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審決分類 審判 査定不服 特39条先願 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1346989
審判番号 不服2017-16362  
総通号数 230 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-02-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-11-02 
確定日 2018-12-13 
事件の表示 特願2016- 92780号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成29年11月 9日出願公開、特開2017-200521号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯・本願発明
(1)手続の経緯
本願は、平成28年5月2日に出願された特願2016-92780号であり、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。
平成29年 2月 2日 :手続補正書の提出
平成29年 7月11日付け:拒絶理由通知
平成29年 9月15日 :意見書、手続補正書(以下、該手続補正書による手続補正を「本件補正」という。)の提出
平成29年10月 5日付け:拒絶査定
平成29年11月 2日 :審判請求書の提出
平成30年 6月27日付け:拒絶理由通知(以下、通知された拒絶の理由を「当審拒絶理由」という。)
平成30年 8月27日 :意見書(以下単に「意見書」という。)の提出

(2)本願発明
本願の請求項1に係る発明は、本件補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1に記載の事項により特定されるものであるところ、請求項1に係る発明は、その特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次のものであると認める。
「A 所定位置に配置された検出センサ部と、
B 前記検出センサ部が第1の状態のときは第1の電圧とする一方、前記検出センサ部が第2の状態のときは前記第1の電圧よりも低い電圧である第2の電圧とする電圧出力部と、
C 前記電圧出力部からの前記第1の電圧または前記第2の電圧に対応して検出信号の出力のオンオフを切り換える検知回路部と、を備え、
D 前記検出センサ部と前記電圧出力部とがコネクタ部材を介して電気的に接続され、
E 前記コネクタ部材に起因する前記第2の電圧よりも高く前記第1の電圧よりも低い所定の電圧が印加されても、前記検知回路部に対する前記所定の電圧による作用を回避する電圧かさ上げ部が備えられ、
F 1つの前記検知回路部に、コネクタ部材を介して電気的に接続された前記検出センサ部と前記電圧出力部とが、複数電気的に接続されており、
C-1 前記検知回路部は、
前記検出センサ部が前記検知回路部に対して断線した場合には、前記第1の電圧とされて前記検出信号の出力をオンし、
G 前記検出センサ部は、遊技機の異常を検出するための異常検出センサであることを特徴とする遊技機。」(以下「本願発明」という。なお、記号AないしGは、分説するため合議体が付した。)

2 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由は、次のとおりのものである。
(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用例に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

・請求項1
・引用文献等
引用例1.特開2012-95835号公報
引用例2.特開2001-129207号公報
引用例3.特開2005-175749号公報
引用例4.特開昭56-206444号公報
(審決注:引用例4は「特開昭58-206444号公報」の誤記であり、審判請求人も誤記であることを踏まえて、引用例4について、意見書において主張している。なお、下線は合議体が付した。以下同様。)

引用例1に記載された発明において、コネクタに起因する第2の電圧よりも高く第1の電圧よりも低い所定の電圧が印加されても、スイッチングトランジスタQ(検知回路部)に対する前記所定の電圧による作用を回避する電圧かさ上げ部を備えるようになすことは当業者が周知技術(例.引用例2ないし4)に基づいて適宜なし得たことである。

3 引用例の記載及び引用発明
(1)引用例1の記載
当審拒絶理由で引用例1として引用され、本願の出願前に、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2012-95835号公報(平成24年5月24日公開)(以下同じく「引用例1」という。)には、次の事項が図とともに記載されている。
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、弾球遊技機やスロットマシンなど、遊技動作に起因する抽選処理によって大当たり状態を発生させる遊技機に関し、特に、違法遊技を有効に排除でき、機種変更も容易な遊技機に関する。」
イ 「【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、遊技盤のデザインは、遊技機毎に変更されるので、磁気センサの配置個数や配置位置を一定化させることはできない。そのため、磁気センサの個数の変更に対応して、その都度、制御基板の回路構成を変更する必要が生じるが、かかる機種変更時に必要最小限の回路変更だけで対応できる構成が望まれる。また、磁気センサに代えて、電波センサを配置する場合でも、その配置位置や配置個数の変更に容易に対応できる構成が望まれる。また、これらセンサの断線を直ちに検出できる簡易な構成も望まれる。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、違法遊技を効果的に排除することができ、また、遊技機の機種変更にも最小限の回路変更で対処できる遊技機を提供することを目的とする。」
ウ 「【図面の簡単な説明】
【0014】
・・・略・・・
【図4】遊技盤中継基板の回路構成を示すブロック図である。
・・・略・・・
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施態様について詳細に説明する。図1は、本実施態様のパチンコ機GMを示す斜視図である。このパチンコ機GMは、島構造体に着脱可能に装着される矩形枠状の木製外枠1と、外枠1に固着されたヒンジ2を介して開閉可能に枢着される前枠3とで構成されている。この前枠3には、遊技盤5が、裏側からではなく表側から着脱自在に装着され、その前側には、ガラス扉6と前面板7とが夫々開閉自在に枢着されている。
・・・略・・・
【0043】
図4は、遊技盤中継基板29の部分を詳細に図示した回路図である。図示の通り、本実施形態の遊技盤中継基板29には、開閉爪15a及び開閉板16aに対応する2つのソレノイドL1,L2と、各種の入賞口15?17及びゲート18に対応する合計7個の検出スイッチSW1?SW7と、が接続されている。なお、ソレノイドL1,L2は、主制御基板21のドライバで駆動され、検出スイッチSW1?SW7の検出出力は、主制御基板21のバッファに伝送される。
【0044】
また、本実施例では、図柄始動口15や大入賞口16に対応して、複数個の磁気センサSE1?SEnのセンサユニットが遊技盤の適所に配置されている。そして、磁気センサSE1?SEnは、コネクタCo1?Conを通して、遊技盤中継基板29に接続されている。ここで、磁気センサSE1?SEnは、正常時にはON動作し、違法磁気を検出するとOFF動作する出力スイッチQSが設けられている。
【0045】
一方、遊技盤中継基板29には、磁気センサSE1?SEnに対応して、n個のスイッチングトランジスタQs1?Qsnが配置され、各トランジスタQs1?Qsnのベース端子には磁気センサSE1?SEnの出力が供給されている。各トランジスタQs1?Qsnのベース端子は、バイアス抵抗(ベース抵抗)Rs1?Rsnを通して、直流電圧5Vを受けており、各エミッタ端子はグランドに接続されている。また、全てのコレクタ端子は、オープンコレクタ状態で、単一のプルアップ抵抗Rpに接続され、プルアップ抵抗Rpには直流電圧5Vが供給されている。
【0046】
上記の構成を有する遊技盤中継基板29は、コネクタCN2を通して、主制御基板21のコネクタCN3に接続されている。そして、2つのコネクタCN2,CN3は3本の配線ケーブルで接続されており、3本の配線ケーブルは、直流電圧5Vの電源ラインVccと、グランドラインGNDと、各トランジスタQs1?Qsnのコレクタ端子に接続された信号ラインSGとを構成している。
【0047】
コネクタCN3の信号ラインSGは、スイッチングトランジスタQのベース端子に接続され、そのエミッタ端子はグランドに接続されている。また、トランジスタQのコレクタ端子は、負荷抵抗RLを通して、直流電圧5Vに接続されて、異常検出信号Voを出力している。
【0048】
本実施例の遊技盤中継基板29と主制御基板21は、上記の通りに構成されているので、次の通りに動作する。先ず、正常時には、全ての磁気センサSE1?SEnがON状態であるので、全てのトランジスタQs1?QsnはOFF状態となる。そのため、信号ラインSGはHレベルとなり、主制御基板21のトランジスタQはON状態となり、異常検出電圧VoはLレベル(正常レベル)となる。
【0049】
一方、磁気センサSE1?SEnの何れか1個以上が異常な磁気を検出すると、該当する磁気センサSEiがOFF動作することで、対応するトランジスタQsiがOFF状態からON状態に遷移し、これに対応して信号ラインSGがLレベルとなる。そのため、主制御基板21のトランジスタQはON状態からOFF状態に遷移して、異常検出電圧VoがHレベル(異常検出レベル)となる。したがって、このことを検知した主制御基板21のCPUは、適宜な異常報知動作を実行することができる。
【0050】
ところで、本実施例の構成によれば、遊技機の設計変更などによって入賞口の数や配置位置が変更されても、遊技盤中継基板29だけを交換すれば足り、主制御基板21の回路変更が不要となる。すなわち、入賞口の個数や磁気センサの個数に対応する回路構成を有する遊技盤中継基板29を用意するだけで、遊技機の設計変更に対応することができる。
【0051】
また、本実施例の構成によれば、磁気センサSE1?SEnの断線や、コネクタCN2?CN3間の断線を検出することもできる。例えば、違法遊技者が磁気センサSEiを外したような場合には、対応するトランジスタQsiがON状態となるので、上記した異常検知時と同様の動作によって、異常検出電圧VoがHレベル(異常検出レベル)となる。また、コネクタCN2?CN3間の断線時にも、トランジスタQがOFF動作することで、異常検出電圧VoがHレベル(異常検出レベル)となる。」
エ 「【図4】


オ 【0049】(上記ウ)の「磁気センサSE1?SEnの何れか1個以上が異常な磁気を検出すると、該当する磁気センサSEiがOFF動作することで、対応するトランジスタQsiがOFF状態からON状態に遷移し、これに対応して信号ラインSGがLレベルとなる。そのため、主制御基板21のトランジスタQはON状態からOFF状態に遷移して・・・」との記載から、「トランジスタQsiをOFF状態からON状態に遷移させる手段」を備えることは明らかである。

(2)引用発明
上記(1)からみて、引用例1には、実施の態様として、次の発明が記載されているものと認められる(なお、引用箇所の段落番号等を併記した。)。
「a 正常時にはON動作し、違法磁気を検出するとOFF動作する出力スイッチQSが設けられている磁気センサSE1?SEn(【0044】)と、
b 遊技盤中継基板29には、前記磁気センサSE1?SEnに対応してn個のトランジスタQs1?Qsnが配置され、全ての磁気センサSE1?SEnがON状態のとき、全てのトランジスタQs1?QsnはOFF状態となり、その状態において、磁気センサSE1?SEnの何れか1個以上が異常な磁気を検出すると、該当する磁気センサSEiがOFF動作することで、対応するトランジスタQsiをOFF状態からON状態に遷移させる手段(【0045】、【0048】、【0049】、上記(1)オ)と、
c これに対応して、ON状態からOFF状態に遷移して、異常検出電圧VoがHレベル(異常検出レベル)となり異常検出信号Voを出力する、主制御基板21のスイッチングトランジスタQと(【0047】、【0049】)、を備え、
d 磁気センサSE1?SEnは、コネクタCo1?Conを通して、遊技盤中継基板29に接続され(【0044】)、
f 遊技盤中継基板29は、コネクタCN2を通して、主制御基板21のコネクタCN3に接続され(【0046】)、
c-1 磁気センサSE1?SEnの断線時に、対応するトランジスタQsiがON状態となり、異常検出電圧VoがHレベル(異常検出レベル)となる(【0051】)、
g 前記磁気センサSE1?SEnは異常な磁気を検出する(【0049】)、遊技機(【0001】)。」(以下「引用発明」という。)

4 周知の事項
(1)当審拒絶理由で引用例2として引用され、本願の出願前に、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2001-129207号公報(平成13年5月15日公開)(以下「周知例1」という。)には、次の事項が図とともに記載されている。
ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数の各種センサからの信号を検出し、検出結果に応じた出力信号を制御部へ伝送するパチンコ遊技機の信号制御装置にかかり、特に、複数の各種センサスイッチの入力信号検出レベルを所望の値に設定できるパチンコ遊技機の入力インターフェース回路に関する。」
イ 「【0002】
【従来の技術】近年、パチンコ等の遊技機においては、多種のセンサスイッチを複数個備えたものが製造されている。特にパチンコ遊技機では、パチンコ球の動きを検出するために、複数のセンサスイッチ(例えば近接スイッチ、フォトスイッチ等)が用いられている。また、これらのセンサスイッチからの信号を検出し、CPU等の制御部に伝送するために入力インターフェース回路が用いられている。従来、このような入力インターフェース回路は、スイッチの検出信号に対しての電圧変換回路にツェナーダイオード、トランジスタ等を使用していた。
【0003】図14には、従来の、パチンコ遊技機の入力インターフェース回路を適用した信号検出装置900が示されている。前記信号検出装置900には、2種類のスイッチが接続されている。前記信号検出装置900はセンサスイッチ902、903からの入力信号に応じ、入力インターフェース回路901を介して制御部908に出力信号を伝送している。また、前記入力インターフェース回路901は、検出及び電圧変換回路904と、その後段に接続された出力回路906とから構成されている。
【0004】前記センサスイッチ902は3つの端子を有し、第1の端子は接地され、第3の端子は抵抗R19を介して電源V_(DD1)に接続されている。また、第2の端子は、前記検出及び電圧変換回路904のツェナーダイオードZD1のカソード側に接続されている。さらに、前記センサスイッチ902の第2の端子には抵抗R_(11)を介して電源V_(DD1)も接続されている。同様に、前記センサスイッチ903も2つの端子を有し、第1の端子は接地され、第2の端子は、前記検出及び電圧変換回路904のツェナーダイオードZD2のカソード側に接続されている。さらに、前記センサスイッチ903の第2の端子には抵抗R_(12)を介して電源V_(DD2)も接続されている。
【0005】前記ツェナーダイオードZD1のアノード側はトランジスタTr_(1)のベースに抵抗R_(15)を介して接続され、トランジスタTr_(1)のベースとエミッタとは抵抗R_(16)を介して接続されている。また、前記トランジスタTr_(1)はエミッタ接地され、コレクタは出力回路906への出力端となっている。さらに、トランジスタTr_(1)のコレクタには、抵抗R_(13)を介して電源V_(CC1)が接続されている。同様に、前記ツェナーダイオードZD2のアノード側はトランジスタTr_(2)のベースに抵抗R_(17)を介して接続され、トランジスタTr_(2)のベースとエミッタとは抵抗R_(18)を介して接続されている。また、前記トランジスタTr_(2)はエミッタ接地され、コレクタは出力回路906への出力端となっている。さらに、トランジスタTr_(2)のコレクタには、抵抗R_(14)を介して電源V_(CC2)が接続されている。
【0006】ここで、例えば、センサスイッチ902がフォトスイッチである場合については、センサスイッチ902の出力がOFFの状態では、電源V_(DD1)から抵抗R_(11)を介してトランジスタTr_(1)のベース?エミッタ間に電流が流れて、前記トランジスタTr_(1)はオンとなる。これにより、電源V_(CC1)から抵抗R_(13)を介してトランジスタTr_(1)のコレクタ?エミッタ間に電流が流れるため、検出及び電圧変換回路904の出力端はローレベル信号(以下、Lレベル信号という)を有する状態となる。また、センサスイッチ902の出力がONの状態では、電源V_(DD1)から抵抗R_(11)を介してセンサスイッチ902へ電流が流れ、センサスイッチ902の第1の端子でアースされる。このため、トランジスタTr_(1)のベースには電流が流れず、トランジスタTr_(1)はオフとなる。これにより、トランジスタTr_(1)のコレクタ?エミッタ間に電流は流れず、検出及び電圧変換回路904の出力端には、電源V_(CC1)から抵抗R_(13)を介して電圧が供給されるため、ハイレベル信号(以下、Hレベル信号という)を有する状態となる。
【0007】さらに、例えば、センサスイッチ903が2線式の近接スイッチである場合については、非検出状態では出力電圧(残留電圧)が存在するが、この電圧がツェナーダイオードZD2のツェナー電圧より低く設定されている為、ツェナーダイオードZD2はOFFの状態であり、従って、トランジスタTr_(2)もOFFの状態となり、検出及び電圧変換回路904の出力端はHレベル信号を有する状態となる。また、センサスイッチ903が検出状態においては、出力電圧(残留電圧)がツェナーダイオードZD2のツェナー電圧より高くなる為、ツェナーダイオードZD2はONの状態となり、従って、トランジスタTr_(2)もONの状態となり、検出及び電圧変換回路904の出力端はLレベル信号を有する状態となる。
【0008】前記検出及び電圧変換回路904の出力端は、信号線910A,910Bを介して、出力回路906に接続され、さらに前記出力回路906の出力端は、信号線OUT1-1、OUT1-2を介して、制御部908に接続されている。
【0009】ここで、前記検出及び電圧変換回路904から出力される信号は、3ステートバッファ(以下、3SBという)906A,906Bで構成された出力回路906を介して、制御部908に伝送される。
【0010】ところで、上記したパチンコ遊技機の入力インターフェース回路901では、ツェナーダイオードとトランジスタの組み合わせによって、センサスイッチからの入力信号レベルが変換されている。ここで、センサスイッチからの入力信号レベルを変換する必要性は、スイッチの動作電圧(主に12V)と回路に用いる電子部品の動作電圧(5V)が異なることに起因する。
【0011】また、このような回路は、個別電子部品をプリント基板上に配置してはんだ付けして構成されていた。」
ウ 「【図14】



(2)当審拒絶理由で引用例3として引用され、本願の出願前に、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2005-175749号公報(平成17年6月30日公開)(以下「周知例2」という。)には、次の事項が図とともに記載されている。
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、コモンが共通な2点以上のデジタル信号を入力する多点デジタル入力回路および2重化された多点デジタル入力回路に関し、2重化したときにコモンの接触状態が不完全であっても誤動作することがない多点デジタル入力回路および2重化された多点デジタル入力回路に関するものである。」
イ 「【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、このような2重化された多点デジタル入力回路では、コモンの接続が不完全であると、本来オフであるべきフォトカプラがオンになってしまうという課題があった。このことを図6を用いて説明する。
【0011】
図6は、待機側モジュール6のコモン端子COM6が接続不良になっており、接続されていない状態を表したものである。なお、図4と同じ要素には同一符号を付し、説明を省略する。この場合、一点鎖線83の閉回路が形成され、信号源7から異常電流Iillが経路83に流れる。
【0012】
そのため、本来オフであるべきデジタル入力部52のフォトカプラはオンになってしまう。特に、図5に示すようにコモン端子が端に配置されている端子構成では、図5のコネクタ921のように斜めに挿入されるとコモン端子が接触不良になる確率が高くなる。
【0013】
この異常電流Iillは電流Ionによって内部のフォトカプラがオンになっているデジタル入力部の入力端子から流入する。そのため、オンになっているデジタル入力部が複数個あると、入力電流を制限する抵抗R1が並列に接続されてその合成抵抗が低くなる。そのため、異常電流Iillの値が大きくなって、本来オフであるべきデジタル入力部にかかる電圧が過大になり、異常が発生しやすくなるという課題もあった。
【0014】
従って本発明が解決しようとする課題は、コネクタが斜めに挿入されてコモン端子の接触状態が不良になっても、異常電流が流れて本来オフであるべきフォトカプラがオンになることがない多点デジタル入力回路および2重化された多点デジタル入力回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
このような課題を達成するために、本発明のうち請求項1記載の発明は、
入力信号が印加される入力端子にその一端が接続された抵抗と、この抵抗の他端と共通電位点間にそのLED端子が接続されたフォトカプラとから構成されるデジタル入力部を少なくとも2つ具備し、これらデジタル入力部の前記共通電位点を共通接続した多点デジタル入力回路において、
前記入力端子と前記フォトカプラの間の経路中に配置され、前記フォトカプラをオンする前記入力信号の最小電圧より小さく、かつ前記フォトカプラをオンする入力信号の最大電圧の1/3より大きいツェナ電圧を有する双方向性ツェナダイオードを具備するようにしたものである。異常電流が流れることがない。
・・・略・・・
【発明の効果】
【0023】
以上説明したことから明らかなように、本発明によれば次のような効果がある。
請求項1,2,3および請求項4記載の発明によれば、フォトカプラを有するデジタル入力部を複数個有し、これらのデジタル入力部のコモンを共通接続した多点デジタル入力回路において、入力端子とフォトカプラの間の経路中に双方向性のツェナダイオードを配置し、このツェナダイオードのツェナ電圧を、前記フォトカプラがオンする最小電圧より小さく、かつ最大電圧の1/3より大きくするようにした。
【0024】
コモンの接続が不完全であってもこの双方向性ツェナダイオードに阻止されて異常電流が流れることがないので、本来オフになるべきフォトカプラがオンになることがなくなるという効果がある。また、従来入力端子に直列に接続した電流制限抵抗のみで消費していた電力を、この抵抗と双方向性ツェナダイオードで分担することができるので、より小さい部品を使用することができ、かつ部品の温度上昇を抑えることが出来るという効果もある。」
ウ 「【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下本発明を図面を用いて詳細に説明する。図1は本発明に係る2重化された多点デジタル入力回路の一実施例を示す構成図である。なお、図4と同じ要素には同一符号を付し、説明を省略する。
【0028】
図1において、1は制御側モジュールであり、デジタル入力部11および12で構成されている。デジタル入力部11と12のコモン(共通電位点)は共通接続され、さらにCOM1端子に接続されている。2は待機側モジュールであり、デジタル入力部21および22で構成されている。デジタル入力部21と22のコモンは共通接続され、さらにCOM2端子に接続されている。
【0029】
デジタル入力部11の入力端子IN11とデジタル入力部21の入力端子IN21は接続され、さらに信号源7に接続されている。入力端子IN12とIN22、およびコモン端子COM1、COM2も相互に接続されている。すなわち、制御側モジュール1と待機側モジュール2で2重化され、かつそれらのコモンは共通接続されている。
【0030】
D1は双方向性ツェナダイオードであり、その一端は入力端子IN11に接続され、他端は抵抗R1に接続されている。すなわち、図4従来例のデジタル入力部51において、入力端子IN51と抵抗R1との間に双方向性ツェナダイオードD1を挿入したものである。なお、デジタル入力部12,21,22も同様構成であり、各々の入力端子と抵抗R1との間に双方向性ツェナダイオードを挿入する。
【0031】
双方向性ツェナダイオードは2つのツェナダイオードを、極性を逆にして直列接続したものであり、どちらの方向に電流を流しても所定の電圧降下が発生する。図1実施例では2つのツェナダイオードのカソード同士を接続しているが、アノード同士を接続するようにしてもよい。この双方向ツェナダイオードD1のツェナ電圧は、フォトカプラPC1をオンにする最小電圧より低く、かつ最大電圧の1/3より高い値に設定する。
【0032】
次に、この実施例の動作を説明する。図1は制御側モジュール1のコモン端子COM1と待機側モジュール2のコモン端子COM2が正しく結線されている場合の動作を表している。入力端子IN11には信号源7が接続されているので、経路31を電流Ionが流れ、フォトカプラPC1がオンになる。双方向性ツェナダイオードD1で電圧降下が発生するが、そのツェナ電圧は入力信号の最小値より低く設定されているので、電流Ionが流れる障害になることはない。
【0033】
同様に、入力端子INI21にも信号源7が接続されているので、経路32を電流Ionが流れて、待機側モジュール2のデジタル入力部21内のフォトカプラがオンになる。入力端子IN12とIN22には信号源7が接続されていないので、デジタル入力部12と22内のフォトカプラはオフになる。
【0034】
図2に待機側モジュール2のコモン端子COM2が結線されていない場合の動作を示す。なお、図1と同じ要素には同一符号を付し、説明を省略する。入力端子IN11には信号源7が接続されているので、図1と同様に経路31を電流Ionが流れ、デジタル入力部11内のフォトカプラPC1はオンになる。
【0035】
また、図6の経路83と同様に、デジタル入力部21,22、12を経由して電流が流れる経路33が考えられる。しかし、この経路には、デジタル入力部21,22,12内の双方向性ツェナダイオードが挿入される。すなわち、この経路33には3個の双方向性ツェナダイオードが直列に配置される。
【0036】
前述したように、これらの双方向性ツェナダイオードのツェナ電圧は、入力信号の最大電圧の1/3以上になるように選択されている。そのため、経路33に電流が流れることはなく、デジタル入力部12内のフォトカプラはオフになる。」
エ 「【図1】

【図2】

・・・略・・・
【図5】



(3)本願の出願前に、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開平4-266388号公報(平成4年9月22日公開)(以下「周知例3」という。)には、次の事項が図とともに記載されている。
ア 「【0001】
【産業上の利用分野】本発明はエレベータの制御装置に関するもので、特に、エレベータの制御電源の低下、或いは停電を検出できるエレベータの制御装置に関するものである。」
イ 「【0022】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明をする。
【0023】図1はこの発明の一実施例であるエレベータの制御装置のドア制御部と巻上機制御部との接続状態の詳細を示す回路図であり、従来例の図5に相当するものである。また、図2及び図3はこの発明の実施例においても共通である。図中、上記従来例と同一符号及び記号は上記従来例の構成部分と同一または相当する構成部分を示す。なお、この実施例のエレベータかご2の昇降動作及びエレベータドア4の開閉動作は上記従来例で述べたので、ここでは説明を省略する。
【0024】図1において、制御電源+48Vの電源ラインはエレベータケーブル6を通して+48VがA点,B点,C点に、0VがD点,E点,F点に供給され、巻上機制御部7からドア制御部5に給電される。また、エレベータケーブル6を通して+48VがG点,H点を、0VがI点,J点を経て、ドア制御部5から巻上機制御部7の電源断検出回路40に戻される。即ち、この実施例では、エレベータケーブル6を介してドア制御部5に各種の信号授受用の制御電源を給電し、再び前記エレベータケーブル6を介して巻上機制御部7の電源断検出回路40に制御電圧が戻る。そして、巻上機制御部7の電源断検出回路40では、制御電源+48Vが正常な場合にはフォトカプラ41が導通し、マイクロコンピュータ26の入力は0Vとなり、また、制御電源+48Vがツェナーダイオード44により決定されるツェナー電圧以下の場合には、フォトカプラ41が非導通となり、マイクロコンピュータ26の入力は+5Vとなる。こうして、制御電源+48Vの電源断や電圧の低下を検出することにより、マイクロコンピュータ26が制御電源+48Vが正常か否かを監視している。
【0025】したがって、この構成のエレベータの制御装置では、例えば、図1中のエレベータケーブル6内のB点やE点、或いはドア制御部5内のC点やF点でのケーブル、電線の切断や、コネクタの接触不良等により制御電源+48Vがドア制御部5に給電できなくなった場合には、巻上機制御部7からの戸開,戸閉信号、或いはドア制御部5からの戸反転信号の信号授受も不可能となり、巻上機制御部7では戸開,戸閉信号を出力してもドアは作動しないため、従来と同様に、マイクロコンピュータ26が戸開,戸閉時間異常を検出する。しかも、この実施例においては、ドア制御部5を迂回して戻される制御電源+48Vの電源断や電圧の低下を検出することにより、マイクロコンピュータ26が制御電源+48Vの異常も同時に検出する。このため、戸開,戸閉時間異常の原因がドア制御部5の異常によるもでなく、エレベータケーブル6内のケーブル、電線の切断や、コネクタの接触不良等によるものであることを巻上機制御部7のマイクロコンピュータ26で知ることができる。
【0026】このように、この実施例のエレベータの制御装置は、機械室1に配設されて、巻上機11の駆動を制御する電動機8及び巻上機制御部7からなる巻上機制御手段と、エレベータかご2に配設されて、エレベータドア4の開閉を制御する電動機14及びドア制御部5からなるドア制御手段と、前記巻上機制御手段とドア制御手段との間で制御電源+48Vを介して相互に信号の授受を行なう信号授受手段たるエレベータケーブル6と、前記巻上機制御手段の巻上機制御部7内で前記信号授受用の制御電源+48Vの電圧の低下、停電を検出する電圧低下停電検出手段たる電源断検出回路40と、前記エレベータケーブル6を介して巻上機制御手段の巻上機制御部7からドア制御手段のドア制御部5に制御電源+48Vを給電し、再び前記エレベータケーブル6を介して前記制御電源をドア制御手段のドア制御部5から巻上機制御手段の巻上機制御部7に戻し、前記電源断検出回路40に入力して制御電源+48Vの異常をマイクロコンピュータ26で監視する電源監視手段とを備えている。
【0027】即ち、この実施例のエレベータの制御装置は、巻上機制御部7とドア制御部5との間で相互に信号の授受を行なうエレベータケーブル6を介して、ドア制御部5に信号授受用の制御電源+48Vを給電し、再び前記エレベータケーブル6を介して巻上機制御部7に戻し、前記巻上機制御部7内の電源断検出回路40に入力して制御電源+48Vの異常を監視するものである。
【0028】したがって、巻上機制御部7とドア制御部5との間の各種の信号授受が不可能となった場合に、従来より巻上機制御部7内に設置されている制御電源+48Vの電源断や電圧の低下を検出する電源断検出回路40及びマイクロコンピュータ26を利用して、その原因がエレベータケーブル6内のケーブル、電線の切断や、コネクタの接触不良等による巻上機制御部7とドア制御部5との間の信号授受用の制御電源+48Vの給電異常によるものであることを巻上機制御部7側で簡単に知ることができる。この結果、保守点検時の作業性及び安全性が極めて向上する。」
ウ 「【図1】



(4)周知例1ないし3から把握される周知技術
ア 周知例1(上記(1))には、その【0007】に、センサスイッチ903の非検出状態では、出力電圧(残留電圧)がツェナー電圧より低いため、ツェナーダイオードZD2がOFFで、トランジスタTr_(2)もOFFであり、センサスイッチ903の検出状態では、出力電圧(残留電圧)がツェナー電圧より高く、ツェナーダイオードZD2がONで、トランジスタTr_(2)もONとなることが記載されており、当該記載からみて、周知例1には、ツェナーダイオードは、残留電圧による影響を回避するため、下限電圧よりも高くツェナー電圧(上限電圧)よりも低い前記残留電圧(所定電圧)が印加されても、印加された箇所に対する前記残留電圧による作用を回避するために設けられていることが記載されていると認められる。
イ 周知例2(上記(2))の【0014】、【0024】、【0034】、【0036】、図1、図2の記載、及び、周知例3(上記(3))の【0024】、【0025】、図1の記載からみて、周知例2及び3には、コネクタの接触不良による影響を回避するため、下限電圧よりも高くツェナー電圧(上限電圧)よりも低い所定電圧が印加されても、印加された箇所に対する前記所定電圧による作用を回避するためのツェナーダイオードを設けたことが記載されていると認められる。
ウ 上記(1)ないし(3)、上記ア及び上記イからみて、本願の出願前に、
「コネクタの接触不良や残留電圧による影響を回避するため、下限電圧よりも高くツェナー電圧(上限電圧)よりも低い所定電圧が印加されても、印加された箇所に対する前記所定電圧による作用を回避するツェナーダイオードを備える」ことは周知(以下「周知技術」という。)であったと認められる。

5 対比
(1)本願発明と引用発明とを対比する。なお、以下の見出し(a)ないし(g)は、本願補正発明のAないしGに対応させている。
(a)引用発明の「磁気センサSE1?SEn」は、正常時にはON動作し、違法磁気を検出するとOFF動作する出力スイッチQSが設けられているものであり、違法磁気を検出すべき所定位置に配置されることが明らかであるから、本願発明の「A 所定位置に配置された検出センサ部」に相当する。
(b)引用発明の特定事項aのように、引用発明の「磁気センサSE1?SEn」(検出センサ部)は、正常時にはON動作し、違法磁気を検出するとOFF動作する出力スイッチQSを設けており、同特定事項bのように、引用発明の全ての「磁気センサSE1?SEn」(検出センサ部)がON状態のとき、全てのトランジスタQs1?QsnはOFF状態となり、磁気センサSE1?SEnの何れか1個以上が異常な磁気を検出すると、該当する磁気センサSEiがOFF動作することで、対応するトランジスタQsiがOFF状態からON状態に遷移しているものである。これらに基づけば、引用発明の「『磁気センサSE1?SEn』が『ON状態』」、「『トランジスタQs1?Qsn』が『OFF状態』」、「『磁気センサSE1?SEn』が『OFF状態』」及び「『トランジスタQs1?Qsn』が『ON状態』」は、それぞれ本願発明の「第1の状態」、「第1の電圧」、「第2の状態」及び「第1の電圧よりも低い電圧である第2の電圧」に相当するといえる。そして、引用発明の「トランジスタQsiをOFF状態からON状態に遷移させる手段」は、トランジスタQsiを「OFF状態」(第1の電圧)から「ON状態」(第2の電圧)とするのであるから、本願発明の「B 前記検出センサ部が第2の状態のときは前記第1の電圧よりも低い電圧である第2の電圧とする電圧出力部」を備えるといえる。
(c)引用発明は、トランジスタQsiをOFF状態からON状態に遷移するのに対応して、主制御基板21のスイッチングトランジスタQがON状態からOFF状態に遷移して、異常検出電圧VoがHレベル(異常検出レベル)となり異常検出信号Voを出力するのであるから、本願発明の「C 前記電圧出力部からの前記第1の電圧または前記第2の電圧に対応して検出信号の出力のオンオフを切り換える検知回路部」を備えるといえる。
(d)引用発明の「コネクタCo1?Con」は、本願発明の「コネクタ部材」に相当する。また、引用発明は、「磁気センサSE1?SEn」(検出センサ部)が「コネクタCo1?Con」(コネクタ部材)を通して遊技盤中継基板29に接続されているものであり、該遊技盤中継基板29に配置される「トランジスタQsiをOFF状態からON状態に遷移させる手段」(電圧出力部)にも電気的に接続されていることは明らかである。そうすると、引用発明は、本願発明の「D 前記検出センサ部と前記電圧出力部とがコネクタ部材を介して電気的に接続され、」を備えるといえる。
(f)引用発明は、遊技盤中継基板29が、コネクタCN2を通して、主制御基板21のコネクタCN3に接続されているものであり、該主制御基板21の1つのスイッチングトランジスタQ(検知回路部)に、複数の「磁気センサSE1?SEn」(検出センサ部)と「トランジスタQs1?QsnをOFF状態からON状態に遷移させる手段」(電圧出力部)が電気的に接続されていることは明らかである。そうすると、引用発明は、本願発明の「F 1つの前記検知回路部に、コネクタ部材を介して電気的に接続された前記検出センサ部と前記電圧出力部とが、複数電気的に接続されており、」を備えるといえる。
(c-1)引用発明は、磁気センサSE1?SEn(検出センサ部)の断線時に、トランジスタQsiをOFF状態(第2の電圧)からON状態(第1の電圧)に遷移させ、それに伴い、トランジスタQ(検知回路部)がOFF動作し、異常検出電圧VoがHレベル、すなわち、異常検出レベルとなるものであるから、本願発明の「C-1 前記検知回路部は、前記検出センサ部が前記検知回路部に対して断線した場合には、前記第1の電圧とされて前記検出信号の出力をオンし、」を備えるといえる。
(g)引用発明は、磁気センサSE1?SEnは異常な磁気を検出するのであるから、本願発明の「G 前記検出センサ部は、遊技機の異常を検出するための異常検出センサである」を備える。また、引用発明の「遊技機」は、本願発明の「遊技機」に相当する。

(2)上記(1)からみて、本願発明と引用発明とは、
「A 所定位置に配置された検出センサ部と、
B 前記検出センサ部が第1の状態のときは第1の電圧とする一方、前記検出センサ部が第2の状態のときは前記第1の電圧よりも低い電圧である第2の電圧とする電圧出力部と、
C 前記電圧出力部からの前記第1の電圧または前記第2の電圧に対応して検出信号の出力のオンオフを切り換える検知回路部と、を備え、
D 前記検出センサ部と前記電圧出力部とがコネクタ部材を介して電気的に接続され、
F 1つの前記検知回路部に、コネクタ部材を介して電気的に接続された前記検出センサ部と前記電圧出力部とが、複数電気的に接続されており、
C-1 前記検知回路部は、
前記検出センサ部が前記検知回路部に対して断線した場合には、前記第1の電圧とされて前記検出信号の出力をオンし、
G 前記検出センサ部は、遊技機の異常を検出するための異常検出センサである、遊技機。」の点で一致し、次の点で相違する。

・相違点(特定事項E)
本願発明では、「前記コネクタ部材に起因する前記第2の電圧よりも高く前記第1の電圧よりも低い所定の電圧が印加されても、前記検知回路部に対する前記所定の電圧による作用を回避する電圧かさ上げ部が備えられ」ているのに対し、
引用発明では、そのような特定はない点。

6 判断
上記相違点について検討する。
(1)上記4(4)イで周知技術として示したように、誤動作の原因となる所定電圧であって、下限電圧よりも高くツェナーダイオードのツェナー電圧(上限電圧)よりも低い前記所定電圧が印加されても、印加された箇所に対する前記所定電圧による作用を回避するツェナーダイオードを備えることは周知である。

(2)引用発明は、磁気センサSE1?SEnがコネクタCo1?Conを通して遊技盤中継基板29に接続されるものであるところ、コネクタの接触不良や残留電圧により誤動作が生じ得るという課題は、引用例1に明示的な記載がなくとも、上記周知例1ないし3に記載されているように当業者にとって自明な課題であり、当業者であれば、当然認識すべき潜在的な課題である。そうすると、前記周知技術に基づけば、引用発明において、コネクタの接触不良や残留電圧による影響を回避するため、第2の電圧よりも高く第1の電圧よりも低い所定電圧が印加されても、スイッチングトランジスタQ(検知回路部)に対する前記所定電圧による作用を回避するために電圧かさ上げ部となるツェナーダイオードを備えるようになすことは、当業者が適宜なし得たことである。

(3)以上のとおりであるから、引用発明において、上記相違点に係る本願発明の特定事項となすことは当業者が周知技術に基づいて容易になし得たことである。

(4)本願発明の奏する効果は、引用発明の奏する効果及び周知技術の奏する効果から当業者が予測することができた程度のことである。

(5)したがって、本願発明は、当業者が引用例1に記載された発明及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものである。

(6)審判請求人の主張について
ア 審判請求人は、意見書において、概略、以下のとおり主張している。
「(2)本願発明と引用文献に記載された発明との対比
・・・略・・・
ここで、引用例1には、下記の記載がございます。
・・・略・・・
これらの記載から明らかなように、引用例1に記載の発明は、その目的として、違法遊技を効果的に排除することができ、また、遊技機の機種変更にも最小限の回路変更で対処できる遊技機を提供することにあり、その目的を達成するために、磁気センサを設け、磁気センサのON状態、OFF状態に応じて異常報知動作を行うものであります。
審判合議体も拒絶理由通知において相違点として示されておりますが、引用例1に記載された発明では、本願発明が備えている「前記コネクタ部材に起因する前記第2の電圧よりも高く前記第1の電圧よりも低い所定の電圧が印加されても、前記検知回路部に対する前記所定の電圧による作用を回避する電圧かさ上げ部が備えられ」てはおりませんし、そもそもコネクタ部材に起因する影響があることについても記載も示唆もされておりません。
・・・略・・・
繰り返しになりますが、引用例2には、一見本願発明の回路構成と類似した回路構成が記載されているのみであって、それらの回路構成の目的等についてはなんら記載されておりません。引用例3,4には、本願発明や引用例1に記載された発明とはまったく異なる技術分野のまったく異なる回路構成が記載され、その回路において記載されているツェナーダイオードを設ける目的についても、本願発明や引用例1に記載された発明とは異なっているものですから、引用例2?4を集めたとしても、それぞれまったく異なる技術分野かつ回路構成において、異なる目的のために、異なる回路構成が記載されている文献であって、拒絶理由通知で指摘されているような、「ノイズやコネクタ部材の接触不良に起因する下限電圧よりも高く上限電圧よりも低い所定の電圧が印加されても、印加された箇所に対する前記所定の電圧による作用を回避する手段を備えること」が周知とはいえないのではないかと思料いたします。
このように引用例2?4を集めたとしても、それぞれ課題等も異なっており、意図している回路構成も異なっているのですから、そこから上記の周知技術を認定することは困難であるため、引用例1に記載された発明に適用することも困難ですし、仮にこれらの文献から周知技術が認定できて、引用例1に記載された発明に適用するとしても、適用する際にそれらの回路構成を引用例1に記載された発明のいずれの箇所に設けるかについての創意工夫が必要ですし、具体的な回路構成についても、引用例2?4に異なる回路構成として記載されているものから、どのように適用するかについても創意工夫が求められるものであって、適宜設定しうる程度のものではなく、本願発明のような課題認識があってこそ、適用する箇所や適用する回路構成を決定できるものであります。
よって、本願の請求項1に係る発明は、引用例1ないし4に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではないものと思料いたします。」

イ 審判請求人の主張について検討する。
上記6(1)で示したように、引用例1には、コネクタ部材に起因する影響があることについての明示がないとしても、コネクタが存在する場合に、接触不良が生じ得るという課題は周知の課題であり、当業者であれば、引用発明において当然認識し得る潜在的な課題である。
また、上記4(4)イのように、周知例1ないし3(引用例2ないし4)より具体的な上記周知技術を認定し得るものであり、周知技術を認定することは困難であるということはできない。
そして、上記6(2)で示したように、具体的な前記周知技術に基づけば、引用発明において、前記所定電圧による作用を回避するためにツェナーダイオードを備えるという具体的な回路構成を想定できるものである。
よって、審判請求人の主張は、採用することができない。

7 むすび
本願発明は、当業者が引用例1に記載された発明及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-10-04 
結審通知日 2018-10-16 
審決日 2018-10-29 
出願番号 特願2016-92780(P2016-92780)
審決分類 P 1 8・ 4- WZ (A63F)
P 1 8・ 121- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 柴田 和雄  
特許庁審判長 長崎 洋一
特許庁審判官 藤田 年彦
鉄 豊郎
発明の名称 遊技機  
代理人 あいわ特許業務法人  
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