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審決分類 審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する D06M
審判 訂正 3項(134条5項)特許請求の範囲の実質的拡張 訂正する D06M
審判 訂正 特許請求の範囲の実質的変更 訂正する D06M
審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する D06M
管理番号 1346946
審判番号 訂正2018-390157  
総通号数 230 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-02-22 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2018-10-05 
確定日 2018-11-29 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5500745号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第5500745号の明細書及び特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[1-10]について訂正することを認める。 
理由 第1 手続の経緯
本件特許5500745号(以下、「本件特許」という。)は、平成25年8月19日の出願であって、平成26年3月20日に特許権の設定登録がされ、平成30年10月5日に本件訂正審判の請求がされたものである。

第2 請求の趣旨及び訂正の内容
本件訂正審判の請求の趣旨は、本件特許の明細書及び特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1?10について訂正することを求めるというものである。
請求人が求めている具体的な訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、以下の訂正事項1、2のとおりである。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に
「平滑剤に下記のリン酸化合物Aと下記のリン酸化合物Bを配合して成ることを特徴とする合成繊維用処理剤。
リン酸化合物A:下記の化1で示されるリン酸エステル及び下記の化1で示されるリン酸エステルの有機アミン塩から選ばれる一つ又は二つ以上
【化1】


(化1において、
R^(1):炭素数8?24の脂肪族アルコールから水酸基を除いた残基又は炭素数8?24の脂肪族アルコールにエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドを合計で1?20モル付加したものから水酸基を除いた残基
R^(2):水素原子、炭素数8?24の脂肪族アルコールから水酸基を除いた残基又は炭素数8?24の脂肪族アルコールにエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドを合計で1?20モル付加したものから水酸基を除いた残基
n:2又は3の整数)
リン酸化合物B:下記の化2で示されるリン酸エステル、下記の化2で示されるリン酸エステルの有機アミン塩、下記の化3で示されるリン酸エステル及び下記の化3で示されるリン酸エステルの有機アミン塩から選ばれる一つ又は二つ以上。
【化2】


【化3】


(化2及び化3において、
R^(3),R^(4),R^(5):炭素数8?24の脂肪族アルコールから水酸基を除いた残基又は炭素数8?24の脂肪族アルコールにエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドを合計で1?20モル付加したものから水酸基を除いた残基)」
と記載されているのを、
「平滑剤に下記のリン酸化合物Aと下記のリン酸化合物Bを配合して成ることを特徴とする合成繊維用処理剤。
リン酸化合物A:下記の化1で示されるリン酸エステル及び下記の化1で示されるリン酸エステルの有機アミン塩から選ばれる一つ又は二つ以上
【化1】


(化1において、
R^(1):炭素数8?24の脂肪族アルコールから水酸基を除いた残基又は炭素数8?24の脂肪族アルコールにエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドを合計で1?20モル付加したものから水酸基を除いた残基
R^(2):水素原子、炭素数8?24の脂肪族アルコールから水酸基を除いた残基又は炭素数8?24の脂肪族アルコールにエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドを合計で1?20モル付加したものから水酸基を除いた残基
n:2又は3の整数)
リン酸化合物B:下記の化2で示されるリン酸エステル、下記の化2で示されるリン酸エステルの有機アミン塩、下記の化3で示されるリン酸エステル及び下記の化3で示されるリン酸エステルの有機アミン塩から選ばれる一つ又は二つ以上。
【化2】


【化3】


(化2及び化3において、
R^(3),R^(4),R^(5):炭素数8?24の脂肪族アルコールから水酸基を除いた残基又は炭素数8?24の脂肪族アルコールにエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドを合計で1?20モル付加したものから水酸基を除いた残基)」
に訂正する。

(2)訂正事項2
明細書の段落【0008】に
「【化1】



と記載されているのを、
「【化1】



に訂正する。

第3 当審の判断
1 訂正事項1について
(1)一群の請求項ごとに訂正請求がされているかについて
訂正事項1は、訂正前の請求項1を訂正するものであるところ、訂正前の請求項2?10は当該訂正前の請求項1を直接または間接に引用しているから、訂正事項1は、一群の請求項ごとに訂正を請求するものである。
ゆえに、訂正事項1は、特許法第126条第3項の規定に適合する。

(2)訂正の目的が該当するかについて
訂正前の請求項1には、リン酸化合物Aの【化1】で示される化学式について、


と記載されている。
これに関して、本件特許明細書の段落【0015】には、「リン酸化合物Aとしては、1)前記した化1で示されるモノドデシルピロホスフェート、ジドデシルピロホスフェート、モノオレイルピロホスフェート、ジオレイルピロホスフェート、ドデシルオレイルピロホスフェート、ジオレイルポリホスフェート等のリン酸エステル、2)前記した化1で示されるモノドデシルピロホスフェート、ジドデシルピロホスフェート、モノオレイルピロホスフェート、ジオレイルピロホスフェート、ドデシルオレイルピロホスフェート、ジオレイルポリホスフェート等のリン酸エステルの有機アミン塩が挙げられる。モノドデシルピロホスフェート、ジドデシルピロホスフェート、モノオレイルピロホスフェート、ジオレイルピロホスフェート、ジオレイルポリホスフェート等のリン酸エステルのアルカリ金属塩は耐熱性を悪化させるので好ましくない。」と記載されている。この記載を踏まえると、【化1】に示されるべき化合物は、ピロリン酸又はポリリン酸のエステルであるといえる。
ここで、ピロリン酸とは、2個の四面体型のPO_(4)が頂点のO原子を共有して結合した[(HO)_(2)(O=)P-O-P(=O)(OH)_(2)]であるのが技術常識であり(例えば、化学辞典(第2版)(森北出版株式会社 2009年12月16日発行)の第1025頁「二リン酸(塩)」欄参照)、ポリリン酸とは、2個以上のPO_(4)四面体が頂点の酸素原子を共有して、直鎖状に連なった構造であるのが技術常識である(例えば、化学辞典(第1版)(株式会社東京化学同人 1994年10月1日発行)の第1375頁「ポリリン酸」欄参照)。
そうすると、本来、【化1】に示されるべき化合物は、PO_(4)がO原子を共有して結合した構造、すなわち


である。

また、本件特許明細書の【0035】、【0036】には、
「試験区分1(リン酸化合物の調製)
・リン酸化合物(P-1)の調製
反応容器にオレイルアルコール381部を仕込み、120℃で0.05MPa以下の条件下に2時間脱水処理した後、常圧に戻し、撹拌しながら60±5℃で五酸化二燐81部を1時間かけて投入した。80℃にて3時間熟成した後、ジブチルエタノールアミン543部を50℃で滴下して中和を行ない、リン酸化合物(P-1)を調製した。」、
「 ・リン酸化合物(P-1)のP核積分比率の算出
リン酸化合物(P-1)に過剰のKOHを加えてpHを12以上にした条件下で、^(31)P-NMRを用いてP核積分比率を算出したところ、化1で示されるリン酸エステルが30%、化2で示されるリン酸エステルが35%、化3で示されるリン酸エステルが35%であった。」
と記載されている。
ここで、リン酸源である五酸化二燐は、PO_(4)のP=O以外の3個のO原子が隣接するP原子に共有された構造であるのが技術常識である(例えば、化学辞典(第2版)(森北出版株式会社 2009年12月16日発行)の第493頁「五酸化二リン」欄参照)。
このことからも、本来、【化1】に示されるべき化合物は、


である。
しかしながら、訂正前の【化1】に示された化学式によると、P原子同士が直接結合する構造となっており、当該訂正前の【化1】に示された化学式は、「[]」の中に含めるべき「O」が「[]」の外に出された誤記であるといえる。

したがって、訂正事項1は、請求項1の【化1】に示される化学式について、誤記を正しい表記に訂正するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する誤記の訂正を目的とするものである。

(3)特許請求の範囲の拡張又は変更になるかについて
上記(2)で述べたとおり、本件特許明細書の段落【0015】、【0035】、【0036】の記載及び上記(2)で述べた技術常識を踏まえると、訂正前の請求項1の【化1】は、


の誤記であることは、本件特許明細書に接した当業者に読み取れることは明らかである。
したがって、訂正事項1は、請求項1の【化1】に示される化学式ついて、明らかな誤記を訂正するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものとはいえず、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。

(4)願書に最初に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてなされているかについて
本件特許の願書に最初に添付した明細書の【0011】、【0035】、【0036】の記載(それぞれ、本件特許明細書の上記(2)で示した【0015】、【0035】、【0036】と同一の記載である。)と上記(2)で述べた技術常識を踏まえると、上記(2)で検討したとおり、本件訂正後の【化1】で示される化学式が示されているといえる。
したがって、訂正事項1は、願書に最初に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてなされたものであるといえ、特許法第126条第5項括弧書きの規定に適合するものである。

(5)特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて
後記2(5)であわせて検討する。

2 訂正事項2について
(1)明細書の訂正に係る請求項の全てについて行われているかについて
訂正事項2は、本件特許明細書の段落【0008】の【化1】に示される化学式の訂正であるところ、訂正前の請求項1は、【化1】を発明特定事項とするものであり、訂正前の請求項2?10は当該請求項1を直接または間接に引用するものであるから、一群の請求項1?10全てに関係する訂正である。
ゆえに、訂正事項2は、一群の請求項1?10全てについて行われるものであるから、特許法第126条第4項の規定に適合するものである。

(2)訂正の目的が該当するかについて
訂正事項2は、本件特許明細書の段落【0008】の【化1】に示される化学式について、上記訂正事項1と実質的に同じ訂正をするものであるから、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する誤記の訂正を目的とするものである。

(3)特許請求の範囲の拡張又は変更になるかについて
訂正事項2は、本件特許明細書の段落【0008】の【化1】に示される化学式について、上記訂正事項1と実質的に同じ訂正をするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものとはいえず、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。

(4)願書に最初に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてなされているかについて
訂正事項2は、上記1(4)と同様に、願書に最初に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてなされているといえ、特許法第126条第5項括弧書きの規定に適合するものである。

(5)特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて
訂正事項1により訂正された、請求項1?10に記載されている事項により特定される発明(以下、「本件発明1?10」という。)が、本件特許の出願前に頒布された刊行物に記載された発明であるか、または、このような刊行物に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとする根拠となり得る刊行物を発見することはできないから、特許法第29条第1項第3号又は同法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとはいえない。
また、他に、本件発明1?10について、特許を受けることができないとするに足る理由を見いだすこともできない。
したがって、本件発明1?10は特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるといえるから、訂正事項1、2は、特許法第126条第7項に適合するものである。

第4 むすび
以上のとおり、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号を目的とするものであり、かつ、同条第3項?第7項の規定に適合するものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
合成繊維用処理剤、合成繊維の処理方法及び合成繊維
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成繊維用処理剤、合成繊維の処理方法及び合成繊維に関する。近年、合成繊維の製造乃至加工工程では、高速化が推進され、これに伴って合成繊維に高温での熱処理が行われている。なかでも、ポリ塩化ビニル樹脂やポリプロピレン樹脂等の有機ポリマー樹脂で被覆される用途に使用される産業資材用合成繊維は、その成形体の寸法安定性が重要であり、繊維の収縮率を下げる要求度が高く、加熱延伸ローラー(ホットローラー)上で、より過酷な高温での熱処理が施される傾向にある。その結果として、ホットローラー上に堆積したタール(汚れ)により、張力変動が頻発し、操業性(工程通過性)が低下する。このため合成繊維に付着させる処理剤には、該合成繊維が高温且つ高接圧下で製糸される場合であっても、前記のようなホットローラー上における汚れの発生や張力変動を防止できる高度の極圧潤滑性と耐熱性が要求される。本発明は、過酷な高温での熱処理を伴う合成繊維の製造乃至加工においても優れた耐熱性を維持し、極圧潤滑性不足による張力変動を抑制し、ひいては優れた工程通過性を発揮する合成繊維用処理剤、合成繊維の処理方法及び合成繊維に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、前記のような合成繊維用処理剤として、チオエーテル基を有するエステル化合物を含有する合成繊維用処理剤(例えば特許文献1参照)、ベンズイミダゾール化合物を含有する合成繊維用処理剤(例えば特許文献2参照)が提案されているが、近年の紡糸速度の高速化、加熱温度の高温化においては、耐熱性が不足するため、タールが経時的に蓄積し、毛羽や断糸を誘発し、工程通過性を悪化させるという問題がある。毛羽や断糸を低減するために最大加水粘度を低減した合成繊維用処理剤(例えば特許文献3参照)も提案されているが、極圧潤滑性が不足するため、張力変動が生じ易く工程通過性が不十分という問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平09-188968号公報
【特許文献2】特開平10-292261号公報
【特許文献3】特開2012-92482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、加熱処理を施す合成繊維の製造乃至加工において、優れた耐熱性を維持することにより長期にわたりタールの蓄積を抑制し、また優れた極圧潤滑性を維持することにより優れた工程通過性を発揮する合成繊維用処理剤、かかる合成繊維用処理剤を用いる合成繊維の処理方法及びかかる処理方法によって得られる合成繊維を提供する処にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、前記の課題を解決すべく研究した結果、平滑剤に特定のリン酸化合物Aと特定のリン酸化合物Bを配合して成る合成繊維用処理剤を用いることが、正しく好適であることを見出した。
【0006】
すなわち本発明は、平滑剤に下記のリン酸化合物Aと下記のリン酸化合物Bを配合して成ることを特徴とする合成繊維用処理剤に係る。また本発明は、かかる合成繊維用処理剤を用いる合成繊維の処理方法及びかかる合成繊維の処理方法により得られる合成繊維に係る。
【0007】
リン酸化合物A:下記の化1で示されるリン酸エステル及び下記の化1で示されるリン酸エステルの有機アミン塩から選ばれる一つ又は二つ以上。
【0008】
【化1】

【0009】
化1において、
R^(1):炭素数8?24の脂肪族アルコールから水酸基を除いた残基又は炭素数8?24の脂肪族アルコールにエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドを合計で1?20モル付加したものから水酸基を除いた残基
R^(2):水素原子、炭素数8?24の脂肪族アルコールから水酸基を除いた残基又は炭素数8?24の脂肪族アルコールにエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドを合計で1?20モル付加したものから水酸基を除いた残基
n:2又は3の整数
【0010】
リン酸化合物B:下記の化2で示されるリン酸エステル、下記の化2で示されるリン酸エステルの有機アミン塩、下記の化3で示されるリン酸エステル及び下記の化3で示されるリン酸エステルの有機アミン塩から選ばれる一つ又は二つ以上。
【0011】
【化2】

【0012】
【化3】

【0013】
化2及び化3において、
R^(3),R^(4),R^(5):炭素数8?24の脂肪族アルコールから水酸基を除いた残基又は炭素数8?24の脂肪族アルコールにエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドを合計で1?20モル付加したものから水酸基を除いた残基
【0014】
先ず、本発明に係る合成繊維用処理剤(以下、本発明の処理剤という)について説明する。本発明の処理剤は、平滑剤に前記したリン酸化合物Aとリン酸化合物Bを配合して成るものである。
【0015】
リン酸化合物Aとしては、1)前記した化1で示されるモノドデシルピロホスフェート、ジドデシルピロホスフェート、モノオレイルピロホスフェート、ジオレイルピロホスフェート、ドデシルオレイルピロホスフェート、ジオレイルポリホスフェート等のリン酸エステル、2)前記した化1で示されるモノドデシルピロホスフェート、ジドデシルピロホスフェート、モノオレイルピロホスフェート、ジオレイルピロホスフェート、ドデシルオレイルピロホスフェート、ジオレイルポリホスフェート等のリン酸エステルの有機アミン塩が挙げられる。モノドデシルピロホスフェート、ジドデシルピロホスフェート、モノオレイルピロホスフェート、ジオレイルピロホスフェート、ジオレイルポリホスフェート等のリン酸エステルのアルカリ金属塩は耐熱性を悪化させるので好ましくない。
【0016】
化1中のR^(1)としては、1)オクチルアルコール、2-エチル-ヘキシルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、2-プロピル-ヘプチルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、2-ブチル-オクチルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、エイコシルアルコール、ドコシルアルコール、テトラコシルアルコール等の炭素数8?24の脂肪族アルコールから水酸基を除いた残基、2)オクチルアルコール、2-エチル-ヘキシルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、2-プロピル-ヘプチルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、2-ブチル-オクチルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、エイコシルアルコール、ドコシルアルコール、テトラコシルアルコール等の炭素数8?24の脂肪族アルコールにエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドを合計で1?20モル付加したものから水酸基を除いた残基が挙げられる。なかでもR^(1)としては、a)ドデシルアルコール、2-ブチル-オクチルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール等の炭素数12?18の脂肪族アルコールから水酸基を除いた残基、b)ドデシルアルコール、2-ブチル-オクチルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール等の炭素数12?18の脂肪族アルコールにエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドを合計で1?20モル付加したものから水酸基を除いた残基が好ましい。
【0017】
化1中のR^(2)としては、1)水素原子、2)オクチルアルコール、2-エチル-ヘキシルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、2-プロピル-ヘプチルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、2-ブチル-オクチルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、エイコシルアルコール、ドコシルアルコール、テトラコシルアルコール等の炭素数8?24の脂肪族アルコールから水酸基を除いた残基、3)オクチルアルコール、2-エチル-ヘキシルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、2-プロピル-ヘプチルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、2-ブチル-オクチルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、エイコシルアルコール、ドコシルアルコール、テトラコシルアルコール等の炭素数8?24の脂肪族アルコールにエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドを合計で1?20モル付加したものから水酸基を除いた残基が挙げられる。なかでもR^(2)としては、a)水素原子、b)ドデシルアルコール、2-ブチル-オクチルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール等の炭素数12?18の脂肪族アルコールから水酸基を除いた残基、c)ドデシルアルコール、2-ブチル-オクチルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール等の炭素数12?18の脂肪族アルコールにエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドを合計で1?20モル付加したものから水酸基を除いた残基が好ましい。
【0018】
リン酸化合物Bとしては、1)ジドデシルホスフェート、ジ2-ブチル-オクチルホスフェート、ジトリデシルホスフェート、ジミリスチルホスフェート、ジセチルホスフェート、ジステアリルホスフェート、ジイソステアリルホスフェート、ジオレイルホスフェート、ドデシルオレイルホスフェート等の前記した化2で示されるリン酸エステル、2)ジドデシルホスフェート、ジ2-ブチル-オクチルホスフェート、ジトリデシルホスフェート、ジミリスチルホスフェート、ジセチルホスフェート、ジステアリルホスフェート、ジイソステアリルホスフェート、ジオレイルホスフェート、ドデシルオレイルホスフェート等の前記した化2で示されるリン酸エステルの有機アミン塩、3)モノドデシルホスフェート、モノ2-ブチル-オクチルホスフェート、モノトリデシルホスフェート、モノミリスチルホスフェート、モノセチルホスフェート、モノステアリルホスフェート、モノイソステアリルホスフェート、モノオレイルホスフェート等の前記した化3で示されるリン酸エステル、4)モノドデシルホスフェート、モノ2-ブチル-オクチルホスフェート、モノトリデシルホスフェート、モノミリスチルホスフェート、モノセチルホスフェート、モノステアリルホスフェート、モノイソステアリルホスフェート、モノオレイルホスフェート等の前記した化3で示されるリン酸エステルの有機アミン塩が挙げられる。ジオレイルホスフェートのカリウム塩、モノドデシルホスフェートのナトリウム塩、モノオレイルホスフェートのナトリウム塩等のリン酸エステルのアルカリ金属塩は耐熱性を悪化させるので好ましくない。
【0019】
化2又は化3中のR^(3)、R^(4)及びR^(5)は、化1中のR^(1)について前記したことと同様である。
【0020】
本発明の処理剤としては、前記のリン酸化合物Bが化2で示されるリン酸エステル及び化2で示されるリン酸エステルの有機アミン塩から選ばれる一つ又は二つ以上と化3で示されるリン酸エステル及び化3で示されるリン酸エステルの有機アミン塩から選ばれる一つ又は二つ以上の混合物であり、且つ下記の数1から求められるリン酸化合物AのP核積分比率が10?99%となるようにしたものが好ましい。
【0021】
【数1】

【0022】
数1において、
P化1:化1で示されるリン酸エステルのカリウム塩に帰属されるP核NMR積分値
P化2:化2で示されるリン酸エステルのカリウム塩に帰属されるP核NMR積分値
P化3:化3で示されるリン酸エステルのカリウム塩に帰属されるP核NMR積分値
【0023】
リン酸化合物AのP核積分比率は、リン酸エステル及び/又はリン酸エステル塩を過剰の水酸化カリウムを加えて中和し、^(31)P-NMRの測定値から算出することができる。一般的におおよそ、化1に帰属されるピークは0ppm以下、化2に帰属されるピークは0ppm超4ppm未満、化3に帰属されるピークは4ppm以上に現れるので、それぞれのピークの積分値を求め、前記した数1により算出する。
【0024】
数1から求められるリン酸化合物AのP核積分比率は10?99%が好ましく、25?75%がより好ましい。
【0025】
本発明の処理剤に供する平滑剤としては、1)オクチルパルミタート、オレイルラウラート、オレイルオレアート、イソテトラコシルオレアート、ポリオキシエチレンオクチルデカノアート及びポリオキシエチレンラウリルエルケート等の、脂肪族モノアルコールと脂肪族モノカルボン酸とのエステル化合物、またかかるエステル化合物に炭素数2?4のアルキレンオキサイドを付加した化合物、2)1,6-ヘキサンジオールジデカノアート、グリセリントリオレアート、トリメチロールプロパントリラウラート、ペンタエリスリトールテトラオクタノアート及びポリオキシプロピレン1,6-ヘキサンジオールジオレアート等の、脂肪族多価アルコールと脂肪族モノカルボン酸との完全エステル化合物、またかかる完全エステル化合物に炭素数2?4のアルキレンオキサイドを付加した化合物、3)ビスポリオキシエチレンデシルアジパート、ジオレイルアゼラート、ジオレイルチオジプロピオナート及びビスポリオキシエチレンラウリルアジパート等の、脂肪族モノアルコールと脂肪族多価カルボン酸との完全エステル化合物、またかかる完全エステル化合物に炭素数2?4のアルキレンオキサイドを付加した化合物、4)ベンジルオレアート、ベンジルラウラート及びポリオキシプロピレンベンジルステアラート等の、芳香族モノアルコールと脂肪族モノカルボン酸とのエステル化合物、またかかるエステル化合物に炭素数2?4のアルキレンオキサイドを付加した化合物、5)ビスフェノールAジラウラート、ポリオキシエチレンビスフェノールAジラウラート等の、芳香族多価アルコールと脂肪族モノカルボン酸との完全エステル化合物、またかかる完全エステル化合物に炭素数2?4のアルキレンオキサイドを付加した化合物、6)ビス2-エチルヘキシルフタラート、ジイソステアリルイソフタレート、トリオクチルトリメリテート等の、脂肪族モノアルコールと芳香族多価カルボン酸との完全エステル化合物、またかかる完全エステル化合物に炭素数2?4のアルキレンオキサイドを付加した化合物、7)ヤシ油、ナタネ油、ヒマワリ油、大豆油、ヒマシ油、ゴマ油、魚油及び牛脂等の天然油脂等、合成繊維用処理剤に採用されている公知の平滑剤挙げられる。なかでも平滑剤としては、トリメチロールプロパントリラウラート、ジオレイルチオジプロピオナート、オレイルオレアート等の多価アルコールと1価のカルボン酸とのエステル、1価のアルコールと多価カルボン酸とのエステル及び1価のアルコールと1価のカルボン酸とのエステルが好ましい。
【0026】
本発明の処理剤に供する平滑剤に対するリン酸化合物Aとリン酸化合物Bの合計の割合に特に制限はないが、平滑剤を95?99.9質量%とし、リン酸化合物Aとリン酸化合物Bを合計で0.1?5質量%(全合計100質量%)の割合で含有するものが好ましい。
【0027】
本発明の処理剤としては、更にノニオン界面活性剤及び酸化防止剤を配合し、且つ平滑剤を20?90質量%、リン酸化合物Aとリン酸化合物Bを合計で0.1?5質量%、ノニオン界面活性剤を10?90質量%及び酸化防止剤を0.1?3質量%(全合計100質量%)の割合で含有するものが好ましい。
【0028】
本発明の処理剤に供するノニオン界面活性剤としては、1)有機酸、有機アルコール、有機アミン及び/又は有機アミド分子に炭素数2?4のアルキレンオキサイドを付加した化合物、例えばポリオキシエチレンラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンラウリン酸エステルメチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイン酸ジエステル、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシプロピレンラウリルエーテルメチルエーテル、ポリオキシブチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテル、ポリオキシエチレンラウロアミドエーテル等のエーテル型ノニオン界面活性剤、2)ソルビタントリオレアート、グリセリンモノラウレラート等の多価アルコール部分エステル型ノニオン界面活性剤、3)ポリオキシアルキレンソルビタントリオレアート、ポリオキシアルキレンヒマシ油、ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油トリオクタノアート等のポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステル型ノニオン界面活性剤、4)ジエタノールアミンモノラウロアミド等のアルキルアミド型ノニオン界面活性剤、5)ポリオキシエチレンジエタノールアミンモノオレイルアミド等のポリオキシアルキレン脂肪酸アミド型ノニオン界面活性剤等が挙げられるが、なかでもエーテル型ノニオン界面活性剤が好ましい。
【0029】
本発明の処理剤に供する酸化防止剤としては、1)1,3,5-トリス(3’,5’-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌル酸、1,3,5-トリス(4-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)イソシアヌル酸、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,2’-メチレン-ビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ハイドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、テトラキス[メチレン-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のフェノール系酸化防止剤、2)オクチルジフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、テトラトリデシル-4,4’-ブチリデン-ビス-(2-t-ブチル-5-メチルフェノール)ジホスファイト等のホスファイト系酸化防止剤、3)4,4’-チオビス-(6-t-ブチル-3-メチルフェノール)、ジラウリル-3,3’-チオジプロピオネート等のチオエーテル系酸化防止剤等が挙げられる。これらは単独で使用することもできるし、また二つ以上を併用することもできる。
【0030】
本発明の処理剤は、公知の合成繊維に用いられ、その種類や用途に特に限定はないが、なかでも耐熱性の要求が過酷な産業資材合成繊維に用いられることが、本発明の処理剤の優れた耐熱性を発揮できる上で好ましい。
【0031】
次に本発明に係る合成繊維の処理方法(以下、本発明の処理方法という)について説明する。本発明の処理方法は、以上説明したような本発明の処理剤を熱処理工程に供する合成繊維フィラメント糸条に対し0.1?3質量%、好ましくは0.5?1.5質量%となるよう付着させる方法である。本発明の処理剤を合成繊維に付着させる工程としては、紡糸工程、延伸工程、紡糸と延伸とを同時に行うような工程等が挙げられる。また本発明の処理剤を合成繊維に付着させる方法としては、ローラー給油法、計量ポンプを用いたガイド給油法、浸漬給油法、スプレー給油法等が挙げられる。更に本発明の処理剤を合成繊維に付着させる形態としては、水性液、有機溶剤溶液、ニート等が挙げられる。
【0032】
最後に本発明に係る合成繊維(以下、本発明の合成繊維という)について説明する。本発明の合成繊維は、前記した本発明の処理方法によりえられる合成繊維である。合成繊維としては、1)ポリエチレンテレフタラート、ポリプロピレンテレフタラート、ポリ乳酸エステル等のポリエステル系繊維、2)ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系繊維、3)ポリアクリル、モダアクリル等のポリアクリル系繊維、4)ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系繊維、5)ポリウレタン系繊維、6)ポリフェニレンサルファイド(PPS)繊維等が挙げられるが、なかでも耐熱性の要求が過酷なポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維等の産業資材合成繊維に用いられることが、本発明の処理剤の優れた耐熱性を発揮できる上で好ましい。
【発明の効果】
【0033】
以上説明した本発明によると、加熱処理を施す合成繊維の製造乃至加工において、優れた耐熱性を維持することにより長期にわたりタールの蓄積を抑制し、また優れた極圧潤滑性を維持することにより優れた工程通過性を発揮できるという効果がある。
【実施例】
【0034】
以下、本発明の構成及び効果をより具体的にするため、実施例等を挙げるが、本発明がこれら実施例に限定されるというものではない。尚、以下の実施例及び比較例において、部は質量部を、また%は質量%を意味する。
【0035】
試験区分1(リン酸化合物の調製)
・リン酸化合物(P-1)の調製
反応容器にオレイルアルコール381部を仕込み、120℃で0.05MPa以下の条件下に2時間脱水処理した後、常圧に戻し、撹拌しながら60±5℃で五酸化二燐81部を1時間かけて投入した。80℃にて3時間熟成した後、ジブチルエタノールアミン543部を50℃で滴下して中和を行ない、リン酸化合物(P-1)を調製した。
【0036】
・リン酸化合物(P-1)のP核積分比率の算出
リン酸化合物(P-1)に過剰のKOHを加えてpHを12以上にした条件下で、^(31)P-NMRを用いてP核積分比率を算出したところ、化1で示されるリン酸エステルが30%、化2で示されるリン酸エステルが35%、化3で示されるリン酸エステルが35%であった。
【0037】
P核積分比率は、^(31)P-NMR(VALIAN社製の商品名MERCURY plus NMR Spectrometor System、300MHz、以下同じ)の測定値を用いて前記の数1から算出した。尚、溶媒は重水/テトラヒドロフラン=8/2(体積比)の混合溶媒を用いた。
【0038】
・リン酸化合物(P-2?P-10及びRP-1?RP-3)の調製
リン酸化合物(P-1)と同様にして、その他のリン酸化合物(P-2?P-10及びRP-1?RP-3)を調製した。
【0039】
・リン酸化合物(RP-4)の調製
反応容器にオレイルアルコール327部及びイオン交換水3gを仕込み、撹拌しながら60±5℃で五酸化二燐69部を1時間かけて投入した。80℃にて3時間熟成した。イオン交換水4gを添加し、100℃で2時間加水分解を行なった後、ジブチルエタノールアミン604部を50℃で滴下して中和を行い、リン酸化合物(RP-4)を調製した。リン酸化合物(RP-4)に過剰のKOHを加えてpHを12以上にした条件下で、^(31)P-NMRを用いてP核積分比率を算出したところ、化1で示されるリン酸エステルが0%、化2で示されるリン酸エステルが45%、化3で示されるリン酸エステルが55%であった。以上で調製した各リン酸化合物の内容を表1?表3にまとめて示した。
【0040】
【表1】

【0041】
【表2】

【0042】
【表3】

【0043】
試験区分2(合成繊維用処理剤の調製)
・実施例1(合成繊維用処理剤(PT-1)の調製)
平滑剤としてトリメチロールプロパントリオレアート(L-1)を40部、グリセリントリラウラート(L-2)を17部及びソルビタンモノオレアート(L-3)を5部、リン酸化合物として表1?表3に記載のリン酸化合物(P-1)を2部、ノニオン界面活性剤としてラウリルアルコール1モルに対してEO(エチレンオキサイド、以下同じ)5モルを付加したエーテルモノオール(S-1)を5部、硬化ひまし油1モルに対してEO8モルを付加したポリオキシアルキレン脂肪族多価エステル化合物(S-2)を15部及び硬化ひまし油1モルに対してEO20モルを付加したポリオキシアルキレン脂肪族多価エステル化合物(S-3)を15部、酸化防止剤として1,1,3-トリス(2-メチル-4-ハイドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン(AO-1)を1部の割合で均一混合して実施例1の合成繊維用処理剤(PT-1)を調製した。
【0044】
・実施例2?12及び比較例1?5(合成繊維用処理剤(PT-2)?(PT-12)及び(RT-1)?(RT-5)の調製)
実施例1の合成繊維用処理剤(PT-1)と同様にして、実施例2?12及び比較例1?5の合成繊維用処理剤(PT-2)?(PT-12)及び(RT-1)?(RT-5)を調製した。以上で調製した各例の合成繊維用処理剤の内容を、実施例1も含めて、表4にまとめて示した。
【0045】
【表4】

【0046】
表4において、
L-1:トリメチロールプロパントリオレアート
L-2:グリセリントリラウラート
L-3:ソルビタンモノオレアート
L-4:ジオレイルアジパート
L-5:イソステアリルステアラート
S-1:ラウリルアルコール1モルにEO5モルを付加したエーテルモノオール
S-2:硬化ひまし油1モルに対してEO8モルを付加したポリオキシアルキレン脂肪族多価エステル化合物
S-3:硬化ひまし油1モルに対してEO20モルを付加したポリオキシアルキレン脂肪族多価エステル化合物
AO-1:1,1,3-トリス(2-メチル-4-ハイドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン(ADEKA社製の商品名アデカスタブAO30)
AO-2:テトラキス[メチレン-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(ADEKA社製の商品名アデカスタブAO60)
【0047】
試験区分3(合成繊維への合成繊維用処理剤の付着及び評価)
・実施例13
試験区分2の実施例1で調製した合成繊維用処理剤(PT-1)をイオン交換水にて均一に希釈し、15%溶液とした。1100デシテックスで192フィラメント、固有粘度0.93の無給油のポリエチレンテレフタラートフィラメント糸条に、前記の15%溶液を、オイリングローラー給油法にて付着させた。
【0048】
・実施例14?16、18?23及び比較例6?9
実施例13と同様にして実施例2?4の合成繊維用処理剤(PT-2)?(PT-4)、実施例6?11の合成繊維用処理剤(PT-6)?(PT-11)及び比較例1?4の合成繊維用処理剤(RT-1)?(RT-4)を付着させた。
【0049】
・実施例17
試験区分2の実施例5で調製した合成繊維用処理剤(PT-5)を鉱物油にて均一に希釈し、70%溶液とした。1100デシテックスで192フィラメント、固有粘度0.93の無給油のポリエチレンテレフタラートフィラメント糸条に、前記の70%溶液を、計量ポンプを用いたガイド給油法にて付着させた。
【0050】
・実施例24及び比較例10
実施例17と同様にして、実施例12の合成繊維用処理剤(PT-12)及び比較例5の合成繊維用処理剤(RT-5)を付着させた。
【0051】
・合成繊維用処理剤の付着量の測定
JIS-L1073(合成繊維フィラメント糸試験方法)に準拠し、抽出溶剤としてノルマルヘキサン/エタノール=50/50(容量比)の混合溶剤を用いて、合成繊維に対する処理剤の付着量(%)を測定した。結果を表5にまとめて示した。
【0052】
・梨地クロムピン汚れ試験(表5中のピン汚れ試験)
各例で合成繊維用処理剤を付着させたケークから採取した試験糸を、初期張力1kg、糸速度100m/分で、表面温度240℃の梨地クロムピンに接触走行させ、梨地クロムピンに発生する12時間後のタールの量を肉眼で観察し、次の基準で評価した。結果を表5にまとめて示した。
【0053】
◎:汚れが認められない又は僅かに認められる
○:汚れが少し認められる
×:汚れが明らかに認められる
【0054】
・ふき取り試験
前記の梨地クロムピン汚れ試験で得た梨地クロムピン上に発生した汚れを、5%水酸化ナトリウムグリセリン溶液を染みこませたガーゼでふき取り、ふき取り性を、次の基準で評価した。結果を表5にまとめて示した。
【0055】
◎:10回未満のふき取りにより、汚れをふき取ることができる。
○:10回以上50回未満のふき取りにより、汚れをふき取ることができる。
×:50回以上のふき取りによっても、汚れをふき取ることができない。
【0056】
・張力変動試験
各例で合成繊維用処理剤を付着させたケークから採取した試験糸を、初期張力1kg、糸速度100m/分で、表面温度240℃の梨地クロムピンに接触させて走行させ、梨地クロムピン後の糸の張力値を、走行1時間後の張力値(F1)と走行12時間後の張力値(F12)で測定し、これらを用いて数2から求めた張力変動率を次の基準で評価した。結果を表5にまとめて示した。
【0057】
◎:張力値が安定しており、張力変動率が1%未満である。
○:張力値がやや不安定で、張力変動率が1%以上3%未満である。
×:張力値が不安定で、張力変動率が3%以上である。
【0058】
【数2】

【0059】
数2において、
F1:走行1時間後の張力値
F12:走行12時間後の張力値
【0060】
【表5】

(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平滑剤に下記のリン酸化合物Aと下記のリン酸化合物Bを配合して成ることを特徴とする合成繊維用処理剤。
リン酸化合物A:下記の化1で示されるリン酸エステル及び下記の化1で示されるリン酸エステルの有機アミン塩から選ばれる一つ又は二つ以上
【化1】

(化1において、
R^(1):炭素数8?24の脂肪族アルコールから水酸基を除いた残基又は炭素数8?24の脂肪族アルコールにエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドを合計で1?20モル付加したものから水酸基を除いた残基
R^(2):水素原子、炭素数8?24の脂肪族アルコールから水酸基を除いた残基又は炭素数8?24の脂肪族アルコールにエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドを合計で1?20モル付加したものから水酸基を除いた残基
n:2又は3の整数)
リン酸化合物B:下記の化2で示されるリン酸エステル、下記の化2で示されるリン酸エステルの有機アミン塩、下記の化3で示されるリン酸エステル及び下記の化3で示されるリン酸エステルの有機アミン塩から選ばれる一つ又は二つ以上。
【化2】

【化3】

(化2及び化3において、
R^(3),R^(4),R^(5):炭素数8?24の脂肪族アルコールから水酸基を除いた残基又は炭素数8?24の脂肪族アルコールにエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドを合計で1?20モル付加したものから水酸基を除いた残基)
【請求項2】
リン酸化合物Bが、化2で示されるリン酸エステル及び化2で示されるリン酸エステルの有機アミン塩から選ばれる一つ又は二つ以上と化3で示されるリン酸エステル及び化3で示されるリン酸エステルの有機アミン塩から選ばれる一つ又は二つ以上の混合物であり、且つ下記の数1から求められるリン酸化合物AのP核積分比率が10?99%となるようにした請求項1記載の合成繊維用処理剤。
【数1】

(数1において、
P化1:化1で示されるリン酸エステルのカリウム塩に帰属されるP核NMR積分値
P化2:化2で示されるリン酸エステルのカリウム塩に帰属されるP核NMR積分値
P化3:化3で示されるリン酸エステルのカリウム塩に帰属されるP核NMR積分値)
【請求項3】
化1中のR^(1)、化2中のR^(3),R^(4)及び化3中のR^(5)が、炭素数12?18の脂肪族アルコールから水酸基を除いた残基、炭素数12?18の脂肪族アルコールにエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドを合計で1?20モル付加したものから水酸基を除いた残基であり、化1中のR^(2)が、水素原子、炭素数12?18の脂肪族アルコールから水酸基を除いた残基、炭素数12?18の脂肪族アルコールにエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドを合計で1?20モル付加したものから水酸基を除いた残基である請求項1又は2記載の合成繊維用処理剤。
【請求項4】
数1から求められるリン酸化合物AのP核積分比率が25?75%となるようにした請求項3記載の合成繊維用処理剤。
【請求項5】
平滑剤が、多価アルコールと1価のカルボン酸とのエステル、1価のアルコールと多価カルボン酸とのエステル及び1価のアルコールと1価のカルボン酸とのエステルから選ばれる一つ又は二つ以上である請求項1?4のいずれか一つの項記載の合成繊維用処理剤。
【請求項6】
平滑剤を95?99.9質量%及びリン酸化合物Aとリン酸化合物Bを合計で0.1?5質量%(全合計100質量%)の割合で含有する請求項1?5のいずれか一つの項記載の合成繊維用処理剤。
【請求項7】
更にノニオン界面活性剤及び酸化防止剤を配合し、且つ平滑剤を20?90質量%、リン酸化合物Aとリン酸化合物Bを合計で0.1?5質量%、ノニオン界面活性剤を10?90質量%及び酸化防止剤を0.1?3質量%(全合計100質量%)の割合で含有する請求項1?5のいずれか一つの項記載の合成繊維用処理剤。
【請求項8】
産業資材合成繊維用のものである請求項1?7のいずれか一つの項記載の合成繊維用処理剤。
【請求項9】
請求項1?8のいずれか一つの項記載の合成繊維用処理剤を、熱処理工程に供する合成繊維フィラメント糸条に対し0.1?3質量%となるように付着させることを特徴とする合成繊維の処理方法。
【請求項10】
請求項9記載の合成繊維の処理方法により得られる合成繊維。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2018-11-07 
結審通知日 2018-11-09 
審決日 2018-11-21 
出願番号 特願2013-169769(P2013-169769)
審決分類 P 1 41・ 852- Y (D06M)
P 1 41・ 854- Y (D06M)
P 1 41・ 855- Y (D06M)
P 1 41・ 856- Y (D06M)
最終処分 成立  
前審関与審査官 家城 雅美  
特許庁審判長 門前 浩一
特許庁審判官 佐々木 正章
西藤 直人
登録日 2014-03-20 
登録番号 特許第5500745号(P5500745)
発明の名称 合成繊維用処理剤、合成繊維の処理方法及び合成繊維  
代理人 恩田 博宣  
代理人 恩田 博宣  
代理人 恩田 誠  
代理人 恩田 誠  
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