂組成物からなることを特徴とする請求項1?4の何れか1項に記載の転がり軸受。
【請求項6】
内輪及び外輪の少なくとも一方が浸炭窒化処理されていることを特徴とする請求項1?5の何れか1項に記載の転がり軸受。
【請求項7】
40℃における動粘度が80mm^(2)/s以下であるエステル油、または該エステル油を基油とするグリースを、軸受空間の20体積%以下となるように封入したことを特徴とする請求項1?6何れか1項に記載の転がり軸受。
【請求項8】
40℃における動粘度が80mm^(2)/s以下で、分子中に極性基を持たない無極性潤滑油、または該無極性潤滑油を基油とするグリースを、軸受空間の20体積%以下となるように封入したことを特徴とする請求項1?7の何れか1項に記載の転がり軸受。
【請求項9】
少なくとも内輪、外輪、転動体及び保持器を備える転がり軸受の製造方法において、
SiO_(2)、Na_(2)O及びFe_(2)O_(3)の各含有量が何れも0.3質量%以下であり、かつ、アルミナ原料粉末と、ジルコニア原料粉末またはイットリアを1.5?5モル%含有するイットリア-ジルコニア原料粉末とを、質量比で、アルミナ原料粉末:ジルコニア原料粉末またはイットリア-ジルコニア原料粉末=20:80の割合で混合してなる混合物を、転動体の形状に成形した後、成形物を焼結して、アルミナ焼結粒子、ジルコニア焼結粒子またはイットリア-ジルコニア焼結粒子が何れも平均粒径0.8μm以下である転動体を作製する工程を有することを特徴とする転がり軸受の製造方法。
【請求項10】
アルミナ原料粉末と、ジルコニア原料粉末またはイットリア-ジルコニア原料粉末とを、φ1mm以下のジルコニア系ビーズとともにビーズミル混合機に投入して粉砕混合することを特徴とする請求項9記載の転がり軸受の製造方法。
【図面】




















 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2018-11-02 
結審通知日 2018-11-06 
審決日 2018-11-19 
出願番号 特願2011-514463(P2011-514463)
審決分類 P 1 41・ 853- Y (F16C)
P 1 41・ 852- Y (F16C)
P 1 41・ 856- Y (F16C)
P 1 41・ 855- Y (F16C)
P 1 41・ 854- Y (F16C)
P 1 41・ 851- Y (F16C)
最終処分 成立  
前審関与審査官 西村 泰英関口 勇  
特許庁審判長 大町 真義
特許庁審判官 内田 博之
小関 峰夫
登録日 2014-08-29 
登録番号 特許第5601320号(P5601320)
発明の名称 転がり軸受及びその製造方法  
代理人 松山 美奈子  
代理人 松山 美奈子  
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