• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A47G
管理番号 1346948
審判番号 不服2018-13064  
総通号数 230 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-02-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-10-01 
確定日 2018-12-12 
事件の表示 特願2017-170885「仏壇、仏壇における写真台の移動方法、供養具及び供養具における写真台の移動方法」拒絶査定不服審判事件〔、請求項の数(7)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成29年9月6日の出願であって、同年11月15日付けの拒絶理由の通知に対し、平成30年1月18日に意見書が提出されるとともに手続補正がされ、同年3月30日付けの拒絶理由の通知に対し、同年6月5日に意見書が提出されたが、同年8月20日付けで拒絶査定がされ、これに対して同年10月1日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定(平成30年8月20日付け)の概要は次のとおりである。
本願請求項1-7に係る発明は、以下の引用文献1-3に記載された発明及び引用文献4-5に記載された周知技術に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2017-136330号公報
2.登録実用新案第3145201号公報
3.特開平9-420号公報
4.特開2005-312521号公報
5.実願昭48-42163号(実開昭49-144597号)のマイクロフィルム

第3 本願発明
本願の請求項1-7に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明7」という。)は、平成30年1月18日に手続補正された特許請求の範囲の請求項1-7に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
下台内に骨壷を収納し、前記下台の上に上台を載置し、
前記上台は、仏壇を備え、
写真台は、故人又はペットの写真が取り付けられたものであって、1個であり、
1個の前記写真台は、前記下台内に収納されると共に、前記骨壷の正面と前記骨壷の頂面の上方又は前記骨壷の側面に対向する部位に設けた収納スペースとの間を移動自在になるように設けられ、
1個の前記写真台を前記骨壷の正面に移動させ、正面視、前記写真台により前記骨壷が見えないように覆い、
1個の前記写真台を前記骨壷の頂面の上方又は前記骨壷の側面に対向する部位に設けた前記収納スペースに移動させて収納し、正面視、前記骨壷が見える
ことを特徴とする仏壇。
【請求項2】
収納スペースは、下台内にあって、骨壷の頂面の上方に位置し、
写真台の移動は、
前記写真台の両側に設けられた第1、第2の突起と、
前記下台の両側板に設けられた前記第1、第2の突起を案内する第1、第2の溝により、行われるものであり、
前記写真台を移動させ、前記写真台の両側に設けられた前記第1、第2の突起が前記下台の前方に位置すると、前記写真台が垂下し、正面視、前記写真台により前記骨壷が見えないように覆い、
垂下した前記写真台を持ち上げ、前記第1、第2の突起を前記下台の後方に移動させ、前記写真台を前記収納スペースに位置させ、正面視、前記骨壷が見える
ことを特徴とする請求項1記載の仏壇。
【請求項3】
下台内に骨壷を収納し、
前記下台の上に上台を載置し、
前記上台は、仏壇を備え、
写真台は、故人又はペットの写真が取り付けられたものであって、1個であり、
1個の前記写真台は、前記骨壷の正面と、前記骨壷の頂面の上方又は前記骨壷の側面に対向する部位に設けた収納スペースとの間を移動自在になるように設けられ、
1個の前記写真台を前記骨壷の正面に移動させ、正面視、1個の前記写真台により前記骨壷が見えないように覆い、
1個の前記写真台を前記骨壷の頂面の上方又は前記骨壷の側面に対向する部位に設けた収納スペースに移動させて収納した時、正面視、前記骨壷が見えるように1個の前記写真台を移動させる
ことを特徴とする仏壇における写真台の移動方法。
【請求項4】
本体内に骨壷を収納した供養具であって、
写真台は、故人又はペットの写真が取り付けられたものであって、1個であり、
1個の前記写真台は、前記本体内に収納されると共に、前記骨壷の正面と前記骨壷の頂面の上方又は前記骨壷の側面に対向する部位に設けた収納スペースとの間を移動自在になるように設けられ、
1個の前記写真台を前記骨壷の正面に移動させ、正面視、1個の前記写真台により前記骨壷が見えないように覆い、
1個の前記写真台を前記骨壷の頂面の上方又は前記骨壷の側面に対向する部位に設けた前記収納スペースに移動させて収納し、正面視、前記骨壷が見える
ことを特徴とする供養具。
【請求項5】
収納スペースは、本体内にあって、骨壷の頂面の上方に位置し、
写真台の移動は、
前記写真台の両側に設けられた第1、第2の突起と、
前記本体の両側板に設けられた前記第1、第2の突起を案内する第1、第2の溝により、行われるものであり、
前記写真台を移動させ、前記写真台の両側に設けられた前記第1、第2の突起が記本体の前方に位置すると、前記写真台が垂下し、正面視、前記写真台により前記骨壷が見えないように覆い、
垂下した前記写真台を持ち上げ、前記第1、第2の突起を前記本体の後方に位置させ、前記写真台を前記収納スペースに位置させ、正面視、前記骨壷が見える
ことを特徴とする請求項4記載の供養具。
【請求項6】
本体に骨壷を収納した供養具における写真台の移動方法であって、
写真台は、故人又はペットの写真が取り付けられたものであって、1個であり、1個の前記写真台は、前記本体に収納されると共に、前記骨壷の正面と前記骨壷の頂面の上方又は前記骨壷の側面に対向する部位に設けた収納スペースとの間を移動自在になるように設けられ、
1個の前記写真台は、前記骨壷の正面と、前記骨壷の頂面の上方又は前記骨壷の側面に対向する部位に設けた収納スペースを移動自在になるように設けられ、
1個の前記写真台を前記骨壷の正面に移動させ、正面視、前記写真台により前記骨壷が見えないように覆い、
1個の前記写真台を前記骨壷の頂面の上方又は前記骨壷の側面に対向する部位に設けた収納スペースに移動させて収納した時、正面視、前記骨壷が見えるように1個の前記写真台を移動させる
ことを特徴とする供養具における写真台の移動方法。
【請求項7】
本体に骨壷を収納した供養具における写真台の移動方法であって、
写真台は、故人又はペットの写真が取り付けられたものであって、
前記写真台は、前記本体に収納されると共に、前記骨壷の正面と前記骨壷の頂面の上方又は前記骨壷の側面に対向する部位に収納スペースを設け、前記写真台を前記骨壷の正面に移動させ、正面視、前記写真台により前記骨壷が見えないように覆い、
前記写真台を前記骨壷の頂面の上方又は前記骨壷の側面に対向する部位に設けた前記収納スペースに移動させて収納した時、正面視、前記骨壷が見えるように前記写真台を移動させる
ことを特徴とする供養具における写真台の移動方法。」

第4 引用文献の記載及び引用発明
1 引用文献1の記載
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審で付与した。)。

「【0001】
本発明は、遺骨および花を一体的に収容でき、仏壇や祭壇(特に後飾り祭壇)の代わりに使用できる供養箱に関する。」

「【0027】
本体ケース20の前面2には、左右に隣接した2つの開口8,9が形成されており、この開口8,9の奥にある本体ケース20の内部に、納骨部10および花収容部11が設けられている。納骨部10および花収容部11は、それぞれ、本体ケース20の各面2?7を形成する壁部(パネル)によって区画された空間であり、この実施形態では、縦長(上下方向に長い)の直方体空間となっている。また、納骨部10および花収容部11の開口端は、それぞれ、本発明の遺影取り付け部の一例としての遺影用パネル12およびカバー部材13によって覆われている。」

「【0029】
納骨部10には、遺骨を納めることができる。遺骨は、図2に示すように骨壺14に入った状態で納められてもよいし、骨袋(図示せず)に入った状態で納められてもよい。また、図2では、骨壺14は、単に納骨部10内に載置されているだけであるが、たとえば固定具等によって納骨部10内に固定されてもよい。
花収容部11に収容される花17としては、生花の他、特殊な液で水分を抜いたプリザーブドフラワーや造花であってもよい。図1?図3では、一例として薔薇のプリザーブドフラワーを収容した状態を示している。花収容部11内の花17をプリザーブドフラワーや造花としておけば、花17を長期間交換しなくて済むので、供養箱1の管理を容易にすることができる。また、スタイリッシュな花を収容しておけば、部屋のインテリアと調和し、供養箱1が持つデザイン性を一層引き立てることができる。
【0030】
遺影用パネル12は、たとえばプラスチック板、ガラス板等の板状部材からなり、遺影写真15を取り付け可能となっている。遺影写真15は、たとえば、遺影用パネル12の前面に貼り付けることによって取り付けられてもよい。また、遺影用パネル12として一対の板を準備すれば、この一対の板の間に挟み込んで取り付けてもよい。そして、この遺影用パネル12は、本体ケース20の上面4に形成されたスリット開口16を介して、本体ケース20に対して上下方向にスライド可能に設けられており、納骨部10を開閉する蓋を兼ねている。つまり、供養箱1の使用者は、遺影用パネル12を上方向に持ち上げてスライドさせることによって納骨部10を開けることができ、骨壺14を納めることができる。一方、遺影用パネル12を下方向にスライドさせることによって、納骨部10を閉じることができる。そのため、遺影取り付け部(図1?図3では遺影用パネル12)と納骨部10を開閉する蓋とを別々に設けなくて済むので、よりコンパクトな供養箱1とすることができる。また、この実施形態では、図1および図3に示すように、遺影用パネル12に取り付けられた遺影写真15によって、通常時(納骨部10が閉じられているとき)、外部から骨壺14が見えることを防止することができる。」

「【0045】
また、図16Aおよび図16Bの供養箱161のように、本体ケース20の前面パネル22は、蝶番45によって納骨部10および花収容部11を一括して開閉する扉であってもよい。この場合、遺影用パネル12およびカバー部材13は、前面パネル22に固定されていてもよい。
・・・」

「【0047】
また、前述の実施形態では、故人を供養する形態を説明したが、本発明は、むろん、ペット等の動物の供養に使用することもできる。その場合、遺影写真15としてペット等の動物が写った写真を使用してもよい。
その他、特許の請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。」

2 引用発明
引用文献1の段落【0045】に記載され、【図16】に図示された供養箱161について、引用文献1の他の記載も合わせて解すると、以下の事項を把握することができる。
引用文献1の段落【0027】、段落【0029】によると、供養箱161は、「本体ケース20内部に納骨部10を設け、前記納骨部10内に骨壺14を載置」するものといえる。
引用文献1の段落【0030】、段落【0045】によると、遺影写真15は遺影用パネル12の前面に貼り付けられ、この遺影用パネル12は前面パネル22に固定されるものであり、また、段落【0047】によると、遺影写真15は、故人又はペット等の動物が写ったものであることが示唆されている。さらに、段落【0045】及び図16によると蝶番45によって納骨部10および花収容部11を一括して開閉する前面パネル22は1個であるから、これらを勘案すると「前面パネル22は、故人又はペット等の動物が写った遺影写真15が貼り付けられた遺影用パネル12が固定されたものであって、1個」であるといえる。
さらに、引用文献1の段落【0030】によると、図1?図3の実施形態において、遺影用パネル12に取り付けられた遺影写真15によって、通常時(納骨部10が閉じられているとき)、外部から骨壺14が見えることを防止するものであることを勘案すると、段落【0045】に記載された供養箱161においても、「前面パネル22で納骨部10が閉じられているとき、前記前面パネル22により骨壺14が見えなくされている」といえる。

したがって、前記引用文献1の記載事項及び図面の図示内容を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「本体ケース20内部に納骨部10を設け、前記納骨部10内に骨壺14を載置し、
前面パネル22は、故人又はペット等の動物が写った遺影写真15が貼り付けられた遺影用パネル12が固定されたものであって、1個であり、
1個の前記前面パネル22で前記納骨部10が閉じられているとき、前記前面パネル22により前記骨壺14が見えなくされている
供養箱161。」

3 引用文献2の記載
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審で付与した。)。

「【0004】
しかしながら、従来の仏壇は、サイズや重量が大きいため容易に持ち運びすることができず好ましくない。また、仏壇は比較的にサイズが大きく、装飾や彫刻が大掛かりであるため前述のように高価である。さらに、一般の信徒が個人的に所有するには経済的負担が大きいという不都合がある。
【0005】
本考案は前記のような従来の不都合に着目してなされたものであり、その目的とするところは、信徒の誰でもが、必要に応じて何時でも何処でも礼拝することができるとともに、容易に持ち運んだり、個人的に所有したりすることができる仏壇を提供することを目的とする。」

「【0008】
また、下部箱内の表示板を取り出し、上部箱の天板裏面の表示板係止溝にその表示板の下端を保持させることで、この表示板を上部箱内に傾斜状態で支持することができ、信徒はこの表示板に表された仏陀の尊影および遺族の遺影に礼拝することができる。この礼拝後は、必要に応じ下部箱および上部箱を重ねるようにして閉じ、コンパクトな携帯の箱体にして持ち運ぶことができる。」

「【0019】
右側板14および左側板15の上部内面であって、等しい高さ位置には、角棒状の支持部材28、29が水平に取り付けられている。これらの支持部材28、29は表示板30の左右端部を摺動自在にガイドおよび収納可能にしている。これらの支持部材28、29の先端部は前記傾斜縁部Pの内側に位置している。図3は、表示板30が支持部材28、29によって支持されている状態を示す。
【0020】
表示板30は、写真を表示する四つの表示領域a、b、c、dが設けられ、これらのうち表示領域aは他の表示領域b、c、dに比べてサイズが最も広く、下部中央の表示領域bはこれの左右にある表示領域c、dに比べて広い。そして表示領域aには崇拝対象であるお釈迦様の涅槃像(尊影写真)が飾られ(祀られ)、表示領域b、c、dには菩薩や脇侍といった諸仏のほか、遺族の遺影などが飾られている。」

「【0029】
次に、下部箱11内の支持部材28、29に両端部が支持されている表示板30を手で摘んで外へ引き出し、その下端部を上部箱12の天板31内面に形成された表示板係止溝37内に挿し入れる。このとき表示板30を図4に示すように、前板34方向へ倒れるように傾斜させる。表示板係止溝37は表示板30の下端が自然には抜けないサイズおよび形状となっているため、前板34に干渉することなしに傾斜状態にて自立することとなる。
【0030】
この表示板30の上部箱12における傾斜角度は前方から前記尊影等の看取が容易な角度である。この表示板30表面の表示領域aに表示された仏陀の尊影ととともに、表示領域b?dに表示された菩薩や脇侍の絵像、遺族の遺影などを前方に見ながら手を合わせて、厳粛に礼拝することができる。また、礼拝が終了した場合には、表示板30を凹溝37から引き上げて分離し、下部箱11の前記支持部材28、29上に載せて天板17の下部に収納することができる。
【0031】
このように、天板17の下部に表示板30を図3および図4に示すように収納した後は、上部箱12をヒンジ部材36を中心に、前記矢印Aとは反対方向に回動操作する。すると、上部箱12の開口端面が下部箱11の開口端面に接合し(従って、傾斜縁R、Pが重なり)上部箱12の前板34の下端面34aと抽斗20の前板22の上面22aとが重なるように密接する。これにより、仏壇は図2に示すように六面が滑らかに連続する直方形態の収納箱となり、運搬や移送などが容易になる。」

4 引用文献3の記載
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審で付与した。)。

「【0002】
【従来の技術】仏壇は、図9に示す如く、前面に2つ折りの観音開きとなっている雨戸101を有し、内部に宮殿、本尊など仏具を収容している。雨戸101の内側には、観音開きとなっている障子102が装着されている。このため、住宅の仏間に仏壇設置のための床の間を設ける場合、両側の壁が近接していると、雨戸101や障子102を完全に開放することができない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このため、壁間の幅を一杯に有効利用することが不可能であり、幅の狭い小型の仏壇しか設置できない。この発明の目的は、両側の壁間の幅に近い幅の大型の仏壇を設置できる仏壇の提供にある。」

「【0012】上下開き雨戸11は、上雨戸2と下雨戸3とからなる。上雨戸2は、上端部の左右両側に仏壇1の左右内壁面と水平方向に摺動自在に係合する上摺動係合手段2Aにより仏壇1に取り付けられている。下雨戸3は、下端部の左右両側に仏壇1の左右内壁面と水平方向に摺動自在に係合する下摺動係合手段2Bにより仏壇1に取り付けられている。
【0013】この実施例では、上雨戸2は、矩形の戸板20と、その上端部の左右両側に水平方向の円柱状の上突起21、22を有する。下雨戸3は、矩形の戸板30と、その下端部の左右両側に水平方向の円柱状の下突起31、32を有する。上突起21、22および下突起31、32の先端部には、それぞれ滑車3Aが取り付けられている。」

「【0016】左右前柱12、13の上端部および下端部には、上横材42、43および下横材44、45が連結されている。上台14とすおい16との間の、左右前柱12、13の上端部の内側面および上横材42、43の内側面には、水平方向の上溝4A、4Bが形成されている。下段17と下台15との間の、左右前柱12、13の下端部の内側面および下横材44、45の内側面には、水平方向の下溝4C、4Dが形成されている。
【0017】上雨戸2は、上溝4A、4Bの前端で上突起21、22を支点として揺動自在に装着されるとともに、上台14とすおい16との隙間Aに出し入れ自在に差し込まれる。下雨戸3は、下溝4C、4Dの前端で下突起31、32を支点として揺動自在に装着されるとともに、下段17と下台15との隙間Dに出し入れ自在に差し込まれる。」

5 その他の文献について
また、原査定の拒絶の理由において、周知技術を示す文献として引用された引用文献4の段落【0012】には「図1に示すように、納骨用仏壇1は、台座7の上に配置された納骨部2および納骨部2の上側に設けられた仏壇部3を備えている。」と記載されている。さらに、同じく原査定の拒絶の理由において、周知技術を示す文献として引用された引用文献5の明細書の第2ページ第7行?第17行には「即ち、本考案は前面が開口1され正面巾2が一定で両側面3.3が垂面となった縦長函4の内部に納骨所要間隔5.5・・のある数段の納骨用棚6.6・・と該棚の最上段上部に引出し7と板引出し8が段設され前面開口部が錠9を有する1枚分離蓋で閉蓋されて成る納骨壇11上に、該納骨檀の正面巾2と同じ巾12で両側面3’.3’が垂面となり、内部に飾付段16があって奥行を小さくした正面観音扉13.13の仏壇14が着脱自在に重積されて飾段15が形成された屋内設置用納骨仏檀を要旨としている。」と記載されている。

第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
以下、本願発明1と引用発明とを対比する。
引用発明の供養箱161は、骨壺14を収納する機能を備えているものであるから、引用発明の「本体ケース20内部に納骨部10を設け、前記納骨部10内に骨壺14を載置し」た供養箱161と、本願発明1の「下台内に骨壷を収納し、前記下台の上に上台を載置し、前記上台は、仏壇を備え」た仏壇とを対比すると、「箱体内に骨壺を収納する骨壺収納体」である点において共通する。
引用発明の「故人又はペット等の動物が写った遺影写真15」は、本願発明1の「故人又はペットの写真」に相当し、引用発明の「前面パネル22」は、遺影写真15が遺影用パネル12を介して取り付けられるものであるから、本願発明1の「写真台」に相当する。そうすると、引用発明の「前面パネル22は、故人又はペット等の動物が写った遺影写真15が貼り付けられた遺影用パネル12が固定されたものであって」という事項は、本願発明1の「写真台は、故人又はペットの写真が取り付けられたものであって」に相当する。
引用発明の「前面パネル22」は、納骨部10を閉じているとき、骨壺14の正面に移動しており、正面視で骨壺14を見えなくしており、骨壺14を覆っているといえるから、引用発明の「前記前面パネル22で前記納骨部10が閉じられているとき、前記前面パネル22により前記骨壺14が見えなくされている」という事項は、本願発明1の「前記写真台を前記骨壷の正面に移動させ、正面視、前記写真台により前記骨壷が見えないように覆い」という事項に相当する。

したがって、本願発明1と引用発明とは、
「箱体内に骨壺を収納し、
写真台は、故人又はペットの写真が取り付けられたものであって、1個であり、
1個の前記写真台を前記骨壷の正面に移動させ、正面視、前記写真台により前記骨壷が見えないように覆う
骨壺収納体。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1]
骨壺収納体の全体構成について、本願発明1においては「下台内に骨壷を収納し、前記下台の上に上台を載置し、前記上台は、仏壇を備え」た「仏壇」であるのに対し、引用発明においては「本体ケース20内部に納骨部10を設け、前記納骨部10内に骨壺14を載置した供養箱161」である点。

[相違点2]
写真台について、本願発明1においては「下台内に収納されると共に、前記骨壷の正面と前記骨壷の頂面の上方又は前記骨壷の側面に対向する部位に設けた収納スペースとの間を移動自在になるように設けられ」ており、「前記写真台を前記骨壷の頂面の上方又は前記骨壷の側面に対向する部位に設けた前記収納スペースに移動させて収納し、正面視、前記骨壷が見える」ようにしたものであるのに対し、引用発明においてはこのようなものであるとはいえない点。

(2)判断
事案に鑑みて、前記相違点2について、先に検討する。
引用文献2の段落【0019】、【0020】、【0029】、【0030】の記載を参酌すると、引用文献2には、表示領域b、c、dに遺族の遺影が飾られた表示板30を下部箱11の支持部材28、29上に載せて天板17の下部に収納することができるようにし、表示板30を手で摘まんで外へ引き出し、上部箱12の天板31内面に形成された表示板係止溝37内に挿し入れることにより遺族の遺影を前方に見ながら礼拝をすることができるようにした仏壇が記載されている。
しかしながら、当該引用文献2に記載された事項は、骨壺についての開示がないから、表示板30が骨壷の正面に移動するものではなく、表示板30を下部箱11の天板17の下部に収納したとしても骨壺が見えるものではない。また、引用文献2の段落【0031】によれば、引用文献2に記載された事項において、表示板30を下部箱11の天板17の下部に収納するのは、表示板30を収納した後に下部箱11と上部箱12とを重ねるように閉じて、運搬や移送を容易にするためであると解されるから、引用文献2に記載された事項は、そもそも表示板30を下部箱11の天板17の下部に収納した状態で、仏壇として使用することは想定していないものである。
すると、引用文献2には、本願発明1の前記相違点2に係る発明特定事項である「写真台は、下台内に収納されると共に、前記骨壷の正面と前記骨壷の頂面の上方又は前記骨壷の側面に対向する部位に設けた収納スペースとの間を移動自在になるように設けられ」ており、「前記写真台を前記骨壷の頂面の上方又は前記骨壷の側面に対向する部位に設けた前記収納スペースに移動させて収納し、正面視、前記骨壷が見える」ようにする点は記載されていない。

次に、引用文献3の段落【0012】、【0017】の記載を参酌すると、引用文献3には、上雨戸2を上台14とすおい16との隙間Aに出し入れ自在に差し込み、下雨戸3を下段17と下台15との隙間Dに出し入れ自在に差し込むことができる仏壇1が記載されている。
しかしながら、当該引用文献3に記載された上雨戸2又は下雨戸3は写真が取り付けられたものではない。また、上雨戸2又は下雨戸3は、骨壷の正面に移動するものではないから、上雨戸2又は下雨戸3を隙間A又は隙間Dに収納したとしても骨壺が見えるものではない。
すると、引用文献3には、本願発明1の前記相違点2に係る発明特定事項である「写真台は、下台内に収納されると共に、前記骨壷の正面と前記骨壷の頂面の上方又は前記骨壷の側面に対向する部位に設けた収納スペースとの間を移動自在になるように設けられ」ており、「前記写真台を前記骨壷の頂面の上方又は前記骨壷の側面に対向する部位に設けた前記収納スペースに移動させて収納し、正面視、前記骨壷が見える」ようにする点は記載されていない。

さらに、周知技術を示すために引用された引用文献4及び引用文献5にも、本願発明1の前記相違点2に係る発明特定事項である「写真台は、下台内に収納されると共に、前記骨壷の正面と前記骨壷の頂面の上方又は前記骨壷の側面に対向する部位に設けた収納スペースとの間を移動自在になるように設けられ」ており、「前記写真台を前記骨壷の頂面の上方又は前記骨壷の側面に対向する部位に設けた前記収納スペースに移動させて収納し、正面視、前記骨壷が見える」ようにする点が記載されていないことは明らかである。

そして、本願発明1は、「写真台」、「骨壺」及び写真台の「収納スペース」を備えることを前提として、前記相違点2に係る発明特定事項を一体的に備えることにより、「下台内に収納した写真を骨壷の正面に移動させ、正面視、写真により前記骨壷が見えないように覆い、また、写真を骨壷の頂面の上方又は前記骨壷の側面に対向する部位に設けた収納スペースに移動させ、正面視、骨壷が見えるようにして、使用者の好みに対応することができる。」(段落【0011】)という効果を奏するものであって、写真台を選択的に下台内の収納スペースに移動させて、写真台に取り付けられた写真を見せるか、骨壺を見せるかを選択可能にするという仏壇等の供養具特有の技術的思想を備えるものである。
それぞれ、引用文献2には、遺影が飾られた表示板30を下部箱11の天板17の下部に収納する点が記載され、引用文献3には、上雨戸2又は下雨戸3を隙間A又は隙間Dに出し入れ自在に収納する点が記載されているとしても、本願発明1の前記仏壇等の供養具特有の技術的思想については、いずれの引用文献にも開示や示唆がされていないから、引用発明に引用文献2に記載された事項及び引用文献3に記載された事項を適用し、本願発明1の前記相違点2に係る発明特定事項を容易に想到し得たということはできない。
ここで、原査定(平成30年8月20日付け)において、「そして、引用文献2に記載された遺影写真を収納するという技術的思想に触れた当業者が、引用文献1に記載の写真を取り付けた前面パネルに、引用文献3に記載された扉の収納構造を適用することは、格別困難とは認められない。」との判断が示されているが、引用文献2に記載された事項は、前述したように、そもそも表示板30を下部箱11の天板17の下部に収納した状態で、仏壇として使用することは想定していないものであり、運搬や移送を行うために下部箱11と上部箱12とを重ねることができるという、引用文献2に記載された事項、特有の構成を備えることを前提として、運搬や移送のために、表示板30を下部箱11の天板17の下部に収納するものである。
そうすると、引用文献2に記載された事項に当業者が触れたとしても、前記前提が異なる引用発明において、遺影用パネル12が固定された前面パネル22を収納しようとする起因ないし契機とはなり得ないものである。

したがって、本願発明1は、相違点1を検討するまでもなく、当業者であっても引用発明、引用文献2に記載された事項、引用文献3に記載された事項及び引用文献4,5に示された周知技術に基づいて、容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2 本願発明2について
請求項2は請求項1を引用するものであり、本願発明2も、本願発明1の前記相違点2に係る発明特定事項である「写真台は、下台内に収納されると共に、前記骨壷の正面と前記骨壷の頂面の上方又は前記骨壷の側面に対向する部位に設けた収納スペースとの間を移動自在になるように設けられ」ており、「前記写真台を前記骨壷の頂面の上方又は前記骨壷の側面に対向する部位に設けた前記収納スペースに移動させて収納し、正面視、前記骨壷が見える」という事項を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、本願発明2は、当業者であっても、引用発明、引用文献2に記載された事項、引用文献3に記載された事項及び引用文献4,5に示された周知技術に基づいて、容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

3 本願発明3について
本願発明3と引用発明とを対比すると、少なくとも以下の点において相違する。

写真台について、本願発明3においては「骨壷の正面と、前記骨壷の頂面の上方又は前記骨壷の側面に対向する部位に設けた収納スペースとの間を移動自在になるように設けられ」ており、「前記写真台を前記骨壷の頂面の上方又は前記骨壷の側面に対向する部位に設けた収納スペースに移動させて収納した時、正面視、前記骨壷が見えるように」、「前記写真台を移動させる」ものであるのに対し、引用発明においてはこのようなものであるとはいえない点。

当該相違点は、本願発明1の前記相違点2と実質的に変わらないものであるから、本願発明1と同じ理由により、本願発明3は、当業者であっても、引用発明、引用文献2に記載された事項、引用文献3に記載された事項及び引用文献4,5に示された周知技術に基づいて、容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

4 本願発明4、本願発明5について
本願発明4と引用発明とを対比すると、少なくとも以下の点において相違する。

写真台について、本願発明4においては「本体内に収納されると共に、前記骨壷の正面と前記骨壷の頂面の上方又は前記骨壷の側面に対向する部位に設けた収納スペースとの間を移動自在になるように設けられ」ており、「前記写真台を前記骨壷の頂面の上方又は前記骨壷の側面に対向する部位に設けた前記収納スペースに移動させて収納し、正面視、前記骨壷が見える」ようにしたものであるのに対し、引用発明においてはこのようなものであるとはいえない点。

当該相違点は、本願発明1の前記相違点2と実質的に変わらないものであるから、本願発明1と同じ理由により、本願発明4は、当業者であっても、引用発明、引用文献2に記載された事項、引用文献3に記載された事項及び引用文献4,5に示された周知技術に基づいて、容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

請求項5は請求項4を引用するものであるから、本願発明5についても同様である。

5 本願発明6について
本願発明6と引用発明とを対比すると、少なくとも以下の点において相違する。

写真台について、本願発明6においては「本体に収納されると共に、前記骨壷の正面と前記骨壷の頂面の上方又は前記骨壷の側面に対向する部位に設けた収納スペースとの間を移動自在になるように設けられ」ており、「前記写真台を前記骨壷の頂面の上方又は前記骨壷の側面に対向する部位に設けた収納スペースに移動させて収納した時、正面視、前記骨壷が見えるように」、「前記写真台を移動させる」ものであるのに対し、引用発明においてはこのようなものであるとはいえない点。

当該相違点は、本願発明1の前記相違点2と実質的に変わらないものであるから、本願発明1と同じ理由により、本願発明6は、当業者であっても、引用発明、引用文献2に記載された事項、引用文献3に記載された事項及び引用文献4,5に示された周知技術に基づいて、容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

6 本願発明7について
本願発明7と引用発明とを対比すると、少なくとも以下の点において相違する。

写真台について、本願発明7においては「本体に収納されると共に、前記骨壷の正面と前記骨壷の頂面の上方又は前記骨壷の側面に対向する部位に収納スペースを設け」ており、「前記写真台を前記骨壷の頂面の上方又は前記骨壷の側面に対向する部位に設けた前記収納スペースに移動させて収納した時、正面視、前記骨壷が見えるように前記写真台を移動させる」ものであるのに対し、引用発明においてはこのようなものであるとはいえない点。

当該相違点は、本願発明1の前記相違点2と実質的に変わらないものであるから、本願発明1と同じ理由により、本願発明7は、当業者であっても、引用発明、引用文献2に記載された事項、引用文献3に記載された事項及び引用文献4,5に示された周知技術に基づいて、容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明1-7(請求項1-7に係る発明)は、当業者が引用発明、引用文献2に記載された事項、引用文献3に記載された事項及び引用文献4,5に示された周知技術に基づいて、容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2018-11-19 
出願番号 特願2017-170885(P2017-170885)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (A47G)
最終処分 成立  
前審関与審査官 大光 太朗横山 幸弘  
特許庁審判長 佐々木 芳枝
特許庁審判官 柿崎 拓
藤井 昇
登録日 2019-01-18 
登録番号 特許第6465939号(P6465939)
発明の名称 仏壇、仏壇における写真台の移動方法、供養具及び供養具における写真台の移動方法  
代理人 入江 一郎  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ